JP2009503545A - センサ、ポリイオン濃度検出方法、可逆電気化学セル装置及びセル回復方法 - Google Patents
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Abstract
ポリイオンのための可逆電気化学反応センサを提供する。センサは、電気化学的に制御された能動的抽出及びイオン剥離を使用する。自発的なポリイオン抽出は、イオン交換特性を有さない親油性電解質を多く含む膜を用いて抑圧される。本発明に基づく膜電極に亘って固定された期間の定電流パルスを流すことによって、ポリイオンの可逆抽出が誘導される。続いて、一定の剥離電位をかけることによって、ポリイオンが除去される。センサは、優れた安定性及び可逆性を有し、プロタミン滴定を介する全血試料におけるヘパリン濃度の測定を実現する。また、センサは、ポリイオン濃度及び酵素活性を監視でき、ポリイオンの分解速度は、試料内の酵素活性に正比例する。更に、センサは、酵素阻害剤活性を監視できる。また、ポリイオン及び酵素の1つをマーカとして使用することによって、免疫検定法を用いて検体を検出することができる。
Description
本出願は、2003年7月9日に出願された米国仮特許出願番号60/485,856号の優先権を主張して、2004年7月8日に出願された米国特許出願番号10/887,251号、発明の名称「ポリイオンのための可逆電気化学センサ(REVERSIBLE ELECTROCHEMICAL SENSORS FOR POLYIONS)」の一部継続出願である。2004年7月8日に出願された米国特許出願番号10/887,251号及び2003年7月9日に出願された米国仮特許出願番号60/485,856号は、何れも引用により全体が本願に援用される。
また、本出願は、米国特許法第119条(e)項に基づき、引用により全体が本願に援用される、2005年8月5日に出願された係属中の米国仮特許出願番号60/706,117号、発明の名称「ポリイオンを基板として用いる酵素活性の電気化学検出及びポリイオン選択可逆電気化学センサ(ELECTROCHEMICAL DETECTION OF ENZYME ACTIVITIES USING POLYIONS AS SUBSTRATE AND POLYION-SELECTIVE REVERSIBLE ELECTROCHEMICAL SENSORS)」の優先権を主張する。
本発明の基礎となる研究は、国立衛生研究所(National Institutes of Health:NIH)からの基金grant nos.GM071623及びEB002189による援助を部分的に享受している。米国政府は、本発明の内容に関与することがある。
本発明は、ポリイオンセンサに関する。また、本発明は、プロタミン及びヘパリン等のポリイオンを検出するために使用される膜及び電気化学セルにこのような膜を組み入れて行うポリイオン濃度検出方法に関する。詳しくは、本発明は、膜を介するポリイオンの強制運動によるポリイオンの検出に関し、ここで、ポリイオンの動きは、可逆であるため、膜を再使用することができる。
過去10年の間に、可塑化高分子膜(plasticized polymeric membrane)を用いてポリイオン高分子を検出する電位差測定センサの開発によって、イオン選択電極の新たな分野が開拓された。この分野における初期の研究では、ポリアニオンヘパリンを検出できる親油性アニオン交換体を含むポリマ膜電極が提案されている(「Ma, S. C., Yang, V. C., and Meyerhoff, M. E. Anal.Chem.1992, 64, 694」参照)。ヘパリン選択性高分子膜電極については、米国特許番号5,236,570号及び米国特許番号5,453,171号にも開示されている。
ヘパリンは、硫酸化の度合いが高い多糖類で、平均電荷は、−70、平均分子量は、15000ダルトンである。ヘパリン化合物の1単位の分子式を以下に示す。
ヘパリンは、例えば、心臓切開手術、バイパス手術、透析等、主な外科的処置及び体外循環法において、抗凝血物質として用いられている。なお、医療的施術において、ヘパリンの過剰使用は有害である場合があり、ヘパリンの投与は慎重に監視する必要がある。手術中の過度の出血の危険を防止し、術後合併症の可能性を低減するために、血液のヘパリン濃度を実時間で監視することは特に有益である。全血のヘパリン濃度を推定する場合、活性化凝固時間測定法(activated clotting time measurement:ACT)が一般的に用いられている。この手法は、広く用いられているが、特定的ではなく間接的であり、その測定結果は多くの変数的要素によって影響を受ける。一方、ヘパリン選択電極は、ACTとは異なり、全血又は血漿試料からヘパリン濃度を直接検出できる。
同様に、ポリカチオンプロタミンを検知する手法も提案されている(「Yun, J. H., Meyerhoff, M. E., and Yang, V. C. Anal Biochem. 1995, 224, 212」参照)。ポリペプチドプロタミンは、通常、ヘパリン活性の中和(すなわち、凝固の促進)のために使用される。以下に示すプロタミンは、平均電荷+20で、アルギニン残基が豊富なポリカチオンである。
プロタミンの塩基性グアニジウム基は、ヘパリンのスルホナート基と静電気的に錯体を形成し、ヘパリンの抗凝血活性を無効にする。しかしながら、プロタミンの過剰使用も、有害である場合がある。例えば、プロタミンの使用が、例えば、高血圧、酸素消費量の低下、肺血小板隔離による血小板の減少、白血球減少症等、血流力学及び血液学的な副作用を引き起こすこともある。したがって、血液等の体液内のプロタミン濃度を正確に検出及び測定できれば有益である。
信頼できるプロタミンの検出によって、薬剤の投与を適切に行うことができ、上述したような関連する問題を回避することができる。更に、イオン選択電極を介してプロタミンを検出する能力により、プロタミンを含む試料の滴定を介して、試料のヘパリン濃度を判定することもできる。これは、上述した特定のヘパリン・プロタミン相互作用によって可能となる。このような作用については、「Ramamurthy, et al., Clin.Chem.1998, 606」にも開示されている。
当分野で知られているヘパリン固有の膜電極の観測された応答は、古典的な平衡法(equilibrium approach)では説明できなかった。ネルンストの式は、イオンの高い電荷のために、ヘパリン及びプロタミンについて、それぞれ1mV/decade及び2mV/decadeより小さい電極関数の勾配を算出する。この特異なメカニズムについて説明する擬定常状態モデルも後に提案されている(「Fu, B. et al., Anal Chem.1994, 66, 2250.」参照)。ポリイオンセンサの電位差測定応答は、生来的に、運動学的応答である。高分子膜へのポリイオンの自発的な抽出及びこれに伴う膜からの親水性イオンの交換によって、水溶液及び膜相の両方において、ポリイオンの強いフラックスが生じ、この結果、ポリイオンがある場合に電位変化が生じる。
ポリイオンの抽出は不可逆プロセスであるので、従来のヘパリン固有の膜電極を用いた場合には、通常、強い電位ドリフトが観測される。センサは、ポリイオン溶液に接触した後、比較的短期間で応答特性が劣化する。このため、例えば、高濃度塩化ナトリウム溶液等で、抽出されたポリイオンを膜相から除去し、センサの状態を回復させる必要がある。膜表面でのポリイオン濃度によって応答が劣化することを回避するために、これまで幾つかの手法が提案されている。例えば、イオン交換体及び帯電したH+イオン透過担体を含むpH相互感応電位差測定ヘパリンセンサ(pH cross-sensitive potentiometric heparin sensor)が提案されている。この手法では、試料のpHを調整することによって、ヘパリンを剥離する。また、使い捨てのセンサを用いることによって、センサ応答の劣化の問題を回避する手法もある。
このように、選択性抽出原理の存在にもかかわらず、可逆ポリイオンセンサを設計することは、これまでのところ不可能である。したがって、ポリイオンセンサは、救命医療用途において非常に有用な場合があるが、ポリイオンセンサの応答が急速に劣化するため、使用が制限されている。使い捨てのセンサは、高コストであり、センサを取り除き、個々の手法でセンサを再調整することは、非常に手間と時間が掛かり、センサの有用性を制限している。したがって、ポリイオンを検出でき、完全に可逆的であり、速やかに、反復的にセンサを個別の溶液から取り除くことなく可逆性を実現できるセンサが望まれている。
本発明は、ポリイオンのための可逆電気化学反応センサを提供する。このセンサは、電位差測定応答メカニズムを組込み、ポリイオン検体の濃度を判定し、抽出及びイオン剥離のプロセスは、電気化学的に制御される。自発的なポリイオン抽出は、イオン交換特性を有さない親油性電解質を多く含む膜を用いて抑圧される。本発明に基づく膜電極に亘って一定の定電流パルスを流すことによって、ポリイオンの可逆抽出が誘導される。続いて、一定の剥離電位をかけることによって、ポリイオンが除去される。ポリイオンを剥離し、センサが有効に再生することによって、ドリフティングの傾向があり、他の測定を行う前に感知膜からポリイオンを剥離する目的で高濃度の塩溶液に長期間曝す必要があった従来のポリイオンセンサが直面していた問題が解決される。
親油性電解質を含む膜は、電気化学セルと共に用いることで、電極を再調整又は置換するために電極を取り除かなくても、試料溶液内のポリイオン濃度を連続的に測定することができる。これにより、ポリイオン、例えば、ヘパリンの滴定を行うことができる。例えば、プロタミン滴定を用いて、全血試料のヘパリン濃度を測定することができる。
本発明の一側面として、本発明は、電気化学セルに使用されるポリイオン選択膜を提供し、この膜は、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を有する親油性電解質を含有する。好ましくは、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分の1つは、特定のポリイオンに対する選択性を有する。本発明に基づいて検出される特に望ましいポリイオンは、ヘパリン及びプロタミンである。本発明の膜を用いて検出できる更なるポリイオンとしては、デキシオリボ核酸(DNA)、リボ核酸(RNA)、フミン酸、カラーギナン及び他のポリイオン高分子体がある。
