JP2009291013A - 電源装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】静電誘導により発生した電力を用いて負荷を効率良く駆動する。
【解決手段】静電誘導により所定電位を基準として発生する電位差に応じた電力を、入力電圧に応じて出力電流が非線形に増加する非線形素子で構成された負荷に供給する電源装置であって、所定の1次巻数を有しており前記電位差が印加される1次巻線321と、当該1次巻数321よりも小さい所定の2次巻数322を有しており前記電力が取り出される2次巻線322と、を有した変圧器32を備える。
【選択図】図2
【解決手段】静電誘導により所定電位を基準として発生する電位差に応じた電力を、入力電圧に応じて出力電流が非線形に増加する非線形素子で構成された負荷に供給する電源装置であって、所定の1次巻数を有しており前記電位差が印加される1次巻線321と、当該1次巻数321よりも小さい所定の2次巻数322を有しており前記電力が取り出される2次巻線322と、を有した変圧器32を備える。
【選択図】図2
Description
本発明は、静電誘導を利用した電源装置に関する。
高所に架線されている送電線の存在を、夜間に付近を飛行する航空機やヘリコプター、若しくは送電線の下方を通過する車両や船舶等に認識せしめ、不足の事故が発生するのを未然に防止するために、架空送電線用標識灯を設けることが必要とされている。
ところで、鉄塔に架空送電線用障害灯を設置する場合、現地には電源がない場合が多く、最も近い所にある配電線から給電用の低圧線を鉄塔まで施設する必要があるが、この手法では、給電のための配電設備の設置コストが高くつくことになる。
そこで、例えば、特許文献1では、避雷用に架空地線(GW:Ground Wire)が送電鉄塔や電柱の最上端に架けられているが、その架空地線を鉄塔と絶縁状態にし、架空地線と送電線との間の漂遊静電容量に誘起される電圧を利用して航空障害灯を点灯させる手法が提案されている。
特許文献2では、コイルと発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を有する標識灯を送電線の外周部に取り付け、送電線を流れる電流によりコイルに発生した誘導電流を用いて発光ダイオードを点灯させる手法が提案されている。
特許文献3では、太陽電池と、太陽電池から得られる起電力を蓄電する蓄電池と、蓄電池からの電力により発光すべく送電線に取り付けられる発光標識体と、外部が暗くなったことを検知して発光標識体を作動させる光センサスイッチとを備えた夜間標識灯が提案されている。
特開平6−225483号公報
特開平8−126177号公報
特開平6−269118号公報
しかし、特許文献1、2の手法では送電線から誘導された電力をそのまま用いて点灯する手法であり、特許文献3の手法では太陽電池自体の電力変換効率の低さより、特許文献1〜3のいずれの手法も、微小な電力しか取得することができない。このため、架空送電線用標識灯として要求される所定輝度が得られない場合には、所定輝度に応じて発光ダイオード等の発光素子の個数を増やしていく必要があるが、その結果、架空送電線用標識灯の規模が大きくなってしまうという問題がある。そして、製作コスト、設置コスト、所定輝度が得られるまでの測定に費やされる測定コスト、設置後の風損等によるメンテナンスコスト等といった各種コストが増大するという問題が生じてくる。
以上のような問題によって、特許文献1〜3のいずれの手法を、鉄塔周辺の架空送電線への適用や架空送電線用標識等以外の負荷への適用を図ったとしても、現実的には実施することが困難である。
本発明は、上記課題を鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、静電誘導により発生した電力を用いて負荷を効率良く駆動するものである。
