JP2009513146A - 膜結合ポリペプチドの無細胞合成法 - Google Patents

膜結合ポリペプチドの無細胞合成法 Download PDF

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Abstract

膜結合ポリペプチドの高収率の合成において細菌の無細胞抽出産物を利用するための方法を提供する。

Description

発明の背景
タンパク質合成はポリペプチド治療、診断、および産業用酵素の開発の根底にある基礎的な生物学的過程である。組み換えDNA(rDNA)技術を伴い、所望のタンパク質を生産するために細胞の触媒的機構を利用することが可能になってきている。これは細胞環境内で、または細胞由来の抽出産物を使用したインビトロで成し遂げられうる。
無細胞タンパク質合成はインビボタンパク質発現法よりもいくつかの利点を提供する。無細胞系では、全てではなくとも、細胞のほとんどの代謝資源を一種類のタンパク質の排他的生産へ向けることが可能である。さらに合成環境の制御を可能にするため、インビトロで細胞壁が欠如していることは有利である。例えば、発現されている遺伝子のコドン使用頻度を反映するため、tRNAのレベルを変化させることも可能である。我々は細胞増殖または生存率を懸念していないため、酸化還元電位、pH、またはイオン強度もインビボよりも高い柔軟性を伴い変更することが可能である。さらに、精製され、適切に折り畳まれたタンパク質産物の直接的回収は容易に達成されうる。
インビトロ翻訳は、非天然のおよび同位体で標識されたアミノ酸を取り込む能力、ならびに、インビボで不安定、不溶性、または細胞毒性のあるタンパク質を生産する能力によっても認識されている。さらに、無細胞タンパク質合成はタンパク質工学およびプロテオミクススクリーニング技術に革命を起こす役割を担ってもよい。無細胞法は、インビボでの新規遺伝子産物の発現のためのクローニングおよび細胞形質転換のために要する困難な過程を回避し、かつ、この分野の基盤技術になりつつある。
無細胞合成のための関心対象のタンパク質の中で、多くは膜を貫通しているか、または膜に固定されているかのいずれかである。これらのタンパク質ならびに細胞および細胞小器官を包囲する膜に取り込まれている他の生物分子は多種多様な細胞機能を調節している。さらに、多くの脂質および糖脂質はタンパク質機能を標的にする、または活性化する。
例えば、医薬品ターゲットの約半分は膜タンパク質であり、例えば、創薬スクリーニングおよび設計アッセイでの利用が困難であるイオンチャネル、およびGタンパク質共役型受容体である。膜中に位置するため、これらのタンパク質を精製しおよび特徴づけることはしばしば困難である。それらは、また大量に取得するのが困難であり、かつ、一部には、膜タンパク質の過剰発現は一般的に生存細胞にとって毒性があり、従って収率を制限するため、組み換えDNA法はしばしば適切に折り畳まれた膜タンパク質を大量に供給することができない。
この毒性を回避するため、インビトロ技術によりタンパク質をより高収率に生産する試みがなされてきている。しかし、報告は、インビボで取得されるのと同様またはより低い収率を示している;高収率であるが、タンパク質のほとんとが凝集し、かつ翻訳後に再折り畳まれねばならない;または、高収率であるが天然の折り畳み過程を用いずタンパク質が界面活性剤またはリポソーム中で合成されている、のいずれかであり、これらの系において正しく折り畳まれた膜タンパク質が生産されているのかどうかという疑問を喚起する。
膜タンパク質を研究する際の主要な制限の一つは、有意量の正確に折り畳まれたタンパク質を生産する際の一般的な困難である。本発明はこの必要性に取り組む。
関連文献
米国特許第6,337,191 B1号;Swartz et al. 米国特許出願公開第20040209321号;Swartz et al. 国際出願公開第WO 2004/016778号;Swartz et al. 米国特許出願公開第2005-0054032-A1号;Swartz et al. 米国特許出願公開第2005-0054044-A1号;Swarltz et al. 国際出願公開第WO 2005/052117号;Calhoun and Swartz (2005) Biotechnol Bioeng 90(5): 606-13;Jewett and Swartz (2004) Biotechnol Bioeng 86(1): 19-26;Jewett et al. (2002) Prokaryotic Systems for In Vitro Expression. In: Weiner M, Lu Q, editors. Gene cloning and expression technologies. Westborough, MA: Eaton Publishing. P391-411; Lin et al. (2005) Biotechnol Bioeng 89(2): 148-56。
発明の概要
膜結合タンパク質の高収率無細胞合成のための方法を提供する。本発明の方法において、小胞は無細胞合成反応に添加され、新生ポリペプチドの生物膜への直接挿入を提供し、従って膜環境での折り畳みを提供する。共翻訳折り畳みを許容するため、一般的に、合成は共役した転写および翻訳反応として遂行される。これらの方法は高収率の活性タンパク質を提供する。この方法は合成タンパク質の膜結合状態での単離をさらに含んでもよい。
ある態様においては、本発明の方法はさらにシグナル識別粒子(SRP)を反応に提供することを含む。粒子は外的に生産されても、または反応混合物中で共合成されてもよい。シグナル識別粒子に対するドッキングタンパク質も含まれてもよい。
好ましい態様においては、合成反応条件は酸化的リン酸化のインビトロ活性化を提供する。酸化的リン酸化の活性化は、反応混合物が通常の二次的エネルギー源の非存在下で、ATPを再生産する能力により証明される。酸化的リン酸化の活性化は、反応混合物のこの経路の特異的阻害因子に対する感受性によっても実証されうる。そのような反応には実質的にポリエチレングリコールが含まれない。
活性型膜結合タンパク質の高収率生産は以下を含む様々な方法において有用である:多剤輸送体またはシグナルタンパク質のような薬理学的関連性のある膜タンパク質の標的と相互作用する薬剤候補のスクリーニング;膜タンパク質に基づくバイオセンサーの開発;小胞が毒素輸送を行う場合の、続く小胞修復および除去のための解毒のストラテジー。
態様の詳細な説明
膜結合タンパク質の高収率合成は、膜小胞が存在し、かつ反応条件が酸化的リン酸化のインビトロ活性化を提供する無細胞反応において、共役した転写および翻訳反応を遂行することにより達成される。関心対象のタンパク質は、共翻訳折り畳みおよび新生ポリペプチドの膜への直接挿入を許容する様式で合成され、従って、膜環境での折り畳みを提供する。本方法では、膜結合状態の合成タンパク質の単離をさらに含んでもよい。
本発明の方法は活性型タンパク質の高収率を提供し、インビボ発現系で達成されうる収率より高くてもよい。本発明の一つの態様においては、活性型膜結合タンパク質の収率はインビボでの関心対象のタンパク質の収率よりも高い。他の局面においては、活性型膜結合タンパク質は少なくとも約50μg/ml反応混合物;少なくとも約100μg/ml反応混合物;少なくとも約250 μg/ml反応混合物、あるいはそれ以上である。
