JP2009510392A - 候補薬物を評価する方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】候補薬物を評価する方法を提供する。
【解決手段】ポリジアセチレン骨格を含む二次元ポリマーおよび/または三次元ポリマーまたは延伸された固体配列を利用して、化合物と接触させた際の蛍光またはリン光の変化をモニタリングし、場合によってそれぞれ既知の蛍光変化またはリン光変化と比較することによって、有機物/水分配係数および/または経口吸収および/または細胞膜への化合物の拡散能、および/または化合物の細胞間浸透性および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布、および/または化合物の細胞小器官への分配を評価する。該方法を利用して、タンパク質に対する化合物の結合能を評価することもできる。
【選択図】 図1

Description

本開示は、二次元および/または三次元のポリジアセチレン配列または延伸された固体ポリジアセチレン配列を用いて、薬剤開発プロセスで有力な候補薬物の特性を評価する方法に関する。配列を候補薬物と接触させ、配列の蛍光またはリン光を測定する。候補薬物と接触した配列の発光度を用いて、候補薬物の有機物/水分配係数、および/または薬物の経口吸収および/または細胞膜への薬物の拡散能および/または化合物の細胞間浸透性および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布、および/または化合物の細胞小器官への分配を概算すること、および/または、予測することができる。配列は、タンパク質(例えばヒト血漿タンパク質)または他の生体分子に対する候補薬物および他の化合物の結合を評価するアッセイで使用することもできる。
ポリジアセチレンは、1,3−ジアセチレンの1,4−付加重合から形成される二重結合および三重結合を骨格に交互に有する共役ポリマーである。ポリジアセチレンは、一般的にスペクトルの可視領域を十分に吸収し、青色から黄色の範囲で強く着色する。ポリジアセチレンの非線形な光学特性に大きな関心が寄せられており、可溶化ポリジアセチレンのソルボ−クロミック(solvo−chromic)特性、およびポリジアセチレンフィルムおよび単結晶のサーモ−クロミック(thermo−chromic)特性の両方について広範囲に及ぶ研究がなされている。
ポリジアセチレンを形成するために、ジアセチレンモノマーを重合可能なように規則正しく充填(packing)しなければならないことは周知である。本願発明者らはこの説に束縛されないが、側鎖の充填が、骨格の共役長さ、したがってクロミック特性および発光特性に影響し得るという説が一般的に受け入れられている。
ジアセチレンモノマーを使用して、種々の規則的な系(結晶、液晶、リポソームおよびフィルムを含む)を作製し、この系を重合してポリマーを作成している。リポソームは2個のジアセチレン鎖と極性ヘッド基(例えば、ホスファチジルコリンおよびその類似体)とを有するモノマーから製造され、1個のジアセチレン鎖を有するモノマーから製造されている。リポソームは、UV光またはγ線を用いて重合させることができる。モノマーフィルムは、ラングミュア・ブロジェット(Langmuir Blodgett)法で生成するか、または溶媒からキャストし、UV光またはγ線を用いて重合する。モノマー構造、リポソームまたはフィルム形成条件、および重合条件の選択は全てポリジアセチレン骨格の共役長さ、したがって系の色に影響を与える。加熱すると、これらの重合系は、有効な共役長さが長めの形態(青色および紫色)から短めの形態(赤色および黄色)へと変化し得る。フィルムおよびリポソームを生成する充填されたポリマー配列の場合には、共役した骨格から外れた側鎖の組織化および充填に影響を与える環境変化は、共役長さ、したがってポリマーのクロミック特性および電子特性に影響与え得ることが一般的に受け入れられている。
これらのポリジアセチレンフィルムおよびリポソームは、色変化に依存する発色アッセイへの用途が示唆されている(特許文献1〜5参照)。
色は吸光特性であり、我々が識別する色はその種が吸収する光の波長に関連している。例えば、その種が主に650nmの光を吸収する場合は青色に見え、主に550nmの光を吸収する場合は赤色に見える。色は可視範囲の光の吸収から生じる。ほとんどの着色した種は蛍光性ではない。着色した種が蛍光性である場合、通常はある1つの色のようにみえるが、適切な波長で励起すると、放射光の色に輝く。例えば、フルオロフォアは橙色粉末に見えるかもしれないが、UVランプ下では緑色に輝く。
ポリジアセチレンは蛍光を示すことがある。しかし、蛍光を発する能力は、溶液であるか、フィルムであるか、またはリポソーム若しくは他の三次元構造内に形成されているかを問わず、ポリマーの構造形態および組織(特に、共役長さおよびポリマー鎖の凝集状態)に依存する。
ポリジアセチレンフィルムは、赤色形態または黄色形態で製造されると固有の蛍光を有し、フィルムが青色形態で製造されると(従来の測定によって)蛍光性ではないことが知られている(非特許文献1)。フィルムドメインおよび欠損の顕微鏡イメージングに、このフィルムの蛍光特性を使用している。
更に最近になって、ポリジアセチレン配列が非蛍光性状態から蛍光性状態に変化することを利用して、検体のリガンド、レセプターまたは基質を組み込んだ配列の発光を測定することによって検体の検出できることが発見された。さらに、この変化の程度は、適切なフルオロフォアを組み込むことによって拡大することができる。これらの発見は、特許文献である特許文献6および特許文献7(Reppyら、名称「Method for detecting an Analyte by Fluorescence」、本出願の譲受人であるAnalytical Biological Service Incに譲渡)に記載されており、これらの開示内容は本明細書に参照により組み込まれる。
米国特許第6,001,556号明細書 米国特許第6,180,135号明細書 米国特許第6,080,423号明細書 米国特許第6,183,772号明細書 米国特許第6,022,748号明細書 国際公開第00171317号パンフレット 米国特許出願09/811,538号 Yasuda Aら、Chem.Phys.Lett.,1993,209(3),281−286
本開示は、ポリジアセチレン骨格を含む二次元および/若しくは三次元ポリマー配列または延伸された固体配列の蛍光またはリン光に対する化合物の影響を測定することによる、化合物の特性を評価する方法を提供する。さらに具体的には、本開示は、見込みのある候補薬物であると考えられる化合物を評価する方法を提供し、該方法は、試験対象の化合物の溶液とポリジアセチレン骨格からなる二次元配列および/または三次元配列とを接触させる工程からなる。蛍光またはリン光の変化を測定または検出する。この変化およびその大きさを利用して、有機物/水分配係数および親油性および/または化合物の経口吸収および/または細胞膜への化合物の拡散能および/または化合物の細胞間浸透性を概算することができ、経口投与の候補物として化合物を評価することができる。この変化を利用して、更に、化合物の電離状態および/または化合物の分布量および/または化合物の異なる組織への分布および/または化合物の細胞小器官への分配を概算することができる。該方法を利用して、更にタンパク質または他の高分子に対する化合物の結合を評価することもできる。該方法を利用して、更に、薬物開発プロセスで自動化様式にて数千の化合物を迅速にスクリーニングすることができる。さらに、蛍光またはリン光の変化を、溶液中の標準化合物またはリファレンス化合物と接触させた同じ配列の蛍光またはリン光の変化と、それぞれ任意で比較することができる。
本開示の他の目的および利点は、以下の詳細な記載から当業者に容易に理解され、詳細な記載では、本開示を実施するのに検討された最良の態様を説明する目的のためだけに好ましい実施形態のみが示され、記載されている。理解されるように、本開示では他の異なる実施形態も可能であり、そのいくつかの詳細は本開示から逸脱することなく種々の明らかな面で改変することができる。従って、図面および記載は、事実上実例であると考えられ、限定的なものではないと考えられる。
本開示の理解を容易にするために、本明細書で使用する定義を以下に示す。
試験化合物:試験物質に添加する化合物。
分配係数:2つの溶媒相(通常はオクタノールおよび水またはバッファー)の間で平衡状態にある化合物濃度の比率。有機相の化合物濃度は比率の分子である。
Log(P):オクタノール/水の分配係数の対数(底が10)。この定義には、一般的に「log(D)」値と称されるもの、すなわち、種々のpHで測定したオクタノール/水中のイオン化合物の分配係数を含む。
経口吸収性:血流中に見出される経口投与された物質の一部。
分配量:血漿と全ての結合された組織との、化合物の分配の測定値。
組織吸収:特定の組織への化合物の分配の測定値。組織は組織および臓器の両方を指す。
本開示の理解を容易にすることに加えて、以下の議論は、了解の下で、主に本開示の蛍光性の態様に関し、当業者には明らかになるだろうが、同様の議論がリン光性の態様に適用される。
本開示で使用される好ましい二次元配列および三次元配列は、ポリジアセチレン骨格からなる。配列は、前駆体のジアセチレン配列の重合によって調製される。ジアセチレン前駆体の二次元配列および三次元配列は、ジアセチレンではない種を含有してもよい。
本開示で使用されるポリジアセチレン骨格は既知であり、本明細書で詳細に記載する必要はなく、オリゴマー(3個以上のモノマーの反応から製造)からポリマーの範囲であってもよい。例えば、米国特許第6,001,556号(Charychら、この開示内容は本明細書に参照により組み込まれる)参照。
