JP2009513625A - S−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物、その製造方法、及びこれを含む医薬組成物 - Google Patents

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Abstract

本発明は改善された光学純度、熱的安定性、水溶解度及び非吸湿性を有し、胃酸関連疾患の予防または治療に有用な下記のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物、その製造方法、及びこれを有効成分として含む医薬組成物を提供する。

Description

本発明は、改善された光学純度、熱的安定性、水溶解度及び非吸湿性を有するS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物、その製造方法、及びこれを含む薬学組成物に関する。
下記式IIのオメプラゾール、5−メトキシ−2−[[(4−メトキシ−3,5−ジメチル−2−ピリジニル)メチル]スルフィニル]−1H−ベンゾイミダゾールは、H+/K+−ATPaseまたはプロトンポンプ抑制剤であって、胃酸分泌を抑制して胃腸の細胞を保護する効能を表し(ヨーロッパ特許第0,005,129号参照)、ロセック(登録商標)(Losec(登録商標))及びプリロセック(登録商標)(Prilosec(登録商標))との商品名で胃酸関連疾患の予防及び治療用薬剤として市販されている。構造的に中性分子であるオメプラゾールは、熱的に、また中性pH値以下の条件では化学的に不安定であるため、腸溶性コート製剤に剤形化される必要がある。
Figure 2009513625
米国特許第4,738,974号には、オメプラゾールのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、チタン、アンモニウム、及びグアニジン塩のような塩及びこれらの水和物が開示されている。前記のようなオメプラゾールの塩は、中性形態のオメプラゾールに比べて一層安定している。
オメプラゾールは、R−及びS−鏡像異性体の同量で構成されたラセミ混合物である。R−異性体は、不活性代謝物に代謝される傾向があり、個体間の偏差もより大きいため、式(III)のS−オメプラゾールがR−異性体に比べて胃腸の潰瘍、十二指腸潰瘍、胃食道逆流性疾患などの治療により好適である。従って、R−オメプラゾールが実質的に存在しない純粋なS−オメプラゾールを製造する方法を開発するために様々な試みがなされてきた。
Figure 2009513625
例えば、高速液体クロマトグラフィーによってラセミ体のオメプラゾールを光学分割する方法が文献[Erlandssonら、Journal of Chromatography,535,305〜319(1990)]に開示されており、国際公開特許WO1992/08716号にはオメプラゾールの各鏡像異性体を製造する方法が開示されている。しかし、光学的に分離されたS−オメプラゾール生成物は、薬学的に求められる純度を有する安定した固形とは認められない。米国特許第6,162,816号にS−オメプラゾールの結晶形が開示されているが、これも十分に安定していない。
米国特許第5,714,504号及び第5,693,818号には、S−オメプラゾールのリチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム及びアンモニウム塩のような塩及びこれらの水和物が開示されている。米国特許第6,369,085号及び第6,511,996号には、S−オメプラゾールの結晶性カリウム塩のみならず、マグネシウム塩の二水和物及び三水和物、及びこれらの結晶多形が開示されている。前記のようなS−オメプラゾールの塩は、S−オメプラゾール自体に比べて優れた安定性を有する。
現在、S−オメプラゾールのナトリウム、カリウム及びマグネシウム塩、またはこれらの水和物は、ネキシウム(登録商標)(Nexium(登録商標)、アストラゼネカ・アクチエボラーグ社製)との商品名で潰瘍の予防及び治療用薬剤として市販されている。ナトリウム及びカリウム塩は、水溶解度が良いため注射剤としては好適であるが、吸湿性があるため、経口投与には不向きである。一方、非吸湿性のS−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物は、オメプラゾール固形の経口投与の面では好ましいのであるが、薬学的に求められる光学純度を達成することは困難である。従って、満足できる治療効能を達成するために、S−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物を予め製造された光学的に純粋なナトリウムまたはカリウム塩と塩交換させる(文献[H.Cottonら、Tetrahedron Asymmetry,11,3819〜3825(2000)]参照)。
国際公開特許WO2004/099182号、WO2005/011692号、WO2003/074514号、WO2005/023796号及びWO2005/023797号には、S−オメプラゾールのバリウム塩、亜鉛塩、t−ブチルアミン(t−butylamine)塩、アダマンタンアミン(adamantaneamine)塩及びα−メチルシクロヘキサンメタンアミン(α−methylcyclohexanemethane amine)塩などが開示されているが、これらの塩は前記した水溶解度、結晶性、非吸湿性、安定性及び光学純度の面でS−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物より優れていない。
従って、このような従来の技術に鑑みて、経口投与及び注射投与のいずれにも好適なS−オメプラゾールの改善された塩の開発が求められてきた。
