JP2009516042A - 熱硬化性粉末コーティング組成物のための安定剤 - Google Patents

熱硬化性粉末コーティング組成物のための安定剤 Download PDF

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Abstract

本発明は、少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料、少なくとも1種類の有機リン含有安定剤、熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂、および少なくとも1種類の架橋結合剤を含む熱硬化性粉末コーティング組成物に関する。本発明の熱硬化性粉末コーティング組成物は、耐熱コーティングの必要性が存在する場合、および上焼付けの条件の際に僅かな表面変質のみが許容され得るにすぎない場合に、好都合にも用いられる。本発明は、コーティングを調製するための粉末化塗料およびワニスの製造に本発明の熱硬化性粉末コーティング組成物を用いること、ならびにそれによって得られるコーティングにも関する。

Description

本発明は、ビスマス含有無機顔料を含む、改良された熱安定性を有する熱硬化性粉末コーティング組成物に関するものである。本発明は、コーティングを調製するための粉末化された塗料およびワニスを製造するのに該組成物を用いること、ならびにそれによって得られるコーティングにも関するものである。
熱硬化性粉末組成物は、当技術に周知であり、最も多様な物品をコーティングするための塗料およびワニスとして広く用いられる。これらの粉末コーティングの長所は、無数にあって;一方では、溶剤に付随する問題が完全に排除され、他方では、いかなる損失もなしに粉末を用いることができるが、それは、基板に直接接触する粉末のみが物品上に保持されて、過剰な粉末は、原則として、完全に回収かつ再利用できるからである。これらおよびその他の理由のために、粉末コーティング組成物は、有機溶媒中の溶液の形態でのコーティング組成物よりも好まれる。
熱硬化性粉末組成物は、家庭用電化製品、自動車産業付属品などのコーティングに既に広汎に用いられている。それらは、一般に、それらの特性を意図された使用に適合させるのに用いられる、熱硬化性有機結合剤、充填剤、顔料、触媒、および様々な添加剤を含有する。
粉末コーティングは、たとえば、「Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」第5完全改訂版、第A18巻、438〜444ページ(1991)に記載されている。粉末コーティング法では、一般に、空気の供給によって粉末を流動化し、静電気により帯電させ、接地された、好ましくは金属の基板に適用する。次いで、基板を加熱し、その過程で、付着した粉末が融解し、融合し、単一な膜を金属表面に形成する。粉末コーティングは溶剤を全く必要としないため、この技術は、環境に特にやさしい。
ビスマス含有無機顔料を含む熱硬化性粉末コーティング組成物は、熱安定性が不満足であることが知られている。たとえば、多官能性エポキシ架橋結合剤で架橋結合されたカルボキシル化ポリエステル樹脂、またはヒドロキシアルキルアミド基含有バナジン酸ビスマス顔料は、上焼付け周期の間に劣悪な熱安定性を示す。適用された塗料膜は、損傷し、塗料は、適用された基板から流れ出す。
この問題は、ビスマス含有無機顔料の使用によって誘発され、特にバナジン酸ビスマス顔料は、粉末コーティングの用途には許容され得ず、塗料製造業者には、依然として未解決の問題となっている。この数年にわたって開始された、コーティング業界の無鉛なるアプローチのために、橙色および黄色の色調の部域に関しては、バナジン酸ビスマス化学に対し、高い飽和度の、非常に不透明で、耐候性のある黄色顔料に対する増大する要求が生じている。
従来の技術では、粉末コーティング組成物は、立体的にヒンダードフェノール、たとえば3−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のオクタデシルエステルの混合物で安定化される。しかし、この安定化によれば、粉末コーティング組成物を、特にガスオーブン内で、高温で硬化させたとき、コーティングの望ましくない重大な変色が観察される。立体ヒンダードフェノール化合物による安定化に固有のもう一つの短所は、酸化的な攻撃に対するコーティングの安定性が甚だしく低下することである。
ビスマス含有顔料を含む熱硬化性粉末コーティング組成物の熱安定性を改良する方策が、強く望まれる。公知安定剤は、安定剤または安定剤混合物が、特に熱硬化性の粉末コーティング組成物の変色に関して満たすべき、あらゆる面での厳しい要件を満足させない。
予期しないことに、ここに、有機リン含有安定剤は、ビスマス含有顔料を含む粉末コーティング組成物に用いたとき、コーティングの熱安定性に対して傑出した改良を与えることが見出された。
コーティング膜の上焼付け周期によって生じる上記の不具合は、軽減されるか、または全面的になくなる。硬化の温度および/または時間は、コーティング層の欠陥を招くことなく有意に増大させることができる。したがって、粉末コーティング系は、上焼付け条件の間も、熱による劣化を生じることが非常に少なくなる。そのような上焼付けは、たとえば、加熱されたオーブン内のコンベヤーベルトが停止したままであるか、またはコーティング膜の欠陥のために成分が再コーティングを必要とする場合に、必要となることがある。
第一の態様では、本発明は、
(i)少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料、および
(ii)少なくとも1種類の有機リン含有安定剤
を含む着色剤組成物に関するものである。
好ましくは、少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料は、バナジン酸ビスマス顔料またはBiVO4を含有する混合相顔料の少なくとも1種類である。
バナジン酸ビスマスなる化合物は、長い間公知であり、それらを顔料として用い得る可能性は、G. Buxbaumによる「Industrial inorganic pigments」(VCH-Verlag, 1993)に、また特に米国特許第3,843,554号および第4,115,142号明細書に明示されたとおり、70年代に認識された。それらは、特にその低い毒性および優れた色彩上の特性のために、高く評価されている。過去数年の間に、数え切れない方法が、それらの特性を、たとえばBiおよびVを他の金属もしくは非金属に部分的に置き換えるか、または無機もしくは有機物質でそれらを封じ込めることによって、更に改良するために開発されている。そのような方法は、特に米国特許第5,536,309号、第4,115,142号、第4,272,296号、第4,316,746号、第4,455,174号、第5,203,917号、第5,336,312号、第5,399,197号、第4,752,460号明細書および欧州特許出願公開第441,101号公報に開示されている。
本発明の意味の範囲内でのバナジン酸ビスマスは、一般的な組成[Bi23xV25]を有するものを包含して、ビスマスおよびバナジウムは、他の金属または非金属に部分的に置き換えてもよい。これらのバナジン酸ビスマス顔料は、当技術に公知である。ビスマスおよびバナジウムに部分的に取って代わり得る金属および非金属は、好ましくは、Li、Mg、Zn、Al、および特にCa、またW、ならびに特にPおよびMoである。該バナジン酸ビスマス顔料は、好ましくは、C.I. Pigment Yellow 184と呼ばれる、商業的に入手可能なバナジン酸ビスマス顔料である[The Bulletin of the Bismuth Institute 68, 1995を参照されたい]。
好適なのは、当技術に公知のケイ酸塩、リン酸塩または硫酸塩のような添加剤を加えたバナジン酸ビスマス多相顔料である(ドイツ国特許出願公開2,933,778号、第2,940,185号および第3,004,083号公報)。その他の適切なバナジン酸ビスマス多相顔料は、米国特許願第4,455,174号明細書に記載されたようなバナジン酸/タングステン酸ビスマス誘導体、およびバナジン酸/モリブデン酸ビスマス誘導体を包含する。これらは、バナジン酸ビスマス相と、モリブデン酸ビスマスおよび/またはタングステン酸ビスマス相とからなる多相生成物である。適切な更なるバナジン酸ビスマス顔料は、米国特許第4,752,460号明細書に記載されていて、特定量のモリブデン酸塩および/またはタングステン酸塩を有するバナジン酸ビスマスの固溶体が開示されている。
本発明の意味の範囲内でのビスマス含有無機顔料のうち、赤色顔料としての、またたとえば英国特許出願公開第444,740号公報に記載されたような酸化ヨウ化ビスマスも好ましい。同様に、米国特許第4,252,570号明細書に記載されたような酸化ヨウ化ビスマス、酸化塩化ビスマスおよび酸化臭化ビスマスからなる固溶体[BiOI1-x-yBrxCly]が好ましい。これらの酸化ハロゲン化ビスマス固溶体は、正方晶PbFCl構造に関連する形態で晶出する。色彩に関しては、これらの固溶体は、xが0.75から0まで減少し、同時に結晶格子内の層の間隔が増大するときに、黄色から赤橙色を経てサンゴ色まで変化する。色彩は、x+yによって実質的に支配される。ヨウ化物含有が高ければそれだけ、赤方への移行が顕著になる。光堅牢性は、塩化物含量が低下するにつれて増大する。酸化ハロゲン化ビスマス顔料の色の強さは、クロム酸鉛のそれに匹敵するが、酸化ハロゲン化ビスマス顔料は、色の純度に関しては劣る。