この実施形態では、ポリジアセチレンは、ジアセチレンの三次元配列または二次元配列を重合させて形成される。配列は、非ジアセチレン種、例えば、天然および非天然のリン脂質、コレステロール、ステロイド、ガングリオシド、糖、脂質、タンパク質および配列の生体模倣特性を高めるために細胞膜で見出されるもののいずれかを含む他の種を含有してもよい。配列は、他の非ジアセチレン種および複数のジアセチレン種を含有してもよい。
また、規則的なヘッド基を有する側鎖は、通常ポリジアセチレン骨格に結合している。ヘッド基は、通常極性である。両親媒性のポリジアセチレン側鎖は、この配列に生体模倣特性も加える。
好ましい配列は、ジアセチレンモノマー配列を重合することによって形成される。典型的なモノマーは、極性ヘッド基を有する1個または複数個のテール基を有するジアセチレン界面活性剤である。さらに典型的に使用されるのは、極性ヘッド基を有する、1個または2個のテール基を有するジアセチレン界面活性剤である。この開示内容は、任意の特定のジアセチレン界面活性剤、テール構造または極性ヘッド基の使用に依存しないが、重合可能な任意のジアセチレンモノマーを用いて非蛍光性形態でポリジアセチレンを得るか、または蛍光性形態でポリジアセチレンを得ることができ、この蛍光性形態は異なる発光強度を有する別の蛍光性形態に変換することができる。
本開示でヘッド基として典型的に使用される物質としては、限定されないが、カルボン酸、カルボン酸塩、アミド、エタノールアミド、アミン、アンモニウム、イミン、イミド、アルコール、カルバメート、カルボネート、チオカルバメート、ヒドラジド、ヒドラゾン、ホスフェート、ホスホネート、ホスホニウム、チオール、糖、サルフェート、スルホネート、スルホン酸、スルホン酸アミン、スルホンアミド、アミノ酸(グルタメートおよびグルタミンを含む)、ペプチド、ニトロ官能基化部分、炭水化物、コリン、エチレングリコール、オリゴマー性エチレングリコール、ポリ(エチレングリコール)、プロピレングリコール、オリゴマー性プロピレングリコール、およびポリ(プロピレングリコール)およびこれらの組み合わせが挙げられる。
本開示の配列が担体表面に固定される場合、この機能を与えるように脂質のテール基またはヘッド基を選択することができる。
本開示の二次元配列および三次元配列は、さまざまな形態で製造することができる。リポソームは、製造可能な適切な三次元配列形態の1つである。リポソームは、多くの異なる大きさおよび種類で形成することができる。例えば、単純な二層構造としてリポソームを形成することができる。さらに、複数層のタマネギ型構造でリポソームを形成することができる。大きさもさまざまであってよい。製造可能な適切な二次元配列形態はフィルムである。フィルムは、単一層、二層、または複数層であってもよい。
多くの他の形状を製造することもできる。他の作成可能な形状は、薄層(Rhodesら、Langmuir,1994,10,267−275)、中空小管および編組(Frankeltら、J.Am.Chem.Soc,1994,116,10057−10069.)、リボン状物、結晶、リオトロピック液晶相およびサーモトロピック液晶相、ゲルおよびアモルファス構造である。三次元形状は全体としてコロイド懸濁液または溶液であってよい。これらの集合が固定化される場合、全体としてより大きな構築物を形成してもよい。
本開示のさらなる理解を容易にするために、好ましいジアセチレン配列について以下に説明するが、説明される種々の構造が他の配列を使用することも可能と考えられる。
ジアセチレンリポソームは、冷却を制御するか、濃度を変えるか、またはエタノールを添加することによって、重合前に小管に変換することができる。ジアセチレン両親媒性物質を水溶液中に分散させて小管を作成することもできる。小管を光重合させ、ポリジアセチレンの非蛍光性形態または蛍光性形態のいずれかを得ることができ、いずれかの形態を蛍光モニタリングによるアッセイで使用することができる。凝集した繊維状物のネットワーク構造を有する青色または赤色のゲルとしてポリジアセチレンを形成することもできる。ポリジアセチレンを複合材料(無機クレイを有する層を含む)の形成に使用することができる。ジアセチレンまたはポリジアセチレンのフィルム配列を自立形態で、またはガラス、セラミック、ポリマー、紙、金属または他の構造で担持された形態で使用してもよい。担体は多孔質(限定されないが、ナノ多孔質膜およびミクロ多孔質膜が挙げられる)であってよい。ジアセチレンコーティングを、ガラス、セラミック、ポリマー、紙、金属または他の構造上にキャストし、光重合して上述のポリジアセチレン配列を得てもよい。
ジアセチレンおよびポリジアセチレンの三次元配列および二次元配列を固体に結合し、担持し、または吸着してよく、この固体としては、限定されないが、ポリマー、例えば、ポリスチレン、ポリカーボネート、ポリエチレン、ポリプロピレン、セルロース、セルロースエステル、ナイロンおよびポリフルオロカーボン、例えば、テフロン(登録商標)(テトラフルオロエチレンポリマー)、ペルフルオロ化エチレン−プロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレンおよびペルフルオロアルコキシのコポリマー、テトラフルオロエチレンおよびエチレンのコポリマー、クロロトリフルオロエチレンポリマー、およびクロロトリフルオロエチレンおよびエチレンのコポリマー、ポリビニレンジフルオライド、シリコンチップ、ビーズ、フィルターおよび膜、ガラス、金、シリカ、セファデックス、セファロース、多孔性または膨潤性固体、例えば、ポリアクリレートおよびポリアセトニトリル、およびゾル−ゲルが挙げられる。ここに列挙された固体を、化学処理、プラズマガス処理または他の処理によってさらに変えてもよい。ジアセチレンの三次元配列および二次元配列の場合には、固体担体に組み込むか、または固体担体に結合した後に重合させる。
固体に担持されたポリジアセチレンの一実施形態は、ナノ多孔質膜上の配列である。ジアセチレンリポソーム、または他の三次元配列は、強制的に100nm、200nmおよび400nm膜を含む膜内部または上部に置かれ、光重合してポリジアセチレンコーティングを作成することができる。三次元配列を共に融合させてもよい。これらのコーティングされた膜は、室温、空気中で、光にさらされても少なくとも12ヶ月は安定である。ポリジアセチレン配列のコーティングは、いくらか耐磨耗性を示す。ポリジアセチレン配列は、環境変化(試験化合物を含有する溶液に接触させることを含む)に応答して、非蛍光性形態から蛍光性形態へと、またはある蛍光性形態から異なる発光強度を有する別の蛍光性形態に、または蛍光性形態から非蛍光性形態へと変換することができる。言い換えると、配列の蛍光は、試験化合物と接触させることによって増減させることができる。
ナノ多孔質膜は多くの材料において利用可能であり、この材料としては、種々の孔径を有する、アルミナ、ポリフルオロカーボン、例えば、テフロン(登録商標)(テトラフルオロエチレンポリマー)、ペルフルオロ化エチレン−プロピレンコポリマー、テトラフルオロエチレンおよびペルフルオロアルコキシのコポリマー、テトラフルオロエチレンおよびエチレンのコポリマー、クロロトリフルオロエチレンポリマー、およびクロロトリフルオロエチレンおよびエチレンのコポリマー;ナイロン、ポリカーボネート、セルロース、セルロースエステル、ポリビニレンジフルオライド(PVDF)およびガラスが挙げられる。本願発明者らは、固体に担持されたポリジアセチレンを調製するために、通常約600nmまでの孔径を有するこれらの種類の膜を用いることを想定している。この膜表面を、化学処理、プラズマガス処理または他の処理によってさらに変えてもよい。マイクロタイタープレートが利用可能であり、ジアセチレンまたはポリジアセチレン配列でプレコーティングされ得る良好な底部を、またはそのままジアセチレン配列でコーティングされ、かつ重合され得る良好な底部を、ナノ多孔質膜を用いて製造することができる。
一例として、ジアセチレンの二次元構造および三次元構造をUV光またはγ線を照射して光重合し、共役長さが長い組織化されたポリジアセチレンを得る。このポリジアセチレンは、最大吸収が500〜800nm、好ましくは600〜750nmであり、青色から紫色であることを特徴とする。光重合によって主に非蛍光性形態が得られ、従って、バックグラウンドに対して全体的に低い蛍光を示す。「非蛍光性形態」という用語は、本明細書で使用される場合、500nmより上でバックグラウンドの約1〜3倍の蛍光シグナルしか示さず、かつ対応する蛍光性形態の蛍光シグナルよりも小さい、全体的に低い蛍光を示すポリマーを指す。「発光」という用語は、本明細書で使用される場合、ある波長またはある波長範囲における発光強度を指す。典型的には、「非蛍光性形態」は、500nmを超える蛍光性の発光が、対応する蛍光性形態より少なくとも10%、さらに典型的には少なくとも約50%低いものを示す。ジアセチレン二次元配列および三次元配列の中には、光重合すると蛍光性形態のポリジアセチレンを与えるものがあり、これらは試験化合物と相互作用して、配列を元の発光よりも低いかまたは高い異なる測定可能な発光を有する蛍光性形態に変換する場合、または波長および/または最大発光強度の比率がシフトする場合、アッセイで使用することができる。配列を加熱するか、または他の環境を変化させ(例えば、pH変化)、アッセイで使用する前に蛍光性形態に変換してもよい。本明細書で記載の、ポリジアセチレン配列を高いlog(P)を有する化合物に接触させると、低いlog(P)を有する化合物およびリファレンス溶液に接触させた場合の配列の発光強度よりも強度が下がることがある。
蛍光性形態のポリジアセチレンの蛍光は、300〜600nmの波長の光で励起することがあり、1つまたは2つの最大値を有する500nmを超える広範囲の蛍光からなるが、本発明はこれらの種に束縛されない。
