JP2009520039A - 低分子干渉核酸(siNA)を用いた、RNA干渉によって媒介される、C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子発現の阻害 - Google Patents

低分子干渉核酸(siNA)を用いた、RNA干渉によって媒介される、C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子発現の阻害 Download PDF

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Abstract

本発明は、遺伝子発現及び/又は活性の調節に応答した形質、疾患及び症状の研究、診断及び治療のための化合物、組成物及び方法に関する。本発明は、かかる形質、疾患及び症状の持続又は発生を媒介する遺伝子発現経路又は他の細胞プロセスに関与する遺伝子の発現及び/又は活性の調節に応答する形質、疾患及び症状に関係した化合物、組成物及び方法も対象とする。具体的には、本発明は、小核酸分子のカクテル、及び小核酸分子の脂質ナノ粒子(LNP)調合物を含めて、遺伝子発現に対するRNA干渉(RNAi)を媒介し得る、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ミクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子などの小核酸分子を含めた、二本鎖核酸分子に関する。本発明は、siNA、siRNAなどの小核酸分子にも関し、内因性RNA又は内因性RNAと結合したタンパク質(例えば、RISC)の調節機能を妨害することによって遺伝子発現を調節するために、内因性ミクロRNA(miRNA)の機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、miRNA阻害剤)、内因性低分子干渉RNA(siRNA)の機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、siRNA阻害剤)などの内因性RNA分子の機能を阻害し得る小核酸分子、RISCの機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、RISC阻害剤)にも関し、かかる小核酸分子のカクテル及びかかる小核酸分子の脂質ナノ粒子(LNP)調合物にも関する。かかる小核酸分子は、例えば、対象又は生物体における遺伝子発現又は活性に関連した疾患、形質及び症状を予防、阻害又は抑制する組成物を提供するのに有用である。

Description

本願は、(2002年3月26日に出願されたPCT/US02/09187の一部継続出願であって、2002年8月5日に出願された米国特許出願第60/401,104号の利益を主張する)2003年2月20日に出願された国際特許出願第PCT/US03/05043号の一部継続出願である、2003年9月16日に出願された米国特許出願第10/667,271号の一部継続出願である、2004年9月15日に出願された米国特許出願第10/942,560号の一部継続出願である、2005年12月19日に出願された米国特許出願第11/311,826号の一部継続出願である、2006年8月25日に出願された米国特許出願第11/510,872号の一部継続出願である。本願は、2002年2月20日に出願された米国仮出願第60/358,580号、2002年3月11日に出願された米国仮出願第60/363,124号、2002年6月6日に出願された米国仮出願第60/386,782号、2002年8月29日に出願された米国仮出願第60/406,784号、2002年9月5日に出願された米国仮出願第60/408,378号、2002年9月9日に出願された米国仮出願第60/409,293号、及び2003年1月15日に出願された米国仮出願第60/440,129号の利益をどちらも主張する、2003年2月20日に出願された国際特許出願第PCT/US03/05346号の一部継続出願及び2003年2月20日に出願された国際特許出願第PCT/US03/05028号の一部継続出願である、2003年5月23日に出願された米国特許出願第10/444,853号の一部継続出願である、2003年10月23日に出願された米国特許出願第10/693,059号の一部継続出願である、2003年11月24日に出願された米国特許出願第10/720,448号の一部継続出願である、2004年1月14日に出願された米国特許出願第10/757,803号の一部継続出願である、2004年4月16日に出願された米国特許出願第10/826,966号(現在、放棄されている。)の一部継続出願である、2004年5月24日に出願された国際特許出願第PCT/US04/16390号の一部継続出願である、2004年8月20日に出願された米国特許出願第10/923,536号の一部継続出願である、2005年4月4日に出願された米国特許出願第11/098,303号の一部継続出願である、2005年8月17日に出願された米国特許出願第11/205,646号の一部継続出願である、2005年9月23日に出願された米国特許出願第11/234,730号の一部継続出願である、2005年12月8日に出願された米国特許出願第11/299,254号の一部継続出願である、2006年8月17日に出願された米国特許出願第TBDの一部継続出願でもある。本願は、2004年2月10日に出願された米国仮出願第60/543,480号の利益を主張する、2005年2月9日に出願された国際特許出願第PCT/US05/04270号の一部継続出願でもある。本願は、2005年2月14日に出願された米国仮出願第60/652,787号、2005年5月6日に出願された米国仮出願第60/678,531号、2005年7月29日に出願された米国仮出願第60/703,946号及び2005年11月15日に出願された米国仮出願第60/737,024号の利益を主張する、2006年2月14日に出願された米国特許出願第11/353,630号の一部継続出願でもある。本願は、図面を含めて、参照によりその全体を本明細書に組み込む、上記全出願の利益を主張するものである。
本発明は、C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子の発現及び/又は活性の調節に応答する形質、疾患及び症状の研究、診断及び治療のための化合物、組成物及び方法に関する。本発明は、かかる形質、疾患及び症状の持続又は発生を媒介するHCV遺伝子発現経路又は他の細胞プロセスに関与する遺伝子の発現及び/又は活性の調節に応答する形質、疾患及び症状に関係した化合物、組成物及び方法も対象とする。具体的には、本発明は、小核酸分子のカクテル、及び小核酸分子の脂質ナノ粒子(LNP)調合物を含めて、HCV遺伝子発現に対するRNA干渉(RNAi)を媒介し得る、又は媒介する、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ミクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子などの小核酸分子を含めた、二本鎖核酸分子に関する。本発明は、siNA、siRNAなどの小核酸分子にも関し、内因性RNA又は内因性RNAと結合したタンパク質(例えば、RISC)の調節機能を妨害することによって遺伝子発現を調節するために、内因性ミクロRNA(miRNA)の機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、miRNA阻害剤)、内因性低分子干渉RNA(siRNA)の機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、siRNA阻害剤)などの内因性RNA分子の機能を阻害し得る小核酸分子、RISCの機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、RISC阻害剤)にも関し、かかる小核酸分子のカクテル及びかかる小核酸分子の脂質ナノ粒子(LNP)調合物にも関する。かかる小核酸分子は、例えば、HCV感染症、肝不全、肝細胞癌、肝硬変、及び/又は対象又は生物体におけるHCV感染に関連した他の病態を防止、阻害又は抑制する組成物を提供するのに有用である。
以下は、RNAiに関係する関連技術の考察である。この考察は、以下の本発明の理解のためにのみ提供される。要旨(summary)は、下記研究が本発明の従来技術であることを認めるものではない。
RNA干渉とは、動物において低分子干渉RNA(siRNA)によって媒介される、配列特異的な転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを指す(Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Fire et al., 1998, Nature, 391, 806;Hamilton et al., 1999, Science, 286, 950−951;Lin et al., 1999, Nature, 402, 128−129;Sharp, 1999, Genes & Dev., 13:139−141及びStrauss, 1999, Science, 286, 886)。植物における対応するプロセス(Heifetz他、国際公開第99/61631号)は、転写後遺伝子サイレンシング又はRNAサイレンシングと一般に称し、真菌ではクエリング(quelling)とも称する。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは、外来遺伝子の発現を防止するのに使用される、進化的に保存された細胞防御機構であると考えられ、多様な叢及び門によって一般に共有されている(Fire et al., 1999, Trends Genet., 15, 358)。外来遺伝子発現からのかかる防御は、相同な一本鎖RNA又はウイルスゲノムRNAを特異的に破壊する細胞応答を介して、ウイルス感染に由来する、又は宿主ゲノム中へのトランスポゾンエレメントの無作為な組み込みに由来する、二本鎖RNA(dsRNA)の生成に応じて進化してきたと考えられる。細胞中にdsRNAが存在すると、特徴がまだ十分に明らかになっていない機序によってRNAi応答が誘発される。この機序は、リボヌクレアーゼLによるmRNAの非特異的切断をもたらす、dsRNAによって媒介されるプロテインキナーゼPKR及び2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素の活性化に起因するインターフェロン応答など、二本鎖RNA特異的リボヌクレアーゼを含む他の公知の機序とは異なると考えられる(例えば、米国特許第6,107,094号、同5,898,031号;Clemens et al., 1997, J. Interferon & Cytokine Res., 17, 503−524;Adah et al., 2001, Curr. Med. Chem., 8, 1189を参照されたい。)。
細胞中に長鎖dsRNAが存在すると、ダイサーと呼ばれるリボヌクレアーゼIII酵素の活性が刺激される(Bass, 2000, Cell, 101, 235;Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Hammond et al., 2000, Nature, 404, 293)。ダイサーは、低分子干渉RNA(siRNA)として知られるdsRNA小片へのdsRNAのプロセシングに関与する(Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Bass, 2000, Cell, 101, 235;Berstein et al., 2001, Nature, 409, 363)。ダイサー活性に由来する低分子干渉RNAは、典型的には約21から約23ヌクレオチド長であり、約19塩基対の二本鎖を含む(Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Elbashir et al., 2001, Genes Dev., 15, 188)。ダイサーは、構造の保存された前駆体RNAからの、翻訳調節に関係する21及び22ヌクレオチドのsmall temporal RNA(stRNA)の切り出しにも関係する(Hutvagner et al., 2001, Science, 293, 834)。RNAi応答は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と一般に称する、エンドヌクレアーゼ複合体も特徴とする。RISCは、siRNA二本鎖のアンチセンス鎖に相補的な配列を有する一本鎖RNAの切断を媒介する。標的RNAの切断は、siRNA二本鎖のアンチセンス鎖に相補的である領域の中央で起こる(Elbashir et al., 2001, Genes Dev., 15, 188)。
RNAiは種々の系で研究されている。Fire et al., 1998, Nature, 391, 806は、線虫においてRNAiを観察した最初であった。Bahramian and Zarbl, 1999, Molecular and Cellular Biology, 19, 274−283及びWianny and Goetz, 1999, Nature Cell Biol., 2, 70は、ほ乳動物系においてdsRNAによって媒介されるRNAiを記述している。Hammond et al., 2000, Nature, 404, 293は、dsRNAが移入されたショウジョウバエ細胞におけるRNAiを記述している。Elbashir et al., 2001, Nature, 411, 494及びTuschl他、国際公開第01/75164号は、ヒト胚性腎臓細胞及びHeLa細胞を含めた培養ほ乳動物細胞において、合成21ヌクレオチドRNA二本鎖の導入によって誘導されるRNAiを記述している。ショウジョウバエ胚溶解物における最近の研究(Elbashir et al., 2001, EMBO J., 20, 6877及びTuschl他、国際公開第01/75164号)によって、効率的RNAi活性を媒介するのに必要である、siRNAの長さ、構造、化学組成及び配列に対する一定の要件が明らかになった。これらの研究によれば、21ヌクレオチドsiRNA二本鎖は、3’末端ジヌクレオチドオーバーハングを含むときに最も活性である。また、一方又は両方のsiRNA鎖を2’−デオキシ(2’−H)又は2’−O−メチルヌクレオチドで完全に置換すると、RNAi活性が消失するのに対して、2’−デオキシヌクレオチド(2’−H)による3’末端siRNAオーバーハングヌクレオチドの置換は許容されることが判明した。siRNA二本鎖の中央における単一のミスマッチ配列も、RNAi活性を消失させることが判明した。また、これらの研究は、標的RNA中の切断部位の位置が、siRNAガイド配列の3’末端ではなくガイド配列の5’末端によって規定されることも示している(Elbashir et al., 2001, EMBO J., 20, 6877)。他の研究によれば、siRNA二本鎖の標的相補鎖上の5’リン酸がsiRNA活性に必要であり、ATPを利用してsiRNA上の5’リン酸部分が維持される(Nykanen et al., 2001, Cell, 107, 309)。
幾つかの研究によれば、2ヌクレオチド3’オーバーハングを有する21量体siRNA二本鎖の3’末端ヌクレオチドオーバーハングセグメントをデオキシリボヌクレオチドで置換しても、RNAi活性に有害作用を及ぼさない。siRNA各末端のヌクレオチドを4個までデオキシリボヌクレオチドで置換することは十分許容されると報告されているが、デオキシリボヌクレオチドで完全に置換するとRNAi活性が失われる(Elbashir et al., 2001, EMBO J., 20, 6877及びTuschl他、国際公開第01/75164号)。また、Elbashir et al.(前掲)は、siRNAを2’−O−メチルヌクレオチドで置換するとRNAi活性が完全に消失することも報告している。Li他、国際公開第00/44914号及びBeach他、国際公開第01/68836号は、siRNAが、窒素又は硫黄ヘテロ原子の少なくとも1個を含むようにするリン酸−糖骨格又はヌクレオシドの修飾を含み得ることを示唆している。しかし、どちらの出願も、かかる修飾がsiRNA分子においてどの程度許容されるかを仮定しておらず、かかる修飾siRNAの更なるガイダンスや例も提供していない。Kreutzer他、カナダ特許出願第2,359,180号も、二本鎖RNA依存性プロテインキナーゼPKRの活性化に対抗するために、dsRNA構築体において使用されるある種の化学修飾、具体的には2’−アミノ又は2’−O−メチルヌクレオチド、及び2’−O又は4’−Cメチレン架橋を含むヌクレオチドを記載している。しかし、Kreutzer他も、同様に、これらの修飾がdsRNA分子においてどの程度許容されるかに関する例又はガイダンスを提供していない。
Parrish et al., 2000, Molecular Cell, 6, 1077−1087は、線虫において、長鎖(>25nt)siRNA転写物を用いて、unc−22遺伝子を標的としたある種の化学修飾を試験した。Parrish等は、T7及びT3 RNAポリメラーゼを用いてチオリン酸ヌクレオチド類似体を組み入れることによって、これらのsiRNA転写物にチオリン酸残基を導入することを記述しており、2個のホスホロチオアート修飾塩基を有するRNAのRNAiとしての有効性がかなり低下したことを認めた。また、Parrish等によれば、2個を超える残基のホスホロチオアート修飾によって、RNAがインビトロで著しく不安定化し、干渉活性を評価することができなかった(同書、1081)。Parrish等は、長鎖siRNA転写物においてヌクレオチドの糖の2’位におけるある種の修飾も試験し、リボヌクレオチドをデオキシヌクレオチドで置換すると、特にウリジンからチミジンへの置換、及び/又はシチジンからデオキシシチジンへの置換の場合には、干渉活性がかなり低下することを見いだした(同書)。また、Parrish等は、siRNAのセンス鎖及びアンチセンス鎖における、4−チオウラシル、5−ブロモウラシル、5−ヨードウラシル及び3−(アミノアリル)ウラシルによるウラシルの置換、及びイノシンによるグアノシンの置換を含めて、ある種の塩基修飾を試験した。4−チオウラシル及び5−ブロモウラシル置換は許容されると考えられたが、Parrishは、イノシンを一方の鎖に組み入れると干渉活性がかなり低下することを報告した。Parrishは、5−ヨードウラシル及び3−(アミノアリル)ウラシルをアンチセンス鎖に組み入れても、RNAi活性がかなり低下することも報告した。
より長鎖のdsRNAの使用が記述された。例えば、Beach他、国際公開第01/68836号は、内因的に誘導されたdsRNAを用いて遺伝子発現を減ずる特別な方法を記述している。Tuschl他、国際公開第01/75164号は、ショウジョウバエインビトロRNAi系、並びにある機能的ゲノム用途及びある治療用途への特定のsiRNA分子の使用を記述している。ただし、Tuschl, 2001, Chem. Biochem., 2, 239−245は、インターフェロン応答を活性化するおそれがあるために、RNAiを使用して、遺伝病又はウイルス感染を治療し得ることに疑念を抱いている。Li他、国際公開第00/44914号は、ある標的遺伝子の発現を減じるための特定の長鎖の(141bp−488bp)、酵素的に合成された、又はベクターによって発現されたdsRNAの使用を記載している。Zernicka−Goetz他、国際公開第01/36646号は、ある種の長鎖の(550bp−714bp)、酵素的に合成された、又はベクターによって発現されたdsRNA分子を用いて、ほ乳動物細胞における特定の遺伝子の発現を阻害するある種の方法を記載している。Fire他、国際公開第99/32619号は、線形動物における遺伝子発現の阻害に用いられる細胞にある種の長鎖dsRNA分子を導入する特別な方法を記載している。Plaetinck他、国際公開第00/01846号は、特定の長鎖dsRNA分子を用いて、細胞において特別な表現型を与える原因になる特殊な遺伝子を特定するある種の方法を記載している。Mello他、国際公開第01/29058号は、dsRNAによって媒介されるRNAiに関与する特殊な遺伝子の特定について記載している。Pachuck他、国際公開第00/63364号は、ある種の長鎖(少なくとも200ヌクレオチド)dsRNA構築体を記載している。Deschamps Depaillette他、国際公開第99/07409号は、ある種の抗ウイルス剤と組み合わせた特別なdsRNA分子からなる特定の組成物を記載している。Waterhouse他、国際公開第99/53050号及び1998, PNAS, 95, 13959−13964は、ある種のdsRNAを用いて、植物細胞における核酸の形質発現を減少させる、ある種の方法を記載している。Driscoll他、国際公開第01/49844号は、標的生物体における遺伝子サイレンシングの促進に用いられる特定のDNA発現構築体を記載している。
他の研究者も、種々のRNAi系及び遺伝子サイレンシング系について報告している。例えば、Parrish et al., 2000, Molecular Cell, 6, 1077−1087は、線虫のunc−22遺伝子を標的とした、特定の化学修飾dsRNA構築体を記載している。Grossniklaus、国際公開第01/38551号は、ある種のdsRNAを用いて、植物におけるポリコーム遺伝子発現を調節するある種の方法を記載している。Churikov他、国際公開第01/42443号は、ある種のdsRNAを用いて、生物体の遺伝的特性を改変するある種の方法を記載している。Cogoni他、国際公開第01/53475号は、ニューロスポラ(Neurospora)サイレンシング遺伝子を単離するある種の方法、及びその使用を記載している。Reed他、国際公開第01/68836号は、植物におけるある種の遺伝子サイレンシング方法を記載している。Honer他、国際公開第01/70944号は、トランスジェニック線形動物をパーキンソン病モデルとして用い、ある種のdsRNAを用いた、ある種の薬物スクリーニング方法を記載している。Deak他、国際公開第01/72774号は、ショウジョウバエにおいてRNAiに関係し得る、ショウジョウバエ由来のある種の遺伝子産物を記載している。Arndt他、国際公開第01/92513号は、RNAiを増強する因子を用いることによって遺伝子抑制を媒介するある種の方法を記載している。Tuschl他、国際公開第02/44321号は、ある種の合成siRNA構築体を記載している。Pachuk他、国際公開第00/63364号及びSatishchandran他、国際公開第01/04313号は、ベクターによって発現されたある種の(250bpを超える)長鎖dsRNAsを用いて、ある種のポリヌクレオチド配列の機能を阻害するある種の方法及び組成物を記載している。Echeverri他、国際公開第02/38805号は、RNAiによって特定されたある種の線虫遺伝子を記載している。Kreutzer他、国際公開第02/055692号、同02/055693号及び欧州特許第1144623号B1は、dsRNAを用いて遺伝子発現を阻害するある種の方法を記載している。Graham他、国際公開第99/49029号及び同01/70949号並びにオーストラリア特許第4037501号は、ベクターによって発現されたある種のsiRNA分子を記載している。Fire他、米国特許第6,506,559号は、RNAiを媒介するある種の長鎖dsRNA(299bp−1033bp)構築体を用いて、遺伝子発現をインビトロで阻害するある種の方法を記載している。Martinez et al., 2002, Cell, 110, 563−574は、Hela細胞においてRNA干渉を媒介するある種の5’リン酸化一本鎖siRNAを含めた、ある種の一本鎖siRNA構築体を記載している。Harborth et al., 2003, Antisense & Nucleic Acid Drug Development, 13, 83−105は、化学的かつ構造的に修飾されたある種のsiRNA分子を記載している。Chiu and Rana, 2003, RNA, 9, 1034−1048は、化学的かつ構造的に修飾されたある種のsiRNA分子を記載している。Woolf他、国際公開第03/064626号及び同03/064625号は、ある種の化学修飾sRNA構築体を記載している。Hornung et al., 2005, Nature Medicine, 11, 263−270は、形質細胞様樹状細胞におけるTLR7を介した低分子干渉RNAによる、IFNアルファの配列特異的な強力な誘導を記載している。Judge et al., 2005, Nature Biotechnology, Published online:20 March 2005は、合成siRNAによる、ほ乳動物の自然免疫応答の配列依存的刺激を記載している。Yuki他、国際公開第05/049821号及び同04/048566号は、低分子干渉RNA配列、及び最適化された活性を有するある種の低分子干渉RNA配列を設計するある種の方法を記載している。Saigo他、米国特許出願公開第20040539332号は、RNA干渉を実現する、低分子干渉RNA配列を含めた、オリゴ又はポリヌクレオチド配列を設計するある種の方法を記載している。Tei他、国際公開第03/044188号は、標的遺伝子の少なくとも部分ヌクレオチド配列と実質的に同一であるヌクレオチド配列を有するDNA及びRNAを含む二本鎖ポリヌクレオチドを、細胞、組織又は個々の生物体に移入することを含む、標的遺伝子の発現を阻害するある種の方法を記載している。
Mattick, 2005, Science, 309, 1527−1528;Claverie, 2005, Science, 309, 1529−1530;Sethupathy et al., 2006, RNA, 12, 192−197及びCzech, 2006 NEJM, 354, 11:1194−1195;Hutvagner他、米国特許出願公開第20050227256号及びTuschl他、米国特許出願公開第20050182005号はすべて、miRNA機能を立体的遮断によって阻害し得るアンチセンス分子を記載しており、参照によりその全体を本明細書に組込む。
McCaffrey et al., 2002, Nature, 418, 38−39は、マウスにおいてキメラHCV NS5Bタンパク質/ルシフェラーゼ転写物を標的にする、ある種のsiRNA構築体の使用を記載している。
Randall et al., 2003, PNAS USA, 100, 235−240は、Huh7肝細胞癌細胞系においてHCV RNAを標的にする、ある種のsiRNA構築体を記載している。
本発明は、HCV感染症、肝不全、肝細胞癌、肝硬変、及び/又はHCV感染に関連した他の病態の発生若しくは持続に関連した遺伝子などの遺伝子の発現を、低分子干渉核酸(siNA)分子を用いたRNA干渉(RNAi)によって調節するのに有用である、化合物、組成物及び方法に関する。本発明は、さらに、HCV遺伝子発現経路及び/又は活性に関与する1個以上の遺伝子の発現及び活性を、小核酸分子を用いたRNA干渉(RNAi)によって調節するのに有用である、化合物、組成物及び方法にも関する。特に、本発明は、低分子干渉核酸(siNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ミクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)分子などの小核酸分子を特徴とし、HCV遺伝子の発現及び/又は感染の経路に関与する、HCV遺伝子及び/又は他の遺伝子(例えば、細胞又は宿主遺伝子)の発現を調節するのに用いる方法を特徴とする。
本発明は、siNA、siRNAなどの小核酸分子にも関し、内因性RNA又は内因性RNAと結合したタンパク質(例えば、RISC)の調節機能を妨害することによって遺伝子発現を調節するために、内因性ミクロRNA(miRNA)の機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、miRNA阻害剤)、内因性低分子干渉RNA(siRNA)の機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、siRNA阻害剤)などの内因性RNA分子の機能を阻害し得る小核酸分子、RISCの機能を阻害し得る小核酸分子(例えば、RISC阻害剤)にも関する。かかる分子を本明細書ではRNAi阻害剤と総称する。
本発明のsiNA又はRNAi阻害剤は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい。本発明のsiNA又はRNAi阻害剤は、化学合成することができ、ベクターから発現させることができ、又は酵素的に合成することができる。本発明は、RNA干渉(RNAi)によって、細胞における標的遺伝子発現又は活性を調節することができる種々の化学修飾合成低分子干渉核酸(siNA)分子も特徴とする。本発明は、miRNA、siRNA又はRISCと相互作用し、したがって細胞又は生物体におけるRNA干渉(RNAi)、翻訳阻害又は転写サイレンシングを下方制御又は阻害することによって、細胞におけるRNAi活性を調節することができる、化学修飾された種々の合成低分子核酸(siNA)分子も特徴とする。化学修飾siNA及び/又はRNAi阻害剤を使用すると、インビボでのヌクレアーゼ分解に対する抵抗性が増大することによって、及び/又は細胞内取り込みが改善されることによって、未変性siNA分子及び/又はRNAi阻害剤の種々の性質が改善される。また、初期に発表された研究に反して、完全に修飾されたsiNAを含めて、複数の化学修飾を有する本発明のsiNA分子は、そのRNAi活性を保持する。したがって、本出願人は、未変性siRNAの活性を保持する、又は更に改善する、(本明細書ではsiNAと総称する)化学修飾siRNAを本明細書で教示する。本発明のsiNA分子は、種々の治療、予防、獣医学、診断、標的確認(target validation)、ゲノム発見、遺伝子工学及び薬理ゲノミクスの各適用分野に有用である試薬及び方法を提供する。
一実施形態においては、本発明は、本明細書ではHCVと総称する、表Iに示すGenBankアクセッション番号によって参照される配列を含む配列をコードする遺伝子など、HCV感染症、肝不全、肝細胞癌及び肝硬変の持続又は発生に関連するタンパク質などのタンパク質をコードするHCV及びHCV関連宿主標的遺伝子の発現を独立に、又は組み合わせて、調節する、1つ以上のsiNA分子及び/又はRNAi阻害剤並びに方法を特徴とする。本発明の種々の態様及び実施形態を、本明細書ではHCVと総称する例示的C型肝炎ウイルス(HCV)遺伝子に関連して以下に記述する。しかし、かかる参考文献は単なる例示にすぎず、本発明の種々の態様及び実施形態は、変異HCV遺伝子、HCV遺伝子のスプライスバリアント、異なるHCV系統をコードする遺伝子などの代わりのHCV遺伝子を発現する他の遺伝子、並びに本明細書に記載の細胞標的、本明細書のGenBankアクセッション番号によって参照される細胞標的、その全部を参照により本明細書に組込む、PCT/US03/05028、米国仮出願第60/363,124号又は米国特許出願第10/923,536号及び米国特許出願第10/444,853号に記載の細胞標的など、本明細書では「標的」配列と総称する、HCVの細胞標的も対象とする。種々の態様及び実施形態は、HCV感染症、肝不全、肝細胞癌及び肝硬変の持続及び/又は発生に関与する細胞タンパク質をコードする遺伝子、又はHCV生活環において利用される細胞タンパク質など、HCV感染に関連した他のタンパク質を発現する他の遺伝子を含めて、HCV経路に関与する他の遺伝子も対象とする。かかる追加の遺伝子の標的部位は、HCVに対する本明細書に記載の方法を用いて分析することができる。したがって、他の遺伝子の阻害、及びかかる阻害の効果は、本明細書に記載したとおりに測定することができる。換言すれば、以下に規定する、また、実施形態に列挙する、「標的」及び「標的遺伝子」という用語は、異なるHCV系統のポリペプチドを含めたHCVポリペプチドをコードする遺伝子、調節性ポリヌクレオチド(例えば、miRNA及びsiRNA)、変異HCV遺伝子、及びHCV遺伝子のスプライスバリアント、並びにHCV遺伝子発現経路、複製及び/又はHCV活性に関与する細胞遺伝子など、HCV感染症の発生及び/又は持続に関連する遺伝子を包含するものとする。また、以下に規定する、また、実施形態に列挙する、「標的」という用語は、本明細書に記載の産物など、HCV感染症に関与するHCVウイルス遺伝子産物及び細胞遺伝子産物を包含するものとする。したがって、「標的」という用語に関連して本明細書に記載した実施形態の各々は、本明細書で定義する「HCV」という用語によって網羅されるウイルス、細胞及びウイルスタンパク質、ペプチド、ポリペプチド及び/又はポリヌクレオチド分子の全部に適用可能である。包括的に、かかる遺伝子標的を本明細書では「標的」配列とも総称する。
一実施形態においては、本発明は、標的RNA又はDNAの異なる領域(例えば、本明細書に記載のものなどの2個の異なる標的部位、又は標的若しくは経路標的の任意の組合せ)、コード標的と非コード標的の両方などの異なるポリヌクレオチド標的を標的としたHCV RNAの異なる領域など、異なるポリヌクレオチド標的を標的とした、本発明の2種類以上のsiNA分子及び/又はRNAi阻害剤(例えば、siNA、二本鎖形成性(duplex forming)siNA若しくは多官能siNA又はその任意の組合せ)を含む組成物を特徴とする。siNA分子のかかるプールは、治療効果を増大させることができる。本明細書の2個の異なる標的部位)、異なるウイルス系統(例えば、HCV系統同士、HIVとHCV、HCVとHBVなど)、又は異なるウイルス標的と細胞標的(例えば、HCV標的と細胞標的)。siNA分子のかかるプールは、ウイルスの耐性を阻害若しくは克服することができ、又は治療効果を増大させることができる。
一実施形態においては、本発明は、HCVマイナス鎖、例えば、GenBankアクセッション番号HPCK1S1、C型肝炎ウイルス(HCV−1b系統、HCV−K1−S1クローン)、全ゲノム;GenBankアクセッション番号D50483、9410ntに対してRNAi特異性を有するsiNA分子を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、標的HCV RNA又はDNAの異なる領域(例えば、本明細書の2個の異なる標的部位、又は標的若しくは宿主/経路標的の任意の組合せ)、コード標的と非コード標的の両方などの異なるHCVポリヌクレオチド標的に対して特異性を有する、本発明の2種類以上のsiNA分子(例えば、siNA、二本鎖形成性(foming)siNA若しくは多官能siNA又はその任意の組合せ)のプールを特徴とする。ここで、プールは、約2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える異なる標的を標的にするsiNA分子を含む。
一実施形態においては、本発明は、細胞受容体、細胞表面分子、細胞酵素、細胞転写因子、及び/又はサイトカイン、二次メッセンジャー、並びにLa抗原(例えば、Costa−Mattioli et al., 2004, Mol Cell Biol., 24, 6861−70参照。例えば、GenBankアクセッション番号NM_003142)、FAS(例えば、GenBankアクセッション番号NM_000043)又はFASリガンド(例えば、GenBankアクセッション番号NM_000639)、インターフェロン制御因子(IRF;例えば、GenBankアクセッション番号AF082503.1)、細胞PKRプロテインキナーゼ(例えば、GenBankアクセッション番号XM_002661.7)、ヒト真核生物開始因子2B(elF2Bガンマ;例えば、GenBankアクセッション番号AF256223、及び/又はelF2ガンマ;例えば、GenBankアクセッション番号NM_006874.1)、ヒトDEAD Boxタンパク質(DDX3;例えば、GenBankアクセッション番号XM_018021.2)、及びポリピリミジントラクト結合タンパク質などのHCV 3’−UTRのポリ(U)トラクトに結合する細胞タンパク質(例えば、GenBankアクセッション番号NM_031991.1及びXM_042972.3)を含めて、ただしこれらだけに限定されない細胞アクセサリー分子など、HCV感染症の細胞標的である遺伝子の発現を独立に、又は組み合わせて、調節する1種類以上のsiNA分子及び方法を特徴とする。かかる細胞標的を、本明細書ではHCV標的、具体的には「宿主標的」とも総称する。
HCVゲノムの配列は極めて多様性に富むので、広範な治療用途にsiNA分子を選択するには、HCVゲノムの保存領域を含む必要があり得る。一実施形態においては、本発明は、HCVゲノムの保存領域を、又は異なる標的間で保存された領域を、標的にするsiNA分子及び/又はRNAi阻害剤に関する。HCVゲノムの保存領域の例としては、5’非コード領域(NCR。5’非翻訳領域UTRとも称される。)、コアタンパク質コード領域の5’末端、及び3’−NCRが挙げられるが、これらだけに限定されない。HCVゲノムのRNAは、5’キャップ構造とは無関係に翻訳を媒介する、5’−NCR中の配列内リボソーム進入部位(IRES)を含む(Wang et al., 1993, J. Virol., 67, 3338−44)。HCV RNAゲノムの完全長配列は、少なくとも15である、臨床的に分離されたサブタイプ間で非相同である(Simmonds, 1995, Hepatology, 21, 570−583)。しかし、HCVの5’−NCR配列は、既知の全サブタイプ間で高度に保存され、共有のIRES機構を保存している可能性が最も高い(Okamoto et al., 1991, J. General Virol., 72, 2697−2704)。したがって、siNA分子は、5’NCR配列などの保存領域を標的にすることによって、HCVの異なる分離株を標的にするように設計することができる。種々のHCV分離株の保存領域を標的にするように設計されたsiNA分子及び/又はRNAi阻害剤は、多様な患者集団におけるHCV複製を効率的に阻害することができ、HCVゲノムの非保存領域における変異によって進化したHCV疑似種に対するsiNA分子の有効性を確保することができる。上で述べたように、HCVの保存ヌクレオチド配列(例えば、種々のHCV分離株のRNA中に存在すると予想される配列)と相互作用するようにsiNA分子を設計することによって、単一のsiNA分子でHCVの全分離株を標的にすることができる。
一実施形態においては、本発明は、二本鎖の一方が標的核酸分子又はその一部における所定のヌクレオチド配列に対して相補性を有するヌクレオチド配列を含む、siNA分子などの二本鎖核酸分子を特徴とする。一実施形態においては、所定のヌクレオチド配列は、本明細書に記載のヌクレオチド標的配列である。別の実施形態においては、所定のヌクレオチド配列は、当分野で公知の標的配列である。
一実施形態においては、本発明は、標的遺伝子の発現を下方制御する、又は標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。前記siNA分子は、約15から約28個の塩基対を含む。
一実施形態においては、本発明は、標的RNAの切断を誘導する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。前記siNA分子は、約15から約28個の塩基対を含む。
一実施形態においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)によって標的RNAの切断を誘導する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。この二本鎖siNA分子は第1の鎖と第2の鎖を含み、siNA分子の各鎖は約18から約28(例えば、約18、19、20、21、22、23、24、25、26、27又は28)ヌクレオチド長であり、siNA分子の第1の鎖は、siNA分子がRNA干渉によって標的RNAの切断を誘導するのに十分な相補性を標的RNAに対して有するヌクレオチド配列を含み、前記siNA分子の第2の鎖は、第1の鎖に相補的であるヌクレオチド配列を含む。特定の一実施形態においては、例えば、siNA分子の各鎖は、約18から約27ヌクレオチド長である。
一実施形態においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)によって標的RNAの切断を誘導する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子は第1の鎖と第2の鎖を含み、siNA分子の各鎖は約18から約23(例えば、約18、19、20、21、22又は23)ヌクレオチド長であり、siNA分子の第1の鎖は、siNA分子がRNA干渉によって標的RNAの切断を誘導するのに十分な相補性を標的RNAに対して有するヌクレオチド配列を含み、前記siNA分子の第2の鎖は、第1の鎖に相補的であるヌクレオチド配列を含む。
一実施形態においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)によって標的RNAの切断を誘導する、化学合成された二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子の各鎖は約18から約28ヌクレオチド長であり、siNA分子の1本の鎖は、siNA分子がRNA干渉によって標的RNAの切断を誘導するのに十分な相補性を標的RNAに対して有するヌクレオチド配列を含む。
一実施形態においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)によって標的RNAの切断を誘導する、化学合成された二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子の各鎖は約18から約23ヌクレオチド長であり、siNA分子の一方の鎖は、siNA分子がRNA干渉によって標的RNAの切断を誘導するのに十分な相補性を標的RNAに対して有するヌクレオチド配列を含む。
一実施形態においては、本発明は、標的遺伝子の発現を下方制御する、又は標的RNAの切断を誘導する、siNA分子を特徴とし、例えば、標的遺伝子又はRNAはタンパク質コード配列を含む。一実施形態においては、本発明は、標的遺伝子の発現を下方制御する、又は標的RNAの切断を誘導する、siNA分子を特徴とし、例えば、標的遺伝子又はRNAは、標的遺伝子発現に関与する非コード配列又は調節エレメント(例えば、非コードRNA、miRNA、stRNAなど)を含む。
一実施形態においては、本発明のsiNAを用いて、標的遺伝子又は標的遺伝子ファミリー(例えば、異なるHCV系統)の発現を阻害する。ここで、遺伝子又は遺伝子ファミリーの配列は、配列相同性を共有する。かかる相同配列は、例えば配列アラインメントによって、当分野で公知のとおりに特定することができる。siNA分子は、例えば、完全な相補配列を用いて、又は追加の標的配列を与え得る非標準塩基対、例えばミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基対を導入することによって、かかる相同配列を標的とするように設計することができる。ミスマッチが特定された場合には、非標準塩基対(例えば、ミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基)を用いて、1個を超える遺伝子配列を標的にするsiNA分子を作製することができる。非限定的例においては、UU、CC塩基対などの非標準塩基対を用いて、配列相同性を共有する異なるポリヌクレオチド標的の配列を標的にすることができるsiNA分子を作製する。したがって、本発明のsiNAを使用する一利点は、相同遺伝子間で保存されたヌクレオチド配列に相補的である核酸配列を含むように単一のsiNAを設計できることである。この手法においては、異なる遺伝子を標的にするために1種類を超えるsiNA分子を用いる代わりに、単一のsiNAを用いて1個を超える遺伝子の発現を阻害することができる。
一実施形態においては、本発明は、標的RNA(例えば、コード又は非コードRNA)に対してRNAi活性を有するsiNA分子を特徴とする。このsiNA分子は、表I、その全部を参照により本明細書に組込むPCT/US03/05028、米国仮出願第60/363,124号及び/又は米国特許出願第10/923536号及び米国特許出願第10/444,853号に示されたGenBankアクセッション番号を有する配列などの任意のRNA配列に相補的である配列を含む。別の実施形態においては、本発明は、標的RNAに対してRNAi活性を有するsiNA分子を特徴とする。このsiNA分子は、変種コード配列を有するRNAに相補的である配列を含み、例えば、本明細書に記載の、又は当分野で公知の疾患、形質、障害及び/又は症状の持続及び/又は発生に関連することが当分野で知られている他の変異遺伝子を有するRNAに相補的である配列を含む。表III及びIVに示す化学修飾、又は本明細書に記載の化学修飾を、本発明の任意のsiNA構築体に適用することができる。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用し、それによってHCV標的遺伝子発現のサイレンシングを媒介し得るヌクレオチド配列を含む。例えば、このsiNAは、クロマチン構造又はHCV標的遺伝子のメチル化パターンを調節して、HCV標的遺伝子の転写を防止する細胞プロセスによって、HCV標的遺伝子発現の調節を媒介する。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子を用いて、対象又は生物体において形質、疾患又は症状に関連するハプロタイプ多型から生じるタンパク質の発現を下方制御又は阻害する。遺伝子又はタンパク質若しくはRNAレベルを分析することによって、かかる多型を有する対象、又は本明細書に記載の形質、症状若しくは疾患を発生するリスクのある対象を特定することができる。これらの対象は、治療、例えば、本発明のsiNA分子を用いた治療、及び標的遺伝子発現に関係する疾患の治療に有用である任意の他の組成物を用いた治療に適している。したがって、タンパク質又はRNAレベルを分析することによって、対象を治療する治療タイプ及び療法のコースを決定することができる。タンパク質又はRNAレベルを監視することによって、治療の成果を予測し、また、形質、障害、症状又は疾患に関連したある種のタンパク質のレベル及び/又は活性を調節する化合物及び組成物の効力を求めることができる。
本発明の一実施形態においては、siNA分子は、HCV標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖を含む。siNA分子は、センス鎖を更に含み、前記センス鎖は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部を含む。
別の実施形態においては、siNA分子は、HCV標的タンパク質をコードするヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を含む。siNA分子は、センス領域を更に含み、前記センス領域は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部を含む。
別の実施形態においては、本発明は、ヌクレオチド配列を含むsiNA分子、例えば、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又は配列の一部に相補的である、siNA分子のアンチセンス領域中のヌクレオチド配列を含むsiNA分子を特徴とする。別の実施形態においては、本発明は、領域を含むsiNA分子、例えば、HCV標的遺伝子配列又はその一部を含む配列に相補的である、siNA構築体のアンチセンス領域を含むsiNA分子を特徴とする。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子のセンス領域又はセンス鎖は、HCV標的ポリヌクレオチド配列に相補的である、siNA分子のアンチセンス領域又はアンチセンス鎖の部分に相補的である。
更に別の実施形態においては、本発明は、配列を含むsiNA分子、例えば、その全部を参照により本明細書に組込むPCT/US03/05028、米国仮出願第60/363,124号及び/又は米国特許出願第10/923,536号及び米国特許出願第10/444,853号に示されたGenBankアクセッション番号によって表される配列を含む配列又は配列の一部に相補的である、siNA構築体のアンチセンス配列を含むsiNA分子を特徴とする。表III及びIV並びに本明細書に記載の化学修飾を、本発明の任意のsiNA構築体に適用することができる。表VIに記載のLNP調合物を、本明細書の任意のsiNA分子又はsiNA分子の組合せに適用することができる。
本発明の一実施形態においては、siNA分子は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを有するアンチセンス鎖を含む。このアンチセンス鎖は、HCV標的RNA配列又はその一部に相補的であり、前記siNAは、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを有するセンス鎖を更に含む。前記センス鎖と前記アンチセンス鎖は、異なるヌクレオチド配列であり、各鎖中の少なくとも約15ヌクレオチドは、他方の鎖に相補的である。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子(例えば、二本鎖核酸分子)は、標的RNA配列又はその一部に相補的である、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを有するアンチセンス(ガイド)鎖を含む。一実施形態においては、標的RNA配列の少なくとも15ヌクレオチド(例えば、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ヌクレオチド)は、本発明のsiNA分子のアンチセンス(ガイド)鎖に相補的である。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子(例えば、二本鎖核酸分子)は、標的RNAの配列又はその一部を含む、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを有するセンス(パッセンジャー)鎖を含む。一実施形態においては、標的RNA配列の少なくとも15ヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドは、本発明のsiNA分子のセンス(パッセンジャー)鎖を含む。
本発明の別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを有するアンチセンス領域を含む。このアンチセンス領域は、標的DNA配列に相補的であり、前記siNAは、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを有するセンス領域を更に含む。前記センス領域と前記アンチセンス領域は線状分子に含まれ、センス領域は、アンチセンス領域に相補的である少なくとも約15ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、HCV遺伝子によってコードされるRNAの発現を調節するRNAi活性を有する。HCV遺伝子はある程度の配列相同性を相互に共有し得るので、siNA分子は、異なるHCV標的間で共有される配列、又は特定のHCV標的に特有の配列を選択することによって、あるクラスのHCV遺伝子(例えば、異なるHCV系統のクラス)又は特定のHCV遺伝子(例えば、逸脱変異体、耐性系統、又は他の多型変種)を標的にするように設計することができる。したがって、一実施形態においては、siNA分子は、1種類のsiNA分子を用いてあるクラスのHCV遺伝子を標的にするために、幾つかのHCV遺伝子変種間で相同性を有するHCV RNA配列の保存領域を標的にするように設計することができる。したがって、一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、対象又は生物体における1つ以上のHCV系統の発現を調節する。別の実施形態においては、siNA分子は、siNA分子がRNAi活性を媒介するのに必要な高度の特異性のために、特定のHCV RNA配列(例えば、単一のHCV系統、又はHCV一塩基多型(SNP))に特有の配列を標的にするように設計することができる。
一実施形態においては、RNA干渉遺伝子サイレンシング応答の媒介物質として作用する本発明の核酸分子は、二本鎖核酸分子である。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチド間の約15から約30塩基対を含む二本鎖核酸分子からなる。更に別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、約1から約3(例えば、約1、2又は3)ヌクレオチドのオーバーハング末端を有する二本鎖核酸分子、例えば、約19塩基対と3’末端モノヌクレオチド、ジヌクレオチド又はトリヌクレオチドオーバーハングとを有する約21ヌクレオチド二本鎖を含む。更に別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、両末端が平滑末端である、又は両末端の一方が平滑末端である、平滑末端を有する二本鎖核酸分子を含む。
一実施形態においては、二本鎖核酸(例えば、siNA)分子は、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドオーバーハングを含む。「オーバーハング」とは、二本鎖核酸分子の2本の鎖の間で塩基対を形成していないヌクレオチド配列の末端部分を意味する(例えば、図6参照)。一実施形態においては、本発明の二本鎖核酸分子は、二本鎖核酸分子の一方又は両方の鎖の3’末端にヌクレオチド又は非ヌクレオチドオーバーハングを含み得る。例えば、本発明の二本鎖核酸分子は、二本鎖核酸分子のガイド鎖若しくはアンチセンス鎖/領域の3’末端に、パッセンジャー鎖若しくはセンス鎖/領域の3’末端に、又はガイド鎖若しくはアンチセンス鎖/領域とパッセンジャー鎖若しくはセンス鎖/領域の両方に、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドオーバーハングを含み得る。別の実施形態においては、本発明の二本鎖核酸(siNA)分子のヌクレオチドオーバーハング部分は、2’−O−メチル、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ(FANA)、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、汎用塩基(universal base)、非環式、又は5−C−メチルヌクレオチドを含む。別の実施形態においては、本発明の二本鎖核酸(siNA)分子の非ヌクレオチドオーバーハング部分は、グリセリル、脱塩基又は反転(inverted)デオキシ脱塩基非ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、本発明の二本鎖核酸(例えば、siNA)分子のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、HCV標的ポリヌクレオチド配列を含むヌクレオチドに対応する。したがって、かかる実施形態においては、本発明のsiNA分子のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、HCV標的ポリヌクレオチド配列に基づく配列を含む。ここで、本発明のsiNA分子のガイド鎖又はアンチセンス鎖/領域のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、HCV標的ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチドに相補的であり得、又は本発明のsiNA分子のパッセンジャー鎖又はセンス鎖/領域のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、HCV標的ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチドを含み得る。かかるヌクレオチドオーバーハングは、siRNAへの未変性dsRNAのダイサープロセシングから生成する配列を含む。
一実施形態においては、本発明の二本鎖核酸(例えば、siNA)分子のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、HCV標的ポリヌクレオチド配列に相補的であり、本明細書に記載したとおりに化学修飾されていてもよい。したがって、一実施形態においては、本発明のsiNA分子のガイド鎖又はアンチセンス鎖/領域のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、HCV標的ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチド、すなわち、siNA分子のガイド鎖又はアンチセンス鎖/領域中のオーバーハングヌクレオチドのヌクレオチド位置に相補的である、HCV標的ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチド位置に相補的であり得る。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子のパッセンジャー鎖又はセンス鎖/領域のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、HCV標的ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチド、すなわち、siNA分子中のパッセンジャー鎖又はセンス鎖/領域中のオーバーハングヌクレオチドの同じヌクレオチド位置に対応するHCV標的ポリヌクレオチド配列中のヌクレオチド位置を含み得る。一実施形態においては、オーバーハングは、HCV標的ポリヌクレオチド配列の一部に相補的である2ヌクレオチド(例えば、3’−GA、3’−GU、3’−GG、3’GC、3’−CA、3’−CU、3’−CG、3’CC、3’−UA、3’−UU、3’−UG、3’UC、3’−AA、3’−AU、3’−AG、3’−AC、3’−TA、3’−TU、3’−TG、3’−TC、3’−AT、3’−UT、3’−GT、3’−CT)オーバーハングを含む。一実施形態においては、オーバーハングは、HCV標的ポリヌクレオチド配列の一部に相補的でない2ヌクレオチド(例えば、3’−GA、3’−GU、3’−GG、3’GC、3’−CA、3’−CU、3’−CG、3’CC、3’−UA、3’−UU、3’−UG、3’UC、3’−AA、3’−AU、3’−AG、3’−AC、3’−TA、3’−TU、3’−TG、3’−TC、3’−AT、3’−UT、3’−GT、3’−CT)オーバーハングを含む。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子のオーバーハングヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子のオーバーハングヌクレオチドは、オーバーハングヌクレオチドがプリンヌクレオチドである場合には、2’−O−メチルヌクレオチドであり、及び/又はオーバーハングヌクレオチドがピリミジンヌクレオチドである場合には、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド若しくは2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノヌクレオチドである。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子のオーバーハング中のプリンヌクレオチドは(存在するときには)2’−O−メチルヌクレオチドである。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子のオーバーハング中のピリミジンヌクレオチドは(存在するときには)2’−デオキシ−2’−フルオロ又は2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明の二本鎖核酸(例えば、siNA)分子のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、HCV標的ポリヌクレオチド配列に相補的でなく、本明細書に記載したとおりに化学修飾されていてもよい。一実施形態においては、オーバーハングは、HCV標的ポリヌクレオチド配列の一部に相補的でない3’−UUオーバーハングを含む。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子のオーバーハング部分を含むヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明の二本鎖核分子(例えば、siNA)は、2又は3ヌクレオチドオーバーハングを含み、オーバーハング中のヌクレオチドは同じであり、又は異なる。一実施形態においては、本発明の二本鎖核分子(例えば、siNA)は、2又は3ヌクレオチドオーバーハングを含み、オーバーハング中のヌクレオチドは、同じであり、又は異なり、オーバーハング中の1個以上のヌクレオチドは、塩基、糖及び/又はリン酸骨格において化学修飾されている。
一実施形態においては、本発明は、DNA、タンパク質をコードするRNA、HCV標的遺伝子の発現に関連する非コードRNAなどのHCV標的核酸分子に特異的である1種類以上の化学修飾siNA構築体を特徴とする。一実施形態においては、本発明は、本明細書に記載の1個以上の化学修飾を含む核酸分子に特異的である、RNAベースのsiNA分子(例えば、2’−OHヌクレオチドを含むsiNA)を特徴とする。かかる化学修飾の非限定的例としては、ホスホロチオアートヌクレオチド間結合、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、4’−チオリボヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド(例えば、参照により本明細書に組込む、2004年11月5日に出願された米国特許出願第10/981,966号参照)、「汎用塩基」ヌクレオチド、「非環式」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ(FANA、例えば、Dowler et al., 2006, Nucleic Acids Research, 34, 1669−1675参照)、並びに末端グリセリル及び/又は反転デオキシ脱塩基残基の組み入れが挙げられるが、これらだけに限定されない。これらの化学修飾は、種々のsiNA構築体(例えば、RNAベースのsiNA構築体)において使用すると、細胞におけるRNAi活性を維持し、同時に、これらの化合物の血清安定性を劇的に増大させることが判明した。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、本明細書に記載の化学修飾(例えば、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、4’−チオリボヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド、LNA)をsiNA分子の内部位置に含む。「内部位置」とは、siNA二本鎖の塩基対形成位置を意味する。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、RNAiを媒介する能力を維持しつつ、修飾ヌクレオチドを含む。修飾ヌクレオチドを使用して、安定性、活性、毒性、免疫応答及び/又は生物学的利用能などのインビトロ又はインビボ特性を改善することができる。例えば、本発明のsiNA分子は、siNA分子中に存在するヌクレオチドの総数の百分率として修飾ヌクレオチドを含み得る。したがって、本発明のsiNA分子は、約5%から約100%の修飾ヌクレオチド(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の修飾ヌクレオチド)を一般に含み得る。例えば、一実施形態においては、本発明のsiNA分子中のヌクレオチド位置の約5%から約100%(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の修飾ヌクレオチド)は、2’糖修飾、例えば、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ、2’−O−メトキシエチルヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド、2’−デオキシヌクレオチドなどの核酸糖修飾を含む。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子中のヌクレオチド位置の約5%から約100%(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の修飾ヌクレオチド)は、イノシン、プリン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)又は6−アザピリミジン又は6−アルキルピリミジン(例えば6−メチルウリジン)、プロピン修飾などの核酸塩基修飾を含む。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子中のヌクレオチド位置の約5%から約100%(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の修飾ヌクレオチド)は、本明細書の式Iの骨格修飾などの核酸骨格修飾を含む。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子中のヌクレオチド位置の約5%から約100%(例えば、約5%、10%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の修飾ヌクレオチド)は、核酸の糖、塩基若しくは骨格修飾又はその任意の組合せ(例えば、本明細書の核酸の糖、塩基、骨格又は非ヌクレオチド修飾の任意の組合せ)を含む。一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、少なくとも約20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%、95%又は100%の修飾ヌクレオチドを含む。所与のsiNA分子中に存在する修飾ヌクレオチドの実際の割合は、siNA中に存在するヌクレオチドの総数に依存する。siNA分子が一本鎖である場合には、修飾率は、一本鎖siNA分子中に存在するヌクレオチドの総数に基づき得る。同様に、siNA分子が二本鎖である場合には、修飾率は、センス鎖、アンチセンス鎖、又はセンス鎖とアンチセンス鎖の両方中に存在するヌクレオチドの総数に基づき得る。
本発明のsiNA分子は、siNA分子内の種々の場所に修飾ヌクレオチドを含み得る。一実施形態においては、本発明の二本鎖siNA分子は、siNA二本鎖内部の塩基対形成位置に修飾ヌクレオチドを含む。例えば、内部位置は、19塩基対と2ヌクレオチド3’オーバーハングとを有する21ヌクレオチドsiNA二本鎖のセンス鎖若しくは領域又はアンチセンス鎖若しくは領域のどちらかの5’末端から約3から約19ヌクレオチドの位置を含み得る。別の実施形態においては、本発明の二本鎖siNA分子は、siNA分子の非塩基対形成領域、すなわちオーバーハング領域に修飾ヌクレオチドを含む。「非塩基対形成」とは、センス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域又はsiNA分子との間でヌクレオチドが塩基対を形成していないことを意味する。オーバーハングヌクレオチドは、対応するHCV標的ポリヌクレオチド配列に相補的であり得、又は対応するHCV標的ポリヌクレオチド配列と塩基対を形成し得る(例えば、図6C参照)。例えば、オーバーハング位置は、19塩基対と2ヌクレオチド3’オーバーハングとを有する21ヌクレオチドsiNA二本鎖のセンス鎖若しくは領域又はアンチセンス鎖若しくは領域のどちらかの5’末端から約20及び約21ヌクレオチドの位置を含み得る。別の実施形態においては、本発明の二本鎖siNA分子は、siNA分子の末端位置に修飾ヌクレオチドを含む。例えば、かかる末端領域としては、siNA分子のセンス及び/又はアンチセンス鎖若しくは領域の3’と5’の両方の位置に対して、3’位、5’位が挙げられる。別の実施形態においては、本発明の二本鎖siNA分子は、塩基対形成位置若しくは内部位置、非塩基対形成領域若しくはオーバーハング領域、及び/又は末端領域、又はその任意の組合せにおいて、修飾ヌクレオチドを含む。
本発明の一態様は、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。一実施形態においては、二本鎖siNA分子は、1個以上の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は約21ヌクレオチド長である。一実施形態においては、二本鎖siNA分子は、リボヌクレオチドを含まない。別の実施形態においては、二本鎖siNA分子は、1個以上のリボヌクレオチドを含む。一実施形態においては、二本鎖siNA分子の各鎖は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを独立に含む。ここで、各鎖は、他方の鎖のヌクレオチドに相補的である約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを含む。一実施形態においては、二本鎖siNA分子の鎖の一方は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の他方の鎖は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部にかなり類似したヌクレオチド配列を含む。
別の実施形態においては、本発明は、アンチセンス領域とセンス領域を含み、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部にかなり類似したヌクレオチド配列を含む。一実施形態においては、アンチセンス領域とセンス領域は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを独立に含む。ここで、アンチセンス領域は、センス領域のヌクレオチドに相補的である約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを含む。
別の実施形態においては、本発明は、センス領域とアンチセンス領域を含み、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域は、HCV標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域は、アンチセンス領域に相補的であるヌクレオチド配列を含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、平滑末端、すなわち、オーバーハングヌクレオチドを含まない末端を含む。例えば、本明細書に記載の修飾を含み(例えば、式I−VIIのヌクレオチド、「Stab 00」−「Stab 36」若しくは「Stab 3F」−「Stab 36F」を含むsiNA構築体(表IV)、又はその任意の組合せを含み)、及び/又は本明細書に記載の任意の長さを含むsiNA分子は、平滑末端、すなわちオーバーハングヌクレオチドを含まない末端を含み得る。
一実施形態においては、本発明の任意のsiNA分子は、1個以上の平滑末端を含み得る。すなわち、ここで、平滑末端は、オーバーハングヌクレオチドを含まない。一実施形態においては、平滑末端siNA分子は、siNA分子の各鎖中に存在するヌクレオチドと同数の塩基対を有する。別の実施形態においては、siNA分子は1個の平滑末端を含み、例えば、アンチセンス鎖の5’末端とセンス鎖の3’末端はオーバーハングヌクレオチドを含まない。別の例においては、siNA分子は1個の平滑末端を含み、例えば、アンチセンス鎖の3’末端とセンス鎖の5’末端はオーバーハングヌクレオチドを含まない。別の例においては、siNA分子は2個の平滑末端を含み、例えば、アンチセンス鎖の3’末端とセンス鎖の5’末端、及びアンチセンス鎖の5’末端とセンス鎖の3’末端は、オーバーハングヌクレオチドを含まない。平滑末端siNA分子は、例えば、約15から約30ヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ヌクレオチド)を含み得る。平滑末端siNA分子中に存在する他のヌクレオチドは、例えば、ミスマッチ、バルジ、ループ又はゆらぎ塩基対を含み、siNA分子の活性を調節して、RNA干渉を媒介することができる。
「平滑末端」とは、対称な末端、又はオーバーハングヌクレオチドを含まない二本鎖siNA分子の末端を意味する。二本鎖siNA分子の2本の鎖は、末端にオーバーハングヌクレオチドを含まずに整合する。例えば、平滑末端siNA構築体は、siNA分子のセンス領域とアンチセンス領域の間で相補的である末端ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は、2個の別々のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられ、第1の断片はセンス領域を含み、第2の断片はsiNA分子のアンチセンス領域を含む。センス領域は、ポリヌクレオチドリンカー、非ヌクレオチドリンカーなどのリンカー分子を介してアンチセンス領域と連結し得る。
一実施形態においては、本発明の二本鎖核酸分子(例えば、siNA)分子は、RNAi活性を維持又は増強する位置にリボヌクレオチドを含む。一実施形態においては、リボヌクレオチドは、siNA分子のセンス鎖又はセンス領域中に存在し、RISC内での酵素によるセンス鎖又はセンス領域の切断を可能にすることによってRNAi活性を付与し得る(例えば、RISC中でAGO2酵素によって切断される、19塩基対二本鎖のパッセンジャー鎖の9位など、パッセンジャー鎖、センス鎖又はセンス領域の切断位置に存在するリボヌクレオチド。例えば、Matranga et al., 2005, Cell, 123:1−114及びRand et al., 2005, Cell, 123:621−629を参照されたい。)。別の実施形態においては、siNA分子の(アンチセンス鎖又はアンチセンス領域としても知られる)ガイド鎖又はガイド領域の5’末端にある1個以上(例えば、1、2、3、4又は5個)のヌクレオチドはリボヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明の二本鎖核酸分子(例えば、siNA)分子は、RISC中での酵素によるパッセンジャー鎖又はパッセンジャー領域の切断を可能にする(センス鎖又はセンス領域としても知られる)パッセンジャー鎖又はパッセンジャー領域内の位置に1個以上のリボヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、少なくとも2、3、4、5個又はそれを超える、同じでも、異なっていてもよい化学修飾を含む。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、少なくとも2、3、4、5個又はそれを超える異なる化学修飾を含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は二本鎖であって、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)個の塩基対を含み、siNA分子の各鎖中のヌクレオチド位置の1つ以上(例えば、少なくとも1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)は、化学修飾を含む。別の実施形態においては、siNAは、少なくとも2、3、4、5個又はそれを超える異なる化学修飾を含む。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)個の塩基対を含み、siNA分子の各鎖は1個以上の化学修飾を含む。一実施形態においては、二本鎖siNA分子の各鎖は、少なくとも2個の(例えば、2、3、4、5個又はそれを超える)異なる化学修飾、例えば、ヌクレオチドの糖、塩基又は骨格の種々の修飾を含む。別の実施形態においては、二本鎖siNA分子の鎖の一方は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の他方の鎖は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部にかなり類似したヌクレオチド配列を含む。別の実施形態においては、二本鎖siNA分子の鎖の一方は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、二本鎖siNA分子の他方の鎖は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部にかなり類似したヌクレオチド配列を含む。別の実施形態においては、siNA分子の各鎖は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを含み、各鎖は、他方の鎖のヌクレオチドに相補的である少なくとも約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを含む。HCV標的遺伝子は、例えば、本明細書で言及する配列、又は参照により本明細書に組込む配列を含み得る。HCV遺伝子は、例えば、本明細書のGenBankアクセッション番号によって参照される配列を含み得る。
一実施形態においては、本発明の二本鎖siNA分子の各鎖は、本明細書の任意の「Stab 00」−「Stab 36」又は「Stab 3F」−「Stab 36F」(表IV)修飾パターン、その任意の組合せなどの異なる化学修飾パターンを含む。種々の修飾パターンを有するかかるsiNA分子のセンス鎖及びアンチセンス鎖の非限定的例を表III並びに図4及び5に示す。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、リボヌクレオチドを含まない。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上のリボヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるリボヌクレオチド)を含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス領域を含み、HCV標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部にかなり類似したヌクレオチド配列を含むセンス領域を更に含む。別の実施形態においては、アンチセンス領域とセンス領域は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを各々含む。アンチセンス領域は、センス領域のヌクレオチドに相補的である少なくとも約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを含む。一実施形態においては、二本鎖siNA分子の各鎖は、少なくとも2個の(例えば、2、3、4、5個又はそれを超える)異なる化学修飾、例えば、ヌクレオチドの糖、塩基又は骨格の種々の修飾を含む。HCV標的遺伝子は、例えば、本明細書で言及する配列、又は参照により本明細書に組込む配列を含み得る。別の実施形態においては、siNAは二本鎖核酸分子であり、siNA分子の2本の鎖の各々は、約15から約40(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、23、33、34、35、36、37、38、39又は40)ヌクレオチドを独立に含み、siNA分子の鎖の1本は、HCV標的遺伝子の核酸配列又はその一部に相補的である少なくとも約15(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24若しくは25又はそれを超える)ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、センス領域及びアンチセンス領域を含み、アンチセンス領域は、HCV標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域は、アンチセンス領域に相補的であるヌクレオチド配列を含む。一実施形態においては、siNA分子は、2個の別々のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられ、第1の断片はセンス領域を含み、第2の断片はsiNA分子のアンチセンス領域を含む。別の実施形態においては、センス領域は、リンカー分子を介してアンチセンス領域と連結されている。別の実施形態においては、センス領域は、ヌクレオチド、非ヌクレオチドリンカーなどのリンカー分子を介してアンチセンス領域と連結されている。一実施形態においては、二本鎖siNA分子の各鎖は、少なくとも2個の(例えば、2、3、4、5個又はそれを超える)異なる化学修飾、例えば、ヌクレオチドの糖、塩基又は骨格の種々の修飾を含む。HCV標的遺伝子は、例えば、本明細書で言及する配列、又は参照により本明細書に組込む配列を含み得る。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個又はそれを超える)2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン修飾を含む(例えば、siNAの1個以上又は全部のピリミジン(例えば、U又はC)位置が2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで修飾されている。)。一実施形態においては、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン修飾は、センス鎖中に存在する。一実施形態においては、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン修飾は、アンチセンス鎖中に存在する。一実施形態においては、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジン修飾は、siNA分子のセンス鎖中とアンチセンス鎖中の両方に存在する。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個又はそれを超える)2’−O−メチルプリン修飾を含む(例えば、siNAの1個以上又は全部のプリン(例えば、A又はG)位置が2’−O−メチルヌクレオチドで修飾されている。)。一実施形態においては、2’−O−メチルプリン修飾は、センス鎖中に存在する。一実施形態においては、2’−O−メチルプリン修飾は、アンチセンス鎖中に存在する。一実施形態においては、2’−O−メチルプリン修飾は、siNA分子のセンス鎖中とアンチセンス鎖中の両方に存在する。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20個又はそれを超える)2’−デオキシプリン修飾を含む(例えば、siNAの1個以上又は全部のプリン(例えば、A又はG)位置が2’−デオキシヌクレオチドで修飾されている。)。一実施形態においては、2’−デオキシプリン修飾は、センス鎖中に存在する。一実施形態においては、2’−デオキシプリン修飾は、アンチセンス鎖中に存在する。一実施形態においては、2’−デオキシプリン修飾は、siNA分子のセンス鎖中とアンチセンス鎖中の両方に存在する。
