JP2009297663A - 静電噴霧装置 - Google Patents

Abstract

【課題】静電噴霧装置内の残留電荷の蓄積の防止。
【解決手段】入力された交流を直流に変換するＡＣアダプタ（20）を備え、ＡＣアダプタ（20）から出力された出力電圧を利用して帯電させた溶液を対象物に向かって霧化状態で噴霧する静電噴霧装置を対象としている。ＡＣアダプタ（20）は、入力された交流の交流電圧を変圧する絶縁トランス（23）と、絶縁トランス（23）で変圧された交流を整流するダイオード整流器（24）とを有し、ＡＣアダプタ（20）は、絶縁トランス（23）の１次側の入力ライン（28）と、絶縁トランス（23）の２次側のアースライン（27b）とを繋いで絶縁トランス（23）を迂回するバイパス回路（30）とを備えている。
【選択図】図２

Description

本発明は、静電噴霧装置に関し、特に、噴霧の安定化対策に係るものである。

従来、容器内に貯留された液体を噴霧させるための液体噴霧装置として、容器の出口となるノズルに送り込まれた液体を、ノズルの先端から電界強度によって噴霧させる静電噴霧装置が知られている。このような静電噴霧装置を特許文献１に示す。

特許文献１に示す静電噴霧装置では、一端が蝶番で連結された一対のケースからなるハウジングを備えている。各ケースには、弾性的に変形可能な材料のパッドが設けられている。この静電噴霧装置では、ハウジングを閉じる際に、パッドが液体を貯留する容器である小袋を挟み込みながら収縮する。小袋は、パッドによって圧縮されて小袋内の液体がノズルに供給される。このノズルに電界を形成することでノズルの先端から小袋内の液体を噴霧させる。
特開平０５−１３８０８１号公報

ところで、上述した静電噴霧装置を室内に設置して、帯電させた溶液によって室内を加湿すると、水分を対象物である人に集中的に供給することができる。この際、帯電電荷は、人側に移動する一方、帯電電荷に対して逆極性の電荷が静電噴霧装置に残ることになる。このような残留電荷が静電噴霧装置に大量に蓄積すると、静電噴霧装置内の帯電電位と人での間の電位差が変化するため、噴霧が妨害される要因となる。したがって、静電噴霧装置には、電荷が残らないよう、電荷を逃がすアースラインを形成する必要がある。

しかしながら、図３に示すように、静電噴霧装置（a）を室内に設置する場合、静電噴霧装置（a）に対して家庭用の交流電源（b）からＡＣアダプタ（c）を介して電源供給することが考えられる。この際に、ＡＣアダプタ（c）を構成する電子部品に絶縁トランスが用いられていると、静電噴霧装置（a）内に残った電荷が絶縁トランスを通過することができない。このため、静電噴霧装置（a）に残った電荷をアースに流すことができず、静電噴霧装置（a）内に電荷が蓄積するという問題があった。

本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、静電噴霧装置内に残留電荷が蓄積するのを防止することを目的とする。

第１の発明は、入力された交流を直流に変換する直流変換回路（20）を備え、該直流変換回路（20）から出力された出力電圧を利用して帯電させた溶液を対象物（Ｐ）に向かって霧化状態で噴霧する静電噴霧装置であって、上記直流変換回路（20）は、上記入力された交流の交流電圧を変圧する絶縁変圧器（23）と、該絶縁変圧器（23）で変圧された交流を整流する整流器（24）とを有し、上記直流変換回路（20）は、上記絶縁変圧器（23）の１次側のアースと、該絶縁変圧器（23）の２次側のアースライン（27b）とを繋いで上記絶縁変圧器（23）を迂回するバイパス回路（30）とを備えている。

上記第１の発明では、直流変換回路（20）が交流を直流に変換する。そして、変換した直流を利用して溶液を帯電する。そして、帯電させた溶液を噴霧の対象物（Ｐ）である人に向かって噴霧する。このとき、噴霧した溶液と共に帯電電荷が対象物（Ｐ）である人側に移動する。人側に移動した帯電電荷は、対象物（Ｐ）である人体を介してアースに流れる。その一方、静電噴霧装置側では、上記帯電電荷に対して逆極性の電荷が残留する。この残留した電荷は、バイパス回路（30）を通ることで絶縁変圧器を迂回してアースに流れる。

第２の発明は、上記第１の発明において、上記直流変換回路（20）は、上記絶縁変圧器（23）の１次側に交流が入力される一対の入力ライン（28,28）が形成されて構成され、上記バイパス回路（30）は、上記一の入力ライン（28）と、上記絶縁変圧器（23）の２次側のアースライン（27b）とを繋いで上記絶縁変圧器（23）を迂回する第１回路（30a）と、上記他の入力ライン（28）と、上記絶縁変圧器（23）の２次側のアースライン（27b）とを繋いで上記絶縁変圧器（23）を迂回する第２回路（30b）とを備え、上記第１および第２回路（30a,30b）は、高抵抗の電気抵抗部材（32）がそれぞれ設けられている。

