JP2009518438A - 核形態に基づく腫瘍幹細胞の同定および標的のための方法 - Google Patents

核形態に基づく腫瘍幹細胞の同定および標的のための方法 Download PDF

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Abstract

腫瘍幹細胞特異的分子を化学的に修飾する薬剤または処理を用いて、患者の腫瘍幹細胞を標的とし、それによって腫瘍幹細胞の増殖を妨げる工程を含む、腫瘍増殖を阻害する方法が本明細書に開示される。

Description

(関連出願)
本出願は、2005年12月9日に出願された、米国仮出願第60/748,951号の利益を主張する。上記出願の全教示は、参照によって本明細書に援用される。
(発明の背景)
科学者は、初期胚の細胞および組織に対する腫瘍細胞および病理学的組織構築物(奇形癌等)の類似を認識している。未分化ではなく正常な胚性幹細胞が、細胞数の急速な増加ならびに器官原基および次の器官発生への分化を論理的に含まなければならない未定義プロセスによって器官を生じることができた。悪性腫瘍は、初期胎児に類似する速度で増殖し、組織学的に未分化なニッチまたは正常組織の組織学的外観を有する組織化されたニッチのいずれかを含む。
細胞表面の複合抗原性グリコサミノグリカンに加えて、細胞接着および組織再構築に関わる分子である「癌胎児性抗原」、例えば、カドヘリン、カテニン、メタロプロテアーゼが、胎児組織および腫瘍の両方で発現される。
腫瘍は、初期胎児組織の低酸素条件下で酸素を低減するために、ミトコンドリアのアミノ酸使用を模倣する。
個体発生のような腫瘍形成は、拡大する幹細胞セットからの直系系統により進むように思われる。ヒト腫瘍からのわずかな部分の細胞のみが、免疫抑制げっ歯類の異種移植として新規腫瘍を形成する能力を有する。限界希釈の異種移植実験によって、これらは更なる幹細胞を含む新しい腫瘍を生じ、かつ元々の腫瘍に存在する表現型が混合した細胞集団を再生することができる点で、推定上の腫瘍発生細胞の中で1つ以上の細胞が幹細胞様特性を示すことが示されている。
腫瘍のモノクローナルの概念は1900年代初期に確立され、20世紀に、遅発性癌のほぼ全ての形態が長期の新生物発生前を通過し、これらの新生物発生前コロニー自身は、モノクローナルであり、生殖細胞DNAに由来する1つより多くの希少な細胞遺伝学的変異から生じることが決定された。21世紀の始めまでに、移植/希釈実験のための「幹」細胞を有する腫瘍細胞集団を濃縮する直接の試みによって、組織幹細胞が新生物発生前の起源となる可能性のある細胞であるだけでなく、腫瘍自身が「幹」細胞を含むことも示された。腫瘍は実際に道理的に十分に組織化された異種胎児構造物であるという現代の仮説の言い換えが、提唱されている。「癌胎児性」幹細胞は、数が増大することが予想され、腫瘍塊内で非常に異種なニッチを占める分化した細胞型を生じる。しかし、器官および腫瘍を発生する時の幹細胞のような細胞の認識は、まだ達成されていない。
幹細胞分野全体で使用される様々な抗原性マーカーは、しばしば高度に組織または腫瘍を再生することができる細胞を濃縮するために使用されている。しかし、これらの濃縮された集団内の細胞は、幹細胞として印付けるいかなる顕微鏡の形態学的細胞特性を示さなかった。腫瘍が単一の幹細胞から生じることが本当である場合に、分子および生化学検体の分析に十分な同種集団の幹細胞として同定および回収する手段が必要とされる。そこで初めて巨大分子アレイ技術(ゲノミクス、プロテオミクス、グリコミクス等)の能力およびマジック角度核磁気共鳴分光測定等の生化学分析の強力な形態に焦点を当てることができる。
(発明の要約)
本発明は、密接な環境における正常幹細胞または維持幹細胞に対する最小限の損傷の有無を問わず、腫瘍幹細胞を同定し、かつ腫瘍幹細胞を選択的におよび特異的に破壊する方法に関する。核分裂中に有意で利用可能な期間、ゲノムが実質的に単鎖DNA(ssDNA)である核を腫瘍幹細胞が含むという予期しない発見を本明細書に開示する。薬剤、例えば、ssDNAを標的とし、かつ改変する化学薬剤または酵素薬剤(例えば、アルキル化試薬、単鎖特異的ヌクレアーゼ、複製機構を標的とする薬剤、分離を標的とする薬剤および1つ以上の幹細胞特異的分子を標的とする薬剤)を用いることで、腫瘍幹細胞の核物質は、修飾ssDNAが二重鎖DNA(dsDNA)に戻るさらなる複製を起こすことができないように、破壊の標的とされる。腫瘍幹細胞特異的分子は、周囲細胞の細胞には存在しないが、腫瘍幹細胞、好ましくは核に存在する分子である。特定の腫瘍細胞に特異的な分子を標的とし得、それによって腫瘍幹細胞特異的分子の機能または活性の標的および破壊が腫瘍細胞増殖を妨げるかまたは阻害する。例えば、ssDNAの複製を妨げる任意の薬剤、例えば、DNAにハイブリダイズするが伸張され得ない分子、例えば、修飾オリゴヌクレオチドまたは核酸派生物、例えば、伸張に必要なγ-ホスフェートを欠く核酸またはペプチド核酸。患者の細胞または腫瘍組織に薬剤を送達するための方法が当該技術分野で公知であり、かかる薬剤がssDNAゲノムの複製を妨げて、それによって腫瘍幹細胞の増殖を妨げる。
一つの態様において、方法は、周囲細胞(例えば、維持幹細胞)の増殖を実質的に妨害または阻害せずに腫瘍幹細胞の増殖(例えば、核分裂または細胞分裂)の選択的な妨害または阻害に関する。特に、標的とされる幹細胞は核分裂を起こすが、該方法は、細胞の核に入ることができ、かつ核のssDNAを修飾または改変することができる薬剤と、細胞を接触させる工程を含み、標的とされる細胞のさらなる核分裂および細胞分裂の妨害または阻害をもたらす。
別の態様において、方法は、腫瘍幹細胞特異的分子(例えば、ssDNA)を改変または修飾する薬剤または処理を用いて、患者の腫瘍幹細胞を標的とし、それによってssDNAの複製を妨げるかまたは阻害し、最終的に腫瘍幹細胞の増殖を妨げるかまたは阻害する工程を含む、患者の腫瘍増殖を阻害する方法に関する。特定の態様において、薬剤は、細胞内で合成される腫瘍幹細胞特異的分子を標的とし、ベル形の娘核に分離する。一つの態様において、腫瘍幹細胞特異的分子は単鎖DNA(ssDNA)である。別の態様において、薬剤は、化学薬剤、放射性薬剤、酵素、または放射線処理であり、それによって腫瘍細胞特異的分子が標的とされる。
(発明の詳細な説明)
