JP2009508579A - 多段ワイヤガイド - Google Patents

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Abstract

ワイヤガイド装置は、近位端と遠位端を有する細長いワイヤガイドと、ワイヤガイドの一部に付けられているコーティングを含んでいる。コーティングは、ワイヤガイドの近位端と遠位端の間にワイヤガイドの長さに沿って交互に配された少なくとも2つの異なる直径を含んでいる。ワイヤガイド装置は、第1直径を有する第1部分と、第2直径を有する第2部分と、第3直径を有する第3部分を、ワイヤガイドの近位端と遠位端の間にワイヤガイドの少なくとも一部に沿って交互に配して構成している細長いワイヤガイドを更に含んでいる。

Description

本出願は、2005年9月15日出願の米国仮特許出願第60/718,097号に対する優先権を主張すると共に、前記出願の開示全体を参考文献としてここに援用する。
本発明は、医療装置の分野に関し、より具体的には、医療処置中に使用され、患者の体内に経路を画定し、医師が診断用又は治療用の器具を使ってアクセスするためにその経路を使用できるようにする、ワイヤガイドの様な医療装置に関する。
ワイヤガイドは、膵胆管系(即ち、胆道系)、胃、及び食道を含む胃腸系の多くの医療処置時に使用される。バルーン血管形成術、ステント設置、及び大動脈瘤での管腔内グラフトの様な脈管処置時には、病変のある動脈の特定障害の部位を評価するのに、ワイヤガイドの使用は不可欠である。ワイヤガイドは、侵襲をできる限り小さくした医療処置時に、身体の狭い通路へのアクセスを得てこれを維持するのに使用される、長く、細く、比較的可撓性を有するワイヤである。ワイヤガイドの実質的な長さと幅のせいで、ワイヤガイドは扱いにくく、医師による細心の注意を要する操作が絶えず求められる。
医療処置の多くは様式が複雑であるために、医師は、しばしば特定の医療処置の異なる段階でワイヤガイド越しに他の医療器具を操縦する必要がある。通常、カテーテル又は他の診断用又は治療用器具をその様な通路又は管腔に導入することを望む医師は、ワイヤガイド越しに器具を交換することが含まれるセルディンガー技法を採用する。1つの容認されている方法は、第1にワイヤガイドを患者に導入し、侵襲をできる限り小さくしたやり方で、ワイヤガイドを患者の体内に進めることである。次いで、ワイヤガイドは、他の医療器具を患者の中に案内するために使用される。
患者の身体管腔(複数の管腔)を通してワイヤガイドを進めることは難しい。身体管腔には生来曲ったり湾曲している部分が存在しているせいで蛇行経路が画定されているか、腫瘍、蓄積物、及び/又は狭窄の様な生来ではない障害物が存在することも、しばしばある。蛇行経路の存在は、ワイヤガイドを進める作業を難しくする。例えば、障害物が存在すると、ワイヤガイドを、管腔内を更に進めて修復部位に到達させるのが妨げられる。
医療装置のルーメン内でワイヤガイドを前進させるとき又は医療装置をワイヤガイドに外挿して前進させるときに受ける摩擦は、ワイヤガイドのルーメンに対する寸法又は直径によって異なる。つまり、摩擦量は、ワイヤガイドのどれだけの広さの表面積がルーメンと物理的に接触するかによって決まる。ワイヤガイドは、各種寸法、形状、及び直径のものが利用可能であり、その結果、前進の際のルーメンとの摩擦の大きさは様々である。ルーメンに対する損傷という出来事を減らすと共に、ワイヤガイドを前進させ易く且つ使い易くするためには、摩擦は最小限であるのが望ましい。
更に、ワイヤガイドは、医師が様々な処置を行っている間、患者に対して静止位置に維持せねばならないこともしばしばである。具体的には、ワイヤガイドを静止位置に維持することは、目標の解剖学的構造、例えば、胆道系の管へのアクセスを失わないようにするために重要である。また、食道拡張時、医師は、1つ又は複数の拡張器をワイヤガイドに外挿して前進させる際に、ワイヤガイドを食道内で食道狭窄部を横切って固定せねばならない。同様に、経皮的内視鏡下胃瘻造設術(PEG)での管の設置時、医師が送りチューブを挿入する際には、ワイヤガイドを患者の口、食道、及び胃に対して固定せねばならない。しかしながら、特に、他の医療器具をワイヤガイドに外挿して操作する際には、ワイヤガイドと他の器具の間に摩擦が生じるため、ワイヤガイドを静止状態に維持することは困難である。