上記第２の発明では、静電噴霧装置に残留した電荷は、電気抵抗部材（32）が設けられたバイパス回路（30）を通過する。この際に、第１回路（30a）および第２回路（30b）のどちらかが、アースに繋がる入力ライン（28）に接続される。したがって、上記残留電荷は、第１回路（30a）または第２回路（30b）を通過してアースに流れる。一方、入力ライン（28,28）から入力された交流電流は、第１回路（30a）および第２回路（30b）のそれぞれに設けられた電気抵抗部材（32）によって、該電気抵抗部材（32）の２次側に流れない。

上記第１の発明によれば、絶縁変圧器（23）を迂回するバイパス回路（30）を設けたため、アースラインを形成することができる。したがって、静電噴霧装置に残った電荷は絶縁変圧器（23）を迂回してアースに流れることになる。これにより、静電噴霧装置に残留した電荷が蓄積するのを確実に防止することができる。

上記第２の発明によれば、第１回路（30a）および第２回路（30b）に、高抵抗の電気抵抗部材（32）をそれぞれ設けたため、交流電流が２次側に流れることを防止することができるので、１次側と２次側との短絡を確実に防止することができる。これにより、静電噴霧装置に残留した電荷が蓄積するのを確実に防止することができる。

また、一対の入力ライン（28,28）のぞれぞれに対応する第１回路（30a）および第２回路（30b）を設けたため、２本の入力ライン（28,28）のどちらにアースが繋がれても、静電噴霧装置に残留した電荷は絶縁変圧器（23）を迂回させてアースに流すことができる。これにより、静電噴霧装置に残った電荷が蓄積するのを確実に防止することができる。

以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。

図１に示すように、本実施形態に係る静電噴霧装置（10）は、室内に設置され、噴霧対象物である人（Ｐ）に向かって帯電させた噴霧溶液を噴霧させるようにしたものである。この静電噴霧装置（10）は、家庭用の交流電源（2）によって電源供給される。

上記静電噴霧装置（10）は、静電噴霧装置本体（10a）と、ＡＣアダプタ（20）とを備えている。

上記静電噴霧装置本体（10a）は、本体ケーシング（11）と、該本体ケーシング（11）内に装填されるタンク（13）と、電圧印加機構（16）と、上記本体ケーシング（11）を支える台座（12）とを備えている。

上記タンク（13）は、水などの噴霧溶液が入った貯留部材に構成され、上記本体ケーシング（11）内に着脱可能に装填されている。このタンク（13）は、本体ケーシング（11）から外せば噴霧溶液が再充填される。

上記本体ケーシング（11）は、円筒状に形成され、その側周縁部の下側に後述する台座（12）に取り付けられている。本体ケーシング（11）の側周縁部のやや上側には、上記タンク（13）に連通する噴霧ノズル（14）が設けられている。本体ケーシング（11）内には、噴霧溶液をタンク（13）から噴霧ノズル（14）に供給するための液供給機構（15）と、静電溶液に電圧を印加する電圧印加機構（16）が設けられている。

上記液供給機構（15）には、例えば、タンク（13）を柔軟な容器に形成して該容器を一定の力で圧搾することにより定量の噴霧溶液を上記噴霧ノズル（14）の先端に徐々に送り出す機構や、タンク（13）内の噴霧溶液をピストンにより徐々に押し出すシリンダ機構などによって構成されている。

上記電圧印加機構（16）は、本体ケーシング（11）内に設けられ、後述するＡＣアダプタ（20）から出力される出力電圧（例えば１２Ｖ）を例えば６ｋＶの高電圧に変換し、該高電圧をタンク（13）内の噴霧溶液に付与するためのものである。この電圧印加機構（16）には、図示はしないが、上記タンク（14）内に付与される電圧値を調整するための出力調整ボリュームが設けられている。つまり、上記電圧印加機構（16）は、使用者（Ｐ）自らが、噴霧ノズル（14）から適切な噴霧がなされるよう噴霧溶液に印加される電圧を調節するよう構成されている。尚、このときに噴霧溶液に印加される電圧値は、０ｋＶ以上で、且つ１２ｋＶ以下の電圧値であればよい。

