JP2009518334A - ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体を含有する泡状ウェハ - Google Patents

ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体を含有する泡状ウェハ Download PDF

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Abstract

本発明は、身体開口部または体腔内に少なくとも1種の活性物質を放出するための、水性媒体中に溶解または崩壊するシート状投薬形態であり、空間または空洞を含有する固化した泡の形態のポリマーマトリックスならびに少なくとも1種の医薬用または化粧品用活性物質を含む前記投薬形態に関する。前記投与形態は、マトリックスのポリマーがポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体であることを特徴とする。本発明はまた、かかる投薬形態の製造方法に関する。

Description

口腔粘膜を介して活性物質を投与するために、口腔内に活性物質を放出する口腔または舌下錠剤が通常利用される。他の経口投薬形態と比較して、口腔粘膜を介する活性物質の吸収は、例えば、飲み込むのが困難な患者にさえも経口経路を介して医薬を投与することができる、腸排泄が回避されるから作用の発現が迅速である、および活性物質の利用が高いという利点を有する。
既知の口腔および舌下錠剤の代わりの投薬形態として、シート状、ウェハ状の投薬形態が知られ、「ウェハ」と呼ばれる。
US 5,529,782には、主に避妊薬の投与のための可溶性ポリマー材料または複合多糖類の急速溶解が可能なデバイスが記載されている。このデバイスは、厚さが3〜4.5mmあり、その溶解度は、その投与後5〜60秒以内に溶解するよう調整可能である。このデバイスは、ガスと共に発泡させることにより形成した空洞を含む積層の形態で提供することを意図する。
EP 0 450 141 B2は、医薬を投与するための担体材料であり、唾液との接触の際に急速に溶解する。この担体材料は、多孔性の、脱水した、骨格状の担体物質であり、特に、担体材料は、タンパク質および多糖類をベースとした骨格状の担体物質である。脱水により作り出された空洞は、液体の活性物質を導入するのに使われる。上記の先に発行された刊行物に記載されたゼラチン−多糖担体もまた、ウェハを形成するのに使用することができる。脱水された担体物質が遅くとも唾液と接触する際に再水和し、それによりそれらの表面に接着性が付与されることから、かかる接着性が生じる危険性があるにもかかわらず、かかるウェハが接着する傾向を減らす方策が示されていない。
WO 98/26764には、液体との接触の際に急速に溶解する活性物質を含有するフィルムの形の投薬形態が記載されており、脂溶性相は、外側の水溶性相中で小滴の形態で分布している。
WO 00/18365には、急速溶解性であることを意図するが、また、抗菌物質を送達し、口腔細菌叢中の不要な微生物の数を減らすために、口腔粘膜に良好に接着することもできる食用フィルムが記載されている。これらの抗菌物質は、好ましくはプルランをマトリックス材料として含有する水性相と親油性相として混合するエーテル油である。
US 2001/006677には、口腔粘膜に直ちに接着するフィルム状の、発泡性および水溶性または水膨潤性の投薬形態が開示されている。
WO 02/02085には、口腔内にまたは他の身体開口部内に活性物質を放出するための急速崩壊性投薬形態が記載されており、前記投薬形態は、基体として少なくとも1種の水溶性ポリマーを含有し、空洞が付与されたマトリックスを含む。
WO 2004/060298には、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体および活性物質を含む、医薬用活性物質の経口投与のための急速溶解性フィルムが記載されている。
WO 2005/009386には、化粧品用または医薬用活性物質の経口適用に使用することができる急速溶解性フィルムが開示されている。これらのフィルムは、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体がベースとなっている。
