JP2009301296A - 流量制御装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】低コストで信頼性が高くメンテナンスも容易な、流量制御装置を提供する。
【解決手段】液体供給装置10は、水を貯留する貯留槽12、および貯留槽12に取り付けられる流量制御装置14を備える。流量制御装置14は、貯留槽12の水中に配置されるパイプ20、パイプ20の入口20a側の端部に接続されるキャップ22、キャップ22に対して揺動可能に設けられる取り付け部材24、取り付け部材24に取り付けられる2つの浮き26、およびパイプ20を矢印D方向に揺動可能に支持する支持部材44を含む。浮き26の昇降によって、パイプ20は、水面に対する傾きが変化するように軸Sを中心として矢印D方向に揺動する。パイプ20が揺動しても、水面から入口20aまでの深さは略一定に保たれ、貯留槽12からの水の流量を略一定に保つことができる。
【選択図】図1

Description

この発明は流量制御装置に関し、より特定的には、貯留槽から一定の流量で液体を流出させるための流量制御装置に関する。
一般に、たとえば特許文献1に開示されているように、貯留槽の液体を一定の流量で供給する液体供給装置には、浮きと可撓性を有する螺旋状のパイプとを含む流量制御装置を用いることが知られている。このような流量制御装置では、貯留槽の液体中に配置されるパイプの上端部が貯留槽の液面に浮かぶ浮きに接続され、当該パイプの下端部が貯留槽の流出口に接続されている。貯留槽の液体は、浮き近傍に設けられるパイプの入口からパイプの流路に流入した後に流下して貯留槽から流出する。貯留槽の液位は貯留槽の液体の増減に伴って変化するが、パイプの上端部に浮きが接続されていることによって液面からパイプの入口までの深さが略一定に保たれる。これによって、流路の液体に与えられる圧力を略一定に保つことができ、貯留槽からの液体の流量を略一定に保つことができる。
特開2000−246087号公報
しかし、可撓性を有する螺旋状のパイプは製造が難しく、特許文献1の装置では、このようなパイプを用いることによってコストが高くなるという問題があった。また、螺旋状のパイプは流路に異物が詰まりやすく、安定して液体を流出させることができなくなるおそれがあり、信頼性が低下するという問題があった。さらに、螺旋状のパイプは流路の清掃等が難しく、メンテナンスに手間がかかるという問題があった。
それゆえに、この発明の主たる目的は、低コストで信頼性が高くメンテナンスも容易な、流量制御装置を提供することである。
上述の目的を達成するために、請求項1に記載の流量制御装置は、貯留槽から一定の流量で液体を流出させるための流量制御装置であって、前記貯留槽の前記液体が入口から出口へと流れる流路を有する棒状の第1パイプ、前記第1パイプの前記入口側の端部に設けられる浮き、および前記第1パイプの前記出口側の端部に設けられ前記第1パイプを揺動可能に支持する支持手段を備える。
請求項2に記載の流量制御装置は、請求項1に記載の流量制御装置において、前記第1パイプの軸方向に直交しかつ水平方向に延びる所定軸を中心として前記浮きを揺動可能に配置する配置手段をさらに含むことを特徴とする。
請求項3に記載の流量制御装置は、請求項2に記載の流量制御装置において、前記配置手段には、前記所定軸までの距離がそれぞれ等しくなるように複数の前記浮きが設けられることを特徴とする。
請求項4に記載の流量制御装置は、請求項2または3に記載の流量制御装置において、前記配置手段の前記所定軸は、前記第1パイプの上側かつ前記入口よりも前記出口とは反対側に設けられることを特徴とする。
請求項5に記載の流量制御装置は、請求項1から4のいずれかに記載の流量制御装置において、前記入口の一部を塞ぐ調整部材をさらに含むことを特徴とする。
請求項6に記載の流量制御装置は、請求項1から5のいずれかに記載の流量制御装置において、前記第1パイプに接続され前記流路を前記液体外の空間に連通させる第2パイプをさらに含むことを特徴とする。
