JP2009296236A - バイアス回路とこれを用いた増幅器 - Google Patents

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Abstract

【課題】単純な回路構成で、かつ回路の誤差に起因する雑音が発生せず、しかも温度変動に対して良好な特性のバイアス用の電流を得る。
【解決手段】このバイアス回路は、電流Iを生成する電流源1と、温度の変化に伴い出力電流の特性が電流Iと交るように増加または減少するような温度対出力電流特性の電流Iを生成する電流源2と、電流源1から入力される電流Iを電圧Vに変換する電流電圧変換回路3と、電流源2から入力される電流Iを電圧Vに変換する電流電圧変換回路4と、電圧Vと電圧Vを比較し、比較結果に応じた電流Iを生成する比較回路5と、電流Iと電流Iを加算して電流電圧変換回路4へ入力する電流加算部6と、電圧Vをバイアス用の電流Iに変換する電圧電流変換回路7とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、例えばバイアス回路とこれを用いた増幅器に関する。
従来、増幅回路に使用するバイアス電流を生成する手段として、正の温度特性を持つバイアス回路と、負の温度特性を持つバイアス回路と、増幅回路の温度を検出し、検出した温度に応じて2つのバイアス回路を切り替えるスイッチとを用いる技術が公開されている。
この技術の場合、増幅回路の温度を検出し、検出した温度に応じて2つのバイアス回路をスイッチで切り替えることで、低温時の歪みを抑え、かつ高温時に増幅回路の利得低下を抑えることができる。
特開2007−336224号公報
しかしながら、上述した従来技術の場合、回路の温度を検出し、スイッチによって2つのバイアス回路の電流のいずれかを選択して増幅回路に流すため、温度を検出するための何らかの手段を設ける必要があり、回路規模が大きくなるという問題がある。
また、スイッチで2つのバイアス回路を切り替えるため、回路間に誤差があった場合に切替点での電流が不連続に変化してしまうため、スイッチングに伴う雑音が発生するという問題がある。
本発明はこのような課題を解決するためになされたもので、単純な回路構成で、かつ回路の誤差に起因する雑音が発生せず、しかも温度変動に対して良好な特性のバイアス用の電流を得ることができるバイアス回路とこれを用いた増幅器を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために、本発明のバイアス回路は、第1電流を生成する第1電流源と、温度の変化に伴い出力電流の特性が前記第1電流と交るように増加または減少するような温度対出力電流特性の第2電流を生成する第2電流源と、前記第1電流源により生成された第1電流を第1電圧に変換する第1電流電圧変換回路と、入力端子を有し、前記入力端子に入力される電流を第2電圧に変換する第2電流電圧変換回路と、前記第1電圧と前記第2電圧とを比較し、比較結果に応じた第3電流を生成する比較回路と、前記第3電流と前記第2電流とを合流させて前記第2電流電圧変換回路の前記入力端子へ入力する加算部と、前記第2電流電圧変換回路により変換された前記第2電圧を、バイアス用の第4電流に変換する電圧電流変換回路とを具備することを特徴とする。
本発明のバイアス回路は、第1電流を生成し、出力する第1電流源と、温度の変化に伴い出力電流の値が前記第1電流の値よりも増加または減少するような温度対出力電流特性の第2電流を生成し、出力する第2電流源と、前記第1電流源からドレイン端子に入力された第1電流を第1電圧に変換し、差動増幅器の−入力端子へ出力する第1電界効果トランジスタと、前記第2電流源からドレイン端子に入力される第2電流を第2電圧に変換し、出力する第2電界効果トランジスタと、+入力端子と−入力端子を有し、前記第1電界効果トランジスタから前記−入力端子に入力された第1電圧と、前記第2電界効果トランジスタから前記+入力端子に入力された第2電圧とを比較し、比較結果に応じた差分の第3電圧を出力する差動増幅器と、ゲート端子に入力される第3電圧の値に応じて直流電源から第3電流を流す第3電界効果トランジスタと、前記第2電界効果トランジスタからゲート端子に入力される第2電圧を、バイアス用の電流に変換する第4電界効果トランジスタと、前記第2電流源の出力端子と前記第2電界効果トランジスタのドレイン端子とを接続し、前記第2電流と前記第3電流とを合流させて前記第2電界効果トランジスタのドレイン端子へ入力する電流合流部とを具備すること特徴とする。
本発明の増幅器は、信号増幅用のトランジスタと、このトランジスタをバイアス用の電流によってバイアスする上記バイアス回路とを備える。