それらのシート状形態および滑らかな表面のため、既知のウェハは、粘膜接着投薬形態として設計されていないとしても、口蓋にまたは口腔内の粘膜の他の表面にしっかりと接着および粘着する傾向がある。この悪影響は特に、ウェハの崩壊時間が、とりわけ、その厚さに依存し、より厚いウェハは薄いものに比べてよりゆっくりと崩壊することから、比較的厚いウェハにて生じる。結果として、特に比較的厚いウェハの場合、表面が溶解しているポリマー層から形成される粘着性のあるどろどろしたフィルムについての知覚は、特に重要である。
ウェハが口腔粘膜にしっかりと接着および粘着するとき、関係する者は、口腔内に嫌なまたは邪魔な感覚を有し、それは「食感」と呼ばれる。ウェハが原因の感覚を改善するために、前記投薬形態のポリマーマトリックス内に空間または空洞を有する、水性媒体中に迅速に崩壊または迅速に溶解するシート状投薬形態を提供することが、WO 02/02085に提案されており、前記空間/空洞の含量は、集合状態の観点からマトリックスと異なる。
しかしながら、WO 02/02085によると、シート状投薬形態の「食感」もまた、敏感な人でさえもかかる投薬形態を摂取するときに口腔内に嫌なまたは邪魔な感覚を有することを確実にするために、改善が必要であることが、試験によって示された。
したがって、本発明の根底にある課題は、嫌なまたは邪魔な感覚を前記投薬形態を摂取する際に口腔内に感知することなく、身体開口部または体腔内に、好ましくは口腔内に少なくとも1種の医薬用または化粧品用活性物質を迅速に放出するための、水性媒体中に急速に崩壊または急速に溶解する固化した泡の形態のシート状投薬形態を提供することであった。
ウェハと呼ばれるまたは固化した泡として知られる投薬形態の別の欠点は、それらの製造に時間およびエネルギーを消費するような処理があることである。したがって、既知の製造方法において、部分的にけん化されたポリビニルアルコールを通常、80〜90℃の温度で溶解する。この処理ステップは、約2〜3時間かかる。加えて、これは、発泡させることができる前の、溶液のための冷却時間の延長、または溶液の積極的な冷却の必要条件を伴う。
したがって、本発明の根底にある別の課題は、身体開口部内に活性物質を放出するためのシート状投薬形態の製造方法を提供することであり、該投薬形態は、固化した泡の形態で存在し、水性媒体中に急速に崩壊または急速に溶解し、前記方法は、エネルギー費および/または処理時間の観点から既知の生産方法の欠点を除去する、または少なくとも低減させる。
上記課題は驚くべきことに、ポリマーマトリックスがポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体の固化した泡の形態で存在しているシート状投薬形態を提供することにより、また、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体が少なくとも1種の活性物質を含有する前記シート状投与形態用の固化した泡を製造するために使用される方法を提供することにより、解決される。
本発明の投薬形態は、身体開口部または体腔内に少なくとも1種の活性物質を放出するための、水性媒体中に溶解または崩壊するシート状投薬形態であり、前記シート状投薬形態は、空間または空洞を含有する固化した泡の形態で存在しているポリマーマトリックス、ならびに少なくとも1種の医薬用または化粧品用活性物質を含む。本発明の投薬形態において、泡の前記空間または空洞は、ガス、ガス混合物、液体または液体混合物で充填されている。本発明の投薬形態は、マトリックスのポリマーが、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体であることを特徴とする。
好ましいポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体は、Kollicoat(登録商標) IR(BASF AG、Ludwigshafen)という商品名で販売されているポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体であり、75%のポリビニルアルコール単位および25%のポリエチレングリコール単位からなる。
Kollicoat(登録商標) IRは、水溶性ポリマーであり、錠剤用被覆剤またはスプレーおよび経皮治療システムにおけるフィルム形成剤として使用することができる。
本発明の投薬形態の空間または空洞は、ポリマーマトリックス中に互いに孤立してて、好ましくは固化した気泡の形態で存在してもよい。
別の態様によると、空間または空洞は、好ましくはマトリックス中に入り込む隣接チャンネルシステムを形成することにより、互いにつながっている。
