JP2009296334A - Δς変調方式のa/d変換器及びこれを用いた制御装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ΔΣ変調型のA/D変換器においてテジタル変換値の変換精度を向上させる。
【解決手段】変換対象のアナログ入力信号Viを第1のA/D変換部1でデジタル変換し、第1のA/D変換部1の第1のΔΣ変調器11の変調信号を、第1のA/D変換部1でのデジタル変換値相当の値としてレジスタ3及びD/A変換器4を介して第2のA/D変換部2に入力し、第2のA/D変換部2では、第1のA/D変換部1でのデジタル変換値相当の値とアナログ入力信号Viとの差分値、すなわち、第1のA/D変換部1での変換誤差をデジタル変換する。第1のA/D変換部1での変換誤差を、第2のA/D変換部2でのデジタル変換値で補正するように、第1のA/D変換部1及び第2のA/D変換部2のデジタル変換値を合成することにより、アナログ入力信号Viに対応する高精度なデジタル変換値を得ることができる。
【選択図】 図1
【解決手段】変換対象のアナログ入力信号Viを第1のA/D変換部1でデジタル変換し、第1のA/D変換部1の第1のΔΣ変調器11の変調信号を、第1のA/D変換部1でのデジタル変換値相当の値としてレジスタ3及びD/A変換器4を介して第2のA/D変換部2に入力し、第2のA/D変換部2では、第1のA/D変換部1でのデジタル変換値相当の値とアナログ入力信号Viとの差分値、すなわち、第1のA/D変換部1での変換誤差をデジタル変換する。第1のA/D変換部1での変換誤差を、第2のA/D変換部2でのデジタル変換値で補正するように、第1のA/D変換部1及び第2のA/D変換部2のデジタル変換値を合成することにより、アナログ入力信号Viに対応する高精度なデジタル変換値を得ることができる。
【選択図】 図1
Description
本発明は、ΔΣ変調を用いてA/D変換を行うΔΣ変調方式のA/D変換器及びこれを用いた制御装置に関する。
例えばモータ制御機器を駆動制御する場合、モータを、アナログ量を用いて制御するアナログ制御よりも、デジタル量を用いて制御するデジタル制御の方が、より高速度且つ高精度での制御を期待することができるため、デジタル制御が多用されている。しかしながら、モータへの供給電圧或いは供給電流等といったモータの駆動状態を検出するための情報はアナログデータである。このため、デジタル制御を行うためには、これらのアナログデータをデジタルデータに変換する必要がある。この変換は、一般に、A/D変換器を用いて行われている。
ところで、モータを高精度で駆動制御するためには、例えば10ビット程度以上のA/D変換器が必要であり、このような多ビットのA/D変換器は、回路が複雑で大型化し、価格も上昇するという欠点がある。そこで、高精度を維持しながら、回路構成を簡略化できるA/D変換器として、ΔΣ変調型A/D変換器が多用されている。
図9は、永久磁石電動機(以下、PMモータという。)をデジタル制御するための電動機制御回路の一般的な回路構成を示すブロック回路図である。
図9において、91はPMモータ97の回転速度を制御するための速度制御器、92は比例積分制御によってPMモータ97へ印加する電圧を制御するPI制御部、93はPMモータ97の直交するdq座標軸上の電圧指令を三相電圧指令に変換するUVW変換部、94はUVW変換部93からの三相電圧指令に応じたパルス幅変調波形を発生するために三角波形との比較を行う比較器、95は前記三角波形を発生する三角波発生器、96はPMモータ97を駆動するためのインバータ、97aはPMモータ97の回転位置を検出する位置検出器、98はPMモータ97への供給電流としてアナログ量で検出される各相電流をデジタル量に変換するΔΣ変調型A/D変換器である。このΔΣ変調型A/D変換器98で変換されたデジタル量の各相電流は、dq座標変換部99で直交するdq座標に変換される。
図9において、91はPMモータ97の回転速度を制御するための速度制御器、92は比例積分制御によってPMモータ97へ印加する電圧を制御するPI制御部、93はPMモータ97の直交するdq座標軸上の電圧指令を三相電圧指令に変換するUVW変換部、94はUVW変換部93からの三相電圧指令に応じたパルス幅変調波形を発生するために三角波形との比較を行う比較器、95は前記三角波形を発生する三角波発生器、96はPMモータ97を駆動するためのインバータ、97aはPMモータ97の回転位置を検出する位置検出器、98はPMモータ97への供給電流としてアナログ量で検出される各相電流をデジタル量に変換するΔΣ変調型A/D変換器である。このΔΣ変調型A/D変換器98で変換されたデジタル量の各相電流は、dq座標変換部99で直交するdq座標に変換される。
そして、位置検出器97aで検出された位置情報と、入力される速度指示値wr* とをもとに速度制御器91が電流指令値i* を生成し、演算器91aで、電流指令値i* から、dq座標変換部99で座標変換された電流値を減算した値を算出し、算出した差をもとに、PI制御部92が比例積分制御を行うことによって、PMモータ97を駆動制御するようにしている。
図10は、図9におけるΔΣ変調型A/D変換器98の原理を示すブロック図である。
図10において、演算器101は、アナログ入力信号をVi(信号入力範囲は0〜1)とすると、これと1ビットD/A変換器105の出力との差を演算し、この出力を積分器102に入力する。積分器102では、アナログ入力信号Viと1ビットD/A変換器105の出力との差を積分し、アナログ入力信号Viが1ビットD/A変換器105の出力よりも大きければ積分器102の出力を増大させ、この大小関係が逆ならば、積分器102の出力を減少させる。
図10において、演算器101は、アナログ入力信号をVi(信号入力範囲は0〜1)とすると、これと1ビットD/A変換器105の出力との差を演算し、この出力を積分器102に入力する。積分器102では、アナログ入力信号Viと1ビットD/A変換器105の出力との差を積分し、アナログ入力信号Viが1ビットD/A変換器105の出力よりも大きければ積分器102の出力を増大させ、この大小関係が逆ならば、積分器102の出力を減少させる。
この積分器102の出力と別途定めるレベル、例えば、“0.5”との大小関係を比較器103で比較し、積分器102の出力の方が大きければ、比較器103は“1”を出力し、積分器102の出力の方が小さければ、比較器103は“0”を出力する。
この比較器103の出力データがサンプリングクロックによりラッチされ、サンプリングクロック周波数の1周期の期間、遅延素子104に保持される。このラッチされた信号が前記1ビットD/A変換器105の入力となり、演算器101はアナログ入力信号Viと1ビットD/A変換器105の出力との差を演算する。そして、デジタルフィルタからなるフィルタ106を介して得られる比較器103の出力が、このΔΣ変調型A/D変換器98のデジタル出力となる。
この比較器103の出力データがサンプリングクロックによりラッチされ、サンプリングクロック周波数の1周期の期間、遅延素子104に保持される。このラッチされた信号が前記1ビットD/A変換器105の入力となり、演算器101はアナログ入力信号Viと1ビットD/A変換器105の出力との差を演算する。そして、デジタルフィルタからなるフィルタ106を介して得られる比較器103の出力が、このΔΣ変調型A/D変換器98のデジタル出力となる。
図11は、図10に示すΔΣ変調器A/D変換器98を実現した、回路の一例を示す回路図である。
すなわち、図11に示すように、ΔΣ変調器A/D変換器98は、差動アンプ113と、差動アンプ113の出力を所定時間保持するD型フリップフロップ114と、D型フリップフロップ114の出力をカウントするカウンタ117と、を備える。
すなわち、図11に示すように、ΔΣ変調器A/D変換器98は、差動アンプ113と、差動アンプ113の出力を所定時間保持するD型フリップフロップ114と、D型フリップフロップ114の出力をカウントするカウンタ117と、を備える。
アナログ入力信号Viは、入力抵抗111を介して差動アンプ113の反転入力端子に入力される。この反転入力端子には、差動アンプ113の出力がコンデンサ112を介して帰還されると共に、D型フリップフロップ114の出力が入力抵抗115を介して入力される。差動アンプ113の非反転入力端子には、基準電源116により正値の基準電圧が入力される。
D型フリップフロップ114の入力端子Dには、差動アンプ113の出力が入力されると共に、クロック端子CKにはクロック信号ADCLKが入力される。そして、D型フリップフロップ114は、入力端子Dに入力される信号を、クロック信号ADCLKの1周期期間、保持した後、非反転出力端子Qから出力する。
カウンタ117は、入力端子DINに入力される信号がHIGHレベルであるとき、クロック端子CKに入力されるクロック信号ADCLKのタイミングでカウントする。このカウント結果を、予め設定されたA/D変換期間毎に読み出すことによって、A/D変換期間当たりのカウント値すなわちアナログ入力信号Viのデジタル変換値を得ることができる。