請求項1に記載の流量制御装置では、貯留槽の液面に浮かぶ浮きの昇降に伴って液面に対するその傾きが変化するように棒状の第1パイプが揺動する。これによって、貯留槽の液位(液面の高さ)が変化しても貯留槽の液面から第1パイプの入口までの深さを略一定に保つことができる。ひいては、液位が変化しても、流路の液体に与えられる圧力を略一定にでき、貯留槽からの液体の流量を略一定に保つことができる。このように簡単な形状の可撓性を有しない第1パイプを揺動させることによって、螺旋状等の複雑な形状の可撓性を有するパイプを用いる必要がなくなり、コストを抑えることができる。また、棒状の第1パイプでは流路に異物が詰まりにくいので、複雑な形状のパイプを用いる場合に比べて、長期間に亘って安定して液体を流出させることができ、信頼性を向上できる。さらに、棒状の第1パイプでは流路の清掃が容易であり、複雑な形状のパイプを用いる場合に比べてメンテナンスを容易にできる。
請求項2に記載の流量制御装置では、第1パイプの軸方向に直交しかつ水平方向に延びる所定軸を中心として浮きを揺動可能に配置することによって、第1パイプの揺動角度にかかわらず液面に対する浮きの傾き(姿勢)を一定に保つことができる。したがって、第1パイプの揺動に伴う液面から第1パイプの入口までの深さの変化を抑えることができ、より確かに液体の流量を一定に保つことができる。
請求項3に記載の流量制御装置では、所定軸までの距離がそれぞれ等しくなるように複数の浮きが設けられることによって、貯留槽の液面が波打った場合であっても各浮きの傾きを抑えることができる。したがって、液体中で第1パイプを安定して配置でき、液体を略一定の流量で安定して流出させることができる。
第1パイプの揺動に伴って第1パイプの入口の中心と所定軸の中心との深さの差はサインカーブを描くように変化する。請求項4に記載の流量制御装置では、第1パイプの入口の中心と所定軸の中心とを結ぶ直線と水平線とがなす角度が60°〜90°程度の範囲で変化するように、所定軸が第1パイプの上側かつ入口よりも出口とは反対側に設けられる。これによって、入口の中心と所定軸の中心との深さの差の変化を抑えることができる。ひいては、液面から第1パイプの入口までの深さの変化をより一層抑えることができる。また、このように所定軸が設けられることによって、第1パイプの入口よりも出口側に所定軸を設ける場合に比べて液位の変化に伴う第1パイプの揺動角度の変化を小さくできる。これによっても、液面から第1パイプの入口までの深さの変化を抑えることができる。したがって、より一層確かに液体の流量を一定に保つことができる。
請求項5に記載の流量制御装置では、調整部材によって第1パイプの入口の一部を塞ぐことで、第1パイプの流路に液体が流入しにくくなり、貯留槽からの液体の流量が調整(削減)される。このような調整部材を第1パイプの入口を塞ぐ部分の大きさが異なるものに交換することによって、貯留槽からの液体の流量を簡単に変更できる。
請求項6に記載の流量制御装置では、第2パイプによって第1パイプの流路が貯留槽の液体外の空間に連通されることによって、流路を一定の気圧に保つことができる。これによって、たとえばメンテナンスのために貯留槽からの液体の流出を一旦止めて再開する場合に、第1パイプへの液体の流入および第1パイプからの液体の流出を円滑にできる。ひいては、貯留槽から円滑に液体を流出させることができる。
この発明によれば、低コストで信頼性が高くメンテナンスも容易な流量制御装置が得られる。
以下、図面を参照してこの発明の実施の形態について説明する。
ここでは、この発明の流量制御装置が適用される液体供給装置10について説明する。
図1〜図3を参照して、液体供給装置10は、液体として水を貯留する貯留槽12、および貯留槽12に取り付けられる流量制御装置14を含む。
