JP2009283544A - 薄膜太陽電池及びその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明の目的は、集電孔を形成する際に発生する機械的又は熱的な歪みを防止し、光電変換層の膜厚の差異により発生する電極間のショートを防止できる薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
【解決手段】基板2の表面2aには第1の電極層3と光電変換層4と第3の電極層5とが積層され、基板2の裏面2bには第2の電極層8と第4の電極層9とが積層され、基板2には接続孔13及び集電孔11が形成された薄膜太陽電池1の製造方法において、基板2に接続孔13と集電孔11とを同一工程で形成した後に、基板2の表面2aに第1の電極層3を積層するとともに基板2の裏面2bに第2の電極層8を積層するステップと、集電孔11の周縁11a近傍の第1の電極層3のみを除去することにより、集電孔11を介した第1の電極層3と第2の電極層8との間の電気的な接続を絶縁するステップとを含む。
【選択図】図2
【解決手段】基板2の表面2aには第1の電極層3と光電変換層4と第3の電極層5とが積層され、基板2の裏面2bには第2の電極層8と第4の電極層9とが積層され、基板2には接続孔13及び集電孔11が形成された薄膜太陽電池1の製造方法において、基板2に接続孔13と集電孔11とを同一工程で形成した後に、基板2の表面2aに第1の電極層3を積層するとともに基板2の裏面2bに第2の電極層8を積層するステップと、集電孔11の周縁11a近傍の第1の電極層3のみを除去することにより、集電孔11を介した第1の電極層3と第2の電極層8との間の電気的な接続を絶縁するステップとを含む。
【選択図】図2
Description
本発明は、太陽光を利用して電力を発生させる太陽電池及びその製造方法に関し、特に、複数のユニットセル(単位太陽電池)が多段直列接続された薄膜太陽電池及びその製造方法に関する。
従来、プラスチックフィルム等の可撓性を有する基板上に薄膜太陽電池を形成する場合、基板の両面に電極層を積層し、基板を貫通する集電孔等を形成し、そして、この集電孔を通して基板両面の各電極層を接続して形成している。このような構成とすることにより、薄膜太陽電池は基板の面積に対して太陽電池の面積の割合が大きくなり、太陽光の利用効率が高くなる。
図6は、従来の薄膜太陽電池の製造工程を示す断面図である。
図6に示すように、薄膜太陽電池30は、可撓性を有する絶縁性基板31からなり、絶縁性基板31は、厚さが50μmのポリイミド系のフィルムにより構成されている。この絶縁性基板31は、別の形態として、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はアラミド系のフィルム等を用いることができる。
図6に示すように、薄膜太陽電池30は、可撓性を有する絶縁性基板31からなり、絶縁性基板31は、厚さが50μmのポリイミド系のフィルムにより構成されている。この絶縁性基板31は、別の形態として、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、又はアラミド系のフィルム等を用いることができる。
以下に従来の薄膜太陽電池30の製造方法を工程順に説明する。
図6(a)に示すように、第1の工程として、絶縁性基板31に複数の接続孔32を形成する。ここで、接続孔32の直径は1mmのオーダーとなっている。
次に、第2の工程として、図6(b)に示すように、絶縁性基板31の表面31aに第1の電極層33を成膜し、その後、絶縁性基板31の裏面31bに第2の電極層34を成膜する。この際、接続孔32の内周面32aでは第1の電極層33と第2の電極層34とが重なり、互いに導通することになる。また、第1の電極層33及び第2の電極層34は、銀(Ag)の層で構成され、この銀の層は、数百nmの厚さとなるようにスパッタリングにより形成される。なお、第1の電極層33及び第2の電極層34は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)等の金属をスパッタリング又は電子ビーム蒸着等により成膜してもよい。また、第1の電極層33及び第2の電極層34は、金属酸化膜と金属とからなる多層膜としてもよい。
そして、第3の工程として、図6(c)に示すように、絶縁性基板31に複数の集電孔35を形成する。
図6(a)に示すように、第1の工程として、絶縁性基板31に複数の接続孔32を形成する。ここで、接続孔32の直径は1mmのオーダーとなっている。
次に、第2の工程として、図6(b)に示すように、絶縁性基板31の表面31aに第1の電極層33を成膜し、その後、絶縁性基板31の裏面31bに第2の電極層34を成膜する。この際、接続孔32の内周面32aでは第1の電極層33と第2の電極層34とが重なり、互いに導通することになる。また、第1の電極層33及び第2の電極層34は、銀(Ag)の層で構成され、この銀の層は、数百nmの厚さとなるようにスパッタリングにより形成される。なお、第1の電極層33及び第2の電極層34は、アルミニウム(Al)、銅(Cu)、チタン(Ti)等の金属をスパッタリング又は電子ビーム蒸着等により成膜してもよい。また、第1の電極層33及び第2の電極層34は、金属酸化膜と金属とからなる多層膜としてもよい。
そして、第3の工程として、図6(c)に示すように、絶縁性基板31に複数の集電孔35を形成する。
その後、第4の工程として、図6(d)に示すように、絶縁性基板31上の第1の電極層33を分割手段(図示せず)により分割し、切断部36を形成する。
次に、第5の工程として、図6(e)に示すように、絶縁性基板31の表面31a側から光電変換層37を成膜する。この光電変換層37は、薄膜半導体層であり、例えばアモルファスシリコン(a−Si)の膜が用いられる。
