JP2009279769A - 繊維強化プラスチック製段付きパイプ及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】樹脂を含浸させた連続繊維を用いて、長さ方向でパイプの肉厚の異なった段付きパイプとされる大型の繊維強化プラスチック製段付きパイプを生産性良く製造するための製造方法を提供する。
【解決手段】(a)マンドレル52の長さ方向の所定位置に、ピン70A、70Bをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、このピンを使用して、フィラメントワインディング法によりマンドレル52の外周面に樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体を形成し、その後、マンドレル52からピンを取り外す工程と、(b)その後、フィラメントワインディング法により繊維強化プラスチック積層体及びマンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成する工程と、(c)各繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化させる工程と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、一般に、マグナス風車の羽根、街灯のポール、大型のロボットアーム等に使用される大型で長尺の繊維強化プラスチック製パイプ及びその製造方法に関するものである。
図10に示すように、マグナス風車200は、円筒形のパイプ201の周囲に螺旋状の羽根202を取り付け、風をこの螺旋状の羽根202で受け、円筒形のパイプ201を自転させながら、円筒形のパイプ201を公転させる機構とされる。このマグナス風車200にて、円筒形のパイプ201には、軽量で高剛性、且つ先端部に向けての更なる軽量化が必要とされる。また、一方、街灯等のポールにも、風圧による基部のモーメント力を小さくするために先端部ほど軽量化が要求される。
更に説明すると、上述のように、マグナス風車200の円筒部パイプ201には、図10に示すように円筒部自ら自転しながら、風車の羽根として公転をする機能が要求される。マグナス風車200の性能をアップさせるためにはこの自転のスピードを上げる必要がある。そのためには、パイプ断面の大型化、使用する材料の曲げ弾性率アップ、及び使用材料の軽量化が求められる。
一方、風車の羽根としての出力機能アップを図るために、パイプの長さの長尺化、及びパイプ断面の大型化が求められる。
このような厳しい用途へ用いる部材としては、軽量で、高強度、高弾性率を有する繊維強化プラスチック部材が最適である。
現在、マグナス風車200の円筒部パイプ201には、炭素繊維強化プラスチック製パイプが使用されている。これは長さ方向に均一な断面で、且つ均一厚みの形状をもったパイプで、特許文献1や特許文献2などに示されるように、炭素繊維強化プラスチック製ロールの製造方法が転用されたものである。この方法は、マンドレルの両端にピンを立てて樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けて積層する方法か、或いは、マンドレルの軸に巻きつけてターンをさせることによる積層方法が取られている。この方法では、長さ方向に一定の厚みでしか成形できない。
しかし、繊維強化プラスチック部材を特許文献1や特許文献2などに示されるように、均一断面のパイプとして使用すると、風車の羽根の先端部が、必要以上の厚みを有し、重量も重くなり、風車公転時に、風車羽根の基部に大きな曲げモーメントとして跳ね返ってくる。風車は長期間使用されることから、この風車羽根基部の曲げ疲労強度は、ほぼ無限回数に耐えるパイプ強度が要求される。このため、風車羽根の基部にかかる力は、なるべく小さくする必要がある。そのためには、風車羽根の先端部にいくほど、パイプの肉厚を薄くし、パイプ径を落とさずに軽量化を達成する必要があった。
また、風車自転時においても、風車羽根の長さが長くなり、重量が増してくると、危険回転数が低下し、自転の回転数が上げられず、風車として十分な機能を果たせなくなるという課題からも軽量化を達成する必要があった。
長さ方向に厚みを変えようとすると、樹脂を硬化させた後、切削加工をして段付きのパイプを製作するしか方法がない。これだと、切削による歩留りロスや、切削加工の手間のため、コストアップとなり問題である。
なお、ゴルフシャフトやロボットハンド等は、樹脂を含浸させたプリプレグシートを、マンドレルに巻きつけて成形される。この方法だと、長さ方向に厚みを変えたものや、テーパーを付けたパイプを容易に得ることができる。つまり、マンドレルに巻きつけるシートを長さ方向で増減させることで実現できる。
しかし、この方法は、長さ3m以下の小型のものに採用可能な方法で、3mを超える大型のものには、設備が大型となり、又シートを接着する際、押さえ付ける必要があるため、押さえロールを段付きに変える必要があり、設備上困難なものとなる。これを避けるため、実際は人力で押さえ付けを行っているが、パイプが大きくなると、多くの人手を要し、コストアップとなり問題となっている。
一方、街灯等のポールは、現在殆ど金属製が採用されており、先になるほど細くする方法が取られている。つまり、街灯等のポールにおいては、金属製の場合、先端にいくほどパイプ径を細くして、自然の風雨等によってパイプ基部にかかる曲げの力を、なるべく小さくする工夫がなされている。
なお、金属製の場合は、溶接ができるために、パイプの長さ方向でパイプの厚みを変更することは大型成形物でも容易である。
しかし最近は、繊維強化プラスチック製のパイプも軽量化や耐食性向上を狙って一部採用がなされている。この場合の成形方法としては、一般的にプルトルージョンという、樹脂を含浸させた連続繊維を加熱金型の中に引き込み、成形と樹脂硬化を同時に行う方法が取られている。この方法では、パイプの長さ方向で全く形状変化をさせることができないため、長さ方向では、均一な断面、均一な厚みとなる。従って、一番強度の必要な基部を元に設計されたものとなり、材料的な無駄が多くコストアップとなるといった問題がある。更には、パイプが長くなり、重量が重くなるとパイプの危険振動数が低下し、風速の強い風を受けた際に、風により発生する振動がこの危険振動数に達し、破壊するといった問題があり、採用が難しいといった課題があった。
同様なことが、大型のロボットアームにおいても発生する。大型のロボットアームを高速で動かそうとすると、止めた際の自励振動数がパイプの危険振動数をオーバーし、高速で動かせないといった問題があった。
特開平6−297589号公報 特開2006−102832号公報
上述したように、繊維強化プラスチック製パイプの場合、長さ3m、更には、5m超える大型成形物になってくると、樹脂を含浸させた連続繊維シートをマンドレルに巻き付ける方法は、長さ方向に均一に圧力をかけて巻きつけることが難しくなり、一般的には、樹脂を含浸させた連続繊維を直接マンドレルに巻きつける方法が取られる。
しかし、従来から一般的に使用されている、上記特許文献1や特許文献2に開示される方法を用いて、テーパー付きや段付きのパイプを製造しようとすると、上述したように、パイプの長さ方向で、樹脂を含浸した連続繊維の量を増減できない。そのため、径を長さ方向で違えたマンドレルに巻きつけ積層しても、外形の変化は見られるが、パイプの長さ方向の断面内に投入された、樹脂を含浸した連続繊維の量は同じであることから、重量も同じで、無駄の多いものとなっていた。
そこで、本発明の目的は、繊維強化プラスチックにて形成され、長さ方向でパイプの肉厚を異ならせ、基部と先端部の肉厚を違えることにより、軽量化を達成し、また、コストの低減を図ることのできる繊維強化プラスチック製段付きパイプを提供することである。
本発明の他の目的は、樹脂を含浸させた連続繊維を用いて、長さ方向でパイプの肉厚の異なった段付きパイプとされる大型の繊維強化プラスチック製段付きパイプを生産性良く製造するための繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法を提供することである。
本発明の他の目的は、長さ方向でパイプの肉厚を変更することができ、パイプを固定する基部の肉厚を厚くし、基部から離れるほど厚みを薄くして、使用目的に最適な材料設計のできる繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法を提供することである。
上記目的は本発明に係る繊維強化プラスチック製段付きパイプ及びその製造方法にて達成される。要約すれば、第1の本発明によれば、フィラメントワインディング法により、樹脂を含浸させた連続繊維から成る強化繊維束をマンドレルに巻き付け、マンドレルの外周面に樹脂含浸の繊維強化プラスチック積層体を形成し、この後、この繊維強化プラスチック積層体を硬化させて中空の繊維強化プラスチック製パイプを製造する方法において、