貯留槽12は、上端開口の中空略直方体状に形成され、たとえば、図示しないろ過装置によってろ過された川、池、井戸等の水源からの水を貯留する。貯留槽12の上端部には、貯留槽12内に異物が入ることを防止するために蓋16が被せられる。蓋16の上面には、貯留槽12内の空間と外部との間で空気を流通させるためのパイプ18が設けられる。これによって、蓋16が被せられた貯留槽12内で水位(水面の高さ)が変化しても貯留槽12内の空間を大気圧に保つことができる。流量制御装置14は、このような貯留槽12に取り付けられる。なお、図2には、蓋16が取り外された状態が示されている。また、図2には図1に破線で示す状態の流量制御装置14が示され、図3には図1に一点鎖線で示す状態の流量制御装置14が示されている。
この発明の一実施形態の流量制御装置14は、貯留槽12の水中に配置されるパイプ20、パイプ20に接続されるキャップ22、キャップ22に設けられる取り付け部材24、貯留槽12の水面に浮かべられる複数(ここでは2つ)の浮き26、およびパイプ20の側面に接続されるパイプ28を含む。
図4〜図6を参照して、パイプ20は、矢印A方向に直線状に延びる両端開口かつ断面円形の棒状(円筒状)に形成される。図4に示すように、パイプ20は、一方端の入口20aから他方端の出口20bへと矢印A方向に直線状に延びる流路20cを有する。このようなパイプ20は、たとえばPVC(ポリ塩化ビニル)等の合成樹脂や銅等の金属からなり可撓性を有しない。殺菌作用を有する銅等の重金属からなるパイプ20を用いることによって、貯留槽12の水や流路20cの水を殺菌できる。したがって、殺菌作用を有する銅等からなるパイプ20は、液体供給装置10が浄水システムの一部を構成する場合に好適に用いられる。
図7をも参照して、キャップ22は、たとえばPVC等の合成樹脂からなり、直方体状に形成される。キャップ22には、矢印A方向(パイプ20の軸方向)に延びる貫通孔30が設けられる。また、キャップ22の上面には、矢印A方向に延びる溝32が設けられる。なお、図7には、パイプ20、キャップ22、取り付け部材24、調整部材34(後述)およびボルト36(後述)のみが示されており、パイプ20、キャップ22、調整部材34およびボルト36のみが断面で示されている。
貫通孔30は、大径部30aと大径部30aよりも径が小さい小径部30bとによって構成される。これによって、貫通孔30には段部30cが設けられる。貫通孔30の大径部30aには、パイプ20の入口20a側の端部(一方端部)が嵌入される。貫通孔30において、パイプ20と段部30cとの間には調整部材34が配置される。
調整部材34は、たとえばPVC等の合成樹脂からなり、パイプ20の入口20aよりも小さい貫通孔34aを中央に有する円板状に形成される(図6および図7参照)。調整部材34は、パイプ20と段部30cとによって挟まれかつその外周面が大径部30aの内周面に隙間なく接することで位置決めされる。このように調整部材34が設けられることによって、パイプ20の入口20aが調整部材34の貫通孔34a以外の部分によって塞がれる。つまり、パイプ20の入口20aの一部が調整部材34によって塞がれる。このような調整部材34は、キャップ22をパイプ20から取り外して貫通孔30から取り出すことができ、貫通孔34aの大きさが異なる別の調整部材34に交換できる。
また、キャップ22にはボルト36が取り付けられる。図4〜図6に示すように、ボルト36の軸部36aは、パイプ20の上側かつ入口20aよりも出口20bとは反対側に設けられ、矢印A方向に直交しかつ溝32を介して水平方向(図6に矢印Bで示す方向)に延びる。図7に示すように、入口20aの中心をP1、軸部36aの中心をP2、中心P1とP2とを結ぶ直線をL、直線Lと水平線とが小径部30b側になす角度をθとすると、軸部36aは、パイプ20と貯留槽12の水面とが平行な状態(図1に破線で示す状態:以下、初期状態という)において角度θが60°程度になるように設けられる。