上述のように、親油性電解質の親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分の1つは、特定のポリイオンに対する選択性を有する。したがって、本発明の一実施の形態では、親油性電解質は、プロタミンに対する選択性を有する親油性アニオン成分を含有する。この実施の形態では、親油性電解質は、好ましくは、テトラドデシルアンモニウム1,3ジノニルナフタレン−4−スルホナート(TDDA−DNNS)である。同様に他の実施の形態では、親油性電解質は、ヘパリンに対する選択性を有する親油性カチオン成分を含有する。この実施の形態では、親油性電解質は、好ましくは、ドデシルグアニジウムテトラキス(p−クロロフェニル)ホウ酸(DDG−TCIPB)である。
本発明の他の実施の形態においては、ポリイオン選択膜は、ポリマフィルム成形材料と、可塑剤と、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を有する親油性電解質とを備え、親油性カチオン及び親油性アニオン成分の1つは、特定のポリイオンに対する選択性を有する。好ましくは、ポリマフィルム成形材料は、ポリ塩化ビニルであり、可塑剤は、2−ニトロフェニルオクチルエーテルである。
本発明の更に他の実施の形態では、電気化学セルに使用されるポリイオン選択膜は、可塑剤と、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を有する親油性電解質とを含有する混合物が分散された微孔性疎水性基質を備える。好ましくは、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分の1つは、特定のポリイオンに対する選択性を有する。
本発明の他の側面として、本発明は、電気化学セルに使用されるポリイオン選択膜を提供する。本発明の一実施の形態においては、ポリイオン選択膜電極は、ハウジングと、ハウジング内に収容された基準液と、ハウジング内で基準液に接触して動作するように配設された電極とを備える。更に、この実施の形態では、ポリイオン選択膜は、ハウジングの一端に配置される。膜は、ハウジング内の基準液に接触すると共に、膜はハウジングの外部の試料溶液に接触して動作するように配置されている。上述のように、膜は、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を含む親油性電解質を有し、親油性アニオン成分及び親油性カチオン成分のうちの少なくとも1つは、特定のポリイオンに対する選択性を有する。
本発明の他の側面として、本発明は、更に、試料溶液内のポリイオン分子種の濃度を測定する濃度測定方法を提供する。この濃度測定方法では、膜に亘るポリイオン分子種の移動を電気化学的に、可逆に制御できる。したがって、この濃度測定方法は、生物学的試料等の試料溶液内のポリイオン分子種の濃度の連続的測定に有用である。
濃度測定方法の一実施の形態では、ポリイオン分子種を含む試料溶液を準備する。試料溶液は、好ましくは、バックグラウンド電解質を更に含む。試料溶液は、電気的に接続されている基準電極と膜電極とに接触される。膜電極の膜は、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を有する親油性電解質を含み、親油性アニオン成分及び親油性カチオン成分の少なくとも1つは、ポリイオン分子種に対する選択性を有する。試料溶液が電極に接触すると、膜電極及び試料溶液を含む回路に外部電流パルスが流され、この電流により、ポリイオン分子種が試料溶液から膜に移動する。好ましくは、外部電流パルスは、固定された期間を有するパルスである。電流パルスの間に、膜電極と基準電極との間の電位差測定応答の測定を行うことができる。そして、ポリイオン分子種の濃度は、電位差測定応答の関数として算出できる。
本発明の側面の他の実施の形態では、濃度測定方法は、膜電極及び基準電極に外部電極電位をかけ、ポリイオン分子種の膜からの移動を促す工程を更に有する。この実施の形態によって、ポリイオンが逆抽出され、膜を再使用できる状態に回復させることができる可逆センサが実現する。
本発明のこの側面に基づく他の実施の形態では、試料溶液内のポリイオン分子種の濃度を測定する濃度測定方法は、以下のような工程を有する。(a)ポリイオン分子種及びバックグラウンド電解質を含む試料溶液を準備する。(b)(1)少なくとも1つが特定のポリイオンに対する選択性を有する親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を有する親油性電解質を含む膜を有するポリイオン選択膜電極と、(2)ポリイオン選択膜電極に電気的に接続された基準電極と、(3)ポリイオン選択膜電極に電気的に接続された対電極と、(4)各電極に動作的に接続された電気化学器具と、(5)電気化学器具と通信の制御装置とを備える電気化学セル装置を準備する。(c)電気化学セル装置の電極に試料溶液を接触させる。(d)膜電極、対電極及び試料溶液を含む回路に固定された期間の外部電流パルスを流す。(e)電流パルス間の電位差測定応答を測定する。(f)電位差測定応答の関数としてポリイオン分子種の濃度を算出する。(g)膜電極及び基準電極に外部電極電位を印加し、ポリイオン分子種の膜からの移動を促す。好ましい実施の形態では、ステップ(d)〜ステップ(g)を繰り返し、ポリイオン分子種の濃度の1つ以上の更なる測定値を得る。
本発明の他の側面として、本発明は電気化学セル装置を提供する。電気化学セル装置は、試料溶液内のポリイオンの濃度を測定するために使用できる。一実施の形態に基づく装置は、少なくとも一方が特定のポリイオンに対する選択性を有する親油性アニオン成分及び親油性カチオン成分を含む親油性電解質を含む膜を有するポリイオン選択膜電極と、ポリイオン選択膜電極に電気的に接続された基準電極と、膜電極及び基準電極に動作的に接続された電気化学器具とを備える。
本発明のこの側面の他の実施の形態においては、電気化学セル装置は、膜電極に電気的接続された対電極を更に備える。
本発明のこの側面の他の実施の形態においては、電気化学セル装置は、電気化学器具と通信する制御装置を備える。好ましい実施の形態では、制御装置は、コンピュータに基づくコントローラである。このようなコントローラによって、電気化学セル装置の動作を部分的に又は完全に自動化することができる。
本発明の他の側面として、本発明はセンサを提供する。センサは、ハウジング内に配設された電極を備える。更に、センサは、ハウジングの一端に配置され、該ハウジングの外部の試料溶液に接触する膜を備える。膜は、試料溶液のポリイオン濃度を検出し、このポリイオンの分解速度は試料溶液内の酵素活性に正比例する。
電極は、Ag/AgCl電極であってもよい。膜は、約10mm2〜約100mm2の表面積を有していてもよい。膜は、これに代えて、約20mm2〜約50mm2の表面積を有していてもよい。膜は、約10μm〜約1000μmの膜厚を有していてもよい。これに代えて、膜は、約20μm〜約300μmの膜厚を有していてもよい。ポリイオン濃度は、プロタミンのポリイオン濃度であってもよい。酵素活性は、トリプシンの酵素活性であってもよい。
本発明の他の側面として、本発明は、試料溶液のポリイオン濃度を検出する濃度検出方法を提供する。ポリイオン濃度検出方法は、試料溶液を準備する工程を備える。ポリイオン濃度検出方法は、更に、分解速度が試料溶液内の酵素活性に正比例する試料溶液のポリイオンの濃度を検出する膜に試料溶液を接触させる工程を有する。試料溶液は、生物学的成分を含んでいてもよい。試料溶液は、血液を含んでいてもよい。
本発明の他の側面として、本発明は、可逆電気化学セル装置を提供する。可逆電気化学セル装置は、膜を含むポリイオン選択膜電極を備える。膜は、試料溶液内のポリイオン濃度を検出でき、ポリイオンの分解速度は、試料溶液内の酵素活性に正比例する。可逆電気化学セル装置は、更に、膜をクリアにする電位をかける印加手段を備える。この印加手段は、基準電極とポリイオン選択膜電極との間に印加される外部の電極電位であってもよい。
本発明の他の側面として、本発明は可逆電気化学セル装置を提供する。可逆電気化学セル装置は、膜を含むポリイオン選択膜電極を備える。膜は、溶液のポリイオン濃度を検出する。可逆電気化学セル装置は、基準電極とポリイオン選択膜電極との間に電位をかけ、膜をクリアにする除去手段を更に備える。
本発明の他の側面として、本発明はセンサを提供する。センサは、ハウジング内に配設された電極を備える。更に、センサは、ハウジングの一端に配置され、ハウジングの外部の試料溶液に接触する膜を備える。膜は、試料溶液における酵素活性及び対応する酵素阻害剤活性を監視することができる。
対応する酵素阻害剤活性は、α1−抗プロテアーゼ阻害剤、α2−マクログロブリン、アプロチニン及び大豆阻害剤(soybean inhibitor)の活性であってもよい。電位の低下は、試料溶液内の対応する酵素阻害剤の濃度に依存していてもよい。
本発明の他の側面として、本発明は免疫検定方法を提供する。免疫検定方法では、ポリイオン及び酵素の1つをマーカとして使用することによって、検体を検出する。
以下、本発明を詳細に説明する。なお、本発明は多くの異なる形式で実現でき、以下に示す実施の形態に限定されるわけではない。以下の実施の形態は、法的な要件を満たすように開示される。また、明細書及び特許請求の範囲において、単数として示す名詞は、文脈における特別な指示がない限り、単数も複数も含むものとする。
本発明は、連続的な機械的制御に基づき、測定時の物質輸送制限ポリイオン抽出のプロセスの後に、再調整のための逆抽出のプロセスを実行する可逆ポリイオンセンサを提供する。本発明は、親油性電解質を含むポリイオン選択膜を用いる。膜に亘るイオンフラックスの機械的制御により、イオンを膜に抽出し、膜からイオンを剥離することを繰り返し行うことができ、再現性が高いセンサ応答を実現できる。更に、検査中に、速やかにセンサ膜を回復させることにより、連続的な動作が可能になり、溶液内のポリイオン濃度の値の変化を実時間で知ることができる。
これまで当分野で知られていた電位差測定ポリイオン選択性センサは、受動センサであった。このようなセンサは、親油性カチオン交換体分子(一般的に、式R−Na+で表される)を含む膜と、電解質の水溶液を有する。このようなセンサにおける試料と膜との間の界面電位は、式(1)によって表される。
ここで、aNaは、水溶液のナトリウムイオンの活性であり、[Na+]は、膜相の相境界でのナトリウムイオンの所謂遊離濃度であり、E0は、水から膜相へのナトリウムの移動の自由エネルギである。項Rは気体定数であり、項Tは絶対温度である。試料内にプロタミン(又は他のポリカチオン)がない場合、及びイオンペアリングを無視することによって、膜相のナトリウムイオンの濃度は、式(2)に基づき、親油性カチオン交換体RTの総濃度から計算できる。
この結果、膜はイオン交換体ベースのナトリウム電極と同様に振る舞い、ネルンスト応答勾配が予想される。
