JP2009302443A - 固体撮像素子及び固体撮像装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】裏面光入射型の固体撮像素子において発生したスミア成分を除去する。
【解決手段】半導体基板の裏面側には、当該裏面に入射した光を信号電荷に変換して蓄積する光電変換領域101が設けられている。半導体基板の表面側には、裏面側の光電変換領域101と対応するように、光電変換領域101に蓄積された信号電荷を読み出して転送する第1VCCD102と、電荷の転送のみを行う第2VCCD103とが設けられている。
【選択図】図1
【解決手段】半導体基板の裏面側には、当該裏面に入射した光を信号電荷に変換して蓄積する光電変換領域101が設けられている。半導体基板の表面側には、裏面側の光電変換領域101と対応するように、光電変換領域101に蓄積された信号電荷を読み出して転送する第1VCCD102と、電荷の転送のみを行う第2VCCD103とが設けられている。
【選択図】図1
Description
本発明は、固体撮像素子及びそれを用いた固体撮像装置に関し、特に裏面光入射型の固体撮像素子に関する。
近年、急速に普及してきたデジタルスチルカメラに代表されるCCD(charge coupled device )イメージセンサ(以下、CCDと称する)には、多画素化、高性能化、小型化等が求められている。特に多画素化に対する市場の要望は非常に強く、CCDのセル微細化は必要不可欠となってきている。
デジタルスチルカメラに用いられる一般的なCCDについて、図12を参照しながら説明する。図12に示すように、CCDの単位セル16は、入射した光を信号電荷に変換して蓄積する光電変換領域(PD:Photo-Diode )14と、PD14に蓄積された信号電荷を読み出して転送する垂直転送レジスタ(VCCD)15とから構成されている。この単位セル16が垂直方向及び水平方向のそれぞれに二次元状に配列されて画素領域11を形成している。光電変換領域14から読み出された信号電荷はVCCD15及び水平転送レジスタ(HCCD)12を通じて電荷電圧変換部(FDA:Floating Diffusion Amplifier)13へと転送され、出力信号電圧に変換される。
セル微細化には、必然的にPD及びVCCDの面積の縮小が必要となる。このPD面積の縮小は、CCDの感度低下を招き、画質を低下させる。この感度低下を抑制するために、半導体基板の一面に転送レジスタを形成し、半導体基板の他面にPDを形成する裏面光入射型のCCDが提案されている(例えば特許文献1参照)。
以下、特許文献1に開示された、従来の裏面光入射型CCDについて説明する。図13(a)及び(b)は従来の裏面光入射型CCDを表面側及び裏面側のそれぞれからみた平面図である。図14(a)及び(b)は従来の裏面光入射型CCDの単位セルにおける水平方向(HCCDに沿った方向)及び垂直方向(VCCDに沿った方向)のそれぞれの断面図である。図15(a)及び(b)は図14(a)及び(b)のZ−Z’線に対応する単位セルのポテンシャル分布であって、図15(a)は信号電荷蓄積電圧の印加時のポテンシャル分布であり、図15(b)は信号電荷読み出し電圧の印加時のポテンシャル分布である。尚、図13(a)及び(b)において、図12に示すCCDと同一の構成要素には同一の符号を付すことにより重複する説明を省略する。
図13(a)、(b)及び図14(a)、(b)に示すように、p型半導体基板21の一面側には、VCCDを構成するゲート電極22及び第1n型不純物領域24が形成されている。また、p型半導体基板21の他面側には、PDを構成する高濃度p型不純物領域23及び第2n型不純物領域25が形成されている。この従来の裏面光入射型CCDにおいて、PD部に信号電荷を蓄積する時にはゲート電極22にゲート電圧VM(例えば0V)が印加される一方、PD部に蓄積された信号電荷を読み出す時にはゲート電極22にゲート電圧VH(例えば15V)が印加される。これにより、信号電荷読み出し時には、図15(a)及び(b)に示すように、VCCD−PD間のポテンシャルバリアが無くなるので、PDに蓄えられた信号電荷はVCCDへと転送される。尚、VCCDに読み出された信号電荷は、図12に示す従来のCCDと同様に、HCCD12を通じてFDA13へと転送され、出力信号電圧に変換される。このように、裏面光入射型CCDにおいては、従来構造ではVCCDが設けられていた領域にもPD部を配置できるため、感度低下に起因するCCDの画質低下を抑制することができる。
特開平5−243550号公報
