JP2009511446A - インスリンレセプターアンタゴニストと、関連した組成物、使用及び方法 - Google Patents

インスリンレセプターアンタゴニストと、関連した組成物、使用及び方法 Download PDF

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Abstract

新規のペプチドインスリンレセプターアンタゴニスト(PIRA)及び関連の化合物及び組成物が提供される。また、PIRAの新規の使用方法及びPIRAの入手方法も提供する。

Description

(発明の分野)
本発明は、インスリンレセプターアンタゴニスト活性を有する分子、関連した薬剤的組成物、それに関する更なる組成物、このような組成物及び分子の使用、及び様々な他の関連した方法に関する。
(発明の背景)
インスリンは、グルコースホメオスタシスを維持する際に重要であるために最も研究されたペプチドホルモンのうちの一つである。この51aaホルモンは、結晶及び溶液の両方においてその構造に非常に特徴がある。
インスリンに対する細胞性応答はインスリンレセプターが媒介しており、そのレセプターは、インスリンを結合する2つの同一の細胞外α-サブユニットと細胞内チロシンキナーゼ活性を有する2つの同一の膜貫通β-サブユニットからなる四量体タンパク質である。Goldfine, Endocr. Rev., 8:235 (1987)。インスリンがα-サブユニットと結合すると、β-サブユニットチロシンキナーゼが活性化され、インスリン作用が生じる(細胞内シグナル伝達現象のカスケードが生じる)。
高インスリン血症は、血中の異常に高いレベルのインスリンによって定められる状態である。高インスリン血症の原因は、インスリノーマ及びインスリン耐性が含まれ、先天的な高インスリン血症ないしは他の症状、例として、活動の欠如、肥満ないしは多嚢胞性卵巣症候群によって生じうる。インスリノーマは、過剰な量のインスリンを生産する膵臓の腫瘍である。高いインスリンレベルによって、低血糖又は低血液グルコース(糖質)が生じる。高インスリン血症は、生まれて最初の数時間後に生じる新生児低血糖の一般的な原因である。このような症状の治療は、発作及び神経性後遺症の発症を予防するために必要であることが多い。
通常は、低血糖は軽度であるかもしれず、不安及び空腹感のような症状が引き起こされるが、患者は重度の低血糖のリスクにも曝され、その低血糖により発作、昏睡及び死までもが生じうる。患者が訴える低血糖と関係している代表的な症状には、疲労、脱力感、震え及び空腹などがある。多くの患者は、頻繁に食餌を摂り、低血糖による症状を防がなくてはならない。患者の中には、低血糖であるために精神学的な症状を起こすものもいる。
現在、インスリノーマ又は他の重度の高インスリン血症を有する患者は、部分的膵臓切除のような手術によって、又は、場合によってインスリン産生を低減するジアゾキシド又はソマトスタチンなどの薬剤の投与によって治療される。場合によってグルコースが連続的に注入されなければならない。循環するインスリンの効果を低減する既存の治療はない。
特定のインスリンレセプター抗体を除いて(例としてRoth等, J Biol Chem. 1983 Oct 25;258(20): 12094-7;Morgan等, Proc Natl Acad Sci U S A. 1986 Jan;83(2): 328-32;Taylor等, Biochem J. 1987 Feb 15;242(1): 123-9;Nagy等, Endocrinology. 1990 Jan;126(1): 45-52;及びFujita等, Acta Diabetol. 2002 Dec;39(4): 221-7を参照)、ほんのわずかなインスリンレセプター(IR)アンタゴニストが既に記載されている。例として、米国特許第20030236190号、同第20030195147号及び同第20040023887号及びPillutla等, J. Biol. Chem. 277 (25): 22590-22594, 2002及びSchaffer等, Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 100 (8): 4435-4439, 2003を参照のこと。
(本発明の簡単な概要)
本明細書に記載の発明に関していくつかの態様がある。ある例示的な態様では、本発明は、インスリンレセプターアンタゴニスト活性を有する新規のペプチド、タンパク質及びタンパク質誘導体を提供する。他の態様では、本発明は、このような新規のペプチド分子を含んでなる薬剤的組成物を提供する。さらに他の態様では、本発明は、様々な更なる有用な組成物(例えばこのようなペプチドをコードする配列を含む核酸、このような核酸を含んでなるベクター及び細胞、このようなペプチド及びタンパク質などに対する抗体)を提供する。さらに他の態様では、本発明は、このような組成物及び分子の(例えば、疾患又は症状についてのスクリーニング/試験における、様々な疾患及び症状の治療における、治療用及び診断用の適用のための抗体の産生における、タンパク質模倣物質などの調製のための)新規の使用、及び様々な他の関連する方法に関する。これら及び更なる例示的な発明の態様及び本発明の特徴を、更に詳細に本明細書中で記述する。
(発明の詳細な説明)
とりわけ、本発明は、特定のアミノ酸配列を含むなどのある物理的な特徴を有する特定の新規の非抗体ペプチド、タンパク質及び関連タンパク質誘導体(「ペプチド分子」)がペプチドインスリンレセプター(IR)アンタゴニストとして有用でありうるという発見に関する(このようなペプチド分子は本明細書中で「ペプチドインスリンレセプターアンタゴニスト」又は「PIRA」と称することが多い)。
さらに、本発明は、本発明の一又は複数のPIRAの治療的有効量を含有してなる新規の薬学的に受容可能な組成物に関する(唯一の活性な薬剤として、又は、一又は複数の「二次」薬剤又は「第二活性薬剤」と組み合わせて)。
また、本発明は、このようなPIRAの新規な使用、例えばこのようなPIRAを用いた医薬の産生、及びIR活性の減少が有益又は有用であると考えられうる症状や疾患の治療方法に関する。
しかしながら、本発明の有益な態様がいくつかある。これらの及び他の態様は、本明細書中に示す本発明の説明により当業者に明らかである。
通常、PIRAは、(a) 式1又は式1様(「式1タイプ」又は「F1T」)アミノ酸配列(「F1TS」)、及び(b) 式6又は式6様(「式6タイプ」又は「F6T」)アミノ酸配列(「F6TS」)を含む少なくとも一の「コアモチーフ」を含むペプチド分子とみなすことができ、このF1TS及びF6TSはPIRA内に包含される(又はPIRAを組成する)ペプチド鎖において互いに近接して配位しており、PIRAがIRに結合してIRアンタゴニストとして作用するようになっている。F1T及びF6T配列は本明細書中でさらに詳述する。PIRAは、このF1TS/F6TS「コアモチーフ」の多くの繰り返しを含みうるか、又は1より多いF1TS又はF6TSを含んでもよいが、一般的に、PIRAは単一の「コアモチーフ」に包含される単一のF1TS及び単一のF6TSを含んでなる。通常は、本明細書中で提供されるF1T及びF6T配列の考察は「コアモチーフ」に含有されるF1T及びF6T配列に関するものである。
PIRAは一又は複数のIRに対して任意の適切なレベルの親和性を表しうる(好ましくは、PIRAはヒトのIRに親和性を表すであろう)。一態様では、本発明は、ヒトIRに対してインスリンが示す親和性と同等であるヒトIRに対する親和性を有するPIRAを提供する(例えば、PIRAは、インスリンの少なくともおよそ35%、少なくともおよそ40%、少なくともおよそ45%、少なくともおよそ50%、少なくともおよそ60%、少なくともおよそ70%、少なくともおよそ80%、少なくともおよそ90%、およそ100%の親和性であるヒトIRへの親和性を有する)。
PIRAは他の機能的なドメインがないと特徴付けても、特徴付けなくてもよい。
ゆえに、ある態様では、PIRAは、生理反応(例えばIR以外のレセプターの結合及び調節)を誘導するか又は促進する少なくとも一の第二ペプチドドメインを含む融合タンパク質として特徴付けてもよい。他の態様では、本発明は、このような更なるドメインがないPIRAを提供する。ある態様では、本発明は、基本的に単一の式1配列(又はF1TS)と単一の式6配列又はF6TSとからなるPIRAを提供する(場合によって、適切なリンカーで分かれている及び/又は適切なTDMと結合している)。
本発明において「拮抗作用(アンタゴニズム)」は、インスリン及びIRの存在下でインスリンの効果を検出できる程度に低減する化合物(例えばPIRA)の能力を指す。アンタゴニストは、IRへのインスリンの結合を遮断(ブロック)するか、インスリン結合の際に一又は複数のインスリン媒介性のIR活性を低減するか(そのいくつかの例が十分に述べられている)、又はその両方である。通常、PIRAは任意の検出可能なIR拮抗作用を表しうる。一態様では、本発明は、インスリン媒介性のIR活性を少なくともおよそ10%、少なくともおよそ20%、少なくともおよそ30%、少なくともおよそ40%、少なくともおよそ50%、少なくともおよそ60%以上低減するPIRAを提供する。
ある態様では、本発明は、少なくともおよそ4時間、少なくともおよそ5時間、少なくともおよそ6時間、少なくともおよそ7時間、少なくともおよそ8時間又はさらに少なくともおよそ9時間の期間、哺乳動物の宿主の血中グルコースを増加する能力及び/又はインスリンの効果を低減する能力を有するPIRAを提供する。
典型的に、PIRAコアモチーフのF6TSは、関連のF1TSのC末端に位置しており(すなわち、F6TSのN末端部分がF1TSのC末端部分の最も近くに位置するように、コアモチーフF6TSはF1TSとの関連でコアモチーフ内に配位される)、PIRAは典型的には式1、式6-定位(又はF1/F6定位)であると言える。
PIRAは、一般に任意の適切なサイズ、高次構造などでありうる。PIRAは、およそ50アミノ酸又はそれ未満の長さ、例えばおよそ30〜45アミノ酸長(例えば35〜44アミノ酸長)の単一鎖ペプチドに特徴がありうる(典型的にはそうであり、有利なことが多い)。しかしながら、前記のサイズのPIRA部位ないしは配列及び組成物を含むより大きなIRA含有タンパク質、多量体タンパク質、マルチペプチド鎖タンパク質誘導体又は複合のタンパク質などは、標準的な技術を用いて生成することもでき、本発明の他の特徴とみなされる。PIRAは、IR抗体の特徴を欠いていることが特徴であるといえる。ゆえに、例えばPIRAは、典型的に、IR抗体にみられるCDR配列及びフレームワーク領域を含んでいない。さらに、PIRAは典型的に、公知の抗IR抗体の構造を欠いている(例えば、IgG分子の標準的な四量体構造を欠いている)。
式1配列は、配列GSLDESFYDWFERQLG(Gly Ser Leu Asp Glu Ser Phe Tyr Asp Trp Phe Glu Arg Gln Leu Gly)(配列番号:1)(式1)を含むアミノ酸配列として定められる。式1様配列は、配列番号:1と非常に類似しており(すなわち、配列番号:1に少なくともおよそ60%、少なくともおよそ65%、少なくともおよそ70%、少なくともおよそ75%、少なくともおよそ80%、少なくともおよそ85%、少なくともおよそ90%、又は少なくともおよそ95%、100%未満の同一性を有する配列(このような類似の配列は式1様配列と称してもよい))、PIRA産生のためにコアモチーフ内でF6TSと組み合わすことができる配列として定められうる。一態様では、本発明は、式1のおよそ1〜6のN末端残基が欠失している及び/又は置換されている(例えば、残基1〜5が欠失している、残基2〜6が欠失している、残基1〜4が欠失している、そして残基5及び6が他の適切な残基に置換されるなど)、PIRAを提供する。ゆえに、例えば、一態様では、本発明は、基本的に配列FYDWFERQLG(配列番号:2)からなるF1TSを含んでなるPIRAを提供する。他の態様では、本発明は、単にモチーフFYDWF(配列番号:3)を含有する配列を含むことに特徴があるPIRAを提供する。他の態様では、本発明は、式1のAsp残基(又はこれに相当する残基)のGly残基(又は類似の等価残基)への置換を伴う配列を有することにも特徴があるか又はそのことに特徴があり、例えば基本的にFYGWFERQLG(配列番号:5)又はGSLDESFYGWFERQLG(配列番号:6)からなるF1TSにおいて、PIRAがモチーフFYGWF(配列番号:4)を含む。さらに他の態様では、本発明は、(前述の特徴の一又は複数に加えて)式1残基Gly16(又はそれに相当する残基)の欠失又はその置換にも特徴があるか、又はそれに特徴があるF1TSを含んでなるPIRAを提供する。GSLDESFYDWFERQL(配列番号:7)、GSLDESFYGWFERQL(配列番号:8)、FYDWFERQL(配列番号:9)及びFYGWFERQL(配列番号:10)は、前記のF1TSの例である。さらに他の態様では、本発明は、(前述の特徴の一又は複数に加えて)式1のArg13(又はそれに相当する残基)の置換にも特徴があるか、又はそれに特徴があるF1TSを含んでなるPIRAを提供する。既に示したように、これらの様々な特定の修飾が組み合わされてもよく、本発明は、例えば、式Xaa22 Xaa23 Xaa24 Xaa25 Xaa26 Xaa27 Phe Tyr Xaa30 Trp Phe Glu Xaa34 Gln Leu Xaa37(配列番号:11)に記載のF1TSを含むことに特徴があり、このときのXaa22が場合によって本Gly残基である;Xaa23が場合によって本Ser残基である;Xaa24が場合によって本Leu残基である;Xaa25が場合によって本Asp残基である;Xaa26が場合によって本Glu残基である;Xaa27が場合によって本Ser残基である;Xaa30がAsp又はGly残基である;Xaa34が任意の適切なアミノ酸残基である(ある態様では、Xaa34は、Gln、His、Lys、Glu、Asn、Asp及びSerから選択される;他の態様では、Xaa34が、Ala、Cys、Phe、His、Ile、Leu、Met、Thr、Val、Trp及びTyrから選択される;そして、さらに他の態様ではXaa34が、Glu、Gln、Thr、Lys、Ser、Gly、Pro、Asp及びGluから選択される)が、典型的にはArgである(ある態様では、Argでないことが特徴でもある);そして、Xaa37が場合によって本Glyである(式1A)、PIRAを提供する。
