JP2009512718A - 創傷修復を調節するための方法及び組成物 - Google Patents

創傷修復を調節するための方法及び組成物 Download PDF

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Abstract

本発明は、創傷の修復を調節する方法に関する。本方法は、創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程を含む。
【選択図】なし

Description

発明の詳細な説明
この出願は、2005年10月25日提出の豪州仮特許出願第2005905891号及び2006年9月18日提出の豪州仮特許出願第2006905128号の優先権を主張する。なお、これらの特許出願の内容は、この参照によって本明細書に組み込まれたものと解釈する。
〔発明の分野〕
本発明は、創傷修復及び瘢痕形成を調節するための方法及び組成物に関する。
本発明は、望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況及び状態を予防及び/又は治療するための方法及び組成物並びに創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するための方法及び組成物にも関する。
本発明は、さらに創傷修復の制御因子の発現が変化した単離皮膚細胞に関する。
〔発明の背景〕
創傷治癒は、細胞構造及び組織層の回復をもたらす複雑かつ動的プロセスである。一般に、創傷治癒プロセスを3つの異なる期:炎症期、増殖期、及びリモデリング期に分割することができる。これらの各期は、走化性、食作用、コラーゲン新生、コラーゲン変性、及びコラーゲンリモデリングといった複雑かつ協調した一連の事象を含む。
創傷の部位に種々の分化した細胞型が漸増することも創傷治癒プロセスの重要な部分である。このプロセスは、細胞外マトリックス及び基底膜の沈着、血管形成、選択的プロテアーゼ活性及び再表皮化を必要とする。
哺乳動物の治癒プロセスの一要素は、細胞外マトリックスを生成するための線維芽細胞の刺激である。この細胞外マトリックスが結合組織の主成分を構成し、これが発達して創傷領域を修復する。
アクチン細胞骨格は、すべての細胞内で見られるフィラメントの基本ネットワークである。アクチン細胞骨格の再組織化が創傷修復プロセスを支える細胞接着及び運動性の変化の中心である。これらの変化には、創傷の再表皮化の際のケラチノサイトのラメリポジアルクローリング(lammellipodial crawling)、炎症細胞の浸潤及び細胞外マトリックスの沈着とリモデリングに必要な線維芽細胞の移動及び創傷部位における真皮の収縮が含まれる。
多くの制御タンパク質はアクチンの構築及び組織化に影響を与える。例えば、ゲルソリンファミリーメンバーのタンパク質は、先在フィラメントを切断し(severing)及び/又はフィラメント端を重合阻止(capping)することによってアクチンフィラメントを制御するようである。切断後、タンパク質は壊れたフィラメントの“反矢じり(barbed)”端に結合したままであり、それによってアニーリング又はアクチンモノマーの付加を阻止する。アクチンフィラメントは、引き続きホスホイノシチドとの相互作用によって重合阻止されず(uncapped)、急速なアクチン構築につながる。これが、細胞に細胞骨格の位置を再び定めて運動性、接着及び収縮を変化させる第1ステップである。
創傷の治癒を促進する方法及び薬物の開発が継続的に要望されている。例えば、急性創傷(例えば、浸透性負傷、熱傷、神経損傷及び待機的手術に起因する創傷)、慢性創傷(例えば、糖尿病、静脈性及び褥瘡性潰瘍)の場合、又は高齢などの創傷治癒能力が妥協される個体で創傷を治癒するためには、治癒速度を高めることが望ましいことが多い。
しかし、創傷治癒の速度を高めると、しばしば瘢痕形成の随伴増加がある。多くの場合、瘢痕形成の増加は、治癒速度の所望の上昇に比べて二次的な重要さであることが多い。しかし、瘢痕形成の制御が第一に重要で、創傷治癒速度は二次的考慮事柄にすぎない場合も多い。このような状況の例は、過剰な瘢痕が組織機能に有害な場所の皮膚の瘢痕、特に瘢痕拘縮が起こる場合(例えば、皮膚の熱傷及び関節のフレキシビリティーを害する創傷)である。美容上の考慮事柄が重要な場合の皮膚への瘢痕の減少も非常に望ましい。
内部の瘢痕又は線維形成が非常に有害でありうる多くの疾患、状況及び状態もある。線維性障害は、組織内における異常な様式での線維組織(主にコラーゲン)の蓄積によって特徴づけられる。このような線維組織の蓄積は種々の疾患プロセスから生じうる。
創傷治癒の現在の治療として、加圧衣服、シリコーン負傷手当用品、及びヒドロコルチゾン注射が挙げられる。しかし、これらの治療は経験的で、信頼できず、かつ予測不可能である。皮膚瘢痕の治療に利用できる処方箋薬もない。
従って、創傷、瘢痕及び線維症の治療を調節するために使用可能な新規作用物質及び治療戦略の開発が要望されている。本発明は、ゲルソリンファミリーのメンバーであるフライトレス(Flightless)Iが創傷修復の重要な媒介物であり、かつこのタンパク質の活性及び/又は発現を調節することによって創傷の修復を調節しうることの同定から生じる。
先行技術として与えられる特許文献又は他の事柄に対する本明細書での言及は、当該文献又は事柄が豪州又は他のいずれの国でも知られていた、或いは当該文献又は事柄が含む情報が特許請求の範囲のいずれの優先日においても共通の一般知識の一部であったと認めるものと解釈すべきでない。
〔発明の概要〕
本発明は、創傷修復におけるフライトレスIタンパク質の役割に向けた研究から発生する。本研究は、フライトレスIの活性の調節が創傷治癒を制御することを実証する。フライトレスI自体、創傷治癒及び瘢痕形成を改善し、並びに線維性障害を予防及び/又は治療するための処置の標的である。
従って、一実施形態では、本発明は、創傷の修復を調節する方法であって、創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節することを含む方法を提供する。
本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、創傷修復を調節するための薬物の製造における使用をも提供する。
本発明は、創傷の治癒を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物をも提供する。
本発明は、対象の創傷内の瘢痕形成を調節する方法であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を前記創傷に送達する工程を含む方法をも提供する。
本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、瘢痕形成を調節するための薬物の製造における使用をも提供する。
本発明は、瘢痕形成を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物をも提供する。
本発明は、対象の望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態の予防及び/又は治療方法であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する治療的に有効量の作用物質を前記対象に投与する工程を含む方法をも提供する。
本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態の予防及び/又は治療用薬物の製造における使用をも提供する。
本発明は、望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態を予防及び/又は治療するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物をも提供する。
本発明は、TGF-β及び/又はコラーゲンの発現、分泌及び/又は活性の1つ以上を調節する方法であって、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程を含む方法をも提供する。
本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、TGF-β及び/又はコラーゲンの発現、分泌及び/又は活性の1つ以上を調節するための薬物の製造における使用をも提供する。
本発明は、TGF-β及び/又はコラーゲンの発現、分泌及び/又は活性の1つ以上を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物をも提供する。
本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、創傷修復を調節するための薬物の製造における使用をも提供する。
本発明は、創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節する方法であって、前記細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程を含む方法をも提供する。
本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するための薬物の製造における使用をも提供する。
本発明は、創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物をも提供する。
本発明は、変化した発現及び/又は活性のフライトレスIを有する、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体をも提供する。
本発明は、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する核酸を含む、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体をも提供する。
本明細書全体を通じて使用する種々の用語は、熟練受信人によってよく理解されるであろう意味を有する。しかし、参照の容易さのため、以下にこれらの用語のいくつかを定義する。
本明細書全体を通じて使用される用語“フライトレスI”は、ヒトフライトレスIと少なくとも50%の配列同一性を有するタンパク質を意味するものとする。フライトレスIタンパク質は、例えば、Altschul et al. (199O) J. Mol. Biol. 215:403-410に記載されているようなBLASTアルゴリズムによって同定される。
本明細書全体を通じて使用される用語“調節する”は、あるプロセスの促進又は抑制を意味するものとする。
この点に関して、個々の生体系の特徴によって、例えば、創傷修復の速度及び/又は程度の増加は、フライトレスIの発現及び/又は活性の増加又は減少のどちらかから起こりうることが分かるだろう。同じ理由のため、創傷治癒の速度及び/又は程度の抑制もフライトレスIの発現及び/又は活性の増加又は減少のどちらかから起こりうる。同様の状況が瘢痕形成の速度及び/又は程度を調節する場合、並びに創傷治癒に関与する細胞の増殖及び/又は移動の調節に当てはまる。
また、創傷の修復(治癒)に関与する細胞内、或いは瘢痕形成に関与する細胞内におけるフライトレスIの発現及び/又は活性の調節は、これらのプロセスに直接又は間接的に関与する1以上の細胞内における前記発現及び/又は活性の調節であることも分かるだろう。前記細胞としては、線維芽細胞、ケラチノサイト、内皮細胞、好中球、マクロファージ、及び他の炎症細胞などの細胞型が挙げられる。
さらに、フライトレスIの発現及び/又は活性の調節は、その範囲内に、フライトレスIタンパク質レベルの調節、フライトレスIタンパク質の活性の変更、該タンパク質の細胞内及び/又は細胞外局在化の変更、並びに細胞からの該タンパク質の分泌の速度又はレベルの変更の1つ以上を包含することが分かるだろう。
本明細書全体を通じて使用される用語“生体系”は、いずれの多細胞系をも意味するものとし、単離された細胞群から生物全体を包含する。
本明細書全体を通じて使用される用語“変異体(variant)”は、1つ以上のアミノ酸が変化しているアミノ酸配列のポリペプチド又はタンパク質を意味するものとする。変異体は、代用アミノ酸が置換されるアミノ酸と同様の構造的又は化学的性質を有する(例えば、ロイシンとイソロイシンの置換)“保存的”変化を有しうる。変異体は、“非保存的”変化(例えば、グリシンとトリプトファンの置換)又は1つ以上のアミノ酸の欠失及び/又は挿入をも有しうる。
本明細書全体を通じて使用される用語“核酸”は、いずれのオリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドをも意味するものとする。核酸はDNA又はRNAでよく、一本鎖又は二本鎖でよい。核酸はいずれの型の核酸でもよく、ゲノム起源、cDNA起源(すなわちmRNA由来)、ウイルス由来、又は合成起源の核酸が挙げられる。
この点に関して、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、塩基成分、糖成分、又はリン酸骨格で修飾されていてもよく、かつ該核酸の機能を促進するための他の付属基を含みうる。オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、その構造上のいずれの位置でも技術上一般的に知られる構成成分で修飾されうる。例えば、オリゴヌクレオチドは、5-フルオロウラシル、5-ブロモウラシル、5-クロロウラシル、5-ヨードウラシル、ヒポキサンチン、キサンチン、4-アセチルシトシン、5-(カルボキシルヒドロキシルメチル)ウラシル、5-カルボキシメチルアミノメチル-2-チオウリジン、5-カルボキシメチルアミノメチルウラシル、ジヒドロウラシル、β-D-ガラクトシルキューオシン、イノシン、N6-イソペンテニルアデニン、1-メチルグアニン、1-メチルイノシン、2,2-ジメチルグアニン、2-メチルアデニン、2-メチルグアニン、3-メチルシトシン、5-メチルシトシン、N6-アデニン、7-メチルグアニン、5-メチルアミノメチルウラシル、5-メトキシアミノメチル-2-チオウラシル、β-D-マンノシルキューオシン、5'-メトキシカルボキシメチルウラシル、5-メトキシウラシル、2-メチルチオ-N6-イソペンテニルアデニン、ウラシル-5-オキシ酢酸、ワイブトキソシン、プソイドウラシル、キューオシン、2-チオシトシン、5-メチル-2-チオウラシル、2-チオウラシル、4-チオウラシル、5-メチルウラシル、ウラシル5-オキシ酢酸メチルエステル、ウラシル-5-オキシ酢酸、5-メチル-2-チオウラシル、3-(3-アミノ-3-N-2-カルボキシプロピル)ウラシル、及び2,6-ジアミノプリンを含む群から選択される少なくとも1つの修飾された塩基成分を含みうる。
オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、限定するものではないが、アラビノース、2-フルオロアラビノース、キシルロース、及びヘキソースを含む群から選択される少なくとも1つの修飾された糖成分をも含みうる。さらに、オリゴヌクレオチド又はポリヌクレオチドは、ホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホルアミドチオエート、ホスホルアミデート、ホスホルジアミデート、メチルホスホネート、アルキルホスホトリエステル、及びホルムアセタール又はこれらのいずれかの類似体などの少なくとも1つの修飾されたリン酸骨格を含みうる。
本明細書全体を通じて使用される用語“対象”は、動物又はヒト対象といったいずれの多細胞生物をも意味するものとする。例えば、対象はヒト又は他の哺乳動物、霊長類、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、又はヤギ)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、実験用試験動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、トリ)、獣医学上有意な動物、又は経済上有意な動物でよい。
本明細書全体を通じて使用される用語“単離された”は、ある物質がその元の環境から離されること、例えばその物質が天然に存在する場合、その天然環境から離されることを意味するものとする。例えば、生きている動物内に存在する天然のポリヌクレオチド、ポリペプチド又は細胞は単離されていないが、該天然系内に共存する物質のいくらか又はすべてから分離された同じポリヌクレオチド、ポリペプチド又は細胞は、その後該天然系内に再導入された場合でさえ、単離されている。
