JP2009300344A - 有機材料中の無機リンの分析方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】無機リン、特に樹脂中に含まれている赤リンを、簡便、かつ迅速に分析し、有機リンと識別する分析方法を提供する。
【解決手段】
有機材料の試料と水を接触させて水抽出液を得る工程、例えば、有機材料が樹脂である場合は、試料を粉砕し、粉砕された試料を加熱した水中に添加して保持した後、水不溶分を除去して、水不溶分を除去後の水相を水抽出液とする工程、及び、イオンクロマトグラフ分析装置により前記水抽出液中のリン酸イオン量を定量する工程を有することを特徴とする有機材料中に含まれる無機リンの分析方法。
【選択図】なし
【解決手段】
有機材料の試料と水を接触させて水抽出液を得る工程、例えば、有機材料が樹脂である場合は、試料を粉砕し、粉砕された試料を加熱した水中に添加して保持した後、水不溶分を除去して、水不溶分を除去後の水相を水抽出液とする工程、及び、イオンクロマトグラフ分析装置により前記水抽出液中のリン酸イオン量を定量する工程を有することを特徴とする有機材料中に含まれる無機リンの分析方法。
【選択図】なし
Description
本発明は、イオンクロマトグラフ分析装置を用いて、有機材料中に含まれる無機リンを分析する方法に関し、特に、難燃性樹脂に難燃剤として含まれている赤リン等の無機リンを分析する方法に関する。
電気機器に使用される絶縁電線の被覆材料や自動車用内装材等の樹脂材料には、安全性、防火性の観点から難燃性が求められている。そこで、従来は、難燃性樹脂であるポリ塩化ビニル(PVC)が多用されていた。しかし、PVCは、燃焼時に有害な塩素ガスを多量に発生するため、近年は、オレフィン系樹脂等のノンハロゲンの樹脂にノンハロゲンの難燃剤を配合した難燃性樹脂組成物が使用されてきている。
ここでノンハロゲンの難燃剤としては、リン系難燃剤が用いられる。又、水酸化アルミニウムや水酸化マグネシウムのような金属水酸化物等を難燃剤として用いる場合も、その難燃効率を高め、金属水酸化物の配合量を減して機械的特性の低下を防ぐためにも、リン系難燃剤が併用される。
リン系難燃剤としては、リン酸エステル系、含ハロゲンリン酸エステル系等の有機リン系難燃剤、赤リン等の無機リンからなる無機リン系難燃剤が挙げられる。中でも無機リン系難燃剤は、リン元素の含有率が高く、少量添加で難燃性を付与できる特徴があるので、樹脂の種類によっては好ましい難燃剤であり、例えば、特許文献1では、赤リン系難燃剤を含有したオレフィン系樹脂等の難燃性樹脂組成物が提案されている。
この無機リン系難燃剤を含有した難燃性樹脂組成物を用いた製品、例えばこの樹脂組成物を絶縁被覆とする絶縁電線の品質管理のためには、その製造時や出荷時に、赤リン等の無機リンを分析することが望ましい。又、この製品の購入者にとっても、受け入れ検査として無機リンを分析することが望ましい。
一方、赤リン等の無機リンには燃焼時に有害なホスフィンを発生するという問題、廃棄物から水系へのリン分溶出による湖沼の富栄養化を生じる問題等が指摘されており、その使用が望まれない場合もある。又近年、特に有機材料中の赤リンの含有量の規制が厳格になる傾向がある。そこで、これらの観点からも、受け入れ検査等として有機材料中に含まれる赤リン等の無機リンを分析することが望ましい。
特開2004−161924号公報
しかしながら、赤リン等の無機リンは、各種溶剤に溶けず分離回収が困難であることに加え、無機リン自体には赤外吸収もない。ラマン分光装置を用いて分析しても、樹脂等の有機材料中に配合された無機リンを分析する場合は、有機材料の情報が主体となり無機リンに関する情報を識別することができない。
元素分析、例えばエネルギー分散型蛍光X線装置を用いたEDX元素分析によれば元素としてのリンの検出は可能であるが、無機リンと有機リンの識別はできず、リン酸エステル系等の有機リンの含有が考えられる場合は無機リンの分析はできない。このように、従来は、樹脂等の有機材料中の無機リン(赤リン等)を分析する手法は存在しなかった。
本発明は、従来技術のこの問題を解決するためになされたもので、有機材料中の赤リン、黄リン等の無機リン、特に樹脂中に難燃剤として含まれている無機リンを、有機リンと識別し、簡便、迅速かつ確実に分析する分析方法を提供することを課題とする。