一実施形態においては、本発明は、センス領域とアンチセンス領域を含み、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域は、HCV標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域は、アンチセンス領域に相補的であるヌクレオチド配列を含む。siNA分子は、1個以上の修飾ピリミジン及び/又はプリンヌクレオチドを有する。一実施形態においては、二本鎖siNA分子の各鎖は、少なくとも2個の(例えば、2、3、4、5個又はそれを超える)異なる化学修飾、例えば、ヌクレオチドの糖、塩基又は骨格の種々の修飾を含む。一実施形態においては、センス領域中のピリミジンヌクレオチドは、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチド又は2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域中に存在するプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の実施形態においては、センス領域中のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域中に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。別の実施形態においては、センス領域中のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域中に存在するプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。一実施形態においては、アンチセンス領域中のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス領域中に存在するプリンヌクレオチドは2’−O−メチル又は2’−デオキシプリンヌクレオチドである。上記siNA分子のいずれかの別の実施形態においては、センス鎖の非相補領域(例えば、オーバーハング領域)中に存在する任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は、2個の別々のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられ、第1の断片はセンス領域を含み、第2の断片はsiNA分子のアンチセンス領域を含む。センス領域を含む断片は、断片の5’末端に、3’末端に、又は5’末端と3’末端の両方に、末端キャップ部分を含む。一実施形態においては、末端キャップ部分は、反転デオキシ脱塩基部分又はグリセリル部分である。一実施形態においては、siNA分子の2個の断片の各々は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを独立に含む。別の実施形態においては、siNA分子の2個の断片の各々は、約15から約40(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、23、33、34、35、36、37、38、39又は40)ヌクレオチドを独立に含む。非限定的例においては、siNA分子の2個の断片の各々は、約21ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、本発明は、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする。ここで、修飾ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド、又は本明細書及び参照により本明細書に組込む2004年11月5日に出願された米国特許出願第10/981,966号に記載の任意の他の修飾ヌクレオシド/ヌクレオチドである。一実施形態においては、本発明は、少なくとも2個の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする。ここで、修飾ヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド、又は本明細書及び参照により本明細書に組込む2004年11月5日に出願された米国特許出願第10/981,966号に記載の任意の他の修飾ヌクレオシド/ヌクレオチドからなる群から選択される。修飾ヌクレオチド/ヌクレオシドは、同じでも、異なっていてもよい。siNAは、例えば、約15から約40ヌクレオチド長であり得る。一実施形態においては、siNA中に存在する全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオピリミジンヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明は、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドをsiNA分子中に導入することを含む、リボヌクレアーゼによる切断に対するsiNA分子の安定性を増大させる方法を特徴とする。ここで、修飾ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中に存在する全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。
一実施形態においては、siNA中の修飾ヌクレオチドは、少なくとも1個の2’−デオキシ−2’−フルオロシチジン又は2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。別の実施形態においては、siNA中の修飾ヌクレオチドは、少なくとも1個の2’−フルオロシチジン及び少なくとも1個の2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドを含む。一実施形態においては、siNA中に存在する全ウリジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロウリジンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中に存在する全シチジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロシチジンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中に存在する全アデノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアデノシンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中に存在する全グアノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオログアノシンヌクレオチドである。SiNAは、ホスホロチオアート結合などの少なくとも1個の修飾ヌクレオチド間結合を更に含み得る。一実施形態においては、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドは、ピリミジンヌクレオチドを有する場所など、リボヌクレアーゼによる切断に敏感である、siNA中の特に選択された場所に存在する。
一実施形態においては、本発明は、少なくとも1個の修飾ヌクレオチドをsiNA分子中に導入することを含む、リボヌクレアーゼによる切断に対するsiNA分子の安定性を増大させる方法を特徴とする。ここで、修飾ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中に存在する全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノピリミジンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中の修飾ヌクレオチドは、少なくとも1個の2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノシチジン又は2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノウリジンヌクレオチドを含む。別の実施形態においては、siNA中の修飾ヌクレオチドは、少なくとも1個の2’−フルオロシチジン及び少なくとも1個の2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノウリジンヌクレオチドを含む。一実施形態においては、siNA中に存在する全ウリジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノウリジンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中に存在する全シチジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノシチジンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中に存在する全アデノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノアデノシンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA中に存在する全グアノシンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノグアノシンヌクレオチドである。SiNAは、ホスホロチオアート結合などの少なくとも1個の修飾ヌクレオチド間結合を更に含み得る。一実施形態においては、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノヌクレオチドは、ピリミジンヌクレオチドを有する場所など、リボヌクレアーゼによる切断に敏感である、siNA中の特に選択された場所に存在する。
一実施形態においては、本発明は、センス領域とアンチセンス領域を含み、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域は、HCV標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス領域は、アンチセンス領域に相補的であるヌクレオチド配列を含む。アンチセンス領域中に存在するプリンヌクレオチドは、2’−デオキシ−プリンヌクレオチドを含む。別の実施形態においては、アンチセンス領域中に存在するプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルプリンヌクレオチドを含む。上記実施形態のいずれにおいても、アンチセンス領域は、ホスホロチオアートヌクレオチド間結合をアンチセンス領域の3’末端に含み得る。或いは、上記実施形態のいずれにおいても、アンチセンス領域は、グリセリル修飾をアンチセンス領域の3’末端に含み得る。上記siNA分子のいずれかの別の実施形態においては、アンチセンス鎖の非相補領域(例えば、オーバーハング領域)中に存在する任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、疾患又は形質特異的対立遺伝子に関連した一塩基多型(SNP)を含む配列など、対象又は生物体における特定の疾患又は形質に関係する対立遺伝子に特有の配列を有する内因性転写物の一部に相補的である配列を含む。したがって、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、特定の対立遺伝子に特有な配列であって、疾患、症状又は形質に関係する対立遺伝子に対して選択的なRNAiを媒介する特異性をもたらす配列に相補的である配列を含み得る。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を下方制御する、又はHCV標的RNAの切断を誘導する、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子は、2個の別々のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられ、第1の断片はセンス領域を含み、第2の断片はsiNA分子のアンチセンス領域を含む。一実施形態においては、二本鎖siNA分子の各鎖は、約21ヌクレオチド長であり、siNA分子の各断片の約19ヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片の相補ヌクレオチドと塩基対を形成し、siNA分子の各断片の少なくとも2個の3’末端ヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片のヌクレオチドと塩基対を形成しない。別の実施形態においては、siNA分子は二本鎖核酸分子であり、各鎖は約19ヌクレオチド長であり、siNA分子の各断片のヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片の相補ヌクレオチドと塩基対を形成して、少なくとも約15(例えば、15、16、17、18又は19)塩基対を形成し、siNA分子の一方又は両方の末端は平滑末端である。一実施形態においては、siNA分子の各断片の2個の3’末端ヌクレオチドの各々は、2’−デオキシ−チミジンなどの2’−デオキシ−ピリミジンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA分子の各断片の2個の3’末端ヌクレオチドの各々は、2’−O−メチルウリジン、シチジン、チミジンなどの2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。別の実施形態においては、siNA分子の各断片の全ヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片の相補ヌクレオチドと塩基対を形成する。別の実施形態においては、siNA分子は、センス領域及びアンチセンス領域を有する、約19から約25塩基対の二本鎖核酸分子であり、アンチセンス領域の約19ヌクレオチドは、HCV標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対を形成する。別の実施形態においては、アンチセンス領域の約21ヌクレオチドは、HCV標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対を形成する。上記実施形態のいずれにおいても、前記アンチセンス領域を含む断片の5’末端は、リン酸基を含んでいてもよい。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的RNA配列の発現を阻害する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、siNA分子はリボヌクレオチドを含まず、二本鎖siNA分子の各鎖は約15から約30ヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA分子は21ヌクレオチド長である。非リボヌクレオチド含有siNA構築体の例は、Stab 7/8、Stab 7/11、Stab 8/8、Stab 18/8、Stab 18/11、Stab 12/13、Stab 7/13、Stab 18/13、Stab 7/19、Stab 8/19、Stab 18/19、Stab 7/20、Stab 8/20、Stab 18/20、Stab 7/32、Stab 8/32、Stab 18/32など、センス/アンチセンスケミストリーの任意の組合せの表IVに示す安定化ケミストリーの組合せである(例えば、Stab 7、8、11、12、13、14、15、17、18、19、20又は32のセンス若しくはアンチセンス鎖又はその任意の組合せを有する任意のsiNA)。本明細書では、数字で表したStabケミストリーは、表IVに示すケミストリーの2’−フルオロと2’−OCF3の両方のバージョンを含み得る。例えば、「Stab 7/8」は、Stab 7/8とStab 7F/8Fの両方を指す。一実施形態においては、本発明は、RNA干渉によるHCV標的RNAの切断を誘導する、化学合成された二本鎖RNA分子を特徴とする。ここで、前記RNA分子の各鎖は約15から約30ヌクレオチド長である。RNA分子の一方の鎖は、RNA分子がRNA干渉によってHCV標的RNAの切断を誘導するのに十分な相補性を、HCV標的RNAに対して有するヌクレオチド配列を含む。RNA分子の少なくとも一方の鎖は、デオキシヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロアラビノ、2’−O−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチドなど、又はその任意の組合せなど、ただしこれらだけに限定されない、本明細書に記載の1個以上の化学修飾ヌクレオチドを含んでいてもよい。
一実施形態においては、本発明のHCV標的RNAは、HCVタンパク質又はHCV経路/宿主タンパク質をコードする、HCV RNA又はHCV経路/宿主RNAなど、タンパク質をコードする配列を含む。
一実施形態においては、本発明の標的RNAは、非コードRNA配列(例えば、miRNA、snRNA、siRNAなど)を含む。例えば、Mattick, 2005, Science, 309, 1527−1528;Claverie, 2005, Science, 309, 1529−1530;Sethupathy et al., 2006, RNA, 12, 192−197及びCzech, 2006 NEJM, 354, 11:1194−1195を参照されたい。
一実施形態においては、本発明は、本発明のsiNA分子を含む医薬品を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、本発明のsiNA分子を含む活性成分を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を阻害する、下方制御する、又は減少させるための二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子の使用を特徴とする。ここで、siNA分子は1個以上の化学修飾を含み、二本鎖siNAの各鎖は独立に約15から約30又はそれを超える(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30又はそれを超える)ヌクレオチド長である。一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の化学修飾を含む二本鎖核酸分子であり、siNA分子の2個の断片の各々は、約15から約40(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、23、33、34、35、36、37、38、39又は40)ヌクレオチドを独立に含み、鎖の1本は、HCV標的コードRNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的である少なくとも15ヌクレオチドを含む。非限定的例においては、siNA分子の2個の断片の各々は、約21ヌクレオチドを含む。別の実施形態においては、siNA分子は、1個以上の化学修飾を含む二本鎖核酸分子であり、各鎖は約21ヌクレオチド長であり、siNA分子の各断片の約19ヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片の相補ヌクレオチドと塩基対を形成し、siNA分子の各断片の少なくとも2個の3’末端ヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片のヌクレオチドと塩基対を形成しない。別の実施形態においては、siNA分子は、1個以上の化学修飾を含む二本鎖核酸分子であり、各鎖は約19ヌクレオチド長であり、siNA分子の各断片のヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片の相補ヌクレオチドと塩基対を形成して、少なくとも約15(例えば、15、16、17、18又は19)塩基対を形成し、siNA分子の一方又は両方の末端は平滑末端である。一実施形態においては、siNA分子の各断片の2個の3’末端ヌクレオチドの各々は、2’−デオキシ−チミジンなどの2’−デオキシ−ピリミジンヌクレオチドである。一実施形態においては、siNA分子の各断片の2個の3’末端ヌクレオチドの各々は、2’−O−メチルウリジン、シチジン、チミジンなどの2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。別の実施形態においては、siNA分子の各断片の全ヌクレオチドは、siNA分子の他方の断片の相補ヌクレオチドと塩基対を形成する。別の実施形態においては、siNA分子は、センス領域及びアンチセンス領域を有し、かつ、1個以上の化学修飾を含む、約19から約25塩基対の二本鎖核酸分子であり、アンチセンス領域の約19ヌクレオチドは、HCV標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対を形成する。別の実施形態においては、アンチセンス領域の約21ヌクレオチドは、HCV標的遺伝子によってコードされるRNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対を形成する。上記実施形態のいずれにおいても、前記アンチセンス領域を含む断片の5’末端は、リン酸基を含んでいてもよい。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を阻害する、下方制御する、又は減少させる、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の一方は、HCV標的RNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、他方の鎖は、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。一実施形態においては、各鎖は、ヌクレオチド、糖、塩基、骨格修飾などの同じでも、異なっていてもよい、少なくとも2個の(例えば、2、3、4、5個又はそれを超える)化学修飾を有する。一実施形態においては、二本鎖siNA分子中に存在するピリミジンヌクレオチドの大多数は、糖修飾を含む。一実施形態においては、二本鎖siNA分子中に存在するプリンヌクレオチドの大多数は、糖修飾を含む。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を阻害する、下方制御する、又は減少させる、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の一方は、タンパク質をコードするHCV標的RNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、他方の鎖は、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含むセンス鎖であり、二本鎖siNA分子中に存在するピリミジンヌクレオチドの大多数は、糖修飾を含む。一実施形態においては、siNA分子の各鎖は、約15から約30個又はそれを超える(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30個又はそれを超える)ヌクレオチドを含み、他方の鎖のヌクレオチドに相補的である少なくとも約15ヌクレオチドを含む。一実施形態においては、siNA分子は、2個のオリゴヌクレオチド断片から組み立てられ、第1の断片はsiNA分子のアンチセンス鎖のヌクレオチド配列を含み、第2の断片はsiNA分子のセンス領域のヌクレオチド配列を含む。一実施形態においては、センス鎖は、ポリヌクレオチドリンカー、非ヌクレオチドリンカーなどのリンカー分子を介して、アンチセンス鎖と連結されている。更なる実施形態においては、センス鎖中に存在するピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域中に存在するプリンヌクレオチドは、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の実施形態においては、センス鎖中に存在するピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’フルオロピリミジンヌクレオチドであり、センス領域中に存在するプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。更に別の実施形態においては、アンチセンス鎖中に存在するピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス鎖中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。別の実施形態においては、アンチセンス鎖は、1個以上の2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチド及び1個以上の2’−O−メチルプリンヌクレオチドを含む。別の実施形態においては、アンチセンス鎖中に存在するピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、アンチセンス鎖中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。更なる実施形態においては、センス鎖は、3’末端及び5’末端を含み、末端キャップ部分(例えば、反転チミジンなどの反転デオキシ脱塩基部分又は反転デオキシヌクレオチド部分)は、センス鎖の5’末端、3’末端、又は5’末端と3’末端の両方に存在する。別の実施形態においては、アンチセンス鎖は、ホスホロチオアートヌクレオチド間結合をアンチセンス鎖の3’末端に含む。別の実施形態においては、アンチセンス鎖は、グリセリル修飾を3’末端に含む。別の実施形態においては、アンチセンス鎖の5’末端は、リン酸基を含んでいてもよい。
二本鎖siNA分子中に存在するピリミジンヌクレオチドの大多数が糖修飾を含む、HCV標的遺伝子の発現を阻害する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子の上記実施形態のいずれにおいても、siNA分子の2本の鎖の各々は、約15から約30個又はそれを超える(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30個又はそれを超える)ヌクレオチドを含み得る。一実施形態においては、siNA分子の各鎖の約15から約30個又はそれを超える(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30個又はそれを超える)ヌクレオチドは、siNA分子の他方の鎖の相補ヌクレオチドと塩基対を形成する。別の実施形態においては、siNA分子の各鎖の約15から約30個又はそれを超える(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30個又はそれを超える)ヌクレオチドは、siNA分子の他方の鎖の相補ヌクレオチドと塩基対を形成する。ここで、siNA分子の各鎖の少なくとも2個の3’末端ヌクレオチドは、siNA分子の他方の鎖のヌクレオチドと塩基対を形成しない。別の実施形態においては、siNA分子の各断片の2個の3’末端ヌクレオチドの各々は、2’−デオキシ−チミジンなどの2’−デオキシ−ピリミジンである。一実施形態においては、siNA分子の各鎖は、siNA分子の他方の鎖の相補ヌクレオチドと塩基対を形成する。一実施形態においては、アンチセンス鎖の約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドは、HCV標的RNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対を形成する。一実施形態においては、アンチセンス鎖の約18から約25(例えば、約18、19、20、21、22、23、24又は25)ヌクレオチドは、HCV標的RNAのヌクレオチド配列又はその一部と塩基対を形成する。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を阻害する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の一方は、HCV標的RNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、他方の鎖は、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。一実施形態においては、各鎖は、ヌクレオチドの糖、塩基、骨格修飾などの少なくとも2個の(例えば、2、3、4、5個又はそれを超える)異なる化学修飾を有する。一実施形態においては、二本鎖siNA分子中に存在するピリミジンヌクレオチドの大多数は、糖修飾を含む。一実施形態においては、二本鎖siNA分子中に存在するプリンヌクレオチドの大多数は、糖修飾を含む。一実施形態においては、アンチセンス鎖の5’末端は、リン酸基を含んでいてもよい。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を阻害する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の一方は、HCV標的RNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、他方の鎖は、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。二本鎖siNA分子中に存在するピリミジンヌクレオチドの大多数は、糖修飾を含む。アンチセンス鎖のヌクレオチド配列又はその一部は、HCV標的RNAの非翻訳領域のヌクレオチド配列又はその一部に相補的である。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的遺伝子の発現を阻害する二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、二本鎖siNA分子の鎖の一方は、HCV標的RNAのヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含むアンチセンス鎖であり、他方の鎖は、アンチセンス鎖のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含むセンス鎖である。二本鎖siNA分子中に存在するピリミジンヌクレオチドの大多数は、糖修飾を含む。アンチセンス鎖のヌクレオチド配列は、HCV標的RNAのヌクレオチド配列、又はHCV標的RNA中に存在するその一部に相補的である。
一実施形態においては、本発明は、薬剤として許容される担体又は希釈剤中に本発明のsiNA分子を含む組成物を特徴とする。別の実施形態においては、本発明は、薬剤として許容される担体又は希釈剤中の、本発明の2種類以上のsiNA分子(例えば、HCV標的RNAの異なる領域を標的にするsiNA分子、又はHCV RNA及び細胞標的を標的にするsiNA分子)を特徴とする。
非限定的例においては、化学修飾ヌクレオチドを核酸分子に導入することは、外来的に送達される未変性RNA分子に固有のインビボでの安定性及び生物学的利用能の潜在的限界を克服する強力なツールとなる。例えば、化学修飾核酸分子を使用すると、化学修飾核酸分子は、血清中でより長い半減期を有する傾向にあるので、所与の治療効果に対する特定の核酸分子の用量を削減することができる。また、ある種の化学修飾は、特定の細胞又は組織をHCV標的にすることによって、及び/又は核酸分子の細胞内取り込みを改善することによって、核酸分子の生物学的利用能を改善することができる。したがって、化学修飾核酸分子の活性が、未変性核酸分子と比較して、例えば、全RNA(all−RNA)核酸分子と比較して、低い場合でも、分子の安定性及び/又は送達が改善されたために、修飾核酸分子の全活性は、未変性分子の全活性よりも高くなり得る。未変性無修飾siNAとは異なり、化学修飾siNAは、ヒトにおけるインターフェロン活性又は免疫賦活を活性化する可能性も最小化し得る。したがって、これらの諸性質は、研究と治療の両方の適用分野における使用を含めて、種々のインビトロ及びインビボの環境において、未変性siRNA又は最小限に修飾されたsiRNAがRNAiを媒介する能力を更に改善する。本出願人は、対応する無修飾siRNA分子又は最小限に修飾されたsiRNA分子よりもRNAi活性が改善された化学修飾siNA分子を本明細書に記述する。本明細書に開示する化学修飾siNAモチーフは、無修飾活性siRNA又は最小限に修飾された活性siRNAにかなり類似したRNAi活性を維持する能力を提供し(例えば、Elbashir et al., 2001, EMBO J., 20:6877−6888参照)、同時に治療への応用に適切なヌクレアーゼ耐性及び薬物動態学的(pharmacoketic)諸性質を提供する。
本明細書に記載のsiNA分子の実施形態のいずれにおいても、本発明のsiNA分子のアンチセンス領域は、ホスホロチオアートヌクレオチド間結合を前記アンチセンス領域の3’末端に含み得る。本明細書に記載のsiNA分子の実施形態のいずれにおいても、アンチセンス領域は、約1から約5個のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を前記アンチセンス領域の5’末端に含み得る。本明細書に記載のsiNA分子の実施形態のいずれにおいても、本発明のsiNA分子の3’末端ヌクレオチドオーバーハングは、核酸の糖、塩基又は骨格において化学修飾されたリボヌクレオチド又はデオキシリボヌクレオチドを含み得る。本明細書に記載のsiNA分子の実施形態のいずれにおいても、3’末端ヌクレオチドオーバーハングは、1個以上の汎用塩基リボヌクレオチドを含み得る。本明細書に記載のsiNA分子の実施形態のいずれにおいても、3’末端ヌクレオチドオーバーハングは、1個以上の非環式ヌクレオチドを含み得る。
本発明の一実施形態は、核酸分子の発現が可能であるように、本発明の少なくとも1種類のsiNA分子をコードする核酸配列を含む、発現ベクターを提供する。本発明の別の実施形態は、かかる発現ベクターを含むほ乳動物細胞を提供する。ほ乳動物細胞は、ヒト細胞であり得る。発現ベクターのsiNA分子は、センス領域及びアンチセンス領域を含み得る。アンチセンス領域は、HCV標的をコードするRNA又はDNA配列に相補的である配列を含み得る。センス領域は、アンチセンス領域に相補的である配列を含み得る。siNA分子は、相補センス領域とアンチセンス領域を有する2本の異なる鎖を含み得る。siNA分子は、相補センス領域とアンチセンス領域を有する一本鎖を含み得る。
一実施形態においては、本発明は、細胞内で、又は再構成されたインビトロ系内で、RNA干渉(RNAi)を媒介し得る化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は、骨格が修飾された式Iのヌクレオチド間結合を含む1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)ヌクレオチドを含む。
Figure 2009520039
式中、各R1及びR2は独立に、天然でも、化学修飾されていてもよい、siNA分子構造に含まれ得る、又はsiNA分子との結合点として役立ち得る、任意のヌクレオチド、非ヌクレオチド又はポリヌクレオチドであり、各X及びYは独立にO、S、N、アルキル又は置換アルキルであり、各Z及びWは独立にO、S、N、アルキル、置換アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アルカリール、アラルキル又はアセチルであり、W、X、Y及びZは全部がOとは限らない。別の実施形態においては、本発明の骨格修飾は、ホスホノアセタート及び/又はチオホスホノアセタートヌクレオチド間結合を含む(例えば、Sheehan et al., 2003, Nucleic Acids Research, 31, 4109−4118参照)。
例えば任意のZ、W、X及び/又はYが硫黄原子を独立に含む、式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合は、siNA二本鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖中に、例えば、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖中に存在し得る。本発明のsiNA分子は、式Iの1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)化学修飾ヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含み得る。例えば、本発明の例示的なsiNA分子は、式Iの約1から約5個又はそれを超える(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超える)化学修飾ヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖の5’末端に含み得る。別の非限定的例においては、本発明の例示的なsiNA分子は、式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を有する1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)ピリミジンヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖に含み得る。更に別の非限定的例においては、本発明の例示的なsiNA分子は、式Iの化学修飾ヌクレオチド間結合を有する1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)プリンヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖に含み得る。別の実施形態においては、式Iのヌクレオチド間結合を有する本発明のsiNA分子は、式I−VIIのいずれかの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドも含む。
一実施形態においては、本発明は、細胞内で、又は再構成されたインビトロ系内で、RNA干渉(RNAi)を媒介し得る化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は、式IIの1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。
Figure 2009520039
式中、各R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11及びR12は独立に、いずれもsiNA分子の構造に含まれ得る、又はsiNA分子との結合点として役立ち得る、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール若しくはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCH3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキル(alklyl)アミノ、置換シリル、又は式I、II、III、IV、V、VI及び/又はVIIのいずれかの基であり、R9は、O、S、CH2、S=O、CHF又はCF2であり、Bは、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、チミン、2−アミノアデノシン、5−メチルシトシン、2,6−ジアミノプリンなどのヌクレオシド塩基、又は標的RNAに相補的でも、非相補的でもよい任意の他の非天然塩基、又はフェニル、ナフチル、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、ネブラリン、ピリドン、ピリジノンなどの非ヌクレオシド塩基、又は標的RNAに相補的でも、非相補的でもよい任意の他の非天然汎用塩基である。一実施形態においては、R3及び/又はR7は、抱合部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。抱合部分の非限定的例としては、天然タンパク質リガンド由来のペプチドなどの細胞受容体のリガンド;細胞のZIPコード配列を含めたタンパク質局在化配列;抗体;核酸アプタマー;葉酸塩、N−アセチルガラクトサミンなどのビタミン及び他の補因子;ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー;リン脂質;コレステロール;ステロイド及びPEI、スペルミン、スペルミジンなどのポリアミンが挙げられる。一実施形態においては、本発明の式IIのヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。一実施形態においては、本発明の式IIのヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドである。一実施形態においては、本発明の式IIのヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチドである。
式IIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドは、siNA二本鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖中に、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖中に存在し得る。本発明のsiNA分子は、式IIの1個以上の化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含み得る。例えば、本発明の例示的なsiNA分子は、式IIの約1から約5個又はそれを超える(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超える)化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の5’末端に含み得る。別の非限定的例においては、本発明の例示的なsiNA分子は、約1から約5個又はそれを超える(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超える)式IIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に含み得る。
一実施形態においては、本発明は、細胞内で、又は再構成されたインビトロ系内で、RNA干渉(RNAi)を媒介し得る化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は、式IIIの1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。
Figure 2009520039
式中、各R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11及びR12は独立に、いずれもsiNA分子の構造に含まれ得る、又はsiNA分子との結合点として役立ち得る、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール若しくはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCH3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキル(alklyl)アミノ、置換シリル、又は式I、II、III、IV、V、VI及び/又はVIIのいずれかの基であり、R9は、O、S、CH2、S=O、CHF又はCF2であり、Bは、アデニン、グアニン、ウラシル、シトシン、チミン、2−アミノアデノシン、5−メチルシトシン、2,6−ジアミノプリンなどのヌクレオシド塩基、又は標的RNAに相補的又は非相補的であるように使用することができる任意の他の非天然塩基、又はフェニル、ナフチル、3−ニトロピロール、5−ニトロインドール、ネブラリン、ピリドン、ピリジノンなどの非ヌクレオシド塩基、又は標的RNAに相補的でも、非相補的でもよい任意の他の非天然汎用塩基である。一実施形態においては、R3及び/又はR7は、抱合部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。抱合部分の非限定的例としては、天然タンパク質リガンド由来のペプチドなどの細胞受容体のリガンド;細胞のZIPコード配列を含めたタンパク質局在化配列;抗体;核酸アプタマー;葉酸塩、N−アセチルガラクトサミンなどのビタミン及び他の補因子;ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー;リン脂質;コレステロール;ステロイド及びPEI、スペルミン、スペルミジンなどのポリアミンが挙げられる。
式IIIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドは、siNA二本鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖中に、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖中に存在し得る。本発明のsiNA分子は、式IIIの1個以上の化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含み得る。例えば、本発明の例示的なsiNA分子は、式IIIの約1から約5個又はそれを超える(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超える)化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の5’末端に含み得る。別の非限定的例においては、本発明の例示的なsiNA分子は、約1から約5個又はそれを超える(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超える)式IIIの化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の3’末端に含み得る。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、式II又はIIIのヌクレオチドを含む。ここで、式II又はIIIのヌクレオチドは、反転した配置である。例えば、式II又はIIIのヌクレオチドは、一方又は両方のsiNA鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端と5’末端の両方においてなど、3’−3’、3’−2’、2’−3’又は5’−5’配置でsiNA構築体に連結されている。
一実施形態においては、本発明は、細胞内で、又は再構成されたインビトロ系内で、RNA干渉(RNAi)を媒介し得る化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は、式IVの5’末端リン酸基を含む。
Figure 2009520039
式中、各X及びYは独立にO、S、N、アルキル、置換アルキル又はアルキルハロであり、各Z及びWは独立にO、S、N、アルキル、置換アルキル、O−アルキル、S−アルキル、アルカリール、アラルキル、アルキルハロ又はアセチルであり、W、X、Y及びZは全部がOとは限らず、YはsiNA分子との結合点として役立つ。
一実施形態においては、本発明は、HCV標的に相補的である鎖上に、例えば、HCV標的RNAに相補的である鎖上に、式IVの5’末端リン酸基を有するsiNA分子を特徴とする。ここで、siNA分子は、全RNA siNA分子を含む。別の実施形態においては、本発明は、HCV標的に相補的である鎖上に式IVの5’末端リン酸基を有するsiNA分子を特徴とする。ここで、siNA分子は、一方又は両方の鎖の3’末端上に、約1から約4(例えば、約1、2、3又は4)個のデオキシリボヌクレオチドを有する、約1から約3(例えば、約1、2又は3)ヌクレオチド3’末端ヌクレオチドオーバーハングも含む。別の実施形態においては、式IVの5’末端リン酸基は、本発明のsiNA分子の、例えば、式I−VIIのいずれかの化学修飾を有するsiNA分子の、HCV標的に相補的である鎖上に存在する。
一実施形態においては、本発明は、細胞内で、又は再構成されたインビトロ系内で、RNA干渉(RNAi)を媒介し得る化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、化学修飾は、1個以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含む。例えば、非限定的例においては、本発明は、1本のsiNA鎖中に約1、2、3、4、5、6、7、8個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合を有する化学修飾低分子干渉核酸(siNA)を特徴とする。更に別の実施形態においては、本発明は、両方のsiNA鎖中に約1、2、3、4、5、6、7、8個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合を個々に有する化学修飾低分子干渉核酸(siNA)を特徴とする。ホスホロチオアートヌクレオチド間結合は、siNA二本鎖の一方又は両方のオリゴヌクレオチド鎖中に、例えばセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖中に存在し得る。本発明のsiNA分子は、1個以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含み得る。例えば、本発明の例示的なsiNA分子は、約1から約5個又はそれを超える(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超える)連続したホスホロチオアートヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖、又は両方の鎖の5’末端に含み得る。別の非限定的例においては、本発明の例示的なsiNA分子は、1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)ピリミジンホスホロチオアートヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖中に含み得る。更に別の非限定的例においては、本発明の例示的なsiNA分子は、1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)プリンホスホロチオアートヌクレオチド間結合を、センス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖中に含み得る。
二本鎖siNA分子の各鎖は、異なる化学修飾パターンを含むように、1個以上の化学修飾を有し得る。異なる修飾パターンを生じ得る修飾スキームの幾つかの非限定的例を本明細書に示す。
一実施形態においては、本発明は、センス鎖が、1個以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、及び/又は約1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)汎用塩基修飾ヌクレオチドを含み、末端キャップ分子をセンス鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含んでいてもよく、アンチセンス鎖が、約1から約10又はそれを超える、具体的には約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)汎用塩基修飾ヌクレオチドを含み、末端キャップ分子をアンチセンス鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含んでいてもよい、siNA分子を特徴とする。別の実施形態においては、センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾されている。1個以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は3’末端、5’末端、又は3’末端と5’末端の両方における末端キャップ分子は、同じ鎖又は異なる鎖中に、存在しても、しなくてもよい。
別の実施形態においては、本発明は、センス鎖が、約1から約5個、具体的には約1、2、3、4又は5個のホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超える)2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超える)汎用塩基修飾ヌクレオチドを含み、末端キャップ分子をセンス鎖の3末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含んでいてもよく、アンチセンス鎖が、約1から約5又はそれを超える、具体的には約1、2、3、4、5個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)汎用塩基修飾ヌクレオチドを含み、末端キャップ分子をアンチセンス鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含んでいてもよい、siNA分子を特徴とする。別の実施形態においては、センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾されている。約1から約5個又はそれを超える、例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は3’末端、5’末端、又は3’末端と5’末端の両方における末端キャップ分子は、同じ鎖又は異なる鎖中に、存在しても、しなくてもよい。
一実施形態においては、本発明は、センス鎖が、1個以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は約1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)汎用塩基修飾ヌクレオチドを含み、末端キャップ分子をセンス鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含んでいてもよく、アンチセンス鎖が、約1から約10個又はそれを超える、具体的には約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)汎用塩基修飾ヌクレオチドを含み、末端キャップ分子をアンチセンス鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含んでいてもよい、siNA分子を特徴とする。別の実施形態においては、センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾されている。1個以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は3’末端、5’末端、又は3’末端と5’末端の両方における末端キャップ分子は、同じ鎖又は異なる鎖中に、存在しても、しなくてもよい。
別の実施形態においては、本発明は、ここで、センス鎖が、約1から約5又はそれを超える、具体的には約1、2、3、4、5個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)汎用塩基修飾ヌクレオチドを含み、末端キャップ分子をセンス鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含んでいてもよく、アンチセンス鎖が、約1から約5個又はそれを超える、具体的には約1、2、3、4、5個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ、及び/又は1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)汎用塩基修飾ヌクレオチドを含み、末端キャップ分子をアンチセンス鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含んでいてもよい、siNA分子を特徴とする。別の実施形態においては、センス及び/又はアンチセンスsiNA鎖の1個以上の、例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ、2’−O−メチル、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、4’−チオ及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドで化学修飾されている。約1から約5個、例えば、約1、2、3、4、5個又はそれを超えるホスホロチオアートヌクレオチド間結合、及び/又は3’末端、5’末端、又は3’末端と5’末端の両方における末端キャップ分子は、同じ鎖又は異なる鎖中に、存在しても、しなくてもよい。
一実施形態においては、本発明は、約1から約5個又はそれを超える(具体的には約1、2、3、4、5個又はそれを超える)ホスホロチオアートヌクレオチド間結合をsiNA分子の各鎖中に有する化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、2’−5’ヌクレオチド間結合を含むsiNA分子を特徴とする。2’−5’ヌクレオチド間結合は、一方又は両方のsiNA配列鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に存在し得る。また、2’−5’ヌクレオチド間結合は、一方又は両方のsiNA配列鎖内の種々の他の位置に存在し得る。例えば、siNA分子の一方又は両方の鎖中のピリミジンヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間結合を含めて、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超えるヌクレオチド間結合は、2’−5’ヌクレオチド間結合を含み得る。又はsiNA分子の一方若しくは両方の鎖中のプリンヌクレオチドのすべてのヌクレオチド間結合を含めて、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個若しくはそれを超えるヌクレオチド間結合は、2’−5’ヌクレオチド間結合を含み得る。
別の実施形態においては、本発明の化学修飾siNA分子は、その一方又は両方が化学修飾され得る2本の鎖を有する二本鎖を含む。ここで、各鎖は独立に約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチド長であり、二本鎖は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)個の塩基対を有し、化学修飾は式I−VIIのいずれかの構造を含む。例えば、本発明の例示的な化学修飾siNA分子は、その一方又は両方が式I−VIIのいずれかの化学修飾又はその任意の組合せで化学修飾され得る2本の鎖を有する二本鎖を含む。ここで、各鎖は、2ヌクレオチド3’末端ヌクレオチドオーバーハングを各々有する、約21ヌクレオチドからなり、二本鎖は約19塩基対を有する。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、一本鎖ヘアピン構造を含み、該siNAは、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)個の塩基対を有する約36から約70(例えば、約36、40、45、50、55、60、65又は70)ヌクレオチド長であり、式I−VIIのいずれかの構造を含む化学修飾又はその任意の組合せを含み得る。例えば、本発明の例示的な化学修飾siNA分子は、式I−VIIのいずれかの化学修飾又はその任意の組合せで化学修飾された、約42から約50(例えば、約42、43、44、45、46、47、48、49又は50)個のヌクレオチドを有する線状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、線状オリゴヌクレオチドは、約19から約21(例えば、19、20又は21)個の塩基対と2ヌクレオチド3’末端ヌクレオチドオーバーハングとを有するヘアピン構造を形成する。別の実施形態においては、本発明の線状ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含み、siNA分子のループ部分は生分解性である。例えば、本発明の線状ヘアピンsiNA分子は、siNA分子のループ部分のインビボでの分解によって、約2個のヌクレオチドを含む3’末端ヌクレオチドオーバーハングなどの3’末端オーバーハングを有する二本鎖siNA分子が生成し得るように設計される。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、ヘアピン構造を含み、該siNAは、約3から約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)個の塩基対を有する、約25から約50(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50)ヌクレオチド長であり、式I−VIIのいずれかの構造を含む1個以上の化学修飾又はその任意の組合せを含み得る。例えば、本発明の例示的な化学修飾siNA分子は、式I−VIIのいずれかの1個以上の化学修飾又はその任意の組合せで化学修飾された、約25から約35(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35)個のヌクレオチドを有する、線状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、線状オリゴヌクレオチドは、約3から約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)個の塩基対、及び本明細書に記載したとおりに化学修飾され得る5’末端リン酸基(例えば、式IVの5’末端リン酸基)を有する、ヘアピン構造を形成する。別の実施形態においては、本発明の線状ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含み、siNA分子のループ部分は生分解性である。一実施形態においては、本発明の線状ヘアピンsiNA分子は、非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分を含む。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、非対称ヘアピン構造を含み、該siNAは、約3から約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)個の塩基対を有する、約25から約50(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50)ヌクレオチド長であり、式I−VIIのいずれかの構造を含む1個以上の化学修飾又はその任意の組合せを含み得る。例えば、本発明の例示的な化学修飾siNA分子は、式I−VIIのいずれかの1個以上の化学修飾又はその任意の組合せで化学修飾された、約25から約35(例えば、約25、26、27、28、29、30、31、32、33、34又は35)個のヌクレオチドを有する、線状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、線状オリゴヌクレオチドは、約3から約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)個の塩基対、及び本明細書に記載したとおりに化学修飾され得る5’末端リン酸基(例えば、式IVの5’末端リン酸基)を有する、非対称ヘアピン構造を形成する。一実施形態においては、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は、ステムループモチーフを含み、siNA分子のループ部分は生分解性である。別の実施形態においては、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は、非ヌクレオチドリンカーを含むループ部分を含む。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、センス及びアンチセンス領域を含む別々のポリヌクレオチド鎖を有する非対称二本鎖構造を含み、アンチセンス領域は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチド長であり、センス領域は、約3から約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)ヌクレオチド長であり、センス領域及びアンチセンス領域は、少なくとも3個の相補ヌクレオチドを有し、siNAは、式I−VIIのいずれかの構造を含む1個以上の化学修飾又はその任意の組合せを含み得る。例えば、本発明の例示的な化学修飾siNA分子は、センス及びアンチセンス領域を含む別々のポリヌクレオチド鎖を有する非対称二本鎖構造を含み、アンチセンス領域は、約18から約23(例えば、約18、19、20、21、22、又は23)ヌクレオチド長であり、センス領域は、約3から約15(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、又は15)ヌクレオチド長であり、センス領域アンチセンス領域は、少なくとも3個の相補ヌクレオチドを有し、siNAは、式I−VIIのいずれかの構造を含む1個以上の化学修飾又はその任意の組合せを含み得る。別の実施形態においては、非対称二本鎖siNA分子は、本明細書に記載したとおりに化学修飾され得る5’末端リン酸基(例えば、式IVの5’末端リン酸基)も有し得る。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、環状核酸分子を含み、該siNAは、約15から約30個(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30個)の塩基対を有する約38から約70(例えば、約38、40、45、50、55、60、65又は70)ヌクレオチド長であり、式I−VIIのいずれかの構造を含む化学修飾又はその任意の組合せを含み得る。例えば、本発明の例示的な化学修飾siNA分子は、式I−VIIのいずれかの化学修飾又はその任意の組合せで化学修飾された、約42から約50(例えば、約42、43、44、45、46、47、48、49又は50)個のヌクレオチドを有する環状オリゴヌクレオチドを含む。ここで、環状オリゴヌクレオチドは、約19個の塩基対及び2個のループを有するダンベル状構造を形成する。
別の実施形態においては、本発明の環状siNA分子は、2個のループモチーフを含み、siNA分子の一方又は両方のループ部分は生分解性である。例えば、本発明の環状siNA分子は、siNA分子のループ部分のインビボでの分解によって、約2個のヌクレオチドを含む3’末端ヌクレオチドオーバーハングなどの3’末端オーバーハングを有する二本鎖siNA分子が生成し得るように設計される。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、少なくとも1個の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)脱塩基部分、例えば、式Vの化合物を含む。
Figure 2009520039
式中、各R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12及びR13は独立に、いずれもsiNA分子の構造に含まれ得る、又はsiNA分子との結合点として役立ち得る、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール若しくはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCH3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキル(alklyl)アミノ、置換シリル、又は式I、II、III、IV、V、VI及び/又はVIIのいずれかの基であり、R9は、O、S、CH2、S=O、CHF又はCF2である。一実施形態においては、R3及び/又はR7は、抱合部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。抱合部分の非限定的例としては、天然タンパク質リガンド由来のペプチドなどの細胞受容体のリガンド;細胞のZIPコード配列を含めたタンパク質局在化配列;抗体;核酸アプタマー;葉酸塩、N−アセチルガラクトサミンなどのビタミン及び他の補因子;ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー;リン脂質;コレステロール;ステロイド及びPEI、スペルミン、スペルミジンなどのポリアミンが挙げられる。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、少なくとも1個の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)反転脱塩基部分、例えば、式VIの化合物を含む。
Figure 2009520039
式中、各R3、R4、R5、R6、R7、R8、R10、R11、R12及びR13は独立に、いずれもsiNA分子の構造に含まれ得る、又はsiNA分子との結合点として役立ち得る、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール若しくはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCH3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキル(alklyl)アミノ、置換シリル、又は式I、II、III、IV、V、VI及び/又はVIIのいずれかの基であり、R9は、O、S、CH2、S=O、CHF又はCF2であり、R2、R3、R8又はR13は、本発明のsiNA分子との結合点として役立つ。一実施形態においては、R3及び/又はR7は、抱合部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。抱合部分の非限定的例としては、天然タンパク質リガンド由来のペプチドなどの細胞受容体のリガンド;細胞のZIPコード配列を含めたタンパク質局在化配列;抗体;核酸アプタマー;葉酸塩、N−アセチルガラクトサミンなどのビタミン及び他の補因子;ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー;リン脂質;コレステロール;ステロイド及びPEI、スペルミン、スペルミジンなどのポリアミンが挙げられる。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、少なくとも1個の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)置換ポリアルキル部分、例えば、式VIIの化合物を含む。
Figure 2009520039
式中、各nは独立に整数1から12であり、各R1、R2及びR3は独立に、いずれもsiNA分子の構造に含まれ得る、又はsiNA分子との結合点として役立ち得る、H、OH、アルキル、置換アルキル、アルカリール若しくはアラルキル、F、Cl、Br、CN、CF3、OCF3、OCH3、OCN、O−アルキル、S−アルキル、N−アルキル、O−アルケニル、S−アルケニル、N−アルケニル、SO−アルキル、アルキル−OSH、アルキル−OH、O−アルキル−OH、O−アルキル−SH、S−アルキル−OH、S−アルキル−SH、アルキル−S−アルキル、アルキル−O−アルキル、ONO2、NO2、N3、NH2、アミノアルキル、アミノ酸、アミノアシル、ONH2、O−アミノアルキル、O−アミノ酸、O−アミノアシル、ヘテロシクロアルキル、ヘテロシクロアルカリール、アミノアルキルアミノ、ポリアルキル(alklyl)アミノ、置換シリル、又は式I、II、III、IV、V、VI及び/又はVIIのいずれかの基である。一実施形態においては、R3及び/又はR1は、抱合部分及びリンカー(例えば、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)を含む。抱合部分の非限定的例としては、天然タンパク質リガンド由来のペプチドなどの細胞受容体のリガンド;細胞のZIPコード配列を含めたタンパク質局在化配列;抗体;核酸アプタマー;葉酸塩、N−アセチルガラクトサミンなどのビタミン及び他の補因子;ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー;リン脂質;コレステロール;ステロイド及びPEI、スペルミン、スペルミジンなどのポリアミンが挙げられる。
「ZIPコード」配列とは、細胞のトポロジー形成シグナル伝達(topogenic signaling)によって媒介される輸送に関与する任意のペプチド又はタンパク質配列を意味する(例えば、Ray et al., 2004, Science, 306(1501):1505参照)。
二本鎖siNA分子内の各ヌクレオチドは、式I−VIIIのいずれかの構造を含む化学修飾を独立に有し得る。したがって、一実施形態においては、本発明のsiNA分子の1個以上のヌクレオチド位置は、式I−VIIのいずれかの構造を有する化学修飾、又は本明細書の任意の他の修飾を含む。一実施形態においては、本発明のsiNA分子の各ヌクレオチド位置は、式I−VIIのいずれかの構造を有する化学修飾、又は本明細書の任意の他の修飾を含む。
一実施形態においては、本発明の二本鎖siNA分子の一方又は両方の鎖の1個以上のヌクレオチド位置は、式1−VIIのいずれかの構造を有する化学修飾、又は本明細書の任意の他の修飾を含む。一実施形態においては、本発明の二本鎖siNA分子の一方又は両方の鎖の各ヌクレオチド位置は、式I−VIIのいずれかの構造を有する化学修飾、又は本明細書の任意の他の修飾を含む。
別の実施形態においては、本発明は、式VIIの化合物を特徴とする。ここで、R1及びR2はヒドロキシル(OH)基であり、n=1であり、R3は、Oを含み、本発明の二本鎖siNA分子の一方又は両方の鎖の3’末端、5’末端、若しくは3’末端と5’末端の両方との、又は本発明の一本鎖siNA分子との、結合点である。この修飾を本明細書では「グリセリル」と称する(例えば、図10の修飾6)。
別の実施形態においては、本発明の化学修飾ヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIのいずれかの部分)は、本発明のsiNA分子の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方にある。例えば、化学修飾ヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIの部分)は、siNA分子のアンチセンス鎖、センス鎖、又はアンチセンス鎖とセンス鎖の両方の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に存在し得る。一実施形態においては、化学修飾ヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIの部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’末端及び3’末端並びにアンチセンス鎖の3’末端に存在する。一実施形態においては、化学修飾ヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIの部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’末端及び3’末端並びにアンチセンス鎖の3’末端の末端位置に存在する。一実施形態においては、化学修飾ヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIの部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’末端及び3’末端並びにアンチセンス鎖の3’末端の2つの末端位置に存在する。一実施形態においては、化学修飾ヌクレオシド又は非ヌクレオシド(例えば、式V、VI又はVIIの部分)は、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖の5’末端及び3’末端並びにアンチセンス鎖の3’末端の最後から2番目の位置に存在する。また、式VIIの部分は、本明細書に記載のヘアピンsiNA分子の3’末端又は5’末端に存在し得る。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、式V又はVIの脱塩基残基を含む。ここで、式VI又はVIの脱塩基残基は、一方又は両方のsiNA鎖の3’末端、5’末端、又は3’末端と5’末端の両方におけるなどの3’−3’、3’−2’、2’−3’又は5’−5’配置でsiNA構築体と連結されている。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)ロックされた核酸(locked nucleic acid)(LNA)ヌクレオチドを、例えば、siNA分子の5’末端に、3’末端に、5’末端と3’末端の両方に、又はその任意の組合せに含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)4’−チオヌクレオチドを、例えば、siNA分子の5’末端に、3’末端に、5’末端と3’末端の両方に、又はその任意の組合せに含む。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)非環式ヌクレオチドを、例えば、siNA分子の5’末端に、3’末端に、5’末端と3’末端の両方に、又はその任意の組合せに含む。
一実施形態においては、本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子は、1個以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14 15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを超える)2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル)、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−デオキシ、FANA若しくは脱塩基化学修飾又はその任意の組合せを有するセンス鎖又はセンス領域を含む。
一実施形態においては、本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子は、1個以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14 15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを超える)2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル)、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−デオキシ、FANA若しくは脱塩基化学修飾又はその任意の組合せを有するアンチセンス鎖又はアンチセンス領域を含む。
一実施形態においては、本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子は、1個以上の(例えば、1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14 15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを超える)2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル)、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−デオキシ、FANA若しくは脱塩基化学修飾又はその任意の組合せを各々有する、センス鎖又はセンス領域及びアンチセンス鎖又はアンチセンス領域を含む。
一実施形態においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、FANAピリミジンヌクレオチドである(例えば、全ピリミジンヌクレオチドはFANAピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドはFANAピリミジンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、センス領域及びアンチセンス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域及びアンチセンス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは、2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。)、センス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、センス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。)、前記センス領域中に存在する3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、センス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。
一実施形態においては、本発明は、センス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、センス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである。)、前記センス領域中に存在する3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである。)、前記アンチセンス領域中に存在する3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含む任意のヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、アンチセンス領域を含む本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、アンチセンス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する任意(例えば、1個以上又は全部)のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである。)。