必要とされているものは、迅速かつ容易にルーメンを通して前進させることができ、使用時はルーメンを通して前進させるのに最小限の労力しか要らず、ワイヤガイドをルーメンに通して位置決め及び操縦する際の摩擦が小さく、他の医療器具をワイヤガイドに外挿して操作している間は静止位置に維持できる、ワイヤガイド装置である。更には、ワイヤガイド装置は、医療処置の際に要する作業時間及び労力ができる限り少ないのがよい。
米国仮特許出願第60/718,097号
本発明の1つの態様では、近位端と遠位端を有する細長いワイヤガイドと、ワイヤガイドの一部に付けられているコーティングを備えている、ワイヤガイド装置が提供されている。コーティングは、ワイヤガイドの近位端と遠位端の間のワイヤガイドの少なくとも一部に沿って交互に配された少なくとも第1の厚さの部分と第2の厚さの部分を含んでいる。コーティングは、直線状の段又は斜めの段で施されている。コーティングを斜めの段で施している場合には、ワイヤガイドをルーメンに挿通した後の洗い流し能力が高まる。
細長いワイヤガイドは、第1直径を有する第1部分を提供しており、交互に配されたコーティングは、第2直径を有する第2部分と第3直径を有する第3部分を提供している。コーティングにより提供されている交互に配された第2及び第3直径、及び細長いワイヤガイドにより提供されている第1直径は、組合わさって多段ワイヤガイドを提供しており、このワイヤガイドにおいて、第1直径は第2直径よりも小さく、第3直径は第2直径よりも大きい。
コーティングの第3部分により提供されている直径は、ルーメンに沿った摩擦が小さくなるようにルーメンに係合し構成されている。ワイヤガイド装置のコーティングは、円形、丸形、楕円形、並びに方形、三角形、矩形、五角形、及び六角形から成る群より選択された形状を含んでいる。ワイヤガイド装置のコーティングは、ルーメンに係合するのに適した肌理を有する表面を更に提供している。また、ワイヤガイドの交互に配された直径は、ワイヤガイド装置の接触面積を縮小し、これにより、装置全体の操縦性が向上する。他の構成では、ワイヤガイドは、2つ、4つ、又はそれ以上の段を有するワイヤガイドが提供されるように各直径を提供している。
本発明の更に別の態様では、近位端と遠位端を有する細長いワイヤガイドを備えているワイヤガイド装置が提供されており、この細長いワイヤガイドは、第1直径を有する第1部分と、第2直径を有する第2部分と、第3直径を有する第3部分とを、ワイヤガイドの近位端と遠位端の間のワイヤガイドの少なくとも一部に沿って交互に配して構成されている。この実施形態では、細長いワイヤガイドは、ワイヤガイドのコアに交互に配された直径を含むことによって三段効果を提供しており、この場合、第1直径は第2直径よりも小さく、第3直径は第1直径及び第2直径よりも大きい。第3部分は、ルーメンに沿った摩擦が小さくなるようにルーメンと係合するように構成されている。ワイヤガイドの各部分の形状は、円形、丸形、楕円形、並びに方形、三角形、矩形、五角形、及び六角形から成る群より選択される。
本発明の別の態様では、第1の複数の直径と、第2の複数の直径と、第3の複数の直径を備えているワイヤガイド装置が提供されており、第1、第2、及び第3の複数の直径は、ワイヤガイドの一部に沿って順に繰り返して配置されている。
これより、例として添付図面を参照しながら本発明のいくつかの実施形態を説明する。
本発明について図面を参照しながら説明してゆくが、図中、同じ要素には同じ符号を付して示している。本発明の各種要素の関係及び機能は、以下の詳細な説明により更に深く理解頂けるであろう。しかしながら、本発明の各実施形態は、図面に示す実施形態に限定されるものではない。なお、図面は縮尺を合わせておらず、或る特定の事例では、従来の制作物及びアッセンブリの様な、本発明を理解する上で必要でない詳細事項は省略されているものと理解頂きたい。
図1から図10に示す本発明のワイヤガイド装置は、1つ又は複数のワイヤガイドを備えており、各ワイヤガイドは、ワイヤガイドの近位端と遠位端の間でその少なくとも一部に沿って異なる直径を交互に配して構成されている。ワイヤガイドの交互に配された直径は、コーティング及び/又はワイヤガイドのコア断面から成る。ワイヤガイドのコーティングは、直線状の段又は斜めの段を利用して施されている。
明細書で使用する限り、近位及び遠位という用語は、ワイヤガイドを使用している医師に関してであると理解頂きたい。従って、遠位という用語は、医師から最も遠いワイヤガイドの部分を意味し、近位という用語は、医師に最も近いワイヤガイドの部分を意味する。