本発明の方法は未変性タンパク質に匹敵する生物学的活性を有する膜結合タンパク質を提供する。機能アッセイにおいて活性レベルを決定すること、非機能的アッセイ、例えば免疫染色、ELISA、クーマシーまたは銀染色されたゲルにおける定量等において存在するタンパク質の量を定量すること、および、生物学的に活性型のタンパク質の、全タンパク質に対する比率を決定することとの比較によって、タンパク質の特定の活性を決定してもよい。一般的に、特定の活性は以下に定義されるように少なくとも自然界のタンパク質の約5%、通常少なくとも自然界のタンパク質の約10%であり、および約25%、および約50%、および約90%、またはそれ以上であってもよい。
高収率の一つの局面は、タンパク質は合成中に膜に直接挿入されることである。従って、活性型膜結合タンパク質の単離は人工的なリポソームの使用、またはタンパク質の再折り畳みを要しない。タンパク質は膜結合を保つ任意の方法において反応混合物から直接単離されてもよい。膜内在性を維持するタンパク質精製の方法は当業者に公知である。典型的には、適切に折り畳まれた膜貫通タンパク質を1つまたは少数のタンパク質分子を含むミセルに分布させるためにラウリルグルコシド(laurel glucoside)またはマルトシド(maltoside)のような緩い界面活性剤が使用される。これらのミセルはその後精製された膜貫通タンパク質を供給するためタンパク質カーゴ(cargo)に基づいて分離され(Loll, PJ, J. of Structural Biology, 142; 144-153; 2003参照)、参照により具体的に本明細書に組み入れられる。
いくつかの態様においては、本発明の方法はシグナル識別粒子(SRP)を反応に提供することをさらに含む。粒子は外的に生産されてもよいし、または反応混合物中で共合成されてもよい。ドッキングタンパク質(SR)も含まれてもよい。
酸化的リン酸化の活性化は反応条件の組み合わせにより得られる。この条件には、グルコース含有培地で増殖した細菌由来の生物学的抽出物の使用、ポリエチレングリコールの欠如、および最適化されたマグネシウム濃度が非制限的に含まれてもよい。この系では、ホスホエノールピルビン酸(phosphoenolptruvate)、クレアチンリン酸(creatine phosphate)、アセチルリン酸(acetyl phosphate)、グルコース-6-リン酸(glucose-6-phosphate)、ピルビン酸(pyruvate)、または解糖中間体のような、高エネルギーリン酸結合を典型的に含む、一般的に使用される二次的エネルギー源の添加を必要としない。反応は、無細胞反応混合物中で、大腸菌の細胞質に一般に見出されるイオンおよび化合物を使用することにより、さらに改善されてもよい。
定義
本発明は特定の方法論、プロトコール、細胞株、動物種または属、および記載された試薬に限定されず、多様であってよいことが理解されるべきである。本明細書において使用された用語は、特定の態様のみを記載する目的のものであり、本発明の範囲の限定を意図するものではなく、添付の特許請求の範囲によってのみ限定されることも理解されるべきである。
本明細書において使用される単数形「1つの(a)」、「および(and)」、および「その(the)」は文脈により明確にそうでないと指示される場合以外は複数の指示対象を含む。従って、例えば、「1つの細胞(a cell)」への言及はそのような細胞の複数を含み、かつ、「その培養物(the culture)」への言及は1つまたは複数の培養物、および当業者に公知であるそれらの等価物への言及を含む、などである。本明細書において使用される全ての技術的および科学的用語は、明確にそうでないと指示される場合以外は、本発明が属する当業者に一般的に理解されている意味と同一の意味を有する。
「所望のタンパク質」または「選択されたタンパク質」の用語は、置換可能に使用され、かつ、膜挿入ポリペプチドによって膜結合している約5アミノ酸以上を有する任意のペプチドまたはタンパク質を一般的に意味する。ポリペプチドは、相同的であってもよいし、または好ましくは外因性のものであってもよい。外因性とは、細菌無細胞抽出産物において生産されたヒトタンパク質または酵母タンパク質のような、細菌無細胞抽出産物が由来する細菌とは非相同的である、つまり外来的であることを意味する。
膜結合タンパク質
膜タンパク質は、膜-タンパク質相互作用の性質に基づいて、内在性(integral)(内因性(intrinsic))および表在性(peripheral)(外因性(extrinsic))の二つの広範なカテゴリーに分類されることが可能である。本発明の目的のためには、膜結合タンパク質は典型的には内在性膜タンパク質であり、内因性タンパク質とも呼ばれ、リン脂質二重層に埋め込まれている1つまたは複数の部位を有している。ほとんどの内在性タンパク質は、膜リン脂質の脂肪酸アシル基と相互作用し、従ってタンパク質を膜に固定する、疎水性側鎖を伴う残基を含む。ほとんどの内在性タンパク質はリン脂質二重層全体を貫通する。これらの膜貫通タンパク質は1つまたは複数の膜貫通ドメインならびに4から数百残基の長さにおよび、二重層のそれぞれの側の水溶性媒体へと伸長するドメインも含む。
いくつかのタンパク質は膜表面のみに結合し、一方他のタンパク質は、膜内に埋め込まれた1つの領域、および、その片側または両側のドメインを有する。細胞外膜表面のタンパク質ドメインは一般的に細胞-細胞シグナル伝達または相互作用に関与している。膜内のドメイン、特にチャネルおよび孔を形成しているものは、膜を隔てて分子を移動させる。膜の細胞質側表面に沿って位置しているドメインは、細胞骨格タンパク質の固定から、細胞内シグナル伝達経路の誘発まで幅広い機能を有している。
Gタンパク質共役型受容体は7つの膜貫通ドメインまたは膜貫通ヘリックスを有する内在性膜タンパク質である。受容体の細胞外部分はグリコシル化されうる。これらの細胞外ループは受容体構造を安定化させるためのジスルフィド結合を構築する2つの高度に保存されたシステイン残基も含む。Gタンパク質に類似したいくつかの7回膜貫通ヘリックスタンパク質はそれらの内部にイオンチャネル全体などの異なる機能群を含んでもよい。これまで研究されてきている他のタイプの受容体では、リガンドが膜の外部で結合するが、一方Gタンパク質共役型受容体のリガンドは、典型的に膜貫通ドメイン内部に結合する。
他の膜結合タンパク質で重要な部類はイオンチャネルである。全てのイオンチャネルは膜貫通タンパク質の複合体であり、時には細胞質サブユニットを含み、それらは頻繁にグリコシル化されている。イオンチャネルは、どの化学的または物理的修飾因子がゲート開閉活性を調節しているかにより分類されうる。従って、リガンド依存性チャネル/神経伝達物質;電位依存性チャネル/膜貫通電位(電場);二次メッセンジャー依存性チャネル/ヌクレオチド、Gタンパク質;機械受容チャネル/浸透圧または膜湾曲;ギャップジャンクション(gap junction)、ポリン(porin)/開閉不可を含む、異なるチャネル群がある。チャネルはまたイオン選択的である。それらは、浸透可能な分子の大きさおよび電荷を区別することが可能である。
