JP2009294333A - 液晶配向剤、液晶配向膜の形成方法および液晶表示素子 - Google Patents

液晶配向剤、液晶配向膜の形成方法および液晶表示素子 Download PDF

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Abstract

【課題】ラビング処理を行わずに偏光または非偏光の放射線照射によって、少ない露光量でも良好な液晶配向能を有する液晶配向膜を与える液晶配向剤を提供すること。
【解決手段】上記液晶配向剤は、下記式(1)
Figure 2009294333

(式(1)中、Aは単結合、メチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基である。)
で表される繰り返し単位を有する重合体と、カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体との反応生成物を含有する。
【選択図】なし

Description

本発明は、液晶配向剤、液晶配向膜の形成方法および液晶表示素子に関する。
従来、正の誘電異方性を有するネマチック型液晶を、液晶配向膜を有する透明電極付き基板でサンドイッチ構造にし、必要に応じて液晶分子の長軸が基板間で0〜360°連続的に捻れるようにしてなる、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型、IPS(In Plane Switching)型等の液晶セルを有する液晶表示素子が知られている(特許文献1および2参照)。
このような液晶セルにおいては、液晶分子を基板面に対し所定の方向に配向させるため、基板表面に液晶配向膜を設ける必要がある。この液晶配向膜は、通常、基板表面に形成された有機膜表面をレーヨン等の布材で一方向にこする方法(ラビング法)により形成されている。しかし、液晶配向膜の形成をラビング処理により行うと、工程内でほこりや静電気が発生し易いため、配向膜表面にほこりが付着して表示不良発生の原因となるという問題があった。特にTFT(Thin Film Transistor)素子を有する基板の場合には、発生した静電気によってTFT素子の回路破壊が起こり、歩留まり低下の原因となるという問題もあった。さらに、今後ますます高精細化される液晶表示素子においては、画素の高密度化に伴い基板表面に凹凸が生じるために、均一にラビング処理を行うことが困難となりつつある。
液晶セルにおける液晶を配向させる別の手段として、基板表面に形成したポリビニルシンナメート、ポリイミド、アゾベンゼン誘導体等の感光性薄膜に偏光または非偏光の放射線を照射することにより、液晶配向能を付与する光配向法が知られている。この方法によれば、静電気やほこりを発生することなく、均一な液晶配向を実現することができる(特許文献3〜13参照)。
ところで、TN(Twisted Nematic)型、STN(Super Twisted Nematic)型等の液晶セルにおいては、液晶配向膜は、液晶分子を基板面に対して所定の角度で傾斜配向させる、プレチルト角特性を有する必要がある。光配向法により液晶配向膜を形成する場合においては、プレチルト角は、通常、照射する放射線の基板面への入射方向を基板法線から傾斜させることにより付与される。
一方、上記とは別の液晶表示素子の動作モードとして、負の誘電異方性を有する液晶分子を基板に垂直に配向させる垂直(ホメオトロピック)配向モードのVA(Vertical Alignment)型液晶セルも知られている。この動作モードでは、基板間に電圧を印加して液晶分子が基板に平行な方向に向かって傾く際に、液晶分子が基板法線方向から基板面内の一方向に向かって傾くようにする必要がある。このための手段として、例えば、基板表面に突起を設ける方法、透明電極にストライプを設ける方法、ラビング配向膜を用いることにより液晶分子を基板法線方向から基板面内の一方向に向けてわずかに傾けておく(プレチルトさせる)方法等が提案されている。
前記光配向法は、垂直配向モードの液晶セルにおいて液晶分子の傾き方向を制御する方法としても有用であることが知られている。すなわち、光配向法により配向規制能およびプレチルト角発現性を付与した垂直配向膜を用いることにより、電圧印加時の液晶分子の傾き方向を均一に制御できることが知られている(特許文献11〜12および14〜16参照)。
このように、光配向法により製造した液晶配向膜は、各種の液晶表示素子に有効に適用されうるものである。しかしながら、従来の光配向膜には、大きなプレチルト角を得るのに必要な放射線照射量が多いという問題があった。例えば、アゾベンゼン誘導体を含有する薄膜に光配向法によって液晶配向能を付与する場合、十分なプレチルト角を得るためにはその光軸が基板法線から傾斜された放射線を10,000J/m以上照射しなければならないことが報告されている(特許文献13〜14および非特許文献1参照)。
特開昭56−91277号公報 特開平1−120528号公報 特開平6−287453号公報 特開平10−251646号公報 特開平11−2815号公報 特開平11−152475号公報 特開2000−144136号公報 特開2000−319510号公報 特開2000−281724号公報 特開平9−297313号公報 特開2003−307736号公報 特開2004−163646号公報 特開2002−250924号公報 特開2004−83810号公報 特開平9−211468号公報 特開2003−114437号公報 特開昭63−291922号公報 T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vo. 19, p2013(1980)
本発明の目的は、ラビング処理を行わずに偏光または非偏光の放射線照射によって、少ない露光量でも良好な液晶配向能を有する液晶配向膜を与える液晶配向剤、前記液晶配向膜の製造方法および表示特性、信頼性等の諸性能に優れた液晶表示素子を提供することにある。
本発明によれば本発明の上記目的および利点は、第1に、
下記式(1)
Figure 2009294333
(式(1)中、Aは単結合、メチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基である。)
で表される繰り返し単位を有する重合体と、カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体との反応生成物を含有する液晶配向剤によって達成される。
本発明の上記目的および利点は、第2に、
基板上に、上記の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に放射線を照射する液晶配向膜の形成方法によって達成される。
さらに本発明の上記目的および利点は、第3に、
上記の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備する液晶表示素子によって達成される。
本発明の液晶配向剤は、光配向法を適用しうる液晶配向剤として従来知られている液晶配向剤と比較して、少ない放射線照射量で優れた液晶配向性および電気特性を有する液晶配向膜を形成することができる。それゆえ、この液晶配向膜を液晶表示素子に適用した場合、液晶表示素子を従来より安価に製造でき、しかも表示特性、信頼性等の諸性能に優れるものとなる。したがって、これらの液晶表示素子は種々の装置に有効に適用でき、例えば卓上計算機、腕時計、置時計、計数表示板、ワードプロセッサ、パーソナルコンピューター、液晶テレビ等の装置に好適に用いることができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の液晶配向剤は、上記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体(以下、「エポキシ基を有する重合体」という。)と、カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体との反応生成物(以下、「桂皮酸骨格を有する重合体」という。)を含有する。
<エポキシ基を有する重合体>
上記式(1)におけるAとしては、メチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基であることが好ましく、メチレン基であることがより好ましい。
上記式(1)における下記式
Figure 2009294333
で表される基の結合位置は問わない。
エポキシ基を有する重合体は、上記式(1)で表される繰り返し単位のみを有していてもよく、あるいは上記式(1)で表される繰り返し単位のほかに他の繰り返し単位を有していてもよいが、上記式(1)で表される繰り返し単位のみを有することが好ましい。 エポキシ基を有する重合体につきゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量は、好ましくは1,000〜10,000であり、より好ましくは1,500〜4,000である。
エポキシ基を有する重合体のエポキシ当量は、好ましくは100〜1,000g/モルであり、より好ましくは120〜250g/モルである。
エポキシ基を有する重合体の末端構造は問わないが、例えば上記式(1)の左側の末端が炭素数2〜12、好ましくは炭素数2〜8のアルコキシル基またはヒドロキシアルコキシル基であって、右側の末端が水素原子であることができる。上記ヒドロキシアルコキシル基としては、例えば下記式(1a)
Figure 2009294333
で表される基を挙げることができる。
エポキシ基を有する重合体としては、市販品を使用してもよい。かかる市販品としては、例えばEHPE3150、EHPE3150CE(以上、ダイセル化学工業(株)製)等を挙げることができる。
<カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体>
上記カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体としては、例えば下記式(2)〜(5)
Figure 2009294333
(式(2)中、Rは水素原子、炭素数1〜40のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、前記アルキル基または脂環式基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、Rは単結合、酸素原子、−COO−または−OCO−であり、Rは2価の芳香族基、2価の脂環式基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基であり、Rは単結合、酸素原子、−COO−または−OCO−であり、Rはフッ素原子またはシアノ基であり、aは0〜3の整数であり、bは0〜4の整数である。)
Figure 2009294333
(式(3)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、前記アルキル基または脂環式基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、Rは単結合または2価の有機基であり、Rはフッ素原子またはシアノ基であり、cは0〜4の整数である。)
Figure 2009294333
(式(4)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、前記アルキル基または脂環式基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、R10が単結合、酸素原子、硫黄原子または−COO−(ただし、「*」を付した結合手がRと結合する。)であってR11が水素原子であるか、またはR10およびR11が互いに結合して環を形成していてもよく、R12はフッ素原子またはシアノ基であり、dは0〜4の整数である。)
Figure 2009294333
(式(5)中、R13が2価の有機基であってR14が水素原子または1価の有機基であるか、あるいはR13およびR14が互いに結合して環を形成していてもよく、R15はフッ素原子またはシアノ基であり、R16はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基またはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜40の脂環式基であり、eは0〜4の整数である。)
のそれぞれで表される化合物を挙げることができる。
上記式(2)におけるRの炭素数1〜40のアルキル基としては、例えば炭素数1〜20のアルキル基、ただしこのアルキル基の水素原子の一部または全部はフッ素原子により置換されていてもよい、であることが好ましい。かかるアルキル基の例としては、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、4,4,4−トリフロロブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、2−(パーフルオロデシル)エチル基等を挙げることができる。Rの脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基としては、例えばコレステニル基、コレスタニル基、アダマンチル基等を挙げることができる。
の2価の芳香族基としては、例えば1,4−フェニレン基、2−フルオロ−1,4−フェニレン基、3−フルオロ−1,4−フェニレン基、2,3,5,6−テトラフルオロ−1,4−フェニレン基等を;Rの2価の複素環式基としては、例えば1,4−ピリジレン基、2,5−ピリジレン基、1,4−フラニレン基等を;Rの2価の縮合環式基としては、例えば2,6−ナフチレン基等を、それぞれ挙げることができる。Rとしては1,4−フェニレン基が好ましい。