そして、第6の工程として、図6(f)に示すように、光電変換層37上に第3の電極層38を成膜する。この第3の電極層38は、透明電極層であり、例えばインジウムスズキオキサイド(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物導電体が用いられる。なお、この際、接続孔32の周縁32b近傍はマスク等で覆い、第3の電極層38が成膜されないようにする。以上の工程により、絶縁性基板31の表面31aに必要な全ての層が積層されることになる。
次に、第5の工程として、図6(e)に示すように、絶縁性基板31の表面31a側から光電変換層37を成膜する。この光電変換層37は、薄膜半導体層であり、例えばアモルファスシリコン(a−Si)の膜が用いられる。
そして、第6の工程として、図6(f)に示すように、光電変換層37上に第3の電極層38を成膜する。この第3の電極層38は、透明電極層であり、例えばインジウムスズキオキサイド(ITO)、酸化スズ(SnO2)、酸化亜鉛(ZnO)等の酸化物導電体が用いられる。なお、この際、接続孔32の周縁32b近傍はマスク等で覆い、第3の電極層38が成膜されないようにする。以上の工程により、絶縁性基板31の表面31aに必要な全ての層が積層されることになる。
次に、第7の工程として、図6(g)に示すように、絶縁性基板31の裏面31b側から第4の電極層39を成膜する。ここで、第4の電極層39は、金属膜からなる低抵抗導電膜で構成されている。この際、集電孔35の内周面35aでは、第3の電極層38と第4の電極層39とが重なり、互いに導通することになる。以上の工程により、絶縁性基板31の表面31a側には、第1の電極層33と光電変換層37と第3の電極層38とからなる表面電極層40が形成され、一方、絶縁性基板31の裏面31b側には、第2の電極層34と第4の電極層39とからなる裏面電極層41が形成される。
最後に、第8の工程として、図6(h)に示すように、絶縁性基板31の両面31a,31bに形成された各層を所定の形状に分割し、切断部36を形成する。これにより、複数のユニットセル(光電変換領域)42が形成される。ここで、第3電極層38と第4電極層39とが集電孔35を通して接続されるとともに、第1の電極層33と裏面電極層41とが接続孔32を通して接続されることにより、隣接し合うユニットセル42が電気的に接続されている。詳細には、薄膜太陽電池30は、裏面電極層41の第4の電極層39→集電孔35→表面電極層40の第3の電極層38→光電変換層37→第1の電極層33→接続孔32→裏面電極層41の第2の電極層34の順で直列接続している。
最後に、第8の工程として、図6(h)に示すように、絶縁性基板31の両面31a,31bに形成された各層を所定の形状に分割し、切断部36を形成する。これにより、複数のユニットセル(光電変換領域)42が形成される。ここで、第3電極層38と第4電極層39とが集電孔35を通して接続されるとともに、第1の電極層33と裏面電極層41とが接続孔32を通して接続されることにより、隣接し合うユニットセル42が電気的に接続されている。詳細には、薄膜太陽電池30は、裏面電極層41の第4の電極層39→集電孔35→表面電極層40の第3の電極層38→光電変換層37→第1の電極層33→接続孔32→裏面電極層41の第2の電極層34の順で直列接続している。
一方、特許文献1には、可撓性を有する基板の表面及び裏面の両方に電極層を積層し、基板を貫通する集電孔を通して基板の両面の電極層を接続するようにした薄膜太陽電池の製造方法が開示されている。
特許文献1では、図6の方法とは異なり、基板1に第1の電極層k及び第3の電極層(本願の第2の電極層に相当)s3を成膜する場合、まず基板1に表面側から裏面側へ貫通する接続孔h1及び集電孔h2を形成し、その後、基板1の表面側に第1の電極層kを成膜するとともに、基板1の裏面側の集電孔h2周縁近傍及び集電孔h2の内周面以外の領域に第3の電極層s3を成膜している。
特開2001−156305号公報
特許文献1では、図6の方法とは異なり、基板1に第1の電極層k及び第3の電極層(本願の第2の電極層に相当)s3を成膜する場合、まず基板1に表面側から裏面側へ貫通する接続孔h1及び集電孔h2を形成し、その後、基板1の表面側に第1の電極層kを成膜するとともに、基板1の裏面側の集電孔h2周縁近傍及び集電孔h2の内周面以外の領域に第3の電極層s3を成膜している。
上述の図6の従来の薄膜太陽電池の製造方法では、絶縁性基板31に第1の電極層33及び第2の電極層34を全面形成した後に、絶縁性基板31に集電孔35を形成していたので、パンチ等の機械的な手段で集電孔35を形成する場合、裏面側にバリ等が発生しやすかった。加えて、集電孔35の周縁近傍の第1の電極層33に機械的歪みが発生し、その結果、絶縁性基板31と第1の電極層33とが剥離しやすくなり、ピンホールの発生原因となっていた。
一方、特許文献1では、基板1に第3の電極層(本願の第2の電極層に相当)s3を成膜する際に、基板1の裏面側の集電孔h2周縁近傍及び集電孔h2の内周面をマスクし、これにより、第1の電極層kと第3の電極層s3とが集電孔h2内で導通しないようにしている。
しかしながら、このような構成とすると、基板1の表面側の集電孔h2の周縁近傍には第1の電極層kが成膜されているので、この状態で集電孔h2の内周面に光電変換層aを成膜すると、光電変換層aの膜厚が基板1の表面側に比べて薄くなる。このように基板1上で光電変換層aの膜厚に差異があると、電極間でショートする確率が高くなってしまう。
また、特許文献1では、最初に基板1に接続孔h1及び集電孔h2を形成した後に、第1の電極層k及び第3の電極層s3を基板1に成膜しているが、この際、例えば、機械的な手段で接続孔h1及び集電孔h2を形成する場合には、基板1に機械的な歪みが残ることになる。その結果、基板1と第1の電極層kとが剥離しやすくなり、ピンホールの発生原因となるという問題があった。
しかしながら、このような構成とすると、基板1の表面側の集電孔h2の周縁近傍には第1の電極層kが成膜されているので、この状態で集電孔h2の内周面に光電変換層aを成膜すると、光電変換層aの膜厚が基板1の表面側に比べて薄くなる。このように基板1上で光電変換層aの膜厚に差異があると、電極間でショートする確率が高くなってしまう。
