JP2009295887A - 超伝導素子及びその作製方法 - Google Patents

超伝導素子及びその作製方法 Download PDF

Info

Publication number
JP2009295887A
JP2009295887A JP2008149835A JP2008149835A JP2009295887A JP 2009295887 A JP2009295887 A JP 2009295887A JP 2008149835 A JP2008149835 A JP 2008149835A JP 2008149835 A JP2008149835 A JP 2008149835A JP 2009295887 A JP2009295887 A JP 2009295887A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
carbon nanotube
boron
catalyst
superconducting
substituted
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2008149835A
Other languages
English (en)
Other versions
JP5246653B2 (ja
Inventor
Junshi Haruyama
純志 春山
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Japan Science and Technology Agency
Original Assignee
Japan Science and Technology Agency
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Japan Science and Technology Agency filed Critical Japan Science and Technology Agency
Priority to JP2008149835A priority Critical patent/JP5246653B2/ja
Publication of JP2009295887A publication Critical patent/JP2009295887A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP5246653B2 publication Critical patent/JP5246653B2/ja
Expired - Fee Related legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Images

Landscapes

  • Carbon And Carbon Compounds (AREA)
  • Superconductor Devices And Manufacturing Methods Thereof (AREA)

Abstract

【課題】 多層カーボンナノチューブをより高温で再現性良く超伝導状態にすることができる超伝導素子及びその製造方法を提供する。
【解決手段】 多孔質膜2中の細孔21内に多層カーボンナノチューブが形成されており、当該多層カーボンナノチューブは、その直径が5〜30nm、その層数が2〜20である超伝導素子であって、前記多層カーボンナノチューブが、多層カーボンナノチューブを構成する炭素原子の一部がホウ素原子で置換されたホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3である。
【選択図】図1