本発明のアミノ酸配列に関する同一性は、ニードルマン−バンスク・アラインメント分析法(Needleman-Wunsch alignment analysis、Needleman and Wunsch,J.Mol.Biol.(1970)48:443-453を参照)により、例えば、初期ギャップペナルティを−12、伸長ペナルティを−2としたBLOSUM50スコアマトリックスを使用したALIGN2.0(ALIGNプログラムに組み込まれる包括的なアラインメント技術の考察については、Myers and Miller, CABIOS(1989)4:11-17を参照されたい)により決定することができる。ALIGN2.0プログラムのコピーは、San Diego Supercomputer (SDSC) Biology Workbenchから入手可能である。ニードルマン−バンスク・アラインメントが2つの配列の間の総括的又は包括的な同一性を測定するので、より大きなペプチド配列の一部又は続きであり得る標的配列が完全な配列に類似した方法に使用されてよく、あるいは、局所的なアラインメント値を用いて、入手可能なプログラムにより得られる、例えば、スミス−ウォーターマン・アラインメント(J.Mol.Biol.(1981)147:195-197)などにより決定されるサブシーケンス間の関係を評価することが可能である(同一性を分析するために適切な他の局所的なアラインメント方法には、ヒューリスティック・ローカル・アラインメントアルゴリズムを利用するプログラム、例えば、FastA及びBLASTプログラムなどが含まれる)。例えば、同一性を評価するための更なる関連の方法は、国際特許出願公開第03/048185号に記述される。
F1TSを有することに加えて、PIRAは、式Xaa Leu Xaa Xaa Glu Trp Ala Xaa Xaa Gln Cys Glu Val Xaa Gly Arg Gly Cys Pro Ser Xaa(配列番号:12)に記載の少なくとも一の(そして典型的にはただ1つの)アミノ酸配列を含むことにさらに特徴があり、このときのXaaは任意の適切なアミノ酸残基(式6)を表す。
本発明の特定の態様では、PIRAのF1T配列及びF6T配列は互いに直接接触する。
本発明の特定の有益なことが多い態様では、本発明は、F1T配列とF6T配列とを含んでなり(このF6T配列はF1T配列のC末端に配位している)、このF1T配列とF6T配列がリンカーによって分かれるものであるPIRAを提供する。一態様では、リンカーは非アミノ酸成分(moiety)である。このような成分の例には、脂肪族ないしは芳香族の炭素鎖及び一又は複数のポリエチレングリコール(PEG)ユニットをベースとするリンカーなどが含まれる(このような化学的なリンカー及び他の適切なリンカー成分の例は、例えば米国公開特許20030195147号、同第20030236190号、同第20040023887号及び国際特許第PCT/EP2005/054095号及び国際公開第2005082404号に見られる)。特定の有益なことが多い態様では、本発明は、F1T配列とF6T配列とを(式1、式6-定位で)含んでなり、F1T配列及びF6T配列が一又は複数のアミノ酸残基によって分かれるものであるPIRAを提供する。特定の態様では、F1T配列(F1TS)とF6T配列(F6TS)は、1〜10のアミノ酸残基、例として1〜8アミノ酸残基、例として1〜7、2〜7、2〜6、1〜6、2〜5、1〜5、3〜6、3〜7又は3〜5のアミノ酸残基によって、又はこの範囲内に含まれる任意の数の残基(例えば1、2、3、4、5、6又は7の残基)によって分かれる。特に明記しない限り、任意の適切なアミノ酸配列リンカーをF1TS及びF6TSを結合させるために用いることができる。適切なリンカー配列の特性は当分野で公知であるので、本明細書中で詳述する必要はない。通常、アミノ酸配列リンカーは、典型的に主に「可動性の(フレキシブルな)」アミノ酸残基からなる(少なくとも50%、少なくとも70%、少なくとも85%、少なくとも90%などを構成する)。可動性であるとみなし、リンカー配列として単独で又は組み合わせて用いられることの多い天然に生じるアミノ酸残基には、セリン残基、グリシン残基などが含まれる(例えば、ある態様では、本発明は、式XaaL1 XaaL2 XaaL3 XaaL4 XaaL5 XaaL6に記載の配列を含むリンカーを含んでなり、XaaL1 XaaL2 XaaL3 XaaL4 XaaL5 XaaL6の各々は独立してGly又はSerであるPIRAを提供する(このようなリンカーの例は配列Gly Gly Ser Gly Gly Ser(配列番号:13)を含むリンカーに具体化される))。しかしながら、Gln、Thr、Lys、Pro、Asp、Phe及びArg残基も、十分に「可動性である」と考えられうるが、典型的にはこれらの残基の多くの包含は、あったとしてもあまり好ましくない。類似の「可動性」を有する合成して修飾したアミノ酸残基も用いられうる。また、例えばリンカーが他の生物学的機能によって与えられるものである場合、リンカー内のある割合の残基は「非可動性の」残基から生じうる。この文脈及び他の文脈でPIRAに好適に組み込まれうる様々な非共通のアミノ酸残基は当分野で公知であり、本明細書中で援用される参考文献に記載されており、望ましい特性を有する残基の選別は所定の試験のみを用いて当業者の技術の範囲内である。例えば、α螺旋形のリンカーが望ましい場合、例えばAib(アミノイソ酪酸)などの非天然のアミノ酸を用いることができ、βターンが望ましい場合、リンカーはGly−Pro配列又は非天然の配列のいずれかを含有しうる。通常、アミノ酸配列リンカーはアミノ酸に限られていて、非アミノ酸リンカー成分を全く含んでいない。代替的な態様では、一又は複数のアミノ酸残基と非アミノ酸連結成分からなるリンカーが用いられうる。
一態様では、本発明は、F1T配列とF6T配列とを(式1、式6-定位で)含んでなり、終末誘導体化成分(terminal derivatizing moiety)(「TDM」)を含むことを特徴とするPIRAを提供する。通常、終末誘導体化成分は、インビボで(すなわち、哺乳動物宿主内で)PIRAの安定性を促す及び/又は溶解性の向上や薬剤安定性の向上などの他の所望の特性を有するPIRAを提供する任意の誘導体化成分でありうる。このような特性の測定値は慣習的に用いられる方法によって達成されうる。
典型的なTDMには、アシル(例えばアセチル)及びアミド基が含まれる(言い換えれば、典型的なTDM関連PIRAは、少なくとも一(典型的にはただ1つ又は2つの)アシル誘導体化アミノ酸残基又はアミド誘導体化アミノ酸残基を含んでなる)。また、TDM含有PIRAは場合によって、F1TSとF6TSを分けるリンカー、例えばアミノ酸配列リンカーを含むという特徴があってもよい。典型的に、TDMを含む任意のタイプのPIRAは、(直接又はリンカー(アミノ酸配列リンカー又は非アミノ酸配列リンカーのいずれか)を介してのいずれかであるが、典型的には直接)F6TSのC末端に配位したTDMを含んでなり(通常、PIRAは、上記のように配位するただ1つのTDMを含んでなる)、通常、このF6TSの末端はPIRAの末端を構成する。
特定の態様では、本発明は、F1TSとF6TSとを式1、式6-定位で含んでなるPIRAであって、該F1TSとF6TSはアミノ酸配列リンカーによって結合されるか又は分離され、該F6TSはWLDEEWAQVQCEVYGRGCPS(配列番号:14)から選択されていないことを特徴とするPIRAを提供する。他の態様では、本発明は、このような特徴を有するPIRAであって、該F6TSはWLDEEWAQVQCEVYGRGCPS又はWLDQEWAWVQCEVYGRGCPS(配列番号:15)から選択されていないことを特徴とするPIRAを提供する。さらに別の態様では、本発明は、FT6配列を有するPIRAであって、配列番号:14、配列番号:15又は配列番号:14及び配列番号:15の両方におよそ95%以下、およそ90%以下、およそ85%以下、およそ80%以下又はさらにおよそ75%以下の同一性を有するという特徴があるPIRAを提供する。より具体的な態様では、本発明は、配列番号:14又は配列番号:15に70〜95%、75〜95%、80〜95%、85〜95%、90〜95%、70〜90%、75〜90%、75〜85%、75〜80%、80〜90%、80〜85%、およそ80%又はおよそ85%の同一性を有するF6TSを含んでなるPIRAを提供する。場合によって、このようなPIRAは、一又は複数のTDMを含むことにさらに特徴があってもよい。
他の態様では、本発明は、SLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY(配列番号:16)におよそ70〜95%の同一性、例としておよそ75〜95%、80〜95%、85〜95%、90〜95%、90%、95%、85%、80%、75%、75〜90%又は80〜90%の同一性を有すると特徴付けられるF6TSを含んでなるPIRAを提供する。場合によって、このようなPIRAはF1TSとF6TSとの間のリンカーにより結合されてもよく、このリンカーは典型的にはアミノ酸配列リンカーである。このようなPIRAは、一又は複数のTDMとも結合してよいし、あるいは一又は複数のTDMと結合してもよい。例えば、このようなPIRAは、F6TSのC末端のTyr残基(このC末端残基は通常、PIRAのC末端となる)又はTyr残基と置換する残基又は他の近接する終末残基(例えばF6TSがTyr21を欠失しているF6TSの場合にSer20に「相当する」と考えられうる残基)に配位する単一のTDMを含みうる。
一態様では、本発明は、式6に包含されるCys残基の一又は両方(又は、F6TSの相当するCys残基)が欠損しているか又は置換されているF6TSを含んでなるPIRAを提供する。また、このようなF6TSはF6TSに関して本明細書に記載のいずれかの特徴又は複数の特徴の組合せを表しうる(例えば、他の場合では式6a(後述)に記載の配列を含む−すなわち、本発明は、式6aに記載の配列を含むが、その一又は両方のCys残基はそれぞれ(両方のCys残基が影響する場合)欠損しているか又は他の好適な残基や成分に置換されているPIRAを提供する)。
他の態様では、本発明は、式6のCys残基と同様に配位する2つのCys残基の保持に特徴があるPIRAを提供する。このようなF6TSは、F6TSに関して本明細書に記載のいずれかの特徴又は複数の特徴の組合せを表しうる。
他の例示的で特定の態様では、本発明は、式Xaa Leu Xaa Xaa Glu Trp Ala Xaa Xaa Gln Cys Glu Val Xaa14 Gly Arg Gly Cys Pro Ser Xaa21(配列番号:17)に記載のF6TSを含んでなり、このときのXaaが任意の適切なアミノ酸残基である;XaaがAsp、Glu又は他の適切な酸性の残基である;Xaaが任意の適切なアミノ酸残基である(典型的には、C、D、E、H、K、N、Q、R、S及びTから選択される残基;より典型的には、N、E、Q、H、R及びKから選択した残基;そして、さらにより典型的にはN、E、Q及びKから選択される残基);Xaaが任意の適切なアミノ酸残基である;Xaaが任意の適切なアミノ酸残基である(典型的にはI、L、V、M、F、G及びAから選択される;より典型的にはI、L、V及びMから選択される;そして、さらにより典型的にはI、L又はVから選択される);Xaa14がシクロアルケニル結合性のアミノ酸残基である(例えば、W、F、Y又はH;典型的にはW、F又はY);そして、Xaa21が欠失しているか、非荷電性の親水性又は極性のアミノ酸残基(例えばS、T、N、Q、Y、C又はG)である(式6a)、PIRAを提供する。式6a配列を含んでなるPIRAは、上記のように、TDMを含む、及び/又はF1TSと式6a配列(上記に記載)との間にリンカー(例えばアミノ酸配列リンカー)を含むという特徴があってもよい。式6a PIRAは、式6a配列がWLDEEWAQVQCEVYGRGCPS(すなわち、配列番号:14)、WLDQEWAWVQCEVYGRGCPS(すなわち、配列番号:15)又はSLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY(すなわち、配列番号:16)ではないという限定に特徴があり得、より具体的な態様ではこのようなPIRAは、ここで包含される式6a配列が、配列番号:14−16の一又は複数におよそ70〜95%、例としておよそ75〜90%、例としておよそ75〜85%、例としておよそ75〜80%、例としておよそ80〜90%、例としておよそ75%、80%、85%又は90%の同一性であるという事実に特徴があってもよい。
さらに別の例示的で具体的な態様では、本発明は、式Xaa Leu Xaa Xaa Glu Trp Ala Xaa Xaa Gln Cys Glu Val Xaa14 Gly Arg Gly Cys Pro Ser Xaa21(配列番号:18)に記載のF6TSを含んでなり、このときのXaaがTrp又はSerである、XaaがGlu又はAspである;XaaがGlu又はGlnである;XaaがGln又はTrpである;XaaがIle又はValである;Xaa14がTrp又はTyrである;そして、Xaa21が欠失しているか又はTyrである(式6b)、PIRAを提供する。
式6b配列を含むPIRAは、上記のように、TDMを含む、及び/又はF1TSと式6b配列(上記に記載)との間にリンカー(例えばアミノ酸配列リンカー)を含むという特徴があってもよい。式6b PIRAは、式6b配列がWLDEEWAQVQCEVYGRGCPS(すなわち、配列番号:14)、WLDQEWAWVQCEVYGRGCPS(すなわち、配列番号:15)又はSLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY(すなわち、配列番号:16)ではないという限定に特徴があり得、より具体的な態様ではこのようなPIRAは、ここで包含される式6b配列が、配列番号:14−16の一又は複数におよそ70〜95%、例としておよそ75〜90%、例としておよそ75〜85%、例としておよそ75〜80%、例としておよそ80〜90%、例としておよそ75%、80%、85%又は90%の同一性であるという事実に特徴があってもよい。