また、特許文献1では、最初に基板1に接続孔h1及び集電孔h2を形成した後に、第1の電極層k及び第3の電極層s3を基板1に成膜しているが、この際、例えば、機械的な手段で接続孔h1及び集電孔h2を形成する場合には、基板1に機械的な歪みが残ることになる。その結果、基板1と第1の電極層kとが剥離しやすくなり、ピンホールの発生原因となるという問題があった。
本発明はこのような実状に鑑みてなされたものであって、その目的は、接続孔及び集電孔を形成する際に発生する機械的あるいは熱的な歪みを防止し、且つ光電変換層の膜厚の差異によって発生する電極間のショートを防止することが可能な薄膜太陽電池及びその製造方法を提供することにある。
上記従来技術の有する課題を解決するために、請求項1の本発明では、可撓性を有する絶縁性基板の表面には第1の電極層と光電変換層と第3の電極層とを当該順に積層してなる表面変換層が形成されるとともに、前記絶縁性基板の裏面には第2の電極層と第4の電極層とを当該順に積層してなる裏面電極層が形成され、前記絶縁性基板には表面から裏面まで貫通する接続孔及び集電孔が形成され、前記絶縁性基板の両面側に形成された各層を分割することにより前記絶縁性基板内には複数の光電変換領域が形成され、隣接する前記光電変換領域の前記第3の電極層と前記裏面電極層とが前記接続孔及び前記集電孔を介して電気的に接続されている薄膜太陽電池の製造方法において、前記絶縁性基板に前記接続孔と前記集電孔とを同一工程で形成した後に、前記絶縁性基板の表面に前記第1の電極層を積層するとともに前記絶縁性基板の裏面に前記第2の電極層を積層するステップと、前記絶縁性基板の前記集電孔の周縁近傍の前記第1の電極層のみを除去することにより、前記集電孔を介した前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の電気的な接続を絶縁するステップとを含む。
請求項2の本発明では、前記絶縁性基板に前記接続孔と前記集電孔とを同一工程で形成した後で、且つ前記絶縁性基板に前記第1の電極層と前記第2の電極層とを積層する前に、前記絶縁性基板を100℃以上400℃以下の温度で加熱処理するステップを含む。
請求項3の本発明では、可撓性を有する絶縁性基板の表面には第1の電極層と光電変換層と第3の電極層とを当該順に積層してなる表面変換層が形成されるとともに、前記絶縁性基板の裏面には第2の電極層と第4の電極層とを当該順に積層してなる裏面電極層が形成され、前記絶縁性基板には表面から裏面まで貫通する接続孔及び集電孔が形成され、前記絶縁性基板の両面側に形成された各層を分割することにより前記絶縁性基板内には複数の光電変換領域が形成され、隣接する前記光電変換領域の前記第3の電極層と前記裏面電極層とが前記接続孔及び前記集電孔を介して電気的に接続されている薄膜太陽電池において、前記絶縁性基板の前記表面上の前記第1の電極層は、前記集電孔の周縁近傍を覆わないように形成されており、前記集電孔の周縁近傍は、前記光電変換層で覆われている。
上述の如く、本発明によれば、可撓性を有する絶縁性基板の表面には第1の電極層と光電変換層と第3の電極層とを当該順に積層してなる表面変換層が形成されるとともに、前記絶縁性基板の裏面には第2の電極層と第4の電極層とを当該順に積層してなる裏面電極層が形成され、前記絶縁性基板には表面から裏面まで貫通する接続孔及び集電孔が形成され、前記絶縁性基板の両面側に形成された各層を分割することにより前記絶縁性基板内には複数の光電変換領域が形成され、隣接する前記光電変換領域の前記第3の電極層と前記裏面電極層とが前記接続孔及び前記集電孔を介して電気的に接続されている薄膜太陽電池の製造方法において、前記絶縁性基板に前記接続孔と前記集電孔とを同一工程で形成した後に、前記絶縁性基板の表面に前記第1の電極層を積層するとともに前記絶縁性基板の裏面に前記第2の電極層を積層するステップと、前記絶縁性基板の前記集電孔の周縁近傍の前記第1の電極層のみを除去することにより、前記集電孔を介した前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の電気的な接続を絶縁するステップとを含むので、絶縁性基板に第1の電極層及び第2の電極層を成膜した後に接続孔及び集電孔を形成することがなくなり、従来のように第1の電極層にバリが発生することがなくなる。また、接続孔及び集電孔を形成する際に、第1の電極層に機械的な歪みが発生することもなくなるので、絶縁性基板と第1の電極層とが剥離しにくくなる。これにより、第1の電極層と絶縁性基板との間の付着力が向上することになり、信頼性の高い薄膜太陽電池を提供することができる。
また、従来の特許文献1の方法では、基板の表面側において、集電孔の内周面に形成される光電変換層の膜厚が基板の表面側に比べて薄くなり、電極間でショートする確率が高くなるという問題があった。これに対し、本発明では、絶縁性基板の集電孔の周縁近傍の第1の電極層を除去するので、第1の電極層を除去した部分に光電変換層を積層することになり、その結果、集電孔の周縁近傍の光電変換層を従来に比べて厚く形成することができる。これにより、集電孔の内周面に形成される光電変換層の膜厚と、基板の表面側に形成される光電変換層の膜厚との差異が小さくなるので、電極間でショートするのを防止することができる。
また、従来の特許文献1の方法では、基板の表面側において、集電孔の内周面に形成される光電変換層の膜厚が基板の表面側に比べて薄くなり、電極間でショートする確率が高くなるという問題があった。これに対し、本発明では、絶縁性基板の集電孔の周縁近傍の第1の電極層を除去するので、第1の電極層を除去した部分に光電変換層を積層することになり、その結果、集電孔の周縁近傍の光電変換層を従来に比べて厚く形成することができる。これにより、集電孔の内周面に形成される光電変換層の膜厚と、基板の表面側に形成される光電変換層の膜厚との差異が小さくなるので、電極間でショートするのを防止することができる。