上記課題を解決するための主たる本発明は、静電誘導により所定電位を基準として発生する電位差に応じた電力を、入力電圧に応じて出力電流が非線形に増加する非線形素子で構成された負荷に供給する電源装置であって、所定の1次巻数を有しており前記電位差が印加される1次巻線と、当該1次巻数よりも小さい所定の2次巻数を有しており前記電力が取り出される2次巻線と、を有した変圧器を備えた電源装置である。
尚、上記の非線形素子は、入力電圧に対する出力電流の特性の中で、入力電圧に対する出力電流の関係が比例関係とはならない領域が存在し、且つ、入力電圧に応じて出力電流が増加する領域が存在する非線形素子である。また、上記の変圧器は、2次巻線が1次巻線よりも小さいため、変流比が1よりも大きい変圧器である。
上記の非線形素子を上記の変圧器の負荷としたことによって、上記の変圧器を設けた場合における上記の非線形素子の負荷線と入出力特性とが交わる動作点によって定められる動作電流が、上記の変圧器を設けない場合における上記の非線形素子の負荷線と入出力特性とが交わる動作点によって定められる動作電流よりも大きくなる。この結果、上記の非線形素子により構成される負荷を効率良く駆動することができる。
その他、本願が開示する課題及びその解決方法は、発明を実施するための最良の形態の欄、及び図面により明らかにされる。
本発明によれば、静電誘導により発生した電力を用いて負荷を効率良く駆動することができる。
以下、図面を参照しながら、本発明を実施するための最良の形態を説明する。
≪電源装置の全体構成例≫
図1は、静電誘導を利用した電源装置の全体的な構成を示す図である。
電源装置100は、電線Lと大地Eとの間に、電線Lに略平行になるように電極板1(導電対)を配置した構成を備える。このような構成とした結果、電線Lに電圧を印加することに伴う静電誘導によって、電線Lと電極板1との間には相互静電容量が存在し、電極板1と大地Eとの間には静電容量が存在することになる。
図1は、静電誘導を利用した電源装置の全体的な構成を示す図である。
電源装置100は、電線Lと大地Eとの間に、電線Lに略平行になるように電極板1(導電対)を配置した構成を備える。このような構成とした結果、電線Lに電圧を印加することに伴う静電誘導によって、電線Lと電極板1との間には相互静電容量が存在し、電極板1と大地Eとの間には静電容量が存在することになる。
また、電源装置100は、電極板1と大地Eとの間に、負荷40を接続した電力供給器3を配置した構成を備える。このような構成とした結果、電源装置100は、電極板1と大地Eとの間の電位差(誘導電圧)に応じた電力を、電力供給器3を介して負荷40に供給することができる。
なお、電極板1の電位の基準となる所定電位の導電体は、大地Eそのものである必要はなく、大地Eと略同じ所定電位を有する導電体(例えば、鉄塔やアークホーン等)であってもよい。また、詳細は後述するが、電極板1は図9に示すように平板ではなく湾曲な板でもよいし、その他に、穴空き板、メッシュ板等の形状であってもよい。
≪電力供給器の構成例≫
図2は、電力供給器3の一構成例を示した図である。尚、図2では、図1に示した負荷40を、LED(Light Emitting Diode)4に置き換えている。LED4は、入力電圧が高くなるに従って出力電流が非線形に増加する非線形特性、好ましくは指数関数的に増加する非線形特性(ダイオードの静特性)を持った非線形素子である。
電力供給器3は、同図に示すように、変圧器32と整流回路34により構成される。
図2は、電力供給器3の一構成例を示した図である。尚、図2では、図1に示した負荷40を、LED(Light Emitting Diode)4に置き換えている。LED4は、入力電圧が高くなるに従って出力電流が非線形に増加する非線形特性、好ましくは指数関数的に増加する非線形特性(ダイオードの静特性)を持った非線形素子である。
電力供給器3は、同図に示すように、変圧器32と整流回路34により構成される。