しかしながら、入射した光をPD領域(p型半導体基板21と第2n型不純物領域25とのpn接合から基板内部に向けて形成される空乏層を含む)内で全て光電変換して信号電荷に変換することは困難であり、PD領域よりもさらに深い領域で光電変換される光が必ず存在する。特に吸収係数の違いにより、長波長の光ほどPD領域よりも深い領域で光電変換される。よって、従来の裏面光入射型CCDでは、その構造上、PD領域内で光電変換されずにPD領域を通過した光はVCCDで光電変換されて電荷を生成することになる。このVCCDで光電変換されて生じた電荷は偽信号(スミア成分)となり、画質を劣化させるという問題を生じる。
図16(a)及び(b)は従来の裏面光入射型CCDの問題点を説明するための図(図14(a)及び(b)のZ−Z’線に対応する単位セルのポテンシャル分布)であって、図16(a)は信号電荷蓄積電圧の印加時のポテンシャル分布であり、図16(b)は信号電荷読み出し電圧の印加時のポテンシャル分布である。図16(a)及び(b)に示すように、信号電荷蓄積時にはPDに信号電荷が蓄えられる共にVCCDにスミア成分が生じる。また、信号電荷読み出し時には、VCCD−PD間のポテンシャルバリアが無くなるので、PDに蓄えられた信号電荷がVCCDへと転送される結果、最終的に、信号電荷にスミア成分が付加された電荷量が出力信号電圧に変換されてしまう。
本発明は、以上の課題を鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、スミア成分を除去する機能を有する固体撮像素子を提供することである。
前記の目的を達成するために、本発明に係る固体撮像素子は、半導体基板の一面側に設けられており、且つ当該一面に入射した光を信号電荷に変換して当該信号電荷を蓄積する光電変換領域と、前記半導体基板の他面側に前記光電変換領域に対応するように設けられており、且つ前記光電変換領域に蓄積された前記信号電荷を読み出して転送する第1の転送レジスタと、前記半導体基板の他面側に前記光電変換領域に対応するように設けられており、且つ電荷の転送のみを行う第2の転送レジスタとを備えている。
尚、本発明に係る固体撮像素子が、第1及び第2の転送レジスタとは別に、電荷読み出し機能又は電荷転送機能を持つ1つ又は複数の他の転送レジスタを半導体基板の他面側にさらに備えていてもよい。
本発明に係る固体撮像素子において、前記光電変換領域は行列状に複数配置されており、前記光電変換領域の所定方向の配列に沿って前記第1の転送レジスタ及び前記第2の転送レジスタが配置されていてもよい。
本発明に係る固体撮像素子において、前記第1の転送レジスタ及び前記第2の転送レジスタはそれぞれ、同じ不純物導入工程によって形成された不純物領域を有していてもよい。
本発明に係る固体撮像素子において、前記第1の転送レジスタの配置面積と前記第2の転送レジスタの配置面積とは実質的に同じであってもよい。
本発明に係る固体撮像素子において、前記第1の転送レジスタの配置面積は前記第2の転送レジスタの配置面積よりも大きくてもよい。
本発明に係る第1の固体撮像装置は、本発明に係る固体撮像素子(但し、前記第1の転送レジスタの配置面積と前記第2の転送レジスタの配置面積とは実質的に同じ)と、前記第1の転送レジスタ及び前記第2の転送レジスタのそれぞれから出力された信号を入力として、当該両信号の差分を出力する差分回路とを備えている。
本発明に係る第2の固体撮像装置は、本発明に係る固体撮像素子(但し、前記第1の転送レジスタの配置面積は前記第2の転送レジスタの配置面積よりも大きい)と、前記第1の転送レジスタの配置面積と前記第2の転送レジスタの配置面積との比に基づいて、前記第2の転送レジスタから出力された信号を増幅する演算回路と、前記第1の転送レジスタから出力された信号及び前記演算回路から出力された信号を入力として、当該両信号の差分を出力する差分回路とを備えている。
本発明の固体撮像素子つまり裏面光入射型CCDによると、光電変換領域(PD)と対応する転送レジスタ(VCCD)を少なくとも2つ有するため、CCDに光を照射した際に、PDを透過して各VCCDで光電変換されてスミア成分となる電荷は各VCCDに蓄積される。このため、例えば各VCCDの配置面積を同じにし且つ各VCCDの不純物領域を同じ注入条件で形成することによって、各VCCDに蓄積されるスミア成分がほぼ同じ量となる。よって、各VCCDに蓄積された電荷(第1の転送レジスタに蓄積された信号電荷及びスミア成分と、第2の転送レジスタに蓄積されたスミア成分)、又はその電荷量に応じたCCDの各出力の差分をとることにより、スミア成分を除去することができるので、スミアレスの高品質な画像を得ることができる。
また、VCCDには、ノイズとなって画質を低下させる暗電流成分が常に存在しているが、本発明によれば、各VCCDについて前述のように差分をとることによって、この暗電流成分についても同時に除去することができるため、より高品質な画像を得ることができる。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