本発明者は、前記課題を解決するため鋭意検討した結果、有機材料の試料を熱水で抽出することにより、試料に含まれるリンの中の無機リンのみが熱水中でリン酸イオンとなること、このリン酸イオンはイオンクロマトグラフ分析装置で検出できることに着目し、本発明を完成した。
即ち、本発明は、その請求項1として、
有機材料の試料と水を接触させて水抽出液を得る工程、及び、
イオンクロマトグラフ分析装置により前記水抽出液中のリン酸イオン量を定量する工程を有することを特徴とする有機材料中に含まれる無機リンの分析方法を提供する。
有機材料の試料と水を接触させて水抽出液を得る工程、及び、
イオンクロマトグラフ分析装置により前記水抽出液中のリン酸イオン量を定量する工程を有することを特徴とする有機材料中に含まれる無機リンの分析方法を提供する。
ここで、有機材料の試料としては、樹脂、樹脂を溶解した溶液、又は樹脂の合成等に用いられるモノマー等を挙げることができる。又、樹脂としてより具体的には、ポリオレフィン、ポリカーボネート、ポリカーボネート/ABS、ポリアミド、ポリエステル樹脂等を挙げることができるが、本発明が適用できる樹脂は、これらの樹脂に限定されない。
有機材料の試料と接触される水としては、分析に影響を与える不純物を含まない水が好ましい。従って、純水が好ましくより好ましくは超純水である。
試料である有機材料が、樹脂の場合、有機材料の試料と水を接触させて水抽出液を得る工程は、前記試料を粉砕し、粉砕された試料を加熱した水中に添加して保持した後、水不溶分を除去する工程を含み、水不溶分を除去後の水相を水抽出液とする方法により行うことができる(請求項2)。
ここで試料の粉砕は、試料と水との接触面積を大きくし、試料中の無機リンの水への溶出を迅速、確実にするため行われる。従って、粉砕後の試料の粒度は特に限定されないが、試料中の無機リンの水への溶出を迅速、確実にするためには、細かい程好ましく、通常、工程の迅速さも考慮されて50〜200μm程度の平均径となるような粉砕がされる。
試料の粉砕方法としては、試料を凍結した後粉砕する凍結粉砕が、容易に微細な粒度まで粉砕できる点で好ましい(請求項3)。
粉砕された試料は、加熱した水中に添加して、加熱した状態で保持される。水の温度(加熱温度)及び保持時間は特に限定されないが、試料中の無機リンの水への溶出を迅速、確実にするためには、より高い加熱温度が好ましく、通常70℃以上、水の沸点である100℃以下で行われる。又、試料中の無機リンの水への溶出を確実にするためには、より長い保持時間が好ましく、通常5時間以上、好ましくは10時間以上で行われる。試料中の無機リンの水への溶出を確実にするため、好ましくは、保持中に攪拌等を行い水と試料を十分接触させる。
粉砕された試料に対する水の量の範囲も、特に限定されないが、水の量が少ない場合は、水と試料の接触が不十分となる傾向があり、一方、水の量が多い場合は、水中に溶出するリン酸濃度が低くなり、分析精度が低下する場合があるので、通常、試料1gに対し、5ml〜50ml程度の範囲である。
粉砕された試料を、加熱した水中で所定時間保持した後、水中から水不溶分、すなわち試料が除去される。このとき、水不溶分が除去された後の水相には、試料中の無機リンが溶出し、次の反応によりリン酸イオンが生じる。そして、水不溶分が除去された後の水相を前期水抽出液として、この中のリン酸イオン量を、イオンクロマトグラフ分析装置により測定し、無機リンの検出を行う。
P4+ 5O2 + 6H2O → 4H3PO4
H3PO4 → 3H+ + PO4 3−
検出される無機リンとしては、赤リン、黄リンを挙げることができる。有機リン中のリン元素は分子構造中に取り込まれているので、前記の方法ではリン酸イオンとして溶出しない。
H3PO4 → 3H+ + PO4 3−
検出される無機リンとしては、赤リン、黄リンを挙げることができる。有機リン中のリン元素は分子構造中に取り込まれているので、前記の方法ではリン酸イオンとして溶出しない。
前記有機材料が、樹脂、樹脂を溶解した溶液、又はモノマーである場合は、有機材料の試料を水と接触させて水抽出液を得る工程は、水に溶解しない溶媒に、前記有機材料を溶解し、得られた溶液を加熱した水と接触した後水相を分離する工程を含み、分離された前記水相を水抽出液とする方法により行うこともできる(請求項4)。