本明細書において使用される「インビトロ合成」とは、生物学的抽出産物および/または定義された試薬を含む反応混合物中でのポリペプチドの無細胞合成を意味する。反応混合物は、例えば、DNA、mRNA等の高分子生産のための鋳型;アミノ酸、ヌクレオチド等の合成される高分子のためのモノマー、および例えば、リボソーム、tRNA、ポリメラーゼ、転写因子等の共役因子、酵素および合成に必要な他の試薬を含む。そのような合成反応系は当業者に周知であり、および文献に記載されている。無細胞合成反応は当業者に公知の一バッチ、連続的フロー、または半連続的フローとして遂行されてもよい。
合成のためのCytomin(商標)環境では、グルコースおよびリン酸含有培地で増殖した細菌由来の細胞抽出産物を利用し、グルコースは当初少なくとも約0.25%(重量/容量)、より通例的には少なくとも約1%;および通例的に多くとも約4%、より通例的には多くとも約2%の濃度で存在する。そのような培地の例として2YTPG培地があるが、規定のおよび未規定の栄養源の双方を使用した、大腸菌のような細菌の増殖に適した多数の公開された培地があるため(グルコース含有培地の例としてSambrook, J., E.F. Fritsch, and T. Maniatis. 1989. Molecular Cloning: A Laboratory Manual, 2nd edition. Cold Spring Harbor University Press, Cold Spring Harbor, NY参照)、当業者はこの目的のために多数の培養培地を調節可能であることを認識するであろう。あるいは、規定または複合増殖培地のいずれかにおいて高増殖率を維持するために、必要に応じてグルコースが連続的に供給されるプロトコールを使用して培養物が増殖されてもよい。
反応混合物中の他の重要な変更点はポリエチレングリコール(PEG)の実質的な欠如である。通常の反応混合物(例えば、Kim and Swartz, 2001参照)は約2%のポリエチレングリコール8000を含む。しかし、これにより収率が減少することが明らかになっている。典型的にはポリエチレングリコールは微量以下、例えば、0.1%未満存在し、0.01%未満でもよい。本方法においては、スペルミジン(spermidine)およびプトレシン(putrescine)分子はポリエチレングリコールの代わりに使用される。スペルミン(spermine)またはスペルミジンは少なくとも約0.5 mM、通常少なくとも約1 mM、好ましくは約1.5 mM、および多くとも約2.5 mMの濃度で存在する。プトレシンは少なくとも約0.5 mM、好ましくは少なくとも約1 mM、好ましくは約1.5 mM、および多くとも約2.5 mMの濃度で存在する。スペルミジンおよび/またはプトレシンは当初の細胞抽出産物に存在するか、または別途添加されてもよい。
反応混合物中のマグネシウム濃度は合成全体に影響する。しばしば、細胞抽出産物中にマグネシウムは存在し、従って濃度を最適化するため、さらなるマグネシウムを用いて調節してもよい。そのような方法において有益なマグネシウム塩源は当業者に公知である。本発明の一つの態様においては、マグネシウム源はグルタミン酸マグネシウムである。マグネシウムの好ましい濃度は少なくとも約5 mM、通常少なくとも約10 mM、および好ましくは少なくとも約12 mM;および多くとも約20 mM、通常多くとも約15 mMである。合成を増強する他の変更点はHEPES緩衝液およびホスホエノールピルビン酸(phosphoenol pyruvate)の反応混合物からの除去を含む。
で存在する。
この系は好気的および嫌気的条件下で実施されることが可能である。とりわけ15 μlより大規模での反応においては、合成収率を増加させるため酸素を供給してもよい。反応チャンバーのヘッドスペースを酸素で充填することも可能であるし、酸素が反応混合物に注入されてもよい、等々。酸素を連続的に供給することも可能であるし、またはより長い反応時間のタンパク質発現の過程で反応チャンバーのヘッドスペースに再充填することも可能である。硝酸、硫酸、またはフマル酸などの他の電子受容体も細胞抽出産物の調製と共に供給されてもよく、それにより必要な酵素が細胞抽出産物中で活性状態である。
酸化的リン酸化の活性化のために外来性補因子を添加する必要はない。ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド(NADH)、NAD+、またはアセチルコエンザイムAのような化合物がタンパク質合成収率を増補するために使用されてもよいが、必要ではない。ホスホエノールピルビン酸合成酵素(Pps)の代謝阻害剤であるシュウ酸の添加はタンパク質収率の増加において有益であってもよいが、必要ではない。
無細胞タンパク質合成の鋳型はmRNAまたはDNAのいずれかであり、認識可能なプロモーターを伴うDNA鋳型から連続的にmRNAが産出される併合系が好ましい。内在性RNAポリメラーゼが使用されるか、または典型的にはT7またはSP6の外来性ファージRNAポリメラーゼが反応混合物へ直接添加される。あるいは、RNA依存性RNAポリメラーゼであるQBレプリカーゼの鋳型へメッセージを挿入することによりmRNAは連続的に増幅されうる。精製されたmRNAは反応混合物へ添加される以前に、一般的に化学的修飾により安定化される。mRNAレベルの安定化を促進するためヌクレアーゼを抽出産物から除去することも可能である。鋳型は任意の関心対象の特定遺伝子をコードしうる。
他の塩、とりわけマンガンのような生物学的に関連性のあるものも添加されてもよい。カリウムは一般的に少なくとも約50 mMの濃度で存在し、かつ多くとも約250 mMである。アンモニアは、通常多くとも約200mMで存在し、より一般的には多くとも約100mMで存在してもよい。通常、反応は約pH5〜10の範囲、および温度は約20〜50℃で維持される;より一般的には約pH6〜9の範囲、および温度は約25〜40℃である。これらの範囲は関心対象の、特定の条件のために拡張されてもよい。
好ましくない酵素活性に対する代謝阻害剤が反応混合物に添加されてもよい。あるいは、好ましくない活性の原因となる酵素または因子は抽出産物から直接除去されてもよく、または好ましくない酵素をコードする遺伝子が不活性化または染色体から除去されてもよい。
小胞が反応混合物に添加される。小胞は抽出産物が由来する生物より精製されてもよいし(Muller and Blobel (1984) “In vitro translation of bacterial proteins across the plasma membrane of Escherichia coli”, PNAS 81: 7421-7425参照)、または任意の他の適切な細胞、例えば標的タンパク質の種由来の細胞を含む哺乳動物細胞より単離されてもよいし、または合成物でもよい。小胞は典型的には0.1から5 mg/ml脂質の濃度で添加され、約0.4から2.5 mg/mlの濃度がより好ましい。小胞はショ糖密度勾配遠心分離または当業者に公知の他の手段により精製されてもよい。小胞調製法は、ホモゲナイゼーション、フレンチプレス(French press)、押し出し器、凍結/溶解、超音波破砕、浸透圧溶解、リゾチーム/EDTA処理等を含み、これらに限定されない。SRP、Ffh、4.5S RNA、FtsY、SecAを含む、膜タンパク質の挿入または折り畳みに影響を与える他の成分が無細胞反応混合物に添加されてもよい。