蛍光性形態に変換する条件では、肉眼で青色から赤色への色変化が見られ、UV/VIS吸収スペクトルで測定して定量することができる。蛍光の変化および特定の波長での吸光度の変化は、線形的に相関している必要はない。本願発明者らはこれに束縛されないが、蛍光発光量の増加は、ポリジアセチレン骨格の共役長さが短い集団の増加、またはポリジアセチレン骨格の共役長さが長い集団の消光の(in the quenching)減少、またはその両方の結果である。蛍光の相対変化量は、この変換の際にUV/VIS吸収スペクトルで測定する相対変化と比べて1桁以上大きい場合がある。このことは、直接的な色変化よりもリポソームでの変化の方が高感度で測定することができることを意味している。この感度の増加によって、単純な比色検出では十分ではない多くの分野で用いる新規な蛍光検出方法が得られる。この例としては、薬物開発アッセイが挙げられる。フィルムの場合、ポリジアセチレンの蛍光性/非蛍光性特性を新規検出方法として利用し、固定された検知システムで比色検出と比較して高い感度を得ることができる。比色検出では担体が透明(例えば、水晶ガラスまたはUV/VIS用透明プラスチック)であることが要求されるが、蛍光の検出では、検知プラットフォームに不透明な単体を使用することができる。
懸濁液または溶液中の三次元ポリジアセチレン配列の相互作用によって、個々の配列が合体および/または凝集することがある。これらの現象は、三次元ポリジアセチレン配列の懸濁液または溶液に他の種を添加することによって発生することがある。合体および/または凝集によって、懸濁液または溶液中の三次元ポリジアセチレン配列の蛍光発光量が減少することがあり、発光量の減少を利用して合体および/または凝集を検出することができる。発光量の減少を利用して、添加した種の性質を決定し、または特定の種の有無を検出する。比色分析による方法は、UV/VIS吸光ピークの相対比率が三次元配列が集まるにつれて必ずしも変化するわけではなく、溶液中の凝集形成によって吸光シグナルにノイズが増えることがあるため、合体および/または凝集を決定するのにはあまり適していない。
リポソーム構造またはフィルム構造を維持しながら、ポリマー配列を他の非ジアセチレン界面活性剤種で希釈することができる。
本開示のさらなる実施形態では、配列に他の蛍光性またはリン光性の種を組み込んでもよい。これらのフルオロフォアおよびリン光体は、有機物、生体物質、無機物またはポリマー化合物、複合体または粒子であってよい。フルオロフォアまたはリン光体は、ある蛍光性形態またはリン光性形態から別の形態に配列が変化するにつれてポリジアセチレン配列の蛍光またはリン光が変化する量を大きくすることができる。添加されたフルオロフォアの蛍光またはリン光体のリン光を、フルオロフォアの蛍光またはリン光体のリン光がポリジアセチレンの変化によって影響を受けない場合には内部標準として、またはフルオロフォアの蛍光またはリン光体のリン光が変化する場合には変換のさらなる測定値として変換中にモニタリングすることもできる。それに加えて、特定のフルオロフォアは励起状態エネルギー移動プロセスを受けることがあり、配列の全体的な蛍光が変化し、量子収量が大きくなる。
適切なフルオロフォアの多くは脂溶性であり、配列のアルキル領域に組み込まれることが予想されるが、それ以外のものは極性であるか、または荷電しており、ヘッド基領域/水性界面に、または水溶液中にあると予想される。熱の作用、pH変化または他の環境変化、化学反応、または検体検出の際に、配列が非蛍光性形態から蛍光性形態に変わること、及び非蛍光性形態から蛍光性が低い形態に変わることを、配列の蛍光および添加されたフルオロフォアの蛍光の変化でモニタリングする。種々のフルオロフォア添加剤は、非蛍光性形態から蛍光性形態への変化、または蛍光性形態から蛍光性の低い形態への変化において、配列の蛍光応答の変化率を高める効果を有する。添加したフルオロフォアの蛍光もモニタリングし、いくつかのフルオロフォアは蛍光を増加させ、他のものは減少させながら、非蛍光性形態から蛍光性形態へのリポソーム形態の変化を示す。
例えば、添加したフルオロフォアは、ポリジアセチレンポリマーと光学的および/または電子的に相互作用してよい。フルオロフォアと配列とを光学的/電子的に相互作用させるいくつかの方法があり、その方法としては、以下の手段が挙げられるが、限定されない。
(1)フルオロフォアが配列の蛍光を吸収することによるもの、または配列がフルオロフォアの蛍光を吸収することによるもの。
(2)フルオロフォアが励起光を吸収し、励起し、次いで励起状態からポリジアセチレン配列にエネルギーが移動し、蛍光を発することによるもの。このプロセスは、共鳴エネルギー移動(RET)、さらには蛍光共鳴エネルギー移動(FRET)として知られている。このRETプロセスによって、ポリジアセチレンの蛍光がフルオロフォアの時間減衰特性を有するのを可能にする。
(3)ポリジアセチレン配列が蛍光性形態で励起光を吸収し、次いで励起状態からフルオロフォアにエネルギーが移動し、フルオロフォアが蛍光を発する。このRETプロセスによって、系の有効なStokesシフトを大きくし、全体の量子収量も大きくすることができる。
(4)フルオロフォアの励起状態から配列に電子を移動するか、または配列の励起状態からフルオロフォアに電子を移動することによるもの。このプロセスは、光誘起電子移動(PET)として知られている。
(5)配列がフルオロフォアの蛍光に必要な励起光を吸収するか、またはフルオロフォアが配列の蛍光に必要な励起光を吸収することによるもの。
(6)フルオロフォアが配列の蛍光を消光させることによるもの。
(7)配列がフルオロフォアの蛍光を消光させることによるもの。
フルオロフォアまたはリン光体をポリジアセチレン配列に添加すると、アッセイ中の配列の蛍光変化またはリン光変化の程度を大きくすることができ、このためにアッセイの感度が高まり、アッセイ中に検体によって生じるポリジアセチレン配列の変化の第2の測定値としてフルオロフォアの蛍光またはリン光体のリン光をモニタリングする。フルオロフォアとポリジアセチレン配列とのRET相互作用については以下に説明する。
蛍光共鳴エネルギー移動(RET):
ポリジアセチレンの固有の蛍光を用いた蛍光モニタリングは、吸光度(すなわち比色)モニタリングよりも優れているが、ポリジアセチレンは比較的弱いフルオロフォアである。共役鎖が励起状態のトラップとして作用し、励起状態を発光緩和以外の機構でも緩和し、蛍光を消すので、蛍光性ポリマーは、フルオロフォアとしては弱いことが多い(Warta Rら、J.Chem.Phys.,1988,1,95−99)。青色のポリジアセチレンの共役長さは長く、励起状態を非常に有効にトラップしてしまうと理論づけられている。青色形態は非常に有効な非蛍光性であるからである(Morgan J.ら、Chem.Phys.Lett.,1992,196,455−461)。赤色または黄色のポリジアセチレン配列は、異なる共役長さのポリマー鎖の混合物を含有してもよく、鎖間の消光および鎖内の消光が、共役長さが短いポリマーの蛍光を減少させると考えられる。
配列の全体の蛍光は、脂質領域、脂質/水界面および水溶液自体で特定のフルオロフォアを組み込むことで大きくすることができる(Reppy,M.A.「Signal Generation from Switchable Polydiacetyene Fluorescence」,Mat.Res.Soc.Symp.Proc.2002,723,O5.9.1−O5.9.6)。特定のフルオロフォアを用いたRETプロセスでは、100nm未満から200nmを超える位置までStokesシフトが顕著に大きくなる。このことは、最適な光学強度よりも小さな蛍光を測定するプレートリーダーを用いる場合、または表面から励起光が反射してバックグラウンドが通常高くなる固体の蛍光を読み取る場合には重要である。組み込まれたフルオロフォアを、ポリジアセチレンのみを小規模または全く励起させない波長によって直接励起させ、これらのフルオロフォアを含有する非蛍光性ポリジアセチレン配列を顕著に蛍光性にはしない。
フルオロフォアが励起状態から配列の蛍光性形態にエネルギーを移動させることも可能であり、これにより蛍光が生じる。フルオロフォアをポリジアセチレンが励起しない波長で励起させることができ、ポリジアセチレンにエネルギーが移動してポリジアセチレンは蛍光を発する。これにより、全体的なポリジアセチレン配列の有効なStokesシフトを大きくすることができる。フルオロフォアの寿命が長い場合(例えば、特定のテルビウム化合物およびユーロピウム化合物は長い励起状態減衰時間を有している)、ポリジアセチレンの蛍光減衰は同様の寿命を有する。これにより、ポリジアセチレン配列および通常のTRFリーダー(例えばPerkin Elmer/Wallach Victor2V)を用いて時間分解蛍光(TRF)測定を行なうことができる。バックグラウンドの蛍光は測定が行われる前に通常は減衰してしまうため、TRFはバックグラウンドが低いという利点を有する。
当該技術分野で既知の任意の蛍光性またはリン光性を測定する装置で蛍光またはリン光を読み取ることができ、該装置としては、限定されないが、キュベット、繊維状の光学アタッチメント、プレートリーダー、手持ちのリーダー、蛍光顕微鏡、CDCカメラを備えており、肉眼で判断できる蛍光光度計が挙げられる。この検知方法は、高スループットスクリーニングの複数のウェルプレートフォーマットで容易に使用することができる。
