本発明の更なる詳細、態様及び実施形態は、単に一例として、図面を参照して記載される。
図1に示される電気刺激装置1は、例えば人間のような動物の皮膚に置くことができる電極システム10を有する。図1で、電極システムは、上腕の皮膚部に置かれている。しかし、電極システム10は、身体の他の部分に置かれても良く、特定の身体部分の形状に適合した形状を有しうる。例えば、電極システム10が身体の脊髄部に置かれるべき場合には、電極システム10は細長い形状を有しうる。
図1に示されるように、装置1は、連結部18を介して電極配列10へ接続された操作ユニット50を更に有する。図1の例で、連結部18はワイヤ接続である。しかし、連結部18は、また、ワイヤレス接続であっても良い。操作ユニット50は、以下で更に詳細に説明されるように、電極システム10によって発生した信号を受信して、電極システム10の動作を制御する。操作ユニット50は、図5に示されるように、筐体54を有する。筐体54の内部には、制御ユニット53が設けられており、これは、電極システム10へ連結部18を介して接続され、且つ、ユーザインターフェースへ接続されている。
ユーザインターフェースは、筐体54の窓55に配置された表示部51と、筐体54の外側に配置された制御ボタン52とを有する。表示部51は、出力インターフェースを形成し、これを介して、情報が装置1のユーザへ提供され得る。表示部51で、例えば、情報は、装置1の動作又はユーザへの指示に関して、ヒトが認知可能な形式で制御ユニット53によって出力され得る。図1の例では、データが視覚的に出力されるが、データは、代替的に又は更に、音声若しくはその他適切な様式として出力されても良い。
制御ボタン52は、入力インターフェースを形成する。制御ボタン52を介して、ユーザは、例えば、装置1によって実行される動作に関する所望の設定、又は、ユーザによって実行される動作に関する情報のように、制御ユニット53へ入力を供給することができる。例えば、ユーザは、制御ボタン52を介して、自身が筋肉を収縮していることを制御ユニット53に通知したり、あるいは、筋肉が刺激される期間の存続時間に関して所望の値を入力したりすることができる。
電極システム10は、図2に示されるように、複数の電極パッド12を備えた電極配列13と、カウンタ電極11とを有する。カウンタ電極11は接地の機能を果たす。図2に示された電極配列13の中の電極パッド12は、長方形のマトリクス配置を形成しながら、直線に沿って位置付けられる。図2の例で、マトリクスは5×5のマトリクスであるが、マトリクスは、例えば、より小さい他の大きさを有しても良く、図4に示されるように、2×2のマトリクスであっても良い。あるいは、マトリクスは、より大きな大きさを有しても良い。更に、マトリクスは、図2及び図4の例に示されるように、正方形であっても、あるいは、行数とは異なる列数を有しても良い。更に、電極パッド12は、また、例えば円形配置又は三角形配置のような長方形でない配置で位置付けられても良い。
図2の例で、カウンタ電極11は、閉ループ形状を有し、電極配列13を囲む。しかし、カウンタ電極11は、異なる形状を有しても良く、例えば、電極パッド12の間の曲がりくねった経路を辿っても良い。
電極システム10は、電極パッド12のほとんど又は全てと、カウンタ電極11とが、皮膚と電気的に接触するように、皮膚の上に配置され得る。その場合に、電極配列13は、皮膚の下の筋肉組織と電気的に接触しうる。より具体的には、電極配列13は、電極配列13によって占められる皮膚領域の下の筋肉の部位へ電気的な信号を送受信することができうる。より具体的には、電極パッド12は、筋肉組織を刺激するために、筋肉組織に電流を皮膚を介して送り込むことができる。
電極パッド12及びカウンタ電極11は、可撓性の、望ましくは弾力性の担体の表面に置かれ得る。これにより、電極システム10は、電極システム10が配置されている身体の部分の形状に適合することができる。担体は、操作ユニット50へ連結部18を介して電極パッド12及びカウンタ電極11を接続する電気部品を設けられ得る。例えば図4の例で、電極パッド12へ接続された電気部品は、担体上に配置され、適切な連結部18を介して操作ユニット50に配置されたマイクロコントローラμCへ接続され得る。