ストロンチウムは、IIA族のアルカリ土類金属であって、自然で88Sr(82.58%)、87Sr(7.00%)、86Sr(9.86%)及び84Sr(0.56%)の4つの同位元素の形態で存在する。また、ストロンチウムは、ラットに633mg/kg/日の用量で投与される時も安定性には問題がないと報告されている(文献[P.J.Marieら、Mineral & Electrolyte Metabolism,11,5〜13(1985)]参照)。ヒトは体重70kgの成人を基準にして一日平均約3.3mgのストロンチウムを摂取していると知られている(文献[Report of Toxicological Profile for Strontium,U.S.Department of Health and Human Services,2004]参照)。また、ストロンチウムは骨組職でカルシウムと相補的に機能して骨の形成を促進し、骨組職の再吸収を抑制する性質を有する(文献[S.P.Nielsen,Bone,35,583〜588(2004)]参照)。薬学的に用いられてきたストロンチウム塩の典型的な例としてストロンチウムとラネリック酸(ranelic acid)との塩であるラネリック酸ストロンチウム(strontium ranelate)が知られている。しかし、オメプラゾールを含む弱酸性のベンゾイミダゾール誘導体とストロンチウム塩は今まで全くなかった。
そこで、本発明者らはS−オメプラゾールの新規の塩を開発するために鋭意研究した結果、S−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物が既存のS−オメプラゾール塩に比べてより改善された光学純度、熱的安定性、非吸湿性及び水溶解度を有することを見出し、本発明を達成するに至った。
ヨーロッパ特許第0,005,129号 米国特許第4,738,974号 国際公開特許WO 1992/08716号 米国特許第6,162,816号 米国特許第5,714,504号 米国特許第5,693,818号 米国特許第6,369,085号 米国特許第6,511,996号 国際公開特許WO 2004/099182号 国際公開特許WO 2005/011692号 国際公開特許WO 2003/074514号 国際公開特許WO 2005/023796号 国際公開特許WO 2005/023797号 Erlandssonら、Journal of Chromatography,535,305〜319(1990) H.Cottonら、Tetrahedron Asymmetry,11,3819〜3825(2000) P.J.Marieら、Mineral & Electrolyte Metabolism,11,5〜13(1985) Report of Toxicological Profile for Strontium,U.S.Department of Health and Human Services,2004 S.P.Nielsen,Bone,35,583〜588(2004)
それで、本発明は上記のような従来の問題点に鑑みてなされたもので、その目的はS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物及びその製造方法を提供することである。
本発明の目的を達成するために、本発明の一実施態様によれば、下記式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物を提供する:
Figure 2009513625
本発明の他の実施態様によれば、S−オメプラゾールが含まれた中性または塩基性溶液に水酸化ストロンチウムまたは他のストロンチウム塩を加え、得られた混合物を攪拌することを含む、式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物の製造方法を提供する。
本発明のまた他の実施態様によれば、有効成分として式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物、及び薬学的に許容可能な担体を含む、胃酸関連疾患の予防または治療用医薬組成物を提供する。
本発明による式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物は、S−オメプラゾールの新規の塩であって、既存のマグネシウム塩に比べ、光学的により純粋で、熱により安定的であり、また、より非吸湿性でありながらも水溶解度が増加されたものである。
本発明のS−オメプラゾールストロンチウム塩は、2価のストロンチウムイオンに2分子のS−オメプラゾールが結合されたものであって、ここに一つ以上の水分子が結合され得る。このようなS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物は、非晶形(amorphous form)または結晶形(crystal form)に存在することができ、好ましくは結晶形であり、これらは粉末X線回折分析または示差走査熱量計を用いて確認することができる。
本発明の好ましい実施態様によれば、下記式(IV)のS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物を提供する:
Figure 2009513625
前記S−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物は、粉末X線回折スペクトルにおいて3%以上のI/Io値(I:各ピークの強度、Io:最も大きいピークの強度)を有するピークが5.6、11.1、13.5、14.8、16.2、17.5、18.0、20.1、20.4、21.2、22.2、24.5、25.2、26.3、27.5、29.8、31.1、32.8及び36.5の回折角(2θ±0.2)で表れる(図1参照)。また、前記結晶性四水和物は、示差走査熱量計による分析(5℃/分)において約100℃を開始点にして最高点が約118℃である吸熱ピーク(約179J/g)と、約203℃を開始点にして最高点が約211℃である発熱ピーク(約451J/g)とを示す(図2参照)。実際、前記結晶性四水和物の融点は約202℃であると観測され、乾燥減量(loss−on−drying)測定器による含水量の測定値は8.0〜9.5%であり、これは理論値の8.49%と実験誤差の範囲内におさまる。
また、本発明は、S−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物の部分または混成(heterogenic)結晶形に関する。