シグナル識別粒子
分泌および膜タンパク質の原核生物細胞膜または真核生物の小胞体への共翻訳ターゲティングは、リボヌクレオタンパク質複合体、シグナル識別粒子(SRP)、およびその膜結合受容体(SR)により媒介される。SRPはリボソームの出口トンネルから出現する際、新生タンパク質のシグナル配列に結合する。SRPおよびリボソーム-新生鎖複合体(RNC)から成る、生成されたターゲティング複合体は、GTP依存性様式でSRにドッキングする。複雑な一連の立体配座状態を経過して、SRPおよびSRはRNCをトランスロコン(translocon)へと運搬し、次に膜を隔ててのタンパク質の移動または膜への内在を媒介する。移動が進行するにつれ、シグナル配列はシグナルプロテアーゼにより切断されてもよく、かつポリペプチドは小胞体内腔へ放出される。あるいは、膜貫通タンパク質の形成のためタンパク質は膜に挿入される可能性がある。
細菌のSRPはその真核生物の相対物と比較して、単純な組成を有している。SRP54に相同な単一のタンパク質(Ffhと称する)および、例えば大腸菌の110ヌクレオチドの4.5S RNAのような80から200ヌクレオチドの間の大きさの単一のRNA分子のみを含む。細菌および古細菌では、SRは単一サブユニットのタンパク質であり、FtsYとも名付けられている。細菌のSRは膜表面に結合している。
SRPおよびドッキングタンパク質(SR)は本発明の方法において反応混合物中に任意で含まれる。これらは反応混合物中で構成成分の共発現により供給されてもよいしまたは外因的に添加されてもよい。構成成分が共発現により供給される際、Ffhタンパク質および4.5S RNAをコードするベクターが供給される。FtsYタンパク質も共発現されてもよい。共発現は経時的または同時であってもよい。あるいは、これらの構成成分はインビトロまたはインビボ発現により生産および単離されてもよく、かつ混合物へ添加される、または抽出産物が由来する細菌で過剰生産されてもよい。
本明細書で使用される「折り畳み」とはポリペプチドおよびタンパク質の三次元構造の形成過程を意味、アミノ酸残基間での相互作用により構造が安定化する作用である。非共有結合相互作用は構造決定において重要であり、かつ膜とタンパク質の接触の影響が正確な構造のために重要である。天然のタンパク質およびポリペプチドまたはこれらの誘導体および変異体にとって、適切な折り畳みは典型的に最適な生物学的活性をもたらし、かつ、例えば、リガンド結合、酵素活性などの活性をアッセイにより便利に測定することが可能である。
いくつかの例では、例えば所望の産物が合成物由来の場合、生物学的活性に基づくアッセイはより意味のないものである。そのような分子の適切な折り畳みは、物理的特徴、エネルギーの考慮、モデリング研究などに基づいて決定されてもよい。
膜結合タンパク質の合成に続き、活性型、膜結合型形態の、つまり再折り畳みまたは翻訳後の膜導入の非存在下で、直接単離をおこなってもよい。分離手法では、当業者に公知である膜の内在性を維持する条件を用いる。
対象となる分離手法はアフィニティークロマトグラフィーを含む。アフィニティークロマトグラフィーは通常生物学的高分子に存在する高度に特異的な結合部位を使用し、特定のリガンドに結合する能力に基づいて分子を分離する。リガンドは不溶性で外孔性の支持体に、リガンドがタンパク質試料に明らかに提示される様式で共有結合により取り付けられ、従って、ある分子種の天然の生物学的特異的結合を利用して、混合物から第二の種を分離しおよび精製する。アフィニティークロマトグラフィーでは一般的に抗体が使用される。好ましくは、マイクロスフェアまたはマトリックスがアフィニティークロマトグラフィーの支持体として使用される。そのような支持体は当業者に公知でありおよび市販されており、かつリンカー分子に共役可能な活性化型支持体を含む。例えば、アガロースまたはポリアクリルアミドを基盤とするAffi-Gel支持体は、蠕動ポンプまたは重力流溶出によるほとんどの実験室規模の精製に適する低圧ゲルである。圧力安定性のマクロ孔質重合体を基盤とするAffi-Prep支持体は、予備段階および工程規模の適用に適している。
タンパク質はまたイオン交換クロマトグラフィー、および/または濃縮、濾過、透析等、当業者に公知の方法を使用して分離されてもよい。
合成方法
反応は大規模反応器を利用してもよいし、小規模でもよく、または同時合成を複数遂行するため多重化されてもよい。連続的反応では試薬の流れを導入するため供給機構が利用され、かつ工程の一部として最終産物が単離されてもよい。バッチシステムも関心対象であり、そこではさらなる試薬が活性のある合成の期間を延長させるため導入されてもよい。反応器はバッチ(batch)、拡張バッチ、半バッチ、半連続的、フェドバッチ(fed-batch)および連続的のように任意の様式で実施されてもよく、および適用目的に従って選択される。
反応は任意の容量で、小規模、通常少なくとも約1μlおよび多くとも約15μlでもよいし、またはスケールアップした反応で、反応容量が少なくとも約15μl、通常少なくとも約50μl、より一般的には少なくとも約100μl、および500μl、1000μl、またはそれ以上でもよい。ほとんどの場合、複数反応が並行して実施されてもよいが、個々の反応は多くとも約10 mlである。しかし、原理上、十分な酸素(または他の電子受容体)が必要時に供給されている限り、反応は任意の規模で実施されてもよい。
無細胞抽出産物、遺伝学的鋳型、およびアミノ酸のような上述の構成成分に加え、タンパク質合成に特異的に必要とされる物質が反応に添加されてもよい。これらの物質には塩、フォリン酸(folinic acid)、環状AMP、タンパク質または核酸分解酵素の阻害剤、タンパク質合成の阻害剤または調節因子、酸化/還元電位の調整因子、非変性界面活性剤、緩衝液構成成分、スペルミン、スペルミジン、プトレシン等を含む。
塩はカリウム、マグネシウム、およびアンモニウム塩(例えば、酢酸または硫酸の)を含むのが好ましい。1つまたは複数のそのような塩はカウンター陰イオンを有する。最適濃度に関して、イオン種の間に相互依存が存在する。これらのイオン種は典型的にタンパク質生産に関しては最適化される。反応培地の特定の構成成分の濃度を変化させる場合、別の構成成分の濃度もそれに伴い変化してもよい。例えば、核酸のようないくつかの構成成分およびエネルギー源化合物の濃度は他の構成成分の濃度変化と一致して同時に調節されてもよい。また反応器中の構成成分の濃度レベルは時間経過とともに変化してもよい。酸化/還元電位の調節因子はジチオスレイトール、アスコルビン酸、グルタチオンおよび/またはそれらの酸化型であってもよい。