本発明は、腫瘍幹細胞、例えば分裂して腫瘍をもたらす細胞が、非対称核分裂を起こすという予期しない発見に関する。腫瘍組織を除く成体組織に見出されないベル形の核は、ゲノムが単鎖DNA(ssDNA)として表わされる期間を経る。非対称に分裂するベル形の核のこの特徴は、同定および破壊のための、かかる核を含む細胞、例えば腫瘍幹細胞の、特異的な標的を可能にする。ベル形の核を有する構造はヒト腫瘍における幹細胞様性質を有する。
ベル形の核が結腸および膵臓ヒト腫瘍の非有糸分裂プロセスによって対称および非対称の両方に分裂するという予期しない発見を確立した方法を本明細書に記載する(Gostjevaら, 2005, Cancer Genetics and Cytogenetics, in press)。これらのベル形の核は、管状合胞体に覆われ、全ての核の30%を含む5〜7週の胚後腸およびこれらが「未分化な」ニッチに多い腫瘍組織の両方において多数現れる。これらはいくつかの幹細胞様性質、特に「きまり文句」の非対称分裂ならびにヒト結腸新生物発生前および新生物発生組織の増殖速度と一致する核分裂頻度を有する(Herrero-Jimenezら, 1998, 2000)。これらの以前に認識されなかった核形態は腫瘍発生および分化の両方の供給源であり、従って癌治療戦略の標的である。
ベル形の核を含む構造(例えば、細胞、細胞様構造または合胞体)は、腫瘍幹細胞を表わす。核分裂の無糸分裂様式は、有糸分裂で分裂するように思われる胚(割球)性幹細胞および成体維持幹細胞では発現されない分子標的を定義する分子機構を必要とする。例えば、これらのベル形の核はゲノムがssDNAとして表わされる段階を経るという観察によって、これらの標的および破壊が可能とされる。どのようにベル形の核が空間的に組織化され、どのようにクロマチンが核中に分散され、特定の染色体が核ラミナ内部全体で特定の領域を占めるか否かの調査は、より特異的な治療標的研究を示唆し、核形態型(形状)と遺伝子発現との間の関係のさらなる理解を提供する。
ベル形の核からの非対称核分裂から最初から生じるが次に有糸分裂で分裂しアポトーシスで死滅するように思われる、胎児後腸、結腸腺腫および腺癌における別々の閉じた核形態の配列の発見を本明細書に開示する。成体組織に存在しない胚および腫瘍の共有された核形態セットは、腫瘍が成体器官の胚成長であるという19世紀の仮説を支持する(Cohnheim, J., Virchows Arch. , 65:p.64, 1875; Sell, S., Crit. Rev. Onc. Hematol, 51 :1-28, 2004)。
本明細書に記載される方法は、最先端の高解像度の顕微鏡および定量的画像解析技術に基づいた、結腸、膵臓、腎臓、卵巣および他の腫瘍のベル形の核に特別な強調をして、当業者が異なる形態型の核の細胞発生終点のインビボ解析を行うことを可能にする。
核構造、DNA含量ならびに細胞および合胞体のベル形の核における染色体の空間分布は、当業者に公知の方法、例えば、定量的イメージサイトメトリーおよび共焦点顕微鏡によって特徴付けられ得る。例えば、かかる技術は、当業者が全DNA含量を決定し、例えば二重鎖DNA(dsDNA)からssDNAを区別するアクリジンオレンジまたは鎖特異的DNAハイブリダイゼーションプローブ等の特定の試薬を使用することを可能にする。この情報は異なる形態、腫瘍型(結腸対膵臓)および腫瘍内のニッチとベル形の核を区別するために使用され得る。かかる技術はまた、DNA合成の進行を特徴付け、例えば、対称分裂中のベル形の核のDNA合成および分離ならびに非対称核分裂のいくつかの形態と関連するタンパク質の存在を検出するために使用され得る。
同種試料としてのべル形の核を有する細胞および合胞体の単離
本明細書および他(2005年6月17日に出願されたPCT/US2005/021504; および2005年6月17日に出願された米国出願第11/156,251号; 内容はその全体を参照によって本明細書に援用される)に記載される腫瘍組織調製の方法は、「カタパルト」圧力作動式レーザー顕微解剖の要件に適合され、代謝物および巨大分子の解析に適用され得る核形態のための同種細胞試料を作製し得る。かかる方法は、当業者が分裂を遅くするか、あるいはヒト腫瘍のベル形の核を含む構造をなくすための論理的標的を同定することを可能にする。
本発明の方法は、未固定の腫瘍調製物の核形態型を認識する手段に部分的に基づくので、ベル形の核を有する生細胞および合胞体の同種調製物がエクスビボで研究され得る。生きたベル形の核は、特有のDNA合成および分離の機構をより良く理解するため、および癌治療においてこれらのプロセスに干渉する手段を示唆するために研究され得る。
癌治療における「幹細胞標的」
既存する癌治療の方法の第一標的は細胞周期を移行する細胞である(Gomez-Vidal, J.ら, A., Curr. Top. Med. Chem., 4:175-202, 2004; Fischer, P.およびGianella-Borradori, A., Expert Opin. Investig. Drugs, 14:457-477, 2005)。移行細胞を提供するために分裂し、プログラム細胞死によって失われる終末細胞の損失を置き換える成体維持幹細胞と腫瘍幹細胞との間を移行する細胞の間で区別はされていない。治療は、患者を死なせることなく全ての腫瘍幹細胞を死滅する狭いウィンドウの養生を目的とする。しかし、成体維持幹細胞は、正味ゼロの細胞増殖の特性を有すると論理的に予測されるが、胎児幹細胞のように腫瘍幹細胞は、迅速な正味の細胞増殖に関わる定義によるものである。成体維持幹細胞分裂は、新しい維持幹細胞および最初に分化した移行細胞を生じる事実上非対称であるように思われる。腫瘍幹細胞は正味の腫瘍増殖を支持する連続対称核分裂を必要とする。細胞増殖抑制性治療または細胞破壊治療のための特定の標的が見出されたのは、腫瘍における対称的な「カップからカップ」核分裂を起こすベル形の核の発見にある。