空間または空洞の割合は、投薬形態の総容量に対して5〜98%、好ましくは50〜80%である。
空間または空洞は、好ましくはガスまたはガス混合物で、より好ましくは空気で充填されている。しかしながら、空間または空洞に他のガスまたはガス混合物を含有することは有利であり得る。空間/空洞は、好ましくは不活性のガス、すなわち投薬形態の他の成分と反応しないガスまたはガス混合物で充填されている。特に好ましいガスは、窒素、二酸化炭素およびヘリウム、ならびにこれらのガスのまたはこれらのガスの2種の混合物である。
別の態様によると、空間または空洞が、液体または液体混合物(例えばオイル)で充填される態様もあり、前記液体は、マトリックス材料と混和せず、マトリックスのポリマー骨格を溶解しない。該液体または液体混合物はさらに、1または2以上の医薬用および/または化粧品用活性物質を含有してもよい。
本発明の投薬形態は、乾燥した泡の形態で存在していることから、意図する接着性低減効果が、投薬形態の活性物質吸収能を過剰に制限することなく達成される。
本発明の投薬形態の特性に影響を与える別の重要なパラメータは、空洞または気泡の直径である。気泡または空洞は好ましくは、発泡機を用いて形成される。このようにして、気泡の直径は、ほぼ任意で、広い範囲内で調整することができる。したがって、気泡または空洞の直径は、0.01〜50μmの範囲内であってもよく、直径0.1〜10μmの気泡/空洞が好ましい。
本発明の最も簡単な態様において、本発明の投薬形態の空洞には、活性物質がない。しかしながら、ある効果を達成することができるよう、空間または空洞に活性物質、補助物質および/または添加剤を含有させることは有利であり得る。空間/空洞内に含有させてもよい特に好ましい物質は、界面活性剤(tensides)またはガス生成物質であり、それらによって投薬形態のその適用後の崩壊を加速させることが可能となる。
加えて、投薬形態が粘膜に接着する傾向をさらに低減させる手段として、投薬形態の表面は、不均一または不規則、好ましくは波状またはレリーフ状であってもよく、または構造化された表面であってもよい。不規則な表面構造は、例えば、ポリマーマトリックス中に導入された気泡の形の空洞自体によるもの、および/またはその後の特別な乾燥処置によるものであり得る。
本発明の投薬形態は、薄く、例えばウェハの形態となるよう設計される。投薬形態の厚さは、好ましくは0.1〜5mm、より好ましくは0.5〜1mmである。投薬形態の厚さの下限は、約50μmである。
活性物質として好適なものは、限定されることなく、治療的に活性な化合物である。これらは、以下の群から由来してもよい:感染処置用の剤;静ウィルス剤(virostatics);フェンタニル、スフェンタニル、ブプレノルフィンなどの鎮痛剤;麻酔剤;食欲抑制薬;テルブタリンなどの関節炎および喘息処置用の活性物質;抗痙攣薬;抗うつ薬;抗糖尿病薬;抗ヒスタミン薬;止痢薬;スコポラミンおよびオンダンセトロンなどの偏頭痛、掻痒、悪心および吐気、乗物酔いまたは船酔いのための剤;抗パーキンソン病薬;抗精神病薬;解熱剤;鎮痙剤;抗コリン作用薬;ラニチジンなどの抗潰瘍剤;交感神経様作用薬;ニフェジピンなどのカルシウムチャンネルブロッカー;ベータブロッカー;ドブタミンなどのベータアゴニスト;抗不整脈薬;アテノロールなどの抗高血圧薬;エナラプリルなどのACE阻害剤;フルマゼニルなどのベンゾジアゼピンアゴニスト;心血管、末梢血管および脳血管拡張薬;中枢神経系用刺激剤;ホルモン;睡眠薬;免疫抑制剤;筋肉弛緩剤;副交感神経遮断薬;副交感神経様作用薬;プロスタグランジン;タンパク質;ペプチド;神経刺激剤;鎮静薬;トランキライザー。
口内投与、または口の粘膜への投与用には基本的に、口腔吸収および/または胃腸吸収することができるすべての活性物質が好適である。
特に好ましい活性物質は、ニコチンである。ニコチンは本明細書中において、その遊離塩基形態のみならず、1または2以上のその薬学的に許容し得る塩の形態として使用され得る。ニコチンの薬学的に許容し得る塩は、例えば、ニコチン酒石酸塩、ニコチン塩酸塩、ニコチン二塩酸塩、ニコチン硫酸塩、ニコチン塩化亜鉛複塩およびニコチンサリチル酸塩である。同様に、ニコチンポラクリリン(polacrilin)は、有望なニコチン源である。
1投薬単位あたりの活性物質含量は、50mgまで、好ましくは30mgまで、より好ましくは20mgまでである。