(a)前記マンドレルの長さ方向の一端部と他端部との間の所定位置に、樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けるピンをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、前記ピンを使用して、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と前記ピンとの間の前記マンドレルの外周面に樹脂含浸の繊維強化プラスチック積層体を形成し、その後、前記マンドレルから前記ピンを取り外す工程と、
(b)その後、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と他端部との間の、前記繊維強化プラスチック積層体及び前記マンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成する工程と、
(c)前記各繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化させ、長さ方向に厚みの違った繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造する工程と、
を有することを特徴とする繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法が提供される。
第1の本発明にて、一実施態様によれば、前記工程(a)と前記工程(b)との間に、
(d)前記マンドレルの外周面に形成された繊維強化プラスチック積層体と前記マンドレルの他端部との間の、前記繊維強化プラスチック積層体が形成されていない前記前記マンドレルの所定位置に、樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けるピンをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、前記ピンを使用して、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と前記ピンとの間の前記繊維強化プラスチック積層体及び前記マンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成し、その後、前記マンドレルから前記ピンを取り外す工程、
を少なくとも一つ有する。
他の実施態様によれば、前記工程(b)が終了した後に、前記工程(c)を実施し、前記各繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化させる。
他の実施態様によれば、前記マンドレルから前記ピンを取り外した後、当該ピン近傍に位置し、前記マンドレルの周方向に沿って存在する前記繊維強化プラスチック積層体の積層乱れ部を切断除去するか、又は、前記切断除去により生じた前記マンドレルの周方向に沿って存在する前記繊維強化プラスチック積層体の切断端面と前記マンドレル外周面との間の段差部に樹脂又は発泡材を充填して応力集中緩和部を形成する。
第2の本発明によれば、フィラメントワインディング法により、樹脂を含浸させた連続繊維から成る強化繊維束をマンドレルに巻き付け、マンドレルの外周面に樹脂含浸の繊維強化プラスチック積層体を形成し、この後、この繊維強化プラスチック積層体を硬化させて中空の繊維強化プラスチック製パイプを製造する方法において、
(a)前記マンドレルの長さ方向の一端部と他端部との間の所定位置に、樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けるピンをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、前記ピンを使用して、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と前記ピンとの間の前記マンドレルの外周面に樹脂含浸の繊維強化プラスチック積層体を形成し、前記繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化し、その後、前記マンドレルから前記ピンを取り外す工程と、
(b)その後、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と他端部との間の、前記繊維強化プラスチック積層体及び前記マンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成し、前記各繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化し、長さ方向に厚みの違った繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造する工程と、
を有することを特徴とする繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法が提供される。
第2の本発明にて、一実施態様によれば、前記工程(a)と前記工程(b)との間に、
(d)前記マンドレルの外周面に形成された繊維強化プラスチック積層体と前記マンドレルの他端部との間の、前記繊維強化プラスチック積層体が形成されていない前記前記マンドレルの所定位置に、樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けるピンをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、前記ピンを使用して、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と前記ピンとの間の前記繊維強化プラスチック積層体及び前記マンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成し、前記繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化し、その後、前記マンドレルから前記ピンを取り外す工程、
を少なくとも一つ有する。
他の実施態様によれば、前記マンドレルから前記ピンを取り外した後、当該ピン近傍に位置し、前記マンドレルの周方向に沿って存在する前記繊維強化プラスチック積層体の積層乱れ部を切断除去し、この切断除去により生じた前記マンドレルの周方向に沿って存在する前記繊維強化プラスチック積層体の切断端面と前記マンドレル外周面との間の段差部をテーパー状に切削するか、又は、前記段差部に樹脂又は発泡材を充填して応力集中緩和部を形成する。
上記各本発明にて、一実施態様によれば、前記複数のピンはリングに一体に植設され、前記リングが前記マンドレルの外周面に着脱自在に取り付けられる。
他の実施態様によれば、前記マンドレルは、その断面形状が、丸形状又は三角形状以上の多角形状である。
他の実施態様によれば、前記マンドレルは、その形状が、長さ方向に同一の形状であるか、段状とされるか、又は、テーパー形状とされる。
他の実施態様によれば、前記強化繊維束は、ガラス繊維、アラミド繊維、若しくは炭素繊維が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドで構成される。
他の実施態様によれば、前記繊維強化プラスチック積層体を形成する樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、フェノール樹脂のいずれかである。
他の実施態様によれば、前記応力集中緩和部を形成する樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、フェノール樹脂のいずれかであり、前記応力集中緩和部を形成する発泡材は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂のいずれかである。
本発明の他の態様によれば、繊維強化プラスチックにて形成された中空形状の繊維強化プラスチック製のパイプであって、
前記繊維強化プラスチック製のパイプは、上述のいずれかの製造方法によって製造され、長さ方向に厚みの違った繊維強化プラスチック製のパイプであることを特徴とする繊維強化プラスチック製段付きパイプが提供される。
一実施態様によれば、前記繊維強化プラスチック製段付きパイプは、その断面形状が、丸形状又は三角形状以上の多角形状である。
他の実施態様によれば、前記繊維強化プラスチック製段付きパイプは、その内径部が、長さ方向に同一の形状であるか、段状とされるか、又は、テーパー形状とされる。
本発明の繊維強化プラスチック製段付きパイプは、繊維強化プラスチックにて形成され、長さ方向でパイプの肉厚を異ならせ、基部と先端部の肉厚を違えることにより、軽量化、及び、コストの低減を図ることができる。
