JP2009501004A - 切除された膵臓癌のサージカルマージンにおける分子/遺伝子の異常により、疾患転帰と相関する新生物疾患を示す方法 - Google Patents
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Abstract
Description
本発明は腫瘍学、遺伝学、および分子生物学の分野に関する。より詳細には、本発明は切除された腫瘍のマージンにおける、細胞での遺伝学的欠陥の同定に関する。この遺伝子でのそのような欠陥は癌の発生と関連しており、膵臓癌、結腸直腸癌、および肺癌の同定においてはK-ras変異が特に利用される。なお、本出願は2005年6月27日付で出願された米国仮特許出願第60/694,383号の恩典を主張し、その全体が参照により組み入れられる。
膵管腺癌(PDAC)の5年生存率は全ての癌の中で最も低い(Jermal et al., 2004)。そのような最悪の転帰の主な要因は、疾患の潜行性発症およびそれに付随する早期診断の難しさである。その他多くの癌と同じく、転移が起きておらず外科手術が実行可能かつ安全である場合に、PDACの治療を行うことができる。しかしながら、最適条件の下でさえも、治癒的外科手術の転帰は不良であることが多く、中間生存期間は切除不可能な腫瘍よりも6〜12ヶ月長いにすぎない(Nitecki et al., 1995; Warshaw and Fernandez-del Castillo, 1992; Yeo et al., 1997)。
したがって、本発明により、腫瘍の外科的切除を受けている患者におけるサージカルマージンの妥当性を評価する方法が提供される。サージカルマージンの妥当性を評価することにより、外科的切除を受けている癌患者の臨床転帰を予測することができる。臨床転帰は、例えば、癌の再発、癌の進行、および/または生存であり得る。
本発明者は、PDACのサージカルマージンにおける組織学的に良性の組織がKRAS変異を含んでおり、その検出が臨床転帰と相関するという仮説を立てた。本明細書において記載される研究は、領域癌化または不顕性転移がPDACに生ずるという証拠、および手術時に切除のマージンにおけるそのような欠陥をいっそう良好に検出するように測定が行われるべきであるという証拠を提供する。
本発明は、腫瘍切除のマージンにおける細胞を調べて領域癌化または不顕性転移を検出する方法を対象にする。例示の方法では遺伝子分析においてPCRを利用しているが、以下に論じられるように、その他多くの方法を利用することができる。
遺伝子診断では細胞の遺伝子における、つまりコード領域、イントロン、またはプロモーター、エンハンサー、およびターミネーターなどの調節領域における異常を検査する。変異は、点変異体、再配列、重複、および欠失(切断を含む)であり得る。明らかに、この種のアッセイは関連の固形腫瘍癌の診断において重要である。特に、本発明は膵臓癌、ならびにK-rasと関連する結腸直腸癌および肺癌の診断に関し、かつ、B-rafと関連する黒色腫、甲状腺癌、および結腸直腸癌の診断に関する。
本明細書において定義される場合、プライマーという用語は、鋳型依存的な過程で新生核酸の合成をプライミングできる任意の核酸を包含するよう意図される。典型的には、プライマーは長さが10〜20塩基対のオリゴヌクレオチドであるが、さらに長い配列を利用することができる。プライマーは二本鎖または一本鎖の形で供与されてもよいが、一本鎖の形が好ましい。プローブは、プライマーとして働きうるが、それとは別に定義される。プローブは、おそらくプライミング可能であるけれども、標的核酸に結合するよう設計されるものであり、増幅過程で使用される必要がない。
所与の鋳型試料に存在するマーカー配列を増幅するため、いくつかの鋳型依存的な過程を利用できる。最もよく知られた増幅法の1つは、米国特許第4,683,195号、同第4,683,202号、および同第4,800,159号、ならびにInnis et al., 1990に詳述されているポリメラーゼ連鎖反応(PCR(商標)とも称される)であり、それらの文献の各々はその全体が参照により本明細書に組み入れられる。
ブロッティング技術は当業者に周知である。サザンブロッティングでは標的としてDNAの使用を伴うのに対し、ノーザンブロッティングでは標的としてRNAの使用を伴う。cDNAブロッティングは多くの局面でRNA種のブロッティングに類似しているが、それぞれは異なる類の情報をもたらす。