更に、本発明によれば、前記絶縁性基板に前記接続孔と前記集電孔とを同一工程で形成した後で、且つ前記絶縁性基板に前記第1の電極層と前記第2の電極層とを積層する前に、前記絶縁性基板を100℃以上400℃以下の温度で加熱処理するステップを含むので、絶縁性基板に接続孔及び集電孔を形成する際に発生するバリを小さくすることができる。これにより、絶縁性基板と第1の電極層とが剥離しにくくなり、ピンホールの発生を防止することができる。
更に、本発明によれば、可撓性を有する絶縁性基板の表面には第1の電極層と光電変換層と第3の電極層とを当該順に積層してなる表面変換層が形成されるとともに、前記絶縁性基板の裏面には第2の電極層と第4の電極層とを当該順に積層してなる裏面電極層が形成され、前記絶縁性基板には表面から裏面まで貫通する接続孔及び集電孔が形成され、前記絶縁性基板の両面側に形成された各層を分割することにより前記絶縁性基板内には複数の光電変換領域が形成され、隣接する前記光電変換領域の前記第3の電極層と前記裏面電極層とが前記接続孔及び前記集電孔を介して電気的に接続されている薄膜太陽電池において、前記絶縁性基板の前記表面上の前記第1の電極層は、前記集電孔の周縁近傍を覆わないように形成されており、前記集電孔の周縁近傍は、前記光電変換層で覆われているので、集電孔の内周面に形成される光電変換層の膜厚と、基板の表面側に形成される光電変換層の膜厚との差異が小さくなり、電極間でショートするのを防止することができる。
以下、本発明に係る薄膜太陽電池の製造方法の実施形態を、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池1の平面図を示した図である。
図1に示すように、薄膜太陽電池1は、可撓性を有する絶縁性基板2を備え、該基板2の表面(すなわち、光入射面)2aには、第1の電極層3と光電変換層4と透明な第3の電極層5とを当該順に積層してなる表面電極層6が形成されている。そして、基板2の光入射面2a上の表面電極層6は、パターニングライン7により複数に分割されている。
また、基板2の裏面2b上には、第2の電極層8と第4の電極層9とを当該順で積層してなる裏面電極層10が形成されており、該裏面電極層10も同様に、パターニングライン(図示せず)により複数に分割されている(図2参照)。
また、基板2には、基板2を貫通する略円状の集電孔11が設けられており、第3の電極層5と裏面電極層10とが集電孔11を通して接続されている。これにより、基板2の光入射面2a上の各層と基板2の裏面2b上の裏面電極層10とからなるユニットセル(光電変換領域)12が形成されている。
また、基板2には、基板2を貫通する略円状の接続孔13が設けられており、第1の電極層3と裏面電極層10とを接続孔13を通して接続することにより、隣接し合うユニットセル12が電気的に接続されている。詳細には、集電孔11及び接続孔13は、裏面電極層10の第4の電極層9→集電孔11→第3の電極層5→光電変換層4→第1の電極層3→接続孔13→裏面電極層10の第2の電極層8の順に直列接続するために利用されている。
以上のように、隣接し合うユニットセル12を電気的に直列接続することにより、薄膜太陽電池1が構成されている。
図1に示すように、薄膜太陽電池1は、可撓性を有する絶縁性基板2を備え、該基板2の表面(すなわち、光入射面)2aには、第1の電極層3と光電変換層4と透明な第3の電極層5とを当該順に積層してなる表面電極層6が形成されている。そして、基板2の光入射面2a上の表面電極層6は、パターニングライン7により複数に分割されている。
また、基板2の裏面2b上には、第2の電極層8と第4の電極層9とを当該順で積層してなる裏面電極層10が形成されており、該裏面電極層10も同様に、パターニングライン(図示せず)により複数に分割されている(図2参照)。
また、基板2には、基板2を貫通する略円状の集電孔11が設けられており、第3の電極層5と裏面電極層10とが集電孔11を通して接続されている。これにより、基板2の光入射面2a上の各層と基板2の裏面2b上の裏面電極層10とからなるユニットセル(光電変換領域)12が形成されている。
また、基板2には、基板2を貫通する略円状の接続孔13が設けられており、第1の電極層3と裏面電極層10とを接続孔13を通して接続することにより、隣接し合うユニットセル12が電気的に接続されている。詳細には、集電孔11及び接続孔13は、裏面電極層10の第4の電極層9→集電孔11→第3の電極層5→光電変換層4→第1の電極層3→接続孔13→裏面電極層10の第2の電極層8の順に直列接続するために利用されている。
以上のように、隣接し合うユニットセル12を電気的に直列接続することにより、薄膜太陽電池1が構成されている。
以下に、本実施形態に係る薄膜太陽電池1の基板2及び各電極層について説明する。
本実施形態において、基板2は、厚さ50μmのポリイミドフィルムで構成されている。ここで、基板2については、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいはアラミド等の絶縁性のプラスチックフィルムも用いることもできる。また、本実施形態では、膜厚は50μmのものを用いているが、膜厚はこの厚さに限定されるものではない。
また、基板2上には、3個一列の集電孔11の列が5mm間隔で複数形成されている。この間隔は、薄膜太陽電池1のパターンにより任意の値に変更することができる。また、集電孔11の形状は必ずしも円である必要はなく、別の形状としてもよい。例えば、集電孔11は、薄膜太陽電池の特性を向上させるために、集電孔11の面積はできるだけ小さくしつつ、且つ周辺の長さができるだけ長くなるような形状が良い。
本実施形態において、基板2は、厚さ50μmのポリイミドフィルムで構成されている。ここで、基板2については、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエーテルサルフォン(PES)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、あるいはアラミド等の絶縁性のプラスチックフィルムも用いることもできる。また、本実施形態では、膜厚は50μmのものを用いているが、膜厚はこの厚さに限定されるものではない。