〔発明の一般的説明〕
上述したように、一実施形態では、本発明は、創傷の修復を調節する方法であって、前記創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節することを含む方法を提供する。
この発明を用いて、生体系内に存在する創傷の修復を促進又は抑制することができる。例えば、本発明を用いて、完全なヒト又は動物対象内の創傷のような創傷をin vivo修復することができる。
この点に関して、本発明の種々の関連実施形態で使用される用語“生体系”は、多細胞系を意味するものとし、単離された細胞群から生物全体を包含する。例えば、生体系は組織若しくは器官、又は完全なヒト若しくは動物対象でよい。
しかし、本発明を用いて細胞の創傷治癒をin vitro調節できることも分かるだろう。
本発明の種々の実施形態で本明細書全体を通じて使用される用語“フライトレスI”は、ヒトフライトレスIと少なくとも50%の配列同一性を有するタンパク質を意味するものとする。例えば、BLASTアルゴリズムによってフライトレスIタンパク質を同定することができる。BLASTアルゴリズムは、データベース内の配列間の局所アラインメントを同定し、偶発する局所アラインメントの確率を予測する。BLASTアルゴリズムは、Altschul et al. (1990) J. Mol, Biol. 215:403-410の記載通りである。
フライトレスIはゲルソリンファミリーのメンバーである。フライトレスI遺伝子のヒト相同体は、元来ドロソフィラ(Drosophila)(遺伝子の突然変異が飛翔筋の欠陥を引き起こし、結果として飛行を維持できない)で同定された140kDのタンパク質をコードする。このフライトレスIタンパク質はマウスとヒトの間で高度に保存され、ゲルソリンファミリーの最も進化的に保存されたメンバーであり、このタンパク質が重要な保存された機能を果たすことを示唆している。
フライトレスIのヒト型のアミノ酸配列は、ジェンバンク受入番号NP_002009で提供される。そのmRNAのヌクレオチド配列はジェンバンク受入番号NM_002018で提供される。
本明細書で前述したように、本発明を用いて創傷の修復を促進又は抑制することができる。
創傷の例として、急性創傷(例えば、浸透性負傷、熱傷、神経損傷及び待機的手術に起因する創傷)、慢性創傷(例えば、糖尿病、静脈性及び褥瘡性潰瘍)又は高齢などの創傷治癒能力が妥協される個体の創傷が挙げられる。
一実施形態では、創傷の修復が促進される。この場合、創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性が減少しうる。
別の実施形態では、創傷の修復が抑制される。この場合、創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性が増加しうる。
しかし、個々の生体系の特徴によって、例えば、創傷修復の速度及び/又は程度の増加は、フライトレスIの発現及び/又は活性の増加又は減少のどちらかから起こりうることが分かるだろう。同じ理由のため、創傷治癒の速度及び/又は程度の抑制もフライトレスIの発現及び/又は活性の増加又は減少のどちらかから起こりうる。
例えば、熱傷のような創傷の修復を調節する場合、フライトレスIの活性の増加が治癒改善と関係しうる。
創傷の修復又は治癒の速度及び程度の評価方法は技術上周知である。
本発明は、創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性の調節に関係する。一実施形態では、創傷の修復に関与する細胞は線維芽細胞又はケラチノサイトである。
本発明の種々の実施形態では、フライトレスIタンパク質の発現、分泌及び/又は活性の1つ以上の調節を適法で達成しうる。
一実施形態では、フライトレスIの発現及び/又は活性の調節は、創傷の修復に関与する細胞に、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を送達するか又はさらすことを含む。
この点に関して、前記作用物質は、フライトレスIタンパク質の発現及び/又は活性を直接又は間接的に調節しうることが分かるだろう。
一実施形態では、前記作用物質を対象の創傷に送達して該創傷の修復を調節する。例えば、前記作用物質を該創傷に直接適用し、及び/又は該創傷の周囲に皮内注射することができる。
従って、別の実施形態では、本発明は、対象の創傷の修復を調節する方法であって、前記創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を前記創傷に送達することを含む方法を提供する。
対象は、例えばヒト又は動物対象でよく、哺乳類対象、霊長類、家畜(例えば、ウマ、ウシ、ヒツジ、ブタ、又はヤギ)、コンパニオンアニマル(例えば、イヌ、ネコ)、実験用試験動物(例えば、マウス、ラット、モルモット、トリ)、獣医学上有意な動物、又は経済上有意な動物が挙げられる。
この点に関して、フライトレスIの発現及び/又は活性の調節は、創傷の発生前、発生と同時、及び/又は発生後のいずれのときにも起こりうることが分かるだろう。従って、本発明は、創傷が生じた後の治療のためのフライトレスIの発現及び/又は活性の調節を想定するのみならず、本発明は、創傷が生じる前のフライトレスIの発現及び/又は活性の調節をも想定する。
従って、本発明の種々の実施形態の対象は、修復が必要な創傷に苦しむ対象、或いは負傷しやすい対象でよい。
本発明の種々の実施形態でフライトレスIの発現及び/又は活性を調節するために使用しうる作用物質の例として、薬物、小分子、核酸、ポリペプチド、タンパク質、酵素、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、受容体のリガンド、コファクアー、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子干渉(small interfering)RNA、ミクロRAN、脂質、アプタマー、ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部が挙げられる。
一実施形態では、該作用物質がフライトレスIの発現及び/又は活性を増やしうる。フライトレスIの発現及び/又は活性を増やしうる作用物質は本明細書で前述した通りであり、フライトレスIタンパク質の機能部分をコードする核酸などの作用物質、フライトレスI遺伝子の転写を活性化する作用物質、又はフライトレスIタンパク質自体(又はその変異体若しくは活性フラグメント)が挙げられる。該作用物質を用いて創傷の修復を低減又は抑制し、或いは創傷の修復に関連する瘢痕形成の程度を減らしうる。
作用物質を細胞内に導入する方法は技術上周知である。生体分子の治療的送達は、一般的にBladon, C. (2002) "Pharmaceutical Chemistry: Therapeutic Aspects of Biomolecules" John Wiley & Sons Ltdに記載されている通りである。
例えば、外因性DNAを細胞内に導入する方法は、Sambrook, J, Fritsch, E.F. and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd. ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York. (1989)に記載されている通りである。
これとは別の実施形態では、作用物質はフライトレスIの発現及び/又は活性を減らしうる。
フライトレスIの発現及び/又は活性の減少を適法で達成することができる。
例えば、1つ以上の中和抗体(又はその抗原結合部)の使用、mRNAに結合して翻訳を妨害するアンチセンス核酸の使用、内因性mRNAの転写を特異的に阻止できる分子、例えば特異的なDNA若しくはRNA結合タンパク質、三重らせん構造を形成できる核酸、低分子干渉RNA、ミクロRNA、特異的なmRNAを切断できるリボザイム、又はフライトレスIと相互作用する阻害因子(又はフライトレスIの制御因子)の使用によって、フライトレスIの発現の減少を達成しうる。
一実施形態では、フライトレスIの発現及び/又は活性を減らす作用物質は中和抗体(又はその抗原結合部)であり、フライトレスIに対する中和抗体(又はその抗原結合部)が挙げられる。
用語“抗原結合部”は、抗体分子の抗原結合部分を意味するものとし、Fab、Fab'、F(ab')2、Fv、一本鎖抗体(scFv)、キメラ抗体、二重特異性抗体(diabody)又は特異的な抗原結合性を与えるために十分な免疫グロブリンの少なくとも一部を含むいずれのポリペプチド(例えば1つ以上のCDRを含む分子)も包含する。
一実施形態では、フライトレスIに対する中和抗体が、フライトレスIタンパク質のロイシンリッチリピートドメインに特異的に結合する抗体である。中和抗体の製造方法を含め、抗体の製造方法は技術上周知であり、例えばAntibodies: A Laboratory Manual (1988) by Ed Harlow and David Lane, Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, New Yorkに記載されている通りである。
アンチセンス核酸の場合、組換え核酸からの発現又は化学合成といった技術上周知の適法によってをアンチセンス核酸を製造できる。例えばStein et al. (1988) Nucl. Acids Res. 16: 3209に記載される方法でホスホロチオエートオリゴヌクレオチドを合成することができる。
低分子干渉RNAの場合、技術上周知の方法でこれらを製造できる。例えば、siRNAを設計かつ使用して前記発現を減らす方法は、基本的にElbashir et al (2001) Nature AlV. 494-498、Harborth et al (2003) Antisense Nucleic Acid Drug Dev. 13: 83-106、及びSemizarov et al (2003) Proc Natl Acad Sd USA 100: 6347-6352に記載されている通りである。
リボザイムの場合、核酸がリボザイムとして作用するために必要な機能上の制約は基本的にHaseloff et al. (1988) Nature 334: 585-591;Koizumi et al, (1988) FEBS Lett. 228: 228-230;Koizumi et al, (1988) FEBS Lett. 239: 285-288)に記載されている通りである。リボザイム分子の細胞内で発現を誘発することを含むリボザイム法は、基本的にGrassi and Marini (1996) Annals of Medicine 28: 499-510;Gibson (1996) Cancer and Metastasis Reviews 15: 287-299に記載されている通りである。
リボザイム作用のメカニズムは、リボザイム分子の、相補性標的RNAへの配列特異性ハイブリダイゼーション、次いでヌクレオチド鎖切断による開裂を含む。使用しうるリボザイムの例として、標的配列をコードする配列のヌクレオチド鎖切断による開裂を特異的かつ効率的に触媒しうる、設計されたハンマーヘッド・モチーフのリボザイム分子が挙げられる。
可能性のあるいずれのRNA標的内の特異性リボザイム切断部位も、初めに、以下の配列:GUA、GUU、及びGUCを含むリボザイム切断部位について標的分子を走査することによって同定される。一端同定されると、切断部位を含有する標的遺伝子の領域に相当する15〜20個のリボヌクレオチド間の短いRNA配列を、オリゴヌクレオチドを動作不能にしうる二次構造の特徴について評価しうる。技術上周知なように、リボヌクレアーゼ保護アッセイを用いて、相補性オリゴヌクレオチドとのハイブリダイゼーションへの接近性を試験することによって、候補標的の適合性も評価することができる。
抗体の場合、本発明の種々の実施形態における抗体は、ポリクロナール抗体、モノクロナール抗体、キメラ抗体、一本鎖抗体、Fabフラグメント、及びFab発現ライブラリーによって生成されるフラグメントでよい。
抗体の生産のため、ヤギ、ウサギ、ラット、マウス、ヒト等を含む種々のホストを、免疫原性の性質を有するポリペプチド又はそのいずれかのフラグメント若しくはオリゴヌクレオチドの注射で免疫化することができる。ホストの種によって決まる種々のアジュバントを用いて免疫応答を高めうる。このようなアジュバントとして、限定するものではないが、フロイントアジュバント、無機ゲル、例えば水酸化アルミニウム、並びに表面活性物質、例えばリゾレシチン、プルロニック(pluronic)ポリオール、ポリアニオン、ペプチド、オイルエマルジョン、スカシ貝ヘモシアニン、及びジニトロフェノールが挙げられる。
培養で連続的な細胞系による抗体分子の生産を提供するいずれの技法によってもモノクロナール抗体を調製することができる。この技法として、限定するものではないが、ハイブリドーマ法(基本的に Kohler, G. et al. (1975) Nature 256:495-497;Kozbor, D. et al (1985) J. Immunol. Methods 81:31-42;Cote, R. J. et al. (1983) Proc. Natl. Acad. ScL 80:2026-2030;Cole, S. P. et al. (1984) Mol. Cell Biol. 62:109-120に記載されている通り)が挙げられる。
特異的結合部位を含む抗体フラグメントも生成しうる。例えば、該フラグメントとして、抗体分子のペプシン消化によって産生されうるF(ab')2フラグメント及び該F(ab')2フラグメントのジスルフィドブリッジを還元することによって生成しうるFabフラグメントが挙げられる。或いは、Fab発現ライブラリーを構築して、所望の特異性を有するモノクロナールFabフラグメントの迅速かつ簡単な同定を可能にすることができる(例えばHuse, W. D. et al. (1989) Science 254:1275-1281に記載されている通り)。
例えば、フラグメントIタンパク質のロイシンリッチリピートドメインに対して動物を免疫化することによって、フライトレスIに対する中和抗体を生産しうる。フライトレスIタンパク質の種々の特徴は、UniProtKB/Swiss-ProtエントリーQ13045で見つけられる。
本発明の種々の実施形態の作用物質は、フライトレスIの細胞内及び/又は細胞外局在化の変化をも引き起こしうる。例えば、本作用物質は、細胞の細胞質からフライトレスIを該細胞の核に再局在化させ、或いは核から細胞質にフライトレスIを再局在化させうる。
本発明の種々の実施形態の作用物質は、創傷修復に関与する分子の、フライトレスIの上流及び/又は下流における分子の発現、分泌、局在化及び/又は活性の1つ以上を調節することもできる。例えば、本作用物質はTGF-βタンパク質の発現、分泌及び活性の1つ以上を調節し、及び/又はコラーゲンの発現、分泌及び/又は活性の1つ以上を調節しうる。
この点に関して、TGF-βは多くの細胞型で増殖、分化、及び他の機能を制御する多機能性タンパク質群である。TGF-βファミリーのメンバーとして、TGF-β1、TGF-β2及びTGF-β3が挙げられる。これらのタンパク質はすべて同じ受容体のシグナル伝達系を通じて機能する。TGF-βタンパク質の同定方法は技術上周知である。
この点に関して、本明細書全体を通じて使用される用語“TGF-β”は、ヒトTGF-β1と少なくとも50%の配列同一性を有するタンパク質を意味するものとする。例えば、BLASTアルゴリズムによってTGF-βタンパク質を同定することができる。
TGF-β1のヒト型のアミノ酸配列は、ジェンバンク受入番号NP_000651で提供される。該mRNAのヌクレオチド配列は、ジェンバンク受入番号NM_000660で提供される。
TGF-β2のヒト型のアミノ酸配列は、ジェンバンク受入番号NP_003229で提供される。該mRNAのヌクレオチド配列は、ジェンバンク受入番号NM_003238で提供される。
TGF-β3のヒト型のアミノ酸配列は、ジェンバンク受入番号NP_003230で提供される。該mRNAのヌクレオチド配列は、ジェンバンク受入番号NM_003239で提供される。