図1Aから図1Dは、本発明のワイヤガイド装置10の或る実施形態を示している。ワイヤガイド装置10は、近位端22と遠位端24を有する細長いワイヤガイド20と、ワイヤガイド20の一部に付けられたコーティング30を含んでいる。コーティング30は、直線状の段を使用して施されている。ワイヤガイド20は、第1部分26を更に含んでおり、第1部分26は第1直径D1を含んでいる。コーティング30は、第2部分32と第3部分34を備えており、第2部分32は第2直径D2を含んでおり、第3部分36は第3直径D3を含んでいる。装置10の交互に配された直径は、多段ワイヤガイド20を提供しており、第1直径D1は第2直径D2よりも小さい。また、第3直径D3は、第1直径D1及び第2直径D2よりも大きい。このワイヤガイド装置10の第3部分34は、カテーテルの様な医療装置(図2参照)のルーメンに、ルーメンに沿う摩擦が小さくなるように係合するよう構成されている。更に、コーティング30の各厚さの部分は、ワイヤガイド20の様々な部分に沿って交互に配されている。各直径を交互に配することにより提供されている多段ワイヤガイド20は、ワイヤガイド20の外側を流体が通り易くすると共に、ルーメンに挿通された後のワイヤガイド20の操作性を高める。
図1Eと図1Fは、本発明のワイヤガイド装置の別の実施形態600と700を示している。具体的には、図1Eは、近位端622と遠位端624を有する二段ワイヤガイド620と、このワイヤガイド620の一部に付けられているコーティング630を有する、ワイヤガイド装置600を示している。コーティング630は、直線状の段を使用して施されている。ワイヤガイドは、更に、第1直径D1を有する第1部分626と、第2直径D2を有する第2部分632を備えている。装置600の交互に配された直径は、二段ワイヤガイド20を提供しており、第1直径D1が第2直径D2よりも小さくなっている。図1Fは、近位端722と遠位端724を備えている四段ワイヤガイド720と、そのワイヤガイド720の一部に付けられているコーティング730を有する、ワイヤガイド装置700を示している。コーティング730は、直線状の段を使用して施されている。ワイヤガイド装置700は、第1直径D1を有する第1部分726と、第2直径D2を有する第2部分732を備えている。更に、ワイヤガイド装置700は、第3直径D3を有する第3部分734と、第4直径D4を有する第4部分736を備えている。装置700の交互に配された直径は、四段ワイヤガイド720を提供しており、このワイヤガイドでは、様々な直径は、医療装置のルーメンに、ルーメンに沿う摩擦が小さくなるように係合するよう構成されている。本発明の代わりの実施形態では、様々な段の多段ワイヤガイドを提供する構成と設計を含んでいてもよい。例えば、多段ワイヤガイドは、装置の大きさ及び構成によって、五段、六段、又はそれ以上の段を備えていてもよい。更に、ワイヤガイドの多数段は、内視鏡処置の様な医療処置の際にワイヤガイドの視認性を支援するカラーコード化を提供する直径及び部分を含んでいてもよい。例えば、三段ワイヤガイドであれば、第1段と第2段と第3段を含んでおり、第1段は赤、第2段は青、第3段は白にして、ワイヤガイドを患者の管腔に前進させる際に、医師が視認し易いようにすることができる。当業者には理解頂けるように、この装置は他の設計及び配色の組み合わせを含んでいてもよい。
図2は、ワイヤガイド20の少なくとも一部に沿って交互に配された直径を有する、図1Aのワイヤガイド装置10の断面を示している。図示の実施形態では、第1部分26の形状は円形であり、第2部分32は矩形であり、第3部分34は矩形である。また、第3直径D3は、ワイヤガイド装置10の内で一番大きい直径である。第3部分34の形状と大きさは、細長い医療装置(例えば、カテーテル)のルーメン56との接触を最小化すると共に、ワイヤガイド20の周りを流体が通過する通路を提供している。ワイヤガイド装置10の交互に配された直径は、更に、医療処置中に、ワイヤガイド装置10をルーメン56に自由に出し入れできるようにしている。ワイヤガイド装置10がルーメン56に挿入されると、ワイヤガイド装置10の第3部分34は、細長いワイヤガイド20を患者の目標部位へ挿入する目的でルーメン56に沿って長手方向に操縦できるようにしながら、ルーメン56の中に配置されているときのワイヤガイド20の横方向の動きを最小化している。ワイヤガイド10の一部だけをルーメン56と係合させることによって与えられる摩擦の大きさは、それ程大きくないので、ワイヤガイド20をルーメン56に比較的容易に出し入れするのが阻止又は阻害されることはない。
