JP2009510881A - 最大ドップラー周波数及び発振器周波数オフセットを推定するための方法、プログラム、及びモジュール、そのモジュールを含む受信機 - Google Patents

最大ドップラー周波数及び発振器周波数オフセットを推定するための方法、プログラム、及びモジュール、そのモジュールを含む受信機 Download PDF

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Abstract

最大ドップラー周波数f及び/又は局部発振器周波数オフセットfを推定する方法において、周波数レンジ全体にわたって受信無線信号の電力密度スペクトルを計算するステップと、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するために、計算された電力密度スペクトルをスキャンするステップであって、サブレンジ[fmin;fmax]にわたる信号電力が、周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、ステップと、周波数f及び/又はオフセットfを周波数fmin及びfmaxから推定するステップとを備える方法。

Description

本発明は、最大ドップラー周波数及び/又は発振器周波数オフセットを推定するための方法、プログラム、及びモジュール、並びにそのモジュールを含む受信機に関する。
無線通信システムでは、情報ビットは、送信端で変調され、従って受信端で復調されることを必要とする。従って、無線受信機は、常にRF(無線周波数)復調モジュールを有する。基本的には、RF復調モジュール機能は、ベースバンド信号を回復するために、受信無線信号から搬送波周波数を除去することからなる。この動作を実施するために、RF復調モジュールの局部発振器部は、理想的には搬送波周波数と同一であるべき周波数トーンを生成する。局部発振器は、搬送波周波数と同じ周波数で振動すべきである。残念ながら、いくつかの理由(たとえば温度変動)で、この局部発振器はドリフトする可能性がある。その結果、発振器周波数オフセットfが、搬送波周波数と局部発振器の発振周波数との間に現れる。この周波数オフセットは、受信機の性能全体の著しい劣化を引き起こす。
従って、既存の解決策は、オフセットfを推定し、次いでそれを補正することである。
たとえば、このために、UMTS標準(「3GPP Technical Specification,Rel.99,http://www.3gpp.org/specs/specs.html」参照)に規定されているUMTS(ユニバーサル移動通信システム)無線通信システムは、共通のダウンリンク物理チャネルのP−CPICH(プライマリ共通パイロット・チャネル)及びS−CPICH(セカンダリ共通パイロット・チャネル)を有する。両CPICHは、パイロット・シンボルとも呼ばれる事前定義のビット列を搬送する固定レート(30キロビット/秒)のダウンリンク物理チャネルである。その結果、CPICHを使用する位相弁別法を使用することができる。最初に、この既知の方法は、2つの連続するパイロット・シンボル間の位相変動を推定する。次いで、周波数オフセットが、以下の比の期待値として得られる。
Figure 2009510881
上式で、
− Δψは、2つの連続するパイロット・シンボル間の位相変動を表し、
− ΔTは、シンボル・レートの逆数であり、
− E(..)は、平均関数の期待値を示す。
実際には、発振器周波数オフセットの正確な推定値を得るために、前述の測定を、多数のパイロット・シンボルにわたって繰り返し、平均化することを必要とする。従って、位相弁別法は、パイロット・シンボル・レートでトリガされ、そして、局部発振器を正確に調整させるのにいくらかの時間を必要とする長い工程である。
一方、無線受信機の移動により、受信無線信号の周波数がオフセットされる。これは、ドップラー効果として知られる。その結果、たとえば、電力密度スペクトルにおける高い割合のベースバンド信号電力が、周波数サブレンジ[−f;f]内にあり、ただしfは最大ドップラー周波数である。サブレンジ[−f;f]は、ドップラー帯域幅として知られる。
たとえば、周波数fは、ワイヤレス受信機スピードを推定するのに有用である。
Kareem E.Baddour、Norman C.Beaulieuの「Non parametric Doppler Spread Estimation for Flat Fading Channels」IEEE2003より、fは、以下の関係によって表されるように、サブレンジ[−f;f]内の信号電力が信号総電力のある割合に等しい周波数として推定することができることが知られている。すなわち、