独立したこれらの細胞破壊戦略の化学療法は、腫瘍が血管新生を妨げることで窒息され得るという仮説、例えば、FolkmanおよびIngber(Sem. Cancer Biol., 3:88-96, 1992)であった。他は、細胞分化を妨害することによる癌治療へのアプローチを示唆した。しかし、低酸素状態を作ることは幹細胞に関する限り、初期胚発生状態を再び作り出すことができ、抗脈管形成手段の治療効果ではなく緩和効果を説明し得る(Warburg, O., Biochem. Zeitschrift, 152:479, 1924)。腫瘍における分化を妨害することは、望ましくない結果と共に正常組織における分化を妨害し得る。幹細胞が短期間で腫瘍を再び増やし得るために現在の癌治療がやっと最低限に有効であるという理解は、成体維持幹細胞に対する腫瘍幹細胞に特有な分子的および生化学的特性のための探求への強力な刺激になる(Otto, W.,J.Pathol., 197:527-535, 2002; Sperr, W.ら, Eur. J. Clin. Invest., 34 (Suppl 2):31-40, 2004; Venezia, T.ら, PLoS Biol, 2:e301, 2004)。かかる分子的および/または生化学的特性の腫瘍幹細胞は癌治療の標的として働き得る。成体結腸上皮ではなく結腸腫瘍の対称分裂および非対称分裂の両方を起こすベル形の核の発見は、当業者が腫瘍幹細胞と成体維持幹細胞を区別することを可能にする(Gostjeva, E. ら, Cancer Genet. Cytogenet., 164:16-24, 2006)。
胚、幹細胞株および腫瘍における幹細胞の細胞発生
腫瘍幹細胞特性は正味の幹細胞増殖を達成する対称分裂ならびに自己更新および分化を達成する非対称分裂を含む。しかしながら、核分裂でのDNAの合成および分離を含む細胞周期進行の機構は、胚および腫瘍の幹細胞において、本質的に未調査のままである。この努力不足は、ヒトまたは組織における幹細胞を同定するための直接の細胞学的マーカーがない限りにおいて理解できる。マウス結腸の成体幹細胞における非対称の分裂および細胞株は、推定上の幹細胞における親DNA鎖の全ゲノムの(pangenomic)選択的分離の非常に重要な証明について調査された(Potten, C. et al., J. Cell Sci., 115:2381-2388, 2002; Merok, J. et al., Cancer Res., 62:6791-6795, 2002)。ランダムではない形での染色体の遺伝的伝達の幹細胞特異的様式のこの認識は、幹細胞特異的核形態および分裂様式であると思われる現在の認識に数十年間先行する(Cairns, J., Nature, 255:197-200, 1975)。
実施例1. 組織および腫瘍の供給源の確立
成体の組織および腫瘍の標本を、マサチューセッツ総合病院(Massachusetts General Hospital)病理学科の協力者により手術の廃棄物として入手した(Gostjeva, E. et al., Cancer Genet. Cytogenet., 164:16-24, 2006)。廃棄された匿名の腫瘍および組織の切片の使用は、W. G. Thilly教授の研究室を通じて実験対象としてのヒトの使用についてのMIT委員会(MIT Committee on Use of Humans as Experimental subjects)により承認されている。
組織の切除、固定、伸展及びDNA染色の方法の開発
以下の手順は、染色体および核の構造的および量的観察のために望ましい明確さでの組織および腫瘍の標本の核の可視化を可能にする。重要な要素は、手術の30分以内に固定された新鮮な腫瘍試料の使用および薄切りの標準手順を回避することである。ベル形の核は、明らかに組織および腫瘍の試料における自己分解の早期犠牲物であり、切除後の約45分にはもはや認識できない。標準の5ミクロン切片は、そのほぼ全てが5ミクロンを超える最小直径を有すると見出されたいくつかの核形状を通って単に薄切りにする。考案された特定の技術は、著しい進展の証拠である。
切除後30分以内に、はぎ取られた結腸粘膜などのシート(約1cm2)または腺腫、腺癌もしくは転移の厚さ約1mmの切片を、少なくとも3倍容量の新しく調製した4℃カルノア固定液(3:1、メタノール:氷酢酸)中に置く。新しい固定液を(45分毎に)3回置換し、その後、-20℃での試料の保管のために4℃の70%メタノールに置換する。高分子の部分加水分解およびDNA脱プリン化(depurination)のために、固定化した切片は蒸留水ですすぎ、60℃にて8分間、2mLの1N HCl中に置く。冷蒸留水ですすぐことにより加水分解を終了させる。顕微鏡のカバースリップを軽く押し付けて植物および動物の組織切片の伸展および観察を可能にする「組織浸軟」のために、すすいだ試料を45%酢酸(室温)に15〜30分間浸す。各浸軟切片を約0.5×1mm断片に分断し、5μLの酢酸とともにカバースリップの下の顕微鏡用スライドに移動する。組織伸展のため、5層のろ紙をカバースリップ上に置く。ピンセットの柄を、ろ紙に沿って一方向に軽く均一な圧力で着実に動かす。よく伸展した結腸組織において、陰窩が本質的に単層であるところに押し込まれるが、損傷した核はない。カバースリップをドライアイス上の凍結後に除き、スライドを1時間乾燥する。スライドをシッフ試薬で満たしたコプリンジャーに置き、室温にて1時間、脱プリン化DNAを部分的に染色(フォイルゲン染色)し、同じコプリンジャーにおいて、30秒間1回およびすばやく1回、2×SSC(クエン酸三ナトリウム8.8g/L、塩化ナトリウム17.5g/L)で2回すすぐ。その後スライドは、蒸留水で濯がれて、核の画像解析に適切となる(Gostjeva, E., Cytol. Genet., 32:13-16, 1998)。優れた解像度を達成するため、スライドをギムザ試薬でさらに染色する。2×SSCですすいだ直後に、スライドを1%ギムザ溶液(Giemsa, Art. 9204, Merck)中に5分間置き、次に、最初にSoerenssenバッファー(リン酸水素化二ナトリウム二水和物11.87g/L、リン酸二水素化カリウム9.07g/L)ですすぎ、その後、蒸留水ですばやくすすぐ。スライドを室温で1時間乾燥し、キシレンで満たしたコプリンジャー中に少なくとも3時間置き、油脂を除去する。カバースリップをDePex封入剤でスライドに貼り付け、高解像度スキャニング前に3時間乾燥させる。
あるいは、例えばコラゲナーゼIIなどのタンパク質分解酵素への曝露により浸軟を達成し、規定の核形態型を有する生細胞の単離を達成し得る。
顕微鏡および画像処理システム