本発明の意味の範囲内では、無機ビスマス含有顔料としてのBiVO4を含有する固溶体も特に好適である。非限定的に、好適なBiVO4を含有する固溶体は、{[BiVO4x・[CaMoO4y};{[BiVO4x・[Bi2MoO6y・[Bi2WO62};{[BiVO4x・[Bi2MoO6y}および{[BiVO4x・[Bi2WO6y}を包含する。
本発明の着色剤組成物は、異なる1種類もしくはそれ以上のビスマス含有顔料、好ましくはP.Y.184の化学の顔料の混合物、または異なる1種類もしくはそれ以上のビスマス含有顔料、好ましくはP.Y.184の化学の顔料および無機顔料の混合物、または異なる1種類もしくはそれ以上のビスマス含有顔料、好ましくはP.Y.184の化学の顔料および有機顔料の混合物、あるいは異なる1種類もしくはそれ以上のビスマス含有顔料、好ましくはP.Y.184の化学の顔料ならびに無機および有機顔料の混合物を折衷し得る。
本発明の意味の範囲内での追加的な無機顔料は、酸化物および酸化物水酸化物、好ましくは酸化鉄顔料および酸化クロム顔料、酸化物性の混合相顔料、カドミウム、硫化セリウム、クロム酸塩、群青、ならびに鉄青色顔料を包含する。特に好ましいのは、クロム酸鉛、硫化セリウム、ルチルおよびスピネルの顔料である。これらの無機顔料の混合物も、適切である。
本発明の意味の範囲内での追加的な有機顔料は、アントラキノン、アントラピリミジン、アゾ、アゾメチン、キナクリドン、キノフタロン、ジケトピロロピロール、インダントロン、イソインドリン、イソインドリノン、金属錯体、ペリノン、ペリレン、フタロシアニン、ピラントロン、ピラゾロキナゾロンおよびチオインジゴの顔料を包含する。これらの有機顔料の混合物も、適切である。
無機ビスマス含有顔料は、慣用の白色、黒色または有色の顔料、特に無機および有機顔料、たとえばジケトピロロピロール、キナクリドン、ジオキサジン、ペリレンまたはフタロシアニンと、また類似のか、または異なる色彩の効果顔料とも組み合わせて本発明の着色剤組成物中に存在することができる。
混合物中では、本発明の意味の範囲内での無機ビスマス含有顔料とその他の顔料との比率は、好都合には、1:1,000〜1,000:1、好ましくは1:100〜100:1、より好ましくは1:10〜10:1である。
好ましくは、少なくとも1種類の有機リン含有安定剤は、式(1)〜(7):
Figure 2009516042
[式中、
指数は整数であり、
nは2、3または4であり;pは1または2であり;qは2または3であり;rは4〜12であり;yは1、2または3であり;zは1〜16であり、
1は、nが2ならば、C2〜C18アルキレン;酸素、硫黄もしくは−NR4−で割り込まれたC2〜C12アルキレン;式
Figure 2009516042
で示される基;またはフェニレンであり、
1は、nが3ならば、式−Cr2r-1−で示される基であり、
1は、nが4ならば、式
Figure 2009516042
であり、
2は、nが2である場合のA1の定義どおりであり、
Bは、直接結合、−CH2−、−CHR4−、−CR14−、硫黄、C5〜C7シクロアルキリデン、または3、4および/もしくは5位にて1〜4個のC1〜C4アルキル基で置換されたシクロヘキシリデンであり、
1は、pが1ならば、C1〜C4アルキルであり、pが2ならば、−CH2OCH2−であり、
2は、pが1ならば、C1〜C4アルキルであり、
Eは、yが1ならば、C1〜C18アルキル、−OR1またはハロゲンであり、
Eは、yが2ならば、−O−A2−O−であり、
Eは、yが3ならば、式R4C(CH2O−)3またはN(CH2CH2O−)3で示される基であり、
Qは、酸素原子を介してリン原子に結合された、少なくともz価のアルコールまたはフェノールの基であり、
1、R2およびR3は、互いに独立して、非置換であるか、またはハロゲン、−COOR4、−CNもしくは−CONR44で置換されたC1〜C18アルキル;酸素、硫黄または−NR4−で割り込まれたC2−C18アルキル;C7〜C9フェニルアルキル;C5〜C12シクロアルキル、フェニルまたはナフチル;ハロゲン、全部で1〜18個の炭素原子を有する1〜3個のアルキル基もしくはアルコキシ基、またはC7〜C9フェニルアルキルで置換されたフェニルもしくはナフチル;あるいは式
Figure 2009516042
(式中、mは3〜6の範囲の整数である)で示される基であり、
4は、水素、C1〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキルまたはC7〜C9フェニルアルキルであり、
5およびR6は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキルまたはC5〜C6シクロアルキルであり、
7およびR8は、qが2ならば、互いに独立して、C1〜C4アルキルであるか、または一緒になって、2,3−デヒドロペンタメチレン基であり、
7およびR8は、qが3ならば、メチルであり、
14は、水素、C1〜C9アルキルまたはシクロヘキシルであり、
15は、水素またはメチルであり、二つまたはそれ以上の基R14およびR15が存在するならば、これらの基は、同一であるか、または異なり、
XおよびYは、それぞれ、直接結合または酸素であり、
Zは、直接結合、メチレン、−C(R162−または硫黄であり、
16は、C1〜C8アルキルである]
からなる群から選ばれる、少なくとも1種類の有機亜リン酸塩または有機ホスホン酸塩である。
2〜C18アルキレンは、分枝鎖を有するか、または分枝鎖のない基、たとえば、エチレン、プロピレン、トリメチレン、テトラメチレン、ペンタメチレン、ヘキサメチレン、ヘプタメチレン、オクタメチレン、デカメチレン、ドデカメチレンまたはオクタデカメチレンである。好ましいのは、C2〜C12アルキレン、特にC2〜C8アルキレンである。
酸素、硫黄または−NR4−で割り込まれたC2〜C18アルキレンは、たとえば、−CH2−O−CH2−、−CH2−S−CH2−、−CH2−NH−CH2−、−CH2−N(CH3)−CH2−、−CH2−O−CH2CH2−O−CH2−、−CH2−(O−CH2CH2−)2O−CH2−、−CH2−(O−CH2CH2−)3O−CH2−、−CH2−(O−CH2CH2−)4O−CH2−または−CH2CH2−S−CH2CH2−である。
1〜C4アルキル置換C5〜C7シクロアルキリデン環は、好ましくは1〜3個、特に1または2個の分枝鎖を有するか、もしくは分枝鎖のないアルキル基を有して、たとえば、シクロペンチリデン、メチルシクロペンチリデン、ジメチルシクロペンチリデン、シクロヘキシリデン、メチルシクロヘキシリデン、ジメチルシクロヘキシリデン、トリメチルシクロヘキシリデン、tert−ブチルシクロヘキシリデンまたはシクロヘプチリデンである。好ましいのは、シクロヘキシリデンおよびtert−ブチルシクロヘキシリデンである。
18個以下の炭素原子を有するアルキル基は、分枝鎖を有するか、または分枝鎖のない基、たとえば、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n−ブチル、sec−ブチル、イソブチル、tert−ブチル、2−エチルブチル、n−ペンチル、イソペンチル、1−メチルペンチル、1,3−ジメチルブチル、n−ヘキシル、1−メチルヘキシル、n−ヘプチル、イソヘプチル、1,1,3,3−テトラメチルブチル、1−メチルヘプチル、3−メチルヘプチル、n−オクチル、2−エチルヘキシル、1,1,3−トリメチルヘキシル、1,1,3,3−テトラメチルペンチル、ノニル、デシル、ウンデシル、1−メチルウンデシル、ドデシル、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルヘキシル、トリデシル、テトラデシル、ペンタデシル、ヘキサデシル、ヘプタデシルまたはオクタデシルである。ハロゲン(ハロ)は、たとえば塩素、臭素またはヨウ素である。好ましいのは、塩素である。
酸素、硫黄または−NR4−で割り込まれたC2〜C18アルキルは、たとえば、CH3−O−CH2−、CH3−S−CH2−、CH3−NH−CH2−、CH3−N(CH3)−CH2−、CH3−O−CH2CH2−O−CH2−、CH3−(O−CH2CH2−)2O−CH2−、CH3−(O−CH2CH2−)3O−CH2−またはCH3−(O−CH2CH2−)4O−CH2−である。
7〜C9フェニルアルキルは、たとえば、ベンジル、α−メチルベンジル、α,α−ジメチルベンジルまたは2−フェニルエチルである。ベンジルおよびα,α−ジメチルベンジルが好適である。
非置換またはC1〜C4アルキル置換C5〜C12シクロアルキルは、たとえば、シクロペンチル、メチルシクロペンチル、ジメチルシクロペンチル、シクロヘキシル、メチルシクロヘキシル、ジメチルシクロヘキシル、トリメチルシクロヘキシル、tert−ブチルシクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、シクロノニル、シクロデシル、シクロウンデシルまたはシクロドデシルである。好ましいのは、シクロヘキシルおよびtert−ブチルシクロヘキシルである。
18個以下の炭素原子を有するアルコキシは、分枝鎖を有するか、または分枝鎖のない基、たとえば、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、n−ブトキシ、イソブトキシ、ペントキシ、イソペントキシ、ヘキソキシ、ヘプトキシ、オクトキシ、デシルオキシ、テトラデシルオキシ、ヘキサデシルオキシまたはオクタデシルオキシである。好ましいのは、1〜12個、特に1〜8個、たとえば1〜6個の炭素原子を有するアルコキシである。