一実施形態においては、本発明は、センス領域及びアンチセンス領域を含む、細胞内で、又は再構成されたインビトロ系内で、RNA干渉(RNAi)を媒介し得る、本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、センス領域に存在する1個以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、センス領域中に存在する1個以上のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する1個以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する1個以上のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。センス領域及び/又はアンチセンス領域は、センス及び/又はアンチセンス配列の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に存在してもよい、本明細書に記載の、又は図10に示す、任意の修飾などの末端キャップ修飾を有し得る。センス及び/又はアンチセンス領域は、約1から約4(例えば、約1、2、3又は4)個の2’−デオキシヌクレオチドを有する3’末端ヌクレオチドオーバーハングを更に含んでいてもよい。オーバーハングヌクレオチドは、1個以上の(例えば、約1、2、3、4又はそれを超える)ホスホロチオアート、ホスホノアセタート及び/又はチオホスホノアセタートヌクレオチド間結合を更に含み得る。これらの化学修飾siNAの非限定的例を本明細書の図4及び5並びに表IIIに示す。上記実施形態のいずれにおいても、センス領域に存在するプリンヌクレオチドは、或いは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する1個以上のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである)。また、これらの実施形態のいずれにおいても、センス領域中に存在する1個以上のプリンヌクレオチドは、或いは、プリンリボヌクレオチドであり(例えば、全プリンヌクレオチドはプリンリボヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドはプリンリボヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである。)。さらに、これらの実施形態のいずれにおいても、センス領域中に存在する、及び/又はアンチセンス領域中に存在する、1個以上のプリンヌクレオチドは、或いは、2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群から選択される(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群から選択され、又は複数の(すなわち1を超える)プリンヌクレオチドは、2’−デオキシヌクレオチド、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド、2’−メトキシエチルヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド及び2’−O−メチルヌクレオチドからなる群から選択される。)。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子中に、好ましくは本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖中に、ただし場合によってはセンス鎖中及び/又はアンチセンスとセンスの両方の鎖中に、存在する任意の修飾ヌクレオチドは、天然リボヌクレオチドと類似した諸性質又は諸特性を有する修飾ヌクレオチドを含む。例えば、本発明は、「リボ様」又は「A型ヘリックス」配置としても知られる、ノーザンコンホメーション(例えば、ノーザン擬回転サイクル。例えば、Saenger, Principles of Nucleic Acid Structure, Springer−Verlag ed., 1984参照)を有する修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする。したがって、本発明のsiNA分子中に、好ましくは本発明のsiNA分子のアンチセンス鎖中に、ただし場合によってはセンス鎖中及び/又はアンチセンスとセンスの両方の鎖中に、存在する化学修飾ヌクレオチドは、RNAi媒介能力を同時に維持しながら、ヌクレアーゼ分解に耐性がある。ノーザン配置を有するヌクレオチドの非限定的例としては、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチド(例えば、2’−O、4’−C−メチレン−(D−リボフラノシル)ヌクレオチド);2’−メトキシエトキシ(MOE)ヌクレオチド;2’−メチル−チオ−エチル、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−クロロヌクレオチド、2’−アジドヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド及び2’−O−メチルヌクレオチドが挙げられる。
一実施形態においては、本発明の二本鎖siNA分子のセンス鎖は、反転デオキシ脱塩基(abaisc)部分などの末端キャップ部分を、センス鎖の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に含む(例えば、図10参照)。
一実施形態においては、本発明は、細胞内で、又は再構成されたインビトロ系内でRNA干渉(RNAi)を媒介し得る化学修飾低分子干渉核酸分子(siNA)を特徴とする。ここで、化学修飾は、化学修飾siNA分子と共有結合した抱合体(conjugate)を含む。本発明で企図する抱合体の非限定的例としては、図面を含めて、参照によりその全体を本明細書に組込む、2003年4月30日に出願された、Vargeese他、米国特許出願第10/427,160号に記載の抱合体及びリガンドが挙げられる。別の実施形態においては、抱合体は、生分解性リンカーを介して、化学修飾siNA分子と共有結合している。一実施形態においては、抱合分子は、化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖の3’末端で結合している。別の実施形態においては、抱合分子は、化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖又は両方の鎖の5’末端で結合している。更に別の実施形態においては、抱合分子は、化学修飾siNA分子のセンス鎖、アンチセンス鎖若しくは両方の鎖又はその任意の組合せの3’末端と5’末端の両方で結合している。一実施形態においては、本発明の抱合分子は、化学修飾siNA分子を細胞などの生物系に送達するのを促進する分子を含む。別の実施形態においては、化学修飾siNA分子と結合した抱合分子は、天然タンパク質リガンド由来のペプチドなどの細胞受容体のリガンド;細胞のZIPコード配列を含めたタンパク質局在化配列;抗体;核酸アプタマー;葉酸塩、N−アセチルガラクトサミンなどのビタミン及び他の補因子;ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー;リン脂質;コレステロール;ステロイド及びPEI、スペルミン、スペルミジンなどのポリアミンである。本発明で企図する、化学修飾siNA分子と結合し得る具体的抱合分子の例は、参照により本明細書に組込む、2002年7月22日に出願された、Vargeese他、米国特許出願第10/201,394号に記載されている。使用される抱合体のタイプ、及び本発明のsiNA分子の抱合の程度は、RNAi活性を媒介するsiNAの能力を同時に維持しながら、siNA構築体の改善された薬物動態学的プロファイル、生物学的利用能、及び/又は安定性について評価することができる。したがって、当業者は、例えば当分野で一般に公知である動物モデルにおいて、種々の抱合体で修飾されたsiNA構築体をスクリーニングして、siNA抱合複合体(conjugate complex)が、RNAiを媒介する能力を維持しながら、改善された諸性質を有するかどうかを判定することができる。
一実施形態においては、本発明は、低分子干渉核酸(siNA)のセンス領域をsiNAのアンチセンス領域と連結する、ヌクレオチド、非ヌクレオチド又は混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーを更に含む、本発明のsiNA分子を特徴とする。一実施形態においては、ヌクレオチド、非ヌクレオチド、又は混合ヌクレオチド/非ヌクレオチドリンカーを使用して、例えば、抱合部分をsiNAと結合させる。一実施形態においては、本発明のヌクレオチドリンカーは、≧2ヌクレオチド長、例えば、約3、4、5、6、7、8、9又は10ヌクレオチド長のリンカーであり得る。別の実施形態においては、ヌクレオチドリンカーは核酸アプタマーであり得る。本明細書では「アプタマー」又は「核酸アプタマー」とは、HCV標的分子に特異的に結合する核酸分子を意味し、該核酸分子は、その自然な状況においてHCV標的分子によって認識される配列を含む配列を有する。或いは、アプタマーは、核酸と自然には結合しないHCV標的分子と結合する核酸分子であり得る。HCV標的分子は、対象となる任意の分子であり得る。例えば、アプタマーを使用して、タンパク質のリガンド結合ドメインに結合させることができ、それによって天然のリガンドとタンパク質の相互作用を防止することができる。これは非限定的例であり、当業者は、他の実施形態を当分野で一般に公知である技術によって容易に作製できることを認識されたい。(例えば、Gold et al., 1995, Annu. Rev. Biochem., 64, 763;Brody and Gold, 2000, J. Biotechnol., 74, 5;Sun, 2000, Curr. Opin. Mol. Ther., 2, 100;Kusser, 2000, J. Biotechnol., 74, 27;Hermann and Patel, 2000, Science, 287, 820及びJayasena, 1999, Clinical Chemistry, 45, 1628を参照されたい。)
更に別の実施形態においては、本発明の非ヌクレオチドリンカーは、脱塩基ヌクレオチド、ポリエーテル、ポリアミン、ポリアミド、ペプチド、炭水化物、脂質、ポリ炭化水素(polyhydrocarbon)又は他の重合体化合物(例えば、2から100個のエチレングリコール単位を含むポリエチレングリコールなどのポリエチレングリコール)を含む。具体例としては、参照により本明細書に組込む、Seela and Kaiser, Nucleic Acids Res. 1990, 18:6353及びNucleic Acids Res. 1987, 15:3113;Cload and Schepartz, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:6324;Richardson and Schepartz, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:5109;Ma et al., Nucleic Acids Res. 1993, 21:2585及びBiochemistry 1993, 32:1751;Durand et al., Nucleic Acids Res. 1990, 18:6353;McCurdy et al., Nucleosides & Nucleotides 1991, 70:287;Jschke et al., Tetrahedron Lett. 1993, 34:301;Ono et al., Biochemistry 1991, 30:9914;Arnold他、国際公開第89/02439号;Usman他、国際公開第95/06731号;Dudycz他、国際公開第95/11910号並びにFerentz and Verdine, J. Am. Chem. Soc. 1991, 113:4000に記載のものが挙げられる。「非ヌクレオチド」とは、糖置換及び/又はリン酸置換を含めて、1個以上のヌクレオチド単位の代わりに核酸鎖に組み入れることができ、siNA分子がRNAi活性を保持するのを、又はRNAi抑制性がその阻害活性を保持するのを可能にする、任意の基又は化合物を更に意味する。この基又は化合物は、例えば糖のC1位に、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミンなどの一般に認識されているヌクレオチド塩基を含まない点で、脱塩基であり得る。
一実施形態においては、本発明は、細胞内で、又は再構成されたインビトロ系内でRNA干渉(RNAi)を媒介し得る低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、2個の別々のオリゴヌクレオチドから組み立てられるsiNA分子の一方又は両方の鎖は、リボヌクレオチドを含まない(例えば、siNA分子の一方又は両方の鎖は、100%化学修飾されている)。例えば、siNA分子は、単一のオリゴヌクレオチドから組み立てることができ、siNAのセンス領域とアンチセンス領域は、オリゴヌクレオチド中に存在するリボヌクレオチド(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)を含まない、別々のオリゴヌクレオチドを含む。別の例においては、siNA分子は、単一のオリゴヌクレオチドから組み立てることができ、siNAのセンス領域とアンチセンス領域は、本明細書に記載のヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーによって連結又は環化され、オリゴヌクレオチドは、オリゴヌクレオチド中に存在するリボヌクレオチド(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)を含まない。本出願人は、驚くべきことに、siNA分子内のリボヌクレオチド(例えば、2’ヒドロキシル基を有するヌクレオチド)の存在がRNAi活性の維持に不要である、又は必須でないことを見いだした。したがって、一実施形態においては、siNA内の全位置は、細胞中でRNAi活性を維持するsiNA分子の能力が持続する程度に、式I、II、III、IV、V、VI若しくはVII又はその任意の組合せのヌクレオチド及び又は非ヌクレオチドなどの化学修飾ヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチドを含むことができる。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、HCV標的核酸配列に対して相補性を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含み、細胞又は再構成されたインビトロ系においてRNAi活性を媒介する、一本鎖siNA分子である。別の実施形態においては、本発明の一本鎖siNA分子は、5’末端リン酸基を含む。別の実施形態においては、本発明の一本鎖siNA分子は、5’末端リン酸基及び3’末端リン酸基を含む(例えば、2’,3’−環式リン酸)。別の実施形態においては、本発明の一本鎖siNA分子は、約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチドを含む。更に別の実施形態においては、本発明の一本鎖siNA分子は、本明細書に記載の1個以上の化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含む。例えば、siNA分子内の全位置は、細胞中でRNAi活性を維持するsiNA分子の能力が持続する程度に、式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せなどの化学修飾ヌクレオチドを含み得る。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、HCV標的核酸配列に対して相補性を有する一本鎖ポリヌクレオチドを含み、細胞又は再構成されたインビトロ系において、RNAi活性を媒介する、又はRNAi活性を交互に調節する、一本鎖siNA分子である。ここで、siNA中に存在する1個以上のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり(例えば、全ピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドであり、又は複数のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシピリミジンヌクレオチドである。)、アンチセンス領域中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ又は2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり(例えば、全プリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドであり、又は複数のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチル、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ若しくは2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシプリンヌクレオチドである。)、アンチセンス配列の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に存在してもよい、本明細書に記載の、又は図10に示す、任意の修飾などの末端キャップ修飾。SiNAは、約1から約4又はそれを超える(例えば、約1、2、3、4又はそれを超える)末端2’−デオキシヌクレオチドをsiNA分子の3’末端に更に含んでいてもよい。ここで、末端ヌクレオチドは、1個以上の(例えば、1、2、3、4又はそれを超える)ホスホロチオアート、ホスホノアセタート及び/又はチオホスホノアセタートヌクレオチド間結合を更に含み得、siNAは、5’末端リン酸基などの末端リン酸基を更に含んでいてもよい。これらの実施形態のいずれにおいても、アンチセンス領域中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、或いは、2’−デオキシプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドであり、又は複数のプリンヌクレオチドは2’−デオキシプリンヌクレオチドである。)。また、これらの実施形態のいずれにおいても、siNA中に存在する任意のプリンヌクレオチド(すなわち、センス及び/又はアンチセンス領域中に存在するプリンヌクレオチド)は、或いは、ロックされた核酸(LNA)ヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドはLNAヌクレオチドであり、又は複数のプリンヌクレオチドはLNAヌクレオチドである。)。また、これらの実施形態のいずれにおいても、siNA中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、或いは、2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドである(例えば、全プリンヌクレオチドは2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドであり、又は複数のプリンヌクレオチドは2’−メトキシエチルプリンヌクレオチドである。)。別の実施形態においては、本発明の一本鎖siNA分子中に存在する任意の修飾ヌクレオチドは、天然リボヌクレオチドと類似した諸性質又は諸特性を有する修飾ヌクレオチドを含む。例えば、本発明は、ノーザンコンホメーション(例えば、ノーザン擬回転サイクル。例えば、Saenger, Principles of Nucleic Acid Structure, Springer−Verlag ed., 1984参照)を有する修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子を特徴とする。したがって、本発明の一本鎖siNA分子中に存在する化学修飾ヌクレオチドは、好ましくは、RNAi媒介能力を同時に維持しながら、ヌクレアーゼ分解に耐性がある。
一実施形態においては、本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子は、2個以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14 15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又はそれを超える)2’−O−アルキル(例えば2’−O−メチル)修飾又はその任意の組合せを有するセンス鎖又はセンス領域を含む。別の実施形態においては、2’−O−アルキル修飾は、siNAのセンス鎖又はセンス領域中の、位置1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21など、又は位置2、4、6、8、10、12、14、16、18、20などの交互の位置にある。
一実施形態においては、本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子は、2個以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14 15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30又はそれを超える)2’−O−アルキル(例えば2’−O−メチル)修飾又はその任意の組合せを有するアンチセンス鎖又はアンチセンス領域を含む。別の実施形態においては、2’−O−アルキル修飾は、siNAのアンチセンス鎖又はアンチセンス領域中の、位置1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21など、又は位置2、4、6、8、10、12、14、16、18、20などの交互の位置にある。
一実施形態においては、本発明の化学修飾低分子干渉核酸(siNA)分子は、2個以上の(例えば、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14 15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30個又はそれを超える)2’−O−アルキル(例えば、2’−O−メチル)、2’−デオキシ−2’−フルオロ、2’−デオキシ若しくは脱塩基化学修飾又はその任意の組合せを各々有する、センス鎖又はセンス領域及びアンチセンス鎖又はアンチセンス領域を含む。別の実施形態においては、2’−O−アルキル修飾は、siNAのセンス鎖又はセンス領域中の、位置1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21など、又は位置2、4、6、8、10、12、14、16、18、20などの交互の位置にある。別の実施形態においては、2’−O−アルキル修飾は、siNAのアンチセンス鎖又はアンチセンス領域中の、位置1、3、5、7、9、11、13、15、17、19、21など、又は位置2、4、6、8、10、12、14、16、18、20などの交互の位置にある。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、(例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、2’−O−メチルヌクレオチドなどの式I−VIIのいずれかの)化学修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを、siNA分子の1個以上の鎖又は領域内の交互の位置に含む。例えば、かかる化学修飾は、siNAの3’末端又は5’末端から第1又は第2のヌクレオチドで始まる、RNAベースのsiNA分子の1つ置きの位置に導入することができる。非限定的例においては、siNAの各鎖が21ヌクレオチド長である、本発明の二本鎖siNA分子を特徴とする。ここで、各鎖の位置1、3、5、7、9、11、13、15、17、19及び21は、(例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、2’−O−メチルヌクレオチドなどの式I−VIIのいずれかの化合物で)化学修飾されている。別の非限定的例においては、siNAの各鎖が21ヌクレオチド長である、本発明の二本鎖siNA分子を特徴とする。ここで、各鎖の位置2、4、6、8、10、12、14、16、18及び20は、(例えば、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、2’−O−メチルヌクレオチドなどの式I−VIIのいずれかの化合物で)化学修飾されている。一実施形態においては、二本鎖siNA分子の一方の鎖は、位置2、4、6、8、10、12、14、16、18及び20の化学修飾、並びに位置1、3、5、7、9、11、13、15、17、19及び21の化学修飾を含む。かかるsiNA分子は、本明細書に記載の末端キャップ部分及び/又は骨格修飾を更に含み得る。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は以下の特徴を含む。すなわち、プリンヌクレオチドが、siNA分子の(ガイド配列又はガイド鎖とも称する)アンチセンス鎖又はアンチセンス領域の5’末端に(例えば、5’末端から1、2、3、4、5又は6位の末端ヌクレオチド位置のいずれかに)存在する場合には、かかるプリンヌクレオシドはリボヌクレオチドである。別の実施形態においては、プリンリボヌクレオチドは、存在するときには、siNA分子の(パッセンジャー鎖とも称する)センス鎖又はセンス領域のヌクレオチドと塩基対を形成する。かかるプリンリボヌクレオチドは、それ以外は修飾ヌクレオチドを含むsiNA安定化モチーフ中に存在し得る。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は以下の特徴を含む。すなわち、ピリミジンヌクレオチドが、siNA分子の(ガイド配列又はガイド鎖とも称する)アンチセンス鎖又はアンチセンス領域の5’末端に(例えば、5’末端から1、2、3、4、5又は6位の末端ヌクレオチド位置のいずれかに)存在する場合には、かかるピリミジンヌクレオシドはリボヌクレオチドである。別の実施形態においては、ピリミジンリボヌクレオチドは、存在するときには、siNA分子の(パッセンジャー鎖とも称する)センス鎖又はセンス領域のヌクレオチドと塩基対を形成する。かかるピリミジンリボヌクレオチドは、それ以外は修飾ヌクレオチドを含むsiNA安定化モチーフ中に存在し得る。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は以下の特徴を含む。すなわち、ピリミジンヌクレオチドが、siNA分子の(ガイド配列又はガイド鎖とも称する)アンチセンス鎖又はアンチセンス領域の5’末端に(例えば、5’末端から1、2、3、4、5又は6位の末端ヌクレオチド位置のいずれかに)存在する場合には、かかるピリミジンヌクレオシドは修飾ヌクレオチドである。別の実施形態においては、修飾ピリミジンヌクレオチドは、存在するときには、siNA分子の(パッセンジャー鎖とも称する)センス鎖又はセンス領域のヌクレオチドと塩基対を形成する。修飾ピリミジンヌクレオチドの非限定的例としては、2’−デオキシ、2’−デオキシ−2’−フルオロ、4’−チオ、2’−O−トリフルオロメチル、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシ、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシ、2’−O−メチルヌクレオチドなどの式I−VIIのいずれかの修飾ピリミジンヌクレオチドが挙げられる。
一実施形態においては、本発明は、構造SIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、任意のプリンヌクレオチドが、存在するときには、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは独立に、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシリボヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは独立に、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SIIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、任意のプリンヌクレオチドが、存在するときには、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドはリボヌクレオチドであり、センス鎖中に存在する任意のプリンヌクレオチド(上側の鎖)はリボヌクレオチドであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SIIIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、任意のプリンヌクレオチドが、存在するときには、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、リボヌクレオチドであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SIVを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、任意のプリンヌクレオチドが、存在するときには、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SVを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、任意のプリンヌクレオチドが、存在するときには、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは、リボ様配置(例えば、ノーザン又はA型ヘリックス配置)のヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは、リボ様配置(例えば、ノーザン又はA型ヘリックス配置)のヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SVIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、アンチセンス鎖(下側の鎖)の5’末端をセンス鎖(上側の鎖)の5’末端よりも熱的に不安定にする配列を含むヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは独立に、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシリボヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは独立に、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SVIIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であり、NX3はNX4に相補的であり、どの(N)ヌクレオチドも2’−O−メチル及び/又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドである。
一実施形態においては、本発明は、構造SVIIIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]はアンチセンス鎖(下側の鎖)の5’末端をセンス鎖(上側の鎖)の5’末端よりも熱的に不安定にする配列を含むヌクレオチド位置であり、[N]はリボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約15の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、X6は約1から約4の整数であり、X7は約9から約15の整数であり、NX7、NX6及びNX3は、NX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは独立に、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシリボヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは、[N]ヌクレオチド以外の2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは独立に、[N]ヌクレオチド以外の、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SIXを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは独立に、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシリボヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは独立に、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SXを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドはリボヌクレオチドであり、センス鎖中に存在する任意のプリンヌクレオチド(上側の鎖)はリボヌクレオチドであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SXIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、リボヌクレオチドであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SXIIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、デオキシリボヌクレオチドであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SXIIIを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]は、リボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約30の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、NX3はNX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは、リボ様配置(例えば、ノーザン又はA型ヘリックス配置)のヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは、リボ様配置(例えば、ノーザン又はA型ヘリックス配置)のヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルヌクレオチドであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、本発明は、構造SXIVを有する二本鎖核酸分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各Nは独立に、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、ヌクレオチドであり、各Bは、存在しても、しなくてもよい、末端キャップ部分であり、(N)は、無修飾でも、化学修飾されていてもよい、非塩基対形成ヌクレオチド又はオーバーハングヌクレオチドであり、[N]はリボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、[N]はリボヌクレオチドであるヌクレオチド位置であり、X1及びX2は独立に約0から約4の整数であり、X3は約9から約15の整数であり、X4は約11から約30の整数であって、ただしX4とX5の合計は17−36であり、X5は約1から約6の整数であり、X6は約1から約4の整数であり、X7は約9から約15の整数であり、NX7、NX6及びNX3は、NX4及びNX5に相補的であり、
(a)アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する任意のピリミジン(pyridmidine)ヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、アンチセンス鎖(下側の鎖)中に存在する、[N]ヌクレオチド位置のプリンヌクレオチド以外の任意のプリンヌクレオチドは独立に、2’−O−メチルヌクレオチド、2’−デオキシリボヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(b)センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のピリミジンヌクレオチドは、[N]ヌクレオチド以外の2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドであり、センス鎖(上側の鎖)中に存在する任意のプリンヌクレオチドは独立に、[N]ヌクレオチド以外の、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルヌクレオチド、又は2’−デオキシリボヌクレオチドと2’−O−メチルヌクレオチドの組合せであり、
(c)任意の(N)ヌクレオチドは、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2’−フルオロ又はデオキシリボヌクレオチドであってもよい。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、核酸分子のアンチセンス鎖又はアンチセンス領域の5’末端に末端リン酸基を含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、X5=1、2又は3;各X1及びX2=1又は2;X3=12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30並びにX4=15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30を含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、X5=1;各X1及びX2=2;X3=19並びにX4=18を含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、X5=2;各X1及びX2=2;X3=19並びにX4=17を含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、X5=3;各X1及びX2=2;X3=19並びにX4=16を含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、センス鎖又はセンス領域の3’及び5’末端にBを含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、アンチセンス鎖又はアンチセンス領域の3’末端にBを含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、センス鎖又はセンス領域の3’及び5’末端、並びにアンチセンス鎖又はアンチセンス領域の3’末端にBを含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、核酸分子のセンス鎖、アンチセンス鎖、又はセンス鎖とアンチセンス鎖の両方の3’末端上の第1の末端(N)に、1個以上のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を更に含む。例えば、二本鎖核酸分子は、ホスホロチオアートヌクレオチド間結合(例えば、(NsN))を含むオーバーハングヌクレオチド位置を有する、X1及び/又はX2=2を含み得る。ここで、「s」はホスホロチオアートを示す。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、2’−O−メチルヌクレオチドである(N)ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、2’−デオキシヌクレオチドである(N)ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、アンチセンス(下側の)鎖のN及び[N]ヌクレオチドに相補的である標的ポリヌクレオチド配列(例えば、HCV標的及び/又はHCV経路/宿主標的配列)中のヌクレオチドに相補的である(N)ヌクレオチドをアンチセンス鎖(下側の鎖)中に含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、標的ポリヌクレオチド配列(例えば、HCV標的及び/又はHCV経路/宿主標的配列)の約15から約30ヌクレオチドの隣接ヌクレオチド配列を含む(N)ヌクレオチドをセンス鎖(上側の鎖)中に含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、センス鎖の隣接(N)及びNヌクレオチド配列が標的核酸配列(例えば、HCV標的及び/又はHCV経路/宿主標的配列)のヌクレオチド配列を含むように、アンチセンス(下側の)鎖に相補的である標的ポリヌクレオチド配列(例えば、HCV標的及び/又はHCV経路/宿主標的配列)に対応するヌクレオチド配列を含む(N)ヌクレオチドをセンス鎖(上側の鎖)中に含む。
一実施形態においては、構造SVIII又はSXIVのどちらかを有する二本鎖核酸分子は、二本鎖核酸分子のセンス(上側の)鎖の5’末端のみにBを含む。
一実施形態においては、構造SI、SII、SIII、SIV、SV、SVI、SVII、SVIII、SIX、SX、SXII、SXIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、不対末端ヌクレオチドをアンチセンス(下側の)鎖の5’末端に更に含む。不対ヌクレオチドは、センス鎖と相補的でない。一実施形態においては、不対の末端ヌクレオチドは、アンチセンス鎖のN及び/又は[N]ヌクレオチドに相補的である標的ポリヌクレオチド配列に相補的である。別の実施形態においては、不対の末端ヌクレオチドは、アンチセンス(下側の)鎖のN及び/又は[N]ヌクレオチドに相補的である標的ポリヌクレオチド配列に相補的でない。
一実施形態においては、構造SVIII又はSXIVのいずれかを有する二本鎖核酸分子は、X6=1及びX3=10を含む。
一実施形態においては、構造SVIII又はSXIVのどちらかを有する二本鎖核酸分子は、X6=2及びX3=9を含む。
一実施形態においては、本発明は、表VIに示す調合物、例えば、LNP−051、LNP−053、LNP−054、LNP−069、LNP−073、LNP−077、LNP−080、LNP−082、LNP−083、LNP−060、LNP−061、LNP−086、LNP−097、LNP−098、LNP−099、LNP−100、LNP−101、LNP−102、LNP−103又はLNP−104(表VI参照)のいずれかとして調合されたsiNA分子又は二本鎖核酸分子又はRNAi阻害剤を含む組成物を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、互いに相補的である第1の鎖と第2の鎖を各々有する、第1の二本鎖核酸分子と第2の二本鎖核酸分子とを含む組成物を特徴とする。ここで、第1の二本鎖核酸分子の第2の鎖は、配列番号1444である第1のHCV配列に相補的である配列を含み、第2の二本鎖核酸分子の第2の鎖は、配列番号1417である第2のHCV配列に相補的である配列を含む。一実施形態においては、組成物は、陽イオン性脂質、中性脂質及びポリエチレングリコール抱合体を更に含む。一実施形態においては、組成物は、陽イオン性脂質、中性脂質、ポリエチレングリコール抱合体及びコレステロールを更に含む。一実施形態においては、組成物は、ポリエチレングリコール抱合体、コレステロール及び界面活性剤を更に含む。一実施形態においては、陽イオン性脂質は、CLinDMA、pCLinDMA、eCLinDMA、DMOBA及びDMLBAからなる群から選択される。一実施形態においては、中性脂質は、DSPC、DOBA及びコレステロールからなる群から選択される。一実施形態においては、ポリエチレングリコール抱合体は、PEG−ジミリストイルグリセリン及びPEG−コレステロールからなる群から選択される。一実施形態においては、PEGは2KPEGである。一実施形態においては、界面活性剤は、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びリノレイルアルコールからなる群から選択される。一実施形態においては、陽イオン性脂質はCLinDMAであり、中性脂質はDSPCであり、ポリエチレングリコール抱合体は2KPEG−DMGであり、コレステロールはコレステロールであり、界面活性剤はリノレイルアルコールである。一実施形態においては、CLinDMA、DSPC、2KPEG−DMG、コレステロール及びリノレイルアルコールは、それぞれ43:38:10:2:7のモル比で存在する。
一実施形態においては、本発明は、互いに相補的である第1の鎖と第2の鎖を各々有する、第1の二本鎖核酸分子と第2の二本鎖核酸分子とを含む組成物を特徴とする。ここで、第1の二本鎖核酸分子の第2の鎖は、配列番号1444のHCV配列に相補的である配列を含み、第2の二本鎖核酸分子の第2の鎖は、配列番号1417のHCV配列に相補的である配列を含む。一実施形態においては、組成物は、陽イオン性脂質、中性脂質及びポリエチレングリコール抱合体を更に含む。一実施形態においては、組成物は、陽イオン性脂質、中性脂質、ポリエチレングリコール抱合体及びコレステロールを更に含む。一実施形態においては、組成物は、ポリエチレングリコール抱合体、コレステロール及び界面活性剤を更に含む。一実施形態においては、陽イオン性脂質は、CLinDMA、pCLinDMA、eCLinDMA、DMOBA及びDMLBAからなる群から選択される。一実施形態においては、中性脂質は、DSPC、DOBA及びコレステロールからなる群から選択される。一実施形態においては、ポリエチレングリコール抱合体は、PEG−ジミリストイルグリセリン及びPEG−コレステロールからなる群から選択される。一実施形態においては、PEGは2KPEGである。一実施形態においては、界面活性剤は、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びリノレイルアルコールからなる群から選択される。一実施形態においては、陽イオン性脂質はCLinDMAであり、中性脂質はDSPCであり、ポリエチレングリコール抱合体は2KPEG−DMGであり、コレステロールはコレステロールであり、界面活性剤はリノレイルアルコールである。一実施形態においては、CLinDMA、DSPC、2KPEG−DMG、コレステロール及びリノレイルアルコールは、それぞれ43:38:10:2:7のモル比で存在する。一実施形態においては、第1の二本鎖核酸分子の第1の鎖及び第2の鎖は、それぞれ配列番号1796及び2010を含み、第2の二本鎖核酸分子の第1の鎖及び第2の鎖は、それぞれ配列番号1677及び2011を含む。一実施形態においては、第1の二本鎖核酸分子の第1の鎖及び第2の鎖は、それぞれ配列番号1796及び2012を含み、第2の二本鎖核酸分子の第1の鎖及び第2の鎖は、それぞれ配列番号1677及び2013を含む。一実施形態においては、第1の二本鎖核酸分子の第1の鎖及び第2の鎖は、それぞれ配列番号1796及び2102を含み、第2の二本鎖核酸分子の第1の鎖及び第2の鎖は、それぞれ配列番号1677及び2103を含む。
本明細書の実施形態のいずれにおいても、本発明のsiNA分子は、RNA干渉又はRNA干渉の阻害によって、1個以上の標的の発現を調節する。一実施形態においては、RNA干渉は、RISCによって媒介される標的の切断(例えば、siRNAによって媒介されるRNA干渉)である。一実施形態においては、RNA干渉は、標的の翻訳阻害(例えば、miRNAによって媒介されるRNA干渉)である。一実施形態においては、RNA干渉は、標的の転写阻害(例えば、siRNAによって媒介される転写サイレンシング)である。一実施形態においては、RNA干渉は細胞質中で起こる。一実施形態においては、RNA干渉は核中で起こる。
本明細書の実施形態のいずれにおいても、本発明のsiNA分子は、内因性mRNA、siRNA、miRNAなどの内因性標的RNAを阻害することによって、又はRISCを阻害することによって、1個以上の標的の発現を調節する。
一実施形態においては、本発明は、miRNA阻害、siRNA阻害又はRISC阻害によって1個以上の遺伝子標的の発現を調節する、1種類以上のRNAi阻害剤を特徴とする。
一実施形態においては、本発明のRNAi阻害剤は、1個以上の標的miRNA又はsiRNA分子に相補的である1本以上の鎖を有する、本明細書に記載のsiNA分子である。
一実施形態においては、本発明のRNAi阻害剤は、標的miRNA若しくはsiRNA分子又はその一部に相補的であるアンチセンス分子である。本発明のアンチセンスRNAi阻害剤は、約10から約40ヌクレオチド長(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40ヌクレオチド長)の長さであり得る。本発明のアンチセンスRNAi阻害剤は、本明細書に記載の1個以上の修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含み得る(例えば、本明細書の式I−VIIのいずれかの分子、又はその任意の組合せを参照されたい。)。一実施形態においては、本発明のアンチセンスRNAi阻害剤は、1個以上又は全部の2’−O−メチルヌクレオチドを含み得る。一実施形態においては、本発明のアンチセンスRNAi阻害剤は、1個以上又は全部の2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドを含み得る。一実施形態においては、本発明のアンチセンスRNAi阻害剤は、1個以上又は全部の(2’−メトキシエトキシ又はMOEとしても知られる)2’−O−メトキシ−エチルヌクレオチドを含み得る。一実施形態においては、本発明のアンチセンスRNAi阻害剤は、1個以上又は全部のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含み得る。一実施形態においては、アンチセンスRNA阻害剤又は本発明は、アンチセンスRNA阻害剤の3’末端に、5’末端に、又は5’末端と3’末端の両方に末端キャップ部分を含み得る。
一実施形態においては、本発明のRNAi阻害剤は、調節可能なアプタマーなど、RISCに対する結合親和性を有する核酸アプタマーである(例えば、An et al., 2006, RNA, 12:710−716参照)。本発明のアプタマーRNAi阻害剤は、約10から約50ヌクレオチド長(例えば、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50ヌクレオチド長)の長さであり得る。本発明のアプタマーRNAi阻害剤は、本明細書に記載の1個以上の修飾ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含み得る(例えば、本明細書の式I−VIIのいずれかの分子、又はその任意の組合せを参照されたい。)。一実施形態においては、本発明のアプタマーRNAi阻害剤は、1個以上又は全部の2’−O−メチルヌクレオチドを含み得る。一実施形態においては、本発明のアプタマーRNAi阻害剤は、1個以上又は全部の2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドを含み得る。一実施形態においては、本発明のアプタマーRNAi阻害剤は、1個以上又は全部の(2’−メトキシエトキシ又はMOEとしても知られる)2’−O−メトキシ−エチルヌクレオチドを含み得る。一実施形態においては、本発明のアプタマーRNAi阻害剤は、1個以上又は全部のホスホロチオアートヌクレオチド間結合を含み得る。一実施形態においては、アプタマーRNA阻害剤又は本発明は、アプタマーRNA阻害剤の3’末端に、5’末端に、又は5’末端と3’末端の両方に末端キャップ部分を含み得る。
一実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾されていても、無修飾でもよい、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1本は、HCV標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含む。)、及び(b)細胞におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下でsiNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内のHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾されていても、無修飾でもよい、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1本は、HCV標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含み、siNAのセンス鎖配列は、HCV標的RNAの配列と同一である、又はかなり類似した配列を含む。)、及び(b)細胞におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下でsiNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内のHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾されていても、無修飾でもよい、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1本は、HCV標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含む。)、及び(b)細胞におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下でsiNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内の1個を超えるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾されていても、無修飾でもよい、本発明の1種類以上のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖は、HCV標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含み、siNAのセンス鎖配列は、HCV標的RNAの配列と同一である、又はかなり類似した配列を含む。)、及び(b)細胞におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下でsiNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内の2個以上のHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾されていても、無修飾でもよい、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1本は、HCV標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含み、siNAのセンス鎖配列は、HCV標的RNAの配列と同一である、又はかなり類似した配列を含む。)、及び(b)細胞におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下でsiNA分子を細胞に導入することを含む、細胞内の1個を超えるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、生体外用途における試薬として使用される。例えば、siNA試薬は、治療効果のために、対象に移植された組織又は細胞中に導入される。細胞及び/又は組織は、外植片をその後に移植される生物体又は対象から得ることができ、又は別の生物体又は対象から移植前に得ることができる。siNA分子を使用して、細胞又は組織中の1個以上の遺伝子の発現を調節することができ、細胞又は組織は、所望の表現型を獲得し、又はインビボで移植したときに機能することができる。一実施形態においては、患者由来のある標的細胞(例えば、肝細胞)を採取する。採取した細胞を、この細胞によるsiNAの取り込みに適切な条件下で(例えば、細胞中へのsiNAの送達を促進するために、陽イオン性脂質、リポソームなどの送達試薬を用いて、又は電気穿孔法などの技術を用いて)、細胞内の特定のヌクレオチド配列を標的にしたsiNAと接触させる。次いで、同じ患者又は他の患者に細胞を再導入する。
一実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の一方は、標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含む。)、及び(b)組織外植片における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、特定の生物体から得られた組織外植片の細胞にsiNA分子を導入することを含む、組織外植片(例えば、一生物体から別の生物体に移植することができる、又は器官、組織若しくは細胞が得られた同じ生物体に戻すことができる、肝臓又は任意の他の器官、組織若しくは細胞)における標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。別の実施形態においては、この方法は、組織が得られた生物体に、又は別の生物体に、生物体における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、組織外植片を戻すことを更に含む。
一実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の一方は、標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含み、siNAのセンス鎖配列は、標的RNAの配列と同一である、又は実質的に類似した、配列を含む。)、及び(b)組織外植片における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、特定の生物体から得られた組織外植片の細胞にsiNA分子を導入することを含む、組織外植片(例えば、一生物体から別の生物体に移植することができる、又は器官、組織若しくは細胞が得られた同じ生物体に戻すことができる、肝臓又は任意の他の器官、組織若しくは細胞)における標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。別の実施形態においては、この方法は、組織が得られた生物体に、又は別の生物体に、生物体における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、組織外植片を戻すことを更に含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の一方は、標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含む。)、及び(b)組織外植片における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、特定の生物体から得られた組織外植片の細胞にsiNA分子を導入することを含む、組織外植片(例えば、一生物体から別の生物体に移植することができる、又は器官、組織若しくは細胞が得られた同じ生物体に戻すことができる、肝臓又は任意の他の器官、組織若しくは細胞)における1種類を超える標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。別の実施形態においては、この方法は、組織が得られた生物体に、又は別の生物体に、生物体における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、組織外植片を戻すことを更に含む。
一実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1本は、標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含む。)、及び(b)対象又は生物体における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、siNA分子を対象又は生物体に導入することを含む、対象又は生物体における標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。標的タンパク質又はRNAのレベルは、当分野で周知の種々の方法によって求めることができる。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1本は、標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含む。)、及び(b)対象又は生物体における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、siNA分子を対象又は生物体に導入することを含む、対象又は生物体における1個を超える標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。標的タンパク質又はRNAのレベルは、当分野で公知のとおりに求めることができる。
一実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNAは、標的遺伝子のRNAに対して相補性を有する一本鎖配列を含む。)、及び(b)細胞における標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下でsiNA分子を細胞に導入することを含む、細胞(例えば、肝細胞)内の標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNAは、HCV標的遺伝子のRNAに対して相補性を有する一本鎖配列を含む。)、及び(b)細胞におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、細胞をインビトロ又はインビボでsiNA分子と接触させることを含む、細胞(例えば、肝細胞)内の1個を超えるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNAは、HCV標的遺伝子のRNAに対して相補性を有する一本鎖配列を含む。)、及び(b)組織外植片におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、特定の対象又は生物体から得られた組織外植片の細胞をsiNA分子と接触させることを含む、組織外植片((例えば、一生物体から別の生物体に移植することができる、又は器官、組織若しくは細胞が得られた同じ生物体に戻すことができる、肝臓又は任意の他の器官、組織若しくは細胞)におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。別の実施形態においては、この方法は、組織が得られた対象若しくは生物体に、又は別の対象若しくは生物体に、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、組織外植片を戻すことを更に含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNAは、HCV標的遺伝子のRNAに対して相補性を有する一本鎖配列を含む。)、及び(b)組織外植片におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、特定の対象又は生物体から得られた組織外植片の細胞にsiNA分子を導入することを含む、組織外植片(例えば、一生物体から別の生物体に移植することができる、又は器官、組織若しくは細胞が得られた同じ生物体に戻すことができる、肝臓又は任意の他の器官、組織若しくは細胞)における1個を超えるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。別の実施形態においては、この方法は、組織が得られた対象若しくは生物体に、又は別の対象若しくは生物体に、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、組織外植片を戻すことを更に含む。
一実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNAは、HCV標的遺伝子のRNAに対して相補性を有する一本鎖配列を含む。)、及び(b)対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、siNA分子を対象又は生物体に導入することを含む、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNAは、HCV標的遺伝子のRNAに対して相補性を有する一本鎖配列を含む。)、及び(b)対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、siNA分子を対象又は生物体に導入することを含む、対象又は生物体における1個を超えるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体における標的遺伝子の発現を調節するのに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む、対象又は生物体における遺伝子発現又は活性に関係する疾患、障害、形質又は症状を治療又は予防する方法を特徴とする。遺伝子発現の減少、したがってそれぞれのタンパク質/RNAのレベルの減少によって、疾患、障害、形質又は症状の症候がある程度緩和される。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節するのに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含み、それによってHCV感染症を治療又は予防することができる、対象又は生物体におけるHCV感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。一実施形態においては、本発明は、肝細胞、肝組織など、関連する組織又は細胞に局所投与することによって、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを特徴とする。一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV感染症の持続又は発生に関与する組織又は細胞など、関連する組織又は細胞に(siNAの静脈内又は皮下投与などによって)全身投与することによって、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを特徴とする。本発明のsiNA分子は、対象又は生物体における適切な組織又は細胞を標的にするために、本明細書に記載するとおりに、又は当分野で公知のとおりに、処方又は抱合することができる。siNA分子は、対象又は生物体におけるHCV感染症の治療又は予防のための当分野で公知の他の治療処置及び様式と組み合わせることができる。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節するのに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含み、それによって肝不全又は症状を治療又は予防することができる、対象又は生物体における肝不全又は症状を治療又は予防する方法を特徴とする。一実施形態においては、本発明は、肝不全に関与する肝細胞及び組織など、関連する組織又は細胞に局所投与することによって、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを特徴とする。一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体における肝不全又は症状の持続又は発生に関与する組織又は細胞など、関連する組織又は細胞に(siNAの静脈内又は皮下投与などによって)全身投与することによって、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを特徴とする。本発明のsiNA分子は、対象又は生物体における適切な組織又は細胞を標的にするために、本明細書に記載するとおりに、又は当分野で公知のとおりに、処方又は抱合することができる。siNA分子は、対象又は生物体における肝臓の不全、形質、障害又は症状の治療又は予防のための当分野で公知の他の治療処置及び様式と組み合わせることができる。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節するのに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含み、それによって肝細胞癌を治療又は予防することができる、対象又は生物体における肝細胞癌を治療又は予防する方法を特徴とする。一実施形態においては、本発明は、肝細胞癌に関与する肝細胞及び組織など、関連する組織又は細胞に局所投与することによって、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを特徴とする。一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体における肝細胞癌の持続又は発生に関与する組織又は細胞など、関連する組織又は細胞に(siNAの静脈内又は皮下投与などによって)全身投与することによって、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを特徴とする。本発明のsiNA分子は、対象又は生物体における適切な組織又は細胞を標的にするために、本明細書に記載するとおりに、又は当分野で公知のとおりに、処方又は抱合することができる。siNA分子は、対象又は生物体における肝細胞癌の治療又は予防のための当分野で公知の他の治療処置及び様式と組み合わせることができる。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節するのに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含み、それによって肝硬変、障害、形質又は症状を治療又は予防することができる、対象又は生物体における肝硬変、障害、形質又は症状を治療又は予防する方法を特徴とする。一実施形態においては、本発明は、肝硬変、障害、形質又は症状に関与する細胞及び組織など、関連する組織又は細胞に局所投与することによって、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを特徴とする。一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体における肝硬変、障害、形質又は症状の持続又は発生に関与する組織又は細胞など、関連する組織又は細胞に(siNAの静脈内又は皮下投与などによって)全身投与することによって、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを特徴とする。本発明のsiNA分子は、対象又は生物体における適切な組織又は細胞を標的にするために、本明細書に記載するとおりに、又は当分野で公知のとおりに、処方又は抱合することができる。siNA分子は、対象又は生物体における肝硬変、形質、障害又は症状の治療又は予防のための当分野で公知の他の治療処置及び様式と組み合わせることができる。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV遺伝子発現の阻害剤の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む、対象又は生物体におけるHCV感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV遺伝子発現の阻害剤の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む、対象又は生物体における肝不全を治療又は予防する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV遺伝子発現の阻害剤の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む、対象又は生物体における肝細胞癌を治療又は予防する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV遺伝子発現の阻害剤の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明のsiNA分子と接触させることを含む、対象又は生物体における肝硬変を治療又は予防する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、PEGインターフェロンを本発明のsiNA分子と組み合わせて対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、PEGインターフェロン及びsiNA分子は、PEGインターフェロン及びsiNA分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、米国仮出願第60/678,531号、並びに関係する2005年7月29日に出願された米国仮出願第60/703,946号、2005年11月15日に出願された米国仮出願第60/737,024号、及び2006年2月14日に出願された米国特許出願第11/353,630号(Vargeese他)に記載された組成物として処方される。
一実施形態においては、本発明は、リバビリンを本発明のsiNA分子と組み合わせて対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、リバビリン及びsiNA分子は、リバビリン及びsiNA分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、PEGインターフェロン及びリバビリンを本発明のsiNA分子と組み合わせて対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、PEGインターフェロン、リバビリン及びsiNA分子は、PEGインターフェロン、リバビリン及びsiNA分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてPEGインターフェロンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有する。PEGインターフェロン及び二本鎖核酸分子は、PEGインターフェロン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてリバビリンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有する。リバビリン及び二本鎖核酸分子は、リバビリン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてPEGインターフェロン及びリバビリンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有する。PEGインターフェロン、リバビリン及び二本鎖核酸分子は、PEGインターフェロン、リバビリン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてPEGインターフェロンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有し、(e)二本鎖核酸分子の各鎖の内部ヌクレオチドの少なくとも20%は、化学修飾を有する修飾ヌクレオシドであり、(f)化学修飾の少なくとも2個は互いに異なる。PEGインターフェロン及び二本鎖核酸分子は、PEGインターフェロン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてリバビリンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有し、(e)二本鎖核酸分子の各鎖の内部ヌクレオチドの少なくとも20%は、化学修飾を有する修飾ヌクレオシドであり、(f)化学修飾の少なくとも2個は互いに異なる。リバビリン及び二本鎖核酸分子は、リバビリン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてPEGインターフェロン及びリバビリンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有し、(e)二本鎖核酸分子の各鎖の内部ヌクレオチドの少なくとも20%は、化学修飾を有する修飾ヌクレオシドであり、(f)化学修飾の少なくとも2個は互いに異なる。PEGインターフェロン、リバビリン及び二本鎖核酸分子は、PEGインターフェロン、リバビリン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてPEGインターフェロンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有し、(e)二本鎖核酸分子の各鎖の内部ヌクレオチドの少なくとも20%は、糖修飾を有する修飾ヌクレオシドであり、(f)糖修飾の少なくとも2個は互いに異なる。PEGインターフェロン及び二本鎖核酸分子は、PEGインターフェロン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてリバビリンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有し、(e)二本鎖核酸分子の各鎖の内部ヌクレオチドの少なくとも20%は、糖修飾を有する修飾ヌクレオシドであり、(f)糖修飾の少なくとも2個は互いに異なる。リバビリン及び二本鎖核酸分子は、リバビリン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、化学合成された二本鎖核酸分子と組み合わせてPEGインターフェロン及びリバビリンを対象に投与することを含む、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)感染症を治療又は予防する方法を特徴とする。ここで、(a)二本鎖核酸分子は、センス鎖及びアンチセンス鎖を含み、(b)二本鎖核酸分子の各鎖は15から28ヌクレオチド長であり、(c)センス鎖の少なくとも15ヌクレオチドは、アンチセンス鎖に相補的であり、(d)二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖は、C型肝炎ウイルス(HCV)標的RNAに対して相補性を有し、(e)二本鎖核酸分子の各鎖の内部ヌクレオチドの少なくとも20%は、糖修飾を有する修飾ヌクレオシドであり、(f)糖修飾の少なくとも2個は互いに異なる。PEGインターフェロン、リバビリン及び二本鎖核酸分子は、PEGインターフェロン、リバビリン及び二本鎖核酸分子による治療を受けていない対象に比較して、対象におけるC型肝炎ウイルス(HCV)レベルを低下させるのに、又は抑制するのに適切な条件下で投与される。
一実施形態においては、本発明は、PEGインターフェロン及び本発明の1種類以上の二本鎖核酸分子又はsiNA分子を薬剤として許容される担体又は希釈剤中に含む、組成物を特徴とする。別の実施形態においては、本発明は、PEGインターフェロン、リバビリン、Vertex VX−950、Actilon(CPG 10101)及び/又はIsatoribine(TLR−7作動物質)並びに本発明の1個以上の二本鎖核酸分子又はsiNA分子を薬剤として許容される担体又は希釈剤中に含む、組成物を特徴とする。
一実施形態においては、本発明の治療方法は、インターフェロン(例えば、インターフェロン−アルファ、又はPEG−Intron、Rebetol、Rebetron、PegasysなどのPEGインターフェロン)、リバビリン、Vertex VX−950、Actilon(CPG 10101)又はIsatoribine(TLR−7作動物質)を含めて、1つ以上の他の治療様式と組み合わせた本発明の二本鎖核酸分子の投与を特徴とする。別の実施形態においては、かかる併用療法を、本明細書に記載の実施形態のいずれにも利用することができる。
本発明の治療方法のいずれにおいても、siNAを対象に治療コースとして投与することができ、例えば、治療コースを通して1日1回、治療コースを通して2日ごとに1回、治療コースを通して3日ごとに1回、治療コースを通して4日ごとに1回、治療コースを通して5日ごとに1回、治療コースを通して6日ごとに1回、治療コースを通して1週間に1回、治療コースを通して隔週で1回、治療コースを通して1か月に1回などの種々の時間間隔で投与することができる。一実施形態においては、治療コースは、1、2、3、4、5、6、7、8、9又は10週ごとに1回である。一実施形態においては、治療コースは、約1から約52週間又はそれ以上(例えば、無期限)である。一実施形態においては、治療コースは、約1から約48か月間又はそれ以上(例えば、無期限)である。
一実施形態においては、治療コースは、固定間隔(例えば、1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×又はそれ以上)で1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれを超える週ごとに1回などの初期治療コースと、それに続く追加の固定間隔(例えば、1×、2×、3×、4×、5×、6×、7×、8×、9×、10×又はそれを超える)で4、6、8、10、15、20、25、30、35、40又はそれを超える週ごとに1回などの治療維持コースとを含む。
本発明の治療方法のいずれにおいても、siNAは、本明細書に記載の、又は当分野で公知のとおりに、単独療法として単体で、又は追加の療法と組み合わせて、本明細書に記載するとおりに、又は当分野で公知のとおりに、対象に全身投与することができる。全身投与としては、例えば、当分野で一般に公知である、肺(吸入、噴霧など) 静脈内、皮下、筋肉内、カテーテル法、鼻咽頭(nasopharangeal)、経皮又は経口/胃腸投与が挙げられる。
一実施形態においては、本発明の治療又は予防の方法のいずれにおいても、siNAは、当分野で公知のとおりに、単独療法として単体で、又は追加の療法と組み合わせて、本明細書に記載するとおりに、又は当分野で公知のとおりに、対象に局所的に、又は局所組織に、投与することができる。局所投与としては、例えば、当分野で一般に公知である、関連組織への吸入、噴霧、カテーテル法、移植、直接注射、皮膚/経皮投与、ステント術、点耳/点眼若しくは門脈投与、又は任意の他の局所投与技術、方法若しくは手順が挙げられる。
別の実施形態においては、本発明は、対象又は生物体におけるHCV標的遺伝子の発現を調節する(例えば、阻害する)のに適切な条件下で、対象又は生物体を本発明の1種類以上のsiNA分子と接触させることを含む、対象又は生物体における1個を超えるHCV標的遺伝子の発現を調節する方法を特徴とする。
本発明のsiNA分子は、種々の核酸分子のRNAiターゲティングによって、標的遺伝子発現を下方制御又は阻害するように設計することができる。一実施形態においては、本発明のsiNA分子を用いて、例えば異質染色質サイレンシング又は転写阻害によって、標的遺伝子に対応する種々のDNAを標的にする。一実施形態においては、本発明のsiNA分子を用いて、例えばRNA標的切断又は翻訳阻害によって、標的遺伝子に対応する種々のRNAを標的にする。かかるRNAの非限定的例としては、メッセンジャーRNA(mRNA)、非コードRNA(ncRNA)、又はmiRNA及び他の低分子RNAを含む調節エレメント(例えば、Mattick, 2005, Science, 309, 1527−1528及びClaverie, 2005, Science, 309, 1529−1530参照)、標的遺伝子の代替(alternate)RNAスプライスバリアント、標的遺伝子の転写後修飾RNA、標的遺伝子のpre−mRNA、及び/又はRNAテンプレートが挙げられる。代替(alternate)スプライシングによって、適切なエキソンを用いて区別される転写物ファミリーが生成する場合には、本発明によって適切なエキソンを介して遺伝子発現を阻害して、遺伝子ファミリーメンバーの機能を特異的に阻害する、又は区別することができる。例えば、選択的にスプライスされた膜貫通領域を含むタンパク質は、膜結合型と分泌型の両方で発現され得る。膜貫通領域を含むエキソンを標的にするために本発明を使用して、タンパク質の分泌型に対立するものとして、膜結合型の薬剤ターゲティングの機能的結果を判定することができる。これらのRNA分子のターゲティングに関係した本発明の非限定的適用例としては、治療薬剤用途、化粧品用途、獣医学用途、創薬用途、分子診断及び遺伝子機能用途、並びに、例えば本発明のsiNA分子を用いた一塩基多型マッピングによる、遺伝子地図が挙げられる。かかる適用例は、公知の遺伝子配列を用いて、又は発現配列タグ(EST)から利用可能な部分配列から、実施することができる。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子を用いて、HCVファミリー遺伝子(例えば、公知の全HCV系統、関係するHCV系統の群、又は異なるHCV系統の群)などの遺伝子ファミリーに対応する保存配列を標的にする。したがって、複数のHCV標的を標的にするsiNA分子によって、治療効果を増大させることができる。また、siNAを用いて、多様な用途において遺伝子機能経路を特徴づけることができる。例えば、本発明によって、経路中の標的遺伝子の活性を阻害して、遺伝子機能分析、mRNA機能分析又は翻訳分析において、特徴づけられていない遺伝子の機能を明らかにすることができる。本発明によって、薬剤開発に向けて、種々の疾患及び症状に関与する標的遺伝子経路候補を決定することができる。