本明細書で用いる量的画像解析のためのソフトウェアは、以前の衛星による監視システムから適合された背景抑制へのアプローチを利用する。この技術は、ドイツのKontron corporationにより買収され、その後それ自身がZeiss, Inc.に買収されている。電動式光学顕微鏡であるAxioscopeTM、パーソナルコンピューターに連結されるカラーCCDカメラであるAxioCamTM(Zeiss、Germany)からなる、カスタマイズしたKS-400 Image Analysis SystemsTM、Version 3.0、(Zeiss、Germany)を用いて、全ての画像を得た。フォイルゲン染色のみを用いた場合、可視光および560nmの(緑)フィルターを用いて、画像を1.4/100倍率の平面アポクロマート対物レンズで顕微鏡から転送する。フォイルゲン−ギムザ染色を用いる場合、フィルターは用いない。それぞれのスキャニングセッションの前に、フレームグラバーおよび最適な露光量を調節する。ピクセルサイズ0.0223×0.0223ミクロンで、核の画像を記録する。
胚腸
7つの別個の核形態型(大きな回転楕円形、凝縮した回転楕円形、卵形、豆形、葉巻形、ソーセージ形およびベル形)が胎児腸の試料の至るところから発見された(図1A)。ベル形の核は、凝縮した染色体に相似した凝縮したクロマチンにより開かれていると思われた(図1B)。ベル形の核は、線状の「頭のてっぺんからつま先まで」の方向性で、約20〜50ミクロンの管または合胞体内に組織化されていた(図2)。ベル形の核の「頭のてっぺんからつま先まで」のパターンは、平行な管が逆平行の方向性のベル形の核を局所的に持つように前後に蛇行した管以外の、観察した全ての胚管に保存された。
ベル形の核は、合胞体内のみで対称または非対称な無糸分裂を行なうことが観察された(図3)。ベル形の核の対称な無糸分裂は、二つの積み重なった紙コップの単純な分離と似ていた。最高解像度で、一対の染色体に似た凝縮したクロマチンは、ベルの「口」を開放状態に保つ環形を形成するように見えた。管状の合胞体の他に、有糸分裂はいくつかの「閉じた」核形態型のそれぞれについて頻繁に観察され、小さなコロニーが同一の核形態型の細胞からなることは明らかであった。特定の「閉じた」核形態が、図1に示すように初期の前期に保存されていた。
正常結腸上皮
陰窩におけるほぼ全ての核が、陰窩の基底から管腔表面に観察され得た(図4A)。個々の核形状が識別され得るように、多くの陰窩を伸展する。卵形または回転楕円形の核を有する細胞が、陰窩の基底のちょうど上から管腔へ伸びる上皮に並ぶ(図4C)。陰窩の基底の最初の約25個の細胞において、約2〜3ミクロンの厚さおよび約10ミクロンの直径の円板形のものとして特徴付けられ得る、潜在的に識別できる九つの核形態型が優勢であった(図4B)。細胞がよく分離された全ての陰窩の基底の1%未満において、唯一のベル形の核は明らかに円板形の核の中で識別された(図4Aおよび4B)。類似する低頻度のベル形の核が、成体の肝臓の調製物において観察されている。新生物発生または新生物発生前のいかなる病的兆候もない成体の結腸において、他の核形態学的バリアントは、1000を超える十分に伸展された陰窩の細胞毎のスキャンにおいて観察されなかった。
腺腫
腺腫は、それぞれが約2000個の細胞を有する正常な結腸陰窩と識別ができない、多くの陰窩を含んでいた。これらは、図5Aに示すように分枝状の形状で頻繁に見られた。正常の結腸陰窩におけるように、同じ回転楕円形および卵形の核が陰窩の壁に存在したが、正常の結腸におけるよりも頻繁にあり、陰窩の基底に1つまたは2つのベル形の核があった。不規則な小葉構造はまた、約8000個までの細胞を含んで観察され、その細胞は組織浸軟によってより容易に伸展された。不規則な構造のほぼ全てにおいて、ベルの開口部が該構造の本体の方向に方向付けられた2つ以上のベル形の核があった(図5B)。また、多くの多様な細胞および集団が、陰窩および不規則な構造の中で散在していた(図5C)。いくつかの規則的な構造が、約250、約500または約1000個の細胞を含む普通サイズの正常陰窩に成長しているように見えた。多くの細胞集団が、それぞれが一つのベル形の核を有する、正確に8、16、32、64および128個の細胞の「リング」として見られた(図5D)。
より高倍率の検査によって、陰窩様構造の壁の細胞のほとんどが、正常な成体結腸陰窩におけるように球形または卵形の核を有することが明らかにされた。卵形、葉巻形または弾丸形のいずれの核を有する細胞のコロニーが、不規則な小葉構造において見られ、いくつかの異なるコロニーの融合を示唆した。卵形および葉巻形の核を有するコロニーは、胚後腸において観察されていたが、弾丸形の核形態型は、腺腫および腺癌においてのみ見られた(図5E)。弾丸形の核形態型はまた、最初に現れる不規則な末端を有する非対称な無糸分裂によって、ベル形の核から生じた。弾丸形の核を有する細胞の小さなコロニーが見られ、これらのコロニーは、特殊な核形態が前期から後終期を通してある程度維持されたという興味深い事実を除いて、通常の有糸分裂をする細胞を含んでいた。
正常な成体結腸では稀であるが、ベル形の核は多くの腺腫の状況において頻繁に現れた。陰窩様構造間の場所において、いくつかは1〜10以上の「ベル」として見られた(図5D)。他のものは、回転楕円形または他の形態型の(2n-1)個の細胞を有する環において一つのベル形の核がいつも見られる多細胞環構造における単独の「ベル」として見られた(図5Cおよび5D)。
ベル形の核は単独のベルのように見られ、より頻繁には1対のベルまたは陰窩様構造の基底カップ内で時折4もしくは8個のベルのように見えた。より大きな不規則な小葉構造において、ベル形の核は他の核形態の細胞と混ざった異常な構造の壁の中に解剖的に統合されていた。これらのより大きく不規則な陰窩様構造は、それぞれがそれ自身の核形態型を有する、多様な異なる種類のクラスターのモザイクであるかのように見えた。大きな腺腫(約1cm)は、約1000個のベル形の核を含むと推定された。何百のベル形の核が多様な腺腫のそれぞれで観察されているが、胚の切片において頻繁に見られる対称型の核分裂ではいかなる腺腫においてもベル形の核は1つも観察されず、非対称な核分裂のいくつかの例は腺腫において観察されている。
腺癌