尚、以下に説明する実施形態は、本発明に係る固体撮像素子及びそれを用いた固体撮像装置を分かりやすく説明するための一例であって、本発明は、その要旨とする部分についてこれらに限定されるものではない。
(第1の実施形態)
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像素子、具体的には裏面光入射型固体撮像素子を表面側及び裏面側のそれぞれから見た平面図である。図2(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る裏面光入射型固体撮像素子の単位セルにおける水平方向(図1(a)のA−A’線)及び垂直方向(図1(a)のB−B’線)のそれぞれの断面図である。
図1(a)及び(b)は、本発明の第1の実施形態に係る固体撮像素子、具体的には裏面光入射型固体撮像素子を表面側及び裏面側のそれぞれから見た平面図である。図2(a)及び(b)は本発明の第1の実施形態に係る裏面光入射型固体撮像素子の単位セルにおける水平方向(図1(a)のA−A’線)及び垂直方向(図1(a)のB−B’線)のそれぞれの断面図である。
図1(b)及び図2(a)、(b)に示すように、p型半導体基板151の裏面側には、当該裏面に入射した光を信号電荷に変換して蓄積する光電変換領域(PD)101が行列状に複数設けられている。一方、図1(a)及び図2(a)、(b)に示すように、p型半導体基板151の表面側には、裏面側のPD101と対応するように、具体的には、PD101の垂直方向の配列に沿って、PD101に蓄積された信号電荷を読み出して転送する第1VCCD102と、電荷の転送のみを行う第2VCCD103とが互いに隣り合うように設けられている。PD101の1つと、それに対応する第1VCCD102及び第2VCCD103とによって単位セル104が構成されている。すなわち、単位セル104は垂直方向及び水平方向のそれぞれに2次元状に配列されて画素領域105を形成している。第1VCCD102及び第2VCCD103のそれぞれから転送されてくる電荷は、HCCD106を通じてFDA107へと転送され、出力信号電圧に変換される。
具体的には、第1VCCD102は、p型半導体基板151の表面部に形成された第1n型不純物領域155と、第1n型不純物領域155上にゲート絶縁膜152を介して形成された第1ゲート電極157とを有し、第2VCCD103は、p型半導体基板151の表面部に形成された第2n型不純物領域156と、第2n型不純物領域156上にゲート絶縁膜152を介して形成された第2ゲート電極158とを有する。尚、p型半導体基板151の表面上にはゲート電極157及び158を覆うように絶縁膜159が形成されており、その上に支持基板160が貼り合わされている。
また、PD101は、p型半導体基板151の裏面部に形成された高濃度p型不純物領域162と、高濃度p型不純物領域162よりも基板内部側に形成された第3n型不純物領域163とを有している。尚、p型半導体基板151の裏面上には絶縁膜161が形成されている。
次に、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示す本実施形態の固体撮像素子の一連の動作について、図3(a)〜(d)を参照しながら説明する。尚、図3(a)〜(d)は、図2(a)のC−D線及びC−D’線に対応する単位セル(PD101、第1VCCD102、第2VCCD103)のポテンシャル図である。
まず、図3(a)は、本実施形態に係る固体撮像素子の裏面側に光の入射が無く、PD101、第1VCCD102及び第2VCCD103に信号電荷が蓄積されていない状態のポテンシャル図である。このとき、第1ゲート電極157及び第2ゲート電極158にはそれぞれ信号電荷蓄積電圧VM(例えば0V)が印加されている。
次に、図3(b)は、本実施形態に係る固体撮像素子の裏面側からPD101に光が入射したときのポテンシャル図である。すなわち、PD101に入射した光は、光電変換されて信号電荷となり、PD101に蓄積される。ここで、本実施形態に係る固体撮像素子のような裏面光入射型固体撮像素子においては、その構造上、PD101よりも深い領域で光電変換された信号電荷が第1VCCD102及び第2VCCD103に蓄積されて偽信号(スミア成分)A、Bとなる。