また、siNAを用いて、多様な用途において遺伝子機能経路を特徴づけることができる。例えば、本発明によって、経路中の標的遺伝子の活性を阻害して、遺伝子機能分析、mRNA機能分析又は翻訳分析において、特徴づけられていない遺伝子の機能を明らかにすることができる。本発明によって、薬剤開発に向けて、種々の疾患及び症状に関与する標的遺伝子経路候補を決定することができる。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子及び/又は方法を用いて、Genbankアクセッションによって参照されるRNAをコードする遺伝子、例えば、Genbankアクセッション番号、例えば、表Iに示すGenBankアクセッション番号、又はそのすべてを参照により本明細書に組込む、PCT/US03/05028、米国仮出願第60/363,124号及び米国特許出願第10/923,536号及び米国特許出願第10/444,853号に記載のGenbankアクセッション番号によって本明細書で参照されるRNA配列をコードする標的遺伝子の発現を下方制御する。
一実施形態においては、本発明は、(a)所定の複雑性を有するsiNA構築体のライブラリーを作製すること、及び(b)標的RNA配列内のRNAi標的部位を決定するのに適切な条件下で、上記(a)のsiNA構築体を分析することを含む、方法を特徴とする。一実施形態においては、(a)のsiNA分子は、一定の長さ、例えば、約23ヌクレオチド長の鎖を有する。別の実施形態においては、(a)のsiNA分子は異なる長さ、例えば約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチド長の鎖を有する。一実施形態においては、アッセイは、本明細書に記載の、再構成されたインビトロsiNAアッセイを含み得る。別の実施形態においては、アッセイは、標的RNAが発現される細胞培養系を含み得る。別の実施形態においては、標的RNA断片の検出可能な切断レベルを、例えば、ゲル電気泳動、ノーザンブロット分析又はRNAse保護アッセイによって分析して、標的RNA配列内の最も適切な標的部位を決定する。標的RNA配列は、例えば、インビトロ系のクローニング及び/又は転写によって、また、インビボ系における細胞発現によって、当分野で公知のとおりに得ることができる。
一実施形態においては、本発明は、(a)4などの所定の複雑性を有するsiNA構築体の無作為化ライブラリーを作製すること(ここで、Nは、siNA構築体鎖の各々における塩基対形成ヌクレオチド数である(例えば、19塩基対を含む、21ヌクレオチドセンス鎖及びアンチセンス鎖を有するsiNA構築体の場合、複雑性は419となる。)。)、及び(b)標的RNA配列内のRNAi標的部位を決定するのに適切な条件下で、上記(a)のsiNA構築体を分析することを含む、方法を特徴とする。別の実施形態においては、(a)のsiNA分子は、一定の長さ、例えば、約23ヌクレオチド長の鎖を有する。更に別の実施形態においては、(a)のsiNA分子は異なる長さ、例えば約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチド長の鎖を有する。一実施形態においては、アッセイは、本明細書の実施例6に記載の、再構成されたインビトロsiNAアッセイを含み得る。別の実施形態においては、アッセイは、標的RNAが発現される細胞培養系を含み得る。別の実施形態においては、標的RNA断片の検出可能な切断レベルを、例えば、ゲル電気泳動、ノーザンブロット分析又はRNAse保護アッセイによって分析して、標的RNA配列内の最も適切な標的部位を決定する。標的RNA配列は、例えば、インビトロ系のクローニング及び/又は転写によって、また、インビボ系における細胞発現によって、当分野で公知のとおりに得ることができる。
別の実施形態においては、本発明は、(a)標的遺伝子によってコードされるRNA標的の配列を解析すること、(b)(a)のRNAの1個以上の領域に相補的である配列を有するsiNA分子の1組以上を合成すること、及び(c)標的RNA配列内のRNAi標的を決定するのに適切な条件下で(b)のsiNA分子を分析することを含む、方法を特徴とする。一実施形態においては、(b)のsiNA分子は、一定の長さ、例えば、約23ヌクレオチド長の鎖を有する。別の実施形態においては、(b)のsiNA分子は異なる長さ、例えば約15から約30(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)ヌクレオチド長の鎖を有する。一実施形態においては、アッセイは、本明細書に記載の、再構成されたインビトロsiNAアッセイを含み得る。別の実施形態においては、アッセイは、標的RNAが発現される細胞培養系を含み得る。標的RNA断片の検出可能な切断レベルを、例えば、ゲル電気泳動、ノーザンブロット分析又はRNAse保護アッセイによって分析して、標的RNA配列内の最も適切な標的部位を決定する。標的RNA配列は、例えば、インビトロ系のクローニング及び/又は転写によって、また、インビボ系における発現によって、当分野で公知のとおりに得ることができる。
「標的部位」とは、標的配列に相補的である配列をそのアンチセンス領域内に含むsiNA構築体によって媒介される切断のために「標的にされ」る標的RNA内の配列を意味する。
「検出可能な切断レベル」とは、標的RNAの無作為分解によって生成されるRNAのバックグラウンドを超えて、切断産物を識別するのに十分な程度の標的RNAの切断(及び切断された生成物RNAの形成)を意味する。標的RNAの1−5%からの切断産物の生成は、大部分の検出方法のバックグラウンドを超えて検出するのに十分である。
一実施形態においては、本発明は、薬剤として許容される担体又は希釈剤中に、本発明の化学修飾され得るsiNA分子を含む、組成物を特徴とする。別の実施形態においては、本発明は、薬剤として許容される担体又は希釈剤中に、化学修飾され得る、1個以上の遺伝子を標的にした、本発明のsiNA分子を含む、薬剤組成物を特徴とする。別の実施形態においては、本発明は、対象における疾患、形質又は症状の診断に適切な条件下で、本発明の組成物を対象に投与することを含む、対象における疾患、形質又は症状を診断する方法を特徴とする。別の実施形態においては、本発明は、対象における疾患、形質又は症状の治療又は予防に適切な条件下で、単独で、又は1種類以上の他の治療化合物と併せて、本発明の組成物を対象に投与することを含む、疾患、形質又は症状を治療又は予防する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1本は、標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含む。)、(b)細胞、組織、対象又は生物体における標的遺伝子の発現を調節するのに適切な条件下で、細胞、組織、対象又は生物体にsiNA分子を導入すること、及び(c)細胞、組織、対象又は生物体における任意の表現型の変化を評価することによって、遺伝子の機能を明らかにすることを含む、標的遺伝子標的を確認する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)化学修飾され得る、本発明のsiNA分子を合成すること(ここで、siNA鎖の1本は、標的遺伝子のRNAに相補的である配列を含む。)、(b)生物系における標的遺伝子の発現を調節するのに適切な条件下で、生物系にsiNA分子を導入すること、及び(c)生物系における任意の表現型の変化を評価することによって、遺伝子の機能を明らかにすることを含む、標的を確認する方法を特徴とする。
「生物系」とは、ヒト又は動物を含めて、ただしこれらだけに限定されない生物源から得られる精製又は未精製の材料を意味し、この系は、RNAi活性に必要な成分を含む。「生物系」という用語は、例えば、細胞、組織、対象若しくは生物体又はその抽出物を含む。生物系という用語は、インビトロでの状況において使用することができる、再構成されたRNAi系も含む。
「表現型の変化」とは、本発明の核酸分子(例えば、siNA)による接触又は処理に応じて起こる、細胞の任意の検出可能な変化を意味する。かかる検出可能な変化としては、当分野で公知の方法によって評価することができる、形状、サイズ、増殖、運動性、タンパク質発現若しくはRNA発現、又は他の物理的若しくは化学的変化が挙げられるが、これらだけに限定されない。検出可能な変化としては、発現タンパク質、又は分析可能な任意の他の細胞成分を特定するのに用いられる、Green Florescent Protein(GFP)などのレポーター遺伝子/分子又は種々のタグの発現も挙げられる。
一実施形態においては、本発明は、例えば、細胞、組織、対象又は生物体を含めて、生物系における標的遺伝子の発現の調節に使用することができる、本発明の化学修飾され得るsiNA分子を含む、キットを特徴とする。別の実施形態においては、本発明は、例えば、細胞、組織、対象又は生物体を含めて、生物系における1個を超える標的遺伝子の発現の調節に使用することができる、本発明の化学修飾され得る1種類を超えるsiNA分子を含む、キットを特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、本発明の化学修飾され得る1種類以上のsiNA分子を含む細胞を特徴とする。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子を含む細胞は、ほ乳動物細胞である。更に別の実施形態においては、本発明のsiNA分子を含む細胞は、ヒト細胞である。
一実施形態においては、本発明の化学修飾され得るsiNA分子の合成は、(a)siNA分子の2本の相補鎖の合成と、(b)二本鎖siNA分子を得るのに適切な条件下で2本の相補鎖を一緒にアニーリングすることを含む。別の実施形態においては、siNA分子の2本の相補鎖の合成は、固相オリゴヌクレオチド合成による。更に別の実施形態においては、siNA分子の2本の相補鎖の合成は、固相直列オリゴヌクレオチド合成による。
一実施形態においては、本発明は、(a)siNA分子の第1のオリゴヌクレオチド配列鎖を合成すること(ここで、第1のオリゴヌクレオチド配列鎖は、siNAの第2のオリゴヌクレオチド配列鎖の合成の足場として使用することができる切断可能なリンカー分子を含む。)、(b)第1のオリゴヌクレオチド配列鎖の足場の上にsiNAの第2のオリゴヌクレオチド配列鎖を合成すること(ここで、第2のオリゴヌクレオチド配列鎖は、siNA二本鎖の精製に使用することができる化学部分を更に含む。)、(c)2本のsiNAオリゴヌクレオチド鎖がハイブリッド形成して、安定な二本鎖を形成するのに適切な条件下で、(a)のリンカー分子を切断すること、及び(d)第2のオリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用してsiNA二本鎖を精製することを含む、siNA二本鎖分子を合成する方法を特徴とする。一実施形態においては、上記(c)のリンカー分子の切断は、例えばメチルアミンなどのアルキルアミン塩基を用いた加水分解条件下で、オリゴヌクレオチドの脱保護中に起こる。一実施形態においては、この合成方法は、controlled pore glass(CPG)、ポリスチレンなどの固体支持体上での固相合成を含む。ここで、(a)の第1の配列は、固体支持体を足場として用いて、スクシニルリンカーなどの切断可能なリンカー上で合成される。第2の鎖の合成用足場として用いた(a)の切断可能なリンカーは、固体支持体によって誘導体化されたリンカーと類似の反応性を含み得る。したがって、固体支持体によって誘導体化されたリンカーと(a)の切断可能なリンカーの切断は、同時に起こる。別の実施形態においては、結合したオリゴヌクレオチド配列を単離するのに使用することができる(b)の化学部分は、本明細書に記載のトリチルオン(trityl−on)合成戦略に使用することができるトリチル基、例えば、ジメトキシトリチル基を含む。更に別の実施形態においては、ジメトキシトリチル基などの化学部分を、例えば酸性条件を用いて、精製中に除去する。
更なる実施形態においては、siNA合成方法は、溶液相合成又は混成相合成であり、siNA二本鎖の両方の鎖は、第2の配列の合成用足場として作用する第1の配列に結合した切断可能なリンカーを用いて、タンデム合成される。別々のsiNA配列鎖のハイブリダイゼーションに適切な条件下でリンカーを切断すると、二本鎖siNA分子が形成される。
別の実施形態においては、本発明は、(a)siNA分子の1本のオリゴヌクレオチド配列鎖を合成すること(ここで、この配列は、別のオリゴヌクレオチド配列の合成用足場として使用することができる切断可能なリンカー分子を含む。)、(b)第1の配列鎖に対して相補性を有する第2のオリゴヌクレオチド配列を(a)の足場上に合成すること(ここで、第2の配列は、二本鎖siNA分子の他方の鎖を含み、結合したオリゴヌクレオチド配列の単離に使用することができる化学部分を更に含む。)、(c)切断可能なリンカーによって連結された両方のsiNAオリゴヌクレオチド鎖を含む完全長配列を単離するのに適切な条件下で、また、2本のsiNAオリゴヌクレオチド鎖がハイブリッド形成して、安定な二本鎖を形成するのに適切な条件下で、第2のオリゴヌクレオチド配列鎖の化学部分を利用して(b)の生成物を精製することを含む、siNA二本鎖分子を合成する方法を特徴とする。一実施形態においては、上記(c)におけるリンカー分子の切断は、例えば加水分解条件下で、オリゴヌクレオチドの脱保護中に起こる。別の実施形態においては、上記(c)におけるリンカー分子の切断は、オリゴヌクレオチドの脱保護後に起こる。別の実施形態においては、この合成方法は、controlled pore glass(CPG)、ポリスチレンなどの固体支持体上での固相合成を含む。ここで、(a)の第1の配列は、固体支持体を足場として用いて、スクシニルリンカーなどの切断可能なリンカー上で合成される。第2の鎖の合成用足場として用いた(a)の切断可能なリンカーは、固体支持体によって誘導体化されたリンカーと類似の反応性又は異なる反応性を含み得る。したがって、固体支持体によって誘導体化されたリンカーと(a)の切断可能なリンカーの切断は、同時又は逐次的に起こる。一実施形態においては、結合したオリゴヌクレオチド配列の単離に使用することができる(b)の化学部分は、トリチル基、例えば、ジメトキシトリチル基を含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)第1と第2の配列を有するオリゴヌクレオチドを合成すること(ここで、第1の配列は第2の配列に相補的であり、第1のオリゴヌクレオチド配列は、切断可能なリンカーによって第2の配列に連結されており、末端5’保護基、例えば、5’−O−ジメトキシトリチル基(5’−O−DMT)は、第2の配列を有するオリゴヌクレオチド上に残る。)、(b)オリゴヌクレオチドを脱保護し、それによって2個のオリゴヌクレオチド配列を連結しているリンカーが切断されること、及び(c)二本鎖siNA分子の単離に適切な条件下で、例えば本明細書に記載のトリチルオン合成戦略によって、(b)の生成物を精製することを含む、二本鎖siNA分子を単一の合成プロセスで作製する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明のsiNA分子の合成方法は、参照によりその全体を本明細書に組込む、Scaringe他、米国特許第5,889,136号、同6,008,400号及び同6,111,086号の教示を含む。
一実施形態においては、本発明は、標的ポリヌクレオチド(例えば、RNA又はDNA標的)に対してRNAiを媒介するsiNA構築体を特徴とする。ここで、siNA構築体は、siNA構築体のヌクレアーゼ耐性を増大させる、1個以上の化学修飾、例えば、式I−VIIのいずれかの1個以上の化学修飾又はその任意の組合せを含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)ヌクレアーゼ耐性の増大したsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、ヌクレアーゼ耐性の増大したsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド(例えば、表IVに示すsiNAモチーフ)又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)毒物学的プロファイルが改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、毒物学的プロファイルが改善された(例えば、免疫賦活性が減弱された、又は免疫賦活性がない)siNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)本発明のsiNA分子と、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、送達ビヒクル又は送達粒子とを含むsiNA調合物を生成すること、及び(b)毒物学的プロファイルが改善されたsiNA調合物の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA調合物を評価することを含む、毒物学的プロファイルが改善された(例えば、免疫賦活性が減弱された、又は免疫賦活性がない)siNA調合物を生成する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド(例えば、表IVに示すsiNAモチーフ)又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)インターフェロン応答を刺激しないsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、細胞、対象又は生物体においてインターフェロン応答を刺激しない(例えば、インターフェロン応答がない、又はインターフェロン応答が減弱された)siNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)本発明のsiNA分子と、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、送達ビヒクル又は送達粒子とを含むsiNA調合物を生成すること、及び(b)インターフェロン応答を刺激しないsiNA調合物の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA調合物を評価することを含む、細胞、対象又は生物体においてインターフェロン応答を刺激しない(例えば、インターフェロン応答がない、又はインターフェロン応答が減弱された)siNA調合物を生成する方法を特徴とする。一実施形態においては、インターフェロンは、インターフェロンアルファを含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド(例えば、表IVに示すsiNAモチーフ)又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)サイトカイン応答を刺激しないsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、細胞、対象又は生物体において炎症性又は炎症誘発性サイトカインを刺激しない(例えば、サイトカイン応答がない、又はサイトカイン応答が減弱された)siNA分子を生成する方法を特徴とする。一実施形態においては、サイトカインは、インターロイキン6(IL−6)などのインターロイキン及び/又は腫よう壊死アルファ(TNF−α)を含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)本発明のsiNA分子と、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、送達ビヒクル又は送達粒子とを含むsiNA調合物を生成すること、及び(b)サイトカイン応答を刺激しないsiNA調合物の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA調合物を評価することを含む、細胞、対象又は生物体において炎症性又は炎症誘発性サイトカインを刺激しない(例えば、サイトカイン応答がない、又はサイトカイン応答が減弱された)siNA調合物を生成する方法を特徴とする。一実施形態においては、サイトカインは、インターロイキン6(IL−6)などのインターロイキン及び/又は腫よう壊死アルファ(TNF−α)を含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド(例えば、表IVに示すsiNAモチーフ)又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)TLR応答を刺激しないsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、細胞、対象又は生物体においてトール様受容体(TLR)応答を刺激しない(例えば、TLR応答がない、又はTLR応答が減弱された)siNA分子を生成する方法を特徴とする。一実施形態においては、TLRは、TLR3、TLR7、TLR8及び/又はTLR9を含む。
一実施形態においては、本発明の化学修飾siNA分子は、全く又はほとんど化学修飾されていない対応するsiRNA分子よりも毒物学的プロファイルが改善されている。
別の実施形態においては、本発明は、(a)本発明のsiNA分子と、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、送達ビヒクル又は送達粒子とを含むsiNA調合物を生成すること、及び(b)TLR応答を刺激しないsiNA調合物の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA調合物を評価することを含む、細胞、対象又は生物体においてトール様受容体(TLR)応答を刺激しない(例えば、TLR応答がない、又はTLR応答が減弱された)siNA調合物を生成する方法を特徴とする。一実施形態においては、TLRは、TLR3、TLR7、TLR8及び/又はTLR9を含む。
一実施形態においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)による標的RNAの切断を誘導する、化学合成された二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、(a)前記siNA分子の各鎖は約18から約38ヌクレオチド長であり、(b)前記siNA分子の一方の鎖は、siNA分子がRNA干渉によって標的RNAの切断を誘導するのに十分な相補性を、前記標的RNAに対して有するヌクレオチド配列を含み、(c)前記siNA分子内のヌクレオチド位置は、対応する無修飾siRNA分子のレベルよりも低いレベルにsiNA分子の免疫賦活性を低下させるように化学修飾されている。かかるsiNA分子は、無修飾又は最小限に修飾されたsiNAよりも改善された毒物学的プロファイルを有すると言われる。
「改善された毒物学的プロファイル」とは、化学修飾又は調合されたsiNA構築体が、細胞、対象又は生物体において、無修飾siNA、調合されていないsiNA、より少数の修飾を有するsiNA分子、又は改善された毒物学(toxicology)を付与するにはさほど有効でない修飾を有するsiNA分子よりも毒性が減少していることを意味する。かかるsiNA分子は、「改善されたRNAi活性」を有するとも考えられる。非限定的例においては、毒物学的プロファイルが改善されたsiNA分子及び調合物は、細胞、対象又は生物体において、無修飾siNA、調合されていないsiNA、より少数の修飾を有するsiNA分子、又は改善された毒物学を付与するにはさほど有効でない修飾を有するsiNA分子よりも低下した、減少した、又は減弱された免疫賦活性応答など、低下した免疫賦活性を伴う。かかる改善された毒物学的プロファイルは、インターフェロン(例えば、インターフェロンアルファ)、炎症性サイトカイン(例えば、IL−6などのインターロイキン及び/又はTNF−アルファ)及び/又はトール様受容体(例えば、TLR−3、TLR−7、TLR−8及び/又はTLR−9)の誘導の減少又は抑止など、抑止された、又は減少した免疫賦活を特徴とする。一実施形態においては、毒物学的プロファイルが改善されたsiNA分子又は調合物は、リボヌクレオチドを含まない。一実施形態においては、毒物学的プロファイルが改善されたsiNA分子又は調合物は、5個未満のリボヌクレオチド(例えば、1、2、3又は4個のリボヌクレオチド)を含む。一実施形態においては、毒物学的プロファイルが改善されたsiNA分子又は調合物は、Stab 7、Stab 8、Stab 11、Stab 12、Stab 13、Stab 16、Stab 17、Stab 18、Stab 19、Stab 20、Stab 23、Stab 24、Stab 25、Stab 26、Stab 27、Stab 28、Stab 29、Stab 30、Stab 31、Stab 32、Stab 33、Stab 34、Stab 35、Stab 36又はその任意の組合せを含む(表IV参照)。本明細書では、数字で表したStabケミストリーは、表IVに示すケミストリーの2’−フルオロと2’−OCF3の両方のバージョンを含む。例えば、「Stab 7/8」は、Stab 7/8とStab 7F/8Fの両方を指す。一実施形態においては、毒物学的プロファイルが改善されたsiNA分子又は調合物は、本発明のsiNA分子、及び図面を含めて、参照によりその全体を本明細書に組込む米国特許出願公開第20030077829号に記載された調合物を含む。
一実施形態においては、所与のsiNA分子に付随する免疫賦活性応答レベルは、本明細書に記載のとおりに測定することができ、又は例えば、特定のsiNA分子の免疫賦活性応答を定量するアッセイにおいて、PKR/インターフェロン応答、増殖、B細胞活性化及び/又はサイトカイン産生のレベルを求めることによって、当分野で公知のとおりに測定することができる(例えば、その全体を参照により組込む、Leifer et al., 2003, J Immunother. 26, 313−9及び米国特許第5,968,909号を参照されたい。)。一実施形態においては、低下した免疫賦活性応答は、無修飾又は最小限に修飾されたsiRNA分子と比較して約10%及び約100%、例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%低下した免疫賦活性応答である。一実施形態においては、siNA分子に関連した免疫賦活性応答は、化学修飾の程度によって調節することができる。例えば、修飾siNA分子中のヌクレオチド位置の約10%から約100%(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%若しくは100%、又は少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%若しくは100%)を有するsiNA分子を、本明細書に記載の対応する免疫賦活性度を有するように選択することができる。
一実施形態においては、低下した免疫賦活性応答の程度を、RNAi活性を最適化するために選択する。例えば、ある程度の免疫賦活を保持することは、ウイルス感染症を治療するために好ましい場合がある。この場合、免疫賦活の100%未満の減少が、最大の抗ウイルス活性に好ましい場合があるのに対して(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%又は90%の免疫賦活の減少)、非特異的毒性又はオフターゲット(off target)効果を防止するのに最小の免疫賦活性を有するsiNA分子を用いて、内在性遺伝子標的の発現を阻止することが好ましい場合もある(例えば、約90%から約100%の免疫賦活の減少)。
一実施形態においては、本発明は、RNA干渉(RNAi)による標的RNAの切断を誘導する、化学合成された二本鎖siNA分子を特徴とする。ここで、(a)前記siNA分子の各鎖は約18から約38ヌクレオチド長であり、(b)前記siNA分子の一方の鎖は、siNA分子がRNA干渉によって標的RNAの切断を誘導するのに十分な相補性を、前記標的RNAに対して有するヌクレオチド配列を含み、(c)前記siNA分子の1個以上のヌクレオチドは、対応する無修飾siRNA分子のレベルよりも低いレベルにsiNA分子の免疫賦活性を低下させるように化学修飾されている。一実施形態においては、各鎖は、他方の鎖のヌクレオチドに相補的である少なくとも約18個のヌクレオチドを含む。
別の実施形態においては、siNA分子の免疫賦活性を低下させる修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を有するアンチセンス領域を含み、センス領域を更に含む。ここで、前記センス領域は、前記標的遺伝子のヌクレオチド配列又はその一部にかなり類似したヌクレオチド配列を含む。その一実施形態においては、アンチセンス領域及びセンス領域は、約18から約38ヌクレオチドを含み、前記アンチセンス領域は、センス領域のヌクレオチドに相補的である少なくとも約18ヌクレオチドを含む。その一実施形態においては、センス領域中のピリミジンヌクレオチドは、2’−O−メチルピリミジンヌクレオチドである。その別の実施形態においては、センス領域中のプリンヌクレオチドは、2’−デオキシプリンヌクレオチドである。その更に別の実施形態においては、センス領域に存在するピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。その別の実施形態においては、前記アンチセンス領域のピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロピリミジンヌクレオチドである。その更に別の実施形態においては、前記アンチセンス領域のプリンヌクレオチドは、2’−O−メチルプリンヌクレオチドである。その更に別の実施形態においては、前記アンチセンス領域中に存在するプリンヌクレオチドは、2’−デオキシプリンヌクレオチドを含む。別の実施形態においては、アンチセンス領域は、ホスホロチオアートヌクレオチド間結合を前記アンチセンス領域の3’末端に含む。別の実施形態においては、アンチセンス領域は、グリセリル修飾を前記アンチセンス領域の3’末端に含む。
別の実施形態においては、siNA分子の免疫賦活性を低下させる修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子は、本明細書に記載のsiNA分子の構造上の特徴のいずれかを含み得る。別の実施形態においては、siNA分子の免疫賦活性を低下させる修飾ヌクレオチドを含むsiNA分子は、本明細書に記載のsiNA分子の化学修飾のいずれかを含み得る。
一実施形態においては、本発明は、(a)1個以上の修飾ヌクレオチド分子をsiNAに導入すること、及び(b)無修飾ヌクレオチドを有する対応するsiNA分子よりも免疫賦活性が低下したsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、siNA分子の免疫賦活性を低下させる化学修飾ヌクレオチドを有する、化学合成された二本鎖siNA分子を生成する方法を特徴とする。siNA分子の各鎖は、約18から約38ヌクレオチド長である。SiNA分子の1本の鎖は、siNA分子がRNA干渉によって標的RNAの切断を誘導するのに十分な相補性を、標的RNAに対して有する、ヌクレオチド配列を含む。一実施形態においては、低下した免疫賦活性は、siNAが細胞、組織又は生物体に導入されるのに応答した、インターロイキン6(IL−6)、腫よう壊死アルファ(TNF−α)などの炎症性又は炎症誘発性サイトカインの抑止された、又は低下した誘導を含む。別の実施形態においては、低下した免疫賦活性は、siNAが細胞、組織又は生物体に導入されるのに応答した、TLR3、TLR7、TLR8、TLR9などのトール様受容体(TLR)の抑止された、又は低下した誘導を含む。別の実施形態においては、低下した免疫賦活性は、siNAが細胞、組織又は生物体に導入されるのに応答した、インターフェロンアルファなどのインターフェロンの抑止された、又は低下した誘導を含む。
一実施形態においては、本発明は、標的ポリヌクレオチドに対してRNAiを媒介するsiNA構築体を特徴とする。ここで、siNA構築体は、siNA構築体のセンス鎖とアンチセンス鎖の結合親和性を調節する本明細書に記載の1個以上の化学修飾を含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)siNA分子のセンス鎖とアンチセンス鎖の結合親和性が増加したsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、siNA分子のセンス鎖とアンチセンス鎖の結合親和性が増加したsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、標的ポリヌクレオチドに対してRNAiを媒介するsiNA構築体を特徴とする。ここで、siNA構築体は、siNA構築体のアンチセンス鎖と細胞内の相補的標的RNA配列との結合親和性を調節する本明細書に記載の1個以上の化学修飾を含む。
一実施形態においては、本発明は、標的ポリヌクレオチドに対してRNAiを媒介するsiNA構築体を特徴とする。ここで、siNA構築体は、siNA構築体のアンチセンス鎖と細胞内の相補的標的DNA配列との結合親和性を調節する本明細書に記載の1個以上の化学修飾を含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)siNA分子のアンチセンス鎖と相補的標的RNA配列との結合親和性が増加したsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、siNA分子のアンチセンス鎖と相補的標的RNA配列との結合親和性が増加したsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)siNA分子のアンチセンス鎖と相補的標的DNA配列との結合親和性が増加したsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、siNA分子のアンチセンス鎖と相補的標的DNA配列との結合親和性が増加したsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、標的ポリヌクレオチドに対してRNAiを媒介するsiNA構築体を特徴とする。ここで、siNA構築体は、化学修飾siNA構築体に対して配列相同性を有する追加の内因性siNA分子を生成し得る細胞ポリメラーゼのポリメラーゼ活性を調節する、本明細書に記載の1個以上の化学修飾を含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)化学修飾siNA分子に対して配列相同性を有する追加の内因性siNA分子を生成し得る細胞ポリメラーゼの高いポリメラーゼ活性を媒介し得るsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、化学修飾siNA分子に対して配列相同性を有する追加の内因性siNA分子を生成し得る細胞ポリメラーゼの高いポリメラーゼ活性を媒介し得るsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、細胞中の標的ポリヌクレオチドに対してRNAiを媒介する化学修飾siNA構築体を特徴とする。ここで、化学修飾は、かかるsiNA構築体によって媒介されるRNAiの効力を減少させるように、siNAと、標的RNA分子、DNA分子及び/又はタンパク質、又はRNAiに必須である他の因子との相互作用をさほど引き起こさない。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)RNAi特異性が改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、ポリヌクレオチド標的に対するRNAi特異性が改善されたsiNA分子を生成する方法を特徴とする。一実施形態においては、改善された特異性は、無修飾siNA分子に比較して低いオフターゲット効果を有することを含む。例えば、本発明のsiNA分子のセンス鎖又は領域の3’末端に、5’末端に、又は3’末端と5’末端の両方に末端キャップ部分を導入すると、センス鎖又はセンス領域に対して相補性を有する対応する標的に対して、センス鎖又はセンス領域がRNAi活性のテンプレートとして作用するのを阻止することによって、siNAが、改善された特異性を有するようにすることができる。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)RNAi活性が改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、標的ポリヌクレオチドに対するRNAi活性が改善されたsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
更に別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)標的RNAに対するRNAi活性が改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、標的RNAに対するRNAi活性が改善されたsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
更に別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)標的DNAに対するRNAi活性が改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、標的DNAに対するRNAi活性が改善されたsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、標的ポリヌクレオチドに対してRNAiを媒介するsiNA構築体を特徴とする。ここで、siNA構築体は、siNAのコレステロール抱合などのsiNA構築体の細胞内取り込みを調節する本明細書に記載の1個以上の化学修飾を含む。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)細胞内取り込みが改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、細胞内取り込みが改善された、標的ポリヌクレオチドに対するsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
一実施形態においては、本発明は、標的ポリヌクレオチドに対してRNAiを媒介するsiNA構築体を特徴とする。ここで、siNA構築体は、例えば、siNA構築体の薬物動態学を改善する、ポリエチレングリコールなどの高分子抱合体、若しくは等価な抱合体を結合させることによって、又は特定の組織タイプ若しくは細胞タイプをインビボで標的にする抱合体を結合させることによって、siNA構築体の生物学的利用能を増大させる、本明細書に記載の1個以上の化学修飾を含む。かかる抱合体の非限定的例は、参照により本明細書に組込む、Vargeese他、米国特許出願第10/201,394号に記述されている。
一実施形態においては、本発明は、(a)抱合体をsiNA分子構造に導入すること、及び(b)生物学的利用能が改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、生物学的利用能が改善された、本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。かかる抱合体としては、天然タンパク質リガンド由来のペプチドなどの細胞受容体のリガンド;細胞のZIPコード配列を含めたタンパク質局在化配列;抗体;核酸アプタマー;葉酸塩、N−アセチルガラクトサミンなどのビタミン及び他の補因子;ポリエチレングリコール(PEG)などのポリマー;リン脂質;コレステロール;コレステロール誘導体、スペルミン、スペルミジンなどのポリアミンなどが挙げられる。
一実施形態においては、本発明は、標的RNA配列又はその一部に相補的である第1のヌクレオチド配列と、前記第1の配列に対して相補性を有する第2の配列とを含む、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第2の配列は、RNA干渉を効率的に媒介するガイド配列としてもはや作用しないように、及び/又はRNAiを促進する細胞タンパク質によって認識されるように、化学修飾されている。一実施形態においては、siNAの第1のヌクレオチド配列は、本明細書に記載のとおりに化学修飾されている。一実施形態においては、siNAの第1のヌクレオチド配列は修飾されていない(例えば、全RNAである。)。
一実施形態においては、本発明は、標的RNA配列又はその一部に相補的である第1のヌクレオチド配列と、前記第1の配列に対して相補性を有する第2の配列とを含む、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、第2の配列は、ガイド配列として、又は標的核酸(例えば、RNA)配列に相補的である配列として、RNAi経路に入るのを阻止するように、設計又は修飾されている。一実施形態においては、siNAの第1のヌクレオチド配列は、本明細書に記載のとおりに化学修飾されている。一実施形態においては、siNAの第1のヌクレオチド配列は修飾されていない(例えば、全RNAである。)。かかる設計又は修飾は、siNAの活性を高め、及び/又は本発明のsiNA分子の特異性を改善すると予想される。これらの修飾は、オフターゲット効果及び/又は付随する毒性を最小化することも予想される。
一実施形態においては、本発明は、標的RNA配列又はその一部に相補的である第1のヌクレオチド配列と、前記第1の配列に対して相補性を有する第2の配列とを含む、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第2の配列は、RNA干渉を媒介するガイド配列として作用することができない。一実施形態においては、siNAの第1のヌクレオチド配列は、本明細書に記載のとおりに化学修飾されている。一実施形態においては、siNAの第1のヌクレオチド配列は修飾されていない(例えば、全RNAである。)。
一実施形態においては、本発明は、標的RNA配列又はその一部に相補的である第1のヌクレオチド配列と、前記第1の配列に対して相補性を有する第2の配列とを含む、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第2の配列は、末端5’ヒドロキシル(5’−OH)又は5’リン酸基を持たない。
一実施形態においては、本発明は、標的RNA配列又はその一部に相補的である第1のヌクレオチド配列と、前記第1の配列に対して相補性を有する第2の配列とを含む、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第2の配列は、末端キャップ部分を前記第2の配列の5’末端に含む。一実施形態においては、末端キャップ部分は、反転脱塩基、反転デオキシ脱塩基、反転ヌクレオチド部分、図10に示す基、アルキル若しくはシクロアルキル基、複素環、又は第2の配列がRNAiのガイド配列若しくはテンプレートとして役立つRNAi活性を阻止する任意の他の基を含む。
一実施形態においては、本発明は、標的RNA配列又はその一部に相補的である第1のヌクレオチド配列と、前記第1の配列に対して相補性を有する第2の配列とを含む、二本鎖低分子干渉核酸(siNA)分子を特徴とする。ここで、前記第2の配列は、末端キャップ部分を前記第2の配列の5’末端及び3’末端に含む。一実施形態においては、各末端キャップ部分は、反転脱塩基、反転デオキシ脱塩基、反転ヌクレオチド部分、図10に示す基、アルキル若しくはシクロアルキル基、複素環、又は第2の配列がRNAiのガイド配列若しくはテンプレートとして役立つRNAi活性を阻止する任意の他の基を個々に含む。
一実施形態においては、本発明は、(a)1個以上の化学修飾をsiNA分子構造に導入すること、及び(b)特異性が改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、標的核酸(例えば、遺伝子、その対応するRNAなどのDNA又はRNA)の発現を下方制御又は阻害する、特異性が改善された本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。別の実施形態においては、特異性の改善に使用される化学修飾は、siNA分子の5’末端、3’末端、又は5’末端と3’末端の両方の末端キャップ修飾を含む。末端キャップ修飾は、例えば、図10に示す構造(例えば、反転デオキシ脱塩基部分)、又はsiNA分子の一部(例えば、センス鎖)がオフターゲット核酸配列に対してRNA干渉を媒介できないようにする任意の他の化学修飾を含み得る。非限定的例においては、siNA分子は、RISCによって媒介される、対応する標的RNA配列の分解のガイド配列としてsiNA分子のアンチセンス配列のみが役立ち得るように設計される。これは、RNAi機構によってセンス鎖がガイド配列として認識されないようにする化学修飾をセンス鎖に導入して、siNAのセンス配列を不活性化することによって実施することができる。一実施形態においては、かかる化学修飾は、siNAのセンス鎖の5’末端における任意の化学基、又はRNA干渉を媒介するガイド配列としてのセンス鎖を不活性にするのに役立つ任意の他の基を含む。これらの修飾は、例えば、センス鎖の5’末端が、遊離5’ヒドロキシル(5’−OH)も、遊離5’リン酸基(例えば、リン酸、二リン酸、三リン酸、環式リン酸など)ももはや持たない分子をもたらし得る。かかるsiNA構築体の非限定的例は、「Stab 9/10」、「Stab 7/8」、「Stab 7/19」、「Stab 17/22」、「Stab 23/24」、「Stab 24/25」及び「Stab 24/26」(例えば、Stab 7、9、17、23又は24センス鎖を有する任意のsiNA)ケミストリー及びその変種など、本明細書に記載されている(表IV参照)。ここで、siNAのセンス鎖の5’末端及び3’末端は、ヒドロキシル基もリン酸基も含まない。本明細書では、数字で表したStabケミストリーは、表IVに示すケミストリーの2’−フルオロと2’−OCF3の両方のバージョンを含む。例えば、「Stab 7/8」は、Stab 7/8とStab 7F/8Fの両方を指す。
一実施形態においては、本発明は、siNA分子の鎖又は一部がRNAi活性に対するテンプレート又はガイド配列として作用しないようにする1個以上の化学修飾をsiNA分子構造に導入することを含む、標的核酸(例えば、遺伝子、その対応するRNAなどのDNA又はRNA)の発現を下方制御又は阻害する、特異性が改善された本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。一実施形態においては、siNA分子の不活性鎖又はセンス領域は、siNA分子のセンス鎖又はセンス領域、すなわち標的核酸配列に対して相補性を持たない、siNAの鎖又は領域である。一実施形態においては、かかる化学修飾は、5’ヒドロキシル(5’−OH)も5’リン酸基も含まないsiNAのセンス鎖又は領域の5’末端における任意の化学基、又はRNA干渉を媒介するガイド配列としてのセンス鎖若しくはセンス領域を不活性にするのに役立つ任意の他の基を含む。かかるsiNA構築体の非限定的例は、「Stab 9/10」、「Stab 7/8」、「Stab 7/19」、「Stab 17/22」、「Stab 23/24」、「Stab 24/25」及び「Stab 24/26」(例えば、Stab 7、9、17、23又は24センス鎖を有する任意のsiNA)ケミストリー及びその変種など、本明細書に記載されている(表IV参照)。ここで、siNAのセンス鎖の5’末端及び3’末端は、ヒドロキシル基もリン酸基も含まない。本明細書では、数字で表したStabケミストリーは、表IVに示すケミストリーの2’−フルオロと2’−OCF3の両方のバージョンを含む。例えば、「Stab 7/8」は、Stab 7/8とStab 7F/8Fの両方を指す。
一実施形態においては、本発明は、(a)複数の無修飾siNA分子を生成すること、(b)標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介するのに活性であるsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子をスクリーニングすること、及び(c)化学修飾(例えば、本明細書に記載の、又は当分野で公知の化学修飾)を(b)の活性siNA分子に導入することを含む、標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介するのに活性であるsiNA分子をスクリーニングする方法を特徴とする。一実施形態においては、この方法は、標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介するのに活性である化学修飾siNA分子の単離に適切な条件下で、段階(c)の化学修飾siNA分子を再スクリーニングすることを更に含む。
一実施形態においては、本発明は、(a)複数の化学修飾siNA分子(例えば、本明細書に記載の、又は当分野で公知のsiNA分子)を生成すること、及び(b)標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介するのに活性である化学修飾siNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子をスクリーニングすることを含む、標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介するのに活性である化学修飾siNA分子をスクリーニングする方法を特徴とする。
「リガンド」という用語は、受容体などの別の化合物と直接的又は間接的に相互作用し得る、薬物、ペプチド、ホルモン、神経伝達物質などの任意の化合物又は分子を指す。リガンドと相互作用する受容体は、細胞表面に存在し得、又は細胞間受容体であり得る。リガンドと受容体の相互作用は、生化学反応をもたらし得、又は単なる物理的相互作用若しくは会合であり得る。
別の実施形態においては、本発明は、(a)賦形剤調合物をsiNA分子に導入すること、及び(b)生物学的利用能が改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、生物学的利用能が改善された、本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。かかる賦形剤としては、シクロデキストリンなどのポリマー、脂質、陽イオン性脂質、ポリアミン、リン脂質、ナノ粒子、受容体、リガンドなどが挙げられる。
別の実施形態においては、本発明は、(a)式I−VIIのいずれかのヌクレオチド又はその任意の組合せをsiNA分子に導入すること、及び(b)生物学的利用能が改善されたsiNA分子の単離に適切な条件下で、段階(a)のsiNA分子を評価することを含む、生物学的利用能が改善された本発明のsiNA分子を生成する方法を特徴とする。
別の実施形態においては、ポリエチレングリコール(PEG)が発明のsiNA化合物と共有結合し得る。結合するPEGは、任意の分子量とすることができ、好ましくは約100から約50,000ダルトン(Da)とすることができる。
本発明は、単独で使用することができ、又は試験試料及び/又は対象にインビトロ若しくはインビボでRNAを導入するのに必要な試薬の少なくとも1種類を含むキットの1構成要素として使用することができる。例えば、キットの好ましい成分としては、本発明のsiNA分子、及び(例えば、脂質、及び当分野で公知の他の移入方法を用いて)本明細書に記載したように目的細胞へのsiNAの導入を促進するビヒクルが挙げられる(例えば、Beigelman他、米国特許第6,395,713号参照)。キットは、遺伝子機能及び/又は活性の測定、薬物の最適化、創薬などにおける標的確認に使用することができる(例えば、Usman他、米国特許出願第60/402,996号参照)。かかるキットは、キットの使用者が本発明を実施できるようにする説明書も含むことができる。
本明細書では「低分子干渉核酸」、「siNA」、「低分子干渉RNA」、「siRNA」、「低分子干渉核酸分子」、「低分子干渉オリゴヌクレオチド分子」又は「化学修飾低分子干渉核酸分子」という用語は、RNA干渉「RNAi」又は遺伝子サイレンシングを配列特異的に媒介することによって、遺伝子発現又はウイルス複製を阻害又は下方制御することができる任意の核酸分子を指す。これらの用語は、個々の核酸分子、複数のかかる核酸分子、又はかかる核酸分子のプールも表し得る。SiNAは、自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域を含む二本鎖核酸分子であり得る。ここで、アンチセンス領域は、標的核酸分子中のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列、及び標的核酸配列に対応するヌクレオチド配列又はその一部を有するセンス領域を含む。SiNAは、一方の鎖がセンス鎖であり、他方がアンチセンス鎖である、2個の別々のオリゴヌクレオチドから組み立てることができる。ここで、アンチセンス鎖とセンス鎖は自己相補的である(すなわち、アンチセンス鎖とセンス鎖が二本鎖又は二本鎖構造を形成するなど、各鎖は、他方の鎖中のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む。ここで、例えば、二本鎖領域は、約15から約30、例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30塩基対である。アンチセンス鎖は、標的核酸分子中のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、センス鎖は標的核酸配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を含む(例えば、siNA分子の約15から約25個又はそれを超えるヌクレオチドは、標的核酸又はその一部に相補的である)。或いは、siNAは、単一のオリゴヌクレオチドから組み立てられ、siNAの自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域は、核酸リンカー又は非核酸リンカーによって連結されている。SiNAは、自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域を含む、二本鎖、非対称二本鎖、ヘアピン又は非対称ヘアピン二次構造を有するポリヌクレオチドであり得る。ここで、アンチセンス領域は、別個の標的核酸分子中のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列、及び標的核酸配列に対応するヌクレオチド配列又はその一部を有するセンス領域を含む。SiNAは、2個以上のループ構造と、自己相補的なセンス領域とアンチセンス領域を含む軸(stem)とを有する、環状一本鎖ポリヌクレオチドであり得る。ここで、アンチセンス領域は、標的核酸分子中のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列、及び標的核酸配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列を有するセンス領域を含み、環状ポリヌクレオチドは、インビボ又はインビトロでプロセシングを受けて、RNAiを媒介し得る活性なsiNA分子を生成し得る。SiNAは、標的核酸分子中のヌクレオチド配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を有する一本鎖ポリヌクレオチドも含み得る(例えば、かかるsiNA分子は、標的核酸配列又はその一部に対応するヌクレオチド配列がsiNA分子内に存在する必要がない。)。一本鎖ポリヌクレオチドは、5’リン酸(例えば、Martinez et al., 2002, Cell., 110, 563−574及びSchwarz et al., 2002, Molecular Cell, 10, 537−568参照)、5’,3’−二リン酸などの末端リン酸基を更に含み得る。ある実施形態においては、本発明のsiNA分子は、別々のセンス及びアンチセンス配列又は領域を含む。ここで、センス領域とアンチセンス領域は、当分野で公知のヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー分子によって共有結合しており、又はイオン相互作用、水素結合、ファン デル ワールス相互作用、疎水性相互作用及び/又はスタッキング相互作用によって交互に非共有結合している。ある実施形態においては、本発明のsiNA分子は、標的遺伝子のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子は、標的遺伝子の発現を阻害するように、標的遺伝子のヌクレオチド配列と相互作用する。本明細書では、siNA分子は、RNAのみを含む分子に必ずしも限定されず、化学修飾ヌクレオチド及び非ヌクレオチドも包含する。ある実施形態においては、本発明の低分子干渉核酸分子は、2’ヒドロキシ(2’−OH)含有ヌクレオチドを欠く。本出願人は、ある実施形態において、RNAiを媒介するのに2’ヒドロキシル基を有するヌクレオチドの存在が不要である低分子干渉核酸を記述する。したがって、本発明の低分子干渉核酸分子は、リボヌクレオチド(例えば、2’−OH基を有するヌクレオチド)を含まなくてもよい。しかし、RNAiを維持するのにsiNA分子内のリボヌクレオチドの存在が不要であるかかるsiNA分子は、2’−OH基を有する1個以上のヌクレオチドを含む、結合したリンカー、又は他の結合若しくは会合した基、部分若しくは鎖を有し得る。場合によっては、siNA分子は、ヌクレオチド位置の約5、10、20、30、40又は50%においてリボヌクレオチドを含み得る。本発明の修飾低分子干渉核酸分子は、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド「siMON」とも称し得る。本明細書ではsiNAという用語は、配列特異的RNAiを媒介し得る核酸分子の記述に用いられる他の用語、例えば、低分子干渉RNA(siRNA)、二本鎖RNA(dsRNA)、ミクロRNA(miRNA)、短鎖ヘアピンRNA(shRNA)、低分子干渉オリゴヌクレオチド、低分子干渉核酸、低分子干渉修飾オリゴヌクレオチド、化学修飾siRNA、転写後遺伝子サイレンシングRNA(ptgsRNA)などと同義であるものとする。本発明のsiNA分子の非限定的例を本明細書の図4−6並びに表II及びIIIに示す。かかるsiNA分子は、リボザイム、アンチセンス、三重鎖形成、アプタマー、2,5−Aキメラ、デコイオリゴヌクレオチドなど、遺伝子発現の阻害を媒介する、当分野で公知の他の核酸技術とは異なる。
「RNA干渉」又は「RNAi」とは、当分野で一般に公知であり、低分子干渉核酸分子によって媒介される、細胞における遺伝子発現を阻害又は下方制御する生物学的プロセスである。例えば、Zamore and Haley, 2005, Science, 309, 1519−1524;Vaughn and Martienssen, 2005, Science, 309, 1525−1526;Zamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33;Bass, 2001, Nature, 411, 428−429;Elbashir et al., 2001, Nature, 411, 494−498;及びKreutzer他、国際公開第00/44895号;Zernicka−Goetz他、国際公開第01/36646号;Fire、国際公開第99/32619号;Plaetinck他、国際公開第00/01846号;Mello及びFire、国際公開第01/29058号;Deschamps−Depaillette、国際公開第99/07409号及びLi他、国際公開第00/44914号;Allshire, 2002, Science, 297, 1818−1819;Volpe et al., 2002, Science, 297, 1833−1837;Jenuwein, 2002, Science, 297, 2215−2218;及びHall et al., 2002, Science, 297, 2232−2237;Hutvagner and Zamore, 2002, Science, 297, 2056−60;McManus et al., 2002, RNA, 8, 842−850;Reinhart et al., 2002, Gene & Dev., 16, 1616−1626;及びReinhart & Bartel, 2002, Science, 297, 1831を参照されたい。)。また、本明細書では、RNAiという用語は、転写後遺伝子サイレンシング、翻訳阻害、転写阻害、エピジェネティクスなどの配列特異的RNA干渉の記述に用いられる他の用語と同義であるものとする。例えば、本発明のsiNA分子を用いて、転写後レベル又は転写前レベルで遺伝子をエピジェネティックにサイレンシングすることができる。非限定的例においては、本発明のsiNA分子による遺伝子発現のエピジェネティックな調節は、遺伝子発現を変える、クロマチン構造又はメチル化パターンの、siNAによって媒介される改変に起因し得る(例えば、Verdel et al., 2004, Science, 303, 672−676;Pal−Bhadra et al., 2004, Science, 303, 669−672;Allshire, 2002, Science, 297, 1818−1819;Volpe et al., 2002, Science, 297, 1833−1837;Jenuwein, 2002, Science, 297, 2215−2218及びHall et al., 2002, Science, 297, 2232−2237参照)。別の非限定的例においては、本発明のsiNA分子による遺伝子発現の調節は、RISCを介した、siNAによって媒介されるRNA(コード又は非コードRNA)の切断、又は当分野で公知の翻訳阻害に起因し得る。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子による遺伝子発現の調節は、転写阻害に起因し得る(例えば、Janowski et al., 2005, Nature Chemical Biology, 1, 216−222参照)。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、二本鎖形成性オリゴヌクレオチド「DFO」である(例えば、図14−15、並びに2003年12月3日に出願されたVaish他、米国特許出願第10/727,780号、及び2004年5月24日出願された国際PCT出願第US04/16390号参照)。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は多官能siNAである(例えば、図16−21、並びにJadhav他、2004年2月10日に出願された米国特許出願第60/543,480号、及び2004年5月24日に出願された国際PCT出願第US04/16390号参照)。一実施形態においては、本発明の多官能siNAは、例えば、標的RNAの2個以上の領域を標的にした配列を含み得る(例えば、表II及びIIIの標的配列参照)。一実施形態においては、本発明の多官能siNAは、HCV RNAを標的にした配列を含み得、細胞受容体、細胞表面分子、細胞酵素、細胞転写因子、及び/又はサイトカイン、二次メッセンジャー、並びにLa抗原(例えば、Costa−Mattioli et al., 2004, Mol Cell Biol., 24, 6861−70参照。例えば、GenBankアクセッション番号NM_003142)(例えば、インターフェロン制御因子(IRF;例えば、GenBankアクセッション番号AF082503.1)、細胞PKRプロテインキナーゼ(例えば、GenBankアクセッション番号XM_002661.7)、ヒト真核生物開始因子2B(elF2Bガンマ;例えば、GenBankアクセッション番号AF256223、及び/又はelF2ガンマ;例えば、GenBankアクセッション番号NM_006874.1)、ヒトDEAD Boxタンパク質(DDX3;例えば、GenBankアクセッション番号XM_018021.2)、及びポリピリミジントラクト結合タンパク質などのHCV 3’−UTRのポリ(U)トラクトに結合する細胞タンパク質(例えば、GenBankアクセッション番号NM_031991.1及びXM_042972.3)を含めて、ただしこれらだけに限定されない細胞アクセサリー分子など、HCV生活環に関与する1個以上の細胞標的を含み得る。
本明細書では「非対称ヘアピン」とは、アンチセンス領域と、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドを含み得るループ部分と、センス領域がアンチセンス領域と塩基対を形成して、ループを有する二本鎖を形成するのに十分な相補ヌクレオチドを有する程度にアンチセンス領域よりも少ないヌクレオチドを含むセンス領域とを含む、線状siNA分子を意味する。例えば、本発明の非対称ヘアピンsiNA分子は、細胞又はインビトロ系においてRNAiを媒介するのに十分な長さ(例えば、約15から約30、又は約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30ヌクレオチド)を有するアンチセンス領域と、約4から約12(例えば、約4、5、6、7、8、9、10、11又は12)個のヌクレオチドを含むループ領域と、アンチセンス領域に相補的である約3から約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)個のヌクレオチドを有するセンス領域とを含み得る。非対称ヘアピンsiNA分子は、化学修飾され得る5’末端リン酸基も含み得る。非対称ヘアピンsiNA分子のループ部分は、本明細書に記載のヌクレオチド、非ヌクレオチド、リンカー分子又は抱合分子を含み得る。
本明細書では「非対称二本鎖」とは、センス領域及びアンチセンス領域を含む2本の別々の鎖を有するsiNA分子を意味する。ここで、センス領域は、センス領域がアンチセンス領域と塩基対を形成して、二本鎖を形成するのに十分な相補ヌクレオチドを有する程度にアンチセンス領域よりも少ないヌクレオチドを含む。例えば、本発明の非対称二本鎖siNA分子は、細胞又はインビトロ系においてRNAiを媒介するのに十分な長さ(例えば、約15から約30、又は約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30ヌクレオチド)を有するアンチセンス領域と、アンチセンス領域に相補的である約3から約25(例えば、約3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)個のヌクレオチドを有するセンス領域とを含み得る。
「RNAi阻害剤」とは、細胞又は生物体におけるRNA干渉機能又は活性を下方制御、減少又は阻害し得る任意の分子を意味する。RNAi阻害剤は、RISCなどのタンパク質成分、又はmiRNA、siRNAなどの核酸成分を含めて、RNAi経路の任意の成分と相互作用することによって、又は該成分の機能を妨害することによって、RNAiを下方制御、減少又は阻害し得る(例えば、RNAiによって媒介される標的ポリヌクレオチドの切断、翻訳阻害、又は転写サイレンシング)。RNAi阻害剤は、RISC、miRNA若しくはsiRNA、又は細胞若しくは生物体におけるRNAi経路の任意の他の成分と相互作用する、又はその機能を妨害する、siNA分子、アンチセンス分子、アプタマー又は小分子であり得る。RNAiを阻害することによって(例えば、RNAiによって媒介される標的ポリヌクレオチドの切断、翻訳阻害、又は転写サイレンシング)、本発明のRNAi阻害剤を用いて、標的遺伝子の発現を調節(例えば、上方制御又は下方制御)することができる。一実施形態においては、本発明のRNA阻害剤を用いて、翻訳阻害により、転写サイレンシングにより、又はRISCによって媒介されるポリヌクレオチド(例えば、mRNA)の切断により、遺伝子発現の内因的下方制御又は阻害を妨害(例えば、減少又は阻止)することによって、遺伝子発現を上方制御する。したがって、遺伝子発現の内因的抑制、サイレンシング又は阻害の機序を妨害することによって、本発明のRNAi阻害剤を用いて、機能喪失に起因する疾患、形質又は症状の治療のために、遺伝子発現を上方制御することができる。一実施形態においては、「RNAi阻害剤」という用語は、例えば、機能喪失の疾患、形質及び/又は症状の治療のために遺伝子発現を増大させる効果を有する、本明細書の種々の実施形態における「siNA」という用語の代わりに使用される。
本明細書では「アプタマー」又は「核酸アプタマー」とは、標的分子に特異的に結合するポリヌクレオチドを意味し、核酸分子は、その自然な状況において標的分子によって認識される配列とは異なる配列を有する。或いは、アプタマーは、核酸と自然には結合しない標的分子と結合する核酸分子であり得る。標的分子は、対象となる任意の分子であり得る。例えば、アプタマーを使用して、タンパク質のリガンド結合ドメインに結合させることができ、それによって天然のリガンドとタンパク質の相互作用を防止することができる。これは非限定的例であり、当業者は、当分野で一般に公知である技術を用いて、他の実施形態を容易に作成できることを認識されたい。例えば、Gold et al., 1995, Annu. Rev. Biochem., 64, 763;Brody and Gold, 2000, J. Biotechnol., 74, 5;Sun, 2000, Curr. Opin. Mol. Ther., 2, 100;Kusser, 2000, J. Biotechnol., 74, 27;Hermann and Patel, 2000, Science, 287, 820及びJayasena, 1999, Clinical Chemistry, 45, 1628を参照されたい。本発明のアプタマー分子は、当分野で一般に公知のとおりに、又は本明細書に記載のとおりに、化学修飾することができる。
本明細書では「アンチセンス核酸」という用語は、RNA−RNA、RNA−DNA又はRNA−PNA(タンパク質核酸;Egholm et al., 1993 Nature 365, 566)相互作用によって標的RNAと結合し、立体的相互作用によって、又はRNase Hによって媒介される標的認識によって、標的RNAの活性を変える核酸分子を指す(総説として、Stein and Cheng, 1993 Science 261, 1004及びWoolf他、米国特許第5,849,902号を参照されたい。)。典型的には、アンチセンス分子は、アンチセンス分子の単一の隣接配列に沿った標的配列に相補的である。しかし、ある実施形態においては、アンチセンス分子は、基質分子がループを形成するように基質と結合し得、及び/又はアンチセンス分子がループを形成するように結合し得る。したがって、アンチセンス分子は、2個の(さらには、それを超える)非隣接基質配列に相補的であり得、又はアンチセンス分子の2個の(さらには、それを超える)非隣接配列部分は、標的配列に相補的であり得、又は両方である。現在のアンチセンス戦略の総説については、Schmajuk et al., 1999, J. Biol. Chem., 274, 21783−21789、Delihas et al., 1997, Nature, 15, 751−753、Stein et al., 1997, Antisense N. A. Drug Dev., 7, 151、Crooke, 2000, Methods Enzymol., 313, 3−45、Crooke, 1998, Biotech. genet. Eng. Rev., 15, 121−157、Crooke, 1997, Ad. Pharmacol., 40, 1−49を参照されたい。また、2’−MOEによって修飾された、また、当分野で公知の他の修飾によって修飾された、アンチセンスDNA又はアンチセンスを用いて、DNA−RNA相互作用によってRNAを標的にすることができ、それによって二本鎖中の標的RNAを消化するRNase Hを活性化することができる。アンチセンスオリゴヌクレオチドは、標的RNAのRNAse H切断を活性化し得る1個以上のRNAse H活性化領域を含み得る。アンチセンスDNAは、化学的に合成することができ、又は一本鎖DNA発現ベクター若しくはその等価物を用いて発現させることができる。本発明のアンチセンス分子は、当分野で一般に公知のとおりに、又は本明細書に記載のとおりに、化学修飾することができる。
「調節する」とは、遺伝子の発現を、又は1個以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子若しくは等価なRNA分子のレベルを、又は1個以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性を、発現、レベル又は活性が、調節物質の非存在下で認められるものよりも増大又は低下するように、上方制御又は下方制御することを意味する。例えば、「調節する」という用語は「阻害する」を意味し得るが、「調節する」という言葉の用法はこの定義に限定されない。
「阻害する」、「下方制御する」又は「減少する」とは、遺伝子の発現、又は1個以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子若しくは等価なRNA分子のレベル、又は1個以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性が、本発明の核酸分子(例えば、siNA)の非存在下で認められるものよりも低下することを意味する。一実施形態においては、siNA分子による阻害、下方制御又は減少は、不活性分子又は減弱された分子の存在下で認められるレベルよりも低い。別の実施形態においては、siNA分子による阻害、下方制御又は減少は、例えば、スクランブル(scrambled)配列又はミスマッチを有するsiNA分子の存在下で認められるレベルよりも低い。別の実施形態においては、本発明の核酸分子による遺伝子発現の阻害、下方制御又は減少は、核酸分子の存在下の方が、核酸分子の非存在下よりも大きい。一実施形態においては、遺伝子発現の阻害、下方制御又は減少は、RNAiによって媒介される標的核酸分子(例えばRNA)の切断、翻訳阻害などの転写後サイレンシングと関連がある。一実施形態においては、遺伝子発現の阻害、下方制御又は減少は、DNAメチル化パターン及びDNAクロマチン構造の変化などによる転写前サイレンシングと関連がある。
「上方制御する」又は「促進する」とは、遺伝子の発現、又は1個以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットをコードするRNA分子若しくは等価なRNA分子のレベル、又は1個以上のタンパク質若しくはタンパク質サブユニットの活性が、本発明の核酸分子(例えば、siNA)の非存在下で認められるものよりも増加することを意味する。一実施形態においては、siNA分子による遺伝子発現の上方制御又は促進は、不活性分子又は減弱された分子の存在下で認められるレベルよりも高い。別の実施形態においては、siNA分子による遺伝子発現の上方制御又は促進は、例えば、スクランブル配列又はミスマッチを有するsiNA分子の存在下で認められるレベルよりも高い。別の実施形態においては、本発明の核酸分子による遺伝子発現の上方制御又は促進は、核酸分子の存在下の方が、核酸分子の非存在下よりも大きい。一実施形態においては、遺伝子発現の上方制御又は促進は、上方制御される目的遺伝子の発現を下方制御、阻害又はサイレンシングする、RNAiによって媒介されるコード又は非コードRNA標的の切断又はサイレンシングなど、RNAによって媒介される遺伝子サイレンシングの阻害と関連がある。遺伝子発現の下方制御は、例えば、負のフィードバック、拮抗作用などを介して、コードRNA又はそのコードされたタンパク質によって誘導され得る。遺伝子発現の下方制御は、例えば、翻訳阻害、クロマチン構造、メチル化、RISCによって媒介されるRNA切断、又は翻訳阻害により、遺伝子の発現を停止させることによって、目的遺伝子を調節制御する非コードRNAによって誘導され得る。したがって、目的遺伝子を下方制御、抑制又はサイレンシングする標的を阻害又は下方制御することによって、治療のために目的遺伝子の発現を上方制御又は促進することができる。
一実施形態においては、本発明のRNAi阻害剤を用いて、RNAi又は遺伝子サイレンシングを阻害することによって、遺伝子発現を上方制御する。例えば、特定の遺伝子の1個の対立遺伝子が変異(例えば、フレームシフト、ミスセンス又はナンセンス変異)を保有して、変異遺伝子によってコードされるタンパク質の機能喪失をもたらすハプロ不全の場合などにおいて、本発明のRNAi阻害剤を用いて、遺伝子発現を上方制御することによって、機能喪失の疾患及び症状を治療することができる。かかる場合においては、RNAi阻害剤を用いて、野生型又は機能的対立遺伝子によってコードされるタンパク質の発現を上方制御することができ、したがって変異遺伝子又はヌル対立遺伝子を補うことによって、ハプロ不全を矯正することができる。別の実施形態においては、本明細書に記載の、又は当分野で公知の疾患、形質又は症状の治療などにおいて、本発明のsiNA分子を用いて、有毒な機能獲得型(toxic gain of function)対立遺伝子の発現を下方制御しつつ、本発明のRNAi阻害剤を同時に用いて、野生型又は機能的対立遺伝子の発現を上方制御する(例えば、Rhodes et al., 2004, PNAS USA, 101:11147−11152及びMeisler et al. 2005, The Journal of Clinical Investigation, 115:2010−2017参照)。
「遺伝子」又は「標的遺伝子」若しくは「標的DNA」とは、RNAをコードする核酸、例えば、ポリペプチドをコードする構造遺伝子を含めて、ただしこれだけに限定されない核酸配列を意味する。遺伝子又は標的遺伝子は、small temporal RNA(stRNA)、ミクロRNA(miRNA)、核内低分子RNA(snRNA)、低分子干渉RNA(siRNA)、核小体低分子RNA(snRNA)、リボソームRNA(rRNA)、転移RNA(tRNA)、その前駆体RNAなどの機能性RNA(fRNA)又は非コードRNA(ncRNA)もコードし得る。かかる非コードRNAは、機能的又は調節性細胞プロセスに関与するfRNA又はncRNAの活性の調節において、siNAによって媒介されるRNA干渉の標的核酸分子として役立ち得る。したがって、疾患をもたらす異常なfRNA又はncRNA活性を本発明のsiNA分子によって調節することができる。fRNA及びncRNAを標的にしたsiNA分子を用いて、遺伝子刷り込み、転写、翻訳、核酸プロセシング(例えば、アミノ基転移、メチル化など)などの細胞プロセスに介入することによって、対象、生物体又は細胞の遺伝子型又は表現型を操作又は変化させることもできる。標的遺伝子は、細胞に由来する遺伝子、内在性遺伝子、導入遺伝子、又は感染後に細胞中に存在する病原体、例えば、ウイルスの遺伝子などの外来遺伝子であり得る。標的遺伝子を含む細胞は、任意の生物体、例えば、植物、動物、原生動物、ウイルス、細菌若しくは真菌に由来し得、又はこれらに含まれ得る。植物の非限定的例としては、単子葉植物、双子葉植物又は裸子植物が挙げられる。動物の非限定的例としては、脊椎動物又は無脊椎動物が挙げられる。真菌の非限定的例としては、カビ又は酵母が挙げられる。総説については、例えば、Snyder and Gerstein, 2003, Science, 300, 258−260を参照されたい。
「非標準塩基対」とは、反転(flipped)ミスマッチ、単一の水素結合ミスマッチ、トランス型ミスマッチ、3塩基(triple base)相互作用及び4塩基(quadruple base)相互作用を含めた、ミスマッチ及び/又はゆらぎ塩基対などの任意の非ワトソン クリック塩基対を意味する。かかる非標準塩基対の非限定的例としては、AC逆フーグスティーン、ACゆらぎ、AU逆フーグスティーン、GUゆらぎ、AA N7アミノ、CC 2−カルボニル−アミノ(H1)−N3−アミノ(H2)、GA sheared型、UC 4−カルボニル−アミノ、UUイミノ−カルボニル、AC逆ゆらぎ(reverse wobble)、AUフーグスティーン、AU逆ワトソン クリック、CG逆ワトソン クリック、GC N3−アミノ−アミノN3、AA N1−アミノ対称、AA N7−アミノ対称、GA N7−N1アミノ−カルボニル、GA+カルボニル−アミノN7−N1、GG N1−カルボニル対称、GG N3−アミノ対称、CCカルボニル−アミノ対称、CC N3−アミノ対称、UU 2−カルボニル−イミノ対称、UU 4−カルボニル−イミノ対称、AAアミノ−N3、AA N1−アミノ、ACアミノ2−カルボニル、AC N3−アミノ、AC N7−アミノ、AUアミノ−4−カルボニル、AU N1−イミノ、AU N3−イミノ、AU N7−イミノ、CCカルボニル−アミノ、GAアミノ−N1、GAアミノ−N7、GAカルボニル−アミノ、GA N3−アミノ、GCアミノ−N3、GCカルボニル−アミノ、GC N3−アミノ、GC N7−アミノ、GGアミノ−N7、GGカルボニル−イミノ、GG N7−アミノ、GUアミノ−2−カルボニル、GUカルボニル−イミノ、GUイミノ−2−カルボニル、GU N7−イミノ、psiUイミノ−2−カルボニル、UC 4−カルボニル−アミノ、UCイミノ−カルボニル、UUイミノ−4−カルボニル、AC C2−H−N3、GAカルボニル−C2−H、UUイミノ−4−カルボニル2カルボニル−C5−H、ACアミノ(A)N3(C)−カルボニル、GCイミノアミノ−カルボニル、Gpsiイミノ−2−カルボニルアミノ−2−カルボニル及びGUイミノアミノ−2−カルボニル塩基対が挙げられるが、これらだけに限定されない。
本明細書では「HCV」とは、任意のC型肝炎ウイルス、又は表IのHCV GenBankアクセッション番号などによってコードされる、HCV活性を有するHCVタンパク質、ペプチド若しくはポリペプチドを意味する。HCVという用語は、HCV活性を有する任意のHCVタンパク質、ペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列も指す。「HCV」という用語は、他のHCVアイソフォーム、変異HCV遺伝子、HCV遺伝子のスプライスバリアント、HCV遺伝子多型などの他のHCVコード配列も含むものとする。一実施形態においては、本明細書のHCVという用語は、細胞若しくは宿主のタンパク質、又はかかるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又はHCV感染及び/又は複製に関与するポリヌクレオチドを指す。
