JP2009518590A - チェーンに用いられるリンクプレートエレメント - Google Patents

Abstract

チェーンに用いられるリンクプレートエレメント（１０）は、このリンクプレートエレメントの対称軸線（Ｓ）に対して非対称的な機能性を有している。リンクプレートエレメントは、機能なしの区分（１５）を有している。この区分（１５）には、識別特徴（３０）が、リンクプレートエレメントの対称軸線に対して非対称的に設けられている。

Description

本発明は、チェーンに用いられるリンクプレートエレメント、特に歯付きチェーンに用いられる歯付きリンクプレートに関する。

さらに、本発明は、チェーンに関する。

このような形式のチェーンは、出力伝達エレメントとして伝動装置構造に使用され、リンクプレートエレメントとロッカジョイントとから形成されている。この場合、リンクプレートエレメントは１つまたはそれ以上の切欠きを有している。この切欠き内には、ロッカジョイントが係合している。それぞれ２つのリンクプレートエレメントは、両リンクプレートエレメント内への１つのロッカジョイントの係合によって互いに結合される。

歯付きチェーンが真っ直ぐである場合、このチェーンが、チェーン延び方向に対して垂直な軸線に対して対称的であるただ１つ種類の歯付きリンクプレートから形成されると、チェーンが運転中に望ましくない騒音を発生させ、したがって、その音響的な特性に関して不十分となる。

したがって、少なくとも二種類の歯付きリンクプレートから成る、いわゆる「ランダム化された歯付きチェーン」を使用することが知られている。二種類のリンクプレートは機能特徴、たとえば歯形状によって識別される。組付け方向は、この事例では、たいした問題ではなく、ランダム化は、チェーンにおけるリンクプレートエレメントのランダムな選択ひいてはリンクプレートエレメントの順序のランダムな選択によって得られる。二種類またはそれ以上の種類の歯付きリンクプレートを使用する代わりに、一種類の非対称的な歯付きリンクプレートから成るランダム化された歯付きチェーンを形成することも知られている。この場合、ランダム化は、歯付きリンクプレートが識別されて組み付けられることによって得られる。リンクプレートの非対称性は、たとえば、非対称的に形成された機能的な特徴、たとえば両リンクプレート歯の互いに異なる形状によって生ぜしめられる。リンクプレートは、規定されたパターンで１つのチェーンに組み立てられるかまたはランダムに上向きの第１の面と上向きの第２の面とを備えて１つのチェーンに組み立てられる。二種類の歯付きリンクプレートの使用に対する利点は、一種類のリンクプレートがストックされさえすればよいことである。このことは、リンクプレートの製作に関して有利である。なぜならば、種々異なる打抜き工具が、たとえば不要となるからである。しかし、一種類の歯付きリンクプレートの使用時には、チェーンがランダム化されて組み立てられていることを確保するために、組立て時の増加させられた手間と品質安全性とが必要となる。

ここから出発して、本発明の課題は、簡単に１つのチェーンに組立て可能である、非対称的な機能性を備えた、チェーンに用いられるリンクプレートエレメント、特に歯付きチェーンに用いられる歯付きリンクプレートを提供することである。

この課題は、請求項１の特徴を備えたリンクプレートエレメントによって解決される。有利な構成は、従属請求項に記載してある。

本発明のリンクプレートエレメントの第１の構成によれば、当該リンクプレートエレメントの対称軸線に対して非対称的な機能性が設けられており、当該リンクプレートエレメントが、機能なしの区分を有しており、該区分に識別特徴が、当該リンクプレートエレメントの対称軸線に対して非対称的に設けられている。

本発明のリンクプレートエレメントの第２の構成によれば、当該リンクプレートエレメントが、歯付きチェーンに用いられる歯付きリンクプレートである。

本発明のリンクプレートエレメントの有利な構成によれば、識別特徴が、当該リンクプレートエレメントの外側輪郭の機能なしの区分に設けられている。

本発明のリンクプレートエレメントの有利な構成によれば、識別特徴が、当該リンクプレートエレメントの一方の対称半部に対する他方の対称半部の質量増加部を有している。

本発明のリンクプレートエレメントの有利な構成によれば、識別特徴が、当該リンクプレートエレメントの非対称的な輪郭を有している。

本発明のリンクプレートエレメントの有利な構成によれば、識別特徴が、当該リンクプレートエレメントのほぼ真っ直ぐな輪郭面に設けられた凸部または切込みである。

本発明のリンクプレートエレメントの有利な構成によれば、識別特徴が、当該リンクプレートエレメントの２つの角隅領域の非対称的な構成、特に単調に湾曲させられた第１の角隅領域と、該第１の角隅領域と異なる曲率で湾曲させられた第２の角隅領域と有している。