半連続的操作様式においては、膜の外側または外表面は既定の順序で周期的に変化する既定の溶液と接触する状態である。これらの溶液はアミノ酸および核酸のような基質を含む。この時点では、反応器は透析、ダイアフィルトレーションバッチ(diafiltration batch)、またはフェドバッチ(fed-batch)様式で操作される。供給溶液は反応器に同じ膜または別の挿入装置を通して供給されてもよい。合成されたタンパク質は反応器に蓄積され、その後、システム操作の完了後は通常のタンパク質精製法に従い単離され精製される。例えば、インサイチューまたは反応溶液が吸収マトリックスをポンピングで通過するような循環ループのいずれかにおいて、親和性吸収により、反応混合物から産物を含む小胞が連続的に単離されてもよい。
試薬の流れが存在するところでは、液体の流れの方向は膜に対して垂直方向および/または接線方向である。接線方向の流れはATPを再利用し、かつ膜閉塞を回避するために効果的であり、かつ垂直方向の流れにスーパーインポーズされてもよい。膜に対して垂直方向の流れは正の圧力ポンプまたは真空吸引ポンプまたは当業者に公知の他の方法を使用した膜貫通圧力の適用により引き起こされるまたは影響を受けてもよい。膜の外側表面と接触している溶液は循環的に変化されてもよく、かつ膜に対する安定した接線方向の流れにあってもよい。反応器は適切な撹拌手段により内的または外的に撹拌されてもよい。
反応器でのタンパク質合成中、望ましいタンパク質を選択的に単離するためのタンパク質単離手段は、抗体分子または合成された所望のタンパク質を吸収するための構成成分と共に固定化された他の分子でコートされた小胞を詰めたユニットを含んでもよい。好ましくは、タンパク単離手段は代替使用のため二つのカラムから成る。
翻訳反応で生産されたタンパク質の量は様々な様式で測定することが可能である。ある方法は翻訳された特定タンパク質の活性を測定するアッセイの入手可能性に依存している。タンパク質活性の測定のためのアッセイの例はルシフェラーゼアッセイシステム、またはクロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼアッセイシステムである。これらのアッセイは翻訳反応により生産された機能的活性を持つタンパク質の量を測定する。活性アッセイでは、不適切な折り畳みのため不活性型である、またはタンパク質活性に必要な他の翻訳後修飾が欠如している全長タンパク質は測定されない。
共役したインビトロ転写および翻訳反応で生産されたタンパク質の量を測定する他の方法は、既知量の放射能標識されたアミノ酸、例えば35S-メチオニン、3H-ロイシン、または14C-ロイシンを使用して反応を遂行し、かつ続いて新規に翻訳されたタンパク質中に取り込まれた放射能標識されたアミノ酸の量を測定する方法である。取り込みアッセイは欠失タンパク質産物を含むインビトロ翻訳反応で生産された全てのタンパク質中の放射能標識されたアミノ酸の量を測定する。放射能標識されたタンパク質はさらにタンパク質ゲルによって分離され、かつオ―トラジオグラフィーにより、産物が適切な大きさであること、および二次的なタンパク質産物が生産されていないことを確認してもよい。
本方法の実践のためのキットが供給されてもよい。そのようなキットにはタンパク質合成のための細菌抽出産物、酸化的リン酸化が活性化される反応に適した緩衝液、および小胞が含まれてもよい。キットには、、SRPおよびSRタンパク質発現のためのベクターを含む、タンパク質合成のベクターも含まれよく、ここで、ベクターは、細菌抽出産物中で有用なプロモーター系を含む。
以下に続く実施例は、本発明の作製および使用方法の完全な開示および記載を当業者に提供するため発表され、本発明とみなされる範囲を限定するものではない。使用された数字(例えば、量、温度、濃度等)に関して正確を期するためあらゆる努力がなされたが、いくつかの実験誤差および偏差は許容されるべきである。他に指摘のない限りは、部分は重量部分であり、分子量は平均分子量、温度は摂氏の度数であり、および圧力は大気圧またはそれに近い圧力である。
実施例
実施例1
これらの実施例のためのタンパク質合成反応は、わずかな改変を伴う、参照により本明細書に組み入れられる国際公開公報第2004/016778号に記載されているCytomim(商標)プロトコールを使用する。この反応の構成成分は以下を含む。13.3 μg/mL鋳型プラスミド、1.2 mM ATP、0.86 mM CMP、0.86 mM GMP、0.86 mM UMP、34 μg/mLフォリン酸、170.6 μg/mL大腸菌tRNA混合物、各々2 mMの標識されていない20種のアミノ酸、0.33 mM ニコチンアミドアデニンジヌクレオチド、0.27 mM コエンザイムA、 1 mMプトレシン、1.5 mMスペルミジン、4mMシュウ酸ナトリウム、1 mMジチオスレイトール、10 mM グルタミン酸アンモニウム、130 mMグルタミン酸カリウム、8 mMグルタミン酸マグネシウム、10 mMリン酸カリウム pH 7.2、12 μM [14C]-ロイシン、0.1 mg/mL T7 RNAポリメラーゼ、0.24倍量の大腸菌S30抽出産物、および0.41倍量の小胞溶液(詳細は以下)。T7 RNAポリメラーゼはGrodberg and Dunn (J of Bacteriology, 170: 1245-1253; 1988)の記載にあるように調製される。大腸菌S30抽出産物は、Zawada, et al. in Fermentation Biotechnology, B. Saha, Editor. 2003, American Chemical Society; Washington, DC. P. 142-156に従い増殖され、かつ、Jewett, et al. in Gene Cloning and Expression Technologies, M. Weiner and Q. Lu, Editors. 2002, Eaton Publishing: Westborough, MA. P. 391-411に従い調製されたKC6株(A19 ΔtonA ΔtnaA ΔspeA ΔendA ΔsdaA ΔsdaB ΔgshA met+)(Calhoun and Swartz, Biotechnology Progress 2005. 21(4): p. 1146-53)より調製される。
小胞溶液はMuller and Blobel (1984) Proc Natl Acad Sci USA, 81(23): p. 7421-5、および、Osborn, et al (1972) J Biol Chem, 1972. 247(12): p. 3962-72から適応された方法を使用して調製される。KC6細胞は20 mM Tris-HCl pH8.0、1 mM EDTA中に再懸濁され、かつ洗浄される。最終細胞沈殿は1グラム当り1 mLの同一緩衝液に再懸濁され、かつ0.2 mg/mLのリゾチームと共に15分間氷上保温される。保温後、細胞溶液は20000psiでアベスチン(Avestin)細胞破砕機に3回通過させられる。未破壊細胞および壊死組織片は30000xgで20分間、2回の遠心分離により除去される。小胞は超遠心分離(154000xg、1.5時間)により収集され、かつ緩衝液H(20 mM HEPES-KOH pH 7.5、1 mM DTT、5 mM EDTA)中に250 mMショ糖を含む0.5 mL/gcells溶液を通して231000xgで1時間再度沈殿される。これらの粗精製小胞は緩衝液H中の20% (w/w)ショ糖に再懸濁され、かつ緩衝液H中の50%、45%、40%、35%、30%、および25% (w/w)ショ糖の段階勾配上に負荷される。114000xgで24時間の超遠心分離後、内膜小胞を含む画分(詳細は、Spencer et al. (1974) J Bacteriol, 117(3): p. 947-53、またはLangley et al. (1982) J Bacteriol, 152(3): p. 1033-41に記載)が収集される。これらの小胞は231000xgで1時間超遠心分離により沈殿され、かつ最終的に20 mM HEPES-KOH pH 7.2、60 mM KCl、1 mM DTT)中に高濃度(1〜2 mg/mL)で再懸濁される。