水に溶解しない溶媒とは、水には溶解しないが、樹脂、樹脂を溶解した溶液、又はモノマー等の有機材料を溶解する溶媒である。有機材料をこの溶媒に溶解して溶液を得た後、この溶液と水との接触が行われる。ここで使用する溶媒や水も、分析に影響を与える不純物を含まないものが好ましい。従って、水としては、純水が好ましくより好ましくは超純水である。
この溶液と水との接触により、試料中の無機リンが水中に溶出し、上記の反応によりリン酸イオンが生じる。従って、この溶液と水との接触の条件は、試料中の無機リンの水中への溶出が迅速、確実に行われる条件が好ましく、この観点から、接触時の温度、接触時間、水と溶媒の量等を決定することが好ましい。又、試料中の無機リンの水中への溶出を迅速、確実に行うために、溶液と水との接触時には両者を攪拌混合することが好ましい。攪拌混合後、静置して、水相と溶液相を分液し、リン酸イオンが溶出されている水相を、前期水抽出液として、この中のリン酸イオン量を、イオンクロマトグラフ分析装置により測定し、無機リンの検出を行う。
イオンクロマトグラフ分析装置としては、通常の市販のものを、通常の分析に使用される条件で用いることができ、目的イオン、即ちリン酸イオンを高感度で検出することができる。使用されるカラムや検出期も通常使用されているものを用いることができる。
前記のようにして得られた水抽出液を、イオンクロマトグラフ分析装置により測定し、リン酸イオンの検出の有無により、無機リンの含有の有無が判断される。試料中に有機リンが含有されているが、無機リンがない場合は、有機リン中のリン元素は分子構造中に取り込まれているので、前記の方法ではリン酸イオンとして溶出せず、リン酸イオンは検出されない。
又、定量分析を行うことも可能である。例えば、赤リン含有量が既知の樹脂組成物を作成し、それを上記の方法で測定し、得られたピークの面積やピークの高さ等に基づいて検量線を作成し、その後試料の測定を行い、検量線と、試料の測定により得られたピークの面積やピークの高さにより定量分析をすることが可能である。
本発明の有機材料中に含まれる無機リンの分析方法によれば、無機リン、特に樹脂中に含まれている無機リンの分析を、簡便、迅速かつ確実に行うことができる。又、試料の有機材料中に含まれるリンが、無機リン(赤リン、黄リン等)か否か識別することができる。さらに、優れた精度で無機リンの定量分析を行うことができる。本発明によれば、従来は分析する手段のなかった、樹脂中に含まれる赤リンを分析することができる。従って、本発明の難燃剤の分析方法を樹脂中の赤リンの分析に適用する場合、本発明の効果が特に奏される。
次に、本発明を実施するための最良の形態につき実施例により説明するが、本発明の範囲は実施例のみに限定されるものではない。
実施例1
[測定用試料の作製]
試料の作製には次に示す材料を用いた。
ポリエチレン : スミカセンC215(住友化学社製)
有機リン系難燃剤A: 芳香族縮合リン酸エステル
(商品名:PX−200、大八化学社製)
有機リン系難燃剤B: トリエチルホスフェート(TEP、大八化学社製)
有機リン系難燃剤C: トリフェニルホスフェート(TPP、大八化学社製)
赤リン : 関東化学社製試薬
[測定用試料の作製]
試料の作製には次に示す材料を用いた。
ポリエチレン : スミカセンC215(住友化学社製)
有機リン系難燃剤A: 芳香族縮合リン酸エステル
(商品名:PX−200、大八化学社製)
有機リン系難燃剤B: トリエチルホスフェート(TEP、大八化学社製)
有機リン系難燃剤C: トリフェニルホスフェート(TPP、大八化学社製)
赤リン : 関東化学社製試薬
上記の材料を、次に示す割合(重量比)で混合して、測定用試料1〜4を作製した。
試料1: ポリエチレン/有機リン系難燃剤A=100/5
試料2: ポリエチレン/有機リン系難燃剤B=100/5
試料3: ポリエチレン/有機リン系難燃剤C=100/5
試料4: ポリエチレン/赤リン=100/5
試料1: ポリエチレン/有機リン系難燃剤A=100/5
試料2: ポリエチレン/有機リン系難燃剤B=100/5
試料3: ポリエチレン/有機リン系難燃剤C=100/5
試料4: ポリエチレン/赤リン=100/5
[本発明による測定用試料の分析]
上記で作製した測定用試料1〜4について、以下に示す(1)〜(5)の順で、本発明の分析方法を実施した。
(1)上記で得られた試料を、凍結粉砕して、平均粒径100μm程度の試料を得る。