従って、本発明の他の実施態様によれば、粉末X線回折スペクトルにおいて100%のI/Io値を有するピークが5.8の回折角(2θ±0.2)で表れるS−オメプラゾールストロンチウム塩の部分または混成結晶形を提供する(図3参照)。前記結晶性無水物は、示差走査熱量計による分析(5℃/分)では吸熱ピークはないが、約186℃を開始点にして最高点が約197℃である発熱ピークを示す(図4参照)。前記結晶性無水物は約196℃以上の温度で分解されることが観察された。
また、本発明のまた他の態様によれば粉末X線回折スペクトルにおいて100%のI/Io値を有するピークが、25.2の回折角(2θ±0.2)で表れるS−オメプラゾールストロンチウム塩の部分または混成結晶形を提供する(図5参照)。前記結晶性水和物は示差走査熱量計による分析(5℃/分)では約37℃を開始点にして最高点が約68℃である吸熱ピークと、約161℃を開始点にして最高点が約189℃である発熱ピークとを示す(図6参照)。前記結晶性水和物は、約160℃以上の温度で分解されることが観察された。
本発明のまた他の態様によれば式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩の非晶形を提供し、これは粉末X線回折スペクトルにおいて著しく特徴的なピークを有しない(図7参照)。前記非晶形は、示差走査熱量計による分析(5℃/分)においても約29℃を開始点にして最高点が約56℃である吸熱ピークと、約183℃を開始点にして最高点が約208℃である発熱ピークとを示す(図8参照)。この時、約196℃で相転移が起きることが分かる。また、S−オメプラゾールストロンチウム塩の非晶形は、約180℃以上の温度で分解されることが観察された。
本発明による式IのS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物は、長期保存条件(25℃の温度及び60%の相対湿度)、加速条件(40℃の温度及び75%の相対湿度)、及び苛酷条件(60℃の温度及び75%の相対湿度)の下で、閉鎖状態で4週以上放置した後にも初期の含水量、純度及び結晶性を維持する。特に、S−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物(結晶形A)は非吸湿性であり、25℃〜40℃の温度及び40%〜90%の相対湿度に2週以上露出させた後にも初期の含水量を維持する。
また、式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物は、水溶解度の面でS−オメプラゾールの他の塩に比べて薬学的に有利である。例えば、本発明のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水溶解度は約17.6mg/mlであり、これはS−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物の水分解度に比べて約10倍以上である。
本発明によれば、式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物は、S−オメプラゾールを含む中性または塩基性溶液に水酸化ストロンチウムまたは他のストロンチウム塩を加え、必要な場合は結晶構造を変換させることによって製造される。
具体的に、式(IV)のS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物は、下記式(III)のS−オメプラゾールが含まれた中性溶液に水酸化ストロンチウムを加え、結晶形が形成されるまで得られた混合物を攪拌した後、生成された結晶を通常の方法でろ過し、乾燥して製造することができる:
Figure 2009513625
この時、中性溶液はメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン及びアセトン、好ましくはメタノール及びアセトンから選択された有機溶媒に、または前記有機溶媒のいずれか一つと水との混合溶媒にS−オメプラゾールを溶解または懸濁させて製造された溶液を意味し、この時、混合溶媒の混合比は体積比で99:1〜50:50が好ましい。本発明において、水酸化ストロンチウムは式(III)のS−オメプラゾール1モル当量に対して0.5〜0.75モル当量で用いることが好ましい。また、前記攪拌工程は、0℃ないし溶媒の沸点の温度範囲内で30分〜24時間行われる。
また、S−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物は式(III)のS−オメプラゾールと塩基とが含まれた塩基性溶液に反応性ストロンチウム塩を加え、結晶が形成されるまで得られた混合物を攪拌した後、生成された結晶を通常の方法でろ過し、乾燥して製造することができる。前記反応性ストロンチウム塩は、塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、 硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、及びシュウ酸ストロンチウム、好ましくは塩化ストロンチウム及び酢酸ストロンチウムから選択される。この時、前記塩基性溶液はメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン及びアセトン、好ましくはメタノール及びアセトンから選択された有機溶媒に、または前記有機溶媒のいずれか一つと水との混合溶媒にS−オメプラゾールを溶解または懸濁させて製造された溶液を意味し、この時、混合溶媒の混合比は体積比で99:1〜50:50が好ましい。前記塩基は水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン及びトリエチルアミン、好ましくは水酸化ナトリウムと水酸化カリウムから選択される。 本実施態様で、前記塩基は式(III)のS−オメプラゾール1モル当量に対して1〜3モル当量で用いられることが好ましく、前記反応性ストロンチウム塩は前記塩基1モル当量に対して0.5〜0.75モル当量で用いることが好ましい。また、前記攪拌工程は0℃ないし溶媒の沸点の温度範囲内で30分〜24時間行われる。