Figure 2009510881
上式で、
− Ψは、]0,1[に属する任意の定電力閾値であり、
− fは、サンプリング周波数であり、
− Pyy(f)は、周波数fでの信号電力の推定値であり、
yy(f)は、FFT(高速フーリエ変換)アルゴリズムを使用して、たとえばCPICHのようなパイロット・チャネル上の受信ベースバンド信号から計算される。
しかし、FFTをベースとするf推定は、発振器周波数オフセットに対してまったく通用しない。
通常、周波数fとオフセットfは、2つの専用機能ユニットを使用して、独立に推定される。
従って、本発明の目的は、発振器周波数オフセットに対して精度が高いf推定方法を提供することである。
上記並びに他の目的のために、本発明は、周波数レンジ全体にわたって受信無線信号の電力密度スペクトルを計算するステップと、周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するために、前記計算された電力密度スペクトルをスキャンするステップであって、前記サブレンジ[fmin;fmax]にわたる信号電力が、前記周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、ステップと、周波数fを周波数fmin及びfmaxから推定するステップとを備え、前記スキャンするステップが、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合される、fを推定する方法を提供する。
発振器周波数オフセットfの値がどのような値であっても、上記の方法で見いだされた[fmin;fmax]周波数サブレンジ幅は常に2.fに等しい。従って、周波数fmin及びfmaxの値からfを推定するのにオフセットfの値は影響しない。その結果、上記の方法は発振器オフセットfに対して精度の高いものとなる。
上記のf推定方法の実施形態は以下の一つ又は幾つかの特徴を備えてもよい。
上記方法は、前記周波数fを推定するために使用されるのと同じ周波数fmin及びfmaxから、前記ワイヤレス受信機の局部発振器の周波数オフセットfを推定するステップをさらに備え、前記受信無線信号から搬送波周波数を除去するために前記局部発振器が使用される。
上記方法は、前記ワイヤレス受信機の移動のスピード推定値を、前記推定された周波数fから計算するステップを含む。
上記f推定方法の実施形態には以下の効果がある。
電力密度スペクトルを計算するステップと前記電力密度スペクトルをスキャンするステップとはf及びfの推定において共通であるので、f及びfの推定のために完全に集積化された装置が設計できる。
本発明の他の目的は、より速い発振器周波数オフセット推定方法を提供することである。そこで、本発明は、周波数レンジ全体にわたって受信無線信号の電力密度スペクトルを計算するステップと、周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するために、前記計算された電力密度スペクトルをスキャンするステップであって、前記サブレンジ[fmin;fmax]にわたる信号電力が、前記周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、ステップと、オフセットfを周波数fmin及びfmaxから推定するステップとを備え、前記スキャンするステップが、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合される方法を提供する。
電力密度スペクトルの計算では、連続するパイロット・シンボルの間の位相変化を測定する必要がないので、オフセットfを推定するこの方法はより簡単になり且つより速くなる。
上記のf又はf推定方法の実施形態は以下の一つ又は幾つかの特徴を備えてもよい。
所定の閾値より高いサブレンジ[fmin;fmax]内の最大電力ピークを探索するステップと、最大電力ピークが見出された場合、前記ワイヤレス受信機と無線信号の送信機との間の直接見通し線の存在を示すステップ。
前記受信信号を濾波、平均化、及びダウンサンプリングしてから、前記濾波、平均化、及びダウンサンプリングされた信号から前記電力密度スペクトルを計算するステップ。
複数の所定のパイロットを送信するためだけに使用されるパイロット・チャネルから前記電力密度スペクトルを構築。
上記f又はf推定方法の実施形態には以下の効果がある。
サブレンジ[fmin;fmax]における最大電力ピークの探索は、f及びf推定方法と完全に一体化できる、直接見通し線(direct Line−of−Sight)を検出するための簡単な方法である。
受信信号の濾波並びに平均化により、ノイズを大幅に削減でき、これにより、非常に精度の高いf及びf推定が可能となる。