また、基板2上には、3個一列の集電孔11の列が5mm間隔で複数形成されている。この間隔は、薄膜太陽電池1のパターンにより任意の値に変更することができる。また、集電孔11の形状は必ずしも円である必要はなく、別の形状としてもよい。例えば、集電孔11は、薄膜太陽電池の特性を向上させるために、集電孔11の面積はできるだけ小さくしつつ、且つ周辺の長さができるだけ長くなるような形状が良い。
本実施形態において、第1の電極層3は、基板2上から銀(Ag)ターゲット(図示せず)と、銀を主成分とする銀合金ターゲット(図示せず)と、透明導電性ターゲット(図示せず)とを当該順で積層してなる。本実施形態では、銀合金ターゲットとしてはアルミニウム(Al)を0.5wt%含むターゲットを用い、透明導電性ターゲットとしてはアルミニウムを0.3wt%含んだ酸化亜鉛(ZnO)ターゲットを用いている。なお、第1の電極層3の構成は、これに限定されるものでなく、例えば、基板2の表面2a側にある銀合金ターゲットに対し外側にある透明導電性ターゲットの方をアルミニウムの添加量を多くしてもよい。
また、本実施形態において、銀合金ターゲットは、上述のようにアルミニウムを0.5wt%含むものであるが、アルミニウムの代わりにクロム(Cr)、チタン(Ti)を同時に含んでもよい。アルミニウム、クロム、チタン等の元素の添加量は、0.03wt%〜1wt%程度がよい。なぜなら、添加量が少ないと耐食性等の向上の効果が得られず、多すぎると、銀ターゲットの反射率が低下したり、添加した元素が酸化亜鉛ターゲットへ拡散してしまう等の問題が発生してしまうためである。
また、本実施形態では、透明導電性ターゲットは、酸化亜鉛ターゲットであるが、酸化亜鉛に限定されるものでなく、他の材料を用いることもできる。
また、本実施形態において、銀合金ターゲットは、上述のようにアルミニウムを0.5wt%含むものであるが、アルミニウムの代わりにクロム(Cr)、チタン(Ti)を同時に含んでもよい。アルミニウム、クロム、チタン等の元素の添加量は、0.03wt%〜1wt%程度がよい。なぜなら、添加量が少ないと耐食性等の向上の効果が得られず、多すぎると、銀ターゲットの反射率が低下したり、添加した元素が酸化亜鉛ターゲットへ拡散してしまう等の問題が発生してしまうためである。
また、本実施形態では、透明導電性ターゲットは、酸化亜鉛ターゲットであるが、酸化亜鉛に限定されるものでなく、他の材料を用いることもできる。
本実施形態において、光電変換層4は、薄膜半導体層により構成されており、水素化アモルファスシリコン(a−Si:H)系の材料から形成されている。この光電変換層4には1つ以上のn−i−p接合が形成されている。
また、透明電極層5は、スパッタリング成膜したインジウムスズキオキサイド(ITO)を用いている。なお、本実施形態では、透明電極層5としてインジウムスズキオキサイドを用いているが、これに限定されるものでなく、酸化亜鉛等の酸化導電膜を用いることもできる。
そして、第4の電極層9は、金属膜からなる低抵抗導電膜であり、本実施形態では、スパッタリング成膜したニッケル(Ni)を用いている。なお、本実施形態では、第4の電極層9としてニッケルを用いているが、これに限定されるものでなく、ニッケル以外の材料も使用することもできる。
また、透明電極層5は、スパッタリング成膜したインジウムスズキオキサイド(ITO)を用いている。なお、本実施形態では、透明電極層5としてインジウムスズキオキサイドを用いているが、これに限定されるものでなく、酸化亜鉛等の酸化導電膜を用いることもできる。
そして、第4の電極層9は、金属膜からなる低抵抗導電膜であり、本実施形態では、スパッタリング成膜したニッケル(Ni)を用いている。なお、本実施形態では、第4の電極層9としてニッケルを用いているが、これに限定されるものでなく、ニッケル以外の材料も使用することもできる。
次に、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池の製造方法について説明する。図2は、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池1の製造工程を工程順に示した図である。
第1の工程として、図2(a)に示すように、ポリイミドフィルムの基板2に所定の数の集電孔11及び接続孔13を形成する。本実施形態では、金型を基板2上にプレスすることで集電孔11及び接続孔13を形成する。なお、本実施形態では、金型を使用しているが、これに限定されるものではなく、他の方法でも集電孔11及び接続孔13を形成することもできる。
さらに、集電孔11及び接続孔13を形成した後に基板2に加熱処理を施す。本実施形態では、加熱温度を350℃として行っており、これにより、基板2に残存している水分を除去し、且つ基板2上のバリが熱による応力緩和により小さくなる。また、本実施形態において、加熱処理時間は1〜5分が好ましい。より好ましくは2〜3分である。これは、加熱処理時間が短すぎると所定の処理による効果が十分ではなくなり、また、加熱処理時間が長すぎるとフィルムにダメージが発生することになるためである。また、基板2は、ロールツーロール方式により搬送されるが、加熱処理は、巻取ロール(図示せず)に巻取りながら行われる。なお、加熱温度については、基板2の耐熱温度によって設定されることになるが、高い方が好ましく、200℃〜400℃の範囲に設定するのが良い。更に好ましくは、350℃〜400℃の範囲に設定するのが良い。