コーティング30の様々な厚さの部分は、装置10に沿って表面積が変化することによって、更に、医師が、ワイヤガイド20を位置決め及び操縦する際に装置10を容易に把持して操作できるようにする。厚さが変化するために、医師は、装置10を引き抜き、回転させ、及び静止位置に保持する場合に感触で触知できる。コーティング30の様々な厚さの部分をワイヤガイド20の様々な直径と組み合わせることで、装置10を操縦中に内視鏡で視認する際にも、視覚的表示が得られる。なお、異なる直径を利用する他の設計も利用できるものと理解頂きたい。ワイヤガイド装置10も、同じく1つの特定の形状に限定されるのではなく、具体的な用途に基づいて様々な形状を備えていてもよい。構成要素の形状は、円形、丸形、楕円形、方形、三角形、矩形、五角形、六角形、又はその他の適した形状から成る群より選択することができる。
図3は、図1Aのワイヤガイド装置10を取り囲む細長い医療装置、例えばカテーテル又は導入器シース50を示している。導入器シース50は、近位端52、遠位端54、及びその少なくとも一部を通って伸長するルーメン56を備えている。導入器シース50は、ワイヤガイド20又は同様の形式の細長い医療装置を受け入れて保持するように構成されている。ワイヤガイド20は、遠位端54又は近位端52の何れかから、導入器シース50のルーメン56を通して挿入される。導入器シース50は、ポリエチレン材料で形成され、潤滑コーティングを有している。導入器シース50には、異なる材料及び表面処理も考えられる。
ワイヤガイド20の最大直径は、導入器シース50のルーメン56と係合する唯一の部分であるのが望ましい。これにより第3部分34だけがルーメン56と係合するので、ワイヤガイド装置10の合計接触表面積は実質的に小さくなる。ワイヤガイド装置10の合計接触表面積は、第1部分26、第2部分32、及び第3部分34の各部分の相対的な長さを変えることができるので、各部分の長さによっても異なる(図1B参照)。更に、各部分の配置は図1Cに示すように変えることもでき、この事例では、第2部分32が第3部分34の両側に配置されている。図1Dに示す別の実施形態では、第2部分32と第3部分34は、ワイヤガイド20の一部に沿ってずらした構成に配置されている。或る好適な実施形態では、ワイヤガイド20の直径は、約0.005インチから0.040インチの間の範囲にある。望ましくは、ワイヤガイド20の最大直径は0.035インチである。代わりの実施形態では、ワイヤガイド20の直径は、設計及び意図される用途によって異なる。
ワイヤガイド20は、モールド成形プラスチック材料で形成するのが望ましい。代わりに、ワイヤガイド20及び装置10のコーティング30の様な他の構成要素部品は、各人の必要に応じて、金属を含め、他の材料で形成してもよい。なお、ワイヤガイド装置10の構成要素部品は、医療処置の間に再使用するため、医療提供者が繰り返し消毒できる材料で形成してもよいことを指摘しておく。代わりに、ワイヤガイド装置10は、各人の必要に応じて、初回使用時にのみ消毒し、以降の使用時には廃棄してもよい。
ワイヤガイドに施される様々な型式のコーティングには、ポリマー又は金属が含まれる。具体的には、ポリマーコーティングは、ワイヤガイドに沿って、直線状の段で(図1A参照)又は斜めの段で(図4参照)配置される。コーティング30は、機械的研削加工又は酸や他の化学薬品による化学的エッチングで更に処理して、コーティング30の外表面に肌理を形成するようにしてもよい。コーティング30は、これにより、ワイヤガイド20の表面との間に機械的相互係止を作り出す。
実施形態の具体的な構成及び形状次第で、様々な量のコーティング30をワイヤガイド20に施すことができる。コーティング30の量は、控え目で互いに接続されておらず、変化する厚さを有する形状の体系を備えた非連続のコーティング30を形成していてもよい。コーティング30は、コーティング30がワイヤガイド20の一部に沿って連続的に伸長するように、ワイヤガイド20上に堆積させてもよい。1つの実施形態では、テフロンコーティングがワイヤガイド20に施されている。代わりに、コーティング30は、親水性材料(例えば、ヒドロゲル)の様な膨湿可能又は拡張可能なコーティングでもよい。この形式のコーティング30は、最初にワイヤガイド20の上に堆積させて、直径が小寸法から大寸法まで交互するときに、コーティング30の面が均一的な厚さを提供するようにしてもよい。コーティング30は、有機溶媒溶液内のポリビニルプロラジン(polyvinyl puroladine)とセルロースエステルを基材とする混合物の用な複合ポリマー混合材でもよい。それら溶液は、体液に触れたときにワイヤガイド装置10をとりわけ潤滑性にして、操縦作業を支援する。