さらに、本発明は、上記方法を実行する命令を有するプログラムに関する。
さらに、本発明は、ワイヤレス受信機の移動による無線信号の最大ドップラー周波数fを推定するための電子モジュールにおいて、周波数レンジ全体にわたって受信無線信号の電力密度スペクトルを構築するための計算ユニットと、周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合されたスキャナであって、前記サブレンジ[fmin;fmax]内の信号電力が、前記周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、スキャナと、周波数fを周波数fmin及びfmaxから推定するための推定器とを備え、前記スキャナが、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合される、電子モジュールに関する。
上記の電子モジュールの実施形態は、以下の一つ又は幾つかの特徴を備えてもよい。
前記スキャナによって決定される周波数fmin及びfmaxから前記ワイヤレス受信機の局部発振器の周波数オフセットfを推定するための推定器をさらに備え、前記受信無線信号から搬送波周波数を除去するために前記局部発振器が使用される。
さらに、本発明は、ワイヤレス無線信号受信機の局部発振器の周波数オフセットfを推定するための電子モジュールにおいて、前記局部発振器が受信無線信号から搬送波周波数を除去するために使用され、周波数レンジ全体にわたって受信信号の電力密度スペクトルを構築するための計算ユニットと、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合されたスキャナであって、前記サブレンジ[fmin;fmax]にわたる信号電力が、前記周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、スキャナと、オフセットfを周波数fmin及びfmaxから推定する推定器とを備える電子モジュールに関する。
上記のf又はfを推定する電子モジュールの実施形態は、以下の一つ又は幾つかの特徴を備えてもよい。
前記モジュールが、最大電力ピークが見出された場合、前記ワイヤレス受信機と前記無線信号の信号送信機との間の直接見通し線の存在を示すように適合された、所定の閾値を超える前記サブレンジ[fmin;fmax]内の最大電力ピークの検出器を備える。
さらに、本発明は、f又はfを推定する前記電子モジュールを少なくとも一つ備える無線受信機に関する。
本発明のこれらの、及び他の態様は、以下の説明、図面、及び特許請求の範囲から明らかになるであろう。
図1は、UMTS無線通信システムの諸部を示す。システム2は、基地局4のような少なくとも1つのノードBと、移動電話のような1つのワイヤレス電気通信ユーザ機器6とを備える。以下の説明では、当業者に周知の機能又は構成は、詳細に述べられていない。
ノードB及びユーザ機器6は共に、ワイヤレス送信機と、ワイヤレス受信機とを含む。簡略化のために、ユーザ機器6のワイヤレス受信機8だけが図1に示されている。
受信機8は、無線周波数復調モジュール10と、ベースバンド・プロセッサ11とを有する。
モジュール10は、アンテナ12を介して、基地局4によって送信された無線信号を受信する。また、モジュール10は、その受信無線信号を復調し、異なる多重化チャネルを分離する。複数のチャネル信号が得られる。各チャネル信号は、ベースバンド信号としてモジュール10からプロセッサ11に送られる。UMTS無線通信システムでは、物理チャネルの1つが、たとえば物理リンク13を介してプロセッサ11に送られるCPICH(共通パイロット・チャネル)である。
モジュール10は、理想的には無線信号を変調するために使用された搬送波周波数と正確に合致すべき周波数トーンを生成する局部発振器14を有する。発振器14は同調可能である。
プロセッサ11は、内部受信機16と、内部受信機16の出力に接続された外部受信機18とを有する。
内部受信機16は、周波数オフセットfを粗く推定するための粗い周波数オフセット推定器20を含む。この粗い周波数オフセット推定は、CPICHを介して受信されたパイロット・シンボルから、又は他のダウンリンク物理チャネルを介して受信されたデータから行われる。推定器20は従来のものであり、ここでは詳細に述べない。
内部受信機16はまた、リンク13に接続された入力と平均化及びダウンサンプリング・モジュール24に接続された出力とを有するチャネル推定フィルタ22を備える。
フィルタ22は、トランスポート・チャネルによって導入された受信信号変形の推定を使用する。たとえば、フィルタ22は、基地局4とユーザ機器6の間にマルチパスが存在することによる、受信信号に対する結果の推定を使用し、ノイズを除去する。