本発明によれば、単純な回路構成で、かつ回路の誤差に起因する雑音が発生せず、しかも温度変動に対して良好な特性のバイアス用の電流を得ることができる。
以下、図面を参照しながら一つの実施の形態について詳細に説明する。図1はバイアス回路の一つの実施形態を示すブロック図である。
図1に示すように、このバイアス回路は、第1電流源としての電流源1と、温度対出力電流の特性が電流源1とは異なる第2電流源としての電流源2と、第1電流電圧変換回路としての電流電圧変換回路3(図では「I/Vconv.3」と記載)と、第2電流電圧変換回路としての電流電圧変換回路4(図では「I/Vconv.4」と記載)と、比較回路5(図では「comp.5」と記載)と、加算部としての電流加算部6と、電圧電流変換回路7(図では「V/Iconv.7」と記載)とを有している。
電流源1は、温度変化により、電流の値が第1の温度依存性を持って変化する第1電流としての電流Iを生成し、電流電圧変換回路3へ出力する。
すなわち、電流源1は、温度の変化に対して第1の出力電流特性を有しており、電流Iを生成する。出力電流特性とは、温度の変化に応じて出力電流が変化する特性である。
第1の温度依存性には、温度の変動によって出力電流が変化しない温度依存特性も含まれる。
この場合、電流源1は、温度の変動によって出力電流が変化しない、つまり温度依存特性を持たない電流I(Iconst)を生成する。ここで、温度依存性を持たないとは、温度の変動で出力特性が全く変化しないというだけでなく、温度による特性の変化が極めて少ないという意味も含む。つまり温度変化に対して出力電流の変動量がほぼ一定という意味である。
電流源2は、温度変化により、電流の値が第2の温度依存性を持って変化する第2電流としての電流Iを生成し、電流加算部6へ出力する。
電流源2は、温度の変化に対して電流Iとは異なる第2の出力電流特性(温度対出力電流特性)を有しており、電流Iを生成する。
例えば電流源2は、温度の変化によって出力電流が変化する割合が電流源1よりも大きいものであり、電流源1に比べて温度依存性を持つ電流I(Igm,const)を生成するものとする。つまり、温度依存性を持つ電流I(Igm,const)は、温度の変動による出力電流の特性の変化が電流Iよりも大きいことを指す。
すなわち、電流源2は、温度の変化に伴い出力電流の特性が電流Iと交るように増加または減少するような温度対出力電流特性の電流Iを生成する。
電流電圧変換回路3は、電流源1により生成された電流I(Iconst)を第1電圧としての電圧Vに変換し出力する。
言い換えると、電流電圧変換回路3は、電流I(Iconst)の電流値に応じた電圧値の電圧Vを生成し、比較回路5へ出力する。
電流電圧変換回路4は、入力端子41を有している。電流電圧変換回路4は、電流加算部6から入力端子41に入力される電流を第2電圧としての電圧Vに変換し、比較回路5と電圧電流変換回路7へ出力する。
言い換えると、電流電圧変換回路4は、入力端子41に入力された電流の電流値に応じた電圧値の電圧Vを生成し、生成した電圧Vを2つに分岐させて比較回路5と電圧電流変換回路7へそれぞれ出力する。
比較回路5は、入力端子51、入力端子52、出力端子53を有している。入力端子51には、電流電圧変換回路3からの電圧Vが入力される。入力端子52には、電流電圧変換回路4からの電圧Vが入力される。出力端子53からは、電圧Vと電圧Vとの比較結果に応じた電流Iが出力される。
比較回路5は、電流電圧変換回路3から入力端子51に入力された電圧Vと、電流電圧変換回路4から入力端子52に入力された電圧Vとを比較し、互いの比較結果に応じた第3の電流である電流Iを生成し、出力端子53から電流加算部6へ出力する。
比較回路5は、電流電圧変換回路3により変換された電圧Vよりも電流電圧変換回路4により変換された電圧Vの方が大きい場合、電流を出力しない。また、比較回路5は、電圧Vの値が電圧V以上の場合に電圧Vから電圧Vを引いた電圧値に比例した電流Iを出力する。
電流加算部6は、比較回路5からの第3の電流Iと、電流源2からの電流Iとを加算(合流)して電流電圧変換回路4の入力端子41へ出力する。
電圧電流変換回路7は、電流電圧変換回路4から入力された電圧Vを出力用(供給用)の電流に変換し出力する。電圧電流変換回路7は、電流電圧変換回路4に流れる電流のn倍の電流を出力する。電圧電流変換回路7は、電流電圧変換回路3,4の逆特性の電流を出力する。
言い換えると、電圧電流変換回路7は、電圧Vの電圧値に応じた電流値の電流を生成し、それをバイアス電流として供給対象の回路へ供給する。供給対象の回路とは、例えば無線受信機などの通信装置に実装される増幅器などである。