本明細書では「標的」とは、本明細書に記載の、また、参照により本明細書に組込む、米国特許出願第10/923,536号及び米国特許出願第10/444,853号に記載のGenbankアクセッション番号などによってコードされる任意の標的タンパク質、ペプチド又はポリペプチドを意味する。「標的」という用語は、本明細書及び/又は米国仮出願第60/363,124号、米国特許出願第10/923,536号、米国特許出願第10/444,853号及び/又はPCT/US03/05028号に記載のGenbankアクセッション番号を有する配列によってコードされるタンパク質、ペプチド、ポリペプチドなどの任意の標的タンパク質、ペプチド又はポリペプチドをコードする核酸配列又は標的ポリヌクレオチド配列も指す。対象となる標的としては、標的DNA、標的RNAなどの標的ポリヌクレオチド配列が挙げられる。「標的」という用語は、種々のアイソフォーム、変異標的遺伝子、標的ポリヌクレオチドのスプライスバリアント、標的多型、非コードポリヌクレオチド配列(例えば、ncRNA、miRNA、stRNA)、本明細書に記載の他の調節ポリヌクレオチド配列などの他の配列も含むものとする。したがって、本発明の多様な実施形態においては、標的RNAに対して相補性を有する本発明の二本鎖核酸分子(例えば、siNA)を用いて、miRNA又は他のncRNA活性を阻害又は下方制御することができる。一実施形態においては、miRNA又はncRNA活性を阻害することによって、miRNA又はncRNA活性に依存する遺伝子発現(例えば、本明細書に記載の遺伝子標的、又は当分野で公知の遺伝子標的)又はウイルス複製(例えば、本明細書に記載のウイルス標的、又は当分野で公知のウイルス標的)を下方制御又は阻害することができる。別の実施形態においては、miRNA又はncRNAに対して相補性を有する本発明の二本鎖核酸分子(例えば、siNA)によってmiRNA又はncRNA活性を阻害することによって、miRNA又はncRNAによって下方制御、抑制又はサイレンシングされる標的遺伝子発現(例えば、本明細書に記載の遺伝子標的、又は当分野で公知の遺伝子標的)を上方制御又は促進することができる。遺伝子発現のかかる上方制御によって、当分野で一般に公知である機能喪失又はハプロ不全に関連する疾患及び症状を治療することができる。
「経路標的」又は「宿主標的」とは、遺伝子発現若しくは活性の経路に関与する任意の標的、又は細胞若しくは宿主タンパク質、又はかかるタンパク質をコードするポリヌクレオチド、又はHCV感染及び/又は複製に関与するポリヌクレオチドを意味する。例えば、任意の所与の標的は、生物学的経路における上流、下流又は変更遺伝子を含み得る、関係する経路標的又は宿主標的を有し得る。これらの経路標的遺伝子及び宿主標的遺伝子は、本明細書に記載の疾患、症状及び形質の治療において相加又は相乗効果をもたらし得る。
一実施形態においては、標的は、任意の標的RNA又はその一部である。
一実施形態においては、標的は、任意の標的DNA又はその一部である。
一実施形態においては、標的は、任意の標的mRNA又はその一部である。
一実施形態においては、標的は、任意の標的miRNA又はその一部である。
一実施形態においては、標的は、任意の標的siRNA又はその一部である。
一実施形態においては、標的は、任意の標的stRNA又はその一部である。
一実施形態においては、標的は、標的及び又は経路標的又はその一部である。
一実施形態においては、標的は、本明細書、及び/又は米国仮出願第60/363,124号、米国特許出願第10/923,536号及び米国特許出願第10/444,853号及び/又はPCT/US03/05028号に記載の標的配列のいずれか(例えば、1個以上)又はその一部である。一実施形態においては、標的は、表I、II又はIIIに示す標的配列のいずれか(例えば、1個以上)又はその一部である。別の実施形態においては、標的は、表II又はIIIに示す任意の(例えば、1個以上の)上側の鎖、又は下側の鎖の標的配列に対応するsiRNA、miRNA若しくはtRNA又はその一部である。別の実施形態においては、標的は、本明細書又は米国仮出願第60/363,124号、米国特許出願第10/923,536号及び米国特許出願第10/444,853号及び/又はPCT/US03/05028に記載の配列に対応する任意の(例えば、1個以上)配列に対応する任意のsiRNA、miRNA又はtRNAである。
「相同配列」とは、遺伝子、遺伝子転写物及び/又は非コードポリヌクレオチドなどの1個以上のポリヌクレオチド配列によって共有されるヌクレオチド配列を意味する。例えば、相同配列は、サイトカインとその対応する受容体など、遺伝子ファミリーの異なるメンバー、異なるタンパク質エピトープ、異なるタンパク質アイソフォーム、完全に異なる遺伝子などの関係するが異なるタンパク質をコードする2個以上の遺伝子によって共有されるヌクレオチド配列であり得る。相同配列は、非コードDNA又はRNA、制御配列、イントロン、転写制御部位、転写調節部位など、2個以上の非コードポリヌクレオチドによって共有されるヌクレオチド配列であり得る。相同配列は、1個を超えるポリヌクレオチド配列によって共有される保存配列領域も含み得る。相同性は、完全な相同性(例えば、100%)である必要はなく、部分的相同配列も本発明によって企図される(例えば、99%、98%、97%、96%、95%、94%、93%、92%、91%、90%、89%、88%、87%、86%、85%、84%、83%、82%、81%、80%など)。
「保存配列領域」とは、ポリヌクレオチド中の1個以上の領域のヌクレオチド配列が、世代間で、又は生物系、対象若しくは生物体間でさほど変化しないことを意味する。ポリヌクレオチドは、コード及び非コードのDNA及びRNAを含み得る。
「センス領域」とは、siNA分子のアンチセンス領域に対して相補性を有する、siNA分子のヌクレオチド配列を意味する。また、siNA分子のセンス領域は、標的核酸配列と相同性を有する核酸配列を含み得る。一実施形態においては、siNA分子のセンス領域をセンス鎖又はパッセンジャー鎖と称する。
「アンチセンス領域」とは、標的核酸配列に対して相補性を有する、siNA分子のヌクレオチド配列を意味する。また、siNA分子のアンチセンス領域は、siNA分子のセンス領域に対して相補性を有する核酸配列を含んでいてもよい。一実施形態においては、siNA分子のアンチセンス領域をアンチセンス鎖又はガイド鎖と称する。
「標的核酸」又は「標的ポリヌクレオチド」とは、発現又は活性を調節すべき任意の核酸配列(例えば、任意の標的及び/又は経路標的配列)を意味する。標的核酸はDNA又はRNAであり得る。一実施形態においては、本発明の標的核酸は標的RNA又はDNAである。
「相補性」とは、核酸が、伝統的なワトソン−クリック、又は本明細書に記載の他の非伝統的なタイプによって別の核酸配列と水素結合を形成し得ることを意味する。一実施形態においては、各鎖が15から30ヌクレオチド長である、siNA分子などの本発明の二本鎖核酸分子は、二本鎖核酸分子の2本の鎖間の約10%から約100%(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%)の相補性を含む。別の実施形態においては、一方の鎖がセンス鎖であり、他方の鎖がアンチセンス鎖であり、各鎖が15から30ヌクレオチド長である、siNA分子などの本発明の二本鎖核酸分子は、二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖中のヌクレオチド配列と、標的RNA、標的mRNA、ウイルスRNAなどのその対応する標的核酸分子のヌクレオチド配列との間で、少なくとも約10%から約100%(例えば、少なくとも約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%)の相補性を含む。一実施形態においては、一方の鎖がセンス領域と称するヌクレオチド配列を含み、他方の鎖がアンチセンス領域と称するヌクレオチド配列を含み、各鎖が15から30ヌクレオチド長である、siNA分子などの本発明の二本鎖核酸分子は、二本鎖核酸分子のセンス領域とアンチセンス領域の間で、約10%から約100%(例えば、約10%、20%、30%、40%、50%、60%、70%、80%、90%又は100%)の相補性を含む。本発明の核分子に関連して、その相補配列との核酸分子の結合自由エネルギーは、核酸の関連機能、例えば、RNAi活性が進行するのに十分である。核酸分子の結合自由エネルギーの測定は当分野で周知である(例えば、Turner et al., 1987, CSH Symp. Quant. Biol. LII pp.123−133;Frier et al., 1986, Proc. Nat. Acad. Sci. USA 83:9373−9377;Turner et al., 1987, J. Am. Chem. Soc. 109:3783−3785参照)。相補性パーセントは、第2の核酸配列と水素結合を形成(例えば、ワトソン−クリック塩基対形成)し得る、核酸分子中の隣接残基の百分率を示す(例えば、10ヌクレオチドの第2の核酸配列と塩基対を形成した、第1のオリゴヌクレオチド中の合計10ヌクレオチドのうちの5、6、7、8、9又は10ヌクレオチドは、それぞれ50%、60%、70%、80%、90%及び100%相補的である。)。一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、siNA分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間で完全な相補性を有する。一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、対応する標的核酸分子と完全に相補的である。「完全に相補的」とは、核酸配列の全隣接残基が第2の核酸配列中の同数の隣接残基と水素結合することを意味する。一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の標的核酸分子又はその一部に相補的である、約15から約30個又はそれを超える(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29若しくは30個又はそれを超える)ヌクレオチドを含む。一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、siNA分子のセンス鎖若しくはセンス領域とアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域との間で、又はsiNA分子のアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間で、部分的相補性(すなわち、100%未満の相補性)を有する。例えば、部分的相補性は、siNA構造内の種々のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5個又はそれを超えるミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド)を含み得る。これは、siNA分子のセンス鎖若しくはセンス領域とアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域との間で、又はsiNA分子のアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間で生じるバルジ、ループ又はオーバーハングをもたらし得る。
一実施形態においては、siNA分子などの本発明の二本鎖核酸分子は、核酸分子のセンス鎖又はセンス領域とアンチセンス鎖又はアンチセンス領域との間で完全な相補性を有する。一実施形態においては、siNA分子などの本発明の二本鎖核酸分子は、対応する標的核酸分子に完全に相補的である。
一実施形態においては、siNA分子などの本発明の二本鎖核酸分子は、二本鎖核酸分子のセンス鎖若しくはセンス領域とアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域との間で、又は核酸分子のアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間で、部分的相補性(すなわち、100%未満の相補性)を有する。例えば、部分的相補性は、二本鎖核酸分子構造内の種々のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5個又はそれを超えるミスマッチ又はヌクレオチドバルジなどの非塩基対形成ヌクレオチド)を含み得る。これは、二本鎖核酸分子のセンス鎖若しくはセンス領域とアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域との間で、又は二本鎖核酸分子のアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間で生じるバルジ、ループ又はオーバーハングをもたらし得る。
一実施形態においては、本発明の二本鎖核酸分子は、ミクロRNA(miRNA)である。「ミクロRNA」又は「miRNA」とは、mRNA切断、翻訳抑制/阻害又は異質染色質サイレンシングによって、標的メッセンジャーRNAの発現を調節する低分子二本鎖RNAを意味する(例えば、Ambros, 2004, Nature, 431, 350−355;Bartel, 2004, Cell, 116, 281−297;Cullen, 2004, Virus Research., 102, 3−9;He et al., 2004, Nat. Rev. genet., 5, 522−531;Ying et al., 2004, gene, 342, 25−28及びSethupathy et al., 2006, RNA, 12:192−197参照)。一実施形態においては、本発明のミクロRNAは、miRNA分子のセンス鎖若しくはセンス領域とアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域との間で、又はmiRNAのアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間で、部分的相補性(すなわち、100%未満の相補性)を有する。例えば、部分的相補性は、二本鎖核酸分子構造内の種々のミスマッチ又は非塩基対形成ヌクレオチド(例えば、1、2、3、4、5個又はそれを超えるミスマッチ又はヌクレオチドバルジなどの非塩基対形成ヌクレオチド)を含み得る。これは、miRNAのセンス鎖若しくはセンス領域とアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域との間で、又はmiRNAのアンチセンス鎖若しくはアンチセンス領域と対応する標的核酸分子との間で生じるバルジ、ループ又はオーバーハングをもたらし得る。
一実施形態においては、標的遺伝子発現を下方制御する、又は減少させる、本発明のsiNA分子は、本明細書に記載するとおりに、又は当分野で公知のとおりに、対象又は生物体におけるHCV感染症、肝不全、肝細胞癌又は肝硬変の治療、予防又は軽減に使用される。
本発明の一実施形態においては、本発明のsiNA分子の各配列は独立に約15から約30ヌクレオチド長であり、特定の実施形態においては、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30ヌクレオチド長である。別の実施形態においては、本発明のsiNA二本鎖は、約15から約30塩基対(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)を独立に含む。別の実施形態においては、本発明のsiNA分子の1本以上の鎖は、標的核酸分子に相補的である約15から約30ヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29又は30)を独立に含む。更に別の実施形態においては、ヘアピン又は環状構造を含む本発明のsiNA分子は、約35から約55(例えば、約35、40、45、50又は55)ヌクレオチド長、又は約38から約44(例えば、約38、39、40、41、42、43又は44)ヌクレオチド長であり、約15から約25(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24又は25)個の塩基対を含む。本発明の例示的なsiNA分子を表II及びIII及び/又は図4−5に示す。
本明細書では「細胞」は、その通常の生物学的意味で使用され、多細胞生物全体を指すのではなく、例えば、具体的にヒトを指すのではない。細胞は、生物体、例えば、トリ、植物、及びヒト、ウシ、ヒツジ、類人猿、サル、ブタ、イヌ、ネコなどのほ乳動物中に存在し得る。細胞は、原核細胞(例えば、細菌細胞)でも真核細胞(例えば、ほ乳動物細胞又は植物細胞)でもよい。細胞は、体細胞又は生殖系列起源、全能性又は多能性、分裂又は非分裂であり得る。細胞は、配偶子若しくは胚、幹細胞、又は完全に分化した細胞に由来することもでき、又はこれらを含み得る。細胞は、当分野で一般に認識されている、単離細胞、精製細胞、又は実質的な精製細胞であり得る。
本発明のsiNA分子は、直接添加され、又は陽イオン性脂質と複合体(complex)を形成することができ、リポソームに入れることができ、又は標的細胞若しくは組織に送達することができる。核酸又は核酸複合体は、関連組織に生体外で、又は肺に局所送達することによってインビボで、生体高分子に組み入れて、若しくは組み入れずに、局所投与することができる。特定の実施形態においては、本発明の核酸分子は、表II−III及び/又は図4−5に示す配列を含む。かかる核酸分子の例は、これらの表及び図に規定された配列から本質的になる。また、表IVに記載の化学修飾構築体、及び表VIに示す脂質ナノ粒子(LNP)調合物を、本発明の任意のsiNA配列又はsiNA配列群に適用することができる。
別の態様においては、本発明は、本発明の1種類以上のsiNA分子を含むほ乳動物細胞を提供する。1種類以上のsiNA分子は、本発明の標的ポリヌクレオチド内の同じ、又は異なる部位を独立に標的にすることができる。
「RNA」とは、少なくとも1個のリボヌクレオチド残基を含む分子を意味する。「リボヌクレオチド」とは、β−D−リボフラノース部分の2’位にヒドロキシル基を有するヌクレオチドを意味する。この用語は、二本鎖RNA、一本鎖RNA、部分精製RNAなどの単離RNA、本質的に純粋なRNA、合成RNA、組換え産生されたRNA、並びに1個以上のヌクレオチドの付加、欠失、置換及び/又は変化によって天然RNAとは異なる改変RNAを含む。かかる変化は、例えばRNAの1個以上のヌクレオチドにおける、siNAの末端、内部などへの、非ヌクレオチド材料の付加を含み得る。本発明のRNA分子中のヌクレオチドは、非天然ヌクレオチド、化学合成ヌクレオチド、デオキシヌクレオチドなどの非標準ヌクレオチドも含み得る。これらの改変RNAは、類似体、又は天然RNAの類似体と称することができる。
「対象」とは、外植された細胞のドナー若しくはレシピエント、又は細胞自体である、生物体を意味する。「対象」とは、本発明の核酸分子を投与することができる生物体も指す。対象は、ヒト又はヒト細胞を含めて、ほ乳動物又はほ乳動物細胞であり得る。一実施形態においては、対象は乳児(例えば、1月齢未満、又は1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11若しくは12月齢の対象)である。一実施形態においては、対象は幼児(例えば、1、2、3、4、5又は6歳)である。一実施形態においては、対象は(例えば、約65歳を超える)高齢者である。
本明細書では「化学修飾」とは、未変性のsiRNA又はRNAのヌクレオチドとは異なる、ヌクレオチドの化学構造の任意の修飾を意味する。「化学修飾」という用語は、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、修飾ヌクレオシド及び修飾ヌクレオチドを用いた、未変性のsiRNA又はRNAのヌクレオシド及びヌクレオチドの付加、置換又は修飾を包含する。かかる化学修飾の非限定的例としては、本明細書の式I、II、III、IV、V、VI若しくはVIIのいずれかの組成物、ホスホロチオアートヌクレオチド間結合、2’−デオキシリボヌクレオチド、2’−O−メチルリボヌクレオチド、2’−デオキシ−2’−フルオロリボヌクレオチド、4’−チオリボヌクレオチド、2’−O−トリフルオロメチルヌクレオチド、2’−O−エチル−トリフルオロメトキシヌクレオチド、2’−O−ジフルオロメトキシ−エトキシヌクレオチド(例えば、参照により本明細書に組込む、2004年11月5日に出願された米国特許出願第10/981,966号参照)、FANA、「汎用塩基」ヌクレオチド、「非環式」ヌクレオチド、5−C−メチルヌクレオチド、末端グリセリル及び/又は反転デオキシ脱塩基残基の組み入れ、又は本明細書の式I−VIIのいずれかの修飾が挙げられるが、これらだけに限定されない。一実施形態においては、本発明の核酸分子(例えば、dsRNA、siNAなど)は、化学修飾によって部分的に修飾されている(例えば、約5%、10,%、15%、20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、75%、80%、85%、90%又は95%修飾)。別の実施形態においては、本発明の核酸分子(例えば、dsRNA、siNAなど)は、化学修飾によって完全に修飾されている(例えば、約100%修飾)。
本明細書では「ホスホロチオアート」という用語は、式Iのヌクレオチド間結合を指す。式中、Z及び/又はWは硫黄原子を含む。したがって、ホスホロチオアートという用語は、ホスホロチオアートヌクレオチド間結合とホスホロジチオアートヌクレオチド間結合の両方を指す。
本明細書では「ホスホノアセタート」という用語は、式Iのヌクレオチド間結合を指す。式中、Z及び/又はWは、アセチル基、又は保護されたアセチル基を含む。
本明細書では「チオホスホノアセタート」という用語は、式Iのヌクレオチド間結合を指す。式中、Zは、アセチル基、又は保護されたアセチル基を含み、Wは、硫黄原子、又はアセチル基、若しくは保護されたアセチル基を含み、Zは硫黄原子を含む。
本明細書では「汎用塩基」という用語は、天然DNA/RNA塩基の各々とほとんど差別なく塩基対を形成するヌクレオチド塩基類似体を指す。汎用塩基の非限定的例としては、当分野で公知である、C−フェニル、C−ナフチル及び他の芳香族誘導体、イノシン、アゾールカルボキサミド、並びに3−ニトロピロール、4−ニトロインドール、5−ニトロインドール、6−ニトロインドールなどのニトロアゾール誘導体が挙げられる(例えば、Loakes, 2001, Nucleic Acids Research, 29, 2437−2447参照)。
本明細書では「非環式ヌクレオチド」という用語は、例えば、リボース炭素(C1、C2、C3、C4又はC5)のいずれかが、独立に、又は組み合わせて、ヌクレオチドから欠けている、非環式リボース糖を有する任意のヌクレオチドを指す。
本発明の核酸分子は、個々に、又は他の薬物と組み合わせて若しくは併用して、対象又は生物体における、本明細書に記載の、又は当分野で公知の、疾患、障害、症状及び形質の予防又は治療に使用することができる。例えば、siNA分子は、個々に、又は1種類以上の薬物と組み合わせて、治療に適切な条件下で、対象に投与することができ、又は当業者に明らかである他の適切な細胞に投与することができる。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、個々に、又は1種類以上の薬物と組み合わせて、治療に適切な条件下で、対象に投与することができ、又は当業者に明らかである他の適切な細胞に投与することができる。
更なる実施形態においては、siNA分子は、対象又は生物体において、他の公知の予防処置又は治療処置と併用することができる。例えば、上記分子を1つ以上の公知の化合物、治療又は手順と併用して、当分野で公知である対象又は生物体における本明細書に記載の疾患、障害、症状及び形質を予防又は治療することができる。
一実施形態においては、本発明は、siNA分子の発現が可能であるように、本発明の少なくとも1種類のsiNA分子をコードする核酸配列を含む発現ベクターを特徴とする。例えば、ベクターは、二本鎖を含むsiNA分子の両方の鎖をコードする配列を含み得る。自己相補的であり、したがってsiNA分子を形成する単一の核酸分子をコードする配列もベクターは含み得る。かかる発現ベクターの非限定的例は、Paul et al., 2002, Nature Biotechnology, 19, 505;Miyagishi and Taira, 2002, Nature Biotechnology, 19, 497;Lee et al., 2002, Nature Biotechnology, 19, 500及びNovina et al., 2002, Nature Medicine, advance online publication doi:10.1038/nm725に記載されている。
別の実施形態においては、本発明は、本発明の発現ベクターを含むほ乳動物細胞、例えば、ヒト細胞を特徴とする。
更に別の実施形態においては、本発明の発現ベクターは、Genbankアクセッション番号によって、例えば、本明細書に記載の、又は米国仮出願第60/363,124号、米国特許出願第10/923,536号及び米国特許出願第10/444,853号及び/又はPCT/US03/05028に記載のGenbankアクセッション番号によって、参照されるRNA分子に対して相補性を有するsiNA分子の配列を含む。
一実施形態においては、本発明の発現ベクターは、同じでも、異なっていてもよい、2個以上のsiNA分子をコードする核酸配列を含む。
本発明の別の態様においては、標的RNA分子と相互作用し、標的RNA分子(例えば、本明細書のGenbankアクセッション番号によって参照される標的RNA分子)をコードする遺伝子を下方制御するsiNA分子は、DNA又はRNAベクターに挿入される転写単位から発現される。組換えベクターは、DNAプラスミド又はウイルスベクターであり得る。siNAを発現するウイルスベクターは、これらだけに限定されないが、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス又はアルファウイルスに基づいて構築することができる。siNA分子を発現可能である組換えベクターを、本明細書に記載のとおりに送達し、標的細胞中に存続させることができる。或いは、siNA分子の一過性発現を与えるウイルスベクターを使用することができる。かかるベクターは、必要に応じて繰り返し投与することができる。発現後、siNA分子は、結合し、RNA干渉(RNAi)によって遺伝子の機能又は発現を下方制御する。siNAを発現するベクターの送達は、静脈内又は筋肉内投与によって、対象から外植された標的細胞に投与し、続いて対象に再導入することによって、所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段によってなど、全身的であり得る。
「ベクター」とは、所望の核酸の送達に使用される任意の核酸技術及び/又はウイルス技術を意味する。
本発明の他の特徴及び効果は、以下の好ましい実施形態の説明、及び特許請求の範囲から明らかになるはずである。
(発明の詳細)
本発明の核酸分子の作用機序
以下の考察は、現在公知である低分子干渉RNAによって媒介されるRNA干渉の提案されている機序を考察するものであり、限定的なものではなく、従来技術と認めるものでもない。本出願人は、本明細書において、化学修飾低分子干渉核酸が、siRNA分子と類似したRNAi媒介能力、又は改善されたRNAi媒介能力を有し、改善された安定性及び活性をインビボで有すると予想されることを示す。したがって、この考察は、siRNAのみに限定されず、siNA全体にあてはまる。「改善されたRNAi媒介能力」又は「改善されたRNAi活性」とは、インビトロ及び/又はインビボで測定されたRNAi活性を含むものとする。ここで、RNAi活性は、本発明のsiNAのRNAi媒介能力とsiNAの安定性の両方を反映している。本発明では、これらの活性の成果は、全RNA siRNA、又は複数のリボヌクレオチドを含むsiNAよりも、インビトロ及び/又はインビボで増加し得る。siNA分子の活性又は安定性は減少し得る場合もあるが(すなわち、1/10未満)、siNA分子の全体的活性は、インビトロ及び/又はインビボで増強される。
RNA干渉とは、動物において、低分子干渉RNA(siRNA)によって媒介される配列特異的転写後遺伝子サイレンシングのプロセスを指す(Fire et al., 1998, Nature, 391, 806)。植物における対応するプロセスは、転写後遺伝子サイレンシング又はRNAサイレンシングと一般に称し、真菌においてはクエリングとも称される。転写後遺伝子サイレンシングのプロセスは、外来遺伝子の発現を防止するのに使用される、進化的に保存された細胞防御機構であると考えられ、多様な叢及び門によって一般に共有されている(Fire et al., 1999, Trends Genet., 15, 358)。外来遺伝子発現からのかかる防御は、相同な一本鎖RNA又はウイルスゲノムRNAを特異的に破壊する細胞応答を介して、ウイルス感染に由来する、又は宿主ゲノム中へのトランスポゾンエレメントの無作為な組み込みに由来する、二本鎖RNA(dsRNA)の生成に応じて進化してきたと考えられる。細胞中にdsRNAが存在すると、特徴がまだ十分に明らかになっていない機序によってRNAi応答が誘発される。この機序は、リボヌクレアーゼLによるmRNAの非特異的切断をもたらす、dsRNAによって媒介されるプロテインキナーゼPKR及び2’,5’−オリゴアデニル酸合成酵素の活性化に起因するインターフェロン応答とは異なると考えられる。
細胞中に長鎖dsRNAが存在すると、ダイサーと呼ばれるリボヌクレアーゼIII酵素の活性が刺激される。ダイサーは、低分子干渉RNA(siRNA)として知られるdsRNA小片へのdsRNAのプロセシングに関与する(Berstein et al., 2001, Nature, 409, 363)。ダイサー活性に由来する低分子干渉RNAは、典型的には約21から約23ヌクレオチド長であり、約19塩基対の二本鎖を含む。ダイサーは、構造の保存された前駆体RNAからの、翻訳調節に関係する21及び22ヌクレオチドのsmall temporal RNA(stRNA)の切り出しにも関係する(Hutvagner et al., 2001, Science, 293, 834)。RNAi応答は、RNA誘導サイレンシング複合体(RISC)と一般に称する、siRNAを含むエンドヌクレアーゼ複合体も特徴とする。RISCは、siRNAと相同である配列を有する一本鎖RNAの切断を媒介する。標的RNAの切断は、siRNA二本鎖のガイド配列に相補的である領域の中央で起こる(Elbashir et al., 2001, genes Dev., 15, 188)。また、恐らくはクロマチン構造を調節し、それによって標的遺伝子配列の転写を防止する細胞機序によって、RNA干渉は、低分子RNA(例えば、ミクロRNA、すなわちmiRNA)によって媒介される遺伝子サイレンシングも含み得る(例えば、Allshire, 2002, Science, 297, 1818−1819;Volpe et al., 2002, Science, 297, 1833−1837;Jenuwein, 2002, Science, 297, 2215−2218及びHall et al., 2002, Science, 297, 2232−2237)。したがって、本発明のsiNA分子を用いて、RNA転写物との相互作用によって、又は特定の遺伝子配列との相互作用によって、遺伝子サイレンシングを媒介することができる。かかる相互作用は、転写レベル又は転写後レベルで遺伝子サイレンシングを生じる。
RNAiは種々の系で研究されている。Fire et al., 1998, Nature, 391, 806は、線虫においてRNAiを観察した最初であった。Wianny and Goetz, 1999, Nature Cell Biol., 2, 70は、マウス胚においてdsRNAによって媒介されるRNAiを記載している。Hammond et al., 2000, Nature, 404, 293は、dsRNAが移入されたショウジョウバエ細胞におけるRNAiを記述している。Elbashir et al., 2001, Nature, 411, 494は、ヒト胚性腎臓細胞及びHeLa細胞を含めた培養ほ乳動物細胞において、合成21ヌクレオチドRNA二本鎖の導入によって誘導されるRNAiを記述している。ショウジョウバエ胚溶解物における最近の研究によって、効率的RNAi活性を媒介するのに必要である、siRNAの長さ、構造、化学組成及び配列に対する一定の要件が明らかになった。これらの研究によれば、21ヌクレオチドsiRNA二本鎖は、2個の2ヌクレオチド3’末端ヌクレオチドオーバーハングを含むときに最も活性である。また、一方又は両方のsiRNA鎖を2’−デオキシ又は2’−O−メチルヌクレオチドで置換するとRNAi活性が消失するのに対して、デオキシヌクレオチドによる3’末端siRNAヌクレオチドの置換は許容されることが判明した。siRNA二本鎖の中央におけるミスマッチ配列も、RNAi活性を消失させることが判明した。また、これらの研究は、標的RNA中の切断部位の位置が、siRNAガイド配列の3’末端ではなく5’末端によって規定されることも示している(Elbashir et al., 2001, EMBO J., 20, 6877)。他の研究によれば、siRNA二本鎖の標的相補鎖上の5’リン酸がsiRNA活性に必要であり、ATPを利用してsiRNA上の5’リン酸部分が維持される(Nykanen et al., 2001, Cell, 107, 309)。しかし、5’リン酸を欠くsiRNA分子は、外来的に導入したときに活性であり、siRNA構築体の5’リン酸化がインビボで起こり得ることを示唆している。
本発明の二本鎖形成性オリゴヌクレオチド(DFO)
一実施形態においては、本発明は、二本鎖オリゴヌクレオチドを自己組織化し得る二本鎖形成性オリゴヌクレオチド(DFO)を含むsiNA分子を特徴とする。本発明の二本鎖形成性オリゴヌクレオチドは、化学合成することができ、又は転写単位及び/又はベクターから発現させることができる。本発明のDFO分子は、多様な治療、診断、農業、獣医学、標的確認、ゲノム発見、遺伝子工学及び薬理ゲノミクスの各適用分野に有用である試薬及び方法を提供する。
本出願人は、二本鎖形成性オリゴヌクレオチド、すなわちDFO分子に限定されないが、本明細書では便宜上そのように称される、ある種のオリゴヌクレオチドが、遺伝子発現の配列特異的調節の強力な媒介物質であることを本明細書で示す。本発明のオリゴヌクレオチドは、二本鎖オリゴヌクレオチドを自己組織化するように設計されている線状ポリヌクレオチド配列のクラスである点で、当分野で公知である他の核酸配列(例えば、siRNA、miRNA、stRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)とは異なる。二本鎖オリゴヌクレオチドの各鎖は、標的核酸分子に相補的であるヌクレオチド配列を含む。したがって、本発明の核酸分子は、機能的二本鎖を自己組織化することができ、該二本鎖の各鎖は、同じポリヌクレオチド配列を含み、標的核酸分子に相補的であるヌクレオチド配列を含む。
一般に、二本鎖オリゴヌクレオチドは、2個の異なるオリゴヌクレオチド配列を組み立てることによって形成される。ここで、一方の鎖のオリゴヌクレオチド配列は、他方の鎖のオリゴヌクレオチド配列に相補的である。かかる二本鎖オリゴヌクレオチドは、2個の別々のオリゴヌクレオチドから組み立てられ、又はそれ自体の上で折り重なって二本鎖構造を形成する単一の分子から組み立てられ、当分野ではヘアピンステムループ構造(例えば、shRNA、すなわち短鎖ヘアピンRNA)と称されることが多い。当分野で公知であるこれらの二本鎖オリゴヌクレオチドはすべて、二本鎖の各鎖が異なるヌクレオチド配列を有する点で共通の特徴を有する。
当分野で公知の二本鎖核酸分子とは別に、本出願人は、一本鎖又は線状オリゴヌクレオチドから出発して、二本鎖核酸分子を形成する、潜在的に費用効果の高い、簡単な新規方法を開発した。本発明によって形成される二本鎖オリゴヌクレオチドの2本の鎖は、同じヌクレオチド配列を有し、互いに共有結合していない。かかる二本鎖オリゴヌクレオチド分子は、当分野で公知である方法及び試薬によって、合成後に容易に連結することができ、本発明の範囲内である。一実施形態においては、二本鎖オリゴヌクレオチドを形成する、本発明の一本鎖オリゴヌクレオチド(二本鎖形成性オリゴヌクレオチド)は、第1の領域と第2の領域を含む。ここで、一本鎖オリゴヌクレオチドが自己組織化して、二本鎖の一方の鎖のヌクレオチド配列が他方の鎖のヌクレオチド配列と同じである二本鎖オリゴヌクレオチドを形成するように、第2の領域は、第1の領域中のヌクレオチド配列又はその一部の逆方向反復であるヌクレオチド配列を含む。かかる二本鎖形成性オリゴヌクレオチドの非限定的例を図14及び15に示す。これらの二本鎖形成性オリゴヌクレオチド(DFO)は、ある種の回文構造又は反復配列を含んでいてもよい。かかる回文構造又は反復配列は、DFOの第1の領域と第2の領域の間に存在する。
一実施形態においては、本発明は、標的核酸配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する二本鎖形成性自己相補的核酸配列を含む二本鎖形成性オリゴヌクレオチド(DFO)分子を特徴とする。DFO分子は、かかる自己相補配列の組立てによって生じる、単一の自己相補配列又は二本鎖を含み得る。
一実施形態においては、本発明の二本鎖形成性オリゴヌクレオチド(DFO)は、第1の領域と第2の領域を含み、第2の領域は、DFO分子から二本鎖オリゴヌクレオチドを組み立てることができるように、第1の領域のヌクレオチド配列の逆方向反復を含むヌクレオチド配列を含む。かかる二本鎖オリゴヌクレオチドは、遺伝子発現を調節する低分子干渉核酸(siNA)として作用し得る。本発明のDFO分子によって形成される二本鎖オリゴヌクレオチド二本鎖の各鎖は、標的核酸分子(例えば、HCV標的RNA)中の同じヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列領域を含み得る。
一実施形態においては、本発明は、二本鎖オリゴヌクレオチドに組み立て得る一本鎖DFOを特徴とする。驚くべきことに、本出願人は、自己相補性のヌクレオチド領域を有する一本鎖オリゴヌクレオチドを二本鎖オリゴヌクレオチド構築体に容易に組み立て得ることを見いだした。かかるDFOは、遺伝子発現を配列特異的に阻害し得る二本鎖に組み立て得る。本発明のDFO分子は、第2の領域のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する第1の領域を含み、第1の領域の配列は、標的核酸に相補的である。DFOは、二本鎖オリゴヌクレオチドの各鎖の一部が、標的核酸配列に相補的である配列を含む、二本鎖オリゴヌクレオチドを形成し得る。
一実施形態においては、本発明は、二本鎖オリゴヌクレオチドの2本の鎖が互いに共有結合せず、二本鎖オリゴヌクレオチドの各鎖が、標的核酸分子又はその一部(例えば、HCV RNA標的)中の同じヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む、二本鎖オリゴヌクレオチドを特徴とする。別の実施形態においては、二本鎖オリゴヌクレオチドの2本の鎖は、少なくとも約15、好ましくは少なくとも約16、17、18、19、20又は21ヌクレオチドの同一ヌクレオチド配列を共有する。
一実施形態においては、本発明のDFO分子は、式DFO−Iの構造を含む。
Figure 2009520039
式中、Zは、1個以上の修飾ヌクレオチド(例えば、2−アミノプリン、2−アミノ−1,6−ジヒドロプリン、汎用塩基などの修飾塩基を有するヌクレオチド)を含んでいてもよい、例えば偶数の約2から約24ヌクレオチド(例えば、約2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22又は24ヌクレオチド)長の、回文構造の核酸配列、又は反復核酸配列を含み、Xは、例えば約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長の、核酸配列であり、X’は、例えば配列X又はその一部に対するヌクレオチド配列相補性を有する約1及び約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長の、核酸配列を含み、pは、存在しても、しなくてもよい末端リン酸基を含み、配列XとZは、独立に、又は一緒に、標的核酸配列又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、標的核酸配列又はその一部(例えば、HCV RNA標的)と相互作用する(例えば、塩基対形成する)のに十分な長さである。例えば、Xは、標的RNA中のヌクレオチド配列又はその一部に相補的である、約12から約21又はそれを超える(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又はそれを超える)ヌクレオチド長の配列を独立に含み得る。別の非限定的例においては、Xが存在するときに、標的RNA又はその一部(例えば、HCV RNA標的)に相補的である、XとZの一緒のヌクレオチド配列の長さは、約12から約21又はそれを超える(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又はそれを超える)ヌクレオチドである。更に別の非限定的例においては、Xが存在しないときには、標的RNA又はその一部に相補的であるZのヌクレオチド配列の長さは、約12から約24又はそれを超える(例えば、約12、14、16、18、20、22、24又はそれを超える)ヌクレオチドである。一実施形態においては、X、Z及びX’は独立に、X及び/又はZが、標的RNA又はその一部(例えば、HCV RNA標的)中のヌクレオチド配列と相互作用する(例えば、塩基対形成する)のに十分な長さのヌクレオチド配列を含む、オリゴヌクレオチドである。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは同一である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは異なる。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとZ、又はZとX’、又はX、Z及びX’の長さは、同一であり、又は異なる。
配列が、別の配列と相互作用する(すなわち、塩基対形成する)のに「十分な」長さであると本明細書で記述するときには、2個の配列間で形成される結合(例えば、水素結合)の数が、対象となる条件下で2個の配列が二本鎖を形成し得るのに十分であるような長さであることを意味する。かかる条件は、インビトロ(例えば、診断又はアッセイ目的)又はインビボ(例えば、治療目的)であり得る。かかる長さを決定することは簡単であり、定常的なことである。
一実施形態においては、本発明は、式DFO−I(a)の二本鎖オリゴヌクレオチド構築体を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、Zは、1個以上の修飾ヌクレオチド(例えば、2−アミノプリン、2−アミノ−1,6−ジヒドロプリン、汎用塩基などの修飾塩基を有するヌクレオチド)を有する、例えば偶数の約2から約24ヌクレオチド(例えば、約2、4、6、8、10、12、14、16、18、20、22又は24ヌクレオチド)長の、回文構造の核酸配列、若しくは反復核酸配列、又は回文構造様(palindromic−like)核酸配列、若しくは反復様(repeat−like)核酸配列を含み、Xは、例えば約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長の、核酸配列であり、X’は、例えば配列X又はその一部に対するヌクレオチド配列相補性を有する約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長の、核酸配列を含み、pは、存在しても、しなくてもよい末端リン酸基を含み、各X及びZは、標的核酸配列又はその一部(例えば、HCV RNA標的)に相補的であるヌクレオチド配列を独立に含み、その一部の標的核酸配列(例えば、HCV RNA標的)と相互作用するのに十分な長さである。例えば、配列Xは、標的RNA又はその一部(例えば、HCV RNA標的)中のヌクレオチド配列に相補的である、約12から約21又はそれを超える(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又はそれを超える)ヌクレオチド長の配列を独立に含み得る。別の非限定的例においては、標的RNA又はその一部に相補的である、(Xが存在するときの)XとZの一緒のヌクレオチド配列の長さは、約12から約21又はそれを超える(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又はそれを超える)ヌクレオチドである。更に別の非限定的例においては、Xが存在しないときには、標的RNA又はその一部に相補的であるZのヌクレオチド配列の長さは、約12から約24又はそれを超える(例えば、約12、14、16、18、20、22、24又はそれを超える)ヌクレオチドである。一実施形態においては、X、Z及びX’は独立に、X及び/又はZが、標的RNA又はその一部(例えば、HCV RNA標的)中のヌクレオチド配列と相互作用する(例えば、塩基対形成する)のに十分な長さのヌクレオチド配列を含む、オリゴヌクレオチドである。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは同一である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは異なる。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとZ、又はZとX’、又はX、Z及びX’の長さは、同一であり、又は異なる。一実施形態においては、式I(a)の二本鎖オリゴヌクレオチド構築体は、ミスマッチが二本鎖オリゴヌクレオチドの標的遺伝子発現阻害能力をさほど低下させない程度に、1個以上、具体的には1、2、3又は4個のミスマッチを含む。
一実施形態においては、本発明のDFO分子は、式DFO−IIの構造を含む。
Figure 2009520039
式中、各X及びX’は独立に約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、Xは、例えば約12から約21ヌクレオチド(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長の核酸配列を含み、X’は、例えば配列X又はその一部に対してヌクレオチド配列相補性を有する約12から約21ヌクレオチド(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長の、核酸配列を含み、pは、存在しても、しなくてもよい末端リン酸基を含み、Xは、HCV標的核酸配列(例えば、HCV標的RNA)又はその一部に相補的であるヌクレオチド配列を含み、その一部のHCV標的核酸配列と相互作用する(例えば、塩基対形成する)のに十分な長さである。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは同一である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは異なる。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドX及びX’の長さは、比較的安定な二本鎖オリゴヌクレオチドを形成するのに十分である。
一実施形態においては、本発明は、式DFO−II(a)の二本鎖オリゴヌクレオチド構築体を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、各X及びX’は独立に約12ヌクレオチドから約21ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、Xは、例えば約12から約21ヌクレオチド(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長の、核酸配列を含み、X’は、例えば配列X又はその一部に対してヌクレオチド配列相補性を有する約12から約21ヌクレオチド(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長の、核酸配列を含み、pは、存在しても、しなくてもよい末端リン酸基を含み、Xは、HCV標的核酸配列又はその一部(例えば、HCV RNA標的)に相補的であるヌクレオチド配列を含み、標的核酸配列(例えば、標的RNA)又はその一部と相互作用する(例えば、塩基対形成する)のに十分な長さである。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは同一である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは異なる。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドX及びX’の長さは、比較的安定な二本鎖オリゴヌクレオチドを形成するのに十分である。一実施形態においては、式II(a)の二本鎖オリゴヌクレオチド構築体は、ミスマッチが二本鎖オリゴヌクレオチドの標的遺伝子発現阻害能力をさほど低下させない程度に、1個以上、具体的には1、2、3又は4個のミスマッチを含む。
一実施形態においては、本発明は、式DFO−I(b)のDFO分子を特徴とする。
Figure 2009520039
式中、Zは、他のヌクレオチドとの塩基対形成を促進し得る、1個以上の非標準又は修飾ヌクレオチド(例えば、2−アミノプリン、汎用塩基などの修飾塩基を有するヌクレオチド)を含んでいてもよい、回文構造の核酸配列、又は反復核酸配列を含む。Zは、例えば、標的核酸(例えば、標的RNA)分子のヌクレオチド配列と相互作用する(例えば、塩基対形成する)のに十分な長さであり得、好ましくは少なくとも12ヌクレオチド長、具体的には約12から約24ヌクレオチド(例えば、約12、14、16、18、20、22又は24ヌクレオチド)長であり得る。pは、存在しても、しなくてもよい末端リン酸基である。
一実施形態においては、式DFO−I、DFO−I(a)、DFO−I(b)、DFO−II(a)又はDFO−IIのいずれかのDFO分子は、例えば、式I−VIIのいずれかのヌクレオチド、表IVに記載の安定化ケミストリー、本明細書の多様な実施形態に記載の修飾ヌクレオチドと非ヌクレオチドの任意の他の組合せなど、本明細書に記載の化学修飾を、これらだけに限定されずに含み得る。
一実施形態においては、式DFO−I、DFO−I(a)及びDFO−I(b)のDFO構築体のZ中の回文構造若しくは反復配列又は修飾ヌクレオチド(例えば、2−アミノプリン、汎用塩基などの修飾塩基を有するヌクレオチド)は、HCV標的核酸配列(例えば、ワトソン クリック塩基対、又は非ワトソン クリック塩基対を形成し得る修飾塩基類似体)の一部と相互作用し得る化学修飾ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、本発明のDFO分子、例えば、式DFO−I又はDFO−IIのDFOは、約15から約40個のヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のヌクレオチド)を含む。一実施形態においては、本発明のDFO分子は、1個以上の化学修飾を含む。非限定的例においては、化学修飾ヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチドを本発明の核酸分子に導入することは、外来的に送達される無修飾RNA分子に固有のインビボでの安定性及び生物学的利用能の潜在的限界を克服する強力なツールとなる。例えば、化学修飾核酸分子を使用すると、化学修飾核酸分子は、血清中又は細胞若しくは組織中でより長い半減期を有する傾向にあるので、所与の治療効果に対する特定の核酸分子の用量を減少させることができる。また、ある種の化学修飾は、半減期を延長するだけでなく、特定の器官、細胞又は組織への核酸分子のターゲティングを容易にし、及び/又は核酸分子の細胞内取り込みを改善することによって、核酸分子の生物学的利用能及び/又は効力を改善することができる。したがって、化学修飾核酸分子の活性がインビトロで未変性/無修飾核酸分子よりも低い場合でも、例えば、無修飾RNA分子と比較したときに、分子の安定性、効力、有効期間、生物学的利用能及び/又は送達が改善されたために、修飾核酸分子の全活性が、未変性又は無修飾核酸分子よりも大きくなり得る。
本発明の多官能又は多標的siNA分子
一実施形態においては、本発明は、細胞、組織、生物体などの生体系において1個以上の遺伝子の発現を調節する多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)分子を含むsiNA分子を特徴とする。本発明の多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)分子は、HCV又は細胞/宿主標的核酸配列の1個を超える領域を標的にすることができ、又は1個を超える異なる標的核酸分子の配列(例えば、HCV RNA又は細胞/宿主RNA標的)を標的にすることができる。本発明の多官能siNA分子は、化学合成することができ、又は転写単位及び/又はベクターから発現させることができる。本発明の多官能siNA分子は、種々のヒト用途、治療、診断、農業、獣医学、標的確認、ゲノム発見、遺伝子工学及び薬理ゲノミクスの各適用分野に有用である試薬及び方法を提供する。
本出願人は、多官能低分子干渉核酸、すなわち多官能siNA分子に限定されないが、本明細書では便宜上そのように称されるある種のオリゴヌクレオチドが、遺伝子発現の配列特異的調節の強力な媒介物質であることを本明細書で示す。本発明の多官能siNA分子は、1個以上の標的核酸分子中の異なる核酸配列に相補的であるヌクレオチド配列を多官能siNA構築体の各鎖が含むように設計されたポリヌクレオチド分子の一クラスである点で、当分野で公知である他の核酸配列(例えば、siRNA、miRNA、stRNA、shRNA、アンチセンスオリゴヌクレオチドなど)とは異なる。したがって、本発明の単一の多官能siNA分子(一般に二本鎖分子)は、1個を超える(例えば、2、3、4、5個又はそれを超える)異なる標的核酸標的分子を標的にすることができる。本発明の核酸分子は、同じ標的核酸配列の1個を超える(例えば、2、3、4、5個又はそれを超える)領域を標的にすることもできる。したがって、本発明の多官能siNA分子は、1個以上の標的核酸分子の発現を下方制御又は阻害するのに有用である。例えば、本発明の多官能siNA分子は、ウイルス感染及び/又は複製に必要であるウイルス若しくはウイルスタンパク質及び対応する細胞タンパク質をコードする核酸分子、又は特定のウイルス(例えば、HCV)の異なる系統をコードする核酸分子を標的にすることができる。1個の多官能siNA構築体を用いて1個を超える標的核酸分子の発現を低下させる、又は阻害することによって、本発明の多官能siNA分子は、疾患又は病原体に関係する経路内の複数の標的を同時に阻害することができる強力な治療薬の一クラスである。かかる同時阻害は、別々の前臨床及び臨床開発労力や複雑な規制認可プロセスが不要である相乗的治療処置戦略をもたらし得る。
標的核酸分子(例えば、メッセンジャーRNA又はHCV RNA)の1個を超える領域を標的にする多官能siNA分子を使用すると、遺伝子発現を強力に阻害すると予想される。例えば、本発明の単一の多官能siNA構築体は、標的核酸分子(例えば、HCV RNA)の保存領域と可変領域の両方を標的にすることができ、それによって異なる系統変種(strain variant)若しくはウイルス、又は単一の宿主遺伝子によってコードされるスプライスバリアントを下方制御若しくは阻害することができ、又は宿主標的核酸分子のコード領域と非コード領域の両方のターゲティングを可能にする。
一般に、二本鎖オリゴヌクレオチドは、2個の異なるオリゴヌクレオチドを組み立てることによって形成され、一方の鎖のオリゴヌクレオチド配列は、他方の鎖のオリゴヌクレオチド配列に相補的である。かかる二本鎖オリゴヌクレオチドは、2個の別々のオリゴヌクレオチドから一般に組み立てられる(例えば、siRNA)。或いは、二本鎖は、それ自体の上で折り重なる単一の分子から形成され得る(例えば、shRNA、すなわち短鎖ヘアピンRNA)。これらの二本鎖オリゴヌクレオチドは、RNA干渉を媒介することが当分野で知られている。これらの二本鎖オリゴヌクレオチドはすべて、一方のヌクレオチド配列領域(ガイド配列又はアンチセンス配列)のみが標的核酸配列と相補性を有し、他方の鎖(センス配列)が、標的核酸配列と相同であるヌクレオチド配列を含む、共通の特徴を有する。一般に、アンチセンス配列は、活性なRISC複合体中に保持され、アンチセンス配列と標的配列の相補的塩基対形成によってRISCを標的ヌクレオチド配列に誘導して、配列特異的RNA干渉を媒介する。一部の細胞培養系においては、あるタイプの無修飾siRNAが「オフターゲット」効果を示し得ることが当分野で知られている。このオフターゲット効果は、RISC複合体中のsiRNAのアンチセンス配列の代わりにセンス配列の関与が必要であると仮定されている(例えば、Schwarz et al., 2003, Cell, 115, 199−208参照)。この場合、センス配列は、RISC複合体を目的標的配列とは異なる配列(オフターゲット配列)に誘導し、オフターゲット配列を阻害すると考えられる。これらの二本鎖核酸分子においては、各鎖は、異なる標的核酸配列に相補的である。しかし、これらのdsRNAによって影響を受けるオフターゲットは、完全に予測可能であるわけではなく、非特異的である。
当分野で公知の二本鎖核酸分子とは別に、本出願人は、単一の多官能siNA構築体を用いて、1個を超える標的核酸配列の発現を下方制御又は阻害する、潜在的に費用効果の高い簡単な新規方法を開発した。本発明の多官能siNA分子は、多官能siNAの各鎖又は各領域の一部が、最適な標的核酸配列に相補的であるように、二本鎖又は部分的に二本鎖であるように設計される。したがって、本発明の多官能siNA分子は、互いに相補的であるターゲティング配列に限定されず、任意の2個の異なる標的核酸配列である。本発明の多官能siNA分子は、所与の標的核酸配列に相補的である、多官能siNA分子の各鎖又は各領域が、標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介するのに適切な長さ(例えば、約16から約28ヌクレオチド長、好ましくは約18から約28ヌクレオチド長)であるように設計される。標的核酸配列と多官能siNAの鎖又は領域との相補性は、RNA干渉による標的核酸配列の切断に十分でなければならない(少なくとも約8塩基対)。本発明の多官能siNAは、(Schwarz et al.(前掲))に記載のものなどのある種のsiRNA配列で見られるオフターゲット効果を最小化すると予想される。
29塩基対から36塩基対の長さのdsRNA(Tuschl他、国際公開第02/44321号)は、RNAiを媒介しないことが報告されている。これらのdsRNAが不活性である1つの理由は、恐らく、標的RNA配列と相互作用する鎖の代謝回転又は解離の欠如である。RISC複合体は、標的RNAの複数のコピーと効率的に相互作用することができず、RNAiプロセスの効力及び効率がかなり減少する。驚くべきことに、本出願人は、本発明の多官能siNAが、この障害を克服することができ、RNAiプロセスの効率及び効力を増大できることを見いだした。すなわち、本発明のある実施形態においては、多官能siNA分子の各鎖の一部が、RNAiを効率的に媒介するのに十分な長さ(例えば、約15から約23塩基対)の標的核酸に相補的であるヌクレオチド配列領域と、標的核酸に相補的でないヌクレオチド配列領域とを含むように、約29から約36塩基対の長さの多官能siNAを設計することができる。多官能siNAの各鎖中に相補部分と非相補部分の両方を有することによって、多官能siNAは、代謝回転又は解離を妨げること(例えば、各鎖の長さが長すぎて、それぞれの標的核酸配列に対してRNAiを媒介することができない場合)なしに、標的核酸配列に対してRNA干渉を媒介することができる。また、内部重複領域を有する、本発明の多官能siNA分子を設計すると、多官能siNA分子は、RNA干渉を媒介するのに好都合な(小さい)サイズ、及び治療薬としての使用に適切なサイズになる(例えば、各鎖は独立に約18から約28ヌクレオチド長である。)。非限定的例を図16−28に示す。
一実施形態においては、本発明の多官能siNA分子は、第1の領域と第2の領域を含み、多官能siNAの第1の領域は、第1の標的核酸分子の核酸配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、多官能siNAの第2の領域は、第2の標的核酸分子の核酸配列に相補的である核酸配列を含む。一実施形態においては、本発明の多官能siNA分子は、第1の領域と第2の領域を含み、多官能siNAの第1の領域は、標的核酸分子の第1の領域の核酸配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、多官能siNAの第2の領域は、標的核酸分子の第2の領域の核酸配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む。別の実施形態においては、多官能siNAの第1の領域と第2の領域は、ある程度の相補性(例えば、約1から約10個の相補ヌクレオチド)を共有する別々の核酸配列を含み得る。ある実施形態においては、別々の核酸配列を含む複数の多官能siNA構築体は、合成後に、当分野で公知である方法及び試薬によって容易に連結することができ、かかる連結された構築体は本発明の範囲内である。或いは、多官能siNAの第1の領域と第2の領域は、ヘアピン又はステムループ構造などのある程度の自己相補性を有する単一の核酸配列を含み得る。かかる二本鎖及びヘアピン多官能低分子干渉核酸の非限定的例をそれぞれ図16及び17に示す。これらの多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)は、ある種の重複ヌクレオチド配列を含んでいてもよく、かかる重複ヌクレオチド配列は、多官能siNAの第1の領域と第2の領域の間に存在する(例えば、図18及び19参照)。
一実施形態においては、本発明は、多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)の各鎖が、異なる標的核酸配列に相補的である核酸配列の第1の領域と、標的配列に相補的でないヌクレオチド配列の第2の領域とを独立に含む、多官能siNA分子を特徴とする。各鎖の標的核酸配列は、同じ標的核酸分子、又は異なる標的核酸分子中に存在する。
別の実施形態においては、多官能siNAは2本の鎖を含み、(a)第1の鎖は、標的核酸配列に対して配列相補性を有する領域(相補領域1)と、標的ヌクレオチド配列に対して配列相補性を持たない領域(非相補領域1)とを含み、(b)多官能siNAの第2の鎖は、第1の鎖のヌクレオチド配列に相補的である標的ヌクレオチド配列とは異なる標的核酸配列に対して配列相補性を有する領域(相補領域2)と、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に対して配列相補性を持たない領域(非相補領域2)とを含み、(c)第1の鎖の相補領域1は、第2の鎖の非相補領域2中のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、第2の鎖の相補領域2は、第1の鎖の非相補領域1中のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む。相補領域1と相補領域2の標的核酸配列は、同じ標的核酸分子、又は異なる標的核酸分子中に存在する。
別の実施形態においては、多官能siNAは2本の鎖を含み、(a)第1の鎖は、遺伝子(例えば、HCV又は宿主遺伝子)に由来する標的核酸配列に対して配列相補性を有する領域(相補領域1)と、相補領域1の標的ヌクレオチド配列に対して配列相補性を持たない領域(非相補領域1)とを含み、(b)多官能siNAの第2の鎖は、相補領域1の遺伝子とは異なる遺伝子に由来する標的核酸配列に対して配列相補性を有する領域(相補領域2)と、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に対して配列相補性を持たない領域(非相補領域2)とを含み、(c)第1の鎖の相補領域1は、第2の鎖の非相補領域2中のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、第2の鎖の相補領域2は、第1の鎖の非相補領域1中のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む。
別の実施形態においては、多官能siNAは2本の鎖を含み、(a)第1の鎖は、遺伝子(例えば、HCV又は宿主遺伝子)に由来する標的核酸配列に対して配列相補性を有する領域(相補領域1)と、相補領域1の標的ヌクレオチド配列に対して配列相補性を持たない領域(非相補領域1)とを含み、(b)多官能siNAの第2の鎖は、相補領域1の標的核酸配列とは異なる標的核酸配列に対して配列相補性を有する領域(相補領域2)(ただし、相補領域1の標的核酸配列と相補領域2の標的核酸配列はどちらも同じ遺伝子に由来する。)と、相補領域2の標的ヌクレオチド配列に対して配列相補性を持たない領域(非相補領域2)とを含み、(c)第1の鎖の相補領域1は、第2の鎖の非相補領域2中のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、第2の鎖の相補領域2は、第1の鎖の非相補領域1中のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含む。
一実施形態においては、本発明は、2個の相補核酸配列を含む、多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)分子を特徴とする。ここで、第1の配列は、標的核酸分子内のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する第1の領域を含み、第2の配列は、同じ標的核酸分子内の異なるヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する第1の領域を含む。好ましくは、第1の配列の第1の領域は、第2の配列の第2の領域のヌクレオチド配列にも相補的であり、第2の配列の第1の領域は、第1の配列の第2の領域のヌクレオチド配列に相補的である。
一実施形態においては、本発明は、2個の相補核酸配列を含む、多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)分子を特徴とする。ここで、第1の配列は、第1の標的核酸分子内のヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する第1の領域を含み、第2の配列は、第2の標的核酸分子内の異なるヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する第1の領域を含む。好ましくは、第1の配列の第1の領域は、第2の配列の第2の領域のヌクレオチド配列にも相補的であり、第2の配列の第1の領域は、第1の配列の第2の領域のヌクレオチド配列に相補的である。
一実施形態においては、本発明は、第1の領域と第2の領域を含む多官能siNA分子を特徴とする。ここで、第1の領域は、第1の標的核酸分子内の核酸配列に相補的である約18から約28ヌクレオチドを有する核酸配列を含み、第2の領域は、第2の標的核酸分子内の異なる核酸配列に相補的である約18から約28ヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を含む。
一実施形態においては、本発明は、第1の領域と第2の領域を含む多官能siNA分子を特徴とする。ここで、第1の領域は、標的核酸分子内の核酸配列に相補的である約18から約28ヌクレオチドを有する核酸配列を含み、第2の領域は、同じ標的核酸分子内の異なる核酸配列に相補的である約18から約28ヌクレオチドを有するヌクレオチド配列を含む。
一実施形態においては、本発明は、一方の鎖が、第1の標的核酸配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する第1の領域を含み、他方の鎖が、第2の標的核酸配列に相補的であるヌクレオチド配列を有する第1の領域を含む、二本鎖多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)分子を特徴とする。第1と第2の標的核酸配列は、別々の標的核酸分子中に存在し得、又は同じ標的核酸分子内の異なる領域であり得る。したがって、本発明の多官能siNA分子を用いて、異なる遺伝子、同じ遺伝子のスプライスバリアント、1個以上の遺伝子転写物の変異領域と保存領域の両方、又は同じ若しくは異なる遺伝子若しくは遺伝子転写物のコード配列と非コード配列の両方の発現を標的にすることができる。
一実施形態においては、本発明の標的核酸分子は、単一のタンパク質をコードする。別の実施形態においては、標的核酸分子は、1個を超えるタンパク質(例えば、1、2、3、4、5個又はそれを超えるタンパク質)をコードする。したがって、本発明の多官能siNA構築体を用いて、幾つかのタンパク質の発現を下方制御又は阻害することができる。例えば、ウイルスゲノム(例えば、HCV)に由来する第1の標的核酸配列に対してヌクレオチド配列相補性を有する1本の鎖中の領域と、2種類のタンパク質(例えば、HCV生活環に関与する2種類の宿主タンパク質)をコードする遺伝子に由来する標的核酸分子中に存在する第2の標的核酸配列に対してヌクレオチド配列相補性を有する領域を含む第2の鎖とを含む多官能siNA分子を使用して、例えば、ウイルスRNA(例えば、HCV RNA)と、ウイルス感染又はウイルス生活環に関与する1個以上の宿主RNA(例えば、La抗原又はインターフェロン制御因子)とを標的にすることによって、特定の生物学的経路を下方制御、阻害、又は遮断することができる。
一実施形態においては、本発明は、サイトカイン又はリガンド及びサイトカイン又はリガンドの受容体の異なるアイソフォーム中に存在する保存ヌクレオチド配列を利用する。一方の鎖が、サイトカインの種々のアイソフォーム間で保存された標的核酸配列に相補的である配列を含み、他方の鎖が、サイトカイン受容体間で保存された標的核酸配列に相補的である配列を含むように、多官能siNAを設計することによって、単一の多官能siNAを用いて、生物学的経路又は生物学的経路中の複数の遺伝子(multiple gene)を選択的かつ効果的に調節又は阻害することができる。
一実施形態においては、本発明の多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)は、第1の領域と第2の領域を含み、第1の領域は、第1の標的の第1の標的RNAに相補的であるヌクレオチド配列を含み、第2の領域は、第2の標的の第2の標的RNAに相補的であるヌクレオチド配列を含む。一実施形態においては、第1と第2の領域は、同じ標的配列内の異なる標的部位の共有若しくは保存RNA配列、又は異なる標的配列間の共有RNA配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み得る。
別の非限定的例においては、ウイルス又はウイルスタンパク質(例えば、HIV)をコードする標的核酸分子に由来する第1の標的核酸配列に対してヌクレオチド配列相補性を有する1本の鎖中の領域と、細胞タンパク質(例えば、HIVのCCR5受容体などのウイルスの受容体)をコードする標的核酸分子中に存在する第2の標的核酸配列に対してヌクレオチド配列相補性を有する領域を含む第2の鎖とを含む多官能siNA分子を用いて、ウイルスとウイルス感染又は複製に必要な細胞タンパク質とを標的にすることによって、ウイルス複製及び感染を下方制御、阻害又は遮断することができる。
別の非限定的例においては、ウイルスゲノムと、ウイルス感染又は複製に必要なウイルスによってコードされたタンパク質とを標的にすることによって、ウイルス複製及び感染を下方制御、阻害、又は遮断するための、ウイルスゲノム(例えば、HCV RNA)などの標的核酸分子中に存在する第1の標的核酸配列(例えば、保存配列)に対してヌクレオチド配列相補性を有する1本の鎖中の領域と、ウイルスタンパク質(例えば、HCVタンパク質)をコードする遺伝子に由来する標的核酸分子中に存在する第2の標的核酸配列(例えば、保存配列)に対してヌクレオチド配列相補性を有する領域を含む第2の鎖とを含む多官能siNA分子。
一実施形態においては、本発明は、異なる系統、アイソタイプ又は形態のウイルス中に存在する保存ヌクレオチド配列と、これらの異なる系統、アイソタイプ及び形態のウイルス(例えば、HCV)によってコードされる遺伝子とを利用する。一方の鎖が、種々の系統、アイソタイプ又は形態のウイルス間で保存された標的核酸配列に相補的である配列を含み、他方の鎖が、ウイルスによってコードされるタンパク質中に保存された標的核酸配列に相補的である配列を含むように、多官能siNAを設計することによって、単一の多官能siNAを用いてウイルス複製又は感染を選択的かつ効果的に阻害することができる。
一実施形態においては、本発明の多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)は、第1の領域と第2の領域を含み、第1の領域は、第1のウイルス系統のHCVウイルスRNAに相補的であるヌクレオチド配列を含み、第2の領域は、第2のウイルス系統のHCVウイルスRNAに相補的であるヌクレオチド配列を含む。一実施形態においては、第1の領域と第2の領域は、異なるウイルス系統又はクラス又はウイルス系統の共有又は保存RNA配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み得る。
一実施形態においては、本発明の多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)は、各鎖中に領域を含み、一方の鎖中の領域は、1種類以上のHCVウイルス(例えば、1種類以上のHCV系統)をコードするHCVウイルスRNAに相補的であるヌクレオチド配列を含み、他方の鎖中の領域は、1種類以上のインターフェロン作動タンパク質をコードするウイルスRNAに相補的であるヌクレオチド配列を含む。一実施形態においては、第1の領域は、異なるHCVウイルス系統、又は異なるクラスのHCVウイルス系統の共有又は保存RNA配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み得る。インターフェロン作動タンパク質の非限定的例としては、RNAサイレンシングを阻害又は抑制し得る任意のタンパク質が挙げられる(例えば、E3L、NS1などのRNA結合タンパク質又はその等価物。例えば、Li et al., 2004, PNAS, 101, 1350−1355参照)。
一実施形態においては、本発明の多官能低分子干渉核酸(多官能siNA)は、第1の領域と第2の領域を含み、第1の領域は、HCVウイルスRNAに相補的であるヌクレオチド配列を含み、第2の領域は、HCVウイルス感染及び/又は複製に関与する細胞RNAに相補的であるヌクレオチド配列を含む。ウイルス感染及び/又は複製に関与する細胞RNAの非限定的例としては、細胞受容体、細胞表面分子、細胞酵素、細胞転写因子、及び/又はサイトカイン、二次メッセンジャー、並びにLa抗原、FAS、インターフェロン作動タンパク質(例えば、E3L若しくはNS1又はその等価物。例えば、Li et al., 2004, PNAS, 101, 1350−1355参照)、インターフェロン制御因子(IRF);細胞PKRプロテインキナーゼ(PKR);ヒト真核生物開始因子2B(elF2Bガンマ及び/又はelF2ガンマ);ヒトDEAD Boxタンパク質(DDX3)、及びポリピリミジントラクト結合タンパク質などのHCV 3’−UTRのポリ(U)トラクトに結合する細胞タンパク質を含めて、ただしこれらだけに限定されない細胞アクセサリー分子が挙げられる。
一実施形態においては、本発明の二本鎖多官能siNA分子は、式MF−Iの構造を含む。
Figure 2009520039
式中、各5’−p−XZX’−3’及び5’−p−YZY’−3’は独立に、約20ヌクレオチドから約300ヌクレオチド長、好ましくは約20から約200ヌクレオチド長、約20から約100ヌクレオチド長、約20から約40ヌクレオチド長、約20から約40ヌクレオチド長、約24から約38ヌクレオチド長、又は約26から約38ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、XZは、第1の標的核酸配列に相補的である核酸配列を含み、YZは、第2の標的核酸配列に相補的である核酸配列を含むオリゴヌクレオチドであり、Zは、自己相補的である約1から約24ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23又は24ヌクレオチド)長のヌクレオチド配列を含み、Xは、領域Y’中に存在するヌクレオチド配列に相補的である、約1から約100ヌクレオチド長、好ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長のヌクレオチド配列を含み、Yは、領域X’中に存在するヌクレオチド配列に相補的である、約1から約100ヌクレオチド長、好ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長のヌクレオチド配列を含み、各pは、独立に存在する、又は存在しない末端リン酸基を含み、各XZ及びYZは独立に、それぞれ第1及び第2の標的核酸配列又はその一部と安定に相互作用する(すなわち、塩基対形成する)のに十分な長さである。例えば、各配列X及びYは、標的RNA又はその一部など、異なる標的核酸分子中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、約12から約21又はそれを超える(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又はそれを超える)ヌクレオチド長の配列を独立に含み得る。別の非限定的例においては、第1の標的核酸配列又はその一部に相補的である、XとZの一緒のヌクレオチド配列の長さは、約12から約21又はそれを超える(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又はそれを超える)ヌクレオチドである。別の非限定的例においては、第2の標的核酸配列又はその一部に相補的である、YとZの一緒のヌクレオチド配列の長さは、約12から約21又はそれを超える(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又はそれを超える)ヌクレオチドである。一実施形態においては、第1の標的核酸配列と第2の標的核酸配列は、同じ標的核酸分子(例えば、HCV RNA又は宿主RNA)中に存在する。別の実施形態においては、第1の標的核酸配列と第2の標的核酸配列は、異なる標的核酸分子(例えば、HCV RNAと宿主RNA)中に存在する。一実施形態においては、Zは回文構造又は反復配列を含む。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは同一である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは異なる。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドYとY’の長さは同一である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドYとY’の長さは異なる。一実施形態においては、式I(a)の二本鎖オリゴヌクレオチド構築体は、ミスマッチが二本鎖オリゴヌクレオチドの標的遺伝子発現阻害能力をさほど低下させない程度に、1個以上、具体的には1、2、3又は4個のミスマッチを含む。
一実施形態においては、本発明の多官能siNA分子は、式MF−IIの構造を含む。
Figure 2009520039
式中、5’−p−XX’−3’及び5’−p−YY’−3’は独立に、約20ヌクレオチドから約300ヌクレオチド長、好ましくは約20から約200ヌクレオチド長、約20から約100ヌクレオチド長、約20から約40ヌクレオチド長、約20から約40ヌクレオチド長、約24から約38ヌクレオチド長、又は約26から約38ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、Xは、第1の標的核酸配列に相補的である核酸配列を含み、Yは、第2の標的核酸配列に相補的である核酸配列を含むオリゴヌクレオチドであり、Xは、領域Y’中に存在するヌクレオチド配列に相補的である、約1から約100ヌクレオチド長、好ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長のヌクレオチド配列を含み、Yは、領域X’中に存在するヌクレオチド配列に相補的である、約1から約100ヌクレオチド長、好ましくは約1から約21ヌクレオチド(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20又は21ヌクレオチド)長のヌクレオチド配列を含み、各pは、独立に存在する、又は存在しない末端リン酸基を含み、各X及びYは独立に、それぞれ第1及び第2の標的核酸配列又はその一部と安定に相互作用する(すなわち、塩基対形成する)のに十分な長さである。例えば、各配列X及びYは、標的RNA又はその一部など、異なる標的核酸分子中の標的ヌクレオチド配列に相補的である、約12から約21又はそれを超える(例えば、約12、13、14、15、16、17、18、19、20、21又はそれを超える)ヌクレオチド長の配列を独立に含み得る。一実施形態においては、第1の標的核酸配列と第2の標的核酸配列は、同じ標的核酸分子(例えば、HCV RNA又は宿主RNA)中に存在する。別の実施形態においては、第1の標的核酸配列と第2のHCV標的核酸配列は、異なる標的核酸分子(例えば、HCV RNAと宿主RNA)中に存在する。一実施形態においては、Zは回文構造又は反復配列を含む。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは同一である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドXとX’の長さは異なる。一実施形態においては、オリゴヌクレオチドYとY’の長さは同一である。別の実施形態においては、オリゴヌクレオチドYとY’の長さは異なる。一実施形態においては、式I(a)の二本鎖オリゴヌクレオチド構築体は、ミスマッチが二本鎖オリゴヌクレオチドの標的遺伝子発現阻害能力をさほど低下させない程度に、1個以上、具体的には1、2、3又は4個のミスマッチを含む。
一実施形態においては、本発明の多官能siNA分子は、式MF−IIIの構造を含む。
Figure 2009520039
式中、各X、X’、Y及びY’は独立に、約15ヌクレオチドから約50ヌクレオチド長、好ましくは約18から約40ヌクレオチド長、又は約19から約23ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、Xは、領域Y’中に存在するヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、X’は、領域Y中に存在するヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、各X及びX’は一実施形態において独立に、それぞれ第1及び第2の標的核酸配列又はその一部と安定に相互作用する(すなわち、塩基対形成する)のに十分な長さであり、Wは、配列Y’とYを連結するヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーであり、多官能siNAは、RNA干渉によって第1の標的配列と第2の標的配列の切断を誘導する。
nt、第1の標的核酸配列と第2の標的核酸配列は、同じ標的核酸分子(例えば、HCV RNA又は宿主RNA)中に存在する。別の実施形態においては、第1の標的核酸配列と第2の標的核酸配列は、異なる標的核酸分子(例えば、HCV RNAと宿主RNA)中に存在する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の3’末端を配列Yの3’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の3’末端を配列Yの5’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の5’末端を配列Yの5’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の5’末端を配列Yの3’末端と連結する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Xの5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列X’の5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Yの5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Y’の5’末端に存在する。一実施形態においては、Wは、生分解性リンカーを介して配列YとY’を連結する。一実施形態においては、Wは、抱合体、標識、アプタマー、リガンド、脂質又はポリマーを更に含む。