としては、−COO−(ただし、「*」を付した結合手がR側と結合する。)が好ましい。
としてはフッ素原子が好ましい。aは0または1が好ましく、bは0または1が好ましい。
上記式(2)で表される化合物の好ましい例としては、例えば下記式(2−1)〜(2−8)
Figure 2009294333
(上式中、Rは、それぞれ、上記式(2)におけるのと同義である。)
のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。
上記式(2)で表される化合物は、有機化学の定法を適宜に組み合わせて合成することができる。
例えば上記式(2−1)で表される化合物は、例えばヒドロキシ桂皮酸とRに相当するアルキル基を有するアルコールとを炭酸カリウム等の適当な塩基の存在下で加熱して反応させた後、水酸化ナトリウム等の適当なアルカリ水溶液で加水分解することにより得ることができる。
上記式(2−2)で表される化合物は、例えばヒドロキシ桂皮酸とRに相当するアルキル基を有するアルキルカルボン酸クロリドとを炭酸カリウム等の適当な塩基存在下で0℃〜室温の温度で反応させることにより得ることができる。
上記式(2−4)で表される化合物は、例えばヒドロキシ安息香酸メチルとRに相当するアルキル基を有するハロゲン化アルキルまたはトシル化アルキルとを炭酸カリウム等の適当な塩基存在下で室温〜100℃の温度で反応させた後、水酸化ナトリウム等の適当なアルカリ水溶液で加水分解し、さらにこれを塩化チオニルにより酸クロリドとした後、これを炭酸カリウム等の適当な塩基の存在下でヒドロキシ桂皮酸と0℃〜室温の温度で反応させることにより得ることができる。
上記式(2−5)で表される化合物は、例えばヒドロキシ安息香酸とRに相当するアルキル基を有するアルキルカルボン酸クロリドとをトリエチルアミン等の適当な塩基存在下で0℃〜室温の温度で反応させた後、塩化チオニルにより酸クロリドとし、これを炭酸カリウム等の適当な塩基の存在下でヒドロキシ桂皮酸と0℃〜室温の温度で反応させることにより得ることができる。
上記式(2−6)で表される化合物は、例えば上記式(2−3)で表される化合物を塩化チオニルにより酸クロリドとした後、これを炭酸カリウム等の適当な塩基存在下でヒドロキシ桂皮酸と0℃〜室温の温度で反応させることにより得ることができる。
上記式(2−7)で表される化合物は、例えば4−ヒドロキシシクロヘキシル安息香酸メチルとRに相当するアルキル基を有するハロゲン化アルキルとを水素化ナトリウムまたは金属ナトリウム等の適当なアルカリの存在下で反応させてエーテルとした後、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液で加水分解し、さらに塩化チオニルで酸クロリドとした後、これを炭酸カリウム等の適当な塩基の存在下でヒドロキシ桂皮酸と0℃〜室温の温度で反応させることにより得ることができる。
上記式(2−8)で表される化合物は、例えばRに相当するアルキル基を有する4−アルキルシクロヘキシルカルボン酸を塩化チオニルにより酸クロリドとしたものを、炭酸カリウム等の適当な塩基存在下でヒドロキシ桂皮酸と0℃〜室温の温度で反応させることにより得ることができる。
上記式(3)におけるRについては、上記式(2)におけるRについて説明したところと同様である。Rの2価の有機基としては、例えば−OCO−(CH−(ただし、「*」を付した結合手がベンゼン環と結合し、gは1〜10の整数である。)等を挙げることができる。Rとしてはフッ素原子が好ましい。cは0、1または4が好ましい。
上記式(3)で表される化合物の好ましい例としては、例えば下記式(3−1)
Figure 2009294333
(式(3−1)中、Rは上記式(3)におけるのと同じ意味であり、gは上記Rの説明におけるのと同様である。)
で表される化合物を挙げることができる。
上記式(3−1)で表される化合物は、例えば4−ヨードフェノールとRに相当するアルキル基を有するアルキルアクリレートとを、パラジウムおよびアミンを触媒として反応(一般に「ヘック反応」と呼ばれる。)させた後、反応生成物に無水こはく酸または無水グルタル酸等の所望の環状酸無水物を開環付加することにより得ることができる。
上記式(4)におけるRについては、上記式(2)におけるRについて説明したところと同様である。R10およびR11が互いに結合して形成する環には単環、多環、縮合環、架橋環が含まれ、炭素数4〜8の環が好ましく、具体的には例えばシクロブタン環、シクロペンタン環、シクロヘキサン環、ノルボルネン環等を挙げることができる。R12としては、フッ素原子が好ましい。dは0、1または4が好ましい。
上記式(4)で表される化合物の好ましい例としては、例えば下記式(4−1)〜(4−5)
Figure 2009294333
(上式中、Rは、それぞれ、上記式(4)におけるのと同義であり、R9−1は水素原子または炭素数1〜20のアルキル基であり、R9−2は1〜7個のフッ素原子で置換された炭素数3〜10のアルキル基である。)
のそれぞれで表される化合物等を挙げることができる。
上記式(4−3)または(4−4)におけるRはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基であることが、それぞれ好ましい。
上記式(4−1)で表される化合物は、例えばR9−1に相当するアルキル基を有するアルキルこはく酸無水物と4−アミノ桂皮酸とを反応させることにより得ることができる。この反応は、例えば原料化合物を酢酸中で還流する方法またはトリエチルアミン等の適当な塩基触媒の存在下にトルエンもしくはキシレン中で還流する方法により行うことができる。
上記式(4−2)で表される化合物は、例えば4,4,4−トリフルオロ−1−ヨードブタンとp−トルイジン等の適当な保護基で保護した無水マレイン酸とをグリニャール反応によりカップリングした後、脱保護、脱水閉環を行い、その生成物を上記式(4−1)で表される化合物の合成におけるのと同様にして4−アミノ桂皮酸と反応させることにより得ることができる。
上記式(4−3)で表される化合物は、例えば以下の2つのルートのいずれかにより合成することができる。
第一のルートとして、無水マレイン酸をp−トルイジン等の適当な保護基で保護し、これにRに相当するアルキル基を有するアルコールを炭酸カリウムとの適当な塩基存在下でマイケル付加した後、加水分解により脱保護後し、さらに脱水閉環を行い、その生成物を上記式(4−1)で表される化合物の合成におけるのと同様にして4−アミノ桂皮酸と反応させる方法を挙げることができる。
第二のルートとして、リンゴ酸メチルとRに相当するアルキル基を有するハロゲン化アルキルとを例えば酸化銀の存在下で反応させてエーテルとした後、加水分解し、さらに脱水閉環を行い、その生成物を上記式(4−1)で表される化合物の合成におけるのと同様にして4−アミノ桂皮酸と反応させる方法を挙げることができる。
上記式(4−4)で表される化合物は、例えばRに相当するアルキル基を有するアルコールの変わりにRに相当するアルキル基を有するチオールを使用するほかは上記式(4−3)で表される化合物の合成における第一のルートと同様にして得ることができる。
上記式(4−5)で表される化合物は、例えば1,2,4−トリカルボキシシクロヘキサン無水物を塩化チオニルで酸クロリドとした後、Rに相当するアルキル基を有するアルコールとトリエチルアミン等の適当な塩基の存在下で反応させてエステル化し、その生成物を上記式(4−1)で表される化合物の合成におけるのと同様にして4−アミノ桂皮酸と反応させることにより得ることができる。
上記式(5)におけるR16の具体例としては、フッ素で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基として、例えばメチル基、エチル基、n−プロピル、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ラウリル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、4,4,4−トリフロロブチル基、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンチル、4,4,5,5,6,6,6−ヘプタフルオロヘキシル基、3,3,4,4,5,5,5−ヘプタフルオロペンチル基、2,2,2−トリフルオロエチル基、2,2,3,3,3−ペンタフルオロプロピル基、2−(パーフルオロブチル)エチル基、2−(パーフルオロオクチル)エチル基、2−(パーフルオロデシル)エチル基等を;フッ素で置換されていてもよい炭素数3〜40の脂環式基として、例えばコレステニル基、コレスタニル基、アダマンチル基等を、それぞれ挙げることができる。
上記式(5)で表される化合物の好ましい例としては、例えば下記式(5−1)
Figure 2009294333
(上式中、R16は上記式(5)におけるのと同義である。)
で表される化合物等を挙げることができる。
上記式(5−1)で表される化合物は、例えば4−ニトロ桂皮酸を塩化チオニルにより酸クロリドとした後、R16に相当するアルキル基を有するアルコールと反応させてエステルとし、そのニトロ基を例えば塩化スズにより還元してアミノ基とした後、その生成物を1,2,4−トリカルボキシシクロヘキシルシクロヘキサン無水物と反応させることにより得ることができる。後者の反応は、例えば原料化合物を酢酸中で還流する方法またはトリエチルアミン等の適当な塩基触媒の存在下にトルエンもしくはキシレン中で還流する方法により行うことができる。
<桂皮酸骨格を有する重合体>
本発明の液晶配向剤に含有される桂皮酸骨格を有する重合体は、上記の如きエポキシ基を有する重合体とカルボキシル基を有する桂皮酸誘導体とを、好ましくは触媒の存在下、好ましくは適当な有機溶媒中で反応させることにより合成することができる。
反応に際して使用されるカルボキシル基を有する桂皮酸誘導体の使用割合は、エポキシ基を有する重合体に含まれるエポキシ基1モルに対して、好ましくは0.001〜1.5モルであり、より好ましくは0.01〜1モルであり、さらに好ましくは0.05〜0.9モルである。
ここで使用することのできる触媒としては、有機塩基またはエポキシ化合物と酸無水物との反応を促進するいわゆる硬化促進剤として公知の化合物を用いることができる。
上記有機塩基としては、例えばエチルアミン、ジエチルアミン、ピペラジン、ピペリジン、ピロリジン、ピロールの如き1〜2級有機アミン;
トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン、ジアザビシクロウンデセンの如き3級の有機アミン;
テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級の有機アミン等を挙げることができる。これらの有機塩基のうち、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジンの如き3級の有機アミン;テトラメチルアンモニウムヒドロキシドの如き4級の有機アミンが好ましい。
上記硬化促進剤としては、例えばベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、シクロヘキシルジメチルアミン、トリエタノールアミンの如き3級アミン;
2−メチルイミダゾール、2−n−ヘプチルイミダゾール、2−n−ウンデシルイミダゾール、2−フェニルイミダゾール、2−フェニル−4−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−メチルイミダゾール、1−ベンジル−2−フェニルイミダゾール、1,2−ジメチルイミダゾール、2−エチル−4−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾール、2−フェニル−4−メチル−5−ヒドロキシメチルイミダゾール、2−フェニル−4,5−ジ(ヒドロキシメチル)イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−フェニル−4,5−ジ〔(2’−シアノエトキシ)メチル〕イミダゾール、1−(2−シアノエチル)−2−n−ウンデシルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−フェニルイミダゾリウムトリメリテート、1−(2−シアノエチル)−2−エチル−4−メチルイミダゾリウムトリメリテート、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−(2’−n−ウンデシルイミダゾリル)エチル−s−トリアジン、2,4−ジアミノ−6−〔2’−エチル−4’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジン、2−メチルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2−フェニルイミダゾールのイソシアヌル酸付加物、2,4−ジアミノ−6−〔2’−メチルイミダゾリル−(1’)〕エチル−s−トリアジンのイソシアヌル酸付加物の如きイミダゾール化合物;
ジフェニルフォスフィン、トリフェニルフォスフィン、亜リン酸トリフェニルの如き有機リン化合物;