カウンタ117は、入力端子DINに入力される信号がHIGHレベルであるとき、クロック端子CKに入力されるクロック信号ADCLKのタイミングでカウントする。このカウント結果を、予め設定されたA/D変換期間毎に読み出すことによって、A/D変換期間当たりのカウント値すなわちアナログ入力信号Viのデジタル変換値を得ることができる。
なお、ここでは、回路の簡略化のため、D型フリップフロップ114に、図10に示す1ビットD/A変換器105の機能も併用させている。
図12は、図10の構成を有するΔΣ変調型A/D変換器98へのアナログ入力信号Viが“1/3”である場合の各部の動作波形図であって、(a)は積分器102の出力、(b)は比較器103の出力を表したものである。なお、横軸はサンプリングクロックを表す。
図12は、図10の構成を有するΔΣ変調型A/D変換器98へのアナログ入力信号Viが“1/3”である場合の各部の動作波形図であって、(a)は積分器102の出力、(b)は比較器103の出力を表したものである。なお、横軸はサンプリングクロックを表す。
アナログ入力信号Viが“1/3”の場合には、図12に示すように、略サンプリングクロック3回に1回の割合で、比較器103から信号レベルが“1”の信号が出力される。
図13は、図10の構成を有するΔΣ変調型A/D変換器へのアナログ入力信号Viが“4/7”である場合の各部の動作を示す動作波形図であって、(a)は積分器102の出力、(b)は比較器103の出力を表したものである。なお、横軸はサンプリングクロックを表す。
図13は、図10の構成を有するΔΣ変調型A/D変換器へのアナログ入力信号Viが“4/7”である場合の各部の動作を示す動作波形図であって、(a)は積分器102の出力、(b)は比較器103の出力を表したものである。なお、横軸はサンプリングクロックを表す。
アナログ入力信号Viが“4/7”の場合には、略サンプリングクロック7回に4回の割合で比較器103から信号レベルが“1”の信号が出力される。
そして、図12(b)或いは図13(b)で表される比較器103の出力を、フィルタ106でデジタルフィルタ処理することによって、アナログ入力信号Viに応じたデジタル値が得られることになる。
そして、図12(b)或いは図13(b)で表される比較器103の出力を、フィルタ106でデジタルフィルタ処理することによって、アナログ入力信号Viに応じたデジタル値が得られることになる。
前記フィルタ106でのデジタルフィルタ処理としては、2n のサンプリングクロック期間、例えばn=8とした場合には、256回のサンプリングクロック期間中に、比較器103から信号レベルが“1”の信号が何回出力されたかをカウントし、1サンプリングクロック当たりの信号レベル“1”の信号の出力回数を演算し、これをデジタル出力値として使用する。前記サンプリングクロック期間が、A/D変換を行うためのサンプリングを行うA/D変換期間となり、このA/D変換期間毎に、比較器103から信号レベルが“1”の信号が出力された回数をカウントすることによって、A/D変換期間毎のA/D変換値、つまりデジタル値を得るようになっている。
上述のようなΔΣ変調型のA/D変換器を用いることにより、比較的簡易な回路構成で比較的精度の高いデジタル変換値を得ることができる。しかしながら、このようなΔΣ変調型のA/D変換器の場合、比較器などの動作周波数は高速ではあるが、デジタル変換信号の出力動作の点では比較的低速である。これを改善するために、高速サンプリング時には低分解能A/D変換器として動作し、低速サンプリング時は高分解能A/D変換器として動作するように、サンプリング周波数に応じて動作モードを切り替えることにより、動作速度の改善を図るようにしたものなども提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開平3−125517号公報
ところで、従来のΔΣ変調型A/D変換器において変換精度をさらに向上させるためには、サンプリングクロック間隔を短くする必要があり、例えば、デジタル出力8ビットを9ビットとするためには、サンプリングクロック間隔を28(=256)から29(=512)と、倍にする必要がある。
つまり、A/D変換時間を同じとすると、サンプリングクロック速度を2倍にする必要があり、差動アンプ、積分器、1ビットD/A変換器、比較器、ラッチ回路などといった、ΔΣ変調器の構成要素全ての周波数特性を向上させる必要がある。
つまり、A/D変換時間を同じとすると、サンプリングクロック速度を2倍にする必要があり、差動アンプ、積分器、1ビットD/A変換器、比較器、ラッチ回路などといった、ΔΣ変調器の構成要素全ての周波数特性を向上させる必要がある。
そのため、回路素子を周波数特性の優れたものに変更する、素子の配置、配線に注意する、等のコストアップの要因となると共に、回路の高周波化に伴うノイズレベルの上昇などの問題が新たに発生することになる。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、従来のサンプリングクロック速度を維持しつつ、A/D変換器の変換精度を向上させることの可能なΔΣ型A/D変換器及びこれを用いた制御装置を提供することを目的としている。
そこで、この発明は、上記従来の未解決の問題に着目してなされたものであり、従来のサンプリングクロック速度を維持しつつ、A/D変換器の変換精度を向上させることの可能なΔΣ型A/D変換器及びこれを用いた制御装置を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る発明は、アナログ信号からなる変換対象信号をデジタル変換値に変換するΔΣ変調方式のA/D変換器において、アナログ入力信号をΔΣ変調しこの変調信号に基づき前記アナログ入力信号に応じたデジタル変換値を演算する複数のA/D変換手段と、1からN段目(Nは自然数)の各A/D変換手段で演算されるデジタル変換値それぞれに相当するアナログ信号を生成し、生成した前記デジタル変換値相当のアナログ信号の総和と、前記変換対象信号との差分信号を、N+1段目のA/D変換手段の入力信号とする差分信号生成手段と、前記各A/D変換手段でのデジタル変換値を合成して前記変換対象信号に対応したデジタル変換値を演算する変換値演算手段と、を備え、前記1段目のA/D変換手段には、前記アナログ入力信号として前記変換対象信号が入力されることを特徴としている。
この発明によれば、例えばA/D変換手段が2段設けられているものとすると、1段目のA/D変換手段でアナログ信号からなる変換対象信号に対してデジタル変換が行われ、2段目のA/D変換手段には、1段目のA/D変換手段でのデジタル変換値相当のアナログ信号と、変換対象のアナログ信号との差分信号が入力され、この差分信号に対してデジタル変換が行われる。つまり2段目のA/D変換手段では、1段目のA/D変換手段での変換誤差に対してデジタル変換が行われることになる。したがって、1段目及び2段目のA/D変換手段でのデジタル変換値を、1段目のA/D変換手段でのデジタル変換値を2段目のA/D変換手段でのデジタル変換値により補正するように合成することにより、1段目のA/D変換手段でのデジタル変換値よりも、精度のより高い、変換対象信号に対応したデジタル変換値が得られることになる。
また、請求項2に係る発明は、前記A/D変換手段で変換可能な信号入力範囲の範囲幅は、後段のA/D変換手段ほど狭くなるように設定されることを特徴としている。
また、請求項2に係る発明は、前記A/D変換手段で変換可能な信号入力範囲の範囲幅は、後段のA/D変換手段ほど狭くなるように設定されることを特徴としている。
また、請求項3に係る発明は、N段目のA/D変換手段の信号入力範囲の範囲幅は、N−1段目のA/D変換手段の前記範囲幅の1/2となるように設定されることを特徴としている。
例えばA/D変換手段が2段設けられているものとすると、2段目のA/D変換手段では、1段目のA/D変換手段と変換対象のアナログ信号との差分信号を入力信号としているため、2段目のA/D変換手段に入力されるアナログ入力信号の範囲幅は、1段目のA/D変換手段に入力されるアナログ入力信号の範囲幅よりも狭い。
したがって、入力されるアナログ入力信号の範囲幅に合わせて、2段目のA/D変換手段の入力範囲幅を狭く設定することによって、2段目のA/D変換手段の変換精度を向上させることができ、結果的に、各A/D変換手段でのデジタル変換値を合成して得られる、変換対象信号に対応するデジタル変換値の変換精度を向上させることが可能となる。
例えばA/D変換手段が2段設けられているものとすると、2段目のA/D変換手段では、1段目のA/D変換手段と変換対象のアナログ信号との差分信号を入力信号としているため、2段目のA/D変換手段に入力されるアナログ入力信号の範囲幅は、1段目のA/D変換手段に入力されるアナログ入力信号の範囲幅よりも狭い。