水溶液内にプロタミンが存在している場合、表面及び膜相内の両方にプロタミンカチオンの強いフラックスが生じ、2つのよどんだ拡散層(よどみ層)が形成される。水相のよどみ層の拡散は律速段階であるので、界面において擬定常状態拡散が観測されることもある。プロタミンカチオンは、膜相境界からのナトリウムカチオンを置換する。このイオン交換プロセスによって、膜相でのナトリウムイオンの濃度が減少し、式(1)で算出される観測電位が高くなる。この観測電位の上昇は、式(3)に示すように、システム内のカチオンの総濃度が電気的中性条件を満たさなければならないことによって説明される。
ここで、[PAz+]Pbは、プロタミンの濃度であり、zは、膜相境界の電荷を表す。この濃度は、式(4)に基づいて算出される疑似定常特性フラックスを考慮して、プロタミンのバルク濃度の関数として表すことができる。
ここで、Dm、Daq、δm及びδaqは、それぞれ、膜相及び水溶液におけるプロタミンの拡散係数、並びに拡散膜厚を表している。ここで、式(3)及び式(1)に式(4)を代入することによって、低濃度でのプロタミン応答を得ることができる。これにより得られる式(5)を以下に示す。
上述の式からわかるように、aNaが固定であれば、膜の界面電位はプロタミンに対して直接的な反応を示す。したがって、高プロタミン濃度では、ナトリウムイオンが膜から量的に置換され、プロタミンについて、ネルンスト応答勾配に近似する応答が予想される。また、このような量的な置換は、希薄なプロタミン溶液でも起こるが、長期(例えば、24時間)に亘る曝露が必要となる。これにより得られる応答勾配は、小さすぎて、解析に用いるには不向きである。
このような自発的なイオン抽出センサは、上述したような諸問題を有しており、例えば、長期に亘って使用すると、信号ドリフトが生じ、殆どのセンサは使用回数が一回に制限される。すなわち、本発明以前には、連続的な使用のためにセンサを再調整できる、簡単で、信頼できる技術が存在しなかった。
イオン抽出処理において、自発的なイオン交換に依存する上述した受動電位差測定センサとは異なり、本発明は、定電流パルスを適用することによって電気化学的にイオン抽出を誘導する。自発的な抽出を防止するために、膜は一般的に式R+R−により定義される高親油性電解質を含み、生来的にイオン交換特性を有さない。なお、ここでは、膜バルクにおけるプロタミン又はナトリウムカチオンの初期濃度をゼロと仮定している。ここで、カソード電流iが流されると、膜相の向きにカチオンの正味フラックスJが誘導される。なお、ここでは、式を簡略化するために、膜相には、ナトリウムイオン及びプロタミンイオンのみしか抽出されないと仮定する。したがって、電流iと、ナトリウムのフラックスJNa及びプロタミンのフラックスJPAとの間の関係は、式(6)によって表される。
ここで、Aは、露出している膜領域である。条件を単純化するため、線形の濃度傾斜を仮定し、及び膜バルクのナトリウム濃度をゼロとすると、式(7)に示すように、ナトリウムフラックスは、有機相境界に亘る濃度傾斜に関係づけることができる。
プロタミンが存在していない場合、式(6)及び式(7)を式(1)に代入し、以下のような式(8)が得られる。
期間及び振幅が固定されたカソード電流パルス及びこれに続くナトリウムイオンの膜バルク空隙を維持するための定電位の剥離パルスによって、near−Nemstian電極勾配(near-Nemstian electrode slope)が得られる。試料溶液内にプロタミンが含まれている場合、プロタミンは、事実上、抽出過程でナトリウムイオンと競合する。式(6)は、式(7)と同様に、以下に示す式(9)のように書き換えることができる。
ここで、流される電流がポリカチオンイオン拡散のみにより生じるフラックスより常に大きいフラックスを生じさせると仮定すると、式(4)は有効であり、式(9)に代入できる。この結果、ナトリウムフラックスJNaは減少し、式(1)に基づき、電位が上昇する。式(4)を式(9)に代入し、[Na+]Pbについて解を求め、これを更に式(1)に代入することによって、式(10)に示すように、低ポリイオン濃度において予測されるプロタミン応答が得られる。
従来の電位差測定センサでは、式(10)に示すプロタミン応答と、式(5)に示すプロタミン応答との間に差異がある。ここで、膜相における拡散膜厚は定電流的に指示され、パルス間の定電位的な膜の更新によって、パルスとパルスの間では反復的にδm値が保証される。なお、本発明の実施の形態では、電位の範囲が最大になるように選択された電流を用いることが多いが、本発明はこれに限定されるものではない。したがって、適用される電流パルスの振幅を用いて、ポリイオン応答の測定範囲を調整することができる。イオン交換体でなく、適用される電流がパルスによって電気化学的に制御された膜へのナトリウムイオンの抽出を指示するため、膜相の拡散係数はプロタミン応答範囲に影響を及ぼさない。これは、式(5)によって表現され、プロタミンによるナトリウムの競合的な抽出と、膜拡散係数との間に直接的な依存性が存在することが知られている従来の電位差測定センサとは対照的である。
以上の背景的な理論により、本発明の利点が容易に理解される。具体的には、本発明は、電気化学セルにおいて使用できるポリイオン選択膜を提供する。更に、ポリイオン選択膜は、電気化学セル電極に組み込まれた部分であってもよい。ポリイオン選択膜及び膜電極を用いて、試料溶液内のポリイオンの濃度を可逆的に測定することができる。
本発明のポリイオン選択膜は、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を含有する親油性電解質を有し、親油性アニオン成分及び親油性カチオン成分の少なくとも一方は、特定のポリイオンに対する選択性を有する。なお、親油性という用語は、一般的に、脂肪に対する親和性を有し、及び脂溶性が高い分子種を意味する。親油性は、水相と非混和性有機相との間の特定の分子種の分配平衡を表す物理化学的特性である。更に、親油性は、水相も存在している場合に、分子種が脂質相に溶解する能力としても説明できる。この関係(すなわち、分配係数)は、二相における分子種の濃度の平衡定数として定義することができる。比較のための一般的な基準は、1−オクタノール/水分配係数である。分配係数は、以下の式(11)に基づいて算出できる。
式(11)に基づき、高親油性を示す分子は、水相より脂質相での可溶性が優先することが予想される。
親油性を判定するための1つの機能的な検査では、50%の水及び50%の脂質(例えば、1−オクタノール)の混合物を収容した容器に、検査する化合物を入れる。対象となる化合物を容器に入れた後、化合物が両方の相に分散するように攪拌する。そして、化合物が相間で濃度均衡になるように容器を静置する。そして、各相の化合物の濃度を測定し、この濃度を式(11)にあてはめ、親油性を判定することができる。
また、分子種の親油性を判定するために、コンピュータソフトウェアを用いてもよい。親油性を判定するためのコンピュータプログラムの1つの具体例は、ウェブサイト「http://146.107.217.178/lab/alogps」からオンラインで入手可能なALOGPSプログラム(ALOGPS program)がある。また、親油性に関連する原理については、「Bakker, E. and Pretsch, E., "Lipophilicity of tetraphenylborate derivatives as anionic sites in neutral carrier-based solvent polymeric membranes and the lifetime of corresponding ion-selective electrochemical and optical sensors" Analytica Chimica Acta, 1995, 309, 7-17」にも述べられており、この文献全体は、引用により本願に援用される。
一般的には、算出されたP値が100,000を超える化合物は、親油性が高いと考えられ、したがって、本発明に好適に用いることができる。なお、更に高いP値を有する化合物を用いることによって、センサの寿命が長くなることが予想される。したがって、本発明に用いる親油性化合物は、好ましくは、P値が100,000以上の化合物であり、より好ましくは、P値が1,000,000以上の化合物であり、最も好ましくは、P値が10,000,000以上の化合物である。
従来から知られているポリイオン選択膜は、親油性電解質及び親水性対イオン(すなわち、R−Na+)を含む。本発明では、親水性対イオンを親油性対イオンによって置換する。したがって、本発明のポリイオン選択膜は、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分(すなわち、R−R+)を含む親油性電解質を有する。2つの親油性電解質を用いることにより、親油性対イオンは、試料内の測定されるポリイオン分子と自発的に交換されなくなる。好ましくは、親油性アニオン成分及び親油性カチオン成分の1つは、特定のポリイオンに対する選択性を有し、そのポリイオンの検出に貢献する。検出することが望まれる特定のポリイオンの非制限的な具体例としては、プロタミン、ヘパリン、フミン酸、カラーギナン、デキシオリボ核酸、リボ核酸及び他のポリイオン高分子が含まれる。
本発明の一実施の形態においては、親油性電解質の親油性アニオン成分は、プロタミンに対する選択性を有する。親油性アニオン成分のプロタミン選択性は、アニオンの官能基に依存する。プロタミンは、塩基性グアニジウム基(すなわち、アルギニン残基)を有する。したがって、プロタミンに対する選択性を有するために、親油性アニオンは、プロタミンのグアニジウム基とイオン対を形成できる官能基とを含まなければならない。好ましい実施の形態では、カルボキシル基(COOH)、スルホン基(SO3H)又は硫黄基(OSO3H)を有する親油性アニオンをプロタミン選択性のために用いる。特に好ましい実施の形態においては、親油性電解質の親油性アニオン成分は、1,3−ジノニルナフタレン−4−スルホナート、2,6−ジノニルナフタレン−4−スルホナート、ドデシルベンゼンスルホナート及び3,9−ジエチル−6−トリデシルスルフェートからなるグループから選択される。これらの化合物の化学式を以下に示す。
上述したように、既知の膜電解質材料の親水性対イオンを第2の親油性電解質によって置換した場合、試料からポリイオン選択膜へのイオンの自発的な抽出が防止される。試料溶液に最も豊富に存在する対イオンは、ナトリウムであるので、一般的には、親水性対イオンはナトリウムである。ナトリウムイオンは、化学的合成によって、親油性対イオン置換される。ポリイオン選択性アニオンがプロタミンに対する選択性を有する場合、約4〜16の長さのアルキル側鎖を有する何らかの親油性第4アンモニウムカチオンが適切な対イオンとなることが予想される。