モジュール24は、フィルタ22によって濾波されたシンボルを、たとえば10分の1に平均化及びダウンサンプリングする。
モジュール24の出力は、周波数オフセット及び最大ドップラー周波数統合推定モジュール26の入力に接続される。モジュール26は、fの推定値及びfの細かい推定値をそれぞれ出力するための出力28及び30を有する。
出力28は、スピード計算器32の入力に接続される。スピード計算器32は、f推定値からワイヤレス無線受信機のスピード又は速度の推定値を計算する。内部受信機16は、推定されたスピードを出力する。
出力30は、発振器同調器34の入力に接続される。同調器34は、fの粗い推定値を受け取るために粗い推定器20に接続された別の入力を有する。同調器34は、fの粗い推定値及び/又は細かい推定値に従って発振器14を制御するように設計される。
モジュール26は、電力密度スペクトル計算ユニット40と、スキャナ42とを有する。ユニット40の入力は、平均化及びダウンサンプリングされたシンボルを受け取るために、モジュール24の出力に接続される。ユニット40は、パイロット・チャネルを介して受け取られたパイロット信号の電力密度スペクトルを構築することが可能である。
スキャナ42は、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を、そのサブレンジにわたるパイロット信号電力がパイロット信号総電力の所定の割合に等しくなるように決定するように適合される。
スキャナ42の出力44は、最大ドップラー周波数推定器46に、また細かい周波数オフセット推定器48に接続される。推定器46は、fを周波数fmin及びfmaxから推定し、推定された値を出力28に送達する。
推定器48は、fを周波数fmin及びfmaxから推定し、推定された値を出力30に出力する。
モジュール26はまた、入力が出力44に接続された見通し線(Line−of−Sight)検出器50を有する。検出器50は、サブレンジ[fmin;fmax]間の電力密度スペクトルの解析から、基地局4と機器6の間の直接見通し線の存在を検出する。
たとえば、モジュール26は、メモリ内に記録されている命令を実行するように適合された電子プログラマブル計算器に実装される。たとえば、ベースバンド・プロセッサ11はプログラマブル計算器であり、プロセッサ11によって実行されたとき、図2の方法を実行するための命令を含むメモリ52に接続される。
次に、受信機8の動作について、図2から図6を参照して述べる。
無線周波数モジュール10は、受信無線信号を復調及び逆多重化し、ベースバンド信号をプロセッサ11に出力する。プロセッサ11は、そのベースバンド信号を処理する。
最初に、粗い発振器周波数同調段階60が実行される。
段階60の間に、ステップ62では、粗い推定器20が、従来の方法を使用してfを粗く推定し、fの粗い推定値を出力する。
次いでステップ64では、同調器34が、fの粗い推定値に従って発振器14の発振器周波数を同調する。
段階60の終了時には、発振器14の発振器周波数は、依然として復調しようとする無線信号の搬送波周波数に正確に等しくない可能性がある。というのは、段階60の間には、fの粗い推定値だけが使用されるからである。段階60の終了時に存在する、搬送波周波数と発振器14の発振器周波数との差は、以下、残留周波数オフセットと呼ばれる。
しかし、たとえば、UMTS電気通信システムの場合には、fの粗い推定値は、残留周波数オフセットが200Hzより小さくなるように十分に良好なものである。
粗い発振器周波数同調段階60が終了した後で、f及びf統合推定段階68が実行される。
ステップ70では、フィルタ22が、CPICHを介して受信されたパイロット・シンボルに対してチャネル推定フィルタリングを実施する。ステップ70は、サンプリング周波数fに対して影響を及ぼさない。
その後で、ステップ72では、モジュール24が、濾波されたパイロット・シンボルを10分の1だけ平均化及びダウンサンプリングする。ダウンサンプリングの後で、平均化された値がスロット当たり1つだけ発行され、従って、このレベルでは、サンプリング周波数fは1.5kHzに等しい。実際、ダウンリンク・パイロット・チャネルCPICHのシンボル・レートは、UMTS標準に従って固定されており、内部受信機入力部で15kbs(キロボー/秒)に等しい。また、QPSK(4位相偏移変調)が適用されて、スロット当たり10CPICH複素(complex)シンボルに対応する。UMTS標準では、信号が複数のフレームに分割され、各フレームは15個のスロットを有し、各スロットは2560個のチップを含む。さらに、UMTS標準は、ユーザ機器が250Km/時と同程度のスピードをサポートすることを要求し、これは、約500Hzの最大ドップラー周波数fとなる。ナイキスト基準を念頭に置けば、f=1.5kHzで観察可能な最大受信パイロット周波数は、750Hzである。その結果、この例において、(50Hzのマージンをとって)残留周波数オフセットがすでに200Hzより低いとき、なぜモジュール26を適用すべきか理解される。
