JP2009507136A - 高い損傷耐性を有する航空宇宙用2000系合金 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高い損傷耐性を有する航空宇宙用2000系アルミニウム合金であって、本質的に、銅約3.0〜4.0重量%、マグネシウム約0.4〜1.1重量%、銀約0.8重量%以下、Zn約1.0重量%以下、Zr約0.25重量%以下、Mn約0.9重量%以下、Fe約0.5重量%以下、Si約0.5重量%以下、残部実質的にアルミニウム並びに付随的に含まれる不純物及び成分であり、銅とマグネシウムの比率は、マグネシウム約1部に対して銅約3.6〜5部である。前記合金は、航空宇宙材料、特にシート又はプレート構造部材を含む展伸又は鋳物製品、押出品及び鍛造品に適しており、強度及び損傷耐性の両方の改善がもたらされる。
【選択図】図1
【選択図】図1
Description
本願は米国特許出願第10/893003号の一部継続出願であり、該出願の開示は引用を以て本願への記載加入とする。
<発明の分野>
この発明は、改良された損傷耐性を有し、航空宇宙航行体その他要求が苛酷な用途に適したAl−Cu−Mg−Ag合金に関する。本発明の合金は、鉄と珪素の含有量が極めて少なく、マグネシウムに対する銅の比率が低い。
<発明の分野>
この発明は、改良された損傷耐性を有し、航空宇宙航行体その他要求が苛酷な用途に適したAl−Cu−Mg−Ag合金に関する。本発明の合金は、鉄と珪素の含有量が極めて少なく、マグネシウムに対する銅の比率が低い。
<背景情報>
商業用ジェット航空機では、低翼及び胴体の構造に要求される重要な条件は、疲労亀裂進展(FCG(fatigue crack growth))によって測定される損傷耐性と破壊靱性(fracture toughness)にすぐれることである。現在使用されている材料は、2XXX系Al−Cu合金であり、代表的な種類は2X24である。これらの合金は、一般的にT3X質別(temper)で用いられ、強度は中程度であるが、高い破壊靱性と優れたFCG抵抗性を具えている。一般的には、2X24合金はT8質別まで人工時効されると、強度は増加し、靱性及び/又はFCG性能が低下する。
商業用ジェット航空機では、低翼及び胴体の構造に要求される重要な条件は、疲労亀裂進展(FCG(fatigue crack growth))によって測定される損傷耐性と破壊靱性(fracture toughness)にすぐれることである。現在使用されている材料は、2XXX系Al−Cu合金であり、代表的な種類は2X24である。これらの合金は、一般的にT3X質別(temper)で用いられ、強度は中程度であるが、高い破壊靱性と優れたFCG抵抗性を具えている。一般的には、2X24合金はT8質別まで人工時効されると、強度は増加し、靱性及び/又はFCG性能が低下する。
損傷耐性(damage tolerance)は、破壊靱性とFCG抵抗性の組合せである。強度が向上すると、同時に破壊靱性が低下するので、あらゆる新合金製品には、強度を高めつつ高い靱性を維持することが望まれる。FCG抵抗性は、一般的に用いられる次の2種類の負荷条件を用いて測定されることが多い。その条件は、一定振幅(constant amplitude(CA))と、スペクトル負荷又は変動負荷である。後者は、使用中に予想される負荷をより良く表している。飛行時の負荷をシミュレートしたFCG試験に関しては、J. Schijve, "The significance of flight-simulation fatigue tests", Delft University Report (LR-466), June 1985に詳細が記載されている。一定振幅のFCG試験は、R比(即ち最小応力/最大応力)によって決定される応力範囲を用いて行われる。亀裂進展速度は、応力拡大係数範囲(ΔK)の関数として測定される。スペクトル負荷の下で、亀裂進展は再び測定されるが、これは「飛行(flights)」回数として報告される。負荷は、飛行における典型的な離陸と着陸の負荷をシミュレートしており、これが繰り返されることにより、航空機体の所定部分の典型的な寿命負荷とされる。スペクトルFCG試験は、実際の航空機運航をシミュレートするので、合金性能をより正確に測定することができる。包括的(generic)スペクトル負荷の形態は数多くあり、また、航空機の設計理念及び大きさに依存し、航空機に特有のスペクトルも数多くある。小型の単通路型機と、ボディが広い大型航空機を比べると、前者は、離陸/着陸サイクルの回数は多く、後者は飛行回数は少ないが飛行距離は長い。
スペクトル負荷の下では、降伏強さが大きくなると、塑性誘起亀裂閉口量が少なくなる(亀裂伝播を遅らせる)ことが多くあり、典型的には低寿命を招く。一例として、最近開発された損傷耐性にすぐれる合金(2X24HDTとして表す)があり、この合金は、高強度T39質別と比べて、低降伏強さのT351質別においてより優れたスペクトル寿命性能を有している。航空機の設計者は、理想的には、2X24−T3質別品よりも高い静的特性(引張強度)を有し、前記質別品と同レベル又はそれより高レベルの損傷耐性を有する合金を所望している。
米国特許第5,652,063号は、Al−Cu−Mg−Agのアルミニウム合金組成物を開示しており、Cu−Mg比は約5〜9の範囲であり、珪素と鉄の濃度は夫々約0.1重量%以下である。この米国特許の組成物は、強度は満足できるものであるが、破壊靱性及び疲労亀裂進展抵抗性は十分でない。
米国特許第5,376,192号も、Al−Cu−Mg−Agのアルミニウム合金を開示している。この合金は、Cu−Mg比が約2.3〜25であり、Fe及びSiの含有量は遙かに多く、夫々、約0.3以下及び約0.25以下のオーダである。
特にスペクトル負荷下にてで、適当な強度を有すると共に、すぐれた損傷耐性(破壊靱性及び疲労亀裂進展抵抗性を含む)を有する合金組成物が依然として要請されている。
<発明の要旨>
本発明は上記要請に応えて、高い強度を有する新規な合金を提供するもので、特にスペクトル負荷のもとで、従来の組成物及び特許された合金(例えば、シート(機体)用2524−T3やプレート(低翼)用2024−T351/2X24HDT−T351/2324−T39)よりもすぐれたFCG抵抗性と同等以上の靱性を有する合金を提供するものである。この明細書で用いられる「すぐれた損傷耐性(enhanced damage tolerance)」とは、改善されたこれらの特性を意味する。
本発明は上記要請に応えて、高い強度を有する新規な合金を提供するもので、特にスペクトル負荷のもとで、従来の組成物及び特許された合金(例えば、シート(機体)用2524−T3やプレート(低翼)用2024−T351/2X24HDT−T351/2324−T39)よりもすぐれたFCG抵抗性と同等以上の靱性を有する合金を提供するものである。この明細書で用いられる「すぐれた損傷耐性(enhanced damage tolerance)」とは、改善されたこれらの特性を意味する。
このように、本発明は、すぐれた損傷耐性を有するアルミニウム基合金を提供するものであって、該アルミニウム基合金は、本質的に、銅約3.0〜4.0重量%、マグネシウム約0.4〜1.1重量%、銀約0.8重量%以下、Zn約1.0重量%以下、Zr約0.25重量%以下、Mn約0.9重量%以下、Fe約0.5重量%以下、Si約0.5重量%以下を含有し、残部実質的にアルミニウム及び付随的不純物及び元素であり、銅とマグネシウムの比率は、マグネシウム約1部に対して銅約3.6〜5部である。アルミニウム基合金は、バナジウムを実質的に含まないことが好ましい。Cu:Mgの比率は、マグネシウム1部に対して銅約3.6〜5部に維持され、より望ましくはマグネシウム1部に対して銅約4.0〜4.5部である。本発明の合金組成物から作られた製品は、この比率により、所望の特性を具備できると考えられ、何らかの原理により縛られることを望まない。
本発明は、他の態様において、本質的に、銅約3.0〜4.0重量%、マグネシウム約0.4〜1.1重量%、銀約0.8重量%以下、Zn約1.0重量%以下、Zr約0.25重量%以下、Mn約0.9重量%以下、Fe約0.5重量%以下、Si約0.5重量%以下を含有し、残部実質的にアルミニウム及び不可避不純物及び元素であり、銅とマグネシウムの比率は、マグネシウム約1部に対して銅約3.6〜5部であるアルミニウム基合金から作られた展伸品又は鋳造品を提供するものである。Cuとマグネシウムの比率は、望ましくはマグネシウム1部に対して銅約4〜4.5部である。また、このアルミニウム基合金から作られた展伸品又は鋳造品は、バナジウムを実質的に含まないことが好ましい。
本発明は、他の態様において、強度、靱性及び耐食性について効果的な組合せを有する宇宙航空アルミニウム合金製品で、シート、プレート、押出品又は鍛造品として提供するもので、本質的に、銅約3.0〜約4.0重量%、マグネシウム約0.4〜約1.1重量%、マンガン0.20〜0.40重量%、鉄約0.5重量%以下、珪素約0.5重量%以下、銀約0.8重量%以下、亜鉛約0.40重量%以下、結晶微細化材0.1重量%以下を含有し、残部アルミニウム及び不可避不純物及び元素からなる。この態様において、AgとZnの合計量は0.3重量%以上であり、銅とマグネシウムの比率は、マグネシウム約1部に対して銅約3.6〜5部である。この合金製品は、航空機の翼(パネル及び縦通材(stringer)を含む)、航空機の機体(外板、縦通材、フレーム等を含む)及び航空機機体フレームに特に有用である。この合金製品はまた、厚肉の構造体(例えば、リブやスパー等)にも有用である。