制御ユニット53は、図2に示されるように、1又はそれ以上の刺激電極パッドを電極配列13の中の電極パッド12から選択する電極セレクタ536を有する。図2の例で、電極セレクタ536は、セレクタユニット16、17の各自の制御入力へ連結部18を介して接続されている。ラインセレクタユニット16、17は、1又はそれ以上の共通ライン接続14、15を選択することができる。共通ライン接続14、15は、電極配列13において電極パッド12の行を接続する。図2で、共通ライン接続14は、第1のラインセレクタユニット16へ電極パッド12の縦の列を接続し、共通ライン接続15は、第2のセレクタ17へ電極パッド12の横の列を接続する。適切な共通ライン接続14、15を選択することによって、電極パッドの1又はそれ以上が選択され得る。
信号発生器531は、電極セレクタ536へ接続されている。動作において、信号発生器531は、刺激電極パッドへ電気刺激信号を供給する。電気刺激信号は、電極システム10が配置されている面、例えば皮膚へ、刺激電極パッドを介して伝達される。次いで、電極信号は、皮膚を介して筋肉組織に浸透する。その信号に応答して、筋肉組織は収縮する。それによって、筋肉組織は刺激される。
例えば、電流量及び刺激期間の存続時間のような、刺激に関するパラメータの値は、信号発生器531のメモリに記憶されたデータを基に、信号発生器531によって決定され得る。しかし、信号発生器531は、別の方法で、刺激に関するパラメータを決定することも可能である。例えば、図2の例で、信号発生器531は、例えば存続時間及び大きさのような、刺激に関してユーザが決定した設定を、制御ボタン52を介して受信することができる。更に、図2の例における信号発生器531は、信号処理部532へ接続されており、刺激の直前に、又はその少し前に測定された活動を基に、刺激に関する適切な設定を決定することができる。例えば、信号処理部532は、所定の数学的関係を用いて、測定された活動から刺激の適切な存続時間及び大きさを計算するようプログラミングされ得る。信号発生器531は、同様に他の方法で刺激のパラメータの設定を決定することができる。例えば、信号発生器531は、一連の刺激に関する刺激前後の測定からパラメータの適切な設定を決定することができる。
図2の例で、電極システム10は、別個のセンサ30を有する。センサ30は、筋肉組織の特性を検知することができる。この特性は、その筋肉組織の活動に関する指標となる。本例で、センサ30は、電極システム10が配置された面から赤外線を受け取ることができる赤外線センサである。如何なる理論にも束縛されることなく、血液の循環は筋肉の活動に関連し、且つ、赤外線の量は筋肉における血液の循環に関する指標となると考えられる。センサ30は、制御ユニット53にある信号処理部532のプロセッサ入力へ接続されたセンサ出力を有する。このセンサ出力を介して、センサ30は、信号処理部532へセンサ信号を供給することができる。信号処理部532は、筋肉の活動に関する指標の値をセンサ信号から決定して、その値をプロセッサ出力を介して出力することができる。プロセッサ出力は、例えば、ヒトが認知可能な形式でその値を出力するために、表示部51へ接続されても良い。
本例で、信号処理部532の出力は、測定ユニット535へ接続されている。測定ユニット535は、ユーザインターフェース、即ち、本例では表示部51へ出力をもって接続されている。測定ユニット535は、信号処理部532によって決定された値を基に、筋肉組織のパラメータを決定して、この値を、例えば表示部51上の数字として、ユーザインターフェースにおいて、ヒトが認知可能な形式で出力することができる。測定ユニット535は、例えば、筋肉組織の活動に関する値を基に、供給可能な筋肉組織による最大筋力を計算することができる。しかし、測定ユニット535は、筋肉組織の他のパラメータを決定することができる。例えば、所定の関係に基づき、測定ユニット535は、筋肉組織の応答時間又はユーザにとって関心がある他のパラメータを決定することができる。
図2に示される制御ユニット53は、信号発生器531及び信号処理部532の動作の順序を制御することができるタイマ534を更に有する。従って、動作において、所定手順の測定及び刺激投与が実行される。タイマ534は、例えば、刺激又は測定の終了の後に信号発生器及び/又は信号処理部532から夫々受信された停止信号に応答して、ある事象の後に信号処理部532及び/又は信号発生器531へ開始信号を送信するよう配置され得る。