図2に示すように、電流電圧変換回路3および電流電圧変換回路4の少なくとも一つは、例えばNチャンネルMOSFET(以下、「nMOSFET」と称す)などの電界効果トランジスタM1,M2を用いて実現される。
電界効果トランジスタM1,M2のソース端子は接地されている。各電界効果トランジスタM1,M2のゲート端子とドレイン端子は短絡接続されている。このようにFETのゲート端子とドレイン端子を短絡接続した接続形態をダイオード接続という。
この回路構成の場合、入力電流に対して平方根倍で効いてくるような電流/電圧変換がかかり、変換された電圧が出力される。
図3に示すように、比較回路5は、差動増幅器54と、この差動増幅器54の出力端子に接続された電界効果トランジスタM3と直流電源VDD55とで構成される。
電界効果トランジスタM3は、例えばPチャンネルMOSFET(以下、「pMOSFET」と称す)などである。電界効果トランジスタM3は、差動増幅器54から出力された差分の電圧値に応じた第3電流としての電流Iを生成する電流生成回路として機能する。
電界効果トランジスタM3のソース端子には、安定した直流電源VDD55が接続されている。電界効果トランジスタM3は、差動増幅器54からゲート端子に入力される電圧(ゲート電圧)の値に応じて直流電源VDD55から電流Iを電流加算部6へ流す。
差動増幅器54には、2つの入力端子51,52と1つの出力端子56が設けられている。差動増幅器54は、2つの入力端子51,52に入力された電圧どうしを比較して、互いの差分に応じた電圧を出力端子56から電界効果トランジスタM3のゲート端子へ入力する。
差動増幅器54では、入力された電圧V、Vどうしを比較したときに、互いの関係が、例えば電圧Vよりも電圧Vの電圧値が高くなった場合(電圧V<電圧V)、差動増幅器54は、直流電源VDD55の電圧に近い電圧を電界効果トランジスタM3のゲート端子に出力するため、電界効果トランジスタM3はカットオフとなる。
このため、電圧Vよりも電圧Vの電圧値が高い場合は電界効果トランジスタM3からは電流Iが出力されない。
一方、例えば電圧Vの電圧値が低下して電圧Vの電圧値以下になった場合(電圧V≧電圧V)、差動増幅器54からゲート端子に入力される電圧は、直流電源VDD55の電圧値に比べて低くなるため、電界効果トランジスタM3はオンとなり、電界効果トランジスタM3のソース端子から電流Iが出力される。
図4に示すように、電圧電流変換回路7は、例えばnMOSFETなどの電界効果トランジスタM4を用いて実現される。この電界効果トランジスタM4は、ゲート端子に入力された電圧Vの値に応じてドレイン端子に引き込む電流の量(または出力する電流の量)を制御する。すなわち、電界効果トランジスタM4は、入力された電圧Vを、バイアス用の第4電流としての電流Iに変換する。
電圧電流変換回路7では、電界効果トランジスタM4のチャネル幅とチャネル長の比を、電流電圧変換回路4の電界効果トランジスタM2のチャネル幅とチャネル長の比のn倍とすることで、電流電圧変換回路4に流れる電流のn倍の電流Iを、電圧電流変換回路7から取り出すことができる。
図5に示すように、電流源1は、エミッタ面積の異なるバイポーラ型のトランジスタQ1,Q2(以下「バイポーラ・トランジスタQ1,Q2」と称す)、抵抗R1,R2、R3,R4、差動増幅器11、電界効果トランジスタM5,M6、直流電源14などを用いて実現される。電界効果トランジスタM5,M6は、例えばpMOSFETなどである。
バイポーラ・トランジスタQ1のエミッタ端子には、抵抗R1の一端と差動増幅器11の+入力端子が接続されている。バイポーラ・トランジスタQ1のコレクタ端子とベース端子は接地されている。
バイポーラ・トランジスタQ2のエミッタ端子には、抵抗R3を介して差動増幅器11の−入力端子と抵抗R2の片端が接続されている。バイポーラ・トランジスタQ2のコレクタ端子とベース端子は接地されている。
抵抗R1と抵抗R2の他端は、電界効果トランジスタM5のドレイン端子に接続されている。差動増幅器11の出力端子は、電界効果トランジスタM5のゲート端子と電界効果トランジスタM6のゲート端子に接続されている。
電界効果トランジスタM5のドレイン端子は抵抗R4を介して接地されている。電界効果トランジスタM5,M6の各ソース端子は、直流電源VDD14に接続されている。電界効果トランジスタM6のドレイン端子は出力端子となっている。この出力端子から温度依存性を持たない電流I(Iconst)が出力される。