取り付け部材24は、キャップ22の溝32に配置される挿通部材38、および挿通部材38に連結される取り付け板40を含む。挿通部材38および取り付け板40はそれぞれ、たとえばPVC等の合成樹脂からなる。挿通部材38の下端部にはボルト36の軸部36aが挿通され、挿通部材38の上端部は取り付け板40の下面中央に連結される。このような取り付け部材24は、ボルト36の軸部36aを中心としてキャップ22に対して矢印C方向に揺動可能である。
図4および図5に示すように、2つの浮き26はそれぞれ、たとえばPE(ポリエチレン)等の合成樹脂や銅等の金属からなり、略中空球状に形成される。2つの浮き26は、一方から軸部36aまでの距離と他方から軸部36aまでの距離とが等しくなるように取り付け板40の上面に取り付けられる。これによって、2つの浮き26はそれぞれ、キャップ22に対して軸部36aを中心として矢印C方向に揺動可能に配置される。なお、2つの浮き26は、パイプ20の流路20cが水で充満された状態でもパイプ28の入口28a(後述)が水面上に位置する浮力を有するサイズで構成される。
また、図4〜図6に示すように、取り付け板40の上面中央には、たとえばPVC等の合成樹脂や銅等の金属からなるL字状の支持板42が取り付けられる。支持板42の上端部には円筒状に丸められた挿通部42aが設けられ、挿通部42aにはパイプ28の入口28a(図6参照)側の端部が挿通される。これによって、パイプ28の入口28a側の端部が浮き26の上側に配置され、入口28aを貯留槽12の水面よりも上側に配置できる。また、パイプ28の出口28b側の端部は、パイプ20の側面に設けられる貫通孔20dに嵌入される。これによって、パイプ20の流路20cが貯留槽12内の空間に連通される。パイプ28は、可撓性を有するシリコンホースである。
図8をも参照して、パイプ20の出口20b側の端部(他方端部)には、パイプ20を揺動可能に支持する支持部材44が設けられる。支持部材44は、パイプ20に接続されるキャップ46、キャップ46に接続されるパイプ48、パイプ48に接続されるパイプ50、およびパイプ50に取り付けられるナット52を含む。
図8に示すように、キャップ46は、たとえばPVC等の合成樹脂からなり、直方体状に形成される。キャップ46には、矢印A方向に延びる嵌入孔54、および矢印B方向に延びて嵌入孔54に繋がる貫通孔56が設けられる。嵌入孔54にはパイプ20の出口20b側の端部が嵌入され、貫通孔56にはパイプ48が挿入される。
パイプ48は、たとえばPVC等の合成樹脂からなり、矢印B方向に延びる両端開口の円筒状に形成される。パイプ48は、一方端部から中央部にかけて貫通孔56に挿入される。パイプ48の外径は貫通孔56の内径よりもわずかに小さく、キャップ46とパイプ48とは軸S(二点鎖線で示す)を中心として一方に対して他方を回動させることができる。ひいては、パイプ48に対して軸Sを中心としてキャップ46およびパイプ20を矢印D方向(図4および図5参照)に揺動させることができる。パイプ48には、貫通孔56内に配置される部分において外周面に溝58が設けられる。溝58にはパイプ48の周方向に複数(ここでは4つ)の貫通孔60が設けられる。なお、溝58には等間隔に4つの貫通孔60が設けられ、図8には4つの貫通孔60のうち3つが示されている。
また、パイプ48の他方端部は、パイプ50に嵌入され、パイプ50に固定される。パイプ48には、キャップ46とパイプ50との間において他の部分よりも外径を大きくすることによって鍔部62が設けられる。鍔部62とキャップ46との間には、貫通孔56からの水漏れを防止するとともにキャップ46ひいてはパイプ20を円滑に揺動させるためのOリング64が配置される。また、パイプ48の一方端部にはキャップ46の貫通孔56を覆うように蓋66が嵌入され、蓋66とキャップ46との間にもOリング64が配置される。