活性物質としておよび/または補助物質として好適なさらなる物質は、二酸化チタン、二酸化ケイ素などの研磨剤、研削剤(磨耗剤);フッ化ナトリウム、第二リン酸カルシウム;アニス油、フェンネルシード油、ユーカリ油、ペパーミント油、スペアミント油、オレンジ油、サルビア油、タイム油、レモン油などの精油;ショウノウ、シネオール、オイカリプトール、メントール、ピネン、桂皮アルデヒド、桂皮酸などのフレーバー剤;ハチミツ、クエン酸、ビタミン類、抗酸化剤、ソルバイトである。
したがって、本発明の投薬形態はまた、化粧用途の目的に、ならびに歯科治療、歯の清掃、口腔衛生または歯科衛生の分野での用途に好適である。
さらに、以下の物質を、フレーバー剤として、単独でまたは組み合わせて投薬形態内に含有してもよい:バニラフレーバー、オレンジフレーバー、オレンジクリームフレーバー、ストロベリーフレーバー、ラズベリーフレーバーまたはチョコレートフレーバー。加えて、1または2以上の甘味剤、例えばスクラロース、アスパルテーム、チクロ、サッカリンおよびアセサルフェーム、ならびにそれらの塩を加えてもよい。
好適な補助剤は、当業者に周知のもののほか、以下の群からの物質である:カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム、メチルセルロース、ペクチン、修飾および非修飾スターチ、ゼラチン、動物性および/または植物性タンパク質、卵アルブミン、アルギン酸塩類、BridgeまたはBrij(乳化剤)、イソプロパノール、ベンジルアルコール、酢酸エチル、クエン酸エチル、没食子酸オクチル、1,2−プロピレングリケート(propylene glycate)、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、微結晶セルロース、アエロジル、レシチン、Tween、没食子酸プロピル、アミロガム(amylogam)。
さらに、糖(または糖の混合物)または少なくとも1種の他の炭水化物材料を、泡に溶解させてもよい。糖または炭水化物は、泡の乾燥後質量を増加させる。加えて、糖または他の炭水化物の乾燥および結晶化は、乾燥した泡にさらなる強度および安定度を付与する。糖または他の炭水化物は、甘味のある乾燥した泡の感覚へと至らしめ得、そのほかに泡の官能特性を改善し得る。投薬形態中に含有してもよい糖の例は、麦芽糖、乳糖、ショ糖、デキストロース(ブドウ糖)およびトレハロースである。マンニット、ソルバイト、キシリット、マルチットなどの糖アルコールもまた、好適である。他の好適な炭水化物の例は、マルトデキストリン、デンプン糖シロップ(トウモロコシ由来)、可溶性デンプンなどである。
本発明の投薬形態は、特に経口適用のために使用することを意図するものであるが、口腔領域における活性物質の投与に限定されない。むしろ、本発明はまた、他の体腔または身体開口部内に導入され、そこで含有する活性物質を放出する投薬形態を包含する。これに関する例は、直腸、膣または鼻腔内投薬形態である。
投薬形態から放出される活性物質は、適用部位で、例えば口の粘膜を介して吸収されるか、またはさらに遠くに輸送され、別の部位(例えば胃腸管内で、口腔内に放出された活性物質を飲み込んだ後に)吸収される。
本発明の投薬形態は、水性媒体中に迅速に崩壊または溶解する製剤である。適用部位(例えば口腔)での本発明の投薬形態の保持時間、またはその崩壊時間は、好ましくは1秒〜5分の範囲であり、より好ましくは5秒〜1分の範囲であり、最も好ましくは10秒〜30秒の範囲である。
さらに、本発明の投薬形態の製造中に、1または2以上の酸を、泡に快い酸味を付与するために添加してもよい。かかる酸の例は、クエン酸、乳酸、酢酸、安息香酸、プロピオン酸、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、マレイン酸および酒石酸を含む。酸または複数の酸の添加はさらに、泡のpH値を下げるために必要であるかまたは望ましい。これは特に、投薬形態に含有される活性物質がアルカリ性条件下で比較的不溶性である場合(例えばイブプロフェン)、または活性物質がアルカリ性条件下で安定でない場合に望ましい。
さらに、湿潤剤または保湿剤は、乾燥した泡の美的特性を改善するために、また乾燥した泡の脆性または脆弱性を低減させるために、本発明の投薬形態を添加してもよい。かかる剤の例は、グリセリン、プロピレングリコールおよびポリグリセリンエステルである。加えて、泡の乾燥前または乾燥後の安定度を改善するために、乾燥の前または後に表面活性剤を添加することが可能である。好適な表面活性剤の例は特に、置換されたソルビタン誘導体、好ましくは「Tween」シリーズ(ICI)のものである。