創傷修復が改善される場合、本作用物質は、TGF-β1の発現及び/又は活性を減らし、或いはTGF-β3の発現及び/又は活性を増やしうる。
創傷修復が減じる場合、本作用物質は、TGF-β1の発現及び/又は活性を増やしうる。
本発明の種々の実施形態の作用物質は、創傷の修復に関与する細胞内のコラーゲンの発現、活性及び/又は分泌を調節することもできる。コラーゲンは皮膚、軟骨、骨、及び他の結合組織の主要成分である。I型コラーゲン、及びII型コラーゲンといったいくつかの型のコラーゲンがある。
特に、本作用物質はコラーゲンIの発現及び/又は分泌を調節することができる。
I型コラーゲンのヒト型、α1のアミノ酸配列は、ジェンバンク受入番号NP_000079で提供される。該mRNAのヌクレオチド配列はジェンバンク受入番号NM_000088で提供される。
創傷修復が改善される場合、本作用物質は、コラーゲンIの発現、活性及び/又は分泌を低減しうる。
創傷修復が減じる場合、本作用物質は、コラーゲンIの発現、活性及び/又は分泌を増やしうる。
本発明を用いて創傷修復を調節するための薬物を製造することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、創傷修復を調節するための薬物の製造における使用をも提供する。
作用物質の例は、本明細書で前述した通りである。
例えば、創傷修復を改善するための薬物の製造で本作用物質を使用できる。この場合、本作用物質はフライトレスIの発現及び/又は活性を低減しうる。このような作用物質の例はフライトレスIに対する中和抗体(又はその抗原結合部)、例えばフライトレスIタンパク質のロイシンリッチリピートドメインに対する抗体である。
技術上周知の適法で本作用物質を創傷に送達することができる。送達方法として、作用物質への創傷内の細胞の直接曝露、例えば局所組成物の使用、創傷及び/又は創傷周辺への作用物質の皮内注射、並びに対象への作用物質の投与が挙げられる。
対象への作用物質の投与の場合、創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性の調節を果たすために適した形態で作用物質を対象に投与しうる。
送達又は投与すべき作用物質の有効量は、一般的に薬理学的に有用又は治療的な効果を示すような量以内かつそのような形態である限り、特に制限されない。
この点に関して、例えば、創傷のタイプ、送達態様、対象の年齢と体重、送達又は投与頻度、及び他の活性物質の存在によって、作用物質の有効量を適宜選択できる。
一実施形態では、創傷の修復を調節するための医薬組成物として作用物質を送達又は投与する。
従って、別の形態では、本発明は、創傷の修復を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物を提供する。
例えば、フライトレスIに対する中和抗体を、創傷に局所投与するための局所組成物に製剤化し、或いは創傷の近傍又は周囲の1つ以上の領域への注射用組成物に前記中和抗体を製剤化することができる。
従って、別の実施形態では、本発明は、局所創傷治癒用組成物であって、創傷修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減じる治療的に有効量の作用物質を含む組成物を提供する。
一実施形態では、局所創傷治癒用組成物は、治療的に有効量の、フライトレスIに対する中和抗体を含む組成物である。抗体を含む局所組成物は一般的に米国特許第5,702,946号に記載されている通りである。
本発明を用いて瘢痕形成を調節することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、対象の創傷内の瘢痕形成を調節する方法であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を対象の創傷に送達する工程を含む方法を提供する。
この点に関して、創傷治癒の速度が増す場合、瘢痕形成の随伴増加があることが多い。従って、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程を用いて瘢痕形成を調節することができる。
瘢痕形成の程度の評価方法は技術上周知である。
好適な作用物質の例は、本明細書で前述した通りである。
上述したように、一実施形態では、作用物質を創傷及び/又は創傷近傍の領域に投与することによって創傷に作用物質を送達することができる。例えば、創傷に投与するための局所組成物に作用物質を製剤化し、及び/又は創傷の近傍及び/又は周囲の領域への注射用組成物に作用物質を製剤化することができる。
一実施形態では、瘢痕形成が減少する。この場合、作用物質は、創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を増やしうる。
本発明は、瘢痕形成を調節するための薬物の製造で使用することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、瘢痕形成を調節するための薬物の製造における使用を提供する。
一実施形態では、本薬物を用いて瘢痕形成を減らす。この場合、作用物質は、創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を増やしうる。
別の実施形態では、瘢痕形成を調節するための医薬組成物に作用物質を調製することができる。
従って、別の実施形態では、本発明は、瘢痕形成を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物を提供する。
一実施形態では、本組成物は局所組成物である。
本発明を用いて、対象の望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態を予防及び/又は治療することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、対象の望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態の予防及び/又は治療方法であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する治療的に有効量の作用物質を前記対象に投与する工程を含む方法を提供する。
この点に関して、本作用物質は、線維形成と関係がある細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節することが分かるだろう。
異常又は望ましくない線維形成と関係がある疾患、状況又は状態の例として、アテローム性動脈硬化症;肺、肝臓、腎臓及び循環器系の線維性疾患;過剰な創傷治癒;及び癌が挙げられる。従って、本発明をを用いてこのような疾患、状況又は状態を予防及び/又は治療することができる。
一実施形態では、本作用物質はフライトレスIの発現及び/又は活性を増やす。このような作用物質の例は、本明細書で前述した通りである。
望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態の予防及び/又は治療用薬物の製造で本発明を使用することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態の予防及び/又は治療用薬物の製造における使用を提供する。
望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態を予防及び/又は治療するために使用する医薬組成物に本作用物質を調製することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態を予防及び/又は治療するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物を提供する。
本発明を用いて、TGF-β及び/又はコラーゲンの発現、分泌及び/又は活性の1つ以上を調節することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、TGF-β及び/又はコラーゲンの発現、分泌及び/又は活性の1つ以上を調節する方法であって、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、前記細胞は、創傷修復及び/又は瘢痕形成に関与する細胞、例えば線維芽細胞又はケラチノサイトである。
一実施形態では、前記細胞はヒト細胞又は動物細胞、例えばヒト又は動物内にin vivo存在する細胞である。
例えば、前記細胞は、対象の創傷修復に関与する細胞、対象の瘢痕形成に関与する細胞、又は対象の線維形成と関係がある細胞でよい。
一実施形態では、本方法を用いて対象の線維形成の程度又は速度を減らす。
一実施形態では、TGF-β1の発現及び/又は活性を調節する。
この場合、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減らす工程は、細胞内のTGF-β1の発現及び/又は活性の減少、及び/又は細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌の減少をもたらす。この条件下で対象の創傷の修復が改善される。
別の実施形態では、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を増やす工程は、細胞内のTGF-β1の発現及び/又は活性の増加、及び/又は細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌の増加をもたらす。この条件下で対象の瘢痕形成の程度、又は線維形成の程度若しくは速度が減少する。
別の実施形態では、TGF-β3の発現及び/又は活性を調節する。
この場合、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減らす工程は、細胞内のTGF-β3の発現及び/又は活性の増加、及び/又は細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌の減少をもたらす。この条件下で対象の創傷の修復が改善される。
一実施形態では、I型コラーゲンの発現及び/又は分泌を調節する。
TGF-β及び/又はコラーゲンの発現及び/又は活性を調節するための薬物を製造するため本発明を使用することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、TGF-β及び/又はコラーゲンの発現及び/又は活性を調節するための薬物の製造における使用を提供する。
TGF-β及び/又はコラーゲンの発現及び/又は活性を調節するために使用する医薬組成物でも本発明を使用することができる。
従って、別の実施形態では、TGF-β及び/又はコラーゲンの発現及び/又は活性を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物を提供する。
本発明を用いて、創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節する方法であって、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程を含む方法を提供する。
細胞の移動及び/又は増殖の評価方法は技術上周知である。
一実施形態では、前記細胞は線維芽細胞、ケラチノサイト又は炎症細胞である。
一実施形態では、前記細胞はヒト細胞又は動物細胞、例えばヒト又は動物内にin vivo存在する細胞である。
例えば、前記細胞は、対象の創傷修復に関与する細胞、対象の瘢痕形成に関与する細胞、又は対象の線維形成と関係がある細胞でよい。
一実施形態では、フライトレスIの発現及び/又は活性の減少は、細胞の移動及び/又は増殖を増やす。
別の実施形態では、フライトレスIの発現及び/又は活性の増加は、細胞の移動及び/又は増殖を減らす。
一実施形態では、前記細胞を、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質に送達するか又はさらすことによって、フライトレスIの発現及び/又は活性の調節を達成する。例えば、細胞を作用物質にさらすことによって、或いは対象の場合、対象に作用物質を投与することによって、作用物質を細胞に送達することができる。
好適な作用物質の例は、本明細書で前述した通りである。
一実施形態では、作用物質は細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減じる。このような作用物質の例は、フライトレスIに対する中和抗体のような中和抗体又はその抗原結合部である。抗体の例は、本明細書で前述した通りである。
創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するための薬物の製造のため本発明を使用することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するための薬物の製造における使用を提供する。
創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するための医薬組成物の製造のため本発明を使用することもできる。
従って、別の実施形態では、本発明は、創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含む組成物を提供する。
本発明の種々の実施形態における作用物質の送達又は投与は、フライトレスIの発現及び/又は活性を直接又は間接的に調節するという所望効果を生じさせるために適したいずれの時間内でもよい。
この点に関して、創傷修復又は瘢痕形成を調節する場合、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性の調節は、傷を負う時、創傷の治癒中、及び傷を負う前の1つ以上のいずれの時に起こってもよい。
線維形成を調節する場合、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性の調節は、線維形成が起こる前と線維形成中のどちらか又は両方で起こりうる。
適法で本発明の種々の実施形態の作用物質を送達、曝露又は投与することができる。
対象に投与する場合、経口、非経口、局所、注射で、全身又は他のいずれの適切な手段によっても作用物質を投与しうるが、作用物質の通過時間を考慮しなければならない。
創傷の場合、例えば、該創傷に直接及び/又は該創傷近傍及び/又は周囲に作用物質を投与することができる。
線維形成の場合、線維形成部位に直接作用物質を送達し、及び/又は線維形成部位に到達するように作用物質を対象に投与することができる。例えば、作用物質を全身投与してよい。
本発明の種々の実施形態における作用物質の送達又は投与は、本作用物質単独の送達若しくは投与、又は適切な医薬組成物に製剤化した作用物質の送達若しくは投与でよい。
この点に関して、医薬組成物は1つ以上の医薬的に許容しうる添加剤の使用をも含みうる。このような添加剤として、投与すべき作用物質の特定の物理的及び化学的性質を考慮し、医薬的に許容しうる塩、アミノ酸、ポリペプチド、ポリマー、溶媒、緩衝液、賦形剤及び充填剤が挙げらる。
このような医薬組成物の製法は技術上周知であり、例えばRemington's Pharmaceutical Sciences, 18th ed., 1990, Mack Publishing Co., Easton, Pa. and U.S. Pharmacopeia: National Formulary, 1984, Mack Publishing Company, Easton, Paに記載されている通りである。
例えば、水溶液、油性製剤、脂肪性エマルジョン、ゲル等の形態の種々の医薬組成物に作用物質を調製することができ、この製剤を、筋肉内若しくは皮下注射として、又は器官への注射として、又は包埋製剤として、又は鼻腔、直腸、子宮、膣、肺などを通る経粘膜製剤として投与することができる。経口製剤の形態(例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤若しくは散剤等の固形製剤;シロップ、エマルジョン又は懸濁液等の液状製剤)で組成物を投与することができる。本作用物質を含有する組成物は、保存剤、安定剤、分散剤、pH調整剤又は等張剤を含んでもよい。適切な保存剤の例は、グリレリン、プロピレングリコール、フェノール又はベンジルアルコールである。適切な安定剤の例は、デキストラン、ゼラチン、a-トコフェロールアセテート又はα-チオグリセリンである。適切な分散剤の例として、ポリオキシエチレン(20)、モノオレイン酸ソルビタン(Tween 80)、セスキオレイン酸ソルビタン(Span 30)、ポリオキシエチレン(160) ポリオキシプロピレン(30)グリコール(Pluronic F68)又はポリオキシエチレン硬化ヒマシ油60が挙げられる。適切なpH調整剤の例として、塩酸、水酸化ナトリウム等が挙げられる。適切な等張剤の例は、グルコース、D-ソルビトール又はD-マンニトールである。