ステップ74では、ユニット40が、モジュール24によって出力された、平均化及びダウンサンプリングされたパイロット・シンボルの電力密度スペクトルを計算する。たとえば、ユニット40は、高速フーリエ変換(FFT)を使用し、電力密度スペクトルを構築する。
図3は、Jakesモデルに従って予想され得る電力密度スペクトルの第1の例を示し、このとき残留周波数オフセットfはない。横軸は周波数を表し、縦軸は電力を表す。
このモデルによれば、信号電力の最も有意な部分は、サブレンジ[−f;f]内にあり、ただしfは最大ドップラー周波数である。
より正確には、Jakesモデルによれば、散乱された無線信号が等しい確率であらゆる方向から入来する場合、電力密度スペクトルは、以下の関係によって近似される。すなわち、
Figure 2009510881
上式で、
− σ は、変動がないと考えることができる間隔における信号の電力を表し、
− fは、最大ドップラー周波数である。
ここでは、Jakesモデルを使用し、受信パイロット・シンボルの電力スペクトル密度を特徴付けている。
Jakesモデルのさらなる考察は、P.Dent、G.E.Bottomley、T.Croftの「Jakes’ Fading Model Revisited」Electronics Letters、vol.29、no.13、1162〜1163頁(1993年6月24日)に見出すことができる。
図4は、電力密度スペクトルの第2の例を示し、このとき残留周波数オフセットfがある。図からわかるように、信号電力の最も有意な部分は、サブレンジ[−f;f+f]内にある。
図5は、予想される電力密度スペクトルの第3の例を示し、この場合ユーザ機器6と基地局4の間に直接見通し線(direct Line−of−Sight)がある。図5に示されているように、直接見通し線があることにより、周波数レンジ[f−f;f+f]内に電力ピーク76が存在することになり、この電力ピークは、周波数f−f及びf+fにおける電力ピークより高い。
実際、直接見通し線が存在する場合、これは基地局4とユーザ機器6の間に直接経路があることを意味する。この経路は直接的なものであるため、受信信号があまり減衰されず、その結果、ピーク76が電力密度スペクトル内に現れる。
最後に、図6は、電力密度スペクトルの第4の例を示し、これはステップ74で計算することができる。図6の電力密度スペクトルは、信号電力のほぼすべてを凝縮する狭い最大電力ピーク78を1つだけ有する。これは、ユーザ機器のスピードが非常に低く(fが小さい)、fが高い場合に発生する可能性がある。またこれは、スピードが必ずしも低くなく、基地局4とユーザ機器6の間に直接見通し線がある場合に発生する可能性がある。図6の特定の場合には、低いfを伴う高いfと、直接見通し線の存在とを弁別するために、推定器20によって提供される粗い周波数オフセット推定値fが使用される。
電力密度スペクトルが計算された後で、ステップ80では、スキャナ42が、サブレンジ[fmin;fmax]にわたる信号電力がチャネル信号総電力の所定の割合に等しくなる周波数fmin及びfmaxを見出すために、計算された電力密度スペクトルをスキャンする。たとえば、所定の割合は、0.8より高い、また好ましくは0.9より高い定数である。
たとえば、サブレンジ[fmin;fmax]は、以下の関係を使用して見出される。すなわち、
Figure 2009510881
上式で、
− Pyy(f)は、周波数fに関する離散的な高速フーリエ変換であり、周波数fはレンジ[f/2;f/2]内にあり、
− fは、サンプリング周波数である。
たとえば、Pyy(f)は、以下の関係を使用して計算することができる。すなわち、
Figure 2009510881
上式で、
− Tは、サンプリング期間であり、
− y(n)は、時間領域内の離散信号であり、
− nは、0からN−1に変わる整数である。
その後で、ステップ82では、f及びfが、それぞれ推定器46及び48によって周波数fmin及びfmaxの値から推定される。
たとえば、推定器46は、以下の関係に従ってオフセットfを推定する。すなわち、
Figure 2009510881
たとえば、推定器48は、以下の関係のうちの1つに従って周波数fを推定する。すなわち、