ベンジルトリフェニルフォスフォニウムクロライド、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムブロマイド、メチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、n−ブチルトリフェニルフォスフォニウムブロマイド、テトラフェニルフォスフォニウムブロマイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムヨーダイド、エチルトリフェニルフォスフォニウムアセテート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムo,o−ジエチルフォスフォロジチオネート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムベンゾトリアゾレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフルオロボレート、テトラ−n−ブチルフォスフォニウムテトラフェニルボレート、テトラフェニルフォスフォニウムテトラフェニルボレートの如き4級フォスフォニウム塩;
1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7やその有機酸塩の如きジアザビシクロアルケン;
オクチル酸亜鉛、オクチル酸錫、アルミニウムアセチルアセトン錯体の如き有機金属化合物;
テトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライドの如き4級アンモニウム塩;
三フッ化ホウ素、ホウ酸トリフェニルの如きホウ素化合物;
塩化亜鉛、塩化第二錫の如き金属ハロゲン化合物;
ジシアンジアミドやアミンとエポキシ樹脂との付加物等のアミン付加型促進剤等の高融点分散型潜在性硬化促進剤;
前記イミダゾール化合物、有機リン化合物や4級フォスフォニウム塩等の硬化促進剤の表面をポリマーで被覆したマイクロカプセル型潜在性硬化促進剤;
アミン塩型潜在性硬化剤促進剤;
ルイス酸塩、ブレンステッド酸塩等の高温解離型の熱カチオン重合型潜在性硬化促進剤等の潜在性硬化促進剤等を挙げることができる。
これらのうち、好ましくはテトラエチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラエチルアンモニウムクロライド、テトラ−n−ブチルアンモニウムクロライドの如き4級アンモニウム塩である。
触媒の使用割合としては、エポキシ基を有する重合体100重量部に対して、好ましくは100重量部以下であり、より好ましくは0.01〜100重量部、さらに好ましくは0.1〜20重量部である。
上記有機溶媒としては、例えば炭化水素化合物、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物、アミド化合物、アルコール化合物等を挙げることができる。これらのうち、エーテル化合物、エステル化合物、ケトン化合物が原料および生成物の溶解性ならびに生成物の精製のし易さの観点から好ましい。溶媒は、固形分濃度(反応溶液中の溶媒以外の成分の重量が溶液の全重量に占める割合)が、好ましくは0.1重量%以上、より好ましくは5〜50重量%となる量で使用される。
反応温度は、好ましくは0〜200℃であり、より好ましくは50〜150℃である。反応時間は、好ましくは0.1〜50時間であり、より好ましくは0.5〜20時間である。
このようにして、桂皮酸骨格を有する重合体を含有する溶液が得られる。この溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、溶液中に含まれる重合体を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離した重合体を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。
<その他の成分>
本発明の液晶配向剤は、上記の如き桂皮酸骨格を有する重合体を含有する。
本発明の液晶配向剤は、上記の如き桂皮酸骨格を有する重合体のほかに、本発明の効果を損なわない限り、さらに他の成分を含有していてもよい。このような他の成分としては、例えば桂皮酸骨格を有する重合体以外の重合体(以下、「他の重合体」という。)、分子内に少なくとも一つのエポキシ基を有する化合物(以下、「エポキシ化合物」という。)、官能性シラン化合物、界面活性剤等を挙げることができる。
上記他の重合体は、本発明の液晶配向剤の溶液特性および得られる液晶配向膜の電気特性をより改善するために使用することができる。かかる他の重合体としては、例えばポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体、ポリシロキサン、ポリアミック酸エステル、ポリエステル、ポリアミド、セルロース誘導体、ポリアセタール、ポリスチレン誘導体、ポリ(スチレン−フェニルマレイミド)誘導体、ポリ(メタ)アクリレート等を挙げることができる。
上記ポリアミック酸は、テトラカルボン酸二無水物とジアミン化合物とを反応させることにより得ることができる。
ポリアミック酸の合成に用いることのできるテトラカルボン酸二無水物としては、例えば2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロペンタンテトラカルボン酸二無水物、3,5,6−トリカルボキシノルボルナン−2−酢酸二無水物、2,3,4,5−テトラヒドロフランテトラカルボン酸二無水物、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−8−メチル−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、5−(2,5−ジオキソテトラヒドロフラニル)−3−メチル−3−シクロヘキセン−1,2−ジカルボン酸無水物、ビシクロ[2.2.2]−オクト−7−エン−2,3,5,6−テトラカルボン酸二無水物、下記式(T−1)〜(T−4)
Figure 2009294333
のそれぞれで表されるテトラカルボン酸二無水物等の脂肪族または脂環式テトラカルボン酸二無水物;
ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ジメチルジフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−テトラフェニルシランテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−フランテトラカルボン酸二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルフィド二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルスルホン二無水物、4,4’−ビス(3,4−ジカルボキシフェノキシ)ジフェニルプロパン二無水物、3,3’,4,4’−パーフルオロイソプロピリデンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルテトラカルボン酸二無水物、ビス(フタル酸)フェニルホスフィンオキサイド二無水物、p−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、m−フェニレン−ビス(トリフェニルフタル酸)二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルエーテル二無水物、ビス(トリフェニルフタル酸)−4,4’−ジフェニルメタン二無水物、下記式(T−5)〜(T−8)
Figure 2009294333
のそれぞれで表されるテトラカルボン酸二無水物等の芳香族テトラカルボン酸二無水物等を挙げることができる。これらテトラカルボン酸二無水物は単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリアミック酸を合成するために使用されるテトラカルボン酸二無水物は、上記のうち、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、1,3,3a,4,5,9b−ヘキサヒドロ−5−(テトラヒドロ−2,5−ジオキソ−3−フラニル)−8−メチル−ナフト[1,2−c]−フラン−1,3−ジオン、2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物、ブタンテトラカルボン酸二無水物、1,3−ジメチル−1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物、ピロメリット酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルスルホンテトラカルボン酸二無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、2,3,6,7−ナフタレンテトラカルボン酸二無水物、3,3’,4,4’−ビフェニルエーテルテトラカルボン酸二無水物ならびに上記式(T−1)、(T−2)および(T−5)〜(T−8)のそれぞれで表されるテトラカルボン酸二無水物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましく、これらのうちの少なくとも1種を、全テトラカルボン酸二無水物に対して、20モル%以上含むものであることがより好ましく、50モル%以上含むものであることがさらに好ましく、特に80モル%以上含むものであることが好ましい。
ポリアミック酸の合成に用いることのできるジアミンとしては、例えばp−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、4,4’−ジアミノジフェニルエタン、4,4’−ジアミノジフェニルスルフィド、4,4’−ジアミノジフェニルスルホン、3,3’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−ジアミノベンズアニリド、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、1,5−ジアミノナフタレン、3,3−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル、5−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、6−アミノ−1−(4’−アミノフェニル)−1,3,3−トリメチルインダン、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、2,2−ビス(4−アミノフェノキシ)プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]スルホン、1,4−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(4−アミノフェノキシ)ベンゼン、1,3−ビス(3−アミノフェノキシ)ベンゼン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)−10−ヒドロアントラセン、2,7−ジアミノフルオレン、9,9−ビス(4−アミノフェニル)フルオレン、4,4’−メチレン−ビス(2−クロロアニリン)、2,2’,5,5’−テトラクロロ−4,4’−ジアミノビフェニル、2,2’−ジクロロ−4,4’−ジアミノ−5,5’−ジメトキシビフェニル、3,3’−ジメトキシ−4,4’−ジアミノビフェニル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、4,4’−(m−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、
6−(4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、6−(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)ヘキシルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、8−(4−カルコニルオキシ)オクチルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、8−(4’−フルオロ−4−カルコニルオキシ)オクチルオキシ(2,4−ジアミノベンゼン)、1−ドデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−テトラデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−ペンタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−ヘキサデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−オクタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレステリルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ドデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、テトラデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、ペンタデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、ヘキサデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、オクタデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレステリルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、(2,4−ジアミノフェノキシ)パルミテート、(2,4−ジアミノフェノキシ)ステアリレート、(2,4−ジアミノフェノキシ)−4−トリフルオロメチルベンゾエート、下記式(D−1)〜(D−7)