この電流源1の場合、2つのバイポーラ・トランジスタQ1,Q2を使うことによって、一定の電圧を差動増幅器11の出力段に作り出し、抵抗R4の一端に一定の電圧を印加する。これにより、直流電源14から電界効果トランジスタM5を通じて抵抗R4に一定の電流が流れるため、電界効果トランジスタM5のゲート端子と同じ電圧がゲート端子に印加される電界効果トランジスタM6にも電界効果トランジスタM5と同じ一定の電流I(Iconst)が流れる。
つまり、この電流源1は、半導体のバンドギャップ電圧を取り出し、バンドギャップ電圧に比例した電流を生成し出力するものである。
図6に示すように、電流源2は、電界効果トランジスタM7,M8,M9,M10,M11などを用いて実現される。電界効果トランジスタM7,M8,M9は、例えばpMOSFETなどである。電界効果トランジスタM10,M11は、例えばnMOSFETなどである。
電界効果トランジスタM7,M8,M9の各ソース端子は直流電源VDD21に接続されている。電界効果トランジスタM7のゲート端子とドレイン端子は短絡されている。電界効果トランジスタM7のゲート端子は、電界効果トランジスタM8および電界効果トランジスタM9のゲート端子に接続されている。
電界効果トランジスタM7のドレイン端子は電界効果トランジスタM10のドレイン端子に接続されている。電界効果トランジスタM10のソース端子は抵抗R5の一端に接続され、抵抗R5の他端は接地されている。
電界効果トランジスタM10のゲート端子は、電界効果トランジスタM11のゲート端子に接続されている。
電界効果トランジスタM11のゲート端子とドレイン端子は短絡接続されている。電界効果トランジスタM11のソース端子は接地されている。電界効果トランジスタM11のドレイン端子は電界効果トランジスタM8のドレイン端子に接続されている。電界効果トランジスタM9のドレイン端子は出力端子となっている。この出力端子から温度依存性を持つ電流I(Igm,const)が出力される。
電界効果トランジスタM10のチャネル長とチャネル幅の比を電界効果トランジスタM11の4倍とした場合に、電界効果トランジスタM11のトランスコンダクタンスgmが抵抗Rの値の逆数(1/R)になるようにフィードバックがかかる構成になっている。
温度によって電界効果トランジスタM11のトランスコンダクタンスgmの値が変わろうとしても、その分、電流が増減し、結局は電界効果トランジスタM11のトランスコンダクタンスgmの値が、抵抗Rの値の逆数の値に一定になる。
つまり、電流源2は、温度変動に対して電界効果トランジスタM11のトランスコンダクタンスgmを一定に保つ電流を出力する。温度によって電流の値は変わるものの、増幅器の利得に効いてくるトランスコンダクタンスgmの値は一定になる。
温度によらず電界効果トランジスタM7,M8,M9からは、トランスコンダクタンスgmを一定に保つ電流が流れ、電界効果トランジスタM7,M8,M9のトランスコンダクタンスgmが一定になるような電流が出力される。
温度変化に対しては、電界効果トランジスタの特性も同様に変化するため、温度依存性のある電流I(Igm,const)が出力される。これにより、このバイアス回路を使用する増幅器などの利得と帯域幅を、温度によらずある一定以上の値に保つことができる。
図1に示したバイアス回路は機能ブロックであったが、これを具体的な回路と素子に置き換えたものを図7に示す。
同図に示すように、この場合のバイアス回路は、電流源1と、電界効果トランジスタM1と、差動増幅器54と、直流電源VDD55と、電流合流部61、電界効果トランジスタM3と、電流源2と、電界効果トランジスタM2と、電界効果トランジスタM4とにより構成される。電流源1および電流源2は、それぞれ図5,図6に示したものである。
電流源1は、温度変化により、電流の値が第1の温度依存性を持って変化する電流Iを生成し、出力端子より電界効果トランジスタM1のドレイン端子に出力する。電流源1を図5に示したように構成することで、温度依存性のない電流I(Iconst)が生成される。
電界効果トランジスタM1は、例えばnMOSFETなどであり、ドレイン端子に入力された電流I(Iconst)を電圧Vに変換し、差動増幅器54の−入力端子へ出力する。
差動増幅器54は、+入力端子と−入力端子と出力端子を有する。差動増幅器54は、−入力端子に入力された電圧Vと+入力端子に入力された電圧Vとを比較し、比較結果に応じた差分の電圧Vを出力端子から電界効果トランジスタM3のゲート端子へ出力する。直流電源VDD55は、安定した直流の電源である。
電界効果トランジスタM3は、例えばpMOSFETなどであり、ゲート端子に入力される電圧V(ゲート電圧)の値に応じて直流電源VDD55から電流Iを流す。つまり電界効果トランジスタM3は、電圧Vをその値に応じた電流Iに変換し出力する。