腺癌は腺腫のように、陰窩、より大きな不規則な構造ならびに16、32、64および128個の細胞の陰窩内クラスターの混合物を含んだ。ベル形の核は、陰窩の基底カップにおいて、シングレット、一対またはより多数で、依然として見られ、より大きく不規則な小葉構造の壁における複雑な渦巻に埋まっていた(図6)。腺癌における核形態型の一式は、弾丸形の核形態型を含む腺腫で見られる一式と同一であるように見える。
腺腫と腺癌との間で認識できる差異は、陰窩様構造が腫瘍表面に関してランダムに方向付けられていたことであった。陰窩および不規則な構造はまた、腫瘍内に頻繁には見られず、より小さな、局所的に組織化された構造の、無秩序ではなく折衷的な集団としてよりよく特徴付けられ得た。
腺癌が腺腫と異なる最も顕著な差異は、数百を超えるベル形の核の明確に組織化された集団の頻繁な出現であり、その多くは頻繁に(約1%)対称な核分裂に関与した。これらの対称な分裂は、凝縮された核物質を含むことが後に確認された。ベル形の核は、正常な半数体細胞と等しいDNA量を有する。ベル形の核は「カップからカップ」の対称な分裂を行い始めると、DNA含量は半数ゲノムに含まれるDNA量の1.05倍に増加する(動原体が複製される場合、増加は約1倍と予想される)。DNA含量は、2個の核がDNA物質量の2倍を含む時点の「カップからカップ」の過程のかなり後まで、このレベルであり続ける。ゲノムが主にssDNAに組織化されるのは、恐らく動原体のみが複製され、ゲノムの鎖が分離される段階の間である。該過程のかなり後の複製までゲノムは再びdsDNAにならない。
低倍率で、これらの構造は、陰窩様構造間の場所に見られ、くもの巣または葉脈骨格のように見えた。より高倍率で、細い脈は、脈の軸から90°である同じ方向に方向付けられた口を有するという、奇妙な特徴を有するベル形の核を有する細胞の部分的に並んだ鎖として見られた(図6C)。ベル形の核はまた、腺腫ではなく胚腸において観察される「頭のてっぺんからつま先まで」の方向性で局所的に範囲を定められた合胞体(図6C)において見られた。何百万のベル形の核は、頻繁な対称および非対称な無糸分裂を有する腺癌性の塊に存在すると推定される(図6Dおよび6E)。結腸直腸腫瘍の肝臓への転移は、腺癌で観察される核形態型、陰窩および不規則な構造のパターンとは一見したところ区別ができないそれらのパターンを再現した。
3D保存の単独のベル形の核および対称に分裂した一対のベル形の核の共焦点顕微鏡検査
3D保存の単独のベル形の核および対称に分裂した一対のベル形の核の共焦点顕微鏡検査を実施するため、Whitehead InstituteのImaging CenterにてDeltaVision(登録商標) RT Restoration Imaging Systemを用いる。該システムは、核画像の復元のために実時間2D解析および3D Z投影を提供する。
核の細胞質の対比染色(FITC-ファロイジン)および核の対比染色(DAPI)を用いて、ベル形の核の内部構造を調査した。「加水分解」浸軟によるフォイルゲン染色と同じ手順の後に、細胞をスライド上に伸展する。相違点は、二つの異なる固定液における固定を用いて結果を比較することである:カルノア固定液(4℃)および3.7% ホルムアルデヒドで15分間、および100mLのPBS(室温)中の2% BSA(2g)、0.2% 脱脂乳(0.2g)、0.4% triton X-100(400μL)中のブロッキング溶液で2時間であり、後者は生組織細胞の固定に推奨される。組織がその上に伸展した顕微鏡スライドを、PBSで2回洗浄した後、湿度槽に移動し、ブロッキング溶液で適当に希釈した一次抗体の100mLの液滴を滴下して伸展物の全体範囲を覆い、カバースリップの上をゴムセメントで密閉し、アルミ箔で包んだ容器中に置き、涼しい部屋の湿度槽に一晩置く。その後、密閉を解いたスライドをPBS中で3回洗浄する。スライドを取り出し、ブロッキング溶液で適当に希釈した二次抗体の100μLの液滴および/または細胞染色液(例えば、FITC-ファロイジン、DAPI)を置いて細胞伸展物を含む範囲を再度覆い、容器に設置される湿度槽に移動する。容器/湿度槽を密閉し、アルミ箔で包み、2時間室温に置く。スライドをPBS中で5回洗浄し、それぞれが封入剤(アンチフェードのSlowFade、VectaSheildまたはProLong)の2〜5μLの液滴を有するように調製する。カバースリップをマウントして過剰なPBSが除去されるのを確実にする(カバースリップの角をペーパータオルにあてる)。カバースリップを完全に降ろす前に、その縁を封入剤に差し込むことによって、マウンティングの間に形成される気泡の数を制限する。マニキュア液を用いてカバースリップをスライド上で密閉し、スライドを4℃(または、より長い期間-20℃)にて暗所で保管する。スライドをDeltaVision(登録商標) RT Restoration Imaging Systemを用いて可視化する。
フォイルゲン-シッフ手順は、DNAの細胞化学的局在および化学量論について正確であることが立証されており、核のDNA含量を測定するのに用いられた。フォイルゲン-DNA(色素-リガンド)複合体の分子の吸光度を測定することによって、DNA含量を単独の核において測定した(Kjellstrand, P., J. Microscopy, 119:391-396, 1980; Andersson, G. and Kjellstrand, P., Histochemie, 27:165-200, 1971)。KS 400画像解析システム(Zeiss Inc, Germany)から適合したソフトウェアを用いてそれぞれ個々の核の全体範囲を統合した光学密度(IOD)を測定することによって、非分裂(間期)および分裂したベル形の核を測定した。
この特定の画像解析ワークステーション(図9D参照)は、Carl Zeiss Inc. engineersで組み立てられ、コンピュータに接続したAxioCam カラーCCDカメラ(Zeiss)と一体となった顕微鏡Axioscop 2 MOT(Zeiss)からなり、初期の前期染色体測定において、ピクセル当たり約1000bpのDNAである核および細胞の構造の高解像度画像顕微鏡検査ができる。したがって、間期の核における約1Mbの対の凝縮したクロマチンドメインの正確な測定が可能である。倍率、露光量および560nmの緑のフィルターを用いる核の閾値設定(輪郭削り)の定数パラメータ下で画像をスキャンした。DNA含量測定のこのやり方は、最も正確な結果として有望であるため選ばれた(Biesterfeld. S. et al., Anal. Quant. Cytol. Histol., 23:123-128, 2001; Hardie, D. et al., J. Histochem. Cytochem., 50:735-749, 2002; Gregory and Hebert, 2002; Gregory, 2005)。