Figure 2009294333
Figure 2009294333
Figure 2009294333
(式(D−4)中のyは2〜12の整数であり、式(D−5)中のzは1〜5の整数である。)
のそれぞれで表されるジアミン化合物等の芳香族ジアミン;
ジアミノテトラフェニルチオフェン等のヘテロ原子を有する芳香族ジアミン;メタキシリレンジアミン、1,3−プロパンジアミン、テトラメチレンジアミン、ペンタメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、ヘプタメチレンジアミン、オクタメチレンジアミン、ノナメチレンジアミン、4,4−ジアミノヘプタメチレンジアミン、1,4−ジアミノシクロヘキサン、イソホロンジアミン、テトラヒドロジシクロペンタジエニレンジアミン、ヘキサヒドロ−4,7−メタノインダニレンジメチレンジアミン、トリシクロ[6.2.1.02,7]−ウンデシレンジメチルジアミン、4,4’−メチレンビス(シクロヘキシルアミン)等の脂肪族または脂環式ジアミン;
ジアミノヘキサメチルジシロキサン等のジアミノオルガノシロキサン等を挙げることができる。
上記芳香族ジアミンは、そのベンゼン環が1個または2個以上の炭素数1〜4のアルキル基(好ましくはメチル基)で置換されていてもよい。
これらジアミンは単独でまたは2種以上を組み合わせて使用できる。
ポリアミック酸を合成するために用いられるジアミンとしては、上記のうち、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタン、1,5−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノフルオレン、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−(p−フェニレンイソプロピリデン)ビスアニリン、2,2−ビス[4−(4−アミノフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)ヘキサフルオロプロパン、2,2−ビス[4−(4−アミノ−2−トリフルオロメチルフェノキシ)フェニル]ヘキサフルオロプロパン、4,4’−ジアミノ−2,2’−ビス(トリフルオロメチル)ビフェニル、4,4’−ビス[(4−アミノ−2−トリフルオロメチル)フェノキシ]−オクタフルオロビフェニル、1−ヘキサデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−オクタデシルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレステリルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、1−コレスタニルオキシ−2,4−ジアミノベンゼン、ヘキサデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、オクタデシルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレステリルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)、コレスタニルオキシ(3,5−ジアミノベンゾイル)および上記式(D−1)〜(D−7)のそれぞれで表される化合物よりなる群から選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましく、これらのうちの少なくとも1種を、全ジアミンに対して、20モル%上含むものであることがより好ましく、50モル%上含むものであることがさらに好ましく、特に80モル%上含むものであることが好ましい。
ポリアミック酸の合成反応に供されるテトラカルボン酸二無水物とジアミンの使用割合は、ジアミンに含まれるアミノ基1当量に対して、テトラカルボン酸二無水物の酸無水物基が0.2〜2当量となる割合が好ましく、さらに好ましくは0.3〜1.2当量となる割合である。
ポリアミック酸の合成反応は、好ましくは有機溶媒中において、好ましくは−20〜150℃、より好ましくは0〜100℃の温度条件下において、好ましくは0.5〜24時間、より好ましくは2〜10時間行われる。ここで、有機溶媒としては、合成されるポリアミック酸を溶解できるものであれば特に制限はなく、例えばN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルイミダゾリジノン、ジメチルスルホキシド、γ−ブチロラクトン、テトラメチル尿素、ヘキサメチルホスホルトリアミド等の非プロトン系極性溶媒;m−クレゾール、キシレノール、フェノール、ハロゲン化フェノール等のフェノール系溶媒を挙げることができる。有機溶媒の使用量(a)は、テトラカルボン酸二無水物およびジアミン化合物の総量(b)が反応溶液の全量(a+b)に対して好ましくは0.1〜50重量%、より好ましくは5〜30重量%となるような量である。
以上のようにして、ポリアミック酸を溶解してなる反応溶液が得られる。この反応溶液はそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液中に含まれるポリアミック酸を単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリアミック酸を精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。ポリアミック酸の単離は、上記反応溶液を大量の貧溶媒中に注いで析出物を得、この析出物を減圧下乾燥する方法、あるいは、反応溶液をエバポレーターで減圧留去する方法により行うことができる。また、このポリアミック酸を再び有機溶媒に溶解し、次いで貧溶媒で析出させる方法、あるいは、エバポレーターで減圧留去する工程を1回または数回行う方法により、ポリアミック酸を精製することができる。
上記ポリイミドは、上記の如くして得られたポリアミック酸の有するアミック酸構造を脱水閉環することにより製造することができる。このとき、アミック酸構造の全部を脱水閉環して完全にイミド化してもよく、あるいはアミック酸構造のうちの一部のみを脱水閉環してアミック酸構造とイミド構造とが併存する部分イミド化物としてもよい。
ポリアミック酸の脱水閉環は、(i)ポリアミック酸を加熱する方法により、または(ii)ポリアミック酸を有機溶媒に溶解し、この溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加し必要に応じて加熱する方法により行われる。
上記(i)のポリアミック酸を加熱する方法における反応温度は、好ましくは50〜200℃であり、より好ましくは60〜170℃である。反応温度が50℃未満では脱水閉環反応が十分に進行せず、反応温度が200℃を超えると得られるイミド化重合体の分子量が低下する場合がある。ポリアミック酸を加熱する方法における反応時間は、好ましくは0.5〜48時間であり、より好ましくは2〜20時間である。
一方、上記(ii)のポリアミック酸の溶液中に脱水剤および脱水閉環触媒を添加する方法において、脱水剤としては、例えば無水酢酸、無水プロピオン酸、無水トリフルオロ酢酸等の酸無水物を用いることができる。脱水剤の使用量は、ポリアミック酸構造単位の1モルに対して0.01〜20モルとするのが好ましい。また、脱水閉環触媒としては、例えばピリジン、コリジン、ルチジン、トリエチルアミン等の3級アミンを用いることができる。しかし、これらに限定されるものではない。脱水閉環触媒の使用量は、使用する脱水剤1モルに対して0.01〜10モルとするのが好ましい。脱水閉環反応に用いられる有機溶媒としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして例示した有機溶媒を挙げることができる。脱水閉環反応の反応温度は好ましくは0〜180℃、より好ましくは10〜150℃であり、反応時間は好ましくは0.5〜20時間であり、より好ましくは1〜8時間である。
上記方法(i)において得られるポリイミドは、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、あるいは得られるポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。一方、上記方法(ii)においてはポリイミドを含有する反応溶液が得られる。この反応溶液は、これをそのまま液晶配向剤の調製に供してもよく、反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除いたうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、ポリイミドを単離したうえで液晶配向剤の調製に供してもよく、または単離したポリイミドを精製したうえで液晶配向剤の調製に供してもよい。反応溶液から脱水剤及び脱水閉環触媒を除くには、例えば溶媒置換等の方法を適用することができる。ポリイミドの単離、精製は、ポリアミック酸の単離、精製方法として上記したのと同様の操作を行うことにより行うことができる。
上記ポリシロキサンは、例えば下記式(α)
Figure 2009294333
(式(α)中、Xは水酸基、ハロゲン原子、炭素数1〜20のアルキル基、炭素数1〜6のアルコキシル基または炭素数6〜20のアリール基であり、Yは水酸基または炭素数1〜6のアルコキシル基である。)
で表される繰り返し単位を有するポリシロキサン、その加水分解物および加水分解縮合物よりなる群から選択される少なくとも1種であることができる。
上記ポリシロキサンは、例えばアルコキシシラン化合物およびハロゲン化シラン化合物よりなる群から選択される少なくとも1種のシラン化合物(以下、「原料シラン化合物」ともいう。)を、好ましくは適当な有機溶媒中で、水および触媒の存在下において加水分解または加水分解・縮合することにより合成することができる。
ここで使用できる原料シラン化合物としては、例えばテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラ−n−プロポキシシラン、テトラ−iso−プロポキシシラン、テトラ−n−ブトキシラン、テトラ−sec−ブトキシシラン、テトラ−tert−ブトキシシラン、テトラクロロシラン;メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、メチルトリ−n−プロポキシシラン、メチルトリ−iso−プロポキシシラン、メチルトリ−n−ブトキシシラン、メチルトリ−sec−ブトキシシラン、メチルトリ−tert−ブトキシシラン、メチルトリフェノキシシラン、メチルトリクロロシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、エチルトリ−n−プロポキシシラン、エチルトリ−iso−プロポキシシラン、エチルトリ−n−ブトキシシラン、エチルトリ−sec−ブトキシシラン、エチルトリ−tert−ブトキシシラン、エチルトリクロロシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、フェニルトリクロロシラン;ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ジメチルジクロロシラン;トリメチルメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、トリメチルクロロシラン等を挙げることができる。これらのうちテトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、トリメチルメトキシシランまたはトリメチルエトキシシランが好ましい。
ポリシロキサンにつき、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーで測定したポリスチレン換算の重量平均分子量(Mw)は、好ましくは500〜50,000であり、より好ましくは1,000〜10,000である。
ポリシロキサンを合成する際に、任意的に使用することのできる有機溶媒としては、例えばアルコール化合物、ケトン化合物、アミド化合物もしくはエステル化合物またはその他の非プロトン性化合物を挙げることができる。これらは単独でまたは2種以上組合せて使用できる。
上記アルコール化合物としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロパノール、i−プロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、n−ペンタノール、i−ペンタノール、2−メチルブタノール、sec−ペンタノール、t−ペンタノール、3−メトキシブタノール、n−ヘキサノール、2−メチルペンタノール、sec−ヘキサノール、2−エチルブタノール、sec−ヘプタノール、ヘプタノール−3、n−オクタノール、2−エチルヘキサノール、sec−オクタノール、n−ノニルアルコール、2,6−ジメチルヘプタノール−4、n−デカノール、sec−ウンデシルアルコール、トリメチルノニルアルコール、sec−テトラデシルアルコール、sec−ヘプタデシルアルコール、フェノール、シクロヘキサノール、メチルシクロヘキサノール、3,3,5−トリメチルシクロヘキサノール、ベンジルアルコール、ジアセトンアルコール等のモノアルコール化合物;
エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、ペンタンジオール−2,4、2−メチルペンタンジオール−2,4、ヘキサンジオール−2,5、ヘプタンジオール−2,4、2−エチルヘキサンジオール−1,3、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリエチレングリコール、トリプロピレングリコール等の多価アルコール化合物;
エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノ−2−エチルブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノプロピルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノヘキシルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等の多価アルコール化合物の部分エーテル等を、それぞれ挙げることができる。これらのアルコール化合物は、1種であるいは2種以上を組合せて使用してもよい。
上記ケトン化合物としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−プロピルケトン、メチル−n−ブチルケトン、ジエチルケトン、メチル−i−ブチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、エチル−n−ブチルケトン、メチル−n−ヘキシルケトン、ジ−i−ブチルケトン、トリメチルノナノン、シクロヘキサノン、2−ヘキサノン、メチルシクロヘキサノン、2,4−ペンタンジオン、アセトニルアセトン、アセトフェノン、フェンチョン等のモノケトン化合物;
アセチルアセトン、2,4−ヘキサンジオン、2,4−ヘプタンジオン、3,5−ヘプタンジオン、2,4−オクタンジオン、3,5−オクタンジオン、2,4−ノナンジオン、3,5−ノナンジオン、5−メチル−2,4−ヘキサンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ヘプタンジオン等のβ−ジケトン化合物等を、それぞれ挙げることができる。これらのケトン化合物は、1種であるいは2種以上を組合せて使用してもよい。
上記アミド化合物としては、例えばホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、N−エチルホルムアミド、N,N−ジエチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−エチルアセトアミド、N,N−ジエチルアセトアミド、N−メチルプロピオンアミド、N−メチルピロリドン、N−ホルミルモルホリン、N−ホルミルピペリジン、N−ホルミルピロリジン、N−アセチルモルホリン、N−アセチルピペリジン、N−アセチルピロリジン等を挙げることができる。これらアミド化合物は、1種であるいは2種以上を組合せて使用してもよい。
上記エステル化合物としては、例えばジエチルカーボネート、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジエチル、酢酸メチル、酢酸エチル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸シクロヘキシル、酢酸メチルシクロヘキシル、酢酸n−ノニル、アセト酢酸メチル、アセト酢酸エチル、酢酸エチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノエチルエーテル、酢酸ジエチレングリコールモノ−n−ブチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノプロピルエーテル、酢酸プロピレングリコールモノブチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジ酢酸グリコール、酢酸メトキシトリグリコール、プロピオン酸エチル、プロピオン酸n−ブチル、プロピオン酸i−アミル、シュウ酸ジエチル、シュウ酸ジ−n−ブチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチル、乳酸n−アミル、マロン酸ジエチル、フタル酸ジメチル、フタル酸ジエチル等を挙げることができる。これらエステル化合物は、1種であるいは2種以上を組合せて使用してもよい。
上記その他の非プロトン性化合物としては、例えばアセトニトリル、ジメチルスルホキシド、N,N,N’,N’−テトラエチルスルファミド、ヘキサメチルリン酸トリアミド、N−メチルモルホロン、N−メチルピロール、N−エチルピロール、N−メチル−Δ3−ピロリン、N−メチルピペリジン、N−エチルピペリジン、N,N−ジメチルピペラジン、N−メチルイミダゾール、N−メチル−4−ピペリドン、N−メチル−2−ピペリドン、N−メチル−2−ピロリドン、1,3−ジメチル−2−イミダゾリジノン、1,3−ジメチルテトラヒドロ−2(1H)−ピリミジノン等を挙げることができる。
これら溶媒のうち、多価アルコール化合物、多価アルコール化合物の部分エーテルまたはエステル化合物が特に好ましい。
ポリシロキサンの合成に際して使用する水の量としては、原料シラン化合物の有するアルコキシル基およびハロゲン原子の総量の1モルに対して、好ましくは0.5〜100モルであり、より好ましくは1〜30モルであり、さらに1〜1.5モルであることが好ましい。
ポリシロキサンの合成に際して使用できる触媒としては、例えば金属キレート化合物、有機酸、無機酸、有機塩基、アンモニア、アルカリ金属化合物等を挙げることができる。
上記金属キレート化合物としては、例えばトリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)チタン、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)チタン、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)チタン、テトラキス(アセチルアセトナート)チタン、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)チタン、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)チタン、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)チタン、テトラキス(エチルアセトアセテート)チタン、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)チタン、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)チタン、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)チタン等のチタンキレート化合物;
トリエトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、テトラキス(アセチルアセトナート)ジルコニウム、トリエトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−i−プロポキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−n−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−sec−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリ−t−ブトキシ・モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジエトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−i−プロポキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−n−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−sec−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ジ−t−ブトキシ・ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノエトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−i−プロポキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−n−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−sec−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ−t−ブトキシ・トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、テトラキス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、モノ(アセチルアセトナート)トリス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、ビス(アセチルアセトナート)ビス(エチルアセトアセテート)ジルコニウム、トリス(アセチルアセトナート)モノ(エチルアセトアセテート)ジルコニウム等のジルコニウムキレート化合物;
トリス(アセチルアセトナート)アルミニウム、トリス(エチルアセトアセテート)アルミニウム等のアルミニウムキレート化合物等を挙げることができる。
上記有機酸としては、例えば酢酸、プロピオン酸、ブタン酸、ペンタン酸、ヘキサン酸、ヘプタン酸、オクタン酸、ノナン酸、デカン酸、シュウ酸、マレイン酸、メチルマロン酸、アジピン酸、セバシン酸、没食子酸、酪酸、メリット酸、アラキドン酸、ミキミ酸、2−エチルヘキサン酸、オレイン酸、ステアリン酸、リノール酸、リノレイン酸、サリチル酸、安息香酸、p−アミノ安息香酸、p−トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸、マロン酸、スルホン酸、フタル酸、フマル酸、クエン酸、酒石酸等を挙げることができる。
上記無機酸としては、例えば塩酸、硝酸、硫酸、フッ酸、リン酸等を挙げることができる。
上記有機塩基としては、例えばピリジン、ピロール、ピペラジン、ピロリジン、ピペリジン、ピコリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、ジメチルモノエタノールアミン、モノメチルジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジアザビシクロオクラン、ジアザビシクロノナン、ジアザビシクロウンデセン、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド等を挙げることができる。
上記アルカリ金属化合物としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、水酸化カルシウム等を挙げることができる。
これら触媒は、1種をあるいは2種以上を一緒に使用してもよい。
これら触媒のうち、金属キレート化合物、有機酸または無機酸が好ましく、より好ましくはチタンキレート化合物または有機酸である。
触媒の使用量は、原料シラン化合物100重量部に対して好ましくは0.001〜10重量部であり、より好ましくは0.001〜1重量である。
ポリシロキサンの合成に際して添加される水は、原料であるシラン化合物中またはシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液中に、断続的または連続的に添加することができる。
触媒は、原料であるシラン化合物中またはシラン化合物を有機溶媒に溶解した溶液中に予め添加しておいてもよく、あるいは添加される水中に溶解または分散させておいてもよい。
合成の際の反応温度としては、好ましくは0〜100℃であり、より好ましくは15〜80℃である。反応時間は好ましくは0.5〜24時間であり、より好ましくは1〜8時間である。
本発明の液晶配向剤における上記の如き他の重合体の使用割合は、桂皮酸骨格を有する重合体100重量部に対して好ましくは10,000重量部以下であり、より好ましくは10〜10,000重量部であり、さらに好ましくは100〜5,000重量部であり、特に500〜2,000重量部であることが好ましい。