Description

本発明は、超伝導素子及びその作製方法に関する。
カーボンナノチューブは、その発見以来、次世代の高機能材料として注目されている。カーボンナノチューブには、カーボンナノチューブを構成するグラファイトシートが一層である単層カーボンナノチューブ(SWNT)と、2以上のグラファイトシートが同心軸状に重なった多層カーボンナノチューブ(MWNT)とがある。
SWNTについては、その電子輸送特性や、電界放出機能などを中心に様々な研究がなされてきたが、超伝導に関する報告はまだ1件のみ(非特許文献1参照)であり、これは転移温度が0.4Kと非常に低く、追試結果がなかった。
MWNTについては、本発明の発明者らによるMWNTを用いた超伝導素子が知られている(特許文献1参照)。特許文献1においては、多層カーボンナノチューブと金属電極とを備え、前記多層カーボンナノチューブは、その直径が5〜20nm、その層数が2〜20であり、かつ、その長手方向に対し垂直に切断された切断面を有し、前記金属電極は、この切断面で多層カーボンナノチューブと接触している超伝導素子が開示されている。この超伝導素子に金属電極から電圧を印加すると、MWNTを構成する全層(全グラファイトシート)がその切断面で金属電極と接触していることでMWNT全体が電気的に活性となり、層間相互作用の増大により一次元性が抑制された結果、MWNTが超伝導状態となる。この場合に、カーボンナノチューブ成長の触媒は強磁性体であるため超伝導の発現を妨げる。従って、なるべく少量の触媒を基板上に形成するようにしている。
M.Kociaket.al., Physical Review Letters86, 2416(2001) 特開2007−251028号公報(請求項1、図5参照)
上記発明は、カーボンナノチューブ自体が従来の30倍もの高温で超伝導転移するという点において、非常に意義深いものであった。しかし、上記特許文献1に記載された超伝導素子は、超伝導転移温度が12K以下であり、より高い温度で超伝導状態とすることが求められている。また、上記発明においては、触媒を少量形成していることからカーボンナノチューブが再現性良く成長しない場合があるという問題があった。
そこで、本発明は、MWNTをより高温で再現性良く超伝導状態にすることができる超伝導素子及びその製造方法を提供することを目的とする。
本発明の超伝導素子は、多孔質膜中の細孔内に多層カーボンナノチューブが形成されており、当該多層カーボンナノチューブは、その直径が5〜30nm、その層数が2〜20である超伝導素子であって、前記多層カーボンナノチューブが、多層カーボンナノチューブを構成する炭素原子の一部がホウ素原子で置換されたホウ素置換型多層カーボンナノチューブであることを特徴とする。
多層カーボンナノチューブとして、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブを用いることで、より高温で超伝導状態を出現させることができる。
前記ホウ素置換型多層カーボンナノチューブにおける前記ホウ素原子の置換率が、炭素原子100に対して0より多く、4以下であることが好ましい。この範囲であれば、特に好ましい状態で、本発明の超伝導素子を高温で超伝導状態とすることができる。
このような本発明の超伝導素子の超伝導転移温度は、15〜30Kである。
本発明の超伝導素子の作製方法は、金属基板上に、多孔質膜を形成する多孔質膜形成工程と、前記多孔質膜の細孔の底部に、Fe及びCoから選ばれた少なくとも1種を含む触媒金属並びにホウ素からなるカーボンナノチューブ成長用触媒を形成する触媒形成工程と、前記カーボンナノチューブ成長用触媒に少なくともHガスを含む還元ガスを接触させて前記カーボンナノチューブ成長用触媒を還元させる還元工程と、前記還元工程後、カーボンナノチューブ成長ガスを前記カーボンナノチューブ成長用触媒に接触させて、多層カーボンナノチューブを構成する炭素原子の一部がホウ素で置換されたホウ素置換型多層カーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程とを含むことを特徴とする。
本発明においては、前記触媒に少なくともHガスを含む還元ガス(例えばArとHとからなるガス)を接触させて前記カーボンナノチューブ成長用触媒を還元させる還元工程と、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程とを備えることで、従来よりも高温で超伝導状態となる超伝導素子を再現性良く作製することが可能である。
前記還元工程において、チャンバー中の温度が500〜600℃であり、かつ、触媒の還元時間が3〜4時間であることが好ましい。この範囲で還元工程を行うことで、微量の触媒下でもより高い再現性を持って超伝導転移する超伝導素子を作製することができる。
また、前記触媒形成工程において、前記ホウ素原子が、前記カーボンナノチューブ成長用触媒に0原子%より多くかつ4原子%以下で含有されるように、前記カーボンナノチューブ成長用触媒を形成することが好ましい。この範囲でホウ素原子が含有されたカーボンナノチューブ成長用触媒を用いることで、ホウ素原子が、多層カーボンナノチューブ中において炭素原子100に対して0原子より多くかつ4原子以下で置換されたホウ素置換型多層カーボンナノチューブを形成することが可能である。これにより、より高温で超伝導状態を実現できる。
本発明の超伝導素子は、従来のカーボンナノチューブを用いた超伝導素子より高温で再現性良く超伝導状態となることができるという優れた効果を奏する。さらに、本発明の超伝導素子の作製方法によれば、従来のカーボンナノチューブを用いた超伝導素子より高温で再現性良く超伝導状態にすることが可能となる超伝導素子を形成できるという優れた効果を奏する。
本実施形態のカーボンナノチューブを用いた超伝導素子を図1を用いて説明する。図1(a)は、超伝導素子の断面模式図である。図1(a)において、超伝導素子1は、基板S上に形成された多孔質膜2と、多孔質膜2の細孔21内に設けられたカーボンナノチューブ3とからなる。
基板Sは、第1の電極として機能するものであり、通常基板として用いられる金属からなるものであればよい。この場合、Al基板を用いれば、Al基板を陽極酸化することによって基板S表層に構造パラメータの高い規則性を持った多孔質膜2としてのポーラスアルミナ膜を簡易に形成することが可能であるため、好ましい。
多孔質膜2は、厚さが0.5〜1.5μmであり、細孔21が周期的に形成されているものであればよい。このような多孔質膜としては、例えば、ポーラスアルミナ膜や、ゼオライト、ポーラスシリコンなどがあげられる。細孔21は、その直径が5〜30nm程度であることが好ましい。この範囲であれば、細孔21内に所望のホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を形成することができる。
ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3は、その直径が5〜30nm、好ましくは10〜20nmであり、その層数が2〜20であり、各層は同心軸状に配置されている。
図1(b)は、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を構成する一層の展開図であり、この図に示すように、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3は、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を構成する炭素原子Cの一部が、ホウ素原子Bで置換されたものである。即ち、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3は、多層カーボンナノチューブの炭素ネットワーク(炭素による格子)中の一部の炭素原子がホウ素原子に置き換わったものである。このホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を用いることで、超伝導転移温度を従来のものよりも高くすることができる。これは、ホウ素で置換することで、カーボンナノチューブのフェルミ準位の位置を制御して最も高い電子状態密度のエネルギー(Van Hove singularity:VHS)に一致させることができるからである。このようにフェルミ準位をVHSに一致させることができると、多層カーボンナノチューブをより高温で超伝導状態とすることができる。なお、ここでは展開図でカーボンナノチューブの構造としてジグザグ型のものを示したが、これに限定されるものではない。
この場合、ホウ素の置換率は、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を構成する炭素原子100原子%に対し0原子より多く、4原子%以下であることが好ましい。この範囲でホウ素に置換することで、フェルミ準位を第1のVHSに一致させることができ、より超伝導を発生させやすくすることができる。他方で、4原子%より大きいと、第1のVHSより高いエネルギーにある第2のVHSに一致させることができるものの、多層カーボンナノチューブが壊れてしまうことがあるからである。好ましくは、1.5原子%〜2原子%である。この範囲であれば、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブが壊れることなく、フェルミ準位置を第1のVHSに一致させることができ、超伝導転移温度を従来のものより高くすることができる。
また、本実施形態のホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3は、後述するように還元工程により、微量の触媒でも高品質カーボンナノチューブを大量に生成できる。そのため、再現性良く多層カーボンナノチューブを高温で超伝導転移させることができる。
このような一部をホウ素で置換されたホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を用いた超伝導素子1の作製工程について、作製工程を示すフローに対応した基板の模式的断面図である図2を用いて説明する。
まず、図2(a)に示すように、基板S上に細孔21を多数有する多孔質膜2を形成する。多孔質膜2は、例えばアルミニウム基板の陽極酸化により、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を成長させる多孔質膜2としてのポーラスアルミナ膜が形成される。
次いで、図2(b)に示すように、この多孔質膜の細孔21の底部に、Fe及びCoから選ばれた少なくとも1種を含む触媒金属並びにホウ素からなるカーボンナノチューブ成長用触媒22を堆積させる。この場合に、このカーボンナノチューブ成長用触媒22を基板上に3cm当たり1μg以下で形成することが好ましい。この範囲でカーボンナノチューブ成長用触媒22を形成することで、得られた超伝導素子にカーボンナノチューブ成長用触媒22が残らず、超伝導を発現しやすくなる。少量のカーボンナノチューブ成長用触媒22を形成できる形成方法としては、蒸着法や電解析出法を用いることができる。この場合に、電界析出法においては、鉄やコバルトを含む金属塩にさらにホウ素を含有させることで、ホウ素を含有するカーボンナノチューブ成長用触媒22を形成することができる。
また、ホウ素がカーボンナノチューブ成長用触媒22に0原子%より多く、かつ4原子%以下で含まれるようにカーボンナノチューブ成長用触媒22を形成すると、カーボンナノチューブ形成時において、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3中にホウ素が0原子%より多く、かつ4原子%以下で含まれるように構成することができる。即ち、ホウ素原子のカーボンナノチューブ成長用触媒22での含有量は、カーボンナノチューブ中での置換量に一致する。
次いで、前処理として、前記カーボンナノチューブ成長用触媒22に例えばArとHとからなるガスを含む還元ガスを接触させて前記カーボンナノチューブ成長用触媒22を還元させる還元工程を行って、触媒表面を浄化する。この前処理を行う真空チャンバー内の温度が500〜600℃であることが好ましい。この温度範囲であれば、還元ガスによる還元をより効率的に行うことが可能である。かかる方法を用いて触媒からカーボンナノチューブを形成すると、触媒表面が浄化されていることにより微量のカーボンナノチューブ成長用触媒22からでも再現性よく大量の高品質なホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を形成することができる。還元ガスとしては上述したものを用いることができ、例えばArガスとHガスとを流量10:1〜100:1で導入する。この場合、還元時間は、3〜4時間程度が好ましい。
次いで、CVD法により前記還元されたカーボンナノチューブ成長用触媒22に連続してカーボンナノチューブ成長ガスであるアルコールガス(例えば、メタノールやエタノール)を接触させて、多層カーボンナノチューブを構成する炭素原子の一部がホウ素で置換されたホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を形成する(図2(c)参照)。
その後、図2(d)に示すように、前記ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を超音波処理によりその長手方向に対して垂直に切断して、超伝導素子1とする。
この得られた超伝導素子1では、超伝導の発現を抑制してしまう強磁性体であるカーボンナノチューブ成長用触媒22は予め少量しか形成していないためホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3付近に強磁性体であるカーボンナノチューブ成長用触媒22がほとんど残らない。また、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3は、ホウ素を含有しているためフェルミ準位がVHSに一致している。従って、得られた超伝導素子1は、従来のものよりも高い温度で再現性良く超伝導状態となり、その超伝導転移温度は、従来よりも高い15〜30Kであり、もっとも再現性が高かったのは18〜23Kである。