間期および核分裂中のベル形の核における全ての24のヒト染色体の空間分布を明確にするための蛍光インサイチュハイブリダイゼーション
ベル形の核の上に「リング」として現れる凝縮に全染色体が関与するかを決定するために、FISHを用いた。基本的に、「リング」における染色体の標識は、ベル形の核が異なる形態の核を生じる際の染色体の変形(図10Bに示すように)を分析する手段、ならびに核形態よりはむしろ他の手段によりこれらの核を認識するための蛍光マーカーの開発として予見される。
スライド当たり多くて(not more then)1〜5×107個の細胞の腫瘍細胞をスライド上に伸展する。スライドを細胞伸展の二つの異なるやり方:一つはフォイルゲンDNAイメージサイトメトリーのための手順で用いるやり方、もう一つは結腸鏡検査の生検標本由来の上皮細胞の単離のためにGibsonによって提案されるやり方(Gibson, P. et al., Gastroenterology, 96:283-291, 1989)で固定する。後者は要するに、手術の30分以内に腫瘍組織を取り出し、直ちに50mLの冷ハンクス平衡塩類溶液中に置き、その後洗浄する。その後、標本は手術用メスの刃で細分化し、4mLのコラゲナーゼ-ディスパーゼ(Dispase)培地((1.2U/mlのディスパーゼ I(Boehringer Mannheim Biochemicals, Indianapolis, Ind.)および50U/mlのコラゲナーゼIV型(Worthington, Biochemical Corp., Freehold, N.J.)を含む培地中で1.5時間消化する。ペレットを、カバースリップ上に軽く滑らせ押し付けて、顕微鏡スライドの表面に伸展する。「加水分解」浸軟による伸展は、細胞伸展のためのコラゲナーゼ-ディスパーゼ処理を適用した後に、ベル形の核形態にいくらかの変形が生じたかどうかを調べるための正のコントロールとして役立つ。調製したスライドを乾燥し、37℃に一晩置く。その後、氷冷70%エタノール、氷冷80%エタノール、室温100%エタノール中でそれぞれ2分間、スライドを順次脱水し、完全に乾燥し、72℃にて2分間、70%ホルムアミド/2×SSC中で変性させ、同じ順序で直ちに再度脱水し、完全に乾燥する。7μLのハイブリダイゼーションバッファー、2μLの滅菌水、および1μLのプローブを含むハイブリダイゼーション混合物を調製する。混合物を、72℃にて8〜12分間、変性させ、直ちにスライドに加え、次いでカバースリップを乗せ、ゴムセメントで密閉し、37℃にて暗所の加湿箱に一晩置く。
その後、冷70%エタノール、冷80%エタノール、室温100%エタノール中でそれぞれ2分間、スライドを脱水し、酢酸変性の程度によって、72℃にて50〜60秒間、70%ホルムアミド、2×SSC中で変性させる。冷70%エタノール、冷80%エタノール、室温100%エタノール中でそれぞれ2分間、スライドを再度脱水する。ハイブリダイゼーション混合物は、7μLのハイブリダイゼーションバッファー、1.5μLの滅菌H2O、および1.5μLを含む。Spectrum Orange蛍光色素またはSpectrum Green蛍光色素のいずれかを含むWhole Chromosome Paint probe(Vysis)を用いる。ハイブリダイゼーション混合物を、72℃にて5〜10分間、変性させ、続いてスライドを完全に乾燥する。ハイブリダイゼーション混合物をスライドにおき、カバースリップを乗せ、ゴムセメントで密閉する。その後、スライドを加湿箱中で37℃にて一晩インキュベートする。次の日、42℃にて2回、それぞれ8分間、50%ホルムアミド、2×SSC中でスライドを洗浄する。その後、37℃にて8分間、2×SSCでスライドを洗浄し、次いで室温でそれぞれ1分間、1×PBD(0.05% Tween、4×SSC)中で3回洗浄する。その後、10μLのDAPI II Antifade、125ng/mL(Vysis)およびカバースリップを加える。過剰のDAPI II Antifadeをふき取り、スライドをゴムセメントで密閉する。画像スキャンニング手順の前に、スライドを-20℃の暗所で保持する。
ベル形の核の核分裂前、核分裂中、核分裂後のDNA合成を追跡するための定量的DNAサイトメトリーの使用
本明細書中に記載される技術は、ヒトの細胞培養における有糸分裂中の、任意の二つの核または後終期の姉妹核の間の2%ほども低い差違の検出を可能にする。これらの技術は、いつベル形の核を含む細胞または合胞体によりDNAが合成されるかを決定するのに用いられた。この技術は、核分裂の過程にあると思われる核をスキャンすることを含んだ。一般に、胎児のベル形の核は、同じ染色されたスライド上でヒトリンパ球のDNA含量と比べて2倍体のヒト細胞のDNAの期待量を含むことが留意される。また、ヒトの新生物発生前の病変および腫瘍のベル形の核におけるDNA量は、平均して2倍体のDNA量よりも大きい平均値の周りの広いばらつきを示すことが留意される。測定は、もう一つの全く予期しない発見:DNA合成が、ベル形の核を含む対称および非対称な核分裂の両者の核分裂の過程に先立つというよりもむしろ調和していることを明らかにした。単独の核の量からの総DNA含量の増加が明確に検出される前に、核は「カップからカップ」の分離の過程が進んでいるように思われる。DNAの総量は、明らかに分裂開始している核における単独の腫瘍核の平均に近似する低い値から増加し、ちょうど分裂を完了したと思われる核における平均の核含量の約二倍に達する。
実施例2. 胎児の器官形成における合胞体のベル形の核
ベル形の核を生ずるヒト胎児の調製物において、一連の以前は認識されなかった核形状が同定された。これらの形状は、最初の管状の合胞体として5週目に検出され、ベル形の核を含んだ。これらの例は図13A〜Dに示される。このことは、初期の胚形成の有糸分裂の球形の核から、発生上の「幹」細胞系統の正味の増殖および分化を表す、後期の無糸分裂のベル形の核への形態的変化を明らかにする重要な発見であった。