パイプ50は、たとえばPE等の合成樹脂からなり、矢印B方向に延びる両端開口の円筒状に形成される。パイプ50は、貯留槽12の側面に設けられる貫通孔12aを嵌通する。パイプ50には、貯留槽12内に配置される部分において他の部分よりも外径を大きくすることによって鍔部68が設けられる。また、パイプ50には、貯留槽12外に配置される部分において外周面に図示しないねじ山が設けられる。ナット52は、当該ねじ山に嵌合させることによってパイプ50に取り付けられる。ナット52を締めてナット52と鍔部68とによって貯留槽12の壁を挟むことでパイプ50ひいては流量制御装置14が貯留槽12に取り付けられる。
この実施形態では、パイプ20が第1パイプに相当し、パイプ28が第2パイプに相当し、ボルト36の軸部36aが所定軸に相当し、支持部材44が支持手段に相当する。配置手段は、キャップ22および取り付け部材24によって構成される。
このような液体供給装置10では、調整部材34の貫通孔34aを介して入口20aからパイプ20の流路20cに貯留槽12の水が流入する。流路20cに流入した水は、水面から入口20aまでの深さに応じた水圧を受けて流路20cを出口20bへと流れ、キャップ46の貫通孔56に流入する。貫通孔56に流入した水は、複数の貫通孔60を介してパイプ48およびパイプ50に順に流入し、パイプ50から外部に流出される。
調整部材34を設けることによって、流路20cに水が流入しにくくなり、貯留槽12からの水の流量が調整(削減)される。上述のように調整部材34に交換することによって貯留槽12からの水の流量を変更できる。なお、『貯留槽12からの水の流量』とは、所定時間あたりに貯留槽12から流出する水の量をいう。
図1に破線および一点鎖線で示すように、水位の変化に伴う浮き26の昇降によって、水面に対するその傾きが変化するように軸Sを中心としてパイプ20が矢印D方向に揺動する。このようにパイプ20が揺動しても、2つの浮き26はそれぞれ軸部36aを中心としてキャップ22に対して矢印C方向に揺動可能であるので(図4および図5参照)、水面に対する2つの浮き26の傾き(姿勢)が一定に保たれる。
また、初期状態の角度θが60°程度に設定されることによって(図7参照)、パイプ20の揺動に伴う水面から入口20aまでの深さの変化を抑えることができる。図7および図9を参照して、その理由を以下に説明する。
図7を参照して、入口20aの中心P1と軸部36aの中心P2との深さの差Hは、直線Lの長さ×sinθで求められる。このことから、深さの差Hは、パイプ20の揺動に伴う角度θの変化によってサインカーブを描くように変化することがわかる。
液体供給装置10においてパイプ20が揺動する範囲は、初期状態から矢印D方向反時計回りに最大でも30°程度である。したがって、初期状態の角度θを60°程度に設定することによって、角度θは60°〜90°程度の範囲で変化する。この場合の角度θの変化に対する深さの差Hの変化態様を図9(a)に示す。
図9(a)では、初期状態の角度θおよび深さの差Hがθ1およびH1で示され、初期状態からパイプ20が15°揺動した状態の角度θおよび深さの差Hがθ2およびH2で示され、初期状態からパイプ20が30°揺動した状態の角度θおよび深さの差Hがθ3およびH3で示されている。図9(a)から、初期状態の角度θを60°程度に設定し、角度θを60°〜90°程度の範囲で変化させることによって、サインカーブの特徴から深さの差Hの変化が小さくなることがわかる。
これに対して、直線Lの長さおよび初期状態の深さの差Hが流量制御装置14と等しくなるように、パイプ20の上側かつ入口20aよりも出口20b側に軸部36aを設けた場合(図7に二点鎖線で示す)の深さの差Hの変化態様を図9(b)に示す。