電流源2は、温度の変化に伴い電流の出力特性が電流Iと交るように増加または減少するような温度対出力電流特性の電流Iを生成し、出力端子より電界効果トランジスタM2のドレイン端子に出力する。電流源2を図6に示したように構成することで、温度依存性のある電流I(Igm,const)が生成される。
電界効果トランジスタM2は、例えばnMOSFETなどであり、ドレイン端子に入力される電流(電流I+電流I)を電圧Vに変換し、差動増幅器54の+入力端子へ出力する。
電界効果トランジスタM4は、例えばnMOSFETなどであり、ゲート端子に入力される電圧Vを出力電流に変換する。電界効果トランジスタM4は、ゲート端子に入力される電圧Vに応じて、接続対象のデバイス、例えば増幅器から電流Iを引き込む。
つまり電界効果トランジスタM4は、電界効果トランジスタM2からゲート端子に入力された電圧Vに応じて、増幅器から電流を引き込むように動作する。なお、回路に作り方によっては増幅器へ電流Iを出力するように構成することもできる。
電流合流部61は、電流源2の出力端子と電界効果トランジスタM3のドレイン端子との接続点、つまり回路どうしが接続された合流部であり、電流Iと電流Iとを合流させて電界効果トランジスタM2のドレイン端子へ入力する。
以下、図1に示したバイアス回路の動作を説明する。このバイアス回路では、温度依存性のない電流I(Iconst)は、電流電圧変換回路3により電圧Vに変換され、比較回路5の入力端子51に入力される。
また、温度依存性のある電流I(Igm,const)は、電流電圧変換回路4により電圧Vに変換され、比較回路5の入力端子52に入力される。
電流電圧変換回路3は、入力電流に対して単調に増加もしくは減少する電圧を出力する回路であれば良い。ここでは説明を解りやすくするために、電流電圧変換回路3は、入力電流に対して単調に増加する電圧を出力するものとして説明する。
比較回路5は、以下に示す式(1)で示される電流Iを生成し出力する。
Figure 2009296236
但し、この電流Iは、比較回路5から外側に向かう方向が正であり、トランスコンダクタンスGm,compは正である。
ここで、比較回路5に入力される2つの電圧(電圧V、電圧V)の大小関係による動作を違いについて説明する。電圧Vと電圧Vとの関係が、例えば電圧V<電圧Vの場合と電圧V≧電圧Vの場合の2つの場合があるが、それぞれの場合について動作を説明する。
まず、電圧V<電圧Vの場合について説明する。
この場合、比較回路5は、電流を出力しないため、電流電圧変換回路3および電流電圧変換回路4には、それぞれ温度依存性のない第1の電流Iもしくは温度依存性のある電流Iが流れる。このとき、電圧電流変換回路7から出力される電流Iは、温度依存性のある電流I(Igm,const)のn倍となる。
次に、電圧V≧電圧Vの場合について説明する。
この場合、比較回路5は、式(1)で示されるように、Gm,comp×(V−V)の電流を出力する。
ここで、比較回路5、電流加算部6、電流電圧変換回路4は、負帰還増幅器を構成する。負帰還増幅器により電流電圧変換回路4に流れる電流I(gm,const)が電流電圧変換回路3に流れる電流、すなわち温度依存性のない電流I(Iconst)と等しくなることを説明する。
電流電圧変換回路3および電流電圧変換回路4は等しい特性を持つものとし、これらの回路の入出力特性を、
Figure 2009296236
と表す。ただし、Rは抵抗値であり正の数である。すると、比較回路5への入力電圧はそれぞれ、
Figure 2009296236
と表される。電圧V≧電圧Vであることに注目し、式(3)と式(4)を式(1)に代入すると、
Figure 2009296236
となる。つまり、Gm,comp R≫1となるように設計すれば、電圧V≧電圧Vの条件で、比較回路5は、2つの電流の差を出力する。
すなわち、電流電圧変換回路4には温度依存性のない第1の電流I(Iconst)が流れる。結果として電圧電流変換回路7には温度依存性のない第1の電流I(Iconst)のn倍が流れる。
以上の動作により、スイッチで回路を切り替えることなく2つの電流値を不連続点なく切り替えることができる。
なお、このバイアス回路を例えば増幅回路などのデバイスに使用する場合は、高温時の利得および帯域低下を抑えるために温度依存性のあるI(Igm,const)を生成する電流源2として、増幅回路に用いられる信号増幅用のトランジスタのトランスコンダクタンスgmを一定にするような電流源を使うものとする。