変圧器32は、複巻方式の電源変圧器であり、1次巻数N1の1次巻線321と2次巻数N2の2次巻線322とが電気的に絶縁されている。変圧器32を理想変圧器とすると、電極板1の電圧V1が1次巻線321に印加されると、1次巻数N1に対する2次巻数N2の比として表される変圧比(=N2/N1)によって変圧された電圧V2(=V1*N2/N1)が2次巻線322から取り出される。換言すると、電圧V1が印加されて1次巻線321に電流I1が流れると、上記の変圧比の逆数で表される変流比(=N1/N2)によって変流された電流I2(=I1*N1/N2)が2次巻線322に流れる。尚、本実施形態では、変圧器32の変流比(=N1/N2)を1よりも大きくするために、1次巻数N1は2次巻数N2よりも大きくする。また、変圧器32は、現実的には、漏れ磁束や巻線の銅損等によって理想変圧器とはならないが、理想変圧器の場合の変圧比並びに変流比が略成立する。
整流回路34は、変圧器32の2次巻線322より出力される電圧V2を全波整流した電圧V3をLED4に印加する。尚、電圧を電力に置き換えても同様のことが言え、整流回路34は、変圧器32の2次巻線322より取り出される電力を全波整流してLED4に供給する。
整流回路34は、本実施形態の場合、4つのダイオード素子341a〜341dを用いたブリッジ整流回路である。電圧V2が大地Eの電位を基準として正の場合にはダイオード素子341a、341dを介してLED4に印加され、電圧V2が大地Eの電位を基準として負の場合にはダイオード素子341b、341cを介してLED4に印加される。即ち、整流回路34よりLED4に印加される電圧V3は、変圧器32の2次巻線322より取り出される電圧V2を全波整流した電圧となる。
図3は、図2に示した変圧器32の効果を説明するための電力供給器3の等価回路である。尚、図3では、説明の便宜上、図2に示した整流回路34は省略し、また、電線Lと大地Eとの間の静電容量Cを等価抵抗Rに置き換え、さらに、電線Lと対地Eとの間の電圧(電線Lへの印加電圧)を交流電源としてのVで表している。
1次巻線N1は「n」且つ2次巻線N2は「1」として変流比nの場合とし、LED4の電圧(2次電圧)と電流(2次電流)をそれぞれvとiで表現したとき、電線Lへの印加電圧Vは、等価抵抗Rの電圧と1次巻線321の1次電圧を加算して、つぎの式(1)で表すことができる。また、式(1)を変形すると、LED4の電流iは、つぎの式(2)として表すことができる。
V = R*(n/i)+n*v ・・・(1)
i = n*(V/R)−n*n*(1/R)*v ・・・(2)
V = R*(n/i)+n*v ・・・(1)
i = n*(V/R)−n*n*(1/R)*v ・・・(2)
式(2)は、電力供給器3におけるLED4の電圧vと電流iの関係を示した負荷線を表している。ところで、一般的に、電線Lへの印加電圧Vはキロ(10の3乗)オーダであり、また、等価抵抗Rはメガ(10の6乗)オーダである。一方、LED4の電圧vは、一般的に数V程度であるので、印加電圧Vや等価抵抗Rと対比して著しくオーダが低い。従って、式(2)において、「−n*n*(1/R)*v」の後項は、「n*(V/R)」の前項よりも無視できる程に小さな値となる。このため、式(2)は、つぎの式(3)で近似することができる。式(3)によれば、LED4の電流iは変流比nに比例して増大していくことが分かる。
i = n*(V/R) ・・・(3)
i = n*(V/R) ・・・(3)
例えば、印加電圧Vを64k(キロ)V、等価抵抗Rを100M(メガ)Ωとして変圧比nを変えていった場合の式(3)の負荷線のグラフに、非線形素子としてのLED4自体の出力特性のグラフを重ね合わせると、図4に示されるグラフとなる。尚、図4では、電力供給器3に変圧器32を設けない場合(式(3)においてn=1とする場合)、電力供給器3に変流比「2」の変圧器32を設ける場合、変流比「4」の変圧器32を設ける場合、それぞれの場合における式(3)の負荷線が示されている。