追加の態様において、本発明の合金製品は、T−L方向の靱性(UPE)(ASTM B871によるカーン引裂試験により測定)では、同じように試験したAA2524HDT−T3又はT8よりも60%以上高く、平均高負荷伝達継手(average high load transfer joint)の疲労寿命では、平均寿命(サイクル)が2X24HDTよりも約60%長く、ASTM G110によって測定される腐食の形態(mode)についても、2X24HDTが粒間であるのに対してピッティングであり、有益で予期し得なかったこれら機械的特性のうちの少なくとも1つの特性を具えている。
本発明のさらなる態様において、本発明の合金製品は、ASTM B871規定のカーン引裂試験により測定された靱性では、同じように試験したAA2524と比べて約40%以上高く、UTS及びTYSはほぼ同じであり、ASTM B871規定のカーン引裂試験により測定された靱性では、同じように試験したAA2524と比べて約20%以上高く、UTS及びTYSではAA2524よりも約10%以上高く、平均高負荷伝達継手の疲労寿命では、平均寿命(サイクル)が2X24HDTよりも約60%以上長く、ASTM G110によって測定される腐食の形態についても、2X24HDTが粒間であるのに対してピッティングであり、これら機械的特性のうちの少なくとも1つの特性を具えている。
本発明のさらなる態様において、本発明の合金製品は、ASTM B871規定のカーン引裂試験により測定された靱性では、同じように試験したAA2524と比べて約40%以上高く、UTS及びTYSはほぼ同じであり、ASTM B871規定のカーン引裂試験により測定された靱性では、同じように試験したAA2524と比べて約20%以上高く、UTS及びTYSではAA2524よりも約10%以上高く、平均高負荷伝達継手の疲労寿命では、平均寿命(サイクル)が2X24HDTよりも約60%以上長く、ASTM G110によって測定される腐食の形態についても、2X24HDTが粒間であるのに対してピッティングであり、これら機械的特性のうちの少なくとも1つの特性を具えている。
本発明の目的は、強度、破壊靱性及び疲労抵抗性の組合せ特性について改良された特性を有するアルミニウム合金組成物を提供することである。
本発明のさらなる目的は、強度、破壊靱性及び疲労抵抗性の組合せ特性について改良された特性を有する展伸又は鋳造アルミニウム合金製品を提供することである。
本発明の目的は、強度、破壊靱性及び疲労抵抗性の組合せ特性について改良された特性を有し、Cu:Mg比の値が小さいアルミニウム合金組成物を提供することである。
本発明のこれら及びその他の目的は、以下の図面、詳細な説明及び特許請求の範囲からより容易に理解されるであろう。
<望ましい実施例の詳細な説明>
定義:
以下の合金組成物の説明では、特に指定しない限り、パーセントはすべて重量パーセント(重量%)を表す。最小限度のもの(例えば、強度又は靱性)や最大限度のもの(例えば、疲労亀裂進展速度)に言及する場合、材料の仕様として記載されている数値、又は材料が保証される数値、又は機体製造者が(安全係数に基づいて)設計基準となる数値を意味する。なお、統計的基礎(例えば、製品の99%が適合性を有する)の場合もあり、また、標準の統計的手法を用いて95%信頼性を有することが予想される場合もある。
定義:
以下の合金組成物の説明では、特に指定しない限り、パーセントはすべて重量パーセント(重量%)を表す。最小限度のもの(例えば、強度又は靱性)や最大限度のもの(例えば、疲労亀裂進展速度)に言及する場合、材料の仕様として記載されている数値、又は材料が保証される数値、又は機体製造者が(安全係数に基づいて)設計基準となる数値を意味する。なお、統計的基礎(例えば、製品の99%が適合性を有する)の場合もあり、また、標準の統計的手法を用いて95%信頼性を有することが予想される場合もある。
この明細書に記載する値のあらゆる数値範囲については、規定した最小値と最大値との間における各々の数字及び/又は分数並びにあらゆる数字及び/又は分数(fraction)を含むものと理解される。例えば、銅約3.0〜4.0重量%の範囲について説明すると、この範囲は、約3.1、3.12、3.2、3.24、3.5重量%から、3.61、3.62、3.63及び4.0重量%までのあらゆる中間値を明示的に含むものである。これは、以下に記載する他の元素範囲の全てにも適用され、例えばCu:Mg比約3.6〜5に対しても適用される。
本発明は、すぐれた損傷耐性を有するアルミニウム基合金を提供するものであって、該アルミニウム基合金は、本質的に、銅約3.0〜4.0重量%、マグネシウム約0.4〜1.1重量%、銀約0.8重量%以下、Zn約1.0重量%以下、Zr約0.25重量%以下、Mn約0.9重量%以下、Fe約0.5重量%以下、Si約0.5重量%以下を含有し、残部実質的にアルミニウム並びに付随的な不純物及び元素であり、銅とマグネシウムの比率は、マグネシウム約1部に対して銅約3.6〜5部である。銅とマグネシウムの比率は、望ましくは、マグネシウム1部に対して銅約4.0〜4.5部である。
この明細書で用いる「実質的に含まない」という語は、特定の性質をその合金に付与するために意図的に加えられる有意量の成分を含まないことを意味し、微量の付随的元素及び/又は不純物として最終製品に入り込むことはあると理解される。例えば、バナジウムを実質的に含まない合金とは、付随的添加物に含まれるV量、又は特定の処理及び/又は収容設備との接触によって含まれるV量が、約0.1%未満であり、より望ましくは約0.05%未満である。この発明の望ましい第1実施例は全て、バナジウムを実質的に含まない。
本発明のアルミニウム基合金は、所望により、結晶微細化材(grain refiner)をさらに含んでいる。結晶微細化材は、チタン、チタン化合物又はセラミック化合物である。結晶微細化材を含む場合、一般的には、最大約0.1重量%であり、より望ましくは約0.01〜0.05重量%である。この明細書において、チタン結晶微細化材のチタンについての重量%は全て、当該分野の専門家に理解されているように、チタンの量を意味し、チタン化合物の場合はチタンの含有量を意味する。チタンは、DC鋳造作業中、アズキャスト結晶粒の大きさと形状を変更及び調整するために使用され、炉の中へ直接加えられるか、又はロッド状結晶粒微細剤として加えられることができる。ロッド状結晶粒微細剤として添加する場合、チタン化合物が使用される。チタン化合物の例として、限定されるものではないが、TiB2、TiC、又は当該分野で知られている他のチタン化合物を挙げることができる。チタン添加量が過剰であると、不溶性の第2相が生成されるので、添加量は制限されるべきである。
本発明の合金組成物を構成する種々元素のより望ましい量は、マグネシウムが約0.6〜1.1重量%、銀が約0.2〜0.7重量%、亜鉛が約0.6重量%以下である。また、亜鉛の一部は銀と置換されることができ、亜鉛と銀の合計量は約0.8〜0.9重量%である。
熱間加工(熱間での圧延、押出又は鍛造など)での結晶粒組織の成長を制御するために、分散質(dispersoid)を合金に添加することもできる。添加される分散質の一例はジルコニウムであり、Al3Zr粒子を生成して、再結晶を抑制する。また、マンガンは、ジルコニウムの代わりに用いることができるが、マンガンをジルコニウムと共に用いることにより、2種類の分散質生成元素が供給されるので、最終製品の結晶粒組織をより改善することができる。マンガンは、最終製品の第2相含有量を増やし、これが破壊靱性に悪影響を与えることが知られている。このため、添加量は、合金特性を最適化するように調整されねばならない。
ジルコニウムは、好ましくは約0.18重量%以下であり、マンガンは、より好ましくは約0.6重量%以下であり、最も好ましくは約0.3〜0.6重量%である。また、マンガンは、約0.20〜約0.40重量%が好ましいこともある。最終製品の形態は、選択された分散質の添加量の望ましい範囲に影響を及ぼす。
ジルコニウム又はマンガンと置換して又は追加して、Cr、Sc、Hf及びErを含む他の分散質添加材又は再結晶抑制材を加えることもできる。例えば、本発明のアルミニウム基合金は、所望により、スカンジウムをさらに含むことができる。スカンジウムは、結晶サイズ及び組織を調整するための分散質又は結晶微細化元素として添加されることができる。スカンジウムの添加量は、約0.25重量%以下、より望ましくは約0.18重量%以下である。
鋳造工程中に添加される他の元素として、限定されるものでないが、ベリリウムとカルシウムがある。これらの元素は、溶解アルミニウムの酸化を制御又は制限するために用いられる。これらの元素は、微量元素として考えられ、一般的な添加量は約0.01重量%未満であり、好ましくは約100ppm未満である。