好ましい実施の形態では、プロタミン選択性親油性アニオンと対にされる親水性対イオンは、テトラドデシルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム及びドデシルトリメチルアンモニウムからなるグループから選択されるカチオンである。これらのカチオンの化学式を以下に示す。
上述した親油性イオンの説明に基づき、プロタミンに対する選択性を有する親油性アニオンと親油性対イオンとの組合せを選択し、試料溶液での自発的なイオン交換を抑制することができる。したがって、本発明で使用されるプロタミン選択性を有する親油性電解質は、上述したプロタミン選択性アニオン及びカウンタカチオンの任意の如何なる組合せから選択してもよい。好ましい実施の形態では、溶液からプロタミンを選択的に抽出するために用いられる親油性電解質は、テトラドデシルアンモニウム1,3ジノニルナフタレン−4−スルホナート(TDDA−DNNS)である。
本発明の他の実施の形態においては、親油性電解質は、ヘパリンに対する選択性を有する親油性カチオン成分を含む。カチオン成分のヘパリン選択性は、化合物の官能基に依存する。ヘパリンは、スルホン基及びカルボキシル基を含む。したがって、ヘパリンに対する選択性を有するためには、適切なカチオンはヘパリンのスルホン基及びカルボキシル基とイオン対を形成できる1又は以上の官能基を含んでいる必要がある。ヘパリン選択性を提供するために特に有用な官能基は、グアニジウム基である。更に、試料から有機検出相(本発明に基づく膜等)に抽出されるヘパリンは、長い脂肪族側鎖又は隣接するカチオンの芳香環を介して、積層によって安定化される。したがって、約4〜18炭素原子の長さ及び/又は適切な芳香族官能性を有する脂肪族鎖に1つ以上のグアニジウム基を付加することによって、高親油性を有するカチオンを準備できる。好ましい実施の形態では、親油性電解質の親油性カチオン成分は、ドデシルグアニジウム及びN,N’−1,10−デカンジイルビス(グアニジウム)からなるグループから選択される。これらのカチオンの化学式を以下に示す。
ここでも、親水性対イオンが第2の親油性電解質によって置換された場合、試料からのイオンの自発的な抽出が防止される。通常、試験溶液内に最も豊富なアニオンである塩化物が、化学的合成を介して親油性アニオンによって置換される。実施の形態における対イオンとして有用なアニオンの1つのグループは、テトラフェニルホウ酸誘導体、例えば、以下に示す3つのホウ酸塩である。
他の適切なアニオンのグループは、親油性(過ハロゲン化又はアルキル化)ドデカカルボランである。ドデカカルボランは、完全に置換されていない形式では、化学式CB11H12を−有するイコサヘドラルカルボランアニオンに基づいている。ハロゲン化ドデカカルボラン、例えば、1−H−CB11Cl11、1−H−CB11Br11及び1−H−CB11I11は、本発明に特に有用であり、これらの化合物については、論文「S. et al., "Ion-pairing Ability, Chemical Stability, and Selectivity Behavior of Halogenated Dodecacarborane Cation Exchangers in Neutral Carrier-Based Ion-Selective Electrodes," Analytical Chemistry, (2003) 75(9), 2131-2139」に詳細に開示されており、この文献全体は、引用により本願に援用される。また、上述のように、ハロゲン基が様々なアルキル基と置換されたアルキル化ドデカカルボランも本発明に有用である。好ましい実施の形態では、ヘパリン選択性親油性カチオンと対にされる親水性対イオンは、テトラキス(p−クロロフェニル)ホウ酸アニオンである。
親油性イオンの上述した説明に基づき、試料溶液との自発的なイオン交換を抑制するために、ヘパリンに対する選択性を有する親油性カチオンと、親油性カウンタアニオンの組合せを選択することができる。したがって、本発明で使用されるヘパリン選択性を有する親油性電解質は、上述したヘパリン選択性カチオン及びカウンタアニオンの任意の如何なる組合せから選択してもよい。好ましい実施の形態では、溶液からヘパリンを選択的に抽出するために用いられる親油性電解質は、ドデシルグアニジウムテトラキス(p−クロロフェニル)ホウ酸(DDG−TCIPB)である。
上述した原理に基づき、プロタミン又はヘパリン以外の特定のポリイオンに対する選択性を有する親油性カチオン成分又は親油性アニオン成分を有する親油性電解質を判定することができる。したがって、本発明は、このような親油性電解質を含む膜の全てを包含する。
本発明に基づく膜に存在する親油性電解質の量は、膜の物理的性質に応じて変更でき、これにより、膜内の塩の可溶性を制限することができる。親油性電解質は、膜の総重量に対して、約1〜15重量パーセント含まれることが望ましい。より好ましくは、親油性電解質は、膜の総重量に対して、約5〜12重量パーセント含まれることが望ましい。好ましい一実施の形態においては、親油性電解質は、膜の総重量に対して、約10重量パーセント含まれる。
本発明に基づく膜は、親油性電解質に加えて1つ以上の可塑剤を含んでいてもよい。可塑剤は、混合物の均質性に貢献し、更に、試料溶液から膜の表面及び膜のバルクへのポリイオンのフラックスの制御に貢献する。本発明に基づく膜では、様々な可塑剤を用いることができ、これらの可塑剤の具体例としては、以下に限定されるわけではないが、2−ニトロフェニルオクチルエーテル、フタル酸ジオクチル、セバシン酸ジオクチル、アジピン酸ジオクチル、セバシン酸ジブチル、フタル酸ジブチル、1−デカノール、5−フェニル−1−ペンタノール、テトラウンデシルベンズヒドロール3,3’,4,4’−テトラカルボキシレート、ベンジルエーテル、ホスホン酸ジオクチルフェニル、トリス(2エチルヘキシル)リン酸、2−ニトロフェニルオクチルエーテルからなるグループから選択される可塑剤を用いてもよい。本発明の好ましい実施の形態に基づく膜では、可塑剤として、2−ニトロフェニルオクチルエーテル(NPOE)を用いる。
更に、本発明に基づく膜は、親油性電解質及び可塑剤に加えて、膜の材料を形成するバルクとして機能する基質材料を含むことが好ましい。当分野では、透過膜を形成するために使用される複数の基質が知られているが、本発明は、このような全ての基質を包含する。
一実施の形態においては、基質材料は、ポリマフィルム成形材料である。この実施の形態に基づくポリマフィルム成形材料は、親油性電解質及び可塑剤と化学的適合性を有する如何なるポリマ材料であってもよい。更に、ポリマ材料は、例えば、溶媒キャスティング法等によってフィルム状に成形できる材料である必要がある。本発明に好適に用いることができるポリマ材料の非制限的な具体例としては、ポリ塩化ビニルポリウレタン、三酢酸セルロース、ポリビニルアルコール、シリコンゴム、並びにこれらのコポリマ及びターポリマがある。好ましい一実施の形態では、ポリマフィルム成形材料は、ポリ塩化ビニルである。
本発明の一実施の形態においては、ポリイオン選択膜は、約1〜15重量パーセントの親油性電解質を含む。この実施の形態に基づく膜は、更に、約28〜49.5重量パーセントのポリマフィルム成形材料と、約42.5〜66重量パーセントの可塑剤とを含む(全ての重量は膜の総重量に基づく)。ポリマフィルム成形材料と可塑剤との重量比は、約1:1〜1:2が好ましい。
好ましい実施の形態では、ポリイオン選択膜は、約10重量パーセントのテトラドデシルアンモニウム1,3−ジノニルナフタレン−4−スルホナートと、約30重量パーセントのポリ塩化ビニルと、約60重量パーセントの2−ニトロフェニルオクチルエーテルとを含む(全ての重量は、膜の総重量に基づく)。
例えば、薄膜へのキャスティングに適するテトラヒドロフラン(THF)等の有機溶媒による溶媒キャスティングによって、上述した実施の形態のポリイオン選択膜を準備できる。ポリマフィルム成形材料、可塑剤及び親油性電解質は、溶媒内の均一溶液として準備することが好ましい。そして、溶液を薄膜に成形する。このようにして薄膜として準備された後、薄膜は、後にポリイオンセンサに使用するために、任意の特定のサイズに切断してもよい。あるいは、薄膜に形成するのではなく、例えば電極等の基板に膜溶液を塗布し、電極上で乾燥させ、電極上に膜を直接形成してもよい。
本発明の一実施の形態では、親油性アニオン成分及び親油性カチオン成分の少なくとも1つを、ポリマフィルム成形材料のバックボーン構造に共有結合させてもよい。例えば、共重合、ビニル結合、又は他の適切な化学反応の形式によって、アニオン成分をポリマ鎖に付加してもよい。更に、ポリマ構造に結合できる親油性カチオン成分又は親油性アニオン成分は、ポリイオン選択性成分又は対イオン成分であってもよい。
他の実施の形態においては、基質材料は微孔性疎水性基質である。この実施の形態では、可塑剤及び親油性電解質は、混合物として混合され、次に微孔性疎水性基質に分散され、可塑剤及び親油性電解質の混合物は、基質の微孔に吸収されて硬化する。そして、可塑剤及び親油性電解質が分散された微孔性疎水性基質は、ポリイオンセンサにおいて使用するために処理される。本発明の一実施の形態では、微孔性疎水性基質は、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、フッ化ポリビニルデン、ポリカーボネート、ポリテトラフルオロエチレン、アクリル系コポリマ、ポリエーテルスルホン、並びにこれらのコポリマ及びターポリマからなるグループから選択してもよい。好ましい一実施の形態では、微孔性疎水性基質はポリエチレンである。微孔性疎水性基質として特に好ましい材料は、米国ノースカロライナ州シャーロットのセルガード社(Celgard, Inc.)から入手可能なセルガード(Celgard:商標)膜である。セルガード(商標)膜は、平膜及び中空糸膜として使用可能なポリエチレンベースの膜である。
本発明の好ましい一実施の形態では、ポリイオン選択膜は、混合物を含んだ微孔性疎水性基質を備え、この混合物は、混合物の総重量に基づき、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を含む約1〜15重量パーセントの親油性電解質と、約85〜99重量パーセントの可塑剤とからなる。
本発明は、更に、電気化学セルにおいて有用なポリイオン選択膜電極を提供する。本発明の一実施の形態においては、ポリイオン選択膜電極は、ハウジングと、ハウジング内に収容された基準液と、ハウジング内で基準液に接触して動作するように配設された電極とを備える。更に、この実施の形態では、ポリイオン選択膜は、ハウジングの一端に配置される。膜は、ハウジング内の基準液に接触すると共に、ハウジングの外部の試料溶液に接触して動作するように配置されている。上述のように、膜は、親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を含む親油性電解質を有し、親油性アニオン成分及び親油性カチオン成分のうちの少なくとも1つは、特定のポリイオンに対する選択性を有する。