次に、図3(c)は、PD101への信号電荷の蓄積が完了し、PD101に蓄積された信号電荷を第1VCCD102に転送する際の(読み出し動作の際の)ポテンシャル図である。前述のように、本実施形態では第1VCCD102によって読み出し動作が行われる。具体的には、第1ゲート電極157に信号電荷読み出し電圧VH(例えば15V)を印加することによって、PD101から第1VCCD102に信号電荷が転送される。これにより、第1VCCD102には、当該信号電荷とスミア成分Aとが蓄積される。一方、第1VCCD102による読み出し動作の間、第2ゲート電極158に印加されている電圧を信号電荷蓄積電圧VMのままにしておく。
次に、図3(d)は、読み出し動作完了後のポテンシャル図である。すなわち、第1ゲート電極157に印加されていた信号電荷読み出し電圧VHを信号電荷蓄積電圧VMに戻すことによって読み出し動作は完了する。このとき、下記(式1)及び(式2)に示すように、第1VCCD102には、PD101から転送されてきた信号電荷(以下、蓄積信号電荷という)とスミア成分Aとが足し合わされた電荷が蓄積されていると共に、第2VCCD103にはスミア成分Bの電荷が蓄積されている。
第1VCCDに蓄えられた電荷量 = 蓄積信号電荷+スミア成分A ・・・(式1)
第2VCCDに蓄えられた電荷量 = スミア成分B ・・・(式2)
そして、第1VCCD102及び第2VCCD103に蓄積された電荷は、その後、HCCD106へと転送された後、FDA107で電圧変換され、下記(式3)及び(式4)に示すように、各VCCDに蓄えられた電荷量に対応する出力電圧A、Bが得られる。
第2VCCDに蓄えられた電荷量 = スミア成分B ・・・(式2)
そして、第1VCCD102及び第2VCCD103に蓄積された電荷は、その後、HCCD106へと転送された後、FDA107で電圧変換され、下記(式3)及び(式4)に示すように、各VCCDに蓄えられた電荷量に対応する出力電圧A、Bが得られる。
出力電圧A = (第1VCCDに蓄えられた電荷量)×CE ・・・(式3)
出力電圧B = (第2VCCDに蓄えられた電荷量)×CE ・・・(式4)
尚、(式3)及び(式4)において、CEは、FDA107における電荷を電圧に変換する変換効率である。
出力電圧B = (第2VCCDに蓄えられた電荷量)×CE ・・・(式4)
尚、(式3)及び(式4)において、CEは、FDA107における電荷を電圧に変換する変換効率である。
ところで、本実施形態においては、第1VCCD102を構成する第1n型不純物領域155の単位セル当りの配置面積と、第2VCCD103を構成する第2n型不純物領域157の単位セル当りの配置面積とが実質的に同じに設定されていると共に、第1n型不純物領域155及び第2n型不純物領域157が同じ不純物導入工程によって形成されている。これにより、本実施形態においては、第1VCCD102及び第2VCCD103のそれぞれにおいて発生するスミア成分A、Bはほぼ同じ電荷量となり、下記(式5)が成り立つ。
スミア成分A = スミア成分B = スミア成分 ・・・(式5)
従って、出力電圧A、Bの差分をとれば、(式1)〜(式5)より、下記(式6)が成り立つ。
従って、出力電圧A、Bの差分をとれば、(式1)〜(式5)より、下記(式6)が成り立つ。
出力電圧A−出力電圧B
={(蓄積信号電荷+スミア成分A)−(スミア成分B)}×CE
={(蓄積信号電荷+スミア成分)−(スミア成分)}×CE
=(蓄積信号電荷)×CE ・・・(式6)
すなわち、例えばCDS(Correlated Double Sampling)回路等を用いて、本実施形態に係る固体撮像素子により得られた出力電圧A、Bの差分を取ることによって、スミア成分を含まない、PD101に蓄積された本来の信号電荷のみの出力電圧Cを得ることができる。図4は、本実施形態に係る固体撮像素子であるCCD100とCDS回路110とからなる固体撮像装置の概略構成を示している。ここで、CDS回路110はCCD100とは別のチップに搭載される。
={(蓄積信号電荷+スミア成分A)−(スミア成分B)}×CE
={(蓄積信号電荷+スミア成分)−(スミア成分)}×CE
=(蓄積信号電荷)×CE ・・・(式6)
すなわち、例えばCDS(Correlated Double Sampling)回路等を用いて、本実施形態に係る固体撮像素子により得られた出力電圧A、Bの差分を取ることによって、スミア成分を含まない、PD101に蓄積された本来の信号電荷のみの出力電圧Cを得ることができる。図4は、本実施形態に係る固体撮像素子であるCCD100とCDS回路110とからなる固体撮像装置の概略構成を示している。ここで、CDS回路110はCCD100とは別のチップに搭載される。