コーティング30は、ルーメンと係合するのに適した肌理を有する表面を含んでいてもよい。肌理を有する表面は、ワイヤガイド装置10とルーメンの間の係合点に追加的支持を提供する。ワイヤガイド20のコーティング30は、更に、ワイヤガイド20に、より高い強度と可撓性を提供するか、又は、医療処置中にワイヤガイド20の長さに沿って付帯する摩擦の低減を支援する。
図4には、斜めの段を有するコーティング130が施されているワイヤガイド装置100の或る実施形態を示している。コーティング130は、矩形形状を有する第2部分132と第3部分134を含んでいる。第2部分132は第2直径D2を含んでおり、第3部134は第3直径D3を含んでいる。ワイヤガイド120は、第1直径D1を有する第1部分126を含んでおり、第1直径D1は、第2直径D2よりも小さい。また、第3直径D3は、第1直径D1及び第2直径D2よりも大きい。異なる直径は、ワイヤガイド120の近位端122と遠位端124の間に、各部分が斜めの段を有して交互に配されている。ワイヤガイド120は、ワイヤガイド120の少なくとも一部に沿って交互に配された幾つかのコーティングを含んでいる。更に、コーティング130の厚さの部分は、ワイヤガイド120の様々な部分に沿って交互に配されている。ワイヤガイド120の最適長さは、使用される設計及び材料の様な要素を考慮に入れることにより決まるが、最も良く機能させるために実験により求められたものでもよい。
図5は、細長い医療装置のルーメン180に挿通された図4のワイヤガイド装置100の図を示している。コーティング130の斜めの段とワイヤガイド120は、ワイヤガイド装置100の洗い流し能力を高める。交互に配されている直径の斜めの段は、更に、ワイヤガイド装置100の本体に沿って渦巻効果を生み出し、これにより、洗い流し時、流体は装置100の三段直径を容易に通過することができる。装置100の交互に配された三段直径は、空いている容積が二段装置よりも多いため、洗い流し中、流体は更に速い速度で流れることができる。また、装置100は、その一部しかルーメン180と係合していないために、接触表面積が小さく、洗浄液にはより広い移動空間が確保される。
図6には、ワイヤガイド220が、第1部分226と、第2部分232及び第3部分234を含んでいるコーティング230とを備えている、ワイヤガイド装置200の或る実施形態が示されている。コーティング230は、直線状の段を使用して施されている。図示の実施形態では、第1部分226は円形形状を有する第1直径D1を提供し、第2部分232は楕円形状を有する第2直径D2を提供し、第3部分234は矩形形状を有する第3直径D3を提供している。矩形の第3部分234の第3直径D3は、楕円形の第2部分232及び円形の第1部分226により提供される直径D2、D1よりも大きい。
図7は、細長い医療装置のルーメン256又は身体管腔に挿通された、図6のワイヤガイド装置200の断面を示している。通常、ワイヤガイド220がルーメン256に挿通されるとき、ワイヤガイド220全体がルーメン256に完全に係合するので、ルーメン256とワイヤガイド220の間の摩擦は強さを増す。ルーメン256と係合しているワイヤガイド220の部分は、ルーメン256に押し付けられることにより摩擦を生じ、可撓性を有するワイヤガイド220が一旦位置決めされた後にうっかり滑ってしまわないようにしている。コーティング230により提供されている変化する三段直径は、ワイヤガイド220の一部だけが医療装置又は身体管腔のルーメン256と係合するようにしている。ルーメン256内の摩擦の強さが弱くなることにより、ワイヤガイド220をルーメン256に沿って自由に操縦及び位置決めすることができる。具体的には、ワイヤガイド装置200の第3部分234は、ルーメン256の中に配置されると、ルーメン256と係合してワイヤガイド220の横方向の動きを最小化すると同時に、細長いワイヤガイド220を患者の目標部位へ挿入する目的でルーメン256に沿って長手方向に操縦することができるようにする。ワイヤガイド220の一部だけをルーメン256に係合させることによって生じる摩擦の強さは、それ程大きくないので、ワイヤガイド220をルーメン256に比較的容易に出し入れするのが妨げられ又は阻止されることはない。