特に関心が払われるのは、少なくとも1種類の有機リン安定剤が、式(1)、(2)、(5)および(6)[式中、
nは、数2であり;yは、数1、2または3であり、
1は、C2〜C18アルキレン、p−フェニレンまたはp−ビフェニレンであり、
1は、yが1ならば、C1〜C18アルキル、−OR1またはフッ素であり、
1は、yが2ならば、p−ビフェニレンであり、
1は、yが3ならば、N(CH2CH2O−)3であり、
1、R2およびR3は、互いに独立して、C1〜C18アルキル、C7〜C9フェニルアルキル、シクロヘキシル、フェニル、または全部で1〜18個の炭素原子を有する1〜3個のアルキル基で置換されたフェニルであり、
14は、水素またはC1〜C9アルキルであり、
15は、水素またはメチルであり、
Xは、直接結合であり、
Yは、酸素であり、
Zは、直接結合または−CH(R16)−であり、
16は、C1〜C4アルキルである]
から選ばれる化合物である、着色剤組成物である。
同様に関心が払われるのは、少なくとも1種類の有機リン安定剤が、式(1)、(2)、(5)および(6)[式中、
nは、数2であり;yは、数1または3であり、
1は、p−ビフェニレンであり、
1は、yが1ならば、C1〜C18アルコキシまたはフッ素であり、
1は、yが3ならば、N(CH2CH2O−)3であり、
1、R2およびR3は、互いに独立して、C1〜C18アルキル、または全部で2〜12個の炭素原子を有する2もしくは3個のアルキル基で置換されたフェニルであり、
14は、メチルまたはtert−ブチルであり、
15は、水素であり、
Xは、直接結合であり、
Yは、酸素であり、
Zは、直接結合、メチレンまたは−CH(CH3)−である]
から選ばれる化合物である、着色剤組成物である。
特に好ましいのは、少なくとも1種類の有機リン安定剤が、式(1)、(2)および(6)から選ばれる化合物である、着色剤組成物である。
特別に好ましいのは、少なくとも1種類の有機リン安定剤が、式(I):
Figure 2009516042
[式中、
17およびR18は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキル、シクロヘキシルまたはフェニルであり、
19およびR20は、互いに独立して、水素またはC1〜C4アルキルである]
で示される少なくとも1種類の化合物である、着色剤組成物でもある。
下記の化合物は、本発明の意味の範囲内での少なくとも1種類の有機リン安定剤として特に適切である、有機亜リン酸塩および有機ホスホン酸塩の例である。
亜リン酸トリフェニル、亜リン酸ジフェニルアルキル、亜リン酸フェニルジアルキル、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、亜リン酸トリラウリル、亜リン酸トリオクタデシル、二亜リン酸ジステアリルペンタエリトリトール、亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[IRGAFOS(登録商標)168、Ciba Specialty Chemicals Corp.]、二亜リン酸ジイソデシルペンタエリトリトール、二亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトール[式(D)]、二亜リン酸ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリトリトール[式E]、二亜リン酸ビスドデシルオキシペンタエリトリトール、二亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)ペンタエリトリトール、二亜リン酸ビス(2,4,6−トリ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトール、三亜リン酸トリステアリルソルビトール、二亜リン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン[IRGAFOS(登録商標)P−EPQ、Ciba Specialty Chemicals Corp.、式(H)]、6−イソオクチルオキシ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン[式(C)]、6−フルオロ−2,4,8,10−テトラ−tert−ブチル−12−メチルジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホホシン[式(A)]、亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)メチル、亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチル[式(G)]。
より好ましくは、少なくとも1種類の有機リン安定剤は、亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ならびに式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(J)、(K)および(L)からなる群から選ばれる、少なくとも1種類の有機亜リン酸塩または有機ホスホン酸塩である:
Figure 2009516042

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格別に好ましいのは、有機亜リン酸安定剤:亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)[IRGAFOS(登録商標)168、Ciba Specialty Chemicals Corp.]、亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−6−メチルフェニル)エチル[IRGAFOS(登録商標)38、Ciba Specialty Chemicals Corp.、式(G)]、二亜リン酸ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリトリトール[IRGAFOS(登録商標)126、Ciba Specialty Chemicals Corp.およびULTRANOX(登録商標)626、GE Chemicals、式(D)]、二亜リン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン[IRGAFOS(登録商標)P−EPQ、Ciba Specialty Chemicals Corp.、式(H)]、亜リン酸2,2’,2”−ニトリロ[トリエチルトリス(3,3’,5,5’−テトラ−tert−ブチル−1,1’−ビフェニル−2,2’−ジイル)[IRGAFOS(登録商標)12、Ciba Specialty Chemicals Corp.、式(B)]、ULTRANOX(登録商標)641[GE Chemicals、式(J)]、DOVERPHOS(登録商標)S9228[Dover Chemicals、式(K)]、またはMARK(登録商標)HP10[アデカ・アーガス、式(L)]である。
これらの有機亜リン酸塩および有機ホスホン酸塩は、公知化合物であり;それらの多くは、商業的に入手可能である。
前記の着色剤組成物は、好ましくは、少なくとも1種類の有機亜リン酸安定剤を、少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料の重量を基準にして1〜300重量pph、より好ましくは5〜60重量pphの量で含有する。
少なくとも1種類の有機亜リン酸安定剤は、配合された熱硬化性粉末コーティング組成物に改良された熱安定性を与えるために用い得るか、または同様に、無機ビスマス含有顔料に直接加え、それによって、その後配合された熱硬化性組成物に改良された熱安定性を与え得る。
第二の態様では、本発明は、
(i)前記の着色剤組成物、
(ii)熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂、および
(iii)少なくとも1種類の架橋結合剤
を含む熱硬化性粉末コーティング組成物に関するものである。
好ましくは、少なくとも1種類の有機亜リン酸安定剤は、本発明の熱硬化性粉末コーティング組成物中に、熱硬化性粉末コーティング組成物の総重量を基準にして、約1〜約20重量pphだけ存在する。
用語「粉末コーティング組成物」または「粉末コーティング」は、「Ulmann's Encyclopedia of Industrial Chemistry」第5完全改訂版、第A18巻、438〜444ページ(1991)に第3.4節の下に記載されているような定義を意味するとして理解される。粉末コーティングとは、大部分は金属である基板に粉末形態で適用される、熱可塑性であるか、または焼付け可能な、架橋結合性重合体を意味する。コーティングしようとする加工対象に粉末を接触させる方式が、様々な適用手法、たとえば、コロナもしくは摩擦電気発射装置による静電粉末吹付け、静電流動床焼結、またはマグネットブラシ技術の使用によるそれを特徴付ける。