本発明の種々の実施形態における作用物質の投与は、投与すべき作用物質の物理的及び化学的性質を考慮して、医薬的に許容しうる担体、希釈剤、賦形剤、懸濁剤、潤沢剤、アジュバント、ビヒクル、送達システム、乳化剤、崩壊剤、吸収促進剤、保存剤、界面活性剤、着色剤、調味料又は甘味料を含有する組成物の形態でもよい。
これらの目的のため、経口、非経口、吸入スプレーで、吸着、吸収、局所、直腸、経鼻、頬側、膣、脳室内、通常の無毒の医薬的に許容しうる担体を含有する剤形の移植レザバー経由、又はいずれの他の便利な剤形によっても本組成物を投与することができる。本明細書で使用する用語“非経口”には、皮下、静脈内、筋肉内、腹腔内、くも膜下腔内、脳室内、胸骨内、及び頭蓋内注射又は注入技術が含まれる。
非経口投与される場合、組成物は、通常、好ましくはレシピエントの血液と等張性で、医薬的に許容しうる担体を有する、単位用量の無菌注射用形態(溶液、懸濁液又はエマルジョン)であろう。このような無菌注射用形態の例は、無菌の注射用水性又は油性懸濁液である。この懸濁液は、適切な分散剤又は湿潤剤及び懸濁剤を用いて技術上周知の方法に従って調製される。無菌注射用形態は、例えば、1,3-ブタンジオール中の溶液のような、無毒の非経口的に許容しうる希釈剤又は溶媒中の無菌注射用溶液又は懸濁液でもよい。利用しうる許容性ビヒクル及び溶媒には、水、食塩水、リンゲル液、デキストロース溶液、等張塩化ナトリウム溶液、及びハンクス液がある。さらに、無菌の固定油を溶媒又は懸濁媒体として使用すると便利である。この目的のため、合成のモノ-若しくはジ-グリセリド、コーン油、綿実油、ピーナツ油、及びゴマ油といったいずれのブランドの固定油も利用することができる。脂肪酸、例えばオレイン酸エチル、ミリスチン酸イソプロピル、及びオレイン酸とそのグリセリド誘導体、例えばオリーブ油及びヒマシ油、特にそのポリオキシエチル化変種が注射用製剤で有用である。これらの油性溶液又は懸濁液は、長鎖アルコール希釈剤又は分散剤を含んでもよい。
担体は、微量の添加剤、例えば溶解度、等張性、及び化学的安定性を向上させる物質、例えば抗酸化剤、緩衝剤及び保存剤を含有しうる。
経口投与される場合、作用物質は、技術上周知の通常の装置及び技術を用いて、通常、単位剤形、例えば錠剤、カシェ剤、散剤、顆粒剤、ビード剤、咀しゃくロゼンジ剤、カプセル剤、液剤、水性懸濁液若しくは溶液、又は同様の剤形に製剤化される。このような製剤は、典型的に固体、半固体、又は液体の担体を含む。典型的な担体として、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、鉱油、ココアバター、カカオ脂、アルギナート、トラガカントゴム、ゼラチン、シロップ、メチルセルロース、ポリオキシエチレンモノラウリン酸ソルビタン、ヒドロキシ安息香酸メチル、ヒドロキシ安息香酸プロピル、タルク、ステアリン酸マグネシウム等が挙げられる。
任意に1つ以上の付属成分と共に作用物質を圧縮又は成型して錠剤を製造することができる。適切な機械で任意に結合剤、潤沢剤、不活性希釈剤、表面活性剤、又は分散剤と共に混合した、粉末又は顆粒などの自由流動形態の活性成分を圧縮して、圧縮錠剤を調製することができる。適切な機械で、粉末化活性成分と、不活性な液体希釈剤で湿らせた適切な担体との混合物を成型することによって成型錠剤を製造することができる。
本発明の種々の実施形態の作用物質の投与は、徐放技術を利用することもできる。持続性放出薬として作用物質を投与することもできる。持続性放出効果をさらに高めるため、植物油(例えばダイズ油、ゴマ油、ツバキ油、ヒマシ油、ピーナツ油、ナタネ油);中脂肪酸トリグリセリド;脂肪酸エステル、例えばオレイン酸エチル;ポリシロキサン誘導体;或いは、水溶性高分子量化合物、例えばヒアルロン酸若しくはその塩(重量平均分子量:約80,000〜2,000,000)、カルボキシメチルセルロースナトリウム(重量平均分子量:約20,000〜400,000)、ヒドロキシプロピルセルロース(2%水溶液の粘度:3〜4,000cps)、アテロコラーゲン(atherocollagen)(重量平均分子量:約300,000)、ポリエチレングリコール(重量平均分子量:約400〜20,000)、ポリエチレンオキシド(重量平均分子量:約100,000〜9,000,000)、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(1%水溶液の粘度:4〜100,000cSt)、メチルセルロース(2%水溶液の粘度:15〜8,000cSt)、ポリビニルアルコール(粘度:2〜100cSt)、ポリビニルピロリドン(重量平均分子量:25,000〜1,200,000)等の添加成分と共に作用物質を製剤化することができる。
或いは、数日にわたって徐放させるため疎水性ポリマーマトリックスに作用物質を組み入れてよい。そして、頻回の再投与の必要なしで長期間にわたって有効濃度の作用物質を供給するのに適した固形インプラント、又は外部適用型パッチに作用物質を成型することができる。このような徐放フィルムは技術上周知である。この目的で一般的に採用される使用可能なポリマーの他の例として、外部又は内部利用しうる難分解性エチレン-酢酸ビニルコポリマー、分解性乳酸-グリコール酸コポリマーが挙げられる。ポリ(ヒドロキシエチルメタクリレート)又はポリ(ビニルアルコール)等の特定ヒドロゲルも利用できるが、上述したもののような他のポリマー放出システムより短い放出サイクルである。
担体は、適切な時間の放出特性及び放出キネティクスを有する固形生分解性ポリマー又は生分解性ポリマーの混合物でもよい。そして、頻回の再投与の必要なしで長期間にわたって有効濃度の作用物質を供給するのに適した固形インプラントに作用物質を成型することができる。当業者に周知のいずれの適切な方法によっても、生分解性ポリマー又はポリマー混合物に作用物質を組み入れて生分解性ポリマーとの均質なマトリックスを形成することができ、或いは何らかの手段で該ポリマー内に作用物質を包み込むか、又は固形インプラントに成型することができる。
局所投与のため、本発明の組成物は、溶液、スプレー、ローション、クリーム(例えば、非イオン性クリーム)、ゲル、ペースト又は軟膏の形態でよい。或いは、本組成物をリポソーム、ナノソーム、又は栄養拡散(nutri-diffuser)ビヒクルを介して組成物を送達しうる。
クリームは、水と油を含む製剤で、乳化剤で安定化される。親油性クリームは油中水エマルジョンと呼ばれ、親水性クリームは水中油エマルジョンと呼ばれる。油中水エマルジョン用のクリーム基剤は一般的に吸収基剤、例えばワセリン、セレシン又はラノリンである。水中油エマルジョン用の基剤は、脂肪酸若しくは脂肪アルコールの、乳化剤としてセッケン、硫酸アルキル又はアルキルポリグリコールエーテルとのモノ-、ジ-及びトリグリセリドである。
ローションは、皮膚に外部適用するための不透明な水様の非油脂性エマルジョン液剤形であり、一般に水ベースのビヒクルと50%超えの揮発性物質を含み、十分低粘度で、注いで送達することができる。ローションは通常親水性で、LOD(乾燥時損失(loss on drying))で測定した場合、50%を超える揮発性物質を含む。ローションは、皮膚上にこすりつけられると、冷感を伴って急速に蒸発する傾向がある。
ペーストは、皮膚に外部適用するための不透明又は透明な粘性の油脂性エマルジョン又は懸濁半固体剤形であり、一般的に50%を超える炭化水素ベース又はポリエチレングリコールベースのビヒクルと20%未満の揮発性物質を含む。ペーストは脂質又は水性ビヒクルに分散した高比率(20〜50%)の固体を含む。軟膏は皮膚上にこすりつけられたとき、蒸発せず、又は吸収されない傾向がある。
軟膏は、皮膚に外部適用するための不透明又は透明な粘性の油脂性エマルジョン又は懸濁半固体剤形であり、一般的に50%を超える炭化水素ベース又はポリエチレングリコールベースのビヒクルと20%未満の揮発性物質を含む。軟膏は通常親油性であり、ビヒクルとして50%を超える炭化水素又はポリエチレングリコールと、LODで測定した場合、20%未満の揮発性物質を含む。軟膏は皮膚上にこすりつけられたとき、蒸発せず、又は吸収されない傾向がある。
ゲルは一般的に皮膚に外部適用するための半透明の非油脂性エマルジョン又は懸濁液半固体剤形であり、三次元の架橋マトリックスを与えるために十分な量のゲル化剤を含む。ゲルは、通常親水性で、かつ十分な量のゲル化剤、例えばデンプン、セルロース誘導体、カルボマー、マグネシウム-アルミニウムシリケート、キサンタンガム、コロイドシリカ、アルミニウム又は亜鉛セッケンを含む。
局所投与用の組成物は、さらに乾燥剤、消泡剤;緩衝液、中和剤、pH調整剤;着色剤及び脱色剤;軟化薬;乳化剤、エマルジョン安定剤及び粘性ビルダー;湿潤剤;匂い物質;保存剤、抗酸化剤、及び化学的安定剤;溶媒:及び増粘剤、硬化剤、及び懸濁剤、並びに水又は溶媒のバランスを含有しうる。
フライトレスIの発現及び/又は活性を調節するための作用物質の他の送達方法が考えられることを理解すべきである。例えば、適切な標的細胞内での作用物質の発現を許容する核酸又はベクター経由で作用物質を送達しうる。例えば、標的細胞内で作用物質を発現させるウイルスベクター経由で作用物質を送達しうる。
この点に関して、本発明は、特に遺伝子療法を想定し、特に本明細書で前述したような疾患、状況及び状態の欠陥を矯正するための遺伝子療法を想定する。遺伝子療法は技術上周知である。
ウイルス及び遺伝子療法技術は、一般的に“Viral Vectors for Gene Therapy: Methods and Protocols" Edited by Jules G Constant, Curtis A Machida (2003) Humana Press Inc., "Gene Delivery to Mammalian Cells: Viral Gene Transfer Techniques" Edited by William C Heiser (2004) Humana Press Inc., "Viruses in Human Gene Therapy" Edited by J.H. Vos (1995) Carolina Academic Press, and "Viral Therapy Of Human Cancers" Edited by J.G. Sinkovics and J.C. Horwath (2005) Marcel Dekkerに記載されている通りである。
本明細書で上述したように、本発明の種々の関連形態の細胞はin vitro細胞、又は生体系内の細胞でよい。
この点に関して、本発明は、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体(前記皮膚細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性が変化している)をも提供する。
従って、別の実施形態では、本発明は、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体であって、前記細胞が、変化した発現及び/又は活性のフライトレスIを有する、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体を提供する。
単離された皮膚細胞(前記皮膚細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性が変化している)は、治療薬又は美容物質としての用途を有しうる。一実施形態では、細胞は線維芽細胞又はケラチノサイト細胞である。
細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を変える方法は、本明細書で前述した通りである。
例えば、フライトレスIの発現及び/又は活性を変えるため、技術上周知の適法で、外因性形態のフライトレスIタンパク質又は該タンパク質の制御因子をクローン化し、細胞内に導入することができる。例えば、技術上周知の適法で、核酸を単離し、問題の細胞型で使うために適した発現ベクターにクローン化することができる。核酸配列の単離及びその適切な発現ベクターへのクローン化は、基本的にSambrook, J, Fritsch, E.F. and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd. ed. Cold Spring Harbor Laboratroy Press, New York. (1989)に記載されている通りである。そして、組換え分子を細胞に導入して、該クローン化核酸を発現させうる。
外因性核酸をベクターへのクローン化(又はベクターからの発現)経由で細胞内に導入する場合、適切なベクターとしてプラスミドベクター及びウイルスベクターが挙げられる。
ベクターは、さらに、挿入された核酸の発現のための制御要素、例えば、個々の細胞型の挿入された核酸の発現を作動させるための誘導性又は構成性プロモーター、挿入された核酸から転写されるmRNAの効率的なポリアデニル化のためのポリAシグナル、又は翻訳、転写又はmRNAの安定性を制御するための他の制御要素をも含みうる。これらはすべて技術上周知である。
外因性核酸を細胞内に導入して標的遺伝子を発現させる場合、技術上周知の多くの方法で発現を達成することができる。この方法には、問題の遺伝子をコードする組換え核酸による、特定の細胞型内で活性なプロモーターの制御下における細胞の一過性又は安定性トランスフェクションが含まれる。
外因性核酸を細胞内に導入して標的遺伝子の発現を減らす場合、技術上周知の多くの方法で発現の減少を達成することができる。この方法には、内因性mRNAに結合して翻訳を妨害するアンチセンス核酸の使用、内因性mRNAの転写を特異的に抑制できる分子、例えば特異的DNA若しくはRNA結合タンパク質、三重らせん構造を形成できる核酸、低分子干渉RNA(siRNA)、ミクロRNA、又は特異的mRNAを切断できるリボザイムの使用が含まれる。
一般的に、標的遺伝子の発現を減らすための外因性核酸の導入は、該核酸の細胞内における構成性発現に関係するだろう。しかし、誘導性プロモーターの使用によって該核酸を発現させることが適当な環境もありうる。
核酸を細胞内に導入する方法、及びタンパク質を発現させる方法は技術上周知である。例えば、リン酸カルシウム、ウイルス感染、エレクトロポレーション、リポフェクション、及び粒子衝撃を用いる形質転換といった種々の方法で細胞内に核酸を導入することができる。細胞内にDNAを導入する方法は、基本的にSambrook, J, Fritsch, E.F. and Maniatis, T. Molecular Cloning: A Laboratory Manual 2nd. ed. Cold Spring Harbor Laboratory Press, New York. (1989)に記載されている通りである。
本明細書で前述したように、例えば、細胞内への外因性核酸の導入によって、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を変えることができる。或いは、細胞内の内因性核酸の操作、例えばフライトレスI遺伝子自体又はフライトレスI発現の制御因子の変更によって、フライトレスIの発現及び/又は活性を変えることができる。
従って、別の形態では、本発明は、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体であって、前記細胞が、該細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する核酸を含む、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体をも提供する。
細胞内に核酸を導入する方法は技術上周知であり、本明細書で前述した通りである。
一実施形態では、フライトレスIの発現及び/又は活性の変化は、細胞内への外因性核酸の導入のためである。別の実施形態では、フライトレスIの発現及び/又は活性の変化は、細胞内の内因性核酸の変化のためである。