製造方法
固化した泡の形態のシート状投薬形態の既知の製造方法は、発泡させる前に水中に部分的にけん化されたポリビニルアルコールを溶解するための処理温度が通常80〜90℃であり、この温度で部分的にけん化されたポリビニルアルコールを2〜3時間攪拌することにより溶解しなければならないことから、時間およびエネルギーを消費する。得られる溶液を発泡させる前に、長時間の冷却時間を守ることにより、または積極的冷却により、冷却しなければならない。
したがって本発明の別の目的は、水性媒体中に急速に崩壊または溶解するシート状投薬形態の製造方法を提供することであり、該方法は、前記の欠点を取り除く。
ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体を使用することにより、発泡させた溶液の乾燥以外は、本発明の投薬形態の製造を室温で行うことが可能となる。室温で水中にポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体を溶解させるのは、ポリマーまたはポリマー混合物をより高温で溶解させる既知の方法と比較して、エネルギー費および処理時間の点で有利である。加えて、特に活性物質をポリマーより前に溶媒に添加する本発明の方法は、活性物質の安定度の点で有利である。
以下の方法を、改善された「食感」を有する本発明の投薬形態の製造のために提案する。
製造の特に好ましい方法において、まず、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体ならびに少なくとも1種の活性物質を含有する溶液または分散体を調製する。この溶液はまた、濃縮溶液または粘性のある塊であってもよく、続いてガスまたはガス混合物(例えば空気)の導入により発泡させる。これは、分散装置または発泡機により行うことができるが、他の方法、例えば超音波により行うこともできる。好適なガスは特に、窒素、二酸化炭素またはヘリウムなどの不活性のガス、あるいは不活性のガスの混合物である。
生成した泡または空気の気泡を含有する(またはガスの気泡を含有する)塊を安定化させるために、泡安定化剤を、発泡前または発泡中に添加することができる。その目的に好適な剤、例えば界面活性剤は、当業者に知られている。最後に、空気の泡を含有する塊または泡を、適当な支持体上にフィルムまたは層として広げ、続いて乾燥させる。溶媒を除去することにより、泡が乾燥中に固化し、エアロゲルを形成し、その処理中、形成された空洞は、永続的な構造を手に入れる。
所望の表面さいずまたは幾何学的形の形態を有するウェハは、発泡させた被覆塊を対応する型内に流し込むか、あるいはより大きい表面積を有する切片から個々のウェハを打ち抜きまたはカッティングすることにより得られる。
こうして得られる活性物質含有投薬形態は、本発明の特性および利点を表し、これは、それらが経口適用後、口の粘膜に嫌な感覚を生じさせることなく迅速に崩壊することを意味する。
作られた空間または空洞の形状、数および大きさは、異なる処理パラメータにより、例えばポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体の濃度により、ポリマー塊の粘度により、発泡処理の制御によりまたは泡安定化剤の選択により、影響を受け得る。
ニコチンの投与を意図する特に好ましい投薬形態を作るために、ニコチンが続く泡の乾燥中に蒸発しないよう、ニコチンが発泡させた溶液中に塩基として存在せず、塩として存在していることを確認しなければならない。そのために、ニコチンを、その薬学的に許容し得る塩の1種の形態で、例えばニコチン酒石酸塩としてポリマー溶液中に導入してもよい。代わりに、ニコチン塩基をポリマー溶液中に秤量して加え、続いて、味のマスキング剤としても機能も果たすフルーツ酸−好ましくは食料に好適なフルーツ酸−を、ニコチンに対して1.4:1のモル過剰で添加してもよい。したがって、対応するニコチン塩が形成され、ニコチンを泡を乾燥するときに蒸発から防ぐ。ニコチン塩基は、80℃の乾燥温度で蒸発し、これは、塩の場合にはない。
すべてのフルーツ酸は、ニコチン塩を形成するのに好適であるが、クエン酸またはジカルボン酸、特にマレイン酸、コハク酸、フマル酸および酒石酸が好んで使用される。しかしながら、好適なフルーツ酸の混合物もまた、使用してもよい。