本発明の合金は、一般的には不純物として所定範囲内に維持される他の元素についても好ましい範囲を有している。これら不純物元素の最も一般的なものは、鉄と珪素であり、例えば、航空宇宙材料(aerospace products)のように、高い損傷耐性を必要とする場合は、FeとSiの含有量は比較的低いレベルに維持されることが好ましい。破壊靱性や疲労亀裂進展抵抗性に悪影響をもたらすAl7Cu2FeやMg2Siのような構成相の生成を抑制するためである。これらの相は、Al合金中での固溶度が低く、一旦生成されると、熱処理によって取り除くことができない。FeとSiの含有量は、夫々、約0.5重量%未満に維持される。なお、FeとSiの合計量は約0.25重量%未満に維持されることが望ましく、航空宇宙用については、合計量は約0.2重量%未満に維持されることがより望ましい。他の付随的元素/不純物として、例えば、ナトリウム、クロム又はニッケルがある。
本発明の他の態様では、アルミニウム基合金から作られた展伸品又は鋳造品を提供するもので、前記アルミニウム基合金は、本質的に、銅約3.0〜4.0重量%、マグネシウム約0.4〜1.1重量%、銀約0.8重量%以下、Zn約1.0重量%以下、Zr約0.25重量%以下、Mn約0.9重量%以下、Fe約0.5重量%以下、Si約0.5重量%以下を含有し、残部実質的にアルミニウム及び付随的不純物及び元素であり、銅とマグネシウムの比率は、マグネシウム約1部に対して銅約3.6〜5部である。銅とマグネシウムの比率は、望ましくは、マグネシウム約1部に対して銅約4.0〜4.5部である。また、このアルミニウム基合金から作られた展伸品又は鋳造品は、バナジウムを実質的に含まないことが好ましい。追加の望ましい実施例は、合金組成物について前記したとおりである。
この明細書で使用する「展伸品(wrought product)」という語は、当該分野で認識されているあらゆる展伸品を意味し、限定されるものではないが、鍛造品、押出品等の圧延製品が含まれ、例えばロッド及びバーなどがある。望ましい範疇の展伸品は、例えば、航空機の機体や翼の製造に用いられるシート又はプレートのような航空宇宙航行体用展伸品、又は航空宇宙用に適した他の展伸品であり、この用語は当該分野の専門家には理解されるであろう。好ましくは、航空宇宙用展伸品は、航空機機体(例えば、外板(skin)、パネル及び縦通材(stringers))、又は翼(例えば、低翼外板、縦通材及びパネル)、並びに、厚肉部材(スパー及びリブ等)への用途を含んでいる。本発明の合金は、上記の展伸形態の何れについても、例えば自動車その他の輸送用、レクリエーション/スポーツ等を含む他の産業における製品に使用されることができるであろう。さらに、本発明の合金は、形状が作られるものとして当業者に理解されている鋳造合金としても使用されることができる。
本発明のさらなる態様において、上記合金組成物から作られるマトリックス又は金属マトリックス複合品を提供するものである。
本発明に係る望ましい合金は、高温加工又は圧延に適したインゴットに作られる。例えば、前記組成を有する大きなインゴットは、半連続的に鋳造され、良好な圧延表面が供されるように、スカルピング又は機械加工により表面欠陥を取り除かれる。インゴットは、次に、その内部組織を均質化し溶体化処理するために予熱されてもよい。適当な予熱処理は、インゴットを約900〜980°Fまで加熱することである。均質化のための保持時間は、約12〜24時間のオーダで行われることが望ましい。
インゴットは、次に、所望の製品寸法になるまで熱間圧延が施される。熱間圧延は、インゴットが実質的に約850°F以上の温度(例えば、約900〜950°F)になったときに開始される。製品によっては、圧延機の電力を利用して圧延温度を所望温度以上に維持し、再加熱することなく圧延を行なうことが望ましい。熱間圧延は、通常は可逆式熱間圧延機にて続けて行われ、所望厚さの最終プレート製品が得られる。
本発明によれば、低翼外板(lower wing skin)用熱間圧延プレートの所望厚さは、概ね約0.35〜2.2インチであり、望ましくは約0.9〜2インチである。アルミニウム協会のガイドラインには、シート(sheet)は厚さが0.25インチ未満と規定され、厚さ0.25インチ以上の製品はプレート(plate)と規定されている。
本発明の望ましい実施例として低翼外板やスパーウェブ(spar webs)を挙げられるが、それらに加えて、押出成形材である縦通材への適用を挙げることができる。本発明の合金から押出成形材を作る場合、最初に約650〜800°F、望ましくは約675〜775°Fに加熱し、断面積の減少率(つまり押出比)を少なくとも約10:1に加工することを含んでいる。
本発明の熱間圧延プレート又は他の展伸品は、約900°F〜980°Fの範囲内の温度(1又は複数の温度)溶体化熱処理(SHT)されることが望ましい。溶体化熱処理は、可溶性マンガンと銅の大部分、好ましくは全部又は実質的に全部が固溶されることを目的として行われる。SHT(溶体化処理)の物理的プロセスは、必ずしも完全に行われるものではなく、これら主要成分の最後の残滓は完全には溶解しないものと理解されているからである。本発明のプレート品は、前記した高温にまで加熱された後、急冷又はクエンチングされて、溶体化熱処理が完了する。この冷却は、一般的には、適当な大きさのタンク内の水に浸漬されるか、又は水スプレーによって行われるが、補助的又は代替的冷却手段として、空気冷却を用いることもできる。
適当な強度を付与し、内部応力を緩和し、真直な製品を得るために、クエンチングの後、冷間加工及び/又は延伸加工(stretched)が施される。冷間加工(例えば冷間圧延、冷間プレス)の変形は、約11%以下、好ましくは約8〜10%である。この冷間加工品のその後の延伸は、約2%以下である。冷間圧延をしない場合、延伸の程度は約8%以下であり、好ましくは1〜3%の範囲である。
急冷し、必要に応じて冷間加工を行なった後、強度とその他の特性を改善するために、適当温度までの加熱により人工時効される。好ましい熱時効処理の一例として、析出硬化可能合金のプレート品は、1回の時効工程に付され、1段階処理が行われる。所定温度への急速昇温及び/又は所定温度からの急速降温により、析出(時効)硬化効果を生じることは一般的に知られており、これらの急速条件による析出硬化効果を全時効処理に含めることもできる。これらの処理は、Ponchelに付与された米国特許第3,645,804号に詳細に記載されている。急速条件による処理を含める場合、時効により処理品を熱処理するための2又は3段階の処理は、単一のプログラミング可能炉で行なうことができる。各ステージ(工程又は段階)については、別の作業工程としてより詳しく説明する。人工時効処理は、単一の主要な時効段階では例えば375°F以下の温度で行われ、望ましい時効温度は290〜330°Fである。時効時間は、48時間以下であり、好ましくは約16〜36時間であり、人工時効温度によって決定される。
アルミニウム協会によって質別表示システム(temper designation system)が開発され、これは、異なる質別を得るために用いられる工程の基本的順序を記載したものとして一般的に使用されている。この質別表示システムにおいて、T3質別とは、溶体化熱処理され、冷間加工され、実質的な安定状態まで自然時効されたもので、冷間加工では機械的特性の制約に影響を及ぼすと考えられていると記載されている。T6質別は、溶体化熱処理され、人工時効され、冷間加工は殆ど行われていないか全く行われておらず、冷間加工は、機械的特性の制約に影響を及ぼすとは考えられない。T8質別品は、溶体化熱処理され、冷間加工され、人工時効されており、冷間加工は、機械的特性の制約に影響を及ぼすと理解される。
生成品は、T6又はT8質別が好ましく、これには、T6系又はT8系のあらゆるものが含まれる。他の適当な質別として、限定されるものではないが、T3、T39、T351及びT3X系の他の質別を挙げることができる。また、生成品は、T3X質別で供給されることができ、航空機製造者により変形又は成形プロセスが施されて、構造部材が作られる。このような作業の後、生成品はT3X質別で使用されることができるし、時効を施してT8X質別にすることもできる。
時効処理により、より複雑な翼形状の成形が可能となり、また、製造コストを低くすることができる。時効処理中、処理品は、高温(一般的には約250°F〜400°F)のダイの中で数時間乃至数十時間拘束され、応力が緩和されて所望の形状に形成される。より高温で人工時効処理が行われる場合、例えば280°F以上での処理では、金属は、人工時効処理中に所望形状に成形又は変形されることができる。一般的には、企図される変形の多くは比較的シンプルであり、例えば、プレート部材の幅及び/又は長さに沿って非常に緩やかな曲率を有するような変形である。
