JP2009296594A - 熱音響装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】本発明は、熱音響装置及びこれを利用した音伝送システムに関し、特にカーボンナノチューブを利用した熱音響装置及びこれを利用した音伝送システムに関するものである。
【解決手段】本発明の装置は、電磁気信号装置と、カーボンナノチューブ構造体を含む音波発生器と、を含む。前記電磁気信号装置は、前記カーボンナノチューブ構造体に電磁気信号を送信する。又は、本発明の装置は、電磁気信号装置と、カーボンナノチューブ構造体を含む音波発生器とを含む。前記電磁気信号装置は、前記カーボンナノチューブ構造体に電磁気信号を送信する。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記電磁気信号を熱に変換して、媒体に熱音響効果を生じさせる。
【選択図】図1

Description

本発明は、熱音響装置及びこれを利用した音伝送システムに関し、特にカーボンナノチューブを利用した熱音響装置及びこれを利用した音伝送システムに関するものである。
一般的に、音響装置は信号装置及び音波発生器を含む。前記信号装置は、信号を前記音波発生器(例えばスピーカー)に伝送する。スピーカーは電気音響変換器として、電気信号を音に変換することができる。
動作原理により、スピーカーは、ダイナミックスピーカー、マグネティックスピーカー、静電気スピーカー、圧電スピーカーなどの多種に分類される。前記多種のスピーカーは、全て機械的振動によって音波を生じ、即ち、電気―機械力―音の変換を実現する。ここで、ダイナミックスピーカーが広く利用されている。
図36を参照すると、従来のダイナミックスピーカー100は、ボイスコイル102と、マグネット104と、コーン106と、を含む。前記ボイスコイル102は導電部品として、前記マグネット104の間に設置されている。前記ボイスコイル102へ電流を流す場合、前記ボイスコイル102による電磁場及びマグネット104による磁場の相互作用により、前記コーン106が振動して空気の圧力変動が連続して生じるので、音波を発生することができる。
しかし、前記ダイナミックスピーカー100は、重いマグネット及び磁場の作用に依存しているので、前記ダイナミックスピーカー100の構造は複雑である。また、前記ダイナミックスピーカー100のマグネット104は、前記スピーカーに近く配置された電子装置に、悪い影響を与えるという課題がある。さらに、前記ダイナミックスピーカー100は電気信号の入力の条件により作動するので、電気信号を提供しない場合、前記ダイナミックスピーカー100は作動できないという課題がある。
熱音響現象とは、音と熱が関わり合う現象であり、エネルギー変換とエネルギー輸送という2つの側面がある。熱音響装置に信号を転送すると、熱音響装置に熱が生じ、周辺の媒体へ伝播される。伝播された熱によって生じた熱膨張及び圧力波が原因で、音波が発生することができる。
H.D.Arnold、I.B.Crandall, "The thermophone as a precision source of sound", Phys. 1917年、第10巻, 第22−38頁、 Alexander Graham Bell,"Selenium and the Photophone", Nature,1880年9月) Kaili Jiang、Qunqing Li、Shoushan Fan、"Spinning continuous carbon nanotube yarns"、Nature、2002年、第419巻、p.801
非特許文献1に、熱音響現象によって製造されたサーモホン(thermophone)が掲載されている。ここで、厚さが7×10−5cmの白金片が熱音響部品として利用されている。しかし、厚さが7×10−5cmの白金片に対して、単位面積当たりの熱容量は2×10−4J/cm・Kである。白金片の単位面積当たりの熱容量が非常に高いので、白金片を利用したサーモホンは室外に利用される場合、音が非常に弱いという課題がある。
光音響効果とは、音と光が関わり合う現象であり、即ち、光エネルギーを吸収した分子が熱を放出し、その熱による体積膨張により音響波(疎密波)を発生する現象のことである。光音響効果は、非特許文献2において初めて開示されたものである。
現在、光音響効果は材料分析の技術分野に利用されている。例えば、光音響効果による光音響分光装置や光音響顕微鏡などは、広く材料分析の技術分野に利用されている。従来、光音響スペクトル装置は、光源(例えば、レーザ装置)と、密封の試料室と、信号検出器(例えば、マイクロホン)と、を含む。前記試料室に、ガス、液体又は固体の試料を配置して、前記レーザ装置により前記試料にレーザを照射させる。この場合、前記試料は、光音響効果が原因で、音圧が生じる。異なる周波数のレーザを照射する場合、異なる材料は、レーザに対する最大吸収能力が異なる。マイクロホンを利用して、前記最大吸収能力を検出することができる。しかし、大部分の前記音圧は非常に弱く、人間の耳で感知できないので、複雑なセンサーを設置することが必要となる。従って、前記スピーカーの応用に対して、制限がある。
本発明は、前記課題を解決するために、軽量な熱音響装置を提供する。本発明の熱音響装置は、磁場に依存せず、機械的振動によらずに音を発生することができる。
本発明の装置は、電磁気信号装置(electromagnetic signal device)と、カーボンナノチューブ構造体を含む音波発生器と、を含む。前記電磁気信号装置は、前記カーボンナノチューブ構造体に電磁気信号(electromagnetic signal)を送信する。
本発明の装置は、電磁気信号装置と、カーボンナノチューブ構造体を含む音波発生器と、媒体と、を含む。前記電磁気信号装置は、前記カーボンナノチューブ構造体に電磁気信号を送信する。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記電磁気信号を熱に変換して、媒体に熱音響効果を生じさせる。
前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量は、2×10−4J/cm・K以下である。
前記装置は、光ファイバーを含む。
前記電磁気信号装置及び音波発生器の間に、変調装置を設置する。
前記カーボンナノチューブ構造体において、カーボンナノチューブが分子間力で接続され、均一に分布されている。
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。
前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブワイヤを含むことを特徴とする。
前記装置には、前記音波発生器を支持するための支持体を設置する。
本発明の音伝送システムは、音―電変換装置(sound−electro converting device)と、電―波変換装置(electro−wave converting device)と、音波発生器と、を含む。前記音波発生器がカーボンナノチューブ構造体を含む。前記電―波変換装置は、前記音波発生器に電磁気信号を送信する。前記カーボンナノチューブ構造体は電磁気信号を熱に変換して、媒体に熱音響効果が生じる。