本開示の方法を薬物開発分野で使用することができる。薬学的化学物質の開発者は、化合物の生体関連の物理的特性(例えば、溶解度、親油性、異なるpHでの電離状態(すなわちpKa)、経口吸収など)を試験したいと考えている。特に、開発者が非常に興味を持っているのは、薬物または可能性のある薬物が経口投与可能であるか否かである。薬物が経口投与可能であれば、静脈内投与しなければならない類似の薬物よりもかなり安価となり、広い範囲で使用することができる。従って、経口投与できる薬剤の市場はかなり広いと考えられる。開発者は、いわゆるLipinskiのルールオブファイブを用いて経口投与可能な薬物と類似の特性を有する化合物の可能性についても評価することができる。Lipinskiのルールオブファイブは、水素結合ドナーが5個未満、水素結合アクセプターが10個未満、分子量が500g/mol未満、分配係数(log(P))が5未満の特性を有する、薬のような特性を有する化合物を提案している。最初の3つの基準は化合物の構造から評価することができ、最後の基準(すなわちLog(P))は、直接測定するか、または他の手段を用いて概算しなければならない。
オクタノールと水との間の化合物の平衡濃度を測定し、平衡定数のlogを直接決定し、分配係数を算出する。分配係数を直接的に測定するには、かなりの量のサンプルと、二相での種の濃度を定量する分析方法が必要となる。これらの測定は、高スループットスクリーニングには適していない。化合物をバッファーとリン脂質リポソームとに分配する方法(Balon K.ら、Pharmaceutical Research,1999,16(6),882−888)は、化合物濃度を測定する別個の分析工程も必要である。リン脂質リポソームは、通常は長期間および/または広いpH範囲にわたって安定ではない。
化合物の経口吸収を決定する動物およびヒトでの試験は高価で時間がかかり、小数の化合物しか用いることができない。ヒトの腸の派生細胞株(Caco−2細胞として知られる)が化合物の経口吸収を評価するために使用されている(Artursson P.およびKarlsson J.,Biochemical and Biophysical Research Communications,1991,175(3),880−885)。この細胞をフィルター層で成長させ(2週間のプロセス)、試験化合物のバッファー溶液を細胞層の上に置き、細胞層の他端で検出された化合物濃度を(別個の工程で)分析することによって細胞への化合物の浸透性を測定する。現時点では、この方法で数多くの(50種を超える)化合物を並行して効率よく評価することはできず、細胞は広いpH範囲に適合しない。他の細胞株を同様の試験に使用している。96ウェルフィルタープレートを使用して、フィルターをヘキサデカンの混合物に含浸させる代替法が提案されている(Wohnsland F.およびFaller B.,Journal of Medicinal Chemistry,2001,44,923−930)。試験化合物が膜を通る経路は別個に測定される。同様に、脂質混合物(PAMPA)に担持された膜も使用されている(Sugano K.ら、Journal of Biomolecular Screening,2001,6(3),189−196)。リン脂質二層でコーティングされたシリカビーズ(TRANSIL)を使用して化合物膜のアフィニティーを評価している(Loidl−Stahlhofen A.ら、Journal of Pharmaceutical Sciences,2001,90(5),599−606)。ビーズを化合物溶液とともにインキュベートし、分離し、溶液中に残った化合物の量をクロマトグラフィーで定量する。クロマトグラフィーによる方法では、リン脂質リガンドで官能基化されたシリカが充填されたクロマトグラフィーカラムが提案されている(Ong S.ら、Journal of Chromatography A.,1996,728,113−128)。化合物の保持時間は、経口吸収とおおよそ相関関係にあるが、これらの方法は高価であり、数千の化合物の高スループットスクリーニングで使用するには不十分である。
これらの従来法は全て、化合物が細胞、膜などに分配されるか、または通過するかを、溶液を試験することによって検出するための別個の工程を付け加える必要がある。これは、化合物の放射能標識、溶液のUV−Vis(吸光)スペクトルの測定、クロマトグラフィーおよび質量分析計と組み合わせたクロマトグラフィー(LC/MS)、および電位差滴定によって達成される。放射能標識は高価であり、化合物が取り扱い危険なものに変化するため、多くの数の化合物をスクリーニングするには現実的ではない。UV−Vis測定は、化合物が発色団を有していることが必要であるが、これは常にあてはまるわけではなく、化合物が最大吸収を有する位置を決定する必要もある。クロマトグラフィーによる方法はスループットが低く、LC/MSはこれに加えて高価な装置が必要である。電位差滴定による測定は、技術が要求され、特別な装置が必要である。本開示は、試験化合物が発色団または放射能標識を有していなくてもよく、容易に利用可能な市販の装置を用いて行なうことができる、1工程での検出または広範囲の化合物を評価する方法を可能とする。
異なる組織による化合物の分布量または吸収量を決定するための実験的な高スループットスクリーニング(HTS)法はこれまで存在しない。異なる組織に取り込まれる薬物化合物の傾向は、標的部位に到達するか否か、望ましくない副作用を起こすか否か、臨床的に実行可能であるか否かに影響を与える。
ヒトでの化合物分布を予想する既存の方法は、主に動物試験に依存しており、これらの試験は困難であり、結果がヒトに適用可能であるかは定かではない。高価なスクリーニング技術が存在し、例えば、ヒトでの化合物分布をスクリーニングするための陽電子放出断層撮影(PET)および核磁気共鳴(MRS)が挙げられる(参考:Langer O.;Mueller M.「Methods to Assess Tissue−Specific Distribution and Metabolism of Drugs」 Cnrr.Drug Metab.,2004,5,463−481)。これらの方法は、非常に高価な特別な装置と、放射能標識された化合物の合成が必要である。マイクロドージング実験および臨床的な微小透析もヒトに使用されている。マイクロドージング実験は、薬理学的に関連しない濃度で化合物を使用するため、この結果は臨床的に意義がなく、放射能標識された化合物または加速質量分析計を用いる必要がある。臨床的な微小分析は侵襲的手技である。これらの方法にはヒト被検体が必要であり、ある範囲の倫理的な問題が生じる。これらの方法はいずれも、多くの数の化合物を並行してスクリーニングするには適していない。人体での薬物化合物の分布を予測する高スループットインビトロ方法は、新規化学物質(NCE)を臨床前にスクリーニングすることに加えて重要である。
本開示の方法は、コスト的により有効な様式で、薬物製造業者が目的の生体に関連する化合物の物性の1つ以上を予測(例えばおおよその数字を求める)、又は概算するのを可能にし、従来法と比較して多くの数の化合物のスクリーニングにかなり有利である。従って、本開示の方法は、薬物開発サイクルの初期に化合物特性を概算又は予測するのを可能にする。本開示の方法は、数千の化合物を自動化様式で高スループットスクリーニングするのに適しており、広範囲の化合物を評価するのに使用することができる。
本開示の試験方法の一実施形態は、384ウェルまたは96ウェルのマイクロタイタープレート中で重合させた三次元配列(例えば、リポソームまたは小管)の溶液に試験化合物の水溶液またはDMSO溶液を添加する工程と、数分から数時間のインキュベーション後にウェルの発光を測定する工程とを含む。ウェルの発光を互いに比較し、対照溶液を含有するウェルの発光と比較する。特徴付けられた化合物を含むウェルの発光は、化合物のlog(P)および/または細胞膜への拡散能、および/または細胞間浸透性、および/または化合物の経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配と相関関係にあり、これらの相関関係を使用して、未知の化合物のlog(P)および/または細胞間浸透性、および/または化合物の経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配を測定し、または概算し、または予測する。配列は、非ジアセチレン種を含有してよい。非ジアセチレン種としては、限定されないが、リン脂質、コレステロール、ステロイド、他の脂質、タンパク質、細胞膜タンパク質、細胞膜成分およびフルオロフォアが挙げられる。この脂質種または他の成分は、合成であってもよく、または天然の供給源(例えば、細胞膜または細胞の塊(bulk tissue))から抽出してもよい。例えば、脂質および/または他の成分は、小腸の上皮細胞の細胞膜から抽出されてもよい。脂質は、特定の組織種(例えば、脳、肝臓、脂肪など)の細胞膜を再現するため、または種々の有機物(例えば、微生物、酵母など)の膜を再現するため、または細胞小器官の膜を再現するために選択されてもよい。配列は、広いpH範囲で使用されてもよく、pH範囲としては、限定されないがpH2〜10が挙げられる。配列の溶液は、いくつかの場合では12ヶ月間保存しても安定であることが示されている。ポリジアセチレン配列の発光は、log(P)、および/または細胞間浸透性および/または経口吸収性の増加を伴う化合物と接触するとコントロールの発光と比較して低くなることもある。この低下は線形であることもあり、特定のLog(P)値で急減に低下する「階段状の」特性を有することもある。または、配列の発光は、化合物のlog(P)値が大きくなるにつれて基準と比較して大きくなる。配列の発光変化は、処方物に依存すると考えられ、化合物を複数の配列処方物でスクリーニングすると、化合物のlog(P)および/または細胞膜への拡散能、および/または細胞間浸透性、および/または経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配の概算値の予測精度を高めることができる。構造類似性および/または機能類似性を有する化合物セットの結果と比較することによってデータ分析を改良することができる。異なる化合物と接触させた配列の発光の速度論的変化の分析によって、化合物のlog(P)および/または細胞膜への拡散能、および/または細胞間浸透性、および/または化合物の経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配の概算も可能になる。本開示の試験方法から収集した発光データまたは速度論データは、単独で分析することができ、または生体関連性を有する試験化合物の物性を、コンピューターまたは他のモデルを用いて統合することができる。例えば、化合物の構造から決定可能な化合物の分子特性(例えば、分子量、水素結合アクセプターおよびドナーの数など)を情報に付け加えることによってデータ分析を充実させることができる。さらに実験的に得られる化合物特性または予測される化合物特性を提案された方法から得られたデータと組み合わせてよい。多変量統計解析または他の数学的モデリング技術を化合物特性の予測に使用してよい。
