JP2009287665A - パイプライン危険地域監視システム - Google Patents
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Abstract
【解決手段】腐蝕があってストレス負荷のかかるパイプ区間107を計算し、その区間からガスが噴出した場合の拡散を拡散方程式にて解析する。ガス拡散による広がりの図形を求め、その内部に入る建物、公共施設111〜113を地図データから検索し、その位置の拡散濃度を元に危険度を設定する。このとき風向や風速を考慮する。危険度が高い場所に建物や公共施設がある場合には、輸送流量を別ルートのパイプライン102に振り分けることによって危険度を下げるためのガスの輸送圧力を計算し、パイプライン101のガス輸送圧力を低減することによってガス拡散の影響範囲を低減する。
【選択図】図1
Description
r=0.69・d・√p
とされている。ここで、d:パイプの外形(インチ)、p:パイプ区間の最大許容圧力、r:インパクトサークル(フィート)である。
r=0.69・d・√p ・・・(1)
ここで、d:パイプの外形(インチ)、p:パイプ区間の最大許容圧力(MAOP:Maximum Allowable Operating Pressure)、r:インパクトサークル(フィート)である。rはパイプラインからの距離であり、インパクトサークルの円の半径である。そして、HCAは、これらの円の外周を接続して得られる帯情報として計算される。米国以外では、rは予め決められた距離によって定義されることもある。
パイプラインに沿って、HCAを表す帯領域を設定する。この帯領域の計算は、図5に示すように、パイプラインを表す線分に一定幅を付加して帯図形を生成することで行う。この帯情報は図7に示すように、パイプライン線分801の幅付け線分(HCA境界線)802,803として以下のようにして生成することができる。
(Y2−Y1)(X3−X2)=(X2−X1)(Y3−Y2) ・・・(4)
に対応するので、場合分けを通して実施する。P2から、HCA境界線802に垂直に出した線分との交点を点808、点809とすると、点808,809の間は中心点P2、半径dの円弧補完により図形を置き換える。さらに線分の端がある場合には、半径dにより円弧補完を行う。これにより、境界線802,803により、HCA領域を図形として定義することができる。
ストレス計算部208は、腐食データベース202から腐食データを検索する。この腐食データはパイプライン参照点からの距離によって管理されているため、距離をキーワードとして検索する。
ストレス計算部208はステップ12により検索された腐食データと、パイプ区間に関するパイプ鋼材の特性情報(グレードやカテゴリ、内径、肉厚など)を有するパイプ属性データをパイプ属性データベース204から検索し、これらのデータを用いて腐食範囲に対してストレス計算を行い、腐食部分にかかるストレスを計算する。このストレス計算は有限要素法(Finite Element Method)又は、機械・材料力学に基づく代数的な方式によって求める。代数的な方式では以下のようになる。
F>Fth ・・・(11)
では、危険パイプ区間302となる。そして危険パイプ区間に対してHCAが計算され監視優先範囲304が特定される。この危険パイプ区間302は座標データとともに、監視区間特定部209によって監視範囲データベース203に格納される。
ガス圧力計算部210では、パイプラインに沿った輸送圧力分布を計算する。この計算は、一般的に知られたガス輸送流量計算式によって行うことができる。
ガス漏洩・爆発範囲計算部211は、風向きに関するデータを風速、風向計又は、気象情報から取得する。これらのデータはSCADA217から取得することができる。図8に示す監視システムにおいては、SCADA904から気象情報を取得する例について示している。
ガス漏洩・爆発範囲計算部211では、式(13)に示す拡散方程式を解くことによりガス拡散範囲の計算を行う。漏洩到達範囲の計算にはNavier-Stokes方程式及び、連続方程式、ガスの拡散方程式を用いる。以下の偏微分方程式により求める。
Ca<C<Cb ・・・(15)
のようにC値が予め決められた閾値CaとCbの中に入る場合は、この範囲のガス濃度領域図形に含まれるものとする。そして複数の正方形メッシュで、Cの値を数値計算で求めた後、ガス濃度範囲の境界となるメッシュを求め、境界図形として登録する。形状305,306,307,308は、求められた濃度領域の境界線を表す。
住宅・公共施設検索部212では、ガス拡散領域において、ガス拡散範囲に建物や鉄道、道路などの公共施設図形が含まれるかどうかを、地図データを用いて検索する。具体的には、ガス拡散領域の内部は、ガス濃度によって記述されるため、ステップ16によって得られた危険ガス濃度の境界(等高線)図形の内部に含まれる図形を検索する。各図形から構成点座標を選択し、その構成点から垂直方向に線分を伸ばし、その線分が等高線と完全交差する回数を数える。同じ等高線に奇数回完全交差すればガス拡散領域の内側にあり、偶数回完全交差すればガス拡散領域の外側にある。