また、本発明によれば、樹脂を含浸させた連続繊維を用いて、長さ方向でパイプの肉厚の異なった段付きパイプとされる大型の繊維強化プラスチック製段付きパイプを生産性良く製造することができる。従って、本発明によれば、長さ方向でパイプの肉厚を変更することができ、パイプを固定する基部の肉厚を厚くし、基部から離れるほど厚みを薄くして、使用目的に最適な材料設計のできる繊維強化プラスチック製段付きパイプを提供できる。
以下、本発明に係る繊維強化プラスチック製段付きパイプ及びその製造方法を図面に則して更に詳しく説明する。
先ず、従来の繊維強化プラスチック製段付きパイプ及びその製造方法について説明する。
図9(a)に、軸線方向に内径、外径が一定の一様断面形状の繊維強化プラスチック製パイプ100Pを示す。図9(b)に、斯かる中空形状の繊維強化プラスチック製パイプ100PをFW(フィラメントワインディング)法にて製造するための製造装置50Aの概略構成を示す。
本例によると、製造装置50Aは、円柱状のマンドレル52を備えたフィラメントワインディング装置51を有し、マンドレル52の軸部53、54は、回転支持手段55、56に回転自在に支持されている。また、マンドレル52は、電動モータなどとされる駆動手段(図示せず)に接続されており、所望の回転方向に任意の回転速度で回転駆動可能とされる。
フィラメントワインディング装置51に隣接して強化繊維供給装置60が配置される。強化繊維供給装置60は、多数本の連続繊維(強化繊維)から成る強化繊維束fを供給するクリール61を備えている。クリール61からの強化繊維束fは、樹脂槽62にて樹脂が含浸され、且つ、複数本が収束されて、樹脂含浸された強化繊維束Fとされる。
本例では、樹脂含浸された強化繊維速Fは、マンドレル52の長手方向に沿って移動するトラバース装置63のガイド手段64により、回転するマンドレル52に供給される。また、本例では、樹脂槽62自体がトラバース装置63に設置されている。
これにより、樹脂が含浸された強化繊維束Fがマンドレル52に角度をつけて巻き付けられ、積層される。これにより、マンドレル52の外周面に樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体が形成される。
この後、マンドレル52は、製造装置50Aから外し、硬化炉(図示せず)に移し、加熱する。これにより、マンドレル52に巻き付けられている樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体は、樹脂を硬化させる。次いで、脱芯装置(図示せず)を用いて、マンドレル52から、硬化された繊維強化プラスチック積層体、即ち、パイプ状の繊維強化プラスチックを取り外して、目的の繊維強化プラスチックパイプ100Pを得ることができる。
従来の上記フィラメントワインディング法では、一定肉厚の一様断面の繊維強化プラスチック製パイプ100Pが製造される。
これに対して、本発明の繊維強化プラスチック製パイプは、例えば図1(a)、(b)に示すように、長さ方向、即ち、軸線方向に肉厚が異なる段付きパイプ100Aとされる。
このような繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aは、上記従来例で説明した製造方法では製造できない。
以下に、図1、図4、図7などに示すような、本発明に従った繊維強化プラスチック製段付きパイプ100(100A、100B、100C)を製造するための製造方法について説明する。
実施例1
本実施例によれば、図1(a)、(b)に示すような中空形状の繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aが得られる。即ち、繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aは、長手方向に沿って内径(D0)が一定で、外径(D1、D2、D3)が三段階に変わる構成とされ、パイプの軸線方向にパイプ肉厚が3段階に変化しており、パイプ両端で厚みの違った形状のパイプとされる。
つまり、本実施例の繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aは、樹脂が含浸された強化繊維束Fにて形成される繊維強化プラスチック層が複数層、層状に積層された樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体101、102、103にて構成される。
即ち、本実施例の繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aは、樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体が3層に積層された第1段目のパイプ(樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体101、102、103)領域100A1と、樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体が2層に積層された第2段目のパイプ(樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体102、103)領域100A2と、樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体が1層とされる第3段目のパイプ(樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体103)領域100A3とを備えている。各樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体101、102、103を構成する強化繊維束Fは、パイプの軸線に対して所定の配向角(α)を有している。
本実施例にて、第1段目のパイプ領域100A1を構成する繊維強化プラスチック積層体101を形成する繊維強化プラスチック層は、配向角(α1)が90°と±15°の層とされる。第1段目及び第2段目のパイプ領域100A1、100A2を構成する繊維強化プラスチック積層体102を形成する繊維強化プラスチック層は、配向角(α2)が90°と±15°の層か、或いは、90°と±45°以下(通常、45°〜15°)の層とされ、また、第1段目、第2段目及び第3段目のパイプ領域100A1、100A2、100A3を構成する繊維強化プラスチック積層体103を形成する繊維強化プラスチック層は、配向角(α3)が90°と±15°の層か、或いは、90°と±45°以下(通常、45°〜15°)の層とされる。
また、第1段目の繊維強化プラスチック層を積層した後、L2の範囲のみに90°層を積層した後、第2段目の繊維強化プラスチック層102を積層することも可能である。つまり、L1の範囲の90°層が第1段目の積層以上に不要な場合は、このような手法が用いられる。
繊維強化プラスチックでパイプ形状の部材を成形する場合、樹脂を硬化させた後金属のマンドレルから、繊維強化プラスチックパイプを脱芯しなくてはいけないが、その脱芯の際、繊維強化プラスチックと金属マンドレルの熱膨張の差を利用して、脱芯し易くする手段が取られるのが普通である。それを可能とするために、金属マンドレルに接した繊維強化プラスチックの層は、90°に近い角度(通常、70°〜90°の間のいずれか)で巻く必要がある。つまり、炭素繊維などの強化繊維の熱膨張率が対金属に対して小さいことを利用してこの方法が採用されている。一方、90°に近い角度の層は、パイプのリング形状を保持する強度を担当する役目を持っている。しかし、要求される量以上は不要なことから、L2の範囲のみに90°に近い角度の層を積層するケースが発生する。90°に近い角度の層を積層する場合、両端に糸を引っ掛けることなく積層できることから、このような方法が可能となる。
同様に、第3段目以降を積層する場合にも適用できる。
本発明に従って作製される繊維強化プラスチック製段付きパイプ100A、即ち、樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体の層構成は、図1(a)、(b)に示した上記構成に限定されるものではなく、種々の構成が可能である。
本実施例にて樹脂含浸繊維強化プラスチック積層体101、102、103を形成する強化繊維束fとしては、連続繊維とされる強化繊維、即ち、炭素繊維、例えば、直径5〜15μmの炭素繊維フィラメントを6000〜48000本収束した炭素繊維束が好適に使用可能であるが、これに限定されるものではない。強化繊維束fとしては、炭素繊維の他に、ガラス繊維、又は、アラミド繊維、ナイロン繊維、ポリエステル繊維、PBO繊維などの有機繊維を単独で、又は、複数種混入してハイブリッドで構成することも可能である。