前記中性または塩基性溶液は、式(III)のS−オメプラゾール1g重量に対して1〜20mlの体積比、好ましくは3〜10mlの体積比で用いることが好ましい。
本発明の前記方法によれば、光学的に純粋でないS−オメプラゾールを出発物質として用いた場合にも高い光学純度を有するS−オメプラゾールの塩を製造することができる。
一方、S−オメプラゾールストロンチウム塩の部分または混成結晶性無水物は、S−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物を80〜130℃で30分〜24時間乾燥させることによって製造することができ、必要によってこの乾燥過程は減圧下でも行うことができる。
また、S−オメプラゾールストロンチウム塩の部分または混成結晶性水和物は、前記S−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性無水物を水に懸濁させ、室温で1〜24時間攪拌した後、生成物を通常の条件でろ過し、乾燥することによって製造することができる。
また、S−オメプラゾールストロンチウム塩の非晶形は、S−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物をアセトンのような有機溶媒に溶解させた後、得られた溶液を減圧蒸発や、或いは噴霧乾燥によって有機溶媒を除去させることによって製造することができる。
前記のように製造された本発明の式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物は、99%ee以上の高い光学純度、非吸湿性、水分及び熱に対して優れた安定性を有するため、胃酸過多による胃食道逆流性疾患、胃腸の炎症または胃腸の潰瘍のような胃酸関連疾患の予防及び治療用として薬学的に用いることができる。
従って、本発明は有効成分として式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物を含む医薬組成物を提供する。
本発明による医薬組成物は経口用、直腸用及び注射用などの様々な形態で投与可能であり、最も好ましい形態は経口投与である。
本発明の医薬組成物は、経口投与用として錠剤、カプセル剤、丸薬などの形態で剤形化することができ、薬学的に許容可能な担体、希釈剤または賦形剤などと混合することができる。好適な担体、希釈剤及び賦形剤としては、例えば、澱粉、糖、及びマンニトルのような賦形剤;リン酸カルシウム及びシリカ誘導体のような充填剤または増量剤;カルボキシメチルセルロースまたはヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体、ゼラチン、アルギン酸塩、及びポリビニルピロリドンのような結合剤;滑石、ステアリン酸マグネシウムまたはカルシウム、水素化ヒマシ油、及び固相ポリエチレングリコールのような潤滑剤;ポビドン、クロスカルメロースナトリウム、及びクロスポビドンのような崩壊剤;及びポリソルベート、セチルアルコール、及びグリセロールモノステアレートなどのような界面活性剤などが挙げられる。また、前記担体、希釈剤または賦形剤のような添加剤なしに、または添加剤とともに特定量の有効成分を含む様々な医薬組成物は、公知された通常の方法によって製造することができる(文献[Remington’s Pharmaceutical Sciences,Mack Publishing Company,Easton,PA、19th Edition,1995]参照)。
また、本発明の滅菌注射用組成物は、無菌状態で製造した本発明のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物と薬学的に許容可能な担体を直接バイアル瓶に充填して製造するか、或いは滅菌水に本発明のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物及び薬学的に許容可能な担体を溶解させた後、凍結乾燥させることにより、得られた非晶質粉末をバイアル瓶に充填することで製造することができ、これは投与直前に滅菌水を加えて溶解させる。
本発明の好ましい実施態様において、経口投与用医薬組成物は式IのS−オメプラゾールストロンチウム塩を組成物の全重量に対し0.1〜95重量%、好ましくは1〜70重量%の量で含有することができる。
式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物は、ヒトを含む哺乳類に対して一日に約0.5〜500mg/kg体重、好ましくは5〜100mg/kg体重の量で一回または数回に分けて投与できる。
以下、下記の実施例により本発明をより詳細に説明する。但し、下記の実施例は本発明を例示するためのものであり、本発明の範囲を限定するものではない。
下記実施例で用いられた高速液体クロマトグラフィー(HPLC)の分析条件は、それぞれ次の通りであり、下記に記載する単位「%ee」は鏡像異性体過剰率(ee,enantiomeric excess)を意味する。
条件A:オメプラゾールの含量測定用
−カラム:Zorbax C8 XDB,5μm(150mm×4.6mm)
−検出波長:281nm
−流速:1.0ml/分
−溶離条件:Na2HPO4−NaH2PO4緩衝溶液/CH3CN=75/25(v/v)
条件B:S−オメプラゾールストロンチウム塩の光学純度測定用
−カラム:Chiral−AGP,5μm(150mm×4mm)
−検出波長:280nm
−流速:0.8ml/分
−溶離条件:NaH2PO4緩衝溶液(pH6.5)/CH3CN=10/90(v/v)
<S−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物の製造>
実施例1〜8:S−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物(結晶形A)の製造
実施例1