膜タンパク質マンニトール透過酵素(mannitol permease)(MtlA)およびテトラサイクリンポンプ(TetA)が本発明の方法により合成された。プラスミドpK7MtlAおよびpK7TetAがT7プロモーター制御下で遺伝子をコードする鋳型として使用された。
37℃で6時間の合成後、合成されたタンパク質は液体シンチレーションカウンターを用いてTCA沈殿性放射能を測定することにより定量された。図1は無細胞反応の間に生産されたMtlAおよびTetAの総量を示す。更なる解析の前に、反応は100 kDa MWCO透析バッグを用いて、少なくとも3時間毎に3回交換された、500〜1000倍量の10 mM Tris-HCl pH8.0、100 mM KCl中で透析により粗精製された。図1の結果は、実質的に全ての合成タンパク質が透析の間残留することを示す。
合成されたタンパク質が小胞膜で適切に折り畳まれているかを決定するため、本発明者らは透析された反応混合物を0.2 μg/μLの非特異的プロテアーゼであるプロテイナーゼKに曝露した。細胞質ドメインまたは膜貫通部位間の大型のループのような膜内に埋め込まれていない、膜タンパク質の一部分は、膜内部の部位または小胞内部にある部位と比較してより迅速にプロテアーゼによって分解される。従って、プロテイナーゼK消化により時間経過とともに生成されたタンパク質断片を観察することにより、本発明者らはタンパク質が適切な折り畳みと一致する予想されたトポロジーを有しているかを検証することが可能である。
MtlAは、大型の細胞質ドメイン(図2a)ならびに大型の細胞質ループ(図2b)を含むため、プロテアーゼ消化分析によく適している。図3は37℃で0から60分間プロテイナーゼKとの保温後の消化されたMtlAを示す。初期の時点で、約30 kDaの明確なバンドが形成される。これは大型の細胞質ドメインの分解後、6つの膜貫通部位のみを含む断片とよく一致する。消化反応が進行するにつれ、30 kDaのバンドは消失し17 kDaバンドが優位になる。この17 kDaバンドは大型の89アミノ酸細胞質ループの消化後に得られる、4つの膜貫通ドメインを含む予想断片に匹敵する。もし反応が膜を溶解するリチウムドデシル硫酸塩(LDS)界面活性剤存在下で遂行される場合、MtlAバンドは消化からは保護されない。このことは保護されたバンドは無傷の小胞膜の存在に依存していることを示唆している。従って、観察されたバンドのパターンはMtlAの大部分は小胞膜中で適切に折り畳まれていることを示している。
同様の解析がTetAにおいても遂行された。図4に示されるTetAのトポロジーにはいかなる大型の細胞質ドメインまたはループも含まれない。従って、本発明者らは全長TetAの保護に焦点を合わせた。図5は25℃でプロテイナーゼKとの保温後に獲得されるバンドのプロファイルを示す。60分後でさえ、かなりの割合の全長TetAは依然小胞内に存在している。しかしながら、もし膜がリチウムドデシル硫酸塩界面活性剤で溶解されると、TetAはもはや消化からは保護されない。従って、TetAは小胞膜に埋め込まれていることが示されている。
さらにTetAが適切に折り畳まれていることを示すため、TetAタンパク質の活性がアッセイされた。TetAはプロトン対向輸送体(proton-antiporter)で、金属-テトラサイクリン複合物の膜を隔てての輸送を駆動するためプロトン勾配を利用している。TetA活性をアッセイするため、最初にTetAを含む小胞は、小胞膜を隔てたプロトン勾配を発生させるため、37℃で1分間、13.3 mM NADHに曝露された。10 μM [3H]-テトラサイクリンおよび0.5 mM塩化コバルトが添加され、かつ反応はさらに図6に示されている時間保温された。反応物は最終的にフィルター濾過され、かつ溶液中で遊離型のテトラサイクリンから小胞結合型のテトラサイクリンを分離するため、30 K分子量遠心分離フィルターを通して洗浄された。図6は無関係な可溶性タンパク質クロラムフェニコールルアセチルトランスフェラーゼ(CAT)を生産する無細胞反応から得られた対照小胞と比較して、TetAを含む小胞内により多くのテトラサイクリンが蓄積されていることを示している。対照小胞は小胞内におよそ3〜13 μMのテトラサイクリン蓄積を示し、これは脂質膜を隔てたテトラサイクリンの平衡駆動型の拡散と一致する。しかし、TetAを含む小胞はテトラサイクリン濃度勾配に対抗してさえもテトラサイクリンを蓄積することが可能であり、これは有意量のTetAは適切に折り畳まれ、および小胞内で活性型であることを示唆している。
小胞に挿入されたタンパク質量を定量するため、透析された無細胞反応物はショ糖浮遊アッセイに供された。透析反応物は高密度ショ糖溶液と混合され、かつ三段階ショ糖勾配の底部に負荷された(図7)。層の密度は、超遠心分離(16時間、237000xg)後に、誤って折り畳まれた(misfolded)タンパク質凝集体(密度ρ約1.3 g/mL)が底部層に停留し、一方より軽い小胞(挿入されたタンパク質量に依存して、ρ約1.13〜1.25 g/mL)が二段目の層の上部界面に浮上するように選択された。図8はショ糖浮遊アッセイ後の放射能標識されたMtlAの分布を示す。合成タンパク質と膜の非特異的な結合を減少させるため、6 M尿素が勾配の全体に渡り添加された。小胞が反応に存在する場合、合成されたMtlAの20%に小胞への結合が見られた(画分2)。下部画分(画分6から8)の凝集MtlAの貯留により示されるように、この結合は小胞がタンパク質合成反応へ添加されない場合消失する。示されている小胞に挿入されたMtlAの量は、全体収率で無細胞反応1 mL当り60 μgの挿入されたMtlAに相当し、典型的なMtlAのインビボ収率(<2 μg/mL)の約30倍である。
TetAにいたってはより高い収率が得られた。図9はTetAを生産する反応のショ糖浮遊アッセイのプロファイルを示す。小胞の存在下では、60%以上の合成されたTetAが小胞と結合している(画分2)。6 M尿素の添加によりこの値がごくわずか減少し、これはTetAが特異的に結合していることを示唆している。小胞が合成反応に添加されない場合、TetAは凝集し、かつショ糖勾配の画分5〜7に局在する。示されている小胞に挿入されたTetAの量は、全体収率として無細胞反応1 mL当り440 μgの挿入TetAに相当し、典型的なTetAのインビボ収率(1〜1.5 μg/mL)の約300倍である。