通常、特異的な増幅が行われたかどうかを判定する目的のため、いずれかの段階で、鋳型および過剰のプライマーから増幅産物を分離することが望ましい。1つの態様では、標準的な方法を用いてアガロースゲル電気泳動、アガロース-アクリルアミドゲル電気泳動、またはポリアクリルアミドゲル電気泳動により増幅産物を分離する。Sambrook et al., 1989を参照されたい。あるいは、キャピラリーアレイ電気泳動またはリアルタイムPCRを使用してもよい。
マーカー配列の増幅を確認するため、産物を可視化することができる。典型的な可視化法の1つはエチジウムブロマイドによるゲルの染色およびUV光の下での可視化を含む。あるいは、増幅産物が放射能標識または蛍光標識されたヌクレオチドと一体的に標識される場合、分離後に、増幅産物をX線フィルムに曝露するか、または適切な刺激スペクトルの下で可視化することができる。
その標的の検出および配列決定に必要とされる不可欠な材料および試薬は全て、キット内に一緒に集めることができる。これには一般に、予め選択されたプライマーおよびプローブが含まれると考えられる。ある種の態様では、本発明のキットは、KRAS遺伝子中の1つまたは複数の変異の同定のために予め選択されたプライマーまたはプローブを含むことができる。増幅に必要な反応混合物を供与するための、さまざまなポリメラーゼ(RT、Taq、Sequenase(商標)など)を含めた核酸の増幅に適した酵素、デオキシヌクレオチド、および緩衝液もまた含むことができる。そのようなキットは一般に、適当な手段で、各個別の試薬および酵素用のならびに各プライマーまたはプローブ用の異なる容器を含むこともできる。
PCR(商標)において、増幅された標的DNAの分子数は、ある種の試薬が限界になるまで反応のサイクル毎に2倍近くに増える。その後、サイクル間で増幅された標的の増加がなくなるまで、増幅率は次第に減少するようになる。サイクル数をX軸にとり、増幅された標的DNAの濃度の対数をY軸にとりグラフを描く場合、プロットされた点を結び付けることで特徴的な形状の曲線が形成される。最初のサイクルから始まり、直線の傾きはプラスかつ一定である。これは曲線の直線部分といわれている。ある試薬が限界になってからは、直線の傾きが減少し始め、最終的にはゼロになる。この時点で、増幅された標的DNAの濃度はある固定値に漸近的となる。これは曲線のプラトー部分といわれている。
本発明者らによって特に企図されるのはHacia et al. (1996)およびShoemaker et al. (1996)により記載されているものなどの、チップに基づくDNA技術である。手短に言えば、これらの技術は数多くの遺伝子を迅速にかつ正確に分析するための定量的方法を伴う。遺伝子をオリゴヌクレオチドでタグ付けすることによりまたは固定されたプローブアレイを用いることにより、チップ技術を利用して、標的分子を高密度アレイとして分離すること、およびこれらの分子をハイブリダイゼーションに基づいてスクリーニングすることが可能になる。Pease et al. (1994); Fodor et al. (1991)も参照されたい。
本発明の抗体はELISAおよびウエスタンブロッティングなどの技術を通じ、切除腫瘍のマージンにおける健常組織および病変組織のタンパク質含量を特徴付ける際に使用することができる。これは悪性の有無のまたは将来的な癌の予測因子としてのスクリーニングになりうる。別の局面では、本発明は、本発明の標的分子と免疫反応性を示す抗体、またはその任意の部分の使用を企図する。抗体はポリクローナル抗体またはモノクローナル抗体であり得る。好ましい態様では、抗体はモノクローナル抗体である。抗体を調製するおよび特徴付ける手段は、当技術分野において周知である(例えば、Harlow and Lane, 1988を参照のこと)。
本発明によって、K-rasまたはB-rafなどの、関心対象の標的遺伝子(腫瘍抑制遺伝子、癌遺伝子、プロアポトーシス遺伝子、細胞周期調節因子)をコードする核酸を精製、同定、および/または増幅することが望まれうる。核酸はゲノムDNAに由来してもよく、すなわち、特定の生物のゲノムから直接的にクローニングされてもよい。しかしながら、好ましい態様では、核酸は相補DNA (cDNA)を含むと考えられる。同様に企図されるのはcDNAに加えて天然のイントロンまたは別の遺伝子に由来するイントロンである。そのような遺伝子操作分子は「ミニ遺伝子」といわれることもある。少なくとも、本発明のこれらのおよびその他の核酸は、例えば、ゲル電気泳動での分子量標準物質として使用することができる。