さらに、集電孔11及び接続孔13を形成した後に基板2に加熱処理を施す。本実施形態では、加熱温度を350℃として行っており、これにより、基板2に残存している水分を除去し、且つ基板2上のバリが熱による応力緩和により小さくなる。また、本実施形態において、加熱処理時間は1〜5分が好ましい。より好ましくは2〜3分である。これは、加熱処理時間が短すぎると所定の処理による効果が十分ではなくなり、また、加熱処理時間が長すぎるとフィルムにダメージが発生することになるためである。また、基板2は、ロールツーロール方式により搬送されるが、加熱処理は、巻取ロール(図示せず)に巻取りながら行われる。なお、加熱温度については、基板2の耐熱温度によって設定されることになるが、高い方が好ましく、200℃〜400℃の範囲に設定するのが良い。更に好ましくは、350℃〜400℃の範囲に設定するのが良い。
第2の工程として、図2(b)に示すように、基板2の表面2aに第1の電極層3を成膜するとともに、裏面2bに第2の電極層8を成膜する。この際、集電孔11及び接続孔13では第1の電極層3と第2の電極層8とが重なり、互いに導通することになる。なお、第1の電極層3と第2の電極層8の成膜順はどちらが先でもよいが、好ましくは第1の電極層3が先の方が良い。ここで、第1の電極層3と第2の電極層8とは、ロールツーロール方式のスパッタリング装置(図示せず)を用いて成膜され、第1の電極層3及び第2の電極層8の厚さの合計は数百nmの厚さとなる。
本実施形態では、上述のように、基板2に加熱処理を行う場合と、基板2に第1の電極層3及び第2の電極層8を成膜する場合とで別々の装置を使用しているが、例えば、真空槽内で基板の加熱処理を行い、その後、第1の電極層3及び第2の電極層8を成膜するように、同一の真空槽内で2つの工程を実施することも可能である。
本実施形態では、上述のように、基板2に加熱処理を行う場合と、基板2に第1の電極層3及び第2の電極層8を成膜する場合とで別々の装置を使用しているが、例えば、真空槽内で基板の加熱処理を行い、その後、第1の電極層3及び第2の電極層8を成膜するように、同一の真空槽内で2つの工程を実施することも可能である。
次に、第3の工程として、図2(c)に示すように、基板2の集電孔11の周縁11a近傍の第1の電極層3のみを除去する。詳細には、集電孔11の周縁11aにおける基板2上の第1の電極層3と、集電孔11の周縁11aにおける内周面11b上の第1の電極層3を除去する。これにより、集電孔11を介した第1の電極層3と第2の電極層8との間の電気的な接続が絶縁される。ここで、除去される第1の電極層3は、集電孔11の周縁11aの極めて近傍のみが好ましい。除去される第1の電極層3が大きくなると、発電有効面積が減少することになり、その結果、出力が低下してしまうためである。また、本実施形態では、第1の電極層3の除去は、YAG(ヤグ)の第2高周波レーザを用いて行う。なお、レーザの種類はこれに限定されるものでなく、他のレーザを使用してもよい。
さらに、この工程では、集電孔11の周縁11a近傍の第1の電極層3を除去するとともに、基板2上の第1の電極層3を分割手段(図示せず)により所定の形状に分割する。これにより、第1の電極層3にはパターニングライン(切断部)3aが形成される。
さらに、この工程では、集電孔11の周縁11a近傍の第1の電極層3を除去するとともに、基板2上の第1の電極層3を分割手段(図示せず)により所定の形状に分割する。これにより、第1の電極層3にはパターニングライン(切断部)3aが形成される。
次に、第4の工程として、図2(d)に示すように、基板2の表面2a側から光電変換層4を成膜する。これにより、第1の電極層3上に光電変換層4が形成されることになる。この際、第3の工程において、集電孔11の周縁11aの第1の電極層3が除去されているので、集電孔11の周縁11aにおける基板2上と集電孔11の周縁11aにおける内周面11b上とが、光電変換層4で覆われることになる。この光電変換層4は、上述したように水素化アモルファスシリコン膜からなり、本実施形態では、水素化アモルファスシリコン膜はグロー放電分解法により成膜される。
また、第5の工程として、図2(e)に示すように、基板2の表面2a側からスパッタリングにより透明電極層5を成膜する。これにより、光電変換層4の上に透明電極層5が形成されることになる。この際、接続孔13の周縁13a近傍にはマスクを施し、接続孔13の周縁13a近傍に光電変換層4が成膜されないようにする。
次に、第6の工程として、図2(f)に示すように、基板2の裏面2b側から第4の電極層9を成膜する。これにより、第3の電極層5の上に第4の電極層9が形成されることになる。この際、集電孔11の内周面11bでは、第3の電極層5と第4の電極層9とが重なり、互いに導通することになる。
そして、最後の工程として、図2(g)に示すように、基板2の両面2a,2bに形成された各層を所定の分割手段(図示せず)により分割する。これにより、表面電極層6及び裏面電極層10とが複数に分割され、複数のユニットセル12が形成される。
以上の工程によって、薄膜太陽電池1が完成することになる。
以上の工程によって、薄膜太陽電池1が完成することになる。
以下に、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池の製造方法において、加熱処理前後のバリの高さを測定した結果を示す。
図3は、図2(a)の工程において集電孔11の周縁11aに形成されたバリの高さを示しており、(a)が集電孔11を形成した直後のバリの高さであり、(b)が加熱処理を行った直後のバリの高さである。
図3に示すように、バリの裾部から頂部までの距離Xが、加熱処理前では29.6μmであるのに対し、加熱処理後では16.1μmとなっている。また、バリの高さYも、加熱処理前では9.4μmであるのに対し、加熱処理後では1.3μmとなっている。このように、基板2に集電孔11及び接続孔13を形成した後に加熱処理を行うことで、バリが小さくなっている。
また、図4は、加熱処理の際の熱処理温度を変化させた場合において、集電孔11の周縁11aに形成されるバリの高さの平均値を示した図である。図4に示すように、熱処理温度を200℃以上に設定することにより、バリの高さは5μmより小さくなる。特に、熱処理温度を350〜400℃に設定した場合においては、バリがほとんど残らないことがわかる。