したがって、入力されるアナログ入力信号の範囲幅に合わせて、2段目のA/D変換手段の入力範囲幅を狭く設定することによって、2段目のA/D変換手段の変換精度を向上させることができ、結果的に、各A/D変換手段でのデジタル変換値を合成して得られる、変換対象信号に対応するデジタル変換値の変換精度を向上させることが可能となる。
また、請求項4に係る発明は、前記差分信号生成手段は、前記変調信号を、前記A/D変換手段でのデジタル変換値相当の信号として用いることを特徴としている。
ここで、A/D変換手段では、ΔΣ変調による変調信号に基づきデジタル変換値を演算している。このため、デジタル変換値相当の信号として変調信号を用いることで、デジタル変換値相当の信号を容易に得ることが可能となる。
ここで、A/D変換手段では、ΔΣ変調による変調信号に基づきデジタル変換値を演算している。このため、デジタル変換値相当の信号として変調信号を用いることで、デジタル変換値相当の信号を容易に得ることが可能となる。
また、請求項5に係る発明は、前記差分信号生成手段は、単位時間当たりに前記変調信号に含まれるパルス数を前記デジタル変換値相当の信号として用いることを特徴としている。
ここで、ΔΣ変調による変調信号に含まれる単位時間当たりのパルス数は、入力信号のデジタル変換値相当の値を表している。このため、デジタル変換値相当の信号として単位時間当たりのパルス数を用いることにより、デジタル変換値相当の信号を容易に得ることができる。また、各パルスをアナログ信号に変換しこれを合成することにより、デジタル変換値相当のアナログ信号を容易に得ることが可能となる。
ここで、ΔΣ変調による変調信号に含まれる単位時間当たりのパルス数は、入力信号のデジタル変換値相当の値を表している。このため、デジタル変換値相当の信号として単位時間当たりのパルス数を用いることにより、デジタル変換値相当の信号を容易に得ることができる。また、各パルスをアナログ信号に変換しこれを合成することにより、デジタル変換値相当のアナログ信号を容易に得ることが可能となる。
また、請求項6に係る発明は、前記A/D変換手段は、2段設けられていることを特徴としている。
また、本発明の請求項7に係る制御装置は、制御対象の制御状態を表すアナログ信号からなる制御状態量をデジタル変換するA/D変換器を有し、前記A/D変換器で変換された制御状態量に基づき前記制御対象を制御する制御装置において、前記請求項1から請求項6記載のΔΣ変調方式のA/D変換器を、前記A/D変換器として用いることを特徴としている。
さらに、請求項8に係る制御装置は、前記制御対象はモータであって、前記ΔΣ変調方式のA/D変換器は、前記モータに流れる電流値をデジタル変換することを特徴としている。
また、本発明の請求項7に係る制御装置は、制御対象の制御状態を表すアナログ信号からなる制御状態量をデジタル変換するA/D変換器を有し、前記A/D変換器で変換された制御状態量に基づき前記制御対象を制御する制御装置において、前記請求項1から請求項6記載のΔΣ変調方式のA/D変換器を、前記A/D変換器として用いることを特徴としている。
さらに、請求項8に係る制御装置は、前記制御対象はモータであって、前記ΔΣ変調方式のA/D変換器は、前記モータに流れる電流値をデジタル変換することを特徴としている。
これら請求項7及び請求項8に係る発明によれば、制御対象の制御状態を表す制御状態量をデジタル値に変換するA/D変換器として、請求項1から請求項6記載のΔΣ変調方式のA/D変換器を用いることにより、高精度なデジタル変換値を得ることができる。このため、この高精度なデジタル変換値を用いて制御対象の制御を行うことによって、制御精度をより向上させることができる。特に、モータの場合にはモータに流れる電流値のデジタル変換値を高精度に得ることができるため、好適である。
本発明のΔΣ変調型A/D変換器によれば、1段目のA/D変換手段での変換誤差に対して2段目のA/D変換手段でデジタル変換を行い、というように、前段のA/D変換手段での変換誤差を次段のA/D変換手段でデジタル変換するようにしたから、各A/D変換手段でのデジタル変換値を合成することにより、1段目のA/D変換手段でのデジタル変換値よりも、精度のより高い、変換対象信号に対応したデジタル変換値を得ることができる。
また、請求項2及び請求項3記載の発明のようにA/D変換手段で変換可能な信号入力範囲の範囲幅を、後段のA/D変換手段ほど狭くなるように設定することによって、A/D変換手段での変換精度を向上させることができ、結果的に、ΔΣ変調型A/D変換器全体での変換精度を向上させることができる。
また、請求項4及び請求項5記載の発明のように、A/D変換手段でのデジタル変換値相当の信号として、変調信号や変調信号に含まれるパルス数を用いることで、デジタル変換値相当の信号を容易に得ることができる。
また、本発明の制御装置によれば、制御対象の制御状態を表す制御状態量をデジタル値に変換するA/D変換器として、請求項1から請求項6記載のΔΣ変調方式のA/D変換器を用いているため、制御対象に対する制御精度をより向上させることができる。
また、請求項4及び請求項5記載の発明のように、A/D変換手段でのデジタル変換値相当の信号として、変調信号や変調信号に含まれるパルス数を用いることで、デジタル変換値相当の信号を容易に得ることができる。
また、本発明の制御装置によれば、制御対象の制御状態を表す制御状態量をデジタル値に変換するA/D変換器として、請求項1から請求項6記載のΔΣ変調方式のA/D変換器を用いているため、制御対象に対する制御精度をより向上させることができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明における、ΔΣ変調型A/D変換器100の原理図であって、このΔΣ変調型A/D変換器は、例えば、図9に示す、電動機制御回路のA/D変換器98として適用される。
図1に示すように、ΔΣ変調型A/D変換器100は、第1のA/D変換部1と、第2のA/D変換部2と、第1のA/D変換部1を構成する第1のΔΣ変調器11の変調出力を保持するレジスタ3と、レジスタ3の出力をアナログ信号に変換するD/A変換器4と、第1のA/D変換部1の変換出力及び第2のA/D変換部2の変換出力から、デジタル信号への変換対象として入力されたアナログ入力信号Viのデジタル変換値を演算する演算処理部5と、を備える。
図1は、本発明における、ΔΣ変調型A/D変換器100の原理図であって、このΔΣ変調型A/D変換器は、例えば、図9に示す、電動機制御回路のA/D変換器98として適用される。
図1に示すように、ΔΣ変調型A/D変換器100は、第1のA/D変換部1と、第2のA/D変換部2と、第1のA/D変換部1を構成する第1のΔΣ変調器11の変調出力を保持するレジスタ3と、レジスタ3の出力をアナログ信号に変換するD/A変換器4と、第1のA/D変換部1の変換出力及び第2のA/D変換部2の変換出力から、デジタル信号への変換対象として入力されたアナログ入力信号Viのデジタル変換値を演算する演算処理部5と、を備える。
第1のA/D変換部1は、第1のΔΣ変調器11と、第1のΔΣ変調器11の変調出力をデジタルフィルタ処理するフィルタ12とを備える。そして、第1のA/D変換部1で変換可能なアナログ入力信号Viの最大値を“1”、最小値を“0”としたとき、第1のA/D変換部1で変換可能な信号入力範囲は“0〜1”、信号入力範囲の範囲幅(以下、入力範囲幅ともいう。)“1”に設定され、“0〜1”の範囲のアナログ入力信号Viをデジタル信号に変換する。
第1のΔΣ変調器11は、演算器11aと、演算器11aの演算出力を積分する積分器11bと、積分器11bの積分出力を予め設定されたレベルと比較しその結果を変調出力としてフィルタ12に出力する比較器11cと、比較器11cの変調出力を所定期間ラッチする遅延素子11dと、遅延素子11dのシリアル出力をアナログ信号に変換する1ビットD/A変換器11eとを備え、このD/A変換器11eのアナログ出力が、演算器11aに反転入力される。
演算器11aは、デジタル信号への変換対象のアナログ入力信号Viを入力し、アナログ入力信号Viから1ビットD/A変換器11eのアナログ出力を減算し、減算結果を積分器11bに出力する。
積分器11bは、演算器11aで演算されたアナログ入力信号Viと1ビットD/A変換器11eのアナログ出力との差分値を積分し、アナログ入力信号Viが1ビットD/A変換器11eのアナログ出力よりも大きければ積分器11bの出力を増大させ、この大小関係が逆ならば、積分器11bの出力を減少させる。
積分器11bは、演算器11aで演算されたアナログ入力信号Viと1ビットD/A変換器11eのアナログ出力との差分値を積分し、アナログ入力信号Viが1ビットD/A変換器11eのアナログ出力よりも大きければ積分器11bの出力を増大させ、この大小関係が逆ならば、積分器11bの出力を減少させる。
比較器11cは、積分器11bの積分出力と別途定めるレベルとの大小関係を比較し、積分器11bの出力の方が大きければ比較器11cは“1”を出力し、積分器11bの出力の方が小さければ、比較器11cは“0”を出力する。前記レベルは、例えば前述のように第1のA/D変換部1の信号入力範囲が“0〜1”、入力範囲幅が“1”である場合、“0.5”に設定される。