また、樹脂は、熱硬化性樹脂とすることができ、熱硬化性樹脂としては、常温硬化型或いは熱硬化型のエポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、又は、フェノール樹脂を好適に使用し得る。
強化繊維の体積含有量は、一般に、40〜70体積%、通常、60体積%程度とされる。
次に、上記構成の繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造するための方法及び製造装置について説明する
本実施例においても、上記構成のパイプ100Aは、FW(フィラメントワインディング)法にて製造される。図2に、製造装置50の一実施例の概略構成を示す。
本実施例によると、製造装置50は、従来の製造装置50A(図9)と同様に、円柱状のマンドレル52を備えたフィラメントワインディング装置51を有し、マンドレル52の軸部53、54は、回転支持手段55、56に回転自在に支持されている。また、マンドレル52は、電動モータなどとされる駆動手段(図示せず)に接続されており、所望の回転方向に任意の回転速度で回転駆動可能とされる。
ただ、本実施例によると、図3をも参照すると理解されるように、マンドレル52の長さ方向(軸線方向)の一端部52Aと他端部52Bの間の所定位置に、つまり、上記段付きパイプ100Aの第1段目のパイプ領域100A1に対応する第1段目領域52R1と第2段目のパイプ領域100A2に対応する第2段目領域52R2との境界部S1と、第2段目のパイプ領域100A2に対応する第2段目領域52R2と第3段目のパイプ領域100A3に対応する第3段目領域52R3との境界部S2において、マンドレルの周方向に複数本のピン70(70A、70B)が、着脱自在に植設される。
必要に応じて、更に、ピン70Bと、マンドレル52の他端部52Bの間の所定位置にピンを植設し、第4段目の領域、更には、第5段目領域、それ以上の領域を設けても良い。また、図示してはいないが、必要に応じて、マンドレルの胴部両端部52A、52Bにも、外周辺に沿って複数のピンを植設しても良い。
本実施例における、上記ピン70(70A、70B)は、マンドレル52の胴部52Cに巻き付ける強化繊維束Fのマンドレル胴部52Cにおけるトラバース治具として、或いは、マンドレル胴部52Cの両端における滑り止め治具として機能する。
一方、フィラメントワインディング装置51に隣接して強化繊維供給装置60が配置される。強化繊維供給装置60は、多数本の強化繊維束fを供給するクリール61を備え、クリール61からの強化繊維束fは樹脂槽62にて樹脂が含浸され、且つ、収束されて、樹脂含浸強化繊維束Fとされる。次いで、この樹脂含浸強化繊維速Fは、トラバース装置63へと送給される。本実施例では、先に説明した従来装置と同様に、樹脂槽62自体がトラバース装置63に設置されており、トラバース装置63を構成している。
本実施例では、先ず、マンドレル52の第1段目領域52R1を使用して、第1段目のパイプ領域100A1についてFW法を実施する。
なお、図2は、後述する第2段目のパイプ領域100A2のFWを実施している態様を示しているが、第1段目のパイプ領域100A1も同様にして行われる。
つまり、トラバース装置63は、図2にて、マンドレル52の左側端52Aと第1ピン70A(図2では点線にて示される)との間にて、回転するマンドレル52の長手方向に沿って移動しながら、マンドレル52に樹脂含浸強化繊維束Fを供給する。
すなわち、樹脂含浸強化繊維束Fは、所定の配向角(α1)=90°の角度にて巻き付けを行う。つまり、マンドレル52の一端部(第1端)52A、即ち、図2にて左側のマンドレル胴部側からマンドレル胴部52Cに巻き付けられた強化繊維束Fは、マンドレル52の他端部(第2端)52B方向の所定位置に植設された第1のピン70Aに達すると、第1のピン70Aの間を通り、隣接する他のピン70Aの間を通ってターンし、再びマンドレル52の第1端52Aである胴部端部へと戻る。この時、マンドレル52の回転方向は、変えることなく一定方向とされる。これにより、樹脂含浸強化繊維束Fがマンドレル52に角度をつけて巻き付けられ、繊維強化プラスチック層が形成される。トラバーススピードとマンドレルの回転数を制御することにより、巻き角度は決定される。
上記操作を所定回数行うことにより、所望の層数の繊維強化プラスチック層からなる第1層目の繊維強化プラスチック積層体101が形成される。
このように、強化繊維束Fの積層体が、所定内の厚みに達したら、製造装置50の運転を停止し、ピン70Aを抜きとる。マンドレル52からピン70Aを取り外した後、第1ピン70Aの周辺の強化繊維の巻き乱れが著しい場合は、マンドレル52の周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体101の積層乱れ部(巻き乱れ部)を切断し、除去しても良い。
また、巻き乱れ部を除去した後、マンドレル52の周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体101の切断端面101aに段差が発生した場合は、図1(b)に部分拡大図にて示すように、繊維強化プラスチック積層体101の切断端面101aとマンドレル外周面との間の段差部に樹脂又は発泡材を充填して、この段差部にテーパーをつけ、応力集中緩和部105を形成する。これにより、この段差部での応力集中を軽減させることができる。
段差部に充填する、即ち、応力集中緩和部105を形成する樹脂としては、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、フェノール樹脂のいずれかとすることができ、また、発泡材としては、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂のいずれかとすることができる。
次いで、マンドレル52の第1段目領域52R1及び第2段目領域52R2を使用して、第1段目のパイプ領域と第2段目のパイプ領域についてFW法を実施する。
つまり、トラバース装置63は、図2に示すように、マンドレル52の左側端(第1端)52Aと第2ピン70Bとの間にて、回転するマンドレル52の長手方向に沿って移動しながら、マンドレル52に樹脂含浸強化繊維束Fを供給する。本実施例では、上述のように、樹脂槽62自体がトラバース装置63を構成している。
これにより、樹脂が含浸された強化繊維束Fが、上記第1段目のパイプ領域101A1と、マンドレル52の第2段目領域52R2とに亘って、所定の角度をつけて巻き付けられ、第1段目の繊維強化プラスチック積層体101と、マンドレル52の第2段目領域52R2の外周面とを覆って繊維強化プラスチック層が形成される。トラバーススピードとマンドレルの回転数を制御することにより、巻き角度は決定される。
上記操作を所定回数行うことにより、所望の層数の繊維強化プラスチック層からなる第2層目の繊維強化プラスチック積層体102が形成される。
このように、繊維強化プラスチック層が積層され、繊維強化プラスチック積層体102が所定厚みに達したら、製造装置50の運転を停止し、第2ピン70Bを抜きとる。
この場合も、上述した第1段目の場合と同様に、マンドレル52からピン70Bを取り外した後、第1ピン70Bの周辺の強化繊維の巻き乱れが著しい場合は、マンドレル52の周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体102の積層乱れ部(巻き乱れ部)を切断し、除去しても良い。
また、巻き乱れ部を除去した後、マンドレル52の周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体102の切断端面102aに段差が発生した場合は、図1(b)に部分拡大図にて示すように、繊維強化プラスチック積層体102の切断端面102aとマンドレル外周面との間の段差部に、上述した樹脂又は発泡材を充填して、この段差部にテーパーをつけ、応力集中緩和部105を形成する。これにより、この段差部での応力集中を軽減させることができる。
次いで、マンドレル52の第1段目領域52R1、第2段目領域52R2及び第3段目領域52R3を使用して、第1段目のパイプ領域100A1、第2段目のパイプ領域100A2、及び、第3段目のパイプ領域100A3についてFW法を実施する。
つまり、トラバース装置63は、図2にて、マンドレル52の両端部(即ち、第1端52Aと第2端52B)の間で、即ち、マンドレル全長に亘って、回転するマンドレル52の長手方向に沿って移動しながら、マンドレル52に樹脂が含浸された強化繊維束Fを供給する。
これにより、樹脂含浸強化繊維束Fが、上記第1段目のパイプ領域100A1と、第2段目のパイプ領域100A2と、第3段目のパイプ領域100A3に相当するマンドレル52の第3段目領域52R3の外周面とを覆って繊維強化プラスチック層が形成される。トラバーススピードとマンドレルの回転数を制御することにより、巻き角度は決定される。