一実施形態では、核酸をゲノム、例えば適切なトランスジーン中に組み込む。しかし、細胞は、例えば、一時的にトランスフェクトされた細胞でもよいことが分かるだろう。
一実施形態では、本発明の種々の形態の単離された細胞は、変化した発現及び/又は活性のTGF-β及び/又は変化した発現及び/又は分泌のコラーゲンをも有する。
本発明の細胞は動物全体の一部でもよい。従って、別の形態では、本発明は、フライトレスIの発現及び/又は活性が変化している1つ以上の皮膚細胞を含む動物を提供する。
別の形態では、本発明は、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する核酸を含む1つ以上の皮膚細胞を有する動物を提供する。
このような動物の例は、キメラ動物又はトランスジェニック動物である。該動物の生産方法は技術上周知である。
本発明の細胞は、例えば、創傷修復、瘢痕形成の減少において、並びに対象の望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態の予防及び/又は治療において用途がありうる。例えば、本細胞を所望部位に送達して、治療的又は有益な効果を与えることができる。この点に関して、適切な組成物で本細胞を前記部位に送達して、その治療的又は有益な効果を発揮することができる。細胞を維持かつ送達するための組成物は技術上周知である。
本発明は、創傷修復、瘢痕形成並びに創傷修復に関与する細胞の移動及び/又は増殖の1つ以上を調節しうる新規作用物質のスクリーニング方法をも提供する。
従って、別の実施形態では、本発明は、創傷修復を調節する作用物質の同定方法であって、フライトレスIの発現、分泌及び活性の1つ以上を調節する作用物質を同定する工程を含む方法を提供する。
一実施形態では、作用物質の同定は、創傷修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現、分泌及び活性の1つ以上を調節する作用物質を同定することを含む。創傷修復に関与する細胞の例は、本明細書で前述した通りである。
一実施形態では、本スクリーニング方法を用いて、創傷修復を促進する作用物質を同定することができる。例えば、本作用物質はフライトレスIの活性を減じうる。
別の実施形態では、本スクリーニング方法を用いて、瘢痕形成を減じる作用物質を同定することができる。例えば、本作用物質はフライトレスIの活性を増やしうる。
別の実施形態では、本スクリーニング方法を用いて、創傷修復に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節する作用物質を同定することができる。
本発明は、本スクリーニング方法によって同定された作用物質、並びに例えば創傷修復、瘢痕形成及び線維形成を調節するための前記作用物質の使用をも提供する。
最後に、組換えDNA技術、オリゴヌクレオチド合成、並びに組織培養及びトランスフェクション(例えば、エレクトロポレーション、リポフェクション)のため標準的方法を使用しうる。製造業者の説明書に従い、或いは技術上一般的に実行される通り又は本明細書の記載通りに酵素反応及び精製技法を行うことができる。通常、技術上周知の常法に従い、並びに本明細書全体を通じて引用及び議論した種々の一般的及びより具体的な参考文献に記載されている通りに、前記技術及び手順を遂行しうる。例えば、Sambrook et al. Molecular Cloning: A Laboratory Manual (2d ed., Cold Spring Harbor Laboratory Press, Cold Spring Harbor, N. Y. (1989)及びAusubel, F. M. et al. (1989) Current Protocols in Molecular Biology, John Wiley & Sons, New York, N. Y.を参照されたい。
〔特定の実施形態の説明〕
以下、本発明の上記一般原則を具体化する実験について言及する。しかし、以下の説明は、上記説明の普遍性を制限しないことを理解すべきである。
〔実施例1〕
(抗体)
マウスモノクロナール抗-FliI抗体(sc-21716)及びウサギ抗-TGF-β1ポリクロナール抗体(sc-146)をSanta Cruz Biotechnology(CA, USA)から得、ヤギTGF-β3をR&D Systems(MN, USA)から得た。ウサギポリクロナール抗-コラーゲンIをMonosan(Uden,The Netherlands)から得た。FITC-抱合ファロイジンをSigma-Aldrich(Sydney, Australia)から購入した。FliIタンパク質のロイシンリッチリピートドメインに対して産生されたアフィニティー精製されたウサギ抗-FliL抗体は以前に開示されている(Davy, D. A. et al. 2001. 運動性スイス3T3線維芽細胞内でフライトレスIタンパク質はアクチンベース及び微小管ベース構造と共存する:PI 3キナーゼ及びRas関連小型GTPアーゼの関与の証拠(The flightless I protein colocalizes with actin- and microtubule-based structures in motile Swiss 3T3 fibroblasts: evidence for the involvement of PI 3-kinase and Ras-related small GTPases.) J Cell Sci 114:549-562)。
〔実施例2〕
(FliI欠失+/-及びトランスジェニックマウス)
すべての研究をBALB/cバックグラウンドのあるマウスで行った。FliI欠失ヘテロ接合性ヌルマウス(FliI+/-)と、コスミドトランスジーン上に完全なヒトFliI遺伝子を有するマウスは以前に記載されている通りだった(Campbell, H.D. et al. 2002. Fliih, 早期の哺乳動物胚発生に必須のゲルソリン関連細胞骨格制御因子(a gelsolin-related cytoskeletal regulator essential for early mammalian embryonic development.) Mol Cell Biol 22:3518-3526)。
FliI+/+をコスミドトランスジーン+/-と交雑させてヘテロ接合性トランスジェニックマウス(Tg1)を作製した。このトランスジェニックマウスを交雑受精させてトランスジーンについてホモ接合性の動物を得た(Tg2;FliI+/+,コスミドトランスジーン+/+)。コスミドc110H8(Campbell, H.D. et al. 2002. Fliih, a gelsolin-related cytoskeletal regulator essential for early mammalian embryonic development. Mol Cell Biol 22:3518-3526)から17.8kbのBspHIフラグメントとしてFliI遺伝子を切除することによって、独立のトランスジェニック系統(Tg3)を作製した。このフラグメントは、次の同定遺伝子の5'末端に伸長する約4kbの5'-フランキング配列を含み、かつその3'末端は、LLGL遺伝子の重なり3'末端の小部分を含む。このフラグメントをLITMUS-29(New England Biolabs, Ipswich, USA)のNcoI部位にクローン化し、以前に記載されている通りに(Campbell, H.D. et al. 2002. Fliih, a gelsolin-related cytoskeletal regulator essential for early mammalian embryonic development. Mol Cell Biol 22:3518-3526)、BALB/c ES細胞を用いてトランスジェニックマウスの調製用SpeI-NsiIフラグメントとして切除した(FliI+/+,17.8kbのトランスジーン+/-)。ES細胞をpMC1NeoPolyAで同時トランスフェクトしてG418との同時選択を可能にした。以前に記載されている通りに、ES細胞をスクリーニングし、キメラを調製かつ繁殖させてトランスジェニックマウスの遺伝子型を同定した(Campbell, H.D. et al. 2002. Fliih, a gelsolin-related cytoskeletal regulator essential for early mammalian embryonic development. Mol Cell Biol 22:3518-3526)。
〔実施例3〕
(マウス外科的手技)
FliIトランスジェニックマウス(Tg1〜3;メス16〜20週齢)及び野生型の性と週齢が一致する同腹の子を以前記載された同じプロトコルで傷つけた(Cowin, AJ. et al. 2006. Wound Healing Is Defective in Mice Lacking Tetraspanin CDl 51. J Invest Dermatol)。要するに、2つの等距離の全厚1cmの切り込みを皮膚を貫いて作製し、二次的意図による治癒にゆだねた。傷つけ後、0、3、7、14及び21日で創傷のデジタル写真を撮った。創傷の隣に定規を並べて創傷面積と創傷裂け目(1cmの切り込みの中点)を直接測定できるようにした。3、7、14及び21日に創傷を収集して二等分した。一方の半分を10%の緩衝ホルマリンで固定し、創傷の中点を切断して群間で比較できるように加工した。他方の半分を顕微解剖して混入しているいずれの正常な無傷の皮膚も除去し、RNA及びタンパク質抽出のため液体窒素でスナップ・フリーズを行った(snap frozen)。報告された研究(Cowin, AJ. et al. 2001. Hepatocyte growth factor and macrophage- stimulating protein are upregulated during excisional wound repair in rats. Cell Tissue Res 306:239-250)と同様、FliI欠失+/-マウス(メス16〜20週齢)及び野生型の性と週齢が一致する同腹の子を傷つけた。要するに、頭蓋骨の基底(脊柱の1cmのどちらかの側)から3.5〜4.5cm伸長する、動物の側面上に微細なハサミを用いて2つの標準化された全厚1cm2の切り込みを作製した。創傷を収集し、上述したように加工した。野生型の性と週齢が一致するマウスのサブセットに、100μlのFliL又はウサギIgGの単回皮内注射を、上述したように作製された切開創傷の創傷縁内に注入し、7日間放置後、創傷を収集かつ加工した。
〔実施例4〕
(組織学、免疫組織化学及び画像解析)
組織学的断面(4μm)をパラフィン-包埋型固定化組織から切断した。断面をヘマトキシリンとエオシンで染色するか又は製造業者のプロトコル(DAKO Corporation, Botany, Australia)に従って抗原賦活(antigen retrieval)後に免疫組織化学に供した。3%の正常ウマ血清で遮断後、FliI(1:400)、TGF-β1(1:200)、コラーゲンI(1:200)又はゲルソリン(1:100)に対する一次抗体を適用した。種特異性のビオチン化二次抗体(1:200)を用いてCY3-抱合ストレプトアビジン(1:200)で検出した(Sigma- Aldrich, Sydney, Australia)。AnalySISソフトウェアパッケージ(Soft Imaging System GmbH, Munster Germany)を用いて積分蛍光強度を決定した。増殖性細胞核抗原(PCNA)免疫染色法を用いて細胞の増殖を決定した(Geier, M.S. et al. 2005. Development and resolution of experimental colitis in mice with targeted deletion of dipeptidyl peptidase IV. J Cell Physiol 204:687-692)。PCNAポジティブ細胞数を数えて創傷内の総細胞のパーセンテージとして表した。ネガティブコントロールは、一次抗体を正常ウサギIgG、正常マウス又は正常ヤギIgGと交換することを含んだ。一次又は二次抗体を省いて非特異性結合を決定した。すべてのコントロール断面は無視できる免疫蛍光を有した。
〔実施例5〕
(組織学的画像解析)
ImageProPlusプログラム(MediaCybernetics Inc., Maryland, USA)を用いて画像解析を行った。創傷の縁間の表皮又は血塊の下に手で線を引くことによって創傷サイズを決定した。創傷の、表皮で覆われた部分を創傷全体のパーセンテージとして測定することによって創傷の再表皮化した割合を決定した。真皮の創傷縁間を測定することによって真皮の裂け目を決定した。2人の独立した査定者によって組織学的スライドガラスの盲検測定を行った。
〔実施例6〕
(in vitroアッセイ)
初生ヒト包皮線維芽細胞(HFF)とケラチノサイト(HaCaT)をin vitroアッセイで用いた。野生型及びFliI過剰発現(Tg1)マウスの皮膚からも初生線維芽細胞を培養した。要するに、野生型及びTg1マウスの皮膚から取ったパンチバイオプシーをPBSで洗浄し、培養皿の基底に付着させてから、10% FBS、ペニシリン及びストレプトマイシン(50U ml-1)で補充したDMEMで数日間培養した。バイオプシーの除去後、付着した細胞をトリプシン処理して培養内で維持した。
〔実施例7〕
(細胞増殖アッセイ)
HFFとHaCaTをコンフルエントになるまで37℃、5%のCO2のインキュベーター内で培養後、4×104個の細胞/ウェルの密度で96-ウェルプレートに接種した。24時間後、培地を血清フリーDMEMと交換し、4時間インキュベートして細胞周期に同期化した。製造業者のプロトコロル(Roche Applied Science, Munich, Germany)に従って代謝性基質WST-1を用いて細胞増殖アッセイを行った。要するに、10μlのWST-1試薬を細胞に添加して37℃で30分間放置した。プレートリーダーを用いて450nmと600nmの二重吸光度でホルマザン生成物を定量化した。
〔実施例8〕
(引っ掻き傷アッセイ)
HFFとHaCaTを6-ウェルプレート内にて10% FBSとDMEM内でコンフルエントに成長させてから、P200ピペットの先端で引っ掻いて約2mm×1cmの創傷を生成した。0、3、6、12、24、27、30及び48時間で細胞を撮影した。Image Pro-Plusプログラム(MediaCybernetics Inc., Silver Springs, Maryland, USA)を用いて創傷縁を測定し、最初の創傷面積の百分率として閉鎖率を定量化した。
〔実施例9〕
(免疫細胞化学)
10% FBSを含有するDMEM内カバーガラス上でHFF及びHaCaTをコンフルエントに成長させた。細胞を5分間アセトンで固定し、1% BSA/PBSで15分間遮断した。FliI(1:400;室温で1時間のインキュベーション)及びファロイジン-FITC(1:250の100μg/ml;室温で30分のインキュベーション)を細胞に加えた。ビオチン処理した抗-マウス(1:200,Sigma-Aldrich, Sydney, Australia)を1時間添加し、CY3-抱合ストレプトアビジン(1:200)で検出した。前述したように積分蛍光強度を決定した。
〔実施例10〕
(FliIのsiRNAノックダウン)
HFFとHaCaTを6-ウェルプレートに接種し、トランスフェクション時の30〜50%コンフルエントまで培養した。Lipofectamine 2000(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)を用いてFliI siRNA(Lee, Y.H. et al. 2004. Developmentally essential protein flightless I is a nuclear receptor coactivator with actin binding activity. Mol Cell Biol 24:2103-2117)を細胞にトランスフェクトした。Opti-MEM I Reduced Serum Medium(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)中で250μlのFliI siRNA(HFFについて100nM、HaCaTについて60nMの最終濃度に最適化)を250μlのLipofectamine 2000と室温で20分インキュベートしてsiRNA:Lipofectamine複合体を形成した。500μlのsiRNA:Lipofectamine 2000複合体を各ウェルに添加し、混合して細胞を6時間インキュベート後、トランスフェクション培地を10% FBS増殖培地と交換した。遺伝子ノックダウン評価のため細胞を24〜48時間インキュベートした。