光学純度95%eeのS−オメプラゾール(30.0g,86.9mmol)をメタノール200mlに溶解させ、水酸化ストロンチウム八水和物(13.8g,51.9mmol)をメタノール100mlに溶解させた溶液を徐々に添加した後、室温で3時間攪拌した。生成された固体をろ過し、メタノール100mlで洗滌した後、45℃で12時間乾燥して標題化合物33.8g(収率:92%)を白色結晶性粉末として得た。
融点:201〜203℃
含水率(乾燥減量試験):9.0%(四水和物の理論値:8.49%)
ストロンチウム含量(EDTA滴定):11.1%(無水物の理論値:11.3%)
オメプラゾール含量(HPLC、条件A):88.5%(無水物の理論値:88.7%)
光学純度(HPLC、条件B):99.9%ee
比旋光度:[α]D20=−31.1゜(c=1.0、アセトン)
1H−NMR(DMSO−d6):δ8.26(s,1H),7.38(d,1H),7.02(bs,1H),6.54(dd,1H),4.58(d,2H,J=13.3),4.46(d,2H,J=13.4),3.68(s,3H),3.66(s,3H),2.22(s,3H),2.10(s,3H)
IR(KBr,cm−1):3422,2991,2831,2364,1638,1611,1569,1561,1476,1444.4,1390,1365,1271,1204,1156,1077,1027,1000,855,844,798,637,487
得られたS−オメプラゾールストロンチウム塩の四水和物の結晶状態を粉末X線回折装置(XRD)を用いて分析した結果、S−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物は、著しく特徴的な回折パターンを有する結晶であることが分かった(図1参照)。3%以上のI/Io値を有する主要ピークを次の表1に示した。
[表1]
Figure 2009513625
また、図2に示すように、本発明によるS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物は、示差走査熱量計によるDSC分析(5℃/分)で100.04℃を開始点にして最高点が118.33℃である吸熱ピーク(178.9J/g)と、203.06℃を開始点にして最高点が210.68℃である発熱ピーク(451.3J/g)とを示した。
実施例2
光学純度90%eeのS−オメプラゾール(10.4g、30.1mmol)をメタノール100mlに溶解させ、水酸化ストロンチウム八水和物(4.6g、17.3mmol)をメタノール50mlに溶解させた溶液を徐々に添加した後、室温で3時間攪拌した。生成された固体をろ過し、メタノール50mlで洗滌した後、45℃で12時間乾燥して標題化合物10.7g(収率:84%)を白色結晶性粉末として得た。
融点:201〜203℃
含水率(乾燥減量試験):8.9%(四水和物の理論値:8.49%)
ストロンチウム含量(EDTA滴定):11.2%(無水物の理論値:11.3%)
オメプラゾール含量(HPLC、条件A):88.4%(無水物の理論値:88.7%)
光学純度(HPLC、条件B):99.9%ee
実施例3
光学純度80%eeのS−オメプラゾール(10.4g、30.1mmol)をメタノール100mlに溶解させ、水酸化ストロンチウム八水和物(4.6g、17.3mmol)をメタノール50mlに溶解させた溶液を徐々に添加した後、室温で3時間攪拌した。生成された固体をろ過しメタノール50mlで洗滌した後、45℃で12時間乾燥して標題化合物9.3g(収率:73%)を白色結晶性粉末として得た。
融点:201〜203℃
含水率(乾燥減量試験):8.7%(四水和物の理論値:8.49%)
ストロンチウム含量(EDTA滴定):11.2%(無水物の理論値:11.3%)
オメプラゾール含量(HPLC、条件A):88.5%(無水物の理論値:88.7%)
光学純度(HPLC、条件B):99.7%ee
実施例4
水150mlに水酸化ナトリウム(3.8g,95.0mmol)を溶解させた後、光学純度90%eeのS−オメプラゾール(27.5g、79.6mmol)を加えて溶解させた。塩化ストロンチウム六水和物(12.7g,47.8mmol)をメタノール150mlに溶解した溶液を徐々に添加した後、室温で3時間攪拌した。生成された固体をろ過し、水20mlとメタノール80mlとの混合溶媒で洗滌した後、45℃で12時間乾燥して標題化合物29.7g(収率:88%)を白色結晶性粉末として得た。
融点:201〜203℃
含水率(乾燥減量試験):8.9%(四水和物の理論値:8.49%)
ストロンチウム含量(EDTA滴定):11.35%(無水物の理論値:11.3%)
オメプラゾール含量(HPLC、条件A):88.6%(無水物の理論値:88.7%)
光学純度(HPLC、条件B):99.8%ee
実施例5
水150mlに水酸化カリウム(5.3g,94.5mmol)を溶解させた後、光学純度95%eeのS−オメプラゾール(27.5g,79.6mmol)を加えて溶解させた。塩化ストロンチウム六水和物(12.7g,47.8mmol)をメタノール150mlに溶解した溶液を徐々に添加した後、室温で3時間攪拌した。生成された固体をろ過し、水20mlとメタノール80mlとの混合溶媒で洗滌した後、45℃で12時間乾燥して標題化合物28.7g(収率:85%)を白色結晶性粉末で得た。
融点:201〜203℃
含水率(乾燥減量試験):9.0%(四水和物の理論値:8.49%)
ストロンチウム含量(EDTA滴定):11.3%(無水物の理論値:11.3%)
オメプラゾール含量(HPLC、条件A):88.5%(無水物の理論値:88.7%)
光学純度(HPLC、条件B):99.8%ee
実施例6
水150mlに水酸化カリウム(5.3g,94.5mmol)を溶解させた後、光学純度95%eeのS−オメプラゾール(27.5g,79.6mmol)を溶解させた。メタノール150mlを加えた後、酢酸ストロンチウム(12.7g、47.8mmol)を水50mlに溶解した溶液を徐々に添加し、室温で3時間攪拌した。生成された固体をろ過し、水20mlとメタノール80mlとの混合溶媒で洗滌した後、45℃で12時間乾燥して標題化合物28.0g(収率:83%)を白色結晶性粉末で得た。
融点:201〜203℃
含水率(乾燥減量試験):8.9%(四水和物の理論値:8.49%)
ストロンチウム含量(EDTA滴定):11.2%(無水物の理論値:11.3%)