概して、プレート材料は、約300°F〜400°Fの温度、例えば310°Fに加熱され、凸状物の上に載置され、プレートをクランプすることにより、又はプレートの両端部に負荷を加えることにより負荷が加えられる。プレートは、比較的短時間で凸状物の形状にほぼ倣うが、冷却後、力又は負荷が取り除かれると、多少のスプリングバックが起こる。なお、スプリングバック分を考慮して、凸状物の曲率又は形状を、所望されるプレート形状よりも僅かに大きく作られる。所望により、時効処理の前及び/又は後に、約250°Fでの低温人工時効処理を行なうこともできる。あるいはまた、約330°Fの高温での時効処理の前又は後に、例えば約250°Fの温度での時効処理を行なうこともできる。当該分野の専門家であれば、最終製品に要求される特性及び性質に応じて、各工程の順序及び温度を適宜決めることができるであろう。
プレート部材の機械加工はどの工程の後でも行なうことができ、例えば機体に近い部分が厚く、翼の先端に最も近い部分が薄くなるように、プレートをテーパ加工することができる。所望により、時効処理の前又は後に、追加の機械加工又は他のシェーピング加工を行なうことができる。
現代の商業ジェット旅客機はここ数世代に使用されている低翼用被覆材料は、一般的には2X24合金系で自然時効された質別(例えばT351又はT39)であり、時効中の熱曝露は、自然時効された質別の望ましい材料特性を保持するために最小になっている。これに対し、本発明の合金は、好適には人工時効された質別(例えばT6及びT8型質別)に用いられ、人工時効処理は、時効中に所望特性を低下させることなく、同時に行われることができる。本発明の合金が時効中に所望の形状を達成できる能力は、現在使用されている2X24合金を同等以上である。
機械的特性の向上を示すために発明合金の組成物を調製した。表1及び表2に記載の試料A〜Dについて、断面6×16インチのインゴットをダイレクトチル (D.C.)鋳造により得た。鋳造後、インゴットは、均質化及び熱間圧延の準備のために、約5.5インチ厚にスカルピングした。インゴットは、バッチ式で複数工程の均質化処理を施した。最終工程の均熱は約955〜965°Fの温度で24時間である。インゴットは、中間スラブゲージまで最初の熱間圧延を施した。熱間圧延温度が約700°F以下の温度まで降下したとき、約940°Fに再加熱して熱間圧延作業を完了させた。試料を熱間圧延し、プレート材は約0.75インチに、シート材は約0.18インチまで加工した。熱間圧延後、シート材試料は、約30%冷間圧延し、約0.125インチゲージに仕上げた。
製造されたプレート及びシートの試料は、約955〜965°Fの範囲の温度で、均熱時間60分以下の条件で加熱した後、水クエンチングした。プレート試料は、クエンチング後1時間以内に、公称レベル(nominal level)で約2.2%伸びた。また、シート試料は、クエンチング後1時間以内に公称レベルで約1%伸びた。プレートとシートの試料は、約72時間の延伸後、人工時効前に、自然時効させた。試料は、約310°Fの温度で24〜32時間人工時効した。それから、プレート試料とシート試料について、機械的特性(例えば引張、破壊靱性及び疲労亀裂進展抵抗)を調べた。
<疲労亀裂進展抵抗>
飛行機の機体設計者にとって重量な特性は、疲労による亀裂抵抗性である。疲労亀裂は、負荷と無負荷のサイクルが繰り返されたり、又は、例えば翼が上下に動いたり、機体が加圧で膨らみ、減圧で収縮するときのように、高負荷と低負荷のサイクルが繰り返されたときに生じる。疲労時の負荷は、引張試験で測定される材料の静的な極限強さ又は引張強さよりも小さく、一般的には、材料の降伏強さより小さい。構造体に亀裂又は亀裂状の欠陥が存在する場合、繰返し負荷又は疲労負荷が作用すると、亀裂が進展する。これは、疲労亀裂伝播(fatigue crack propagation)と呼ばれる。疲労による亀裂の伝播によって亀裂が大きくなり、亀裂の大きさと負荷が材料の破壊靱性を越えるのに十分なものであると、最終的に破壊に到る。それゆえ、材料の疲労亀裂伝播抵抗が大きくなると、航空機構造の寿命に大きな効果をもたらす。亀裂伝播は遅いほど良い。航空機構造部材の亀裂の伝播が速いと、検出のための適当な時間が不足して、破壊に到ることもあるが、亀裂の伝播が遅いと、検出及び補修処置の時間を確保することができる。
飛行機の機体設計者にとって重量な特性は、疲労による亀裂抵抗性である。疲労亀裂は、負荷と無負荷のサイクルが繰り返されたり、又は、例えば翼が上下に動いたり、機体が加圧で膨らみ、減圧で収縮するときのように、高負荷と低負荷のサイクルが繰り返されたときに生じる。疲労時の負荷は、引張試験で測定される材料の静的な極限強さ又は引張強さよりも小さく、一般的には、材料の降伏強さより小さい。構造体に亀裂又は亀裂状の欠陥が存在する場合、繰返し負荷又は疲労負荷が作用すると、亀裂が進展する。これは、疲労亀裂伝播(fatigue crack propagation)と呼ばれる。疲労による亀裂の伝播によって亀裂が大きくなり、亀裂の大きさと負荷が材料の破壊靱性を越えるのに十分なものであると、最終的に破壊に到る。それゆえ、材料の疲労亀裂伝播抵抗が大きくなると、航空機構造の寿命に大きな効果をもたらす。亀裂伝播は遅いほど良い。航空機構造部材の亀裂の伝播が速いと、検出のための適当な時間が不足して、破壊に到ることもあるが、亀裂の伝播が遅いと、検出及び補修処置の時間を確保することができる。
材料の亀裂が繰返し負荷中に伝播する速度は、亀裂の長さによる影響を受ける。別の重要な要因は、構造体が繰り返して受ける最大負荷と最小負荷との差である。亀裂の長さと、最大負荷と最小負荷との差の両方を考慮に入れて測定したものは、繰返し応力拡大係数範囲又はΔKと呼ばれ、破壊靱性の測定に使用される応力拡大係数と同様、単位はks・in0.5である。応力拡大係数範囲(ΔK)は、最大負荷時及び最小負荷時の応力拡大係数の差である。疲労亀裂伝播の他の測定に、繰返しサイクル中における最大負荷と最小負荷の比があり、これは応力比と呼ばれてRで表される。ここで比の値が0.1とは、最大負荷が最小負荷の10倍であることを意味する。
亀裂進展速度は、亀裂長さの増加量として算出され、亀裂長さの変化量(Δaと称される)を負荷サイクル回数(ΔN)で割ることによって得られ、亀裂進展量を表す。亀裂伝播速度は、Δa/ΔN又は'da/dN'によって表され、単位はインチ/サイクルである。材料の疲労亀裂伝播速度は、中央亀裂引張試験板(center cracked tension panel)から決定されることができる。
スペクトル負荷条件で試験片が最終的に破損に到る結果は、シミュレートされた飛行回数として報告されることもあるが、亀裂長さがある大きさに達するまで亀裂が進展するのに必要な飛行回数として報告されることがより多い。後者は、構造的に意味をもつ長さ(例えば初めに検査可能な亀裂長さ)を表すことがある。
シートの一定振幅FCG性能試験の試験片寸法は、シートの全厚で、幅4.0インチ×長さ12インチである。スペクトル試験は、同一寸法の試験片を使用し、代表的な機体スペクトル及び飛行回数を用いて行ない、その結果を表3に示している。表3に示されるように、亀裂長さ(crack length interval)が8〜35mmでは、本発明の合金では、スペクトル寿命は50%以上の増加が認められる。スペクトルFCG試験は、L−T方向に行なった。
本発明の合金について、一定振幅FCG条件のもとでの試験を、R=0.1のとき、L−T方向とT−L方向の両方向で行なった(図1及び図2)。T−L方向は、一般的には機体用で最も重要であるが、翼の上の機体クラウン(crown)(トップ)部のような領域では、L−T方向が最も重要になる。
所定のΔK値での亀裂進展速度が遅いと、性能が向上していると評価される。試験した全ての値について、本発明の合金は、2524−T3よりも高い性能を示している。FCGデータは、合金と合金の差の程度を最小にするために、対数−対数スケールでプロットされている。しかしながら、与えられたΔK値の場合、合金試料Aの性能向上は、図4に示されるように定量化されることができる(図1)。
発明合金はプレート形態にて、試料Aを一定振幅(CA)の下で、また、試料A及びBをスペクトル負荷の下で試験した。CA試験の試験片寸法はシートの場合と同じであるが、プレートの試験片は、プレートの両面から金属を均等に取り除くことによって作製され、中間厚さ(T/2)位置から0.25インチ厚まで機械加工した点がシートの場合と異なる。スペクトル試験の場合、7.9インチ幅×0.47インチ厚寸法の試料を中間厚さ(T/2)位置から得た。全ての試験はL−T方向で行なった。この方向は、飛行中の張力負荷の主方向に一致するからである。
図3に示されるように、CA負荷の下でのFCG速度は、発明合金は、T−39質別の損傷耐性が高い合金組成物2X24HDTと比べて、特に低いΔKレジーム(regime)のときに速かった。2X24HDT合金がT89質別まで人工時効される場合、2X24合金が一般的にそうであるように、CA疲労亀裂進展性能が低下した。これは、T89、T851又はT87等の人工時効した質別は、最終質別への時効能力及び耐食性の向上等のように多くの利点をもたらすにもかかわらず、T39質別及びより低強度のT351質別のものが、専ら低翼用に用いられる主な理由でもある。発明合金は、人工時効状態であっても、全てのΔKにおいて2X24HDT−T89よりも優れたFCG抵抗性を有しており、より高いΔKでも高損傷耐性のT39質別の2X24HDTの性能を越えている。