遅延素子11dは、比較器11cの出力をサンプリングクロックによりラッチし、サンプリングクロック周波数の1周期の期間ラッチする。
1ビットD/A変換器11eは、遅延素子11dからの遅延信号を入力してこれをアナログ信号に変換する。
フィルタ12は、比較器11cの出力を、第1のΔΣ変調器11の変調出力として入力し、所定のデジタルフィルタ処理を行い、その処理結果を、第1のA/D変換部1のデジタル出力として演算処理部5に出力する。
1ビットD/A変換器11eは、遅延素子11dからの遅延信号を入力してこれをアナログ信号に変換する。
フィルタ12は、比較器11cの出力を、第1のΔΣ変調器11の変調出力として入力し、所定のデジタルフィルタ処理を行い、その処理結果を、第1のA/D変換部1のデジタル出力として演算処理部5に出力する。
第2のA/D変換部2は、第1のA/D変換部1と同様に、第2のΔΣ変調器21とフィルタ22とを備える。そして、上述のように、第1のA/D変換部1で変換可能なアナログ入力信号Viの信号入力範囲を“0〜1”、入力範囲幅を“1”としたとき、この第2のA/D変換部2の入力範囲幅は“0.25”に設定され、“0.5”を基準レベルとして、“0.25〜0.75”の範囲のアナログ信号をデジタル信号に変換する。
第2のΔΣ変調器21の基本構成は、上述の第1のΔΣ変調器11の構成と同様であって、演算器21aと、演算器21aの演算出力を積分する積分器21bと、積分器21bの積分出力と上記と同様に定めたレベル(例えば、“0.5”)とを比較する比較器21cと、比較器21cの出力をラッチする遅延素子21dと、遅延素子21dの遅延出力をアナログ信号に変換する1ビットD/A変換器21eとを備える。積分器21b、比較器21c、遅延素子21d、1ビットD/A変換器21eは、第1のΔΣ変調器11を構成する、積分器11b、比較器11c、遅延素子11d、1ビットD/A変換器11eとそれぞれ同一機能を有する。
一方、演算器21aは、アナログ入力信号Viと、1ビットD/A変換器21eのアナログ出力と、D/A変換器4のアナログ出力とを入力し、アナログ入力信号Viから、1ビットD/A変換器21eのアナログ出力及びD/A変換器4のアナログ出力を減算し、減算結果を演算出力として積分器21bに出力する。
そして、比較器21cの出力が第2のΔΣ変調器21の変調出力としてフィルタ22に出力される。フィルタ22では、前記フィルタ12と同様に所定のデジタルフィルタ処理を行い、その結果を、第1のA/D変換部2のデジタル出力として演算処理部5に出力する。
そして、比較器21cの出力が第2のΔΣ変調器21の変調出力としてフィルタ22に出力される。フィルタ22では、前記フィルタ12と同様に所定のデジタルフィルタ処理を行い、その結果を、第1のA/D変換部2のデジタル出力として演算処理部5に出力する。
レジスタ3は、予め設定した期間当たりの、第1のA/D変換部1の比較器11cの変調出力、すなわち、“1”又は“0”を保持し、所定期間当たりの比較器11cの変調出力を、レジスタ出力としてD/A変換器4に出力する。D/A変換器4は、レジスタ3からのレジスタ出力をアナログ信号に変換し、第2のΔΣ変調器21の演算器21aに反転入力する。
つまり、第1のΔΣ変調器11では、入力範囲幅を“1”として信号入力範囲が“0〜1”のアナログ入力信号Viを、公知のΔΣ変調により量子化する。そして、レジスタ3及びD/A変換器4では、第1のΔΣ変調器11で量子化した所定期間当たり変調出力を再度アナログ信号に変換し、第1のA/D変換部1で変換したデジタル信号相当のアナログ信号を得る。
そして、第2のΔΣ変調器21では、アナログ入力信号Viから第1のA/D変換部1で変換したデジタル信号相当のアナログ信号を減算し、アナログ入力信号Viに対する第1のA/D変換部1での変換誤差を算出し、これを入力信号として公知のΔΣ変調により量子化している。
そして、第2のΔΣ変調器21では、アナログ入力信号Viから第1のA/D変換部1で変換したデジタル信号相当のアナログ信号を減算し、アナログ入力信号Viに対する第1のA/D変換部1での変換誤差を算出し、これを入力信号として公知のΔΣ変調により量子化している。
図2は、図1の原理図で表されるΔΣ変調型A/D変換器100の具体的な回路を示す回路図である。
図2に示すように、図1における第1のA/D変換部1は、変換対象のアナログ入力信号Viが入力される差動アンプ51と、差動アンプ51の差動出力が入力されるD型フリップフロップ52と、D型フリップフロップ52の出力をカウントするカウンタ53と、を備える。
アナログ入力信号Vi(信号入力範囲は“0〜1”)は、入力抵抗55を介して差動アンプ51の反転入力端子に入力される。また、反転入力端子には、差動アンプ51の差動出力がコンデンサ56を介して帰還されると共に、D型フリップフロップ52の非反転出力が入力抵抗57を介して入力される。差動アンプ51の非反転入力端子には、差動アンプ51の動作点を決定する電圧として基準電源58からの基準電圧が入力される。そして、差動アンプ51は、アナログ入力信号ViとD型フリップフロップ52の出力との差分値を入力信号とし、この差分値を増幅して出力する。
図2に示すように、図1における第1のA/D変換部1は、変換対象のアナログ入力信号Viが入力される差動アンプ51と、差動アンプ51の差動出力が入力されるD型フリップフロップ52と、D型フリップフロップ52の出力をカウントするカウンタ53と、を備える。
アナログ入力信号Vi(信号入力範囲は“0〜1”)は、入力抵抗55を介して差動アンプ51の反転入力端子に入力される。また、反転入力端子には、差動アンプ51の差動出力がコンデンサ56を介して帰還されると共に、D型フリップフロップ52の非反転出力が入力抵抗57を介して入力される。差動アンプ51の非反転入力端子には、差動アンプ51の動作点を決定する電圧として基準電源58からの基準電圧が入力される。そして、差動アンプ51は、アナログ入力信号ViとD型フリップフロップ52の出力との差分値を入力信号とし、この差分値を増幅して出力する。
D型フリップフロップ52の入力端子Dには差動アンプ51の差動出力が入力され、クロック入力端子CKにはクロック信号ADCLKがそれぞれ入力される。そしてD型フリップフロップ52は、クロック信号ADCLKの立ち上がりのタイミングで差動アンプ51の差動出力をラッチし、ラッチした差動出力が“0.5”よりも小さければ“0”、そうでなければ“1”と判定し、クロック信号ADCLKの次の立ち上がりのタイミングで、ラッチした差動出力に対応する“0”又は“1”を出力する。
カウンタ53は、例えばD型フリップフロップが複数段に接続されたバイナリカウンタで構成され、1段目のD型フリップフロップの入力端子DINにはD型フリップフロップ52の非反転出力が入力され、クロック入力端子CKにクロック信号ADCLKが入力される。そして、カウンタ53は、入力端子DINに入力されるD型フリップフロップ52の非反転出力をクロック信号ADCLKの立ち上がりのタイミングでカウントする。
前記差動アンプ51、入力抵抗55、コンデンサ56及び入力抵抗57により、図1の演算器11a及び積分器11bを構成し、D型フリップフロップ52により、図1の比較器11c、遅延素子11d及び1ビットD/A変換器11eを構成し、カウンタ53が図1のフィルタ12を構成している。
次に、図1におけるレジスタ3は、図2に示すように、D型フリップフロップが多段に接続されたシフトレジスタで構成される。図2では、4つのD型フリップフロップ61〜64が多段に接続されて構成される。
次に、図1におけるレジスタ3は、図2に示すように、D型フリップフロップが多段に接続されたシフトレジスタで構成される。図2では、4つのD型フリップフロップ61〜64が多段に接続されて構成される。
そして、1段目のD型フリップフロップ61の入力端子Dに、D型フリップフロップ52の非反転出力、すなわち第1のΔΣ変調器11の変調出力が入力され、各段のD型フリップフロップ61〜63の非反転出力がそれぞれの次段のD型フリップフロップ62〜64の入力端子Dに入力され、各段のD型フリップフロップ61〜64の反転出力が、それぞれ入力抵抗66〜69を介して、第2のΔΣ変調器21を構成する後述の差動アンプ71の反転入力端子に入力される。前記入力抵抗66〜69が図1のD/A変換器4に対応している。
次に、図1における第2のA/D変換部2は、図2に示すように、差動アンプ71と、差動アンプ71の差動出力が入力されるD型フリップフロップ72と、D型フリップフロップ72の出力をカウントするカウンタ73と、を備える。