以上に説明したように、本実施形態によれば、PD101と対応するようにVCCD102及び103が設けられているため、CCDに光を照射した際に、PD101を透過して各VCCD102及び103で光電変換されてスミア成分となる電荷は各VCCD102及び103に蓄積される。このため、本実施形態のように、各VCCD102及び103の配置面積を同じにし且つ各VCCD102及び103の不純物領域155及び157を同じ注入条件で形成することによって、各VCCD102及び103に蓄積されるスミア成分がほぼ同じ量となる。よって、各VCCD102及び103に蓄積された電荷(第1VCCD102に蓄積された信号電荷及びスミア成分と、第2VCCD103に蓄積されたスミア成分)に応じたCCDの各出力電圧A、Bの差分をとることにより、スミア成分を除去して、PD101に蓄積された本来の信号電荷のみの出力電圧Cを得ることができるので、スミアレスの高品質な画像を得ることができる。
また、VCCDには、ノイズとなって画質を低下させる暗電流成分が常に存在しているが、本実施形態によれば、各VCCD102及び103について前述のように差分をとることによって、この暗電流成分についても同時に除去することができるため、より高品質な画像を得ることができる。
尚、第1の実施形態において、第1VCCD102及び第2VCCD103とは別に、電荷読み出し機能又は電荷転送機能を持つ1つ又は複数の他のVCCDをp型半導体基板151の表面側に設けてもよい。すなわち、PD101と対応するように、3つ以上のVCCDを設けてもよい。
また、第1の実施形態において、例えば図5に示すように、第1VCCD102及び第2VCCD103と、HCCD106との間にブランキング領域108を設けてもよい。このようにすると、第1VCCD102及び第2VCCD103にそれぞれ蓄積された電荷をHCCD106へと転送する際に、第1VCCD102及び第2VCCD103のそれぞれから電荷が同時にブランキング領域108へと転送されたとしても、ブランキング領域108からHCCD106へは各VCCDの電荷を交互に転送することができる。
また、第1の実施形態において、ゲート電極157及び158の構成は特に限定されるものではないが、例えば2相駆動のCCDの場合には、図6に示すように、ゲート電極157及び158を構成することができる。すなわち、各単位セル104内には、第1ゲート電極157を構成する電極157A及び157Bと、第2ゲート電極158を構成する電極158A及び158Bとが配置されている。ここで、電極157Aと電極158Aとが複数の単位セル104を水平方向に横断して互いに接続されており、同様に、電極157Bと電極158Bとが複数の単位セル104を水平方向に横断して互いに接続されている。また、電極157A及び158Aに電圧を供給するためにコンタクト171が設けられていると共に電極157B及び158Bに電圧を供給するためにコンタクト172が設けられている。尚、コンタクト171及び172は全ての単位セル104に設ける必要はなく、電圧降下を防止できる程度の数だけ設けてやればよい。図6に示す構成においては、電極157A及び158Aと電極157B及び158Bとに交互に電圧を印加してやることにより、電荷を垂直方向に転送することができる。
以下、本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法について図面を参照しながら説明する。図7(a)〜(d)、図8(a)〜(d)及び図9(a)〜(d)は本実施形態に係る固体撮像素子の製造方法の各工程を示す断面図であり、図7(a)、(c)、図8(a)、(c)及び図9(a)、(c)は図1(a)のA−A’線に対応する単位セルの水平方向の断面図であり、図7(b)、(d)、図8(b)、(d)及び図9(b)、(d)は図1(a)のB−B’線に対応する単位セルの垂直方向の断面図である。尚、図7(a)〜(d)、図8(a)〜(d)及び図9(a)〜(d)において、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付す。また、本実施形態の製造方法を説明するに当り、本実施形態の主要構成要素である単位セル104についての説明を行い、その他の構成要素であるHCCD106やFDA107の製造方法については説明を省略する。
まず、図7(a)及び(b)に示すように、p型半導体基板151の表面上に、熱酸化法等によって、ゲート絶縁膜152(例えば厚さ20nm)を形成する。ゲート絶縁膜152は例えば酸化シリコン膜よりなる。次に、ゲート絶縁膜152上にフォトレジスト膜(図示省略)を形成し、第1VCCD102及び第2VCCD103の電荷転送領域が形成される領域と重なるフォトレジスト膜を除去する。その後、当該フォトレジスト膜をマスクとして、例えば注入エネルギーを200keV、ドーズ量を4.0×1012/cm2 とする条件で、砒素(As)等のn型不純物をp型半導体基板151の表面部にイオン注入する。これにより、第1VCCD102の電荷転送領域となる第1n型不純物領域155及び第2VCCD103の電荷転送領域となる第2n型不純物領域156が形成される。