このような電流源2を使った場合のバイアス回路の出力電流Iの値と温度の関係(温度対出力電流特性)、およびトランジスタのトランスコンダクタンスgmと温度との関係(温度対トランスコンダクタンスgm特性)を図8に示す。
同図において、点線で示すI(spec)は、バイアスすべき対象の増幅回路の定格を満足するために必要なバイアス電流の最低電流値(定格値)であり、この値を下回ってしまうと、歪み値が増し増幅器の定格を満たさなくなる。
同様に点線で示すgm(spec)は、増幅器のトランスコンダクタンスgmの定格値であり、この値以下では増幅器の性能が低下してしまうことを示している。
出力電流Iは、低温時には、I(spec)と同じ一定の値を示しており、温度がある値まで上昇した後は、増加する特性となっている。
一方、トランスコンダクタンスgmは、高温時には、gm(spec)と同じ一定の値を示しており、温度が出力電流Iの変化点まで低下すると、それ以降、増加してゆく特性を示している。
本実施形態のバイアス回路では、出力電流Iとトランスコンダクタンスgmとはこのような関係となり、最低のバイアス電流で増幅器を動作させて、しかも出力電流Iとトランスコンダクタンスgmの両スペックを満足することができる。
すなわち、このバイアス回路では、2つの電流源1,2からの電流のうち大きい方の電流を、電流電圧変換回路4へ入力することが可能となる。これにより、低温時には歪み特性の劣化を抑制するように、温度依存性のない電流I(Iconst)を使う一方、高温時には周波数特性の劣化を抑えるようにトランスコンダクタンスgmを一定にする電流I(Igm,const)を使うことで、回路で使用する電流を削減することができる。
比較回路5に入力される電圧どうしの関係が電圧V<電圧Vとなる場合、差動増幅器54が、電源電圧VDD55に近い電圧を出力するため、電界効果トランジスタM3はカットオフとなる。このため、電圧V<電圧Vのときには電界効果トランジスタM3は電流Iを出力しない。
また、比較回路5に入力される電圧どうしの関係が電圧V≧電圧Vとなる場合には、差動増幅器54の出力電圧は、直流電源VDD55の電圧値に比べて低くなるため、電界効果トランジスタM3はオンとなり、電流Iが出力される。このような動作により、式(1)に示す入出力特性が実現できる。
このようにこの第1実施形態によれば、温度依存性を持たない電流I(Iconst)と、温度依存性を持つ電流I(Igm,const)とを電圧に変換し、互いを比較して比較結果に応じた電流Iを電流加算部6へ出力し、電流加算部6で電流Iと電流I(Igm,const)とを加算することにより、温度の変化に対して2つの電流源1,2からの電流I、Iを滑らかに切り替えることができる。
温度の変動に対して電界効果トランジスタM7,M8,M9のトランスコンダクタンスgmを一定に保つ電流I(Igm,const)を出力するように電流源2を構成することで、バイアス回路を使用する増幅器の利得と帯域幅を温度によらずある一定以上の値に保つことができ、増幅器のバイアス電流定格I(spec)を満足することができる。
電流電圧変換回路3,4を、ドレイン端子とゲート端子が短絡接続(ダイオード接続)された電界効果トランジスタM1,M2を用いることで、電流の値を比較判定しやすい電圧の値に変換することができる。
電流電圧変換回路3から出力される電圧Vと電流電圧変換回路4から出力される電圧Vとの関係がV<Vであるときに電流Iを出力せず、V≧VであるときにV−Vに比例した電流を出力するように比較回路5を構成することで、バイアス回路の出力電流が、温度依存性を持たない電流I(Iconst)と、温度依存性を持つ電流I(gm,const)のうち、大きい方の電流を、電流量の増減で(スイッチングせずに)取り出すことができる。
(第2実施形態)
図9を参照して第2実施形態を説明する。
この第2実施形態は、上記第1実施形態に示した電流源1と電流源2とを入れ替えた例であり、第1実施形態と同じ構成には同一の符号を付しその説明は省略する。
すなわち、この第2実施形態は、図9に示すように、温度依存性のない電流I(Iconst)を生成する電流源1を電流加算部6に接続する一方、温度依存性のある電流I(gm,const)を生成する電流源2を電流電圧変換回路3に接続した例である。
このようにこの第2実施形態のバイアス回路によれば、温度依存性のない電流I(Iconst)を生成する電流源1を電流加算部6に接続する一方、温度依存性のある電流I(gm,const)を生成する電流源2を電流電圧変換回路3に接続した場合であっても、互いを比較して比較結果に応じた電流Iを電流加算部6へ出力し、電流加算部6で電流Iと電流I(Iconst)とを加算することにより、温度の変化に対して2つの電流源1,2からの電流I、Iを滑らかに切り替えることができる。