疲労亀裂進展のΔKレジームは低いことが重要であるが、それは、構造寿命の大部分がここで発生することが予想されからである。T39質別の2X24HDTの優れたCA性能及び同様な降伏強さに基づくと、それはスペクトル負荷の下では試料Aより優れていると予想される。しかしながら、驚くべきことに、典型的な低翼スペクトルで試験すると、試料Aは、2X24HDT−T39よりも有意にすぐれた性能を示し、寿命は36%長かった(図4、表5)。当該分野の専門家は、この結果を予想することができなかったであろう。さらに驚いたことに、試料Aのスペクトル性能は、T351質別の2X24HDTよりも優れており、一定振幅FCG抵抗は2X24HDT−T39と同様であったが、降伏強さは2X24HDT−T39又は試料Aよりも有意に低かった。発明合金のより優れたスペクトル性能は、試料Bのデータによっても示される(表5及び図4)。
当該分野の専門家であれば、降伏強さの低い方が、スペクトル性能に有利であることは認識しており、これは、図4に示されるように、ある範囲の強度レベルを有するT3X質別に加工された2X24HDTの傾向線によってさらに明らかである。試料Aと試料Bのスペクトル寿命は、2X24HDTに対するこの傾向線を明らかに越えており、また2X24HDTの傾向線より下にあるCassada組成物より優れていることは明らかである。
<破壊靱性>
合金の破壊靱性は、予め存在する亀裂又は亀裂状傷の存在での急速破壊に対する抵抗性の指標である。破壊靱性は、航空機の設計者にとって、具体的には、良好な靱性を良好な強度と組み合わせることができるかどうかの重要な特性である。引張負荷を受ける構造要素について、引張強度、又は破壊することなく負荷を維持する能力は、引張負荷に垂直な構造要素の最小断面の領域によって分けられた負荷(純断面応力(net section stress))として規定されることができる。側面が真直で単純な構造の場合、断面強度は、平滑な引張試験片の破壊又は引張強度に容易に関連づけられる。これは、引張試験を行なう方法である。しかしながら、亀裂又は亀裂状欠陥を含む構造については、構造部材の強度は、亀裂の長さ、構造部材の形状、及び破壊靱性として知られる材料特性に依存する。破壊靱性は、引張負荷での亀裂の有害な又は破壊的な伝播に対する材料の抵抗として考えることができる。
合金の破壊靱性は、予め存在する亀裂又は亀裂状傷の存在での急速破壊に対する抵抗性の指標である。破壊靱性は、航空機の設計者にとって、具体的には、良好な靱性を良好な強度と組み合わせることができるかどうかの重要な特性である。引張負荷を受ける構造要素について、引張強度、又は破壊することなく負荷を維持する能力は、引張負荷に垂直な構造要素の最小断面の領域によって分けられた負荷(純断面応力(net section stress))として規定されることができる。側面が真直で単純な構造の場合、断面強度は、平滑な引張試験片の破壊又は引張強度に容易に関連づけられる。これは、引張試験を行なう方法である。しかしながら、亀裂又は亀裂状欠陥を含む構造については、構造部材の強度は、亀裂の長さ、構造部材の形状、及び破壊靱性として知られる材料特性に依存する。破壊靱性は、引張負荷での亀裂の有害な又は破壊的な伝播に対する材料の抵抗として考えることができる。
破壊靱性は、いくつかの方法で測定できる。1つの方法は、亀裂を含む試験片を引張状態で負荷することである。純断面積(亀裂を含む面積より小さい断面積)で分けられた試験片を破壊するのに必要な負荷は、残留強度として知られ、単位は、単位面積当たり何千ポンドの力(ksi)である。材料と試験片の強度が一定の場合、残留強度は、材料の破壊靱性の指標である。それは強度と形状に依存するから、入手可能な材料にはサイズ又は形状のように幾つかの制約があるため、残留強度は、他の方法が有用でない場合に破壊靱性の指標として一般的に用いられる。
構造部材に引張負荷が加えられたとき、形状が、厚さに亘って塑性変形しないとき(平面ひずみ変形)、破壊靱性は、平面ひずみ破壊靱性Kicとして測定されることもある。これは、通常、比較的厚い製品又は断面(例えば0.6又は0.75又は1インチ以上)に適用される。ASTM E-399は、単位ks・in1/2を有するKi0を測定するために、亀裂入り疲労コンパクト試験片を用いた標準試験である。この試験は、一般的には、材料が厚い場合に破壊靱性を測定するために使用される。前記試験は、幅、亀裂長さ及び厚さに関する適当な標準が適合する限り、試験片の形状と無関係であると考えられているからである。Ki0の中で使用されている記号Kは、応力拡大係数(stress-intensity factor)と呼ばれる。
平面ひずみによって変形する構造要素は、上記したように比較的厚い。薄い構造要素(0.6〜0.75インチより薄い)は、一般的には、平面応力で変形するが、より一般的には組合せモード条件のもとで変形する。この条件下で破壊靱性を測定することにより、追加の変数(variables)の導入が可能になる。なぜなら、試験の結果から生じる数は、ある程度、試験片の形状によって決まるからである。1つの試験方法は、連続して増加する負荷を、亀裂を含む矩形試験片に加えることである。応力強度と割れ進展の関係をプロットしたものは、R曲線(亀裂抵抗曲線)として知られ、このようにして得られることができる。R曲線の決定は、ASTM E561に記載されている。
引張負荷が加えられたとき、合金製品又は構造要素の形状が、厚さに亘って塑性変形できる場合、破壊靱性は、平面応力破壊靱性として測定されることもある。破壊靱性の測定は、比較的薄く幅広の亀裂入り試験片に最大負荷を作用させる。最大負荷時の亀裂長さを用いて、その負荷での応力拡大係数を計算する。応力拡大係数は、平面ひずみ破壊靱性K0と称される。しかしながら、負荷が印加される前に、亀裂長さを用いて、応力拡大係数が計算される場合、その計算結果は、材料の見掛けの破壊靱性Kappとして知られている。K0の計算での亀裂長さは通常はもっと長いから、K0の値は、一般的には、与えられた材料のKappよりも高い。破壊靱性に関するこれらの測定結果は両方とも、ksh/inの単位で表される。靱性材料については、そのような試験によって得られる数値は、概して試料の幅が増加するか又はその厚さが減少するにつれて大きくなる。
靱性試験に使用される試験板の幅は、試験で測定される応力の強さに実質的な影響を及ぼすことは認識されるべきである。与えられた材料が、6インチ幅の試験片を使用したときのKapp靱性は60ksi・in1/2であるのに対し、試験片の幅が広くなるとKapp靱性は大きくなる。例えば、6インチ幅の試験片の靱性が60ksi・in1/2でKappである材料のKapp値は、例えば16インチ幅では約90ksi・in1/2で、48インチ幅では約150ks・in1/2で、60インチ幅では約180ksi・in1/2でのように、より高くなるであろう。程度はより少ないが、測定されたKapp値は、試験前に存在する亀裂長さ(試験片の亀裂長さ)による影響も受ける。当該分野の専門家であれば、試験板のサイズと、入れられた亀裂の長さ及び位置と、測定値に影響を及ぼす他の条件とを考慮に入れると、同じ試験方法を用いないと、K値の直接比較はできないことは理解し得るであろう。
破壊靱性データは、16インチのM(T)試料を用いて得られたものである。以下の表の中で靱性に関する全てのK値は、16インチ幅で公称亀裂長さ4.0インチの亀裂入り試験板で得られたものである。試験は全て、ASTM E651及びASTM B646に基づいて行なった。
表6及び図5に示されるように、本発明合金(試料A及びB)は、T3質別の同等強度の合金と比べて、靱性(Kappによって測定)が有意に高いことを示している。このように、本発明の合金は、比較用合金(例えば2324−T39)よりも、厚肉部及び薄肉部の両方において、急な破壊を生じることなく、より大きな亀裂に耐えることができる。
2X24HDT−T39合金は、典型的には、降伏強さ(TYS)が66ksi、Kapp値が105ksi・in1/2でであるのに対し、本発明合金は、TYSが64ksiで3.5%低く、靱性Kapp値は120ks・in1/2でで12.5%高い。T8質別まで時効されると、2X24HDT製品は、TYSが約70ksi、Kapp値は103ks・in1/2でであり、強度の上昇を示す。形態がシートの場合、本発明の合金は、標準的な2X24−T3シート製品と比較して、強度と破壊靱性の増大を示す。
本発明の合金は、2324−T39と比べて、低AKでの疲労亀裂の発生及び進展に対する抵抗性の向上を示し、これにより、閾値検査(threshold inspection)の間隔を広げることができる。この効果により、第1回目の検査を行なうまでの間隔を延ばすことができるので、操業費用及び飛行機の休止時間を少なくすることができる等、飛行機製造者に利点がもたらされる。本発明の合金はまた、2324−T39と比べて、疲労亀裂の進展抵抗性及び破壊靱性の向上を示す。この特性は、繰返し検査サイクルに関するもので、中位のAK乃至高AKでの合金の疲労亀裂伝播抵抗に主に依存しており、臨界破壊長さは破壊靱性によって決定される。これらの向上により、検査と検査の間の飛行回数を増やすことができる。一方、検査と検査の間隔をこれまでと同じ間隔を維持した場合、本発明によってもたらされる利点により、飛行機製造者は、設計応力を増加させ、航空機重量を低減することができる。重量の低減は、燃料効率の向上、貨物積載及び乗客者数の容量増加及び/又は航空機の航続距離(aircraft range)の増加をもたらす。