本発明のリンクプレートエレメントの有利な構成によれば、識別特徴が、リンクプレートに設けられた非対称的な孔を有している。

本発明のチェーンの構成によれば、リンクプレートエレメントと、該リンクプレートエレメントを結合するロッカジョイントとが設けられており、該ロッカジョイントが、リンクプレートエレメントに設けられた切欠き内に係合しており、少なくとも１つのリンクプレートエレメントが、前述した形式のリンクプレートエレメントである。

この場合、機能性とは、運転時に、チェーンの個々のリンクプレートエレメントと、対応エレメントとの、ランダム化された相互作用が行われるようになっている、リンクプレートエレメントの特徴を意味している。このような機能性に対する例は、歯付きチェーンに用いられる歯付きリンクプレートの場合のリンクプレートエレメントの歯形状である。

リンクプレートエレメントの対称軸線は、通常、チェーンが真っ直ぐに延ばされている場合、１つのチェーンに組み付けられたリンクプレートエレメントのチェーン延び方向に対して垂直である対称軸線である。

本発明の根底には、非対称的な機能性を有する一種類のリンクプレートエレメントしか使用せず、これによって、１つのチェーンへの一方向でのもしくは他方向での組付け時に、ランダム化されたチェーンが生ぜしめられるという思想がある。同一のリンクプレートエレメントの方向付け後のこのリンクプレートエレメントの組付け方向もしくは選別を容易にするために、本発明によれば、同じくリンクプレートエレメントの対称軸線に対して非対称的である識別特徴がリンクプレートエレメントに設けられる。この識別特徴につき、たとえば視覚的にまたは自動化された選別によって、どの方向付けでリンクプレートエレメントが供給されるのかもしくは１つのチェーンに組み付けられているのかを容易に認識することができる。特に有利には、本発明は、歯付きチェーンに用いられる歯付きリンクプレートであるリンクプレートエレメントに対して使用されてよい。たとえばリンクプレートエレメントが２つの歯を有している場合には、歯付きリンクプレートの一方の歯形が、歯付きリンクプレートの他方の歯形と異なる構成ひいては非対称な機能性を有していてよい。この場合、どの方向付けで歯付きリンクプレートエレメントが設けられるのかを認識するためには、識別特徴が役立つ。

特に有利な構成によれば、識別特徴が、リンクプレートエレメントの外側輪郭の機能なしの区分にまたは択一的にリンクプレートエレメントのボディの機能なしの区分に設けられている。たとえば、歯付きリンクプレートエレメントは、歯が設けられた、機能を備えた区分と、機能領域の両面を接続する機能なしの区分とを有している。機能性が設けられていない外側輪郭に沿ってまたは歯付きリンクプレートエレメントの内側領域には、有利には識別特徴が非対称的に設けられていてよい。この場合、この識別特徴はリンクプレートエレメントの機能性を損なわない。

たとえば、識別特徴はリンクプレートエレメントの非対称的な質量増加部である。このことは、重心移動を利用してリンクプレートエレメントを選別することができるという利点を提供する。一方の歯付きエレメント半部に対する他方の歯付きエレメント半部の質量変化は、たとえば機能なしのボディ領域の溝付けによって発生させられてよい。識別特徴に対する別の可能性は、どの方向付けでリンクプレートエレメントが搬送されるのかに応じた、衝突した光線の反射特性の変化の発生であるかまたは著しく視覚的に認識可能な輪郭形状もしくは機械的な把持領域の非対称的な構成である。

以下に、本発明を、単に例としてしか使用されない添付の図面につき説明する。

図１には、歯付きチェーン２０が示してある。この歯付きチェーン２０は、それぞれ２つの歯１１，１２を備えた歯付きリンクプレートとして形成された同一の非対称的なリンクプレートエレメントから形成されている。単独のこのような歯付きリンクプレートエレメントは図２に示してある。認めることができるように、歯１１と歯１２とは、互いに僅かに異なる輪郭を有している。図２には、破線によって、リンクプレートエレメント１０が、実線によって図２に示したように、面Ａで上向きに位置決めされている代わりに、反対の側に位置する面Ｂで上向きに、すなわち、裏返されて位置決めされている事例が示してある。

図１には、文字Ａ，Ｂによって、どのようして歯付きエレメント１０がランダム化されて組み立てられるのか、すなわち、面Ａまたは面Ｂで一方向に方向付けられるのかが示してある。この場合、図１に示したように、有利には、配置はランダムに、すなわち、不均一に入れ代わっている。これは、歯１１，１２の互いに異なる歯列ジオメトリまたは同じ歯列ジオメトリが、リンクプレートエレメント１０のオーバラップ時に互いに積み重なることになり、したがって、より低騒音のチェーン２０を形成することに繋がる。