上記エポキシ化合物は、形成される液晶配向膜の基板表面に対する接着性をより向上する観点から使用することができる。かかるエポキシ化合物としては、例えばエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、プロピレングリコールジグリシジルエーテル、トリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリンジグリシジルエーテル、2,2−ジブロモネオペンチルグリコールジグリシジルエーテル、1,3,5,6−テトラグリシジル−2,4−ヘキサンジオール、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミン、1,3−ビス(N,N−ジグリシジルアミノメチル)シクロヘキサン、N,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタン、N,N−ジグリシジル−ベンジルアミン、N,N−ジグリシジル−アミノメチルシクロヘキサン等を、好ましいものとして挙げることができる。
上記のうち、N,N−ジグリシジル構造を有するエポキシ化合物が好ましく、特にN,N,N’,N’−テトラグリシジル−m−キシレンジアミンおよびN,N,N’,N’−テトラグリシジル−4,4’−ジアミノジフェニルメタンよりなる群から選択される少なくとも1種を使用することが好ましい。
本発明の液晶配向剤がエポキシ化合物を含有する場合、エポキシ基の架橋反応を効率良く起こす目的で、エポキシ化合物を1−ベンジル−2−メチルイミダゾール等の適当な塩基触媒と併用してもよい。
本発明の液晶配向剤におけるエポキシ化合物の使用割合は、重合体の合計(桂皮酸骨格を有する重合体および他の重合体の合計をいう。以下同じ。)100重量部に対して、好ましくは100重量部以下であり、より好ましくは50重量部以下である。
上記官能性シラン化合物は、形成される液晶配向膜の基板との接着性をより向上する目的で使用することができる。官能性シラン化合物としては、例えば3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、2−アミノプロピルトリメトキシシラン、2−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリメトキシシラン、3−ウレイドプロピルトリエトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−エトキシカルボニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−トリエトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、N−トリメトキシシリルプロピルトリエチレントリアミン、10−トリメトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、10−トリエトキシシリル−1,4,7−トリアザデカン、9−トリメトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、9−トリエトキシシリル−3,6−ジアザノニルアセテート、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ベンジル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−フェニル−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−ビス(オキシエチレン)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−グリシジロキシプロピルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン等を挙げることができ、さらに特許文献17(特開昭63−291922号公報)に記載されている、テトラカルボン酸二無水物とアミノ基を有するシラン化合物との反応物等を挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が官能性シラン化合物を含有する場合、その含有割合としては、重合体の合計100重量部に対して、好ましくは50重量部以下であり、より好ましくは20重量部以下である。
上記界面活性剤としては、例えばノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤、両性界面活性剤、シリコーン界面活性剤、ポリアルキレンオキシド界面活性剤、含フッ素界面活性剤等を挙げることができる。
本発明の液晶配向剤が界面活性剤を含有する場合、その含有割合としては、液晶配向剤の全体100重量部に対して、好ましくは10重量部以下であり、より好ましくは1重量部以下である。
<液晶配向剤>
本発明の液晶配向剤は、上述の通り、桂皮酸骨格を有する重合体を必須成分として含有し、そのほかに必要に応じて他の成分を含有するものであるが、好ましくは各成分が有機溶媒に溶解された溶液状の組成物として調製される。
本発明の液晶配向剤を調製するために使用することのできる有機溶媒としては、桂皮酸骨格を有する重合体および任意的に使用される他の成分を溶解し、これらと反応しないものが好ましい。
本発明の液晶配向剤に好ましく使用することのできる有機溶媒は、任意的に添加される他の重合体の種類により異なる。
本発明の液晶配向剤が桂皮酸骨格を有する重合体ならびにポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種の重合体を含有するものである場合における好ましい有機溶剤としては、ポリアミック酸の合成に用いられるものとして上記に例示した有機溶媒を挙げることができる。これら有機溶媒は、単独でまたは2種以上組み合わせて使用することができる。
一方、本発明の液晶配向剤が桂皮酸骨格を有する重合体およびポリシロキサンを含有するものである場合における好ましい有機溶剤としては、例えば1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレンブリコールモノプロピルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノアセテート、ジプロピレングリコールメチルエーテル、ジプロピレングリコールエチルエーテル、ジプロピレングリコールプロピルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノプロピルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル(ブチルセロソルブ)、エチレングリコールモノアミルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、ジエチレングリコール、メチルセロソルブアセテート、エチルセロソルブアセテート、プロピルセロソルブアセテート、ブチルセルソルブアセテート、メチルカルビトール、エチルカルビトール、プロピルカルビトール、ブチルカルビトール、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸メチルペンチル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、酢酸n−ヘキシル、酢酸シクロヘキシル、酢酸オクチル、酢酸アミル、酢酸イソアミル 等が挙げられる。この中で好ましくは、酢酸n−プロピル、酢酸i−プロピル、酢酸n−ブチル、酢酸i−ブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸n−ペンチル、酢酸sec−ペンチル等を挙げることができる。
本発明の液晶配向剤の調製に用いられる好ましい溶媒は、上記した有機溶媒の1種または2種以上を組み合わせて得られるものであって、下記の好ましい固形分濃度において液晶配向剤に含有される各成分が析出せず、且つ液晶配向剤の表面張力が25〜40mN/mの範囲となるものである。
本発明の液晶配向剤の固形分濃度、すなわち液晶配向剤中の溶媒以外の全成分の重量が液晶配向剤の全重量に占める割合は、粘性、揮発性等を考慮して選択されるが、好ましくは1〜10重量%の範囲である。本発明の液晶配向剤は、基板表面に塗布され、液晶配向膜となる塗膜を形成するが、固形分濃度が1重量%未満である場合には、この塗膜の膜厚が過小となって良好な液晶配向膜を得難い場合がある。一方、固形分濃度が10重量%を超える場合には、塗膜の膜厚が過大となって良好な液晶配向膜を得難く、また、液晶配向剤の粘性が増大して塗布特性が不足する場合がある。特に好ましい固形分濃度の範囲は、基板に液晶配向剤を塗布する際に採用する方法によって異なる。例えばスピンナー法による場合には1.5〜4.5重量%の範囲が特に好ましい。印刷法による場合には、固形分濃度を3〜9重量%の範囲とし、それによって溶液粘度を12〜50mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。インクジェット法による場合には、固形分濃度を1〜5重量%の範囲とし、それによって溶液粘度を3〜15mPa・sの範囲とするのが特に好ましい。
本発明の液晶配向剤を調製する際の温度は、好ましくは、0℃〜200℃、より好ましくは20℃〜60℃である。
<液晶配向膜の形成方法>
本発明の液晶配向剤は、光配向法により液晶配向膜を形成するために好適に使用することができる。
液晶配向膜を形成する方法としては、例えば基板上に本発明の液晶配向膜の塗膜を形成し、次いで該塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する方法を挙げることができる。
まず、パターン状の透明導電膜が設けられた基板の透明導電膜側に、本発明の液晶配向剤を、例えばロールコーター法、スピンナー法、印刷法、インクジェット法等の適宜の塗布方法により塗布し、例えば40〜250℃の温度で0.1〜120分間加熱して塗膜を形成する。塗膜の膜厚は、溶媒除去後の厚さとして、好ましくは0.001〜1μmであり、より好ましくは0.005〜0.5μmである。
前記基板としては、例えばフロートガラス、ソーダガラスの如きガラス、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリカーボネートの如きプラスチックからなる透明基板等を用いることができる。
前記透明導電膜としては、SnOからなるNESA膜、In−SnOからなるITO膜等を用いることができる。これらの透明導電膜のパターニングには、フォト・エッチング法や透明導電膜を形成する際にマスクを用いる方法等が用いられる。
液晶配向剤の塗布に際しては、基板または透明導電膜と塗膜との接着性をさらに良好にするために、基板および透明導電膜上に、予め官能性シラン化合物、チタネート等を塗布しておいてもよい。
次いで、前記塗膜に直線偏光もしくは部分偏光された放射線または無偏光の放射線を照射し、場合によってさらに150〜250℃の温度で好ましくは1〜120分間加熱処理を行うことにより、液晶配向能を付与する。ここで、放射線としては、例えば150nm〜800nmの波長の光を含む紫外線および可視光線を用いることができるが、300nm〜400nmの波長の光を含む紫外線が好ましい。用いる放射線が直線偏光または部分偏光している場合には、照射は基板面に垂直の方向から行っても、プレチルト角を付与するために斜め方向から行ってもよく、また、これらを組み合わせて行ってもよい。無偏光の放射線を照射する場合には、照射の方向は斜め方向である必要がある。
使用する光源としては、例えば低圧水銀ランプ、高圧水銀ランプ、重水素ランプ、メタルハライドランプ、アルゴン共鳴ランプ、キセノンランプ、エキシマーレーザー等を使用することができる。前記の好ましい波長領域の紫外線は、前記光源を、例えばフィルター、回折格子等と併用する手段等により得ることができる。
放射線の照射量としては、好ましくは1J/m以上10,000J/m未満であり、より好ましくは10〜3,000J/mである。なお、従来知られている液晶配向剤から形成された塗膜に光配向法により液晶配向能を付与する場合、10,000J/m以上の放射線照射量が必要であった。しかし本発明の液晶配向剤を用いると、光配向法の際の放射線照射量が3,000J/m以下、さらに1,000J/m以下であっても良好な液晶配向性を付与することができ、液晶表示素子の製造コストの削減に資する。
なお、本発明における「プレチルト角」とは、基板面と平行な方向からの液晶分子の傾きの角度を表す。
<液晶表示素子の製造方法>
本発明の液晶配向剤を用いて形成される液晶表示素子は、例えば以下のようにして製造することができる。
上述のようにして液晶配向膜が形成された基板を1対(2枚)準備し、これらの有する液晶配向膜を、照射した直線偏光放射線の偏光方向が所定の角度となるように対向させ、基板の間の周辺部をシール剤でシールし、液晶を注入、充填し、液晶注入口を封止して液晶セルを構成する。次いで、液晶セルを、用いた液晶が等方相をとる温度まで加熱した後、室温まで冷却して、注入時の流動配向を除去することが望ましい。
そして、その両面に、偏光板をその偏光方向がそれぞれ基板の液晶配向膜の配向容易軸と所定の角度をなすように貼り合わせることにより、液晶表示素子とする。液晶配向膜が水平配向性である場合、液晶配向膜が形成された2枚の基板における、照射した直線偏光放射線の偏光方向のなす角度およびそれぞれの基板と偏光板との角度を調整することにより、TN型またはSTN型液晶セルを有する液晶表示素子を得ることができる。一方、液晶配向膜が垂直配向性である場合には、液晶配向膜が形成された2枚の基板における配向容易軸の方向が平行となるようにセルを構成し、これに、偏光板を、その偏光方向が配向容易軸と45°の角度をなすように貼り合わせることにより、VA型液晶セルを有する液晶表示素子とすることができる。
前記シール剤としては、例えばスペーサーとしての酸化アルミニウム球および硬化剤を含有するエポキシ樹脂等を用いることができる。