上記操作を所定回数行うことにより、所望の層数の繊維強化プラスチック層からなる第3層目の繊維強化プラスチック積層体103が形成される。
繊維強化プラスチック積層体103が所定内の厚みに達したら、製造装置50の運転を停止する。
これにより、図1示すようなパイプ形状が得られる。
このような方法で積層されたマンドレル付きの繊維強化プラスチック積層体を、装置から取り外し、別置きの硬化炉(図示せず)にいれ、樹脂を加熱硬化させ、硬化炉から取り出し、マンドレル両端のR付き部を切断除去し、さらに別置きの脱芯機(図示せず)にかけ、マンドレル52からパイプ状の繊維強化プラスチック積層体、即ち、繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aを取り出す。
このようにして製作されたパイプ100Aは、パイプ内面は均一断面だが、外表面に段付き形状ができ、パイプ両端で厚みの異なるパイプが得られる。
実際に、直径7μmの炭素繊維フィラメントを24000本収束した強化繊維(炭素繊維)束fに熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させ、更に、この強化繊維束fを8本収束した炭素繊維束Fを用いて、内径D0=200mm、外径D1=204mm、D2=206mm、D3=208mm、第1段目のパイプ領域100A1の長さL1=2.0m、第2段目のパイプ領域100A2の長さL2=2.0m、第3段目のパイプ領域100A3の長さL3=2.0m、とされる上記構成の繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aを上記製造方法に従って作製した。
本実施例の製造方法によれば、軽量化された繊維強化プラスチック製段付きパイプを得ることができ、極めて生産性が良かった。また、得られた繊維強化プラスチック製段付きパイプの機械的特性も所期のものを達成することができた。
上記実施例では、繊維強化プラスチックの肉厚が3段階に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aについて説明したが、上述したように、更に、ピン70Bと、マンドレル52の他端部52Bの間の所定位置に更にピンを植設し、第4段目、第5段目、更にはそれ以上の領域を設けることにより、上記実施例と同様にして、繊維強化プラスチックの肉厚が4段階以上に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造することができる。
実施例2
実施例1では、第1段目のパイプ領域100A1、第2段目のパイプ領域100A2、及び第3段目のパイプ領域100A3を連続的にFW法により作製するものとして説明した。
しかし、本実施例2では、繊維強化プラスチック層を積層し、1層目の繊維強化プラスチック積層体101を形成した後に、マンドレルごと一旦、フィラメントワインディング装置51から外し、硬化炉に入れ、樹脂を硬化させる。その後、ピン70Aを取り外す。
この時、実施例1で説明したように、マンドレル52からピン70Aを取り外した後、第1ピン70Aの周辺の強化繊維の巻き乱れが著しい場合は、マンドレルの周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体101の積層乱れ部(巻き乱れ部)を切断し、除去し、この切断除去により生じたマンドレルの周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体101の切断端面101aとマンドレル外周面との間の段差部をテーパー状に切削するか、又は、繊維強化プラスチック積層体101の切断端面101aとマンドレル外周面との間の段差部に、実施例1と同様の樹脂又は発泡材を充填して、この段差部にテーパーをつけ、応力集中緩和部105を形成する。これにより、この段差部での応力集中を軽減させることができる。
その後、樹脂を含浸した強化繊維束Fを、その上から巻き付け、繊維強化プラスチック層を積層し、2層目の繊維強化プラスチック積層体102を形成する。つまり、樹脂が含浸された強化繊維束Fが、第1段目のパイプ領域と、第2段目のパイプ領域に相当するマンドレル部分(第2段目領域52R2)とに亘って、所定の角度をつけて巻き付けられ、積層され、第1段目のパイプ領域の2層目の繊維強化プラスチック積層体102と、第2段目の領域の1層目の繊維強化プラスチック積層体102を形成する。
なお、2層目の繊維強化プラスチック積層体102を形成する前に、1層目の表層に離型剤等不純物が付着している場合は、1層目の表層を清掃、又は研磨することが肝要である。
その後に、硬化炉へ移し、樹脂の硬化をさせ、ピン70Bを外す。ピン70Bを外した後、必要に応じて、ピン近傍の積層乱れを切断除去する。また、この際発生する端部の段差をテーパー状に切削するか、実施例1で説明したと同様の樹脂や発泡材等で埋めて滑らかにする。
次いで、樹脂を含浸した強化繊維束Fを、その上から巻き付け、繊維強化プラスチック層を積層し、3層目の繊維強化プラスチック積層体103を形成する。つまり、樹脂が含浸された強化繊維束Fが、第1段目のパイプ領域と、第2段目のパイプ領域と、第3段目のパイプ領域に相当するマンドレル部分(第3段目領域52R3)とに亘って、所定の角度をつけて巻き付けられ、積層され、第1段目のパイプ領域の3層目の繊維強化プラスチック積層体103と、第2段目の領域の2層目の繊維強化プラスチック積層体103と、第3段目の領域の1層目の繊維強化プラスチック積層体103を形成する。
これにより、図1示すようなパイプ形状が得られる。
このような方法で積層されたマンドレル付きの繊維強化プラスチック積層体を、装置から取り外し、別置きの硬化炉(図示せず)にいれ、樹脂を加熱硬化させ、硬化炉から取り出し、マンドレル両端のR付き部を切断除去し、さらに別置きの脱芯機(図示せず)にかけ、マンドレル52からパイプ状の繊維強化プラスチック積層体、即ち、繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aを取り出す。
このようにして製作されたパイプ100Aは、パイプ内面は均一断面だが、外表面に段付き形状ができ、パイプ両端で厚みの異なるパイプが得られる。
上記実施例では、繊維強化プラスチックの肉厚が3段階に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aについて説明したが、本実施例においても、実施例1で説明したと同様にして、繊維強化プラスチックの肉厚が4段階以上に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造することができる。
実施例3
本実施例において、図4(a)、(b)に示す形状の繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Bは、軸線方向に沿って、即ち、長手方向に沿って内径が三段階に変わり、外径が一定とされる。従って、本実施例においても、実施例1と同様に、パイプの軸線方向にパイプ肉厚が3段階に変化しており、実施例1と同様にパイプ両端で厚みの違ったパイプが得られる。
本実施例の繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Bも、実施例1で説明した製造装置50を使用して作製される。
ただ、本実施例では、実施例1とは異なり、マンドレル52は、図5に示すように、製品パイプに必要な厚みが得られるような径差を付けたものが使用される。つまり、本実施例で使用するマンドレル52は、軸線に沿って外径が変化した、本実施例では3段階に変化した、直径D1、D2、D3とされる段付きの円柱状のマンドレルとされる。
本実施例によると、実施例1で説明したように、マンドレル52の軸部53、54は、回転支持手段55、56に回転自在に支持されている。
ただ、本実施例では、マンドレル52の軸線方向所定位置に、つまり、上記段付きパイプ100Bの第1段目のパイプ領域100B1に相当する第1段領域52R1と第2段目のパイプ領域100B2に相当する第2段領域52R2とのテーパー状境界部S1と、第2段目のパイプ領域100B2に相当する第2段領域52R2と第3段目のパイプ領域100B3に相当する第3段領域52R3とのテーパー状境界部S2において、マンドレル52の周方向に複数本のピン70A、70Bが、着脱自在に植設される。
必要に応じて、マンドレルの胴部両端にも、外周辺に多数のピンを植設しても良い。
本実施例では、先ず、マンドレル52の第1段領域52R1を使用して第1段目のパイプ領域100B1についてFW法を実施する。
図2の製造装置50を参照して説明する。
なお、図2は、実施例1にて説明したように、第2段目のパイプ領域のFWを実施している態様を示しているが、第1段目のパイプ領域も同様にして行われる。