臨床的用途が考えられる場合、薬学的組成物、つまり発現ベクター、ウイルスストック、タンパク質、抗体、および薬物を、対象とする用途に適した形態で調製することが必要であると考えられる。一般に、このことには発熱物質、およびヒトまたは動物に有害となりうるその他の不純物を本質的に含まない組成物を調製することが必要になると考えられる。当業者は、参照により本明細書に組み入れられる「Remington's Pharmaceutical Sciences」 15th Editionに従う。若干の投薬量のばらつきは処置される被験者の状態に応じて必然的に生じうる。いずれにしても、投与責任者が個々の被験者に適した用量を判定すると考えられる。さらに、ヒトに投与する場合、調製物はFDA生物製剤部の標準規格によって要求される無菌性、発熱性、一般的安全性、および純度の標準規格を満たさなければならない。
以下の実施例は、本発明の好ましい態様を実証するために含まれる。以下の実施例に開示される技術は、本発明の実施に際して十分に機能することが本発明者によって見出された技術に相当し、したがってその実施に好ましい様式を構成するものと考えられうることは、当業者によって理解されるはずである。しかしながら、本開示に照らして、開示される具体的な態様において多くの変更が行われ、それでもなお本発明の意図および範囲から逸脱することなく同様または類似の結果が得られることを当業者は理解するはずである。
膵臓癌患者
1996〜2004年にPDACの治癒的切除を受けた患者23人をこの調査研究の試験コホートとして最初に評価した。患者検体をJohn Wayne Cancer Institute (JWCI)およびUCLA School of Medicine (Los Angeles, CA)から得た。試験コホートの分析を完了した後に、PDACの手術を受けた患者さらに47人を集めた。十分な経過観察期間(すなわち、36ヶ月以上または期限まで)を有する患者だけを選択した。いずれかのサージカルマージン(膵臓切断面もしくは後腹膜)の最終的な永久切片がH&Eによって病理組織学的に陽性であった場合、いずれかのマージンが分析に利用できなかった場合、または患者が手術後30日以内に死亡した場合には、患者を除外した。病期または結節状態にかかわらず、全ての患者が5-フルオロウラシル、ロイコボリン、マイトマイシンC、ジピリダモール、およびゲムシタビンの併用で補助化学療法を受けた。患者はその個別医師の裁量で補助放射線療法を受けた。ヒト被験者のIRB承認はこの研究の目的のため各施設で得た。X線画像を含む患者記録(利用可能な場合)を再調査した。全患者統計を表1に掲載する。
患者70人のコホート由来の原発性PDACおよびマージンPDACのパラフィン包埋保存摘出組織(PEAT;Paraffin-embedded archival tissue)をJWCIで評価した。研究への導入前に、保存されたH&Eマージンスライド切片を顕微鏡観察により再検査して、サージカルマージンに癌細胞のないことを確認した。これらのサージカルマージンのいずれを再評価するのにも免疫組織化学は利用されなかった。その後、PEAT原発腫瘍およびマージンの切片(10 μmカット3枚)を得て、無菌の微小遠心管(Eppendorf Biopur, Westbury, NY)の中に保存した。PCR(商標)分析用のパラフィン切片の調達後、マージンブロックからさらにパラフィン切片(5 μm)をカットし、H&Eによって染色し、外科病理学者が検査して癌細胞のないことをさらに確認した。以前に記載されている(Hoon et al., 2004; Fujimoto et al., 2004)ように、改変アッセイ(QIAamp DNA Mini Kit, Qiagen Inc., Valencia, CA)を利用してDNAを抽出した。腫瘍がマージンブロック(例えば、放射状の後腹膜マージン(radial retroperitoneal margin))に存在していた場合には、PEAT切片(4×5 μm)を顕微鏡スライドに置き、組織学的に良性の組織を顕微解剖するか、または以前に記載されている(Hoon et al., 2002; Nakayama et al., 2001)ようにレーザー捕獲顕微解剖(LCM; Arcturus, Mountain View, CA)の助けを借りて獲得するかした。
樹立された膵臓癌細胞株(MIA PaCa2、PANC-1、Hs 766T、およびBxPC-3)をAmerican Type Culture Collection (ATCC; Manassas, VA)から入手し、ATCCによる推奨に従って培養した。MIA PaCa2およびPANC-1は第12コドンにKRAS変異(それぞれ、GGT→TGTおよびGGT→GAT)を有するのに対し、Hs 766TおよびBxPC-3は野生型(wt) KRASを有する。これらの細胞株を陽性および陰性の癌対照として使用した。第13および第61コドンにおける変異はPDACでの第12コドン変異の圧倒的な優位性のため、評価されなかった(Cubilla et al., 1975; Hruban et al., 2000; Hruban et al., 2000; Kitago et al., 2004)。