従来の技術と比べて、本発明の熱音響装置は次の優れた点がある。第一は、本発明の熱音響装置はカーボンナノチューブ構造体を含むので、従来のスピーカーと比べて、構成が簡単であり、軽量化及び小型化が可能である。第二は、本発明の熱音響装置はカーボンナノチューブ構造体を加熱することにより音波を発生するので、マグネットを利用する必要がない。第三は、カーボンナノチューブ構造体は、単位面積当たりの熱容量が小さく、比表面積が大きく、熱交換の速度が速いので、音を良好に発生することができる。第四は、カーボンナノチューブ構造体は薄いので、透明な音響装置を製造することができる。第五は、本発明の熱音響装置は、真空の雰囲気において電磁気信号を伝送できるので、本発明の熱音響装置を極端な環境に利用できる。電気信号を受信できない条件(例えば、可燃な環境)で、本発明の熱音響装置を利用することができる。
本発明の実施例1における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブセグメントの模式図である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブフィルムのSEM写真である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブフィルムのセグメントのSEM写真である。 本発明の実施例1におけるカーボンナノチューブワイヤのSEM写真である。 本発明の実施例1におけるねじれたカーボンナノチューブワイヤのSEM写真である。 本発明の実施例1における複数のカーボンナノチューブフィルム又は/及びカーボンナノチューブワイヤからなる織物の模式図である。 本発明の実施例1における熱音響装置の周波数応答曲線である。 本発明の実施例1における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例2における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例3における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例4における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例5における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例6における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例6における回路図である。 本発明の実施例6における電力増幅器を使用したバイアス電圧を示すグラフである。 本発明の実施例6における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例6における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例7における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例7における複数のカーボンナノチューブフィルム又は/及びカーボンナノチューブワイヤからなる織物の模式図である。 二枚の図2に示されたカーボンナノチューブフィルムを枠部に接着されることを示す図である。 本発明の実施例7における熱音響装置の音圧及び時間の関係曲線である。 本発明の実施例7における熱音響装置の音圧及び出力の関係を示すチャートである。 本発明の実施例7における熱音響装置の音圧及び出力の関係を示すチャートである。 本発明の実施例7における熱音響装置の音圧及び出力の関係を示すチャートである。 本発明の実施例7における熱音響装置の音圧及び出力の関係を示すチャートである。 本発明の実施例8における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例9における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例10における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例11における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例12における熱音響装置の模式図である。 本発明の実施例12における熱音響装置の上視図である。 本発明の音伝送システムの模式図である。 本発明の音波発生方法のチャートである。 従来のスピーカーの模式図である。
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
(実施例1)
図1を参照すると、本発明の熱音響装置10は、信号装置12と、音波発生器14と、第一電極142と、第二電極144と、を含む。前記第一電極142及び第二電極144は所定の距離で離れるように、それぞれ前記音波発生器14に電気的に接続されている。且つ、前記第一電極142及び第二電極144はそれぞれ前記信号装置12に電気的に接続されている。前記第一電極142及び第二電極144により、前記信号装置12からの信号を前記音波発生器14へ転送する。
前記音波発生器14はカーボンナノチューブ構造体を含む。該カーボンナノチューブ構造体は大きな比表面積(例えば、100m/g以上)を有する。該カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量は、0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであるが、好ましくは、0(0は含まず)〜1.7×10−6J/cm・Kであり、本実施例では、1.7×10−6J/cm・Kである。さらに、前記カーボンナノチューブ構造体の表面に、金属層を形成することができる。前記カーボンナノチューブ構造体には、複数のカーボンナノチューブが均一に分散されている。該複数のカーボンナノチューブは分子間力で接続されている。前記カーボンナノチューブ構造体は、金属型のカーボンナノチューブを含む必要がある。前記カーボンナノチューブ構造体に、前記複数のカーボンナノチューブが配向し又は配向せずに配置されている。前記複数のカーボンナノチューブの配列方式により、前記カーボンナノチューブ構造体は非配向型のカーボンナノチューブ構造体及び配向型のカーボンナノチューブ構造体の二種に分類される。本実施例における非配向型のカーボンナノチューブ構造体では、カーボンナノチューブが異なる方向に沿って配置され、又は絡み合っている。配向型のカーボンナノチューブ構造体では、前記複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列している。又は、配向型のカーボンナノチューブ構造体において、配向型のカーボンナノチューブ構造体が二つ以上の領域に分割される場合、各々の領域における複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されいる。この場合、異なる領域におけるカーボンナノチューブの配列方向は異なる。前記カーボンナノチューブは、単層カーボンナノチューブ、二層カーボンナノチューブ又は多層カーボンナノチューブである。前記カーボンナノチューブが単層カーボンナノチューブである場合、直径は0.5nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが二層カーボンナノチューブである場合、直径は1nm〜50nmに設定され、前記カーボンナノチューブが多層カーボンナノチューブである場合、直径は1.5nm〜50nmに設定される。