また、本発明の別の実施形態として、超伝導素子1において、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3の一端が多孔質膜2の上面に対して水平になるように平坦に切断され、この切断面でホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3と接触する上部金属電極を形成してなる超伝導素子が挙げられる。このように上部金属電極を設けて上部金属電極と基板Sとの間で電圧を印加することで、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を構成する全層が通電される。この結果、各層に発生する電荷揺らぎを介して層間の静電結合が強まり各層の持つ一次元性が抑制され、超伝導状態が発現しうる。
この場合、金属電極としては、Au、Pd及びTiから選ばれた少なくとも1種の金属又は合金を用いることができる。この超伝導素子において、下部基板Sと上部金属電極4間に電圧を印加すると、15K〜30K付近でホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3の超伝導転移がはじまる。
以下、実施例により本発明を詳細に説明する。
本実施例では、超伝導素子を作製してその物性を評価した。
基板Sとして、Al基板を用意した。そして、陽極酸化を行った後にエッチングを行い、その後、1回目の陽極酸化時の電圧・温度・溶液濃度と同一条件で陽極酸化を行なった。陽極酸化により、Al基板上に多孔質膜2としてのポーラスアルミナ膜が形成された。ポーラスアルミナ膜の細孔21は規則正しく基板に対して垂直に形成されており、その直径は10〜20nmであった。
次いで、電界析出法により、析出量が一枚の基板(1cm×3cm)当たり1μg以下となるようにアルミナ膜の細孔21中にカーボンナノチューブ成長用触媒22を形成した。この場合に、カーボンナノチューブ成長用触媒22における鉄/コバルト/ホウ素の原子比が100:100:2となるようにカーボンナノチューブ成長用触媒22を形成した。次いで、真空チャンバー内に基板Sを載置して、装置内温度を600℃に設定した。そして、初めにArガスとHガスとからなる還元ガスを、毎分100ml(Ar:H=10:1)で導入し、カーボンナノチューブ成長用触媒22の還元を行った。還元時間は、4時間であった。そして、真空チャンバー内を温度650℃に設定し、メタノールガスを圧力800Torrで導入し、ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を形成した。
得られた超伝導素子1について、核磁気共鳴(NMR)測定を行った。また、カーボンナノチューブ成長用触媒22にホウ素の置換率が1原子%(1at.%)、及び3原子%(3at.%)となるようにそれぞれカーボンナノチューブ成長用触媒22を形成した以外は、上記の超伝導素子と同様に作製したものも同様にNMR測定を行った。測定結果を図3に示す。また、参考としてHBOについてもNMR測定を行った場合の測定結果を併せて図3に示す。
図3によれば、各超伝導素子1では、ホウ素を含有しているHBOとは異なる位置にピークが表れた。この各超伝導素子1でみられるピークは、ホウ素原子と炭素原子との結合を示すピークである。このことから、超伝導素子1で用いられている多層カーボンナノチューブでは、炭素原子のネットワークの一部がホウ素原子で置き換わったホウ素置換型多層カーボンナノチューブであることが分かった。
また、得られた超伝導素子1について、磁場を30Oe〜250Oeまで変化させて印加しながら温度を変化させて、磁場を測定し、この磁場を30Kの磁場で規格化した。結果を図4に示す。図4(a)は、印加した磁場が100Oe以下の場合、(b)は印加した磁場が100Oeよりも大きい場合の結果を示し、横軸は温度、縦軸は30Kの磁場で規格化された磁場を示す。
図4(a)、(b)によれば、18〜23Kから規格化された磁場が下がることが分かった。従って、本発明の超伝導素子は、超伝導転移温度が18〜23Kであり、従来の超伝導素子より高い温度で超伝導転移していることが分かった。
実施例1とはカーボンナノチューブ成長用触媒22の形成条件を変えて、カーボンナノチューブ成長用触媒22が以下のような原子比となるように各サンプルを作製した点以外は全て同一条件で超伝導素子1を作製し、超伝導転移温度を調べた。
(サンプル1−1)鉄/コバルト/ホウ素の原子比=100:100:4.5
(サンプル1−2)鉄/コバルト/ホウ素の原子比=100:100:4
(サンプル1−3)鉄/コバルト/ホウ素の原子比=100:100:3
(サンプル1−4)鉄/コバルト/ホウ素の原子比=100:100:1.5
(サンプル1−5)鉄/コバルト/ホウ素の原子比=100:100:1
(サンプル1−6)鉄/コバルト/ホウ素の原子比=100:100:0.5
(サンプル1−7)鉄/コバルト/ホウ素の原子比=100:100:0
これらのうち、サンプル1−2〜1−6は、従来より高い12K以上で超伝導転移を示し、特にサンプル1−4では、実施例1と同程度の高温から超伝導転移を示した。他方で、超伝導サンプル1−1、1−7では従来のものと同程度の温度で超伝導転移した。従って、ホウ素は、触媒中に0.5〜4原子%、特に1.5〜2原子%含有されていることが好ましいことが分かった。
(比較例1)
本比較例では、還元処理を行わずにホウ素置換型多層カーボンナノチューブ3を形成した点以外は、実施例1と同一の方法で超伝導素子1を作製した。しかし、カーボンナノチューブ成長用触媒22が少ないためカーボンナノチューブ成長用触媒22からはカーボンナノチューブ自体が成長できないものや、また、カーボンナノチューブが形成されたとしても欠陥があり超伝導状態とはならないものがあった。
本発明の超伝導素子は、MWNT自体が、15〜30Kという従来よりも高い温度において超伝導状態になっている。MWNT自体が超伝導状態となれば、各MWNTは強いスピンエンタングルメントを維持することができるので、量子コンピュータや量子テレポーテーションなどの次世代量子エレクトロニクス分野において利用することが可能である。
本発明の超伝導素子の構成を説明するための(a)模式的断面図、(b)一層の展開図である。 本発明の超伝導素子の作製工程を示す模式的断面図である。 実施例1での核磁気共鳴測定結果を示すグラフである。 実施例1での温度変化に対する磁場変化を示すグラフである。
符号の説明
1 超伝導素子 2 多孔質膜
3 ホウ素置換型多層カーボンナノチューブ
21 細孔 22 カーボンナノチューブ成長用触媒
S 基板