図8は、ワイヤガイド装置300の或る実施形態を示しており、ワイヤガイド320は第1部分326とコーティング330を備え、このコーティング330は、更に、三角形形状を有する第2部分332と第3部分334を備えている。コーティング330は、直線状の段を使用して施されている。図9は、図8のワイヤガイド装置300の断面を示している。三角形の第3部分334の最外径D3は、三角形の第2部分332の最外径D2よりも大きく、両直径は共に円形の第1部分326の直径D1よりも大きい。コーティング330の第3部分334の三角形形状は、ルーメン356と整列して、第3部分334の縁だけがルーメン356と係合することができる寸法形状に作られている。具体的には、ワイヤガイド装置300の第3部分334は、ルーメン356の中に配置されると、ルーメン356と係合してワイヤガイド320の横方向の動きを最小化すると同時に、細長いワイヤガイド320を患者の目標部位へ導入する目的でルーメン356に沿って長手方向に操縦することができるようにする。三角形の構成は、ワイヤガイド装置300の表面とルーメン356の間の摩擦の強さを著しく低減する。
図8に示す代表的な実施形態では、三角形のコーティング330は、ポリテトラフルオロエチレン又は別の適した物質を備えている。適した被覆の例としては、フルオロポリマー、ポリウレタン、及び医療装置技術に使用されている他の適したコーティングが挙げられる。コーティング330は、ポリテトラフルオロエチレン、ウレタン、及び/又は他のポリマー系コーティングの様な適したコーティング材を、ワイヤガイド装置300の所望の部分に直接、浸漬、成形、又は噴霧することにより施される。代わりに、コーティング330は、ワイヤガイド装置300の所望の部分の周囲に熱収縮性材料を熱収縮させることにより施してもよい。
1つの好適なコーティング330は、薄いPTFE熱収縮性材料を備えている。それら材料の熱収縮性の性質は、製造をやり易くすると共に、潤滑性のコーティングを提供し、操縦をやり易くする。或る好適な実施形態では、ワイヤガイド装置300には、熱収縮性であるか又は別のやり方で装置300に接着される事前に付形されたチューブ形状を有するコーティング330が施されている。コーティング330は、ワイヤガイド装置300の上にシートとして貼り付けてもよいし、又はワイヤマンドレル又はモールド型の上の各区画にコーティングされていてもよい。例えば、ワイヤガイド装置300は、熱収縮によって設けられた第1厚さと接着により設けられた第2厚さとを有するコーティングを含んでいてもよく、このコーティングの各厚さの部分は、ワイヤガイドの近位端と遠位端の間の少なくとも一部に沿って交互に配される。コーティングの各厚さは、装置300の特定の設計及び所望の仕様に従って変化してもよい。当業者には理解頂けるように、他の実施形態では、異なる形状及び厚さ、並びに異なるコーティングを備えている様々な設計が含まれている。無論、コーティング330を全く無くしてもよい。
ワイヤガイド装置300は、ワイヤガイド装置300の異なる直径の部分を形成するために、ワイヤガイド装置300のコーティング330から個別の帯として選択的に材料を除去することによって製造してもよい。ワイヤガイド装置300の異なる直径は、単一のコーティング330から、材料を削る、バフ掛けする、研削する、エッチングする、又は何か別のやり方で除去することにより形成される。例えば、ワイヤガイド装置300は、当初は第1直径だけを備えているワイヤガイドから構成されているものを、化学的にエッチングして、第2直径と第3直径を備えている装置300を形成するようにしてもよい。代わりに、他の実施形態は、コアワイヤガイドを研削、エッチング、又は何か別のやり方で整形して、ワイヤガイド装置300の複数の直径部分を形成して構成されている。この実施形態では、コーティング330は、浸漬又は噴霧によりワイヤガイド装置300に施される。
限定するわけではないが、ビスマスや金を含め、当技術分野において既知の放射線不透過性物質を、本発明の何れの実施形態のコーティングに添加してもよい。更に、当技術で既知の放射線不透過性のマーカーを装置300に貼り付けてもよい。数例の適した放射線不透過性物質及びマーカーが当技術分野では知られており、どの様な適した物質及び/又はマーカーでも本発明に使用することができる。
図10は、本発明のワイヤガイド装置500の更に別の実施形態を示している。この実施形態では、細長いワヤガイド520は、近位端と遠位端を備えており、このコアワイヤガイド520は、更に、第1直径D1を有する第1部分526と、第2直径D2を有する第2部分532と、第3直径D3を有する第3部分534を、ワイヤガイド520の近位端522と遠位端524の間にワイヤガイド520の長さに沿って交互に配して構成されている。コーティングを施して交互に配された直径を作り出すのではなく、各直径を交互に配することで、全体が細長いワイヤガイド520から構成される3つの段が作り出されている。