KRAS変異の検出は、PEAT原発性結腸直腸癌およびリンパ節転移において第12コドンのKRAS変異を特異的に検出するため以前に確立されたペプチド核酸(PNA) PCR(商標)アッセイを用いて行った(Taback et al., 2004)。PCRプライマーよりもDNAに対し高い結合親和性を有するPNAクランプをwtKRAS対立遺伝子との相補的ハイブリダイゼーションのために設計した(Faruqi et al., 1998)。PNAクランプは、鋳型wtDNAとハイブリダイズすることにより、部分的に重複するリバースプライマーのアニーリングを阻害し、従ってwtKRASの増幅を阻害する。PNA/DNAハイブリッドは塩基対のミスマッチによって不安定であるため、変異体KRASにアニールせず、その増幅を阻害しない(Faruqi et al., 1998)。KRAS変異を有する微小転移を検出するPNA PCR(商標)アッセイの感度は、これまでに実証されている(Taback et al., 2004)。PNA PCR(商標)アッセイの結果を分析し、2進(+/-)値によって表した。
qRTアッセイは、iCycler iQリアルタイムPCR(商標)検出システム(Bio-Rad Laboratories, Hercules, CA)で行った。ゲノムDNA (20 ng)は、1 μMの各プライマー、1.75 μM PNA、200 μMの各デオキシヌクレオチド三リン酸、4.0 mM MgCl2、10×AmpliTaq緩衝液、および1単位のAmpliTaq Goldポリメラーゼ(Applied Biosystems, Branchburg, NJ)を含有する反応液20 μLの中でqRTにより増幅した。各PCR(商標)反応液を94℃で60秒間、70℃で50秒間、ならびに58℃で50秒間および72℃で60秒間の40サイクルに供した。PCR(商標)反応をPNAなしでも行ってwtKRASを増幅し、DNAの完全性を検証した。各試料を以前に記載されている(Taback et al., 2004)ように陽性および陰性対照とともに三つ組でアッセイした。
代表的なKRAS陽性およびKRAS陰性の検体(n=16)を両鎖に対し直接的に配列決定して、以前に記載されている(Taback et al., 2004)PNAクランプ法の精度を確認した。以下のKRASプライマーをPCR(商標)増幅に使用した。
各PCR(商標)反応混合物を最初に10分間94℃に加熱し、次いで94℃で30秒間、64℃で30秒間、および72℃で7分間の32〜40サイクルに供した。PCR(商標)産物をQIAquick PCR(商標) Product Purification Kit (Qiagen)で精製し、次に58℃のアニーリング温度でDTCS Quick Startキット(Beckman Coulter; Fullerton, CA)を用いて直接配列決定した。染色終結(Dye-terminated)産物をエタノールによって沈殿し、CEQ8000XL自動配列決定装置(Beckman Coulter)にてキャピラリー電気泳動により分離した。
患者特性およびKRAS変異の検出を平均値、中央値、および頻度を用いてまとめた。陽性または陰性のKRAS変異を有する患者の臨床病理学的因子をフィッシャーの正確検定およびスチューデントのt検定により比較した。KRAS変異に対する生存曲線をカプラン・マイヤーの方法を用いて作図した。2つの曲線の同等性を比較するため、ログランク検定を用いた。予後因子の単変量解析には年齢、性別、病期、腫瘍の拡がり、リンパ節状態、悪性度、腫瘍サイズ、神経周囲の浸潤、およびリンパ管浸潤が含まれた。臨床予後因子を適合させた場合のKRAS変異の予後的意義を評価するため、Cox比例ハザード回帰モデルを用いた。段階的方法を共変量選択に選んだ。解析は全てSAS (SAS /STAT User's Guide, バージョン8; SAS Institute Inc, Cary, NC, USA)を用いて行い、検定は両側とし、P値が0.05以下の場合に有意と見なした。
PNA PCR精度