一実施形態においては、本発明の多官能siNA分子は、式MF−IVの構造を含む。
Figure 2009520039
式中、各X、X’、Y及びY’は独立に、約15ヌクレオチドから約50ヌクレオチド長、好ましくは約18から約40ヌクレオチド長、又は約19から約23ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、Xは、領域Y’中に存在するヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、X’は、領域Y中に存在するヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、各Y及びY’は独立に、それぞれ第1及び第2の標的核酸配列又はその一部と安定に相互作用する(すなわち、塩基対形成する)のに十分な長さであり、Wは、配列Y’とYを連結するヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーであり、多官能siNAは、RNA干渉によって第1の標的配列と第2の標的配列の切断を誘導する。一実施形態においては、第1の標的核酸配列と第2の標的核酸配列は、同じ標的核酸分子(例えば、HCV RNA又は宿主RNA)中に存在する。別の実施形態においては、第1の標的核酸配列と第2の標的核酸配列は、異なる標的核酸分子(例えば、HCV RNAと宿主RNA)中に存在する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の3’末端を配列Yの3’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の3’末端を配列Yの5’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の5’末端を配列Yの5’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の5’末端を配列Yの3’末端と連結する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Xの5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列X’の5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Yの5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Y’の5’末端に存在する。一実施形態においては、Wは、生分解性リンカーを介して配列YとY’を連結する。一実施形態においては、Wは、抱合体、標識、アプタマー、リガンド、脂質又はポリマーを更に含む。
一実施形態においては、本発明の多官能siNA分子は、式MF−Vの構造を含む。
Figure 2009520039
式中、各X、X’、Y及びY’は独立に、約15ヌクレオチドから約50ヌクレオチド長、好ましくは約18から約40ヌクレオチド長、又は約19から約23ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり、Xは、領域Y’中に存在するヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、X’は、領域Y中に存在するヌクレオチド配列に相補的であるヌクレオチド配列を含み、各X、X’、Y又はY’は独立に、それぞれ第1、第2、第3又は第4の標的核酸配列又はその一部と安定に相互作用する(すなわち、塩基対形成する)のに十分な長さであり、Wは、配列Y’とYを連結するヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーであり、多官能siNAは、RNA干渉によって第1、第2、第3及び/又は第4の標的配列の切断を誘導する。一実施形態においては、第1、第2、第3及び第4の標的核酸配列はすべて同じ標的核酸分子(例えば、HCV RNA又は宿主RNA)中に存在する。別の実施形態においては、第1、第2、第3及び第4の標的核酸配列は、異なる標的核酸分子(例えば、HCV RNA及び宿主RNA)中に独立に存在する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の3’末端を配列Yの3’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の3’末端を配列Yの5’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の5’末端を配列Yの5’末端と連結する。一実施形態においては、領域Wは、配列Y’の5’末端を配列Yの3’末端と連結する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Xの5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列X’の5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Yの5’末端に存在する。一実施形態においては、末端リン酸基は、配列Y’の5’末端に存在する。一実施形態においては、Wは、生分解性リンカーを介して配列YとY’を連結する。一実施形態においては、Wは、抱合体、標識、アプタマー、リガンド、脂質又はポリマーを更に含む。
一実施形態においては、(例えば、式MF−IからMF−Vのいずれかの)本発明の多官能siNA分子の領域XとYは、同じ標的核酸分子の一部である異なる標的核酸配列に相補的である。一実施形態においては、かかる各標的核酸配列は、RNA転写物のコード領域内の異なる場所に存在する。一実施形態においては、かかる各標的核酸配列は、同じRNA転写物のコード及び非コード領域を含む。一実施形態においては、かかる各標的核酸配列は、交互にスプライスされた転写物の領域、又はかかる交互にスプライスされた転写物の前駆体の領域を含む。
一実施形態においては、式MF−IからMF−Vのいずれかの多官能siNA分子は、例えば、本明細書に記載の式I−VIIのいずれかのヌクレオチド、表IVに記載の安定化ケミストリー、本明細書の種々の実施形態に記載の修飾ヌクレオチドと非ヌクレオチドの任意の他の組合せなど、本明細書に記載の化学修飾を、これらだけに限定されずに含み得る。
一実施形態においては、式MF−I又はMF−IIの多官能siNA構築体のZ中の回文構造若しくは反復配列又は修飾ヌクレオチド(例えば、2−アミノプリン、汎用塩基などの修飾塩基を有するヌクレオチド)は、標的核酸配列(例えば、ワトソン クリック塩基対又は非ワトソン クリック塩基対を形成し得る修飾塩基類似体)の一部と相互作用し得る化学修飾ヌクレオチドを含む。
一実施形態においては、本発明の多官能siNA分子、例えばMF−IからMF−Vの多官能siNAの各鎖は、約15から約40個のヌクレオチド(例えば、約15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39又は40個のヌクレオチド)を独立に含む。一実施形態においては、本発明の多官能siNA分子は、1個以上の化学修飾を含む。非限定的例においては、化学修飾ヌクレオチド及び/又は非ヌクレオチドを本発明の核酸分子に導入することは、外来的に送達される無修飾RNA分子に固有のインビボでの安定性及び生物学的利用能の潜在的限界を克服する強力なツールとなる。例えば、化学修飾核酸分子を使用すると、化学修飾核酸分子は、血清中又は細胞若しくは組織中でより長い半減期を有する傾向にあるので、所与の治療効果に対する特定の核酸分子の用量を減少させることができる。また、ある種の化学修飾は、半減期を延長するだけでなく、特定の器官、細胞又は組織への核酸分子のターゲティングを容易にし、及び/又は核酸分子の細胞内取り込みを改善することによって、核酸分子の生物学的利用能及び/又は効力を改善することができる。したがって、化学修飾核酸分子の活性がインビトロで未変性/無修飾核酸分子よりも低い場合でも、例えば、無修飾RNA分子と比較したときに、分子の安定性、効力、有効期間、生物学的利用能及び/又は送達が改善されたために、修飾核酸分子の全活性が、未変性又は無修飾核酸分子よりも大きくなり得る。
別の実施形態においては、本発明は、2個の別々の二本鎖siNAから組み立てられ、2本のアンチセンスsiNA鎖が、一端で互いに繋留されたその対応するセンス鎖とアニールされるように、各センス鎖の末端の一方が、他方のsiNA分子のセンス鎖の末端に繋留された、多官能siNAを特徴とする(図22参照)。繋留鎖又はリンカーは、当分野で一般に公知であり、本明細書に記載された、ヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーであり得る。
一実施形態においては、本発明は、2個の別々の二本鎖siNAから組み立てられ、2本のアンチセンスsiNA鎖の5’末端が、互いに(反対方向に)離れた位置で、一端で互いに繋留されたその対応するセンス鎖とアニールされるように、siNAの1本のセンス鎖の5’末端が、他方のsiNA分子のセンス鎖の5’末端に繋留された、多官能siNAを特徴とする(図22(A)参照)。繋留鎖又はリンカーは、当分野で一般に公知であり、本明細書に記載された、ヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーであり得る。
一実施形態においては、本発明は、2個の別々の二本鎖siNAから組み立てられ、2本のアンチセンスsiNA鎖の5’末端が、向かい合って、一端で互いに繋留されたその対応するセンス鎖とアニールされるように、siNAの1本のセンス鎖の3’末端が、他方のsiNA分子のセンス鎖の3’末端に繋留された、多官能siNAを特徴とする(図22(B)参照)。繋留鎖又はリンカーは、当分野で一般に公知であり、本明細書に記載された、ヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーであり得る。
一実施形態においては、本発明は、2個の別々の二本鎖siNAから組み立てられ、アンチセンスsiNA鎖の一方の5’末端が、他方のアンチセンス鎖の3’末端と向かい合って、一端で互いに繋留されたその対応するセンス鎖とアニールされるように、siNAの1本のセンス鎖の5’末端が、他方のsiNA分子のセンス鎖の3’末端に繋留された、多官能siNAを特徴とする(図22(C−D)参照)。繋留鎖又はリンカーは、当分野で一般に公知であり、本明細書に記載された、ヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーであり得る。
一実施形態においては、本発明は、2個の別々の二本鎖siNAから組み立てられ、センスsiNA鎖の一方の5’末端が、他方のセンス鎖の3’末端と向かい合って、一端で互いに繋留されたその対応するアンチセンス鎖とアニールされるように、siNAの1本のアンチセンス鎖の5’末端が、他方のsiNA分子のアンチセンス鎖の3’末端に繋留された、多官能siNAを特徴とする(図22(G−H)参照)。一実施形態においては、第1のアンチセンス鎖の5’末端と第2のアンチセンス鎖の3’末端との結合は、容易に切断されて(例えば、生分解性リンカー)、多官能siNAの各アンチセンス鎖の5’末端が、RNA干渉(interefence)による標的RNAの切断を媒介するのに適切な遊離5’末端を有するように設計される。繋留鎖又はリンカーは、当分野で一般に公知であり、本明細書に記載された、ヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーであり得る。
一実施形態においては、本発明は、2個の別々の二本鎖siNAから組み立てられ、センスsiNA鎖の一方の3’末端が、他方のセンス鎖の3’末端と向かい合って、一端で互いに繋留されたその対応するアンチセンス鎖とアニールされるように、siNAの1本のアンチセンス鎖の5’末端が、他方のsiNA分子のアンチセンス鎖の5’末端に繋留された、多官能siNAを特徴とする(図22(E)参照)。一実施形態においては、第1のアンチセンス鎖の5’末端と第2のアンチセンス鎖の5’末端との結合は、容易に切断されて(例えば、生分解性リンカー)、多官能siNAの各アンチセンス鎖の5’末端が、RNA干渉による標的RNAの切断を媒介するのに適切な遊離5’末端を有するように設計される。繋留鎖又はリンカーは、当分野で一般に公知であり、本明細書に記載された、ヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーであり得る。
一実施形態においては、本発明は、2個の別々の二本鎖siNAから組み立てられ、センスsiNA鎖の一方の5’末端が、他方のセンス鎖の3’末端と向かい合って、一端で互いに繋留されたその対応するアンチセンス鎖とアニールされるように、siNAの1本のアンチセンス鎖の3’末端が、他方のsiNA分子のアンチセンス鎖の3’末端に繋留された、多官能siNAを特徴とする(図22(F)参照)。一実施形態においては、第1のアンチセンス鎖の5’末端と第2のアンチセンス鎖の5’末端との結合は、容易に切断されて(例えば、生分解性リンカー)、多官能siNAの各アンチセンス鎖の5’末端が、RNA干渉による標的RNAの切断を媒介するのに適切な遊離5’末端を有するように設計される。繋留鎖又はリンカーは、当分野で一般に公知であり、本明細書に記載された、ヌクレオチドリンカー又は非ヌクレオチドリンカーであり得る。
上記実施形態のいずれにおいても、第1の標的核酸配列又は第2の標的核酸配列は、細胞受容体、細胞表面分子、細胞酵素、細胞転写因子、及び/又はサイトカイン、二次メッセンジャー、並びにLa抗原(例えば、Costa−Mattioli et al., 2004, Mol Cell Biol., 24, 6861−70参照。例えば、GenBankアクセッション番号NM_003142)、FAS(例えば、GenBankアクセッション番号NM_000043)又はFASリガンド(例えば、GenBankアクセッション番号NM_000639)、インターフェロン制御因子(IRF;例えば、GenBankアクセッション番号AF082503.1)、細胞PKRプロテインキナーゼ(例えば、GenBankアクセッション番号XM_002661.7)、ヒト真核生物開始因子2B(elF2Bガンマ;例えば、GenBankアクセッション番号AF256223、及び/又はelF2ガンマ;例えば、GenBankアクセッション番号NM_006874.1)、ヒトDEAD Boxタンパク質(DDX3;例えば、GenBankアクセッション番号XM_018021.2)、及びポリピリミジントラクト結合タンパク質などのHCV 3’−UTRのポリ(U)トラクトに結合する細胞タンパク質(例えば、GenBankアクセッション番号NM_031991.1及びXM_042972.3)を含めて、ただしこれらだけに限定されない細胞アクセサリー分子など、HCV感染若しくは複製、又はHCV感染に関連した疾患過程に関与する、細胞又は宿主標的のHCV RNA若しくはその一部又はポリヌクレオチドコード配列若しくは非コード配列を独立に含み得る。一実施形態においては、第1のHCV標的核酸配列は、HCV RNA又はその一部であり、第2のHCV標的核酸配列はその一部のHCV RNAである。一実施形態においては、第1のHCV標的核酸配列は、HCV RNA又はその一部であり、第2のHCV標的核酸配列は宿主RNA又はその一部である。一実施形態においては、第1のHCV標的核酸配列は、宿主RNA又はその一部であり、第2のHCV標的核酸配列は宿主RNA又はその一部である。一実施形態においては、第1のHCV標的核酸配列は、宿主RNA又はその一部であり、第2のHCV標的核酸配列はHCV RNA又はその一部である。
核酸分子の合成
100ヌクレオチド長を超える核酸の合成は、自動化された方法では困難であり、かかる分子の治療コストは法外である。本発明では、低分子核酸モチーフ(「低分子」とは、100ヌクレオチド長以下、好ましくは80ヌクレオチド長以下、最も好ましくは50ヌクレオチド長以下の核酸モチーフ、例えば、個々のsiNAオリゴヌクレオチド配列、又はタンデム合成されたsiNA配列を指す。)は、外来性の送達に好ましく使用される。これらの分子の構造が簡単であると、タンパク質及び/又はRNA構造の標的領域に侵入する核酸の能力が増大する。本発明の例示的な分子は化学合成され、他の分子も同様に合成することができる。
オリゴヌクレオチド(例えば、ある種の修飾オリゴヌクレオチド、又はリボヌクレオチドを欠くオリゴヌクレオチドの一部)は、当分野で公知のプロトコルによって、例えば、Caruthers et al., 1992, Methods in Enzymology 211, 3−19、Thompson他、国際公開第99/54459号、Wincott et al., 1995, Nucleic Acids Res. 23, 2677−2684、Wincott et al., 1997, Methods Mol. Bio., 74, 59, Brennan et al., 1998, Biotechnol Bioeng., 61, 33−45及びBrennan、米国特許第6,001,311号に記載したとおりに、合成される。これらの参考文献のすべてを参照により本明細書に組込む。オリゴヌクレオチドの合成は、5’末端におけるジメトキシトリチル、3’末端におけるホスホルアミダイトなどの一般的な核酸保護基及びカップリング基を利用する。非限定的例においては、394 Applied Biosystems, Inc.合成装置を用いて、2’−O−メチル化ヌクレオチドに対する2.5分間のカップリング段階、及び2’−デオキシヌクレオチド又は2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドに対する45秒間のカップリング段階を含む、0.2μmol規模のプロトコルによって、小規模合成を実施する。表Vは、合成サイクルに使用する試薬の量及び接触時間の概略である。或いは、0.2μmol規模の合成を、Protogene(Palo Alto、CA)製装置などの96ウェルプレート合成装置を用いて、サイクルを最小限度に変更して、実施することができる。ポリマーに結合した5’ヒドロキシルを基準として、33倍過剰(0.11M 60μL=6.6μmol)の2’−O−メチルホスホルアミダイト及び105倍過剰のS−エチルテトラゾール(0.25M 60μL=15μmol)を、2’−O−メチル残基の各カップリングサイクルに使用することができる。ポリマーに結合した5’ヒドロキシルを基準として、22倍過剰(0.11M 40μL=4.4μmol)のデオキシホスホルアミダイト及び70倍過剰のS−エチルテトラゾール(0.25M 40μL=10μmol)を、デオキシ残基の各カップリングサイクルに使用することができる。394 Applied Biosystems, Inc.合成装置による平均カップリング収率は、トリチル画分の比色定量によって測定して、典型的には97.5−99%である。394 Applied Biosystems, Inc.合成装置用の他のオリゴヌクレオチド合成試薬としては、以下のものが挙げられる。脱トリチル化溶液は、3%TCAの塩化メチレン溶液(ABI)である。キャッピングは、16%N−メチルイミダゾールのTHF溶液(ABI)及び10%無水酢酸/10%2,6−ルチジンのTHF溶液(ABI)を用いて行われる。酸化溶液は、16.9mM I、49mMピリジン、9%水のTHF溶液(PerSeptive Biosystems, Inc.)である。Burdick & Jackson Synthesis Gradeアセトニトリルを試薬瓶から直接使用する。S−エチルテトラゾール溶液(0.25Mアセトニトリル溶液)をAmerican International Chemical, Inc.から入手した固体から調製する。或いは、ホスホロチオアート結合を導入するために、Beaucage試薬(3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド、0.05Mアセトニトリル溶液)を使用する。
DNAを主体にしたオリゴヌクレオチドの脱保護を以下のように実施する。ポリマーに結合したトリチルオンオリゴリボヌクレオチドを4mLガラスねじぶた付きバイアルに移し、40%メチルアミン水溶液(1mL)の溶液に65℃で10分間懸濁させる。−20℃に冷却後、上清をポリマー支持体から除去する。支持体をEtOH:MeCN:H2O/3:1:1 1.0mLで3回洗浄し、ボルテックス撹拌し、次いで上清を第1の上清に添加する。オリゴリボヌクレオチドを含む混合上清を乾燥させて白色粉末にする。一実施形態においては、参照によりその全体を本明細書に組込む、米国特許第6,995,259号、同6,686,463号、同6,673,918号、同6,649,751号、同6,989,442号及び米国特許出願第10/190,359号に記載の方法によって、本発明の核酸分子を合成し、脱保護し、分析する。
本発明のある種のsiNA分子を含めたRNAに対して用いられる合成方法は、Usman et al., 1987, J. Am. Chem. Soc., 109, 7845;Scaringe et al., 1990, Nucleic Acids Res., 18, 5433及びWincott et al., 1995, Nucleic Acids Res. 23, 2677−2684 Wincott et al., 1997, Methods Mol. Bio., 74, 59に記載の手順に従い、5’末端におけるジメトキシトリチル、3’末端におけるホスホルアミダイトなどの一般的な核酸保護基及びカップリング基を利用する。非限定的例においては、394 Applied Biosystems, Inc.合成装置を用いて、アルキルシリルで保護されたヌクレオチドに対する7.5分間のカップリング段階、及び2’−O−メチル化ヌクレオチドに対する2.5分間のカップリング段階を含む、0.2μmol規模のプロトコルによって、小規模合成を実施する。表Vは、合成サイクルに使用する試薬の量及び接触時間の概略である。或いは、0.2μmol規模の合成を、Protogene(Palo Alto、CA)製装置などの96ウェルプレート合成装置を用いて、サイクルを最小限度に変更して、実施することができる。ポリマーに結合した5’ヒドロキシルを基準として、33倍過剰(0.11M 60μL=6.6μmol)の2’−O−メチルホスホルアミダイト及び75倍過剰のS−エチルテトラゾール(0.25M 60μL=15μmol)を、2’−O−メチル残基の各カップリングサイクルに使用することができる。ポリマーに結合した5’ヒドロキシルを基準として、66倍過剰(0.11M 120μL=13.2μmol)の、アルキルシリル(リボ)で保護されたホスホルアミダイト、及び150倍過剰のS−エチルテトラゾール(0.25M 120μL=30μmol)を、リボ残基の各カップリングサイクルに使用することができる。394 Applied Biosystems, Inc.合成装置による平均カップリング収率は、トリチル画分の比色定量によって測定して、典型的には97.5−99%である。394 Applied Biosystems, Inc.合成装置用の他のオリゴヌクレオチド合成試薬としては、以下のものが挙げられる。脱トリチル化溶液は、3%TCAの塩化メチレン溶液(ABI)である。キャッピングは、16%N−メチルイミダゾールのTHF溶液(ABI)及び10%無水酢酸/10%2,6−ルチジンのTHF溶液(ABI)を用いて行われる。酸化溶液は、16.9mM I、49mMピリジン、9%水のTHF溶液(PerSeptive Biosystems, Inc.)である。Burdick & Jackson Synthesis Gradeアセトニトリルを試薬瓶から直接使用する。S−エチルテトラゾール溶液(0.25Mアセトニトリル溶液)をAmerican International Chemical, Inc.から入手した固体から調製する。或いは、ホスホロチオアート結合を導入するために、Beaucage試薬(3H−1,2−ベンゾジチオール−3−オン1,1−ジオキシド、0.05Mアセトニトリル溶液)を使用する。
RNAの脱保護は、2ポット(two−pot)又は1ポット(one−pot)プロトコルによって実施される。2ポットプロトコルの場合、ポリマーに結合したトリチルオンオリゴリボヌクレオチドを4mLガラスねじぶた付きバイアルに移し、40%メチルアミン水溶液(1mL)の溶液に65℃で10分間懸濁させる。−20℃に冷却後、上清をポリマー支持体から除去する。支持体をEtOH:MeCN:H2O/3:1:1 1.0mLで3回洗浄し、ボルテックス撹拌し、次いで上清を第1の上清に添加する。オリゴリボヌクレオチドを含む混合上清を乾燥させて白色粉末にする。塩基で脱保護されたオリゴリボヌクレオチドを無水TEA/HF/NMP溶液(N−メチルピロリジノン1.5mL、TEA 750μL及びTEA・3HF 1mLの溶液300μLで1.4M HF濃度にする。)に再懸濁させ、65℃に加熱する。1.5時間後、オリゴマーを1.5M NHHCOでクエンチする。一実施形態においては、参照によりその全体を本明細書に組込む、米国特許第6,995,259号、同6,686,463号、同6,673,918号、同6,649,751号、同6,989,442号及び米国特許出願第10/190,359号に記載の方法によって、本発明の核酸分子を合成し、脱保護し、分析する。
或いは、1ポットプロトコルの場合、ポリマーに結合したトリチルオンオリゴリボヌクレオチドを4mLガラスねじぶた付きバイアルに移し、33%エタノール性メチルアミン/DMSO:1/1(0.8mL)の溶液に65℃で15分間懸濁させる。バイアルを室温にし、TEA・3HF(0.1mL)を添加し、バイアルを65℃で15分間加熱する。試料を−20℃に冷却し、次いで1.5M NHHCOでクエンチする。
トリチルオンオリゴマーを精製する場合、クエンチしたNHHCO溶液を、アセトニトリル、続いて50mM TEAAで予洗したC−18含有カートリッジに充填する。充填されたカートリッジを水洗後、RNAを0.5%TFAで13分間脱トリチル化する。次いで、カートリッジを水で再洗浄し、1M NaClで塩交換し、水で再洗浄する。次いで、オリゴヌクレオチドを30%アセトニトリルで溶出させる。
平均段階的カップリング収率は、典型的には>98%である(Wincott et al., 1995 Nucleic Acids Res. 23, 2677−2684)。当業者は、96ウェル形式を含めて、ただしこれだけに限定されない、上記例よりも大きい、又は小さい合成規模を適合させることができる。
或いは、本発明の核酸分子は、別々に合成し、合成後に、例えばライゲーション(Moore et al., 1992, Science 256, 9923;Draper他、国際公開第93/23569号;Shabarova et al., 1991, Nucleic Acids Research 19, 4247;Bellon et al., 1997, Nucleosides & Nucleotides, 16, 951;Bellon et al., 1997, Bioconjugate Chem. 8, 204)によって、又は合成及び/又は脱保護後のハイブリダイゼーションによって、連結することができる。
本発明のsiNA分子は、本明細書の実施例1に記載のタンデム合成法によって合成することもできる。その場合、両方のsiNA鎖は、切断可能なリンカーによって分離された単一の隣接オリゴヌクレオチド断片又は鎖として合成される。続いて、切断可能なリンカーを切断して、別々のsiNA断片又は鎖を生成する。このsiNA断片又は鎖をハイブリッド形成し、siNA二本鎖の精製が可能になる。リンカーは、ポリヌクレオチドリンカーでも、非ヌクレオチドリンカーでもよい。本明細書に記載するsiNAのタンデム合成は、96ウェルなどのマルチウェル/マルチプレート合成プラットフォーム、又は同様により大きいマルチウェルプラットフォームに容易に適合させることができる。本明細書に記載するsiNAのタンデム合成は、回分式反応装置、合成カラムなどを使用した大規模合成プラットフォームに容易に適合させることもできる。
siNA分子は、一方の断片がRNA分子のセンス領域を含み、他方の断片がアンチセンス領域を含む、2個の異なる核酸鎖又は断片から組み立てることもできる。
本発明の核酸分子は、ヌクレアーゼに耐性のある基、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−Hで修飾することによって、徹底して修飾して、安定性を高めることができる(総説については、Usman and Cedergren, 1992, TIBS 17, 34;Usman et al., 1994, Nucleic Acids Symp. Ser. 31, 163を参照されたい。)。siNA構築体は、一般的な方法を用いたゲル電気泳動によって精製することができ、又は高圧液体クロマトグラフィー(HPLC;その全体を参照により本明細書に組込むWincott et al.(前掲)参照)によって精製することができ、水に再懸濁させることができる。
本発明の別の態様においては、本発明のsiNA分子は、DNA又はRNAベクター中に挿入された転写単位から発現される。組換えベクターは、DNAプラスミド又はウイルスベクターであり得る。siNAを発現するウイルスベクターは、これらだけに限定されないが、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス又はアルファウイルスに基づいて構築することができる。siNA分子を発現可能である組換えベクターを、本明細書に記載のとおりに送達し、標的細胞中に存続させることができる。或いは、siNA分子の一過性発現を与えるウイルスベクターを使用することができる。
本発明の核酸分子の活性の最適化
修飾(塩基、糖及び/又はリン酸)を有する化学合成された核酸分子は、血清リボヌクレアーゼによる分解を防止することができ、それによってその抗力を高めることができる(例えば、その全部を参照により本明細書に組込む、Eckstein他、国際公開第92/07065号;Perrault et al., 1990 Nature 344, 565;Pieken et al., 1991, Science 253, 314;Usman and Cedergren, 1992, Trends in Biochem. Sci. 17, 334;Usman他、国際公開第93/15187号;Rossi他、国際公開第91/03162号;Sproat、米国特許第5,334,711号;Gold他、米国特許第6,300,074号及びBurgin et al.(前掲)参照)。上記参考文献はすべて、本明細書に記載する核酸分子の塩基、リン酸及び/又は糖部分に対してなし得る種々の化学修飾を記載している。細胞におけるその抗力を増強するように修飾し、核酸分子から塩基を除去して、オリゴヌクレオチド合成時間を短縮し、化学物質の必要性を低下させることが望ましい。
核酸分子に導入して、ヌクレアーゼ安定性及び効力をかなり増強させることができる、糖、塩基及びリン酸の修飾を記述した例が当分野では幾つかある。例えば、ヌクレアーゼ耐性基、例えば、2’−アミノ、2’−C−アリル、2’−フルオロ、2’−O−メチル、2’−O−アリル、2’−H、ヌクレオチド塩基修飾でオリゴヌクレオチドを修飾することによって、安定性及び/又は生物活性を増強する(総説については、Usman and Cedergren, 1992, TIBS. 17, 34;Usman et al., 1994, Nucleic Acids Symp. Ser. 31, 163;Burgin et al., 1996, Biochemistry, 35, 14090を参照されたい。)。核酸分子の糖修飾は、当分野では広範に記載されている(Eckstein他、国際公開第92/07065号;Perrault et al. Nature, 1990, 344, 565−568;Pieken et al. Science, 1991, 253, 314−317;Usman and Cedergren, Trends in Biochem. Sci., 1992, 17, 334−339;Usman他、国際公開第93/15187号;Sproat、米国特許第5,334,711号及びBeigelman et al., 1995, J. Biol. Chem., 270, 25702;Beigelman他、国際公開第97/26270号;Beigelman他、米国特許第5,716,824号;Usman他、米国特許第5,627,053号;Woolf他、国際公開第98/13526号;1998年4月20日に出願されたThompson他、米国特許出願第60/082,404号;Karpeisky et al., 1998, Tetrahedron Lett., 39, 1131;Earnshaw and Gait, 1998, Biopolymers (Nucleic Acid Sciences), 48, 39−55;Verma and Eckstein, 1998, Annu. Rev. Biochem., 67, 99−134並びにBurlina et al., 1997, Bioorg. Med Chem., 5, 1999−2010参照。これらの参考文献のすべてを参照によりその全体を本明細書に組込む。)。かかる刊行物は、触媒作用を調節せずに、糖、塩基及び/又はリン酸修飾などを核酸分子に組み入れる場所を決定する一般的方法及び戦略を記載しており、参照により本明細書に組込む。かかる教示を考慮して、細胞においてRNAiを促進するsiNAの能力がさほど阻害されない限り、類似の修飾を本明細書に記載のとおりに用いて、本発明のsiNA核酸分子を修飾することができる。
一実施形態においては、本発明の核酸分子は、参照によりその全体を本明細書に組込む、米国特許出願公開第20050020521号に記載したとおりに化学修飾される。
ホスホロチオアート、ホスホロジチオアート及び/又は5’−メチルホスホナート結合によるオリゴヌクレオチドヌクレオチド間結合の化学修飾は安定性を改善するが、過剰な修飾は幾らかの毒性を生じ、又は活性を低下させ得る。したがって、核酸分子を設計するときには、これらのヌクレオチド間結合の量を最小限に抑えるべきである。これらの結合の濃度を減少させると、毒性が低下し、これらの分子の効力が増加し、特異性が高くなるはずである。
活性を維持又は増強する化学修飾を有する低分子干渉核酸(siNA)分子を提供する。また、かかる核酸は、ヌクレアーゼに対する耐性が無修飾核酸よりも一般に高い。したがって、インビトロ及び/又はインビボでの活性は、さほど低下しないはずである。調節を目的とする場合には、外来的に送達される治療用核酸分子は、最適には、標的RNAの翻訳が調節されて、望ましくないタンパク質のレベルが低下するまで、細胞内で安定であるべきである。この時間は、病態に応じて数時間から数日まで変動する。RNA及びDNAの化学合成が改善されたことによって((参照により本明細書に組込む)Wincott et al., 1995, Nucleic Acids Res. 23, 2677;Caruthers et al., 1992, Methods in Enzymology 211, 3−19)、上述したように、ヌクレオチド修飾を導入してそのヌクレアーゼ安定性を高めることによって核酸分子を修飾する能力が拡大した。
一実施形態においては、本発明の核酸分子は、1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)Gクランプヌクレオチドを含む。Gクランプヌクレオチドは、修飾シトシン類似体であり、この修飾は、二本鎖内の相補グアニンのワトソン クリック面とフーグスティーン面の両方の水素結合能力を与える。例えば、Lin and Matteucci, 1998, J. Am. Chem. Soc., 120, 8531−8532を参照されたい。オリゴヌクレオチド内の単一のGクランプ類似体を置換することによって、相補オリゴヌクレオチドとハイブリッド形成するときのらせんの熱安定性及びミスマッチ識別性を実質的に増強することができる。かかるヌクレオチドを本発明の核酸分子に含めることによって、核酸標的、相補配列又は鋳型鎖に対する親和性と特異性の両方が増強される。別の実施形態においては、本発明の核酸分子は、1個以上の(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10個又はそれを超える)2’,4’−CメチレンビシクロヌクレオチドなどのLNA「ロックされた核酸」ヌクレオチドを含む(例えば、Wengel他、国際公開第00/66604号及び同99/14226号参照)。
別の実施形態においては、本発明は、本発明のsiNA分子の抱合体及び/又は複合体を特徴とする。かかる抱合体及び/又は複合体を用いて、細胞などの生物系へのsiNA分子の送達を容易にすることができる。本発明によって提供される抱合体及び複合体は、治療化合物を細胞膜を越えて輸送し、薬物動態学を変更し、及び/又は本発明の核酸分子の局在化を調節することによって、治療活性を与えることができる。本発明は、小分子、脂質、コレステロール、リン脂質、ヌクレオシド、ヌクレオチド、核酸、抗体、毒素、負に帯電したポリマー及び他のポリマー、例えば、タンパク質、ペプチド、ホルモン、炭水化物、ポリエチレングリコール又はポリアミンを含めて、ただしこれらだけに限定されない分子を、細胞膜を越えて送達するための新規抱合体及び複合体の設計及び合成を包含する。一般に、記載するトランスポーターは、個々に、又は多成分系の一部として、分解性リンカーと一緒に、又は分解性リンカーなしで、使用するように設計される。これらの化合物は、血清の存在下又は非存在下で、異なる組織に由来する幾つかの細胞タイプへの本発明の核酸分子の送達及び/又は局在化を改善すると予測される(Sullenger及びCech、米国特許第5,854,038号参照)。本明細書に記載する分子の抱合体は、生分解性核酸リンカー分子などの生分解性リンカーを介して、生物活性分子に結合し得る。
本明細書では「生分解性リンカー」という用語は、1個の分子を別の分子に、例えば、生物活性分子を本発明のsiNA分子に接続する、又は本発明のsiNA分子のセンス鎖及びアンチセンス鎖を接続する、生分解性リンカーとして設計される核酸又は非核酸リンカー分子を指す。生分解性リンカーは、特定の組織又は細胞タイプへの送達などの特定の目的のためにその安定性を調節することができるように設計される。核酸を主体とした生分解性リンカー分子の安定性は、種々のケミストリー、例えば、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド及び(2’−O−メチル、2’−フルオロ、2’−アミノ、2’−O−アミノ、2’−C−アリル、2’−O−アリル、他の2’修飾又は塩基修飾ヌクレオチドなどの)化学修飾ヌクレオチドの組合せを用いることによって調節することができる。生分解性核酸リンカー分子は、2量体、3量体、4量体又はより長鎖の核酸分子、例えば、約2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19若しくは20ヌクレオチド長のオリゴヌクレオチドであり得、又はリン系結合、例えば、ホスホルアミダート若しくはリン酸ジエステル結合を有する単一のヌクレオチドを含み得る。生分解性核酸リンカー分子は、核酸骨格、核酸糖又は核酸塩基修飾も含み得る。
本明細書では「生分解性」という用語は、生物系における分解、例えば、酵素による分解、又は化学分解を指す。
本明細書では「生物活性分子」という用語は、系において生物学的反応を誘発又は改変し得る化合物又は分子を指す。生物活性siNA分子単独の、又は本発明によって企図される他の分子と組み合わせた生物活性siNA分子の、非限定的例としては、治療上活性な分子、例えば、抗体、コレステロール、ホルモン、抗ウイルス剤、ペプチド、タンパク質、化学療法剤、小分子、ビタミン、補因子、ヌクレオシド、ヌクレオチド、オリゴヌクレオチド、酵素的核酸(enzymatic nucleic acid)、アンチセンス核酸、三重鎖形成オリゴヌクレオチド、2,5−Aキメラ、siNA、dsRNA、アロザイム、アプタマー、デコイ、その類似体など、治療に有効な分子が挙げられる。本発明の生物活性分子としては、他の生物活性分子の薬物動態学及び/又は薬力学を調節することができる分子、例えば、脂質、及びポリアミン、ポリアミド、ポリエチレングリコール、他のポリエーテルなどのポリマーも含まれる。
本明細書では「リン脂質」という用語は、少なくとも1個のリン基(phosphorus group)を含む疎水性分子を指す。例えば、リン脂質は、リン含有基と、OH、COOH、オキソ、アミン又は置換若しくは非置換アリール基で置換されていてもよい飽和又は不飽和アルキル基とを含み得る。
外来的に送達される治療用核酸分子(例えば、siNA分子)は、最適には、RNAの逆転写が調節されて、RNA転写物レベルが低下するまで、細胞内で安定であるべきである。核酸分子は、有効な細胞内治療薬として機能するために、ヌクレアーゼに耐性がある。上述したように、本明細書及び当分野で記述される核酸分子の化学合成が改善されたことによって、ヌクレオチド修飾を導入してそのヌクレアーゼ安定性を高めることによって核酸分子を修飾する能力が拡大した。
更に別の実施形態においては、RNAiに関与するタンパク質の酵素活性を維持又は増強する化学修飾を有するsiNA分子を提供する。また、かかる核酸は、ヌクレアーゼに対する耐性が無修飾核酸よりも一般に高い。したがって、インビトロ及び/又はインビボでの活性は、さほど低下しないはずである。
本発明の核酸系分子を使用すると、併用療法(例えば、異なる遺伝子を標的とする複数のsiNA分子;公知の小分子調節物質とカップリングされた核酸分子;又は異なるモチーフ及び/又は他の化学若しくは生体分子を含めた分子の組合せを用いた間欠的治療)が可能になることによって、治療がより良好なものになる。siNA分子を用いた対象の治療は、酵素的核酸分子(リボザイム)、アロザイム、アンチセンス、2,5−Aオリゴアデニラート、デコイ、アプタマーなどの異なるタイプの核酸分子の組合せも含み得る。
別の態様においては、本発明のsiNA分子は、1個以上の5’及び/又は3’キャップ構造を、例えば、センスsiNA鎖のみに、アンチセンスsiNA鎖のみに、又は両方のsiNA鎖に含む。
「キャップ構造」とは、オリゴヌクレオチドのどちらかの末端に組み入れられた化学修飾を意味する(例えば、参照により本明細書に組込む、Adamic他、米国特許第5,998,203号を参照されたい。)。これらの末端修飾は、核酸分子をエキソヌクレアーゼ分解から保護し、送達及び/又は細胞内の局在化を助け得る。キャップは5’末端(5’キャップ)若しくは3’末端(3’キャップ)に存在し得、又は両方の末端に存在し得る。非限定的例においては、5’キャップとしては、グリセリル、反転デオキシ脱塩基残基(部分);4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド、4’−チオヌクレオチド;炭素環式ヌクレオチド;1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオアート結合;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;非環式3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;非環式3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、3’−3’−反転ヌクレオチド部分;3’−3’−反転脱塩基部分;3’−2’−反転ヌクレオチド部分;3’−2’−反転脱塩基部分;1,4−ブタンジオールリン酸;3’−ホスホルアミダート;ヘキシルリン酸;アミノヘキシルリン酸;3’−ホスファート;3’−ホスホロチオアート;ホスホロジチオアート;又は架橋若しくは非架橋メチルホスホナート部分が挙げられるが、これらだけに限定されない。キャップ部分の非限定的例を図10に示す。
3’キャップの非限定的例としては、グリセリル、反転デオキシ脱塩基残基(部分)、4’,5’−メチレンヌクレオチド;1−(ベータ−D−エリスロフラノシル)ヌクレオチド;4’−チオヌクレオチド、炭素環式ヌクレオチド;5’−アミノ−アルキルリン酸;1,3−ジアミノ−2−プロピルリン酸;3−アミノプロピルリン酸;6−アミノヘキシルリン酸;1,2−アミノドデシルリン酸;ヒドロキシプロピルリン酸;1,5−アンヒドロヘキシトールヌクレオチド;L−ヌクレオチド;アルファ−ヌクレオチド;修飾塩基ヌクレオチド;ホスホロジチオアート;スレオ−ペントフラノシルヌクレオチド;非環式3’,4’−セコヌクレオチド;3,4−ジヒドロキシブチルヌクレオチド;3,5−ジヒドロキシペンチルヌクレオチド、5’−5’−反転ヌクレオチド部分;5’−5’−反転脱塩基部分;5’−ホスホルアミダート;5’−ホスホロチオアート;1,4−ブタンジオールリン酸;5’−アミノ;架橋及び/又は非架橋5’−ホスホルアミダート、ホスホロチオアート及び/又はホスホロジチオアート、架橋又は非架橋メチルホスホナート及び5’−メルカプト部分が挙げられるが、これらだけに限定されない(より詳細には、参照により本明細書に組込む、Beaucage and Iyer, 1993, Tetrahedron 49, 1925を参照されたい。)。
「非ヌクレオチド」という用語は、糖置換及び/又はリン酸置換を含めて、1個以上のヌクレオチド単位の代わりに核酸鎖に組み入れることができ、残りの塩基がその酵素活性を示すのを可能にする、任意の基又は化合物を意味する。この基又は化合物は、アデノシン、グアニン、シトシン、ウラシル、チミンなどの一般に認識されているヌクレオチド塩基を含まず、したがって1’位の塩基を欠く点で、脱塩基である。
「アルキル」基とは、直鎖、分枝鎖及び環式アルキル基を含めて、飽和脂肪族炭化水素を指す。アルキル基は、1から12個の炭素を有することが好ましい。より好ましくは、アルキル基は、1から7個の炭素、より好ましくは1から4個の炭素の低級アルキルである。アルキル基は、置換されていても、いなくてもよい。置換されているときには、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO若しくはN(CH、アミノ又はSHである。この用語は、直鎖、分枝鎖及び環式基を含めて、少なくとも1個の炭素−炭素二重結合を含む不飽和炭化水素基であるアルケニル基も含む。アルケニル基は、1から12個の炭素を有することが好ましい。より好ましくは、アルケニル基は、1から7個の炭素、より好ましくは1から4個の炭素の低級アルケニルである。アルケニル基は、置換されていても、いなくてもよい。置換されているときには、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO、ハロゲン、N(CH、アミノ又はSHである。「アルキル」という用語は、直鎖、分枝鎖及び環式基を含めて、少なくとも1個の炭素−炭素三重結合を含む不飽和炭化水素基を有するアルキニル基も含む。アルキニル基は、1から12個の炭素を有することが好ましい。より好ましくは、アルキニル基は、1から7個の炭素、より好ましくは1から4個の炭素の低級アルキニルである。アルキニル基は、置換されていても、いなくてもよい。置換されているときには、置換基は、好ましくは、ヒドロキシル、シアノ、アルコキシ、=O、=S、NO若しくはN(CH、アミノ又はSHである。
かかるアルキル基は、アリール、アルキルアリール、炭素環式アリール、複素環式アリール、アミド及びエステル基も含み得る。「アリール」基とは、共役したパイ電子系を有する少なくとも1個の環を有する芳香族基を指し、炭素環式アリール、複素環アリール及びビアリール基が含まれる。これらの基はすべて置換されていてもよい。アリール基の好ましい置換基は、ハロゲン、トリハロメチル、ヒドロキシル、SH、OH、シアノ、アルコキシ、アルキル、アルケニル、アルキニル及びアミノ基である。「アルキルアリール」基は、(上記)アリール基と共有結合した(上記)アルキル基を指す。炭素環式アリール基は、芳香環の環原子がすべて炭素原子である基である。炭素原子は、置換されていてもよい。複素環式アリール基は、芳香環の環原子として1から3個のヘテロ原子を有する基であり、環原子の残りは炭素原子である。適切なヘテロ原子としては、酸素、硫黄及び窒素が挙げられ、いずれも置換されていてもよい、フラニル、チエニル、ピリジル、ピロリル、N−低級アルキルピロロ、ピリミジル、ピラジニル、イミダゾリルなどが挙げられる。「アミド」とは−C(O)−NH−Rを指す。式中、Rは、アルキル、アリール、アルキルアリール又は水素である。「エステル」とは−C(O)−OR’を指す。式中、Rはアルキル、アリール、アルキルアリール又は水素である。
本明細書では「ヌクレオチド」とは、(標準の)天然塩基、及び当分野で周知の修飾塩基を含むと当分野で認識されているとおりである。かかる塩基は、ヌクレオチド糖部分の1’位に一般に位置する。ヌクレオチドは、塩基、糖及びリン酸基を一般に含む。ヌクレオチドは、糖、リン酸及び/又は塩基成分において無修飾でも、修飾されていてもよい(ヌクレオチド類似体、修飾ヌクレオチド、非天然ヌクレオチド、非標準ヌクレオチドなどとも区別なく称される。例えば、参照により本明細書に組込む、Usman and McSwiggen(前掲);Eckstein他、国際公開第92/07065号;Usman他、国際公開第93/15187号;Uhlman & Peyman(前掲)を参照されたい。)。Limbach et al., 1994, Nucleic Acids Res. 22, 2183によって要約された、当分野で公知である修飾核酸塩基の幾つかの例がある。核酸分子中に導入することができる塩基修飾の非限定的例の一部としては、イノシン、プリン、ピリジン−4−オン、ピリジン−2−オン、フェニル、シュードウラシル、2,4,6−トリメトキシベンゼン、3−メチルウラシル、ジヒドロウリジン、ナフチル、アミノフェニル、5−アルキルシチジン(例えば、5−メチルシチジン)、5−アルキルウリジン(例えば、リボチミジン)、5−ハロウリジン(例えば、5−ブロモウリジン)、6−アザピリミジン、6−アルキルピリミジン(例えば、6−メチルウリジン)、プロピン及び他の塩基修飾(Burgin et al., 1996, Biochemistry, 35, 14090;Uhlman & Peyman(前掲))が挙げられる。この態様において「修飾塩基」とは、1’位におけるアデニン、グアニン、シトシン及びウラシル以外のヌクレオチド塩基又はその等価物を意味する。
一実施形態においては、本発明は、1個以上のホスホロチオアート、ホスホロジチオアート、メチルホスホナート、リン酸トリエステル、モルホリノ、アミダート カルバマート、カルボキシメチル、アセトアミダート、ポリアミド、スルホナート、スルホンアミド、スルファメート、ホルムアセタール、チオホルムアセタール及び/又はアルキルシリル置換を含むリン酸骨格修飾を有する修飾siNA分子を特徴とする。オリゴヌクレオチド骨格修飾の総説については、Hunziker and Leumann, 1995, Nucleic Acid Analogues:Synthesis and Properties, in Modern Synthetic Methods, VCH, 331−417及びMesmaeker et al., 1994, Novel Backbone Replacements for Oligonucleotides, in Carbohydrate Modifications in Antisense Research, ACS, 24−39を参照されたい。
「脱塩基」とは、糖部分の1’位において、核酸塩基を欠く糖部分、又は核酸塩基の代わりに水素原子(H)若しくは他の非核酸塩基化学基を有する糖部分を意味する。例えば、Adamic他、米国特許第5,998,203号を参照されたい。一実施形態においては、本発明の脱塩基部分は、リボース、デオキシリボース又はジデオキシリボース糖である。
「無修飾ヌクレオシド」とは、β−D−リボ−フラノースの1’炭素と結合したアデニン、シトシン、グアニン、チミン又はウラシル塩基の1つを意味する。
「修飾ヌクレオシド」とは、無修飾ヌクレオチドの塩基、糖及び/又はリン酸の化学構造中に修飾を含む任意のヌクレオチド塩基を意味する。修飾ヌクレオチドの非限定的例を、式I−VII及び/又は他の本明細書に記載の修飾によって示す。
本発明の2’修飾ヌクレオチドに関連して、「アミノ」とは、修飾されていても、いなくてもよい、2’−NH又は2’−O−NHを意味する。かかる修飾基は、例えば、参照によりその全体を本明細書に組込む、Eckstein他、米国特許第5,672,695号及びMatulic−Adamic他、米国特許第6,248,878号に記載されている。
核酸siNA構造を種々修飾して、これらの分子の有用性を高めることができる。かかる修飾によって、有効期間、インビトロでの半減期、安定性が増大し、かかるオリゴヌクレオチドを標的部位に導入する容易さ、例えば、細胞膜の透過性が増大し、標的細胞を認識して、それに結合する能力が付与される。
核酸分子の投与
本発明のsiNA分子は、単独で、又は他の療法と組み合わせて、HCV感染、肝不全、肝細胞癌、肝硬変及び/又は細胞若しくは組織中のHCVレベルに関係若しくは応答する任意の他の形質、疾患若しくは症状の治療、防止、阻害又は抑制に使用できるように適合させることができる。一実施形態においては、本発明のsiNA分子及びその調合物又は組成物を、当分野で一般に公知であるとおりに、肝臓に投与する(例えば、Wen et al., 2004, World J Gastroenterol., 10, 244−9;Murao et al., 2002, Pharm Res., 19, 1808−14;Liu et al., 2003, gene Ther., 10, 180−7;Hong et al., 2003, J Pharm Pharmacol., 54, 51−8;Herrmann et al., 2004, Arch Virol., 149, 1611−7及びMatsuno et al., 2003, gene Ther., 10, 1559−66参照)。
一実施形態においては、本発明のsiNA組成物は、対象に投与するためのリポソームを含めた送達ビヒクル、担体及び希釈剤並びにその塩を含むことができ、及び/又は薬剤として許容される剤形で存在し得る。核酸分子の送達方法は、その全部を参照により本明細書に組込む、Akhtar et al., 1992, Trends Cell Bio., 2, 139;Delivery Strategies for Antisense Oligonucleotide Therapeutics, ed. Akhtar, 1995, Maurer et al., 1999, Mol. Membr. Biol., 16, 129−140;Hofland and Huang, 1999, Handb. Exp. Pharmacol., 137, 165−192及びLee et al., 2000, ACS Symp. Ser., 752, 184−192に記載されている。Beigelman他、米国特許第6,395,713号及びSullivan他、国際公開第94/02595号は、核酸分子の一般的送達方法を更に記載している。これらのプロトコルを実質的にあらゆる核酸分子の送達に利用することができる。核酸分子は、リポソーム封入、イオン泳動、又は生分解性ポリマー、ヒドロゲル、シクロデキストリン(例えば、Gonzalez et al., 1999, Bioconjugate Chem., 10, 1068−1074;Wang他、国際公開第03/47518号及び同03/46185号参照)、ポリ(乳酸−co−グリコール酸)(PLGA)及びPLCAミクロスフェア(例えば、米国特許第6,447,796号及び米国特許出願公開第2002130430号参照)、生分解性ナノカプセル剤、生体接着性(bioadhesive)ミクロスフェアなどの他のビヒクルへの組み入れ、又はタンパク質ベクター(O’Hare及びNormand、国際公開第00/53722号)を含めて、ただしこれらだけに限定されない、当業者に公知である種々の方法によって細胞に投与することができる。別の実施形態においては、本発明の核酸分子は、ポリエチレンイミン、及びポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−GAL)、ポリエチレンイミン−ポリエチレングリコール−トリ−N−アセチルガラクトサミン(PEI−PEG−triGAL)誘導体などのその誘導体と一緒に処方又は複合化することもできる。一実施形態においては、本発明の核酸分子は、参照によりその全体を本明細書に組込む米国特許出願公開第20030077829号に記載したとおりに処方される。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、参照によりその全体を本明細書に組込む、米国仮出願第60/678,531号、並びに関係する2005年7月29日に出願された米国仮出願第60/703,946号、2005年11月15日に出願された米国仮出願第60/737,024号、及び2006年2月14日に出願された米国特許出願第11/353,630号(Vargeese他)に記載された組成物として処方される。かかるsiNA調合物を一般に「脂質核酸粒子」(LNP)と称する。一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、本明細書の表VIに記載の1種類以上のLNP組成物と一緒に調合される(参照により本明細書に組込む米国特許出願第11/353,630号及び同11/586,102号も参照されたい。)。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子及びその調合物又は組成物を、米国特許出願公開第2006/0062758号、同2006/0014289号及び同2004/0077540号に記載のとおりに、組織及び細胞に投与する。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子を、図面を含めて、参照によりその全体を本明細書に組込む米国特許出願公開第20010007666号に記載のものなどの膜破壊剤(disruptive agent)と複合化する。別の実施形態においては、膜破壊剤とsiNA分子も、図面を含めて、参照によりその全体を本明細書に組込む米国特許第6,235,310号に記載の脂質などの陽イオン性脂質又は補助(helper)脂質分子と複合化する。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子を、図面を含めて、参照によりその全体を本明細書に組込む、米国特許出願公開第2003077829号、国際公開第00/03683号及び同02/087541号に記載の送達系と複合化する。
一実施形態においては、本発明の核酸分子を、アテロコラーゲン複合化又は抱合によって、骨格組織(例えば、骨、軟骨、腱、靭帯)又は骨転移性腫ように投与する(例えば、Takeshita et al., 2005, PNAS, 102, 12177−12182参照)。したがって、一実施形態においては、本発明は、アテロコラーゲンと複合化された組成物としての1個以上のdsiNA分子を特徴とする。別の実施形態においては、本発明は、本明細書に記載する、又は当分野で公知である、リンカーによって、アテロコラーゲンと抱合された1個以上のsiNA分子を特徴とする。
一実施形態においては、本発明の核酸分子及びその調合物(例えば、本発明の二本鎖核酸分子のLNP調合物)を、吸入装置又はネブライザーによって投与されるエアゾール剤又は噴霧乾燥製剤の吸入などによる肺送達によって投与して、関連する肺組織に核酸分子を迅速に局所的に取り込ませる。微粉化核酸組成物の呼吸用乾燥粒子を含む固体粒子組成物は、乾燥又は凍結乾燥させた核酸組成物を粉砕し、次いで微粉化組成物を、例えば、400メッシュスクリーンに通して、大きい凝集物を分解又は分離することによって調製することができる。本発明の核酸組成物を含む固体粒子組成物は、エアゾール剤及び他の治療化合物の形成を容易にするのに役立つ分散剤を含んでいてもよい。適切な分散剤は、ラクトースであり、核酸化合物と1対1重量比などの任意の適切な比で混合することができる。
本発明の核酸組成物を含む液体粒子のエアゾール剤は、ネブライザーなどの任意の適切な手段によって生成され得る(例えば、米国特許第4,501,729号参照)。ネブライザーは、圧縮ガス、典型的には空気若しくは酸素を細いベンチュリーオリフィスに通して加速することによって、又は超音波振動によって、活性成分の溶液又は懸濁液を治療用エアゾールミストに転換する市販装置である。ネブライザー用に適切な製剤は、製剤の最高40%w/w、好ましくは20%w/w未満の活性成分を液体担体中に含む。担体は、典型的には水又は希薄アルコール水溶液であり、好ましくは、例えば塩化ナトリウム又は他の適切な塩を添加することによって、体液と等張にされる。必須でない添加剤としては、製剤が無菌調製されていない場合には防腐剤、例えば、ヒドロキシ安息香酸メチル、抗酸化剤、香味剤、揮発油、緩衝剤、乳化剤、他の処方界面活性剤などが挙げられる。活性組成物と界面活性剤を含む固体粒子のエアゾール剤は、任意の固体粒子エアゾール発生器を用いて同様に生成させることができる。固体粒子治療剤を対象に投与するエアゾール発生器は、上で説明したように、呼吸用粒子を生成し、所定用量の治療用組成物を含有する一定体積のエアゾール剤をヒト投与に適切な速度で生成する。
一実施形態においては、本発明の固体粒子エアゾール発生器は吸入器である。吸入器による投与に適切な製剤としては、吸入器によって送達することができる微粉砕散剤が挙げられる。吸入器では、散剤、例えば、本明細書に記載する治療の実施に有効なその一定用量を、典型的にはゼラチン又はプラスチック製のカプセル又はカートリッジに入れる。カプセル又はカートリッジは吸入器内で穿孔又は開封され、吸息又は手動ポンプによって装置を通して吸い込まれる空気によって散剤が送達される。吸入器に用いられる散剤は、活性成分のみからなり、又は活性成分と、ラクトースなどの適切な粉末希釈剤と、必要に応じて界面活性剤とを含む粉末混合物からなる。活性成分は、典型的には、製剤の0.1から100w/wである。説明のためのエアゾール発生器の第2のタイプは、定量吸入器を含む。定量吸入器は、液化噴霧剤中の活性成分の懸濁液剤又は溶液剤を典型的には含む加圧エアゾール分注器である。この装置は、使用中に、一定体積を送達するようになされた弁を通して製剤を吐出して、活性成分を含む微粒子噴霧を生成する。適切な噴霧剤としては、ある種のクロロフルオロ炭素化合物、例えば、ジクロロジフルオロメタン、トリクロロフルオロメタン、ジクロロテトラフルオロエタン、これらの混合物などが挙げられる。製剤は、1種類以上の共溶媒、例えばエタノール、乳化剤、及びオレイン酸、トリオレイン酸ソルビタンなどの他の処方界面活性剤、抗酸化剤、並びに適切な香味剤を更に含むことができる。他の肺送達方法は、例えば、参照により本明細書に組込む、米国特許出願公開第20040037780号及び米国特許第6,592,904号、同6,582,728号、同6,565,885号に記載されている。
一実施形態においては、肺送達に用いられる本明細書のsiNA並びにLNP組成物及び調合物は、1種類以上の界面活性剤を更に含む。本発明の組成物の取り込みを増大させる適切な界面活性剤又は界面活性剤成分としては、合成及び天然並びに完全型及び切断型の界面活性剤タンパク質A、界面活性剤タンパク質B、界面活性剤タンパク質C、界面活性剤タンパク質D及び界面活性剤タンパク質E、(ジパルミトイル以外の)二飽和(di−saturated)ホスファチジルコリン、ジパルミトイルホスファチジルコリン、ホスファチジルコリン、ホスファチジルグリセロール、ホスファチジルイノシトール、ホスファチジルエタノールアミン、ホスファチジルセリン;ホスファチジン酸、ユビキノン、リゾホスファチジルエタノールアミン、リゾホスファチジルコリン、パルミトイル−リゾホスファチジルコリン、デヒドロエピアンドロステロン、ドリコール、スルファチド(sulfatidic)酸、グリセリン−3−ホスファート、ジヒドロキシアセトンリン酸、グリセリン、グリセロ−3−ホスホコリン、ジヒドロキシアセトン、パルミタート、シチジン二リン酸(CDP)ジアシルグリセロール、CDPコリン、コリン、コリンリン酸、並びに界面活性剤成分の天然担体ビヒクルである天然及び人工の層状体、オメガ3脂肪酸、ポリエン(polyenic)酸、ポリエン(polyenoic)酸、レシチン、パルミチン(palmitinic)酸、エチレン又はプロピレンオキシドの非イオンブロック共重合体、ポリオキシプロピレン、単量体及び重合体、ポリオキシエチレン、単量体及び重合体、デキストラン及び/又はアルカノイル側鎖を有するポリ(ビニルアミン)、Brij 35、Triton X−100、並びに合成界面活性剤ALEC、Exosurf、Survan及びAtovaquoneがとりわけ挙げられる。これらの界面活性剤は、調合物中で、単一で、若しくは複数成分の界面活性剤の一部として、又は本明細書の薬剤組成物の核酸成分の5’及び/又は3’末端に共有結合付加して、使用することができる。
本発明の組成物は、呼吸に適したサイズの粒子、例えば、吸入後、鼻、口及び喉頭を通過し、気管支及び肺胞を通過するのに十分に小さなサイズの粒子を含む製剤として、呼吸器系に投与することができる。一般に、呼吸用粒子は、約0.5から10ミクロンのサイズである。エアゾール剤に含まれる呼吸に不適当なサイズの粒子は、咽頭に付着しやすく、えん下されやすい。したがって、エアゾール剤中の呼吸に不適当な粒子の量は、最小限に抑えられる。経鼻投与の場合、鼻腔内に確実に保持するために、10−500umの粒径が好ましい。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子及びその調合物又は組成物を、当分野で一般に公知であるとおりに、肝臓に投与する(例えば、Wen et al., 2004, World J Gastroenterol., 10, 244−9;Murao et al., 2002, Pharm Res., 19, 1808−14;Liu et al., 2003, gene Ther., 10, 180−7;Hong et al., 2003, J Pharm Pharmacol., 54, 51−8;Herrmann et al., 2004, Arch Virol., 149, 1611−7及びMatsuno et al., 2003, gene Ther., 10, 1559−66参照)。
一実施形態においては、本発明は、本発明の核酸分子を中枢神経系及び/又は末梢神経系に送達する方法の使用を特徴とする。実験によって、ニューロンによるインビボでの効率的な核酸の取り込みが実証された。神経細胞への核酸の局所投与の例として、Sommer et al., 1998, Antisense Nuc. Acid Drug Dev., 8, 75は、c−fosに対する15量体ホスホロチオアートアンチセンス核酸分子を微量注入によってラットの脳に投与する研究を記載している。テトラメチルローダミン−イソチオシアナート(TRITC)又はフルオレセインイソチオシアナート(FITC)で標識されたアンチセンス分子は、注射後30分で専らニューロンによって吸収された。これらの細胞では、拡散した細胞質染色及び核染色が観察された。神経細胞への核酸の全身投与の例として、Epa et al., 2000, Antisense Nuc. Acid Drug Dev., 10, 469は、ベータ−シクロデキストリン−アダマンタン−オリゴヌクレオチド抱合体を用いて、神経に分化したPC12細胞中のp75ニューロトロフィン受容体を標的とした、インビボでのマウス試験を記載している。2週間のIP投与後、後根神経節(DRG)細胞において、p75ニューロトロフィン受容体アンチセンスの顕著な取り込みが認められた。また、DRGニューロンにおいて、p75の著しい一貫した下方制御が認められた。ニューロンへの核酸の別のターゲティング手法は、Broaddus et al., 1998, J. Neurosurg., 88(4), 734;Karle et al., 1997, Eur. J. Pharmocol., 340(2/3), 153;Bannai et al., 1998, Brain Research, 784(1,2), 304;Rajakumar et al., 1997, Synapse, 26(3), 199;Wu−pong et al., 1999, BioPharm, 12(1), 32;Bannai et al., 1998, Brain Res. Protoc., 3(1), 83;Simantov et al., 1996, Neuroscience, 74(1), 39に記載されている。したがって、本発明の核酸分子は、RE遺伝子発現の調節に対して反復伸長(repeat expansion)対立遺伝子変種を発現する細胞に送達され、取り込まれやすい。REを標的にした本発明の核酸分子は、多種多様な戦略によって送達される。使用することができるCNS送達の伝統的手法としては、鞘内及び脳室内投与、カテーテル及びポンプの埋め込み、傷害若しくは病変の部位における直接注射若しくは潅流、脳動脈系への注射、又は化学的な、若しくは浸透圧による血液脳関門の開口が挙げられるが、これらだけに限定されない。他の手法としては、例えば抱合体及び生分解性ポリマーを用いた、種々の輸送及び担体系の使用も挙げられる。また、例えば、Kaplitt他、米国特許第6,180,613号及びDavidson、国際公開第04/013280号に記載の遺伝子療法によって、CNSにおいて核酸分子を発現させることができる。
一実施形態においては、本発明のsiNA化合物及び組成物を、全身的に、又は局所的に、約1−50週ごと(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50週ごと)に、単独で、又は本明細書の他の化合物及び/又は療法と組み合わせて、投与する。一実施形態においては、本発明のsiNA化合物及び組成物を(例えば、静脈内、皮下、筋肉内、注入、ポンプ、移植片などによって)全身的に、約1−50週ごと(例えば、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10、11、12、13、14、15、16、17、18、19、20、21、22、23、24、25、26、27、28、29、30、31、32、33、34、35、36、37、38、39、40、41、42、43、44、45、46、47、48、49又は50週ごと)に、単独で、又は本明細書に記載の、及び/又は当分野で公知の他の化合物及び/又は療法と組み合わせて、投与する。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子を、例えば特定の器官又は区画(例えば、肝臓、腫よう、CNSなど)に、イオン泳動によって投与する。イオン泳動による送達の非限定的例は、例えば、参照によりその全体を本明細書に組込む、国際公開第03/043689号及び同03/030989号に記載されている。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子及びその調合物又は組成物を、当分野で一般に公知であるとおりに、肝臓に投与する(例えば、Wen et al., 2004, World J Gastroenterol., 10, 244−9;Murao et al., 2002, Pharm Res., 19, 1808−14;Liu et al., 2003, gene Ther., 10, 180−7;Hong et al., 2003, J Pharm Pharmacol., 54, 51−8;Herrmann et al., 2004, Arch Virol., 149, 1611−7及びMatsuno et al., 2003, gene Ther., 10, 1559−66参照)。
一実施形態においては、本発明は、本発明の核酸分子を、単球及びリンパ球を含めた造血細胞に送達する方法の使用を特徴とする。これらの方法は、Hartmann et al., 1998, J. Phamacol. Exp. Ther., 285(2), 920−928;Kronenwett et al., 1998, Blood, 91(3), 852−862;Filion and Phillips, 1997, Biochim. Biophys. Acta., 1329(2), 345−356;Ma and Wei, 1996, Leuk. Res., 20(11/12), 925−930及びBongartz et al., 1994, Nucleic Acids Research, 22(22), 4681−8に詳述されている。かかる方法は、上述したように、オリゴヌクレオチドを造血細胞に移入するために、遊離オリゴヌクレオチド、陽イオン性脂質調合物、pH感応性リポソーム及び免疫リポソームを含めたリポソーム調合物、及び膜融合ペプチドと抱合されたオリゴヌクレオチドを含めたバイオコンジュゲートの使用を含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子及びその調合物又は組成物を、当分野で一般に公知であるとおりに、真皮又はろ胞に直接的に、又は局部的に(topically)(例えば、局所的に(locally))投与する(例えば、Brand, 2001, Curr. Opin. Mol. Ther., 3, 244−8;Regnier et al., 1998, J. Drug Target, 5, 275−89;Kanikkannan, 2002, BioDrugs, 16, 339−47;Wraight et al., 2001, Pharmacol. Ther., 90, 89−104及びPreat and Dujardin, 2001, STP PharmaSciences, 11, 57−68参照)。一実施形態においては、本発明のsiNA分子及びその調合物又は組成物を、アルコール(例えば、エタノール又はイソプロパノール)、水を含み、ミリスチン酸イソプロピル、カーボマー980などの追加の薬剤を含んでいてもよい、ヒドロアルコールゲル調合物によって、直接的に、又は局部的に投与する。
一実施形態においては、本発明の送達系としては、例えば、水系及び非水系ゲル、クリーム、多相乳濁液(multiple emulsion)、マイクロエマルジョン、リポソーム、軟膏、水溶液及び非水溶液、ローション、エアゾール、炭化水素基剤及び粉末が挙げられ、可溶化剤、透過促進剤(permeation enhancer)(例えば、脂肪酸、脂肪酸エステル、脂肪アルコール及びアミノ酸)、親水性ポリマー(例えば、ポリカルボフィル及びポリビニルピロリドン)などの賦形剤を含むことができる。一実施形態においては、薬剤として許容される担体は、リポソーム又は経皮促進剤(transdermal enhancer)である。本発明に使用することができるリポソームの例としては、(1)CellFectin、陽イオン性脂質N,NI,NII,NIII−テトラメチル−N,NI,NII,NIII−テトラパルミト(tetrapalmit)−y−スペルミンとジオレオイルホスファチジルエタノールアミン(DOPE)の1:1.5(M/M)リポソーム調合物(GIBCO BRL)、(2)Cytofectin GSV、陽イオン性脂質とDOPEの2:1(M/M)リポソーム調合物(Glen Research)、(3)DOTAP(N−[1−(2,3−ジオレオイルオキシ)−N,N,N−トリ−メチル−アンモニウムメチルスルファート)(Boehringer Manheim)、及び(4)Lipofectamine、ポリカチオン脂質DOSPAと中性脂質DOPEの3:1(M/M)リポソーム調合物(GIBCO BRL)が挙げられる。
一実施形態においては、本発明の送達系としては、貼付剤、錠剤、座剤、ペッサリー、ゲル剤及びクリーム剤が挙げられる。本発明の送達系は、可溶化剤、エンハンサー(例えば、プロピレングリコール、胆汁酸塩及びアミノ酸)などの賦形剤、及び他のビヒクル(例えば、ポリエチレングリコール、脂肪酸エステル及び誘導体、並びにヒドロキシプロピルメチルセルロース、ヒアルロン酸などの親水性ポリマー)も含み得る。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、ポリエチレンイミン(例えば、線状又は分枝PEI)及び/又は、例えば、ガラクトースPEI、コレステロールPEI、抗体によって誘導体化されたPEI、そのポリエチレングリコールPEI(PEG−PEI)誘導体などのグラフト(grafted)PEIを含めたポリエチレンイミン誘導体と一緒に処方され、又は複合化される(例えば、参照により本明細書に組込む、Ogris et al., 2001, AAPA PharmSci, 3, 1−11;Furgeson et al., 2003, Bioconjugate Chem., 14, 840−847;Kunath et al., 2002, Phramaceutical Research, 19, 810−817;Choi et al., 2001, Bull. Korean Chem. Soc., 22, 46−52;Bettinger et al., 1999, Bioconjugate Chem., 10, 558−561;Peterson et al., 2002, Bioconjugate Chem., 13, 845−854;Erbacher et al., 1999, Journal of gene Medicine Preprint, 1, 1−18;Godbey et al., 1999., PNAS USA, 96, 5177−5181;Godbey et al., 1999, Journal of Controlled Release, 60, 149−160;Diebold et al., 1999, Journal of Biological Chemistry, 274, 19087−19094;Thomas and Klibanov, 2002, PNAS USA, 99, 14640−14645及びSagara、米国特許第6,586,524号参照)。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子は、バイオコンジュゲート、例えば、参照により本明細書に組込む、2003年4月30日に出願されたVargeese他、米国特許出願第10/427,160号、米国特許第6,528,631号、同6,335,434号、同6,235,886号、同6,153,737号、同5,214,136号、同5,138,045号に記載の核酸抱合体を含む。
したがって、本発明は、本発明の1種類以上の核酸を安定剤、緩衝剤などの許容される担体中に含む薬剤組成物を特徴とする。本発明のポリヌクレオチドは、安定剤、緩衝剤などを用いて、又は用いないで、薬剤組成物を形成する任意の標準手段によって、対象に投与することができ(例えば、RNA、DNA又はタンパク質)、導入することができる。リポソーム送達機構を利用することが望ましいときには、リポソームの標準形成プロトコルに従うことができる。本発明の組成物は、クリーム剤、ゲル剤、噴霧剤、オイル剤、及び当分野で公知である、局所、皮膚又は経皮投与に適切な他の組成物として、処方し、使用することもできる。
本発明は、上記化合物の薬学的に許容される調合物も含む。これらの調合物としては、上記化合物の塩、例えば、酸付加塩、例えば、塩酸塩、臭化水素酸塩、酢酸塩及びベンゼンスルホン酸塩が挙げられる。
薬理学的組成物又は調合物とは、例えばヒトを含めて、細胞又は対象に投与、例えば全身又は局所投与するのに適切な形態の組成物又は調合物を指す。適切な形態は、用途又は流入経路、例えば経口、経皮若しくは注射に応じて、ある程度決まる。かかる形態は、組成物又は調合物が標的細胞(すなわち、負に帯電した核酸の送達が望ましい細胞)に到達するのを妨害すべきではない。例えば、血流中に注射する薬理学的組成物は可溶であるべきである。他の因子は、当分野で公知であり、毒性、組成物又は調合物がその効果を発揮するのを防止する形態などの考慮事項を含む。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子を、薬学的に許容される組成物又は調合物として対象に全身投与する。「全身投与」とは、インビボでの全身吸収、又は血流中の薬物の蓄積と、それに後く全身への分布を意味する。全身吸収に至る投与経路としては、静脈内、皮下、門脈、腹腔内、吸入、経口、肺内及び筋肉内が挙げられるが、これらだけに限定されない。これらの投与経路の各々によって、到達可能な患部組織が本発明のsiNA分子に暴露される。循環中への薬物の流入速度は、分子量又はサイズの関数であることが判明している。本発明の化合物を含むリポソーム又は他の薬物担体を使用すると、例えば、細網内皮系(RES)の組織などのある組織タイプに薬物を潜在的に局在化させることができる。リンパ球、マクロファージなどの細胞の表面と薬物との会合を容易にし得るリポソーム調合物も有用である。この手法は、マクロファージ及びリンパ球による異常細胞の免疫認識の特異性を利用することによって、標的細胞への薬物の送達を促進することができる。
「薬学的に許容される調合物」又は「薬学的に許容される組成物」とは、本発明の核酸分子を、その所望の活性に最も適切である身体部位に有効に分布させることができる組成物又は調合物を意味する。本発明の核酸分子と一緒に処方するのに適切である薬剤の非限定的例としては、(Pluronic P85などの)P糖タンパク質阻害剤、徐放性送達用のポリ(DL−ラクチド−コグリコリド)ミクロスフェアなどの生分解性ポリマー(Emerich, DF et al., 1999, Cell Transplant, 8, 47−58)、及びポリブチルシアノアクリラート製ナノ粒子などの充填(loaded)ナノ粒子が挙げられる。本発明の核酸分子の送達戦略の他の非限定的例としては、Boado et al., 1998, J. Pharm. Sci, 87, 1308−1315;Tyler et al., 1999, FEBS Lett., 421, 280−284;Pardridge et al., 1995, PNAS USA., 92, 5592−5596;Boado, 1995, Adv. Drug Delivery Rev., 15, 73−107;Aldrian−Herrada et al., 1998, Nucleic Acids Res., 26, 4910−4916及びTyler et al., 1999, PNAS USA., 96, 7053−7058に記載の材料が挙げられる。
本発明は、ポリ(エチレングリコール)脂質(PEG修飾リポソーム又は長時間循環型リポソーム、すなわちステルスリポソーム)を含む表面修飾リポソームと本発明の核酸分子とを含む組成物の使用も特徴とする。これらの調合物は、標的組織における薬物(例えば、siNA)の蓄積を増加させる方法を与える。このクラスの薬物担体は、単核食細胞系(MPS又はRES)によるオプソニン作用及び排除に抵抗性であり、それによって、封入された薬物の血液循環時間を延長し、組織暴露を増強することができる(Lasic et al. Chem. Rev. 1995, 95, 2601−2627;Ishiwata et al., Chem. Pharm. Bull. 1995, 43, 1005−1011)。かかるリポソームは、恐らくは新生血管標的組織における溢出及び捕獲によって、腫よう中に選択的に蓄積することが判明している(Lasic et al., Science 1995, 267, 1275−1276;Oku et al., 1995, Biochim. Biophys. Acta, 1238, 86−90)。長時間循環型リポソームは、特に、MPSの組織で蓄積することが知られている従来の陽イオン性リポソームに比較して、DNA及びRNAの薬物動態学及び薬力学を増強する(Liu et al., J. Biol. Chem. 1995, 42, 24864−24870;Choi他、国際公開第96/10391号;Ansell他、国際公開第96/10390号;Holland他、国際公開第96/10392号)。長時間循環型リポソームは、肝臓、ひ臓などの代謝的に攻撃的なMPS組織における蓄積を回避するその能力に基づいて、陽イオン性リポソームと比較して、薬物をヌクレアーゼ分解からより強く保護する可能性もある。