様々な種類の熱硬化性粉末コーティング組成物が存在する。最も公知の組成物は、カルボキシル基含有重合体、たとえばカルボキシル基含有ポリエステルもしくはポリアクリラート、およびエポキシ化合物、たとえばイソシアヌル酸トリグリシジル、グリシジル基含有アクリル系共重合体もしくはβ−ヒドロキシアルキルアミドの混合物、またはブロックもしくは非ブロックイソシアナート(blocked or non-blocked isocyanate)、メラミン樹脂などとのヒドロキシル基含有重合体、最も多くはヒドロキシル基含有ポリエステルの混合物のいずれかを含有する。
粉末化されたワニスおよび塗料の製造に用いるのに適切なカルボキシル基含有またはヒドロキシル基含有ポリエステルは、論文および特許のような無数の刊行物中に既に記載されている。
これらのポリエステルは、通常、芳香族ジカルボン酸、主としてテレフタル酸およびイソフタル酸、ならびに場合により低率の脂肪族または脂環族ジカルボン酸から、またエチレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,6−ヘキサンジオール、トリメチロールプロパンなどのような様々なポリオールからも製造される。
芳香族ジカルボン酸に基づくこれらのポリエステルは、適切な架橋結合剤と用いたときに、その外見、および衝撃耐性、柔軟性等々のような機械的特性の双方に関して、優れた特性を有する塗料およびワニスコーティングが得られる熱硬化性組成物を与える。
好ましくは、熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂(ii)は、ヒドロキシル基含有重合体、より好ましくはヒドロキシル基含有ポリエステルであり、少なくとも1種類の架橋結合剤(iii)は、ブロックもしくは非ブロックイソシアナート、またはメラミン樹脂である。
好ましくは、熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂(ii)は、カルボキシル基含有重合体、より好ましくはカルボキシル基含有ポリエステルまたはポリアクリラートであり、少なくとも1種類の架橋結合剤(iii)は、エポキシ化合物、より好ましくはイソシアヌル酸トリグリシジル、グリシジル基含有アクリル系共重合体、またはβ−ヒドロキシアルキルアミドである。
本発明による熱硬化性粉末コーティング組成物に適切な有機膜形成用結合剤は、たとえばエポキシ樹脂、ポリエステル−ヒドロキシアルキルアミド、ポリエステル−グリコルリル(glycolurils)、エポキシ−ポリエステル樹脂、ポリエステル−イソシアヌル酸トリグリシジル、ヒドロキシル官能性ポリエステル遮断ポリイソシアナート、ヒドロキシル官能性ポリエステル−ウレトジオン(uretdiones)、硬化剤を伴うアクリレート樹脂、またはそのような樹脂の混合物に基づく焼付け系である。やはり関心が払われるのは、熱可塑性特性を有する膜形成用結合剤、たとえばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリアミド、ポリ塩化ビニル、ポリ二塩化ビニリデンまたはポリ二フッ化ビニリデンである。
ポリエステルは、一般に、ヒドロキシルまたはカルボキシル官能性であり、ジオールおよびジカルボン酸の縮合によって製造されるのを常とする。ポリオールおよび/または多塩基酸の添加によって、分枝鎖ポリエステルを生じ、次いで、架橋結合剤の存在下で焼付けると、コーティングに望みの物理的特性、たとえば擦過耐性、衝撃強さおよび曲げ強度を付与する網目構造を生じる。多官能性の酸に代えて、無水物または酸塩化物、たとえば無水マレイン酸、イタコン酸、イタコン酸無水物、無水フタル酸、テレフタル酸無水物、ヘキサヒドロテレフタル酸無水物、トリメリト酸無水物、ピロメリト酸無水物、無水コハク酸等々を用いることも可能である。揮発性アルコールの除去を伴うエステル交換反応による、単純エステル、たとえばテレフタル酸ジメチルの重合の進行を用いることも可能である。同様に実施可能なのは、エステル交換反応と縮合の組合せによる製造である。更に、ポリエステルは、ヒドロキシカルボン酸、たとえば12−ヒドロキシステアリン酸およびヒドロキシピバル酸、または対応するラクトン、たとえばε−カプロラクトンの重縮合によって製造することができる。ジカルボン酸および多塩基酸の例は、テレフタル酸、イソフタル酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,12−ドデカンジオン酸、ピロメリト酸、3,6−ジクロロフタル酸、コハク酸、1,3−シクロヘキサンジカルボン酸および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸を包含する。ジオールおよびポリオールの例は、エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン、ヘキサントリオール、ヘキサン−2,5−ジオール、ヘキサン−1,6−ジオール、ペンタエリトリトール、ソルビトール、ネオペンチルグリコール、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、トリス−1,4−シクロヘキサンジメタノール、トリメチルペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−メチル−2−ブチル−1,3−プロパンジオール、エステルジオール204(ヒドロキシピバル酸およびネオペンチルグリコールのエステル)、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールA、ヒドロキシピバル酸、ヒドロキシピバル酸エステル、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパンジオール、1,4−ブタンジオール、2−ブテン−1,4−ジオール、2−ブチン−1,4−ジオールまたは2−メチル−1,3−プロパンジオールを包含する。
カルボキシル官能性ポリエステルは、好ましくは、
(a)15〜70mgKOH/g、好ましくは20〜45mgKOH/g、より好ましくは25〜35mgKOH/gの酸価、
(b)ゲル透過クロマトグラフィー(GPC)によって測定される限りで、1,600〜8,600、好ましくは2,200〜7,000、より好ましくは3,200〜6,500にわたる数平均分子量、
(c)ASTM第D3418項による示差走査熱量測定(DSC)によって、毎分20℃の加熱勾配で測定される限りで、40〜80℃、好ましくは50〜70℃のガラス転移温度Tg、および
(d)200℃で測定される、ASTM第D4287項による5〜20,000mPax秒にわたるブルックフィールド粘性率(円錐/平板)
を特徴とする。
カルボキシル官能性ポリエステルに適切な架橋結合剤は、エポキシ化合物、たとえばNOVOLAC(登録商標)−エポキシ樹脂、ビスフェノールAのジグリシジルエーテル、水素化ビスフェノールA、およびたとえば脂肪族ジカルボン酸との反応によって改質されたビスフェノールAである。やはり適切なのは、反応性エポキシ化合物、たとえばトリグリシジルトリアゾリジン−3,5−ジオン、多塩基酸のグリシジルエステル、たとえばテレフタル酸ジグリシジルおよびヘキサヒドロテレフタル酸ジグリシジル、ヒダントインエポキシド(米国特許第4,402,983号明細書)、ならびに格別にイソシアヌル酸トリグリシジルおよび脂肪族ポリエポキシ化合物、ならびにエポキシ化されたポリ不飽和脂肪酸エステルである。カルボキシル官能性ポリエステルのためのその他の架橋結合剤は、β−ヒドロキシアルキルアミド(米国特許第4,076,917号明細書)、たとえばアジピン酸の主として4官能性のβ−ヒドロキシアルキルアミド誘導体(EMS ChemieからのPRIMID(登録商標)XL552およびPRIMID(登録商標)QM1260)である。メラミン、ベンゾグアニミンおよびグリコルリルの、低分子量アルコールでアルキル化された誘導体も、適切であると判明している。その例は、テトラメチルメトキシグリコルリル(American CyanamidからのPOWDERLINK(登録商標)1174)である。その他の公知架橋結合剤は、ビス−およびトリス−オキサゾリジン、たとえば1,4−ビスオキサゾリジノベンゼンである。
最近の物質は、化学的に結合されたエポキシ基を有し、その結果それら自身と架橋結合することができるようになった、カルボキシル官能性ポリエステルである[Molhoek et al., 22nd Fatipec Congress, 15-19, 5. 95, Budapest, Vol. 1, 119-132]。
エポキシ基またはグリシジル基がカルボキシル基または無水物と架橋結合反応で反応するすべての系で、触媒を用いることができる。その例は、アミンまたは金属化合物、たとえばアセチルアセトナトアルミニウムまたはオクタン酸スズである。