他の態様では、本発明は、WLDEEWAQVQCEVYGRGCPS(すなわち、配列番号:14)、WLDQEWAWVQCEVYGRGCPS(すなわち、配列番号:15)及びSLEEEWAQIQCEVWGRGCPS(すなわち、配列番号:16)から選択されるF6TSを含んでなるPIRAを提供する。本明細書において記述される他のPIRAのように、前記のPIRAは、F1TSとF6TSとの間にリンカー(例えばアミノ酸配列リンカー)及び/又はTDM(典型的には、F6TSのC末端に配位するか、又はF6TSの端の近くに位置する残基に配位する)を含みうる。
他の態様では、本発明は、既に述べた特徴の一又は複数を含むことを特徴とし、PIRAの式6タイプ配列は、配列SLEEEWAQIQCEVWGRGCPS(配列番号:19)を含まないPIRAを提供する。
より具体的な例示的な態様では、本発明は、式GSLDESFYDWFERQL-Z1-SLEEEWAQIQCEVWGRGCPS-Z2(配列番号:20)に記載のアミノ酸配列(コアモチーフ配列)を含んでなり、Zはアミノ酸リンカーを表し、Zは場合によって本終末誘導体化成分、アミノ酸ないしはアミノ酸配列(例えば、安定している配列、例として、アルブミン又はアルブミン由来の配列)、誘導体化アミノ酸残基、又はC末端誘導体化アミノ酸残基を含むアミノ酸配列を表す、PIRAを提供する。
本発明によって提供される具体的な例示的なPIRAは、GSLDESFYDWFERQLGGGSGGSSLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY-アミド(「S661」)である。
さらに他の態様では、本発明は、GSLDESFYDWFERQLGGGSGGSSLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY(配列番号:19)におよそ65〜95%の同一性、例としておよそ70〜95%、75〜95%、80〜95%、85〜95%、90〜95%、65〜90%、70〜90%、75〜90%、85〜90%、65〜85%、70〜85%、75〜85%、65%、70%、75%、80%、85%又は90%の同一性を有するコアモチーフを含んでなるPIRAを提供する。このような「S661様PIRA」は、典型的にはC末端Tyr残基(又は、それに「相当する」と考えられうる残基−例えば配列アラインメント分析によって決定される)と結合しているTDMを含むことに特徴があってもよい。
PIRAは任意の適切な方法により調製される。例えば、PIRA、特に、非誘導のPIRAは、何れかの適切な発現系において融合タンパク質として産生されうる。組換え融合タンパク質の産生に関する方法及び原理は当該分野において十分に周知であり、ここに詳しく記載する必要はない。また、標準的なペプチド合成(例えば、固相ペプチド合成)をPIRAを生成するために使用することもできる。そのような組換え産生又は合成されたペプチドは更に誘導、コンジュゲーション、多量体化などに供され、更に、本発明の範囲内の複雑な分子を形成することも可能である。PIRAは同様に、何れかの適切な技術により精製されてもよい。例えば、特定の精製「タグ」(精製容易化配列又は成分)を含む「PIRA融合タンパク質」を公知の方法により生じることが可能であり、また、そのような分子を得るために使用されてもよい。非融合タンパク質PIRAを直接精製するために、ディファレンシャル電気泳動、クロマトグラフィ、遠心分離などの方法が使用されてもよく、同様に、非融合タンパク質PIRAの特徴に向けられる親和性(例えば、抗体ベース)の方法も可能である。
また、PIRAは、限定するものではないが、上記のTDM-結合PIRAを含む、タンパク質「誘導体」(又は「PIRA誘導体」)を含む。「誘導体」なる用語は、一般的に、含有される一又は複数のアミノ酸残基が化学的に修飾(例えば、アルキル化、アシル化、エステル形成、アミド形成又は他の同様な種類の修飾など)された、又は共有結合的に一又は複数の他の異種置換基(例えば、親油性置換基、PEG成分、適切な有機成分リンカーにより連結されているペプチド側鎖など)と結合しているタンパク質又はペプチドを指す。
一般的に、ここに記載のPIRAは、何れかの適切な数のこのように修飾されたアミノ酸の包含により、及び/又はこのようにコンジュゲートされた置換基との結合により修飾される。この文脈において適合性は一般に、対応する「ネイキッド」(すなわち、非誘導体の)相当物PIRAに関してIRアンタゴニストとして作用する誘導体の能力によって決定される。一又は複数の修飾されたアミノ酸の包含は、例えば(a)ポリペプチドの血清半減期の増大、(b)ポリペプチドの抗原性の減少、又は(c)ポリペプチドの貯蔵安定性の増加の場合に有利でありうる。アミノ酸は、例えば、翻訳と同時に、又は翻訳後の組換え産生の間に修飾されるか(例えば、哺乳類細胞における発現中のN−X−S/TモチーフでのN−連結グリコシル化など)、又は合成手段により修飾される。修飾されたアミノ酸の非限定的な例には、グリコシル化アミノ酸、硫酸化アミノ酸、プレンリー化(prenlyated)(ファルネシル化、ゲラニルゲラニル化など)アミノ酸、アセチル化アミノ酸、アシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸(PEGylated amino acid)、ビオチン化アミノ酸、カルボキシル化アミノ酸、リン酸化アミノ酸などを含む。当該アミノ酸の修飾において当業者に指針となるために十分な参考が、文献の至るところにある。例示的なプロトコールは、例えば、Walkerの文献に見ることができる(Walker(1998)PROTEIN PROTOCOLS ON CD-ROM Humana Press, Towata, NJ.)。典型的に当該修飾されたアミノ酸は、グリコシル化アミノ酸、PEG化アミノ酸、ファルネシル化アミノ酸、アセチル化アミノ酸、ビオチン化アミノ酸、脂肪成分にコンジュゲートしたアミノ酸及び有機誘導体化剤にコンジュゲートしたアミノ酸から選択される。
PIRAは、ポリマーに共有結合的にコンジュゲートすることにより化学的に修飾され、例えば、それらの循環半減期を増大する。そのようなポリマーをペプチドに対して付着させるための例示的なポリマー及び方法は、例えば、米国特許第4766106号;同第4179337号;同第4495285号;及び同第4609546号などに説明されている。更なる例示的なポリマーは、ポリオキシエチル化ポリマー及びポリエチレングリコール(PEG)成分を含む(例えば、PIRAは分子量がおよそ1000からおよそ40000、例えばおよそ2000からおよそ20000、例えばおよそ3000〜12000、更に詳細にはおよそ5000のPEGにコンジュゲートされうる)。
したがって、本発明のペプチドは、当分野に公知の一又は複数の修飾に供してもよく、それは、貯蔵安定性、薬物動態、及び/又は当該ペプチドの生理活性の何れかの態様、例えば、力価、選択性及び薬物相互作用などを操作するために有用であってもよい。当該ペプチドが供されうる化学的修飾には、これに限定するものではないが、一又は複数のポリエチレングリコール(PEG)、モノメトキシ−ポリエチレングリコール、デキストラン、ポリ-(N-ビニルピロリドン)ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリプロピレングリコール、ポリオキシエチル化ポリオール(例えば、グリセロールなど)及びポリビニルアルコール、コロミン酸又は他の炭化水素ベースのポリマー、アミノ酸のポリマー、及びビオチン誘導体の、ペプチドへのコンジュゲートが含まれる。タンパク質のCys残基でのPEGコンジュゲートは、例えば、Goodson, R. J. & Katre, N. V. (1990)Bio/Technology 8, 343 及び Kogan, T. P. (1992) Synthetuc Comm. 22, 2417に開示される。
他の有用な修飾には、限定するものではないがアシル化が含まれ、例えば米国特許継続第6251856号及び国際公開第00/55119号に記載のような方法及び組成物を用いるなど、標準的な公知の方法を用いて行われうる。一態様では、本発明は、長時間作用性の(安定性が高い)PIRA誘導体の調製方法及びその誘導体化PIRAを提供する。ある面では、長時間作用性のPIRAは、インビボ安定性の増加に関連するドメイン、配列などを含む「PIRA部」及び一又は複数の「融合パートナー部」を含む融合タンパク質を調製することによって得られる。このような融合パートナー配列の例には、アルブミン、トランスフェリン由来の配列、及び抗体配列が含まれる。アルブミン融合タンパク質、該融合タンパク質の産生方法及び適切なアルブミン融合パートナー配列の例は、例えば米国特許第5876969号及び同第5766883号に記述される。他の面では、長時間作用性のPIRAは、例えばアルブミンに結合したままでPIRAとして作用しうる、強力なアルブミン結合が生じるアシル化(適当なリンカーを介する)のような化学修飾によってPIRAを誘導体化して得られる。また、後者は、ペプチド配列を修飾するか又はより大きなタンパク質(α2-マクログロビンに結合する、例えば骨原性成長ペプチド(OGP)など)に結合することができる配列によってペプチド配列を伸長することによって達成されうる。
PIRAは、同種の組成物中、又は、他の活性な及び/又は不活性な成分と組み合わせて提供されうる。
PIRAは典型的に、少なくとも実質的に純粋な形態で使用及び提供される。「実質的に純粋な」分子は、属する分子の種類に関して見出される、組成物中の主な種(species)である分子である(例えば、実質的に純粋なタンパク質は見出される組成物中の主なタンパク質種である)。実質的に純粋な種は、組成物中の分子の種類の重量で少なくもおよそ50%を構成し、及び典型的には、組成物中の分子種の少なくともおよそ70%、少なくともおよそ80%、少なくともおよそ85%、少なくともおよそ90%、少なくともおよそ95%又はそれ以上を構成するであろう。通常、PIRAを含んでなる組成物は、組成物中に存在するすべてのペプチド種との関係で、又は少なくとも提案した使用に関して実質的に活性なペプチド種の関係でPIRAについて少なくともおよそ98%、98%又は99%の均一性を示す。例えば、ペプチド安定剤/緩衝剤、例えばアルブミンなどは、意図的に最終薬学的製剤に、当該PIRAの活性を妨げることなく含まれてよく、したがって、そのような純度計算から除外してよい。基本的な活性を妨げない不純物の存在もまた、実質的に純粋な組成物という面において許容されうる。純度は、当該化合物に適切な方法により測定される(例えば、クロマトグラフィー法;アガロース及び/又はポリアクリルアミドゲル電気泳動;HPLC分析;など)。
ある態様では、本発明は「単離された」PIRAを含んでなる組成物に関する。「単離された分子」は、有意なレベル(例えば、およそ1%以上、およそ2%以上、およそ3%以上又はおよそ5%以上など)の任意の外来及び望ましくない生物学的分子、例えば細胞、細胞培養物、化学培地、又はPIRAを産生する動物に含まれる非PIRA生物学的分子などに結合しない分子を指す。また、単離された分子は、有意に長い時間(例えば、少なくともおよそ10分、少なくともおよそ20分、少なくともおよそ1時間又はそれ以上)に亘るヒトの介入(自動、手動又はその両方)によってそのような精製段階を経た任意の分子をいう。本発明により提供される多くの種類の組成物において、例えば、一又は複数の薬学的に許容される担体を含む組成物において、PIRAは、当該組成物中の総分子種の数に関して比較的小さい量で存在する(例えば、多くの量の薬学的に許容される担体、安定剤及び/又は保存剤を含んでなる組成物の場合など)。ある場合では、更なるペプチド、例えばウシ血清アルブミン(BSA)は、予め精製されたPIRAとともに該組成物に含まれる。しかしながら、当該組成物の更なる成分が意図されるPIRAの適用に許容される場合、該組成物はなお、単離されたPIRAを含むと記述することが可能である。言い換えれば、「単離された」なる用語は、他の化合物又は物質を伴う人工又は合成の混合物、例えば、薬学的に許容される製剤の一部分を形成しうる混合物などを除外することを意味するものではない。
ある態様では、本発明は、他のIR結合分子を実質的に含まない一又は複数のPIRAを含んでなる組成物を提供する。
他の態様では、本発明は異なる特徴を有する多くのPIRAを含んでなる組成物を提供する(例えば本発明はある態様において、異なる特徴を有するPIRAの「カクテル(混合)」を提供する)。
医薬品への使用のためのPIRA組成物は、PIRA、PIRAの組み合わせ又は一又は複数のPIRA及び更なる活性/治療薬を一般的に望ましくは治療的有効量で含み、典型的には少なくとも生理学的な有効量で含む。
「治療的有効量」などの用語は、生物学的に活性な化合物又は組成物の量をいい、適切な用量で、適切な期間に亘り、典型的に化合物又は組成物に応答性の宿主に対して送達される場合に、宿主において所望の治療結果を達成するために十分である、及び/又は典型的に実質的に同様な宿主(例えば、治療されるべき患者と同様な特徴を有する患者など)においてそのような治療結果を達成できる。PIRAの治療的有効量は、個々の疾病の状態、年齢、性別及び体重、並びに当該PIRAの個々における所望の応答を引き出す能力などの因子に従って変わる。また、治療的有効量は、作用薬の任意の有毒性又は有害性の効果よりも、その治療上の有益な効果の方が上回るものである。代表的な治療効果は、例えば(a)特定の対象又は実質的に同様な対象の集団における疾患、疾病又は関連する状態の重症度の低減;(b)一又は複数の症状又は疾患、疾病又は状態と関連する生理的な状態の減少;及び/又は(c)予防的な効果などがある。疾患の重症度の低減は、例えば(a)疾病の広がりにおける測定可能な減少;(b)対象における正の結果の機会の増加(例えば、少なくともおよそ5%、10%、20%、25%以上など);(c)生存又は寿命を増やす変化;及び/又は(d)疾患状態の存在に関連する一又は複数の生物マーカーにおける測定可能な減少(例えば、症状の量及び/又は重症度の減少など)などがある。治療的有効量は、個々の対象との関係において、より一般的には実質的に同様な対象の集団(PIRA組成物にかかわる臨床試験に登録された同様の疾病を有する多くのヒト患者、又は、前臨床試験との関連でPIRAを試験するために使用される同様な一連の特徴を有する多くの非ヒト哺乳動物)との関係において、測定される。