次に、図7(c)及び(d)に示すように、前述のフォトレジスト膜を完全に除去した後、ゲート絶縁膜152上にCVD法等を用いて多結晶シリコン膜(例えば厚さ300nm)を形成する。その後、当該多結晶シリコン膜上にフォトレジスト(図示省略)を形成し、第1VCCD102及び第2VCCD103のゲート電極が形成される領域以外のフォトレジスト膜を除去する。続いて、当該フォトレジスト膜をマスクとして、前述の多結晶シリコン膜に対して例えばRIE(Reactive Ion Etching)を行うことにより、第1VCCD102の第1ゲート電極157及び第2VCCD103の第2ゲート電極158を形成する。
次に、図8(a)及び(b)に示すように、前述のフォトレジスト膜を完全に除去した後、p型半導体基板101の表面にSOG(Spin On Glass )処理等を施し、ゲート電極157及び158を覆う絶縁膜159(例えば厚さ10μm程度)を形成すると共に当該絶縁膜159の表面を平坦化する。尚、このとき、必要であれば、CMP(Chemical Mechanical Polishing )等の平坦化処理を行う。その後、絶縁膜159上にp型半導体基板等からなる支持基板160を貼り合わせる。
次に、図8(c)及び(d)に示すように、p型半導体基板151の裏面側(VCCD102及び103が形成されていない側)をCMP等により研磨することによって、p型半導体基板151を薄く(例えば厚さ10μm)する。
次に、図9(a)及び(b)に示すように、薄くしたp型半導体基板151の裏面側に熱酸化法等により絶縁膜161(例えば厚さ20nm)を形成する。ここで、絶縁膜161は例えば酸化シリコン膜である。その後、絶縁膜161上にフォトレジスト膜(図示省略)を形成し、後述の高濃度p型不純物領域162が形成される領域と重なるフォトレジスト膜を除去する。その後、当該フォトレジスト膜をマスクとして、例えば注入エネルギーを10keV、ドーズ量1.0×1014/cm2 とする条件で、ホウ素(B)等のp型不純物をp型半導体基板151の裏面部にイオン注入する。これにより、p型半導体基板151の裏面部に高濃度p型不純物領域162が形成される。
次に、図9(c)及び(d)に示すように、前述のフォトレジスト膜を完全に除去した後、再度、新たにフォトレジスト膜(図示省略)を形成し、後述の第3n型不純物領域163が形成される領域と重なるフォトレジスト膜を除去する。その後、当該フォトレジスト膜をマスクとして、例えば注入エネルギー500keV、ドーズ量1.0×1012/cm2 とする条件で、As等のn型不純物をp型半導体基板151の裏面部にイオン注入する。これにより、高濃度p型不純物領域162よりも基板内部側に第3n型不純物領域163が形成される。尚、PD101は、高濃度p型不純物領域162及び第3n型不純物領域163から構成される。その後、前述のフォトレジスト膜を完全に除去する。以上の工程を経て、本実施形態に係る固体撮像素子の主要部が完成する。
(第2の実施形態)
図10(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係る裏面光入射型固体撮像素子の単位セルにおける水平方向(図1(a)のA−A’線)及び垂直方向(図1(a)のB−B’線)のそれぞれの断面図である。尚、本発明の第2の実施形態に係る裏面光入射型固体撮像素子の平面構成及び垂直方向の断面構成は、図1(a)、(b)及び図2(b)に示す第1の実施形態と基本的に同じである。また、図10(a)及び(b)において、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
図10(a)及び(b)は、本発明の第2の実施形態に係る裏面光入射型固体撮像素子の単位セルにおける水平方向(図1(a)のA−A’線)及び垂直方向(図1(a)のB−B’線)のそれぞれの断面図である。尚、本発明の第2の実施形態に係る裏面光入射型固体撮像素子の平面構成及び垂直方向の断面構成は、図1(a)、(b)及び図2(b)に示す第1の実施形態と基本的に同じである。また、図10(a)及び(b)において、図1(a)、(b)及び図2(a)、(b)に示す構成要素と同一の構成要素には同一の符号を付すことにより、重複する説明を省略する。