ヒドロキシル官能性ポリエステルのための架橋結合剤としては、ポリイソシアナート架橋結合剤が特に重要である。イソシアナートの高い反応性による時期尚早の架橋結合を防止するため、かつ融解した粉末の優れた平滑化を達成するためには、ポリイソシアナートを(ウレトジオンとして内部的にか、または遮断剤との付加物として)遮断する。最も頻繁に用いられる遮断剤は、カプロラクタム、メチルエチルケトオキシムまたはブタノンオキシムである。イソシアナートに適切なその他の遮断剤は、G.B. Guise, G.N. Freeland & G.C. Smithによる刊行物J. Applied Polymer Science, 23, 353 (1979)、および「Progress in Product Development for Powder Coating Technology, XIXth Int. Conf. on Organic Coatings, Science and Technol., Athens, 12-16 July (1993)」中のM. Bock & H.-U. Maier-Westhuesの刊行物に記載されている。遮断および非遮断ポリイソシアナートの例は、2−メチルペンタン=1,5−ジイソシアナート、2−エチルブタン=1,4−ジイソシアナート、3(4)−イソシアナトメチル−1−メチルシクロヘキシル=イソシアナート、3−イソシアナトメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキサン=ジイソシアナート、トリス(イソシアナトメチル)ベンゼン、4,4’−ジイソシアナトジシクロヘキシルメタン、1,4−ビス(イソシアナトメチル)シクロヘキサン、m−テトラメチルキシレン=ジイソシアナート、p−テトラメチルキシレン=ジイソシアナート、および特にイソホロン=ジイソシアナートを包含する。非遮断ジイソシアナートの反応には、金属触媒、たとえばオクタン酸スズ、酸化ジブチルスズまたはジラウリン酸ジブチルスズをポリイソシアナート配合物に加えるのが一般的である。
ヒドロキシル官能性ポリエステルに適切な更なる架橋結合剤は、無水物、たとえばトリメリチン酸無水物、ならびにジオールおよびジアミンとのその反応生成物である。そのような架橋結合剤の更なる例は、「Powder Coatings: Chemistry and Technology」、J. Wiley & Sons, Chichester中、123および124ページにT.A. Misevが記載している。
一般的にはヒドロキシル、カルボキシルまたはグリシジル官能性を有する、ポリアクリラートも、粉末コーティングのための結合剤として用いられる。それらは、慣用の方法によって、主として、たとえばスチレン、およびアクリル酸またはメタクリル酸の直鎖もしくは分枝鎖C1〜C8アルキルエステルのような単量体から製造される。その他のエチレン性不飽和化合物、たとえばジビニルベンゼン、アクリルアミド、メタクリルアミド、ブトキシメチルアクリルアミド、アクリロニトリル、ブタジエン等々も添加し、かつ共重合させることができる。ヒドロキシル官能性は、ヒドロキシル官能性単量体、たとえばヒドロキシエチル=アクリラート、ヒドロキシエチル=メタクリラート、ヒドロキシプロピル=アクリラート、ヒドロキシプロピル=メタクリラートの共重合によって確保される。カルボキシル官能性のためには、エチレン性不飽和酸および無水物、たとえばアクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、無水マレイン酸、イタコン酸無水物、アクリル酸無水物またはメタクリル酸無水物が用いられる(米国特許第3,836,604号明細書)。グリシジル官能性は、欧州特許出願公開第0 256 369号公報および米国特許第3,876,578号明細書に教示されるとおり、アクリル酸グリシジルおよびメタクリル酸グリシジルのような単量体の共重合によって与えられる。ヒドロキシルまたはカルボキシル官能性を有するポリアクリラートのための架橋結合剤としては、原則として、ヒドロキシルまたはカルボキシル官能性を有するポリエステルについて既述したのと同じ化合物を用いることが可能である。適切な更なる架橋結合剤は、米国特許第0,045,040号明細書のエポキシ化合物である。グリシジル官能性を有するポリアクリラートに適切な架橋結合剤は、ジカルボン酸、たとえばセバシン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、および無水物、たとえばビストリメリチン酸無水物、ならびに米国特許第3,880,946号明細書に記載された化合物である。更に、ドイツ国特許出願公開第3,310,545号公報の自己架橋結合性ポリアクリラートも、公知である。
粉末コーティングのためのエポキシ樹脂は、大部分は、NOVOLAC(登録商標)−エポキシ樹脂、または特に芳香族ポリオールに基づくもの、特にビスフェノールAのようなビスフェノールに基づくものである。やはり公知であるのは、特開昭58−187,464(1982)の改質ビスフェノール−エポキシ樹脂である。エポキシ樹脂は、固体の脂肪族アミン、固体の芳香族アミン、アミン付加物、フェノール系樹脂、多塩基酸、および既述のカルボキシル官能性ポリエステルの群からの架橋結合剤と組み合わせて用いられる。硬化剤としてはジシアンジアミドに格別に触れなければならず、これらは、ルイス酸、三フッ化ホウ素−アミン錯体、金属錯体、第三級または第四級アミン、およびイミダゾリン誘導体、たとえば2−メチルイミダゾリンのような触媒と一緒に用いられることが多い。
本発明による熱硬化性粉末コーティング組成物では、樹脂および架橋結合剤を、ほぼ化学量論量で用いるのが賢明である。化学量論量からの30pphを上回る逸脱は、ほとんどの場合、硬化されたコーティング膜の望ましい物理特性、たとえば柔軟性、衝撃強さ、接着性、耐候性または溶剤耐性の低下へと導く。
好ましいのは、成分(ii)および(iii)の混合物が、70〜98重量pph、より好ましくは85〜98重量pphのカルボキシル基含有ポリエステル、および30〜2重量pph、より好ましくは15〜2重量pphの1種類またはそれ以上のエポキシおよび/もしくはβ−ヒドロキシアルキルアミド基含有架橋結合剤を含む、熱硬化性粉末コーティング組成物である。
好ましくは、本発明の熱硬化性粉末コーティング組成物は、更なる添加剤として、染料、充填剤、蝋、平滑化助剤、脱気剤、電荷制御剤、光沢剤、接着促進剤、酸化防止剤、光安定剤、硬化触媒または光開始剤の群からの1種類もしくはそれ以上の成分を含む。本発明の粉末コーティング組成物は、腐食防止剤、たとえば耐食顔料、たとえばリン酸−もしくはホウ酸−含有顔料または金属酸化物顔料、あるいは他の有機もしくは無機腐食防止剤、たとえばニトロイソフタル酸の塩、リン酸エステル、工業等級アミンまたは置換ベンゾトリアゾールを含んでもよい。
特に好ましいのは、UV吸光剤、ヒンダードアミンの光安定剤、流量制御剤、脱気剤および充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類の更なる成分を含む、熱硬化性粉末コーティング組成物である。
たとえばUV光で硬化される、熱硬化性粉末コーティング組成物に適切な光開始剤は、ベンゾフェノン、フェニルグリオキサラート、ビス−および/もしくはモノ−アシルホスフィン=オキシド、α−ヒドロキシケトン、またはベンジルジメチルケタールに基づくものである。光源としては、中圧または高圧水銀灯を用いるのが賢明である。
脱気剤の例は、欧州特許出願公開第0 471 409号公報に記載されたような脂肪酸アミド、ε−カプロラクタム、イソフタル酸メチルおよびイソフタル酸ジメチル(欧州特許出願公開第284 996号公報)、および格別にベンゾインである。
平滑化助剤の例は、エポキシ化された脂肪酸、アビエチルアルコール、ポリラウリルメタクリラート、ポリラウリルアクリラート、ポリジメチルシロキサン−ポリアルキレンオキシドブロック共重合体、または特にアクリル酸C1〜C8アルキルエステルもしくはメタクリル酸アルキルエステルの低分子量の重合体および共重合体である。
接着促進剤は、たとえば改質シラン、チタン酸塩またはジルコン酸塩を基剤とする。
光沢剤の例は、UVITEX(登録商標)OB(Ciba Specialty Chemicals Corp.)である。
充填剤の例は、タルク、アルミナ、ケイ酸アルミニウム、リン酸アルミニウム、バライト、雲母、リトポン、シリカ、炭酸カルシウムもしくは炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、炭酸亜鉛、リン酸亜鉛、またはそれらの混合物である。
本発明による特に好適な熱硬化性粉末コーティング組成物は、更なる添加剤として、酸化防止剤を含む。そのような化合物の例は、以下のものを包含する:
1.酸化防止剤
1.1.アルキル化モノフェノール類、たとえば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノール、2−ブチル−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−エチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−n−ブチルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−イソブチルフェノール、2,6−ジ−シクロペンチル−4−メチルフェノール、2−(α−メチルシクロヘキシル)−4,6−ジメチルフェノール、2,6−ジ−オクタデシル−4−メチルフェノール、2,4,6−トリシクロヘキシルフェノール、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシメチルフェノール、直鎖または分枝鎖ノニルフェノール、たとえば2,6−ジノニル−4−メチルフェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルウンデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルヘプタデカ−1’−イル)フェノール、2,4−ジメチル−6−(1’−メチルトリデカ−1’−イル)フェノール、およびそれらの混合物。