ヒトの治療用途/投薬計画に適するPIRAの用量は、およそ1〜200nmol/kgの範囲、例えばおよそ1〜100nmol/kgであると思われる。
また、PIRAは予防的有効量で宿主に送達されてもよく、疾患/疾病予防プログラムの一環として、さもなければ一般的な健康を増進のためであってよい。「予防的有効量」は、該化合物又は組成物に典型的に応答する宿主において必要な用量且つ時間に亘って有効であり、宿主において所望の予防結果が達成される、又は実質的に同様な宿主において該結果が典型的に達成できる、活性化合物又は組成物の量を指す。例示的な予防効果は、当該予防療法を受けていない同様の患者などと比較して、疾病の進行の可能性を低下すること、疾病の強さ又は広がりを低下すること、切迫した疾病の間の生存の可能性を増加すること、疾患状態の発症を遅らせること、切迫した状態の広がりを減少することなどを含む。典型的には、予防用量は、疾患に先駆けて又は疾患早期段階で使用されるため、当該予防的有効量は、特定のPIRAの治療的有効量よりも少ないであろう。予防効果はまた、PIRA組成物を受けていない実質的に同様な被検体と比較して、発病を予防すること、発病時間を遅らせること、当該疾患の結果的な重症度を低下することなどを含む。
他の態様では、PIRAは、「生理学的に有効な」量で宿主又は細胞に対して送達される。生理学的に有効な量は、該薬剤に正常に応答する宿主への投与により、IRアンタゴニスト作用に関連する少なくとも一の生理学的な効果が誘導、促進及び/又は増強する活性な薬剤の量である。
PIRAは、一又は複数の意図される投与経路に適切な一又は複数の担体(希釈剤、賦形剤など)と組み合わせて、一又は複数のPIRAを含んでなる薬学的に受容可能な組成物を調製する状況において、薬学的に許容される組成物を提供しうる。
PIRAは、通常の投与のために、例えば、乳糖、ショ糖、パウダー(例えば、デンプンパウダーなど)、アルカン酸のセルロースエステル、ステアリン酸、タルク、ステアリン酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸ナトリウム及びリン酸カルシウム、硫酸ナトリウム及び硫酸カルシウム、アラビアゴム、ゼラチン、アルギン酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン及び/又はポリビニルアルコールなどと混合されてもよく、並びに任意に更に錠剤化されてもよく、又はカプセルに包まれてもよい。あるいは、PIRAは生理食塩水、水、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、カルボキシメチルセルロースコロイド水溶液、エタノール、トウモロコシ油、ピーナッツ油、綿実油、トラガカントゴム、及び/又は種々のバッファーに溶解されてもよい。他の担体、補助剤及び投与様式は医薬品の分野において周知である。担体又は希釈剤は、時期を遅らせる物質、例えば、グリセリルモノステアレート又はグリセリルジステアレート単独又はワックスあるいは他の機能的に同様な物質と共に含んでもよい。
薬学的に受容可能な担体は、一般的に何れか及び全ての適切な溶媒、分散媒、コーティング、抗菌性及び抗真菌性の薬剤、等張性及び吸収遅延剤など、生理的にPIRAに適合するものが含まれる。薬学的に許容される担体は、水、生理食塩水、リン酸バッファー食塩水(PBS)、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、並びにその何れかの組み合わせを具組む。多くの場合において、望ましくは等張性剤、例えば、糖、ポリアルコール、例えば、マンニトール、ソルビトール又は塩化ナトリウムなどをそのような組成物中に含む。薬学的に受容可能な物質、例えば、湿潤剤又は少量の補助剤、例えば、湿潤剤又は乳化剤、保存剤又はバッファー、望ましくは当該PIRA、関連する組成物又は組み合わせの貯蔵寿命又は有効性を高める。薬剤的組成物の担体及び他の成分に対する適合性は、当該PIRA、関連する組成物又は組み合わせの所望の生物学的性質に対して有意に負の影響がないことに基づいて決定できる(例えば、およそ20%、15%、10%、5%又は1%未満のIRアンタゴニスト作用の低下)。
本発明に係るPIRA組成物、関連する組成物及び組み合わせは、種々の適切な形態で与えられ、製造され及び/又は投与されてよい。そのような形態は、例えば、液体、半固体及び固体投与量形態、例えば、液体溶液(例えば、注射可能及び注入可能な溶液)など、分散系又は懸濁液、乳液、ミクロエマルジョン、錠剤、丸剤、パウダー、リポソーム、デンドリマー(dendrimers)及び他のナノ粒子(例えば、Baek等,Methods Enzymol.2003;362:240-9;Nigaverkar等,Pharm Res.2004 Mar;21(3):476-83を参照されたい)、微小粒子及び坐薬を含む。任意のPIRA関連組成物のための最適な形態は、意図される投与様式、その組成物又は組み合わせの性質、及び治療学的な適用又は他の意図される使用に依存する。剤形はまた、例えば、パウダー、ペースト、軟膏、ゼリー、蝋、油、脂質、脂質(陽イオン又は陰イオン)含有ベシクル、DNA複合体、無水吸水ペースト、水中油形及び油中水形乳液、乳液、カーボワックス(種々の分子量のポリエチレングリコール)、カーボワックスを含む半固体ゲル及び半固体混合物などを含む。前述の混合物はいずれも、PIRAによるIRのアンタゴニスト作用がその剤形により著しく阻害されず、その剤形が生理学的に適合し、投与経路に耐えられるとの条件で、本発明に係る処置及び療法に適切であってよい。例えば、Powell等の文献(Powell等"Compendium of excipients for parenteral formulation" PDA J Pharm Sci Technol.52:238-311(1998))、及びその中の製薬化学者に周知の賦形剤及び担体に関する更なる情報のための引用を参照されたい。具体的な態様では、PIRAは製剤化されリポソーム中で投与される。他の態様では、PIRAは、リポソーム中で一又は複数の第二薬剤と共に投与される。
また、PIRA組成物はPIRAペプチド及び関連する塩の何れかの適切な組み合わせを含んでなる組成物を含む。何れかの適切な塩、例えば、何れかの適切な形態(例えば、バッファー塩など)のアルカリ土塁金属塩をPIRAの安定化において使用される(好ましくは、典型的に塩の総計は、当該PIRAの酸化及び/又は沈殿が回避されるような量である)。適切な塩は典型的に、塩化ナトリウム、コハク酸ナトリウム、硫酸ナトリウム、塩化カリウム、塩化マグネシウム、硫酸マグネシウム、及び塩化カルシウムを含む。塩基及び一又は複数のPIRAを含んでなる組成物もまた提供される。
PIRA組成物の送達の典型的な様式は、非経口投与(例えば、静脈内、皮下、腹腔内及び/又は筋肉内投与など)による。ある態様では、PIRAはヒト患者に対して静脈内注入、により投与される。他の態様では、PIRAは筋肉内又は皮下注射により投与される。また、腫瘍内投与もある治療計画(例えば、インスリノーマの治療の場合)において有用でありうる。
PIRAは、例えば、固体製剤(例えば、顆粒、パウダー、噴出性粒子、又は坐薬などを含む)、半固体形態(ゲル、クリームなど)、又は液体形態(例えば、溶液、懸濁液又は乳液など)に製剤化されてもよい。PIRAは多様な溶液に適用されてもよい。本発明に係る使用に適切な溶液は、典型的に、滅菌、溶解された十分な量のPIRA及び当該組成物の他の成分で、製造及び貯蔵のための条件下において安定なものであり、提案された適用のための被検体に対して有害ではない。PIRAは、通常の製薬操作、例えば、滅菌などに供してもよく、及び/又は通常の補助剤、例えば、保存剤、湿潤剤、乳化剤、バッファー等を含んでもよい。組成物はまた、溶液、マイクロエマルジョン、分散系、パウダー、マクロエマルジョン、リポソーム又は他の要求される高薬物濃度のために適切な構造として製剤化される。溶液の所望の流動特性は、例えば、コーティング、例えば、レクチンの使用により、分散系の場合において必要とされる粒子サイズを維持することにより、及び界面活性剤の使用によって維持されてよい。注射可能な組成物の吸収の延長は、当該組成物に吸収を遅らせる薬剤、例えば、モノステアレート塩及びゼラチンなどを含ませることにより達成されうる。本発明の薬学的に許容される組成物のこれら及び他の成分が、有利な特性、例えば、改善された移行、送達、耐久力などを与える。
医薬使用のための一又は複数のPIRAを含んでなる組成物は、種々の希釈剤、充填剤、塩、バッファー、界面活性剤(例えば、非イオン性界面活性剤、例えば、Tween-80など)、安定剤(例えば、糖又はタンパク非含有アミノ酸など)、保存剤、組織固定剤(tissue fixatives)、可溶化剤及び/又は医薬市長のための組成物への包含に適切な他の物質を含む。適切な成分の例はまた、以下の文献、例えば、Berge等, J. Pharm. Sci.,6661)1-19(1977); Wang and Hanson, J. Parenteral. Sci. Tech: 42, S4-S6(1988);米国特許第6165776号及び同第6225289号;及びここで引用される他の文献に記載される。そのような医薬組成物生物はまた、保存剤、酸化防止剤又は当業者に公知の他の添加剤を含む。更なる薬学的に許容される担体は、当該分野において公知であり、例えば、次の文献に記載される;Urquhart等, Lancet,16,367(1980), Lieberman等, Pharmaceutical Dosage Forms-Disperse Systems(2nd ed., vol. 3,1998);Ansel等, Pharmaceutical Dosage Forms & Drug Delivery Systems(7th ed. 2000); Martindale, The Extra Pharmacopeia(31st edition),Remington's Pharmaceutical Sciences(16th-20th editions); The Pharmacological Basis Of Therapeutics, Goodman and Gilman, Eds.(9th ed.-1996);Wilson and Gisvolds'TEXTBOOK OF ORGANIC MEDICINAL AND PHARMACEUTICAL CHEMISTRY, Delgado and Remers, Eds.(10th ed. -1998) 及び米国特許第5708025号及び同第5994106号。薬学的に許容される組成物を製剤化するときの原則も、例えば、以下の例に記載される;Platt, Clin. Lab Med., 7:289-99(1987), Aulton, Pharmaceutics: The Science Of Dosage Form Design, Churchill Livingstone(New York)(1988), EXTEMPORANEOUS ORAL LIQUID DOSAGE PREPARATIONS, CSHP(1998),及び"Drug Dosage", J. Kans. Med. Soc,. 70(1), 30-32(1969)。PIRA組成物及び関連する組成物(例えば、PIRAをコードする核酸又はPIRAをコードする核酸を含むベクターを含む組成物)の特に投与に適切な更なる薬学的に受容可能な担体は、例えば、国際公開第98/32859号に記載される。
PIRA組成物は、迅速な放出を防ぐであろう担体、例えば、制御された放出製剤、例えば、インプラント、経皮的パッチ、及びマイクロカプセルに入れられた送達系などと共に製造される。生分解性のある生物的適合性のポリマーも使用され、それらは例えば、エチレンビニルアセテート、ポリ無水物(polyanhydrides)、ポリグリコール酸、コラーゲン、ポリオルトエステル(polyorthoesters)及びポリ乳酸、並びにそのような組成物を提供するようなその何れかの組み合わせである。そのような組成物の製造方法は公知である。例えばSustained and Controlled Release Drug Delivery Systems, J. R. Robinson, ed., Marcel Dekker, Inc., New York, 1978を参照のこと。
他の態様では、本発明の組成物は、経口投与のための賦形剤、例えば、不活性希釈剤又は同化可能な食用担体(特定の経口投与製剤及び方法はまた、本明細書の他の場所に個々に記載される)と共に製剤化される。PIRA化合物(及び、もし所望なら他の成分)もまた、硬ゼラチンカプセル又は軟シェルゼラチンカプセルに封入されてもよく、錠剤に加圧されてもよく、対象の食事に直接に混ぜてもよい。治療上の経口投与のために、当該化合物が賦形剤と共に組み込まれて、摂取可能な錠剤、バッカル錠、トローチ、カプセル、エリキシル剤、懸濁液、シロップ、カシュ剤などの形態で使用される。本発明の化合物を非経口投与により投与するために、当該化合物をそれの不活性化を予防するための物質でコートする、又はそれの不活性化を予防するための物質と当該化合物を共投与することが必要かもしれない。
他の態様では、PIRA組成物は注射可能な液体溶液又は懸濁液の何れにでも調整されるが、注射に先駆けて液体に、溶液又は懸濁に適切な固体形態に調整されてもよい。また、調整は乳液化されてもよい。当該活性治療用成分は、多くの場合、薬学的に(即ち、生理学的に)許容され、当該活性成分に適合する賦形剤と混合される。適切な賦形剤は、例えば、水、生理食塩水、デキストロース、グリセロール、エタノールなど、及びその組み合わせである。加えて、もし所望であれば、当該組成物は少量の補助物質、例えば、潤滑剤又は乳化剤、pH緩衝剤を含み、これらは当該活性成分の効力を高める。