(第3実施形態)
図10を参照して第3実施形態を説明する。この第3実施形態は、上述したバイアス回路を増幅器に適用した例である。
図10に示すように、増幅器90は、トランジスタ91とバイアス回路92を有している。
トランジスタ91は、信号増幅用のものであり、バイアス回路92からのバイアス電流Iによりバイアスされる。
バイアス回路92には、上記第1及び第2の実施形態で示したバイアス回路が用いられる。
このようにこの第3実施形態によれば、上記第1及び第2の実施形態で示したバイアス回路を増幅器90に適用することにより、低温時の歪み特性悪化を抑えることができ、高温時の周波数特性の劣化も抑制しつつ増幅器90を省力化することができる。
各実施形態で示したバイアス回路は、集積回路上に形成される増幅回路に適用可能であり、低温時の歪み特性劣化と高温時の周波数特性の劣化を抑えつつ増幅回路の省力化が可能となる。
(第4実施形態)
図11を参照して第4実施形態を説明する。この第4実施形態は、上述した第3実施形態の増幅器およびバイアス回路を、受信機などの通信装置に適用した例である。
図11に示すように、この受信機94は、アンテナ95、低雑音増幅器96、アンテナ95、周波数変換器97、増幅器90、バイアス回路92を有している。
アンテナ95は電波を受信する。低雑音増幅器96は、アンテナ95で受信された受信信号を除去した低ノイズのRF信号(高周波信号)を生成する。
周波数変換器97は、低雑音増幅器96により生成されたRF信号を、低い周波数の信号へ変換する。
上記アンテナ95、低雑音増幅器96、周波数変換器97は、電波を受信して受信信号を増幅器90へ出力する受信部として機能する。
増幅器90は、周波数変換器97により周波数変換された信号を増幅する。つまり増幅器90は、受信部により受信された受信信号を増幅する。バイアス回路92は、増幅器90に対してバイアス電流を供給する。
バイアス回路92がバイアス電流を増幅器90に供給する形態としては、増幅器90から電流を引き込むカレントシンクの形態と、バイアス回路92から増幅器90へ電流を出力するカレントソースの形態とがあり、本願発明はいずれの場合も適用可能である。
このようにこの第4実施形態によれば、受信機に実装される増幅器90に、上記第3実施形態で示した増幅器90を用いることで、低温時の歪み特性悪化を抑えることができ、高温時の周波数特性の劣化も抑制しつつ受信機を省力化することができる。
本発明は無線通信や有線通信を含むアナログ集積回路に応用可能であり、特に演算増幅器を用いたフィルタ回路や増幅回路を含む集積回路の省力化に有効である。
なお、本発明は上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより、種々の発明を形成できる。
例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施形態にわたる構成要素を適宜組み合わせてもよい。
本発明の一実施形態のバイアス回路の構成を示す図である。 電流電圧変換回路の回路構成の一例を示す図である。 比較回路の回路構成の一例を示す図である。 電圧電流変換回路の回路構成の一例を示す図である。 第1電流源の回路構成の一例を示す図である。 第2電流源の回路構成の一例を示す図である。 図1のバイアス回路を回路素子で構成した場合の一例を示す図である。 バイアス回路の温度対出力電流特性、およびバイアスされる増幅器の温度対トランスコンダクタンス特性を示す図である。 第2実施形態の構成を示す図である。 第3実施形態の構成を示す図である。 第4実施形態の構成を示す図である。
符号の説明
1,2…電流源、3,4…電流電圧変換回路、5…比較回路、6…電流加算部、7…電圧電流変換回路、11…差動増幅器、41…入力端子、51,52…入力端子、53…出力端子、54…差動増幅器、61…電流合流部、90…増幅器、91…トランジスタ、94…受信機、95…アンテナ、92…バイアス回路、96…低雑音増幅器、97…周波数変換器、M1〜M9…電界効果トランジスタ、Q1,Q2…バイポーラ・トランジスタ、VDD14,21,55…直流電源。

Claims (13)

  1. 第1電流を生成する第1電流源と、
    温度の変化に伴い出力電流の特性が前記第1電流と交るように増加または減少するような温度対出力電流特性の第2電流を生成する第2電流源と、
    前記第1電流源により生成された第1電流を第1電圧に変換する第1電流電圧変換回路と、
    入力端子を有し、前記入力端子に入力される電流を第2電圧に変換する第2電流電圧変換回路と、
    前記第1電圧と前記第2電圧とを比較し、比較結果に応じた第3電流を生成する比較回路と、