前記カーボンナノチューブ構造体は平板型であり、その厚さは0.5nm〜1mmに設けられている。前記カーボンナノチューブ構造体の比表面積が小さくなるほど、前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量が高くなる。前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量が高くなるほど、前記熱音響装置の音圧が低くなる。
前記カーボンナノチューブ構造体は、図2に示す、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルム143aを含む。前記カーボンナノチューブフィルム143aは、超配列カーボンナノチューブアレイ(非特許文献3を参照する)から引き出して得られたものである。単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブが同じ方向に沿って、端と端が接続されている。図2及び図3を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルム143aは、複数のカーボンナノチューブセグメント143bを含む。前記複数のカーボンナノチューブセグメント143bは、長さ方向に沿って分子間力で端と端が接続されている。それぞれのカーボンナノチューブセグメント143bは、相互に平行に、分子間力で結合された複数のカーボンナノチューブ145を含む。単一の前記カーボンナノチューブセグメント143bにおいて、前記複数のカーボンナノチューブ145の長さが同じである。前記カーボンナノチューブフィルム143aを有機溶剤に浸漬させることにより、前記カーボンナノチューブフィルム143aの強靭性及び機械強度を高めることができる。有機溶剤に浸漬された前記カーボンナノチューブフィルムの単位面積当たりの熱容量が低くなるので、その熱音響効果を高めることができる。前記カーボンナノチューブフィルム143aの幅は100μm〜10cmに設けられ、厚さは0.5nm〜100μmに設けられる。
前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムは、分子間力で結合されている。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブは、それぞれ0°〜90°の角度で交差している。隣接する前記カーボンナノチューブフィルムにおけるカーボンナノチューブが0°以上の角度で交差する場合、前記カーボンナノチューブ構造体に複数の微孔が形成される。又は、前記複数のカーボンナノチューブフィルムは、隙間なく並列されることもできる。
前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含む。図4を参照すると、単一の前記カーボンナノチューブフィルムにおいて、複数のカーボンナノチューブは、絡み合い、等方的に配列されている。前記カーボンナノチューブ構造体においては、前記複数のカーボンナノチューブが均一に分布されている。複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されている。単一の前記カーボンナノチューブの長さは、10cm以上である。前記カーボンナノチューブ構造体は、自立構造の薄膜の形状に形成されている。ここで、自立構造は、支持体材を利用せず、前記カーボンナノチューブ構造体を独立して利用することができるという形態である。前記複数のカーボンナノチューブは、分子間力で接近して、相互に絡み合って、カーボンナノチューブネット状に形成されている。前記複数のカーボンナノチューブは配向せずに配置されて、多くの微小な穴が形成されている。ここで、単一の前記微小な穴の直径が10μm以下になる。前記カーボンナノチューブ構造体におけるカーボンナノチューブは、相互に絡み合って配置されるので、該カーボンナノチューブ構造体は柔軟性に優れ、任意の形状に湾曲して形成させることができる。用途に応じて、前記カーボンナノチューブ構造体の長さ及び幅を調整することができる。前記カーボンナノチューブ構造体の厚さは、0.5nm〜1mmである。
前記カーボンナノチューブ構造体は、一つのカーボンナノチューブフィルムのセグメントを含む。図5を参照すると、前記カーボンナノチューブフィルムのセグメントにおける全てのカーボンナノチューブは、相互に平行し、所定の方向に沿って並列されている。前記カーボンナノチューブフィルムのセグメントにおいて、少なくとも一本のカーボンナノチューブの長さは、前記カーボンナノチューブフィルムのセグメントの全長と同じである。従って、前記カーボンナノチューブフィルムのセグメントの一つの寸法は、前記カーボンナノチューブの長さによって制限されている。前記カーボンナノチューブ構造体は、積層された複数の前記カーボンナノチューブフィルムのセグメントを含むことができる。この場合、隣接する前記カーボンナノチューブフィルムのセグメントは、分子間力で結合されている。前記カーボンナノチューブフィルムのセグメントの厚さは、0.5nm〜100μmである。
前記カーボンナノチューブ構造体は少なくとも一本のカーボンナノチューブワイヤを含む。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの熱容量は、2×10−4J/cm・K以下であり、5×10−5J/cm・Kであることが好ましい。一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は4.5nm〜1cmである。図6を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤは、分子間力で接続された複数のカーボンナノチューブからなる。この場合、一本のカーボンナノチューブワイヤは、端と端とが接続された複数のカーボンナノチューブセグメント(図示せず)を含む。前記カーボンナノチューブセグメントは、同じ長さ及び幅を有する。さらに、各々の前記カーボンナノチューブセグメントに、同じ長さの複数のカーボンナノチューブが平行に配列されている。前記複数のカーボンナノチューブはカーボンナノチューブワイヤの中心軸に平行に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。図7を参照すると、前記カーボンナノチューブワイヤをねじり、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤを形成することができる。ここで、前記複数のカーボンナノチューブは前記カーボンナノチューブワイヤの中心軸を軸に、螺旋状に配列されている。この場合、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は、1μm〜1cmである。前記カーボンナノチューブ構造体は、前記非−ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ、ねじれ状カーボンナノチューブワイヤ又はそれらの組み合わせのいずれか一種からなる。
前記カーボンナノチューブ構造体が複数のカーボンナノチューブワイヤを含む場合、前記複数のカーボンナノチューブワイヤは平行に並列され、又は交叉して織られ、又はねじれ状とされることができる。図8に複数のカーボンナノチューブワイヤ146からなる織物が示されている。該織物の対向する両端に、それぞれ第一電極142及び第二電極144を設置する。前記第一電極142及び第二電極144は前記カーボンナノチューブワイヤ146と電気的に接続されている。