交互に配された直径を備えているコアを有するワイヤガイド520は、医療装置を患者体腔内の障害物がある目的部位に送り込む際に多くの利点を提供する。ワイヤガイド520のコアは、装置500に高い可撓性を提供すると共に、ルーメン内で使用されるときに高い洗い流し能力を提供する。多段ワイヤガイド装置500は、機械加工、クリンプ加工、又は変形加工により作り出すことができる。多段ワイヤガイド装置500は、更に、利用できる代わりの医療装置をルーメン又は患者の体腔を通して送る場合の効果的な操作性能を維持している。
適していればどの様な材料でもワイヤガイド520のコア構造に使用することができ、様々な適した材料が当業者には既知である。選定される材料は、生体適合性を有し、ここで説明した構造に形成することができさえすればよい。適した材料の例として、ステンレス鋼、ニチノール及び他のニッケル−チタン合金、MP35N(登録商標)及び他のニッケル−コバルト合金、コバルトL−605(登録商標)及び他のコバルト−クロム合金、他の生体適合性を有する金属、金属−合金、並びにポリマー材料が挙げられる。ワイヤガイド520の内部表面は、中実のワイヤでもよいし、人体内での短時間の使用に同様に適した材料で作られていてもよい。ワイヤガイド520のコアは、同一材料で均一に形成されていてもよいし、異なる生来の特性的特徴を有する多様な材料で形成されていてもよい。
ワイヤガイド装置520は、管状部材又はシート材を備えていてもよい。装置520は、一連の層から形成されていてもよいし、コーティングされたコア構造として形成されていてもよい。例えば、ワイヤガイド520は、1つの実施形態では中実のコアを有するニチノールを、また別の実施形態ではポリテトラフルオロエチレン被覆を有するニチノールコアを備えている。ワイヤガイド520の所望の運動範囲次第で、適切な材料が選択され必要に応じて構成される。
本発明の開示した実施形態の様々な要素については、それら要素が開示されているように機能するために必要とされる属性を備えている限り、それら要素の構造及び組成に関する他の開示されていない又は主要でない詳細事項は、本発明の利点の実現にとって決定的に重要ではないと確信する。構造に関する上記及び他の詳細事項の選択は、本発明の開示内容を鑑みれば、当分野の基本的な技術を有する者にとってさえ、十分に当人の能力の範囲内であると確信する。本発明の代表的な実施形態について、実用的、作動的な構造を開示し、これにより本発明を好都合に実施することを目的として、かなり詳細に説明してきた。ここに説明した設計は、一例に過ぎないと考えている。本発明の新規な特性は、本発明の精神及び範囲から逸脱することなく、他の構造形態に組み込むことができる。
図1Aは、本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図1Bは、本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図1Cは、本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図1Dは、本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図1Eは、本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図1Fは、本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図1Aから図1Fは、本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図1Aのワイヤガイド装置の断面図を示している。 シースに挿入された図1Aのワイヤガイドの斜視図を示している。 本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 ルーメンに挿入された図4のワイヤガイドの断面図を示している。 本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図6のワイヤガイド装置の断面図を示している。 本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。 図8のワイヤガイド装置の断面図を示している。 本発明の或る実施形態によるワイヤガイド装置の斜視図を示している。

Claims (21)

  1. 近位端と遠位端を有する細長いワイヤガイドと、