図3は、一例としての適切な手順のフローチャートを示す。電極システム10が所望の面、例えば、ユーザが痛みを感じている皮膚の部分に、第1のステップ101で位置付けられた後、電極12の夫々と皮膚との間のインピーダンスがステップ102で測定される。測定されたインピーダンスを基に、1又はそれ以上の刺激電極パッド12が第3のステップ103で選択される。電極パッド12が、例えば筋電図(EMG)を測定することによって皮膚の下の筋肉組織の活動を測定するためにも使用される場合に、測定電極パッドも、測定されたインピーダンスを基に選択され得る。
例えば、最も低いインピーダンスを有する1又はそれ以上の電極パッド12が選択され得る。如何なる理論にも束縛されることなく、最も低いインピーダンスの電極パッドの直ぐ近くの皮膚部分は、筋肉組織の活動を測定するのに最も適切であると考えられる。更に、この皮膚部分は、また、筋肉組織を刺激するにも最も適切であると考えられる。
最も低いインピーダンスを有する電極パッド12に加えて、かかる電極パッドの近くにある1又はそれ以上の電極パッド12、例えば、電極配列13において最も低いインピーダンスを有する電極パッド12に隣接する電極パッド12を選択することも可能である。それによって、刺激及び/又は測定は、局所的なアーティファクトにほとんど影響を及ぼされることなく、依然として、適切な皮膚部分は、筋肉組織を測定及び/又は刺激するために使用される。
同じ電極パッド12が測定及び刺激のために選択されても良い。その場合に、選択された電極パッド12は、筋肉の活動を測定するためにも、また、筋肉組織を刺激するためにも使用される。これにより、電極パッド12及び、電気パッド12を制御するための電気回路の数を減らすことができる。しかし、筋肉組織の活動を測定するために、他の電極パッド12が、筋肉組織を刺激するために使用される電極パッドの他に使用されることも可能である。例えば、刺激電極パッド12は、筋肉組織の活動に関する空間情報を基に選択され得る。例えば、夫々の電極パッド12は、筋肉組織の活動を測定するために使用され得、刺激電極パッド12は、筋肉が最も低い活動量を示すところの領域を基に選択され得る。
測定されたインピーダンスは、夫々の電極パッド12に関して、閾値と比較され得る。電極パッド12と、面、例えば皮膚との間で測定されたインピーダンスが閾値を超える場合、夫々の電極パッド12と皮膚との間の電気的接触が十分でないことを知らせるよう、警告信号がユーザへ供給され得る。警告信号に応答して、ユーザは、電気的接触を改善するために、電極システム10(の一部)を動かすことができる。
筋肉組織の電気的刺激の前に、筋肉組織の活動に関する指標の第1の測定は、第4のステップ104で実行される。第4のステップ104が開始される前に、ユーザは、ある身体活動を実行するよう装置1によって指示され、電極システム10が設けられている部位における筋肉活動が測定され得る。例えば、ユーザは、表示部51上の適切なメッセージによって指示され得る。身体活動は、例えば、電極システム10が設けられている身体の部分を動かすことでありうる。それによって、例えば、最大活動量が測定され得る。測定された筋肉組織の活動は、ヒトが認知可能な形式で、例えば、図2の例では表示部51において、出力され得る。測定された活動は、第1の測定が実行された直後に、又はその後に出力され得る。
第1の測定の後、筋肉組織は第5のステップ105で刺激される。刺激の間、電気信号が刺激電極パッド12によって供給される。電気信号は、筋肉組織を交互に収縮及び弛緩させる。これは、筋肉組織に対する治療効果を有すると考えられている。より具体的には、これは、筋硬直を軽減し且つ筋肉痛を軽減すると考えられている。
筋肉組織を刺激した後、筋肉組織の活動の第2の測定は第6のステップ106で実行される。測定に基づき、例えば、筋肉組織の健康状態に関連する他のパラメータの最大筋力のような、筋肉組織の他の特性が得られる。このように、筋肉組織の活動に対する刺激の効果は決定され得る。第6のステップ106が開始される前に、ユーザは、ある身体活動を実行するよう装置1によって指示され、電極システム10が設けられている部位における筋肉活動が測定され得る。例えば、ユーザは、表示部51上の適切なメッセージによって指示され得る。身体活動は、例えば、電極システム10が設けられる身体の部分を動かすことでありうる。
如何なる理論にも束縛されることなく、刺激は筋硬直及び筋肉痛を軽減すると考えられている。更に、硬直した又は筋痛のある筋肉組織は、より低い活動量を示すと考えられている。このように、刺激の前後の活動に関する値を出力することによって、筋肉組織に対する刺激の効果が決定され得る。