図10(a)に示すように、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1VCCD102は、p型半導体基板151の表面部に形成された第1n型不純物領域155と、第1n型不純物領域155上にゲート絶縁膜152を介して形成された第1ゲート電極157とを有し、第2VCCD103は、p型半導体基板151の表面部に形成された第2n型不純物領域156と、第2n型不純物領域156上にゲート絶縁膜152を介して形成された第2ゲート電極158とを有する。尚、p型半導体基板151の表面上にはゲート電極157及び158を覆うように絶縁膜159が形成されており、その上に支持基板160が貼り合わされている。また、PD101は、p型半導体基板151の裏面部に形成された高濃度p型不純物領域162と、高濃度p型不純物領域162よりも基板内部側に形成された第3n型不純物領域163とを有している。尚、p型半導体基板151の裏面上には絶縁膜161が形成されている。
本実施形態が第1の実施形態と異なっている点は以下の通りである。すなわち、第1の実施形態においては、第1VCCD102を構成する第1n型不純物領域155の単位セル当りの配置面積と、第2VCCD103を構成する第2n型不純物領域157の単位セル当りの配置面積とが実質的に同じに設定されていた。それに対して、本実施形態においては、第1VCCD102を構成する第1n型不純物領域155の単位セル当りの配置面積は、第2VCCD103を構成する第2n型不純物領域157の単位セル当りの配置面積よりも大きく設定されている。具体的には、図10(a)に示すように、第1VCCD102を構成する第1n型不純物領域155の幅を、第2VCCD103を構成する第2n型不純物領域157の幅の3倍に設定している。これにより、本実施形態においては、第1VCCD102において発生するスミア成分Aの電荷量は、第2VCCD103において発生するスミア成分Bの電荷量の3倍となり、下記(式7)が成り立つ。
スミア成分A = スミア成分B×3 = スミア成分 ・・・(式7)
従って、出力電圧A(第1の実施形態の(式3)参照)と出力電圧B(第1の実施形態の(式4)参照)との差分をとれば、第1の実施形態の(式1)〜(式4)及び本実施形態の(式7)より、下記(式8)が成り立つ。
従って、出力電圧A(第1の実施形態の(式3)参照)と出力電圧B(第1の実施形態の(式4)参照)との差分をとれば、第1の実施形態の(式1)〜(式4)及び本実施形態の(式7)より、下記(式8)が成り立つ。
出力電圧A−出力電圧B×3
={(蓄積信号電荷+スミア成分A)−(スミア成分B×3)}×CE
={(蓄積信号電荷+スミア成分)−(スミア成分)}×CE
=(蓄積信号電荷)×CE ・・・(式8)
すなわち、例えば演算回路を用いて、各VCCDの配置面積の比に基づいて出力電圧Bを増幅すると共に、例えばCDS回路等を用いて、出力電圧Aと増幅後の出力電圧B(出力電圧B’)との差分を取ることによって、スミア成分を含まない、PD101に蓄積された本来の信号電荷のみの出力電圧Cを得ることができる。図11は、本実施形態に係る固体撮像素子であるCCD100とCDS回路110と演算回路120とからなる固体撮像装置の概略構成を示している。ここで、CDS回路110及び演算回路120はCCD100とは別のチップに搭載される。
={(蓄積信号電荷+スミア成分A)−(スミア成分B×3)}×CE
={(蓄積信号電荷+スミア成分)−(スミア成分)}×CE
=(蓄積信号電荷)×CE ・・・(式8)
すなわち、例えば演算回路を用いて、各VCCDの配置面積の比に基づいて出力電圧Bを増幅すると共に、例えばCDS回路等を用いて、出力電圧Aと増幅後の出力電圧B(出力電圧B’)との差分を取ることによって、スミア成分を含まない、PD101に蓄積された本来の信号電荷のみの出力電圧Cを得ることができる。図11は、本実施形態に係る固体撮像素子であるCCD100とCDS回路110と演算回路120とからなる固体撮像装置の概略構成を示している。ここで、CDS回路110及び演算回路120はCCD100とは別のチップに搭載される。
以上に説明したように、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果が得られるだけではなく、読み出しVCCDである第1VCCD102の配置面積を相対的に大きくしているため、転送可能な信号電荷量をより多く確保することができるので、固体撮像素子の性能をさらに向上させることができる。
尚、本実施形態においても、第1の実施形態と同様に、第1n型不純物領域155及び第2n型不純物領域157が同じ不純物導入工程によって形成されていてもよい。
以上に説明したように、本発明は、裏面光入射型の固体撮像素子及びそれを用いた固体撮像装置において、光電変換領域と対応する転送レジスタを2つ以上設けることにより、転送レジスタ内で発生したスミア成分を除去できるという効果が得られ、有用である。
100 CCD
101 PD
102 第1VCCD
103 第2VCCD
104 単位セル
105 画素領域
106 HCCD
107 FDA
108 ブランキング領域
110 CDS回路
120 演算回路
151 p型半導体基板