Claims (6)

  1. 多孔質膜中の細孔内に多層カーボンナノチューブが形成されており、当該多層カーボンナノチューブは、その直径が5〜30nm、その層数が2〜20である超伝導素子であって、
    前記多層カーボンナノチューブが、多層カーボンナノチューブを構成する炭素原子の一部がホウ素原子で置換されたホウ素置換型多層カーボンナノチューブであることを特徴とする超伝導素子。
  2. 前記ホウ素置換型多層カーボンナノチューブにおける前記ホウ素原子の置換率が、炭素原子100に対して、0より多く、4以下であることを特徴とする請求項1記載の超伝導素子。
  3. 前記超伝導素子の超伝導転移温度が、15〜30Kであることを特徴とする請求項1又は2記載の超伝導素子。
  4. 金属基板上に、多孔質膜を形成する多孔質膜形成工程と、
    前記多孔質膜の細孔の底部に、Fe及びCoから選ばれた少なくとも1種を含む触媒金属並びにホウ素からなるカーボンナノチューブ成長用触媒を形成する触媒形成工程と、
    前記カーボンナノチューブ成長用触媒に少なくともHガスを含む還元ガスを接触させて前記カーボンナノチューブ成長用触媒を還元させる還元工程と、
    前記還元工程後、カーボンナノチューブ成長ガスを前記カーボンナノチューブ成長用触媒に接触させて、多層カーボンナノチューブを構成する炭素原子の一部がホウ素で置換されたホウ素置換型多層カーボンナノチューブを形成するカーボンナノチューブ形成工程とを含むことを特徴とする超伝導素子の作製方法。
  5. 前記還元工程において、チャンバー中の温度が500〜600℃であり、かつ、触媒の還元時間が3〜4時間であることを特徴とする請求項4記載の超伝導素子の作製方法。
  6. 前記触媒形成工程において、前記ホウ素原子が、前記カーボンナノチューブ成長用触媒に0原子%より多くかつ4原子%以下で含有されるように、前記カーボンナノチューブ成長用触媒を形成することを特徴とする請求項4又は5記載の超伝導素子の作製方法。
JP2008149835A 2008-06-06 2008-06-06 超伝導素子及びその作製方法 Expired - Fee Related JP5246653B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008149835A JP5246653B2 (ja) 2008-06-06 2008-06-06 超伝導素子及びその作製方法