あるいは、PIRAは薬剤的組成物に対して中和された生理学的に許容される塩形態として配合される。適切な塩は、酸付加塩(すなわち、当該ペプチド分子の遊離型のアミノ基と形成される)を含み、無機酸、例えば、塩化水素酸又はリン酸、又は有機酸、例えば、酢酸、シュウ酸、酒石酸、マンデル酸などと形成された酸付加塩を含む。遊離型のカルボキシル基から形成された塩はまた、無機塩基、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、水酸化カルシウム又は水酸化第二鉄など、及び有機塩基、例えば、イソプロピルアミン、トリメチルアミン、2-エチルアミンエタノール、ヒスチジン、プロカインなどから誘導されうる。(ここにおいて更に考察する)組み合わせ組成物の場合では、PIRAは一又は複数の更なる治療剤と共に製剤化されても、及び/又は共に投与されてもよい。そのような組み合わせ療法は、より低用量の当該PIRA及び/又は共投与される薬剤が必要とされ、これは多様な単剤療法に関連する可能な毒性又は合併症を回避するためである。
他の面では、本発明はPIRAコード核酸(すなわち、一又は複数の好適な宿主細胞でのPIRAの発現のために共に又は別々にコードする一又は複数の核酸を含む核酸)を提供する。PIRAコード核酸は、何れか適切な特質を有し、何れか適切な特徴を含む。したがって、例えば、PIRAコード核酸は、DNA、RNA又はそのハイブリッドの形態であってもよく、非天然塩基又はヌクレオチド類似体、糖部分の置換、更なる部分(例えば、取り込み促進分子など)の複合、二次構造プロモーティング配列又はそのような特徴の組み合わせを含んでもよい。核酸は典型的に有利に、標的宿主細胞における所望の発現、複製及び/又は選択を促す特徴を含む。そのような特徴の例は、複製成分の起源、選択遺伝子成分、プロモーター成分、エンハンサーエレメント成分、ポリアデニル化配列成分、ターミネーション成分などを含み、その多数の適切な例が知られている。
更なる態様では、本発明は一又は複数のPIRAコード核酸を含むベクターを提供する。「ベクター」はデリバリー媒体と呼ばれ、PIRAコード核酸の発現、PIRAペプチドの産生、標的細胞のトランスフェクション(形質移入)/トランスフォーメーション(形質転換)、PIRAコード核酸の複製を促進したり、当該核酸及び/又はトランスフォーム/トランスフェクションされた細胞の検出を促進したり、又は他に、有利な生物学的及び/又は生理化学的な機能を当該PIRAコード核酸に与えたりする。本発明の状況におけるベクターは、任意の適切なベクターであればよく、染色体性、非染色体性、及び合成核酸ベクター(発現制御エレメントの適切なセットを含む核酸配列)を含む。そのようなベクターの例は、SV40の誘導体、細菌プラスミド、ファージDNA、バキュロウイルス、酵母プラスミド、プラスミド及びファージDNAに由来するベクター、及びウイルス核酸(RNA又はDNA)ベクターを含む。ある例示的な態様では、PIRAコード核酸は、ネイキッドDNA又はRNAベクターに含まれてもよく、それは、例えば、線状発現エレメント(a linear expression element、例えば、Sykes and Johnston (1997) Nat Biotech 17: 355-59に記載される)、コンパクト核酸ベクター(compacted nucleic acid vector、例えば、米国特許第6077835号及び/又は国際公開第00/70087号などに記載される)、プラスミドベクター、例えば、pBR322、pUC19/18又はpUC118/119、「ユスリカ」最小サイズ核酸ベクター("midge" minimally-sized nucleic acid vector、例えば、Schakowski等,(2001) Mol Ther 3:793-800に記載)、又は沈殿核酸ベクター構成物(precipitated nucleic acid vector construct)、例えば、CaPO沈殿構成物(例えば、以下に記載される;国際特許出願 WO 00/46147、Benvenisty and Reshef(1986)Proc Natl Acad Sci USA 83:9551-55、Wiglerら(1978), Cell 14:725 及びCoraro and Pearson (1981)Somatic Cell Genetics 7:603)を含む。そのような核酸ベクター及びその使用は当該分野において周知である(例えば、米国特許第5589466号及び同第5973972号を参照されたい)。ある態様では、本発明は、細菌細胞におけるPIRAの発現に適切である、PIRAコード核酸を含むベクターを提供する。そのようなベクターの例には、例えば、容易に精製される融合タンパク質の高レベルの発現に関するベクター(例えば、BLUESCRIPT(Stratagene)などの多機能大腸菌クローニング及び発現ベクター、pINベクター(Van Heeke & Schuster, J Biol Chem 264:5503-5509(1989);pETベクター(Novagen, Madison WI);など)が含まれる。好適なPIRA発現ベクターは、例えば、酵母系において発現するために適切なベクターでもあってよいか、あるいはそれでもよい。酵母系における発現に適切な何れのベクターも使用される。例えば、サッカロミセス・セレビシアエ(Saccharomyces cerebisiae)などにおいて使用するために適切なベクターは、例えば、恒常的又は誘導性のプロモーター、例えば、アルファファクター、アルコールオキシダーゼ及びPGHなどを含むベクターを含む(例えば、上掲のAusubel, 及び Grantら, Methods in Enzymo 153: 516-544(1987)に概説されている)。
また、核酸及び/又はベクターは、分泌/局在化配列をコードする核酸配列を含んでよく、それらはポリペプチド、例えば、新生ポリペプチド鎖などを所望の細胞コンパートメント、膜又はオルガネラに向ける、又はポリペプチド分泌を細胞膜周辺腔に対して又は細胞培養の培地に方向付ける。そのような配列は当該分野において公知であり、分泌リーダー又はシグナルペプチド、オルガネラターゲッティング配列(例えば、核局在化配列、ER保持シグナル、ミトコンドリアトランジット配列、クロロプラストトランジット配列など)、膜局在化/アンカー配列(例えば、ストップトランスファー配列、GPIアンカー配列など)、などを含む。
PIRA発現ベクターは、何れか適切なプロモーター、エンハンサー及び他の発現促進エレメントを含んでも、又は関連付けてもよい。そのようなエレメントの例は、強い発現プロモーター(例えば、ヒト CMV IEプロモーター/エンハンサー、RSVプロモーター、SV40プロモーター、SL3-3プロモーター、MMTVプロモーター又はHIV LTRプロモーターなど)、有効ポリ(A)ターミネーション配列、大腸菌におけるプラスミド生成物のための複製の起源、選択可能なマーカーとしての抗生物質耐性遺伝子、及び/又は簡便なクローニングサイト(例えば、ポリリンカーなど)を含む。一つの側面においてある態様では、本発明は、PIRAコード配列を含む核酸を提供し、当該PIRAは組織特異的プロモーターに機能可能に連結される。
他の態様では、当該核酸は、宿主細胞又はウイルスベクターを介してホスト動物に位置し、及び/又は宿主細胞又はウイルスベクターを介して宿主動物に送達される。何れかの適切なウイルスベクターはこの点で使用され、そのいくつかが当該技術分野において公知である。ウイルスベクターは、幾らかのウイルス性ポリヌクレオチドを単独、又は一又は複数のウイルスタンパク質と組み合わせて含まれ、所望のホスト細胞における本発明の核酸の送達、複製及び/又は発現を促進する。当該ウイルスベクターは全て又は一部分のウイルスゲノム、ウイルスタンパク質/核酸複合体、ウイルス様粒子(VLP)、米国特許第5849586号及び国際公開第97/04748号に記載されるものと同じベクター、ウイルス核酸及び本発明の当該核酸を含むインタクトなウイルス粒子を含むポリヌクレオチドである。ウイルス粒子ウイルスベクターは、複製及び/又は発現のためのもう一つのベクター又は野生型ウイルス(すなわち、ウイルスベクターはヘルパー依存性ウイルスである)、例えば、アデノウイルスベクター単位複製配列など、の存在を要求するベクターである。典型的には、そのようなウイルスベクターは、本質的に野生型ウイルス粒子、又はそのタンパク質及び/又は核酸内容物において修飾されて、導入遺伝子の能力又は当該核酸のトランスフェクション及び/又は発現における援助を増大するウイルス粒子を含む(そのようなベクターの例は、ヘルペスウイルス/AAV単位複製配列を含む)。典型的に、ウイルスベクターは正常にヒトに感染するウイルスに同じ、又はそれに由来する。この点で適切なウイルスベクター粒子は、例えば、アデノ関連ウイルスベクター粒子(AAVベクター粒子)又は他のパルボウイルスベクター粒子、パピローマウイルスベクター粒子、フラビウイルスベクター、アルファウイルスベクター、ヘルペスウイルスベクター、ポックスウイルスベクター、レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター(lentiviral vectors)を含むベクターなどを含む。そのようなウイルス及びウイルスベクターは、例えば、以下の文献に記載される;Fields等, eds., VIROLOGY RAVAN Press, Ltd., New York(3rded., 1996 and 4thed.,2001);FUNDAMENTAL VIROLOGY, Fields等, eds., Lippincott-Raven(3rded.,1995), Levine,"Viruses," Scientific American Library No.37(1992), MEDICAL VIROLOGY, D.O. White等,eds., Acad. Press(2nd ed. 1994), and INTRODUCTION TO MODERN VIROLOGY, Dimock, N.J.等, eds., Blackwell Scientific Publication, Ltd.(1994)。したがって、本発明のポリヌクレオチド及び他の核酸並びにここで記載された方法と共に使用できるウイルスベクターには、例えば、アデノウイルスウイルスベクター;アデノ関連ウイルス(AAV)ベクター;パピローマウイルスベクター;ヘルペスウイルスベクター;レトロウイルスベクター、レンチウイルスベクター、ポックスウイルスベクター(例えば、ワクシニアウイルスベクター)を含む;などが含まれる。
本発明はまた、組換え細胞、例えば、酵母、細菌及び哺乳類細胞(例えば、不死化された哺乳類細胞など)などであって、PIRAコード核酸、ベクター又はその何れか又は両方の組み合わせを含む組換え細胞を提供する。例えば、ある例示的な態様では、本発明は、本発明のPIRAの発現のためにコードする配列を含む細胞のゲノムに安定に統合された核酸を含む細胞を提供する。他の態様では、本発明は、非統合の核酸、例えば、プラスミド、コスミド、ファージミド、又は線状発現エレメントなど、を含み、PIRAの発現のためにコードする配列を含む細胞を提供する。
核酸、ベクター及び細胞を、本発明のPIRAタンパク質の代わりに、本明細書中に記載の大半の本発明の方法に用いて、例えば一又は複数のPIRAを培養物又は宿主に「送達(deliver)」してもよい(上記の他の方法によるPIRAの「投与」(例えばペプチド化合物組成物の注入、吸入など)の対語)。したがって、例えば、本発明は、哺乳動物の細胞においてIRをアンタゴナイズする方法であって、PIRAコード核酸を適切な細胞に対して当該核酸の発現及びPIRAの産生に適切な条件下で導入し、それによって発現されたPIRAをIR活性をアンタゴナイズするようにIR反応性を含む細胞に接触させることを含んでなる方法を提供する。
また、本発明は、トランスジェニック生物体であって、PIRAコード核酸又はそれと同じ物を含むベクターを含むトランスジェニック生物体を提供する。適切なトランスジェニック生物体は、マウス、ラット、ニワトリ、植物、ウシ、ヤギ、モルモット、サル及び他のヒト以外の霊長類を含む。トランスジェニック動物は、PIRAコード核酸の標準的な技術による安定した導入により産生される。
本発明の別の態様は、PIRAの新たな使用、PIRA組成物、及び関連した分子及び組成物(例えばPIRAコード核酸、関連するベクターなど)において表される。
一態様では、本発明は、IRのアンタゴニスト作用が有益である被検体(例えば、哺乳類宿主、例えば愛玩動物、家畜又はヒト患者)の疾患、疾病又は症状の治療方法であって、疾患、疾病又は症状を治療するために被検体に治療的有効量のPIRAを投与する(又は送達する、特に言及しなければ一般に本明細書中で交換可能である用語)ことを含んでなる方法を提供する。「治療」などの用語は、任意の症状又は疾患状態が生じるのを阻止することを目的として、又は既に生じた症状や疾患状態を和らげる、寛解する又は根絶する(治癒する)ことを目的として、本発明の治療的活性を持つPIRA化合物又は組成物の有効量の送達(例えば投与)を指す。したがって、「治療」なる用語は通常、予防治療を含むはずである。しかしながら、本発明の治療的投薬計画及び予防的投薬計画は本発明の別々の独立した態様とみなしうることが理解されるであろう。他の態様では、本発明は、このような疾患及び症状の治療に有用な医薬の産生におけるPIRAの使用を提供する。上記のように、PIRAは、別々に投与されても、又は他の薬剤活性のある薬剤と組み合わせて投与されてもよい。このような併用療法は、限定されるものではないが、複数の薬剤を単一の投与形態で、又は異なるここの用量形態で投与することを含む、異なる治療的投薬計画を包含することが理解されるであろう。薬剤が異なる用量形態で存在する場合、投与は同時又はほぼ同時でも、又は異なる薬剤の投与を包含する任意のある投薬計画に続いてもよい。