例えば、筋肉、発生中の四肢、神経組織、および胃、膵臓、膀胱、肺および肝臓を含む内臓を含む一連の組織調製物において観察される通り、これらの発見は組織型にわたって一貫している。合胞体は、発生中の臓器の塊内に規則正しく間隔をあけて、それぞれが約16のベル形の核を有する約16〜24の合胞体のクラスターとして見出される。合胞体は、使用できる最小限に発生したヒト物質(約5週)において明らかであり、13週目までに消失した。12週後、ベル形の核は、各臓器に特有な方法で三次元において規則正しく分布される。
図13Aは、球形または少し楕円形の核の長軸周りの「ベルト」として、総DNA含量の約10%の凝縮を有する核を示す。図13Bは、二つの凝縮した核の「ベルト」が分離したように思われるが依然として単独の核の一部である核を示す。図13Cは、図13Bの二つのベルトをもつ核の分裂により生じたと思われる一対の核を示す。図13Dは、各合胞体が、図13Cにおけるようにその直線的中間点で開口部が向かい合う単独対のベルの一組のベルを含むことを示す。これらの画像は、一連の対称な分裂が中心の対から押しやって核を生み出すことを我々に示唆する。合胞体構造は、四つのベル形の核ほどの小さな集団において検出される。
発癌の核形態型の研究において、核は、楕円形の核の長軸周りの1つまたは2つの類似のベルトを、結腸の腺腫(図14A)および腺癌(図14B)においてわずかな数で示した。この発見は、腫瘍形成が、外観の逆順ではあるが、腫瘍形成提示の多くの主要な表現型の移行段階を共有するという一般的仮説の支持を確立し、支持を広げる。
ヒト動原体に特異的なFISH染色
合胞体外のベル形の核は、実際にヒトDNAを含む。ほとんどの動原体は、胎児の試料におけるベル形の核の開口部の凝縮DNA領域と関連がある。興味深いことに、標準FISH手順では、合胞体内のベル形の核または他の形の核を染色せず、合胞体の収縮要素を含む鞘が、FISH試薬の侵入を阻害し得ることを示唆する。図15は、ヒト12週の胎児の結腸の組織由来の、球形の核(図15A)、「葉巻」形の核(図15B)およびベル形の核(図15C)における(緑の)動原体を示す。
姉妹核のDNA含量はベル形の核の胎児の無糸分裂において均等であるが、これらは起源である複数の組織由来のヒト腫瘍におけるベル形の核の無糸分裂における過度の不均等なDNA分離を示すことも観察された。結腸の新生物発生前のポリープのベル形の核の間で無糸分裂の例はないが、不均等なDNA区分化は新生物発生前ならびに新生物発生において働くが、ベル形の核の胎児の分裂においては働かない現象であることを、ポリープで認められた数十のベル形の核の間でのDNA含量の著しいばらつきが示唆することが留意される。これらの観察結果は、腫瘍組織および胚組織が類似の組織学的特徴を有するというVirchowおよびCohnheimの観察を拡大し、一方でまた、有糸分裂における腫瘍細胞が、全ての腫瘍細胞に共通な異常な染色体の大きな断片を示すというBoveriの観察を拡大し、不安定な染色体の形成または分離における初期の共通な起源を示唆する。
マウスにおける核形態
特にベル形の核を含む核の様々な形状の全て、図13A〜Dとほぼ同一である形態の前合胞体および合胞体の形状は、12.5日目に最初に検出された前合胞体形状の胎児マウスの組織において、次いで胎児マウスにおける臓器の定義の期間に密接に並行する14.5〜16.5日目の胎児において見られた。ヒトの観察結果を考えると、マウスにおけるこれらの発見は当然である一方、ヒトでは倫理的でないかまたは可能でない、ヒト以外の種における器官形成の研究の広範な可能性を広げる。
5週から16週の妊娠期間にわたる固定した胎児の廃棄物の品質の試料において、合胞体はもはや明らかでないが、ベル形の核は臓器成長期を通して規則正しいパターンで分布する。
実施例3.
原腸の豊富な合胞体およびベル形の核を用いて、染色体の位置および染色体の成分、さまざまな収縮分子(例えば、アクチン)ならびに「幹細胞マーカー」と一般に命名されたマーカーを含む他の特定可能なマーカーを規定するために、FISHを含む一連の組織化学的手順を適用する。本明細書に記載される技術は、ZEISS-P.A.L.M.顕微解剖機器を用いて合胞体および個々の核を回収する仕事に適用される。成功の判断基準は、10,000個の核の同等物と同じまたはそれより大きい数の、細胞mRNA、最も一般的なタンパク質およびグリコサミノグリカンのスキャンニングに十分な数の、合胞体形状または核の形態型に関して同種の一連の試料の回収である。
本発明をその好ましい態様に関して特に説明し記載するが、添付の特許請求の範囲に包含される発明の範囲を逸脱することなく、形態および詳細における種々の変更が本明細書でなされ得ることを当業者は理解する。
図1は、重要な画像の要約である。A)ヒト胎児腸、正常結腸粘膜、腺腫および腺癌の間期および初期分裂前期(E.P.)細胞で観察された核形態型の例。B)胎児腸のベル形の核の高解像度画像(x1400)。凝縮DNAは、中空のベル構造の開口を維持する輪を作るように見える。スケールバー、5μm。 図2AおよびBは、5〜7週の胚腸の画像である。図2A:位相差画像(左フレーム)および染色核画像(中央)および合成画像(右)は、約50ミクロン直径の管状合胞体内の直線配列の核を示す。図2B: 核の高解像度画像は、中空のベル形構造を示す。べルの「頭からつま先」配向は観察される全ての胚管に保存されるが、平行な管が局所的に非平行なベル形の核の配向を有し得るように管が前後に蛇行する。スケールバー、低倍率で50μmおよび高倍率で5μm。 図3A〜Dは、胎児腸におけるベル形の核の核分裂の画像を示す。図3AおよびB:対称核分裂。ベル形の核が同様な形状のベル形の核から出現する。図3CおよびD:非対称核分裂。ベル形の核から出現する球形の核、および「葉巻」形の核。スケールバー、5μm。 図4A〜Cは、正常成体結腸陰窩からの画像を示す。図4A:約2000の回転楕円形、球形、または円板形の核の陰窩は、陰窩の底部に位置する認識可能なベル形の核(矢印)を時折(<l/100)含んだ。図4B:別のベル形の核を示す陰窩の基部。図4C:十分に伸展した陰窩における壁および管腔表面の間期の核および有糸分裂の核の形態型。