さらに、個々のリンクプレートエレメントは貫通開口１４を有している。この貫通開口１４内には、ロッカエレメント（図示せず）を挿入することができる。このロッカエレメントは、貫通開口１４の輪郭と共に、個々のリンクプレートエレメント１０を結合するロッカジョイントを形成する。

リンクプレートエレメントは、通常、機能ありの領域、つまり、たとえば切欠きもしくは貫通開口１４および歯１１，１２の歯列ジオメトリと、機能なしの領域、つまり、たとえば歯列と反対の側に位置する輪郭面１５または輪郭面１５と歯列との間の丸みの形の移行領域１６とを有している。ボディ領域、たとえばリンクプレートエレメントの内部、すなわち、面Ａ；Ｂも、リンクプレートエレメントの別の機能なしの領域である。

いま、本発明によれば、図２に示した非対称的なリンクプレートエレメント１０において、機能なしの領域に付加的に識別特徴３０が設けられる。

このような識別特徴に対する例は図３〜図５に示してある。

図３〜図６に示した歯付きリンクプレート１０は、図２に示した歯付きリンクプレート１０と同様に組み立てられて、チェーン２０を形成することができる。

図３では、リンクプレートエレメント１０の識別特徴が、リンクプレートエレメント１０の機能なしの周面領域の輪郭変化、特に歯１１，１２と反対の側に位置する輪郭面１５の輪郭変化である。この場合、破線によって再び、リンクプレートエレメント１０が、裏返された方向付けでどのように見えるのかが示してある。対称軸線Ｓに対する歯１１，１２の歯列ジオメトリの非対称性は、図３〜図６では繰り返さないが、たとえば図２に類似している。択一的には、対称軸線Ｓに対する、機能に影響を与える別の非対称的な特徴が存在している。

識別特徴３０も、同じ対称軸線Ｓに対して非対称的である。リンクプレートエレメントの輪郭面１５の輪郭変化３１は、一方の対称半部に設けられた凸部と、他方の対称半部に設けられた凹部とから成っている。リンクプレートエレメント１０の残りの特徴は図２と同じである。

この場合、リンクプレートエレメントの輪郭によって、平面図における組み立てられたリンクプレートエレメント１０を備えたチェーン２０の運動平面で得られるリンクプレートエレメントの概要が理解される。

図４には、リンクプレート背面もしくは輪郭面１５における、波形状３２から成る択一的な輪郭変化が示してある。図４でも、図２と同一の特徴は省略してあり、新たに説明しない。

リンクプレート背面における輪郭変化によって、たとえば視覚的な観察時に、チェーン２０の組立て状態でも、個々のリンクプレートエレメント１０の向きを簡単に認識することができる。

別の択一的な構成は、リンクプレートエレメント１０の機能なしの面領域１７に質量圧縮部を対称軸線Ｓに対して非対称的に設けることである。

識別特徴３０に対する別の択一的な構成は図５に示してある。この図５では、歯１１，１２とリンクプレート背面、すなわち、機能なしの輪郭面１５との間の一方の移行領域１６が丸み付けられて形成されているのに対して、他方の移行領域３３は角隅部として、すなわち、単調に湾曲させられた第１の移行領域１６と異なる曲率で形成されている。別の特徴は、再び、図２に示した特徴に対して同一である。

さらに、図５には、識別特徴３０、すなわち、両移行領域３３の間の偏差をどのようにして読み出すことができ、リンクプレートエレメント１０の向きに対応させることができるかのが示してある。このことは、たとえば入射した光線Ｌが輪郭、特に移行領域１６；３３で反射されることによって、光学的な方法で行うことができる。光線Ｌの反射方向が、図５に示した実線による図示での方向付け、すなわち、上向きの面Ａに対して同じく実線によって矢印Ｒとして示してあるのに対して、反射は、裏返されて配置されたリンクプレートエレメント１０の場合、すなわち、図５において上向きの面Ｂでは、符号Ｒ’で記載してある。反射された光線は分析ユニットに供給され得る。この分析ユニットは、認識された反射方向に関連して、この反射方向をリンクプレートエレメント１０の一方の方向付けに対応させ、たとえば、リンクプレートエレメント１０の搬送ベルトに設けられた機械的なポイントを、リンクプレートを選別するために制御する。択一的には、リンクプレート自体が平面図の図面によって検出され、図３〜図５に示した種々異なる輪郭の場合には、たとえば画像認識システムによってリンクプレートの方向付けが認識されてもよい。