1.2.アルキルチオメチルフェノール類、たとえば2,4−ジオクチルチオメチル−6−tert−ブチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−メチルフェノール、2,4−ジオクチルチオメチル−6−エチルフェノール、2,6−ジドデシルチオメチル−4−ノニルフェノール。
1.3.ヒドロキノン類およびアルキル化ヒドロキノン類、たとえば、2,6−ジ−tert−ブチル−4−メトキシフェノール、2,5−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−アミルヒドロキノン、2,6−ジフェニル−4−オクタデシルオキシフェノール、2,6−ジ−tert−ブチルヒドロキノン、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニソール、ステアリン酸3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル、アジピン酸ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)。
1.4.トコフェロール類、たとえば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロール、δ−トコフェロール、およびそれらの混合物(ビタミンE)。
1.5.ヒドロキシル化チオジフェニルエーテル類、たとえば、2,2’−チオビス(6−tert−ブチル−4−メチルフェノール)、2,2’−チオビス(4−オクチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−3−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(6−tert−ブチル−2−メチルフェノール)、4,4’−チオビス(3,6−ジ−sec−アミルフェノール)、4,4’−ビス(2,6−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)=ジスルフィド。
1.6.O−、N−およびS−ベンジル化合物、たとえば、3,5,3’,5’−テトラ−tert−ブチル−4,4’−ジヒドロキシジベンジルエーテル、4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルベンジルメルカプト酢酸オクタデシル、4−ヒドロキシ−3,5−ジ−tert−ブチルベンジルメルカプト酢酸トリデシル、トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)アミン、ビス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)=ジチオテレフタラート、ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)=スルフィド、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルメルカプト酢酸イソオクチル。
1.7.ヒドロキシベンジル化マロン酸塩、たとえば、2,2’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−2−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジオクタデシル、2−(3−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−5−メチルベンジル)マロン酸ジオクタデシル、メルカプトエチル−2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジドデシル、2,2−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)マロン酸ジ−[4−(1,1,3,3−テトラメチルブチル)フェニル]。
1.8.芳香族ヒドロキシベンジル化合物、たとえば、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,4,6−トリメチルベンゼン、1,4−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)−2,3,5,6−テトラメチルベンゼン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)フェノール。
1.9.トリアジン化合物、たとえば、2,4−ビスオクチルメルカプト−6−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシアニリノ)−1,3,5−トリアジン、2−オクチルメルカプト−4,6−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,3,5−トリアジン、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェノキシ)−1,2,3−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジル)=イソシアヌラート、1,3,5−トリス(4−tert−ブチル−3−ヒドロキシ−2,6−ジメチルベンジル)=イソシアヌラート、2,4,6−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルエチル)−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアジン、1,3,5−トリス(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシベンジル)=イソシアヌラート。
1.10.ベンジルホスホン酸塩、たとえば、2,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジメチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジエチル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸ジオクタデシル、5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルベンジルホスホン酸ジオクタデシル、3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシベンジルホスホン酸のモノエチルエステルのカルシウム塩。
1.11.アシルアミノフェノール類、たとえば、4−ヒドロキシラウルアニリド、4−ヒドロキシステアルアニリド、N−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)カルバミン酸オクチル。
1.12.β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の一価または多価アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)=イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
1.13.β−(5−tert−ブチル−4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロピオン酸の一価または多価アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、n−オクタノール、i−オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)=イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
1.14.β−(3,5−ジシクロヘキシル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸の一価または多価アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)=イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
1.15.3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル酢酸の一価または多価アルコール、たとえば、メタノール、エタノール、オクタノール、オクタデカノール、1,6−ヘキサンジオール、1,9−ノナンジオール、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、チオジエチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ペンタエリトリトール、トリス(ヒドロキシエチル)=イソシアヌラート、N,N’−ビス(ヒドロキシエチル)オキサルアミド、3−チアウンデカノール、3−チアペンタデカノール、トリメチルヘキサンジオール、トリメチロールプロパン、4−ヒドロキシメチル−1−ホスファ−2,6,7−トリオキサビシクロ[2.2.2]オクタンとのエステル。
1.16.β−(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオン酸のアミド、たとえば、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヘキサメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)トリメチレンジアミン、N,N’−ビス(3,5−ジ−tert−ブチル−4−ヒドロキシフェニルプロピオニル)ヒドラジン。