差動アンプ71の反転入力端子には、入力抵抗75を介してアナログ入力信号Viが入力されると共に、差動アンプ71の出力がコンデンサ76を介して帰還され、さらに、レジスタ3を構成する各D型フリップフロップ61〜64の反転出力がそれぞれ対応する入力抵抗66〜69を介して入力される。また、差動アンプ71の反転入力端子には、D型フリップフロップ72の非反転出力が入力抵抗77を介して入力され、さらに、基準電源78のシフト電圧が入力抵抗79を介して入力される。この基準電源78のシフト電圧は、アナログ入力信号Viと、レジスタ3を構成する各D型フリップフロップ61〜64の反転出力との差分値の信号中心をずらすための電圧であって、このシフト電圧は、アナログ入力信号Viの信号入力範囲を“0〜1”としたときの“−0.5”相当に設定される。
差動アンプ71の反転入力端子には、入力抵抗75を介してアナログ入力信号Viが入力されると共に、差動アンプ71の出力がコンデンサ76を介して帰還され、さらに、レジスタ3を構成する各D型フリップフロップ61〜64の反転出力がそれぞれ対応する入力抵抗66〜69を介して入力される。また、差動アンプ71の反転入力端子には、D型フリップフロップ72の非反転出力が入力抵抗77を介して入力され、さらに、基準電源78のシフト電圧が入力抵抗79を介して入力される。この基準電源78のシフト電圧は、アナログ入力信号Viと、レジスタ3を構成する各D型フリップフロップ61〜64の反転出力との差分値の信号中心をずらすための電圧であって、このシフト電圧は、アナログ入力信号Viの信号入力範囲を“0〜1”としたときの“−0.5”相当に設定される。
一方、差動アンプ71の非反転入力端子には、基準電源58の基準電源(0.5相当)が入力される。そして、差動アンプ71は、基準電源58からの基準電圧を動作点とし、アナログ入力信号Viとレジスタ3の各D型フリップフロップ61〜64の反転出力との差分値を、シフト電圧“−0.5”相当だけシフトした値を増幅して出力する。
D型フリップフロップ72の入力端子DINには差動アンプ71の差動出力が入力され、クロック入力端子CKにはクロック信号ADCLKが入力される。D型フリップフロップ72は、クロック信号ADCLKの立ち上がりのタイミングで差動アンプ71の差動出力をラッチし、ラッチした差動出力が基準レベル“0.5”よりも小さいときには“0”、そうでないときには“1”と判定し、クロック信号ADCLKの次の立ち上がりのタイミングで、ラッチした差動出力に対応する“0”又は“1”を出力する。
D型フリップフロップ72の入力端子DINには差動アンプ71の差動出力が入力され、クロック入力端子CKにはクロック信号ADCLKが入力される。D型フリップフロップ72は、クロック信号ADCLKの立ち上がりのタイミングで差動アンプ71の差動出力をラッチし、ラッチした差動出力が基準レベル“0.5”よりも小さいときには“0”、そうでないときには“1”と判定し、クロック信号ADCLKの次の立ち上がりのタイミングで、ラッチした差動出力に対応する“0”又は“1”を出力する。
カウンタ73は、カウンタ53と同一に構成され、カウンタ73を構成するD型フリップフロップの入力端子DINに入力されるD型フリップフロップ72の出力をクロック信号ADCLKの立ち上がりのタイミングでカウントする。
前記差動アンプ71、入力抵抗75、コンデンサ76、入力抵抗77、基準電源78及び入力抵抗79により、図1の演算器21a及び積分器21bを構成し、D型フリップフロップ72により、図1の比較器21c、遅延素子21d及び1ビットD/A変換器21eを構成し、カウンタ73が図1のフィルタ22を構成している。
そして、カウンタ53及びカウンタ73のカウンタ値を、予め設定した、A/D変換期間の周期で演算処理部5が読み込むことにより、第1のA/D変換部1及び第2のA/D変換部2のそれぞれで変換されたデジタル出力を得ることができ、これを合成することで、アナログ入力信号Viに対応するデジタル変換値を得ることができる。
前記差動アンプ71、入力抵抗75、コンデンサ76、入力抵抗77、基準電源78及び入力抵抗79により、図1の演算器21a及び積分器21bを構成し、D型フリップフロップ72により、図1の比較器21c、遅延素子21d及び1ビットD/A変換器21eを構成し、カウンタ73が図1のフィルタ22を構成している。
そして、カウンタ53及びカウンタ73のカウンタ値を、予め設定した、A/D変換期間の周期で演算処理部5が読み込むことにより、第1のA/D変換部1及び第2のA/D変換部2のそれぞれで変換されたデジタル出力を得ることができ、これを合成することで、アナログ入力信号Viに対応するデジタル変換値を得ることができる。
次に、上記実施の形態の動作を説明する。
前述のように、レジスタ3は4段のシフトレジスタを構成しているためD型フリップフロップ52の非反転出力が4ビット分、レジスタ3に格納されることになる。そして、D型フリップフロップ52の非反転出力は、アナログ入力信号ViをΔΣ変調により量子化した値であるため、レジスタ3に格納される“1”の数は、第1のA/D変換部1で変換されたデジタル出力に相当する値を表すことになる。
例えば、アナログ入力信号Viは“0〜1”の値をとるため、レジスタ3中の“1”の数が零個の場合、デジタル出力は“0”、“1”の数が1個の場合、デジタル出力は“0.25”、“1”の数が2個の場合、デジタル出力は“0.5”、“1”の数が3個の場合、デジタル出力は“0.75”、さらに、“1”の数が4個の場合、デジタル出力は“1”とみなすことができる。
前述のように、レジスタ3は4段のシフトレジスタを構成しているためD型フリップフロップ52の非反転出力が4ビット分、レジスタ3に格納されることになる。そして、D型フリップフロップ52の非反転出力は、アナログ入力信号ViをΔΣ変調により量子化した値であるため、レジスタ3に格納される“1”の数は、第1のA/D変換部1で変換されたデジタル出力に相当する値を表すことになる。
例えば、アナログ入力信号Viは“0〜1”の値をとるため、レジスタ3中の“1”の数が零個の場合、デジタル出力は“0”、“1”の数が1個の場合、デジタル出力は“0.25”、“1”の数が2個の場合、デジタル出力は“0.5”、“1”の数が3個の場合、デジタル出力は“0.75”、さらに、“1”の数が4個の場合、デジタル出力は“1”とみなすことができる。
図12に示すように、アナログ入力信号Viが“1/3”の場合には、略クロック信号ADCLKの3周期中、1回の割合で、D型フリップフロップ53(比較器11c)から“1”が出力されることになる。このため、レジスタ3に格納される、“1”の数は、略“1”又は“2”となり、すなわち、第1のA/D変換部1でのデジタル出力相当値は、“0.25”又は“0.5”となり、平均して1/3相当の値がデジタル出力相当値として設定されることになる。
また、図13に示すように、アナログ入力信号Viが“4/7”の場合には、クロック信号ADCKLの7周期中、4回の割合で、D型フリップフロップ53から“1”が出力されるため、レジスタ3に格納される“1”の数は、略“2”又は“3”となる。したがって、第1のA/D変換部1でのデジタル出力相当値は、“0.5”又は“0.75”となり、平均して4/7相当の値がデジタル出力相当値として設定されることになる。
そして、このデジタル出力がアナログ入力信号Viから減算されて第2のA/D変換部2に入力される。つまり、アナログ入力信号Viと、第1のA/D変換部1で変換したデジタル出力相当値との差分値、すなわち第1のA/D変換部1での変換誤差分が第2のA/D変換部2に入力されることになる。
そして、このデジタル出力がアナログ入力信号Viから減算されて第2のA/D変換部2に入力される。つまり、アナログ入力信号Viと、第1のA/D変換部1で変換したデジタル出力相当値との差分値、すなわち第1のA/D変換部1での変換誤差分が第2のA/D変換部2に入力されることになる。
ここで、レジスタ3中の“1”の数から特定される第1のA/D変換部1のデジタル出力と第2のA/D変換部2への入力信号との関係は、図3のように表すことができる。また、レジスタ3で保持される“1”の数と、レジスタ3で保持される“1”の数から特定されるアナログ入力信号Viの取り得る範囲と、第2のA/D変換部2で第1のΔΣ変調器21への入力信号を生成する際にアナログ入力信号Viから減算される減算値と、この減算値をアナログ入力信号Viから減算した差分値ΔV、すなわち、第2のA/D変換部2に入力されるアナログ信号の範囲と、の対応は図4のようになる。
図4に示すように、アナログ入力信号Viの取り得る範囲は、レジスタ3に保持される“1”の数に応じて特定される。例えば、レジスタ3中の“1”の数が“0”の場合は、アナログ入力信号Viの取り得る範囲は0.0≦Vi<0.25と特定される。また、“1”の数が“1”の場合は、0.0≦Vi<0.5と特定される。同様に、“1”の数が“2”の場合は、0.25≦Vi<0.75、“3”の場合は、0.5≦Vi<1.0、“4”の場合は、0.75≦Vi<1.0と特定される。
また、第2のA/D変換部2で、アナログ入力信号Viから減算される、レジスタ3に保持される“1”の数に相当する減算値は、前述のように、レジスタ3中の“1”の数に応じて設定されるため、図4に示すように、レジスタ3中の“1”の数が“0”、“1”、“2”、“3”、“4”と増加するに応じて、減算値は、“0”、“0.25”、“0.5”、“0.75”、“1.0”となる。