〔実施例11〕
(リアルタイムPCR)
製造業者のプロトコロルに従ってTRIzol試薬(Invitrogen, Carlsbad, CA, USA)とRNeasyスピンカラム(Qiagen, Hilder, Germany)を用いてHFFとHaCaTから全RNAを抽出した。DNA-フリー-キット(Ambion, Austin, Texas, USA)を用いて混入しているゲノムDNAを除去した。逆転写酵素を用いて1μgのRNAからcDNAを合成した。特異性プライマーと一緒にcDNAを、25μlのH2O中、最終濃度1×SYBR Green、1×Amplitaq PCR Buffer、3mM MgCl2、dNTPs(各200μM)、0.9μMのプライマー(フォワード及びリバース)、1.25単位のAmpliTaq Gold DNAポリメラーゼに設定した。プライマー配列は以下の通りだった:
FliIフォワード、5'-CCTCCTACAGCTAGCAGGTTATCAAC-3' (配列番号1);
リバース、5'-GCATGTGCTGGATATATACCTGGCAG-3' (配列番号2)。
シクロフィリンAフォワード、5'-GGTTGGATGGCAAGCATGTG-3' (配列番号3);
リバース、5'-TGCTGGTCTTGCCATTCCTG-3' (配列番号4)。
〔実施例12〕
(ウエスタンブロット)
皮膚の線維芽細胞から抽出した10μgのタンパク質を12.5% SDS-PAGEゲル上で電気泳動を行い、半乾移動でニトロセルロースに移した。膜を15%の脱脂粉乳で10分遮断し、FliI抗体(1:500)をPBS/3%SMP/0.3%Tween20中で1時間添加した。PBS/3%SMP/0.3%Tween20で2回洗浄後、抗-マウスHRP-抱合抗体(1:1000)をさらに1時間加えた。ストリンジェントな洗浄を行った後、ECL(Amersham Biosciences UK Limited, Buckinghamshire, UK)でHRPを検出し、X線フィルムにさらした。
皮膚の線維芽細胞をDMEM(10%FBS)でコンフルエントに増殖させ、引っ掻き傷をつけてさらに24時間インキュベートした。馴化培地を除去し、Centricon(登録商標)Centrifugal Filter Columns(Millipore Australia Pty Ltd, North Ryde NSW)を用いて濃縮し、Pierce BCAタンパク質アッセイ(Quantum Scientific, Paddington, Qld)を用いてタンパク質濃度を決定した。CompleteTM Miniプロテアーゼインヒビターカクテル錠剤(Roche Diagnostics Australia Pty. Ltd. Castle Hill NSW)/10ml)を含有するリーシス緩衝液(5OmM Tris pH 7.5、1mM EDTA、50mM NaCl、0.5% Triton-X-100)に細胞を溶解させ、前述したようにタンパク質レベルを決定した。等量のタンパク質を12.5% SDS-PAGEゲル上に装填して上述したようにFliIのウエスタンブロットに供した。
〔実施例13〕
(統計解析)
スチューデントのt-検定又はANOVAを用いて統計的差異を決定した。正規分布に従わないデータのため、Mann-Whitney U-検定を行った。0.05未満のP値を有意とみなした。
〔実施例14〕
(引っ掻き傷をつけると線維芽細胞及びケラチノサイト内のFliI発現が増す)
傷つけがヒト皮膚細胞内のFliI発現に及ぼす効果をin vitroで決定するため、皮膚の線維芽細胞及びケラチノサイトをコンフルエントに培養し、引っ掻き傷をつけ、その後FliI及びF-アクチンについて24時間の時間経過にわたって免疫染色した。FliIタンパク質を線維芽細胞全体で観察し、無傷の線維芽細胞内で核及び細胞質の両染色が観察された(図1a、b)。線維芽細胞の単層を傷つけると核のFliI染色の有意な増加をもたらし(図1lc、d)、傷つけ後6時間でピークとなったが(無傷コントロールに対してP=0.010)、24時間までに無傷のレベルに戻った(図1i)。コンフルエントなケラチノサイトを傷つけた場合、傷つけ後10時間でFliIの染色の強度が有意に増加したが(無傷コントロールに対してP=0.025)、FliIは細胞質内に留まった(図1e〜h、j)。
FliIのホモ接合性欠失は胚性致死なので、FliI遺伝子ノックアウトについてヘテロ接合性のマウス(FliI+/-)を用いて、創傷治癒に及ぼすFliI欠失の効果を決定した。ヘテロ接合性ヌルマウスは野生型の半分のレベルのFliIをもたらす(Campbell, H.D. et al. 2002. Fliih, a gelsolin-related cytoskeletal regulator essential for early mammalian embryonic development. Mol Cell Biol 22:3518-3526)。すべての実験でコントロールとして週齢が一致する野生型の同腹マウスを使用した。FliIの過剰発現が創傷治癒に及ぼす効果を決定するため、我々は、ヒトFliI遺伝子の余分なコピーを有するFliIトランスジェニックマウスを作製した。このマウスは、コントロールの同腹マウスと比較して目に見える差異を示さず、同じ平均寿命に達した。全3種のトランスジェニックマウス系統由来の皮膚の毛出現の通常及び組織学解析は皮膚の構築に何ら差異を示さなかった。これらのマウス系統における異なるレベルのFliIを確認するため、我々は無傷の皮膚からmRNAを抽出してリアルタイムqRT-PCRを行った(図2a)。FliI+/-皮膚でFliIレベルの有意な減少が観察されたが、FliI Tg1マウスの皮膚のFliI発現はほぼ4倍増加した(図2a)。
〔実施例15〕
(FliIは創傷治癒中にin vivo上方制御される)
野生型、FliI欠失+/-及びFliIトランスジェニックマウス(Tg1)由来の傷つき及び無傷皮膚をFliIタンパク質について免疫組織化学を用いて調べた。野生型マウス皮膚創傷では、基底表皮ケラチノサイト、線維芽細胞及び毛包の外毛根鞘ケラチノサイトの細胞質で優勢にFliIが観察された(図2b)。傷つけは、創傷縁における移動性表皮内のケラチノサイトと、創傷床内の線維芽細胞の両方でFliIレベルを有意に高めた(図2b)。さらに、創傷マトリックス内でFliIの細胞外染色が観察され、傷つけ後7日で最も明白だった(図2b)。FliIの局在化に及ぼす傷つけの一時的な効果がFliI染色で観察され、損傷後7日でピークとなり(無傷皮膚に対してP=0.0015、図2b、c)、傷つけ後14日で基底レベルに戻った(図2b、c)。
FliI欠失+/-創傷では、無傷のFliI+/-マウスの皮膚でFliIの染色が有意に減少した(それぞれ野生型の0日に対してP=0.007、P=0.001;図2b)。FliI+/-創傷でさえ、傷つけでFliIが増加し、損傷後7日でピークであったが、この増加は、該遺伝子の2つの機能性コピーを含有する等価の野生型創傷で見られる増加より有意に少なかった(図2b、d)。対照的に、FliIトランスジェニックマウスの創傷は、野生型に比し、特に創傷縁のケラチノサイト及び線維芽細胞内で顕著に高いFliI発現を示し、傷つけ後7日でピークだった(図2b、d)。
〔実施例16〕
(FliI過剰発現は細胞の増殖を減らし、移動を減じ、かつ創傷治癒を害する)
皮膚の細胞機能に及ぼすFliIの効果を同定するため、FliIトランスジェニック(Tg1)マウス由来の初生線維芽細胞を用いて、線維芽細胞の増殖と移動に及ぼすFliI発現増加の効果を決定した。その野生型同等マウスに比し、増殖の有意な減少が観察された(P=0.017、図3a)。野生型及びFliI過剰発現線維芽細胞のコンフルエントな単層に生じた引っ掻き傷は、FliI過剰発現培養で有意に遅く閉じ、移動能が減少したことを示しているが(図3b、時間が一致した野生型コントロールに対してP<0.05)、両セットの引っ掻き傷が24時間までに閉じられた。
創傷治癒動物モデルでは、FliIトランスジェニックマウス上に生じた切り込み創傷の治癒は非常に遅延し、創傷面積は傷つけ後3日及び7日で野生型コントロールより有意に大きかった(P<0.015;図3c、e)。創傷の長さと真皮の裂け目の組織学的創傷測定が創傷閉鎖におけるこの有意な遅延を確証した(データ示さず)。傷つけ後3日で創傷の再表皮化の遅延が観察され、表皮細胞の移動の障害の可能性を示している(P=0.02;図3d)。追加のFliIトランスジェニック系(Tg2)及び独立したFliIトランスジェニック系(Tg3)も調査した。これらのマウスを傷つけ、損傷後7日に評価した(図3f)。3つのFliIトランスジェニックマウス系のすべてで治癒が有意に害され、野生型コントロールより創傷が大きかった(P<0.05)。Tg3を用いたこれらの結果は、創傷治癒に及ぼすFliIのトランスジェニック過剰発現の効果はFliI自体に起因し、トランスジーンの染色体挿入の位置に依らないことを立証する。
〔実施例17〕
(FliI欠失は細胞の増殖を増やし、移動を促し、かつ創傷治癒を改善する)
皮膚の線維芽細胞及びケラチノサイトにおけるFliI欠失の機能上の役割を評価するため、siRNAを用いてFliI遺伝子発現を抑制した。100nMのFliI siRNAで24時間処理した線維芽細胞では90%超えまでFliI mRNA発現が減少した(図4a)。FliI siRNA処理後、FliIタンパク質レベルも大いに減少した(図4b)。FliI発現の減少が線維芽細胞の増殖に及ぼす効果を評価すると、コントロールに比し、有意な増加が観察された(DMEMコントロールに対してP=0.029、図5a)。引っ掻き傷アッセイを用いてFliI遺伝子発現の減少が細胞移動に及ぼす効果を決定した。コンフルエントな線維芽細胞単層(プラス又はマイナスFliI siRNA処理)に引っ掻き傷をつけ、24時間にわたって残存創傷面積を測定した。siRNAでFliIレベルを下げると(図5b)、線維芽細胞内で細胞移動の速度が有意に上昇した(時間が一致するコントロールに対してP<0.05)。siRNAによるFliI遺伝子発現の減少はケラチノサイトの増殖も有意に高め(DMEMコントロールに対してP=0.021;図5c)、移動速度も有意に高めた(図5d)。
FliI欠失+/-マウスでは、培養皮膚細胞における創傷治癒の重要プロセスに及ぼすFliIノックダウンの正効果が反映され、創傷治癒の有意な改善が観察された。FliI+/-マウスの創傷面積の測定は、傷つけ後3日と7日で野生型コントロールに比べて小さかったが、これは3日にP=0.036で統計的に有意なだけだった(図5e)。再表皮化の速度はFliI+/-マウスの創傷で有意に上昇し、損傷後5日で創傷表面の表皮被覆が約20%増だった(図5f)。7日までに、野生型創傷の再表皮化はもはやFliI+/-マウスと有意な差がなくなり、マウス皮膚が治癒する生来の能力を反映している。これらの改善はわずかであったが、これはこれらのマウスが単にヘテロ接合性ノックアウトであることを反映しているかもしれず、FliIレベルをさらに減少させたら、創傷治癒のもっと大きい改善が観察されたであろうと予測することができる。
〔実施例18〕
(FliIが過剰発現する創傷では増殖が害される)
野生型、FliI欠失+/-及びFliI過剰発現(Tg1)マウス由来の創傷でFliIレベルの変化が細胞増殖に及ぼす効果をin vivoで調べた。創傷縁における表皮の移動性舌内及び真皮の創傷床内でPCNAポジティブ細胞を数えた。表皮内では増殖細胞の差異は観察されなかったが(データ示さず)、その野生型同等物に比し、傷つけ後7日でFliIが過剰発現する創傷の真皮内では有意に少ない創傷細胞が観察された(図6a〜d)。
〔実施例19〕
(FliL抗体の外的付加が創傷治癒を加速する)
FliIが分泌もされるかどうかを試験するため、我々は、既に引っ掻き傷をつけてFliI発現を最大にした皮膚の線維芽細胞由来の馴化培地と細胞ライセートを濃縮し、SDS-PAGEを用いてこれらのサンプルを電気泳動にかけ、FliI及びβ-チューブリンについて免疫ブロットした。馴化培地と細胞ライセートの両方でFliIに対応するバンドが観察され(図7a)、β-チューブリンは細胞ライセートのみで検出され、馴化培地では検出されなかった。これは、FliIが分泌され、媒体内におけるその存在はin vitro培養のアーテファクトに依らないことを示唆している(図7a)。
ヘテロ接合性ノックアウトマウスにおけるRNAノックダウン又は遺伝子不活性化による、in vitro及びin vivo創傷治癒に及ぼすFliI減少の正効果を考慮して、我々は次にFliI抗体を用いてFliI活性を遮断して同じ効果を果たせるかを調査した。Flilタンパク質のロイシンリッチリピートドメインに対して産生したアフィニティー精製抗体(FliL)を、Flil活性を中和するその能力についてin vitroで調べた。明らかに、損傷に応じてすべのFliIが分泌されるわけではないので(図1)、我々は、まずカバーガラス上に線維芽細胞を接種し、それらプラス又はマイナスFliL抗体を24時間処理した。ビオチン化ウサギIgG及び免疫蛍光の局在化を用いて一次抗体なしで免疫細胞化学を行った(図7b)。共焦点顕微鏡は、抗体処理培養の細胞質ではFliLのポジティブ染色が観察されたが、コントロール培養では観察されなかったので、FIiL抗体が細胞に入ったことを確証した。
〔実施例20〕
(細胞増殖に及ぼすFliI抗体の効果)
調査したすべてのFliI抗体は、特により高用量でヒトケラチノサイト細胞の増殖を有意に増やした(図8a〜d)。対照的に、ヒト皮膚線維芽細胞に及ぼすFliI抗体の効果はあまり劇的でなく、FliL及び市販のSanta Cruz抗体だけが増殖に有意な効果を示した(それぞれ図9a及び9d)。FliI過剰発現マウス皮膚由来の線維芽細胞内でFliI抗体がFliIを中和できるかを決定するため、増加性濃度でFliLを添加し、正常な線維芽細胞について観察されるより高い細胞増殖の有意な増加を観察した(図10)。FliLがケラチノサイトと線維芽細胞の両方でFliIを中和するのに最適な抗体だったので、この抗体をin vivo切り込み創傷に適用するため選択した。
この方法は、創傷修復を調節する作用物質をスクリーニングできるという一般概念をも実証した。
〔実施例21〕
(FliL抗体の外的付加はin vivo創傷治癒を加速する)
FliI抗体がin vivo創傷治癒に有利な効果を有するかを試験するため、次に野生型マウスの切り込み創傷周囲にFIiL抗体又は用量が一致するウサギIgGを皮内注射し、7日後に創傷治癒に対する効果を決定した(図11a)。顕微鏡解析は、FIiLによる処理が、IgG処理コントロールに比べてそれぞれ33%及び31%、創傷面積及び創傷裂け目を縮小することを示した(図11b、c)。同様に、創傷の顕微鏡解析は、FliI中和抗体による創傷の処理が真皮の創傷縁間の距離を有意に減らすことも実証した(P=0.047、図11d)。
〔実施例22〕
(FliIの差別的発現が創傷内におけるTGF-β及びコラーゲンIの発現に影響を及ぼす)
創傷修復においてFliIの差別的発現がTGF-β1、TGF-β3及びコラーゲンIに影響を及ぼすかを試験するため、野生型、FliI欠失+/-及びFliI過剰発現マウスで生じた創傷を免疫組織化学に供し、結果の染色パターンを定量化した(図12a)。傷つけ後7日で野生型に比し、FliI欠失+/-創傷で有意に減少したレベルのTGF-β1が観察された(P=0.022;図12a)。著しく対照的に、FliI欠失創傷ではTGF-β3の有意に増加した染色が観察された(P=0.008;図12a)。TGF-β1はFliI過剰発現創傷で有意に上昇し、TGF-β3ではFliI過剰発現の効果はほとんど観察されなかった(図12a)。傷つけ後14日にFliI欠失創傷でコラーゲンIの発現の減少が観察され(P=0.023;図12b)、FliIトランスジェニック創傷ではコラーゲンIの増加が観察された(P=0.013;図12b)。傷つけ後いずれの時点でも差別的なFliI遺伝子発現がコラーゲンIIIに及ぼす効果は何も観察されなかった(データ示さず)。