<追加の試験>
追加の試料を次のとおり作製した。試料は、断面が約1.25×2.75インチのブックモールド(bookmolds)の中で鋳造した。鋳造後、インゴットは、均質化及び熱間圧延の準備のために、約1.1インチ厚にスカルピングした。インゴットには、バッチ式で複数工程の均質化処理を施した。最終工程の均熱は約955〜965°Fの温度で24時間である。スカルピングされたインゴットは、約825°Fの温度で加熱−圧延し、約0.1インチ厚まで熱間圧延を施した。試料は、955〜965°Fの温度、均熱時間60分以下の条件で加熱した後、水クエンチングした。試料は、クエンチング後1時間以内に、公称レベルで約2%伸びが認められた。試料は、約96時間の延伸後に自然時効させた後で、約310°Fの温度で約24〜48時間の人工時効を行なった。試料について、引張及びカーン引裂(靱性指標)を含む機械的特性を調べた。結果を表10に示している。
追加の試料を次のとおり作製した。試料は、断面が約1.25×2.75インチのブックモールド(bookmolds)の中で鋳造した。鋳造後、インゴットは、均質化及び熱間圧延の準備のために、約1.1インチ厚にスカルピングした。インゴットには、バッチ式で複数工程の均質化処理を施した。最終工程の均熱は約955〜965°Fの温度で24時間である。スカルピングされたインゴットは、約825°Fの温度で加熱−圧延し、約0.1インチ厚まで熱間圧延を施した。試料は、955〜965°Fの温度、均熱時間60分以下の条件で加熱した後、水クエンチングした。試料は、クエンチング後1時間以内に、公称レベルで約2%伸びが認められた。試料は、約96時間の延伸後に自然時効させた後で、約310°Fの温度で約24〜48時間の人工時効を行なった。試料について、引張及びカーン引裂(靱性指標)を含む機械的特性を調べた。結果を表10に示している。
表10に示されるように、亜鉛を合金に添加することにより、又は銀の一部と置換して亜鉛を合金に添加することにより、同じ強度でも靱性が向上することを示している。表10は、ASTM B871のガイドラインに基づくサブスケール靱性指標試験(カーン引裂試験)によって測定された合金の靱性を示している。この試験結果は、伝播エネルギーの単位(Unit of Propagation Energy (UPE))としてインチ−lb/in2で表されており、数字が大きいほど靱性が大きいことを示している。表10において、試料3は、亜鉛が銀の一部と置換して含まれるもので、銀を単独添加した試料1と同等の強度であるが、試料1よりも靱性が高いことを示している。亜鉛を銀と一緒に添加すると、同じ強度でも靱性は等しいか低下する(試料1及び2と、試料4及び5との比較)。銀を全く含まないで亜鉛のみを含むときは、銀を単独添加した場合と同レベルの靱性であるが、これらの靱性指標レベルは、遙かに低い強度レベルで得られ(試料1と、試料6〜9との比較)。強度と靱性の最適な組合せは、銅、マグネシウム、銀及び亜鉛の望ましい組合せによって達成されることができる。
航空機の構造体には、機械的締結具が数多く取り付けられ、これら締結具によって加工材料は部品に組み付けられることができる。締結継手部は、通常、疲労の発生源となり、締結具を有する典型的な試験材料の性能は、合金性能の定量的指標である。このような試験の1つは、翼外板構造の翼弦方向(chord-wise)の継手部を代表するものとして、高負荷伝達(High Load Transfer(HLT))試験がある。この試験では、本発明の合金と、2X24HDT製品について行なった(表11)。発明合金(試料A)の平均疲労寿命は、比較材料より100%向上している。
<銀と亜鉛の相互作用及び合金特性に及ぼす効果>
前述したように、最適量の亜鉛と銀を複合添加又は部分置換することにより、所定の強度及び靱性特性を有する合金を製造することができる。銀等の高価な金属を追加合金化元素として用いる場合、材料特性に最大の効果が得られて材料費用をできるだけ少なくすることが好ましい。以下に示す如く、本発明では、所望の材料特性を得るための銀の最少量を規定し、強度、靱性及び耐食性について有用な特性を得ることができる。次の追加の試験における例は、強度と靱性の測定は前述のものと同じであるが、耐食性については、ASTM G110ガイドラインに準拠したアタック試験を用いて評価しており、その結果は、腐食環境で所定時間経過後のアタックの種類と深さを含んでいる。この試験では、シート試料は、定められた厚さ位置(t/10又はt/2でtは原シートの厚さ)を腐食環境に曝露する。ASTM試験では標準の曝露時間は6時間であるが、合金性能を評価するために、合計時間が最大24時間となるまで追加の曝露を行なった。アタックの種類は、なし(N)、ピッティング(P)又は粒間(IG(inter-granular))である。好ましい状態はN、つまりアタックが観察されないことである。次に好ましい観察結果はPであり、IGの存在は好ましくない。曝露完了後、試料を切断し、金属組織を光学観察することにより、アタック深さを測定することができる。所定数の箇所について測定し、測定結果から、アタックの平均深さ又は最大深さを比較することができる。
前述したように、最適量の亜鉛と銀を複合添加又は部分置換することにより、所定の強度及び靱性特性を有する合金を製造することができる。銀等の高価な金属を追加合金化元素として用いる場合、材料特性に最大の効果が得られて材料費用をできるだけ少なくすることが好ましい。以下に示す如く、本発明では、所望の材料特性を得るための銀の最少量を規定し、強度、靱性及び耐食性について有用な特性を得ることができる。次の追加の試験における例は、強度と靱性の測定は前述のものと同じであるが、耐食性については、ASTM G110ガイドラインに準拠したアタック試験を用いて評価しており、その結果は、腐食環境で所定時間経過後のアタックの種類と深さを含んでいる。この試験では、シート試料は、定められた厚さ位置(t/10又はt/2でtは原シートの厚さ)を腐食環境に曝露する。ASTM試験では標準の曝露時間は6時間であるが、合金性能を評価するために、合計時間が最大24時間となるまで追加の曝露を行なった。アタックの種類は、なし(N)、ピッティング(P)又は粒間(IG(inter-granular))である。好ましい状態はN、つまりアタックが観察されないことである。次に好ましい観察結果はPであり、IGの存在は好ましくない。曝露完了後、試料を切断し、金属組織を光学観察することにより、アタック深さを測定することができる。所定数の箇所について測定し、測定結果から、アタックの平均深さ又は最大深さを比較することができる。
合金の腐食アタック、特にIGの存在に対する感受性が重要なのは、例えばS−N疲労等の動的負荷条件下での合金性能に影響を及ぼすからである。IG腐食の箇所は、繰返し負荷条件下で亀裂発生部となり、亀裂は伝播し、疲労破壊を生じる。例えば、アルクラッド(Alclad)2024、ベア(Bare)2024、ベア6013のシートについて、腐食環境でのS−N疲労試験の比較が報告されており、6013材が最もIGアタックを受け易く、疲労寿命が最も短い。
追加の合金を次のとおり調製した。試料は、断面が約1.25×2.75インチのブックモールドの中で鋳造した。組成物は、ある範囲の銀と亜鉛を追加できるように選択され、これら元素の合計量は原子パーセント量である。珪素と鉄の含有量は、夫々、0.05重量%以下に維持される。組成は表12に示される。鋳造後、インゴットは、均質化及び熱間圧延の準備のために、約1.1インチ厚にスカルピングした。インゴットには、バッチ式で複数工程の均質化処理を施した。最終工程の均熱は約955〜965°Fの温度で24時間である。スカルピングされたインゴットは、約825°Fの温度で加熱−圧延し、約0.1インチ厚まで熱間圧延を施した。試料は、955〜965°Fの温度、均熱時間60分以下の条件で加熱した後、冷水クエンチングした。試料は、クエンチング後1時間以内に、公称レベルで約2%伸びが認められた。試料は、約96時間の延伸後、約310°Fの温度で約24〜48時間の人工時効前に、自然時効させた。
全ての合金について、引張特性とUPE特性を表13(さらに図6及び図7)に示している。合金が亜鉛を含むが銀を含まない(試料1)とき、引張降伏強さ(TYS)は約54ksiであり、少量(0.02重量%)の銀を加える(試料2)と、引張降伏強さは約4ksiの上昇が認められる。銀の添加量を増やすと、TYSがさらに上昇する。UPE値は、銀を添加すると、靱性が、増加する強さの関数として低下することが一般的傾向であることを示している。また、銀の添加量が0.3重量%以上(試料6及び7)になると、強度及び靱性の変化が制限されることを示している。銀の添加によるさらに驚くべき効果は、腐食試験結果において認められる(表14)。銀の添加量が制限された合金(試料1〜試料5)では、IGアタックが認められ、銀の添加量が多くなる(試料6及び7)と、ピッティングアタックによるアタック値の深さが小さくなる(図8)利点があることを示している。図8に示されるように、耐食性の向上には、銀の添加量は約0.3重量%で十分である。