前記カーボンナノチューブ構造体は柔軟であるので、前記カーボンナノチューブ構造体を多種の形状に形成でき、さらに、前記カーボンナノチューブ構造体を硬い絶縁体又は柔軟な絶縁体(例えば旗又は布)の表面に設置することができる。前記カーボンナノチューブ構造体が設置された旗が風にはためく場合、前記音波発生器14として利用されることができる。前記カーボンナノチューブ構造体が設置された布は、MP3のようなプレーヤーとして音楽を再生することができる。さらに、前記カーボンナノチューブ構造体が設置された布を利用することにより、身体障害者(例えば聴覚障害者)を助けることができる。
前記音波発生器14に利用したカーボンナノチューブ構造体の一部が破裂した場合でも、前記カーボンナノチューブ構造体により音波を発生することもできる。これに対して、従来のスピーカーの振動板又はコーンが損害した場合、音波を発生することができない。
図1に示されるように、本実施例の音波発生器14はカーボンナノチューブ構造体を含む。前記カーボンナノチューブ構造体はカーボンナノチューブフィルムを含む。該カーボンナノチューブフィルムにおいて、カーボンナノチューブが同じ方向に沿って配列されている。前記音波発生器14の長さは3cmであり、その幅は3cmであり、その厚さは50nmである。前記音波発生器14が薄く(厚さが10μm以下)設けられる場合、該音波発生器14は優れた透明性を有する。従って、前記透明な音波発生器14を利用することにより、透明な熱音響装置を製造することができる。前記透明な熱音響装置は、例えば携帯電話又はLCDの表面に設置されることができる。又は、前記透明な熱音響装置は絵の表面に貼ることができる。前記透明な音波発生器14を利用することにより、熱音響装置は小型及び軽量であるという優れた点がある。
前記第一電極142及び第二電極144は金属、導電接着剤、カーボンナノチューブ、ITOのいずれかの導電材料からなる。本実施例において、前記第一電極142及び第二電極144は棒状の金属電極である。前記音波発生器14はそれぞれ前記第一電極142及び第二電極144に電気的に接続されている。前記音波発生器14に利用したカーボンナノチューブ構造体は接着性を有するので、前記音波発生器14を直接前記第一電極142及び第二電極144に接着させることができる。さらに、前記第一電極142及び第二電極144は、導電線149によってそれぞれ前記信号装置12の両端に接続されている。
前記第一電極142又は第二電極144と前記音波発生器14とを良好に電気的に接続させるために、前記第一電極142又は第二電極144と前記音波発生器14との間に導電性接着層(図示せず)を設置することもできる。前記導電性接着層は、前記音波発生器14の表面に設置されることができる。前記導電性接着層は銀ペーストからなる。
前記信号装置12は、電気信号装置、直流電流脈動信号装置、交流電流装置、電磁波信号装置(例えば、光学信号装置、レーザー)のいずれかの一種である。前記信号装置12から前記音波発生器14へ転送された信号は、例えば、電磁波(例えば、光学信号)、電気信号(例えば、交流電流、直流電流脈動信号、オーディオ電気信号)又はそれらの混合信号である。前記信号はカーボンナノチューブ構造体に受信されて熱として放射される。熱の放射によって周辺媒体(環境)の圧力強度が変化するので、検出可能信号を発生することができる。前記熱音響装置10をイヤホンに利用した場合、前記入力信号はAC電気信号又はオーディオ電気信号である。前記熱音響装置10を光音響スペクトルデバイスに利用した場合、前記入力信号は光学信号である。本実施例において、前記信号装置12は光音響スペクトルであり、入力信号は電気信号である。
異なるタイプの前記信号装置12に対して、前記第一電極142及び第二電極144の設置は選択的である。例えば、前記信号装置12からの信号が電磁波又は光である場合、前記信号装置12は前記第一電極142及び第二電極144を利用せず、信号を前記音波発生器14に転送することができる。
前記信号装置12において、前記音波発生器14の前記カーボンナノチューブ構造体は複数のカーボンナノチューブを含み、単位面積当たりの熱容量が小さいので、前記音波発生器14で生じた温度波により周辺の媒体に圧力振動を発生させることができる。前記音波発生器14のカーボンナノチューブ構造体に信号(例えば、電気信号)を転送すると、信号強度及び/又は信号によって前記カーボンナノチューブ構造体に熱が生じる。温度波の拡散により、周辺の空気が熱膨張されて音が生じる。この原理は、従来のスピーカーにおける振動板の機械振動によって生じた圧力波により音を発生させる原理とは大きく異なる。前記入力信号が電気信号である場合、前記熱音響装置10は、電気―熱―音の変換方式によって作動するが、前記入力信号は光学信号である場合、前記熱音響装置10は、光―熱―音の変換方式によって作動する。前記光学信号のエネルギーは前記音波発生器14で吸収されて、熱として放射される。熱の放射によって周辺媒体(環境)の圧力強度が変化するので、検出可能信号を発生させることができる。
図9は本発明の実施例1における熱音響装置の周波数応答曲線である。この場合、50Vの交流電気信号を前記カーボンナノチューブ構造体に提供する。前記熱音響装置10の性能を検出するために、前記音波発生器14と5cmの距離で分離して、前記音波発生器14の一側に対向してマイクロホンを設置する。図9から、前記熱音響装置10の周波数応答範囲が広く、音圧レベルが高いことが理解できる。前記熱音響装置10の音圧レベルは50dB〜105dBである。前記熱音響装置10熱音響装置10に4.5Wの電圧を印加する場合、前記熱音響装置10の周波数応答範囲は、1Hz〜100KHzである。前記熱音響装置10の高調波歪みは非常に小さく、例えば、500Hz〜40KHzの範囲においてわずか3%に達することができる。
前記熱音響装置10の前記カーボンナノチューブ構造体が、五本の前記カーボンナノチューブワイヤを含む場合、隣接する前記カーボンナノチューブワイヤの間の距離は1cmであり、一本の前記カーボンナノチューブワイヤの直径は50μmである。前記カーボンナノチューブ構造体に50Vの交流電気信号を転送する場合、前記熱音響装置10で生じた音圧レベルは50dB〜100dBである。前記熱音響装置10に4.5Wの電圧を印加する場合、前記熱音響装置10の周波数応答範囲は、100Hz〜100KHzである。
さらに、前記カーボンナノチューブ構造体が優れた機械強度及び強靭性を有するので、前記カーボンナノチューブ構造体を、所望の形状及び寸法に設けることが可能であり、これにより、多数の所望の形状及び寸法の熱音響装置10を得ることが可能である。前記熱音響装置10は、例えば音響システム、携帯電話、MP3、MP4、TV、コンピューターなどに利用できる。
(実施例2)
図10を参照すると、本実施例の熱音響装置20は、信号装置22と、音波発生器24と、第一電極242と、第二電極244と、第三電極246と、第四電極248と、を含む。本実施例の熱音響装置20の構成、特性、機能は、実施例1の熱音響装置10と同じである。本実施例と実施例1との異なる点は、本実施例の熱音響装置20は四つの電極(第一電極242、第二電極244、第三電極246、第四電極248)を含むことである。前記四つの電極は棒状であり、それぞれ所定の距離で分離して設置されている。前記音波発生器24は前記四つの電極を囲むように、前記四つの電極に電気的に接続されている。さらに、前記第一電極242及び第三電極246は第一導電線249で前記信号装置22の一つの端部に電気的に並列接続されている。前記第二電極244及び第四電極248は第二導電線249’で前記信号装置22のもう一つの端部に電気的に並列接続されている。前記電極を前記信号装置22に並列接続させるので、前記熱音響装置20に印加される電圧が低い。