図3は、図2(a)の工程において集電孔11の周縁11aに形成されたバリの高さを示しており、(a)が集電孔11を形成した直後のバリの高さであり、(b)が加熱処理を行った直後のバリの高さである。
図3に示すように、バリの裾部から頂部までの距離Xが、加熱処理前では29.6μmであるのに対し、加熱処理後では16.1μmとなっている。また、バリの高さYも、加熱処理前では9.4μmであるのに対し、加熱処理後では1.3μmとなっている。このように、基板2に集電孔11及び接続孔13を形成した後に加熱処理を行うことで、バリが小さくなっている。
また、図4は、加熱処理の際の熱処理温度を変化させた場合において、集電孔11の周縁11aに形成されるバリの高さの平均値を示した図である。図4に示すように、熱処理温度を200℃以上に設定することにより、バリの高さは5μmより小さくなる。特に、熱処理温度を350〜400℃に設定した場合においては、バリがほとんど残らないことがわかる。
次に、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池と従来の薄膜太陽電池とについて、リーク電流と変換効率の2種類の特性を測定して結果を示す。
図5は、本実施形態に係る薄膜太陽電池の2種類の特性を測定した結果を示しており、(a)は本実施形態に係る薄膜太陽電池で発生したリーク電流の電流値をヒストグラムで示しており、(b)は本実施形態に係る薄膜太陽電池の変換効率をヒストグラムで示している。一方、図7は、従来の薄膜太陽電池の2種類の特性を測定した結果を示しており、(a)は従来の薄膜太陽電池で発生したリーク電流の電流値をヒストグラムで示しており、(b)は従来の薄膜太陽電池の変換効率をヒストグラムで示している。
リーク電流に関しては、図5(a)及び図7(a)が示すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池で発生するリーク電流の電流値は、従来に比べて低い値に偏っている。また、変換効率に関しては、図5(b)及び図7(b)が示すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池の変換効率は、従来に比べて高い値(8%以上)に偏っている。
これは、本実施形態では、従来のように第1の電極層3に機械的な歪みが発生することがなくなるので、ピンホール等が発生することが少なくなり、リーク電流の発生が抑えられることによると考えられる。加えて、本実施形態では、基板2に集電孔11及び接続孔13を形成する際に形成されるバリも加熱処理により小さくなるので、第1の電極層3と基板2とが剥離しにくくなり、ピンホール等の発生を防止することができることによると考えられる。
図5は、本実施形態に係る薄膜太陽電池の2種類の特性を測定した結果を示しており、(a)は本実施形態に係る薄膜太陽電池で発生したリーク電流の電流値をヒストグラムで示しており、(b)は本実施形態に係る薄膜太陽電池の変換効率をヒストグラムで示している。一方、図7は、従来の薄膜太陽電池の2種類の特性を測定した結果を示しており、(a)は従来の薄膜太陽電池で発生したリーク電流の電流値をヒストグラムで示しており、(b)は従来の薄膜太陽電池の変換効率をヒストグラムで示している。
リーク電流に関しては、図5(a)及び図7(a)が示すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池で発生するリーク電流の電流値は、従来に比べて低い値に偏っている。また、変換効率に関しては、図5(b)及び図7(b)が示すように、本実施形態に係る薄膜太陽電池の変換効率は、従来に比べて高い値(8%以上)に偏っている。
これは、本実施形態では、従来のように第1の電極層3に機械的な歪みが発生することがなくなるので、ピンホール等が発生することが少なくなり、リーク電流の発生が抑えられることによると考えられる。加えて、本実施形態では、基板2に集電孔11及び接続孔13を形成する際に形成されるバリも加熱処理により小さくなるので、第1の電極層3と基板2とが剥離しにくくなり、ピンホール等の発生を防止することができることによると考えられる。
上述のように、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池の製造方法によれば、可撓性を有する絶縁性基板2の表面2aには第1の電極層3と光電変換層4と第3の電極層5とを当該順に積層してなる表面変換層6が形成されるとともに、基板2の裏面2bには第2の電極層8と第4の電極層9とを当該順に積層してなる裏面電極層10が形成され、基板2には表面2aから裏面2bまで貫通する接続孔13及び集電孔11が形成され、基板2の両面2a,2b側に形成された各層を分割することにより基板2内には複数の光電変換領域11が形成され、隣接する光電変換領域11の第3の電極層5と裏面電極層10とが接続孔13及び集電孔11を介して電気的に接続されている薄膜太陽電池1の製造方法において、基板2に接続孔13と集電孔11とを同一工程で形成した後に、基板2の表面2aに第1の電極層3を積層するとともに基板2の裏面2bに第2の電極層8を積層するステップと、基板2の集電孔11の周縁11a近傍の第1の電極層3のみを除去することにより、集電孔11を介した第1の電極層3と第2の電極層8との間の電気的な接続を絶縁するステップとを含むので、基板2に第1の電極層3及び第2の電極層8を成膜する後に集電孔11及び接続孔13を形成することがなくなり、従来のように第1の電極層3あるいは第2の電極層8にバリが発生することがなくなる。また、集電孔11及び接続孔13を形成する際に、第1の電極層3に機械的な歪みが発生することもなくなるので、基板2と第1の電極層3とが剥離しにくくなる。これにより、第1の電極層3と基板2との間の付着力が向上することになり、信頼性の高い薄膜太陽電池1を提供することができる。