フェノール系酸化防止剤は、たとえば、粉末コーティング組成物の全重量を基準にして0.01〜10pphの濃度で加える。
特に好ましいのは、ベンゾフラン−2−オンまたはフェノール系酸化防止剤を更に含有する、熱硬化性粉末コーティング組成物である。
熱硬化性粉末コーティング組成物は、慣用の手法、特に静電粉末吹付けに従って、基板に適用する。スプレーガンから吹き付けられた粉末は、高圧電極で静電的に荷電し、空気流、および静電気による引力の作用下で加工対象に引き付けられる。力線の巻きつき効果(wraparound effect)によって、くり抜き部分および裏面も確実にコーティングされる。クーロン力の結果として付着した適用粒子は、オーブン内でまとめて融解し、硬化する。好適な焼付け温度は、膜形成用結合剤(樹脂/硬化剤系)の反応性、およびオーブンの構成に応じて、130〜260℃、特に140〜220℃である。焼付け時間は、2〜30分の範囲内とするのが賢明であるが、基板の熱容量が重要な役割を演じる。UV硬化系の場合、粉末コーティング組成物(粉末吹付け操作後の)は、たとえば赤外線によって、50〜180℃の温度で融解する。次いで、コーティングをUV光に露光させ、好ましくはその後冷却する。粉末コイルコーティングの用途では、粉末を硬化させるのに、300〜400℃の範囲の高温への短時間の接触が用いられる。
本発明による熱硬化性粉末コーティング組成物は、コーティングを適用しようとするすべての種類の基板、たとえば金属、MDFボード、ガラスおよびセラミックに適切である。
代表的な金属基板は、異なる鋼の化成被覆(conversion coating)、たとえば、リン酸鉄またはリン酸亜鉛、アルミニウムおよびリン酸鉄のようなその化成被覆(アルミニウムを鋼とともに加工したとき)、リン酸亜鉛、リン酸クロム、クロム酸塩、非クロム酸塩、ならびに亜鉛メッキ鋼を含む冷間圧延もしくは熱間圧延鋼であってもよい。
特に好ましいのは、鉄、鋼、銅、亜鉛、スズ、マグネシウム、ケイ素、チタンまたはアルミニウム、およびそれらの合金からなる群から選ばれる金属基板である。
本発明による熱硬化性粉末コーティング組成物の製造は、慣用の方法によって達成することができる。操作および機械の優れた記載は、T.A. Misevの書籍「Powder Coatings: Chemistry and Technology」、J. Wiley & Sons, Chichesterの第5章に示される。
一般的には、熱硬化性粉末コーティング組成物のすべての成分を秤量し、適切な混合機内でまとめて混合する。これは、タンブルミキサー、コニカルミキサー、二重円錐型混合機、水平式混合機、ブレンダー、および遊星混合機のような撹拌装置を用いて実施する。
配合物は、何よりも先ず、加熱された押出機内で処理して、高度に均質な融解組成物を得る。この目的に適切な機械は、単軸同時混合機、二軸押出機および遊星押出機を含む。計量は、通常、ねじコンベヤー、コンベヤーベルトまたはシェーカートラフを用いて、70〜140℃、特に80〜110℃の温度で実施する。押出しの後、高温の塊体を圧延し、たとえば冷却ベルト上で冷却する。塊体は、固化したとき、破砕し、次いで摩砕する。適切な摩砕ユニットは、ピン付き円板ミル、超遠心ミル、ジェットミル、および特に分類ミルである。次いで、粉末を分類し、好ましくはふるいにかける。ふるい分けの前に、たとえばシリカゲルまたはアルミナのような粘着防止剤、または特殊効果顔料、たとえばアルミニウム、青銅または雲母を加えることも可能である。
本発明の熱硬化性粉末コーティング組成物の平均粒度は、5〜200μm、特に10〜100μm、たとえば15〜75μmである。
本発明に用いることもできる、粉末コーティングを製造するその他の手法が、最近公開された(欧州特許第368,851号明細書、または国際公開第92/00342号公報)。これらの手法では、予め混合された配合物または押出材料を、加熱された回転管に仕込み、遠心力によって回転盤上に振り出す。盤の辺縁で、小さい円形の、実質的に単分散の液滴が形成されて、冷却された空気中で固化してから、床上に落下する。
熱硬化性粉末コーティング組成物は、慣用的に実施される方法によって適用する。たとえば、コロナガンおよび摩擦電気スプレーガンを用いることが可能である。やはり用い得るのは、静電気荷電を伴うか、または伴わない流動化焼結手法のすべての変化形である。熱可塑性粉末コーティングのためには、溶射の手法も用いることができる。
熱硬化性粉末コーティング組成物の焼付けは、ガスオーブンに加えて、赤外線加熱または電子放射装置によって実施することもできる。
適用される量(層の肉厚)、および用いられる基板の種類(層基板)は、望みの適用分野に依存する。肉厚は、通常、約30〜120μmの範囲内にある。
第三の態様では、本発明は、前記の熱硬化性粉末コーティング組成物から得られる塗料またはワニス組成物に関するものである。
第四の態様では、本発明は、物品をコーティングする方法であって、前記の熱硬化性粉末コーティング組成物を、静電気もしくは摩擦帯電ガンによってか、または流動床にて適用すること、およびこうして得られたコーティングを、140〜250℃の温度で加熱することを特徴とする方法に関するものである。
第五の態様では、本発明は、前記の方法によって全体的または部分的にコーティングされた基板に関するものである。
第六の態様では、本発明は、熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂、少なくとも1種類の架橋結合剤、および少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料を含む熱硬化性粉末コーティング組成物の変色を軽減する方法であって、有機亜リン酸安定剤をこれらの組成物に組み込むか、または適用する段階を含む方法に関するものである。
本発明の熱硬化性粉末コーティング組成物を硬化させる方法では、熱エネルギーが用いられる。硬化温度は、電気的に加熱されるオーブン、直接ガス燃焼オーブンまたはIR照射を用いて達成することができる。標準的な硬化条件に要する時間および温度は、最終用途の要件、および配合物の種類に応じて、たとえば160℃で約10分ないし200℃で10分に変化することができる。
本発明の着色組成物は、それを含む本発明の熱硬化性粉末コーティング組成物と同様に、耐熱コーティングの必要性が存在する場合、および上焼付けの条件の際に僅かな表面変質のみが許容され得るにすぎない場合に、好都合にも用いられる。僅かな表面変質と見なされるのは、標準的硬化条件に対してdE1.0未満の変色、標準的硬化条件に対して10pph未満の光沢保持、およびピンホール、クレーター形成、または適用されたコーティングの再流動である。上焼付け条件は、180℃で15時間以上、180℃以上で15分以上、200℃で10分以上、もしくは200℃以上で約5〜10分、または200℃以上で10分以上という硬化条件である。
実施例
下記の化合物を作業例に用いた。別途指定されない限り、すべての部および百分率は、重量による。
熱硬化性樹脂:R1 ポリエステル樹脂URALAC(登録商標)P 3495
R2 エポキシ架橋結合剤ARALDIT(登録商標)PT−910
顔料:バナジン酸ビスマス顔料1:IRGAZIN(登録商標)Yellow 2093(P.Y.184)
バナジン酸ビスマス顔料2:IRGAZIN(登録商標)Yellow 2094(P.Y.184)
Blanc fixe(硫酸バリウム不活性充填剤材料)
安定剤:ジホスホン酸テトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレン(IRGAFOS(登録商標)P−EPQ、Ciba Specialty Chemicals Corp)
実施例1
樹脂R1:R2の重量比93:7の混合物、ならびに全配合物に対して20重量pphのバナジン酸ビスマス顔料1(BiVa)、および10重量pphのBlanc fixeにより、熱硬化性粉末コーティングを製造した。安定化されない組成物は、180℃で約30分以下の達成可能な硬化条件を示した。バナジン酸ビスマス顔料1の重量に対して算出して約5〜15重量pphの濃度のIRGAFOS(登録商標)P−EPQで安定化された配合物は、220℃で約20分以下の達成可能な硬化条件を示した。
いかなるコーティング表面欠陥も生じない、達成可能な上焼付けの硬化条件を、表1に示す。結果は、熱硬化性粉末コーティング組成物における増加する量の本明細書による有機リン含有安定剤の影響を例証している。コーティング表面の評価は、目視査定によって実施した。したがって、標準的条件(180℃で30分)で硬化させたサンプルを、異なる上焼付け条件で硬化させたサンプルと比較した。サンプルは、平滑化、光沢、クレーター形成およびピンホールのような表面欠陥に相違が観察されなかったとき、この査定に合格した。
Figure 2009516042
実施例2