〔考察〕
アクチン切断タンパク質のゲルソリンファミリーメンバーの作用はアクチン細胞骨格のリモデリングに必須であるが、創傷修復におけるその機能はあまりよく分かっていない。本研究は、アクチン-リモデリングタンパク質FliIが創傷修復の重要な制御因子であり、細胞の増殖と運動の両方に作用することを実証する。我々は、FliIのホモ接合性欠失は胚性致死なので、FliI遺伝子ノックアウトについてヘテロ接合性のマウスにおけるFliI欠失の効果を研究した。FliI遺伝子ノックアウトについてヘテロ接合性のマウスでは、野生型コントロールに比べて小さい創傷サイズと速い再表皮化速度で証明されるように、治癒が促進される。対照的に、FliIを過剰発現するマウスの創傷は治癒が有意に遅く、再表皮化が遅延する。この研究では3つの独立系統のFliI過剰発現マウスを用い、3系統がすべて創傷修復に有意な障害を示した。これは、トランスジーンの染色体挿入の位置でなく、FliIの過剰発現が、観察された差異を生じさせていることを確証する。FliIヘテロ接合性ヌルマウスにおける創傷治癒の改善はわずかであり、おそらく1つの残存する機能性FliI対立遺伝子の存在を反映しているであろう。しかし、創傷治癒の改善は統計的に有意であり、FliIの発現を減らせるという利益の可能性を示した。
FliIは、細胞分割に関与することが分かっているβ-チューブリンベース構造に局在化し、細胞増殖プロセスにおけるFliIの役割を示唆している。創傷内で増殖する真皮細胞数の定量化は、野生型創傷に比し、FliI過剰発現マウスの創傷内で増殖する細胞が有意に減少することを明らかにした。創傷床内における真皮細胞増殖のこの欠乏が、観察された治癒障害に寄与するようである。興味深いことに、FliI+/-創傷では増殖する真皮細胞数に有意な差異が観察されなかった。これもおそらく細胞内に残存する機能性FliI対立遺伝子を反映しているだろう。我々のin vitroデータは我々のin vivo研究を支持し、FliI遺伝子発現の低減が線維芽細胞及びケラチノサイトの運動と増殖の両方を増やすことを示している。対照的に、FliIを過剰発現する線維芽細胞は、少ない移動と増殖を示し、観察された治癒表現型の障害に寄与するようである。我々の研究は、FliIが細胞の増殖と移動の両方に関与し、かつFliIがおそらくそのアクチン切断能によってこれらのプロセスを負に制御するであろうということを確証する。
我々のin vitro研究は、FliIタンパク質のロイシンリッチリピートドメインに対して産生したアフィニティー精製抗体が、FliL抗体の増加性用量による処理後に細胞数の増加が観察されることから、ケラチノサイトと線維芽細胞の両増殖に有意な効果を有することを示した。我々の研究は、FliL抗体を培養内の線維芽細胞に添加後、FliLの核でなく、細胞質の染色を明らかにし、FliLが細胞膜に浸透できること示唆している。これは、Fc受容体に結合した後内部移行することによるか、或いは特異性FliI受容体に結合することによるかをまだ決定しなければならない。FliIは単に細胞内タンパク質であると考えられていたが、我々は、今や、FliIが培養内の線維芽細胞によっても分泌されることを示す新しい証拠を持っている。切り込み創傷へのFliL抗体の皮内適用は損傷後7日で創傷のサイズを有意に縮小する。従って、FilLは、創傷治癒障害を改善するための有効な新規治療因子の可能性を示す。
我々の研究は、FliI欠失マウスの創傷がTGF-β1を減じたけれどもTGF-β3の発現を高め、これらの創傷の治癒が改善することをも示す。
要約すると、我々のデータは、FliIが細胞の増殖、移動及び創傷修復の重要な制御因子であることを明かにした。切り込み創傷へのFliL抗体の局所適用は創傷修復を有意に促進する。従って、FliIレベルの操作が、創傷治癒を改善しうる新規治療処置の可能性をもたらしうる。
最後に、本発明の範囲及び精神から逸脱することなく、当業者には、本明細書で述べた本発明の方法及び組成物の種々の変更及び変形が明かであることが分かるだろう。本発明を特有の実施形態に関連して述べたが、請求項通りの本発明は不当にこのような特有の実施形態に限定されるものでないことを理解すべきである。実際、分子生物学又は関連分野の当業者に明かな本発明を実施するために述べた態様の種々の変更は、本発明の範囲内であるものとする。
傷つけがヒト線維芽細胞及びケラチノサイト内でFliI発現を上方制御することを示す。コンフルエントなヒト線維芽細胞及びケラチノサイト(HaCaT)に引っ掻き傷をつけ、免疫細胞化学でFliI及びアクチンについて染色した。代表的画像が示される。(a)FliI(赤)、(b)FliIとアクチンの複合体(緑)について染色した無傷(UnW)線維芽細胞。FliIとアクチンの共存は黄色として示される。(c)FliI(赤)、(d)FliIとアクチンの複合体(緑)について染色した、傷つけ後6時間の傷つき(W)線維芽細胞。(e)FliI(赤)、(f)FliIとアクチンの複合体(緑)について染色した無傷のケラチノサイト。(g)FliI(赤)、(h)FliIとアクチンの複合体(緑)について染色した、傷つけ後10時間の傷つきケラチノサイト。AnalySISソフトウェアパッケージを用いて線維芽細胞及びケラチノサイトについて(i)及び(j)の積分蛍光強度を決定した。結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=6、I中の*はP=O.010を表し、J中の*はP=0.025を表す)。h中のバー=50μmで、すべての画像に関係する。 FliIが傷つけに応じて上方制御されることを示す。野生型、FliI欠失(+/-)及びFliIトランスジェニック(Tg1)マウスの皮膚からmRNAを抽出し、リアルタイムqPCRを用いてFliIの発現を決定した(各群についてn=3、P=0.007 0日の+/-対0日のWT;P=0.001 0日のTg1対0日のWT)。(b)無傷及び傷つき野生型(WT)、FliI欠失+/-(+/-)及びFliIトランスジェニック(Tg1)マウスの皮膚についてFliIタンパク質の免疫組織化学を行った。0、3、7、及び21日の傷について代表的画像が示される。全画像中、eは表皮の位置を示し、wは傷の位置を示す。(c)WT傷つきでは、皮膚のFliI発現の積分蛍光強度定量化は、傷つけ後3(P=0.002)、5(P=0.0003)及び7(P=0.015)日でFliIが有意に増加するが、21日までに基底発現レベルに戻ったことを示す(各群n=6)。傷つけ後7日のWT、+/-、及びTg1の傷内のFliI発現の定量化。*は有意性を示す(P=0.007 7日の+/-対7日のWT;P=0.011 7日のTg1対7日のWT)。結果は平均+/-s.e.m.を表す(n=6)。(b)中のスケールバーは全画像に関係し、50μmである。 FliIの過剰発現が細胞増殖を減らし、移動を減じ、かつ創傷治癒を害することを示す。(a)野生型及びFliI過剰発現(Tg1)マウスの皮膚由来の初生線維芽細胞を24時間培養し、その増殖速度を決定した(n=3。*P=0.017)。(b)野生型及びFliI過剰発現マウスの皮膚由来の初生線維芽細胞をコンフルエントな引っ掻き傷がつけられるまで培養し、結果として生じた傷面積を傷つけ後の種々の時点で測定した。結果は平均+/-s.e.m.を表す(n=6、*P<0.05 対 等価の野生型の時点)。(c)野生型(WT)及びFliIトランスジェニック(Tg1)マウスの背部の皮膚を貫いて全厚1cmの切り傷をつけた。WTとTg1の傷の肉眼による創傷面積の測定は、Tg1の傷がWTコントロールに比べて日7で有意に大きいことを示す。*P=0.001 日3及び0.015 日7のWT対Tg1。(d)日3、7、14及び21で表皮被覆を有する創傷の割合を測定することによって、創傷の再表皮化を評価した(*P=0.025 日3のWT 対Tg1)。(e)WT及びTg1の日7の代表的創傷。(f)傷つけ後7日におけるWT、元のトランスジェニックマウス系(Tg1)及び追加のFliI過剰発現マウス系(Tg2及びTg3)の創傷の大きさ(各群についてn=4、*P値 a=0.015、b=0.003、c=0.015 対WT)。(c-f)結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=12)。 FliI siRNAがFliI遺伝子及びタンパク質発現を減らすことを示す。増加性濃度のFliI siRNAで24時間処理したヒト線維芽細胞からRNAを抽出した。(a)リアルタイムqPCRは、siRNAの用量増加に伴ってFliI発現が減少することを明かにした。100nMのsiRNAが最も有効な量で、FliI遺伝子発現の98%の減少が観察された。(b)100nMのFliI siRNAで24時間処理したヒト線維芽細胞からタンパク質を抽出し、アクリルアミドゲル上で実験した。ウエスタンブロット膜をFliI及びGAPDHについて検証して装填を評価した。siRNA-処理線維芽細胞ではFliIタンパク質が観察されなかった。 FliI欠失が細胞増殖を増やし、移動を促進し、かつ創傷治癒を改善することを示す。ヒト線維芽細胞をFliI siRNA(100nM)で24時間処理し、結果として(a)細胞の増殖及び(b)移動に及ぼす効果をそれぞれWST-1増殖アッセイ及び引っ掻き傷アッセイを用いて決定した。増殖結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=12、線維芽細胞、*P=0.029 対 コントロール)。引っ掻き傷アッセイの結果は平均+/-s.e.mを表す(各群についてn=9、*P<0.05 対 等価のコントロールの時点)。ケラチノサイトをFliI siRNA(60nM:これがケラチノサイトのFliIノックアウトにとって最適の用量;データ示さず)で24時間処理し、結果として(c)細胞の増殖及び(d)移動に及ぼす効果をそれぞれWST-1増殖アッセイ及び引っ掻き傷アッセイを用いて決定した。増殖結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=12、線維芽細胞、*P=0.021 対 コントロール)。引っ掻き傷アッセイの結果は平均+/-s.e.mを表す(各群についてn=9、*P<0.05 対 等価のコントロールの時点)。野生型及びFliI+/-マウスの背部の皮膚を貫いて全厚1cm切除した。(e)傷つけ後3、5、7及び14日に面積測定を用いて創傷面積を決定した。結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=12、*P=0.011)。(f)日3、5、7、及び14に新しく形成された表皮で被覆されている創傷の割合を測定することによって、創傷の再表皮化を評価した。結果は平均 +/-s.e.m.を表す(各群についてn=12、*P=0.021)。 FliI過剰発現創傷で増殖が害されることを示す。(a-c)野生型(WT)、FliI欠失(+/-)及びFliI過剰発現(Tg1)の日7の創傷を増殖性細胞核抗原(PCNA)について染色した。創傷内のポジティブ細胞を数え、この領域内の細胞総数の割合として表した(d)。野生型及びFliI+/-創傷に比し、Tg1創傷では日3で増殖の有意な減少が観察された。結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=6、*P<0.05)。(c)中のスケールバーは全画像に関係し、50μmである。(a-c)中の白抜き矢印はPCNA染色されたポジティブ細胞を指し、黒塗り矢印は非増殖性細胞を指す。 FliI中和抗体が線維芽細胞の増殖を増やすことを示す。線維芽細胞に引っ掻き傷をつけて24時間後に馴化培地を収集した。(a)細胞を可溶化し、可溶性細胞フラクションと馴化培地をSD-PAGEで分離し、免疫ブロットしてFliI及びβ-チューブリンに対する抗体で検証した。(b)カバーグラス上で線維芽細胞を育て、FliI中和抗体がある場合とない場合で24時間インキュベートした。細胞をビオチン化抗-ウサギ二次抗体とインキュベートし、引き続きストレプトアビジン-CY3とインキュベートしてFliI抗体を可視化し、またFITC-ファロイジンとインキュベートしてアクチンフィラメントを可視化した。画像は3つの独立実験の代表画像である。 FliI抗体がヒトケラチノサイトに及ぼす効果を示す。ヒトケラチノサイト(HaCat)を増加性濃度のFliI中和抗体(a)FliL、(b)FliG、(c)FliG抗血清、(d)Santa-Cruz(CA)からのFliI抗体とインキュベートした。WST-1増殖アッセイ(Roche)を用いて細胞増殖に及ぼす効果を決定した。結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=12、*<0.05)。 FliI抗体がヒト皮膚線維芽細胞に及ぼす効果を示す。ヒト皮膚線維芽細胞を増加性濃度のFliI中和抗体(a)FliL、(b)FliG、(c)FliG抗血清、(d)Santa-Cruz(CA)のFliI抗体とインキュベートした。WST-1増殖アッセイ(Roche)を用いて細胞増殖に及ぼす効果を決定した。結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=12、*<0.05)。 FliI過剰発現性の皮膚線維芽細胞に及ぼすFilL抗体の効果を示す。FilI過剰発現性の皮膚から培養した初生皮膚線維芽細胞を増加性濃度のFliI中和抗体FliLとインキュベートした。WST-1増殖アッセイ(Roche)を用いて細胞増殖に及ぼす効果を決定した。結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=12、*<0.05)。 FliI中和抗体の外的付加が創傷治癒を加速することを示す。野生型マウスの切り込み傷にFilI中和抗体又は等用量のウサギIgGを注射した。処理後7日の創傷が(a)に示される。創傷面積(b)と創傷裂け目(c)を測定した。(d)真皮創傷縁間の距離の組織学的測定。結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=10、*P<0.05)。 創傷内のTGF-β及びコラーゲンIの発現にFliIの差別的発現が作用することを示す。野生型(WT)、FliI欠失+/-(+/-)及びFliIトランスジェニック(Tg1)マウス由来の創傷をTGF-β1、TGF-β3及びコラーゲンIについて免疫染色した。(a)傷つけ後7日のTGF-β1及びTGF-β3の免疫蛍光強度。(b)傷つけ後14日のコラーゲンIの免疫蛍光強度。*は有意性を示し、P<0.05である。結果は平均+/-s.e.m.を表す(各群についてn=12)。

Claims (96)

  1. 創傷の修復を調節する方法であって、前記創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節することを含むことを特徴とする方法。
  2. 前記フライトレスの発現及び/又は活性の調節が、前記創傷の修復に関与する細胞に、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を送達することを含む、請求項1に記載の方法。
  3. 前記創傷の修復が改善される、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 前記作用物質がフライトレスIの発現及び/又は活性を減らす、請求項3に記載の方法。
  5. 前記作用物質がTGF-β1の発現及び/又は活性を減らす、請求項3又は4に記載の方法。
  6. 前記作用物質がTGF-β3の発現及び/又は活性を増やす、請求項3〜5のいずれか1項に記載の方法。
  7. 前記作用物質が、前記創傷の修復に関与する細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌を減らす、請求項3〜6のいずれか1項に記載の方法。
  8. 前記コラーゲンがI型コラーゲンである、請求項7に記載の方法。
  9. 前記作用物質が、薬物、小分子、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、受容体のリガンド、コファクター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子干渉RNA、ミクロRNA、脂質、アプタマー、ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部から成る群より選択される、請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