また、従来の特許文献1の方法では、基板の表面側において、集電孔の内周面に形成される光電変換層の膜厚が基板の表面側に比べて薄くなり、電極間でショートする確率が高くなるという問題があった。これに対し、本発明では、基板2の集電孔11の周縁11a近傍の第1の電極層3を除去するので、第1の電極層3を除去した部分に光電変換層4を積層することになり、その結果、集電孔11の周縁11a近傍の光電変換層4を従来に比べて厚く形成することができる。これにより、集電孔11の内周面11bに形成される光電変換層4の膜厚と、基板2の表面2a側に形成される光電変換層4の膜厚との差異が小さくなるので、電極間でショートするのを防止することができる。
また、従来の特許文献1の方法では、基板の表面側において、集電孔の内周面に形成される光電変換層の膜厚が基板の表面側に比べて薄くなり、電極間でショートする確率が高くなるという問題があった。これに対し、本発明では、基板2の集電孔11の周縁11a近傍の第1の電極層3を除去するので、第1の電極層3を除去した部分に光電変換層4を積層することになり、その結果、集電孔11の周縁11a近傍の光電変換層4を従来に比べて厚く形成することができる。これにより、集電孔11の内周面11bに形成される光電変換層4の膜厚と、基板2の表面2a側に形成される光電変換層4の膜厚との差異が小さくなるので、電極間でショートするのを防止することができる。
また、本発明の実施形態に係る薄膜太陽電池の製造方法によれば、基板2に接続孔13と集電孔11とを同一工程で形成した後で、且つ基板2に第1の電極層3と第2の電極層8とを積層する前に、基板2を100℃以上400℃以下の温度で加熱処理するステップを含むので、基板2に集電孔11及び接続孔13を形成する際に発生するバリ等の機械的な歪みを小さくすることができる。これにより、基板2と第1の電極層3とが剥離しにくくなり、ピンホールの発生を防止することができる。
以上、本発明の実施の形態につき述べたが、本発明は既述の実施形態に限定されるものでなく、本発明の技術的思想に基づいて各種の変形及び変更が可能である。
1 薄膜太陽電池
2 基板
2a 基板の表面
2b 基板の裏面
3 第1の電極層
4 光電変換層
5 第3の電極層
6 表面電極層
7 パターニングライン
8 第2の電極層
9 第4の電極層
10 裏面電極層
11 集電孔
11a 集電孔の周縁
11b 集電孔の内周面
12 ユニットセル
13 接続孔
13a 接続孔の周縁
2 基板
2a 基板の表面
2b 基板の裏面
3 第1の電極層
4 光電変換層
5 第3の電極層
6 表面電極層
7 パターニングライン
8 第2の電極層
9 第4の電極層
10 裏面電極層
11 集電孔
11a 集電孔の周縁
11b 集電孔の内周面
12 ユニットセル
13 接続孔
13a 接続孔の周縁
Claims (3)
- 可撓性を有する絶縁性基板の表面には第1の電極層と光電変換層と第3の電極層とを当該順に積層してなる表面変換層が形成されるとともに、前記絶縁性基板の裏面には第2の電極層と第4の電極層とを当該順に積層してなる裏面電極層が形成され、前記絶縁性基板には表面から裏面まで貫通する接続孔及び集電孔が形成され、前記絶縁性基板の両面側に形成された各層を分割することにより前記絶縁性基板内には複数の光電変換領域が形成され、隣接する前記光電変換領域の前記第3の電極層と前記裏面電極層とが前記接続孔及び前記集電孔を介して電気的に接続されている薄膜太陽電池の製造方法において、
前記絶縁性基板に前記接続孔と前記集電孔とを同一工程で形成した後に、前記絶縁性基板の表面に前記第1の電極層を積層するとともに前記絶縁性基板の裏面に前記第2の電極層を積層するステップと、
前記絶縁性基板の前記集電孔の周縁近傍の前記第1の電極層のみを除去することにより、前記集電孔を介した前記第1の電極層と前記第2の電極層との間の電気的な接続を絶縁するステップと
を含むことを特徴とする薄膜太陽電池の製造方法。 - 前記絶縁性基板に前記接続孔と前記集電孔とを同一工程で形成した後で、且つ前記絶縁性基板に前記第1の電極層と前記第2の電極層とを積層する前に、前記絶縁性基板を100℃以上400℃以下の温度で加熱処理するステップを含むことを特徴とする請求項1に記載の薄膜太陽電池の製造方法。
- 可撓性を有する絶縁性基板の表面には第1の電極層と光電変換層と第3の電極層とを当該順に積層してなる表面変換層が形成されるとともに、前記絶縁性基板の裏面には第2の電極層と第4の電極層とを当該順に積層してなる裏面電極層が形成され、前記絶縁性基板には表面から裏面まで貫通する接続孔及び集電孔が形成され、前記絶縁性基板の両面側に形成された各層を分割することにより前記絶縁性基板内には複数の光電変換領域が形成され、隣接する前記光電変換領域の前記第3の電極層と前記裏面電極層とが前記接続孔及び前記集電孔を介して電気的に接続されている薄膜太陽電池において、
前記絶縁性基板の前記表面上の前記第1の電極層は、前記集電孔の周縁近傍を覆わないように形成されており、前記集電孔の周縁近傍は、前記光電変換層で覆われていることを特徴とする薄膜太陽電池。
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2012108231A1 (ja) * | 2011-02-09 | 2012-08-16 | 富士電機株式会社 | 薄膜太陽電池及びその製造方法 |
WO2013038578A1 (ja) * | 2011-09-15 | 2013-03-21 | 富士電機株式会社 | 薄膜太陽電池及びその製造方法 |
US20220262834A1 (en) * | 2020-03-13 | 2022-08-18 | Boe Technology Group Co., Ltd. | Light detection substrate, manufacturing method thereof and light detection apparatus |
-
2008
- 2008-05-20 JP JP2008131814A patent/JP2009283544A/ja active Pending
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