上述のように、電極がポリイオン選択膜を組み込むことができる限り、本発明の実施の形態では、如何なる基準電極を用いてもよい。本発明の特に好ましい実施の形態では、膜電極は、例えば、フィリップス電極ボディ(IS−561、グラスブルセレイモーラー(Glasblserei Moller)、チューリッヒ、スイス)等の基準電極に組み込まれたポリイオン選択膜を含む。
電極ハウジング内で用いられる基準液は、当分野で有用であると知られている如何なる電解質溶液であってもよい。好ましい一実施の形態では、電解質溶液は、塩化ナトリウム溶液、特に1MのNaCl溶液である。更に、電極自体は、後述するような電位及び電流値を有する電気化学セルで使用できる如何なる種類の電極であってもよい。特に有用な電極は、Ag/AgCl電極である。
好ましい一実施の形態では、膜電極に組み込まれるポリイオン選択膜は、プロタミンに対する選択性を有する。この実施の形態では、ポリイオン選択膜において用いられる親油性電解質は、好ましくはTDDA−DNNSである。
膜電極を用いる場合、ポリイオン選択膜は、約10mm2〜100mm2の表面積を有することが好ましい。より好ましい表面積は、約20mm2〜50mm2である。このような表面積を実現するために、上述のように、薄膜を準備し、電極との結合のために、例えばコルクボーラによって薄膜を所望の寸法に切断してもよい。更に、ポリイオン選択膜は、平均膜厚が、好ましくは約10μm〜1000μmであり、より好ましくは約20μm〜300μmである。
本発明は、更に、電気化学セル装置を提供する。一実施の形態においては、電気化学セル装置は、上述したようなポリイオン選択膜電極と、ポリイオン選択膜電極に電気的に接続された基準電極と、ポリイオン選択膜電極及び基準電極に動作的に接続された電気化学器具とを備える。
図1は、本発明に基づく電気化学セル装置の一実施の形態として、試料内のポリイオン分子種の測定に有用な電気化学セル装置5を示している。図1は、ポリイオン選択膜電極10と、基準電極30と、試料溶液65を収容する検査試料容器60内に動作的に配設された対電極50とを示している。ポリイオン選択膜電極10は、電極ハウジング15と、基準液17と、基準電極線21とを備える。電極ハウジング15の一端には、本発明に基づくポリイオン選択膜25が配設されている。図1に示すように、基準電極30は、ダブルジャンクション電極であるが、本発明から逸脱することなく、他の種類の基準電極を用いることもできる。基準電極30は、外側ハウジング33と、内側ハウジング36と、外側ハウジング基準液39と、内側ハウジング基準液41と、基準電極線43とを備える。
図1に示すように、ポリイオン選択膜電極10、基準電極30及び対電極50は、それぞれ電気化学器具75に動作的に接続されており、電気化学器具75は、更に、制御装置90に通信可能に接続されている。電気化学器具75は、好ましくはガルバノスタット−ポテンシオスタット(galvanostat-potentiostat)である。すなわち、電気化学器具は、電気化学セルを流れる電流をプリセット値で制御でき、及び作用電極(例えば、ポリイオン選択膜電極10)と基準電極30との間の電位差をプリセット値で制御できる。後者の機能を実行する際、電気化学器具75は、所望の電位を保つために、作用電極(例えば、ポリイオン選択膜電極10)と、対電極50との間に必要な電流を流す。特に好ましい一実施の形態における電気化学器具75は、例えば、米国ペンシルベニア州グローブシティのパインインストルメンツ社(Pine Instruments)から入手可能なAFCBP1バイポテンシオスタット等のバイポテンシオスタットである。
制御装置90は、図1に示すように、好ましくは、電流、電位又は所望の電気化学的活動を制御することによって電気化学器具75の機能を自動的に制御するように設計されたアルゴリズムを実行するコンピュータである。また、制御装置90は、電気化学器具75からデータを収集し、ユーザにデータを視覚的に表示し、及び/又はデータを保存する。図1に示す電気化学器具75及び制御装置90の両方は、電源(図示せず)に接続されている。
本発明は、更に、試料溶液内のポリイオン分子種の濃度を測定する濃度測定方法を提供する。この濃度測定方法は、以下のステップを有する。(a)ポリイオン分子種及びバックグラウンド電解質を含む試料溶液を準備する。(b)親油性カチオン成分及び親油性アニオン成分を含有する親油性電解質を含む膜を有するポリイオン選択膜電極に試料溶液を接触させる。親油性アニオン及び親油性カチオン成分のうちの少なくとも1つは、ポリイオン分子種に対する選択性を有する。(c)基準電極に試料溶液を接触させる。ポリイオン選択膜電極及び基準電極は、電気的に接続されている。(d)ポリイオン選択膜電極及び試料溶液を含む回路に固定された期間の外部電流パルスを流し、ポリイオン分子種を、試料溶液から膜に移動させる。(e)ポリイオン選択膜電極と基準電極との間で、電流パルス間の電位差測定応答を測定する。(f)電位差測定応答の関数としてポリイオン分子種の濃度を算出する。
固定された期間の外部電流パルスは、好ましくは、約0.1秒〜2秒の期間流される。適用された電流パルスの全期間について電位差測定応答を測定する必要はない。すなわち、適用された外部電流パルスの期間の一部についてのみ電位差測定応答を測定することが好ましい。特に好ましい実施の形態では、外部電流パルスの固定された期間の最後の約100ミリ秒間について電位差測定応答を測定する。
上述した測定法によって測定される電位の値は、試料内に存在するポリイオンの種類に依存する。カチオン、例えばプロタミンが存在している場合、カソード電流(負電流)をセルに流す。電流が流されると、測定電位はより負になる。アニオン、例えばヘパリンが存在している場合、アノード電流(正電流)をセルに流す。電流が流されると、測定電位はより正になる。
外部電流が流される回路は、包括的にポリイオン選択膜電極及び試料溶液を備えるが、この回路は、電気化学セルの更なる1つ以上の部品を備えていてもよい。例えば、本発明に基づく一実施の形態では、回路は、更に、対電極を備える。この実施の形態は、従来より「三電極」電気化学セルと呼ばれている電気化学システムを包含する。更に、他の実施の形態では、回路は、更に、基準電極を備える。この実施の形態は、従来「二電極」電気化学セルと呼ばれている電気化学システムを包含する。通常、外部電流が電極に流されたときに生じる基準電極の劣化を回避するために、三電極システムが好ましい。
上述した測定法で測定される電位の絶対値は、膜内の拡散層の膜厚が徐々に増加するため、時間の経過と共に減少すると予想される。上述したように、プロタミン等のポリカチオンの存在を検査する場合、カソード電流が流され、負電位が観測される。プロタミン(又は他のポリカチオン)が試料内に存在している場合、測定される電位は、ポリカチオンが存在していない場合に比べてより正になる。逆に、ポリアニオンの存在を検査する場合、アノード電流が流され、正電位が観測される。ヘパリン(又は他のポリアニオン)が試料内に存在している場合、測定される電位は、ポリアニオンが存在していない場合に比べて、大きく負の方向に変化する。何れの場合も、正の方向又は負の方向に電位が変化することは、試料溶液から膜へのポリイオン抽出を示唆している。十分な時間が経過すると、ポリイオンが膜に蓄積され、測定ができなくなる。
本発明の好ましい実施の形態では、膜を回復させることができる。この実施の形態では、上述した濃度測定方法は、ポリイオン選択膜電極及び基準電極に外部の電極電位を印加し、ポリイオン分子種を膜から移動させるステップを更に有する。ポリイオンが膜から効果的に剥離されると、試料溶液のポリイオンの測定のために再びポリイオン選択膜電極を使用することができる。外部電流パルスと、これに続く外部電位パルスを含むパルスシーケンスを繰り返して適用することによってポリイオン分子種の連続的な、可逆の検出が可能になる。
膜からポリイオンを剥離するためにかけられる外部電極電位は、ベースライン電位であることが好ましい。ベースライン電位の値は、電気化学セルの対称性に応じて異なる。例えば、一実施の形態では、膜電極及び基準電極は同じ電極を用い、構成が試料溶液に類似する内部基準液を含む。このような好ましい実施の形態では、ベースライン電位は0Vである。また、更なる実施の形態として、ある程度対称性が低い2つの電極を用いてもよい。これらの更なる実施の形態では、0Vではないベースライン電位が使用されると予想される。最適なベースライン電位は、電気化学器具(図1を参照)を外し、高インピーダンス電圧計に取り替え、膜電極と基準電極との間のゼロ電流電位を測定することによって判定できる。
ポリイオンを膜から効果的に剥離するために、好ましくは外部電流パルスの固定された期間の10倍から20倍の期間、外部電位を印加するとよい。
本発明の更なる実施の形態については、後述する実験例に基づいてより詳細に開示する。
本発明の他の側面として、本発明により、試料溶液内のプロタミン等のポリイオンを、トリプシン等の酵素活性との直接的な関係に基づいて検出できる。ポリイオンセンサは、通常、ポリイオンの短い断片を感知できないため、酵素がポリイオンをより短い断片に分解することができれば、酵素活性を検出できる。本発明が開示する電気化学検出法は、従来の分光光度計法に比べて、非透過の、着色された又は濁った試料における酵素活性の監視についてより優れている。
この本発明の側面の一実施の形態では、プロタミンを有するトリプシンを用いる。トリプシンは、塩基性アミノ酸リシン及びアルギニンのカルボキシル基側でタンパク質を分解する酵素である。プロタミンは、アルギニン残基に豊富であるため、トリプシンは、これらの結合において、プロタミンを分解する。本発明が開示する電気化学装置及びプロタミンセンサを用いた監視によって、プロタミンの初期の分解速度はトリプシン活性に正比例することが見出された。時間関数としてのセンサ信号の電位の変化率は、トリプシンによるプロタミンの分解を表す。この関係は、様々なポリイオン及び対応する酵素に広く適用することができる。
本発明の他の実施の形態では、膜に電位をかけ、膜をクリアにし、酵素活性の監視、ポリイオン濃度酵素阻害剤活性の監視に再び使用できるようにする。なお、本発明を用いて、他の生物学的及び化学的活動を監視してもよい。
更に、本発明に基づき、試料溶液内の酵素阻害剤活性を監視することができる。酵素阻害剤は、酵素に結合し、酵素の反応速度を低下させる。酵素及び酵素阻害剤の混合物の付加による初期の電位の低下は、試料溶液に含まれている酵素阻害剤の濃度に依存する。