本開示の試験方法の別の実施形態は、重合された二次元配列(例えばポリジアセチレン配列)に試験化合物の水溶液またはDMSO溶液を添加する工程を含む。配列は、固体担体に担持されていてもよく、またはナノ多孔性フィルターにコーティングされていてもよく、または担持されずに自立していてもよい。フィルターは、96ウェルまたは384ウェルのフィルターまたは他のウェル数の計量フィルタープレートであってもよい。二次元配列はマクロアレイに配列されていてもよく、連続的に広がっていてもよい。配列は、非ジアセチレン種を含有してもよい。非ジアセチレン種としては、限定されないが、リン脂質、コレステロール、ステロイド、他の脂質、タンパク質、細胞膜タンパク質、細胞膜成分およびフルオロフォアが挙げられる。この脂質種は、合成であってもよく、または天然の供給源(例えば、細胞膜)から抽出してもよい。例えば、脂質および/または他の成分は、小腸の上皮細胞の細胞膜から抽出されてもよい。脂質は、特定の組織種(例えば、脳、肝臓、脂肪など)の細胞膜を再現するため、または種々の有機物(例えば、微生物、酵母など)の膜を再現するため、または細胞小器官の膜を再現するために選択されてもよい。配列は、広いpH範囲で使用されてもよく、このpH範囲としては、限定されないがpH2〜10が挙げられる。試験化合物溶液に接触させた後または接触中に配列の発光を測定する。配列がフィルターに担持されている場合、さらなる工程で試験化合物溶液をコーティングされたフィルターに出し入れし、この工程後の発光を読み取る。特徴付けられた化合物に接触した配列の発光は、化合物のlog(P)および/または細胞膜への拡散能、および/または細胞間浸透性、および/または化合物の経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配と相関関係にあり、これらの相関関係を使用して、未知の化合物のlog(P)および/または細胞膜への拡散能、および/または細胞間浸透性、および/または化合物の経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配を測定し、または概算し、または予測する。配列の発光変化の程度は、配列処方および試験化合物の性質に依存すると考えられ、化合物を複数の配列処方物でスクリーニングすると、化合物のlog(P)および/または細胞膜への拡散能、および/または細胞間浸透性、および/または経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配の概算値の精度を高めることができる。構造類似性および/または機能類似性を有する化合物セットの結果と比較することによってデータ分析を改良することができる。異なる化合物と接触させた配列の発光の速度論的変化の分析によって、化合物のlog(P)および/または細胞膜への拡散能、および/または細胞間浸透性、および/または化合物の経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配の概算が可能になる。本開示の試験方法から収集した発光データまたは速度論データは、単独で分析することができ、またはコンピューターまたは他のモデルを用いて生体関連性の試験化合物の物性を予測するために統合することができる。
本開示の試験方法の別の実施形態は、重合された二次元ジアセチレン配列を薄い単一層、二層または複数層のフィルムとして使用する。試験化合物がこの配列を通る経路と、配列の発光変化とは、試験化合物の吸収能と相関関係にあるか、またはその分配係数と相関関係にある場合がある。試験セルは、図1A、1Bおよび1Cに示されるように、三次元配列の溶液および試験対象の化合物の溶液とは別の二次元配列と共に設定することができる。図1Aは、2−D配列のフィルムまたはコーティングと、3−D配列の溶液とを含有するセルを示し、図1Bは、試験化合物溶液を添加したセルを示す。試験化合物は、3−D配列の溶液を通って2−D配列に分配され、浸透する。2−D配列および3−D配列の発光を図1Cに示すように測定し、測定値を利用して、分配係数および/または細胞膜への拡散能、および/または経口吸収性および/または試験化合物の細胞間浸透性、および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配を概算する。または、ナノ多孔質膜で担持された重合配列をフィルムの代わりに使用することができる。試験セルの一例は、コーティングされたろ過マイクロタイタープレートウェルであってもよい。適切な装置(例えば、底部/上部を読み取る蛍光プレートリーダー)を用いて、そのままで三次元配列の溶液および二次元配列の発光を測定することができる。設定時間後に二次元配列および三次元配列の発光を測定するか、またはある時間間隔でモニタリングする。この発光は、化合物の分配係数、および/または細胞膜への拡散能、および/または細胞間浸透性、および/または化合物の経口吸収および/または化合物の電離状態、および/または化合物の分布量、および/または異なる組織への分布および/または細胞小器官への分配と相関関係にある。
この試験方法をさらに拡張して使用し、溶液中のタンパク質または他の高分子に対する化合物の結合を決定することができる。適切なタンパク質としては、限定されないが、血漿タンパク質が挙げられる。本開示のこの実施形態では、化合物はタンパク質と接触し、混合物をポリジアセチレン三次元配列または二次元配列と接触させる。場合により、配列の蛍光と、化合物のみと接触させた配列の蛍光とを比較するか、または別の適切なリファレンス溶液と接触させた配列の蛍光と比較し、化合物がタンパク質と結合しているか否かを評価する。
本開示の試験方法の別の実施形態は、試験化合物および1つ以上のタンパク質または他の高分子を試験セル中の溶液に入れ、この溶液を適切な孔径を有する膜(例えば透析膜)によって三次元配列の溶液とは分離して試験を行なう。膜は、1つ以上のタンパク質または他の高分子、および1つ以上のタンパク質または他の高分子に結合する任意の化合物が配列の溶液と接触するのを防ぐが、結合していない化合物は膜を通り、配列の溶液と接触する。三次元配列の発光を設定時間後に測定するか、またはある時間間隔でモニタリングし、タンパク質または他の高分子に対する試験化合物の結合を決定する。
本開示内容を更に理解しやすくするために、以下の非限定的な例を示す。
以下の実施例では、他に言及されない限り、ジアセチレン脂肪酸はGFSから購入したか、または社内で合成した。10,12−ペンタコサジイン酸(PCDA)は購入し、6,8−ドコサジイン酸(DCDA)、N−(2−ヒドロキシエチル)−10,12−ペンタコサジインアミド(PCDA−EtOH)(Spevakら、J.Am.Chem.Soc,1993,115,1146−1147)、(S)−N−(2−ペンタン二酸)−10,12−ペンタコサジインアミド(PCDA−Glu)(Cheng Q.;Stevens R.C., Langmuir,1998,14,1974−1976)およびモノ10,12−ペンタコサジイニルホスフェート(PCDA−PO4)(Hub H−H.;Hupfer B.;Koch H.;Ringsdorf H.,Angew.Chem.Int.Ed.Engl,1980,19(11),938−940)は合成した。アセチレン化合物はGFSまたはLancaster Synthesisから購入した。試薬、無水溶媒、試験化合物、コレステロールおよび緩衝塩はSigma−AldrichおよびFisher Scientificから得た。ジミリストイルホスファチジルコリン(DMPC)、ジオレオイオール(dioleoyol)ホスファチジルコリン(DOPC)、ジオレオイオール(dioleoyol)ホスファチジルエタノールアミン(DOPE)、脳抽出物の全脂質、および肝臓抽出物の全脂質はAvanti Lipidsから購入した。有機フルオロフォアはMolecular ProbesおよびSigma−Aldrichから得た。テルビウム塩およびユーロピウム塩はAlfa Aesarから得た。溶媒は、他に特定されない限り、最適なグレードでFisher Scientificから得た。HOはMillipore Milli−Q Plusシステムで超ろ過して抵抗が18.2MΩになるまで精製した。