本発明の投薬形態の本発明の別の製造方法−上記の方法の変更としての−は、上記の溶液または分散体を調製するのに使用される溶媒とは非混和性の疎水性溶媒の導入により形成されるポリマーマトリックス内に空間または空洞を付与する。
細かく分散された小滴の形態の疎水性溶媒を含有するエマルジョンが形成される。次の乾燥中溶媒を除去することにより、小滴または気泡の形状を有する空洞が、ポリマーマトリックス中に残る。二相系により、溶媒をまず内相から取り除かなければならない。
さらに−上記の方法の最初のものの代わりとして−前記空洞を、補助物質がガスまたはガスを形成するポリマー含有および活性物質含有溶液に添加されるよう形成してもよく、それにより塊を発泡させる。ガス生成によるこの発泡は、ポリマー塊の製造中または支持体上への前記塊の被覆の製造中に、あるいは次の乾燥処理中まで行ってもよい。ガス生成に好適な物質または物質混合物は、当業者に知られている。
さらに、発泡はまた、事前に溶解したガスを膨張させることにより引き起こしてもよい。
使用されるガスは、好ましくは窒素、二酸化炭素またはヘリウムなどの不活性のガス、またはそれらの混合物である。
代わりに、本発明の投薬形態を製造するために、マトリックスポリマーまたはポリマー混合物のメルトから開始してもよい。処理は原則として、先行技術から知られているホットメルト被覆化合物のものと似ている。
ガスまたはガス混合物を、メルトの発泡を生じさせるために、前記の方法のうちの1つを使って上記のポリマーメルト内に導入する。続いて、メルトを、適当な支持体上に広げるか、あるいは型内に流し込みまたは押し出し、そして冷却する、すなわち固化させるために放置する。メルトからの加工は、使用される活性物質がポリマーメルトの溶融温度で不安定または揮発性である場合、論外である。必要な場合、補助物質を、ポリマーメルトに、その融点を低減させるために添加してもよい。
上記の製造方法のさらなる変更では、ポリマーマトリックスをまずブロックの形態に作る。続いて、すなわち乾燥または固化が行われた後、カッティングにより所望のシート状投薬形態を前記ブロックから切断する。
本発明の投薬形態は、医薬の口腔内投与にまたは直腸、膣または鼻腔内投与に有利に好適である。それらは、ヒト医学ならびに獣医学において使用することができる。
例1
本発明の投薬形態の概要
Figure 2009518334
例2
本発明による投薬形態の製造
本発明の投薬形態を製造するために、Kollicoat(登録商標) IRを水中に溶解し(30分間、攪拌しながら、室温で)、残りの添加剤を添加した。発泡機を使って、空気を組成物に導入し、組成物を続いて支持体に適用し、80℃で乾燥した。

Claims (18)

  1. 空間または空洞を含有する固化した泡の形態のポリマーマトリックス、ならびに少なくとも1種の医薬用または化粧品用活性物質を含む、身体開口部または体腔内に少なくとも1種の活性物質を放出するための水性媒体中に溶解または崩壊するシート状投薬形態であり、マトリックスのポリマーは、ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体であることを特徴とする、前記シート状投薬形態。
  2. ポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体が、75%のポリビニルアルコール単位および25%のポリエチレングリコール単位からなることを特徴とする、請求項1に記載の投薬形態。
  3. マトリックス中の空間または空洞が、互いに孤立して、好ましくは気泡の形態で存在していることを特徴とする、請求項1に記載の投薬形態。
  4. マトリックス中の空間または空洞が、互いにつながっており、好ましくはマトリックス中に入り込むチャンネルシステムを形成していることを特徴とする、請求項1に記載の投薬形態。
  5. 空間または空洞が、空気でまたはガスで、好ましくは不活性のガスで、より好ましくは窒素、二酸化炭素、ヘリウム、これらのガスの混合物またはこれらのガスの2種の混合物で充填されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の投薬形態。
  6. 空間または空洞が、液体または液体混合物で充填されており、該1種または2種以上の液体がマトリックス材料とは非混和性であることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の投薬形態。
  7. 液体または液体混合物が、1または2以上の活性物質を含有することを特徴とする、請求項6に記載の投薬形態。