つまり、トラバース装置63は、図2にて、マンドレル52の左側端52Aと第1ピン70A(図2では点線にて示される)との間にて、回転するマンドレル52の長手方向に沿って移動しながら、マンドレル52に樹脂が含浸された強化繊維束Fを供給する。
すなわち、樹脂を含浸した強化繊維束Fは、所定の配向角(α1)、例えば、90°と±15°の角度にて巻き付けを行う。つまり、マンドレル52の一端部(第1端)52A、即ち、図2にて左側のマンドレル端部側からマンドレル胴部52Cに巻き付けられた強化繊維束Fは、マンドレル52の他端部(第2端)52B方向の所定位置に植設されたピン70Aに達すると、第1のピン70Aの間を通り、隣接する他のピン70Aの間を通ってターンし、再びマンドレルの第1端52Aである胴部端部へと戻る。この時、マンドレルの回転方向は、変えることなく一定方向とされる。これにより、樹脂が含浸された強化繊維束Fがマンドレルに角度をつけて巻き付けられ、繊維強化プラスチック層が形成される。トラバーススピードとマンドレルの回転数を制御することにより、巻き角度は決定される。
上記操作を所定回数行うことにより、所望の層数の繊維強化プラスチック層からなる第1層目の繊維強化プラスチック積層体101が形成される。
強化繊維束Fの積層が、所定内の厚みに達したら、即ち、本実施例にて繊維強化プラスチック積層体101の外径がマンドレル52の第2段領域52R2の外径D2と同じとなったとき、製造装置50の運転を停止する。次いで、ピン70Aを抜きとる。マンドレル52からピン70Aを取り外した後、第1ピン70Aの周辺の強化繊維の巻き乱れが著しい場合は、マンドレル52の周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体101の積層乱れ部(巻き乱れ部)を切断し、除去しても良い。
また、巻き乱れ部を除去した後、マンドレル52の周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体101の切断端面101aに段差が発生した場合は、図4(b)に部分拡大図にて示すように、繊維強化プラスチック積層体101の切断端面101aとマンドレル外周面(テーパー状境界部S1)との間の段差部(空間部)に、実施例1と同様に樹脂又は発泡材を充填して、応力集中緩和部105を形成する。これにより、この段差部での応力集中を軽減させることができる。
次いで、マンドレルの第1段領域52R1と第2段領域52R2とを使用して、第1段目のパイプ領域100B1と第2段目のパイプ領域100B2についてFW法を実施する。
つまり、トラバース装置は、図2に示すように、マンドレルの左側端(第1端)52Aと第2ピン70Bとの間にて、回転するマンドレルの長手方向に沿って移動しながら、マンドレルに樹脂が含浸された強化繊維束Fを供給する。
これにより、樹脂が含浸された強化繊維束Fが、上記第1段目のパイプ領域100B1と、第2段目のパイプ領域100B2に相当するマンドレル部分52R2とに亘って、所定の角度をつけて巻き付けられ、第1段目の繊維強化プラスチック積層体101と、マンドレル52の外周面とを覆って繊維強化プラスチック層が形成される。トラバーススピードとマンドレルの回転数を制御することにより、巻き角度は決定される。
上記操作を所定回数行うことにより、所望の層数の繊維強化プラスチック層からなる第2層目の繊維強化プラスチック積層体102が形成される。
繊維強化プラスチック層が積層され、繊維強化プラスチック積層体102が所定厚みに達したら、即ち、本実施例にて繊維強化プラスチック積層体102の外径がマンドレル52の第3段領域52R3の外径D3と同じとなったとき、製造装置50の運転を停止する。次いで、ピン70Bを抜きとる。
この場合も、上述した第1段目の場合と同様に、マンドレルからピン70Bを取り外した後、第1ピン70Bの周辺の強化繊維の巻き乱れが著しい場合は、マンドレル52の周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体102の積層乱れ部(巻き乱れ部)を切断し、除去しても良い。
また、巻き乱れ部を除去した後、マンドレル52の周方向に沿って存在する繊維強化プラスチック積層体102の切断端面102aに段差が発生した場合は、図4(b)に部分拡大図にて示すように、繊維強化プラスチック積層体102の切断端面102aとマンドレル外周面(テーパー状境界部S2)との間の段差部(空間部)に、上記樹脂又は発泡材を充填して、応力集中緩和部105を形成する。これにより、この段差部での応力集中を軽減させることができる。
次いで、マンドレル52の第1段領域52R1、第2段領域52R2、及び、第3段領域52R3を使用して、第1段目のパイプ領域100B1、第2段目のパイプ領域100B2、及び、第3段目のパイプ領域100B3についてFW法を実施する。
つまり、トラバース装置63は、図2にて、マンドレルの両端部(即ち、第1端52Aと第2端52B)の間で、即ち、マンドレル全長に亘って、回転するマンドレル52の長手方向に沿って移動しながら、マンドレル52に樹脂が含浸された強化繊維束Fを供給する。
これにより、樹脂が含浸された強化繊維束Fが、上記第1段目のパイプ領域100B1と、第2段目のパイプ領域100B2と、第3段目のパイプ領域100B3に相当するマンドレル外周面52R3とを覆って繊維強化プラスチック層が形成される。トラバーススピードとマンドレルの回転数を制御することにより、巻き角度は決定される。
上記操作を所定回数行うことにより、所望の層数の繊維強化プラスチック層からなる第3層目の繊維強化プラスチック積層体103が形成される。
繊維強化プラスチック積層体103が所定内の厚みに達したら、製造装置50の運転を停止する。
これにより、図4示すようなパイプ形状が得られる。
このような方法で積層されたマンドレル付きのパイプを、装置から取り外し、別置きの硬化炉(図示せず)にいれ、樹脂を加熱硬化させ、硬化炉から取り出し、マンドレル両端のR付き部を切断除去し、さらに別置きの脱芯機(図示せず)にかけ、マンドレルから繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Bを取り出す。
このようにして製作されたパイプは、パイプ外面は、同一直径の均一断面とされるが、内表面に段付き形状ができ、パイプ両端で厚みの異なるパイプが得られる。
実際に、実施例1で記載したと同様の多数本の強化繊維(炭素繊維)束fに熱硬化性のエポキシ樹脂を含浸させた炭素繊維束Fを用いて、内径D1=200mm、D2=202mm、D3=204mm、外径D4=208mmとされる上記構成の繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Bを上記製造方法に従って作製した。
本実施例の製造方法によれば、極めて生産性良く、軽量化された繊維強化プラスチック製段付きパイプを得ることができた。また、得られた繊維強化プラスチック製段付きパイプの機械的特性も所期のものを達成することができた。
本実施例においても、実施例2で説明したように、各繊維強化プラスチック積層体101、102、103を形成する度に、繊維強化プラスチック積層体を硬化する構成とすることも可能である。製造工程は、実施例2と同様に実施し得るので、詳しい説明は、実施例2の説明を援用する。
また、上記実施例では、繊維強化プラスチックの肉厚が3段階に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Bについて説明したが、本実施例においても、実施例1で説明したと同様にして、繊維強化プラスチックの肉厚が4段階以上に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造することができる。
実施例4
上記実施例1〜3では、マンドレル52の胴部52Cの外周辺に多数のピンを植設するものとして説明したが、図6(a)に示すように、外周辺に多数のピン70(70A、70B)が植設されたピン付きリング120をマンドレル52の胴部52Cに着脱自在に装着することもできる。
上記実施例1〜3のマンドレル52との違いは、マンドレル52の中間に直接ピンをたてず、前もって周方向にピンを立てたピン付きリング用意し、これをマンドレルに取り付け、マンドレルの一端部とこのリングに立てたピンの間で樹脂を含浸させた強化繊維を巻きつけ、一定厚みを積層することである。
ピン付リング120の構成は、任意とし得るが、本実施例では、外周面がテーパー状に形成されたリング本体120aと、リング本体120aのテーパー状外周面に植設されたピン70(70A、70B)とにて構成される。このピン付リング120は、二つ割り構成とし、マンドレル52の胴部52Cに形成された環状の凹溝52Dに嵌合し、図示してはいないが、ネジなどを使用してマンドレル胴部120aに着脱自在に固定される。