図9(b)では、軸部36aの中心がP3で示され、初期状態の角度θおよび深さの差Hがθ4およびH4で示され、初期状態からパイプ20が15°揺動した状態の角度θおよび深さの差Hがθ5およびH5で示され、初期状態からパイプ20が30°揺動した状態の角度θおよび深さの差Hがθ6およびH6で示されている。図9(a)と(b)とを比較して、図9(b)では、角度θが120°〜150°程度の範囲で変化し、図9(a)に比べて深さの差Hの変化が大きくなることがわかる。また、パイプ20の揺動角度が同じであっても中心P3の位置が中心P2の位置よりも浅いことから、図9(b)では、同じ揺動角度であっても図9(a)よりも水位が低いことがわかる。このことから、図9(b)では、貯留槽12の水位の変化幅が同じであれば図9(a)に比べてパイプ20の揺動角度が大きくなり、より一層、深さの差Hの変化が大きくなることがわかる。
これらのことから、流量制御装置14では、軸部36aをパイプ20の上側かつ入口20aよりも出口20bとは反対側に設けて角度θを60°〜90°程度の範囲で変化させることで、パイプ20が揺動しても水面から入口20aまでの深さを略一定に保てることがわかる。このように水面から入口20aまでの深さを略一定に保つことができるので、流路20cの水に与えられる水圧を略一定に保つことができ、貯留槽12からの水の流量を略一定に保つことができる。
なお、キャップ22において所定軸をパイプ20の下側に設けることも考えられるが、取り付け部材の挿通部材が大きくなることや挿通部材の形状が複雑になるために所定軸をパイプ20の下側に設けることは現実的ではない。
このような液体供給装置10の流量制御装置14によれば、簡単な形状の可撓性を有しないパイプ20を揺動させることによって、複雑な形状の可撓性を有するパイプを用いる必要がなくなり、コストを抑えることができる。また、棒状のパイプ20では流路20cに異物が詰まりにくいので、長期間に亘って安定して水を流出させることができ、信頼性を向上できる。さらに、棒状のパイプ20では流路20cの清掃が容易であり、メンテナンスを容易にできる。
浮き26をキャップ22に対して矢印C方向に揺動可能に配置することによって、パイプ20の揺動角度にかかわらず水面に対する浮き26の傾きを一定に保つことができる。したがって、パイプ20の揺動に伴う水面から入口20aまでの深さの変化を抑えることができ、より確かに貯留槽12からの水の流量を一定に保つことができる。
軸部36aまでの距離がそれぞれ等しくなるように2つの浮き26が取り付け部材24に取り付けられることによって、貯留槽12の水面が波打った場合であっても各浮き26の傾きを抑えることができる。したがって、水中でパイプ20を安定して配置でき、貯留槽12から水を略一定の流量で安定して流出させることができる。
角度θをサインカーブの変化が小さくなる60°〜90°程度の範囲に保つように軸部36aをパイプ20の上側かつ入口20aよりも出口20bとは反対側に設けることによって、入口20aの中心P1と軸部36aの中心P2との深さの差Hの変化を抑えることができる。ひいては、水面から入口20aまでの深さの変化をより一層抑えることができる。また、軸部36aが入口20aよりも出口20bとは反対側に設けられることによって、水位の変化に伴うパイプ20の揺動角度の変化を小さくできる。これによっても水面から入口20aまでの深さの変化を抑えることができる。したがって、より一層確かに貯留槽12からの水の流量を一定に保つことができる。
調整部材34を貫通孔34aの大きさが異なるものに交換するのみで貯留槽12からの水の流量を簡単に変更できる。
パイプ28によってパイプ20の流路20cが貯留槽12の液体外の空間に連通されることによって、流路20cを一定の気圧に保つことができる。これによって、たとえばメンテナンスのためにバルブ等を用いて貯留槽12からの水の流出を一旦止めて再開する場合に、パイプ20への水の流入およびパイプ20からの水の流出を円滑にできる。ひいては、貯留槽12から円滑に水を流出させることができる。