オメプラゾール含量(HPLC、条件A):88.5%(無水物の理論値:88.7%)
光学純度(HPLC、条件B):99.9%ee
実施例7
(S)−(−)−バイノール(25.0g,87.3mmol)をエタノール400mlと水100mlとの混合溶液に添加し、60℃以上に加温してすべて溶解させた後、50℃〜55℃を維持しながら、前記溶液にトリエチルアミン5.0ml(35.9mmol)とオメプラゾール(50.0g、144.8mmol)を順次添加し、混合液を室温に徐々に冷却して室温で12時間攪拌した。生成された固体をろ過し、エタノール85mlと水15mlとの混合溶媒及びn−ヘキサン100mlで順次洗滌し、40℃で乾燥して(S)−(−)−バイノールとS−オメプラゾールとの包接複合体を得た(光学純度:97.0%ee)。
前記で得られた(S)−(−)−バイノールとS−オメプラゾールとの包接複合体80g(S−オメプラゾールの光学純度:97.0%ee)をメタノール400mlに溶解させ、水酸化ストロンチウム八水和物(20g,75.3mmol)を添加した後、室温で3時間攪拌した。生成された白色の固体をろ過しメタノール150mlで洗滌した後、45℃で12時間乾燥して標題化合物49.0g(収率:91%)を白色結晶性粉末で得た。
融点:201〜203℃
含水率(乾燥減量試験):9.0%(四水和物の理論値:8.49%)
ストロンチウム含量(EDTA滴定):11.2%(無水物の理論値:11.3%)
オメプラゾール含量(HPLC、条件A):88.5%(無水物の理論値:88.7%)
光学純度(HPLC、条件B):99.9%ee
実施例8
実施例7で得た(S)−(−)−バイノールとS−オメプラゾールとの包接複合体50g(S−オメプラゾールの光学純度:97.0%ee)をイソプロピルアセテート500mlに溶解させ、水酸化ナトリウム3.8g(95.0mmol)を水150mlに溶解させた溶液を添加した。その後、室温で3時間攪拌し、イソプロピルアセテートを分離して除去した後、水層をイソプロピルアセテート200mlで洗滌した。S−オメプラゾールが含まれた塩基性水層溶液に塩化ストロンチウム六水和物(12.6g,47.5mmol)をメタノール150mlに溶解した溶液を徐々に滴加した。この懸濁液を3時間攪拌した後、生成物をろ過した。次いで水20mlとメタノール80mlとの混合溶液で洗滌した後、45℃で12時間乾燥して標題化合物28.5g(収率:85%)を白色結晶性粉末で得た。
融点:201〜203℃
含水率(乾燥減量試験):8.8%(四水和物の理論値:8.49%)
ストロンチウム含量(EDTA滴定):11.3%(無水物の理論値:11.3%)
オメプラゾール含量(HPLC、条件A):88.6%(無水物の理論値:88.7%)
光学純度(HPLC、条件B):99.7%ee
実施例9:
S−オメプラゾールストロンチウム塩の部分または混成結晶性無水物(結晶形B)の製造
実施例1で得たS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物(結晶形A)30.0gを100℃で5時間乾燥して標題化合物27.0gを得た。
融点:196℃以上で分解
含水率(乾燥減量試験):0.9%
光学純度(HPLC、条件B):99.9%ee
条件B:S−オメプラゾールストロンチウム塩の光学純度測定用
得られたS−オメプラゾールストロンチウム塩は、粉末X線回折装置による分析において100%のI/Io値を有するピークが5.8の回折角(2θ±0.2)で表れ(図3参照)、示差走査熱量計によるDSC分析(5℃/分)では実質的な吸熱ピークがなく、186.09℃を開始点にして最高点が197.23℃である発熱ピークを示したが(図4参照)、これは部分または混成結晶性無水物の形態である。
実施例10:
S−オメプラゾールストロンチウム塩の部分または混成結晶性水和物(結晶形C)の製造
実施例9で得られたS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性無水物(結晶形B)20.0gを水150mlに懸濁させ、室温で12時間攪拌した。固体をろ過し、45℃で12時間乾燥して標題化合物16.5gを得た。
融点:105〜107℃の範囲で相転移、160℃以上で分解
含水率(乾燥減量試験):8.5%
光学純度(HPLC、条件B):99.9%ee
得られたS−オメプラゾールストロンチウム塩は、粉末X線回折装置による分析において100%のI/Io値を有するピークが25.2の回折角(2θ±0.2)で表れ(図5参照)、示差走査熱量計によるDSC分析(5℃/分)では37.11℃を開始点にして最高点が68.09℃である吸熱ピークを有し、161.3℃を開始点にして最高点が188.81℃である発熱ピークが表れており(図6参照)、これは部分または混成結晶性水和物の形態である。
実施例11:
S−オメプラゾールストロンチウム塩の非晶形の製造
実施例1で得られたS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物(結晶形A)25.0gをアセトン250mlに溶解させた後、真空回転蒸発器によって減圧下で溶媒を留去して標題化合物21.0gを得た。
融点:180℃以上で分解
含水率(乾燥減量試験):6.0%
光学純度(HPLC、条件B):99.8%ee
条件B:S−オメプラゾールストロンチウム塩の光学純度測定用
図7に示したように、得られたS−オメプラゾールストロンチウム塩の非晶形は、粉末X線回折装置による分析で特徴的なピークを有しないことが分かる。
また、図8に示したように示差走査熱量計によるDSC分析(5℃/分)において約29.16℃を開始点にして最高点が55.88℃である吸熱ピークを有し、195.13℃で相変異が起きながら182.85℃を開始点にして最高点が207.78℃である発熱ピークを示した。
<S−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物の製造>
比較例1
米国特許第6,369,085号の実施例7によってS−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物を製造した。