なお、実施例1の場合はピンを抜いて次の作業に入れるのに対し、本実施例では、ピン付リング120を取り外してからでないと次の作業に入れない。そのため、リング近傍の樹脂を含浸した繊維を切断除去作業が必須となる。
このリング120を用いて製造する方法は、上記実施例3におけるマンドレル52に段差を付けた場合にも適用可能である。この場合には、境界部S1、S2をピン付きリングで形成することができる。
実施例5
上記実施例1では、繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Aは、長手方向に沿って内径が一定で、外径が三段階に変わる構成とされ、上記実施例3では、繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Bは、長手方向に沿って外径が一定で、内径が三段階に変わる構成とされ、いずれも、パイプの軸線方向にパイプ肉厚が3段階に変化しており、パイプ両端で厚みの違った形状のパイプとされた。
本実施例では、図7(a)、(b)に示すように、繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Cは、長手方向に沿って内径が一様に、即ち、テーパー状に変化し、且つ、外径が三段階に変わる構成とされ、パイプの軸線方向にパイプ肉厚が3段階に変化しており、パイプ両端で厚みの違った形状のパイプとされる。
従って、マンドレル52は、本実施例では、第1段目領域52R1から、第2段目、第3段目の領域52R2、52R3へと、図8にて左側端から右側端へと傾斜したテーパー形状のマンドレルとされる。
本実施例においても、図8に示すように、胴部52Cの外周辺に多数のピン70(70A、70B)を植設するか、或いは、図6に示すように、外周辺に多数のピンが植設されたピン付きリングを胴部52Cに着脱自在に装着することにより、実施例1で説明した製造装置を使用して、第1段目のパイプ領域100C1から、第2段目、第3段目のパイプ領域100C2、100C3へと傾斜した繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Cを好適に作製することができる。
つまり、本実施例の繊維強化プラスチック製段付きパイプも、実施例1で説明した製造装置50を使用して作製され、成形方法は実施例1と全く同じである。ただ、本実施例では、樹脂を硬化させ硬化炉から取り出し、マンドレル両端のR付き部を切断・除去する脱芯装置で繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Cをマンドレル52から脱芯する際、マンドレル径の大きい方からマンドレルを引き抜く。
上記実施例では、繊維強化プラスチックの肉厚が3段階に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Cについて説明したが、本実施例においても、実施例1で説明したと同様にして、繊維強化プラスチックの肉厚が4段階以上に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造することができる。
本実施例においても、実施例2で説明したように、各繊維強化プラスチック積層体101、102、103を形成する度に、繊維強化プラスチック積層体を硬化する構成とすることも可能である。製造工程は、実施例2と同様に実施し得るので、詳しい説明は、実施例2の説明を援用する。
また、上記実施例では、繊維強化プラスチックの肉厚が3段階に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプ100Cについて説明したが、本実施例においても、実施例1で説明したと同様にして、繊維強化プラスチックの肉厚が4段階以上に変化する繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造することができる。
変形例
上記の実施例1〜5にて説明した繊維強化プラスチック製段付きパイプ100(100A、100B、100C)は、断面形状が丸形状のものについてであるが、マンドレル52の断面形状を三角形、若しくは、四角形以上の多角形の形状にすることにより、所定の形状の繊維強化プラスチック製段付きパイプが得られる。
また、使用される用途により、強化繊維の種類が変えられる。一般的は、曲げ強度、曲げ弾性率の高い炭素繊維が使用されるが、電気的絶縁性を要求される場合は、ガラス繊維、電気的絶縁性と耐アルカリ等の耐食性が要求される場合は、アラミド繊維が使用される。
一方、樹脂についても、一般的にはエポキシ樹脂が使用されるが、耐熱性が要求される場合はフェノール樹脂、低温での成形が要求される場合はMMA樹脂といった様に、成形条件や、用途により最適な樹脂が使用される。
図1(a)は、本発明にて製造し得る繊維強化プラスチック製段付きパイプの一実施例の側面図であり、図1(b)は、繊維強化プラスチック製段付きパイプの縦断面図である。 図2は、繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造装置の概略構成を示す斜視図である。 図3は、図1の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造装置に使用するマンドレルの一実施例の概略構成を示す外観図である。 図4(a)は、本発明にて製造し得る繊維強化プラスチック製段付きパイプの他の実施例の側面図であり、図4(b)は、繊維強化プラスチック製段付きパイプの縦断面図である。 図5は、図4の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造装置に使用するマンドレルの一実施例の概略構成を示す外観図である。 図6(a)は、図1の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造装置に使用するマンドレルの他の実施例の概略構成を示す外観図であり、図6(b)は、図6(a)のマンドレルの部分断面拡大図である。る。 図7(a)は、本発明にて製造し得る繊維強化プラスチック製段付きパイプの他の実施例の側面図であり、図7(b)は、繊維強化プラスチック製段付きパイプの縦断面図である。 図8は、図7の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造装置に使用するマンドレルの一実施例の概略構成を示す外観図である。 図9(a)は、従来の繊維強化プラスチック製段付きパイプの一例の斜視図であり、図9(b)は、繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造装置の概略構成を示す斜視図である。 図10は、マグナス風車の外観を示す図である。
符号の説明
50 製造装置
51 フィラメントワインディング装置
52 マンドレル
60 強化繊維供給装置
62 樹脂槽
63 トラバース装置
64 ガイド手段
70(70A、70B) ピン
100(100A、100B、100C) 繊維強化プラスチック製段付きパイプ
101、102、103 繊維強化プラスチック積層体
105 応力集中緩和部
120 ピン付きリング

Claims (16)

  1. フィラメントワインディング法により、樹脂を含浸させた連続繊維から成る強化繊維束をマンドレルに巻き付け、マンドレルの外周面に樹脂含浸の繊維強化プラスチック積層体を形成し、この後、この繊維強化プラスチック積層体を硬化させて中空の繊維強化プラスチック製パイプを製造する方法において、
    (a)前記マンドレルの長さ方向の一端部と他端部との間の所定位置に、樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けるピンをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、前記ピンを使用して、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と前記ピンとの間の前記マンドレルの外周面に樹脂含浸の繊維強化プラスチック積層体を形成し、その後、前記マンドレルから前記ピンを取り外す工程と、
    (b)その後、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と他端部との間の、前記繊維強化プラスチック積層体及び前記マンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成する工程と、
    (c)前記各繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化させ、長さ方向に厚みの違った繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造する工程と、
    を有することを特徴とする繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  2. 前記工程(a)と前記工程(b)との間に、