Figure 2009510881
ステップ82と平行して、ステップ88では、検出器50が、ステップ74で計算された電力密度スペクトルを使用して、可能な直接見通し線を検出する。
たとえば、検出器50は、周波数レンジ[fmin;fmax]内で、任意の閾値Sより大きい電力ピークを探索する。そのような最大電力ピークが見出された場合、検出器50は、直接見通し線の存在を示し、周波数位置、及び検出されたピークの電力を出力する。
ステップ90では、直接見通し線が検出されている場合、この情報を使用し、ユーザ機器の位置を決定することができる。たとえば、最大電力ピークの周波数位置を使用し、ユーザ機器の移動方向と受信信号の入射方向との間の角度を決定することができる。ピークの電力を使用し、たとえば基地局4とユーザ機器6の間の信号の伝播時間を決定することができる。
ステップ92では、計算器32は、ユーザ機器のスピードの推定値を、周波数fの推定値から計算する。たとえば、ステップ92では、計算器32は、以下の関係を使用する。すなわち、
Figure 2009510881
上式で、
− vは、ワイヤレス受信機のスピードであり、
− cは、光速であり、
− fは、チャネル搬送波周波数である。
スペクトルの帯域幅は、fを与えるドップラー・シフト式(9)を介して、ユーザ機器のスピードにリンクされる。
その後で、ステップ94では、スピードの推定値を使用し、Subrahmanyaの米国特許出願第2004/0125771号に開示されているように、受信機8の要素を同調することができる。
最後に、ステップ96では、同調器34が、ステップ82で確立されたfの推定値を使用し、発振器14の周波数を微調整する。
多数の追加の実施形態が可能である。たとえば、スピード計算器32は、省略することも、内部受信機16の外側に実装することもできる。フィルタ22もまた、簡素化された実装において検出器50を省略することができるように省略することができる。
また、モジュール26は、基地局4の受信機内で、またより一般的には無線信号の任意の受信機内で使用することができる。
モジュール26は、パイロット・シンボルを輸送するための専用のパイロット・チャネルを使用する任意のワイヤレス電気通信システムに、またチャネル推定のために所定のパイロット・シンボルを有する信号を送信する任意のワイヤレス通信システムに適用することができる。
又はfを推定すること、或いは直接見通し線に関する情報だけに関心がある場合、モジュール26の不要な要素を省略することができる。たとえば、一実施形態では、価値ある情報がf推定だけである場合、推定器48及び検出器50を省略することができる。他の実施形態では、直接見通し線に関する情報だけを得ようとする場合、推定器46及び48が省略される。
ワイヤレス電気通信システムの構造の概略図である。 及びfを推定する方法の流れ図である。 図2の方法において得られた電力密度スペクトルの例のグラフである。 図2の方法において得られた電力密度スペクトルの例のグラフである。 図2の方法において得られた電力密度スペクトルの例のグラフである。 図2の方法において得られた電力密度スペクトルの例のグラフである。

Claims (13)

  1. ワイヤレス受信機の移動による受信無線信号の最大ドップラー周波数fを推定する方法において、
    周波数レンジ全体にわたって前記受信無線信号の電力密度スペクトルを計算するステップと、
    周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するために、前記計算された電力密度スペクトルをスキャンするステップであって、前記サブレンジ[fmin;fmax]にわたる信号電力が、前記周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、ステップと、
    周波数fを周波数fmin及びfmaxから推定するステップとを備え、
    前記スキャンするステップが、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合される方法。
  2. 前記周波数fを推定するために使用されるのと同じ周波数fmin及びfmaxから、前記ワイヤレス受信機の局部発振器の周波数オフセットfを推定するステップをさらに備え、前記受信無線信号から搬送波周波数を除去するために前記局部発振器が使用される、請求項1に記載の方法。
  3. 前記ワイヤレス受信機の移動のスピード推定値を、前記推定された周波数fから計算するステップを含む、請求項1又は2に記載の方法。
  4. ワイヤレス無線信号受信機の局部発振器の周波数オフセットfを推定する方法において、前記局部発振器が受信無線信号から搬送波周波数を除去するために使用され、