識別特徴を読み出すための別の方法は図６に示してある。そこでは、選別ユニット４０の機械的なリジェクタによって、図６に実線で示した方向付けを有するリンクプレートエレメント１０が選別ユニット４０のリジェクタに接触し、回動させられ、したがって、一方の選別方向に供給され得るのに対して、裏返された方向付け（上向きの面Ｂ）を備えたリンクプレートエレメント１０は、回動なしに選別ユニット４０を通過する。

したがって、本発明の主要な態様は、リンクプレートエレメントの機能なしの区分に、非対称的な機能性のために必要となる非対称特徴よりも容易に読出し可能であるかもしくは視覚的に検出可能である識別特徴を設けることにある。

ランダム化されて供給されたリンクプレートエレメントを備えた歯付きチェーンを示す図である。 非対称的な機能性を備えた公知先行技術のリンクプレートエレメントを示す図である。 識別特徴を備えた非対称的なリンクプレートエレメントを示す図である。 識別特徴を備えた非対称的なリンクプレートエレメントの別の構成を示す図である。 光学的な方法での識別特徴の読出しを明示する、識別特徴を備えた非対称的なリンクプレートエレメントのさらに別の構成を示す図である。 識別特徴が機械的な方法で読み出される場合の図５に示したリンクプレートエレメントを示す図である。

符号の説明

１０ リンクプレートエレメント、 １１ 歯、 １２ 歯、 １４ 貫通開口、 １５ 輪郭面、 １６ 移行領域、 １７ 面領域、 ２０ 歯付きチェーン、 ３０ 識別特徴、 ３１ 輪郭変化、 ３２ 波形状、 ３３ 移行領域、 ４０ 選別ユニット、 Ａ 面、 Ｂ 面、 Ｌ 光線、 Ｒ，Ｒ’ 矢印、 Ｓ 対称軸線

Claims (9)

1. チェーン（２０）に用いられるリンクプレートエレメント（１０）において、当該リンクプレートエレメント（１０）の対称軸線（Ｓ）に対して非対称的な機能性が設けられており、当該リンクプレートエレメント（１０）が、機能なしの区分（１５，１６，１７）を有しており、該区分（１５，１６，１７）に識別特徴（３０）が、当該リンクプレートエレメント（１０）の対称軸線（Ｓ）に対して非対称的に設けられていることを特徴とする、チェーンに用いられるリンクプレートエレメント。
2. チェーン（２０）に用いられるリンクプレートエレメント（１０）において、当該リンクプレートエレメント（１０）が、歯付きチェーンに用いられる歯付きリンクプレートであることを特徴とする、チェーンに用いられるリンクプレートエレメント。
3. 識別特徴（３０）が、当該リンクプレートエレメント（１０）の外側輪郭の機能なしの区分（１５，１６）に設けられている、請求項１または２記載のリンクプレートエレメント。
4. 識別特徴（３０）が、当該リンクプレートエレメント（１０）の一方の対称半部に対する他方の対称半部の質量増加部を有している、請求項１から３までのいずれか１項記載のリンクプレートエレメント。
5. 識別特徴（３０）が、当該リンクプレートエレメントの非対称的な輪郭（３１，３２，３３）を有している、請求項１から４までのいずれか１項記載のリンクプレートエレメント。
6. 識別特徴（３０）が、当該リンクプレートエレメントのほぼ真っ直ぐな輪郭面（１５）に設けられた凸部または切込み（３１，３２）である、請求項１から５までのいずれか１項記載のリンクプレートエレメント。
7. 識別特徴（３０）が、当該リンクプレートエレメントの２つの角隅領域（１６，３３）の非対称的な構成、特に単調に湾曲させられた第１の角隅領域（１６）と、該第１の角隅領域（１６）と異なる曲率で湾曲させられた第２の角隅領域（３３）と有している、請求項１から６までのいずれか１項記載のリンクプレートエレメント。
8. 識別特徴（３０）が、リンクプレート（１０）に設けられた非対称的な孔を有している、請求項１から７までのいずれか１項記載のリンクプレートエレメント。
9. チェーン（２０）において、リンクプレートエレメント（１０）と、該リンクプレートエレメント（１０）を結合するロッカジョイントとが設けられており、該ロッカジョイントが、リンクプレートエレメント（１０）に設けられた切欠き（１４）内に係合しており、少なくとも１つのリンクプレートエレメント（１０）が、請求項１から８までのいずれか１項記載のリンクプレートエレメント（１０）であることを特徴とする、チェーン。

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