  10. 前記作用物質がフライトレスIに対する中和抗体、又はその抗原結合部である、請求項2〜8のいずれか1項に記載の方法。
  11. 前記創傷及び/又は該創傷の近傍領域への前記作用物質の投与によって、前記作用物質を前記創傷に送達する、請求項1〜10のいずれか1項に記載の方法。
  12. 前記対象がヒトである、請求項1〜11のいずれか1項に記載の方法。
  13. 対象の創傷の修復を調節する方法であって、前記創傷の修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を前記創傷に送達することを含む方法。
  14. フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、創傷修復を調節するための薬物の製造における使用。
  15. 創傷修復を改善するための薬物の製造で前記作用物質を使用する、請求項14に記載の使用。
  16. 前記作用物質がフライトレスIの発現及び/又は活性を減らす、請求項15に記載の使用。
  17. 前記作用物質が、薬物、小分子、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、受容体のリガンド、コファクター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子干渉RNA、ミクロRNA、脂質、アプタマー、ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部から成る群より選択される、請求項14〜16のいずれか1項に記載の使用。
  18. 前記作用物質が中和抗体、又はその抗原結合部である、請求項16に記載の使用。
  19. 創傷の修復を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含むことを特徴とする組成物。
  20. 対象の創傷内の瘢痕形成を調節する方法であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を前記創傷に送達する工程を含むことを特徴とする方法。
  21. 前記作用物質が、前記創傷の修復に関与する細胞内のTGF-β1の発現及び/又は活性を調節する、請求項20に記載の方法。
  22. 前記作用物質が、前記創傷の修復に関与する細胞内のTGF-β3の発現及び/又は活性を調節する、請求項20又は21に記載の方法。
  23. 前記作用物質が、前記創傷の修復に関与する細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌を調節する、請求項20〜22のいずれか1項に記載の方法。
  24. 前記コラーゲンがI型コラーゲンである、請求項23に記載の方法。
  25. 前記作用物質が、薬物、小分子、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、受容体のリガンド、コファクター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子干渉RNA、ミクロRNA、脂質、アプタマー、ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部から成る群より選択される、請求項20〜24のいずれか1項に記載の方法。
  26. 前記創傷及び/又は該創傷の近傍領域への前記作用物質の投与によって、前記作用物質を前記創傷に送達する、請求項20〜25のいずれか1項に記載の方法。
  27. 前記対象がヒトである、請求項20〜26のいずれか1項に記載の方法。
  28. 瘢痕形成が減少する、請求項20〜27のいずれか1項に記載の方法。
  29. 前記作用物質がフライトレスIの発現及び/又は活性を増やす、請求項28に記載の方法。
  30. フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、瘢痕形成を調節するための薬物の製造における使用。
  31. 前記作用物質が、薬物、小分子、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、受容体のリガンド、コファクター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子干渉RNA、ミクロRNA、脂質、アプタマー、ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部から成る群より選択される、請求項30に記載の使用。
  32. 瘢痕形成が減少する、請求項30又は31に記載の使用。
  33. 前記作用物質がフライトレスIの発現及び/又は活性を増やす、請求項32に記載の使用。
  34. 瘢痕形成を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含むことを特徴とする組成物。
  35. 対象の望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態を予防及び/又は治療する方法であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する治療的に有効量の作用物質を前記対象に投与する工程を含む方法。
  36. 前記作用物質がTGF-β1の発現及び/又は活性を調節する、請求項35に記載の方法。
  37. 前記作用物質がTGF-β3の発現及び/又は活性を調節する、請求項35又は36に記載の方法。
  38. 前記作用物質がコラーゲンの発現及び/又は分泌を調節する、請求項35〜37のいずれか1項に記載の方法。
  39. 前記コラーゲンがI型コラーゲンである、請求項38に記載の方法。
  40. 前記作用物質が、薬物、小分子、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、受容体のリガンド、コファクター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子干渉RNA、ミクロRNA、脂質、アプタマー、ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部から成る群より選択される、請求項35〜39のいずれか1項に記載の方法。
  41. 前記作用物質がフライトレスIの発現及び/又は活性を増やす、請求項35〜40のいずれか1項に記載の方法。
  42. 前記対象がヒトである、請求項35〜41のいずれか1項に記載の方法。
  43. フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態の予防及び/又は治療用薬物の製造における使用。
  44. 望ましくないか又は異常な線維形成と関係がある疾患、状況又は状態を予防及び/又は治療するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含むことを特徴とする組成物。
  45. 細胞内のTGF-βの発現、分泌及び/又は活性の1つ以上を調節するか、及び/又は細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌を調節する方法であって、細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程を含む方法。
  46. 前記細胞が創傷修復及び/又は瘢痕形成に関与する細胞である、請求項45に記載の方法。
  47. 前記細胞が線維芽細胞又はケラチノサイトである、請求項45又は46に記載の方法。
  48. 前記コラーゲンがI型コラーゲンである、請求項45〜47のいずれか1項に記載の方法。
  49. 前記TGF-βがTGE-β1である、請求項45〜48のいずれか1項に記載の方法。
  50. 前記細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減らす工程が前記細胞内のTGE-β1の発現及び/又は活性の減少及び/又は前記細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌の減少をもたらす、請求項49に記載の方法。
  51. 対象の創傷の修復が改善される、請求項50に記載の方法。
  52. 前記細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を増やす工程が前記細胞内のTGE-β1の発現及び/又は活性の増加及び/又は前記細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌の増加をもたらす、請求項49に記載の方法。
  53. 対象の創傷の瘢痕の程度が減少する、請求項49に記載の方法。
  54. 前記TGF-βがTGE-β3である、請求項45〜49のいずれか1項に記載の方法。
  55. 前記細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減らす工程が前記細胞内のTGE-β3の発現及び/又は活性の増加及び/又は前記細胞内のコラーゲンの発現及び/又は分泌の減少をもたらす、請求項54に記載の方法。
  56. 対象の創傷の修復が改善される、請求項55に記載の方法。
  57. フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程が、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質を前記細胞にさらすことによって達成される、請求項45〜56のいずれか1項に記載の方法。
  58. 前記作用物質が、薬物、小分子、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、受容体のリガンド、コファクター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子干渉RNA、ミクロRNA、脂質、アプタマー、ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部から成る群より選択される、請求項57に記載の方法。
  59. 前記細胞がヒト細胞又は動物細胞である、請求項45〜58のいずれか1項に記載の方法。
  60. 前記細胞がヒト又は動物内にin vivo存在する、請求項59に記載の方法。
  61. 前記細胞が対象の線維形成に関与する、請求項45〜60のいずれか1項に記載の方法。
  62. 前記対象の線維形成の程度が減少する、請求項61に記載の方法。
  63. フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、TGF-βの発現及び/又は活性を調節するため、及び/又はコラーゲンの発現及び/又は分泌を調節するための薬物の製造における使用。
  64. TGF-βの発現及び/又は活性を調節するため、及び/又はコラーゲンの発現及び/又は分泌を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含むことを特徴とする組成物。
  65. 創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節する方法であって、前記細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程を含む方法。
  66. 前記細胞が線維芽細胞、ケラチノサイト又は炎症細胞である請求項65に記載の方法。
  67. 細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減らす工程が前記細胞の移動及び/又は増殖を増やす、請求項65又は66に記載の方法。
  68. 細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を増やす工程が前記細胞の移動及び/又は増殖を減らす、請求項65又は66に記載の方法。
  69. 前記フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する工程が、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質を前記細胞にさらすことによって達成される、請求項65〜68のいずれか1項に記載の方法。
  70. 前記作用物質が、薬物、小分子、核酸、オリゴヌクレオチド、オリゴペプチド、ポリペプチド、タンパク質、酵素、多糖、糖タンパク質、ホルモン、受容体、受容体のリガンド、コファクター、アンチセンスオリゴヌクレオチド、リボザイム、低分子干渉RNA、ミクロRNA、脂質、アプタマー、ウイルス、及び抗体又はその抗原結合部から成る群より選択される、請求項69に記載の方法。
  71. 前記作用物質が前記細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減らす、請求項70に記載の方法。
  72. 前記作用物質が中和抗体又はその抗原結合部である、請求項71に記載の方法。
  73. 前記細胞がヒト細胞又は動物細胞である、請求項65〜72のいずれか1項に記載の方法。
  74. 前記細胞がin vivo存在する、請求項73に記載の方法。
  75. フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する作用物質の、創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するための薬物の製造における使用。
  76. 創傷修復、瘢痕形成又は線維形成に関与する細胞の移動及び/又は増殖を調節するために使用する場合の医薬組成物であって、フライトレスIの発現及び/又は活性を調節する有効量の作用物質を含むことを特徴とする組成物。
  77. 変化した発現及び/又は活性のフライトレスIを有することを特徴とする、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体。
  78. 前記フライトレスIの発現及び/又は活性の変化が、前記細胞に外因性核酸を導入したことによる、請求項77に記載の細胞。
  79. 前記フライトレスIの発現及び/又は活性の変化が、前記細胞内における内因性核酸の変化による、請求項78に記載の細胞。
  80. 前記細胞が、変化した発現及び/又は活性のTGF-βを有する、請求項77〜79のいずれか1項に記載の細胞。
  81. 前記TGF-βがTGF-β1である、請求項80に記載の細胞。
  82. 前記TGF-βがTGF-β3である、請求項80に記載の細胞。
  83. 前記細胞が、変化した発現及び/又は分泌のコラーゲンを有する、請求項73〜78に記載の細胞。
  84. 前記コラーゲンがI型コラーゲンである、請求項83に記載の細胞。
  85. 前記細胞が線維芽細胞又はケラチノサイト細胞である、請求項77〜84のいずれか1項に記載の細胞。
  86. 細胞内にフライトレスIの発現及び/又は活性を調節する核酸を含む、単離された皮膚細胞、又はその前駆体若しくは誘導体。
  87. 前記細胞が、変化した発現及び/又は活性のTGF-βを有する、請求項86に記載の細胞。
  88. 前記TGF-βがTGF-β1である、請求項87に記載の細胞。
  89. 前記TGF-βがTGF-β3である、請求項87に記載の細胞。
  90. 前記細胞が、変化した発現及び/又は分泌のコラーゲンを有する、請求項86〜89のいずれか1項に記載の細胞。
  91. 前記コラーゲンがI型コラーゲンである、請求項90に記載の細胞。
  92. 前記細胞が線維芽細胞又はケラチノサイト細胞である、請求項86〜91のいずれか1項に記載の細胞。
  93. 請求項77〜92のいずれか1項に記載の細胞の、創傷修復を調節するための使用。
  94. 請求項77〜92のいずれか1項に記載の細胞を含んでなることを特徴とする組成物。
  95. 創傷修復に関与する細胞内のフライトレスIの発現及び/又は活性を減じる治療的に有効量の作用物質を含むことを特徴とする局所創傷治癒用組成物。
  96. 治療的に有効量の、フライトレスIに対する中和抗体を含むことを特徴とする局所創傷治癒用組成物。
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