これらのデータは、本発明の方法によって膜タンパク質が高収率で合成され、かつ合成されたタンパク質は小胞に挿入されおよび適切に折り畳まれていることが示す。
実施例2
TetA活性アッセイ:
TetA活性アッセイはYamaguchi, et al (1990) J Biol Chem, 265 (9): p. 4809-13の記載と同様に遂行された。TetAは細胞の天然のプロトン勾配を駆動力として用い、金属-テトラサイクリン複合物の細胞質外への輸送を触媒するプロトン対向輸送体である。
TetA活性をアッセイするため、TetAを含む小胞を37℃で一定時間、13.3 mM NADHに曝露することにより小胞膜を隔てたプロトン勾配が生成された。生成されたpH勾配はキナクリン(quinacrine)のような自己消光し、pH感受性の蛍光色素(Yamaguchi et al., (1991) FEBS Lett, 282(2): p. 415-8)を使用して定量された。この色素は天然の状態で膜浸透性であるが、低pHでプロトン付加され、勾配が生成された後に小胞の内部に優先的にトラップされる。色素は自己消光するため、小胞内にトラップされた色素量は蛍光シグナルの全体的な低下により示され、従って小胞内部のpHの定量可能な測定をもたらす。
pH勾配が生成された後、10 μM [3H]-テトラサイクリンおよび0.5 mM塩化コバルトが続いて添加され、および反応物はさらに37℃で保温された。指定の時間間隔で小胞を収集し、かつ溶液中の遊離型のテトラサイクリンから小胞結合型のテトラサイクリンを分離するため30 kDa分子量遠心分離フィルターを使用して洗浄することにより、輸送されたテトラサイクリンが測定された。フィルター上に残留する放射能活性型テトラサイクリンは続いて液体シンチレーションカウンターを用いて定量化することが可能である。このデータおよびショ糖浮遊アッセイ由来の挿入タンパク質測定の併用により、単位pH勾配当りの、TetA一分子当りのテトラサイクリン輸送率が算出される。
無細胞生産TetAが完全に活性型であるかどうかを決定するため、インビボでTetAを発現している大腸菌KC6株由来の小胞と活性データを比較する。活性アッセイはこれらの小胞を用いて上述のように遂行される。無細胞小胞中のTetA分子数を定量するため、birAリガーゼ(Avidity, LLC)により容易にビオチン化される15アミノ酸タグがTetAタンパク質に添加される。ビオチン化の後、小胞は放射能標識されたストレプトアビジンに曝露される。結合したストレプトアビジンの量を測定することにより、小胞に含まれるTetA相当量が算出される。
実施例3
MtlA活性定量:
MtlAによるマンニトール輸送は2つの他の細胞質酵素、HPr(熱安定性のヒスチジンリン酸化タンパク質)およびPTS酵素Iを含むPEP駆動過程である。MtlA活性をアッセイするため、小胞はマンニトールにより事前負荷される。これは(a)MtlAの無細胞合成前の小胞溶液調製段階においてマンニトールを含む緩衝液中で細胞をホモジェナイズする、または(b)無細胞反応後にマンニトールを含む緩衝液中にMtlAを含む小胞を排出する、のいずれかにより達成される。100 kDa MWCO透析バッグ中での透析による粗精製の後、細胞抽出産物から持ち越されたいかなる残存のHPr(9 kDa)または酵素I(63 kDa)も除去される。
既知量の精製HPr、酵素IおよびPEPがMtlAの小胞外への初期輸送のため小胞に添加される。37℃において指定時間間隔で保温後、小胞は収集され、かつ溶液中の遊離型マンニトールから小胞内に封入されたマンニトールを分離する30 kDa分子量遠心分離フィルターを使用して洗浄される。封入されたマンニトール(界面活性剤の添加による解離後)または遊離型マンニトールはHPLCにより定量される。このデータおよびショ糖浮遊アッセイ由来の挿入タンパク質測定により、MtlA一分子当りの輸送率が算出される。
本発明者らの無細胞生産されたMtlAが完全に活性型であるかどうかを決定するため、既知量のインビボ生産されたMtlAを含む小胞を生産する上述のTetAと同様の手法が使用される。
実施例4
アクアポリン(Aquaporin)の発現:
上述の方法を使用して、膜タンパク質アクアポリンZ(AqpZ)が高収率で生産され、かつ界面活性剤の使用または再度折り畳み段階を経ることなく、大腸菌内膜小胞に直接挿入される。
AqpZは24 kDaであり、大腸菌の内膜で水特異的チャネルとして寄与する6つの膜貫通部位を伴う(Ringler, P., et al., Structure of the water channel AqpZ from Escherichia coli revealed by electron crystallography. Journal of Molecular Biology, 1999. 291 (5): p. 1181-1190)。
AqpZは上述のCytomim基盤の無細胞反応で生産され、0.6 mg/mL(脂質含有量に基づいて)までの精製された内膜小胞が追加された。これらの反応により約650〜800 μg/mLの総AqpZが生産された。このタンパク質のどれくらいの量が小胞に結合しているかを決定するため、本発明者らはいかなる凝集AqpZからも小胞を分離するためショ糖浮遊法を使用した。図10はショ糖勾配中のAqpZの分布を示す。低い密度を有する小胞は勾配を通り浮上し(画分2)、一方、より高密度の凝集体は底部に留まる(画分5〜7)。折り畳まれていないタンパク質と小胞の非特異的な結合を最小化するため、各勾配を通して6 M尿素が存在する。無細胞反応中に小胞が追加された場合、約50%のAqpZが小胞画分に回収される。
対照的に、小胞が添加されない反応ではおそらく凝集体として実質的に全てのAqpZが勾配の底部に停留することが示される。これらの結果は、約400 μg/mLの小胞結合AqpZが天然の小胞中で生産されうることを示している。これは、AqpZが大腸菌で過剰発現された場合に得られる典型的な収率の150倍以上である(Borgnia, M. J., et al., Functional reconstitution and characterization of AqpZ, the E-coli water channel protein. Journal of Molecular Biology, 1999. 291 (5): p. 1169-1179)。本発明者らの無細胞系における小胞結合型AqpZの収率はTetAで見られたものと同様である。
小胞に結合したAqpZが適切に挿入されているかどうかを決定するため、本発明者らはタンパク質をプロテアーゼによる消化に供した。適切に折り畳まれたAqpZはプロテアーゼであるプロテイナーゼKに抵抗性であることが公知であり、これは恐らく周囲の脂質膜に保護されているからである。図12は放射能標識されたAqpZが長時間プロテアーゼに曝露された場合のオートラジオグラムである。1時間後でさえ、大部分の全長AqpZが残っている。対照的に、脂質膜がLDS界面活性剤を使用して溶解された場合、AqpZはもはや保護されず、15分までにほぼ完全な分解を示している。これらの結果は、結合しているAqpZは小胞膜に適切に挿入されていることを示唆している。