一実施形態においては、本発明のリポソーム調合物は、参照によりその全体を本明細書に組込む、米国特許第6,858,224号;同6,534,484号;同6,287,591号;同6,835,395号;同6,586,410号;同6,858,225号;同6,815,432号;同6,586,001号;同6,120,798号;同6,977,223号;同6,998,115号;同5,981,501号;同5,976,567号;同5,705,385号;米国特許出願公開第2006/0019912号;同2006/0019258号;同2006/0008909号;同2005/0255153号;同2005/0079212号;同2005/0008689号;同2003/0077829号、同2005/0064595号、同2005/0175682号、同2005/0118253号;同2004/0071654号;同2005/0244504号;同2005/0265961号及び同2003/0077829号に記載の化合物及び組成物と一緒に処方又は複合化された本発明の二本鎖核酸分子(例えば、siNA)を含む。
本発明は、薬学的に許容される担体又は希釈剤中に薬学的有効量の所望の化合物を含む、保存又は投与用に調製された組成物も含む。治療用に許容される担体又は希釈剤は、薬剤分野ではよく知られており、例えば、参照により本明細書に組込むRemington’s Pharmaceutical Sciences, Mack Publishing Co.(A.R. Gennaro edit. 1985)に記載されている。例えば、防腐剤、安定剤、色素及び香味剤を用意することもできる。これらには、安息香酸ナトリウム、ソルビン酸及びp−ヒドロキシ安息香酸エステルが含まれる。また、抗酸化剤及び懸濁剤を使用することもできる。
薬学的に有効な用量とは、病態の予防、発症の阻止、又は(症候をある程度軽減する、好ましくは症候のすべてを軽減する)治療に必要な用量である。薬学的に有効な用量は、疾患のタイプ、用いる組成物、投与経路、治療するほ乳動物のタイプ、検討する特定のほ乳動物の身体特性、併用する薬物療法、及び医薬分野の当業者が認識する他の因子に応じて決まる。一般に、負に帯電したポリマーの効力に応じて、活性成分0.1mg/kgから100mg/kg体重/日を投与する。
本発明の核酸分子及びその調合物は、薬学的に許容される従来の無毒の担体、アジュバント及び/又はビヒクルを含む単位用量剤形で、経口的に、局所的に、非経口的に、吸入若しくは噴霧によって、又は直腸に、投与することができる。本明細書では非経口という用語は、経皮、皮下、血管内(例えば、静脈内)、筋肉内、髄腔内注射又は注入技術などを含む。また、本発明の核酸分子と、薬学的に許容される担体とを含む薬剤を提供する。本発明の1種類以上の核酸分子は、薬学的に許容される1種類以上の無毒の担体及び/又は希釈剤及び/又はアジュバント、並びに必要に応じて他の活性成分と一緒に存在し得る。本発明の核酸分子を含有する薬剤組成物は、経口用に適した剤形、例えば、錠剤、トローチ剤、舐剤、水性若しくは油性懸濁液剤、分散性散剤若しくは顆粒剤、乳剤、硬若しくは軟カプセル剤、又はシロップ剤若しくはエリキシル剤とすることができる。
経口用組成物は、薬剤組成物製造分野で公知の任意の方法によって調製することができる。かかる組成物は、薬剤的に優れた口当たりの良い製剤を提供するために、1種類以上のかかる甘味剤、香味剤、着色剤又は防腐剤を含むことができる。錠剤は、錠剤の製造に適切である、薬学的に許容される無毒の賦形剤と混合された活性成分を含む。これらの賦形剤は、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、リン酸ナトリウムなどの不活性希釈剤、顆粒化剤及び崩壊剤、例えば、コーンスターチ又はアルギン酸、結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン又はアラビアゴム、並びに潤滑剤、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸又はタルクとすることができる。錠剤は、被覆しなくても、公知技術によって被覆してもよい。かかる被覆を公知技術によって調製して、胃腸管における崩壊及び吸収を遅延させ、それによって長時間の持続作用を得ることができる場合もある。例えば、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリンなどの遅延物質を使用することができる。
経口製剤は、活性成分が不活性固体希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム又はカオリンと混合された硬ゼラチンカプセル剤とすることもでき、活性成分が水又は油媒体、例えば、落花生油、流動パラフィン又はオリーブ油と混合された軟ゼラチンカプセル剤とすることもできる。
水性懸濁液剤は、水性懸濁液剤の製造に適切な賦形剤と混合された活性材料を含む。かかる賦形剤は、懸濁剤、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロプロピルメチルセルロース、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン、トラガカントゴム及びアラビアゴムであり、分散剤又は湿潤剤は、天然リン脂質、例えば、レシチン、又はアルキレンオキシドと脂肪酸の縮合物、例えば、ポリオキシエチレンステアレート、又はエチレンオキシドと長鎖脂肪族アルコールの縮合物、例えば、ヘプタデカエチレンオキシセタノール、又はポリオキシエチレンソルビトールモノオレアートなど脂肪酸及びヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、又は脂肪酸及び無水ヘキシトールから誘導される部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物、例えば、ポリエチレンソルビタンモノオレアートとすることができる。水性懸濁液剤は、1種類以上の防腐剤、例えば、エチル又はn−プロピルp−ヒドロキシ安息香酸、1種類以上の着色剤、1種類以上の香味剤、及びスクロース、サッカリンなどの1種類以上の甘味剤を含むこともできる。
油性懸濁液剤は、植物油中、例えば、落花生油、オリーブ油、ゴマ油若しくはヤシ油中、又は流動パラフィンなどの鉱物油中に活性成分を懸濁させることによって調剤することができる。油性懸濁液剤は、増粘剤、例えば、蜜ろう、固形パラフィン又はセチルアルコールを含むことができる。甘味剤及び香味剤を添加して、口当たりの良い経口製剤を提供することができる。これらの組成物は、アスコルビン酸などの抗酸化剤を添加することによって保存することができる。
水を添加することによって水性懸濁液剤を調製するのに適切な分散性散剤及び顆粒剤によって、分散剤又は湿潤剤、懸濁剤及び1種類以上の防腐剤と混合された活性成分が提供される。適切な分散剤若しくは湿潤剤又は懸濁剤は、上で例示したとおりである。追加の賦形剤、例えば、甘味剤、香味剤及び着色剤が存在してもよい。
本発明の薬剤組成物は、水中油型乳剤の形にすることもできる。油相は、植物油、鉱油又はこれらの混合物とすることができる。適切な乳化剤は、天然ゴム、例えば、アラビアゴム又はトラガカントゴム、天然リン脂質、例えば、ダイズ、レシチン、及び脂肪酸とヘキシトール、無水物から誘導されるエステル又は部分エステル、例えば、ソルビタンモノオレアート、及び前記部分エステルとエチレンオキシドの縮合物、例えばポリオキシエチレンソルビタンモノオレアートであり得る。乳剤は甘味剤及び香味剤を含むこともできる。
シロップ剤及びエリキシル剤は、甘味剤、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ソルビトール、グルコース又はスクロースを用いて処方することができる。かかる製剤は、粘滑剤、防腐剤、香味剤及び着色剤を含むこともできる。薬剤組成物は、無菌注射用水性又は油性懸濁液剤とすることができる。この懸濁液剤は、上述の適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて公知技術に従って処方することができる。無菌注射用製剤は、親らしく許容される無毒の希釈剤又は溶媒の無菌注射液又は懸濁液、例えば1,3−ブタンジオール溶液とすることもできる。使用可能な許容されるビヒクル及び溶媒は、水、リンゲル液、等張性塩化ナトリウム溶液などである。さらに、無菌不揮発性油が溶媒又は懸濁媒体として従来使用されている。この目的で、合成モノ又はジグリセリドを含めて、任意の無刺激性不揮発性油を使用することができる。さらに、オレイン酸などの脂肪酸も注射剤の調製に使用することができる。
本発明の核酸分子は、例えば薬物を直腸投与するための、座剤の形で投与することもできる。常温では固体であるが直腸温度では液体であり、したがって直腸内で溶融して薬物を放出する適切な非刺激性賦形剤と薬物を混合することによって、これらの組成物を調製することができる。かかる材料としては、カカオ脂、ポリエチレングリコールなどが挙げられる。
本発明の核酸分子は、滅菌媒体中で非経口的に投与することができる。薬物は、使用するビヒクル及び濃度に応じて、ビヒクル中に懸濁させても、溶解させてもよい。局所麻酔薬、防腐剤、緩衝剤などのアジュバントをビヒクルに溶解させることも有利である。
約0.1mgから約140mg/キログラム体重/日の投与量レベルが上記症状の治療に有用である(約0.5mgから約7g/対象/日)。単回投与剤形(single dosage form)を製造するために担体材料と組み合わせることができる活性成分の量は、治療を受ける患者、及び特定の投与方法に応じて変わる。単位用量剤形(dosage unit form)は、一般に、活性成分約1mgから約500mgを含む。
特定の対象に対する具体的用量レベルは、用いる具体的化合物の活性、年齢、体重、全般的健康状態、性別、食餌、投与時間、投与経路、及び排出速度、薬物の組合せ、及び治療を受ける特定の疾患の重篤度を含めて種々の要因に応じて決まることを理解されたい。
ヒト以外の動物に投与する場合には、組成物を動物飼料又は飲料水に添加することもできる。動物が治療上適切な量の組成物をその飼料と一緒に摂取するように、動物飼料及び飲用水組成物を処方することが好都合であり得る。飼料又は飲料水に添加するプレミックスとして組成物を提供することも好都合であり得る。
本発明の核酸分子を他の治療化合物と組み合わせて対象に投与して、全体の治療効果を高めることもできる。ある適応症の治療に複数の化合物を用いると、副作用を減少させつつ、有益な効果を高めることができる。
一実施形態においては、本発明は、本発明の核酸分子を特定の細胞タイプに投与するのに適切である組成物を含む。例えば、アシアロ糖タンパク質受容体(ASGPr)(Wu and Wu, 1987, J. Biol. Chem. 262, 4429−4432)は、肝細胞特有のものであり、アシアロオロソムコイド(ASOR)などの分枝ガラクトース末端糖タンパク質と結合する。別の例においては、葉酸受容体は、多数の癌細胞において過剰発現される。かかる糖タンパク質、合成複合糖質又は葉酸塩と受容体の結合は、オリゴ糖鎖の分岐度に大きく依存した親和性によって生ずる。例えば、三分岐(triatennary)構造は、二分岐(biatenarry)又は単分岐(monoatennary)鎖よりも高い親和性で結合する(Baenziger and Fiete, 1980, Cell, 22, 611−620;Connolly et al., 1982, J. Biol. Chem., 257, 939−945)。Lee and Lee, 1987, Glycoconjugate J., 4, 317−328は、受容体に対する親和性がガラクトースよりも高いN−アセチル−D−ガラクトサミンを炭水化物部分として使用することによって、この高い特異性を得た。この「クラスター形成効果」は、マンノシル末端糖タンパク質又は複合糖質の結合及び取り込みについても記述されている(Ponpipom et al., 1981, J. Med. Chem., 24, 1388−1395)。ガラクトース、ガラクトサミン又は葉酸塩の抱合体を用いて、外来性化合物を細胞膜を越えて輸送することによって、目標とした送達手法を、例えば、肝疾患、肝臓癌、又は他の癌の治療に提供することができる。バイオコンジュゲートを使用すると、治療に必要な治療化合物の必要用量を削減することもできる。また、本発明の核酸バイオコンジュゲートを使用することによって、治療薬の生物学的利用能、薬力学及び薬物動態パラメータを調節することができる。かかるバイオコンジュゲートの非限定的例は、2001年8月13日に出願された、Vargeese他、米国特許出願第10/201,394号、及び2002年3月6日に出願された、Matulic−Adamic他、米国特許出願第60/362,016号に記載されている。
或いは、本発明のある種のsiNA分子は、細胞内で真核生物プロモーターから発現させることができる(例えば、Izant and Weintraub, 1985, Science, 229, 345;McGarry and Lindquist, 1986, Proc. Natl. Acad. Sci., USA 83, 399;Scanlon et al., 1991, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 88, 10591−5;Kashani−Sabet et al., 1992, Antisense Res. Dev., 2, 3−15;Dropulic et al., 1992, J. Virol., 66, 1432−41;Weerasinghe et al., 1991, J. Virol., 65, 5531−4;Ojwang et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 10802−6;Chen et al., 1992, Nucleic Acids Res., 20, 4581−9;Sarver et al., 1990 Science, 247, 1222−1225;Thompson et al., 1995, Nucleic Acids Res., 23, 2259;Good et al., 1997, Gene Therapy, 4, 45。当業者は、真核細胞中で任意の核酸を適切なDNA/RNAベクターから発現させることができることを認識されたい。かかる核酸の活性は、核酸を酵素的核酸によって一次転写物から放出させることによって、増大させることができる(Draper他、国際公開第93/23569号、及びSullivan他、国際公開第94/02595号;Ohkawa et al., 1992, Nucleic Acids Symp. Ser., 27, 15−6;Taira et al., 1991, Nucleic Acids Res., 19, 5125−30;Ventura et al., 1993, Nucleic Acids Res., 21, 3249−55;Chowrira et al., 1994, J. Biol. Chem., 269, 25856。
本発明の別の態様においては、本発明のRNA分子を、DNA又はRNAベクターに挿入された転写単位から発現させることができる(例えば、Couture et al., 1996, TIG., 12, 510)。組換えベクターは、DNAプラスミド又はウイルスベクターであり得る。siNAを発現するウイルスベクターは、これらだけに限定されないが、アデノ随伴ウイルス、レトロウイルス、アデノウイルス又はアルファウイルスに基づいて構築することができる。別の実施形態においては、pol IIIに基づく構築体を用いて、本発明の核酸分子を発現させる(例えば、Thompson、米国特許第5,902,880号及び6,146,886号参照)。siNA分子を発現可能である組換えベクターを、上述のとおりに送達し、標的細胞中に存続させることができる。或いは、核酸分子の一過性発現を与えるウイルスベクターを使用することができる。かかるベクターは、必要に応じて繰り返し投与することができる。siNA分子は、発現後、標的mRNAと相互作用して、RNAi応答を生ずる。siNA分子を発現するベクターの送達は、静脈内又は筋肉内投与によって、対象から外植された標的細胞に投与し、続いて対象に再導入することによって、所望の標的細胞への導入を可能にする任意の他の手段によってなど、全身的であり得る(総説については、Couture et al., 1996, TIG., 12, 510を参照されたい。)。
一態様においては、本発明は、本発明の少なくとも1種類のsiNA分子をコードする核酸配列を含む発現ベクターを特徴とする。発現ベクターは、siNA二本鎖の一方若しくは両方の鎖をコードすることができ、又はsiNA二本鎖を自己ハイブリッド形成する単一の自己相補鎖をコードすることができる。本発明のsiNA分子をコードする核酸配列は、siNA分子の発現を可能にするように作動可能に結合し得る(例えば、Paul et al., 2002, Nature Biotechnology, 19, 505;Miyagishi and Taira, 2002, Nature Biotechnology, 19, 497;Lee et al., 2002, Nature Biotechnology, 19, 500及びNovina et al., 2002, Nature Medicine, advance online publication doi:10.1038/nm725参照)。
別の態様においては、本発明は、a)転写開始領域(例えば、真核生物pol I、II又はIII開始領域)と、b)転写終結領域(例えば、真核生物pol I、II又はIII終結領域)と、c)本発明のsiNA分子の少なくとも1種類をコードする核酸配列とを含む発現ベクターを特徴とする。ここで、前記配列は、siNA分子の発現及び/又は送達を可能にするように、前記開始領域及び前記終結領域に作動可能に結合している。ベクターは、本発明のsiNAをコードする配列の5’側又は3’側に作動可能に結合した、タンパク質のオープンリーディングフレーム(ORF)、及び/又はイントロン(介在配列)を含んでいてもよい。
siNA分子配列の転写は、真核生物RNAポリメラーゼI(pol I)、RNAポリメラーゼII(pol II)又はRNAポリメラーゼIII(pol III)のプロモーターから駆動され得る。pol II又はpol IIIプロモーターからの転写物は、すべての細胞において高レベルで発現される。所与の細胞タイプにおける所与のpol IIプロモーターのレベルは、近くに存在する遺伝子制御配列(エンハンサー、サイレンサーなど)の性質に依存する。原核生物RNAポリメラーゼ酵素が適切な細胞中で発現される限り、原核生物RNAポリメラーゼプロモーターも用いられる(Elroy−Stein and Moss, 1990, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 87, 6743−7;Gao and Huang 1993, Nucleic Acids Res., 21, 2867−72;Lieber et al., 1993, Methods Enzymol., 217, 47−66;Zhou et al., 1990, Mol. Cell. Biol., 10, 4529−37)。数名の研究者によれば、かかるプロモーターから発現された核酸分子は、ほ乳動物細胞中で機能し得る(例えば、Kashani−Sabet et al., 1992, Antisense Res. Dev., 2, 3−15;Ojwang et al., 1992, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 89, 10802−6;Chen et al., 1992, Nucleic Acids Res., 20, 4581−9;Yu et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. USA, 90, 6340−4;L’Huillier et al., 1992, EMBO J., 11, 4411−8;Lisziewicz et al., 1993, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A, 90, 8000−4;Thompson et al., 1995, Nucleic Acids Res., 23, 2259;Sullenger & Cech, 1993, Science, 262, 1566)。より具体的には、U6核内低分子(snRNA)、転移RNA(tRNA)及びアデノウイルスVA RNAをコードする遺伝子に由来する転写単位などの転写単位は、細胞において高濃度のsiNAなどの所望のRNA分子を生成するのに有用である(Thompson et al.(前掲);Couture and Stinchcomb, 1996(前掲);Noonberg et al., 1994, Nucleic Acid Res., 22, 2830;Noonberg他、米国特許第5,624,803号;Good et al., 1997, Gene Ther., 4, 45;Beigelman他、国際公開第96/18736号。上記siNA転写単位は、ほ乳動物細胞に導入するために、プラスミドDNAベクター、(アデノウイルス、アデノ随伴ウイルスベクターなどの)ウイルスDNAベクター又は(レトロウイルス、アルファウイルスベクターなどの)ウイルスRNAベクターを含めて、ただしこれらだけに限定されない種々のベクターに組み入れることができる(総説については、Couture and Stinchcomb, 1996(前掲)を参照されたい。)。
別の態様においては、本発明は、本発明のsiNA分子の少なくとも1種類をコードする核酸配列を、そのsiNA分子の発現が可能であるように含む、発現ベクターを特徴とする。一実施形態においては、発現ベクターは、a)転写開始領域と、b)転写終結領域と、c)siNA分子の少なくとも一方の鎖をコードする核酸配列を含み、該配列は、siNA分子の発現及び/又は送達を可能にするように、開始領域及び終結領域に作動可能に結合している。
別の実施形態においては、発現ベクターは、a)転写開始領域と、b)転写終結領域と、c)オープンリーディングフレームと、d)siNA分子の少なくとも一方の鎖をコードする核酸配列とを含み、該配列は、オープンリーディングフレームの3’末端に作動可能に結合し、siNA分子の発現及び/又は送達を可能にするように、開始領域、オープンリーディングフレーム及び終結領域に作動可能に結合している。更に別の実施形態においては、発現ベクターは、a)転写開始領域と、b)転写終結領域と、c)イントロンと、d)少なくとも1個のsiNA分子をコードする核酸配列とを含み、該配列は、核酸分子の発現及び/又は送達を可能にするように、開始領域、イントロン及び終結領域に作動可能に結合している。
別の実施形態においては、発現ベクターは、a)転写開始領域と、b)転写終結領域と、c)イントロンと、d)オープンリーディングフレームと、e)siNA分子の少なくとも一方の鎖をコードする核酸配列とを含み、該配列は、オープンリーディングフレームの3’末端に作動可能に結合し、siNA分子の発現及び/又は送達を可能にするように、開始領域、イントロン、オープンリーディングフレーム及び終結領域に作動可能に結合している。
HCVの生物学及び生化学
1989年に、C型肝炎ウイルス(HCV)は、RNAウイルスであることが判明し、大部分の非A非B型ウイルス性肝炎の病原体であると特定された(Choo et al., 1989, Science, 244, 359−362)。HIVなどのレトロウイルスと異なり、HCVは、DNA複製期を通過せず、ウイルスゲノムが宿主染色体中に組み込まれた形態は検出されていない(Houghton et al., 1991, Hepatology, 14, 381−388)。むしろ、コード(プラス)鎖の複製は、複製(マイナス)鎖の生成によって媒介され、プラス鎖HCV RNAの幾つかのコピーを生じる。ゲノムは、ポリタンパク質に翻訳される単一の大きいオープンリーディングフレームからなる(Kato et al., 1991, FEBS Letters, 280:325−328)。このポリタンパク質は、続いて翻訳後切断を受け、幾つかのウイルスタンパク質を生成する(Leinbach et al., 1994, Virology, 204:163−169)。
HCVの9.5キロベースのゲノムを調べると、ウイルス核酸が高い割合で変異し得ることが実証された(Smith et al., 1997 Mol. Evol. 45, 238−246)。この変異率は、約70%の配列同一性を共有するHCVの幾つかの異なる遺伝子型を進化させた(Simmonds et al., 1994, J. Gen. Virol. 75, 1053−1061)。これらの配列が進化的にかなり離れていることは注目に値する。例えば、ヒトとチンパンジーなどの霊長目との遺伝的同一性は約98%である。また、個々の患者におけるHCV感染は、RNAレベルで98%の同一性を有する幾つかの遠い、進化しつつある準種で構成されることが実証された。したがって、HCVゲノムは、超可変性であり、連続的に変化している。HCVゲノムは超可変性ではあるが、高度に保存されている3つのゲノム領域がある。これらの保存配列は、5’及び3’非コード領域、並びにコアタンパク質コード領域の5’末端にあり、HCV RNA複製、及びHCVポリタンパク質の翻訳に不可欠であると考えられる。したがって、これらの保存されたHCVゲノム領域を標的にした治療薬は、広範囲のHCV遺伝子型にかなりの影響を及ぼし得る。さらに、薬剤耐性が、HCVゲノムの保存領域に特異的である酵素的核酸によって生じるおそれはない。これに対し、ウイルスのプロテアーゼやヘリカーゼなどの酵素の阻害を標的にした治療様式は、薬剤耐性系統の選択をもたらす可能性がある。というのは、これらのウイルスによってコードされた酵素のRNAは、HCVゲノムの超可変部に位置するからである。
HCVに最初に暴露された後、患者は、肝酵素が過渡的に上昇する。これは、炎症過程が生じていることを示している(Alter et al., Seeff LB, Lewis JH, eds. Current Perspectives in Hepatology. New York:Plenum Medical Book Co;1989:83−89)。この肝酵素の上昇は、最初の暴露から少なくとも4週間後に生じ、最長で2か月持続し得る(Farci et al., 1991, New England Journal of Medicine. 325, 98−104)。肝酵素が上昇する前に、RT−PCR分析によって、患者の血清中のHCV RNAを検出することができる(Takahashi et al., 1993, American Journal of Gastroenterology. 88, 240−243)。疾患のこの段階は、急性期と呼ばれ、通常は検出されない。というのは、HCV感染による急性ウイルス性肝炎の患者の75%は無症候性だからである。これらの患者の残りの25%は、黄だん、又は肝炎の他の症候を生じる。
急性HCV感染は良性疾患ではあるが、血清アラニンアミノトランスフェラーゼ(ALT)レベルの持続的な上昇、及び循環HCV RNAの連続的な存在によって明らかなように、急性HCV患者の80%もが慢性肝疾患に進行する(Sherlock, 1992, Lancet, 339, 802)。慢性HCV感染症が10から20年間自然に進行すると、患者の20%から50%は肝硬変を発症する(Davis et al., 1993, Infectious Agents and Disease, 2, 150, 154)。HCV感染症から肝細胞癌への進行は詳細に記録されている(Liang et al., 1993, Hepatology. 18, 1326−1333;Tong et al., 1994, Western Journal of Medicine, 160, 133−138)。肝硬変及び/又は肝細胞癌に進行する可能性が最も高い亜集団を判定する試験はなく、したがって全患者が同じ進行のリスクを有する。
肝細胞癌と診断された患者の生存時間は、最初の診断から0.9から12.8か月にすぎないことは注目に値する(Takahashi et al., 1993, American Journal of Gastroenterology. 88, 240−243)。化学療法薬による肝細胞癌の治療が有効であることは証明されておらず、肝臓の広範な腫よう浸潤のために、患者のわずか10%しか手術の恩恵を受けていない。(Trinchet et al., 1994, Presse Medicine. 23, 831−833)。原発性肝細胞癌の悪性度が高いことを考慮すると、手術に代わる生存可能な治療は肝移植しかない(Pichlmayr et al., 1994, Hepatology. 20, 33S−40S)。
肝硬変に進行後、慢性HCV感染患者は、最初の原因にかかわらず、臨床的な肝硬変に共通した臨床的特徴を呈する(D’Amico et al., 1986, Digestive Diseases and Sciences. 31, 468−475)。これらの臨床的特徴としては、出血性食道静脈りゅう、腹水、黄だん、脳症などが挙げられる(Zakim D, Boyer TD. Hepatology a textbook of liver disease. Second Edition Volume 1. 1990 W.B. Saunders Company. Philadelphia)。肝硬変の初期には、患者は、肝組織損傷が起きてはいるが、患者の肝臓が血流中の代謝産物をまだ解毒することができる段階である、代償性に分類される。また、大部分の代償性肝疾患患者は無症候性であり、症候を呈する少数は、消化不良、脱力感などの軽い症候を示すにすぎない。肝硬変の後期では、患者は、血流中の代謝産物を解毒する肝臓の能力が低下した段階である、非代償性に分類される。上記臨床的特徴を呈するのは非代償期である。
1986年に、D’Amico等は、アルコール依存症とウイルス関連の肝硬変との両方を有する1155名の患者における臨床症状及び生存率を記述した(D’Amico(前掲))。1155名の患者のうち435名(37%)は、代償性疾患を発症したが、70%は試験開始時に無症候性であった。残りの720名の患者(63%)は、非代償性肝疾患であり、78%は腹水、31%は黄だん、17%は出血性、16%は脳症の病歴を有した。肝細胞癌は、6名(.5%)の代償性疾患患者及び30名(2.6%)の非代償性疾患患者において認められた。
6年間に、代償性肝硬変患者は、10%/年の割合で非代償性疾患の臨床的特徴を示した。ほとんどの場合、腹水が代償不全の最初の症状であった。また、肝細胞癌は、6年間の試験の終わりまでに、初期に代償性疾患を呈した59名の患者において発生した。
生存時間に関しては、D’Amicoの試験によれば、試験の全患者の5年生存率は、わずか40%であった。初期に代償性肝硬変を発症した患者の6年生存率は54%であったのに対して、初期に非代償性疾患を発症した患者の6年生存率はわずか21%であった。アルコール性肝硬変患者とウイルス関連の肝硬変患者との生存率に有意差はなかった。D’Amicoの試験における患者の死の主原因は、肝不全が49%、肝細胞癌が22%、出血性が13%であった(D’Amico(前掲))。
慢性C型肝炎は、10から20年で肝硬変、肝不全及び/又は肝細胞癌をもたらし得る、ウイルス(HCV)によって媒介される、進行の遅い肝臓の炎症性疾患である。米国では、HCV感染は、米国における急性肝炎のうち年間50,000件の新規症例の原因であると推定される(NIH Consensus Development Conference Statement on Management of Hepatitis C March 1997)。米国におけるHCVの有病率は1.8%と推定され、CDCは、慢性感染米国人の数を約450万人としている。CDCは、毎年最高10,000人が慢性HCV感染症によって死亡しているとも推定している。
慢性HCV感染症の治療にインターフェロン(IFNアルファ)を用いた多数の十分に管理された臨床試験によれば、週3回の治療によって、6か月の療法の終わりまでに患者の約50%(40%−70%)において血清ALT値が低下する(Davis et al., 1989, New England Journal of Medicine, 321, 1501−1506;Marcellin et al., 1991, Hepatology, 13, 393−397;Tong et al., 1997, Hepatology, 26, 747−754;Tong et al., 1997, Hepatology, 26, 1640−1645)。しかし、インターフェロン治療の休止後、反応のあった患者の約50%が再発し、「耐久(durable)」反応率は、血清ALT濃度の正常化によって評価して、約20−25%であった。
HCV RNAの直接測定は、分枝DNA又は逆転写酵素ポリメラーゼ連鎖反応(RT−PCR)分析によって可能である。一般に、RT−PCR法の方が感度が高く、臨床経過をより正確に評価することができる(Tong et al.(前掲))。臨床的エンドポイントとしてHCV RNA値の変化を用いた6か月間の1型インターフェロン療法を調べた試験によれば、療法の終わりまでに患者の最高35%でHCV RNAが消失した(Marcellin et al.(前掲))。しかし、ALTエンドポイントの場合と同様に、患者の約50%が療法休止後6か月以内に再発し、耐久ウイルス学的著効はわずか12%にすぎない(Marcellin et al.(前掲))。48週間の療法を調べた試験によれば、持続的ウイルス学的著効は、最高25%である(NIH consensus statement: 1997)。したがって、1型インターフェロンによる慢性HCV感染治療の標準治療は、現在、効力の一次評価としてHCV RNA濃度変化を用いた48週間の療法である(Hoofnagle et al., 1997, New England Journal of Medicine, 336, 347−356)。
1型インターフェロン治療に起因する副作用は、(1)インフルエンザ様症候、(2)神経精神医学的、(3)検査値異常、及び(4)その他の4つの一般的カテゴリーに分類することができる(Dusheiko et al., 1994, Journal of Viral Hepatitis, 1, 3−5)。インフルエンザ様症候の例としては、疲労、発熱、筋痛、倦怠感、食欲不振、頻脈、悪寒、頭痛及び関節痛が挙げられる。インフルエンザ様症候は、通常、短期間であり、投薬の最初の4週間後に軽減する傾向にある(Dushieko et al.(前掲))。神経精神医学的副作用としては、被刺激性、感情鈍麻、感情変化、不眠、認知変化、抑うつなどが挙げられる。これらの神経精神医学的副作用のうち最も重要なのは抑うつであり、うつ病の病歴がある患者には1型インターフェロンを投与すべきではない。検査値異常としては、顆粒球を含めた骨髄細胞及び血小板の減少、並びにより少ない程度にではあるが赤血球の減少などが挙げられる。これらの血球数の変化は、重大な臨床的後遺症をめったにもたらさない(Dushieko et al.(前掲))。また、トリグリセリド濃度の増加、血清アラニン及びアスパラギン酸アミノトランスフェラーゼ濃度の上昇も認められた。最後に、甲状腺異常が報告された。甲状腺異常は、通常、インターフェロン療法休止後に可逆性であり、療法中に適切な投薬によって調節することができる。その他の副作用としては、悪心、下痢、腹痛及び背痛、掻よう症、脱毛症、鼻漏などが挙げられる。一般に、ほとんどの副作用は、療法の4から8週間後に軽減する(Dushieko et al.(前掲))。
したがって、HCV遺伝子を標的にした低分子干渉核酸分子、及びHIV生涯過程に関連する細胞/宿主遺伝子標的を標的にした低分子干渉核酸分子の使用は、HCV感染症、肝不全、肝細胞癌、肝硬変、又は対象若しくは生物体におけるHCV遺伝子の調節(例えば、阻害)に応答する任意の他の疾患若しくは症状の治療及び診断に使用することができる新規治療薬の1クラスをもたらす。
(実施例)
以下は、本発明の核酸の選択、単離、合成及び活性を示す非限定的例である。
siNA構築体のタンデム合成
本発明の例示的なsiNA分子を、切断可能なリンカー、例えば、スクシニル系リンカーを用いて、タンデム合成する。本明細書に記載のタンデム合成の後に、RNAi分子を高収率で与える1段階精製工程が続く。この手法は、ハイスループットRNAiスクリーニングを支持するsiNA合成に極めて適しており、マルチカラム又はマルチウェルの合成プラットフォームに容易に適合させることができる。
5’末端ジメトキシトリチル(5’−O−DMT)基がそのまま残る(トリチルオン合成)、siNAオリゴとその相補鎖(complement)のタンデム合成が完結した後、オリゴヌクレオチドを上述のとおりに脱保護する。脱保護後、siNA配列鎖を自発的にハイブリッド形成させる。このハイブリダイゼーションによって、一方の鎖が5’−O−DMT基を保持し、相補鎖が末端5’ヒドロキシルを含む、二本鎖が生成する。新規に形成された二本鎖は、一方の分子しかジメトキシトリチル基を持たないにもかかわらず、定常的な固相抽出精製(トリチルオン精製)の間、単一の分子として挙動する。鎖は安定な二本鎖を形成するので、例えばC18カートリッジを用いて、オリゴの対を精製するのに必要であるのは、このジメトキシトリチル基(又は他のトリチル基、他の疎水性部分などの等価な基)のみである。
反転デオキシ脱塩基スクシナート、グリセリルスクシナートリンカーなどのタンデムリンカー(図1参照)、又は等価な切断可能なリンカーを導入するまでは、標準ホスホルアミダイト合成化学反応を用いる。使用可能なリンカー結合条件の非限定的例は、ブロモトリピロリジノホスホニウムヘキサフルオロホスファート(PyBrOP)などの活性化試薬の存在下での、ジイソプロピルエチルアミン(DIPA)及び/又はDMAPなどのヒンダード塩基を含む。リンカーが結合した後、標準合成化学反応を利用して、第2の配列の合成を完了し、末端5’−O−DMTをそのまま残す。合成後、生成したオリゴヌクレオチドを、本明細書に記載の手順に従って脱保護し、適切な緩衝剤、例えば、50mM NaOAc又は1.5M NHCOでクエンチする。
siNA二本鎖の精製は、例えば、アセトニトリル 1カラム体積(CV)、H2O 2CV、及び50mM NaOAc 2CVで調整したWaters C18 SepPak 1gカートリッジを用いて、固相抽出によって容易に実施することができる。試料を充填し、次いでH2O又は50mM NaOAc 1CVで洗浄する。失敗配列(failure sequence)を14%ACN(50mM NaOAc及び50mM NaClを含む水溶液)1CVで溶出させる。次いで、カラムを例えばH2O 1CVで洗浄後、例えば、1%トリフルオロ酢酸(TFA)水溶液1CVをカラムに通し、次いで1%TFA水溶液1CVをカラムに追加し、約10分間放置することによって、カラム上で脱トリチル化する。残留TFA溶液を除去し、カラムをH2O、続いて1M NaCl 1CV及び追加のH2Oで洗浄する。次いで、SiNA二本鎖生成物を、例えば20%CAN水溶液1CVを用いて、溶出させる。
図2は、精製siNA構築体のMALDI−TOF質量分析の例である。各ピークはsiNA二本鎖の個々のsiNA鎖の計算質量に対応する。同じ精製siNAは、キャピラリーゲル電気泳動(CGE)によって分析すると、3本のピークを与える。1本のピークは二本鎖siNAに対応し、2本のピークは別々のsiNA配列鎖に対応すると推定される。同じsiNA構築体(contract)のイオン交換HPLC分析では、単一のピークしか出現しない。以下のルシフェラーゼレポーターアッセイによる精製siNA構築体の試験によれば、別々に合成したオリゴヌクレオチド配列鎖から生成したsiNA構築体とRNAi活性が同じであった。
任意のRNA配列におけるsiNA標的部位候補の特定
ウイルス又はヒトmRNA転写物(例えば、GenBankアクセッション番号によって本明細書で参照する配列のいずれか)などの目的RNA標的の配列を、例えばコンピュータ折りたたみアルゴリズムによって、標的部位についてスクリーニングする。非限定的例においては、Genbankなどのデータベースから得られる遺伝子又はRNA遺伝子転写物の配列を用いて、標的に対して相補性を有するsiNA標的を作製する。かかる配列は、データベースから得ることができ、又は当分野で公知のとおりに実験的に決定することができる。既知の標的部位、例えば他の核酸分子、例えばリボザイム若しくはアンチセンスを用いた研究に基づいて有効な標的部位であると決定された標的部位を用いて、又は変異若しくは欠失を含む部位などの疾患、形質若しくは症状と関連することが知られている標的を用いて、これらの部位を標的にするsiNA分子を設計することができる。種々のパラメータを用いて、標的RNA配列内の最も適切な標的部位である部位を決定することができる。このパラメータとしては、二次又は三次RNA構造、標的配列のヌクレオチド塩基組成、標的配列の種々の領域間の相同性の程度、又はRNA転写物内の標的配列の相対位置が挙げられるが、これらだけに限定されない。この決定に基づいて、RNA転写物内の任意の数の標的部位を選択して、例えば、インビトロRNA切断アッセイ、細胞培養又は動物モデルを用いることによって、siNA分子を効力に関してスクリーニングすることができる。非限定的例においては、1から1000個の標的部位のどこでも、使用するsiNA構築体のサイズに基づいて、転写物内で選択される。標的遺伝子発現の効率的減少を求めるマルチウェル、マルチプレートアッセイなどの当分野で公知の方法を用いてsiNA分子をスクリーニングするハイスループットスクリーニングアッセイを開発することができる。
RNA中のsiNA分子標的部位の選択
以下の非限定的段階によって、所与の遺伝子配列又は転写物を標的にしたsiNAを選択することができる。
1. 標的配列をコンピュータ解析して、標的配列内に含まれる特定の長さのすべての断片又は部分配列、例えば23ヌクレオチド断片のリストを作成する。この段階は、特化されたPerlスクリプトを用いて典型的には実施されるが、Oligo、MacVector、GCG Wisconsin Packageなどの市販配列解析プログラムも同様に使用することができる。
2. siNAは、1個を超える標的配列に対応する場合もある。例えば、同じ遺伝子の異なる転写物を標的にする場合、1個を超える遺伝子の異なる転写物を標的にする場合、又はヒト遺伝子と動物相同体の両方を標的にする場合である。この場合には、特定の長さの部分配列リストを標的の各々について作成し、次いでリストを比較して、各リストにおけるマッチング配列を見つける。次いで、部分配列を、所与の部分配列を含む標的配列の数に従ってランク付けする。標的配列の大部分又はすべてに存在する部分配列を見つけることが目的である。或いは、ランク付けによって、変異標的配列など、標的配列に独特な部分配列を特定することができる。かかる手法によって、変異配列を特異的に標的にし、正常配列を発現させない、siNAの使用が可能になる。
3. siNA部分配列は、所望の標的配列には存在するが、1個以上の配列には存在しない場合もある。これは、非標的のままにすべきであるパラロガスなファミリーメンバーを有する遺伝子を、siNAが標的にする場合である。上記2の場合と同様に、特定の長さの部分配列リストを標的の各々について作成し、次いでリストを比較して、標的遺伝子中には存在するが、非標的パラログ中には存在しない配列を見つける。
4. ランク付けされたsiNA部分配列を更に解析して、GC含量に従ってランク付けすることができる。30−70%GCを含む部位が好ましく、40−60%GCを含む部位が更に好ましい。
5. ランク付けされたsiNA部分配列を更に解析して、自己折りたたみ及び内部ヘアピンに従ってランク付けすることができる。より弱い内部折りたたみが好ましく、強いヘアピン構造は回避されるべきである。
6. ランク付けされたsiNA部分配列を更に解析して、一続きのGGG又はCCCを配列中に有するか否かによってランク付けすることができる。どちらかの鎖のGGG(又は更に多いG)は、オリゴヌクレオチド合成に問題を生じるおそれがあり、RNAi活性を妨害するおそれがある。したがって、より良好な配列が利用可能であるときには常に回避される。標的鎖においてはCCCを検索する。というのは、CCCは、アンチセンス鎖ではGGGの位置にあるからである。
7. ランク付けされたsiNA部分配列を更に解析して、ジヌクレオチドUU(ウリジンジヌクレオチド)を配列の3’末端に有するか否か、及び/又は(アンチセンス配列に3’UUを生ずる)AAを配列の5’末端に有するか否かによって、ランク付けすることができる。これらの配列によって、末端TTチミジンジヌクレオチドを有するsiNA分子の設計が可能になる。
8. ランク付けされた上記部分配列リストから4又は5個の標的部位を選択する。次いで、例えば、23ヌクレオチドを有する部分配列において、選択した各23量体部分配列の右側の21ヌクレオチドをsiNA二本鎖の上側(センス)鎖用に設計して、合成し、次いで、選択した各23量体部分配列の左側の21ヌクレオチドの逆相補鎖(reverse complement)をsiNA二本鎖の下側(アンチセンス)鎖用に設計して、合成する(表II参照)。(パラグラフ7に記載したように)末端TT残基が配列にとって望ましい場合には、オリゴを合成する前に、センス鎖とアンチセンス鎖の両方の2個の3’末端ヌクレオチドをTTで置換する。
9. siNA分子をインビトロの細胞培養又は動物モデル系においてスクリーニングして、標的RNA配列内の最も活性なsiNA分子、又は最も好ましい標的部位を特定する。
10. 標的核酸配列を選択するときには、別の設計考慮事項を使用することができる。例えば、Reynolds et al., 2004, Nature Biotechnology Advanced Online Publication, 1 February 2004, doi:10.1038/nbt936及びUi−Tei et al., 2004, Nucleic Acids Research, 32, doi:10.1093/nar/gkh247を参照されたい。
代替手法においては、標的配列に特異的であるsiNA構築体のプールを用いて、培養したジャーカット、HeLa、A549、293T細胞など、標的RNAを発現する細胞中の標的部位についてスクリーニングする。この手法に用いる一般戦略を図9に示す。標的RNAを発現する細胞にsiNA構築体のプールを移入し、標的阻害に関連した表現型を示す細胞を選別する。siNA構築体のプールは、適切なベクターに挿入された転写カセットから発現され得る(例えば、図7及び図8参照)。表現型のポジティブな変化(例えば、増殖の減少、標的mRNAレベルの低下、又は標的タンパク質発現の減少)を示す細胞から得られたSiNAの配列を決定して、標的標的RNA配列内の最も適切な標的部位を求める。
一実施形態においては、本発明のsiNA分子を以下の方法によって選択する。以下の指針を編集して、本明細書に記載の化学修飾を含む異常に活性なsiNAを予測した。これらの規則は、幾つかの異なる標的に対して異常に活性な(標的mRNAレベルの>75%ノックダウン)siNAと不活性な(標的mRNAレベルの<75%ノックダウン)siNAとの比較解析から明らかになった。合計242個のsiNA配列を解析した。242個のsiNAのうち35個のsiNAは異常に活性なグループに分類され、残りのsiNAは不活性なグループに分類された。異常に活性なsiNAは、siNA配列内の特定のヌクレオチド位置におけるある種の塩基に明らかに選択的であった。例えば、A又はU核酸塩基は、異常に活性なsiNA中のセンス鎖の19位に圧倒的に存在し、不活性siNAでは逆であった。センス鎖の15−19位間のA/Uリッチ(5塩基のうち3塩基がA又はU)領域、及び1−5位間のG/Cリッチ領域(5塩基のうち3塩基がG又はC)のパターンも異常に活性なsiNA中に存在した。表VIIに示すように、異常に活性なsiNAに特徴的であるかかる12パターンを特定した。すべてのパターンが、異常に活性な各siNA中に存在するとは限らないことに留意されたい。したがって、異常に活性なsiNAを予測するアルゴリズムを設計するために、各パターンに対して異なるスコアを割り当てた。異常に活性なsiNAと不活性siNAにおいてかかるパターンが出現する頻度に応じて、設計パラメータにスコアを割り当てた。10が最高であった。ある種の核酸塩基がある位置において好ましくない場合には、負のスコアを割り当てた。例えば、センス鎖の9及び13位において、Gヌクレオチドは、異常に活性なsiNAにおいて好ましくなく、したがって−3(マイナス3)のスコアを割り当てた。各パターンに対する示差的なスコアを表VIIに示す。パターン#4は、最大スコアの−100であった。これは、主に、一続きの4G又は4Cが合成に極めて不適合であり、配列を自己凝集させて、siNAを不活性にし得るので、一続きの4G又は4Cを含む配列を除去するためである。このアルゴリズムを用いて、任意のsiNAに可能な最高スコアは66である。妥当なサイズ(約1000ヌクレオチド)の任意の所与の標的に対して可能なsiNA配列は多数あるので、このアルゴリズムは異常に活性なsiNAを作製するのに有用である。
一実施形態においては、表VIIに示す規則1−11を用いて、本発明の活性なsiNA分子を作製する。別の実施形態においては、表VIIに示す規則1−12を用いて、本発明の活性なsiNA分子を作製する。
siNAの設計
siNA標的部位は、上記実施例3に記載した規則に基づいて、又は折りたたみ(標的へのsiNAの到達性を求めるために解析された任意の所与の配列の構造)に基づいて、標的配列を解析し、標的部位に優先順位を場合によっては付けることによって選択され、又は実施例3に記載したsiNA分子のライブラリーを用いることによって選択され、又は本明細書の実施例6に記載するインビトロsiNA系を用いることによって選択された。各標的に結合し得るsiNA分子を設計した。siNA分子を、上記アルゴリズムによって選択し、場合によっては、コンピュータ折りたたみによって個々に解析して、siNA分子が標的配列と相互作用し得るか否かを判断する。siNA分子の長さを変更して、活性を最適化するように選択することができる。一般に、標的RNAと結合又は相互作用するのに十分な数の相補ヌクレオチド塩基を選択するが、相補性の程度は、siNA二本鎖又は種々の長さ又は塩基組成に適応するように調節することができる。かかる方法によって、任意の既知のRNA配列内、例えば、任意の遺伝子転写物に対応するRNA配列内の部位を標的にするようにsiNA分子を設計することができる。
標的配列を解析して、二本鎖siNAを設計する元になる標的を作製する(表II)。合成siNA構築体を作製するために、実施例3に記載のアルゴリズムを利用して、活性な二本鎖構築体及びその化学修飾二本鎖構築体を選択する。例えば、表IIにおいて、siNA二本鎖の上側(センス鎖)及び下側(アンチセンス鎖)と一緒に標的配列を示す。異なる標的配列間の相同部位(例えば、相同性を共有した約5から約15ヌクレオチド領域)を探索し、非標準塩基対(例えばG:Uゆらぎ塩基対形成)又は塩基対のミスマッチを考慮することによって、多官能siNAを設計する。
RNAi活性媒介能力を維持しながら、インビボでの全身投与のためのヌクレアーゼ安定性及び/又は改善された薬物動態学、局在化及び送達特性を備えるように、化学修飾siNA構築体を本明細書に記載のとおりに設計した(例えば、表III参照)。本明細書に記載の化学修飾を、本明細書に記載する合成方法、及び当分野で一般に公知である合成方法によって、合成的に導入する。次いで、合成siNA構築体のヌクレアーゼ安定性を、血清及び/又は細胞/組織抽出物(例えば、肝臓抽出物)中で評価する。合成siNA構築体のRNAi活性も、本明細書に記載のルシフェラーゼレポーターアッセイ、RNAi活性を定量することができる別の適切なアッセイなどの適切なアッセイによって、並行して試験する。ヌクレアーゼ安定性とRNAi活性の両方を有する合成siNA構築体を更に修飾して、安定性及び活性のアッセイにおいて再評価することができる。次いで、安定化された活性siNA構築体の化学修飾を、任意の選択RNAを標的にする任意のsiNA配列に適用して、例えば標的スクリーニングアッセイに用いて、創薬のためのリードsiNA化合物を選択することができる(例えば、図11参照)。
siNAの化学合成、精製及び分析
siNA分子は、RNAメッセージ中の種々の部位、例えば、本明細書に記載のRNA配列内の標的配列と相互作用するように設計することができる。siNA分子の一方の鎖の配列は、上記標的部位配列に相補的である。siNA分子は、本明細書に記載の方法によって化学合成することができる。対照配列として用いられる不活性siNA分子は、siNA分子の配列を標的配列に相補的でないようにスクランブルすることによって、合成することができる。一般に、siNA構築体は、本明細書に記載の固相オリゴヌクレオチド合成方法によって合成することができる(例えば、参照によりその全体を本明細書に組込む、Usman他、米国特許第5,804,683号、同5,831,071号、同5,998,203号、同6,117,657号、同6,353,098号、同6,362,323号、同6,437,117号、同6,469,158号、Scaringe他、米国特許第6,111,086号、同6,008,400号、同6,111,086号参照)。
非限定的例においては、RNAオリゴヌクレオチドを、当分野で公知のホスホルアミダイト化学反応によって段階的に合成する。標準的なホスホルアミダイト化学反応は、5’−O−ジメトキシトリチル、2’−O−tert−ブチルジメチルシリル、3’−O−2−シアノエチルN,N−ジイソプロピルホスホルアミダイト基及び環外アミン保護基(例えば、N6−ベンゾイルアデノシン、N4 アセチルシチジン及びN2−イソブチリルグアノシン)のいずれかを含むヌクレオシドを使用する。或いは、Scaringe(前掲)によって記述されたとおりに、2’−O−シリルエーテルを酸に不安定な2’−O−オルトエステル保護基と一緒に、RNAの合成に使用することができる。異なる2’化学反応は異なる保護基を必要とすることがあり、例えば、2’−デオキシ−2’−アミノヌクレオシドは、参照によりその全体を本明細書に組込む、Usman他、米国特許第5,631,360号に記載のN−フタロイル保護を利用することができる。
固相合成中に、各ヌクレオチドを、固体支持体に結合したオリゴヌクレオチドに(3’から5’方向に)順次付加させる。鎖の3’末端の第1のヌクレオシドを、種々のリンカーによって固体支持体(例えば、controlled pore glass又はポリスチレン)に共有結合させる。ヌクレオチド前駆体、リボヌクレオシドホスホルアミダイト及び活性化物質を混合して、第1のヌクレオシドの5’末端に第2のヌクレオシドホスホルアミダイトを結合させる。次いで、支持体を洗浄し、未反応5’ヒドロキシル基を無水酢酸などのキャッピング試薬を用いてキャッピングして、不活性5’アセチル部分を得る。次いで、三価のリン結合を酸化して、より安定なリン酸結合にする。ヌクレオチド付加サイクルの最後に、5’−O−保護基を適切な条件下(例えば、トリチル系の基については酸性条件、シリル系の基についてはフッ化物)で切断する。後続の各ヌクレオチドについてこのサイクルを繰り返す。
合成条件を変更して、例えば、合成すべきsiNAの特定の化学組成に応じて、異なるカップリング時間、異なる試薬/ホスホルアミダイト濃度、異なる接触時間、異なる固体支持体及び固体支持体リンカー化学反応を用いることによって、カップリング効率を最適化することができる。siNAの脱保護及び精製は、一般に、参照によりその全体を本明細書に組込むUsman他、米国特許第5,831,071号、同6,353,098号、同6,437,117号、及びBellon他、米国特許第6,054,576号、同6,162,909号、同6,303,773号、又はScaringe(前掲)に記載のとおりに実施することができる。さらに、脱保護条件を変更して、siNA構築体の可能な最高の収率及び純度を得ることができる。例えば、出願人は、2’−デオキシ−2’−フルオロヌクレオチドを含むオリゴヌクレオチドが不適当な脱保護条件下で分解し得ることを認めた。かかるオリゴヌクレオチドは、メチルアミン水溶液を用いて、約35℃で30分間脱保護される。2’−デオキシ−2’−フルオロ含有オリゴヌクレオチドがリボヌクレオチドも含む場合には、メチルアミン水溶液で約35℃で30分間脱保護した後、TEA−HFを添加して、反応物(reaction)を約65℃で更に15分間維持する。siNAの脱保護された一本鎖を、陰イオン交換によって精製して、高収率を維持しながら、高純度を得る。siNA二本鎖分子を形成するために、一本鎖を食塩水中で等モル比で混合して、二本鎖を形成する。二本鎖siNAを濃縮し、クロスフロー(tangential)ろ過によって脱塩した後、凍結乾燥する。
siN組成物の製造
非限定的例においては、各siN組成物について、siNAの2本の個々の相補鎖を固相合成によって別々に合成し、次いでイオン交換クロマトグラフィーによって別々に精製する。相補鎖をアニールして、二重鎖(二本鎖)を形成する。次いで、二本鎖を限外ろ過し、凍結乾燥させて、固体siN組成物(例えば、薬剤組成物)を形成する。製造プロセスの非限定的例を表VIIIの流れ図に示す。
固相合成
Amersham Pharmacia AKTA Oligopilot(例えば、Oligopilot又はOligopilot 100 plus)などの自動固相合成装置を用いて一本鎖オリゴヌクレオチドをホスホルアミダイト化学反応によって合成する。調節可能な合成カラムに、第1のヌクレオシド残基を用いて誘導体化された固体担体を充填する。酸に不安定な5’−O−ジメトキシトリチル基を脱トリチル化して、5’−ヒドロキシルを遊離させることによって合成を開始する。アセトニトリル中のホスホルアミダイト及び適切な活性化物質を合成カラムに同時に送達させて、アミダイトを5’−ヒドロキシルと結合させる。次いで、カラムをアセトニトリルで洗浄する。ヨウ素をカラムにポンプで注入して、亜リン酸トリエステル結合P(III)をそのリン酸トリエステルP(V)類似体に酸化する。未反応5’−ヒドロキシル基を、無水酢酸などの試薬を用いて、2,6−ルチジン及びN−メチルイミダゾールの存在下でキャップする。次のホスホルアミダイトの組み入れのための脱トリチル化段階によって伸長サイクルを再開する。所望の配列が合成されるまで、このプロセスを繰り返す。合成の最後に末端ジメトキシトリチル基を除去する。
切断及び脱保護
合成終了後、固体支持体及び結合したオリゴヌクレオチドをフィルター漏斗に移し、減圧乾燥させ、反応器に移す。塩基水溶液を添加し、混合物を加熱して、スクシニル結合を切断し、シアノエチルリン酸保護基を除去し、環外アミン保護を脱保護する。
以下のプロセスを、リボヌクレオチドを含まない一本鎖上で実施する。すなわち、固体担体を塩基水溶液で処理した後、混合物を減圧ろ過して、脱保護された粗製合成材料から固体担体を分離する。次いで、固体担体を水でリンスし、その水をろ液と混合する。得られた塩基性溶液を酸で中和して、粗製一本鎖の溶液を得る。
以下のプロセスを、リボヌクレオチドを含む一本鎖上で実施する。すなわち、固体担体を塩基水溶液で処理した後、混合物を減圧ろ過して、脱保護された粗製合成材料から固体担体を分離する。次いで、固体担体をジメチルスルホキシド(DMSO)でリンスし、そのDMSOをろ液と混合する。混合物を冷却し、トリエチルアミン三フッ化水素酸塩などのフッ化物試薬を添加し、溶液を加熱する。反応物を適切な緩衝剤でクエンチして、粗製一本鎖の溶液を得る。
陰イオン交換精製
各粗製一本鎖の溶液をクロマトグラフィー精製によって精製する。生成物を適切な緩衝剤勾配によって溶出させる。画分を密閉無菌容器に収集し、HPLCによって分析し、適切な画分を混合して生成物のプールを得る。このプールの純度(HPLC)、アイデンティティ(HPLC)及び濃度(UV A260)を分析する。
アニーリング
生成物のプールの分析に基づいて、(理論吸光係数を用いて計算した)等モル量のセンス及びアンチセンスオリゴヌクレオチド鎖を反応器に移す。溶液を混合し、二本鎖の純度をクロマトグラフィー法によって分析する。分析によってどちらかの鎖が過剰であることが判明した場合、二本鎖形成(duplexing)が完結するまで追加の非過剰の鎖を滴定する。分析によって標的生成物純度に達したことを確認し、濃縮・脱塩用のクロスフロー(tangential flow)ろ過(TFF)システムに材料を移送する。
限外ろ過
アニールした生成物溶液を、適切な分子量カットオフ膜を備えたTFFシステムによって濃縮する。濃縮後、生成物溶液を、注射用水品質の水(WFI quality water)を用いた透析ろ過によって、ろ液の伝導率が水の伝導率になるまで脱塩する。
凍結乾燥
濃縮溶液を棚状凍結乾燥器中の無菌トレーに移す。次いで、生成物を凍結乾燥させて粉末にする。トレーを凍結乾燥器から取り出し、包装用のクラス100 Laminar Air Flow(LAF)フードに移す。
薬物物質の包装
凍結乾燥生成物を含む凍結乾燥器トレーをクラス100 LAFフード中で開ける。生成物を適切なサイズの無菌容器に移し、次いで密封し、標識する。
薬物物質容器密封システム
凍結乾燥薬物物質のバルクを無菌キャップの付いた無菌ナルゲン容器に詰める。使用する瓶のサイズは、その中に入れる材料の量によって決まる。充填後、各瓶をポリエチレンテープで更に密封する。
分析法及び仕様
原材料及び製造過程の方法
原材料を同定した後、薬物物質製造プロセスに導入する。薬物物質分子に組み入れる重要な原材料を、純度試験又はアッセイ試験によって、適宜、更に試験する。製造過程の試料を、製造プロセスの重要な制御ポイントにおいて試験して、最終薬物物質の品質をモニターし、保証する。
薬物物質分析法及び仕様
オリゴヌクレオチドの分析法及び受入れ基準を採用する規則(Controls)を確立した後に、バルクsiN組成物の臨床試験を実施する。以下の試験方法及び受入れ基準は、これらの規則の例を反映している。表IXに、siNA薬剤組成物の材料仕様例を要約する。
分析法の概要
同定(ID)試験
IDオリゴヌクレオチド主ピーク:薬物物質をクロマトグラフィー法によって同定する。この測定に用いるデータをHPLC試験方法の1つによって作成する(純度試験参照)。薬物物質試料と標準注射のピーク保持時間を比較する。薬物物質の同定は、主ピーク保持時間を好適に比較することによって裏づけられる。
分子量:薬物物質を分光学的方法によって同定する。酢酸アンモニウム水溶液を用いた沈殿によって、分析用の薬物物質試料を調製する。薬物物質の分子量を質量分析法によって測定する。試験を、理論分子量から得られる設定原子質量単位数内で制御する。
融解温度:この方法によって、二本鎖薬物の融解温度(Tm)を測定して薬物物質の同定を裏づける。溶液試料を加熱しながら、溶液の紫外(UV)吸光度をモニターする。吸光度は、二本鎖が一本鎖に解離することによって増加するので、Tmは、吸光度曲線の変曲点によって示される。
アッセイ試験
オリゴヌクレオチド含量:このアッセイによって、薬物物質中の総オリゴヌクレオチド含量を測定する。オリゴヌクレオチドは、極大値260nmのUV光を吸収する。存在するオリゴヌクレオチド種は、残留一本鎖を含めて、二本鎖siRNA生成物、及び製造プロセスから得られる他の副次的な関連オリゴヌクレオチド物質からなる。薬物物質試料を正確に計量し、溶解させ、体積測定によって水で希釈する。吸光度を、UV分光光度計を用いて石英セル中で測定する。総オリゴヌクレオチドアッセイ値を、実験によって測定された実用標準(working standard)のモル吸光係数を用いて計算し、固体薬物物質1ミリグラム当たりのナトリウムオリゴヌクレオチドのマイクログラム単位で記録する。
純度試験:1つ以上のクロマトグラフィー法によって純度を測定する。存在する薬物物質の核酸類似体の分離及び数に応じて、直交分離(orthogonal separation)法によってAPIの純度をモニターすることができる。分離は、以下の手段によって実施することができる。
SAX−HPLC:オリゴヌクレオチドリン酸ジエステルと分離用緩衝塩勾配を用いた強陰イオン交換HPLCカラムとのイオン交換相互作用。
RP−HPLC:緩衝剤水溶液と有機溶媒との分離用勾配を用いた疎水性逆相HPLCカラムと、オリゴヌクレオチドとの分配相互作用。
キャピラリーゲル電気泳動(CGE):ゲル充填キャピラリー内の緩衝液中での分子ふるいによる電気泳動的分離。分離は、電場をかけると起こり、陰イオン性オリゴヌクレオチドは、ゲルマトリックスを通って移動する際に分子サイズによって分離される。すべての分離方法において、ピークは、オリゴヌクレオチド長の順で一般に溶出し、260nmのUVによって検出される。
他の試験
物理的外観:薬物物質試料を目視検査する。この試験によって、材料が凍結乾燥固体の特性を有することを判定し、固体の色を確認し、可視汚染物質が存在するかどうかを判定する。
菌体内毒素試験:菌体内毒素試験は、96ウェルプレートにおいて比濁時間分析法を用いたカブトガニの血球抽出成分(Limulus Amebocyte Lysate)(LAL)アッセイによって実施される。賦形剤と混合したときに、投与した薬物製品中の内毒素の1日当たりの許容限界を超えないように、薬物物質に対する内毒素の限界を適切に設定する。
好気性生物汚染度(Aerobic bioburden):好気性生物汚染度は、USP<61>章に基づく方法を用いて、契約した検査室によって実施される。
アセトニトリル含量:残留アセトニトリル分析は、契約した検査室によってガスクロマトグラフィー(GC)を用いて実施される。幾つかの他の有機試薬を合成に使用するものの、アセトニトリルは、上流の合成段階に用いられる主要な有機溶媒である。それに続く精製プロセス段階によって、薬物物質中の溶媒が典型的には除去される。他の溶媒は、プロセス開発作業(process development work)の結果に応じてモニターすることができる。溶媒をICH限界内に制限する。
含水量:固体エバポレーター装置(オーブン)を用いた体積測定カールフィッシャー(KF)滴定によって含水量を測定する。水は、典型的には、組成物の数重量パーセントとして核酸薬物物質中に存在し、したがって、モニターされる。
pH:水で戻した薬物物質のpHをモニターして、ヒトの注射に確実に適するようにする。
イオン含量:ナトリウム、塩化物及びホスファートの試験は、契約した検査室によって標準原子吸光及びイオンクロマトグラフィー法を用いて実施される。イオンの一般的モニタリングを実施して、薬物物質を組み入れた薬物製品の重量オスモル濃度が確実に生理学的許容範囲内にあるようにする。
金属含量:関係する金属の試験は、契約した検査室によって、標準の分析方法である誘導結合プラズマ(ICP)分光法を用いて実施される。
siNA活性を評価するRNAiインビトロアッセイ
RNAiを無細胞系において再現する(recapitulate)インビトロアッセイによって、標的RNA標的を標的にするsiNA構築体を評価する。このアッセイは、標的RNAを用いた使用に適合させた、Tuschl et al., 1999, Genes and Development, 13, 3191−3197及びZamore et al., 2000, Cell, 101, 25−33に記載の系を含む。シンシチウム胚盤葉に由来するショウジョウバエ抽出物を用いて、RNAi活性をインビトロで再構成する。標的RNAは、T7 RNAポリメラーゼを用いて適切な標的発現プラスミドからインビトロで転写することによって、又は本明細書に記載の化学合成によって、作製される。センスとアンチセンスの各siNA鎖(例えば、各20uM)を、(100mM酢酸カリウム、30mM HEPES−KOH、pH7.4、2mM酢酸マグネシウムなどの)緩衝剤中で90℃で1分間、続いて37℃で1時間インキュベートすることによってアニールし、次いで溶解緩衝剤(例えば、100mM酢酸カリウム、pH7.4の30mM HEPES−KOH、2mM酢酸マグネシウム)で希釈する。アガロースゲル上でTBE緩衝剤を用いてゲル電気泳動させ、臭化エチジウムで染色することによって、アニーリングをモニターすることができる。酵母菌を入れた(yeasted)糖蜜寒天上に収集し、じゅう毛膜を除去し、溶解させた、Oregon Rハエ由来の0から2時間齢の胚を用いて、ショウジョウバエ溶解物を調製する。この溶解物を遠心分離し、上清を単離する。アッセイは、50%溶解物[vol/vol]と、RNA(最終濃度10−50pM)と、siNA(最終濃度10nM)含有10%[vol/vol]溶解緩衝剤とを含有する反応混合物を含む。反応混合物は、10mMクレアチンリン酸、10ug/mlクレアチンホスホキナーゼ、100um GTP、100uM UTP、100uM CTP、500uM ATP、5mM DTT、0.1U/uL RNasin(Promega)及び各アミノ酸100uMも含む。酢酸カリウムの最終濃度を100mMに調節する。反応物を氷上で前もって集め、25℃で10分間プレインキュベートした後、RNAを添加し、次いで25℃で更に60分間インキュベートする。反応物を1.25×Passive Lysis Buffer(Promega)4体積でクエンチする。標的RNAの切断をRT−PCR分析、又は当分野で公知の他の方法によって評価し、siNAが反応から省略されている対照反応と比較する。
或いは、アッセイ用に内部標識した標的RNAを、[アルファ−32P]CTPの存在下でのインビトロ転写によって調製し、スピンクロマトグラフィーによってG50 Sephadexカラムに通し、更に精製せずに標的RNAとして用いる。場合によっては、標的RNAを、T4ポリヌクレオチドキナーゼ酵素を用いて5’−32P末端標識してもよい。アッセイを上述のとおりに実施し、標的RNA、及びRNAiによって生成する特定のRNA切断産物をゲルのオートラジオグラフ上で可視化する。切断割合は、完全な対照RNA、又はsiNAのない対照反応から得られたRNA、及びアッセイによって生成した切断産物の各バンドをPHOSPHOR IMAGER(登録商標)(オートラジオグラフィー)で定量することによって、求められる。
一実施形態においては、このアッセイによって、siNAによって媒介されるRNAi切断のための標的RNA標的中の標的部位を決定する。ここで、例えば、標識した標的RNAの電気泳動によりアッセイ反応を分析することによって、又はノーザンブロット法によって、また、当分野で周知である他の方法によって、RNAiによって媒介される標的RNA標的の切断について、複数のsiNA構築体をスクリーニングする。
HCV標的RNAのインビボでの核酸阻害
ヒトHCV RNAを標的にしたsiNA分子を、上述したとおりに設計し、合成する。これらの核酸分子のインビボでの切断活性を、例えば、以下の手順によって試験することができる。HCV RNA内の標的配列及びヌクレオチドの位置を表II及びIIIに示す。
2つの形式によって、HCVを標的にするsiNAの効力を試験する。まず、試薬を、例えばヒト肝細胞癌(Huh7)細胞を用いて、細胞培養において試験して、RNA及びタンパク質の阻害の程度を求める。siNA試薬(例えば、表II及びIII参照)を、本明細書に記載のHCV標的に対して選択する。適切な移入剤を用いてこれらの試薬を、例えば、培養した表皮角化細胞に送達した後に、RNA阻害を測定する。アクチンに対する標的RNAの相対量を、増幅のリアルタイムPCRモニタリング(例えば、ABI 7700 TAQMAN(登録商標))によって測定する。無関係な標的に対して作製された各オリゴヌクレオチド配列の混合物を比較し、又は同じ全長及び化学的性質を有するが、各位置で無作為に置換された無作為化siNA対照を比較する。一次及び二次リード試薬を標的に対して選択し、最適化を実施する。最適な移入剤濃度を選択後、RNAの経時阻害をリードsiNA分子を用いて実施する。また、細胞プレーティング形式を用いて、RNA阻害を求めることができる。
また、細胞プレーティング形式を用いて、RNA阻害を求めることができる。このシステムは、参照により本明細書に組込む、Rice他、米国特許第5,874,565号及び同6,127,116号に記載されている。
細胞へのsiNAの送達
HCVサブゲノムレプリコンClone A又はAva.5を安定に移入したHuh7b細胞を、例えば、96ウェルプレートの1ウェル当たり8.5×10細胞で、DMEM(Gibco)中に移入前日に播種する。siNA(最終濃度、例えば25nM)と陽イオン性脂質Lipofectamine2000(例えば、最終濃度0.5ul/ウェル)を、ポリプロピレン(polypropelyne)ミクロチューブ中のOptimem(Gibco)中で37℃で20分間複合化する。ボルテックス撹拌後、複合化したsiNAを各ウェルに添加し、24−72時間インキュベートする。
TAQMAN(登録商標)(増幅のリアルタイムPCRモニタリング)及びLightcyclerによるmRNAの定量
siNA送達後、例えば、6ウェルアッセイ用Qiagen RNA精製キット又は96ウェルアッセイ用Rneasy抽出キットを用いて、細胞から全RNAを調製する。TAQMAN(登録商標)分析(増幅のリアルタイムPCRモニタリング)の場合、5’末端に共有結合したレポーター色素FAM又はJOE、及び3’末端に結合したクエンチャー色素TAMRAを用いて、二重標識プローブを合成する。1段階RT−PCR増幅は、例えば、ABI PRISM 7700 Sequence Detectorを用い、全RNA 10μl、100nMフォワードプライマー、900nMリバースプライマー、100nMプローブ、1×TaqMan PCR反応緩衝剤(PE−Applied Biosystems)、5.5mM MgCl、300μMの各dATP、dCTP、dGTP及びdTTP、10U RNase阻害剤(Promega)、1.25U AMPLITAQ GOLD(登録商標)(DNAポリメラーゼ)(PE−Applied Biosystems)及び10U M−MLV逆転写酵素(Promega)からなる反応物50μlを用いて実施される。温度サイクル条件は、48℃30分間、95℃10分間、続いて95℃15秒間と60℃1分間を40サイクルからなり得る。mRNAレベルを、段階希釈した全細胞RNA(300、100、33、11ng/反応)から作製した標準に対して定量し、並行したTAQMAN(登録商標)反応(増幅のリアルタイムPCRモニタリング)におけるβアクチン又はGAPDH mRNAに対して標準化する。各目的遺伝子について、上側プライマーと下側プライマー及び蛍光標識プローブを設計する。特定のPCR産物へのSYBR Green I色素の実時間取り込みは、ガラスキャピラリー管中でlightcylerを用いて測定することができる。各プライマー対に対する検量線を、対照cRNAを用いて作成する。値は、各試料におけるGAPDHに対する相対発現として表される。
ウエスタンブロット法
siNA送達後、例えば、大規模抽出用Ambion Rnaqueous 4−PCR精製キット、又は96ウェルアッセイ用Ambion Rnaqueous−96精製キットを用いて、全RNAを細胞から調製する。Taqman分析の場合、例えば、5’末端に共有結合したレポーター色素FAM又はVIC、及び3’末端に抱合されたクエンチャー色素TAMARAを用いて、二重標識プローブを合成する。1段階RT−PCR増幅は、例えば、ABI PRISM 7700 Sequence Detectorを用い、全RNA 10ul、100nMフォワードプライマー、100nMリバースプライマー、100nMプローブ、1×TaqMan PCR反応緩衝剤(PE−Applied Biosystems)、5.5mM MgCl2、100uMの各dATP、dCTP、dGTP及びdTTP、0.2U RNase阻害剤(Promega)、0.025U AmpliTaq Gold(PE−Applied Biosystems)及び0.2U M−MLV逆転写酵素(Promega)からなる反応物50ulを用いて実施される。温度サイクル条件は、48℃30分間、95℃10分間、続いて95℃15秒間と60℃1分間を40サイクルからなり得る。標的mRNAレベルを、段階希釈した全細胞RNA(300、100、30、10ng/rxn)から作製した標準に対して定量し、例えば、並行した、又は同じ管のTaqMan反応における36B4 mRNAに対して標準化する。HCVレプリコンmRNAの定量化の場合、ネオマイシン遺伝子に特異的であるPCRプライマー及びプローブを使用した。
ネオフォワード(neo−forward)プライマー、5’−CCGGCTACCTGCCCATTC−3’;(配列番号2150)
ネオリバース(neo−reverse)プライマー、5’−CCAGATCATCCTGATCGACAAG−3’;(配列番号2151)
ネオプローブ(neo−probe)、5’FAM−ACATCGCATCGAGCGAGCACGTAC−TAMARA3’;(配列番号2152)
標準化用に36B4 PCRプライマー及びプローブを用いた。
36B4−フォワードプライマー、5’−TCTATCATCAACGGGTACAAACGA−3’;(配列番号2153)
36B4リバースプライマー、5’−CTTTTCAGCAAGTGGGAAGGTG−3’;(配列番号2154)
36B4プローブ、5’VIC−CCTGGCCTTGTCTGTGGAGACGGATTA−TAMARA3’;(配列番号2155)
HCV遺伝子発現の下方制御の評価に有用であるモデル
細胞培養
細胞培養によるHCVの複製の報告はあるが(下記参照)、これらのシステムは再現が困難であり、信頼できないことが証明された。したがって、インターフェロン、リバビリンなどの他の抗HCV治療法の開発の場合と同様に、動物試験における安全性が実証された後に、本出願人は臨床的な実行可能性調査に直接進むことができる。
幾つかの最近の報告は、ヒト細胞系におけるHCVのインビトロでの成長を記述している(Mizutani et al., Biochem Biophys Res Commun 1996 227(3):822−826;Tagawa et al., Journal of Gasteroenterology and Hepatology 1995 10(5):523−527;Cribier et al., Journal of General Virology 76(10):2485−2491;Seipp et al., Journal of General Virology 1997 78(10)2467−2478;Iacovacci et al., Research Virology 1997 148(2):147−151;Iocavacci et al., Hepatology 1997 26(5) 1328−1337;Ito et al., Journal of General Virology 1996 77(5):1043−1054;Nakajima et al., Journal of Virology 1996 70(5):3325−3329;Mizutani et al., Journal of Virology 1996 70(10):7219−7223;Valli et al., Res Virol 1995 146(4):285−288;Kato et al., Biochem Biophys Res Comm 1995 206(3):863−869)。HCVの複製は、T及びB細胞系、並びにヒト肝細胞に由来する細胞系において報告されている。RT−PCRに基づくアッセイ又はb−DNAアッセイを用いた低レベル複製の検出が記述されている。HCV細胞培養に関する最も最近の刊行物が最高6か月間の複製を記述していることは注目に値する。しかし、これらの細胞系において観察されるHCV複製レベルは、抗ウイルス性化合物のスクリーニングに十分なほど堅牢ではない。
HCVに感染し得る細胞系に加えて、幾つかのグループは、完全長又は部分的なHCVゲノムのcDNAクローンを用いて、細胞系の形質転換に成功したと報告している(Harada et al., Journal of General Virology, 1995, 76(5)1215−1221;Haramatsu et al., Journal of Viral Hepatitis 1997 4S(1):61−67;Dash et al., American Journal of Pathology 1997 151(2):363−373;Mizuno et al., Gasteroenterology 1995 109(6):1933−40;Yoo et al., Journal Of Virology 1995 69(1):32−38)。
ヒト肝細胞癌細胞系Huh7において首尾よく複製することができるサブゲノムHCV RNAレプリコンの最近の開発は、信頼できる細胞培養モデルに向けた意義深い進歩である。これらのレプリコンは、HCV非構造遺伝子の上流のネオマイシン遺伝子を含み、Huh7細胞における複製RNAの選択が可能である。当初、RNA複製の検出は低頻度であったが(Lohmann et al. Science 1999 285:110−113)、細胞に適応性のある変異をNS5A領域に有するレプリコンが特定されて、複製効率が10,000倍向上した(Blight et al. Science 2000 290:1972−1975)。翻訳、タンパク質プロセシング、RNA複製などのHCV生活環における各段階は、サブゲノムレプリコン系において再現されるが、初期の現象(ウイルスの付着及び脱外被)及びウイルスの組立てが欠如している。レプリコン内にHCVの構造遺伝子が含まれる結果、HCVコア及びエンベロープタンパク質が生成されるが、ウイルスの組立ては起こらない(Pietschmann et al. Journal of Virology 2002 76:4008−4021)。かかるレプリコン系は、siRNAによって媒介されるHCV RNAの阻害を試験するのに使用される。例えば、Randall et al., 2003, PNAS USA, 100, 235−240を参照されたい。
幾つかの細胞培養系においては、陽イオン性脂質は、培養細胞に対するオリゴヌクレオチドの生物学的利用能を高めることが示された(Bennet, et al., 1992, Mol. Pharmacology, 41, 1023−1033)。一実施形態においては、本発明のsiNA分子を細胞培養実験用に陽イオン性脂質と複合化する。siNAと陽イオン性脂質の混合物を、細胞に添加する直前に、無血清DMEM中で調製する。DMEMと添加剤を室温(約20−25℃)に加温し、陽イオン性脂質を所望の最終濃度まで添加し、溶液を短時間ボルテックス撹拌する。siNA分子を所望の最終濃度まで添加し、溶液を再度、短時間ボルテックス撹拌し、室温で10分間インキュベートする。10分間のインキュベーション後、用量反応実験では、RNA/脂質複合体をDMEM中に段階希釈する。
動物モデル
抗HCV剤の効力を動物モデルで評価することは、ヒト臨床試験に対する重要な必要条件である。HCV感染に対して特性が最も明らかな動物系はチンパンジーである。さらに、HCV感染に起因する慢性肝炎は、チンパンジーとヒトで極めて類似している。臨床的には関連しているが、チンパンジーモデルは、このモデルの使用を困難にする幾つかの実用上の障害がある。この障害としては、価格が高いこと、長時間のほ育が必要なこと、動物の数が不十分なことなどが挙げられる。これらの要因のために、幾つかのグループは、C型慢性肝炎感染症のげっ歯類モデルを開発しようとしている。直接感染はまだ可能ではないが、幾つかのグループは、HCVゲノム全体又は一部をげっ歯類に安定に移入したことを報告している(Yamamoto et al., Hepatology 1995 22(3):847−855;Galun et al., Journal of Infectious Disease 1995 172(1):25−30;Koike et al., Journal of general Virology 1995 76(12)3031−3038;Pasquinelli et al., Hepatology 1997 25(3):719−727;Hayashi et al., Princess Takamatsu Symp 1995 25:1430149;Mariya et al., Journal of General Virology 1997 78(7) 1527−1531;Takehara et al., Hepatology 1995 21(3):746−751;Kawamura et al., Hepatology 1997 25(4):1014−1021)。また、HCV感染したヒトの肝臓を免疫無防備状態のマウスに移植すると、動物の血液中にHCV RNAが長期間検出される。
C型肝炎ウイルスをインビボ動物モデルで発現させる方法が開発された(Vierling、国際公開第99/16307号)。HCVに感染した生存可能なヒト肝細胞をscid/scidマウス宿主の肝実質に移植する。次いで、scid/scidマウス宿主を生存可能な状態で維持する。それによって、生存可能な形態学的に無傷のヒト肝細胞がドナー組織中で存続し、存続するヒト肝細胞中でC型肝炎ウイルスが複製される。このモデルは、酵素的核酸によるインビボでのHCV阻害の有効な試験手段である。