次に本発明の特徴であるＡＣアダプタ（20）の構成について図面に基づき詳細に説明する。

上記ＡＣアダプタ（20）は、上記交流電源（2）から付与された交流電圧（例えば、１００Ｖ）を、例えば１２Ｖの直流電圧に変換するためのものである。つまり、ＡＣアダプタ（20）は直流変換回路を構成している。図２に示すように、ＡＣアダプタ（20）は、交流電源（2）と接続される差込プラグ（22）と、アダプタケーシング（21）と、絶縁トランス（23）と、ダイオード整流器（24）と、バイパス回路（30）と、直流電圧を出力するＤＣ出力部（25）とを備えている。尚、図示はしないが、例えば、上記ダイオード整流器（24）の負荷側に、出力電圧を平滑化させる平滑コンデンサを接続してもよい。

上記交流電源（2）は家庭内等に設置されている、いわゆるコンセントである。交流電源（2）は、２箇所の差込口が設けられている。この２箇所の差込口のうちの一方は、いわゆる中性点接地によって接地（アース、以下同じ）されているものとする。

上記差込プラグ（22）は、交流電源（2）から交流を入力するためのものである。つまり、ＡＣアダプタ（20）は、差込プラグ（22）を交流電源（2）の差込口に差し込むことで交流を入力するよう構成されている。

上記アダプタケーシング（21）は、矩形の箱状に形成されて、その内部に絶縁トランス（23）、ダイオード、バイパス回路（30）が設けられている。このアダプタケーシング（21）の外表面は絶縁材料で形成されている。

上記絶縁トランス（23）は、交流電源（2）から入力された交流の電圧を、昇圧または降圧する絶縁変圧器を構成している。この絶縁トランス（23）の１次側（入力側）には、２本の入力配線（28,28）が接続される一方、その２次側（出力側）がダイオード整流器（24）に接続されている。尚、上記入力配線（28,28）は、入力ラインを構成し、上記差込プラグ（22）に接続されている。

上記ダイオード整流器（24）は、上記絶縁トランス（23）から出力された交流電流を一定の方向に流れるよう整流する整流器を構成している。ダイオード整流器（24）は、上記絶縁トランス（23）の負荷に設けられている。ダイオード整流器（24）は、その入力側が、絶縁トランス（23）の出力側と接続される一方、その出力側が、ＤＣ出力配線（27）に接続されている。尚、このＤＣ出力配線（27）は、電源ラインを構成するプラス側配線（27a）およびアースラインを構成するマイナス側配線（27b）の２本によって構成され、後述するＤＣ出力部（25）に接続されている。

上記ＤＣ出力部（25）は、上記ダイオード整流器（24）から出力された直流を出力するためのものである。ＤＣ出力部（25）は、ダイオード整流器（24）の負荷側に設けられている。ＤＣ出力部（25）から出力された電圧（例えば、１２Ｖ）は、上記電圧印加機構（16）に付与される。

上記バイパス回路（30）は、電気配線である第１配線（30a）および第２配線（30b）を備えている。

上記第１配線（30a）は、その一端が上記絶縁トランス（23）の入力側の一の入力配線（28）に繋がれ、その他端が上記ダイオード整流器（24）の出力側のマイナス側配線（27b）に繋がれて第１回路を構成している。

上記第２配線（30b）は、その一端が上記絶縁トランス（23）の入力側の一の入力配線（28）に繋がれ、その他端が上記ダイオード整流器（24）の出力側のマイナス側配線（27b）に繋がれて第２回路を構成している。つまり、バイパス回路（30）は、上記絶縁トランス（23）の１次側の入力配線（28,28）と、該絶縁トランス（23）の２次側のアースライン（27b）とを繋いで絶縁トランス（23）を迂回するバイパス回路を構成している。

上記各配線（30a,30b）は、その途中に高抵抗の電気抵抗部材を構成する抵抗器（32）が設けられている。各抵抗器（32）は、その抵抗値が例えば、合計で１００ＭΩになるように形成されている。つまり、この抵抗器（32）は、交流電流が２次側に流れることを防止することで、１次側と２次側との短絡を防止している。尚、この抵抗器（32）の抵抗値は、交流電源（2）から供給される交流電流を十分に減少させる抵抗値であればよい。

−運転動作−
次に本実施形態の運転動作について説明する。本実施形態の静電噴霧装置（10）を使用する際は、まず、電源スイッチをＯＮにする（図示なし）。これにより、ＡＣアダプタ（20）から供給された直流電圧は、電圧印加機構（16）によってタンク（13）内の噴霧溶液に印加される。このとき、上記タンク（13）内の噴霧溶液は、液供給機構（15）によって単位時間当たりにわずかな量ずつ送り出されて噴霧ノズル（14）の先端に移動する。ここで、電圧が印加されたタンク（13）内の噴霧溶液は、液体が分極し、噴霧ノズル（14）の先端の気液界面の近傍に例えば＋（プラス）の電荷が集まる。そして、噴霧ノズル（14）の先端のでは、気液界面が引き延ばされて円錐状となり、この円錐状となった気液界面の頂部から一部の水溶液が引きちぎられて液滴化する。この作用が繰り返し発生して、噴霧ノズル（14）から噴霧溶液の液滴が人体（Ｐ）に向かって噴霧される。