    (d)前記マンドレルの外周面に形成された繊維強化プラスチック積層体と前記マンドレルの他端部との間の、前記繊維強化プラスチック積層体が形成されていない前記前記マンドレルの所定位置に、樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けるピンをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、前記ピンを使用して、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と前記ピンとの間の前記繊維強化プラスチック積層体及び前記マンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成し、その後、前記マンドレルから前記ピンを取り外す工程、
    を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項1に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  3. 前記工程(b)が終了した後に、前記工程(c)を実施し、前記各繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化させることを特徴とする請求項1又は2に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  4. 前記マンドレルから前記ピンを取り外した後、当該ピン近傍に位置し、前記マンドレルの周方向に沿って存在する前記繊維強化プラスチック積層体の積層乱れ部を切断除去するか、又は、前記切断除去により生じた前記マンドレルの周方向に沿って存在する前記繊維強化プラスチック積層体の切断端面と前記マンドレル外周面との間の段差部に樹脂又は発泡材を充填して応力集中緩和部を形成することを特徴とする請求項1〜3のいずれかの項に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  5. フィラメントワインディング法により、樹脂を含浸させた連続繊維から成る強化繊維束をマンドレルに巻き付け、マンドレルの外周面に樹脂含浸の繊維強化プラスチック積層体を形成し、この後、この繊維強化プラスチック積層体を硬化させて中空の繊維強化プラスチック製パイプを製造する方法において、
    (a)前記マンドレルの長さ方向の一端部と他端部との間の所定位置に、樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けるピンをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、前記ピンを使用して、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と前記ピンとの間の前記マンドレルの外周面に樹脂含浸の繊維強化プラスチック積層体を形成し、前記繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化し、その後、前記マンドレルから前記ピンを取り外す工程と、
    (b)その後、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と他端部との間の、前記繊維強化プラスチック積層体及び前記マンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成し、前記各繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化し、長さ方向に厚みの違った繊維強化プラスチック製段付きパイプを製造する工程と、
    を有することを特徴とする繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  6. 前記工程(a)と前記工程(b)との間に、
    (d)前記マンドレルの外周面に形成された繊維強化プラスチック積層体と前記マンドレルの他端部との間の、前記繊維強化プラスチック積層体が形成されていない前記前記マンドレルの所定位置に、樹脂を含浸させた連続繊維を引っ掛けるピンをマンドレル周方向に複数本着脱自在に植設し、前記ピンを使用して、フィラメントワインディング法により前記マンドレルの一端部と前記ピンとの間の前記繊維強化プラスチック積層体及び前記マンドレルの外周面を覆って樹脂含浸の他の繊維強化プラスチック積層体を形成し、前記繊維強化プラスチック積層体の樹脂を硬化し、その後、前記マンドレルから前記ピンを取り外す工程、
    を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項5に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  7. 前記マンドレルから前記ピンを取り外した後、当該ピン近傍に位置し、前記マンドレルの周方向に沿って存在する前記繊維強化プラスチック積層体の積層乱れ部を切断除去し、この切断除去により生じた前記マンドレルの周方向に沿って存在する前記繊維強化プラスチック積層体の切断端面と前記マンドレル外周面との間の段差部をテーパー状に切削するか、又は、前記段差部に樹脂又は発泡材を充填して応力集中緩和部を形成することを特徴とする請求項5又は6に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  8. 前記複数のピンはリングに一体に植設され、前記リングが前記マンドレルの外周面に着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1〜7のいずれかの項に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  9. 前記マンドレルは、その断面形状が、丸形状又は三角形状以上の多角形状であることを特徴とする請求項1〜8のいずれかの項に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  10. 前記マンドレルは、その形状が、長さ方向に同一の形状であるか、段状とされるか、又は、テーパー形状とされることを特徴とする請求項1〜9のいずれかの項に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  11. 前記強化繊維束は、ガラス繊維、アラミド繊維、若しくは炭素繊維が単独で、又は、複数種混入してハイブリッドで構成されることを特徴とする請求項1〜10のいずれかの項に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  12. 前記繊維強化プラスチック積層体を形成する樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、フェノール樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項1〜11のいずれかの項に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  13. 前記応力集中緩和部を形成する樹脂は、エポキシ樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、ビニールエステル樹脂、MMA樹脂、フェノール樹脂のいずれかであり、前記応力集中緩和部を形成する発泡材は、ウレタン樹脂、エポキシ樹脂、又はフェノール樹脂のいずれかであることを特徴とする請求項4又は7に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプの製造方法。
  14. 繊維強化プラスチックにて形成された中空形状の繊維強化プラスチック製のパイプであって、
    前記繊維強化プラスチック製のパイプは、請求項1〜13のいずれかの項に記載の製造方法によって製造され、長さ方向に厚みの違った繊維強化プラスチック製のパイプであることを特徴とする繊維強化プラスチック製段付きパイプ。
  15. 前記繊維強化プラスチック製段付きパイプは、その断面形状が、丸形状又は三角形状以上の多角形状であることを特徴とする請求項14に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプ。
  16. 前記繊維強化プラスチック製段付きパイプは、その内径部が、長さ方向に同一の形状であるか、段状とされるか、又は、テーパー形状とされることを特徴とする請求項14又は15に記載の繊維強化プラスチック製段付きパイプ。
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