    周波数レンジ全体にわたって前記受信無線信号の電力密度スペクトルを計算するステップと、
    周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するために、前記計算された電力密度スペクトルをスキャンするステップであって、前記サブレンジ[fmin;fmax]にわたる信号電力が、前記周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、ステップと、
    オフセットfを周波数fmin及びfmaxから推定するステップとを備え、
    前記スキャンするステップが、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合される方法。
  5. 所定の閾値より高い前記サブレンジ[fmin;fmax]内の最大電力ピークを探索するステップと、最大電力ピークが見出された場合、前記ワイヤレス受信機と無線信号の送信機との間の直接見通し線の存在を示すステップとを備える、請求項1から4のいずれか一項に記載の方法。
  6. 前記受信信号を濾波、平均化、及びダウンサンプリングしてから、前記濾波、平均化、及びダウンサンプリングされた信号から前記電力密度スペクトルを計算するステップを備える、請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
  7. 複数の所定のパイロットを送信するためだけに使用されるパイロット・チャネルから前記電力密度スペクトルが構築される、請求項1から6のいずれか一項に記載の方法。
  8. 電子計算器によって実行されたとき請求項1から7のいずれか一項に記載の方法を実行するための複数の命令を有するプログラム。
  9. ワイヤレス受信機の移動による無線信号の最大ドップラー周波数fを推定するための電子モジュールにおいて、
    周波数レンジ全体にわたって受信無線信号の電力密度スペクトルを構築するための計算ユニットと、
    周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合されたスキャナであって、前記サブレンジ[fmin;fmax]内の信号電力が、前記周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、スキャナと、
    周波数fを周波数fmin及びfmaxから推定するための推定器とを備え、
    前記スキャナが、必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合される、電子モジュール。
  10. 前記スキャナによって決定される周波数fmin及びfmaxから前記ワイヤレス受信機の局部発振器の周波数オフセットfを推定するための推定器をさらに備え、前記受信無線信号から搬送波周波数を除去するために前記局部発振器が使用される、請求項9に記載の電子モジュール。
  11. ワイヤレス無線信号受信機の局部発振器の周波数オフセットfを推定するための電子モジュールにおいて、前記局部発振器が受信無線信号から搬送波周波数を除去するために使用され、
    周波数レンジ全体にわたって受信信号の電力密度スペクトルを構築するための計算ユニットと、
    必ずしも0Hzを中心としない周波数サブレンジ[fmin;fmax]を決定するように適合されたスキャナであって、前記サブレンジ[fmin;fmax]にわたる信号電力が、前記周波数レンジ全体にわたる信号電力の所定の割合に等しい、スキャナと、
    オフセットfを周波数fmin及びfmaxから推定する推定器とを備える電子モジュール。
  12. 最大電力ピークが見出された場合、前記ワイヤレス受信機と前記無線信号の信号送信機との間の直接見通し線の存在を示すように適合された、所定の閾値を超える前記サブレンジ[fmin;fmax]内の最大電力ピークの検出器を備える、請求項9から11のいずれか一項に記載の電子モジュール。
  13. 複数の所定のパイロットを有する受信無線信号を濾波するためのチャネル推定フィルタと、
    前記濾波された信号を平均化及びダウンサンプリングするための平均化及びダウンサンプリング・モジュールと、
    前記平均化及びダウンサンプリング・モジュールによって出力された前記平均化及びダウンサンプリングされた信号から、前記計算ユニットが前記電力密度スペクトルを構築する、請求項9から12のいずれか一項に記載の電子モジュールと
    を備える電子受信機。
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