  8. 空間または空洞の容量パーセントが、投薬形態の総容量に対して5〜98%、好ましくは50〜80%であることを特徴とする、請求項1〜7のいずれかに記載の投薬形態。
  9. 投薬形態の表面が、不均一にまたは不規則に、好ましくは波状またはレリーフ状に成形されていることを特徴とする、請求項1〜8のいずれかに記載の投薬形態。
  10. 好ましくはウェハとして設計され、投薬形態の厚さが好ましくは50μmおよび5mmの間、特に好ましくは0.5および1mmの間であることを特徴とする、請求項1〜9のいずれかに記載の投薬形態。
  11. 前記マトリックスおよび/または前記空間または空洞が、補助物質または添加剤、好ましくは界面活性剤および/またはガス生成物質を含有することを特徴とする、請求項1〜10のいずれかに記載の投薬形態。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載のシート状投薬形態の製造方法であり、
    − 少なくとも1種のポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体および少なくとも1種の活性物質を含有する溶液を調製すること、
    − 必要に応じて事前に泡安定化剤を添加後、ガスまたはガス混合物の導入、またはガスの化学的生成、または溶解されたガスの膨張により、溶液を発泡させること、
    − 発泡させた溶液を被覆支持体の上に広げること、および
    − 溶媒を乾燥させ、除去することにより、被覆溶液を固化させること、
    を特徴とする、前記方法。
  13. 請求項1〜11のいずれかに記載のシート状投薬形態の製造方法であり、
    a)少なくとも1種のポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体および少なくとも1種の活性物質を含有する溶液を調製すること、
    b)該溶液の調製に用いた溶媒とは非混和性の疎水性溶媒を添加し、細かく分散された小滴の形態の疎水性溶媒を含有するエマルジョンを調製すること、
    c)エマルジョンを被覆支持体の上に広げること、および
    d)溶媒を乾燥させ、除去することにより、被覆エマルジョンを固化させること、
    を特徴とする、前記方法。
  14. 請求項1〜11のいずれかに記載のシート状投薬形態の製造方法であり、
    a)少なくとも1種のポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体および少なくとも1種の活性物質を含有する溶液を調製すること、
    b)ガスを発生させることができる補助物質または補助物質の組合せを添加すること、
    c)溶液を被覆支持体の上に広げること、および
    d)溶媒を乾燥させ、除去することにより、被覆溶液を固化させること、
    を特徴とする、前記方法。
  15. 請求項1〜11のいずれかに記載のシート状投薬形態の製造方法であり、
    a)少なくとも1種のポリビニルアルコール−ポリエチレングリコールグラフト共重合体ならびに少なくとも1種の活性物質を含有するポリマー含有メルト(ホットメルト)を調製すること、
    b)必要に応じて事前に泡安定化剤を添加後、ガスまたはガス混合物の導入、またはガスの化学的生成、または溶解されたガスを膨張させることにより、メルトを発泡させること
    c)メルトを被覆支持体の上に広げること、および
    d)冷却後、フィルムを固化させること、
    を特徴とする、前記方法。
  16. ステップc)およびd)が以下のステップe)およびf):
    e)溶液、エマルジョンまたは分散体から、またはメルトから始まるブロックの形態のポリマーマトリックスを調製すること、
    f)シート状の形を得るために、固化したブロックをカッティングすること、
    により置換または変更されていることを特徴とする、請求項12〜15のいずれかに記載の方法。
  17. 口腔内への医薬用活性物質または化粧品用活性物質の投与のための、請求項1〜11のいずれかに記載の投薬形態または請求項12〜16のいずれかに記載の方法による製品の使用。
  18. 医薬用活性物質のヒトまたは動物への直腸、膣または鼻腔内投与のための、請求項1〜11のいずれかに記載の投薬形態または請求項12〜16のいずれかに記載の方法による製品の使用。
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