ついで、液体供給装置10における貯留槽12からの水の流量の推移を図10のグラフに示す。図10には、内径が2.5cmのパイプ20を用い、初期状態(図1に破線で示す状態)の水面から入口20aまでの深さを10cmに設定した場合の推移が示されている。図10のグラフにおいて、F1は貫通孔34aの直径が5mmの調整部材34を用いた場合の推移であり、F2は貫通孔34aの直径が8mmの調整部材34を用いた場合の推移であり、F3は貫通孔34aの直径が10mmの調整部材34を用いた場合の推移である。F1〜F3から、水位が変化しても貫通孔34aの大きさにかかわらず貯留槽12からの水の流量を略一定に保てることがわかる。
なお、上述の実施形態では、2つの浮き26を用いる場合について説明したが、浮き26は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。1つの浮き26を用いる場合は、たとえば、1つの浮き26を挿通部材38の上端部に直接取り付けるようにすればよい。3つ以上の浮き26を用いる場合は、たとえば、その下面中央に挿通部材38が取り付けられた円板状の取り付け板を用い、3つ以上の浮き26を当該取り付け板の外周縁に等間隔に取り付ければよい。
また、上述の実施形態では、キャップ22に対して揺動可能に設けられる取り付け部材24に浮き26を取り付ける場合について説明したが、この発明はこれに限定されない。パイプ20の端部に浮き26を直接取り付けるようにしてもよい。
さらに、上述の実施形態では、直線状に延びる棒状のパイプ20を用いる場合について説明したがこの発明はこれに限定されず、棒状の第1パイプは若干曲がっていてもよい。
この発明の一実施形態の流量制御装置が適用される液体供給装置を示す正面図解図である。 蓋を取り外した状態の液体供給装置を示す平面図解図である。 図1の液体供給装置のX−X断面図である。 この発明の一実施形態の流量制御装置を示す正面図解図である。 図4の流量制御装置の背面図解図である。 図4の流量制御装置の側面図解図である。 パイプの入口側の端部とキャップとの接続部分を示す断面図である。 図4の流量制御装置のY−Y断面図である。 パイプの入口の中心とボルトの軸部の中心との深さの差の変化態様を説明するための図解図である。 流量の推移を示すグラフである。
符号の説明
10 液体供給装置
12 貯留槽
14 流量制御装置
18,20,28,48,50 パイプ
20a,28a 入口
20b,28b 出口
20c 流路
12a,20d,30,34a,56,60 貫通孔
22,46 キャップ
24 取り付け部材
26 浮き
34 調整部材
36 ボルト
36a 軸部
44 支持部材
52 ナット

Claims (6)

  1. 貯留槽から一定の流量で液体を流出させるための流量制御装置であって、
    前記貯留槽の前記液体が入口から出口へと流れる流路を有する棒状の第1パイプ、
    前記第1パイプの前記入口側の端部に設けられる浮き、および
    前記第1パイプの前記出口側の端部に設けられ前記第1パイプを揺動可能に支持する支持手段を備える、流量制御装置。
  2. 前記第1パイプの軸方向に直交しかつ水平方向に延びる所定軸を中心として前記浮きを揺動可能に配置する配置手段をさらに含む、請求項1に記載の流量制御装置。
  3. 前記配置手段には、前記所定軸までの距離がそれぞれ等しくなるように複数の前記浮きが設けられる、請求項2に記載の流量制御装置。
  4. 前記配置手段の前記所定軸は、前記第1パイプの上側かつ前記入口よりも前記出口とは反対側に設けられる、請求項2または3に記載の流量制御装置。
  5. 前記入口の一部を塞ぐ調整部材をさらに含む、請求項1から4のいずれかに記載の流量制御装置。
  6. 前記第1パイプに接続され前記流路を前記液体外の空間に連通させる第2パイプをさらに含む、請求項1から5のいずれかに記載の流量制御装置。
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