強度、靱性及び耐食性の最適組合せは、銅、マグネシウム、銀及び亜鉛の望ましい組合せによって達成されることができる。強度については、少量の銀の添加でも有意の向上が認められる。銀の添加量が約0.3重量%で、強度、靱性及び耐食性についてすばらしい特性を有することが認められる。
銀と亜鉛が特性に及ぼす効果について、ラボスケールでさらなる考察を行ない、合金の第2マトリックスを加工し、銀含有量が異なる3種類の合金に対する亜鉛添加の効果を調べた。銀含有量の目標量が異なる各合金に対して、公称含有量が異なる3種類の亜鉛を用いて検討した。亜鉛の公称含有量は、0.01重量%、0.1重量%及び0.4重量%であり、銀の公称含有量は、0.05重量%、0.1重量%及び0.3重量%である。銀又は亜鉛を含有しない合金(試料17)を対照として鋳造した。各組成物について、ブックモールドのインゴットを鋳造し、0.1インチ厚のシートに加工し、T3質別及びT8質別の両方を調べた。全ての処理条件は前述のものと同じである。引張、靱性(UPE)及び腐食(アタックの深さ)の特性を、T3質別及びT8質別の両条件で測定した。鋳造された組成物の成分を表15に重量%で示している。T8質別の引張特性とUPE値は、表16に示されている。図9及び図10は、銀及び亜鉛含有量の関数として、T8の引張強度応答を示している。この数値は、両組成のマトリックスからのデータを含んでいる(試料1〜試料17)。銀の添加量が0.3重量%より少ない量に維持されるとき、強度は亜鉛の増加と共に緩やかに高くなる。銀が0.3重量%以上のとき、強度は亜鉛の増加と共に僅かに低下する傾向があるが、このときの銀含有量で達成される強度レベルは全て、銀含有量が少ない場合の強度レベルより高く、銀の添加により強度向上効果が得られることを示している。靱性(UPE)に対する影響は、銀及び亜鉛の含有量の関数として図11に示されている。亜鉛の添加量が増えると、靱性は同等であるか低下するが、これは銀含有量とは独立している。強度と靱性の関係としてプロット(図12)したとき、銀は、より高い靱性レベルを保持しつつ強度に有利な影響を及ぼすことは明らかである。
T3質別では、全ての試料は、ASTM G110試験にてピッティング応答を示した。T8質別では、銀含有量が0.3重量%のとき、銀含有量が低いときは、粒間(IG)アタックからピッティング(P)に変化した。銀の耐食性向上効果は、亜鉛の添加量の如何に拘わらず認められる。T8質別の腐食結果は図13に示される。
<冷間加工及び時効が特性に及ぼす効果>
本発明合金が、代表的な2x24合金と比べて、強度−靱性特性の向上効果を有することをさらに調べるために、冷間加工(例えば、延伸及び冷間圧延)及び時効(例えば、自然時効及び人工時効)が材料特性に及ぼす効果を調べた。材料は、アルクラッド2524−T3(産業界の標準2XXX航空機機体用材料)と本発明合金の両方について、プラントで加工されたシートから得た。本発明の合金は、公称組成が、Cu:3.6重量%、Mg:0.9重量%、Ag:0.5重量%、Mn:0.5重量%、Zr:0.11重量%、Fe:0.05重量%、Si:0.03重量%、残部アルミニウム並びに不可避元素及び不純物である。アルクラッド2524シートは、標準の製造法を用いて作製し、0.090インチのゲージ材料のものを得た。発明合金は、断面16×60インチのインゴットに鋳造した。インゴットは、スカルピングし、複数工程の予備加熱を行ない、955〜965°Fの温度で最終の均熱を行なった。インゴットは、約4インチのスラブゲージまで最初の熱間圧延を施した。スラブは、955〜965°Fの温度に再加熱し、約0.26インチの最終ゲージまで熱間圧延した。材料は、約0.12インチの最終ゲージまで冷間圧延した。両合金の試料は次に実験室処理を行なうために、2524材料を再溶融熱処理を施した。合金は、夫々の組成に対して適当な温度に加熱し、シート試料は全て冷水への浸漬によるクエンチングを行なった。延伸はクエンチング後1時間以内に行ない、異なるレベルを達成することを目標とした。2524試料に延伸(stretching)を行ない、延伸は0.75%、3%、6%及び9%であった。発明合金に延伸を行ない、延伸は0.75%、3%及び6%であった。
本発明合金が、代表的な2x24合金と比べて、強度−靱性特性の向上効果を有することをさらに調べるために、冷間加工(例えば、延伸及び冷間圧延)及び時効(例えば、自然時効及び人工時効)が材料特性に及ぼす効果を調べた。材料は、アルクラッド2524−T3(産業界の標準2XXX航空機機体用材料)と本発明合金の両方について、プラントで加工されたシートから得た。本発明の合金は、公称組成が、Cu:3.6重量%、Mg:0.9重量%、Ag:0.5重量%、Mn:0.5重量%、Zr:0.11重量%、Fe:0.05重量%、Si:0.03重量%、残部アルミニウム並びに不可避元素及び不純物である。アルクラッド2524シートは、標準の製造法を用いて作製し、0.090インチのゲージ材料のものを得た。発明合金は、断面16×60インチのインゴットに鋳造した。インゴットは、スカルピングし、複数工程の予備加熱を行ない、955〜965°Fの温度で最終の均熱を行なった。インゴットは、約4インチのスラブゲージまで最初の熱間圧延を施した。スラブは、955〜965°Fの温度に再加熱し、約0.26インチの最終ゲージまで熱間圧延した。材料は、約0.12インチの最終ゲージまで冷間圧延した。両合金の試料は次に実験室処理を行なうために、2524材料を再溶融熱処理を施した。合金は、夫々の組成に対して適当な温度に加熱し、シート試料は全て冷水への浸漬によるクエンチングを行なった。延伸はクエンチング後1時間以内に行ない、異なるレベルを達成することを目標とした。2524試料に延伸(stretching)を行ない、延伸は0.75%、3%、6%及び9%であった。発明合金に延伸を行ない、延伸は0.75%、3%及び6%であった。
各々の合金について、延伸と時効(室温又は一部は高温)から引張降伏強さを求めた。延伸直角方向(Long-Transverse(LT))の引張降伏強さは約40〜60ksiであった。各々の強度レベルを求めるため、カーン引裂試験によりT−L方向のUPE値を求めた(UPEデータは1条件について3つの試験結果の平均である)。カーン引裂試験では、全てを同じ厚さ(0.064インチ)に機械加工を施し、3種類の試験を行なった。合金の引張と平均UPEの結果は表17及び図14に示されている。
前述したように、破壊靱性はしばしば単一の値(例えば、Kapp、Kc等)として引用される。この場合、この与えられた値を得るために用いられた試験板サイズが記載されるべきである。この値は、破壊靱性用試験板の幅の関数として変動するからである。T−L方向の幅16インチ(400mm)の板を用いて、同じプラントで加工された材料の破壊靱性を調べた。このデータは、上記表15で与えられたUPE値に対する基準値として用いられることができる。試料A材料の場合、得られたT−L方向のKapp値は約110ksi・インチ1/2であり、LT引張降伏強さは約57ksiであった。比較のために、2524−T3シートに対して同じ試験を行なったところ、代表的なKapp値は約95ksi・インチ1/2であり、LT引張降伏強さは約45ksiであった。この比較から、試料Aで代表される本発明合金はより高い靱性を有することがわかる。
一般的に、2xxx系合金はT3質別では高い靱性を有している。しかし、強度が増大するとき、及び/又は材料が人工時効されると、靱性は低下する。本発明合金は、人工時効された状態でも高い靱性を得ることができる。実験結果は、同じ強度レベルでは、本発明合金は2524製品と比べて、UPE値で測定される靱性が高いことを示している。2524材料がその望ましいT3質別の場合でも、本発明合金における靱性の向上は維持される。
<合金の溶接性>
航空機の構造部材の製造費用低減に対する重要性が高まるにつれて、接合方法として、機械的締結に代えて溶接が一般的に用いられるようになってきている。従来の溶接法は、例えばガスタングステンアーク(GTA)の如く、融合プロセスとして考えられている。非熱処理(non-heat treatable)アルミニウム合金の範囲内では、これら特性との適合性が良好なものがある(例えば、3xxx系、5xxx系等)。熱処理合金(2xxx、6xxx及び7xxx)の中には、溶接に適用できるものもあるが、合金の大部分は、これらの接合プロセスには適していないことが分かっている。より最近では、溶接技術が進歩し、レーザービーム溶接として知られる融合プロセスや、摩擦撹拌溶接(FSW)として知られる固相プロセスなどがある。FSWの場合、殆んど全ての合金の接合が可能であり、合理的レベルの溶接強度が得られる。このプロセスは、これまで「溶接可能(weldable)」でないと考えられている数多くの合金の溶接に適している。合金の溶接性の評価は、一般的な突合せ溶接による引張特性を評価することによって行なうことができる。溶接部の最大抗張力は、一般的には、母材金属の引張強度の百分率として表され、材料の「溶接性能(weld efficientcy)」を示し、これが高いほど、合金の溶接プロセス適合性が良好であることの指標となる。AA2024合金は、航空機の機体及び翼の両構造体に広く用いられている。当該分野で知られている溶接性の評価では、合金は溶接可能である一方で、溶接工程のパラメータの制御に非常に注意を払う必要があることが報告されており、その点では異なる結果である。表18は、本発明合金と2024との溶接特性の比較データを示している。本発明合金は、融合溶接を含む接合技術との適合性にすぐれており、レーザービームや摩擦撹拌溶接等の固相プロセス以外の融合溶接にも適合性を有する。