本発明のこの側面の一実施の形態は、酵素トリプシンと、α1−抗プロテイナーゼ阻害剤、α2−マクログロブリン、アプロチニン、及び大豆阻害剤(soybean inhibitor)のうちの1つの対応する酵素阻害剤とに適用される。
更に他の本発明の側面では、電位測定ポリイオン感応電極を非分離免疫検定(non-separation immunoassay)に応用することができる。この免疫検定法では、標識となるポリイオン又は関連する酵素をマーカとして使用し、このマーカは、遊離検体と抗体を含むマークが付された検体との競合結合とを介して検体を検出するラベルとして機能する。
実施例
本発明は、以下の実施例によってより明瞭に説明されるが、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。以下の記述において、特別な記載がない限り、全ての百分率は、ポリイオン選択膜の総重量に基づく重量パーセントを意味する。
本発明は、以下の実施例によってより明瞭に説明されるが、これらの実施例は、本発明を限定するものではない。以下の記述において、特別な記載がない限り、全ての百分率は、ポリイオン選択膜の総重量に基づく重量パーセントを意味する。
実施例1
プロタミン選択的膜の準備
電気化学セルで用いられる本発明に基づくポリイオン選択膜が組み込まれたセンサの能力を検査した。特に、ポリカチオンプロタミンに対する選択性を有するポリカチオン選択膜を形成した。2−ニトロフェニルオクチルエーテル及びポリ塩化ビニルの重量比が2:1の混合物において、10重量パーセントのTDDA−DNNSによって膜を調合した。THFを溶媒として、溶媒キャスティングによって膜を準備した。混合物を乾燥させてフィルムを形成し、約200μmの膜厚のプロタミン選択膜を形成した。膜を電極に組み込むために、コルクボーラによって、直径6mmに膜を切断した。
プロタミン選択的膜の準備
電気化学セルで用いられる本発明に基づくポリイオン選択膜が組み込まれたセンサの能力を検査した。特に、ポリカチオンプロタミンに対する選択性を有するポリカチオン選択膜を形成した。2−ニトロフェニルオクチルエーテル及びポリ塩化ビニルの重量比が2:1の混合物において、10重量パーセントのTDDA−DNNSによって膜を調合した。THFを溶媒として、溶媒キャスティングによって膜を準備した。混合物を乾燥させてフィルムを形成し、約200μmの膜厚のプロタミン選択膜を形成した。膜を電極に組み込むために、コルクボーラによって、直径6mmに膜を切断した。
実施例2
プロタミン選択膜電極の準備
実施例1で準備したプロタミン選択膜を電極に組み込んだ電極は、フィリップス電極ボディ(IS−561)と、0.1MのNaCl内部基準液と、Ag/AgClの電極線とから構成した。プロタミン選択膜電極を実験で使用する前に、内部基準液と同じ溶液内で一晩調整した。
プロタミン選択膜電極の準備
実施例1で準備したプロタミン選択膜を電極に組み込んだ電極は、フィリップス電極ボディ(IS−561)と、0.1MのNaCl内部基準液と、Ag/AgClの電極線とから構成した。プロタミン選択膜電極を実験で使用する前に、内部基準液と同じ溶液内で一晩調整した。
上述のようにして、10個の同じ電極を準備し、実際の実験における使用の前に、0.1MのNaCl溶液内で、偏差の有無を検査した。この検査により、0〜−10μAの範囲の電流で、±7mVの電極間変動性(標準偏差)が確認された。
また、可逆性を評価するために膜電極を検査した。0.1MのNaClを含む溶液と、0.1MのNaCl及び10mg/Lプロタミンを含む溶液との2つの個別の溶液に膜を繰り返し曝した。また、従来のイオン選択電極を用いて、同じ検査を行った。検査の結果を図2に示す。図2では、本発明のプロタミン選択電極膜の反応を曲線Aで示し、従来の電極の反応を曲線Bに示している。両方の曲線に示すように、プロタミンが存在している場合、より高い電位が観測された。曲線Aでは、±1mVの変動で電位測定を再現することができた。一方、曲線Bでは、最小5サイクルで、50mVを超える変動が確認された。
実施例3
プロタミンを含む試料及びプロタミンを含まない試料のクロノポテンシオメトリ応答
プロタミンを含む0.1MのNaCl溶液及びプロタミンを含まない0.1MのNaCl溶液内にクロノポテンシオグラム(chronopotentiogram)を準備した。実施例2に開示されているプロタミン選択膜電極を用いて、図1に示すような電気化学セルを構成した。基準電極としては、1MのLiOAcブリッジ電解質を含むダブルジャンクションAg/AgCl電極を用いた。対電極としては、プラチナ線を用いた。
プロタミンを含む試料及びプロタミンを含まない試料のクロノポテンシオメトリ応答
プロタミンを含む0.1MのNaCl溶液及びプロタミンを含まない0.1MのNaCl溶液内にクロノポテンシオグラム(chronopotentiogram)を準備した。実施例2に開示されているプロタミン選択膜電極を用いて、図1に示すような電気化学セルを構成した。基準電極としては、1MのLiOAcブリッジ電解質を含むダブルジャンクションAg/AgCl電極を用いた。対電極としては、プラチナ線を用いた。
テキサス州オースチンのナショナルインストルメント社(National Instrument)のPCI−MIO−16E4インタフェースボード及びマッキントッシュ社(Macintosh)のコンピュータで動作するLabVIEW5.0ソフトウェアにより制御された米国ペンシルベニア州グローブシティのパインインストルメンツ社(Pine Instruments)のAFCBP1バイポテンシオスタットを用いて、ボルタメトリック実験を実行した。実験前に、バイポテンシオスタット第1の電極出力(K1)の動作を、第2の作用電極の出力(K2)の定電位制御による電流制御に切換えた。電流パルスを流すために、外部のソフトウェアで制御されるアナログスイッチを介して作用電極をK1出力に接続した。電流パルス間のベースライン電位が印加されている場合、作用電極は、K2出力に接続された。
クロノポテンシオメトリ実験では、−3μA(1秒間)の各定電流パルスに続いて、0V(10秒間)の定電位パルスを印加した。各電流パルスの最後の100msの間、センサ応答を表すサンプリングされた電位を平均値として測定した。全ての実験は、実験室の室温(21.5±0.5℃)で行った。信頼区間は、95%のレベルで算出された。
実験は、2つの試料について行った。第1の試料は、0.1MのNaClのみを含み、第2の試料は、0.1MのNaCl及び10mg/Lの濃度のプロタミン(PA)を含む。−3μAのカソード電流を流すことによりプロタミンが膜に抽出され、観測電位は、プロタミンありの試料とプロタミンなしの試料とでは著しく異なった。このクロノポテンシオメトリ実験の電流−時間曲線及び電位−時間曲線を図3に示す。
実施例4
レベルが高められたプロタミンを含む試料及びプロタミンを含まない試料のクロノポテンシオメトリ応答
実施例2と同じ実験条件に基づき、プロタミンを含む0.1MのNaCl溶液及びプロタミンを含まない0.1MのNaCl溶液内にクロノポテンシオグラム(chronopotentiogram)を準備した。クロノポテンシオメトリ実験では、−2μA(1秒間)の各定電流パルスに続いて、0V(15秒間)の定電位パルスを印加した。各電流パルスの最後の100msの間、センサ応答を表すサンプリングされた電位を平均値として測定した。全ての実験は、実験室の室温(21.5±0.5℃)で行った。信頼区間は、95%のレベルで算出された。
レベルが高められたプロタミンを含む試料及びプロタミンを含まない試料のクロノポテンシオメトリ応答
実施例2と同じ実験条件に基づき、プロタミンを含む0.1MのNaCl溶液及びプロタミンを含まない0.1MのNaCl溶液内にクロノポテンシオグラム(chronopotentiogram)を準備した。クロノポテンシオメトリ実験では、−2μA(1秒間)の各定電流パルスに続いて、0V(15秒間)の定電位パルスを印加した。各電流パルスの最後の100msの間、センサ応答を表すサンプリングされた電位を平均値として測定した。全ての実験は、実験室の室温(21.5±0.5℃)で行った。信頼区間は、95%のレベルで算出された。
この実験も、2つの試料について行った。第1の試料は、0.1MのNaClのみを含み、第2の試料は、0.1MのNaCl及び50mg/Lの濃度のプロタミンを含む。−3μAのカソード電流を流すことによりプロタミンが膜に抽出され、観測電位は、プロタミンありの試料とプロタミンなしの試料とでは著しく異なった。このクロノポテンシオメトリ実験の電流−時間曲線及び電位−時間曲線を図4に示す。
定電位の静止パルス(resting pulse)の間、膜からのイオンの逆拡散を観測できる。この拡散は、プロタミンが試料内に存在している場合、より遅く、ナトリウムイオンとプロタミンイオンとの間の拡散挙動の相違を示す。15秒間の静止パルスの全体で電流を積分すると、算出された電荷は、電流パルス間に適用された電荷の90%に対応した。
実施例5
本発明のプロタミン選択膜電極と、従来のポリイオン選択膜電極とを比較するプロタミンの較正曲線
図3及び図4に示すパルスシーケンスを繰り返して適用し、各電流パルスの最後に読み出された電位を抽出することによって、連続的な、可逆の検出が可能になる。これにより、プロタミン較正曲線を得ることができる。
本発明のプロタミン選択膜電極と、従来のポリイオン選択膜電極とを比較するプロタミンの較正曲線
図3及び図4に示すパルスシーケンスを繰り返して適用し、各電流パルスの最後に読み出された電位を抽出することによって、連続的な、可逆の検出が可能になる。これにより、プロタミン較正曲線を得ることができる。
実施例3及び実施例4に記載した手法を用いて、0.1MのNaClにおけるプロタミン較正曲線の時間トレースを得た。実施例2に開示したプロタミン選択膜電極と、従来のイオン選択電極とを用いて、それぞれのプロタミン較正曲線を得た。2つの曲線の比較して示す図5では、本発明のプロタミン選択膜電極を用いて得られた曲線を曲線Aとして示し、従来の電極を用いて得られた曲線を曲線Bとして示している。曲線Bで観測される強い電位ドリフトは、膜側の拡散膜厚を十分に制御できていないために生じる。このトレースは、プロタミン濃度(mg/Lの)を対数的に示している。
実施例6
センサ応答に対する攪拌の効果
従来の電位差測定ポリイオンセンサでは、観測電位は水相の拡散層を変化させ、したがって、膜へのポリイオンフラックスを変化させる試料の攪拌速度によって強く影響を受けることが知られている。実際に、近年の研究により、測定範囲と回転電極セットアップにおける回転速度との間に明確な関係性の存在が確認された。定電流パルス実験において、本発明に基づくポリイオン選択膜電極の応答に攪拌がどのように影響するかを調べるために、溶液を攪拌しない場合と、100rpmの攪拌速度で攪拌した場合とについて、電位を測定した。2つの実験の結果の比較を図6に示す。