刺激の前後で決定される活動に関する値は、ユーザインターフェースへ出力され得る。このように、ユーザは、簡単な方法で刺激の効果を認識することができる。測定された活動の代わりに、あるいは、それに加えて、例えば、ステップ105における刺激の前後の最大筋力のような、ステップ104及び106における第1及び第2の測定から得られる他のパラメータが出力されても良い。硬直した又は筋痛のある筋肉組織の最大筋力は、より低く、従って、筋硬直又は筋肉痛に対する刺激の効果は、最大筋力がユーザインターフェースに提示される場合に、専門知識を持たずとも理解され得る。
更に、決定された値はメモリ533に格納され得る。それによって、刺激の連続における刺激の効果が決定され得る。例えば、筋肉組織は、毎日ある時間期間、例えば15分間刺激されて、2、3日にわたる効果が決定されても良い。図2に示されるように、最後まで、例えば、メモリ533は信号処理部532へ接続されて、信号処理部532は、メモリ533に、測定値及び測定の時間に関する情報を表すデータを格納することができる。
図4は、電極システムの第2の実施例を示す。電極システム10は、電極パッド12の2×2のマトリクス配置を有する。電極パッド12は、共通ライン接続14を介して第1の選択素子16へ接続され、且つ、共通ライン接続15を介して第2の選択素子17へ接続されている。電極パッド12の夫々と共通ライン接続14、15との間には、スイッチとして動作するトランジスタ19が設けられている。夫々のトランジスタ19のゲートは、第2の選択素子17によって制御される共通ライン接続15へ接続されている。夫々のトランジスタ19のソースは、第1の選択素子16によって制御される共通ライン接続14へ接続されており、夫々のトランジスタ19のドレインは、各自の電極パッド12へ接続されている。
選択素子16、17へは、マイクロコントローラμCが接続されている。マイクロコントローラμCは、制御ユニット53の機能を実行するようプログラミングされている。マイクロコントローラμCは、とりわけ、選択素子16、17を制御して、選択素子16、17へ制御データを送信する。これに応答して、共通ライン接続14、15は、制御データに従って、選択素子16、17によって選択される。
第1の選択素子16は、マイクロコントローラμCの制御下で、1又はそれ以上の共通ライン接続14を選択して、選択された共通ライン接続14へ接続されているトランジスタ19へ電力を供給することができる。電極システム10は、スイッチ21を介して共通ライン接続14へ接続された電源20を有する。第1の選択素子16は、開放又は閉成のいずれかであるようスイッチ21の状態を制御することができる。開放状態で、スイッチ21は、電流が電源20から共通ライン接続14へ流れることを可能にし、一方、閉成状態で、スイッチ21は、電流が流れることを阻止する。図4の例で、スイッチ21は、第1の選択素子16へ自身のゲートをもって接続されたスイッチング電界効果トランジスタとして実装されている。スイッチングトランジスタのソースは電源20へ接続されておりそのドレインは共通ライン接続14へ接続されている。ゲートを開くよう制御することによって、電流は、スイッチングトランジスタのソースとドレインとの間を流れることが可能となり、一方、電流は、ゲートが閉じられている場合には阻止される。このように、第1の選択素子16は、どの共通ライン接続14によって電源20が電力を供給するのかを制御して、然るべく、この共通ライン接続14へ接続されている電極パッド12を選択することができる。
第2の選択素子17は、共通ライン接続15の選択された1つへスイッチ信号を供給することができる。スイッチ信号によって、スイッチングトランジスタ19は、電流がそのスイッチングトランジスタ19のソースとドレインとの間を流れるところの導通状態又は、実質上電流がそのスイッチングトランジスタ19のソースとドレインとの間を流れないところの非導通状態のいずれか一方となる。このように、選択された共通ライン接続15へ適切なスイッチ信号を供給することによって、その選択された共通ライン接続15へ接続されているスイッチングトランジスタ19は、電流が電極パッド12へ供給されるところの導通状態に設定され得る。一方、選択された共通ライン接続15へ接続されているスイッチングトランジスタ19が非導通状態にあるならば、それは各自の電極パッドへ電流を供給しない。