マイクロチップを取り付け、電源を約30%に設定したImaging Products Sonic 300 V/Tを用いてプローブ超音波処理を行なった。超音波浴は、Fisher Scientific FS140H超音波器に水を入れ、適切な温度に加熱して得た。細胞から脂質抽出物を調製する際に、Kinematica PTA10 PolytronおよびCafrano BDC 1850 Teflon/ガラスホモジナイザーを分散工程および均一化工程で使用した。Sorvell RC5CおよびBeckman L7−35遠心分離機を遠心分離工程に使用した。254nm付近のUV光の調整されたエネルギー量を照射することが可能なUVオーブンを用いて光重合を行なった。SPEX Fluoromax−2プレートリーダーおよびWallach Victor2およびVictor2Vリーダーを用いてアッセイデータを集めた。Corning製の384ウェルおよび96ウェルの黒色の未処理ポリスチレンマイクロタイタープレートおよびMillipore製の96ウェルのフィルタープレートをアッセイに使用した。1Hスペクトルおよび13CスペクトルをAcorn NMR、Livermore CAで得た。
天然脂質抽出物は、文献の方法を応用してブタの小腸の上皮細胞およびCaco−2細胞を処理することによって得た。手続きは、溶液および混合物を可能な時間氷上に置いた状態を維持して行われ、遠心分離機を4℃の冷蔵庫に入れた。細胞を0.3M マンニトール/10mM HEPES/10mM TRISバッファー(pH7.4、バッファー1)で洗浄し、0.3M マンニトール/1mM ジチオスレイトール(DTT)/1mM TRIS/0.1mM フェニルメチルスルホニルフルオライド(pH7.0)中で均一にして、懸濁液500gを5分間遠心分離した。0.3M マンニトール/1mM DTT/1mM TRIS(pH7.0)中でペレットを均一にし、500gを5分間遠心分離した。このとき、2種類の細胞の調製物が外れた。
ブタの小腸の上皮細胞の調製物の場合、ペレットを捨て、上澄みを合わせ、体積300mLにして、3mLの1mM CaClを滴下した。混合物を45分間攪拌し、5,500gで5分間遠心分離した。上澄みを捨て、38,000gで40分間遠心分離した。ペレットをバッファー1で体積5mLにして、ガラス/Teflonホモジナイザーで2,000RPMで10回均一にした。再懸濁させたペレットを2個の65mL遠心分離管に分け、バッファー1で管の全量を満たすように希釈した。これらを80,000gで30分間遠心分離した。
Caco−2細胞調製物の場合、ペレットをバッファー1で体積5mLにして、ガラス/Teflonホモジナイザーで2,000RPMで10回均一にした。再懸濁させたペレットを2個の65mL遠心分離管に分け、バッファー1で管の全量を満たすように希釈した。これらを80,000gで30分間遠心分離した。
両方の調製物について、最終のペレットを氷冷して、Arを散布してCHCl/MeOH 1:1でボルテックスしながら抽出し、ろ過した。固体を、超音波浴を用い、CHCl/MeOH 1:1中で加熱せずに5分間超音波処理し、ろ過した。この工程を繰り返した。合わせたろ液の溶媒を、分圧下でロータリーエバポレーションを用いてフラスコを加熱せずに除去した。ベンゼン/エタノール 4:1を用いて共沸させ、水を除去した。乾燥させた固体の一部分をCHCl/MeOH 1:1に1.4mg/mLで再び溶解し、溶解されていない固体をろ過で除去した。ろ液の溶媒を上述のように除去し、固体をCHCl/MeOH 1:1に7mg/mL(ブタの小腸の上皮細胞の抽出物)と、4mg/mL(Caco−2細胞抽出物)で溶解した。溶液を−20℃で保存した。
適切な量の界面活性剤をクロロホルムに溶解し、溶液を孔径0.22ミクロンのPTFEフィルターでろ過することによってジアセチレン界面活性剤のクロロホルム溶液を調製した。ジアセチレンリポソーム溶液を文献に記載の一般的な方法にしたがって、ジアセチレン界面活性剤の有機溶液を任意の添加剤(例えば、リン脂質、脂質、コレステロールおよび/またはフルオロフォア)の有機溶液とともに乾燥させ、混合物質を最終的にほぼ1mMになるように水またはバッファーを添加して、プローブ超音波処理によって物質を分散させ、分散液を0.8μm孔径の酢酸セルロースフィルターでろ過し、4℃または10℃で一晩冷却することによって調製した(Hupfer B.ら、Chem.Phys.Lipids,1983,33,355−374;Spevakら、J.Am.Chem.Soc,1993,115,1146−補助資料;Reichart A.ら、J.Am.Chem.Soc,1995,117,829−補助資料)。ナノ多孔質膜(50〜200nm)を介してリポソーム溶液を吸引ろ過するか、またはナノ多孔質膜を介してリポソーム溶液を押し出すことによってコーティングを調製した。リポソームおよびコーティングを、制御された線量を照射可能なUV(250nmまで)架橋オーブンで重合させた。組成物は、他に注記されない限り、モルパーセントで表す。発光の励起は他に注記されない限り470nmである。
フルオロフォアとしては以下のものが挙げられる:5−(((4−(4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−イル)フェノキシ)アセチル)アミノ)ペンチルアミン塩酸塩(1);(E,E)−3,5−ビス(4−フェニル−1,3−ブタジエニル)−4,4−ジフルオロ−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン(2);1,1’−ジオクタデシル−3,3,3’,3’−テトラメチルインドジカルボシアニン,4−クロロベンゼンスルホネート塩(DIC−18(5))(3)、および6−(((4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3z,4z−ジアザ−s−インダセン−3−イル)スチリルオキシ)アセチル)アミノヘキサン酸6−(((4,4−ジフルオロ−5−(2−チエニル)−4−ボラ−3a,4a−ジアザ−s−インダセン−3−イル)スチリルオキシ)アセチル)アミノヘキサン酸ナトリウム−4−スルホネート−2,3,5,6−テトラフルオロフェニルエステル(4)。
試験化合物は、以下に挙げられるセットから選ばれた:アセブトロール、アルプレノロール、アミオダロン、アモキシシリン、アンピシリン、アスコルビン酸、アテノロール、ビホナゾール、ベンジルペニシリン、カフェイン、カルバマゼピン、セフトリアゾン(ceftriazone)、シメチジン、クロファジミン(clofazimine)、クロルプロマジン、デフェロキサミン、デシプラミン、β−エストラジオール、ファモチジン、フラボン、フォスカネット、ホスホルマイシン(fosformycin)、フロセミド、ヒドロクロロチアジド、ヒドロコルチゾン、イブプロフェン、イミプラミン、イソニアジド(isoniazide)、ケポン、ケトプロフェン、ラクツロース、マンニトール、酒石酸メトプロロール、メトトレキサート、ノルフロキサシン、オウアビン(ouabin)、ポリ(エチレンオキシド)、ピモジド、プレドニゾン、プレグネノロン、プロカインアミド、プロプラノロール、キニーネ、ラフィノース、ラニチジン、サリチル酸、スルファサラジン、テトラサイクリン、テルブタリン、テルフェナジン、マレイン酸チモロール、トリフルプロマジン、トリフルオペラジン。化合物を5.00mMでDMSOに溶解し、必要に応じてさらにDMSOまたはHOで希釈した。
実施例1:
乾燥した脂質類を2mM HEPESバッファー(pH7.4)中でプローブ超音波処理することによって、フルオロフォア1および2をフルオロフォア:脂質=1:200で別々に組み込んで70%PCDA、30%DMPCと、70%PCDA、30%DMPCとからリポソームを調製した。溶液を0.8μアセテートフィルタでろ過し、10℃で一晩冷却し、約254nmのUV光0.2J/cmで光重合させた。リポソーム溶液4μL、バッファー(10mMリン酸ナトリウム、pH6.5)32μLおよび試験化合物溶液(0.5mMのDMSO溶液)4μLを黒色の384ウェルプレートの三ッ組のウェル中で混合した。プレートを1時間振とうし、ウェルの蛍光を測定し、実施例1のように平均を算出し、基準ウェルと比較した。分配係数(log(P))が4以下の化合物と接触させたリポソームは、リファレンスのリポソームと同様の発光量であった。分配係数が5より大きい化合物と接触させたリポソームは、リファレンスの発光の約60%の発光量であった。分配係数が5付近で発光が急に「階段」状になることにより、候補薬物の分配係数が5より大きいか小さいかを判断する簡単なスクリーニングに、これらのリポソームが適している。
実施例2:
2mM HEPES(pH6.5)中のフルオロフォア1〜3を用いて100%PCDAからリポソームを調製し、上述のように400mJ/cmのUVで光重合させた。リポソーム溶液4μL、バッファー(10mMリン酸ナトリウム、pH6.5)32μLおよび試験化合物溶液(0.5mMのDMSO溶液)4μLを黒色の384ウェルプレートの三ッ組のウェル中で混合した。プレートを1時間振とうし、ウェルの蛍光を測定し、実施例1のように平均を算出し、リファレンスのウェルと比較した。試験化合物の分配係数と1および2を組み込んだリポソームの蛍光とを全部で3つの発光波長でプロットすると、負の勾配を有する線形関係であることが示された。3を組み込んだリポソームは、リファレンスと比較した場合、5.2未満の分配係数を有する試験化合物には応答しないことが示された。675nmでの発光は、分配係数が5.2を超えて大きくなるにつれて直線状に上昇した。642nmおよび572nmでの発光は直線状に低下した。
実施例3:
2mM HEPESバッファー(pH7.4)中で、57%DCDA、26%DOPC、7%DOPEおよび10%コレステロールから、および57%DCDA、26%DOPC、7%DOPEおよび10%コレステロールから、2および3、または3を別個に組み込んでリポソームを調製し、上述のように0.4J/cmのUVで光重合させた。試験化合物溶液(0.5mMのDMSO溶液)10μL、バッファー(2mM HEPES、pH6.5)80μLおよびリポソーム溶液10μLを黒色の96ウェルマイクロタイタープレートの三ッ組のウェル中で混合した。675nm、642nmおよび572nm(470nmで励起)でウェルの発光を20分および30分に読み取り、三ッ組のウェルで平均値を算出した。化合物の分配係数と発光とは、分配係数が約5を超えるとほぼ線形関係が観察され、分配係数が約5未満だと、発光はあまり変化しない。