図11を参照すると、前記四つの電極は同じ平面に設置されることができる。この場合、前記四つの電気に制限されず、前記熱音響装置20に複数の電極を設置することができる。
(実施例3)
図12を参照すると、本実施例の熱音響装置30は、信号装置32と、音波発生器34と、第一電極342と、第二電極344と、を含む。本実施例の熱音響装置30の構成、特性、機能は、実施例1の熱音響装置10と同じである。本実施例と実施例1との異なる点は、本実施例の熱音響装置20は支持体36を含むことである。前記音波発生器34は前記支持体36の表面に設置される。前記音波発生器34の形状に応じ、前記支持体36の形状が決定される。前記支持体36は平面状又は/及び湾曲面状である。前記支持体36は、スクリーン、壁、机、ディスプレイのいずれか一種である。前記音波発生器34を前記支持体36に接触させることができる。
前記支持体36は、ダイヤモンド、ガラス、石英のような固い材料、又はプラスチック、樹脂、織物のような柔軟な材料からなる。前記支持体36は熱絶縁性を有し、前記音波発生器34で生じた熱を吸収することができない。さらに、前記支持体36と前記音波発生器34と接触する表面が粗く設けられることが好ましい。これにより、前記音波発生器34と周辺の触媒とが接触する面積を増加させることができる。前記カーボンナノチューブ構造体は比表面積が大きいので、前記音波発生器34を直接前記支持体36に接着させることができる。
前記音波発生器34及び前記支持体36を良好に接続させるために、前記音波発生器34及び前記支持体36の間に接着層(図示せず)を設置することができる。前記接着層は、前記音波発生器34の表面に設置されることができる。本実施例において、前記導電な接着層は銀ペーストからなる。
前記第一電極342及び第二電極344は、前記音波発生器34の同じ表面に設置され、又はそれぞれ前記音波発生器34の対向する表面に設置されている。前記二つの電極に制限されず、前記熱音響装置20に複数の電極を設置することができる。前記信号装置32は導電線349によって前記音波発生器34に接続されている。
(実施例4)
図13を参照すると、本実施例の熱音響装置40は、信号装置42と、音波発生器44と、支持体46と、第一電極442と、第二電極444と、第三電極446と、第四電極448と、を含む。本実施例の熱音響装置30の構成、特性、機能は、実施例1の熱音響装置10と同じである。本実施例と実施例3との異なる点は、前記音波発生器44は前記支持体46を囲むように設置されることである。前記支持体46は、例えば、立方体、錐体、円筒状のような三次元又は二次元の構造である。本実施例において、前記支持体46は円筒状であり、第一電極442と、第二電極444と、第三電極446と、第四電極448とは、それぞれ所定の距離で分離して、前記音波発生器44に電気的に接続される。第一電極442、第二電極444、第三電極446、及び第四電極448が前記信号装置42と接続する方式は、実施例1と同じである。勿論、前記四つの電気に制限されず、前記熱音響装置40に複数の電極を設置することができる。
(実施例5)
図14を参照すると、本実施例の熱音響装置50は、信号装置52と、音波発生器54と、支持体56と、第一電極542と、第二電極544と、を含む。本実施例の熱音響装置50の構成、特性、機能は、実施例3の熱音響装置30と同じである。本実施例と実施例3との異なる点は、前記音波発生器54の一部を前記支持体56に設置することにより、前記音波発生器54及び前記支持体56から音収集のスペースを形成することである。前記スペースは、閉鎖的な空間又は開放的な空間である。前記支持体56はU形又はL形である。前記熱音響装置50は二つ以上の前記支持体56を含むことができる。前記支持体56は、木、プラスチック、金属、ガラスのいずれか一種である。図14を参照すると、本実施例において、前記支持体56はL形であり、前記音波発生器54は前記支持体の第一端562から前記第二端564に延伸するので、前記音波発生器54及び前記支持体56から音収集のスペースを形成することができる。前記第一電極542及び第二電極544は前記音波発生器54の表面に設置され、且つ前記信号装置52に電気的に接続されている。これにより、前記音波発生器54によって生じた音は、前記支持体56の内壁で反射されるので、前記熱音響装置50の音響機能を高めることができる。
(実施例6)
図15及び図16を参照すると、本実施例の熱音響装置60は、信号装置62と、音波発生器64と、支持体56と、二つの電極642と、電力増幅器66と、を含む。本実施例の熱音響装置60の構成、特性、機能は、実施例1の熱音響装置10と同じである。本実施例と実施例1との異なる点は、本実施例の熱音響装置60は電力増幅器66を含むことである。前記電力増幅器66は前記信号装置62と電気的に接続されている。さらに、前記信号装置62は、信号出力装置(図示せず)を含み、該信号出力装置は前記信号装置62と電気的に接続されている。前記電力増幅器66により、前記信号装置62からの信号の出力を増幅させて、前記音波発生器64へ転送することができる。前記電力増幅器66は二つの出力部664及び入力部662を含む。前記入力部662は前記信号装置62に電気的に接続され、前記出力部664は前記音波発生器64に電気的に接続されている。
図17を参照すると、前記熱音響装置60に交流電流を提供する場合、前記音波発生器64の出力信号の周波数は入力信号の周波数より二倍程度高くなることができる。この原因は、前記音波発生器64に交流電流が流れ、前記音波発生器64を正電流及び負電流で交互に加熱させるので、二倍の周波数温度振動及び二倍の周波数音圧が生じる。従って、従来の電力増幅器(例えば、バイポーラ増幅器)を利用する場合、出力信号(人声又は音楽)が入力信号の二倍程度になるので、変に聞こえる。
前記電力増幅器66は、増幅信号(例えば、電圧信号)及びバイアス電圧を前記音波発生器64に提供して、入力信号を減少させることができる。図16を参照すると、前記電力増幅器66はA級の電力増幅器であり、第一レジスタR1と、第二レジスタR2と、第三レジスタR3と、コンデンサと、三極管と、を含む。前記三極管は、ベースBと、エミッタEと、コレクターCと、を含む。前記コンデンサは前記信号装置62の信号出力端及び前記三極管のベースBに接続されている。ADC電圧Vcc及び前記第一レジスタR1は、前記三極管のベースBに接続されている。前記三極管のベースBは、前記第二レジスタR2に接続されている。前記エミッタEは前記電力増幅器66の一つの出力部664に電気的に接続されている。DC電圧Vccは前記電力増幅器66のもう一つの出力部664に電気的に接続されている。前記コレクターCは前記第三レジスタR3に接続されている。前記電力増幅器66の二つの出力部664はそれぞれ前記二つの電極642に接続されている。前記レジスタR2及びレジスタR3はそれぞれ接地されている。
前記音波発生器64に複数の電極が電気的に接続されることができる。隣接する前記電極は、前記電力増幅器66の異なる端部664に接続されている。前記電極を設置しない場合、前記電力増幅器66の二つの出力部664は、導電線により前記音波発生器64に電気的に接続されている。