したがって、これらのモデルを用いて、本発明のsiNA分子のHCV発現阻害効力を評価することができる。これらのモデル及び他のモデルを同様に用いて、本発明のsiNA分子の安全性及び効力を前臨床環境で評価することができる。
RNAiによって媒介される標的遺伝子発現の阻害
インビトロでsiNAによって媒介される標的RNAの阻害
siNA構築体(表III)のHCV RNA発現抑制効力を、例えばHuh7細胞において試験する。移入の時点で細胞が70−90%コンフルエントであるように、移入の約24時間前に、96ウェルプレートに5,000−7,500細胞/ウェル、100μl/ウェルで細胞を蒔く。移入のために、アニールしたsiNAを体積50μl/ウェルの移入試薬(Lipofectamine 2000、Invitrogen)と混合し、室温で20分間インキュベートする。siNA移入混合物を細胞に添加して、体積150μl中の最終siNA濃度を25nMとする。各siNA移入混合物を、3つ組のsiNA処理用に3個のウェルに添加する。siNA移入混合物が連続して存在する下で、細胞を37°で24時間インキュベートする。24時間後、処理細胞の各ウェルからRNAを調製する。移入混合物を含む上清をまず取り出して廃棄し、次いで細胞を溶解させ、各ウェルからRNAを調製する。処理後の標的遺伝子発現を、標的遺伝子及び標準化用対照遺伝子(36B4、RNAポリメラーゼサブユニット)についてRT−PCRによって評価する。3つ組データを平均し、標準偏差を各処理について求める。標準化したデータをグラフにし、活性siNAによる標的mRNAの減少割合を、それぞれの逆対照(inverted control)siNAと比較して求める。
マモセットにおけるsiNA分子の評価
GBV−Bは、ヒトC型肝炎ウイルスに極めて密接に関係し、タマリン及びマモセットにおいて肝炎を起こす。したがって、GBV−Bは、HCV感染症に対する抗ウイルス性化合物及びワクチンを試験するための小動物モデルとなる。この試験によって、HCV RNA部位293及び316を標的にしたLNP調合二本鎖siNA分子の効力を試験した。GBV−Bモデルは、この療法が、HCVに慢性的に感染したヒトに対して作用する可能性があるかどうかを試験するための優れた系である。
試験では、2匹の動物にGBV−Bを接種し、3mg/kgの活性調合siNA(Sirna Compound Nos.33149/47677及び31703/38756、Formulation LNP−086;表III及びVI参照)を用いたIV治療を感染翌日に開始した。活性組成物を2005年11月15日に出願された米国仮出願第60/737,024号に記載のとおりに処方した。別の2匹の動物にGBV−Bを接種し、無処置の負の対照とした。動物をモニターして、GBV−B感染療法の効果を判定した。試験の間に採血してウイルス力価を測定した。処置動物における調合siNAの投薬を、第0日の接種後1、3及び7日に繰り返した。これらの動物は、無処置の対照動物と比較して、著明なGBV−B阻害を3週間示す(図30参照)。また、GBV感染症の定着した動物を、感染後28、31及び35日に活性調合siNA(Sirna Compound Nos.33149/47677及び31703/38756、Formulation LNP−086;表III及びVI参照)で処理した。この動物は、履歴的に(historic)無処置の対照と比較して、活性化合物の投薬後に、ウイルス力価が検出限界まで減少した(図31参照)。
チンパンジーにおけるsiNA分子の評価
この試験によって、HCV感染チンパンジーにおける二本鎖核酸抗ウイルス性調合物のC型肝炎ウイルス(HCV)複製抑制能力を評価する。化合物調合物は、HCVウイルスゲノム向けのsiNAを含み、RNA干渉によるウイルスRNAの分解を媒介する。化合物をIV投与する。使用するチンパンジーをHCV慢性動物群から選択する。試験を、薬物動態学と効力の二相で実施する。
試験の薬物動態学の部分を2匹の非HCV感染動物で実施する。血液試料を0、15分、30分、24時間、並びに第3、7及び14日に得る。肝臓生検を24時間及び第14日に得る。効力は、2匹以上のHCV感染チンパンジーにおいて抗ウイルス性化合物を試験する必要がある。
動物に抗ウイルス性siNA調合物のIV注射を毎週4回行う。血液試料を第−4、−2及び0週、次いで6週間毎週、次いで更に4週間隔週で得る。肝臓生検を−4週及び+4週に得る(最後の注射から1週間後)。血液及び組織試料採取スケジュールを下に示す。動物の血液化学及びCBCを全採血時にモニターする。重大な有害作用の徴候があった場合には、処理を中止する。各動物に対して、血清中のウイルスRNAレベルをモニターするのに合計11個の血液試料が必要である。肝臓の針生検は、肝臓におけるウイルスRNA量、肝臓を標的にしたsiNA化合物レベル、siNAによって誘導されるウイルスRNA分解生成物の存在、及び肝臓遺伝子発現の変化の分析のために2つの時点で必要である。ウイルスRNAを実時間TaqMan定量RT−PCRによってモニターする。血清試料を2つ組で抽出し、四つ組で操作する。肝臓RNAレベルを2つ組で操作する。
2匹の非感染チンパンジーにおけるSINA PK試験スケジュール
Figure 2009520039
血液、Lanford Lab.向け1×SST管。凍結1ml一定分量に加工。
凍結生検。
2匹のHCV慢性チンパンジーにおけるSINA効力試験スケジュール
Figure 2009520039
血液、Lanford Lab.向け2×SST管。凍結1ml一定分量に加工。
凍結生検。半分に分割。ウイルスRNA用にRNAzolを用いてRNAの半分を加工。
インターフェロン未処置及び処置の慢性HCV感染患者における、SIRNA−AV34の単回及び複数回投与の安全性、耐容性、PK、PD及び抗ウイルス効果
この試験の主目的は、HCV陽性患者におけるSirna−034の単回及び複数回投与のMTDを確立することである。二次的な目的は、Sirna−034の単回投与及び定常状態薬物動態学を評価すること、Sirna−034の単回及び複数回投与の薬力学を評価すること、並びにウイルス複製及び感染力の各指数に対するSirna−034の単回及び複数回投与の効果を評価することである。
これは、慢性C型肝炎感染症及び代償性肝機能の患者における、Sirna−034の第I/II相無作為二重盲検プラセボ対照、単回及び複数回投与漸増試験である。適格性判定基準を満足する患者は、試験のSAD部のための連続した4−6グループに登録される。各患者は、治療投与のために臨床研究ユニットに入院し、研究者によって更なる集中モニタリングが必要であると考えられない限り、投薬から36時間後に退院する。患者は、更に5日間毎日来院し、投薬後30日間、SAEについての経過観察の電話を受ける。用量漸増は、先行グループの安全性パラメータ(理学的検査所見、生命徴候、有害事象及び検査値)に依存する。
SADフェーズについてのスクリーニング時には、患者は、血清化学、血液学、凝固パラメータ、血清ベータHCG(女性のみ)、HIV抗体状態、HBsAg、アルファフェトプロテイン、定量的HCVウイルスRNA及びHCV遺伝子型同定の評価のためにしゃ血し、尿検査用の尿を提供する。治療期中に、臨床検査室(化学的性質、血液学、凝固パラメータ及び尿検査)を投薬前(pre−dose)、並びに投薬から24時間、3日及び6日後に評価する。ECGを投薬前、並びに投薬から4−6時間及び6日後に評価する。理学的検査を投薬前、及び投薬から6日後に実施する。PK分析用血清試料を投薬前、並びに投薬から30分、1、2、3、4、6、8、12、24及び36時間、2、3、4、5及び6日後に収集する。ウイルスRNA、及びウイルス感染価の潜在的な別のマーカーの評価を投薬前、並びに投薬から1、2、3、4、5及び6日後に実施する。
忍容性が良好であるSirna−034の投与によって、ウイルス量が約90%減少することを測定した後に、患者は試験のMAD部に登録される。MADフェーズに参加するために選択された、試験のSAD部からの患者は、間欠期履歴(interval history)、理学的検査、臨床検査室評価及び定量的HCVウイルスRNAからなる一部の再スクリーニングを受ける。新しい登録者は、上記SADフェーズで概説した全部の再スクリーニングを受ける。毎週1回の投与計画に登録された患者は、最後の投薬から7日後、試験場所を毎週4回訪れ、最後の投薬から30日後、SAEについての電話を受ける。隔週投与計画に無作為化された患者は、試験場所を2回訪れ、類似の治療後経過観察を受ける。用量漸増は、先行グループの安全性パラメータ(理学的検査所見、生命徴候、有害事象及び検査値)に依存する。
MAD治療期中に、臨床検査室(化学的性質、血液学、凝固パラメータ及び尿検査)を各投薬前、及び最後の投薬から7日後に評価する。ECGを最初の投薬前、及び最後の投薬から7日後に評価する。理学的検査を投薬前、最後の投薬後、及び最後の投薬から7日後に実施する。PK分析用血清試料を投薬前、最初の投薬から2、4、8、12及び24時間、それに続く各投薬前、並びに最後の投薬から2、4、8、12、24時間及び7日後に収集する。ウイルスRNA、及びウイルス感染価の潜在的な別のマーカーの評価を最初の投薬前、次いで最後の投薬から最高7日後まで毎週実施する。
診断、及び算入/除外の主な判定基準:
妊娠の可能性のない男性及び女性;18から60歳;HCV陽性;スクリーニング時、及び過去6か月以内に更に1回、ALTが高いこと;HIV陰性;HBsAg陰性;正常なPT、PTT、ヘモグロビン、ビリルビン、アルブミン及びアルファフェトプロテイン;血小板数>100K;肝疾患の他の既知の原因がないこと;インターフェロン未処置、インターフェロン後再発又はインターフェロン非応答者。
投与量及び投与方法:
IV注射液、Sirna−034 0.1から10mg/ml。試験のSAD部の場合、開始用量はTBDであるが、4週間のサル毒物学試験から得られたNOAELの1/50と推定される。用量をMTDまで増大。試験のMAD部の場合、ウイルス量の90%減少をもたらす単回投与は、単回投与として忍容性が良好であれば、毎週又は隔週×4週投薬される連続コホートに投与される。
患者参加期間/試験期間/治療期間:
SAD期間の場合、治療期間は、1−14日のスクリーニング期間、1日の治療と36時間の入院患者観察、更に5日の外来患者観察、及び(電話による)30日のSAE経過観察からなる42日(範囲、38から49)である。MADフェーズ中、同じ患者、及び必要に応じて新規に補充した患者は、0−14日のスクリーニング期間、4週間の治療期間、7日の経過観察期間、及び(電話による)30日のSAE経過観察からなる72日間(範囲、65から79)の治療を受ける。その結果、試験の両方のフェーズに登録された患者の参加期間は、試験のSAD部とMAD部の間の介在期間を除いて、最高128日になり得る。
基準療法、投与量及び投与方法:
プラセボは、IV注射液として処方され、Sirna−034と外観が同じである。
評価判定基準
効力及び薬力学については、HCVウイルスRNAを、場合によってはHCVキャプシドタンパク質プロセシング又はウイルス感染価の新規生物学的マーカーと一緒に、評価する。安全性については、生命徴候、有害事象、標準臨床検査及び理学的検査をモニターする。
統計学的方法
有害事象の発生率、徴候、症候、ECGパラメータ及び検査所見;ECGパラメータ及び検査値、PK及びPDパラメータの変化の記述統計;並びにウイルス量、複製及び感染力の測定値の探索的分析。
臨床計画(Clinical Plan)の主目的は、標的プロファイル(TP)を支援し、登録の要件を満たすように、慢性C型肝炎に対する可能な治療として、Sirna−034の安全性及び効力を評価することである。計画全体における試験対象の総数は、約1200名である。
このSirna−034用CPは、TPが正しいことを証明し、慢性C型肝炎治療としての登録の規制要件を満たすように設計される。最初の主張は、Sirna−034が、代償性(compensate)肝疾患を有し、PEGインターフェロン及びリバビリンに応答しない18歳以上の患者において、PEGインターフェロン及びリバビリンと組み合わせて、慢性C型肝炎治療に必要であることである。
以前に治療を受けた、又は未治療の代償性の慢性C型肝炎患者における第I/II相用量漸増試験によって、複数回投与(毎週増加する用量で4週間、又は2週間ごとに4週間)の安全性、化合物に対する全身暴露の程度を確立し、血清HCV RNA分析によって有効な単独療法としての「機序の証明」(1−2 logの減少)を確立する。
この後、PEGインターフェロン及びリバビリンに応答しない、臨床的に活性なC型肝炎患者における、PEGインターフェロン及びリバビリンと組み合わせた公式の第II相用量設定試験が続く。48週試験によって、毎週投与されるSirna−034との3剤併用の安全性、有効性及びPKのデータが得られる。
第III相試験は、効力の証拠を確認し、化合物の更なる安全性データを提供する無作為化プラセボ対照試験である。2つの枢要な無作為化プラセボ対照多国籍第III相試験は、効力を確認し、登録を支持する安全性データを提供するように設計される。主要評価項目は、48週の治療後の24週におけるものであり、検出不可能なHCV RNA、及びALTの正常化によって表される。登録時には、1200名を超える患者がSirna−034に暴露されたことになる。
Sirna−034は、HCV複製を阻害する可能性を有する、2個のSirna二本鎖からなる改変抗HCV siNAである(LNP−086として調合された、Sirna Compound Nos. 33149/47677及び31703/38756、(配列番号1796/2102及び1677/2103)。LNP−086は、モル比43/38/10/2/7のCLinDMA/DSPC/コレステロール/PEG−DMG/リノレイルアルコールからなる。表III及びVI参照)。Sirna−034は、HCV mRNA部位293及び316を標的にする。Sirna−034は、従来の療法(PEGインターフェロンとリバビリン)に対する患者の全体的な症候性反応を改善すると予想され、HCV感染によって引き起こされる能力障害、病的状態及び死亡のリスクに対する対象の感受性を安全に最小化する最良の機会を提供する。
適応症
HCV研究における多数の知見によれば、研究、診断及び治療に使用するために、HCV活性の評価方法、及びHCV発現を調節することができる化合物が必要である。本明細書に記載するとおり、本発明の核酸分子は、HCVレベルに関係した病態を診断するアッセイに使用することができる。また、本発明の核酸分子は、HCVレベルに関係した病態の治療に使用することができる。
HCV発現の調節に関連し得る特定の変性状態及び病態としては、HCV感染症、肝不全、肝細胞癌、肝硬変、及び/又はHCV感染に関連した他の病態が挙げられるが、これらだけに限定されない。
インターフェロン
インターフェロンは、本明細書に記載の疾患及び/又は症状を治療するために、本発明のsiNA分子と併用することができる化合物の1クラスの非限定的例である。I型インターフェロン(IFN)は、25を超えるIFN−α(Pesta, 1986, Methods Enzymol. 119, 3−14)並びにIFN−β及びIFN−ωのファミリーを含む天然サイトカインの1クラスである。同じ遺伝子に進化的に由来するが(Diaz et al., 1994, Genomics 22, 540−552)、これらの分子の一次配列には多数の相違があり、生物活性における進化的分岐を暗示している。すべてのI型IFNは、IFNが細胞表面受容体に結合することから始まる生物学的効果の共通のパターンを共有する(Pfeffer & Strulovici, 1992, Transmembrane secondary messengers for IFN−α/β. In:Interferon. Principles and Medical Applications., S. Baron, D.H. Coopenhaver, F. Dianzani, W.R. Fleischmann Jr., T.K. Hughes Jr., G.R. Kimpel, D.W. Niesel, G.J. Stanton, and S.K. Tyring, eds. 151−160)。結合に続いて、ヤヌスチロシンキナーゼを含めたチロシンキナーゼ及びSTATタンパク質が活性化され、IFNによって誘導される幾つかの遺伝子産物が産生される(Johnson et al., 1994, Sci. Am. 270, 68−75)。IFNによって誘導される遺伝子産物は、抗ウイルス性、抗増殖性及び免疫調節性効果、サイトカインの誘導、並びにHLAクラスI及びクラスIIの調節を含めて、I型IFNの多面的な生物学的効果の原因である(Pestka et al., 1987, Annu. Rev. Biochem 56, 727)。IFNによって誘導される遺伝子産物の例としては、2−5−オリゴアデニル酸合成酵素(2−5 OAS)、β2−ミクログロブリン、ネオプトリン、p68キナーゼ及びMxタンパク質が挙げられる(Chebath & Revel, 1992, The 2−5 A system:2−5 A synthetase, isospecies and functions. In:Interferon. Principles and Medical Applications, S. Baron, D.H. Coopenhaver, F. Dianzani, W.R. Jr. Fleischmann, T.K. Jr Hughes, G.R. Kimpel, D.W. Niesel, G.J. Stanton, and S.K. Tyring, eds., pp.225−236;Samuel, 1992, The RNA−dependent P1/eIF−2a protein kinase. In:Interferon. Principles and Medical Applications. S. Baron, D.H. Coopenhaver, F. Dianzani, W.R. Fleischmann Jr., T.K. Hughes Jr., G.R. Kimpel, D.W. Niesel, G.H. Stanton, and S.K. Tyring, eds. 237−250;Horisberger, 1992, MX protein:function and Mechanism of Action. In:Interferon. Principles and Medical Applications. S. Baron, D.H. Coopenhaver, F. Dianzani, W.R. Fleischmann Jr., T.K. Hughes Jr., G.R. Kimpel, D.W. Niesel, G.H. Stanton, and S.K. Tyring, eds. 215−224)。すべてのI型IFNは類似した生物学的効果を有するが、すべての活性が各I型IFNによって共有されるわけではなく、多くの場合において、活性度は、各IFNサブタイプでかなり実質的に変動する(Fish et al., 1989, J. Interferon Res. 9, 97−114;Ozes et al., 1992, J. Interferon Res. 12, 55−59)。より具体的には、IFN−αの異なるサブタイプ、及びIFN−αの分子ハイブリッドの諸性質についての研究によれば、薬理的諸性質には違いがある(Rubinstein, 1987, J. Interferon Res. 7, 545−551)。これらの薬理的相違は、わずか3個のアミノ酸残基の変化から生じ得る(Lee et al., 1982, Cancer Res. 42, 1312−1316)。
公知のIFN−αサブタイプでは、85から166個のアミノ酸が保存されている。IFN−α偽遺伝子を除いて、約25の公知の異なるIFN−αサブタイプがある。これらの非対立性サブタイプを対ごとに比較すると、一次配列の違いは、2%から23%の範囲である。天然IFNに加えて、コンセンサスインターフェロン(CIFN)として知られる非天然組換えI型インターフェロンが治療化合物として合成された(Tong et al., 1997, Hepatology 26, 747−754)。
インターフェロンは、現在、感染症、自己免疫疾患及び癌を含めて少なくとも12種類の適応症に使用されている(Borden, 1992, N. Engl. J. Med. 326, 1491−1492)。自己免疫疾患の場合、IFNは、リウマチ様関節炎、多発性硬化症及びクローン病の治療に利用されている。癌治療の場合、IFNは、単独で、又は幾つかの異なる化合物と組み合わせて使用されている。IFNが使用される特定の癌タイプとしては、へん平上皮癌、黒色腫、副腎腫、血管腫、有毛細胞白血病、カポジ肉腫などが挙げられる。感染症の治療においては、IFNは、マクロファージの食作用、及びリンパ球の細胞傷害性を増大させ、細胞病原体の増殖を阻害する。IFNが治療に使用される具体的適応症としては、B型肝炎、6及び11型ヒトパピローマウイルス(すなわち、陰部ゆうぜい)(Leventhal et al., 1991, N Engl J Med 325, 613−617)、慢性肉芽腫症、C型肝炎ウイルスなどが挙げられる。
慢性HCV感染症の治療にIFNアルファを用いた多数の十分に管理された臨床試験によれば、週3回の治療によって、6か月の療法の終わりまでに患者の約50%(40%−70%の範囲)において血清ALT値が低下する(Davis et al., 1989, N. Engl. J. Med. 321, 1501−1506;Marcellin et al., 1991, Hepatology, 13, 393−397;Tong et al., 1997, Hepatology, 26, 747−754;Tong et al., Hepatology, 26, 1640−1645)。しかし、インターフェロン治療の休止後、反応のあった患者の約50%が再発し、「耐久(durable)」反応率は、血清ALT濃度の正常化によって評価して、約20から25%であった。また、臨床的エンドポイントとしてHCV RNA値の変化を用いた1型インターフェロン療法の6か月間を調べた試験によれば、療法の終わりまでに患者の最高35%でHCV RNAが消失した(Tong et al., 1997(前掲))。しかし、ALTエンドポイントの場合と同様に、患者の約50%が療法休止後6か月で再発し、耐久ウイルス学的著効はわずか12%にすぎない(23)。48週間の療法を調べた試験によれば、持続的ウイルス学的著効は、最高25%である。
PEG化インターフェロン、すなわち、ポリエチレングリコール(PEG)と抱合されたインターフェロンは、インターフェロンよりも諸特性が改善された。PEG抱合によって受ける利点としては、PEGのないインターフェロンよりも薬物動態プロファイルが改善され、したがって投与計画がより好都合になり、耐性が改善され、抗ウイルス効力が向上することが挙げられる。かかる改善は、ポリエチレングリコールインターフェロンアルファ2a(PEGASYS、Roche)とポリエチレングリコールインターフェロンアルファ2b(VTRAFERON PEG、PEG−INTRON、Enzon/Schering Plough)の両方の臨床試験で実証された。
インターフェロン及びポリエチレングリコールインターフェロンと組み合わせたsiNA分子は、HCV、又は上で考察した他の適応症のいずれかの治療の有効性を改善し得る。HCV感染に関連するRNAを標的にしたsiNA分子は、個々に、又はインターフェロン、ポリエチレングリコールインターフェロンなどの他の療法と組み合わせて、使用することができ、高い効力を得ることができる。
多官能siNAによる標的RNA発現の阻害
多官能siNAの設計
多官能siNA構築体に対する標的部位を特定した後、異なる標的核酸配列に相補的である、例えば約18から約28ヌクレオチド長の、相補領域を有するsiNAの各鎖を設計する。標的配列に相補的でないが、他方の配列の相補領域に対する相補性を含む、約4から約22ヌクレオチドの隣接するフランキング領域を有する各相補領域を設計する(例えば、図16参照)。ヘアピン構築体を同様に設計することができる(例えば、図17参照)。異なる標的核酸配列間で共有される相補的な回文構造又は反復配列を特定することによって、多官能siNA構築体の全長を短縮することができる(例えば、図18及び19参照)。
非限定的例においては、単一のsiNA分子によって複数の標的をサイレンシングし得る別の多官能siNA設計の3つの追加のカテゴリーが存在する。第1の方法は、リンカーを利用して、siNA(又は多官能siNA)を直接連結する。これによって、インターフェロン応答を誘発し得る一連の長鎖RNAを生成せずに、最も強力なsiNAを連結することができる。第2の方法は、重複した、又は連結された、多官能設計のデンドリマー的な伸長、或いは超分子形式のsiNAの組織化である。第3の方法は、30塩基対を超えるヘリックス長を利用する。これらのsiNAのダイサーによるプロセシングによって、新しい活性5’アンチセンス末端が出現する。したがって、長鎖siNAは、元の5’末端によって規定される部位、及びダイサープロセシングによって作製される新しい末端によって規定される部位を標的にすることができる。(センス鎖とアンチセンス鎖が標的を各々規定する)伝統的な多官能siNAと併用すると、この手法を用いて、例えば4個以上の部位を標的にすることができる。
I. 繋留(tethered)二官能性siNA
基本的な考え方は、2本のアンチセンスsiNA鎖が単一のセンス鎖にアニールされる多官能siNAの設計に対する新規な取組である。センス鎖オリゴヌクレオチドは、リンカー(例えば、本明細書に記載の非ヌクレオチド(nulcoetide)リンカー)と、アンチセンスsiNA鎖にアニールされる2個のセグメントを含む(図22参照)。リンカーは、ヌクレオチド系リンカーを含んでいてもよい。この手法の幾つかの潜在的利点及び変形としては、これらだけに限定されないが、以下のものが挙げられる。
1. 2個のアンチセンスsiNAは独立している。したがって、標的部位の選択は、2個の部位間の配列保存の要件によって束縛されない。任意の2個の高活性siNAを組み合わせて、多官能siNAを形成することができる。
2. 相同性を有する標的部位と併用するときには、2個の遺伝子(例えば、異なるアイソフォーム)中に存在する配列を標的にするsiNA、この設計を用いて、2個を超える部位を標的にすることができる。例えば、単一の多官能siNAを用いて、2個の異なる標的RNAのRNAを標的にすることができる。
3. センス鎖とアンチセンス鎖の両方を使用して1個の遺伝子を標的にする多官能siNAも、繋留多官能設計に組み入れることができる。これによって、6個以上の部位を単一の複合体で標的にする可能性が残される。
4. 2個を超えるアンチセンス鎖siNAを単一の繋留センス鎖にアニールすることができる。
5. この設計は、一連の長鎖dsRNAの生成を防止する。したがって、インターフェロン応答を惹起する可能性は低い。
6. リンカー(又は本明細書に記載の抱合体など、リンカーに結合した修飾)は、複合体の薬物動態学的諸性質を改善し、又はリポソームへの複合体の取り込みを改善する。リンカーに導入された修飾は、siNAに直接結合した場合と同じ程度に、siNA活性に影響を及ぼすべきではない(例えば、図27及び28参照)。
7. センス鎖は、アニールされたアンチセンス鎖を越えて伸長して、抱合体が結合するための追加の部位を与え得る。
8. 複合体の極性は、アンチセンス3’末端の両方がリンカーに隣接し、5’末端がリンカーの遠位にあるように、又はその組合せになるように、転換することができる。
デンドリマー及び超分子siNA
デンドリマーsiNA手法においては、siNAの合成は、デンドリマーテンプレートをまず合成することによって開始され、続いて種々の官能性siNAが結合する。種々の構築体を図23に示す。結合し得る官能性siNAの数は、使用するデンドリマーの寸法によってのみ限定される。
多官能siNAに対する超分子手法
超分子形式は、デンドリマー合成の難題を簡単にする。この形式では、siNA鎖は、標準のRNA化学反応と、それに続く種々の相補鎖のアニーリングによって合成される。個々の鎖の合成は、5’末端における1個のsiNAのアンチセンスセンス配列、続いて核酸リンカー又はヘキサエチレングリコール(hexaethyleneglyol)などの合成リンカー、続いて別のsiNAの5’から3’方向のセンス鎖を含む。したがって、siNA鎖の合成は、標準の3’から5’方向に実施することができる。三官能及び四官能siNAの代表例を図24に示す。種々の鎖が効率的にアニールされる限り、類似の原理に基づいて、より高い官能性のsiNA構築体を設計することができる。
ダイサーを使用可能な多官能siNA
複数の標的の生物情報学的解析によって、異なる標的配列間で共有される、約2から約14ヌクレオチド長の一連の同一配列を特定することができる。ダイサーによるプロセシングによって、第2の機能的5’アンチセンス部位が出現するように、これらの同一領域を設計して、長鎖siNAヘリックス(例えば、>30塩基対)にすることができる(例えば、図25参照)。例えば、siNAアンチセンス鎖(例えば、3’−TTオーバーハングを有する二本鎖中の21ヌクレオチド鎖)の最初の17ヌクレオチドが標的RNAに相補的であるときには、25nMで頑強なサイレンシングが認められた。同形式の16ヌクレオチドのみの相補性によって80%のサイレンシングが認められた。
約30から40又はそれを超える塩基対のsiNAの設計にこの性質を組み入れることによって、更に別の多官能siNA構築体が得られる。図25の例は、30塩基対二本鎖が、Dicer−RNaseIIIによるプロセシング後に、3個の異なる配列を標的にし得る方法を示す。これらの配列は、ウイルス及び宿主因子メッセージ、所与の経路(例えば、炎症性カスケード)に沿った複数のポイントなど、同じmRNA上、又は別々のRNA上に存在し得る。また、40塩基対の二本鎖は、二官能性設計を直列に組み合わせて、4個の標的配列を標的にする単一の二本鎖を与え得る。更に大規模な手法は、1個の多官能二本鎖で5又は6個の標的をサイレンシングし得る相同配列の使用を含み得る。図25の例は、その達成方法を示している。30塩基対の二本鎖は、ダイサーによってどちらかの末端から22と8塩基対の生成物に開裂する(8b.p.断片は示さず。)。見やすくするために、ダイサーによって作製されるオーバーハングを示していない(しかし、埋め合わせられ得る。)3個のターゲティング配列を示す。重複した必要な配列同一性を灰色の枠で示す。親の30b.p.siNAの各Nは、安定化された化学反応で試験した場合にダイサー切断を可能にする2’−OH位置の示唆される部位である。Dicer RNase IIIによる30量体二本鎖のプロセシングは、正確な22+8開裂を与えず、一連の密接に関係した生成物を生成することに留意されたい(22+8は主要な部位である。)。したがって、ダイサーによるプロセシングによって、一連の活性なsiNAが生成する。別の非限定的例を図26に示す。40塩基対の二本鎖は、ダイサーによって、一方の末端から20塩基対の生成物に開裂する。見やすくするために、ダイサーによって作製されるオーバーハングを示していない(しかし、埋め合わせられ得る。)4個のターゲティング配列を4色、すなわち、青色、淡青色、赤色及びオレンジ色で示す。重複した必要な配列同一性を灰色の枠で示す。この設計形式は、より大きなRNAに拡張することができる。化学的に安定化されたsiNAがダイサーによって結合する場合には、戦略的に配置されたリボヌクレオチド結合によって、本発明者らの多官能性設計のより広範なレパートリーを可能にする切断産物の設計が可能になり得る。例えば、約22ヌクレオチドのダイサー標準に限定されない切断産物は、例えば、約3から約15ヌクレオチドの標的配列同一性重複を有する多官能siNA構築体を可能にし得る。
診断用途
本発明のsiNA分子は、種々の応用分野、例えば、臨床、工業、環境、農業及び/又は研究の場面における分子標的(例えば、RNA)の特定などの種々の診断用途に使用することができる。siNA分子のかかる診断上の使用は、再構成されたRNAi系の利用、例えば、細胞溶解物、又はある程度精製された細胞溶解物の使用を含む。本発明のsiNA分子を診断ツールとして用いて、疾患細胞内の遺伝的浮動及び変異を検査することができ、又は細胞における内因性若しくは外因性の、例えばウイルス性の、RNAの存在を検出することができる。siNA活性と標的RNA構造との密接な関係によって、分子の任意の領域において、標的RNAの塩基対形成及び3次元構造を変化させる変異を検出することができる。本発明に記載の複数のsiNA分子を使用することによって、インビトロ並びに細胞及び組織におけるRNAの構造及び機能に重要であるヌクレオチド変化をマッピングすることができる。siNA分子を用いて標的RNAを切断することによって、遺伝子発現を阻害し、疾患又は感染の進行における特定の遺伝子産物の役割を規定することができる。このようにして、他の遺伝子標的を疾患の重要な媒介物質として規定することができる。これらの実験は、併用療法(例えば、異なる遺伝子を標的にする複数のsiNA分子、公知の小分子阻害剤と組み合わせたsiNA分子、又は組合せsiNA分子及び/又は他の化学若しくは生体分子を用いた間欠的治療)が可能になることによって、疾患進行のより良好な治療につながる。本発明のsiNA分子の他のインビトロでの使用は、当分野でよく知られており、疾患、感染、又は関係する症状に関連するmRNAの存在の検出を含む。かかるRNAは、siNAで処理した後、標準の方法、例えば蛍光共鳴発光移動(fluorescence resonance emission transfer)を用いて、切断産物の存在を判定することによって検出される。
特定の例においては、標的RNAの野生型又は変異型のみを切断するsiNA分子をアッセイに使用する。第1のsiNA分子(すなわち、標的RNAの野生型のみを切断するsiNA分子)を用いて、試料中に存在する野生型RNAを特定し、第2のsiNA分子(すなわち、標的RNAの変異型のみを切断するsiNA分子)を用いて、試料中の変異型RNAを特定する。反応対照として、野生型と変異型の両方のRNAの合成基質を両方のsiNA分子によって切断して、反応における相対siNA効率、及び「非標的」RNA種の切断が存在しないことを実証する。合成基質からの切断産物は、試料集団中の野生型及び変異型RNAの分析のためのサイズマーカーの作製にも役立つ。したがって、各分析は2種類のsiNA分子、2種類の基質、及び1種類の未知試料を必要とし、これらを組み合わせて6つの反応物にする。各RNAの完全長及び切断断片をポリアクリルアミドゲルの1レーンで分析できるように、切断産物の存在をRNase保護アッセイによって判定する。標的細胞における変異RNAの発現、及び所望の表現型の変化の推定されるリスクを洞察するために、結果を定量することが絶対に必要というわけではない。タンパク質産物が表現型(すなわち、疾患に関係する表現型、又は感染に関係する表現型)の発生に関係しているmRNAの発現は、リスクを築くのに十分である。比活性の類似したプローブを両方の転写物に使用する場合には、RNAレベルの定性的比較が適切であり、初期診断コストを削減する。RNAレベルを定性的に比較しても、定量的に比較しても、変異型と野生型の比率が高いほど、リスクは高くなる。
本明細書で言及するすべての特許及び刊行物は、本発明が属する分野の当業者の技術レベルを示している。この開示において引用するすべての参考文献を、各参考文献を参照によりその全体を個々に組込む場合と同じ程度に、参照により本明細書に組込む。
当業者は、本発明が、その目的を実行して、記載した結果及び効果、並びに本発明に固有の結果及び効果を得るのに、十分に適合していることを容易に理解するはずである。好ましい実施形態の現時点での代表として本明細書に記載する方法及び組成物は、例示的なものであって、本発明の範囲を限定するものではない。本明細書に記載する方法及び組成物の変更、並びに他の用途が当業者に生起するはずであるが、それらは、本発明の精神に包含され、特許請求の範囲によって規定される。
本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、本明細書に開示する本発明に種々の置換及び改変をなし得ることを、当業者は容易に理解できるはずである。すなわち、かかる追加の実施形態は、本発明及び以下の特許請求の範囲の範囲内である。本発明は、RNAi活性を媒介する、活性の改善された核酸構築体を作製するために、本明細書に記載する化学修飾の種々の組合せ及び/又は置換を試験することを当業者に教示する。かかる活性の改善は、安定性の改善、生物学的利用能の改善、及び/又はRNAiを媒介する細胞応答の活性化の改善を含み得る。したがって、本明細書に記載する特定の実施形態は限定的なものではなく、RNAi活性が改善されたsiNA分子を特定するために、本明細書に記載する修飾の特定の組合せを過度の実験なしに試験し得ることを当業者は容易に理解することができる。
本明細書に説明的に記載される本発明は、本明細書に具体的に開示しない任意の1つ以上の要素、制約の非存在下で適切に実施し得る。使用した用語及び表現は、説明の用語として使用され、限定的な用語ではない。かかる用語及び表現の使用においては、示した、また、記述した特徴又はその一部の任意の等価物を除外することを意図したものではない。そうではなく、特許請求する本発明の範囲内で種々の改変が可能であることを認識されたい。かくして、本発明を好ましい実施形態、必須でない特徴によって具体的に開示したが、本明細書で開示する概念の改変及び変形が当業者によってなされ得るものであり、かかる改変及び変形は、明細書本文及び添付の特許請求の範囲に規定された本発明の範囲内とみなされることを理解すべきである。
また、発明の特徴又は態様がマーカッシュ群又は他の代替物の分類の観点から記載されている場合には、それによって、本発明が、マーカッシュ群又は他の群の任意の個々の構成要素又は構成要素の亜群の観点からも記載されていることを当業者は認識されたい。
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図1は、siNA分子の合成のためのスキームの非限定的な例を示している。相補的siNA配列鎖(鎖1及び鎖2)が直列に合成され、ヌクレオチドスクシナート又は脱塩基スクシナートなどの切断可能な連結(固相支持体上での固相合成のために使用される切断可能なリンカーと同一又は別異であり得る。)によって接続されている。合成は、固相又は溶液相の何れかであり得、図示されている例では、合成は固相合成である。ジメトキシトリチル基などの保護基が直列オリゴヌクレオチドの末端ヌクレオチド上でそのままの状態を保つように、合成が実施される。オリゴヌクレオチドが切断及び脱保護されると、2つのsiNA鎖は自発的にハイブリダイズして、siNA二重鎖を形成し、これは、末端保護基の特性を使用することによって、例えば、精製方法に対してトリチルを適用することによって(末端保護基を有する二重鎖/オリゴヌクレオチドのみが単離される。)、二重鎖の精製を可能とする。 図2は、本発明の方法によって合成された、精製されたsiNA二重鎖のMALDI−TOF質量スペクトルを示している。示されている2つのピークは、別個のsiNA配列鎖の予想される質量に対応する。この結果は、直列合成から生成されたsiNA二重鎖が、単純なトリチルーオン精製法を用いて単一分種として精製され得ることを示している。 図3は、RNAiに関与する標的RNA分解の、非限定的な提案された機序の模式図を示している。外来一本鎖RNA、例えば、ウイルス、トランスポゾン又は他の外来RNAから、RNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)によって生成される二本鎖RNA(dsRNA)が、DICER酵素を活性化し、次いで、DICER酵素が、siNA二重鎖を生成する。あるいは、適切な手段によって、合成siNA又は発現されたsiNAを細胞中に直接導入することができる。標的RNAを認識する活性なsiNA複合体が形成し、RISCエンドヌクレアーゼ複合体による標的RNAの分解又はRNA依存性RNAポリメラーゼ(RdRP)による追加のRNAの合成をもたらし、これは、DICERを活性化し、さらなるsiNA分子をもたらすことによって、RNAi応答を増幅することができる。 図4A−Fは、本発明の化学的に修飾されたsiNA構築物の非限定的な例を示している。この図では、Nは、任意のヌクレオチド(アデノシン、グアノシン、シトシン、ウリジン又は場合によってチミジン)を表しており、例えば、チミジンは、括弧(N N)によって表記された突出領域中で置換され得る。siNA構築物のセンス鎖及びアンチセンス鎖に対して、様々な修飾が示されている。(N N)ヌクレオチド位置は、本明細書中に記載されているように化学的に修飾することができ(例えば、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2−フルオロなど)、対応する標的核酸配列に由来することができ、又は由来しないことができる(例えば、図6Cを参照)。さらに、図4に示されている配列は、場合によって、センス鎖の5末端から9番目の位置に、又はガイド鎖の5’末端中から11ヌクレオチド位置をカウントすることによって、ガイド鎖の5末端を基礎として11番目の位置にリボヌクレオチドを含むことができる(図6C参照)。 図4A:センス鎖は21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドが場合によって塩基対を形成し、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在する全てのヌクレオチドが、リボヌクレオチドである。アンチセンスセンス鎖は、3’末端グリセリル部分を場合によって有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは、場合によって、標的RNA配列に対して相補的であり、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在する全てのヌクレオチドは、リボヌクレオチドである。「s」として示されているホスホロチオアート、ホスホロジチオアート又は本明細書に記載されているその他の修飾されたヌクレオチド間結合などの修飾されたヌクレオチド間結合は、場合によって、アンチセンス鎖中の(N N)ヌクレオチドを接続する。 図4B:センス鎖は21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって塩基対を形成し、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドであり、存在し得る全てのプリンヌクレオチドは2’−O−メチル修飾されたヌクレオチドである。アンチセンス鎖は、場合によって3’−末端グリセリル部分を有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって標的RNA配列に対して相補的であり、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドであり、存在し得る全てのプリンヌクレオチドは2’−O−メチル修飾されたヌクレオチドである。「s」として示されているホスホロチオアート、ホスホロジチオアート又は本明細書に記載されているその他の修飾されたヌクレオチド間結合などの修飾されたヌクレオチド間結合は、場合によって、センス及びアンチセンス鎖中の(N N)ヌクレオチドを接続する。 図4C:センス鎖は、5’及び3’末端キャップ部分を有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって塩基対を形成し、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−O−メチル又は2’−デオキシ−2−フルオロ修飾されたヌクレオチドである。アンチセンスセンス鎖は、3’末端グリセリル部分を場合によって有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは、場合によって、標的RNA配列に対して相補的であり、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは、2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドである。「s」として示されているホスホロチオアート、ホスホロジチオアート又は本明細書に記載されているその他の修飾されたヌクレオチド間結合などの修飾されたヌクレオチド間結合は、場合によって、アンチセンス鎖中の(N N)ヌクレオチドを接続する。 図4D:センス鎖は、5’及び3’末端キャップ部分を有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって塩基対を形成し、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドであり、存在し得る全てのプリンヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。アンチセンス鎖は、場合によって3’−末端グリセリル部分を有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって標的RNA配列に対して相補的であり、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドであり、存在し得る全てのプリンヌクレオチドは2’−O−メチル修飾されたヌクレオチドである。「s」として示されているホスホロチオアート、ホスホロジチオアート又は本明細書に記載されているその他の修飾されたヌクレオチド間結合などの修飾されたヌクレオチド間結合は、場合によって、アンチセンス鎖中の(N N)ヌクレオチドを接続する。 図4E:センス鎖は、5’及び3’末端キャップ部分を有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって塩基対を形成し、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドである。アンチセンス鎖は、場合によって3’−末端グリセリル部分を有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって標的RNA配列に対して相補的であり、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドであり、存在し得る全てのプリンヌクレオチドは2’−O−メチル修飾されたヌクレオチドである。「s」として示されているホスホロチオアート、ホスホロジチオアート又は本明細書に記載されているその他の修飾されたヌクレオチド間結合などの修飾されたヌクレオチド間結合は、場合によって、アンチセンス鎖中の(N N)ヌクレオチドを接続する。 図4F:センス鎖は、5’及び3’末端キャップ部分を有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって塩基対を形成し、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドであり、存在し得る全てのプリンヌクレオチドは2’−デオキシヌクレオチドである。アンチセンス鎖は、場合によって3’−末端グリセリル部分を有する21個のヌクレオチドを含み、2つの末端3’−ヌクレオチドは場合によって標的RNA配列に対して相補的であり、1つの3’−末端ホスホロチオアートヌクレオチド間結合を有し、リボヌクレオチド、デオキシヌクレオチド、普遍的塩基又は本明細書に記載されている他の化学的修飾を含み得る(N N)ヌクレオチドを除き、存在し得る全てのピリミジンヌクレオチドは2’−デオキシ−2’−フルオロ修飾されたヌクレオチドであり、存在し得る全てのプリンヌクレオチドは2’−O−メチル修飾されたヌクレオチドである。「s」として示されているホスホロチオアート、ホスホロジチオアート又は本明細書に記載されているその他の修飾されたヌクレオチド間結合などの修飾されたヌクレオチド間結合は、場合によって、アンチセンス鎖中の(N N)ヌクレオチドを接続する。構築物A−Fのアンチセンス鎖は、本発明の標的核酸配列の何れかに相補的な配列を含む。さらに、グリセリル部分(L)が図4A−F中に示されている何れかの構築物に対するアンチセンス鎖の3’末端に存在し、修飾されたヌクレオチド間結合が場合によって存在する。 図5A−Fは、本発明の化学的に修飾された特異的なsiNA配列の非限定的な例を示している。A−Fは、典型的なHCVsiNA配列に対して、図4A−F中に記載されている化学的修飾を適用する。このような化学的修飾は、全てのHCV配列に対して適用することができる。さらに、図5に示されている配列は、場合によって、センス鎖の5’末端から9番目の位置に、又はガイド鎖の5’末端中から11のヌクレオチド位置をカウントすることによって、ガイド鎖の5’末端を基礎として11番目の位置にリボヌクレオチドを含むことができる(図6C参照)。さらに、図5に示されている配列は、場合によって、アンチセンス鎖の5’末端に最大約4つの位置に末端リボヌクレオチド(例えば、アンチセンス鎖の5’末端における約1、2、3又は4つの末端リボヌクレオチド)及び/又は細胞標的配列を含むことができる。 図6A−Cは、本発明の異なるsiNA構築物の非限定的な例を示している。図6Aに示されている例(構築物1、2及び3)は、19の代表的塩基対を有する。しかしながら、本発明の異なる実施形態は、本明細書に記載されている塩基対のあらゆる数を含む。括弧内の領域は、例えば、約1、2、3又は4ヌクレオチド長、好ましくは約2ヌクレオチドを含むヌクレオチド突出部を表す。構築物1及び2は、独立に、RNAi活性のために使用することができる。構築物2は、生物分解性リンカーとして場合によって設計することができるポリヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカーを含むことができる。一実施形態において、構築物2に示されているループ構造は、インビボ及び/又はインビトロで、構築物1の形成をもたらす生物分解性リンカーを含むことができる。別の例において、インビボ及び/又はインビトロで活性なsiNA構築物2を作製するためにリンカーが使用され、インビボ及び/又はインビトロで活性なsiNA構築物1を作製するために別の生物分解可能リンカーを場合によって使用することができる同じ原理下で構築物2を作製するために、構築物3を使用することができる。従って、siRNA構築物の安定性及び/又は活性は、インビボ若しくはインビトロ及び/又はインビトロで使用するためのsiNA構築物の設計に基づいて調節することができる。 図6A−Cは、本発明の異なるsiNA構築物の非限定的な例を示している。図6Bに示されている例は、部分的な相補性から生じる突出、膨隆、ループ及びステムループを挙げることができる、ミクロRNAなどの本発明の二本鎖核酸分子の様々な変形物を表している。膨隆、ループ及びステムループを有するこのようなモチーフは、一般的に、miRNAの特徴である。膨隆、ループ及びステムループは、本発明の二本鎖核酸分子の一方又は両方の鎖中に、約1、2、3、4、5、6、7、8、9、10又はそれ以上のヌクレオチドのミスマッチ又は膨隆などの部分的相補性のあらゆる程度から生じ得る。 図6A−Cは、本発明の異なるsiNA構築物の非限定的な例を示している。図6Cに示されている例は、二ヌクレオチドの3’突出を有する2つの21ヌクレオチド配列の19塩基対二重鎖を含む本発明のモデル二本鎖核酸分子を表す。上部鎖(1)は、センスストランド(パッセンジャー鎖)を表し、中央鎖(2)はアンチセンス(ガイド鎖)を表し、下部鎖(3)は標的ポリヌクレオチド配列を表す。二ヌクレオチド突出(NN)は、標的ポリヌクレオチドに由来する配列を含むことができる。例えば、ガイド鎖中の3’−(NN)配列は、標的ポリヌクレオチドの5’−[NN]配列に相補的であり得る。さらに、パッセンジャー鎖の5’−(NN)配列は、標的ポリヌクレオチド配列の5’−[NN]配列と同じ配列を含み得る。他の実施形態において、突出(NN)は、標的ポリヌクレオチド配列に由来せず、例えば、この場合、ガイド鎖中の3’−(NN)配列は標的ポリヌクレオチドの5’−[NN]配列に相補的ではなく、パッセンジャー鎖の5’−(NN)配列は、標的ポリヌクレオチド配列の5’−[NN]から得られる異なる配列を含み得る。さらなる実施形態において、何れかの(NN)ヌクレオチドは、例えば、2’−O−メチル、2’−デオキシ−2−フルオロ及び/又は本明細書中の他の修飾として、化学的に修飾される。さらに、パッセンジャー鎖は、パッセンジャー鎖のリボヌクレオチド位置Nを含み得る。図示されている代表的な19塩基対の21マー二重鎖の場合、位置Nは、パッセンジャー鎖の3末端から9ヌクレオチドであり得る。しかしながら、異なる長さの二重鎖において、位置Nは、ガイド鎖の5’末端から11ヌクレオチド位置をカウントし、パッセンジャー鎖中の塩基対形成された対応するヌクレオチドを選び出すことによって、ガイド鎖の5’末端に基づいて決定される。Ago2による切断は、矢印で示されているように、位置10と11の間で起こる。さらなる実施形態において、2つのリボヌクレオチドNNは、ガイド鎖の5’末端から10及び11ヌクレオチド位置をカウントし、パッセンジャー鎖中の塩基対形成された対応するヌクレオチドを選び出すことによって、ガイド鎖の5’末端に基づいて、位置10及び11に存在する。 図7A−Cは、siNAヘアピン構築物を得るための発現カセットを作製する際に使用されるスキームの模式図である。 図7A:所定の標的配列と同一の配列を有する領域(siNAのセンス領域)が後置された5’−制限部位(R1)配列を用いて、DNAオリゴマーが合成され、センス領域は、例えば、約19、20、21又は22ヌクレオチド(N)長を含み、その後ろに、例えば、約3から約10ヌクレオチドを含む所定の配列(X)のループ配列が続く。 図7B:標的配列に対して特異性を有し、並びに自己相補的なセンス及びアンチセンス領域を有するsiNA転写物をもたらす自己相補性配列を有するヘアピン構造を生成するために、次いで、合成構築物は、DNAポリメラーゼによって伸長される。 図7C:配列を直鎖化するために、構築物を(例えば、約95℃まで)加熱し、第一の鎖の3’制限配列に対するプライマーを用いた相補的な第二のDNA鎖の伸長を可能とする。次いで、細胞中での発現のために、二本鎖DNAを適切なベクター中に挿入する。例えば、制限部位を操作し、及び/又は「Paul et al., 2002, Nature Biotechnology, 29, 505−508」に記載されているように、ポリ−U末端領域を用いることによって、3’末端ヌクレオチド突出が転写から生じるように、構築物が設計される。 図8A−Cは、二本鎖siNA構築物を得るための発現カセットを作製する際に使用されるスキームの模式図である。 図8A:所定の標的配列と同一の配列を有する領域(siNAのセンス領域)が後置された5’−制限(R1)部位配列を用いて、DNAオリゴマーが合成され、センス領域は、例えば、約19,20、21又は22ヌクレオチド(N)長を含み、その後ろに、所定の配列のループ配列(X)が隣接する3’−制限部位(R2)が続く。 図8B:次いで、自己相補的配列を有するヘアピン構造を生成するために、合成構築物をDNAポリメラーゼによって伸長する。 図8C:次いで、細胞中での発現のための適切なベクター中に挿入される二本鎖DNAを生成するために、R1及びR2に対して特異的な制限酵素によって構築物を加工処理する。U6プロモーター領域が、siNAの別個のセンス及びアンチセンス鎖を生成するdsDNAの各側に隣接するように、転写カセットが設計される。得られた転写物中にU突出を生成させるために、ポリT終結配列を構築物に添加し得る。 図9A−Eは、メッセンジャーRNAなどの特定の標的核酸配列内に、siNR媒介性RNAiに対する標的部位を決定するために使用される方法の模式図である。 図9A:siNA構築物のアンチセンス領域が標的核酸配列全体にわたって標的部位に相補性を有し、センス領域がsiNAのアンチセンス領域に対して相補的な配列を含む、siNAオリゴヌクレオチドのプールを合成する。 図9B及びC:(図9B)配列をプールし、細胞中へのベクターの形質移入がsiNAの発現をもたらすように(図9C)、ベクター中に挿入される。 図9D:標的核酸配列の調節に関連する表現型の変化に基づいて、細胞を選別する。 図9E:選別された細胞からsiNAを単離し、標的核酸配列内の有効な標的部位を同定するために配列を決定する。 図10は、(1)[3−3’]−逆方向デオキシリボース;(2)デオキシリボヌクレオチド;(3)[5’−3’]−3’−デオキシリボヌクレオチド;(4)[5’−3’]−リボヌクレオチド;(5)[5’−3’]−3’−O−メチルリボヌクレオチド;(6)3’−グリセリル;(7)[3’−5’]−3’−デオキシリボヌクレオチド;(8)[3’−3’]−デオキシリボヌクレオチド;(9)[5’−2’]−デオキシリボヌクレオチド;及び(10)[5’−3’]−ジデオキシリボヌクレチドなど、例えば、本発明のsiNA配列の3’末端を安定化させるために使用することができる様々な安定化化学(1−10)の非限定的な例を示している。図に示されている修飾及び非修飾骨格化学に加え、これらの化学は、本明細書中に記載されている様々な異なる骨格修飾、例えば、式Iを有する骨格修飾と組み合わせることができる。さらに、図示されている末端修飾に対して5’に示されている2’−デオキシヌクレオチドは、本明細書中に記載されている別の修飾又は非修飾ヌクレオチドヌクレオチド又は非ヌクレオチド、例えば、式I−VIIの何れかを有する修飾又はこれらの何れかの組み合わせとすることができる。 図11は、RNAi活性を媒介する能力を保ちながら、ヌクレアーゼ耐性である本発明の化学的に修飾されたsiNA構築物を同定するために使用された戦略の非限定的な例を示している。経験に基づく設計パラメータ(例えば、2’修飾、塩基修飾、骨格修飾、末端キャップ修飾の導入など)に基づいて、化学的修飾がsiNA構築物中に導入される。適切な系(例えば、示されているように、ヌクレアーゼ耐性に対してはヒト血清、又はPK/送達パラメータに対しては動物モデル)内で、修飾された構築物を検査する。平行して、例えば、ルシフェラーゼレポーターアッセイなどの細胞培養系中で、RNAi活性についてsiNA構築物を検査する。次いで、RNAi活性を維持しながら特定の特徴を有するリードsiNA構築物を同定し、もう一度、さらに修飾及びアッセイを行うことができる。改善された薬物動態特性、送達及びRNAi活性を有するsiNA−抱合体分子を同定するために、この同じアプローチを使用することができる。 図12は、直鎖及び二重鎖構築物並びにこれらの非対称誘導物を含む、本発明のリン酸化されたsiNA分子の非限定的な例を示している。 図13は、本発明の化学的に修飾された末端ホスファート基の非限定的な例を示している。 図14Aは、標的核酸配列中に同定されるパリンドローム及び/又は反復核酸配列を用いて、自己相補的DFO構築物を設計するために使用される方法の非限定的な例を示している。(1)核酸標的配列中に、パリンドローム又は反復配列を同定する。(2)標的核酸配列及びパリンドローム配列に対して相補的な配列を設計する。(3)相補的配列の非パリンドローム/反復部分の逆反復配列を、核酸標的に対して相補的な配列を含む自己相補的DFO分子を作製するために、相補的配列の3’末端に付加する。(4)DFO分子は、自己集合して、二本鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる。 図14Bは、二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の非限定的な代表例を示している。 図14Cは、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己集合図式の非限定的な例を示している。 図14Dは、遺伝子発現の調節をもたらす標的核酸配列との相互作用が後に続く、代表的な二重鎖形成オリゴヌクレオチド配列の自己集合図式の非限定的な例を示している。 図15は、何れかの対象標的核酸配列に対して相補的な配列を有するDFO構築物中に取り込まれたパリンドローム及び/又は反復核酸配列を用いた、自己相補的DFO構築物の設計の非限定的例を示している。これらのパリンドローム/反復配列の取り込みは、各鎖が例えばRNAiによって標的遺伝子発現の調節を媒介することができる二重鎖を形成するDFO構築物の設計を可能とする。まず、標的配列を同定する。次いで、人工パリンドローム(図では、XYXYXYとして示されている。)を与える相補的配列中にヌクレオチド又は非ヌクレオチド修飾(X又はYとして示されている。)が導入されている相補的配列を作製する。核酸標的に対して相補的な配列を含む自己相補的DFOを得るために、非パリンドローム/反復相補的配列の逆反復を相補的配列の3’末端に付加する。DFOは、自己集合して二本鎖オリゴヌクレオチドを形成することができる。 図16は、それぞれ、異なる標的核酸配列のRNAi誘導性切断を媒介することができる2つの別個のポリヌクレオチド配列を含む本発明の多機能siNA分子の非限定的な例を示している。図16Aは、第一の標的核酸配列に対して相補的である第一の領域(相補的領域1)及び第二の標的核酸配列に対して相補的である第二の領域(相補的領域2)を有し、第一及び第二の相補的領域が多機能siNA中の各ポリヌクレオチド配列の3’末端に位置している多機能siNA分子の非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各ポリヌクレオチド配列の破線が付された部分は、siNA二重鎖の対応する部分に関して相補性を有しているが、標的核酸配列に対する相補性を有していない。図16Bは、第一の標的核酸配列に対して相補的である第一の領域(相補的領域1)及び第二の標的核酸配列に対して相補的である第二の領域(相補的領域2)を有し、第一及び第二の相補的領域が多機能siNA中の各ポリヌクレオチド配列の5’末端に位置している多機能siNA分子の非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各ポリヌクレオチド配列の破線が付された部分は、siNA二重鎖の対応する部分に関して相補性を有しているが、標的核酸配列に対する相補性を有していない。 図17は、それぞれ、異なる標的核酸配列のRNAi誘導性切断を媒介することができる異なる領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含む本発明の多機能siNA分子の非限定的な例を示している。図17Aは、第一の標的核酸配列に対して相補的である第一の領域(相補的領域1)及び第二の標的核酸配列に対して相補的である第二の領域(相補的領域2)を有し、第二の相補的領域が多機能siNA中のポリヌクレオチド配列の3’末端に位置している多機能siNA分子の非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各ポリヌクレオチド配列の破線が付された部分は、siNA二重鎖の対応する部分に関して相補性を有しているが、標的核酸配列に対する相補性を有していない。図17Bは、第一の標的核酸配列に対して相補的である第一の領域(相補的領域1)及び第二の標的核酸配列に対して相補的である第二の領域(相補的領域2)を有し、第一の相補的領域が多機能siNA中のポリヌクレオチド配列の5’末端に位置している多機能siNA分子の非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各ポリヌクレオチド配列の破線が付された部分は、siNA二重鎖の対応する部分に関して相補性を有しているが、標的核酸配列に対する相補性を有していない。一実施形態において、多機能siNA構築物は、図16に示されているように、siNA構築物を作製するために、インビボ又はインビトロで処理される。 図18は、それぞれ、異なる標的核酸配列のRNAi誘導性切断を媒介することができる2つの別個のポリヌクレオチド配列を含み、さらに自己相補的なパリンドローム又は反復領域を含んでいるために、異なる標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介することができるより短い二機能siNA構築物を可能とする本発明の多機能siNA分子の非限定的例を示している。図18Aは、第一の標的核酸配列に対して相補的である第一の領域(相補的領域1)及び第二の標的核酸配列に対して相補的である第二の領域(相補的領域2)を有し、第一及び第二の相補的領域が多機能siNA中の各ポリヌクレオチド配列の3’末端に位置しており、並びに第一及び第二の相補的領域が、自己相補的パリンドローム又は反復領域をさらに含む多機能siNA分子の非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各ポリヌクレオチド配列の破線が付された部分は、siNA二重鎖の対応する部分に関して相補性を有しているが、標的核酸配列に対する相補性を有していない。図18Bは、第一の標的核酸配列に対して相補的である第一の領域(相補的領域1)及び第二の標的核酸配列に対して相補的である第二の領域(相補的領域2)を有し、第一及び第二の相補的領域が多機能siNA中の各ポリヌクレオチド配列の5’末端に位置しており、並びに第一及び第二の相補的領域が、自己相補的パリンドローム又は反復領域をさらに含む多機能siNA分子の非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各ポリヌクレオチド配列の破線が付された部分は、siNA二重鎖の対応する部分に関して相補性を有しているが、標的核酸配列に対する相補性を有していない。 図19は、小野の、異なる標的核酸配列のRNAi誘導性切断を媒介することができる別個の領域を含む単一のポリヌクレオチド配列を含み、さらに自己相補的なパリンドローム又は反復領域を含んでいるために、異なる標的核酸配列に対するRNA干渉を媒介することができるより短い二機能siNA構築物を可能とする本発明の多機能siNA分子の非限定的例を示している。図19Aは、第一の標的核酸配列に対して相補的である第一の領域(相補的領域1)及び第二の標的核酸配列に対して相補的である第二の領域(相補的領域2)を有し、第二の相補的領域が多機能siNA中のポリヌクレオチド配列の3’末端に位置しており、並びに第二の相補的領域が、自己相補的パリンドローム又は反復領域をさらに含む多機能siNA分子の非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各ポリヌクレオチド配列の破線が付された部分は、siNA二重鎖の対応する部分に関して相補性を有しているが、標的核酸配列に対する相補性を有していない。図19Bは、第一の標的核酸配列に対して相補的である第一の領域(相補的領域1)及び第二の標的核酸配列に対して相補的である第二の領域(相補的領域2)を有し、第一の相補的領域が多機能siNA中のポリヌクレオチド配列の5’末端に位置しており、並びに第一及び第二の相補的領域が、自己相補的パリンドローム又は反復領域をさらに含む多機能siNA分子の非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各ポリヌクレオチド配列の破線が付された部分は、siNA二重鎖の対応する部分に関して相補性を有しているが、標的核酸配列に対する相補性を有していない。一実施形態において、これらの多機能siNA構築物は、図18に示されているように、多機能siNA構築物を作製するために、インビボ又はインビトロで処理される。 図20は、本発明の多機能siNA分子が、異なるタンパク質、例えば、サイトカイン及びその対応する受容体、様々なウイルス株、ウイルス並びにウイルス感染若しくは複製に関与する細胞性タンパク質又は疾病の進行の維持に関与することが推定されている共通の生物経路若しくは多様な生物経路に関与する様々なタンパク質をコードする別個のRNA分子など、2つの別個の標的核酸分子を、どのようにして標的とすることができるかという非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各鎖は、別個の標的核酸分子に対して相補性を有する領域を含む。その対応する標的のRNA干渉媒介性切断を開始するために、siNAの各鎖がRISC複合体によって使用され得るように、多機能siNA分子が設計される。これらの設計パラメータには、siNA構築物の各末端の脱安定化が含まれ得る(例えば、Schwarz et al.,2003,Cell,115,199−208参照)。例えば、グアノシン−シチジン塩基対、代替塩基対(例えば、ゆらぎ)を使用することによって、本分野で公知であるように、末端ヌクレオチド位の化学的に修飾されたヌクレオチドを脱安定化させることによって、このような脱安定化を達成することができる。 図21は、本発明の多機能性siNA分子が、RNAの代替コード領域、RNAのコード及び非コード領域又はRNAの選択的スプライスバリアント領域など、同一標的核酸分子内の2つの別個の標的核酸配列をどのようにして標的とすることができるかについての非限定的な例を示している。多機能siNA構築物の各鎖は、標的核酸分子の別個の領域に対して相補性を有する領域を含む。その対応する標的領域のRNA干渉媒介性切断を開始するために、siNAの各鎖がRISC複合体によって使用され得るように、多機能siNA分子が設計される。これらの設計パラメータには、siNA構築物の各末端の脱安定化が含まれ得る(例えば、Schwarz et al.,2003,Cell,115,199−208参照)。例えば、グアノシン−シチジン塩基対、代替塩基対(例えば、ゆらぎ)を使用することによって、本分野で公知であるように、末端ヌクレオチド位の化学的に修飾されたヌクレオチドを脱安定化させることによって、このような脱安定化を達成することができる。 図22(A−H)は、本発明の係留された多機能性siNA構築物の非限定的な例を示している。図示されている例では、リンカー(例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)が、2つのsiNA領域(例えば、2つのセンス、2つのアンチセンス、あるいはセンス及びアンチセンス領域を一緒に)を接続する。第一の標的配列及び第二の標的配列に対応する別個のセンス(又はセンス及びアンチセンス)配列を、多機能性siNA中のそれらの対応するセンス及び/又はアンチセンス配列にハイブリダイズさせる。さらに、選択的な又は改善された送達及び/又は薬物動態学的特性のために、様々な抱合体、リガンド、アプタマー、ポリマー又はレポーター分子をリンカー領域に付着させることができる。 図22(A−H)は、本発明の係留された多機能性siNA構築物の非限定的な例を示している。図示されている例では、リンカー(例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)が、2つのsiNA領域(例えば、2つのセンス、2つのアンチセンス、あるいはセンス及びアンチセンス領域を一緒に)を接続する。第一の標的配列及び第二の標的配列に対応する別個のセンス(又はセンス及びアンチセンス)配列を、多機能性siNA中のそれらの対応するセンス及び/又はアンチセンス配列にハイブリダイズさせる。さらに、選択的な又は改善された送達及び/又は薬物動態学的特性のために、様々な抱合体、リガンド、アプタマー、ポリマー又はレポーター分子をリンカー領域に付着させることができる。 図22(A−H)は、本発明の係留された多機能性siNA構築物の非限定的な例を示している。図示されている例では、リンカー(例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)が、2つのsiNA領域(例えば、2つのセンス、2つのアンチセンス、あるいはセンス及びアンチセンス領域を一緒に)を接続する。第一の標的配列及び第二の標的配列に対応する別個のセンス(又はセンス及びアンチセンス)配列を、多機能性siNA中のそれらの対応するセンス及び/又はアンチセンス配列にハイブリダイズさせる。さらに、選択的な又は改善された送達及び/又は薬物動態学的特性のために、様々な抱合体、リガンド、アプタマー、ポリマー又はレポーター分子をリンカー領域に付着させることができる。 図22(A−H)は、本発明の係留された多機能性siNA構築物の非限定的な例を示している。図示されている例では、リンカー(例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)が、2つのsiNA領域(例えば、2つのセンス、2つのアンチセンス、あるいはセンス及びアンチセンス領域を一緒に)を接続する。第一の標的配列及び第二の標的配列に対応する別個のセンス(又はセンス及びアンチセンス)配列を、多機能性siNA中のそれらの対応するセンス及び/又はアンチセンス配列にハイブリダイズさせる。さらに、選択的な又は改善された送達及び/又は薬物動態学的特性のために、様々な抱合体、リガンド、アプタマー、ポリマー又はレポーター分子をリンカー領域に付着させることができる。 図22(A−H)は、本発明の係留された多機能性siNA構築物の非限定的な例を示している。図示されている例では、リンカー(例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)が、2つのsiNA領域(例えば、2つのセンス、2つのアンチセンス、あるいはセンス及びアンチセンス領域を一緒に)を接続する。第一の標的配列及び第二の標的配列に対応する別個のセンス(又はセンス及びアンチセンス)配列を、多機能性siNA中のそれらの対応するセンス及び/又はアンチセンス配列にハイブリダイズさせる。さらに、選択的な又は改善された送達及び/又は薬物動態学的特性のために、様々な抱合体、リガンド、アプタマー、ポリマー又はレポーター分子をリンカー領域に付着させることができる。 図22(A−H)は、本発明の係留された多機能性siNA構築物の非限定的な例を示している。図示されている例では、リンカー(例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)が、2つのsiNA領域(例えば、2つのセンス、2つのアンチセンス、あるいはセンス及びアンチセンス領域を一緒に)を接続する。第一の標的配列及び第二の標的配列に対応する別個のセンス(又はセンス及びアンチセンス)配列を、多機能性siNA中のそれらの対応するセンス及び/又はアンチセンス配列にハイブリダイズさせる。さらに、選択的な又は改善された送達及び/又は薬物動態学的特性のために、様々な抱合体、リガンド、アプタマー、ポリマー又はレポーター分子をリンカー領域に付着させることができる。 図22(A−H)は、本発明の係留された多機能性siNA構築物の非限定的な例を示している。図示されている例では、リンカー(例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)が、2つのsiNA領域(例えば、2つのセンス、2つのアンチセンス、あるいはセンス及びアンチセンス領域を一緒に)を接続する。第一の標的配列及び第二の標的配列に対応する別個のセンス(又はセンス及びアンチセンス)配列を、多機能性siNA中のそれらの対応するセンス及び/又はアンチセンス配列にハイブリダイズさせる。さらに、選択的な又は改善された送達及び/又は薬物動態学的特性のために、様々な抱合体、リガンド、アプタマー、ポリマー又はレポーター分子をリンカー領域に付着させることができる。 図22(A−H)は、本発明の係留された多機能性siNA構築物の非限定的な例を示している。図示されている例では、リンカー(例えば、ヌクレオチド又は非ヌクレオチドリンカー)が、2つのsiNA領域(例えば、2つのセンス、2つのアンチセンス、あるいはセンス及びアンチセンス領域を一緒に)を接続する。第一の標的配列及び第二の標的配列に対応する別個のセンス(又はセンス及びアンチセンス)配列を、多機能性siNA中のそれらの対応するセンス及び/又はアンチセンス配列にハイブリダイズさせる。さらに、選択的な又は改善された送達及び/又は薬物動態学的特性のために、様々な抱合体、リガンド、アプタマー、ポリマー又はレポーター分子をリンカー領域に付着させることができる。 図23は、デンドリマーをベースとした様々な多機能性siNAの設計の非限定的な例を示している。 図24は、様々な超分子多機能性siNAの設計の非限定的な例を示している。 図25は、30ヌクレオチドの前駆体siNA構築物を用いた多機能性siNAの設計を可能にするダイサーの非限定的な例を示している。30塩基対二重鎖は、ダイサーによって、何れかの末端から得られる22塩基対の産物と8塩基対の産物へ切断される(8塩基対の断片は図示されていない。)。表示を容易にするために、ダイサーによって生成された突出は図示されていないが、補うことが可能である。3つの標的化配列が示されている。重複した必要とされる配列同一性は、灰色の箱によって示されている。30塩基対のsiNAのNは、安定化された化学で検査された場合に、ダイサー切断を可能とする2’−OH位置の推定される部位である。ダイサーRNアーゼIIIによる30マー二重鎖の処理が正確な22+8切断を与えず、むしろ、密接に関連した一連の産物を生じることに注目されたい(22+8が主要部位である。)。従って、ダイサーによる加工は、一連の活性なsiNAを与える。 図26は、40ヌクレオチドの前駆体siNA構築物を用いた多機能性siNAの設計を可能にするダイサーの非限定的な例を示している。40塩基対二重鎖は、ダイサーによって、何れかの末端から得られる20塩基対の産物へ切断される。表示を容易にするために、ダイサーによって生成された突出は図示されていないが、補うことが可能である。4つの標的化配列が示されている。相同性を有する標的配列は、箱によって囲まれている。この設計方式は、より大きなRNAへ拡張することができる。化学的に安定化されたsiNAがダイサーによって結合される場合、戦略的に配置されたリボヌクレオチド結合は、本発明者らの多機能性設計のより大規模なレパートリーを許容する切断産物の設計を可能とし得る。例えば、約22ヌクレオチドのダイサー標準に限定されない切断産物は、標的配列同一性の重複が例えば約3から約15ヌクレオチドにわたる多機能性siNA構築物を可能とし得る。 図27は、本発明のさらなる多機能性siNA構築物設計の非限定的な例を示している。一例において、改善された送達又は薬物動態学的特性を可能とするために、抱合体、リガンド、アプタマー、標識又は他の部分が多機能性siNAの領域に付着される。 図28は、本発明のさらなる多機能性siNA構築物の設計の非限定的な例を示している。一例において、改善された送達又は薬物動態学的特性を可能とするために、抱合体、リガンド、アプタマー、標識又は他の部分が多機能性siNAの領域に付着される。 図29は、本発明のコレステロール抱合されたsiNA分子を合成するために使用することができるコレステロール連結されたホスホルアミダイトの非限定的な例を示している。コレステロール部分がsiNA分子のセンス鎖の5’末端に連結された例が示されている。 図30は、HCV感染のマーモセットモデルにおいてGBV−Bを標的とする二本鎖核酸分子カクテル製剤の非限定的な例を示す。GBV−Bは、抗ウイルス化合物及びHCV感染用ワクチンの検査のための小動物モデルを提供する。2匹の動物に、GBV−Bを接種し、感染から一日後に、3mg/kgの製剤化された活性なsiNA(Sirna Compound Nos.33149/35180及び31703/35176、Formulation LNP−086;表3及び4を参照。)で静脈内処理を開始した。陰性対照としての役割を果たすために、別の2匹の動物には、GBV−Bを接種したが、処理は施さなかった。GBV−B感染の治療の効果を決定するために、動物をモニターした。ウイルス力価を測定するために、研究の間、採血を行った。第0日目での接種から1日後、3日後及び7日後に、被処理動物中での製剤化されたsiRNAの投薬を反復した。図に示されているように、これらの動物は、処理されていない対照動物と比べて、3週間にわたって、GBV−Bの著しい阻害を示す。 図31は、確立されたGBV感染を有し、感染から28日、31日及び35日後の時点で、製剤化された活性なsiNA(Sirna Compound Nos.33149/38758及び31703/38759、Formulation LNP−086;表3及び4参照)で処理された動物におけるGBV感染の阻害の被限定的な例を示している。この動物は、処理されていない歴史的対照と比べて、活性化合物の投薬後に、検出限界を下回るまで、ウイルス力価の減少を示した。

Claims (23)

  1. 互いに相補的である第1の鎖と第2の鎖を各々有する、第1の二本鎖核酸分子と第2の二本鎖核酸分子とを含む組成物であり、前記第1の二本鎖核酸分子の第2の鎖が、配列番号1444を含むHCV配列に相補的である15から30ヌクレオチドの配列を含み、および前記第2の二本鎖核酸分子の第2の鎖が、配列番号1417を含むHCV配列に相補的である15から30ヌクレオチドの配列を含む、組成物。
  2. 陽イオン性脂質、中性脂質及びポリエチレングリコール抱合体を更に含む、請求項1の組成物。
  3. 陽イオン性脂質、中性脂質、ポリエチレングリコール抱合体及びコレステロールを更に含む、請求項1の組成物。
  4. 陽イオン性脂質、中性脂質、ポリエチレングリコール抱合体、コレステロール及び界面活性剤を更に含む、請求項1の組成物。
  5. 前記陽イオン性脂質が、CLinDMA、pCLinDMA、eCLinDMA、DMOBA及びDMLBAからなる群から選択される、請求項2の組成物。
  6. 前記陽イオン性脂質が、CLinDMA、pCLinDMA、eCLinDMA、DMOBA及びDMLBAからなる群から選択される、請求項3の組成物。
  7. 前記陽イオン性脂質が、CLinDMA、pCLinDMA、eCLinDMA、DMOBA及びDMLBAからなる群から選択される、請求項4の組成物。
  8. 前記中性脂質が、DSPC、DOBA及びコレステロールからなる群から選択される、請求項2の組成物。
  9. 前記中性脂質が、DSPC、DOBA及びコレステロールからなる群から選択される、請求項3の組成物。
  10. 前記中性脂質が、DSPC、DOBA及びコレステロールからなる群から選択される、請求項4の組成物。
  11. 前記ポリエチレングリコール抱合体が、PEG−ジミリストイルグリセリン及びPEG−コレステロールからなる群から選択される、請求項2の組成物。
  12. 前記ポリエチレングリコール抱合体が、PEG−ジミリストイルグリセリン及びPEG−コレステロールからなる群から選択される、請求項3の組成物。
  13. 前記ポリエチレングリコール抱合体が、PEG−ジミリストイルグリセリン及びPEG−コレステロールからなる群から選択される、請求項4の組成物。
  14. 前記PEGが2KPEGである、請求項13の組成物。
  15. 前記界面活性剤が、パルミチルアルコール、ステアリルアルコール、オレイルアルコール及びリノレイルアルコールからなる群から選択される、請求項4の組成物。
  16. 前記陽イオン性脂質がCLinDMAであり、前記中性脂質がDSPCであり、前記ポリエチレングリコール抱合体が2KPEG−DMGであり、前記コレステロールがコレステロールであり、前記界面活性剤がリノレイルアルコールである、請求項4の組成物。
  17. 前記CLinDMA、前記DSPC、前記2KPEG−DMG、前記コレステロール及び前記リノレイルアルコールがそれぞれ43:38:10:2:7のモル比で存在する、請求項16の組成物。
  18. 前記第1の二本鎖核酸分子の前記第1の鎖及び前記第2の鎖がそれぞれ配列番号1796及び2102を含み、ならびに前記第2の二本鎖核酸分子の前記第1の鎖及び前記第2の鎖がそれぞれ配列番号1677及び2103を含む、請求項1の組成物。
  19. 前記第1の二本鎖核酸分子の前記第1の鎖及び前記第2の鎖がそれぞれ配列番号1796及び2010を含み、ならびに前記第2の二本鎖核酸分子の前記第1の鎖及び前記第2の鎖がそれぞれ配列番号1677及び2011を含む、請求項1の組成物。
  20. 前記第1の二本鎖核酸分子の前記第1の鎖及び前記第2の鎖がそれぞれ配列番号1796及び2012を含み、ならびに前記第2の二本鎖核酸分子の前記第1の鎖及び前記第2の鎖がそれぞれ配列番号1677及び2013を含む、請求項1の組成物。
  21. 薬剤として許容される担体又は希釈剤中に請求項18の組成物を含む、組成物。
  22. 薬剤として許容される担体又は希釈剤中に請求項19の組成物を含む、組成物。
  23. 薬剤として許容される担体又は希釈剤中に請求項20の組成物を含む、組成物。
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