樹脂R1:R2の重量比93:7の混合物、ならびに全配合物に対して約5、10、15および20重量pphのバナジン酸ビスマス顔料2、および約25、20、15および10重量pphのBlanc fixeにより、熱硬化性粉末コーティングを製造した。これらの配合物を、安定化および非安定化させて試験した。非安定化組成物は、10、15および20ppmのバナジン酸ビスマス顔料2による組成物については、200℃で約10分以下の、また5pphのバナジン酸ビスマス顔料2による組成物については、200℃で約20分以下の達成可能な硬化条件を示した。バナジン酸ビスマス顔料2の重量に対して算出して15重量pphの濃度のIRGAFOS(登録商標)P−EPQで安定化された配合物は、5pphのバナジン酸ビスマス顔料2による組成物について、220℃で約10分以下、および200℃で約30分以下の達成可能な硬化条件を示した。
いかなるコーティング表面欠陥も生じない、達成可能な上焼付けの硬化条件を、表2に示す。結果は、様々な組成物における本明細書による有機リン含有安定剤による安定化の影響を例証している。コーティング表面の評価は、目視査定によって実施した。したがって、標準的条件(180℃で30分)で硬化させたサンプルを、異なる上焼付け条件で硬化させたサンプルと比較した。サンプルは、平滑化、光沢、クレーター形成およびピンホールのような表面欠陥に相違が観察されなかったとき、この査定に合格した。
Figure 2009516042

Claims (15)

  1. (i)少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料、および
    (ii)少なくとも1種類の有機リン含有安定剤
    を含む着色剤組成物。
  2. 少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料が、バナジン酸ビスマス顔料またはBiVO4を含有する混合相顔料の少なくとも1種類である、請求項1記載の着色剤組成物。
  3. 少なくとも1種類の有機リン含有安定剤が、式(1)、(2)、(3)、(4)、(5)、(6)および(7):
    Figure 2009516042

    [式中、
    指数は整数であり、
    nは2、3または4であり;pは1または2であり;qは2または3であり;rは4〜12であり;yは1、2または3であり;zは1〜6であり、
    1は、nが2ならば、C2〜C18アルキレン;酸素、硫黄もしくは−NR4−で割り込まれたC2〜C12アルキレン;式
    Figure 2009516042

    で示される基;またはフェニレンであり、
    1は、nが3ならば、式−Cr2r-1−で示される基であり、
    1は、nが4ならば、式
    Figure 2009516042

    であり、
    2は、nが2である場合のA1の定義どおりであり、
    Bは、直接結合、−CH2−、−CHR4−、−CR14−、硫黄、C5〜C7シクロアルキリデン、または3、4および/もしくは5位にて1〜4個のC1〜C4アルキル基で置換されたシクロヘキシリデンであり、
    1は、pが1ならば、C1〜C4アルキルであり、pが2ならば、−CH2OCH2−であり、
    2は、pが1ならば、C1〜C4アルキルであり、
    Eは、yが1ならば、C1〜C18アルキル、−OR1またはハロゲンであり、
    Eは、yが2ならば、−O−A2−O−であり、
    Eは、yが3ならば、式R4C(CH2O−)3またはN(CH2CH2O−)3で示される基であり、
    Qは、酸素原子を介してリン原子に結合された、少なくともz価のアルコールまたはフェノールの基であり、
    1、R2およびR3は、互いに独立して、非置換であるか、またはハロゲン、−COOR4、−CNもしくは−CONR44で置換されたC1〜C18アルキル;酸素、硫黄または−NR4−で割り込まれたC2−C18アルキル;C7〜C9フェニルアルキル;C5〜C12シクロアルキル、フェニルまたはナフチル;ハロゲン、全部で1〜18個の炭素原子を有する1〜3個のアルキル基もしくはアルコキシ基、またはC7〜C9フェニルアルキルで置換されたナフチルもしくはフェニル;あるいは式
    Figure 2009516042

    (式中、mは3〜6の範囲の整数である)で示される基であり、
    4は、水素、C1〜C18アルキル、C5〜C12シクロアルキルまたはC7〜C9フェニルアルキルであり、
    5およびR6は、互いに独立して、水素、C1〜C8アルキルまたはC5〜C6シクロアルキルであり、
    7およびR8は、qが2ならば、互いに独立して、C1〜C4アルキルであるか、または一緒になって、2,3−デヒドロペンタメチレン基であり、
    7およびR8は、qが3ならば、メチルであり、
    14は、水素、C1〜C9アルキルまたはシクロヘキシルであり、
    15は、水素またはメチルであり、二つまたはそれ以上の基R14およびR15が存在するならば、これらの基は、同一であるか、または異なり、
    XおよびYは、それぞれ、直接結合または酸素であり、
    Zは、直接結合、メチレン、−C(R162−または硫黄であり、
    16は、C1〜C8アルキルである]
    からなる群から選ばれる、少なくとも1種類の有機亜リン酸塩または有機ホスホン酸塩である、請求項1記載の着色剤組成物。
  4. 少なくとも1種類の有機リン含有安定剤が、亜リン酸トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)、亜リン酸トリス(ノニルフェニル)、ならびに式(A)、(B)、(C)、(D)、(E)、(F)、(G)、(H)、(J)、(K)および(L):
    Figure 2009516042

    Figure 2009516042

    からなる群から選ばれる、少なくとも1種類の有機亜リン酸塩または有機ホスホン酸塩である、請求項1記載の着色剤組成物。
  5. クロム酸鉛顔料、硫化セリウム顔料、ルチル顔料およびスピネル顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の無機顔料、ならびに/またはアントラキノン顔料、アントラピリミジン顔料、アゾ顔料、アゾメチン顔料、キナクリドン顔料、キノフタロン顔料、ジケトピロロピロール顔料、インダントロン顔料、イソインドリン顔料、イソインドリノン顔料、金属錯体顔料、ペリノン顔料、ペリレン顔料、フタロシアニン顔料、ピラントロン顔料、ピラゾロキナゾロン顔料およびチオインジゴ顔料からなる群から選ばれる少なくとも1種類の有機顔料を更に含む、請求項1記載の着色剤組成物。
  6. 少なくとも1種類の有機リン含有安定剤を、少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料の重量を基準にして1〜300重量pph、好ましくは5〜60重量pphの量で含有する、請求項1記載の着色剤組成物。
  7. (i)請求項1〜6のいずれか一項に記載の着色剤組成物
    (ii)熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂、および
    (iii)少なくとも1種類の架橋結合剤
    を含む熱硬化性粉末コーティング組成物。
  8. 熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂(ii)がヒドロキシル基含有重合体、好ましくはヒドロキシル基含有ポリエステルであり、少なくとも1種類の架橋結合剤(iii)がブロックもしくは非ブロックイソシアナート、またはメラミン樹脂である、請求項7記載の熱硬化性粉末コーティング組成物。
  9. 熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂(ii)がカルボキシル基含有重合体、好ましくはカルボキシル基含有ポリエステルまたはポリアクリラートであり、少なくとも1種類の架橋結合剤(iii)がエポキシ化合物、好ましくはイソシアヌル酸トリグリシジル、グリシジル基含有アクリル系共重合体、またはβ−ヒドロキシアルキルアミドである、請求項7記載の熱硬化性粉末コーティング組成物。
  10. 成分(ii)および(iii)の混合物が、70〜98重量pph、好ましくは85〜98重量pphのカルボキシル基含有ポリエステル、および30〜2重量pph、好ましくは15〜2重量pphの1種類またはそれ以上のエポキシおよび/もしくはβ−ヒドロキシアルキルアミド基含有架橋結合剤を含む、請求項7記載の熱硬化性粉末コーティング組成物。
  11. UV吸光剤、ヒンダードアミンの光安定剤、流量制御剤、脱気剤および充填剤からなる群から選ばれる少なくとも1種類の更なる成分を含む、請求項7記載の熱硬化性粉末コーティング組成物。
  12. 請求項7〜11のいずれか一項に記載の熱硬化性粉末コーティング組成物から得られる塗料またはワニス組成物。
  13. 物品をコーティングする方法であって、請求項7〜11のいずれか一項に記載の熱硬化性粉末コーティング組成物を、静電気もしくは摩擦帯電ガンによってか、または流動床にて適用すること、およびこうして得られたコーティングを、140〜250℃の温度で加熱することを特徴とする方法。
  14. 請求項13記載の方法によって全体的または部分的にコーティングされた基板。
  15. 熱により重合可能な少なくとも1種類の熱硬化性粉末コーティング樹脂、少なくとも1種類の架橋結合剤、および少なくとも1種類のビスマス含有無機顔料を含む熱硬化性粉末コーティング組成物の変色を軽減する方法であって、有機リン含有安定剤を、これらの組成物に組み込むか、または適用する段階を含む方法。
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