具体的に、水酸化カリウム(1.26g,22.5mmol)を水30mlに溶解させ、95%eeの光学純度を有するS−オメプラゾール(5.18g,15.0mmol)を加えて溶解させた。水10mlに硫酸マグネシウム(1.81g,15.0mmol)を溶解した溶液を徐々に添加した後、室温で3時間攪拌した。生成された固体をろ過し、水15mlで洗滌した後、45℃で12時間温風乾燥して白色結晶性粉末の標題化合物を95%の収率で得た。
比較例2〜3
それぞれ90%ee及び80%eeの光学純度を有するS−オメプラゾールを用いたことを除いて比較例1の過程と同様に行った。
試験例1:光学純度試験
実施例1〜3で製造されたS−オメプラゾールストロンチウム塩の四水和物、及び比較例1〜3で製造されたS−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物をそれぞれ前記条件B下で、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析して光学純度を測定した。その結果を下記表2に示した。
[表2]
Figure 2009513625
前記表2に示したように、本発明のS−オメプラゾールストロンチウム塩の四水和物の光学純度は、出発物質及びS−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物に比べて顕著に向上した。
試験例2:水溶解度試験
本発明によるS−オメプラゾールストロンチウム塩またはこの水和物と、S−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物とのそれぞれを脱イオン水に飽和状態に達するように溶解させた。それぞれの飽和溶液を前記条件Aによって高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析して溶解された量を測定した。その結果を下記表3に示す。
[表3]
Figure 2009513625
前記表3に示したように、S−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物は、公知のS−オメプラゾールマグネシウム塩の三水和物に比べて10倍以上に水分解度が向上しており、これによって、本発明によるS−オメプラゾールストロンチウム塩及びその水和物が注射剤に好適であることが分かる。
試験例3:非吸湿性試験
本発明によって製造された結晶形S−オメプラゾールストロンチウム塩の四水和物を25℃〜40℃の温度及び40%〜90%の相対湿度の条件下で15日間露出させた。本発明による塩の含水量を乾燥減量試験を行うことで測定した。保存期間0、3、7、15日目に当たる含水量は下記表4に示した通りである。
[表4]
Figure 2009513625
前記表4から分かるように、本発明のS−オメプラゾールストロンチウム塩の四水和物が高い湿度条件下でもほとんど吸湿せず、低い湿度条件で初期含水量を維持した。
試験例4:熱安定性試験
本発明によって製造されたS−オメプラゾールストロンチウム塩の四水和物は、60℃の温度、75%相対湿度の苛酷条件で閉鎖状態に保存されながら、それぞれ7、14、21、28日が経った後の試料に対して活性オメプラゾールの残量を前記条件Aによって高速液体クロマトグラフィー(HPLC)で分析した。その結果を表5に示す。
[表5]
Figure 2009513625
前記表5から明らかなように、本発明のS−オメプラゾールストロンチウム塩の四水和物は苛酷条件下で非常に安定した。
本発明は前記の特定の実施態様により説明したが、添付された請求の範囲で定義された本発明の範囲内で当業者により様々な変形及び変化が可能である。
本発明の好ましい実施例1に係るS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物(結晶形A)の粉末X線回折スペクトル(X−ray Powder Diffraction Spectrum)である; 本発明の好ましい実施例1に係るS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性四水和物(結晶形A)の示差走査熱量計(Differential Scanning Calorimeter)によるDSC曲線である; 本発明の好ましい実施例9に係るS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性無水物(結晶形B)の粉末X線回折スペクトルである; 本発明の好ましい実施例9に係るS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性無水物(結晶形B)の示差走査熱量計によるDSC曲線である; 本発明の好ましい実施例10に係るS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性水和物(結晶形C)の粉末X線回折スペクトルである; 本発明の好ましい実施例10に係るS−オメプラゾールストロンチウム塩の結晶性水和物(結晶形C)の示差走査熱量計によるDSC曲線である; 本発明の好ましい実施例11に係るS−オメプラゾールストロンチウム塩の非晶形の粉末X線回折スペクトルである;及び 本発明の好ましい実施例11に係るS−オメプラゾールストロンチウム塩の非晶形の示差走査熱量計によるDSC曲線である。

Claims (23)

  1. 下記式(I)のS−オメプラゾールストロンチウム塩:
    Figure 2009513625
  2. 粉末X線回折スペクトルにおいて100%のI/Io値を有するピークが5.8±0.2の2θ回折角で表れる結晶形であることを特徴とする、請求項1に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩。
  3. 非晶形であることを特徴とする、請求項1に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩。
  4. 請求項1に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物。