そして、上記3つの場合それぞれの式(3)の負荷線とLED4自体の出力特性の交点がLED4の動作点となり、この動作点によりLED4の動作電圧v並びに動作電流iが求められる。図4によれば、変圧器32が有る場合と無い場合とでは、変圧器32が有る場合の方がLED4の動作電圧v並びに動作電流iとも高くなることが分かる。また、変流比「2」の場合と変流比「4」の場合とでは、変流比「4」の場合の方がLED4の動作電圧v並びに動作電流iが高くなることが分かる。
以上により、電力供給器3に1次巻線N1を2次巻線N2よりも大きくして変流比を1以上とする変圧器32を設けた結果、負荷40を構成するLED4の発光輝度を所定輝度に高める必要がある際にLED4の個数の抑えることができる。換言すると、LED4の個数当たりの発光輝度を高めることで、LED4の駆動効率を向上させることができる。この結果、LED4等の非線形素子で構成される負荷40を効率良く駆動し、その規模を抑えることができ、負荷40を安価に構成することが可能となる。
尚、負荷40を構成する非線形素子としては、LED4に限らず、入力電圧Vに対する出力電流IのV−I特性の中で、入力電圧Vに対する出力電流Iの関係が比例関係とはならない領域が存在し、且つ、入力電圧Vに応じて出力電流Iが増加する領域が存在する非線形素子であればよい。当該非線形素子の例としては、冷陰極管、発光ダイオード、LED、トランジスタ、有機EL(EL:Electro Luminescence)素子、有機トランジスタにEL発光機能を持たせた有機発光トランジスタ等が挙げられる。
上記の非線形素子の特性タイプについて以下例を挙げて説明する。例えば、図10(a)に示されるように、入力電圧Vが0Vから第1の閾値電圧VF1までの領域では出力電流Iが0Aであり、第1の閾値電圧VF1を超える領域では入力電圧Vに比例して出力電流Iが線形的に増加するタイプ(以下、タイプIと呼ぶ)が挙げられる。尚、入力電圧Vに対して出力電流Iが線形的に増加している領域では、入力電圧Vに対する出力電流Iの勾配を表す一次微分(=dI/dV))が正の所定値となっている。
また、図10(b)に示されるように、入力電圧Vが0Vから第1の閾値電圧VF1までの領域では出力電流Iが0Aであり、入力電圧Vが第1の閾値電圧VF1から第1の閾値電圧VF1よりも大きい第2の閾値電圧VF2までの領域では、入力電圧Vに比例して出力電流Iが線形的に増加し、入力電圧Vが第2の閾値電圧VF2を超えると入力電圧Vに応じて出力電流Iが一定(飽和)となるタイプ(タイプII)が挙げられる。尚、入力電圧Vに応じて出力電流Iが一定となっている領域では、上記一次微分が0となっている。
さらに、図10(c)に示されるように、入力電圧Vが0Vから第1の閾値電圧VF1までの領域、入力電圧Vが第1の閾値電圧VF1から第2の閾値電圧VF2までの領域、入力電圧Vが第2の閾値電圧VF2以上となる領域それぞれで、入力電圧に対する出力電流の増加勾配が異なるタイプ(タイプIII)が挙げられる。尚、各領域において、上記一次微分が異なる正の所定値となっている。
さらに、図10(d)に示されるように、入力電圧Vが0Vから第1の閾値電圧VF1までの領域では出力電流Iが0Aであり、入力電圧Vが第1の閾値電圧VF1を超えると入力電圧Vに応じて出力電流Iが指数関数的に増加するタイプ(タイプIV)である。尚、指数関数的に増加している領域は、入力電圧Vに対する出力電流Iの一次微分が正且つ二次微分が正となっている。タイプIVは、タイプIの特性の中で線形的に増加する領域を指数関数的に増加する領域に変えたものであり、同様に、タイプII、タイプIIIに関しても線形的に増加する領域を指数関数的に増加する領域に変えたタイプが考えられる。