一態様では、本発明は、状態を治療するためにPIRAの有効量を被検体に供給することを含んでなる被検体の高インスリン血症を治療する方法を提供する。一態様では、本発明は、集団群(例えば正常なグルコース耐性を持ち、糖尿病歴を持たないか又は薬物使用のない非肥満男性集団)の少なくともおよそ75パーセンタイルの空腹時インスリンレベル(例えば、少なくともおよそ80パーセンタイル、85パーセンタイル、90パーセンタイル、95パーセンタイルなど)に相当する血中インスリンレベルを有するとみなす高インスリン血症を患う被検体(例えばヒト患者)の治療方法を提供する。一態様では、高インスリン血症を有する被検体は、およそ10μU/mL(60pmol/L)以上、例としておよそ12μU/mL(72pmol/L)以上(例えば少なくともおよそ13μU/mL(78pmol/L)、少なくともおよそ14μU/mL(84pmol/L)、少なくともおよそ15μU/mL(90pmol/L)、少なくともおよそ16μU/mL(96pmol/L)、少なくともおよそ17μU/mL(102pmol/L)、少なくともおよそ18μU/mL(108pmol/L)、少なくともおよそ19μU/mL(114pmol/L)、少なくともおよそ20μU/mL(120pmol/L)、又は20μU/mL(120pmol/L)より多く)の空腹時インスリンレベルを有するヒト患者として定義される。
ある態様では、本発明は、被検体の高インスリン血症に関連した疾患及び症状、例として、不安、異常な空腹感、異常な疲労、過食、低血糖と関係している精神医学的な症状、及び/又は低血糖(低血糖関連の発作、昏睡及び死を含む)の可能性を低減する方法を提供する。本発明の方法は、様々な種類の持続的な高インスリン血症症状、例として、膵島細胞増殖症(KATP-HIびまん性疾患、KATP-HI限局性疾患、又は「PHHI」)、GDH-HI(高インスリン症/高アンモニア血症症候群(HI/HA)、ロイシン感受性低血糖、又はジアゾキシド感受性低血糖)、膵島細胞調節不全症候群、乳児期の特発性低血糖、乳児期の持続性高インスリン性低血糖症(PHHI)、先天性高インスリン症、及びインスリノーマを治療するために応用されうる。他の態様では、高インスリン血症を治療又は予防するためにPIRAを投与又は送達する本発明の方法は、高インスリン血症と関係していることが多い多嚢胞性卵巣症候群(PCOS)を患っている被検体又は該疾患を発症する差し迫ったリスクにある被検体に実施されうる。
他の特定の態様では、本発明は、被検体に有効量のPIRAを投与することによって被検体の高インスリン血症関連の低血糖の発症(及び/又は最終的な重症度)を生じさせる及び/又は遅延させる可能性を低減する方法を提供する。
さらに他の特定の態様では、本発明は、症状を治療するため、又は発作及び神経性後遺症などの関連症状の可能性を阻止、低減、又はその症状の発症を遅らせるために、新生被検体に有効量のPIRAを送達することを含んでなる、高インスリン血症によって生じた新生児の低血糖(又は、他の「一過性の高インスリン血症」)を治療する(治療法を提供する及び/又は予防する)方法を提供する。
他の態様では、本発明は、高インスリン血症関連の症状を患っている患者の低血糖の重症度を低減する方法を提供する。
さらに他の態様では、本発明は、PIRAの有効量(治療的有効量又は予防的有効量)を宿主に送達することを含んでなる、インスリノーマを有すると診断された患者又はインスリノーマを発症する実質的なリスクにある患者の健康を改善する又は維持する方法を提供する。
さらに他の態様では、本発明は、生理学的有効量(例えば予防的有効量)のPIRAを個体に投与(又は送達)することを含んでなる、高インスリン血症の高いリスクに関連した特徴を有する個体(例えば、高インスリン血症関連の症状の家族歴がある、又は民族的に日本起源の男性といった高インスリン血症を相対的に高く発症する集団群に属する)などの個体の健康を維持する又は改善する(及び/又は個体のIR活性を調節する)ための方法を提供する。
他の態様では、本発明は、生理学的有効量のPIRAを細胞に送達することを含んでなる、細胞(例えば、適当なインビトロの細胞集団又は適切な脊椎動物(例えば脊索動物)の宿主)におけるIR活性をアンタゴナイズする方法を提供する。
更なる他の態様では、本発明は、生理学的有効量のPIRAを被検体に送達することを含んでなる、被検体の循環インスリンの効果を低減する方法を提供する。
他の態様では、本発明は、高インスリン血症又は高インスリン血症関連の症状(例えば高インスリン血症関連の低血糖)のための治療方法であって、類似の治療効果を達成するためにPIRAを用いない場合に用いる量と比較して、相対的に少ない量の二次薬剤(例えばグルカゴン)とともに有効量のPIRAを送達することを含む治療方法に関する。
更なる態様では、本発明は、生理学的有効量のPIRAを被検体に送達することを含んでなる、被検体の血中グルコースレベルを低下する方法を提供する。
さらに他の態様では、生理学的有効量のPIRAを被検体に投与することを含んでなる、被検体におけるインスリンの効果を低減する方法を提供する。
他の態様では、本発明は、被検体のインスリン分泌を増やすために生理学的有効量のPIRAを被検体に投与又は送達することを含んでなる、被検体のインスリン分泌を増加する方法を提供する。何か特定の理論に限定されるものではないが、試験動物におけるPIRAの投与と関係する実験的所見から、おそらくIRが媒介するフィードバックシステムの遮断によって、インスリン分泌が増加することが示唆される。他の態様では、本発明は、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満、グルコース耐性不良、及び/又は空腹時グルコース耐性不良の治療方法であって、被検体(例えば必要であると診断されたヒト患者)に予防的又は治療的な有効量のPIRAを、場合によっては治療する疾患の治療に適する一又は複数の他の治療活性を持つ薬剤(例えば抗糖尿病薬)と組み合わせて投与する(又は送達する)ことを含んでなる方法を提供する。他の態様では、本発明は、I型糖尿病、II型糖尿病、肥満、グルコース耐性不良、及び/又は空腹時グルコース耐性不良の治療のための医薬の調製におけるPIRA(又はPIRAをコードする核酸などの関連した化合物/組成物)の使用に関する。
他の態様では、本発明は、場合によっては本明細書に記載の他の二次薬剤とともに一又は複数のPIRAを使用することによる、上記のいずれかの治療計画又は本明細書に記載の他の治療目的のための医薬の調製に関する。ゆえに、例えば、ある態様では、本発明は、高インスリン血症の治療のための医薬の調製におけるPIRAの使用を提供する。
本明細書中の他のところで示すように、本明細書中に記載の治療方法の実施には、PIRA(一又は複数)は、必要に応じて二次薬剤とともに同時投与又は二次薬剤と組み合わせて投与されうる(このような薬剤の組合せを含む組成物も本発明の特徴である)。この二次薬剤には、例えば、一又は複数の抗高インスリン症(例えばインスリン産生-減少)剤及び/又は抗低血糖剤、例としてジアゾキシド、オクトレオチド、ニフェジピン、サンドスタチン、グルカゴン、又はこれらのいずれかないしはすべての組合せが含まれうる。また、PIRA投与は、高インスリン血症関連の症状を治療するために用いる外科的手技、例えば膵臓切除と組み合わせて提供されうる。
一般的に、PIRAは、本明細書に記載の本発明の方法の実施において、何れかの適切な方法、例えば、標的宿主細胞における当該PIRAの産生のためにコードする核酸からの発現により(例えば、PIRAコード核酸から、誘導プロモーターの調節下で、適切な遺伝子導入ベクター、例えば、標的化及び複製を欠く遺伝子導入ベクターなどに含まれての発現などにより)送達できる。典型的には、PIRAはレシピエント宿主に対してPIRA又はPIRA組成物を直接投与することにより送達される。したがって、PIRA及びPIRA組成物は、タンパク質及びペプチドを送達するための当該技術分野で公知の標準的な担体を含む薬剤的組成物として投与されてもよく、及び/又は遺伝子治療により送達されてもよい。一般的に及び適切である場合、用語、投与及び送達は、ここでは、もう一方に対する補助を提供すると解釈されるべきであるが(例えば、一般的にはPIRAコード核酸はネイキッドPIRAを標的宿主組織に送達するために使用でき、同様に或いは、PIRAタンパク質を投与するために使用できると認められるべきであるが)、しかしながら、またそれぞれのそのような方法は、何れかの特定の分子に関して独特であること、及び幾つかの分子(例えば、分解抵抗性有機部分を含むコンジュゲートPIRAなど)は唯一、送達/投与の一定の形態に対して受け入れられることが認められるべきである。タンパク質、核酸及び関連する組成物(例えば、ベクター及び宿主細胞など)を投与するための方法は周知であり、適宜、簡単にのみここでは記載する。
PIRA組成物、関連する組成物、及び組み合わせ組成物は、何れかの適切な経路、例えば、経口、粘膜、頬側、鼻腔内、吸入、静脈内、皮下、筋肉内、非経口、又は局所的な経路などを経て投与されてよい。そのようなタンパク質はミニポンプ又は他の適切な装置を介して連続的に投与されてもよい。
PIRA又は他のPIRAは一般的に、当該疾患状態がある限り、当該タンパク質が当該状態の悪化を止める又は改善させるという条件で、投与されるであろう。当該PIRAは一般的に、薬学的に許容される組成物の一部分として、例えば、ここの他の場所において詳細に記載する通りに、投与されるであろう。一般的に、PIRA又は関連する化合物/組成物は何れかの適切な経路により投与されてよいが、典型的には、非経口的に、通常の薬学的に許容される担体、補助剤など(安定剤、崩壊剤、抗酸化剤など)を含む投与量単位製剤で投与される。ここで使用される場合、用語「非経口的」は、皮下、静脈内、動脈内、筋肉内、胸骨内、腱内(intratendinous)、脊髄内、頭蓋内、胸腔内、注入技術及び腹腔内送達を含む。したがって、ある態様では、PIRA組成物は静脈内又は皮下で、本発明の治療方法の実行において投与される。注射の経路はまた、筋肉への注射(筋肉内 IM);皮膚の下への注射(皮下(s.c.));静脈への注射(静脈内(IV));腹腔への注射(腹腔内(IP));及び他の皮膚への/皮膚を通じた送達(通常は多様な注射による皮内送達、これは微粒子銃注射を含んでよい)を含む。
ある態様では、本発明は、宿主におけるIR活性を調節する方法であって、混合物中に薬学的に(すなわち、生理学的に)許容される担体、賦形剤、又は希釈剤、及び一又は複数のIRアゴニストPIRAを活性剤成分(これは更に第二の活性薬剤と他の箇所に記載された通りに組み合わされてもよい)として含む組成物の投与を含んでなる方法を提供する。
本発明の薬剤的組成物は、経口又は非経口経路により全身的に投与されてもよい。非限定的な非経口経路の投与は、皮下、筋肉内、腹腔内、静脈内、経皮的に、吸入、鼻腔内、動脈内、くも膜下腔内、経腸、舌下又は直腸内を含む。典型的なアミノ酸配列は不安定な性質であるため、非経口投与が都合がよい。有利な投与方法は、例えば、鼻用又は気管支吸収用のエアロゾル;静脈内、筋肉内、胸骨内又は皮下注射;及び経口投与のための化合物などを含む。
静脈内投与は、例えば、単位投与量の注射により行うことができる。当該用語「単位投与量」は、本発明の医薬組成物に対する言及において使用される場合、ヒトのための1単位用量として適切な物理的に分離された単位をいい、各単位は、必要とされる希釈剤;すなわち、濃縮された又は純粋な物質を希釈し、当該物質を使用のために正しい(希釈された)濃度にするために使用される液体;に関して所望の治療効果を生じるために計算され予め決められた量の活性物質を含む。注射剤投与のために、当該組成物は、滅菌溶液又は懸濁液中にあり、又は薬学的及び生理学的に許容される水性又は油性の溶媒で乳化されてもよく、これらは保存剤、安定剤及び当該溶液又は懸濁液に当該レシピエントの生体流体(すなわち、血液)との等張性を与えるための物質を含んでよい。
使用のために適切な賦形剤は、水、リン酸バッファー生理食塩水、水性塩化ナトリウム溶液、デキストロース、グリセロール、希エタノールなど、及びその混合物である。例示的な安定剤はポリエチレングリコール、タンパク質、糖類、アミノ酸、無機酸及び有機酸、これらはそれら自身で又は混合物として使用されてもよい。使用される投与の総量及び量並びに経路は、個々を基準に決定され、当業者に公知の同様な種類の出願又は記載において使用される当該各量に一致する。
薬剤的組成物は典型的には投与量剤形に適する方法で、治療上有効な量で投与される。投与されるべき量は、治療されるべき対象、及び所望のIRの程度(例えば、所望の治療的又は予防的な結果又は効果)に依存する。投与されるべき必要な活性成分の正確な量は、医師の判断に依存し、各々の個体特有であってよい。しかしながら、適切な投与量は、1日当たり個体の体重1kg当たりおよそ1〜200nmol(例えば、およそ10〜200、例えばおよそ1〜100、例えばおよそ10〜100)nmolの活性ペプチドの範囲であってよく、投与経路に依存してよい。最初の投与及びブースター注射のために適切な投与計画はまた可変的であるが、しかしながら、1時間以上の間隔での最初の投与とそれに続く繰り返し投与により、続く注射又は他の投与により、代表されてよい。或いは、血中でピコモーラー濃度(例えば、およそ1pM〜10nM)を維持するのに十分な継続的な静脈内注入が考えられる。
他の具体的な態様では、PIRA又はPIRA組成物は、注射用ポンプにより液体中又はそのような装置に使用するために適切な製剤中で送達される。PIRAはまた、ペン、例えば、現在インスリン製品を送達するために使用されているようなペンにより投与される。経皮性パッチ(例えば、マトリックスパッチ中の薬物など)の使用も、PIRAの送達のために使用できる(例えば、受動性送達により、又はイオン注入送達などを介して)。
医薬製剤の製造における更なる手引きを、例えば以下の文献に見ることができる;Gilman等(eds),1990,Goodman and Gilman's: The Pharmacological Basis of Therapeutics, 8th ed., Pergamon Press;及び Remington's Pharmaceutical Sciences, 17th ed., 1990, Mack Publishing Co., Easton, PA; Avis等(eds), 1993, Pharmaceutical Dosage Forms: Publishing Co., Easton, PA;Avis等(eds), 1993, Pharmaceutical Dosage Forms: Parenteral Medications, Dekker, New York;Lieberman等(eds), 1990, Pharmaceutical Dosage Forms: Disperse Systems, Dekker, New York.