図15を参照すると、前記信号装置62からの信号の周波数を減少させるために、周波数低減回路69を設置する。前記周波数低減回路69は、例えば信号周波数を半分に低減させた後、前記信号を前記電力増幅器66へ転送することができる。前記電力増幅器66は例えば従来の電力増幅器であり、増幅した電圧信号及びバイアス電圧を前記音波発生器64に提供しない。前記周波数低減回路69は電力増幅器66に集積して設置されることができる。
図18及び図19を参照すると、さらに、熱音響装置60は複数の音波発生器64と検量器68とを含む。前記検量器68は前記電力増幅器66の入力部662又は出力部664に接続されている。図18を参照すると、前記検量器68が前記電力増幅器66の出力部664に接続される場合、前記検量器68は前記電力増幅器66からの増幅した信号を、複数の周波数帯域のサブ信号に分け、前記サブ信号をそれぞれ前記複数の音波発生器64に転送する。図19を参照すると、前記検量器68が前記電力増幅器66の入力部662に接続される場合、前記熱音響装置60は複数の電力増幅器66を含む。前記検量器68は前記信号装置62からの信号を、複数の周波数帯域のサブ信号に分かり、前記サブ信号をそれぞれ前記複数の電力増幅器66に転送する。各々の前記電力増幅器66は、一つの音波発生器64に対応している。
(実施例7)
図20を参照すると、本実施例の熱音響装置70は、電磁気信号装置712と、音波発生器714と、支持体716と、変調装置718と、を含む。前記音波発生器714は、前記支持体716により支持されている。又は、前記支持体716を利用せず、自立構造を有する前記音波発生器714を設置することができる。前記電磁気信号装置712は、前記音波発生器714から所定の距離で離れるように設置され、電磁気信号720を送信する。前記変調装置718は、前記電磁気信号装置712及び音波発生器714の間に設置され、前記電磁気信号装置712からの電磁気信号720の密度及び/又は周波数を変調させることができる。前記変調装置718で変調された前記電磁気信号720は、前記音波発生器714へ送信される。前記音波発生器714は、周辺の媒体に接触している。
実施例1と同様に、本実施例の音波発生器714は良好な透明性及び柔軟性を有するので、前記音波発生器714は他の装置に設置されることができる。前記支持体716は、表示装置、携帯電話、コンピューター、共鳴箱、ドア、窓、映写幕、家具、織物、航空機などのいずれか一種である。
前記音波発生器714はカーボンナノチューブ構造体を含む。該カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブワイヤを含む。該複数のカーボンナノチューブワイヤは、相互に平行に配列され、又は交叉し、又は織り合い、又はねじれている。図21を参照すると、前記カーボンナノチューブ構造体は、図6又は図7のカーボンナノチューブワイヤを織り合って形成するものである。勿論、カーボンナノチューブフィルム及び/又はカーボンナノチューブワイヤ構造体を利用して、図21のカーボンナノチューブ構造体を形成することもできる。前記熱音響装置70は電磁波を利用して信号を送信するので、前記音波発生器714に電極を設置することが不要である。
前記支持体716は、実施例3の支持体36又は実施例4の支持体46であってもよい。前記音波発生器714は、全て前記支持体716の表面に設置できる。前記音波発生器714が自立構造を有する場合、前記音波発生器714は直接設置され、又は前記音波発生器714の周辺が枠部に固定され、その他の部分が懸架されている。前記音波発生器714の懸架された部分が周辺の媒体と接触する面積は大きい。図22を参照すると、二枚の図2に示されたカーボンナノチューブフィルムは、枠部722に接着されている。前記二枚のカーボンナノチューブフィルムは、90°で交叉して接着されている。
前記電磁気信号装置712は電磁気信号発生器(図示せず)を含む。該電磁気信号発生器は、異なる密度及び周波数の電磁波を発生し、前記電磁気信号720を生じる。前記カーボンナノチューブ構造体は前記電磁気信号720を受信して、電磁エネルギーを熱エネルギーに転換させることができる。前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量が非常に低いので、同じ周波数の条件で、前記電磁気信号720を受信することに伴って前記カーボンナノチューブ構造体の温度が速く変化し、熱波が周辺の媒体へ伝送される。従って、前記電磁気信号720を送信することにより、周辺の媒体(例えば、環境の空気)を同じ周波数で加熱でき、熱波によって周辺の環境に圧力波が生じ、音波が生じることができる。前記熱音響装置70は、「光―熱―音」の変換により作動されるので、振動板の機械振動によって作動する従来のスピーカーと大きく異なる。カーボンナノチューブは、全ての電磁気スペクトル(例えば、ラジオ、遠赤外線、近赤外線、紫外線、X線、ガンマ線、高エネルギーガンマ線)を、均一に吸収することができるので、前記電磁気信号720の電磁気スペクトルは、ラジオ、遠赤外線、近赤外線、紫外線、X線、ガンマ線、高エネルギーガンマ線を含む。本実施例において、前記電磁気信号720は光信号であり、該光信号の周波数は、遠赤外線の周波数から紫外線の周波数までの範囲にある。
前記電磁気信号720の平均出力密度は、1μW/mm〜20W/mmである。前記電磁気信号720の平均出力密度が小さ過ぎる場合、周辺の媒体を加熱することができない。前記電磁気信号720の平均パワー密度が大き過ぎる場合、前記カーボンナノチューブ構造体を損害する恐れがある。本実施例において、前記電磁気信号発生器は、パルスレーザ発生器(例えば、赤外ダイオードレーザー)である。さらに、前記電磁気装置70は、例えば、レンズのような集束素子(図示せず)を含む。該集束素子は、前記音波発生器714により生じた電磁気信号720を集束させることにより、該電磁気信号720の平均出力密度を低下させることができる。
前記音波発生器714は、任意の角度で前記音波発生器714へ前記電磁気信号720を送信することができる。本実施例において、前記電磁気信号720の進行方向は前記カーボンナノチューブ構造体の表面に垂直である。前記音波発生器714がうまく前記電磁気信号720を受信できるように、前記電磁気信号発生器及び前記音波発生器714の間の距離を設定することができる。
前記変調装置718は、前記電磁気信号720の送信経路内に設置される。さらに、前記変調装置718は、密度変調素子(図示せず)及び/又は周波数変調素子(図示せず)を含む。前記変調装置718により、前記電磁気信号720の密度及び/又は周波数を変調して音波を発生させる。前記電磁気信号720の状態を制御するために、前記変調装置718にオン/オフ制御回路を設置することができる。本実施例において、前記変調装置718により、直接前記電磁気信号720の密度を変調させる。前記変調装置718及び前記電磁気信号装置は、集積し、又は所定の距離で離れて設置されている。本実施例において、前記変調装置718は、電気光学水晶である。前記電磁気信号720は変動信号(例えば、パルスレーザ)である場合、前記変調装置718を選択的に設置することができる。
本実施例において、前記熱音響装置70から生じた音波の密度は、50dB SPLである。入力したパワーが4.5Wである場合、前記熱音響装置70の周波数応答の範囲は、1Hz〜100KHzである。この場合、前記熱音響装置70により発生した音波は、70dB程度に達することができる。