  5. 粉末X線回折スペクトルにおいて3%以上のI/Io値を有するピークが、5.6、11.1、13.5、14.8、16.2、17.5、18.0、20.1、20.4、21.2、22.2、24.5、25.2、26.3、27.5、29.8、31.1、32.8及び36.5の2θ±0.2の回折角で表される結晶形であることを特徴とする請求項4に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物。
  6. 下記式(IV)で表されることを特徴とする、請求項5に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物:
    Figure 2009513625
  7. 粉末X線回折スペクトルにおいて100%のI/Io値を有するピークが25.2±0.2の2θ回折角で表れる結晶形であることを特徴とする、請求項4に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物。
  8. 下記式(III)のS−オメプラゾールが含まれた中性溶液に水酸化ストロンチウムを加え、得られた混合物を攪拌することを含む、下記式(IV)のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法:
    Figure 2009513625
  9. 前記水酸化ストロンチウムがS−オメプラゾール1モル当量に対して0.5〜0.75モル当量で用いられることを特徴とする請求項8に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法。
  10. 前記中性溶液がメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン及びこれらの混合物からなる群より選択された有機溶媒、または前記有機溶媒と水との混合溶媒にS−オメプラゾールを溶解または懸濁させて製造されたものであることを特徴とする請求項8に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法。
  11. 前記有機溶媒がメタノール、アセトン及びこれらの混合物の中で選択されることを特徴とする請求項8に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法。
  12. 下記式(III)のS−オメプラゾール及び塩基が含まれた塩基性溶液に反応性ストロンチウム塩を加え、得られた混合物を攪拌することを含む、下記式(IV)のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法:
    Figure 2009513625
  13. 前記塩基がS−オメプラゾール1モル当量に対して1〜3モル当量で用いられることを特徴とする請求項12に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法。
  14. 前記反応性ストロンチウム塩が塩基1モル当量に対して0.5〜0.75モル当量で用いられることを特徴とする請求項12に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法。
  15. 前記塩基性溶液がメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、アセトニトリル、テトラヒドロフラン、アセトン及びこれらの混合物からなる群より選択された有機溶媒、または前記有機溶媒と水との混合溶媒にS−オメプラゾール及び塩基を溶解または懸濁させて製造されたものであることを特徴とする請求項12に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法。
  16. 前記塩基が水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミン、ジメチルアミン、ジエチルアミン、トリメチルアミン、トリエチルアミン及びこれらの混合物からなる群より選択されるものであることを特徴とする請求項12に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法。
  17. 前記反応性ストロンチウム塩が塩化ストロンチウム、臭化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、過塩素酸ストロンチウム、酢酸ストロンチウム、炭酸ストロンチウム、シュウ酸ストロンチウム及びこれらの混合物からなる群より選択されることを特徴とする請求項12に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩の水和物の製造方法。
  18. 有効成分として請求項1または請求項4に記載のS−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物と、薬学的に許容可能な塩とを含むことを特徴とする、胃酸関連疾患の予防または治療用医薬組成物。
  19. 経口投与用製剤であることを特徴とする請求項18に記載の胃酸関連疾患の予防または治療用医薬組成物。
  20. 前記S−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物が組成物の全重量に対し0.1〜95重量%の量で含まれることを特徴とする請求項19に記載の胃酸関連疾患の予防または治療用医薬組成物。
  21. 前記S−オメプラゾールストロンチウム塩またはその水和物が組成物の全重量に対し 1〜70重量%の量で含まれることを特徴とする請求項20に記載の胃酸関連疾患の予防または治療用医薬組成物。
  22. 滅菌注射用製剤であることを特徴とする請求項18に記載の胃酸関連疾患の予防または治療用医薬組成物。
  23. 前記胃酸関連疾患が胃食道逆流性疾患、胃腸の腸炎または胃腸の潰瘍であることを特徴とする請求項18に記載の胃酸関連疾患の予防または治療用医薬組成物。
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