前記液晶としては、例えばネマティック型液晶、スメクティック型液晶等を用いることができる。TN型液晶セルまたはSTN型液晶セルの場合、ネマティック型液晶のうちの正の誘電異方性を有するものが好ましく、例えばビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶、エステル系液晶、ターフェニル系液晶、ビフェニルシクロヘキサン系液晶、ピリミジン系液晶、ジオキサン系液晶、ビシクロオクタン系液晶、キュバン系液晶等が用いられる。また前記液晶に、例えばコレスチルクロライド、コレステリルノナエート、コレステリルカーボネート等のコレステリック液晶;商品名C−15、CB−15(メルク社製)として販売されているようなカイラル剤;p−デシロキシベンジリデン−p−アミノ−2−メチルブチルシンナメート等の強誘電性液晶等を、さらに添加して使用することもできる。
一方、垂直配向型液晶セルの場合には、ネマティック型液晶のうちの負の誘電異方性を有するものが好ましく、例えばジシアノベンゼン系液晶、ピリダジン系液晶、シッフベース系液晶、アゾキシ系液晶、ビフェニル系液晶、フェニルシクロヘキサン系液晶等が用いられる。
液晶セルの外側に使用される偏光板としては、ポリビニルアルコールを延伸配向させながらヨウ素を吸収させた「H膜」と呼ばれる偏光膜を酢酸セルロース保護膜で挟んだ偏光板、またはH膜そのものからなる偏光板等を挙げることができる。
かくして製造された本発明の液晶表示素子は、表示特性、信頼性等の諸性能に優れるものである。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。
以下の実施例において重量平均分子量(Mw)は、以下の条件におけるゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定したポリスチレン換算値である。

カラム:東ソー(株)製、TSKgelGRCXLII
溶剤:テトラヒドロフラン
温度:40℃
圧力:68kgf/cm

エポキシ当量は、JIS C2105の“塩酸−メチルエチルケトン法”に準じて測定した。
溶液粘度は、各合成例で指摘した重合体溶液につき、E型粘度計を用いて25℃において測地した値である。
<カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体の合成>
合成例1(化合物(2−1−1)の合成)
下記スキーム1
Figure 2009294333
に従って化合物(2−1−1)を合成した。
1Lのナス型フラスコに、p−ヒドロキシ桂皮酸82g、炭酸カリウム304gおよびN−メチル−2−ピロリドン400mLを仕込み、室温で1時間撹拌を行った後、1−ブロモペンタン166gを加えて100℃で5時間撹拌した。その後、減圧にて溶剤を留去した。ここに、水酸化ナトリウム48gおよび水400mLを加えて3時間還流して加水分解反応を行った。反応終了後、反応系を塩酸で中和し、生じた沈殿を回収してエタノールで再結晶することにより、上記式(2−1−1)で表される化合物の白色結晶を80g得た。
合成例2(化合物(2−4−1)の合成)
下記スキーム2
Figure 2009294333
に従って、化合物(2−4−1)を合成した。
化合物(2−4−1a)の合成
1Lのナス型フラスコに、4−ヒドロキシ安息香酸メチル91.3g、炭酸カリウム182.4gおよびN−メチル−2−ピロリドン320mLを仕込み、室温で1時間撹拌を行った後、1−ブロモペンタン99.7gを加え100℃で5時間撹拌した。反応終了後、水で再沈殿を行った。次に、この沈殿に水酸化ナトリウム48gおよび水400mLを加えて3時間還流して加水分解反応を行った。反応終了後、塩酸で中和し、生じた沈殿をエタノールで再結晶することにより化合物(2−4−1a)の白色結晶を102g得た。
化合物(2−4−1)の合成
この化合物(2−4−1a)のうちの10.41gを反応容器中にとり、これに塩化チオニル100mLおよびN,N−ジメチルホルムアミド77μLを加えて80℃で1時間撹拌した。次に、減圧下で塩化チオニルを留去し、塩化メチレンを加えて炭酸水素ナトリウム水溶液で洗浄し、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮を行った後、テトラヒドロフランを加えて溶液とした。
次に、上記とは別の500mL三口フラスコに、4−ヒドロキシ桂皮酸7.39g、炭酸カリウム13.82g、テトラブチルアンモニウム0.48g、テトラヒドロフラン50mLおよび水100mLを仕込んだ。この水溶液を氷冷し、上記テトラヒドロフラン溶液をゆっくり滴下し、さらに2時間撹拌を行った。反応終了後、塩酸を加えて中和し、酢酸エチルで抽出した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮を行った後、エタノールで再結晶することにより、化合物(2−4−1)の白色結晶を9.0g得た。
合成例3(化合物(2−4−2)の合成)
合成例2において、1−ブロモペンタンの代わりに1−ヨード−4,4,4−トリフロロブタンの110.9gを用いたほかは合成例2と同様にして実施し、下記式(2−4−2)
Figure 2009294333
で表される化合物の白色粉末を9.2g得た。
合成例4(化合物(2−8−1)の合成)
下記スキーム3
Figure 2009294333
に従って、化合物(2−8−1)を合成した。
上記合成例2の化合物(2−4−1)の合成において、化合物(2−4−1a)の代わりに4−ペンチル−トランスシクロヘキシルカルボン酸9.91gを用いたほかは合成例2の化合物(2−4−1)の合成と同様に実施して、化合物(2−8−1)の白色結晶を13g得た。
合成例5(化合物(4−1−1)の合成)
下記スキーム4
Figure 2009294333
に従って、化合物(4−1−1)を合成した。
還流管、窒素導入管およびディーンスターク管を備えた1Lのナスフラスコに、デシルこはく酸無水物72g、4−アミノ桂皮酸49g、トリエチルアミン70mL、トルエン500mLおよびテトラヒドロフラン200mLを仕込んで36時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を希塩酸および水で順次に洗浄した後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮を行った後、エタノールおよびテトラヒドロフランからなる混合溶剤で再結晶を行うことにより、化合物(4−1−1)の白色結晶を72g得た。
合成例6(化合物(4−5−1)の合成)
下記スキーム5
Figure 2009294333
に従って、化合物(4−5−1)を合成した。
化合物(4−5−1a)の合成
還流管を備えた2Lのナスフラスコに、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物198g、塩化チオニル500mLおよびN,N−ジメチルホルムアミド2mLを仕込み、80℃で1時間還流下に反応を行った。反応終了後、減圧で塩化チオニルを除去し、残存物に塩化メチレンを加え、有機層を飽和炭酸水素ナトリウム水溶液および水で順次に洗浄を行った後、硫酸マグネシウムで乾燥し、濃縮、乾固した後、テトラヒドロフラン500mLを加えた。
一方、滴下ロート、温度計および窒素導入管を備えた3Lの三口フラスコに、4,4,5,5,5−ペンタフルオロペンタノール178g、ピリジン160mLおよびテトラヒドロフラン1.5Lを仕込み、氷浴で冷却した。ここに、上述の1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物と塩化チオニルとの反応物を含有するテトラヒドロフラン溶液をゆっくり滴下した後、室温でさらに4時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、酢酸エチルにより抽出を行なった。有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、シリカカラムで精製し、溶媒を除去して乾固することにより、化合物(4−5−1a)を268gを得た。
化合物(4−5−1)の合成
ディーンスターク管を備えた200mLのナスフラスコに、化合物(4−5−1a)241g、4−アミノ桂皮酸109g、トリエチルアミン190mL、4−ジメチルアミノピリジン16g、トルエン1Lおよびテトラヒドロフラン2Lを仕込み、24時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を希塩酸および水で順次に洗浄した。有機層を硫酸マグネシウムで乾燥した後、メタノールで再結晶することにより、化合物(4−5−1)の78gを得た。
合成例7(化合物(5−1−1の合成)
下記スキーム6
Figure 2009294333
に従って、化合物(5−1−1)を合成した。
化合物(5−1−1a)の合成
温度計および窒素導入管を備えた300mLの三口フラスコに、4−ニトロ桂皮酸9.7g、4,4,4−トリフルオロ−1−ヨードブタン12g、炭酸カリウム14gおよび1−メチル−2−ピロリドン150mLを仕込み、50℃で1時間撹拌して反応を行なった。反応終了後、反応混合物に酢酸エチルを加えて抽出した。有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、さらに溶媒を除去して乾固することにより、化合物(5−1−1a)を14g得た。
化合物(5−1−1b)の合成
温度計および窒素導入管を備えた300mLの三口フラスコに、化合物(5−1−1a)14g、塩化すず2水和物53gおよびエタノール150mLを仕込み、70℃で1時間撹拌して反応を行った。反応終了後、反応混合物を氷水に注ぎ、2Mの水酸化ナトリウム水溶液で中和し、酢酸エチルを加えた後に沈殿物を除去した。ろ液に酢酸エチルを加えて抽出して有機層を得た。この有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮し、さらに溶媒を除去して乾固することにより、化合物(5−1−1b)を12g得た。
化合物(5−1−1)の合成
還流管および窒素導入管を備えた200mLのナスフラスコに、化合物(5−1−1b)12g、1,2,4−シクロヘキサントリカルボン酸無水物8.7gおよび酢酸100mLを仕込み、1時間還流下に反応を行った。反応終了後、反応混合物を酢酸エチルにより抽出して有機層を得た。この有機層を水洗し、硫酸マグネシウムで乾燥した後、濃縮、乾固し、酢酸エチルおよびヘキサンからなる混合溶剤で再結晶を行うことにより、桂皮酸誘導体(5−1−1)の白色結晶(純度98.3%)を11g得た。
<桂皮酸骨格を有する重合体の合成>
実施例1
200mLの三口フラスコに、エポキシ基を有する重合体としてEHPE3150(ダイセル化学工業(株)製、重量平均分子量=2,200、エポキシ当量=177g/モル)2.5g、カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体として上記合成例1で得た化合物(2−1−1)1.65g(EHPE3150のエポキシ当量から算出したエポキシ基の量に対して50モル%に相当する。)、テトラブチルアンモニウムブロミド0.25gおよびN,N−ジメチルアセトアミドを仕込み、反応液の固形分濃度を20重量%として、120℃で2時間反応を行った。反応終了後、反応懇望物に酢酸エチルを100mL加え、水で3回洗浄を行った後、溶媒を除去し、乾固することにより、桂皮酸骨格を有する重合体(CPA−1)を淡褐色粉末として得た。
重合体(CPA−1)の重量平均分子量(Mw)は9,000であった。
実施例2〜8
カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体の種類および使用割合(EHPE3150のエポキシ当量から算出したエポキシ基の量に対するモル%)を、それぞれ表1に記載のとおりとしたほかは、上記実施例1と同様にして実施し、桂皮酸骨格を有する重合体(CPA−2)〜(CPA−7)をそれぞれ得た。各重合体の重量平均分子量(Mw)を表1に示した。
Figure 2009294333
<ポリアミック酸の合成>
合成例9
テトラカルボン酸二無水物として1,2,3,4−シクロブタンテトラカルボン酸二無水物196g(1.0モル)およびジアミンとして2,2’−ジメチル−4,4’−ジアミノビフェニル212g(1.0モル)をN−メチル−2−ピロリドン3,670gに溶解し、40℃で3時間反応を行うことにより、ポリアミック酸(PAA−1)を含有する溶液約4,000gを得た。このポリアミック酸溶液の溶液粘度は160mPa・sであった。
<ポリイミドの合成>
合成例10
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物20.9g(0.093モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン9.2g(0.085モル)および上記式(D−6)で表される化合物4.9g(0.009モル)をN−メチル−2−ピロリドン140gに溶解し、60℃で4時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は126mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン325gを追加し、ピリジン7.4gおよび無水酢酸9.5gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換(この溶媒置換操作により、脱水閉環反応に使用したピリジンおよび無水酢酸を系外に除去した。以下同じ。)することにより、イミド化率約54%のポリイミド(PI−1)を16.1重量%含有する溶液約190gを得た。このポリイミド溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は75mPa・sであった。