図23を参照すると、一つのパルスフェムト秒レーザ信号(pulsed femtosecond laser signal)を利用して、実施例1のカーボンナノチューブフィルムを照射する。この場合、前記フェムト秒レーザ信号の波長は、800nmである。図23を参照すると、前記フェムト秒レーザ信号を受信した後、前記カーボンナノチューブフィルムは音圧信号を発生する。該音圧信号の幅は、10μm〜20μmである。前記レーザ信号の幅が20μm以上である場合、前記レーザ信号の幅の増加に伴って、前記音圧信号の幅は増加していく。幅が100μmのレーザで前記カーボンナノチューブフィルムを照射する場合、前記カーボンナノチューブフィルムは、幅が100μmの音圧信号を発生させることができる。図24乃至図27を参照すると、異なる波長を有するレーザを利用して前記カーボンナノチューブ構造体を照射することにより、前記カーボンナノチューブフィルムが生じた音圧信号を測定する。図24乃至図27に利用したレーザは、それぞれ波長が355nmの紫外線、波長が532nmの可視光、波長が1.06μmの赤外線、波長が10.6の遠赤外線である。図24乃至図27を参照すると、前記レーザの出力が強くなるほど、前記カーボンナノチューブフィルムから生じた音圧が大きくなることが分かる。
(実施例8)
図28を参照すると、本実施例の熱音響装置80は実施例7と比べて、次の異なる点がある。本実施例の熱音響装置80は、電磁気信号装置812と、音波発生器814と、枠部816と、変調装置818と、を含む。前記枠部816は、二本の棒により前記音波発生器814を支持する。これにより、前記音波発生器814の一部が懸架されている。前記電磁気信号装置812は所定の距離で前記音波発生器814と離れるように設置され、電磁気信号820を発生させる。
前記熱音響装置80は、さらに集音器822を含む。前記集音器822は、所定の距離で前記音波発生器814と離れるように、前記音波発生器814の、前記電磁気信号装置812に対向する側の反対側に設置されている。これにより、前記音波発生器814及び前記集音器822の間に、集音空間が形成される。前記集音器822は、平面又は湾曲面を有することができる。前記集音空間824を利用して、前記熱音響装置80の音質を高めることができる。前記音波発生器814の寸法に応じ、前記集音器822及び前記音波発生器814の間の距離を1cm〜1mに設定する。
(実施例9)
図29を参照すると、本実施例の熱音響装置90は実施例8と比べて、次の異なる点がある。本実施例の熱音響装置90は、電磁気信号装置912と、音波発生器914と、枠部916と、変調装置918と、を含む。前記電磁気信号装置912は所定の距離で前記音波発生器914と離れるように設置され、電磁気信号920を発生させる。
前記枠部916及び前記音波発生器914により、開口926を有する集音空間924を形成できる限り、前記枠部916をいずれの形状に設けることができる。本実施例において、前記枠部916はL型又はU型などの形状を有する(実施例5の支持体56を参照する)。前記音波発生器914は、前記枠部916の開口926を被覆し、前記枠部916とヘルムホルツ共鳴器を形成する。前記音波発生器914が生じた音波は、前記枠部916の側壁で反射されるので、熱音響装置90の音質が高くなることができる。勿論、前記集音空間924は開放された空間であり、又は密封された空間である。
(実施例10)
図30を参照すると、本実施例の熱音響装置1000は実施例7と比べて、次の異なる点がある。本実施例の熱音響装置1000は、電磁気信号装置1012と、音波発生器1014と、支持体1016と、変調装置1018と、を含む。前記電磁気信号装置1012は、さらに光ファイバー1022を含む。前記音波発生器104から所定の距離で離れるように、電磁気信号発生装置1024を設置する。前記電磁気信号発生装置1024からの光信号は前記光ファイバー1022により伝送される。前記変調装置1018は、前記光ファイバーの一つの端部に設置され、又は前記光ファイバーの両端の間に設置される。本実施例において、前記変調装置1018は、前記光ファイバー1022の一つの端部に接続されるように、前記音波発生器1014の近くに設置される。さらに、前記電磁気信号1020を所定の進行方向に沿って伝送させるために、電磁気反射素子を設置することができる。
(実施例11)
図31を参照すると、本実施例の熱音響装置2000は実施例7と比べて、次の異なる点がある。本実施例の熱音響装置2000は、電磁気信号装置2012と、音波発生器2014と、を含む。前記電磁気信号装置2012は所定の距離で前記音波発生器2014と離れるように設置され、電磁気信号2020を発生させる。前記電磁気信号装置2012は異なる密度及び/又は周波数を有する信号を発生させる。本実施例において、前記電磁気信号装置2012は、パルスレーザを放射するパルスレーザ発生器である。勿論、上述の全ての実施例と同じ、本実施例の熱音響装置2000は、前記音波発生器2014を支持するための枠部又は/及び支持体を含む。
(実施例12)
図32〜33を参照すると、本実施例の熱音響装置3000は、電磁気信号装置3012と、音波発生器3014と、を含む。前記電磁気信号装置3012は電磁気信号3020を発生させる。前記電磁気信号装置3012は異なる密度及び/又は周波数を有する信号を発生させる。さらに、前記熱音響装置3000は変調回路3018を含む。該変調回路3018は、前記電磁気信号装置3012に電気的に接続され、入力された電気信号によって、前記電磁気信号装置3012から送信された電磁気信号の密度及び周波数を変調させることができる。
異なる周波数及び又は/密度を有する光を照射することにより、前記音波発生器3014が音を発生することができる。本実施例において、前記電磁気信号装置3012は、少なくとも一つの、可視光を放出する光放出ダイオード(図示せず)を含む。該光放出ダイオードは、3.4V〜3.6Vの定格電圧、360mAの定格電流、1.1Wの定格出力、1m/Wの発光効率を有する。前記光放出ダイオードの数量に対する制限はない。一つの例として、16個の前記光放出ダイオードを利用した場合、前記熱音響装置3000に前記音波発生器3014を支持するための枠部3016を設置する。前記音波発生器3014は、前記光放出ダイオードの表面に接触することができる。又は、前記電磁気信号装置3012は、前記音波発生器3014の近くに(1cmだけ離隔して)設置されることもできる。
さらに、前記熱音響装置3000は、変調回路3018に電気的接続された電気信号装置3040を含む。前記電気信号装置3040は、前記変調回路3018に電気信号を送信する。例えば、前記電気信号装置3040はMP3プレーヤーである場合、前記熱音響装置3000は該MP3プレーヤーの音を再生させることができる。
(実施例13)
図34を参照すると、本実施例において音伝送システム4000を提供する。該音伝送システム4000は、音―電変換装置4040と、電―波変換装置4030と、音波発生器4014と、支持体4016と、を含む。前記音―電変換装置4040は、前記電―波変換装置4030に電気的に接続されている。前記電―波変換装置4030は、前記音波発生器4014と所定の距離で離れて設置されている。