実施例4:
44%PCDA−EtOH/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、および44%PCDA−EtOH/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、上述のようにフルオロフォア2、3および4を組み込んでリポソームを調製した。リポソームを0.2J/cmのUVで重合させた。リポソーム溶液4μL、バッファー(10mMリン酸ナトリウム、pH6.5)32μLおよび試験化合物溶液(0.5mMのDMSO溶液)4μLを黒色の384ウェルプレートの三ッ組のウェル中で混合した。プレートを1時間断続的に振とうし、ウェルの蛍光を測定し、実施例1のように平均を算出し、リファレンスのウェルと比較した。全ての3つの発光波長について、および全ての4つの処方物について、実施例1と同様に分配係数4および5の間で発光が急に低下した。
44%PCDA−EtOH/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、および44%PCDA−EtOH/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、フルオロフォア2および4を組み込んで重合したリポソームを、バッファーおよび試験化合物溶液(5%DMSO/HO中0.25mM)と、上述のように黒色の384ウェルプレートの三ッ組のウェル中で混合した。プレートを振とうし、発光を1時間、3時間および5時間で上述のように測定した。純粋なリポソーム(フルオロフォア含まない)および4を組み込んだリポソームの発光データは、log(P)が約3を超えると発光がほぼ直線状に低下することが示された。無添加のリポソームの発光データは、また、ウェルに含まれる化合物の経口吸収といくらか相関関係にあることが示され、最も低い経口吸収を有する化合物は他のウェルよりも顕著に発光量が大きかった。これらの結果は、アッセイ全体で試験化合物が25μMのものについて得られ、対して、実施例の第1の部分では、試験化合物50μMが用いられた。
実施例5:
44%PCDA−Glu/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、および44%PCDA−EtOH/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、上述のようにフルオロフォア2、3および4を組み込んでリポソームを調製した。リポソームを0.2J/cmのUVで重合させた。リポソーム溶液4μL、バッファー(10mMリン酸ナトリウム、pH6.5)32μLおよび試験化合物溶液(0.5mMのDMSO溶液)4μLを黒色の384ウェルプレートの三ッ組のウェル中で混合した。プレートを1時間断続的に振とうし、ウェルの蛍光を測定し、実施例1のように平均を算出し、基準ウェルと比較した。全ての3つの発光波長について、および全ての4つの処方物について、実施例1および実施例4と同様に分配係数4および5の間で発光が急に低下した。
実施例6:
44%PCDA−Glu/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、44%PCDA−EtOH/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、および44%PCDA−PO/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールから、上述のようにフルオロフォア4を組み込んでリポソームを調製した。リポソームを0.2J/cmのUVで重合させた。リポソーム溶液4μL、バッファー(10mMリン酸ナトリウム、pH6.5)32μLおよび試験化合物溶液(0.5mMのDMSO溶液)4μLを黒色の384ウェルプレートの三ッ組のウェル中で混合した。等量の10mMリン酸ナトリウム(pH7.4)を用いて第2のプレートを調製した。プレートを37℃で1時間振とうし、ウェルの発光を測定し(これも37℃で)、実施例1のように平均値を算出した。プレートを37℃に維持し、3時間、5時間および20時間で再び測定した。データの傾向は、時間によってもpHによっても顕著には変化しなかった。全ての3つのリポソーム処方物について、両方のpHで、572nmの発光はlog(P)値が4と5との間で発光が急激に低下し、642nmおよび675nmの発光の低下は小さかった。
実施例7:
上述のように、44%PCDA−Glu/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールからフルオロフォア2を組み込んでリポソーム(1)を調製し、44%PCDA−EtOH/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールからフルオロフォア4を組み込んでリポソーム(2)を調製した。Millipore製の0.05μ孔を有する混合セルロースエステル(MCE)フィルターを取り付けた96ウェルフィルタープレートを脱イオン水100〜300uLをフィルターを通して減圧吸引することによって予め湿らせた。3つのカラムにウェルあたり(1)を75μL入れ、3つのカラムにウェルあたり(2)を75μL入れ、2つのカラムにウェルあたり(1)75μLと(2)75μLとを入れた。プレートろ過用に設計されたMillipore減圧マニホルドおよび水流アスピレーターを用いて陰圧下で溶液をフィルターに貫通させた。プレートを少なくとも30分間4℃に冷却し、20mJ/cmを照射してコーティングを重合させ、均一な青色コーティングを形成した。調製してから使用するまでプレートを4℃で保存した。
プレート底部のドリップディレクターを耐水テープで封をして、10mMリン酸ナトリウム(pH6.5)90μLを各ウェルに添加した。約10分後、ウェルの発光を675nm、642nmおよび572nmで測定した(励起=470nm)。7種の試験化合物の0.5mM DMSO溶液10μLを三ッ組のウェル((1)および(2)の両方でコーティングしたウェルについては二ッ組のウェル)に添加した。プレートを室温で1時間振とうし、ウェルの発光を読み取った。2.25時間、4時間および20時間にプレートを再び測定した。テープをはずし、プレートをMillipore減圧マニホルド上に戻し、30Torrまで減圧した。溶液のろ過は非常に遅く、適切にろ過されないウェルもあった。プレートを再び読み取った。バッファー中の初期の発光値を基準とした試験化合物に接触させたウェルの発光変化率を算出し、三ッ組または二ッ組のウェルで平均値を算出した。(1)および(2)の両方から製造したコーティングの変化率から、log(P)が負の勾配を有するほぼ線形の関係であることが示され、(1)および(2)から別個に製造したコーティングの変化率から、log(P)が約2未満では変化率はほぼ変わらず、log(P)が2を超えるとlog(P)が大きくなるにつれてほぼ直線状に低下することが示された。(1)および(2)の両方から製造したコーティングでは、発光変化率と経口吸収とにある傾向があることも示され、経口吸収90%以上の化合物では675nmで発光変化率が−28%〜−39%であり、経口吸収1%の化合物では675nmで発光変化率が−14%である。642nmおよび572nmでの発光も同様の傾向があった。全時間点で上述の傾向があり、ろ過工程後も同様の傾向があった。(2)から製造したコーティングは、発光変化率とCaco−2浸透性とに傾向があり、Caco−2浸透性が21×10−6および1×10−6cm/秒の間で発光変化率が急に低下することも示された。
実施例8:
上述のように、2mM HEPES(pH7.4)中で、44%PCDA−Glu/33%DMPC/23%コレステロールからリポソームを調製した。0.1μMCEフィルター上の、あらかじめ湿らせておいた96ウェルフィルタープレートに350Torrでコーティングを付着させ、実施例7に記載されるように10mJ/cmのUVで光重合させ、深青紫色のコーティングを作製した。
10mMリン酸ナトリウム(pH6.5)(バッファー)100μLにコーティングを接触させ、20分間振とうした。次いで、バッファーを300Torrでウェルを通して減圧ろ過し、発光を545nmで測定した(初期の発光)。5mM 試験化合物のDMSO溶液30uLとバッファー2.97mLとを混合することによって、希釈した試験化合物を調製した。この希釈した試験化合物100μLをウェルに添加し、プレートを4時間振とうした。次いで、溶液を300Torrでウェルを通してろ過し、発光を再び測定した(最終的な発光)。図2Aは、初期の発光と最終的な発光との変化をlog(P)が0〜6の化合物のlog(P)に対してプロットしたものを示す。図2Bは、初期の発光と最終的な発光との変化を化合物の経口吸収に対してプロットしたものを示す。
実施例9:
PCDA、PCDA−EtOHおよびPCDA−Gluと脳の全脂質抽出物または肝臓の全脂質抽出物とから、PCDA系リポソームおよびPCDA−Glu系リポソームについては2mM HEPES(pH7.4)中で、PCDA−EtOH系リポソームについては2mM HEPES(pH6.5)中で、上述の実施例に記載されるように全部で8.8×10−7モルのジアセチレン界面活性剤および6.9×10−4gの抽出された脂質類を用いて、リポソームを調製した。リポソームをUV光0.2J/cmで重合させたが、PCDA/肝臓脂質類のリポソームは重合しなかったので廃棄した。重合したリポソーム溶液4μL、バッファー(10mMリン酸ナトリウム、pH6.5)32μLおよび試験化合物溶液(0.05mMのDMSO溶液)4μLを黒色の384ウェルプレートの三ッ組のウェル中で混合した。プレートを1時間断続的に振とうし、ウェルの蛍光を測定し、実施例1のように平均を算出し、リファレンスのウェルと比較した。リファレンスに対する発光変化とlog(P)との傾向は、上の実施例に記載されるようにDOPC/DOPE/コレステロールを組み込んだリポソームの場合と同様の傾向であった。