合成例11
テトラカルボン酸二無水物として2,3,5−トリカルボキシシクロペンチル酢酸二無水物17.3g(0.077モル)ならびにジアミンとしてp−フェニレンジアミン5.9g(0.054モル)、上記式(D−6)で表される化合物4.1g(0.008モル)および上記式(D−7)で表される化合物7.7g(0.016モル)をN−メチル−2−ピロリドン140gに溶解し、60℃で4時間反応を行うことにより、ポリアミック酸を含有する溶液を得た。得られたポリアミック酸溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリアミック酸濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は117mPa・sであった。
次いで、得られたポリアミック酸溶液にN−メチル−2−ピロリドン325gを追加し、ピリジン6.1gおよび無水酢酸7.9gを添加して110℃で4時間脱水閉環反応を行った。脱水閉環反応後、系内の溶媒を新たなN−メチル−2−ピロリドンで溶媒置換することにより、イミド化率約55%のポリイミド(PI−2)を15.4重量%含有する溶液約210gを得た。このポリイミド溶液を少量分取し、N−メチル−2−ピロリドンを加えてポリイミド濃度10重量%の溶液として測定した溶液粘度は109mPa・sであった。
<ポリシロキサンの調整>
合成例12
冷却管を備えた200mLの三口フラスコに、テトラエトキシシラン20.8gおよび1−エトキシ−2−プロパノール28.2gを仕込み、60℃に加熱し攪拌した。ここに、容量20mLの別のフラスコに調製した、無水マレイン酸0.26gを水10.8gに溶解した無水マレイン酸水溶液を加え、60℃でさらに4時間加熱、攪拌して反応を行った。得られた反応混合物から溶剤を留去し、1−エトキシ−2−プロパノールを加えて、再度濃縮することにより、ポリオルガノシロキサン(PS−1)を10重量%含有する重合体溶液を得た。PS−1の重量平均分子量Mwは5,100であった。
<液晶配向剤の調製>
実施例9
上記実施例1で得た桂皮酸骨格を有する重合体(CPA−1)の100重量部と、他の重合体として上記合成例9で得たポリアミック酸(PAA−1)を含有する溶液のポリアミック酸(PAA−1)に換算して1,000重量部に相当する量とを合わせ、これにN−メチル−2−ピロリドンおよびブチルセロソルブを加え、溶媒組成がN−メチル−2−ピロリドン:ブチルセロソルブ=50:50(重量比)、固形分濃度が3.0重量%の溶液とした。
この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤A−1を調製した。
実施例10〜20
桂皮酸骨格を有する重合体の種類ならびに他の重合体の種類および量を、それぞれ表2に記載の通りとしたほかは実施例8と同様に実施し、液晶配向剤A−2〜A−12を、それぞれ調製した。
実施例21
上記実施例2で得た桂皮酸骨格を有する重合体(CPA−2)の100重量部と、他の重合体として上記合成例12で得たポリシロキサン(PS−1)を含有する溶液のポリシロキサン(PS−1)に換算して1,000重量部に相当する量とを合わせ、これに1−エトキシ−2−プロパノールを加え、固形分濃度が3.0重量%の溶液とした。
この溶液を孔径1μmのフィルターで濾過することにより、液晶配向剤A−13を調製した。
Figure 2009294333
実施例22
<液晶配向膜の形成およびVA型垂直液晶表示素子の製造>
ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上に、上記実施例9で調製した液晶配向剤A−1をスピンナーを用いて塗布し、庫内を窒素置換したオーブン中で200℃で1時間加熱して膜厚0.1μmの塗膜を形成した。次いでてこの塗膜表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて313nmの輝線を含む偏光紫外線1,000J/mを、基板法線から40°傾いた方向から照射して液晶配向膜とした。同じ操作を繰り返して、液晶配向膜を有する基板を1対(2枚)作成した。
上記基板のうちの1枚の液晶配向膜を有する面の外周に直径5.5μmの酸化アルミニウム球入りエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、1対の基板の液晶配向膜面を対向させ、各基板の紫外線の光軸の基板面への投影方向が逆平行となるように圧着し、150℃で1時間かけて接着剤を熱硬化させた。次いで、液晶注入口より基板間の間隙に、ネガ型液晶(メルク社製MLC−6608)を充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で加熱してから室温まで徐冷した。次に基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の紫外線の光軸の基板面への射影方向と45°の角度をなすように貼り合わせることによりVA型液晶表示素子を製造した。
この液晶表示素子につき、以下の方法により評価した。評価結果は表3に示した。
<VA型液晶表示素子の評価方法>
(1)液晶配向性の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、5Vの電圧をON・OFF(印加・解除)したときの明暗の変化における異常ドメインの有無を顕微鏡により観察し、異常ドメインのない場合を「良好」とした。
(2)プレチルト角の評価
上記で製造した液晶表示素子につき、非特許文献1(T. J. Scheffer et. al. J. Appl. Phys. vo. 19, p2013(1980))に記載の方法に準拠し、He−Neレーザー光を用いる結晶回転法によりプレチルト角を測定した。
(3)電圧保持率の評価
上記で製造した液晶表示素子に、5Vの電圧を60マイクロ秒の印加時間、167ミリ秒のスパンで印加した後、印加解除から167ミリ秒後の電圧保持率を測定した。測定装置は(株)東陽テクニカ製VHR−1を使用した。
(4)焼き付きの評価(残留DC電圧)
上記で製造した液晶表示素子に、直流5Vを重畳した30Hz、3Vの矩形波を60℃の環境温度で2時間印加し、直流電圧を切った直後の液晶セル内に残留した電圧をフリッカ−消去法により残留DC電圧を求めた。
実施例23〜32
使用した液晶配向剤の種類を表3に記載の通りとしたほかは実施例22と同様にしてそれぞれ液晶配向膜を形成し、VA型液晶表示素子を製造して評価した。結果を表3に示した。
<液晶配向膜の形成およびTN配向型液晶表示素子の製造>
実施例33
上記実施例18で調製した液晶配向剤A−10を、ITO膜からなる透明電極付きガラス基板の透明電極面上にスピンナーを用いて塗布し、180℃にて1時間加熱することにより、膜厚0.1μmの塗膜を形成した。この塗膜の表面に、Hg−Xeランプおよびグランテーラープリズムを用いて、313nmの輝線を含む偏光紫外線1,000J/mを基板法線から40°傾いた方向から照射することにより、液晶配向能を付与して液晶配向膜を形成した。
上記と同じ操作を繰り返し、液晶配向膜を透明導電膜面上に有するガラス基板を1対(2枚)作製した。
この1対の基板のそれぞれ液晶配向膜を形成した面の周囲部に、直径5.5μmの酸化アルミニウム球を含有するエポキシ樹脂接着剤をスクリーン印刷により塗布した後、偏光紫外線照射方向が直交となるように基板を重ね合わせて圧着し、150℃で1時間加熱して接着剤を熱硬化した。次いで、基板の間隙に液晶注入口よりポジ型のネマティック型液晶(メルク社製、MLC−6221、カイラル剤入り)を注入して充填した後、エポキシ系接着剤で液晶注入口を封止した。さらに、液晶注入時の流動配向を除くために、これを150℃で10分加熱してから室温まで徐冷した。次に、基板の外側両面に、偏光板を、その偏光方向が互いに直交し、かつ、液晶配向膜の偏光方向と平行となるように貼り合わせることにより、TN配向型液晶表示素子を製造した。
この液晶表示素子の液晶配向性、電圧保持率および焼き付きにつき、実施例22と同様にして評価した。評価結果を表3に示した。
実施例34
使用した液晶配向剤の種類を上記実施例19で調製したA−11としたほかは実施例33と同様にして液晶配向膜を形成し、TN配向型液晶表示素子を製造して評価した。結果を表3に示した。
Figure 2009294333

Claims (10)

  1. 下記式(1)
    Figure 2009294333
    (式(1)中、Aは単結合、メチレン基または炭素数2〜6のアルキレン基である。)
    で表される繰り返し単位を有する重合体と、カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体との反応生成物を含有することを特徴とする、液晶配向剤。
  2. カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体が、下記式(2)
    Figure 2009294333
    (式(2)中、Rは水素原子、炭素数1〜40のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、前記アルキル基または脂環式基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、Rは単結合、酸素原子、−COO−または−OCO−であり、Rは2価の芳香族基、2価の脂環式基、2価の複素環式基または2価の縮合環式基であり、Rは単結合、酸素原子、−COO−または−OCO−であり、Rはフッ素原子またはシアノ基であり、aは0〜3の整数であり、bは0〜4の整数である。)
    で表される化合物である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  3. カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体が、下記式(3)
    Figure 2009294333
    (式(3)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、前記アルキル基または脂環式基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、Rは単結合または2価の有機基であり、Rはフッ素原子またはシアノ基であり、cは0〜4の整数である。)
    で表される化合物である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  4. カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体が、下記式(4)
    Figure 2009294333
    (式(4)中、Rは炭素数1〜40のアルキル基または脂環式基を含む炭素数3〜40の1価の有機基であり、前記アルキル基または脂環式基の水素原子の一部または全部はフッ素原子で置換されていてもよく、R10が単結合、酸素原子、硫黄原子または−COO−(ただし、「*」を付した結合手がRと結合する。)であってR11が水素原子であるか、またはR10およびR11が互いに結合して環を形成していてもよく、R12はフッ素原子またはシアノ基であり、dは0〜4の整数である。)
    で表される化合物である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  5. カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体が、下記式(5)
    Figure 2009294333
    (式(5)中、R13が2価の有機基であってR14が水素原子または1価の有機基であるか、あるいはR13およびR14が互いに結合して環を形成していてもよく、R15はフッ素原子またはシアノ基であり、R16はフッ素原子で置換されていてもよい炭素数1〜20のアルキル基またはフッ素原子で置換されていてもよい炭素数3〜40の脂環式基であり、eは0〜4の整数である。)
    で表される化合物である、請求項1に記載の液晶配向剤。
  6. さらに、ポリアミック酸およびポリイミドよりなる群から選択される少なくとも1種を含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  7. さらに、ポリシロキサンを含有する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液晶配向剤。
  8. 基板上に、請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤を塗布して塗膜を形成し、該塗膜に放射線を照射することを特徴とする、液晶配向膜の形成方法。
  9. 請求項1〜7のいずれか一項に記載の液晶配向剤から形成された液晶配向膜を具備することを特徴とする、液晶表示素子。
  10. 上記式(1)で表される繰り返し単位を有する重合体と、カルボキシル基を有する桂皮酸誘導体との反応生成物。
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