電極パッド12は、夫々、更に、第1及び第2の測定トランジスタ34、35へ接続されている。測定トランジスタ34、35は、トランジスタ34、35の間のノードを介して電極パッド12へ接続されたペアワイズ(pair−wise)である。第1の測定トランジスタ34のソースは、所定の電流量を供給する電流源36へ接続されている。第1の測定トランジスタ34のゲートは、測定モード選択ユニット31へ接続されている。測定モード選択ユニット31は、1又はそれ以上の第1の測定トランジスタ34を選択することができる。図4の例で、測定モード選択ユニット31は、マイクロコントローラμCへ接続されている。マイクロコントローラμCは、測定モード選択ユニット31の動作を制御することができる。測定モード選択ユニット31は、第1の測定トランジスタ34のゲートを開放したり、あるいは閉じたりすることができる。ゲートが開いている場合に、ソースとドレインとの間には電流が流れる。ゲートが閉じられている場合には、ソースとドレインとの間の電流は阻止される。第1の測定トランジスタ34のドレインは、電極パッド12と、第2の測定トランジスタ35とへ接続されている。第1の測定トランジスタ34のゲートを開くことによって、電流は、選択された電極パッド12と、第2の測定トランジスタ35とへ供給される。一方、第1の測定トランジスタ34のゲートが閉じられている場合に、選択された電極パッド12及び第2の測定トランジスタ35は、電流源36から電気的に分離されているとみなされ得る。
第2の測定トランジスタ35の夫々のソースは、電極パッド12へ接続されている。そのドレインは、アンペア又は電流メータ33を介して接地gnd(例えば、カウンタ電極11。)へ接続されている。第2の測定トランジスタ35の夫々のゲートは、測定電極選択ユニット32へ接続されている。測定電極選択ユニット32は、マイクロコントローラμCへ制御入力をもって接続されている。測定電極選択ユニット32は、マイクロコントローラμCによって制御され、1又はそれ以上の選択された第2の測定トランジスタ35のゲートを開放したり、あるいは閉じたりすることができる。電圧差が、例えば、電極パッド12の領域にある筋肉組織の活動に起因して、電極パッド12と接地との間に存在する場合に、電流は第2の測定トランジスタ35及び電流メータ33を流れうる。夫々の第2の測定トランジスタ35のゲートを開放したり、あるいは閉じたりすることによって、電極パッド12と接地との間の電流は、流されたり、あるいは阻止されたりする。このように、電流が第1の測定トランジスタ34を介して供給されない場合に、開くべき第2の測定トランジスタ35及び閉じられるべき他の第2の測定トランジスタ35の夫々1つを選択することによって、開いている第2の測定トランジスタ35へ接続されている電極パッド12での電圧は決定され得る。従って、選択された電極パッド12と接触している筋肉組織の電気的活動は測定され得る。
夫々の第1の測定トランジスタ34が導通している場合に、供給電流の第1の部分は電極パッド12に流れ込み、第2の部分は第2の測定トランジスタ35を介して電流メータ33に流れ込む。第1の部分及び第2の部分の比は、とりわけ、電極パッド12と皮膚との間のインピーダンスに依存する。このように、このインピーダンスは、電流メータ33によって測定される電流を、電流源36によって供給される所定電流と比較することによって、決定され得る。このように、第1の測定トランジスタ34は、測定モード、本例ではインピーダンス測定モード及び筋肉組織活動測定モードのためのセレクタの機能を果たし、一方、第2の測定トランジスタ35は、測定される特定の電極パッド12を選択するために使用される。例えば、電極パッド12が十分に接触していない場合に、インピーダンスは極めて高く、(ほとんど)電流は電極パッド12を流れない。このように、実質上、電流源36によって供給されるのと同じ電流量が電流メータ33を流れる。従って、電流メータ33によって測定された電流を適切な閾値と比較することによって、高すぎるインピーダンスが決定され得る。
図4の例で、電流メータ33は、マイクロコントローラμCへ接続されている。電流メータ33は、測定された電流量の値をマイクロコントローラμCへ送信することができる。マイクロコントローラμCは、その値から、電極パッド12と皮膚との間のインピーダンスを決定することができ、そのインピーダンスを基に、適切な電極パッドを選択することができる。例えば、マイクロコントローラμCは、夫々の個々の電極パッド12と皮膚との間のインピーダンスが電流メータ33を介して別々に測定されるように、測定電極選択ユニット32を制御することができる。その場合に、マイクロコントローラμCは、測定モード選択ユニット31及び測定電極選択ユニット32を介して1又はそれ以上の電極パッドを選択し、その選択された電極パッド12の位置で、ラインセレクタユニット16及び17を介して、筋肉組織の活動を測定し、且つ、筋肉組織を刺激することができる。