プロテアーゼ消化に加えて、本発明者らはストップトフロー(stopped-flow)静的光学散乱法(Haines, T.H., Water Transport across Biological-Membranes. Febs Letters, 1994. 346(1): p. 115-122)を使用して水輸送を測定することにより、生産されたAqpZの活性も測定した。合成されたAqpZを含む小胞は50 nm膜を通過させられる。小胞溶液(脂質基準で0.05 mg/mL)は続いて、150 mMショ糖溶液と共にフローチャンバーに同時注入される。高張性環境では時間経過と共に小胞の収縮が引き起こされる。収縮率はその結果であるレイリーの光散乱量を測定することにより観測することが可能である(図12)。合成されたAqpZを含む小胞は、無関係のタンパク質が生産された対照小胞(時定数τ= 20ms)よりずっと迅速な収縮率(時定数τ= 7ms)を示す。このデータより、本発明者らは3.7 x 10-14 cm3/sec/monomerの特異的活性を算出し、これはインビボ生産されたAqpZについて測定された特異的活性(2〜10 x 10-14 cm3/sec/monomer(Pohl, P., et al., Highly selective water channel activity measured by voltage clamp: Analysis of planar lipid bilayers reconstituted with purified AqpZ. Proceedings of the National Academy of Sciences of the United States of America, 2001. 98(17): p. 9624-9629)と一致する。従って、本発明者らの無細胞系で生産されたAqpZはインビボで生産されたものと同等である。
本発明は、記載された特定の方法、プロトコール、細胞株、動物種または属、構築物、および試薬に限定されず、当然それ自体は異なっていてもよいことが理解されるべきである。また、本明細書において使用された用語は特定の態様のみを記載するためのものであることも理解されるべきであり、本発明の範囲を限定することは意図されず、これは添付の特許請求の範囲によってのみ限定されるであろう。
他に定義されていない限り、本明細書において使用される全ての技術的または科学的用語は本発明の属する当業者に一般に理解されているのと同一の意味を有する。本明細書において記載されているものと類似または同等の任意の方法、装置および材料は本発明の実施または試験において使用され得るが、好ましい方法、装置および材料はここに記載されているものである。
本明細書において言及された全ての刊行物は、例えば、それらの刊行物において記載されている細胞株、構築物および方法を記載および開示する目的で参照により本明細書に組み入れられ、本記載の発明と関連して使用されてもよい。上記および本文全体に渡り論じられた刊行物は、それらの開示が本出願の出願日以前であるという理由のみにより提供される。本明細書において何物も、先行する発明によるそのような開示に対し、本発明者が先行するに値しないという承認として解釈されるべきではない。
MtlAまたはTetAの無細胞合成反応由来の、全量、および透析されたタンパク質の収量。 (a)6つの膜貫通部位および膜の細胞質側の大型C末端ドメインを示すMtlAのトポロジー。(b)MtlAの膜貫通部分の予測トポロジー。最大の細胞質内ループ(K185〜V273)は89アミノ酸を包含する。 37℃でプロテイナーゼKにより消化されたMtlA検体のクーマシー染色されたタンパク質ゲル(左)および対応するオートラジオグラム(右)。略語:プロテイナーゼ K(Prot K)、リチウムドデシル硫酸塩(LDS)。 12個の膜貫通部位を示すTetAのトポロジー。最大の細胞質内ループ(M181〜A213)は33アミノ酸のみである。 25℃でプロテイナーゼKにより消化されたTetA検体のクーマシー染色されたタンパク質ゲル(右)および対応するオートラジオグラム(左)。略語:プロテイナーゼ K(Prot K)、リチウムドデシル硫酸塩(LDS)。 TetAまたはCATタンパク質発現時の小胞内部におけるテトラサイクリンの蓄積。 ショ糖浮遊アッセイの概略図。 ショ糖浮遊アッセイにおいて放射能標識されたMtlAの分布。小胞結合MtlAは画分2へ浮上し、一方凝集したMtlAは画分6〜8の勾配の底に停留する。 ショ糖浮遊アッセイにおいて放射能標識されたTetAの分布。小胞結合TetAは画分2へ浮上し、一方凝集したTetAは画分5〜7の勾配の底に停留する。非特異的に小胞に結合したTetAを除去するため6M尿素が添加される。 ショ糖浮遊アッセイにおいて放射能標識されたAqpZの分布。小胞結合AqpZは画分2へ浮上し、一方凝集したAqpZは画分5〜7の勾配の底に停留する。 37℃でプロテイナーゼKにより消化されたAqpZ検体のオートラジオグラム。略語:プロテイナーゼ K(Prot K)、リチウムドデシル硫酸塩(LDS)。 高張性環境における水の小胞外輸送を観測したレイリー光散乱測定。合成AqpZを含む小胞は、無関係なタンパク質、クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ(CAT)が産生された対照反応より得られた対照小胞よりも、迅速な小胞収縮率を示す。

Claims (14)

  1. 以下の段階を含む、無細胞インビトロ反応における膜結合ポリペプチドの合成のための方法:
    反応混合物が該ポリペプチドの直接挿入のための小胞を含み、反応条件が酸化的リン酸化のインビトロ活性化を提供する、無細胞インビトロ翻訳反応において膜結合ポリペプチドを合成する段階。
  2. 反応混合物が少なくとも約50μg/mlの膜結合ポリペプチドを生産する、請求項1記載の方法。
  3. ポリペプチドがインビボにおいて達成される以上の濃度で合成される、請求項1記載の方法。
  4. 膜結合を維持する条件下において、反応混合物由来の膜結合ポリペプチドを直接的に単離する段階をさらに含む、請求項2記載の方法。
  5. 反応混合物がシグナル識別粒子(SRP)を含む、請求項1記載の方法。
  6. 反応混合物がFtsYタンパク質をさらに含む、請求項5記載の方法。
  7. 合成がバッチ(batch)反応またはフェドバッチ(fed-batch)反応として遂行される、請求項1記載の方法。
  8. 合成が連続的な反応として遂行される、請求項1記載の方法。
  9. 反応混合物がグルコース含有培地で増殖した大腸菌由来の抽出産物を含む、請求項1記載の方法。
  10. 大腸菌がグルコースおよびリン酸含有培地で増殖する、請求項5記載の方法。
  11. 反応混合物が約5mMから約20mMの濃度のマグネシウムを含む、請求項6記載の方法。
  12. 反応混合物が実質的にポリエチレングリコールを含まない、請求項7記載の方法。
  13. 反応混合物がスペルミン、スペルミジン、およびプトレシンのうち1つまたは複数を含む、請求項8記載の方法。
  14. 請求項1〜13のいずれか一項記載の方法における使用のためのキット。
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