拡大画像は:(i)球形および卵形の間期核、(ii, iii)初期の分裂前期の球形の核および楕円形の核、ならびに(iv)後終期の核を示す。スケールバー、低倍率画像で100μmおよび高倍率画像で5μm。 図5A〜Eは、腺腫からの画像を示す。図5A:腺腫の特徴的な大きな分枝陰窩。図5B:腺腫全体で見出された不規則な陰窩様構造。典型的に2つ、しかし時々1、4または8つの、ベル形の核(挿入)は、これらの大きく(>4000細胞)不規則な陰窩様構造の基部に見られる。図5C:1つのベル形の核を含む同様の核形態型の細胞のクラスター。これらの形態のクラスターは正確に16、32、64および128個の全細胞を含む。左パネル、フォイルゲン-ギムザ染色。右パネル、位相差自己蛍光画像。図5D:ベル形の核が腺腫に見られる状況:(i)31個の卵形の核および1つのベル形の核を有するクラスター、(ii)肩から肩配置の多数のベル形の核、(iii)並んだパターンで配列したベル形の核(矢印)(iii)。発生期の陰窩基部を示唆するいくつかのベル形の核を有する約250個の核の不規則混合。図5E:基部で1つのベル形の核(矢印)を有する5つの異なる核形態型のクローナルパッチ(clonal patch)を明らかに含む不規則な陰窩様構造。スケールバー、100μm(「a、b」において)および5μm(「e」において)。 図6A〜Eは、腺癌からの画像を示す。図6A:区切り点をしばしば有する分枝を有する、非常に大きな陰窩様構造(>8000細胞)。矢印は、腫瘍表面近くに主に見出される約250個の細胞の陰窩様構造の例を示す。図6B:複数のベル形の核を有する内部腫瘍塊(全核形態型の約3%)。図6C:頭からつま先の合胞体および非合胞体の並んだ配置に向く図6Bのベル形の核。図6D:腺癌の対称核分裂。図6E:腺癌の葉巻形の核を作るベルの非対称核分裂。同様の構造は結腸から肝臓への転移に観察された。スケールバー、5μm。 図7A〜Dは、ヒト組織および細胞の研究における定量的イメージサイトメトリーの段階のイラストである。図7A:固定用に準備された新鮮な結腸の外科的廃棄物。図7B:ポリープからの1mm切片の伸展結果を示す顕微鏡スライド調製物(「上部から底部まで」ポリープの位置の輪郭を描く)。図7C:全陰窩で観察可能な細胞核伸展(マゼンダ色)。上記に示される5μ切片(BrdU染色およびH&M染色)と比較して陰窩核の全てが保存される。図7D:電動式Axioscop顕微鏡-AxioCamカラーCCDカメラ-KS 400ソフトウェア画像解析ワークステーション。 図8AおよびBは、腫瘍の非分裂および分裂ベル形の核を調査するためにFISHを適用した「目的の標的」のイラストである。図8A:クロマチン(μm2あたりより高いDNA含量のためにより濃く染色される)は、2つの平行な円として配列した前期染色体に類似する独特の構造を作る。図面に置かれたこれらの円は特定の染色体がベル形の核のこの特定の部位で見出され得るという予測を例示する。図8B:ベル形の核の非対称分裂を通じて起こる想像上の変形(ここでは「ベルから楕円」形の核)としてのクロマチン分布および特定の染色体位置変化。 図9A〜Dは、TK-6ヒト細胞の球形の核における染色体11の蛍光インサイチュハイブリダイゼーションの結果を示す画像である。図9A:前期染色体伸展における2対の染色体。図9B:球形の核のDAPI核染色。図9C:FITC蛍光プローブでハイブリダイズした同じ染色体対。図9D:DAPIおよびFITC間期染色体染色の合成画像。バーのスケール、5ミクロン。 図10は、合胞体に配列されるベル形の核の対称核分裂の画像を示す。 図11は、核分裂を起こすベル形の核におけるDNAの局在を示す画像を示す。 図12は、ベル形の核の核分裂中の核物質の配置および組成(ssDNAまたはdsDNA)を示す。 図13A〜Dは、以前に認識されなかった一連の核形態を示すヒト胎児調製物からの画像を示す。これらの形態は最初のベル形の核を生じる。図13Aは、球形または少し楕円形の核の長軸の周りの「ベルト」として全DNA含量の約10%の凝縮を有する核を示す。図13Bは、2つの凝縮した核の「ベルト」が分離したように見えるがなお単一核の一部である核を示す。図13Cは、図13Bの2つのベルトを持つ核の分裂によって生じたように見える1対の核を示す。図13Dは、各合胞体が図13Cのようにベルの直線中点で口が向かい合う単一対のベルを有する1セットのベルを含むことを示す。これらの画像は一連の対称分裂が中心対から押し出されて核を作ることを示す。 図14AおよびBは結腸腺腫(図14A)および腺癌(図14B)の核形態型を示す。発癌の形態型は楕円形の核の長軸の周りの1つまたは2つの類似するベルトを示す。 図15A〜Cは、ヒト動原体に特異的なFISH染色を示す。図15は、ヒト12週胎児結腸の組織に由来する球形(図15A)、「葉巻」形(図15B)およびベル(図15C)形の核における動原体(明るい)を示す。

Claims (12)

  1. 腫瘍幹細胞特異的分子を化学的に修飾する薬剤または処理を用いて、腫瘍幹細胞を標的とし、それによって腫瘍幹細胞の増殖を妨げる工程を含む、腫瘍幹細胞を阻害する方法。
  2. 腫瘍幹細胞特異的分子がベル形の娘核に合成および分離される、請求項1記載の方法。
  3. 腫瘍幹細胞特異的分子が単鎖DNA(ssDNA)である、請求項1記載の方法。
  4. 薬剤が化学薬剤である、請求項1記載の方法。
  5. 薬剤が酵素である、請求項1記載の方法。
  6. 処理が放射線である、請求項1記載の方法。
  7. 腫瘍幹細胞特異的分子を化学的に修飾する薬剤または処理を用いて、患者の腫瘍幹細胞を標的とし、それによって腫瘍幹細胞の増殖を妨げる工程を含む、患者の腫瘍増殖を阻害する方法。
  8. 腫瘍幹細胞特異的分子がベル形の娘核に合成および分離される、請求項7記載の方法。
  9. 腫瘍幹細胞特異的分子が単鎖DNA(ssDNA)である、請求項7記載の方法。
  10. 薬剤が化学薬剤である、請求項7記載の方法。
  11. 薬剤が酵素である、請求項7記載の方法。
  12. 処理が放射線である、請求項7記載の方法。
JP2008544572A 2005-12-09 2006-12-08 核形態に基づく腫瘍幹細胞の同定および標的のための方法 Withdrawn JP2009518438A (ja)

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