(2)凍結粉砕された試料1gを秤量し、それに超純水を20ml加える。
(3)超純水を加える攪拌した後、80℃×24時間放置し、熱水抽出を実施する。
(4)放置後、ろ過により水不溶分を除去して、熱水抽出液を得る。
(5)熱水抽出液中のリン酸イオン濃度(PO4 3−)をイオンクロマトグラフ分析装置にて測定する。なお、この測定は、リン酸イオンに対応する保持時間(ピーク位置)におけるピークの検出により行う。イオン種毎の保持時間は、リン酸イオンの標準試料で予め確認しておく。
上記で作製した測定用試料1〜4について、以下に示す(1)〜(5)の順で、本発明の分析方法を実施した。
(1)上記で得られた試料を、凍結粉砕して、平均粒径100μm程度の試料を得る。
(2)凍結粉砕された試料1gを秤量し、それに超純水を20ml加える。
(3)超純水を加える攪拌した後、80℃×24時間放置し、熱水抽出を実施する。
(4)放置後、ろ過により水不溶分を除去して、熱水抽出液を得る。
(5)熱水抽出液中のリン酸イオン濃度(PO4 3−)をイオンクロマトグラフ分析装置にて測定する。なお、この測定は、リン酸イオンに対応する保持時間(ピーク位置)におけるピークの検出により行う。イオン種毎の保持時間は、リン酸イオンの標準試料で予め確認しておく。
なお、使用したイオンクロマトグラム分析装置やその使用条件等は次のとおりである。
装置 : DIONEX社製イオンクロマトグラム分析装置
カラム : IonPac AS AG19
サプレッサー : ASRS ULTRAII
サプレッサー電流値: 150mA
溶離液 : 10〜60m KOH
流量 : 1.0ml/min
注入量 : 25μl
検出器 : 電気伝導度検出器
装置 : DIONEX社製イオンクロマトグラム分析装置
カラム : IonPac AS AG19
サプレッサー : ASRS ULTRAII
サプレッサー電流値: 150mA
溶離液 : 10〜60m KOH
流量 : 1.0ml/min
注入量 : 25μl
検出器 : 電気伝導度検出器
[測定結果]
各試料中から得られた熱水抽出液中のリン酸イオン濃度測定値を次に示す。
試料1: 0.000ppm
試料2: 0.000ppm
試料3: 0.000ppm
試料4: 8.346ppm
各試料中から得られた熱水抽出液中のリン酸イオン濃度測定値を次に示す。
試料1: 0.000ppm
試料2: 0.000ppm
試料3: 0.000ppm
試料4: 8.346ppm
実施例2
[測定用試料の作製]
試料の作製には次に示す材料を用いた。
ポリスチレン : スタイロン(旭化成社製)
有機リン系難燃剤A、有機リン系難燃剤B、有機リン系難燃剤C、及び赤リンは、それぞれ、実施例1で使用したものと同じものを用いた。
[測定用試料の作製]
試料の作製には次に示す材料を用いた。
ポリスチレン : スタイロン(旭化成社製)
有機リン系難燃剤A、有機リン系難燃剤B、有機リン系難燃剤C、及び赤リンは、それぞれ、実施例1で使用したものと同じものを用いた。
これらの材料を、次に示す割合(重量比)で混合して、測定用試料5〜8を作製した。
試料5: ポリスチレン/有機リン系難燃剤A=100/5
試料6: ポリスチレン/有機リン系難燃剤B=100/5
試料7: ポリスチレン/有機リン系難燃剤C=100/5
試料8: ポリスチレン/赤リン=100/5
試料5: ポリスチレン/有機リン系難燃剤A=100/5
試料6: ポリスチレン/有機リン系難燃剤B=100/5
試料7: ポリスチレン/有機リン系難燃剤C=100/5
試料8: ポリスチレン/赤リン=100/5
[本発明による測定用試料の分析]
上記で作製した測定用試料5〜8について、以下に示す(1)〜(7)の順で、本発明の分析方法を実施した。
(1)上記で得られた試料を、凍結粉砕して、平均粒径100μm程度の試料を得る。
(2)凍結粉砕された試料1gを秤量し、それにトルエンを20ml加え溶解する。
(3)試料のトルエン溶液に超純水を20ml加える。
(4)超純水を加える攪拌した後、80℃×24時間放置し、熱水抽出を実施する。
(5)放置後、分液漏斗によりトルエン溶解部を除去して、熱水抽出液を得る。
(6)熱水抽出液から、ろ過により水不溶分を除去する。
(7)熱水抽出液中のリン酸イオン濃度(PO4 3−)を、実施例1と同様にして、イオンクロマトグラフ分析装置にて測定する。使用したイオンクロマトグラム分析装置やその使用条件等は、実施例1と同じである。