このため、アナログ入力信号Viとレジスタ3に保持される“1”の数相当値との差分値ΔVは、レジスタ3に保持される“1”の数が“0”の場合は0.0≦ΔV<0.25となる。同様に、“1”の数が“1”から“3”の場合は、−0.25≦ΔV<0.25となり、“4”の場合は、−0.25≦ΔV<0となって、結果的に−0.25≦ΔV<0.25をとり得ることになる。つまり、第1のA/D変換部1のデジタル出力を基準として、−0.25≦ΔV<0.25をとることになる。
したがって、図3に示すように、第2のA/D変換部2への入力信号は、レジスタ3に保持される“1”の数が“0”の場合には、第1のA/D変換部1のデジタル出力である“0”を基準として0から0.25の範囲にアナログ入力信号Viが存在することを表し、すなわち0≦Vi<0.25の値をとることを意味する。同様に“1”の数が“1”の場合にはアナログ入力信号Viが0≦Vi<0.5の値、“2”の場合にはアナログ入力信号Viが0.25≦Vi<0.75、“3”の場合にはアナログ入力信号Viが0.5≦Vi<1.0、“4”の場合にはアナログ入力信号Viが0.75≦Vi<1.0であることを意味する。
なお、図2では、アナログ入力信号Viとレジスタ3に保持される“1”の数に相当するアナログ値との差分値ΔVに、“0.5”を加えてその基準レベルをずらし、これを第2のA/D変換部2に入力されるアナログ信号Vi2としている。このため、第2のA/D変換部2に入力されるアナログ信号Vi2は、“0.5”を基準として“0.25〜0.75”の範囲となる。
したがって、前記アナログ信号Vi2は、次式(1)で表すことができる。
Vi2=Vi−0.25×(レジスタ3で保持する“1”の数)+0.5…(1)
したがって、前記アナログ信号Vi2は、次式(1)で表すことができる。
Vi2=Vi−0.25×(レジスタ3で保持する“1”の数)+0.5…(1)
図2では、回路上、次式(2)で示すように構成している。
Vi2=Vi+0.25×(レジスタ3で保持する“1”の数)−0.5…(2)
この条件を満たすために、入力抵抗55、57、66〜69、75、77及び79は、次式(3)を満足するように設定される。
入力抵抗66〜69の各抵抗値=(1/4)×入力抵抗75の抵抗値
入力抵抗77の抵抗値=(1/2)×入力抵抗75の抵抗値
入力抵抗79の抵抗値=入力抵抗75の抵抗値
入力抵抗55の抵抗値=入力抵抗57の抵抗値 …(3)
Vi2=Vi+0.25×(レジスタ3で保持する“1”の数)−0.5…(2)
この条件を満たすために、入力抵抗55、57、66〜69、75、77及び79は、次式(3)を満足するように設定される。
入力抵抗66〜69の各抵抗値=(1/4)×入力抵抗75の抵抗値
入力抵抗77の抵抗値=(1/2)×入力抵抗75の抵抗値
入力抵抗79の抵抗値=入力抵抗75の抵抗値
入力抵抗55の抵抗値=入力抵抗57の抵抗値 …(3)
したがって、演算処理部5では、第1のA/D変換部1で算出したデジタル出力と、第2のA/D変換部2で算出したデジタル出力とから、アナログ入力信号Viを算出することができる。例えば次の手順で算出する。
すなわち、演算処理部5では、予め設定したA/D変換期間毎にカウンタ53のカウント値を読み込む。そして、従来のΔΣ変調型A/D変換器と同様の手順でデジタルフィルタ処理を行って、“0〜1”の範囲をとるデジタル出力を得る。例えば、A/D変換期間の1クロック信号当たりのカウント値を、デジタル変換値とする。同様に、カウンタ73のカウント値を、A/D変換期間毎に読み込み、従来のΔΣ変調型A/D変換器と同様の手順でデジタルフィルタ処理を行って“0.25〜0.75”の範囲をとるデジタル出力を得る。そして、これを“零”を基準とする“−0.25〜0.25”の範囲をとるデジタル出力に変換する。
すなわち、演算処理部5では、予め設定したA/D変換期間毎にカウンタ53のカウント値を読み込む。そして、従来のΔΣ変調型A/D変換器と同様の手順でデジタルフィルタ処理を行って、“0〜1”の範囲をとるデジタル出力を得る。例えば、A/D変換期間の1クロック信号当たりのカウント値を、デジタル変換値とする。同様に、カウンタ73のカウント値を、A/D変換期間毎に読み込み、従来のΔΣ変調型A/D変換器と同様の手順でデジタルフィルタ処理を行って“0.25〜0.75”の範囲をとるデジタル出力を得る。そして、これを“零”を基準とする“−0.25〜0.25”の範囲をとるデジタル出力に変換する。
そして、第1のA/D変換部1によるデジタル出力と第2のA/D変換部2によるデジタル出力とを加算し、これをアナログ入力信号Viのデジタル変換値とする。
以上により、第1のA/D変換部1で算出したデジタル出力と、第2のA/D変換部2で算出したデジタル出力とから、アナログ入力信号Viを算出することができる。
以上により、第1のA/D変換部1で算出したデジタル出力と、第2のA/D変換部2で算出したデジタル出力とから、アナログ入力信号Viを算出することができる。
ここで、第2のA/D変換部2では、アナログ入力信号Viと、このアナログ入力信号Viをデジタル変換した第1のA/D変換部1で算出されるデジタル出力相当値との差分値を入力としており、すなわち、第1のA/D変換部1での変換誤差分を第2のA/D変換部でデジタル変換している。そして、第1のA/D変換部1では、範囲が“0〜1”のアナログ入力信号Viを“0.5”と比較してΔΣ変調を行っているため、第1のA/D変換部1での変換誤差は最大でも“0.5”となる。このため、第2のA/D変換部2に入力されるアナログ信号の取り得る範囲の幅は“0.5”となり、第2のA/D変換部2の入力範囲幅を“0.5”とすることができるため、第1のA/D変換部1の入力範囲幅が“1”であるのに対して、第2のA/D変換部2の入力範囲幅を半分とすることができる。
このため、例えば、アナログ入力信号Viのデジタル変換値として8ビットデータを得るものとすると、第1のA/D変換部1でのデジタル出力と第2のA/D変換部2でのデジタル出力を合成した場合、第2のA/D変換部2のデジタル出力は、最上位から2ビット目以下を補正するように作用することになる。つまり、第1のA/D変換部1により、デジタル変換値の最上位ビットの値を特定し、第2のA/D変換部2により、デジタル変換値の最上位から2ビット目以下の値を特定することと同等となる。
そして、第2のA/D変換部2では、第1のA/D変換部1の入力範囲幅“1”よりも幅の狭い“0.5”を入力範囲幅としてデジタル変換を行っているため、第1のA/D変換部1よりもデジタル変換の精度が高い。
したがって、第1のA/D変換部1により得たデジタル出力を、その変換誤差が小さくなるように、第2のA/D変換部2により得たデジタル出力を用いて補正することにより、第1のA/D変換部1により得たデジタル出力の精度をより向上させることができ、さらに、第2のA/D変換部2により得たデジタル出力は、第1のA/D変換部1のデジタル出力よりも高精度であるため、デジタル出力の精度をより一層向上させることができる。
したがって、第1のA/D変換部1により得たデジタル出力を、その変換誤差が小さくなるように、第2のA/D変換部2により得たデジタル出力を用いて補正することにより、第1のA/D変換部1により得たデジタル出力の精度をより向上させることができ、さらに、第2のA/D変換部2により得たデジタル出力は、第1のA/D変換部1のデジタル出力よりも高精度であるため、デジタル出力の精度をより一層向上させることができる。
そして、このデジタル出力の精度の向上は、第1のA/D変換部1のデジタル変換値を第2のA/D変換部2のデジタル変換値で補正することにより実現することができ、さらに第2のA/D変換部2の入力範囲幅を、第1のA/D変換部1の入力範囲幅よりも狭くすることにより、より精度を向上させることができる。したがって、例えば、第1のA/D変換部1、第2のA/D変換部2の各部の動作速度を早める等の対処を行うことなくデジタル出力の精度向上を図ることができる。また、第1のA/D変換部1及び第2のA/D変換部2の基本的な動作は、従来のΔΣ変調型のA/D変換器と同様であるため、従来のΔΣA/D変調型のA/D変換器に対し、大幅な変更を伴うことなく容易に実現することができる。
特に、前述のように、アナログ入力信号Viに対応するデジタル変換値の最上位ビットのビットデータを、第1のA/D変換部1により特定し、最上位ビットから2ビット目以降のビットデータを、第2のA/D変換部2により特定する構成としたため、第1のA/D変換部1のデジタル出力を保持するレジスタ3を構成するシフトレジスタの段数を少なくすることができる。
このように、本発明によるΔΣ変調型のA/D変換器100は、デジタル変換精度をより向上させることができる。したがって、このような、精度の高いΔΣ変調型A/D変換器100を、図9に示す相電流検出用のA/D変換器98として用いれば、PMモータ97をより高精度に制御することができる。