航空機の構造部材の製造費用低減に対する重要性が高まるにつれて、接合方法として、機械的締結に代えて溶接が一般的に用いられるようになってきている。従来の溶接法は、例えばガスタングステンアーク(GTA)の如く、融合プロセスとして考えられている。非熱処理(non-heat treatable)アルミニウム合金の範囲内では、これら特性との適合性が良好なものがある(例えば、3xxx系、5xxx系等)。熱処理合金(2xxx、6xxx及び7xxx)の中には、溶接に適用できるものもあるが、合金の大部分は、これらの接合プロセスには適していないことが分かっている。より最近では、溶接技術が進歩し、レーザービーム溶接として知られる融合プロセスや、摩擦撹拌溶接(FSW)として知られる固相プロセスなどがある。FSWの場合、殆んど全ての合金の接合が可能であり、合理的レベルの溶接強度が得られる。このプロセスは、これまで「溶接可能(weldable)」でないと考えられている数多くの合金の溶接に適している。合金の溶接性の評価は、一般的な突合せ溶接による引張特性を評価することによって行なうことができる。溶接部の最大抗張力は、一般的には、母材金属の引張強度の百分率として表され、材料の「溶接性能(weld efficientcy)」を示し、これが高いほど、合金の溶接プロセス適合性が良好であることの指標となる。AA2024合金は、航空機の機体及び翼の両構造体に広く用いられている。当該分野で知られている溶接性の評価では、合金は溶接可能である一方で、溶接工程のパラメータの制御に非常に注意を払う必要があることが報告されており、その点では異なる結果である。表18は、本発明合金と2024との溶接特性の比較データを示している。本発明合金は、融合溶接を含む接合技術との適合性にすぐれており、レーザービームや摩擦撹拌溶接等の固相プロセス以外の融合溶接にも適合性を有する。
この発明の特定の実施例を例示の目的で説明してきたが、当該分野の専門家であれば、特許請求の範囲に規定された発明から逸脱することなく、本発明の詳細に様々な変更を加えることができることは明らかであろう。
Claims (37)
- 強度、靱性及び耐食性について効果的な組合せを有する2xxx系航空宇宙用合金製品であって、本質的に、
Cu:約3.0〜約4.0重量%
Mg:約0.4〜約1.1重量%、
Mn:約0.20〜約0.40重量%、
Fe:約0.5重量%以下、
Si:約0.5重量%以下、
Ag:約0.3〜約0.8重量%、
Zn:約0.40重量%以下、
結晶微細化材:約0.1重量%以下を含み、
AgとZnの合計量は約0.3重量%以上であり、CuとMgは、Mg約1部に対してCu約3.6〜5部の割合で含まれ、残部はアルミニウム並びに付随的な元素及び不純物である合金からなる2xxx系航空宇宙用合金製品。 - AgとZnは約0.4重量%以上であり、CuとMgは、Mg1部に対してCu約4〜4.5部の割合で含まれる請求項1の合金製品。
- Agは約0.30〜約0.50重量%である請求項2の合金製品。
- Zr、Cr、Sc、Hf及びErからなる群から選択される再結晶抑制材をさらに含んでいる請求項1の合金製品。
- 再結晶抑制材は約0.18重量%以下のZrである請求項4の合金製品。
- 結晶微細化材はセラミック化合物である請求項1の合金製品。
- 結晶微細化材はチタン又はチタン化合物である請求項1の合金製品。
- 結晶微細化材はTi、TiB2又はTiCである請求項1の合金製品。
- Agは0.4重量%以上である請求項1の合金製品。
- 製品は冷間加工され、人工時効されている請求項1の合金製品。
- 製品は、亜時効強度まで時効処理される請求項1の合金製品。
- 製品は、ピーク強度まで時効処理される請求項1の合金製品。
- 製品は、過時効強度まで時効処理される請求項1の合金製品。
- 強度、靱性及び耐食性について効果的な組合せを有する展伸又は鋳造アルミニウム合金製品であって、本質的に、
Cu:約3.0〜約4.0重量%
Mg:約0.4〜約1.1重量%、
Mn:約0.2〜約0.4重量%、
Ag:約0.01〜約0.8重量%、
Zn:約0.01〜約0.40重量%、
結晶微細化材:約0.1重量%以下、及び
選択的に再結晶抑制材を含み、
ZnとAgの合計量は約0.30〜約0.80重量%以上であり、残部はAl並びに付随的な元素及び不純物である合金からなり、前記合金製品は、
a)ASTM B871のカーン引裂試験によって測定され、同じように試験したAA2524HDT−T3又はT8よりも60%以上高いT−L方向の靱性(UPE)、
b)平均高負荷伝達継手の平均寿命(サイクル)が、2X24HDTよりも約60%長い疲労寿命、
c)ASTM G110によって測定され、粒間からピッティングに変化した腐食の形態、
のうちの少なくとも1つの機械的特性を有している展伸又は鋳造アルミニウム合金製品。 - ZnとAgの合計量は約0.3重量%以上である請求項14のアルミニウム合金製品。
- ZnとAgの合計量は約0.3重量%以上であり、CuとMgは、Mg約1部に対してCu約3.6〜5部の割合で含まれる請求項14のアルミニウム合金製品。
- 合金製品はシート製品であり、ZnとAgの合計量は約0.4重量%以上である請求項14のアルミニウム合金製品。
- 再結晶抑制材は、Zr、Cr、Sc、Hf及びErからなる群から選択される請求項14の合金製品。
- 結晶微細化材はセラミック化合物である請求項14の合金製品。
- 結晶微細化材はTi、TiB2又はTiCである請求項14の合金製品。
- 製品は、亜時効強度まで時効処理される請求項14の合金製品。
- 製品は、ピーク強度まで時効処理される請求項14の合金製品。
- 製品は、過時効強度まで時効処理される請求項14の合金製品。
- 製品は、T3、T6又はT8質別である請求項14の合金製品。
- 製品は、0.5%以上の延伸又は冷間圧延が施される請求項14の合金製品。
- 製品は、少なくとも2重量%まで延伸又は冷間圧延が施される請求項14の合金製品。
- 航空機機体の外板、パネル及び縦通材を含む部材用として、又は翼の低翼外板、縦通材及びパネルを含む部材用として、並びに、スパー及びリブ等の厚肉要素のシート製品として好適なアルミニウム合金であって、
Cu:約3.0〜約4.0重量%
Mg:約0.4〜約1.1重量%、
Mn:約0.2〜約0.4重量%、
Ag:約0.2〜約0.8重量%、
Zn:約0.01〜約0.40重量%、
再結晶抑制材:約0.20重量%以下、
Ti、TiB2及びTiCからなる群から選択される結晶微細化材:0.10重量%以下、
Fe:0.重量%以下、
Si:約0.5重量%以下を含み、
CuとMgは、Mg約1部に対してCu約3.6〜5部の割合で含まれ、残部はAl並びに付随的な元素及び不純物からなり、
前記合金製品は、
1)AA2524と同じUTSとTYSを有しており、ASTM B871のカーン引裂試験によって測定された靱性が、同じように試験したAA2524よりも約40%以上高い靱性、
2)UTS及びTYSがAA2524よりも約10%以上高く、ASTM B871のカーン引裂試験によって測定された靱性が、同じように試験したAA2524と比べて約20%以上高い靱性、
3)平均高負荷伝達継手の平均疲労寿命(サイクル)が、2X24HDTよりも約60%長い平均疲労寿命、及び、
4)ASTM G110によって測定され、粒間からピッティングに変化した腐食の形態、
からなる群から選択される機械的特性のうちの1又は複数の特性を有しているアルミニウム合金。 - ZnとAgの合計量は約0.3重量%以上である請求項27の合金製品。
- ZnとAgの合計量は約0.3〜約0.6重量%である請求項28の合金製品。
- ZnとAgの合計量は約0.3〜約1.5重量%である請求項27の合金製品。
- 製品は、冷間加工され、人工時効されている請求項27の合金製品。
- 製品は、亜時効強度まで時効処理される請求項27の合金製品。
- 製品は、ピーク強度まで時効処理される請求項27の合金製品。
- 製品は、過時効強度まで時効処理される請求項27の合金製品。
- 製品は、少なくとも2重量%まで延伸又は冷間圧延が施される請求項27の合金製品。
- 製品は、0.50%以上の延伸又は冷間圧延が施される請求項27の合金製品。
- 再結晶抑制材は、Zr、Cr、Sc、Hf及びErからなる群から選択される請求項27の合金製品。
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