上記で作製した測定用試料5〜8について、以下に示す(1)〜(7)の順で、本発明の分析方法を実施した。
(1)上記で得られた試料を、凍結粉砕して、平均粒径100μm程度の試料を得る。
(2)凍結粉砕された試料1gを秤量し、それにトルエンを20ml加え溶解する。
(3)試料のトルエン溶液に超純水を20ml加える。
(4)超純水を加える攪拌した後、80℃×24時間放置し、熱水抽出を実施する。
(5)放置後、分液漏斗によりトルエン溶解部を除去して、熱水抽出液を得る。
(6)熱水抽出液から、ろ過により水不溶分を除去する。
(7)熱水抽出液中のリン酸イオン濃度(PO4 3−)を、実施例1と同様にして、イオンクロマトグラフ分析装置にて測定する。使用したイオンクロマトグラム分析装置やその使用条件等は、実施例1と同じである。
[測定結果]
各試料中から得られた熱水抽出液中のリン酸イオン濃度測定値を次に示す。
試料5: 0.000ppm
試料6: 0.000ppm
試料7: 0.000ppm
試料8: 7.925ppm
各試料中から得られた熱水抽出液中のリン酸イオン濃度測定値を次に示す。
試料5: 0.000ppm
試料6: 0.000ppm
試料7: 0.000ppm
試料8: 7.925ppm
実施例1及び実施例2の測定結果より明らかなように、試料4及び試料8、即ち赤リンを含有するコンパウンドからは多量のリン酸イオンが溶出していることが確認された。一方、試料1〜3及び試料5〜7、即ち有機リン含有コンパウンドからは、リン酸イオンは検出されず、リン酸イオンが溶出していないことが示された。従って、本発明の方法によるリン酸イオンの検出により、無機リンが含有されているか否か判定できることが明かになった。
本発明の有機材料中に含まれる無機リンの分析方法は、例えば、難燃性絶縁電線等、赤リンを含有する難燃性樹脂組成物を使用する製品の製造、出荷における品質管理、製品の購入の際の受入検査等に適用することができる。
Claims (4)
- 有機材料の試料と水を接触させて水抽出液を得る工程、及び、
イオンクロマトグラフ分析装置により前記水抽出液中のリン酸イオン量を定量する工程を有することを特徴とする有機材料中に含まれる無機リンの分析方法。 - 前記有機材料が樹脂であり、有機材料の試料と水を接触させて水抽出液を得る工程が、前記試料を粉砕し、粉砕された試料を加熱した水中に添加して保持した後、水不溶分を除去する工程を含み、水不溶分を除去後の水相を水抽出液とすることを特徴とする請求項1に記載の有機材料中に含まれる無機リンの分析方法。
- 前記有機材料の粉砕が、凍結粉砕により行われることを特徴とする請求項2に記載の有機材料中に含まれる無機リンの分析方法。
- 前記有機材料が、樹脂、樹脂を溶解した溶液、又はモノマーであり、有機材料の試料を水と接触させて水抽出液を得る工程が、水に溶解しない溶媒に、前記有機材料を溶解し、得られた溶液を加熱した水と接触した後水相を分離する工程を含み、分離された前記水相を水抽出液とすることを特徴とする請求項1に記載の有機材料中に含まれる無機リンの分析方法。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008157404A JP2009300344A (ja) | 2008-06-17 | 2008-06-17 | 有機材料中の無機リンの分析方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104297187A (zh) * | 2014-10-30 | 2015-01-21 | 东北林业大学 | 一种在实验室中模拟红磷类阻燃剂的阻燃材料加工过程并吸收磷化氢的方法 |
-
2008
- 2008-06-17 JP JP2008157404A patent/JP2009300344A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN104297187A (zh) * | 2014-10-30 | 2015-01-21 | 东北林业大学 | 一种在实验室中模拟红磷类阻燃剂的阻燃材料加工过程并吸收磷化氢的方法 |
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