電極システム10は、離れた場所で筋肉の治療を監視及び/又は制御するために使用されても良い。例えば、図6に示されるように、電極システム10は、遠隔監視及び制御システムにおいて使用され得る。図6の例は、中央監視及び制御ユニット60へ接続された複数の電極システム10を有する。図6の例で、中央監視及び制御ユニット60は、データ通信ネットワーク70へ接続されている。電極システム10は、操作ユニット50を介してデータ通信ネットワーク70へ接続されている。
図6の例で、操作ユニット50は、中央監視及び制御ユニット60へ、測定された筋肉組織の活動を表す測定データをデータ通信ネットワーク70を介して送信することができる。中央監視及び制御ユニット60で、例えば医師又は理学療法士のような医療専門家は、測定データを認識して、筋肉組織の適切な治療を決定することができる。専門家は、その後、中央監視及び制御ユニット60へ、治療に相当する刺激に対する適切な設定を入力することができる。中央監視及び制御ユニット60は、データ通信ネットワーク70を介して操作ユニット50へ制御データを送信することができる。この制御データに応答して、操作ユニット50は、電極システム10の動作を制御する。電極システム10は、専門の医療知識を持たずとも皮膚に配置され得るので、電極システム10は、中央監視ユニット60の位置から離れた場所で配置され得る。従って、図6の例で、電極システム10のユーザは、病院又は医療専門家の開業場所を訪れる必要はなく、一方、中央監視及び制御ユニット60を介して、医療専門家は、依然として、治療を監視し、制御することによって、自身の専門的技術を施すことができる。
図6の例で、操作ユニット50は、例えば、図5に示されるように実装され、更に、例えば、有線接続又は無線接続を介して、ネットワーク70との通信を可能にするネットワークモジュールを有しても良い。ネットワークは、例えば、測定データを送信し、且つ、制御データを受信するよう、測定ユニット535の出力と、信号発生器531の入力とへ接続されても良い。
以上、本発明は、本発明の特定の実施例を参照して記載されてきた。しかし、当然、様々な変形及び変更が、添付の特許請求の範囲に挙げられている本発明のより広い精神及び範囲から逸脱することなく行われ得る。例えば、例として示されているトランジスタは、他の種類のスイッチに置き換えられても良い。更に、制御ユニット53及び電極システム10は一体化されても良い。また、本発明は、プログラミング可能でないハードウェアで実施される物理的なデバイス又はユニットに限定されず、適切なプログラムコードに従って動作することによって所望のデバイス機能を実行することができるプログラム可能なデバイス又はユニットにおいても適用され得る。更に、そのようなデバイスは、単一のデバイスとして機能的に動作しながら、多数の装置上に物理的に分布しても良い。例えば、電極セレクタ530は、協働して電極パッド12を選択する多数のデバイスとして実装されても良い。また、別々のデバイスを機能的に形成するデバイスは、単一の物理的デバイスで一体化されても良い。例えば、電極セレクタ530、信号発生器531、信号処理器部532、メモリ533、タイマ534は、適切にプログラミングされたマイクロコントローラで又は単一の集積回路で実施されても良い。しかし、他の変更、変形及び代替も可能である。従って、明細書及び図面は、制限的な意味よりむしろ、説明の意味で考慮されるべきである。
特許請求の範囲で、括弧内に置かれた如何なる参照符号も、請求項を限定するよう解釈されるべきではない。語“有する(comprising)”は、請求項に挙げられている以外の要素又はステップの存在を認めないわけではない。更に、語“1つの(a及びan)”は、“唯1つ”に限定して解釈されるべきではなく、むしろ“少なくとも1つ”を意味するために使用されており、複数個を認めないわけではない。ある手段が相互に異なる請求項において挙げられているとう単なる事実は、かかる手段の組合せが有利に使用されないことを示すわけではない。