PNAクランプ法の精度は、KRAS陽性(n=16)およびKRAS陰性(n=17)のPEAT結腸直腸癌検体でこれまでに評価されている(Balcom et al., 2001)。アッセイの感度は微小転移(Greene et al., 2002)の結腸直腸癌リンパ節病巣におけるKRAS変異の検出によって判定されている。癌検体の全33例に対し、直接配列決定によってPNA PCR(商標)アッセイの結果を確認し、100%の特異性および感度が明らかにされた(Taback et al., 2004)。この過去の研究ではKRAS変異の検出のため、KRAS変異のPCR(商標)増幅と、その後の半定量的な電気化学発光アッセイを利用している。本研究はその同じKRAS PCR(商標)プライマー、PNA、および増幅条件をさらに高効率、高感度、かつ高速処理のリアルタイム定量PCR(商標)のプラットフォームに利用するよう適合された。リアルタイムPCR PNAクランプアッセイの精度を確認するため、本発明者らは代表的なKRAS陽性(n=8)およびKRAS陰性(n=8)のPEAT PDAC検体16例を分析した。第12コドンでの野生型KRAS DNA配列はグアニン-グアニン-チミン(GGT)である。KRAS陽性の検体8例から第12コドンでの異なる5種のKRAS変異が検出された(GAT(n=2); GGG(n=2); GTT(n=2); TGT(n=1); およびTGG(n=1))。KRAS変異の代表的な配列を図1A〜Bに示す。
PDACを有する患者23人を試験コホートとして最初に分析した。KRAS変異は、原発腫瘍の83% (n=23のうち19)およびいずれかのサージカルマージンの48% (n=23のうち11)において検出された。膵臓切断面および後腹膜のマージンはそれぞれ、患者4人および8人においてKRAS陽性で、患者1人では両マージンがKRAS陽性であった。この試験コホートの分析後、さらに患者47人を集めた。患者全70例に対し、中間生存期間は、17ヶ月の中間経過観察期間で21ヶ月であった。5年の全生存率は19%であった。患者を膵頭十二指腸切除術(n=68)または膵尾部切除術(n=2)で処置した。膵臓の全切除を受けた患者はいなかった。患者1人には上腸間膜動脈・門脈合流部の区域切除をした。分析時に、患者70人のうち45人(64%)が疾患により死亡していた。
病理組織学的に陰性のサージカルマージンを得ることの価値は、PDACの処置を評価する無作為対照化試験および大規模コホート再調査のサブセット解析から裏付けられている(Yeo et al., 1997; Neoptolemos et al., 2001; Balcom et al., 2001)。本発明者らはこのコホート研究において、全員ともH&E組織病理が陰性であった患者の半分以上(53%)のサージカルマージンにおけるKRAS変異を検出するためにPCR(商標)を用いた。臨床転帰とのKRASマージン状態の相関関係から、全生存での有意差が実証された。これらの所見により、サージカルマージンの妥当性の術中判定では、存在しうるPDACの関連する遺伝子異常を領域欠陥または不顕性新生物細胞と同定する感度のないことが示唆される。
Claims (15)
- 以下の段階を含む、外科的切除を受けている癌患者の生存を予測する方法:
(a) 切除腫瘍のサージカルマージン(surgical margin)から得られた組織試料の細胞中の核酸またはタンパク質をK-rasにおける変異の発生について評価する段階であって、組織試料における変異の発生が生存低下の予測となる段階; および
(b) 癌患者の生存を予測する段階。 - 癌患者が膵臓癌に罹患している、請求項1記載の方法。
- 癌患者が肺癌に罹患している、請求項1記載の方法。
- 癌患者が結腸癌に罹患している、請求項1記載の方法。
- 評価段階がタンパク質の免疫学的検出を含む、請求項1記載の方法。
- 評価段階が核酸の検出を含む、請求項1記載の方法。
- 核酸がRNAである、請求項6記載の方法。
- 核酸がDNAである、請求項6記載の方法。
- 検出が核酸増幅を含む、請求項6記載の方法。
- 検出が配列決定を含む、請求項6記載の方法。
- 検出がプライマー伸長を含む、請求項6記載の方法。
- 検出がノーザンブロッティングまたはサザンブロッティングを含む、請求項6記載の方法。
- 検出が制限エンドヌクレアーゼ処理を含む、請求項6記載の方法。
- 以下の段階を含む、外科的切除を受けている癌患者における癌の進行を予測する方法:
(a) 切除腫瘍のサージカルマージンから得られた組織試料の細胞中の核酸またはタンパク質をK-rasにおける変異の発生について評価する段階であって、組織試料における変異の発生が癌の進行の予測となる段階; および
(b) 癌患者における癌の進行を予測する段階。 - 以下の段階を含む、外科的切除を受けている癌患者における癌の再発を予測する方法:
(a) 切除腫瘍のサージカルマージンから得られた組織試料の細胞中の核酸またはタンパク質をK-rasにおける変異の発生について評価する段階; および
(b) 癌患者における癌の再発を予測する段階。
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