前記音―電変換装置4040により、音圧を電気信号へ変換させて、該電気信号を前記電―波変換装置4030に出力することができる。前記電―波変換装置4030は、前記音―電変換装置4040から出力された前記電気信号によって、電磁気信号を送信する。前記音波発生器4014はカーボンナノチューブ構造体を含む。前記電磁気信号を前記カーボンナノチューブ構造体に送信した後、前記カーボンナノチューブ構造体により前記電磁気信号を熱に変換することができる。前記熱を、前記カーボンナノチューブ構造体に接触する周辺の媒体に伝送すると、熱音響効果が生じることになる。前記音―電変換装置4040はマイクロホン又は圧力センサーである。本実施例において、前記音―電変換装置4040はマイクロホンである。
さらに、前記電―波変換装置4030は、電磁気信号装置4012及び変調装置4018を含む。前記電磁気信号装置4012及び変調装置4018は、所定の距離で離れ、又は集積される。前記電磁気信号装置4012は電磁気信号4020を発生する。前記変調装置4018は前記音―電変換装置4040に接続され、前記電磁気信号装置4012から送信された電磁気信号4020の密度又は/及び周波数を変調することができる。
前記電磁気信号装置4012、前記音波発生器4014、前記支持体4016は、それぞれ上述の実施例における電磁気信号装置、音波発生器、支持体(又は枠部)に類似している。前記音伝送システム4000は、さらに光ファイバー(図示せず)を含む。前記光ファイバーは前記電―波変換装置4030に接続され、前記電磁気信号4020を前記カーボンナノチューブ構造体に伝送される。本実施例において、前記電磁気信号装置4012は、ポンプソース及び共振器を含むレーザ装置である。
上述複数の実施例の一つにおいて、前記熱音響装置は複数の異なる入力装置を利用することができる。例えば、一つの前記実施例において、前記熱音響装置は同時に電気入力装置及び電磁気入力装置を含むことができる。
図35を参照すると、本発明による音波を発生させる方法は、カーボンナノチューブ構造体を提供する第一ステップと、前記カーボンナノチューブ構造体に信号を転送して、前記カーボンナノチューブ構造体に熱が生じる第二ステップと、熱が前記カーボンナノチューブ構造体に接触する周辺の媒体へ放射される第三ステップと、熱音響効果が発生する第四ステップと、を含む。
前記第一ステップにおいて、前記カーボンナノチューブ構造体は、前記熱音響装置10に利用したカーボンナノチューブ構造体と同じである。前記第二ステップにおいて、前記信号は、少なくとも二つの電極により前記信号装置に転送される。前記第三及び第四ステップにおいて、前記カーボンナノチューブ構造体に生じた熱は、周辺の媒体を加熱させる。周辺の媒体を繰り返し加熱させることにより、音波を発生させることができる。上述は熱音響効果というものである。
10 熱音響装置
100 スピーカー
102 ボイスコイル
104 マグネット
106 コーン
12 信号装置
14 音波発生器
142 第一電極
143a カーボンナノチューブフィルム
143b カーボンナノチューブセグメント
144 第二電極
145 カーボンナノチューブ
146 カーボンナノチューブワイヤ
149 導電線
20 熱音響装置
22 信号装置
24 音波発生器
242 第一電極
244 第二電極
246 第三電極
248 第四電極
249 第一導電線
249’ 第二導電線
30 熱音響装置
32 信号装置
34 音波発生器
342 第一電極
344 第二電極
349 導電線
36 支持体
40 熱音響装置
42 信号装置
44 音波発生器
442 第一電極
444 第二電極
446 第三電極
448 第四電極
449 導電線
50 熱音響装置
52 信号装置
54 音波発生器
542 第一電極
544 第二電極
549 導電線
56 支持体
562 第一端
564 第二端
60 熱音響装置
62 信号装置
64 音波発生器
66 電力増幅器
662 入力部
664 出力部
69 周波数低減回路
70 熱音響装置
712 電磁気信号装置
714 音波発生器
716 支持体
718 変調装置
720 電磁気信号
722 枠部
80 熱音響装置
812 電磁気信号装置
814 音波発生器
816 枠部
818 変調装置
820 電磁気信号
822 集音器
824 集音空間
90 熱音響装置
912 電磁気信号装置
914 音波発生器
916 枠部
918 変調装置
920 電磁気信号
924 集音空間
926 開口
1000 熱音響装置
1012 電磁気信号装置
1014 音波発生器
1016 支持体
1018 変調装置
1022 光ファイバー
1024 電磁気信号発生装置
1020 電磁気信号
2000 熱音響装置
2012 電磁気信号装置
2014 音波発生器
2020 電磁気信号
3000 熱音響装置
3012 電磁気信号装置
3014 音波発生器
3018 変調回路
3020 電磁気信号
3040 電気信号装置
4000 音伝送システム
4012 電磁気信号装置
4014 音波発生器
4016 支持体
4018 変調装置
4030 電―波変換装置
4040 音―電変換装置

Claims (10)

  1. 電磁気信号装置と、カーボンナノチューブ構造体を含む音波発生器と、を含み、
    前記電磁気信号装置が、前記カーボンナノチューブ構造体に電磁気信号を送信することを特徴とする熱音響装置。
  2. 電磁気信号装置と、カーボンナノチューブ構造体を含む音波発生器と、を含み、
    前記電磁気信号装置が、前記カーボンナノチューブ構造体に電磁気信号を送信し、
    前記カーボンナノチューブ構造体が前記電磁気信号を熱に変換して、媒体に熱音響効果を生じさせることを特徴とする熱音響装置。
  3. 前記カーボンナノチューブ構造体の単位面積当たりの熱容量が0(0は含まず)〜2×10−4J/cm・Kであることを特徴とする、請求項1又は2に記載の熱音響装置。
  4. 前記電磁気信号装置は、光ファイバーを含むことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか一項に記載の熱音響装置。
  5. 前記電磁気信号装置及び音波発生器の間に、変調装置を設置することを特徴とする、請求項1〜4のいずれか一項に記載の熱音響装置。
  6. 前記カーボンナノチューブ構造体において、カーボンナノチューブが分子間力で接続され、均一に分布されていることを特徴とする、請求項1〜5のいずれか一項に記載の熱音響装置。
  7. 前記カーボンナノチューブ構造体は、少なくとも一枚のカーボンナノチューブフィルムを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱音響装置。
  8. 前記カーボンナノチューブ構造体は、複数のカーボンナノチューブワイヤを含むことを特徴とする、請求項1〜6のいずれか一項に記載の熱音響装置。
  9. 前記熱音響装置は、前記音波発生器を支持するための支持体を設置することを特徴とする、請求項1〜8のいずれか一項に記載の熱音響装置。
  10. 音―電変換装置と、電―波変換装置と、音波発生器と、を含み、
    前記音波発生器がカーボンナノチューブ構造体を含み、
    前記電―波変換装置が、前記音波発生器に電磁気信号を送信し、
    前記カーボンナノチューブ構造体が電磁気信号を熱に変換して、媒体に熱音響効果が生じることを特徴とする音伝送システム。
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