このように、本発明によるΔΣ変調型のA/D変換器100は、デジタル変換精度をより向上させることができる。したがって、このような、精度の高いΔΣ変調型A/D変換器100を、図9に示す相電流検出用のA/D変換器98として用いれば、PMモータ97をより高精度に制御することができる。
図5は、図9のインバータ96の一例を示す回路図である。
このインバータ96は、公知のインバータと同様に構成され、直列に接続された二つのダイオード列が並列に3つ接続されて形成されるダイオード整流器81と、フィルタを構成するインダクタ82及びコンデンサ83と、逆並列にダイオードが接続された二つのトランジスタが直列に接続されてなるトランジスタ列を有し且つこのトランジスタ列が並列に3つ接続されてなるインバータ主回路84とから構成され、入力される3相交流電力は、ダイオード整流器81で一旦直流電力に変換された後、インバータ主回路84をPWM制御することによって、任意の周波数及び任意の電圧の3相交流電力として、PMモータ97に印加される。
このインバータ96は、公知のインバータと同様に構成され、直列に接続された二つのダイオード列が並列に3つ接続されて形成されるダイオード整流器81と、フィルタを構成するインダクタ82及びコンデンサ83と、逆並列にダイオードが接続された二つのトランジスタが直列に接続されてなるトランジスタ列を有し且つこのトランジスタ列が並列に3つ接続されてなるインバータ主回路84とから構成され、入力される3相交流電力は、ダイオード整流器81で一旦直流電力に変換された後、インバータ主回路84をPWM制御することによって、任意の周波数及び任意の電圧の3相交流電力として、PMモータ97に印加される。
図6は、PWM制御によるインバータ96の出力電圧を表すものである。
図6(a)において、搬送波は、図9の三角波発生器95で生成された三角波、正弦波制御信号はUVW変換部93で生成された、PMモータ97に出力すべき3相波形である。前記搬送波は変調周期を与えるものであって、この搬送波と正弦波制御信号とを比較し、図6(b)に示すように、正弦波制御信号が搬送波よりも小さいときHIGHレベル、正弦波制御信号が搬送波よりも大きいときLOWレベルとなるパルス信号を生成し、これを出力電圧に応じた電圧指令信号とする。
なお、図6(b)は、U相、V相及びW相に相当する電圧指令信号を表したものであって、各相の電圧指令信号は、図5のインバータ主回路84を構成する上下アームスイッチング素子のゲートに入力され、上下アームでは逆位相に与えられる。
図6(a)において、搬送波は、図9の三角波発生器95で生成された三角波、正弦波制御信号はUVW変換部93で生成された、PMモータ97に出力すべき3相波形である。前記搬送波は変調周期を与えるものであって、この搬送波と正弦波制御信号とを比較し、図6(b)に示すように、正弦波制御信号が搬送波よりも小さいときHIGHレベル、正弦波制御信号が搬送波よりも大きいときLOWレベルとなるパルス信号を生成し、これを出力電圧に応じた電圧指令信号とする。
なお、図6(b)は、U相、V相及びW相に相当する電圧指令信号を表したものであって、各相の電圧指令信号は、図5のインバータ主回路84を構成する上下アームスイッチング素子のゲートに入力され、上下アームでは逆位相に与えられる。
図7は各部の波形を示したものであって、(a)は、ある1相、例えばU相に対する電圧指令信号と実際に流れる相電流と平均電流とを表したものである。
図7(a)に示すように、実際に流れる相電流の電流波形は、インバータ主回路84においてスイッチング制御を行っているため、少なからず脈動成分を含んでいる。ここで、前記PMモータ97の制御に用いる各相電流を検出するに当たり、脈動成分の影響をできるだけ除去し、なるべく平均電流値を得るためには、図7(b)に示すように三角波からなる搬送波の、上下の頂点を中心とした一定期間において相電流のA/D変換を行うことが望ましい。
図7(a)に示すように、実際に流れる相電流の電流波形は、インバータ主回路84においてスイッチング制御を行っているため、少なからず脈動成分を含んでいる。ここで、前記PMモータ97の制御に用いる各相電流を検出するに当たり、脈動成分の影響をできるだけ除去し、なるべく平均電流値を得るためには、図7(b)に示すように三角波からなる搬送波の、上下の頂点を中心とした一定期間において相電流のA/D変換を行うことが望ましい。
そこで、図7(c)に示すように、搬送波の上下の頂点を中心とした一定期間、つまり、平均電流値を得られる期間にHIGHレベルとなり、この一定期間はLOWレベルとなるA/D変換期間信号を生成する。そして、A/D変換器98では、このA/D変換期間信号がHIGHとなる期間にのみA/D変換動作を行い、A/D変換期間信号がLOWとなる期間にはA/D変換動作を停止する。例えば、特開平2004−304494号公報に記載されているように、A/D変換器98への入力信号を、A/D変換期間信号がHIGHレベルであるか否かに応じて、アナログ入力信号Viと接地電位とに切り替え、A/D変換期間信号がLOWレベルのときにはアナログ入力信号Viに替えて接地電位を入力し、各ΔΣ変調器内の積分器を所定値にリセットするようにすればよい。
このように、相電流に脈動成分を含まない、A/D変換期間信号がHIGHレベルとなる期間にのみA/D変換を行うことにより、量子化ノイズによるA/D変換誤差を低減することができ、A/D変換器98、すなわち、ΔΣ変調型A/D変換器100によるA/D変換精度をより向上させることができる。
このように、相電流に脈動成分を含まない、A/D変換期間信号がHIGHレベルとなる期間にのみA/D変換を行うことにより、量子化ノイズによるA/D変換誤差を低減することができ、A/D変換器98、すなわち、ΔΣ変調型A/D変換器100によるA/D変換精度をより向上させることができる。
なお、上記実施の形態においては、第1のA/D変換部1及び第2のA/D変換部2により2段のA/D変換器を形成した場合について説明したが、これに限るものではなく、3段以上のA/D変換器を形成することも可能である。上述のように、2段のA/D変換器を構成した場合、アナログ入力信号Viのデジタル変換値において、その最上位ビットのビットデータを第1のA/D変換部1により特定し、最上位から2ビット目以下を第2のA/D変換部2により特定することができる。同様に、3つのA/D変換部を備えた3段のA/D変換器を構成した場合には、2段目のA/D変換部では、最上位から2ビット目のビットデータを特定し、3段目のA/D変換部では、最上位から3ビット目以下を特定することができる。したがって、段数が多くなるほど、より高精度なデジタル変換値を得ることができる。
なお、3段以上設ける場合には、図1と同様に、前段のΔΣ変調器の変調出力を、レジスタ及びD/A変換器を介してΔΣ変調器に入力し、同様に前段までの各段のΔΣ変調器の変調出力をそれぞれレジスタ及びD/A変換器を介して入力し、これら変調出力の総和をアナログ入力信号Viから減算した値を、アナログ入力信号としてデジタル変換し、各段で算出したデジタル出力を合成して、アナログ入力信号Viに対応するデジタル変換値を算出すればよい。
例えば、3段の場合には、図8に示すように、第2のA/D変換部2と第3のA/D変換部2aと、レジスタ3及びD/A変換器4と同一構成のレジスタ3a、D/A変換器4aを設ける。なお、第3のA/D変換部2aは、第2のA/D変換部2において、演算器21aを21a′に変更したものである。
図8に示すように、第2のA/D変換部2の第2のΔΣ変調器21の変調出力をレジスタ3aに入力し、これをD/A変換器4aでアナログ信号にした後、第3のA/D変換部2aの演算器21a′に入力する。
図8に示すように、第2のA/D変換部2の第2のΔΣ変調器21の変調出力をレジスタ3aに入力し、これをD/A変換器4aでアナログ信号にした後、第3のA/D変換部2aの演算器21a′に入力する。
この演算器21a′では、第1のΔΣ変調器11の変調出力と、第2のΔΣ変調器21の変調出力とを、それぞれレジスタ3、3a、D/A変換器4、4aを介して入力し、これら変調出力の和をアナログ入力信号Viから減算する。そして、この減算値を積分器21bへの入力信号としてΔΣ変調を行う。
そして、第1のA/D変換部1のデジタル出力、第2のA/D変換部2のデジタル出力、第3のA/D変換部2aのデジタル出力を、演算処理部5で読み込み、これらを加算して、アナログ入力信号Viに応じたデジタル変換値を算出すればよい。
そして、第1のA/D変換部1のデジタル出力、第2のA/D変換部2のデジタル出力、第3のA/D変換部2aのデジタル出力を、演算処理部5で読み込み、これらを加算して、アナログ入力信号Viに応じたデジタル変換値を算出すればよい。