より具体的な態様を示すために、用量原則の詳細な考察をここでさらに示す。
一態様では、本発明の方法は、第一PIRAの第一送達の後、又は宿主において第一PIRAへの有意な免疫応答が生じ第一PIRAの連続使用が患者にとって有害になる任意のときの、およそ1〜3週間後に第二PIRAを開始するという治療で始める、1か月間の2つの異なるPIRAの投与又は送達を含む。
本発明の特に有利な態様は、治療上及び/又は予防上有効な量の一以上の消化酵素安定化PIRA(一又は複数の通常の分解抵抗性アミノ酸残基及び/又は分解抵抗性部分を上述通り含む)を含み、経口投与のために製剤化された薬学的に許容される組成物生物、及び組成物のような組成物生物のIR活性の調節における使用(例えば、糖尿病又は関連する状態、例えば、IR媒介代謝障害などを治療する面において)において例示される。比較的小さいサイズの典型的なPIRA及びそれ自身おける及びそれ自身の簡単な構造(例えば、多くのPIRAの場合にはおよそ40アミノ酸残基の単鎖)は、抗体などのより大きなタンパク質(数百残基のアミノ酸の大きさであり、少なくとも2つのアミノ酸鎖を越えて広がる)に比べて、そのようなタンパク質の経口送達を助けると考えられる。N及び/又はC末端ブロッキング修飾の追加(特に、例えば、それぞれアセチル化(又は他のアシル化)及びアミド化)が、そのような分子の経口で送達される能力を増加すると考えられる。分解抵抗性特殊アミノ酸残基及び/又は有機成分もまた、又は或いは、顕著にそのようなペプチドの経口経路による送達される能力を、現在公知のインスリン及びインスリン類似体に比べて増大すると考えられる。そのような特徴を有する組み合わせを含むPIRAは特に抗糖尿病薬に適切な経口送達のために遊離であると考えられる。ある態様では、本発明はPIRA経口製剤であって、少なくともおよそ1%、少なくともおよそ5%、少なくともおよそ10%、少なくともおよそ15%、少なくともおよそ20%、よりも多い、非経口注射に比べての経口投与における相対的生物学的利用能を表しうるPIRA経口製剤を提供する。PIRAの本来備わっている経口送達能力は、PIRAと当該分野において公知の方法の経口送達増強組成物との配合により増強でき、それは経口送達及び小型ペプチドの有効性を増強する上で有効であることが示されている。典型的に、経口製剤は、タンパク分解活性の阻害又は調節;当該ペプチドを分解する;当該ペプチドのパラセルラー及び/又はトランスセルラーの輸送を増強する;粘膜障壁(特に迅速溶解形態及びエアロゾル送達又はスプレー送達経口投与形態)を通過するペプチドの浸透を改善する;及び/又は循環における当該ペプチドの半減期を増加する(特にペプチドは、治療学的効果のために持続して存在することを求める);ことを求める。装置がそのような送達を助ける。例えば、PIRA組成物は、頬側粘膜及び咽頭中央部領域、ここにおいて当該製剤の吸収が起こる、に対して当該組成物を送達可能にするエアロゾルスプレー装置により送達するように製剤化できる。例えば、インスリンなどの小型ペプチドの送達のために使用されるそのような装置の例は、当該分野で公知である。
ある態様では、本発明は、PIRA経口製剤組成物であって、ここで、PIRAは担体分子に対して複合しているか、又はカプセルに包まれており、それにより当該PIRAは当該安定化複合又はカプセル化物質なしのPIRAの安定性に比べて安定性が改善される。PEG複合体及び典型的な安定化及び送達増強複合物質の例。PIRAは、例えば、GI吸収の増加及び/又はタンパク分解性の当該PIRAの分解を減少するPEGベースの両親媒性のオリゴマーに対して複合される。他の例示的態様では、PIRAを内包するカルシウムホスフェート-PEG-インスリン-カゼイン(CAPIC)粒子の組成物は、経口送達形態として使用される(微粒子及びナノ粒子形態を更にこの説明の他の場所に記載する)。ある態様では、PIRAは、受動的なトランスセルラー輸送を容易にする送達剤又は担体に対して複合化する。望ましくは、そのような担体又は薬剤は、循環中の(例えば、低いpH状態への曝露をあるレベルに到達することにおいて)PIRAと結合しないように操作される。
他の態様では、PIRAは、一以上の経口送達促進賦形剤、例えば、コール酸ナトリウム及び/又はトリプシンインヒビターなどを含む腸溶性のコートをされたマイクロカプセル又は錠剤に製剤化される。更なる態様では、PIRA経口製剤は、当該ペプチドの溶解性を増加し、腸粘膜との相互作用を減少し、及び/又はパラセルラー輸送を増強する界面活性剤成分の有効量を含んで提供される。更なる他の態様では、PIRAは、経口送達を促進する一又は複数の(典型的には幾つかの)低分子量(LMW)ポリマー複合体に複合し、例えば、関連/同様のネイキッドPIRAに関する酵素分解に対して抵抗性を付与する、及び/又は(例えば、胃腸管経路に沿って、及び血流へ吸収するための障壁を構成する細胞及び組織の水及び脂肪質部分を通過しての拡散を改善して)よりよい胃腸管輸送を可能にする。経口送達増大小型ペプチド複合体の構造のための組成物、方法及び関連した原理は、米国特許第5359030号;同第5438040号;同第5681811号;及び同第6309633号に提供される。他の態様では、本発明は、アミノ酸を基礎とするカプセル系を含む経口送達PIRA製剤であって、当該PIRAの腸の裏打ち輸送(intestinal lining passage)を促進し、酵素分解を阻害する製剤を提供する。
更なる他の態様では、本発明は、PIRA又はPIRA組成物の脂質又はリポソームカプセル包入を含む経口送達PIRA製剤を提供し、これは、上皮性関門を介した伝達を促進し、及び/又は当該PIRAを酵素分解から守る。望ましくは、そのような脂質製剤は、医薬組成物の口腔粘膜による顕著な吸収を促進し、それにより「初回通過(first pass)」効果を避ける。他のの面では、本発明は、PIRA経口送達製剤であって、PIRAがマイクロカプセルに含まれる製剤を提供し、それは直接投与されても、又は直接経口投与又は経口送達装置による投与のためのカプセル、パケットなどに入れられて投与されてもよい(ここにおいて一般的に記載される他の経口送達形態は、そのような方法によって良好にホストに対して送達される)。具体的な態様では、本発明は、アルギネートミクロスフェアで構成されるPIRA経口送達剤形を提供する。望ましくは、当該アルギネートは天然に存在するアルギネートであり、US FDAにより安全であると一般的にみなされる通りに分類され、任意にまた、上部消化管の粘膜でのタンパク分解効果を誘導又は促進する。他の態様では、コートされた結晶製剤が提供される。突出したスフェロナイゼーション(spheronization)は、高濃度の活性物質を高薬物濃度ペレットに含ませることを可能にし、PIRA製剤に対して適用することが可能である。
他の態様では、PIRA組成物は、液体経口投与のためのボトル又は他の容器中(例えば、単位用量の容器など)のコートされた粒子のドライシロップ懸濁液として提供される。
一般的には、ここにおいて記載される製剤は、持続放出剤形、味をマスクした、又は腸溶コートの組成物である。
他の態様では、本発明は、経口投与用の比較的硬いゼラチンカプセル中の半固体マトリックス系を提供する。典型的には、そのようなカプセルは更に、送達促進剤、例えば、脂質ペプチド送達系を含む。コートされた微粒子を含む軟ペレット錠もまた、本発明により提供される。水不活性及び/又は脂肪不活性なマトリックス錠は、もう一つの潜在的に適切な経口送達形態である。典型的には、そのような錠剤はコートされた微粒子のPIRA組成物と、任意のペプチダーゼインヒビター及び/又は浸透増強剤、又は他の適切な賦形剤を含む。適せな浸透増強剤は界面活性剤、脂肪酸、胆汁塩、クエン酸塩、及びキレーター(例えば、EDTAなど)を含むが、他の適切な浸透増強剤もまたこれらの組成物において、又はここで記載された他の経口送達形態に含まれる。例えば、シクロデキストリンを使用して、PIRA微粒子、複合体又は他の薬剤形態の浸透増強してもよい。
更なる面では、本発明は、生物接着性ポリマー又は他の生物接着性物質を含むIRBP組成物を提供し、それは典型的にGI管との関連を促進にする。そのようなポリマーの例は、ポリカーボフィル及びキトサンを含む。既に言及したように、担体系、例えば、ナノ粒子、ミクロスフェア、リポソームなど(例えば、小型単層ベシクル(SUV);アルブミンコーティングナノ粒子;メチルメタクリレートコーティングなの粒子;及びアルブミンコーティングミクロスフェア(例えば、アルブミン/酸化鉄磁気及び目標を定めることが可能なミクロスフェア又は他の目標を定めることが可能な微粒子/ナノ粒子製剤)など)もまた、又は或いは使用し、PIRA組成物の患者に対する経口投与を促進する。そのような製剤はGI管の種々の領域からの吸収を増強する、及び/又はPIRA組成物の分解を防止するように工作されてもよい。
乳剤及びミクロエマルジョンもPIRAの経口送達剤形として使用される。例えば、オレイン酸、ガドレイン酸、エルカ酸、リノレン酸、リシノール酸、アラキドン酸、そのような酸のグリセリルエステル、オレイルアルコール、d-アルファ−トコフェロールポリエチレングリコールスクシネート、それらの何れかの組み合わせ、又は同様な分子;断続的な水性親水性相;及び少なくとも一の界面活性剤(例えば、ポロキサマー124、ポリグリコライズされたグリセリド、ソルビタンラウリレート、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、又は同様な界面活性剤がそのような乳剤及び関連するプレエマルジョン濃縮物を含む)を含む疎水性相を含む油中水乳液を分散疎水性相(当該疎水性相は典型的におよそ5〜10wt%の乳剤)のために、PIRAを含む組成物、これはアルコール、塩溶液などを含んでよい)を油中水乳剤として、PIRA組成物の経口送達を促進することにおいて使用してもよい。乳剤は、腸溶コーティング物質でコーティングされてよく、これは、本発明の経口送達製剤のための適切な他のコーティング物質に関して言及したとおり酸性水性環境において溶解してもよい。
他の態様では、本発明は、チオレートポリマー薬物担体マトリックス又はポリマーと関連するPIRAを含む経口送達製剤を提供する。そのようなポリマーの例は、2-リミノチオレーンである。場合によって、酵素阻害剤(例えば、ボーマン-バーク-インヒビター及び/又はエラスタチナルなど)が当該複合物の当該キトサン組成物に対して複合される。更にまた、又はあるいは、浸透メディエーターをそのようなキトサンから形成された錠剤形態の当該PIRA組成物に含ませてもよい。当該ポリマーにおけるチオール基の固定は、そのような剤形の当該粘膜付着/密着する特徴を増強してよい。
カプセル包入コートは、薬学的に活性な成分、親水性界面活性剤、親油性界面活性剤、及びトリグリセライドなど、他の異なる組み合わせを含むことも可能である。持続放出経口送達系及び/又は経口投与投与量形態のための腸溶コーティングは、また、コンテンプレートされてもよく、例えば、これらは以下の文献に記載される:1987年11月3日発行の米国特許第4704295号、1985年12月3日発行の米国特許第4556552号、1982年1月5日発行の米国特許第4309404号、1982年1月5日発行の米国特許第4309406号。更なる例示的物質はここの他の箇所に記載される。
更なる態様では、ハイドロジェルを含むPIRA経口送達形態が提供される。PIRAは、ポリ(メタクリル酸-g-エチレングリコール)のハイドロゲル中に組み込まれ、経口的に送達される。PIRAはまた、ハイドロゲルトと複合してもよい。pH反応性複合体ハイドロゲル、例えば、ペンダントグルコース(P(MAA-co-MEG))を含むハイドロゲル又はグラフトLMW(例えば、およそ200MN)PEG鎖(P(MAA-g-EG))が、PIRA経口送達剤として使用されてもよい。
ナノスフェア、ミクロスフェア及び他のナノ粒子/微粒子はクロスリンクしたネットワークのメタクリル酸から形成されてもよく及び/又はPEGを伴うアクリル酸グラフトが有利な経口送達製剤であってもよい。そのようなナノスフェアに低いpH(例えば、およそ3)で、しかしながら放出可能な薬剤は生理学的なpH(例えば、およそ7)で薬物製品を閉じ込める方法は、当該分野で公知である。裸の及び複合された小型ペプチド送達及び放出方法及び原理のための更なる例示的微粒子製剤は、例えば、米国特許第6191105号に発表されている。
経口送達剤形はまた、エアロゾル、スプレー及び乾燥パウダーの群から選択される吸入用組成物として提供されてもよい。本発明のこのような製剤は、1986年11月25日に発行の米国特許第4624251号;1972年11月21日に発行の米国特許第3703173号;1971年2月9日に発行の米国特許第3561444号及び、1971年1月13日に発行の米国特許第4635627号に記載のもののような噴霧器を用いたエアゾールの形態で投与されてもよい。エアゾール送達の中で他のシステム、加圧するものはメーターで測った例として、は吸入器(MDI)をする及び、本発明を実践するときに、Newman, S. P. in Aerosols and the Lung, Clarke, S. W. and Davia, D. eds. pp. 197-224, Butterworths, London, England, 1984にて開示したように、乾燥粉末吸入器が用いられてもよい。
更なる態様では、PIRA組成物は、粘膜付着性腸用パッチとして製剤化されてもよく、それは患者の全身循環にPIRAの治療用量を送達するために設計される。そのような腸用パッチは、粘膜近くに結合するPIRAを局在化させ、タンパク分解からそれを保護するために考えられている。そのようなパッチの腸に対する安全な接着は、インスリン製剤で示されており、そのようなパッチは、ペプチド薬物送達のために有効であることが示されている。
ここに記載される当該経口送達剤形は、明確にここに記載される新規のPIRA、その変異体(ここで記載される通り)、先の特許文書に記載されるPIRAからの誘導体(本発明の様々な態様である一又は複数の変異体により修飾される)に対して適用され、そのような非修飾及び以前に特徴付けられたPIRAを該組成物に含むことが結果として経口投与における有効性を増強する限り、更に前の特許文書に記載される非修飾のPIRAにさえも適用される。本発明の様々な方法におけるそのような組成物の使用は、本発明の更なる面である。
他の態様では、本発明は、PIRA又はPIRA組成物(例えば、PIRAの組み合わせ及び/又はPIRAと第二の薬剤を含む組成物)の肺送達のための製剤を提供する。PIRAは直接に肺に投与されてもよく、(送達のこれらの形態のためのそのような分子の上述した有利な特徴のために)標準的な医薬製剤において肺に対して投与されてもよく、しかし更に典型的には、肺送達のために操作された剤形、例えば、吸入のためのエアロゾルとして送達される粒子などが投与される。PIRA組成物は、例えば、ドライパウダー(及びブリスターパックのような送達前の適切な組成物における貯蔵される)インヘラーによる投与のためのドライパウダーとして製造される。そのような系のための乾燥剤形における当該粒子の粒子サイズは、典型的に直径およそ5μm未満であり、そのような粒子は典型的に薬物組成物のためにおよそ90%以上の純度である。そのような組成物は、公知の「ガラス安定化技術」を介して製造される。あるいは、PIRA組成物は、水性組成物に製剤化され(また、任意にブリスターパックに貯蔵され)、水性ミストインヘラー(例えば、適切な用量を確実にするように工作されたマイクロプロセッサー制御水性ミストインヘラー)により投与される。そのような装置は、従来のネブライザーよりも少なくとも5倍、例えば、およそ10倍の送達の増加を提供する。多くのそのような装置及び同様な装置がペプチド薬物の肺送達のために開発されている。製剤もまた、送達における長時間のIR調節活性のために工作され、例えば、粒子薬物の場合、増強剤を使用することにより、及び/又は長時間活性促進粒子特性(例えば、大量の、例えば、少なくともおよそ50%のポリ(乳酸-コ-グリコール酸);小型空気力学的サイズ(例えば、およそ1〜3μm)、低密度(例えば、およそ0.1gm/ml未満)及び大型形状粒子サイズ(例えば、およそ10〜20μm)の乾燥粒子を含む多孔性の粒子)を使用することによる。
PIRA組成物は、PIRA誘導体、例えば、低分子量PEG化PIRAを含んでもよく、それはそのような分子の肺送達を増強する。他の態様では、PIRA組成物は、肺に対して、PEG粒子、リン酸カルシウム(CAP)粒子、又はPEG−CAP粒子(典型的には懸濁液中)の形態で送達され、そのような粒子は、標準的な技術(例えば、制御された沈殿技術など)を使用して製造される。そのような粒子組成物は、例えば、気管内の注入及び/又はスプレー注入などにより特異的に肺に対して送達される。そのような粒子はまた、場合によって一又は複数のカゼインと関連付けられる(例えば、PEG、CAP又はPEG−CAP粒子のためのコーティング剤として−カゼインの溶液に対して当該粒子を加えることにより形成され、当該カゼインを当該粒子の周りに凝集及び/又は複合することを可能にする)。同様な組成物が、経口送達形態又は経鼻送達形態(例えば、経口スプレー製剤)のために利用され、及びそのような分子は他の形態(例えば、ハイドロゲル)においても使用される。