安全判定部213では、ガス拡散範囲に含まれる領域に対して、危険度を付加する。この危険度は、ガス拡散シミュレーションが安定した結果となるのを待って付加される。具体的には、メッシュ分割された領域に対して、最大のガス濃度Cmaxを求め、
Cn<Cmax<Cn+1
ならば、危険度Rは、
R=n ・・・ (16)
とする。このとき、Cmaxを有するメッシュがHCAの中に含まれている場合は、HCAの内部では、危険度mが付加されているとして、全体の危険度Rは、
R=n+m ・・・(17)
とする。式(16)において、閾値Cn,Cn+1はユーザによって決定される。ここで得られた結果は、安全性判定部213によって、監視範囲データベース203に格納される。
監視区間特定部209は、ステップ12〜18の処理をすべての危険パイプ区間で行ったかどうかをチェックする。もし別の危険パイプ区間が存在すれば、その区間でガス拡散予測を行う。
F >Fth ・・・(18)
の場合に、破断時のガス拡散の計算を行う。そして、ガスが拡散したときの影響範囲を求める。パイプラインの輸送圧力は時々刻々変化し、風速及び風向に応じて予想されるガス拡散範囲は変動する。
Q=Qa−Qb ・・・(19)
とする。このとき、排出圧力を減少させてコンプレッサーステーションの圧力を決定する。これは、式(12)により求めることができる。これを簡略形式で書くと
QA=F(Qa,P2,P1)
QB=F(Qb,P2,P1) ・・・(20)
とすることによって圧力を調節する。
図6に示す、ステップ11からステップ14までを実施し、ガス圧力計算部210において、パイプ内の輸送圧力分布を求め、危険パイプ区間における圧力値を計算する。
図6に示す、ステップ15からステップ16までと同様の処理を行い、ガス拡散範囲を計算する。
建物・公共施設検索部212と安全性判定部213では、予め決められた閾値に基づいて危険ガス濃度領域の中に含まれる建物や公共施設を検索する。
危険ガス濃度領域の中に建物や公共施設を含まない場合には終了する。含む場合には、ステップ25に進む。
パイプラインルート選択部214では、現在使用できるバイパスパイプライン、迂回パイプラインから最短の距離となるルートを選択する。これはパイプ形状データベース201から検索する。
新たなバイパスルート、迂回ルートが存在しない場合には終了する。存在する場合にはステップ27に進む。
流量調節部215では、従来のパイプラインの現在の流量をQ1、変更流量をΔQとして、次のように設定する。また、新しいパイプラインの流量Q2を次のように設定する。
Q1(NEW)=Q1(CURRENT)−ΔQ ・・・(21)
Q2(NEW)=Q2(CURRENT)+ΔQ ・・・(22)
この流量に基づいて式(12)を実行し、出口圧力を同一にして、基幹パイプライン及びバイパスパイプラインの入り口圧力が一致するようにΔQを調節する。このあと、ステップ21を実行する。
Claims (6)
- ネットワークを構成するパイプラインの形状情報を格納したパイプ形状データベースと、
前記パイプラインに存在する腐食に関する情報を格納した腐食データベースと、
前記パイプラインの近くの建物や公共施設の情報を格納した地図データベースと、
前記腐食データベースに格納された腐食に関する情報に基づいて、前記パイプラインの腐食部分にかかるストレスを計算するストレス計算部と、
前記腐食部分に閾値以上のストレスがかかるパイプ区間を危険パイプ区間として抽出する監視区間特定部と、
前記パイプラインの輸送圧力分布を計算する圧力計算部と、
前記危険パイプ区間が破断したと仮定したときの前記破断部分から噴出するガスの拡散を予測計算するガス漏洩範囲計算部と、
前記ガス漏洩範囲計算部で計算されたガスの危険濃度領域に入る建物や公共施設を前記地図データベースから検索する検索部と、
前記パイプライン形状データベースから前記危険パイプ区間を含むルートの代替ルートを検索するパイプラインルート選択部と、
前記危険濃度範囲に含まれる建物や公共施設が少なくなるように前記パイプラインに流すガスの流量を前記代替ルートに振り分ける流量調節部と、
を有することを特徴とするパイプライン危険地域監視システム。 - 請求項1記載のパイプライン危険地域監視システムにおいて、前記圧力計算部は、パイプラインの入り口部及び出口部の圧力と流量を監視するSCADAから送られる圧力値と流量の情報を用いて前記輸送圧力分布を計算することを特徴とするパイプライン危険地域監視システム。
- 請求項1記載のパイプライン危険地域監視システムにおいて、前記ガス漏洩範囲計算部は、前記危険パイプ区間付近の風向及び風速データを考慮してガスの拡散を予測計算することを特徴とするパイプライン危険地域監視システム。
- 請求項1記載のパイプライン危険地域監視システムにおいて、前記パイプラインはガスを輸送するものであることを特徴とするパイプライン危険地域監視システム。
- 請求項1記載のパイプライン危険地域監視システムにおいて、前記パイプラインは揮発性液体を輸送するものであることを特徴とするパイプライン危険地域監視システム。
- 請求項1記載のパイプライン危険地域監視システムにおいて、前記危険濃度範囲に含まれる建物や公共施設にアラーム情報を通知することを特徴とするパイプライン危険地域監視システム。
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