上記のような非線形素子を変圧器32の負荷とすることによって、変流比が1以上の変圧器32を設けた場合の非線形素子の負荷線とV−I特性線とが交わる動作点によって定められる動作電流が、変圧器32を設けない場合の非線形素子の負荷線とV−I特性線とが交わる動作点によって定められる動作電流よりも大きくなる。この結果、上記非線形素子により構成される負荷40を効率良く駆動することができる。
尚、LED4のV−I特性は、指数関数を用いた近似式によって表現できることが知られており、上記のタイプIVに該当する。尚、近似式としては、式(4)が知られている。尚、式(4)の中で、Ifは順方向電流、Isは逆方向電流、Vfは順方向電圧、Aは固定乗数、bは温度係数を表している。
If=Is×(Ab・Vf−1) ・・・(4)
式(4)のように、入力電圧が高くなるに従って出力電流が指数関数的に増加する領域を持った非線形特性であれば、入力電圧が高くなるに従って、入力電圧に対する出力電流の増加勾配が急峻になり、負荷線と交わる動作点によって定められる動作電流をより大きくすることができる。
If=Is×(Ab・Vf−1) ・・・(4)
式(4)のように、入力電圧が高くなるに従って出力電流が指数関数的に増加する領域を持った非線形特性であれば、入力電圧が高くなるに従って、入力電圧に対する出力電流の増加勾配が急峻になり、負荷線と交わる動作点によって定められる動作電流をより大きくすることができる。
つぎに、整流回路34を設けた効果としては、本実施形態では全波整流を採用しているため、半波整流を採用した場合と対比して電力変換効率を向上することができ、LED4に効率良く電力を供給することが可能となる。この結果、LED4等の非線形素子で構成された負荷40の規模を抑えることができる。また、全波整流方式として、本実施形態ではブリッジ型を採用しているため、その他のセンタータップ型を採用した場合と対比して2次巻線321にセンタータップが不要となるため、電力供給器3の変圧器32を小型化できる。
≪電力供給器の実験例≫
図5は、電力供給器3の電気的性能を測定する実験として、変圧器32が有る場合と無い場合それぞれの結果をまとめた表である。尚、LED4として高輝度白色LEDを使用し、電極板1としては「2m×2m」の大きさのものを使用し、電線Lと電極板1との距離は「0.9m」とし、変圧器32が有る場合として変流比「2」の変圧器32を使用した。これらの条件の下で、図5に示す実験結果では、電線Lへの印加電圧Vを「0kV」、「38kV」、「50kV」、「64kV」、「100kV」と変えていった場合に、変圧器32が有る場合と無い場合それぞれにおいてLED4の動作電圧(V)、動作電流(mA)、発光輝度(cd/m2)の計測値がまとめられている。
図5は、電力供給器3の電気的性能を測定する実験として、変圧器32が有る場合と無い場合それぞれの結果をまとめた表である。尚、LED4として高輝度白色LEDを使用し、電極板1としては「2m×2m」の大きさのものを使用し、電線Lと電極板1との距離は「0.9m」とし、変圧器32が有る場合として変流比「2」の変圧器32を使用した。これらの条件の下で、図5に示す実験結果では、電線Lへの印加電圧Vを「0kV」、「38kV」、「50kV」、「64kV」、「100kV」と変えていった場合に、変圧器32が有る場合と無い場合それぞれにおいてLED4の動作電圧(V)、動作電流(mA)、発光輝度(cd/m2)の計測値がまとめられている。
図6(a)は、図5に示す実験結果の中から電線Lへの印加電圧Vに対応したLED4の動作電流の計測値を、変圧器32が有る場合と無い場合とでまとめた表である。図6(b)は、図6(a)に示す表をグラフ化したものである。図6(a)、(b)により、変圧器32が有る場合の方が変圧器32が無い場合よりもLED4の動作電流が大きいことが分かる。
図7(a)は、図5に示す実験結果の中から電線Lへの印加電圧Vに対応したLED4の発光輝度の計測値を、変圧器32が有る場合と無い場合とでまとめた表である。図7(b)は、図7(a)に示す表をグラフ化したものである。図7(a)、(b)により、変圧器32が有る場合の方が変圧器32が無い場合よりもLED4の発光輝度が高いことが分かる。