    前記ワイヤガイドの一部に付けられているコーティングと、を備え、前記コーティングは、前記ワイヤガイドの前記近位端と前記遠位端の間に前記ワイヤガイドの少なくとも一部に沿って交互に配された少なくとも第1の厚さの部分と第2の厚さの部分を含んでいる、ワイヤガイド装置。
  2. 前記コーティングは、直線状の段で施されている、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  3. 前記コーティングは、斜めの段で施されている、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  4. 前記コーティングは、円形、丸形、楕円形、及び方形から成る群より選択された断面形状を含んでいる、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  5. 前記コーティングは、三角形、矩形、五角形、及び六角形から成る群より選択された断面形状を含んでいる、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  6. 前記ワイヤガイド装置は、第1直径を有する第1部分と、第2直径を有する第2部分と、第3直径を有する第3部分を含んでいる、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  7. 前記第1直径は前記第2直径よりも小さい、請求項6に記載のワイヤガイド装置。
  8. 前記第3直径は、前記第1直径及び前記第2直径よりも大きい、請求項6に記載のワイヤガイド装置。
  9. 前記第3直径は、前記ワイヤガイド装置とルーメンとの間の摩擦を低減するように、前記ルーメンと係合するよう構成されている、請求項6に記載のワイヤガイド装置。
  10. 前記コーティングは、ルーメンと係合するのに適した肌理を有する表面を含んでいる、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  11. 前記ワイヤガイドは、ニチノール、ステンレス鋼、及びチタンから成る群より選択された材料を含んでいる、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  12. 前記コーティングは、ポリビニルプロラジン(polyvinyl puroladine)、セルロース、ポリテトラフルオロエチレン、及びウレタンから成る群より選択された材料を備えている、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  13. 前記ワイヤガイドの交互に配された直径は、前記ワイヤガイド装置の接触表面積を減少させる、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  14. 前記ワイヤガイドは、0.127ミリメートルから1.02ミリメートル(0.005インチから0.040インチ)の間の範囲にある直径を有している、請求項1に記載のワイヤガイド装置。
  15. 近位端と遠位端を有する細長いワイヤガイドを備え、前記ワイヤガイドは、第1直径を有する第1部分と、第2直径を有する第2部分と、第3直径を有する第3部分を備え、前記第1、第2、及び第3部分は、前記ワイヤガイドの前記近位端と前記遠位端の間に前記ワイヤガイドの少なくとも一部に沿って順に繰り返して配置されている、ワイヤガイド装置。
  16. 前記ワイヤガイド装置は、円形、丸形、楕円形、及び方形から成る群より選択された断面形状を含んでいる、請求項15に記載のワイヤガイド装置.
  17. 前記ワイヤガイド装置は、三角形、矩形、五角形、及び六角形から成る群より選択された断面形状を含んでいる、請求項15に記載のワイヤガイド装置。
  18. 前記第1直径は前記第2直径よりも小さい、請求項15に記載のワイヤガイド装置。
  19. 前記第3直径は、前記第1直径及び前記第2直径よりも大きい、請求項15に記載のワイヤガイド装置。
  20. 前記第3部分は、ルーメンに沿った摩擦を低減するように、前記ルーメンと係合するよう構成されている、請求項15に記載のワイヤガイド装置。
  21. 第1の複数の直径と、第2の複数の直径と、第3の複数の直径を備えており、前記第1、第2、及び第3の複数の直径は、ワイヤガイドの一部に沿って順に繰り返して配置されている、ワイヤガイド装置。
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