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2008149835A JP5246653B2 (ja) 2008-06-06 2008-06-06 超伝導素子及びその作製方法

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2009295887A true JP2009295887A (ja) 2009-12-17
JP5246653B2 JP5246653B2 (ja) 2013-07-24

Family

ID=41543790

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2008149835A Expired - Fee Related JP5246653B2 (ja) 2008-06-06 2008-06-06 超伝導素子及びその作製方法

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP5246653B2 (ja)

Cited By (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2011077531A1 (ja) * 2009-12-24 2011-06-30 Kawashima Yasushi 常温超伝導体、完全導体、強磁性体、電磁コイル、及び、磁気発生複合体、並びに、これらの製造方法
JPWO2010010764A1 (ja) * 2008-07-25 2012-01-05 川島 康 常温超伝導体、完全導体、プロトン伝導体、強磁性体、及び、電磁コイル、並びに、これらの製造方法
JP2013038057A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Qinghua Univ バイオ燃料電池の膜電極及びその製造方法
JP2014146838A (ja) * 2014-04-14 2014-08-14 Yasushi Kawashima 常温超伝導体、完全導体、磁性体、プロトン伝導体、電磁コイル、及び、これらの製造方法
JP2016104692A (ja) * 2015-12-15 2016-06-09 川島 康 完全導体、その製造方法、及び、電磁コイル

Citations (3)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007015710A2 (en) * 2004-11-09 2007-02-08 Board Of Regents, The University Of Texas System The fabrication and application of nanofiber ribbons and sheets and twisted and non-twisted nanofiber yarns
WO2007057501A1 (en) * 2005-11-16 2007-05-24 Canatu Oy Carbon nanotubes functionalized with fullerenes
JP2007251028A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Japan Science & Technology Agency 超伝導素子及びその作製方法

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
WO2007015710A2 (en) * 2004-11-09 2007-02-08 Board Of Regents, The University Of Texas System The fabrication and application of nanofiber ribbons and sheets and twisted and non-twisted nanofiber yarns
JP2008523254A (ja) * 2004-11-09 2008-07-03 ボード オブ リージェンツ, ザ ユニバーシティ オブ テキサス システム ナノファイバーのリボンおよびシートならびにナノファイバーの撚り糸および無撚り糸の製造および適用
WO2007057501A1 (en) * 2005-11-16 2007-05-24 Canatu Oy Carbon nanotubes functionalized with fullerenes
JP2009515804A (ja) * 2005-11-16 2009-04-16 カナトゥ オイ フラーレン官能基化カーボンナノチューブ
JP2007251028A (ja) * 2006-03-17 2007-09-27 Japan Science & Technology Agency 超伝導素子及びその作製方法