≪電源装置の応用例≫
電源装置100の応用例として、LED4により構成された架空送電線用標識灯の電源として電源装置100を使用する場合を以下例に挙げて説明する。尚、架空送電線用標識灯は、架空送電線用標識灯の一実施形態である。
電源装置100の応用例として、LED4により構成された架空送電線用標識灯の電源として電源装置100を使用する場合を以下例に挙げて説明する。尚、架空送電線用標識灯は、架空送電線用標識灯の一実施形態である。
図8は、架空送電線用標識灯の外面及び内部構造を示した図である。図8に示す架空送電線用標識灯10は、LED4と、外層(カバー)7と、支持部9とを備える。
LED4は、白色灯等の高輝度発光ダイオードが用いられる。
外層7は、所定の厚さを持つ強化プラスチック等であり、LED4が差し込まれて固定されるような構造である。換言すれば、外層7は、LED4を覆うような構成になっている。
尚、外層7の表面には、LED4が差し込まれる位置に対応してレンズ8が設けられていてもよい。これによれば、レンズ8による発光出力の集光又は拡散の効果を利用することによって、LED4の光度を効率的に向上することができる。
支持部9は、LED4及び外層7からなる発光部分を支持するものである。
外層7は、所定の厚さを持つ強化プラスチック等であり、LED4が差し込まれて固定されるような構造である。換言すれば、外層7は、LED4を覆うような構成になっている。
尚、外層7の表面には、LED4が差し込まれる位置に対応してレンズ8が設けられていてもよい。これによれば、レンズ8による発光出力の集光又は拡散の効果を利用することによって、LED4の光度を効率的に向上することができる。
支持部9は、LED4及び外層7からなる発光部分を支持するものである。
図9は、架空送電線用標識灯10及び電源装置100を取り付けた電線Lを支持する鉄塔200を示した図である。尚、図1との対応付けを行うと、電極板1としてアルミ板があり、大地Eとして鉄塔200がある。
鉄塔200は、アーム210から碍子220を下げてその先に電線Lを支持する懸垂型である。そして、鉄塔200の頂点には架空送電線用標識灯10が取り付けられている。尚、鉄塔200は、懸垂型以外に、ジャンパー線を使って電線Lを繋いでいく耐張型を採用してもよい。
架空送電線用標識灯10は、2つの端子を持ち、一方の端子が鉄塔200を通じて大地Eに接続され、他方の端子が電源装置100の電力供給器3に接続される。なお、架空送電線用標識灯10の外層7と支持部9とが一体化されて、鉄塔200に取り付けられてもよい。
電源装置100は、電線Lが揺れても一定の距離(少なくとも所定の絶縁間隔以上の距離)を保つように湾曲したアルミ板が用いられ、碍子220によって固定された電線Lにアルミ板の凹面が向くとともに、鉄塔200に向かい合うアルミ板の凸面側が電力供給器3を介して鉄塔200に固定された構成になっている。これは、アルミ板を電線Lが揺れる軌跡と平行になるように湾曲させることによって実現できる。この構成により、電線Lが揺れたとしても、電線Lと電極板1との間を一定の距離に保つことができ、電極板1の電位を一定にすることができる。
なお、湾曲したアルミ板ではなく、図1に示すように、平らなアルミ板を電線Lに平行に設ける構成も考えられる。この構成により、電極板1全体として一様に電線Lによる静電誘導作用を受けることができる。
以上によれば、静電誘導を利用した電源装置100を鉄塔側200に設置することによって、給電用の配電設備を配置する等といった電源工事をすることなく、その電源装置100を使用して短期間かつ安価に架空送電線用標識灯10を設置することが可能となる。
また、電源装置100や架空送電線用標識灯10を鉄塔200側に設置することになるので、設備のメンテナンス作業が容易になる。