ここで、噴霧された噴霧溶液と共に帯電電荷が人体（Ｐ）側に移動する。人体に移動した帯電電荷は人体（Ｐ）を介してアースに流れる。その一方、静電噴霧装置（10）側では、タンク（13）内に帯電電荷に対して逆極性の電荷（例えば−（マイナス）の電荷）が残留する。この残留電荷は、第１配線（30a）または第２配線（30b）を通ることで絶縁トランス（23）を迂回する。そして、２本の入力配線（28,28）のうち、交流電源（2）のアースと接続される入力配線（28）を介してアースに流れる。

−実施形態の効果−
本実施形態によれば、絶縁トランス（23）を迂回するバイパス回路（30）を設けたため、アースラインを形成することができる。したがって、静電噴霧装置本体（10a）に残った電荷は、絶縁トランス（23）を迂回してアースに流れることになる。また、第１配線（30a）および第２配線（30b）に、高抵抗の抵抗器（32）をそれぞれ設けたため、交流電流が２次側に流れることを確実に防止することができるので、１次側と２次側との短絡を確実に防止することができる。これらにより、静電噴霧装置本体（10a）に残留した電荷が蓄積するのを確実に防止することができる。

また、２本の入力配線（28,28）に対応して第１配線（30a）および第２配線（30b）を設けたため、使用者が、差込プラグ（22）を交流電源（2）（家庭用のコンセント）のどちらの向きに差し込んでも、第１配線（30a）または第２配線（30b）のどちらか一方を確実に交流電源（2）のアースに繋げることができる。これにより、静電噴霧装置本体（10a）の残留電荷を確実にアースに流すことができる。

〈その他の実施形態〉
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。

本実施形態では、静電噴霧装置（10）に対して家庭用の交流電源（2）を用いたが、本発明に係る静電噴霧装置（10）は、オフィス内等に設置される交流電源を用いることもできる。また、本実施形態の静電噴霧装置（10）は、日本国における交流電源（2）に対応するものであるが、本発明に係る静電噴霧装置は、電源仕様が異なる日本国以外の各国の電源についても同様に適用することができる。

尚、以上の実施形態は、本質的に好ましい例示であって、本発明、その適用物、あるいはその用途の範囲を制限することを意図するものではない。

以上説明したように、本発明は、噴霧の安定化対策について有用である。

本実施形態に係る静電噴霧装置を示す概略縦断面図である。 本実施形態に係るＡＣアダプタを示す要部縦断面図である。 従来技術に係る静電噴霧装置を示す概略縦断面図である。

符号の説明

２０ ＡＣアダプタ
２３ 絶縁トランス
２４ ダイオード
２７ｂ アースライン
２８ 入力ライン
３０ バイパス回路
３０ａ 第１配線
３０ｂ 第２配線
３２ 抵抗器

Claims (2)

1. 入力された交流を直流に変換する直流変換回路（20）を備え、該直流変換回路（20）から出力された出力電圧を利用して帯電させた溶液を対象物（Ｐ）に向かって霧化状態で噴霧する静電噴霧装置であって、
   上記直流変換回路（20）は、上記入力された交流の交流電圧を変圧する絶縁変圧器（23）と、該絶縁変圧器（23）で変圧された交流を整流する整流器（24）とを有し、
   上記直流変換回路（20）は、上記絶縁変圧器（23）の１次側のアースと、該絶縁変圧器（23）の２次側のアースライン（27b）とを繋いで上記絶縁変圧器（23）を迂回するバイパス回路（30）を備えている
   ことを特徴とする静電噴霧装置。
2. 請求項１において、
   上記直流変換回路（20）は、上記絶縁変圧器（23）の１次側に交流が入力される一対の入力ライン（28,28）が形成されて構成され、
   上記バイパス回路（30）は、上記一の入力ライン（28）と、上記絶縁変圧器（23）の２次側のアースライン（27b）とを繋いで上記絶縁変圧器（23）を迂回する第１回路（30a）と、上記他の入力ライン（28）と、上記絶縁変圧器（23）の２次側のアースライン（27b）とを繋いで上記絶縁変圧器（23）を迂回する第２回路（30b）とを備え、
   上記第１および第２回路（30a,30b）は、高抵抗の電気抵抗部材（32）がそれぞれ設けられている
   ことを特徴とする静電噴霧装置。

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