小ペプチド、例えば、インスリンなどの肺及び経口送達のための多くの戦略、組成物及び装置が、当該技術分野において開発され、記載されており、それらはまた、本発明のPIRA及びPIRA組成物に適用してよい(例えば、当該PIRAをここで記載したインスリン分子に似るように修飾することにより;PIRA組成物をそこで記載されたインスリン製剤と似るように製剤化することにより;そこで記載されるのと同様な方法及び/又は装置を使用して当該PIRAを投与すること)。このような方法、原理、送達デバイス、及びこのような製剤の調製に有用となりうる同種の組成物の例は、例えばGarcia-Contreras等, AAPS PharmSci 2003; 5(2) Article 9 (2003);Steiner等, Exp Clin Endocrinol Diabetes. 2002 Jan;110(1): 17-21;Pfutzner等, Diabetes Technol Ther. 2002;4(5): 589-94;Gonda, I.等: Journal of Controlled Release 1998; 53:269-274;Schuster, J.等: Pharmaceutical Research 1997;14(3): 354-357;Farr, S.J.等, Interpharm Press Inc., Buffalo Grove, Illinois. 1996, pp. 175-184;Thippawong, J.等, Diabetes Technology & Therapeutics 2002; 4(4): 499-504;Sangwan, S.等, Journal of Aerosol Medicine. 2001;14(2): 185-195(Mudumba S.等, Respiratory Drug Delivery VII. Dalby R.N. et al (eds) Serentec Press, Raliegh, NC. 2000. pp. 329-332);Brinda, Curr Opin Investig Drugs. 2002 May;3(5): 758-62;Brunner, G.A.等, Diabetologia 1991; 44:305-308;米国公開特許第20040096401号;同第20040089290号;同第20030216542号;同第20030148925号;同第20030113273号;同第20020046750号;同第20010039260号;同第20030150446号;及び、米国特許第6635617号;同第6518239号;同第6349719号;同第6335316号;同第6098615号;同第6024090号;同第5672581号;同第5915378号;同第5970240号;及び同第5813358号に記載される。
(他の用途)
PIRAは、インスリンレセプターを伴う任意の化学的プロセス又は生化学的プロセスの研究に用いられてもよい。インスリンレセプターのインスリンの結合を遮断する特定のPIRAの能力によって、研究者はインスリンシグナル伝達又はインスリンクリアランス及び/又は分解を伴うインビボ及びインビトロでのインスリンレセプターの重要性を決定することができる。
PIRAのこのような用途の一例は、哺乳動物のインスリンないしはインスリン類似体のレセプター媒介性分解の程度を定量化する場合である。この方法は、注射ないしは注入によるPIRAの投与のある場合又はない場合での、連続的な注入に対するインスリンないしはインスリン類似体の定常状態血しょう中濃度を測定することを含む。PIRA投与のある場合とない場合の定常状態の濃度の比率から、レセプター媒介性分解又はクリアランスの関与が推定されうる。
このような方法の他の例は、他の関連した細胞表面レセプター、例として、例えばIGF1レセプターがある場合には、インスリンないしはインスリン類似体によって誘発される細胞性シグナル伝達プロセスへのインスリンレセプターの関与を定量化する際に実施される。この方法は、適当な濃度のPIRA添加がある場合及びない場合で問題のエフェクターアッセイを行い、インスリンレセプターの活性化によって誘発された効果を遮断することを含む。PIRA添加のある場合とない場合で得られた結果の違いは、インスリンレセプター媒介性のシグナル伝達の関与を示す。
このような技術のさらに他の例は、組織(例えば脳)へ選択的にPIRAを投与し(例えば、局所投与によって、又は、組織特異的標的ベクターからの発現によって、場合によってこのときPIRAコード配列が組織特異的プロモーターの制御下にある)、その特定の組織におけるインスリンレセプターシグナル伝達の遮断効果を測定することである。このような方法は、インスリンの存在下でPIRAの効果がある組織に局在しているという条件下でインスリン結合を阻害するPIRAを(例えば、インビボの研究の場合に既に言及されているものなどの技術を用いて、又はインビトロ研究の場合に組織試料を採取することによって)この組織に送達することと、既知及び所望のインスリン:インスリンレセプター反応パラメーター(例として、インスリン-結合IRシグナル伝達)を測定することを含む。
PIRAを伴う更なる別の分析方法は、更なるIR結合剤及びモジュレーター(アンタゴニスト又はアゴニスト)を同定する手段として、IRへの結合に関してPIRAと競合する分子の同定の際に実施される。このような方法は、一又は複数のPIRA及び一又は複数の試験化合物をIRを含む培地に加える競合型のアッセイを伴い、PIRA(一又は複数)の存在下でIRを結合して調節する試験化合物又は検査化合物(複数)の能力を評価することを含む。
さらに他の例では、インスリン耐性又は糖尿病を誘導するためにPIRAを哺乳動物(例えばヒトの糖尿病疾患状態の適切なモデル動物)に長期間投与(又は他の場合には供給)して、それによって限定するものではないが糖尿病及び肥満などの疾患に関する研究のための新規の有用なインビボモデルを提供する。
(例示的な実験方法及びデータ)
以下の実験方法は本明細書中に記載の本発明の方法をさらに説明するためのものであって、もちろん、いかなる場合であってもその範囲を制限するものとして解釈されるものではない。
実施例1(PIRAアンタゴニストアッセイ)
インスリンレセプター結合ペプチドをアンタゴニスト(PIRA)として同定するために、候補ペプチドを、例えばSGBS細胞(ヒトの脂肪細胞株)又は原発性齧歯目の脂肪細胞におけるグルコース取り込みアッセイにおいて試験することができる。簡単に言うと、細胞を様々な濃度のインスリンとともにインキュベートし、その後、14C-グルコース取り込みを測定する。ペプチドをアンタゴニスト特性について試験するために、最大下に刺激する濃度のインスリン(例えば、最大半量のインスリン応答が生じる濃度)、並びに試験するペプチドの段階希釈液を加える。ペプチドがPIRAであれば、インスリン誘導反応はPIRAの濃度が増えるにつれて基準の応答にまで又は基準の応答未満に減少し、PIRAの作用強度は応答の減少を観察するために必要なPIRAの濃度から推定することができる。PIRAであるS661のこのような作用強度決定の例を、図1に示す。このようなアッセイはPIRAの同定方法として他の候補PIRAに応用することができ、このようなアッセイにおいてこのような特性を表すPIRAは本発明の他の一部と考えることができる。
実施例2 5又は6匹の雄、およそ580グラムの平均体重を有する16週齢のズッカー肥満ラット(Charles River)の9つの群を、Purina5008と飲料水を無制限に与えて飼育し、実験のために一晩断食させた。グルコースレベルは、S661と称するPIRA(上記)の投与の20分及び10分前に試験した。
異なる量のS661含有PBS又はベヒクルの静脈内(i.v.)投与の後(S661の投与後10分)に、異なる量のヒトインスリン含有PBS又はベヒクルを腹膜内(i.p.)投与した。インスリン注射の10、20、30、40、60、80、120及び180分後に血中グルコースレベルを測定した。これらの実験の結果を図2に示す。
図2に示すように、S661を投与したラットでは、血中グルコースレベルが、インスリン単独又はベヒクルのみを投与した場合よりも有意に高かった(3nmol/kgのS661、30nmol/kgのインスリンにより、コントロールと比較してわずかにグルコースレベルが高くなり、インスリン単独よりも有意にグルコースレベルが高くなった;他のすべての例では、血中グルコースレベルの違いはS661が投与された場合に有意に異なる)。
この実験から、S661などのPIRAが哺乳類の被検体においてインスリンの効果を低減する際に有効であることが示される。
実施例3
5〜7匹の雄、およそ550グラムの平均体重を有する15週齢のズッカー肥満ラット(Charles River)の8つの群を、Purina5008と飲料水を無制限に与えて飼育し、実験のために一晩断食させた。30nmol/kgのPIRAであるS661含有PBSを、30nmol/kgのヒトインスリン含有PBSのi.p.投与前の様々な時間にi.v.投与した。これらの実験の結果を図3に示す。いずれの血中グルコース測定値も、PIRAであるS661が投与の6時間後にも以前として有効なアンタゴニストであることを示した。
実施例4
PIRAであるS661の選択性をインスリンレセプター対関連関連レセプターであるIGF1レセプターについて試験するために、レセプターと125I-標識型の同族リガンドを用いて競合結合アッセイを行った。S661がヒトインスリン自体のリガンドの48%の対インスリンレセプター親和性を有したのに対して、IGF1レセプターに対する親和性は低すぎて測定することができなかった。すなわちIGF1のリガンドの少なくとも200.000分の1であった。これらの結果から、PIRAであるS661は決してIGF1-レセプターによるIGF1のシグナル伝達を干渉しないことが示される。
本明細書中で引用される出版物、特許出願及び特許を含む全ての参考文献は、各参考文献が出典明記により援用されることが個々に具体的に示され、その全体が本明細書中で述べられるのと同じ程度で出典明記によりここに援用される。
発明を特定する文脈における「a」及び「an」及び「the」なる用語並びに類似の表現の使用は、ここに特段の注記がなければ又は文脈上明らかに矛盾するということがなければ、単数と複数の双方をカバーするものとみなされる。
一又は複数の構成成分に関して「含む(comprising)」、「有する(having)」、「包含する(including)」、及び「含有する(containing)」といった用語を用いた本発明の態様ないしは任意の態様の本明細書中の記載は、特に明記しない限り又は内容と明らかに矛盾しない限り、特定の一又は複数の構成成分「からなる」、「から基本的になる」又は「を実質的に含む」本発明の態様ないしは類似の態様をサポートすることを意図する(例えば、特定の構成成分を含有するような本明細書中に記載の組成物は、特に明記しない限り又は内容と明らかに矛盾しない限り、その構成成分からなる組成物を表すとも理解されるべきである)。
SGBS細胞におけるインスリン刺激性グルコース取り込みと、S661の添加による最大下のインスリン刺激性グルコース取り込みの阻害。 異なる用量のペプチドインスリンレセプターアンタゴニストS661の静脈内(i.v.)投与後、ヒトインスリンを腹膜内(i.p.)投与したズッカー肥満(ZO)雄ラットにおけるグルコース特性。 インスリンレセプターアンタゴニストS661のi.v.投与後の異なる時間にヒトインスリンをi.p.投与したZOラットにおけるグルコース特性。

Claims (20)

  1. Gly Ser Leu Asp Glu Ser Phe Tyr Asp Trp Phe Glu Arg Gln Leu Gly(配列番号:1)に少なくともおよそ80%の同一性を有する式1タイプ配列及び式Leu Xaa Xaa Glu Trp Ala Xaa Xaa Gln Cys Glu Val Xaa Gly Arg Gly Cys Pro Serに基づく式6タイプ配列とを含むアミノ酸配列を含むペプチドインスリンレセプターアンタゴニストであって、
    このときXaaが任意のアミノ酸残基を表し、該式1タイプ配列と該式6タイプ配列がアミノ酸配列中のN末端からC末端方向に位置し、そして、(a) アミノ酸配列が該式1タイプ配列と該式6タイプ配列の間に位置する少なくとも一のアミノ酸残基のアミノ酸配列リンカーを含む、(b) アミノ酸配列がインビボでのインスリンレセプターアンタゴニストの安定性を亢進する終末誘導体化成分と結合している、又は(c) アミノ酸配列が該式1タイプ配列と該式6タイプ配列の間に位置する少なくとも一のアミノ酸残基のアミノ酸配列リンカーを含み、アミノ酸配列がインビボでのインスリンレセプターアンタゴニストの安定性を亢進する終末誘導体化成分と結合しているものである、ペプチドインスリンレセプターアンタゴニスト。
  2. 式6配列がWLDEEWAQVQCEVYGRGCPS(配列番号:14)又はWLDQEWAWVQCEVYGRGCPS(配列番号:15)でない、請求項1に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  3. 式1タイプ配列がGSLDESFYDWFERQLG(配列番号:1)である、請求項1又は2に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  4. 式6タイプ配列は、SLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY(配列番号:16)に対して少なくともおよそ85%同一である、請求項1から3のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  5. 式6タイプ配列がSLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY(配列番号:16)である、請求項4に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  6. 式6タイプ配列が式Leu Xaa Xaa Glu Trp Ala Xaa Xaa Gln Cys Glu Val Xaa14 Gly Arg Gly Cys Pro Ser Xaa21(配列番号:17)に含まれるものであり、このときXaaがAsp又はGluであり、XaaがCys、Asp、Glu、His、Lys、Asn、Gln、Arg、Ser又はThrであり、Xaaが任意のアミノ酸残基であり、XaaがIle、Leu、Val、Met、Phe、Gly又はAlaであり、Xaa14がTrp、Phe又はTyrであり、そして、Xaa21が欠失しているか又はSer、Thr、Asn、Gln、Tyr、Cys又はGlyから選択されるものである、請求項1から5のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  7. 式6タイプ配列が式Xaa Leu Xaa Xaa Glu Trp Ala Xaa Xaa Gln Cys Glu Val Xaa14 Gly Arg Gly Cys Pro Ser Xaa21(配列番号:18)に含まれるものであり、このときXaaがTrp又はSerであり、XaaがGlu又はAspであり、XaaがGlu又はGlnであり、XaaがGln又はTrpであり、XaaがIle又はValであり、Xaa14がTrp又はTyrであり、そして、Xaa21が欠失しているか又はTyr(式6b)である、請求項1から5のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  8. 式6タイプ配列が、配列SLEEEWAQIQCEVWGRGCPS(配列番号:19)を含まない、請求項1から2及び4から7のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  9. さらに、アミノ酸配列が該式1タイプ配列と該式6タイプ配列の間に位置する1〜7のアミノ酸残基のアミノ酸リンカーを含む、請求項1から8のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  10. リンカーを形成する大部分の残基がGly又はSer残基である、請求項9に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  11. 前記インスリンレセプターアンタゴニストが終末誘導体化成分を含む、請求項1から10のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  12. 前記終末誘導体化成分が、式6タイプ配列のC末端を形成するか又は式6タイプ配列のC末端のC端に位置するアミド誘導体化アミノ酸残基を含む、請求項11に記載のインスリンレセプターアンタゴニスト。
  13. 式GSLDESFYDWFERQL-Z1-SLEEEWAQIQCEVWGRGCPS-Z2(配列番号:20)に記載のアミノ酸配列を含むインスリンレセプターアンタゴニストであって、このときZがアミノ酸リンカーを表し、Zが場合によって前記終末誘導体化成分、アミノ酸又はアミノ酸配列、誘導体化アミノ酸残基、又はC末端誘導体化アミノ酸残基を含むアミノ酸配列を表すものである、インスリンレセプターアンタゴニスト。
  14. 化合物S661(GSLDESFYDWFERQLGGGSGGSSLEEEWAQIQCEVWGRGCPSY-アミド)を含んでなるインスリンレセプターアンタゴニスト。
  15. 請求項1から14のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニストの治療的有効量を含有してなる薬剤的組成物。
  16. 前記組成物が皮下注射、経口送達又は肺送達のために調製される、請求項15に記載の組成物。
  17. インスリンレセプター活性を低減するために請求項1から14のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニストの生理学的に有効な量を細胞に送達することを含んでなる、哺乳動物細胞においてインスリンレセプター活性を低減する方法。
  18. 高インスリン血症を治療するために被検体に請求項1から14のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニストの治療的有効量を被検体に送達することを含んでなる、被検体の高インスリン血症の治療方法。
  19. 請求項1から14のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニストの治療的有効量を被検体に送達することを含んでなる、被検体の高インスリン血症関連の低血糖の予防又は改善方法。
  20. 高インスリン血症又は高インスリン血症関連の症状を治療するための医薬の生産における請求項1から14のいずれか一に記載のインスリンレセプターアンタゴニストの使用。
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