また、架空送電線用標識灯10のLED4に電力を効率良く供給する電力供給器3が備わっているため、架空送電線用標識灯10の発光輝度を所望の発光輝度に高める必要がある場合に、架空送電線用標識灯10として必要なLED4の個数を抑えることができる。
この結果、LED4の材料費と組み立て工数が抑えられ、架空送電線用標識灯10の製造コストを抑えることができる。また、LED4の接続箇所が結果的に減少して断線の危険が減少するので、設置後のメンテナンスコストが抑えられる。
さらに、架空送電線用標識灯10として必要なLED4の個数を抑えた結果、架空送電線用標識灯10の規模を抑えることができる。このため、架空送電線用標識灯10として必要な発光輝度を得るための測定が容易となり、その測定に要する測定コストを抑えることができる。また、風による損傷が減少するので、設置後のメンテナンスコストが抑えられる。
以上、本発明を実施するための最良の形態について説明したが、上記実施の形態は本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定して解釈するためのものではない。本発明はその趣旨を逸脱することなく変更、改良され得るとともに、本発明にはその等価物も含まれる。
例えば、上記実施形態では、電線にキロオーダの電圧を印加したことに伴ってメガオーダの等価抵抗に等価される静電容量を生じさせる場合を説明しているが、これに限定されず、静電誘導の発生条件が物体(電線等)への高電圧の印加であって、且つ、当該物体の静電誘導に基づく静電容量を等価した等価抵抗が高ければよい。
1 電極板
3 電力供給器
32 変圧器
321 1次巻線
322 2次巻線
34 整流回路
4 LED
40 負荷
10 架空送電線用標識灯
100 電源装置
200 鉄塔
E 大地
L 電線
3 電力供給器
32 変圧器
321 1次巻線
322 2次巻線
34 整流回路
4 LED
40 負荷
10 架空送電線用標識灯
100 電源装置
200 鉄塔
E 大地
L 電線
Claims (7)
- 静電誘導により所定電位を基準として発生する電位差に応じた電力を、入力電圧に応じて出力電流が非線形に増加する非線形素子で構成された負荷に供給する電源装置であって、
所定の1次巻数を有しており前記電位差が印加される1次巻線と、
当該1次巻数よりも小さい所定の2次巻数を有しており前記電力が取り出される2次巻線と、
を有した変圧器を備えたこと、を特徴とする電源装置。 - 請求項1に記載の電源装置において、
前記2次巻線から取り出される前記電力を全波整流して前記負荷に供給する整流回路を備えること、を特徴とする電源装置。 - 請求項1又は2に記載の電源装置において、
前記電位差は、電線に電圧を印加することに伴う静電誘導によって当該電線と平行に配設した平板状の導電体に生じた電位と前記所定電位との間の電位差であること、を特徴とする電源装置。 - 請求項1又は2に記載の電源装置において、
前記電位差は、電線に電圧を印加することに伴う静電誘導によって当該電線と平行に設けられるとともに当該電線と向かい合う側の面が凹面となる湾曲板状の導電体に生じた電位と前記所定電位との間の電位差であること、を特徴とする電源装置。 - 請求項1乃至4のいずれかに記載の電源装置において、
前記非線形素子は、入力電圧に応じて出力電流が指数関数的に増加する領域を持つ非線形特性を有すること、を特徴とする電源装置。 - 請求項5に記載の電源装置において、
前記非線形素子は、発光素子であり、
前記負荷は、前記発光素子を具備した架空送電線用標識灯であること、
を特徴とする電源装置。 - 請求項6に記載の電源装置において、
前記架空送電線用標識灯は、前記発光素子を覆うとともに前記鉄塔に取り付けられるカバーを備え、
前記カバーは、前記発光素子の発光出力を集光又は拡散するためのレンズを有すること、
を特徴とする電源装置。
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