センサ応答に対する攪拌の効果
従来の電位差測定ポリイオンセンサでは、観測電位は水相の拡散層を変化させ、したがって、膜へのポリイオンフラックスを変化させる試料の攪拌速度によって強く影響を受けることが知られている。実際に、近年の研究により、測定範囲と回転電極セットアップにおける回転速度との間に明確な関係性の存在が確認された。定電流パルス実験において、本発明に基づくポリイオン選択膜電極の応答に攪拌がどのように影響するかを調べるために、溶液を攪拌しない場合と、100rpmの攪拌速度で攪拌した場合とについて、電位を測定した。2つの実験の結果の比較を図6に示す。
試料の攪拌を突然停止することによって、約20mVの電位変化を引き起こしたヘパリン応答膜での電位測定結果と比べて、本発明のパルス定電流センサの応答は、攪拌速度によって大きな影響を受けない。攪拌された試料と、攪拌されていない試料との間の電位差は、2〜3mVを超えていない。
実施例7
センサ応答に対するpHの影響
プロタミンセンサは、生理的pH7.4の全血について動作するように意図されているが、センサ応答に対するpHの影響についても調べた。図7は、−2μAのカソード電流における観測電位を示している。下側の曲線は、0.1MのNaCl、6.6mmolのクエン酸、11mmolのホウ酸及び10mmolのリン酸を含み、1MNaOHでpHを調整したプロタミンを含まない溶液の観測電位を示している。上側の曲線は、同じ溶液において、試料内に25mg/Lのプロタミンを含む場合の観測電位を示している。高いプロタミン濃度のために、2つの電位間の差分は、最大のセンサ応答又は0.1MのNaClにおける電位窓と見なすことができる。
センサ応答に対するpHの影響
プロタミンセンサは、生理的pH7.4の全血について動作するように意図されているが、センサ応答に対するpHの影響についても調べた。図7は、−2μAのカソード電流における観測電位を示している。下側の曲線は、0.1MのNaCl、6.6mmolのクエン酸、11mmolのホウ酸及び10mmolのリン酸を含み、1MNaOHでpHを調整したプロタミンを含まない溶液の観測電位を示している。上側の曲線は、同じ溶液において、試料内に25mg/Lのプロタミンを含む場合の観測電位を示している。高いプロタミン濃度のために、2つの電位間の差分は、最大のセンサ応答又は0.1MのNaClにおける電位窓と見なすことができる。
実施例8
膜選択性
ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの塩化物について個別の較正曲線を記録することによって膜の選択性をpH7.4で判定した。図8は、電位に対する塩の濃度の対数の曲線を示している。実験の結果得られた選択係数は、更なるイオン透過担体なしのDNNSベースのISE膜について以前に報告されている係数と良好に合致する。0.001M−0.1Mの範囲の濃度の全ての勾配は、僅かに超ネムスティアン(super-Nemstian)(70−72mV)であり、選択性係数をある程度バイアスすることが見出された。単純化された理論モデルにおいて未だ検討されていないが、これらの勾配は、ネルンスト−プランクの式に基づいて、膜界面におけるイオン移動の貢献によって説明できる可能性がある。104M付近の突然の電位の変化は、膜表面における枯渇プロセス(depletion process)に起因する。図8には、0.1MのNaClにおけるプロタミン較正曲線も示している。より高い電位の測定値は、検査された他の全てのカチオンに対するこの膜のプロタミンへの強い選択性を示している。
膜選択性
ナトリウム、カリウム、カルシウム及びマグネシウムの塩化物について個別の較正曲線を記録することによって膜の選択性をpH7.4で判定した。図8は、電位に対する塩の濃度の対数の曲線を示している。実験の結果得られた選択係数は、更なるイオン透過担体なしのDNNSベースのISE膜について以前に報告されている係数と良好に合致する。0.001M−0.1Mの範囲の濃度の全ての勾配は、僅かに超ネムスティアン(super-Nemstian)(70−72mV)であり、選択性係数をある程度バイアスすることが見出された。単純化された理論モデルにおいて未だ検討されていないが、これらの勾配は、ネルンスト−プランクの式に基づいて、膜界面におけるイオン移動の貢献によって説明できる可能性がある。104M付近の突然の電位の変化は、膜表面における枯渇プロセス(depletion process)に起因する。図8には、0.1MのNaClにおけるプロタミン較正曲線も示している。より高い電位の測定値は、検査された他の全てのカチオンに対するこの膜のプロタミンへの強い選択性を示している。
実施例9
バックグラウンド電解質濃度の影響
応答原理は、ポリイオンとナトリウムイオンとの間の競合的抽出に基づいているので、バックグラウンド電解質濃度は、プロタミン応答曲線に影響を及ぼすと予想される。例えば、ナトリウムバックグラウンド濃度が低ければ、プロタミン応答の電位域がより広くなると予想され(式10参照)、より低いプロタミン濃度に対する応答へのシフトが起こると予想される(式10参照)。図9Aは、10mM、30mM及び100mMの3つの塩化ナトリウム濃度における実験的なプロタミン較正曲線を示している。プロタミン電位域は、NaCl濃度が高くなると減少する。
バックグラウンド電解質濃度の影響
応答原理は、ポリイオンとナトリウムイオンとの間の競合的抽出に基づいているので、バックグラウンド電解質濃度は、プロタミン応答曲線に影響を及ぼすと予想される。例えば、ナトリウムバックグラウンド濃度が低ければ、プロタミン応答の電位域がより広くなると予想され(式10参照)、より低いプロタミン濃度に対する応答へのシフトが起こると予想される(式10参照)。図9Aは、10mM、30mM及び100mMの3つの塩化ナトリウム濃度における実験的なプロタミン較正曲線を示している。プロタミン電位域は、NaCl濃度が高くなると減少する。
図9Bは、プロタミン応答に対するカリウムの影響が小さいことを示しており、ここでは、10mMのKClを含む0.1MのNaCl及びこれを含まない0.1MのNaClにおける2つのプロタミン較正曲線を示している。低プロタミン濃度で観測される応答の最大偏差は、実際に、5mV超えていない。
実施例10
全血におけるプロタミンの較正曲線
図10は、全血におけるプロタミンの較正曲線及び−2mAのカソード電流における較正曲線の対応する電位−時間トレースを示している。全血においては、電位応答範囲は、約60mVであり、全血試料における実用的なプロタミンの判定について許容可能な大きさである。電位の標準偏差は、NaCl緩衝液で観測される0.7mVと比べて、最大1.5mVにまで高まった。この結果は、この電気化学的なパルスによって制御されたセンサ(pulsed chronopotentiometric sensor)によって、最小0.5mg/Lのプロタミン濃度を判定できることを示している。
全血におけるプロタミンの較正曲線
図10は、全血におけるプロタミンの較正曲線及び−2mAのカソード電流における較正曲線の対応する電位−時間トレースを示している。全血においては、電位応答範囲は、約60mVであり、全血試料における実用的なプロタミンの判定について許容可能な大きさである。電位の標準偏差は、NaCl緩衝液で観測される0.7mVと比べて、最大1.5mVにまで高まった。この結果は、この電気化学的なパルスによって制御されたセンサ(pulsed chronopotentiometric sensor)によって、最小0.5mg/Lのプロタミン濃度を判定できることを示している。
実施例11
全血サンプルの滴定
電位差測定センサによる以前の研究と同様の実験手順を用いて、プロタミン滴定の端点検出を介して血液内のヘパリンを判定することができる。ヘパリン原液の僅かなアリコート(2×10−5M、1.5g/L)を全血試料に付加し、0.25〜2μM(0.6〜4.5kU/L)の範囲でヘパリンの異なる濃度モデルを生成し、1g/Lプロタミンにより滴定を行った。これにより得られた滴定曲線を図11Aに示す。
全血サンプルの滴定
電位差測定センサによる以前の研究と同様の実験手順を用いて、プロタミン滴定の端点検出を介して血液内のヘパリンを判定することができる。ヘパリン原液の僅かなアリコート(2×10−5M、1.5g/L)を全血試料に付加し、0.25〜2μM(0.6〜4.5kU/L)の範囲でヘパリンの異なる濃度モデルを生成し、1g/Lプロタミンにより滴定を行った。これにより得られた滴定曲線を図11Aに示す。
各ポイントは、10個の連続した測定値の平均値として算出され、標準偏差は1.5mV以下であった。各滴定を4回繰り返すことによって再現性を評価したところ、試料間の開始電位と終了電位の偏差は最大7mVであり、滴定の間の電位の総変化量は同じであった。各回収管は、7.2mgのEDTAのカリウム塩を含み、各回収管に回収された血液は2〜4mlと異なるため、偏差の大部分はカリウム濃度の変化に起因すると考えられる(図9B参照)。
図11Bは、全血ヘパリン濃度の関数として観測された端点をプロットしたグラフであり、予想された線形関係(相関係数0.995)が見出された。このようにして得られたこの較正曲線の線形回帰は、cHeparin=V(6.6±0.4)×10−3M/L−0.6μMと判定された。
実施例12
センサの寿命及び安定性
特に、生理的な媒体において測定を行う場合、センサの寿命及び安定性は、重要な要素である。10mg/Lのプロタミンを含む0.1MのNaClpH緩衝液について、3時間に亘り、1分毎に連続的な、パルスによって制御された電気化学的測定を行った結果、顕著な電位ドリフトは観測されず、最大の電位変化も2mV程度であった。同じセンサを用いて、合計2.5時間を超える時間、全血試料について血液の測定を行い図11Bに示す滴定曲線を得た(各ポイントに関して、10個の電位測定値を収集した)。血液への曝露の後に、0.1MのNaCl緩衝液にてセンサを検査した結果、ベースライン電位は、初期値(各センサについて±5mV)に戻ることが見出された。ベースライン電位シフトが20mV未満を維持する期間として定義されるセンサの寿命は、未希釈の全血試料への総曝露時間を10時間とした場合、少なくとも2週間であった。
センサの寿命及び安定性
特に、生理的な媒体において測定を行う場合、センサの寿命及び安定性は、重要な要素である。10mg/Lのプロタミンを含む0.1MのNaClpH緩衝液について、3時間に亘り、1分毎に連続的な、パルスによって制御された電気化学的測定を行った結果、顕著な電位ドリフトは観測されず、最大の電位変化も2mV程度であった。同じセンサを用いて、合計2.5時間を超える時間、全血試料について血液の測定を行い図11Bに示す滴定曲線を得た(各ポイントに関して、10個の電位測定値を収集した)。血液への曝露の後に、0.1MのNaCl緩衝液にてセンサを検査した結果、ベースライン電位は、初期値(各センサについて±5mV)に戻ることが見出された。ベースライン電位シフトが20mV未満を維持する期間として定義されるセンサの寿命は、未希釈の全血試料への総曝露時間を10時間とした場合、少なくとも2週間であった。