    前記第3電流と前記第2電流とを合流させて前記第2電流電圧変換回路の前記入力端子へ入力する加算部と、
    前記第2電流電圧変換回路により変換された前記第2電圧を、バイアス用の第4電流に変換する電圧電流変換回路と
    を具備することを特徴とするバイアス回路。
  2. 請求項1記載のバイアス回路において、
    前記第1電流は、温度の変化に対して出力される電流がほぼ変動しない電流であることを特徴とするバイアス回路。
  3. 請求項1記載のバイアス回路において、
    前記第2電流は、温度の変化に対して出力される電流値が増加または減少する変動量が前記第1電流よりも多い電流であることを特徴とするバイアス回路。
  4. 請求項1記載のバイアス回路において、
    前記第2電流源は、
    温度の変化に対して、バイアスをかけるデバイスのトランスコンダクタンスを一定に保つような前記第2電流を出力することを特徴とするバイアス回路。
  5. 請求項1記載のバイアス回路において、
    前記第1の電流電圧変換回路および前記第2電流電圧変換回路の少なくとも一つは、前記電界効果トランジスタであること特徴とするバイアス回路。
  6. 請求項5記載のバイアス回路において、
    前記電界効果トランジスタが、
    ドレイン端子とゲート端子を短絡接続したNチャンネルMOSFETであることを特徴とするバイアス回路。
  7. 請求項1記載のバイアス回路において、
    前記比較回路は、
    前記第1電流電圧変換回路により変換された前記第1電圧よりも前記第2電流電圧変換回路により変換された前記第2電圧が大きい場合、前記第3電流を出力しない一方、前記第1電圧が前記第2電圧以上の場合に前記第1電圧から前記第2電圧を引いた値に比例した前記第3電流を出力すること特徴とするバイアス回路。
  8. 請求項1記載のバイアス回路において、
    前記比較回路は、
    前記第1電流電圧変換回路により変換された前記第1電圧と前記第2電流電圧変換回路により変換された前記第2電圧とを比較し、互いの電圧値を差し引いた差分の電圧を出する差動増幅器と、
    前記差動増幅器から出力された差分の電圧値に応じた第3電流を生成する電流生成回路と
    を具備することを特徴とするバイアス回路。
  9. 請求項8記載のバイアス回路において、
    前記電流生成回路が、
    ソース端子が直流電源に接続されたPチャンネルMOSFETであり、ドレイン端子に第3電流を出力すること特徴とするバイアス回路。
  10. 請求項1記載のバイアス回路において、
    前記電圧電流変換回路が、
    前記第4電圧に応じて、ドレイン端子から電流を引き込むように動作するトランジスタであること特徴とするバイアス回路。
  11. 請求項10記載のバイアス回路において、
    前記トランジスタが、
    NチャンネルMOSFETであること特徴とするバイアス回路。
  12. 第1電流を生成し、出力する第1電流源と、
    温度の変化に伴い出力電流の特性が第1電流と交るように増加または減少するような温度対出力電流特性の第2電流を生成し、出力する第2電流源と、
    前記第1電流源からドレイン端子に入力された第1電流を第1電圧に変換し、差動増幅器の−入力端子へ出力する第1電界効果トランジスタと、
    前記第2電流源からドレイン端子に入力される第2電流を第2電圧に変換し、出力する第2電界効果トランジスタと、
    +入力端子と−入力端子を有し、前記第1電界効果トランジスタから前記−入力端子に入力された第1電圧と、前記第2電界効果トランジスタから前記+入力端子に入力された第2電圧とを比較し、比較結果に応じた差分の第3電圧を出力する差動増幅器と、
    ゲート端子に入力される第3電圧の値に応じて直流電源から第3電流を流す第3電界効果トランジスタと、
    前記第2電界効果トランジスタからゲート端子に入力される第2電圧を、バイアス用の電流に変換する第4電界効果トランジスタと、
    前記第2電流源の出力端子と前記第2電界効果トランジスタのドレイン端子とを接続し、前記第2電流と前記第3電流とを合流させて前記第2電界効果トランジスタのドレイン端子へ入力する電流合流部と
    を具備すること特徴とするバイアス回路。
  13. 信号増幅用のトランジスタと、
    前記第4電流により前記トランジスタをバイアスする請求項1記載のバイアス回路と
    を具備することを特徴とする増幅器。
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