実施例10:
PCDA−EtOHおよびPCDA−GluならびにCaco−2細胞由来の脂質類およびコレステロールから、それぞれ2mM HEPES(pH6.5)および2mM HEPES(pH7.4)中で、ジアセチレン1.75μmol、脂質9.6×10−4gおよびコレステロール4.48μmolを用いてリポソームを調製した。氷冷した24ウェル中でリポソームを0.2J/cmのUVで重合させ、アルゴン流下70℃で5分間加熱した。リポソーム1.2mLをバッファー(10mMリン酸ナトリウム/150mM塩化ナトリウム、pH6.5)10.4mLで希釈した。希釈したリポソーム58μLおよび試験化合物溶液(5mMのDMSO溶液)2μLを黒色の384ウェルプレート中で混合し、測定と測定の間は振とうしながら3分ごとに545nmで蛍光を読み取った。15分間の発光データをlog(P)が0〜8の化合物のlog(P)に対してプロットすると、図3に示されるようにR値が0.76の直線に適合した。
実施例11:
2mM HEPES(pH7.4)中、44%PCDA−Glu/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールからリポソームを調製し、実施例6に記載されるように0.2J/cmのUVで重合させ、アルゴン流下70℃で5分間加熱した。重合したリポソーム1.154mLを10mMリン酸ナトリウム/150mM塩化ナトリウムバッファー(pH6.5)8,840mLと混合した。黒色の384ウェルプレートのウェル中で希釈したリポソーム52μLを試験化合物溶液(5%DMSO/HO中0.25mM)8μLと混合した。プレートを振とうし、蛍光発光を545nmである時間間隔で読み取った。図4Aは、リファレンス溶液に対する発光変化を全化合物の経口吸収に対して4時間プロットしたものを示し、図4Bは、アミン化合物のみの経口吸収に対して4時間プロットしたものを示す。
実施例12:
2mM HEPES(pH6.5)中、PDA−EtOH(34.7重量%)、ブタ十二指腸粘膜細胞から抽出した脂質(57.8重量%)およびコレステロール(8.5重量%)からリポソームを調製し、0.2J/cmのUVで重合させ、上述のように70℃で5分間加熱した。リポソーム溶液6μL、試験化合物溶液(5%DMSO/HO中0.25mM)8μLおよび10mMリン酸ナトリウムバッファー(pH6.5)46μLを黒色の384ウェルプレートのウェル中で混合した。プレートを振とうし、675nm、642nmおよび572nmでの発光をある時間間隔で99時間読み取り、読み取りの間はプレートに密閉カバーをかぶせておいた。リファレンスからの発光変化を経口吸収(%)に対して異なる時間点でプロットして比較すると、15分から51時間までの任意の時間の発光測定値はほぼ同じであることがわかった。このプロットから、経口吸収が80%を越える化合物では、リファレンスに対して発光量が低下することがわかった。
時間に対する発光変化の勾配を最初の1時間に集めたデータを用いて算出した。図5に示すように、この勾配を化合物の経口吸収(%)に対してプロットした。この方法は、経口吸収を予測するための代替的なデータ処理方法を示す。
実施例13:
実施例4に記載されるように44%PCDA−EtOH/26%DOPC/7%DOPE/23%コレステロールからフルオロフォア2を組み込んでリポソームを調製し、70℃で5分間加熱した。黒色の384ウェルプレートのウェル中で、振とうしながら10mMリン酸ナトリウム(pH7.4)中のヒト血清アルブミン(HSA)0.278mg/mL溶液85μLを2種の試験化合物(DMSO中2mM)のそれぞれ5μLおよびリファレンスとしてDMSO 5μLとともに1.25時間室温でインキュベートした。リポソーム溶液10μLを混合溶液に添加し、プレートをさらに振とうし、ある時間間隔で発光を読み取った。試験化合物の1つがHSAに対して比較的高いアフィニティーを有し、HSAと試験化合物とを両方含むウェルの発光の平均、HSAのみを含むウェルの発光の平均は、よく似た値であり、試験化合物のみを含むウェルの発光の平均値とは異なっていた。これらの結果から、試験化合物はHSAに結合しており、リポソームと自由に相互作用しないことが示唆された。他の化合物はHSAに対してアフィニティーが低く、試験化合物とHSAとを両方含むウェルの発光平均値と試験化合物のみを含むウェルの発光平均値とはよく似た値であった。これらの結果から、この試験化合物はリポソームと自分に相互作用することが示唆された。
上記の記載は本開示内容を説明し、記載するものである。さらに、この開示内容は好ましい実施形態のみを示し、記載するものであるが、上述のように本開示内容を種々の他の組み合わせ、改変および環境で使用することができることが理解され、本明細書で示された本発明の概念の範囲内で上述の教示および/または関連分野の技術常識に見合った変更または改変が可能であることが理解される。上述の実施形態は、本開示内容を実施するための最良の態様を説明すること、及び当業者がこのような実施形態または他の実施形態を特定の用途またはその使用によって要求される種々の改変とともに利用することができることを意図したものである。従って、この記載は、本発明を本明細書に開示された形態に限定することを意図したものではない。また、添付の特許請求の範囲は代替の実施形態を含むと解釈されることを意図している。
本明細書に引用される全刊行物および特許明細書は、任意の目的およびあらゆる目的のために、それぞれの刊行物または特許明細書が参考として特定的かつ個別に組み込まれているかのように参照により本明細書に組み込まれる。矛盾が生じる場合には、本開示内容が優先する。
図1A、図1Bおよび図1Cは、本発明のプロセスで二次元配列および三次元配列の両方を使用する順番を示す。 図2A及び2Bは、それぞれ、試験化合物に接触させたコーティングの初期の値から最終的な値までの発光変化をLog(P)に対してプロットしたもの(A)、及び、経口吸収に対してプロットしたもの(B)を示す。 図3は、試験化合物のLog(P)対リポソーム発光のプロットである。 図4A及び4Bは、それぞれ、リポソームと試験化合物セットについての、発光変化に対する経口吸収グラフのプロット(A)、及び、試験化合物セットからアミン試験化合物のみについてのプロット(B)を示す。 図5は、化合物と接触させたリポソームの発光の経時変化を化合物の経口吸収(%)に対してプロットした勾配のプロットである。

Claims (15)

  1. 化合物の電離状態、化合物の分布量、異なる組織での化合物の分布、細胞膜への化合物の拡散能および化合物の細胞小器官への分配のうち少なくとも1つを評価する方法であって、
    ポリジアセチレン骨格からなる三次元配列またはポリジアセチレン骨格からなる二次元配列またはこの両方の配列を、評価対象の化合物に接触させる工程、及び
    蛍光またはリン光の変化を検出することによって、配列に対する影響を測定する工程からなる方法。
  2. 配列が、リポソームまたは小管またはリボン状物または繊維状物の溶液の形態の三次元配列からなる、請求項1に記載の方法。
  3. 配列のポリジアセチレンが蛍光性形態またはリン光性形態であり、蛍光またはリン光の低下を測定する、請求項1に記載の方法。
  4. 蛍光またはリン光の増加を測定する、請求項1に記載の方法。
  5. 三次元配列または二次元配列がフルオロフォアをさらに含み、ポリジアセチレン配列の蛍光またはリン光の変化をモニタリングする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  6. 三次元配列または二次元配列がフルオロフォアまたはリン光体をさらに含み、フルオロフォアの蛍光またはリン光体のリン光の変化をモニタリングする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
  7. 配列が更にフルオロフォアまたはリン光体を含有しない、請求項1に記載の方法。
  8. 波長550nm未満の光を照射し、発光を測定することによって蛍光の変化を検出する、請求項1に記載の方法。
  9. 波長450〜500nmの光を照射し、発光を測定することによって蛍光の変化を検出する、請求項1に記載の方法。
  10. 配列が、固体担体上にコーティングされたポリジアセチレン骨格の二次元配列からなる、請求項1に記載の方法。
  11. 固体担体が多孔質膜である、請求項10に記載の方法。
  12. 配列がポリジアセチレン骨格の二次元配列であり、配列が担持されていない、請求項1に記載の方法。
  13. 配列がポリジアセチレン骨格の二次元配列からなり、該方法が、更に、配列を含有するフィルターまたはフローセル(flow cell)を供給する工程と、検出前または検出中に該フィルターまたはフローセルに化合物の溶液を流す工程からなる、請求項1に記載の方法。
  14. 配列が、非多孔質担体上に配置されている、ポリジアセチレン骨格の二次元配列である、請求項1に記載の方法。
  15. さらに、使用された種類の配列をリファレンスと接触させた後の、蛍光またはリン光の変化を比較する工程からなる、請求項1に記載の方法。
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