実施例13
プロタミン選択膜電極の準備及びトリプシン活性及び阻害剤活性の検出
重量比1:2のPVC及びo−NPOE、及び5wt%の親油性TDDA−DNNSを含むイオン選択膜(厚さ200μm)を準備した。膜は、溶媒としてTHFを用いた溶媒キャスティングで準備した。膜は、親膜からコルクボーラで切断し(直径6mm)、フィリップス電極ボディ(IS−561)に組み入れた。10mMのトリス−HCl緩衝液(pH=7.4)内に0.1MのNaClを含む内部充填液を内部のAg/AgCl電極に接触させた。電極は、内部充填液と同じ溶液における実験の前に、一晩調整した。1MのLiOAcブリッジ電解質を含むダブルジャンクションAg/AgCl電極を外部基準電極として用いた。
プロタミン選択膜電極の準備及びトリプシン活性及び阻害剤活性の検出
重量比1:2のPVC及びo−NPOE、及び5wt%の親油性TDDA−DNNSを含むイオン選択膜(厚さ200μm)を準備した。膜は、溶媒としてTHFを用いた溶媒キャスティングで準備した。膜は、親膜からコルクボーラで切断し(直径6mm)、フィリップス電極ボディ(IS−561)に組み入れた。10mMのトリス−HCl緩衝液(pH=7.4)内に0.1MのNaClを含む内部充填液を内部のAg/AgCl電極に接触させた。電極は、内部充填液と同じ溶液における実験の前に、一晩調整した。1MのLiOAcブリッジ電解質を含むダブルジャンクションAg/AgCl電極を外部基準電極として用いた。
フィリップスボディ電極(作用電極として機能する。)、外部基準電極及び対電極(プラチナ線)を試料に浸した三電極セルシステムにおいて、パルストロード(pulstrode)測定を行った。イオン選択膜の制御には、パルスに基づく定電流/定電位法を用いた。実験では、0.5μA/cm2(0.5秒間)の電流密度による各定電流パルスに続いて、他の一定のゼロ電流パルス(0.5秒間)を流した後、定電位パルス(15秒間)を印加した。センサ応答を表すサンプリングされた電位は、第1の電流パルスの最後の50m秒間の平均値として測定した。
プロタミンは、約50%がアルギニン残基を有する塩基性アミノ酸を多く含む。したがって、プロタミンは、トリプシン分解反応のための良好な基質となる。図12a及び図12bに示すように、プロタミンの応答は、高濃度のプロテアーゼトリプシンの添加によって、劇的に減少し、これはタンパク質分解反応の発生を示している。全ての実験は、同じ電極を用いて実行し、膜は異なる濃度のトリプシンの測定毎に、バックグラウンド溶液と同じ緩衝液で洗浄した。ベースライン電位の総シフトは約7mVであり、感応膜が有効に回復したことが示された。
プロタミンのトリプシン分解の反応速度は、トリプシン添加による初期の電位低下の勾配から推定できる。徐々に緩くなる勾配は、トリプシンの濃度を高めることによって、反応速度が上昇していることを意味する。したがって、プロタミン分解は、試料内のトリプシン活性に正比例していることが示されている。
プロテアーゼ阻害剤の活性は、電位差測定プロタミンセンサを用いて直接検出され、トリプシンに類する阻害剤アプロチニンは、前処理した血漿試料において測定することができた。トリプシン大豆阻害剤の活性は、パルストロードプロタミンセンサ(Pulstrode protamine sensor)によって評価される。阻害された反応速度は、1mlあたり50ユニットの固定されたトリプシン濃度で、トリプシンの混合物及び大豆阻害剤を添加した後の最初の96秒間における電位及びプロタミン濃度の変化によって評価された。これらを大豆阻害剤の濃度に対してプロットしたグラフを図13a及び図13bに示す。すなわち、図13aは、大豆阻害剤の濃度に対する電位の変化を示し、図13bは、大豆阻害剤の濃度に対するプロタミン濃度の変化を示している。これらの図では、大豆阻害剤の濃度が高くなると反応速度は低下することが示されている。
本明細書に詳しく説明した実施の形態の開示に基づいて、当業者は多くの変形例及び他の実施の形態を想到できる。したがって、本発明は、ここに開示した特定の実施の形態に限定されず、変形例及び他の実施の形態も添付の特許請求の範囲の範囲内で含まれる。また、本明細書では、包括的且つ例示的に特定の用語を用いているが、これらは本発明を限定するものではない。
Claims (42)
- ハウジング内に配設された電極と、
上記ハウジングの一端に配置され、該ハウジングの外部の試料溶液に接触し、分解速度が上記試料溶液内の酵素活性に正比例する該試料溶液のポリイオンの濃度を検出する膜とを備えるセンサ。 - 上記電極は、Ag/AgCl電極であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- 上記膜は、約10mm2〜約100mm2の表面積を有することを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- 上記膜は、約20mm2〜約50mm2の表面積を有することを特徴とする請求項3記載のセンサ。
- 上記膜は、約10μm〜約1000μmの膜厚を有することを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- 上記膜は、約20μm〜約300μmの膜厚を有することを特徴とする請求項5記載のセンサ。
- 上記ポリイオン濃度は、プロタミンのポリイオン濃度であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- 上記酵素活性は、トリプシンの酵素活性であることを特徴とする請求項1記載のセンサ。
- 試料溶液のポリイオン濃度を検出するポリイオン濃度検出方法において、
試料溶液を準備する工程と、
分解速度が上記試料溶液内の酵素活性に正比例する該試料溶液のポリイオンの濃度を検出する膜に該試料溶液を接触させる工程とを有するポリイオン濃度検出方法。 - 上記ポリイオン濃度は、プロタミンのポリイオン濃度であることを特徴とする請求項9記載のポリイオン濃度検出方法。
- 上記酵素活性は、トリプシンの酵素活性であることを特徴とする請求項9記載のポリイオン濃度検出方法。
- 上記試料溶液は、生物学的成分を含むことを特徴とする請求項9記載のポリイオン濃度検出方法。
- 上記試料溶液は、血液であることを特徴とする請求項9記載のポリイオン濃度検出方法。
- 分解速度が試料溶液内の酵素活性に正比例する該試料溶液のポリイオンの濃度を検出する膜を有するポリイオン選択膜電極と、
上記膜をクリアにする電位をかける印加手段とを備える可逆電気化学セル装置。 - 上記ポリイオン濃度は、プロタミンのポリイオン濃度であることを特徴とする請求項14記載の可逆電気化学セル装置。
- 上記酵素活性は、トリプシンの酵素活性であることを特徴とする請求項14記載の可逆電気化学セル装置。
- 印加手段は、基準電極とポリイオン選択膜電極との間にかけられる外部の電極電位であることを特徴とする請求項14記載の可逆電気化学セル装置。
- 試料溶液のポリイオン濃度を検出する膜を有するポリイオン選択膜電極と、
基準電極とポリイオン選択膜電極との間に電位をかけ、上記膜をクリアにする洗浄手段とを備える可逆電気化学セル装置。 - 分解速度が試料溶液内の酵素活性に正比例する該試料溶液のポリイオンの濃度を検出する膜を有するポリイオン選択膜電極と、
基準電極とポリイオン選択膜電極との間に電位をかけ、上記膜をクリアにする洗浄手段とを備える可逆電気化学セル装置。 - 上記ポリイオン濃度は、プロタミンのポリイオン濃度であることを特徴とする請求項19記載の可逆電気化学セル装置。
- 上記酵素活性は、トリプシンの酵素活性であることを特徴とする請求項19記載の可逆電気化学セル装置。
- 電気化学セル装置を回復させるセル回復方法において、
試料溶液を準備する工程と、
分解速度が上記試料溶液内の酵素活性に正比例する該試料溶液のポリイオンの濃度を検出する膜に該試料溶液を接触させる工程と、
上記膜に電位をかけ、該膜をクリアにする工程とを有するセル回復方法。 - 上記ポリイオン濃度は、プロタミンのポリイオン濃度であることを特徴とする請求項22記載のセル回復方法。
- 上記酵素活性は、トリプシンの酵素活性であることを特徴とする請求項22記載のセル回復方法。
- 上記試料溶液は、生物学的成分を含むことを特徴とする請求項22記載のセル回復方法。
- 上記試料溶液は、血液であることを特徴とする請求項22記載のセル回復方法。
- 上記膜をクリアにするための電位は、基準電極とポリイオン選択膜電極との間にかけられることを特徴とする請求項22記載のセル回復方法。
- ハウジング内に配設された電極と、
上記ハウジングの一端に配置され、該ハウジングの外部の試料溶液に接触し、試料溶液における酵素活性及び対応する酵素阻害剤活性を監視する膜とを備えるセンサ。 - 上記電極は、Ag/AgCl電極であることを特徴とする請求項28記載のセンサ。
- 上記膜は、約10mm2〜約100mm2の表面積を有することを特徴とする請求項28記載のセンサ。
- 上記膜は、約20mm2〜約50mm2の表面積を有することを特徴とする請求項30記載のセンサ。
- 上記膜は、約10μm〜約1000μmの膜厚を有することを特徴とする請求項28記載のセンサ。
- 上記膜は、約20μm〜約300μmの膜厚を有することを特徴とする請求項32記載のセンサ。
- 上記酵素活性は、トリプシンの酵素活性であることを特徴とする請求項28記載のセンサ。
- 上記対応する酵素阻害剤活性は、α1−抗プロテイナーゼ阻害剤の活性であることを特徴とする請求項28記載のセンサ。
- 上記対応する酵素阻害剤活性は、α2−マクログロブリンの活性であることを特徴とする請求項28記載のセンサ
- 上記対応する酵素阻害剤活性は、アプロチニンの活性であることを特徴とする請求項28記載のセンサ。
- 上記対応する酵素阻害剤活性は、大豆阻害剤の活性であることを特徴とする請求項28記載のセンサ。
- 上記電位の低下は、試料溶液内の対応する酵素阻害剤の濃度に依存していることを特徴とする請求項28記載のセンサ。
- マーカによってラベルされた検体に対する免疫検定を実行する工程を更に有する請求項28記載のセンサ。
- 上記マーカは、ポリイオンであることを特徴とする請求項40記載のセンサ。
- 上記マーカは、酵素であることを特徴とする請求項40記載のセンサ。
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