152 ゲート絶縁膜
155 第1n型不純物領域
156 第2n型不純物領域
157 第1ゲート電極
157A、157B 第1ゲート電極157を構成する電極
158 第2ゲート電極
158A、158B 第2ゲート電極158を構成する電極
159 絶縁膜
160 支持基板
161 絶縁膜
162 高濃度p型不純物領域
163 第3n型不純物領域
171、172 コンタクト
101 PD
102 第1VCCD
103 第2VCCD
104 単位セル
105 画素領域
106 HCCD
107 FDA
108 ブランキング領域
110 CDS回路
120 演算回路
151 p型半導体基板
152 ゲート絶縁膜
155 第1n型不純物領域
156 第2n型不純物領域
157 第1ゲート電極
157A、157B 第1ゲート電極157を構成する電極
158 第2ゲート電極
158A、158B 第2ゲート電極158を構成する電極
159 絶縁膜
160 支持基板
161 絶縁膜
162 高濃度p型不純物領域
163 第3n型不純物領域
171、172 コンタクト
Claims (7)
- 半導体基板の一面側に設けられており、且つ当該一面に入射した光を信号電荷に変換して当該信号電荷を蓄積する光電変換領域と、
前記半導体基板の他面側に前記光電変換領域に対応するように設けられており、且つ前記光電変換領域に蓄積された前記信号電荷を読み出して転送する第1の転送レジスタと、
前記半導体基板の他面側に前記光電変換領域に対応するように設けられており、且つ電荷の転送のみを行う第2の転送レジスタとを備えていることを特徴とする固体撮像素子。 - 請求項1に記載の固体撮像素子において、
前記光電変換領域は行列状に複数配置されており、
前記光電変換領域の所定方向の配列に沿って前記第1の転送レジスタ及び前記第2の転送レジスタが配置されていることを特徴とする固体撮像素子。 - 請求項1又は2に記載の固体撮像素子において、
前記第1の転送レジスタ及び前記第2の転送レジスタはそれぞれ、同じ不純物導入工程によって形成された不純物領域を有することを特徴とする固体撮像素子。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像素子において、
前記第1の転送レジスタの配置面積と前記第2の転送レジスタの配置面積とは実質的に同じであることを特徴とする固体撮像素子。 - 請求項1〜3のいずれか1項に記載の固体撮像素子において、
前記第1の転送レジスタの配置面積は前記第2の転送レジスタの配置面積よりも大きいことを特徴とする固体撮像素子。 - 請求項4に記載の固体撮像素子と、
前記第1の転送レジスタ及び前記第2の転送レジスタのそれぞれから出力された信号を入力として、当該両信号の差分を出力する差分回路とを備えていることを特徴とする固体撮像装置。 - 請求項5に記載の固体撮像素子と、
前記第1の転送レジスタの配置面積と前記第2の転送レジスタの配置面積との比に基づいて、前記第2の転送レジスタから出力された信号を増幅する演算回路と、
前記第1の転送レジスタから出力された信号及び前記演算回路から出力された信号を入力として、当該両信号の差分を出力する差分回路とを備えていることを特徴とする固体撮像装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008157686A JP2009302443A (ja) | 2008-06-17 | 2008-06-17 | 固体撮像素子及び固体撮像装置 |
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Publications (1)
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ID=41549008
Family Applications (1)
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JP2008157686A Pending JP2009302443A (ja) | 2008-06-17 | 2008-06-17 | 固体撮像素子及び固体撮像装置 |
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Country | Link |
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2008
- 2008-06-17 JP JP2008157686A patent/JP2009302443A/ja active Pending
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