また、上記実施の形態においては、レジスタ3を構成するシフトレジスタの段数として4段を適用した場合について説明したが、これに限るものではない。前述のように、レジスタ3に格納される“1”の数が、第1のA/D変換部1でのデジタル出力相当値として用いられ、このデジタル出力相当値に基づき、第1のA/D変換部1でのデジタル信号への変換誤差が算出される。したがって、レジスタ3の段数が多いほど、第1のA/D変換部1でのデジタル出力相当値が高精度に設定され、第1のA/D変換部1でのデジタル出力を補正する第2のA/D変換部2でのデジタル出力をより高精度に算出することができるため、第1のA/D変換部1のデジタル出力をより高精度に補正することができ、すなわち、アナログ入力信号Viに対応するより高精度なデジタル変換値を得ることができる。
その反面、レジスタ3を構成するシフトレジスタの段数が多いほど、回路構成が複雑になるため、精度の点と、回路構成の点との両者を考慮して任意に設定すればよい。
なお、シフトレジスタの段数は4段以上となる。その理由は、1ビットを特定する場合が最も段数が少なくなるが、その場合のシフトレジスタの段数として4段必要であるからである。
なお、シフトレジスタの段数は4段以上となる。その理由は、1ビットを特定する場合が最も段数が少なくなるが、その場合のシフトレジスタの段数として4段必要であるからである。
また、上記実施の形態においては、第1のA/D変換部1により、アナログ入力信号Viに対応するデジタル変換値の最上位ビットを特定する場合について説明したが、これに限るものではない。例えば、第1のA/D変換部1により、アナログ入力信号Viに対応するデジタル変換値の最上位ビット及び最上位から2ビット目を特定し、第2のA/D変換部2では、最上位から3ビット目以下を特定するように構成することもできる。
この場合には、例えば、第2のA/D変換部2の入力範囲幅を“0.25”、信号入力範囲を“0.375〜0.625”として、“0.5”を基準としてデジタル変換する構成とすればよい。
また、上記実施の形態においては、PMモータを駆動制御するための電動機制御回路において、相電流を検出するためのA/D変換器として上述のΔΣ変調型A/D変換器100を適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、誘導モータ(インダクションモータ)を駆動するためのインバータや、交流電源を出力するCVCF電源装置やUPS(無停電電源装置)などに手協することも可能であり、PWM制御によってスイッチング素子を制御するようにした回路であっても適用することができる。
また、上記実施の形態においては、PMモータを駆動制御するための電動機制御回路において、相電流を検出するためのA/D変換器として上述のΔΣ変調型A/D変換器100を適用した場合について説明したが、これに限るものではなく、例えば、誘導モータ(インダクションモータ)を駆動するためのインバータや、交流電源を出力するCVCF電源装置やUPS(無停電電源装置)などに手協することも可能であり、PWM制御によってスイッチング素子を制御するようにした回路であっても適用することができる。
また、PWM制御を行う回路に限るものではなく、ΔΣ変調型A/D変換器単体として、A/D変換を行う必要のある回路に適用することも可能である。この場合には、A/D変換期間信号として、例えば定周期でHIGHレベルとなるA/D変換期間信号を生成し、これに基づいて定期的に、ΔΣ変調型A/D変換器内の積分器内部の状態をリセットするようにしてもよい。
ここで、上記実施の形態において、第1のA/D変換部1及び第2のA/D変換部2がA/D変換手段に対応し、レジスタ3及びD/A変換器4が差分信号生成手段に対応し、演算処理部5が変換値演算手段に対応している。
ここで、上記実施の形態において、第1のA/D変換部1及び第2のA/D変換部2がA/D変換手段に対応し、レジスタ3及びD/A変換器4が差分信号生成手段に対応し、演算処理部5が変換値演算手段に対応している。
1 第1のA/D変換部
2 第2のA/D変換部
3 レジスタ
4 D/A変換器
5 演算処理部
11 第1のΔΣ変調器
21 第2のΔΣ変調器
12、22 フィルタ
11a、21a 演算器
11b、21b 積分器
11c、21c 比較器
11d、21d 遅延素子
11e、21e 1ビットD/A変換器
100 ΔΣ変調型A/D変換器
2 第2のA/D変換部
3 レジスタ
4 D/A変換器
5 演算処理部
11 第1のΔΣ変調器
21 第2のΔΣ変調器
12、22 フィルタ
11a、21a 演算器
11b、21b 積分器
11c、21c 比較器
11d、21d 遅延素子
11e、21e 1ビットD/A変換器
100 ΔΣ変調型A/D変換器
Claims (8)
- アナログ信号からなる変換対象信号をデジタル変換値に変換するΔΣ変調方式のA/D変換器において、
アナログ入力信号をΔΣ変調しこの変調信号に基づき前記アナログ入力信号に応じたデジタル変換値を演算する複数のA/D変換手段と、
1からN段目(Nは自然数)の各A/D変換手段で演算されるデジタル変換値それぞれに相当するアナログ信号を生成し、生成した前記デジタル変換値相当のアナログ信号の総和と、前記変換対象信号との差分信号を、N+1段目のA/D変換手段の入力信号とする差分信号生成手段と、
前記各A/D変換手段でのデジタル変換値を合成して前記変換対象信号に対応したデジタル変換値を演算する変換値演算手段と、を備え、
前記1段目のA/D変換手段には、前記アナログ入力信号として前記変換対象信号が入力されることを特徴とするΔΣ変調方式のA/D変換器。 - 前記A/D変換手段で変換可能な信号入力範囲の範囲幅は、後段のA/D変換手段ほど狭くなるように設定されることを特徴とする請求項1記載のΔΣ変調方式のA/D変換器。
- N段目のA/D変換手段の信号入力範囲の範囲幅は、N−1段目のA/D変換手段の前記範囲幅の1/2となるように設定されることを特徴とする請求項2記載のΔΣ変調方式のA/D変換器。
- 前記差分信号生成手段は、前記変調信号を、前記A/D変換手段でのデジタル変換値相当の信号として用いることを特徴とする請求項1から請求項3の何れか1項に記載のΔΣ変調方式のA/D変換器。
- 前記差分信号生成手段は、単位時間当たりに前記変調信号に含まれるパルス数を前記デジタル変換値相当の信号として用いることを特徴とする請求項4記載のΔΣ変調方式のA/D変換器。
- 前記A/D変換手段は、2段設けられていることを特徴とする請求項1から請求項5の何れか1項に記載のΔΣ変調方式のA/D変換器。
- 制御対象の制御状態を表すアナログ信号からなる制御状態量をデジタル変換するA/D変換器を有し、前記A/D変換器で変換された制御状態量に基づき前記制御対象を制御する制御装置において、
前記請求項1から請求項6記載のΔΣ変調方式のA/D変換器を、前記A/D変換器として用いることを特徴とする制御装置。 - 前記制御対象はモータであって、
前記ΔΣ変調方式のA/D変換器は、前記モータに流れる電流値をデジタル変換することを特徴とする請求項7記載の制御装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008148159A JP2009296334A (ja) | 2008-06-05 | 2008-06-05 | Δς変調方式のa/d変換器及びこれを用いた制御装置 |
Applications Claiming Priority (1)
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JP2008148159A JP2009296334A (ja) | 2008-06-05 | 2008-06-05 | Δς変調方式のa/d変換器及びこれを用いた制御装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
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JP2009296334A true JP2009296334A (ja) | 2009-12-17 |
Family
ID=41544097
Family Applications (1)
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JP2008148159A Pending JP2009296334A (ja) | 2008-06-05 | 2008-06-05 | Δς変調方式のa/d変換器及びこれを用いた制御装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009296334A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2013539331A (ja) * | 2010-10-06 | 2013-10-17 | 日本テキサス・インスツルメンツ株式会社 | パイプライン連続時間シグマ−デルタ変調器 |
-
2008
- 2008-06-05 JP JP2008148159A patent/JP2009296334A/ja active Pending
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