Cited By (6)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2010010764A1 (ja) * 2008-07-25 2012-01-05 川島 康 常温超伝導体、完全導体、プロトン伝導体、強磁性体、及び、電磁コイル、並びに、これらの製造方法
WO2011077531A1 (ja) * 2009-12-24 2011-06-30 Kawashima Yasushi 常温超伝導体、完全導体、強磁性体、電磁コイル、及び、磁気発生複合体、並びに、これらの製造方法
JPWO2011077531A1 (ja) * 2009-12-24 2013-05-02 川島 康 常温超伝導体、完全導体、強磁性体、電磁コイル、及び、磁気発生複合体、並びに、これらの製造方法
JP2013038057A (ja) * 2011-08-05 2013-02-21 Qinghua Univ バイオ燃料電池の膜電極及びその製造方法
JP2014146838A (ja) * 2014-04-14 2014-08-14 Yasushi Kawashima 常温超伝導体、完全導体、磁性体、プロトン伝導体、電磁コイル、及び、これらの製造方法
JP2016104692A (ja) * 2015-12-15 2016-06-09 川島 康 完全導体、その製造方法、及び、電磁コイル

Also Published As

Publication number Publication date
JP5246653B2 (ja) 2013-07-24

Similar Documents

Publication Publication Date Title
TWI465391B (zh) Carbon nanotube aggregate and manufacturing method thereof
Öncel et al. Carbon nanotube synthesis via the catalytic CVD method: a review on the effect of reaction parameters
KR101119985B1 (ko) 단층 카본 나노튜브 및 배향 단층 카본 나노튜브?벌크 구조체 및 그들의 제조방법?장치 및 용도
Liu et al. Hydrogen storage in single-walled carbon nanotubes at room temperature
US5424054A (en) Carbon fibers and method for their production
JPH11194134A (ja) カーボンナノチューブデバイス、その製造方法及び電子放出素子
US8617650B2 (en) Synthesis of aligned carbon nanotubes on double-sided metallic substrate by chemical vapor depositon
JP5246653B2 (ja) 超伝導素子及びその作製方法
JP2007533581A (ja) 電子電界放出特性を有する、小直径カーボンナノチューブの合成方法
JP2007533581A6 (ja) 電子電界放出特性を有する、小直径カーボンナノチューブの合成方法
US20040110005A1 (en) Carbon nano particles having novel structure and properties
JP2007123280A (ja) ZnOの突起物を有するカーボンナノチューブ
JP2004284921A (ja) カーボンナノチューブの製造方法、カーボンナノチューブデバイスおよび電気二重層キャパシタ
Pint et al. Odako growth of dense arrays of single-walled carbon nanotubes attached to carbon surfaces
Hussain et al. Growth and plasma functionalization of carbon nanotubes
Ismagilov et al. Growth of a carbon nanotube forest on silicon using remote plasma CVD
JP2007182374A (ja) 単層カーボンナノチューブの製造方法
Uppireddi et al. Temporal field emission current stability and fluctuations from graphene films
WO2003057620A1 (fr) Agregat radial de nanotubes en carbone multicouche a extremite pointue et procede de fabrication associe
JP2008525183A (ja) ナノチューブ成長用の安定な触媒の製造
JP5036027B2 (ja) 超伝導素子及びその作製方法
JP4860913B2 (ja) カーボンナノチューブ複合材料及びその製造方法、並びに、磁性材料及びその製造方法
WO2004108593A1 (ja) V族遷移金属ダイカルコゲナイド結晶からなるナノファイバー又はナノチューブ並びにその製造方法
JP2004083293A (ja) フラーレンを用いたカーボンナノチューブの製造方法
Karakashov et al. Conducting interface for efficient growth of vertically aligned carbon nanotubes: Towards nano-engineered carbon composite

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20101126

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20121221

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20130109

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20130311

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20130327

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20130402

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20160419

Year of fee payment: 3

S533 Written request for registration of change of name

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R313533

R350 Written notification of registration of transfer

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R350

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees