JP2009277885A - 固体撮像素子の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】マイクロレンズ及び/又はインナーレンズの形状を、安定して、集光特性を優先した所望の一定形状にし、しかも、要する時間及びコストを低減する。
【解決手段】固体撮像素子は、光電変換を行う受光部と、受光部に対応するようにオンチップに配置され入射光を前記受光部に集光させるマイクロレンズと、を有する画素が、基板に複数配置されたものである。この固体撮像素子の製造方法は、前記マイクロレンズの形状を有する型52を、マイクロレンズとなる材料55に押し付けて、型52の形状を材料55に転写させる段階を含むマイクロレンズ形成段階を、備える。
【選択図】図5
【解決手段】固体撮像素子は、光電変換を行う受光部と、受光部に対応するようにオンチップに配置され入射光を前記受光部に集光させるマイクロレンズと、を有する画素が、基板に複数配置されたものである。この固体撮像素子の製造方法は、前記マイクロレンズの形状を有する型52を、マイクロレンズとなる材料55に押し付けて、型52の形状を材料55に転写させる段階を含むマイクロレンズ形成段階を、備える。
【選択図】図5
Description
本発明は、マイクロレンズがオンチップに配置された固体撮像素子の製造方法に関するものである。
近年、ビデオカメラや電子スチルカメラが広く一般に普及している。これらのカメラには、CCD型、CMOS型等の固体撮像素子が使用されている。また、固体撮像素子は、携帯電話や車載用カメラなどの様々なアプリケーションへ応用されるようになってきている。
このような固体撮像素子では、集光率を向上させるために、フォトダイオード等の受光部に入射光を集光させるマイクロレンズがオンチップに配置されている(例えば、下記特許文献1)。
ところが、近年の更なる高画素化(狭ピッチ化)により、形成される受光部の開口率は益々小さくなってきている。このため、入射光をマイクロレンズのみによって受光部に集光させる従来の固体撮像素子では、十分な集光率を得ることはできず、感度不足等の画質の低下が問題となってきている。
そこで、入射光の受光部への集光率をより高めるために、マイクロレンズと受光部との間にインナーレンズを配置した固体撮像素子が、提案されている(例えば、下記特許文献1)。
ところで、従来から、マイクロレンズがオンチップで配置された前述したような固体撮像素子を製造する際にマイクロレンズを形成する方法として、熱リフロー法とエッチバック法が広く知られている。熱リフロー法は、レジスト膜を塗布し、該レジスト膜をフォトリソグラフィ及び現像により各マイクロレンズ形成領域毎に分離独立させる形状にパターニングし、その後、加熱溶融により各マイクロレンズ形成領域のレジスト膜を半球状に整形し、マイクロレンズを半球状のレジスト膜として形成する方法である。エッチバック法は、熱リフロー法によりレンズ材膜(樹脂膜)上にレンズ形状を持つレジスト膜を形成し、このレジスト膜及びレンズ材膜を全面的にドライエッチング等によりエッチバックしてレンズ材膜にレンズ形状を転写し、レンズ形状が転写されたレンズ材膜をマイクロレンズとして形成する方法である。
そして、インナーレンズを配置した前述したような従来の固体撮像素子を製造する際には、インナーレンズは、窒化シリコン膜をエッチングすることによって形成されていた。
特開2008−16559号公報
しかしながら、従来の固体撮像素子の製造方法では、マイクロレンズが熱リフロー法又はエッチバック法によって形成されていたため、マイクロレンズの形状は、加熱溶融によるレジスト膜の整形形状により決定されてしまい、制約が非常に大きく、集光特性を優先した所望の形状にすることができず、集光率を高めることができなかった。しかも、マイクロレンズの形状が加熱溶融によるレジスト膜の整形形状により決定されるので、形成条件のわずかなばらつきによってもマイクロレンズの形状が比較的大きくばらついてしまい、安定してマイクロレンズの一定の形状を得ることができず、この点から、集光率が一層低下してしまう場合があった。
さらに、従来の固体撮像素子の製造方法では、マイクロレンズが熱リフロー法又はエッチバック法によって形成されていたため、そのいずれの手法を採用する場合であっても、毎回、レジスト膜のリソグラフィ工程(ステッパー露光工程)及び現像工程を行わなければならず、各工程に時間を要するとともに高価な装置が必要となり、時間とコストが増大していた。エッチバック法を採用する場合には、レジスト膜のリソグラフィ工程(ステッパー露光工程)び現像工程の他に、エッチング工程も毎回行わなければならないため、時間とコストが更に増大していた。
また、従来の固体撮像素子の製造方法では、インナーレンズを形成する場合、窒化シリコン膜をエッチングすることによって形成されていたため、インナーレンズの形状は、制約が非常に大きく、集光特性を優先した所望の形状にすることができず、集光率を高めることができなかった。
本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、マイクロレンズ及び/又はインナーレンズの形状を、安定して、集光特性を優先した所望の一定形状にすることができ、しかも、要する時間及びコストを低減することができる固体撮像素子の製造方法を提供することを目的とする。
前記課題を解決するため、本発明の第1の態様による固体撮像素子の製造方法は、光電変換を行う受光部と、前記受光部に対応するようにオンチップに配置され入射光を前記受光部に集光させるマイクロレンズと、を有する画素が、基板に複数配置された固体撮像素子の製造方法であって、前記マイクロレンズの形状に応じた形状を有する第1の型を、前記マイクロレンズとなる第1の材料に相対的に押し付けて、前記第1の型の形状を前記第1の材料に転写させる段階を含むマイクロレンズ形成段階を、備えたことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
本発明の第2の態様による固体撮像素子の製造方法は、前記第1の態様において、前記画素は前記マイクロレンズと前記受光部との間に配置されたインナーレンズを有し、前記インナーレンズの形状に応じた形状を有する第2の型を、前記インナーレンズの反転形状を有する前記インナーレンズの下側の層となる第2の材料に相対的に押し付けて、前記第2の型の形状を前記第2の材料に転写させる段階と、前記下側の層上に、前記インナーレンズとなる材料を形成する段階とを、更に備えたものである。
本発明の第3の態様による固体撮像素子の製造方法は、前記第1又は第2の態様において、前記第1の型は紫外線を透過させる材料で構成され、前記第1の材料は紫外線硬化樹脂であり、前記マイクロレンズ形成段階は、前記第1の型を介して紫外線を前記第1の材料に照射して前記第1の材料を硬化させる段階を含むものである。
本発明の第4の態様による固体撮像素子の製造方法は、前記第1乃至第3のいずれかの態様において、前記マイクロレンズ形成段階は、1つのウエハ上に形成される複数の前記固体撮像素子の前記マイクロレンズを一括して形成し、前記第1の型の形状を前記第1の材料に転写させる前記段階は、複数の前記固体撮像素子のマイクロレンズの形状に応じた形状を有する1つの型を用いて、複数の前記固体撮像素子のマイクロレンズの形状を一括して前記第1の材料に転写させるものである。
本発明の第5の態様による固体撮像素子の製造方法は、前記第1乃至第4のいずれかの態様において、前記マイクロレンズ形成段階は、前記マイクロレンズの厚みが2μm以上となるように、行われるものである。
本発明の第6の態様による固体撮像素子の製造方法は、前記第1乃至第5のいずれかの態様において、前記マイクロレンズ形成段階は、前記第1の材料によって前記マイクロレンズと一体に連続して前記マイクロレンズの下側に形成される層の厚みが1μm以下となるように、行われるものである。
本発明の第7の態様による固体撮像素子の製造方法は、前記第1乃至第6のいずれかの態様において、前記第1の型の形状を前記第1の材料に転写させる前記段階は、前記基板の側及び前記第1の型をそれぞれ独立して前記基板の面方向に位置調整することにより、前記基板の側と前記第1の型との間の前記面方向の位置合わせを行った状態で、行われるものである。
本発明の第8の態様による固体撮像素子の製造方法は、光電変換を行う受光部と、前記受光部に対応するようにオンチップに配置され入射光を前記受光部に集光させるマイクロレンズと、該マイクロレンズと前記受光部との間に配置されたインナーレンズと、を有する画素が、基板に複数配置された固体撮像素子の製造方法であって、前記インナーレンズの形状に応じた形状を有する型を、前記インナーレンズの反転形状を有する前記インナーレンズの下側の層となる材料に相対的に押し付けて、前記型の形状を前記材料に転写させる段階と、前記下側の層上に、前記インナーレンズとなる材料を形成する段階とを、備えたものである。
本発明によれば、マイクロレンズ及び/又はインナーレンズの形状を、安定して、集光特性を優先した所望の一定形状にすることができ、しかも、要する時間及びコストを低減することができる固体撮像素子の製造方法を提供することができる。
以下、本発明による固体撮像素子の製造方法について、図面を参照して説明する。
[第1の実施の形態]
図1は、本発明の第1の実施の形態による製造方法により製造される固体撮像素子1の一例を示す概略構成図である。この固体撮像素子1は、CMOS型固体撮像素子として構成されている。もっとも、本発明による固体撮像素子の製造方法は、CCD型などの他の固体撮像素子の製造方法にも適用可能である。
図1に示すように、この固体撮像素子1は、一般的なCMOS型固体撮像素子と同様に、垂直走査回路2と、水平走査回路3と、2次元状に配置された複数の単位画素4と、読み出し回路5と、出力アンプ6とを有している。各画素4のフォトダイオード15(図1では図示せず。図2参照)が出力する電気信号が垂直走査回路2によって読み出し回路5に行単位で取り出され、水平走査回路3によって列単位で出力アンプ6を介して出力端子7に画像信号として出力されるようになっている。
図2は、図1中の単位画素4を示す回路図である。各画素4は、図2に示すように、選択トランジスタ11と、ソースフォロアの増幅トランジスタ12と、リセットトランジスタ13と、転送トランジスタ14と、光電変換を行う受光部としてのフォトダイオード15とから構成されている。図2において、Vccは電源である。
図1及び図2に示すように、画素4の選択トランジスタ11のゲートは行毎に選択線20に共通に接続されている。画素4のリセットトランジスタ13のゲートは、行毎にリセット線21に共通に接続されている。画素4の転送トランジスタ14のゲートは、行毎に転送線22に共通に接続されている。画素4の選択トランジスタ11のソースは、列毎に垂直信号線23に共通に接続されている。選択線20、リセット線21及び転送線22は、垂直走査回路2に接続されている。垂直信号線23は、読み出し回路5に接続されている。
図3は、図1に示す固体撮像素子1の一部を模式的示す概略断面図である。説明の便宜上、図3に示すように、X軸、Y軸及びZ軸を定義する。XY平面が基板31の面と平行となっている。図3は、X軸方向に並んだ3つの画素4を大幅に簡略化してその主要部のみを模式的に示している。
この固体撮像素子1では、図3に示すように、各画素4において、シリコン基板31にフォトダイオード15が設けられている。シリコン基板31上には、例えばシリコン酸化膜からなる層間膜32〜34が、下側(基板31側)から順に形成されている。また、図3に示すように、1層目アルミニウム配線層35、2層目アルミニウム配線層36及び3層目アルミニウム配線層37が形成され、これらによって、図1及び図2に示す回路の配線がなされている。3層目のアルミニウム配線層37は、各画素4の有効受光領域以外を覆う遮光膜となっている。なお、図面には示していないが、各画素4の図2に示す回路や図1中の他の回路も、シリコン基板31に搭載されている。
また、この固体撮像素子1では、図3に示すように、3層目のアルミニウム配線層37より上側の位置において、窒化シリコン膜等の絶縁膜38、平坦化層39、カラーフィルタ40、及び、入射光をフォトダイオード15に集光させるマイクロレンズ41が設けられている。カラーフィルタ40は、各画素4毎に、例えばベイヤー配列に従って配列された赤色、緑色及び青色のいずれかの色とされている。マイクロレンズ41も、各画素4毎に形成されている。この固体撮像素子1では、カラーフィルタ40上にはその凹凸を吸収するための平坦化層は設けられておらず、その代わりに、マイクロレンズ41と同じ材料からなる厚みd2の層42が、マイクロレンズ41と一体に連続してマイクロレンズ41の下側に形成されている。本実施の形態では、マイクロレンズ41は、例えば、アクリル系樹脂等の紫外線硬化樹脂などの樹脂で構成されている。なお、必要に応じて、層42とカラーフィルタ40との間に平坦化層を形成してもよい。
次に、本発明の第1の実施の形態による製造方法として、図1乃至図3に示す固体撮像素子1の製造方法について、図4乃至図6を参照して説明する。図4乃至図6は、本実施の形態による製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図である。
まず、複数(勿論、量産する場合にはその数が多いほど好ましい。)の固体撮像素子1を一括して製造するべく、例えば、直径200mm又は直径300mmのシリコンウエハを用意する。このシリコンウエハは、最後にチップ毎に分割することで、各固体撮像素子1の前記シリコン基板31となる。このシリコンウエハ上に、従来の固体撮像素子と同様に半導体製造プロセスを利用して、カラーフィルタ40までの構造(マイクロレンズ41及び層42を除いた残りの構造であって、図1及び図2に示す回路を含む。)を、複数の固体撮像素子1の分だけ一括して作製する。図4では、カラーフィルタ40までの構造が作製されたシリコンウエハに、全体として、符号51を付している。以下の説明では、カラーフィルタ40までの構造が作製されたシリコンウエハを、単に、「シリコンウエハ51」と呼ぶ。
一方、本実施の形態では、1つのシリコンウエハ上に形成される前記複数の固体撮像素子1のマイクロレンズ41の形状(本実施の形態では、凸形)に応じた形状(本実施の形態では、凹形)52aを有する1つの型52を、予め、用意しておく。本実施の形態では、例えば、シリコンウエハと同じ直径200mm又は直径300mmの円盤状に構成されている。もっとも、製造する固体撮像素子1が小さいデバイスで少量生産もしくはR&Dの実験用途の場合は、型52のサイズは小さくてもよく、例えば直径150mmの円盤状にしたり、一辺100mmの正方形状などにしてもよい。本実施の形態では、型52は、形状52aを有する型本体53と、型本体53を支持する支持板54とから構成されている。型本体53及び支持板54は、いずれも、紫外線を透過する材料、例えば石英又はガラスで構成されている。型52の形状52aは、例えば、露光技術とエッチング技術とを用いることで、所望の任意の形状にすることができる。図面では、マイクロレンズ41の形状及びその反転形状である型52の形状52aは、半球状の形状として示しているが、その深さを適当に変えた形状や、自由曲面形状や、非球面形状としてもよい。また、マイクロレンズ41は、凸レンズ形状に限定されるものではなく、例えば、サブ波長3次元構造体として構成することもでき、その場合は、その構造体の形状に合わせて型52の形状52aが設定される。
次に、シリコンウエハ51のカラーフィルタ40側を上にして、シリコンウエハ51上に、アクリル系樹脂等の紫外線硬化樹脂55を塗布する(図4)。このとき、紫外線硬化樹脂55は、例えば、スピンコートで均一に塗布してもよいし、あるいはシリコンウエハ51の中心部に塗布してもよい。
その後、型52とシリコンウエハ51とを押し付けて密着させる(図5)。両者を密着させてから、型52及びシリコンウエハ51をそれぞれ独立してXYアライメント(XY方向の位置調整)することによって、シリコンウエハ51と型52との間のXY方向の位置合わせを行う。このように、両者をそれぞれ独立して位置調整して位置合わせすると、シリコンウエハ51と型52との間のXY方向の位置合わせを高い精度で行い易くなるため、好ましい。もっとも、型52及びシリコンウエハ51の一方のみをXYアライメントすることによって、シリコンウエハ51と型52との間のXY方向の位置合わせを行ってもよい。シリコンウエハ51と型52との間のXY方向の位置合わせは、シリコンウエハと型52にそれぞれアライメント用の印を入れておき、その印を利用して光学的にアライメントを行うことにより、例えば1μm以下の精度で位置合わせを行うことが可能である。
このように、型52とシリコンウエハ51とを押し付けることで、型52の形状52aが紫外線硬化樹脂55に転写される。図5には示していないが、図5及び図3から理解できるように、マイクロレンズ41の下の層42の厚みd2は、紫外線硬化樹脂55の塗布量で決定される。層42の厚みd2が薄いほど、固体撮像素子1を薄く構成することができるので、層42の厚みd2は、薄いことが好ましく、1μm以下であることが好ましい。もっとも、層42の厚みd2を比較的厚くしても、マイクロレンズ41の形状をそれに合わせて設計することができるので、集光率の低下を招くようなことはない。
次いで、紫外線(UV光)を型52を介して紫外線硬化樹脂55に照射して、紫外線硬化樹脂55を硬化させる(図5)。このとき、紫外線は均一になるように照射してもよい。紫外線の照射量は、紫外線硬化樹脂55が硬化するのに適度な量とする。
その後、型52とシリコンウエハ51とを剥離する(図6)。紫外線硬化樹脂55は、マイクロレンズ41及び層42(図6では、図示せず)となって、シリコンウエハ51上に残る。型52の剥離を容易にするために、型52を樹脂55に押し付ける前に、予め型52に離型剤(例えば、フッ素系樹脂)を塗布しておいてもよい。この剥離を行う際は、型52及びシリコンウエハ51をそれぞれ垂直方向(Z軸方向)にそれぞれ互いに移動させてもよいし、一方のみを垂直方向に移動させてもよい。
このようにして、1つのシリコンウエハ上に多数の固体撮像素子1が形成される。最後に、これを個々のチップに分離することで、多数の固体撮像素子1が完成する。
本実施の形態によれば、型52によるマイクロレンズ材料(本実施の形態では、紫外線硬化樹脂55)への形状転写によって、マイクロレンズ41が形成される。したがって、本実施の形態によれば、従来のように熱リフロー法やエッチバック法でマイクロレンズ41を形成する場合に比べて、マイクロレンズ41の形状の自由度が飛躍的に高まり、マイクロレンズ41の形状を、集光特性を優先した所望の形状にすることができる。特に、高画素化(狭ピッチ化)にも拘わらずに、集光率を高めるためには、マイクロレンズ41を厚く構成することが好ましく、マイクロレンズ41の厚みd1を例えば2μm以上にすることが好ましい。本実施の形態によれば、その厚みd1に合わせた形状52aを持つ型52を用意するだけで、特別な制約等が生ずることなく、2μm以上の厚みを持ったマイクロレンズ41を有する固体撮像素子1を極めて容易に製造することができる。マイクロレンズ41の厚みd2を2μm以上、3μm以上、4μm以上、5μm以上などにするような形状52aを持つ型52を一旦作製してしまえば、それらの厚い厚みd2を持ったマイクロレンズ41を有する固体撮像素子1を容易に製造することができる。
そして、本実施の形態によれば、型52による形状転写によってマイクロレンズ41の形状が定まる。そして、型52は、一旦作製すれば、何度も繰り返して使用することができる。したがって、本実施の形態によれば、製造ばらつきの影響を受けることなく、一定の同じ形状を持ったマイクロレンズ41を有する固体撮像素子1を安定して製造することができる。
このように、本実施の形態によれば、マイクロレンズ41の形状を、安定して、集光特性を優先した所望の一定形状にすることができるという利点が得られる。
なお、図3に示すように、固体撮像素子1において、隣り合う画素4のマイクロレンズ41間に所定寸法のギャップgが存在するものとしている。そして、本実施の形態では、これに合わせて、当該ギャップgが生ずるように、型52の形状52aが設定されているものとしている。しかしながら、集光率をより高めるためには、ギャップgをゼロにすることが好ましい。型52の形状52aをギャップgがゼロとなるように変更しておくだけで、ギャップgがゼロのマイクロレンズ41を有する固体撮像素子1を極めて容易に製造することができる。
また、従来のように熱リフロー法やエッチバック法でマイクロレンズ41を形成する場合に毎回必要であった、レジスト膜のリソグラフィ工程(ステッパー露光工程)及び現像工程などが、本実施の形態では行わずに済む。本実施の形態では、それらに代えて型52による形状転写が行われるが、その転写工程は極めて容易で時間を要しないとともに、高価な装置を使用することもない。したがって、本実施の形態によれば、従来のように熱リフロー法やエッチバック法でマイクロレンズ41を形成する場合に比べて、要する時間及びコストを大幅に低減することができる。
なお、本実施の形態では、前述した図4乃至図6に示す工程は、シリコンウエハ51を下側に配置し型52を上側に配置して行っている。これとは逆に、前述した図4乃至図6に示す工程に相当する工程を、シリコンウエハ51を上側に配置し型52を下側に配置して行ってもよい。この場合、紫外線硬化樹脂55の塗布は、シリコンウエハ51上ではなく、型52上に行われることになる。
[第2の実施の形態]
図7は、本発明の第2の実施の形態による製造方法により製造される固体撮像素子61の一部を模式的に示す概略断面図であり、図3に対応している。図7において、図3中の要素と同一又は対応する要素には同一符号を付し、その重複する説明は省略する。
この固体撮像素子61が図1乃至図3に示す固体撮像素子1と異なる所は、平坦化層39の代わりに層62が形成されるとともに、層62とカラーフィルタ40との間に層63が追加され、層63の下側の一部がインナーレンズ63aを構成し、層62の上側がインナーレンズ63aの反転形状を有し、これにより、各画素4においてマイクロレンズ41とフォトダイオード15との間にインナーレンズ63aが配置されている点のみである。本実施の形態では、例えば、層62はアクリル系樹脂等の紫外線硬化樹脂などの樹脂で構成され、インナーレンズ63aを含む層63aは窒化シリコン膜等で構成され、両者の間には適度な屈折率差がある。したがって、インナーレンズ63aは、マイクロレンズ41と共に入射光をフォトダイオード15に集光させるレンズ作用を有している。
次に、本発明の第2の実施の形態による製造方法として、図7に示す固体撮像素子61の製造方法について、図8乃至図12を参照して説明する。図8乃至図12は、本実施の形態による製造方法の主要な工程を模式的に示す概略断面図である。図8及び図12は、図7と同じ断面を示している。
まず、複数(勿論、量産する場合にはその数が多いほど好ましい。)の固体撮像素子61を一括して製造するべく、例えば、直径200mm又は直径300mmのシリコンウエハを用意する。このシリコンウエハは、最後にチップ毎に分割することで、各固体撮像素子61のシリコン基板31となる。このシリコンウエハ上に、従来の固体撮像素子と同様に半導体製造プロセスを利用して、絶縁膜38までの構造(図1及び図2に示す回路を含む。)を、複数の固体撮像素子61の分だけ一括して作製する(図8)。図8では、絶縁膜38までの構造が作製されたシリコンウエハに、全体として、符号71を付している。以下の説明では、絶縁膜38までの構造が作製されたシリコンウエハを、単に、「シリコンウエハ71」と呼ぶ。
一方、本実施の形態では、1つのシリコンウエハ上に形成される前記複数の固体撮像素子61のインナーレンズ63aの形状(本実施の形態では、凸形)に応じた形状(本実施の形態では、凸形)72aを有する1つの型72を、予め、用意しておく。本実施の形態では、例えば、シリコンウエハと同じ直径200mm又は直径300mmの円盤状に構成されている。もっとも、製造する固体撮像素子61が小さいデバイスで少量生産もしくはR&Dの実験用途の場合は、型72のサイズは小さくてもよく、例えば直径150mmの円盤状にしたり、一辺100mmの正方形状などにしてもよい。本実施の形態では、型72は、形状72aを有する型本体73と、型本体73を支持する支持板74とから構成されている。型本体73及び支持板74は、いずれも、紫外線を透過する材料、例えば石英又はガラスで構成されている。型72の形状72aは、例えば、露光技術とエッチング技術とを用いることで、所望の任意の形状にすることができる。図面では、インナーレンズ63aの形状及びそれと同様の形状である型72の形状72aは、球面形状として示しているが、その深さを適当に変えた形状や、自由曲面形状や、非球面形状としてもよい。また、インナーレンズ63aは、凸レンズ形状に限定されるものではなく、例えば、サブ波長3次元構造体として構成することもでき、その場合は、その構造体の形状に合わせて型72の形状72aが設定される。
次に、シリコンウエハ71の絶縁膜38側を上にして、シリコンウエハ71上に、アクリル系樹脂等の紫外線硬化樹脂75を塗布する(図9)。このとき、紫外線硬化樹脂75は、例えば、スピンコートで均一に塗布してもよいし、あるいはシリコンウエハ71の中心部に塗布してもよい。
その後、型72とシリコンウエハ71とを押し付けて密着させる(図10)。両者を密着させてから、型72及びシリコンウエハ71をそれぞれ独立してXYアライメント(XY方向の位置調整)することによって、シリコンウエハ71と型72との間のXY方向の位置合わせを行う。このように、両者をそれぞれ独立して位置調整して位置合わせすると、シリコンウエハ71と型72との間のXY方向の位置合わせを高い精度で行い易くなるため、好ましい。
このように、型72とシリコンウエハ71とを押し付けることで、型72の形状72aが紫外線硬化樹脂75に転写される。図9には示していないが、図7から理解できるように、インナーレンズ63aの下の層62の厚みは、紫外線硬化樹脂75の塗布量で決定される。
次いで、紫外線(UV光)を型72を介して紫外線硬化樹脂75に照射して、紫外線硬化樹脂75を硬化させる(図10)。このとき、紫外線は均一になるように照射してもよい。紫外線の照射量は、紫外線硬化樹脂75が硬化するのに適度な量とする。
その後、型72とシリコンウエハ71とを剥離する(図11)。紫外線硬化樹脂75は、インナーレンズ63aの下の層62となって、シリコンウエハ71上に残る。図12は、この状態を示している。型72の剥離を容易にするために、型72を樹脂75に押し付ける前に、予め型72に離型剤(例えば、フッ素系樹脂)を塗布しておいてもよい。
引き続いて、図12に示す状態の層62上に、インナーレンズ63aを有する層63となる材料(例えば、窒化シリコン膜)を形成する。これにより、インナーレンズ63aが形成される。本実施の形態では、層63は平坦化層としても機能する。次いで、層63上にカラーフィルタ40を形成する。その後、前述した図4乃至図6と同様の工程を行って、カラーフィルタ40上にマイクロレンズ41及び層42を形成する。
このようにして、1つのシリコンウエハ上に多数の固体撮像素子61が形成される。最後に、これを個々のチップに分離することで、多数の固体撮像素子61が完成する。
本実施の形態によれば、マイクロレンズ41に関して前記第1の実施の形態と同様の利点が得られる他、インナーレンズ63aに関しても、マイクロレンズ41に関する利点と同様の利点が得られる。
前記第1の実施の形態による製造方法で製造される固体撮像素子1のように、インナーレンズ63aを設けなくても、マイクロレンズ41の形状を適切に設定すれば、集光率を十分に高めることが可能である。したがって、本実施の形態による製造方法で製造される固体撮像素子61に比べて、前記第1の実施の形態による製造方法で製造される固体撮像素子1の方が、構造が簡単でよりコストを低減することができる。
しかしながら、マイクロレンズ41の他にインナーレンズ63aを設けた固体撮像素子61を製造する場合に、本実施の形態による製造方法を採用すれば、従来のようにインナーレンズ63aを窒化シリコン膜をエッチングすることによって形成する場合に比べて、その利点は大きい。
もっとも、本発明では、マイクロレンズ41の他にインナーレンズ63aを設けた固体撮像素子61を製造する場合、マイクロレンズ41を型52による形状転写で形成するとともにインナーレンズ63aを窒化シリコン膜のエッチングにより形成するか、あるいは、マイクロレンズ41を熱リフロー法又はエッチバック法により形成するとともにインナーレンズ63aを型72による層62への形状転写を利用して形成してもよい。これらの場合であっても、従来のようにマイクロレンズ41を熱リフロー法又はエッチバック法により形成するとともにインナーレンズ63aを窒化シリコン膜のエッチングにより形成する場合に比べて、その利点は大きい。
なお、本実施の形態では、前述した図9乃至図11に示す工程は、シリコンウエハ71を下側に配置し型72を上側に配置して行っている。これとは逆に、前述した図9乃至図11に示す工程に相当する工程を、シリコンウエハ71を上側に配置し型72を下側に配置して行ってもよい。この場合、紫外線硬化樹脂75の塗布は、シリコンウエハ71上ではなく、型72上に行われることになる。
ところで、インナーレンズ63aは、マイクロレンズ41とフォトダイオード15との間に配置すればよく、インナーレンズ63aが形成される階層は必ずしも図7に示す階層に限定されるものではない。例えば、絶縁膜38とカラーフィルタ40との間に層62,63に代えて平坦化層39を形成しておき、層62,63を、層間膜33と層間膜34との間、あるいは、層間膜34と絶縁膜38との間に形成してもよい。これらの固体撮像素子を製造する場合には、層62,63を形成する階層に合わせて、本実施の形態による製造方法において、図9乃至図11に示す工程を行う順番等を適宜変更すればよい。
以上、本発明の各実施の形態及び変形例について説明したが、本発明はこれらに限定されるものではない。
1,61 固体撮像素子
4 画素
15 フォトダイオード(受光部)
31 基板
41 マイクロレンズ
52,72 型
55,75 紫外線硬化樹脂
63a インナーレンズ
4 画素
15 フォトダイオード(受光部)
31 基板
41 マイクロレンズ
52,72 型
55,75 紫外線硬化樹脂
63a インナーレンズ
Claims (8)
- 光電変換を行う受光部と、前記受光部に対応するようにオンチップに配置され入射光を前記受光部に集光させるマイクロレンズと、を有する画素が、基板に複数配置された固体撮像素子の製造方法であって、
前記マイクロレンズの形状に応じた形状を有する第1の型を、前記マイクロレンズとなる第1の材料に相対的に押し付けて、前記第1の型の形状を前記第1の材料に転写させる段階を含むマイクロレンズ形成段階を、備えたことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。 - 前記画素は、前記マイクロレンズと前記受光部との間に配置されたインナーレンズを有し、
前記インナーレンズの形状に応じた形状を有する第2の型を、前記インナーレンズの反転形状を有する前記インナーレンズの下側の層となる第2の材料に相対的に押し付けて、前記第2の型の形状を前記第2の材料に転写させる段階と、前記下側の層上に、前記インナーレンズとなる材料を形成する段階とを、更に備えたことを特徴とする請求項1記載の固体撮像素子の製造方法。 - 前記第1の型は紫外線を透過させる材料で構成され、
前記第1の材料は紫外線硬化樹脂であり、
前記マイクロレンズ形成段階は、前記第1の型を介して紫外線を前記第1の材料に照射して前記第1の材料を硬化させる段階を含む、
ことを特徴とする請求項1又は2記載の固体撮像素子の製造方法。 - 前記マイクロレンズ形成段階は、1つのウエハ上に形成される複数の前記固体撮像素子の前記マイクロレンズを一括して形成し、
前記第1の型の形状を前記第1の材料に転写させる前記段階は、複数の前記固体撮像素子のマイクロレンズの形状に応じた形状を有する1つの型を用いて、複数の前記固体撮像素子のマイクロレンズの形状を一括して前記第1の材料に転写させる、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれかの記載の固体撮像素子の製造方法。 - 前記マイクロレンズ形成段階は、前記マイクロレンズの厚みが2μm以上となるように、行われることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の固体撮像素子の製造方法。
- 前記マイクロレンズ形成段階は、前記第1の材料によって前記マイクロレンズと一体に連続して前記マイクロレンズの下側に形成される層の厚みが1μm以下となるように、行われることを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の固体撮像素子の製造方法。
- 前記第1の型の形状を前記第1の材料に転写させる前記段階は、前記基板の側及び前記第1の型をそれぞれ独立して前記基板の面方向に位置調整することにより、前記基板の側と前記第1の型との間の前記面方向の位置合わせを行った状態で、行われることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の固体撮像素子の製造方法。
- 光電変換を行う受光部と、前記受光部に対応するようにオンチップに配置され入射光を前記受光部に集光させるマイクロレンズと、該マイクロレンズと前記受光部との間に配置されたインナーレンズと、を有する画素が、基板に複数配置された固体撮像素子の製造方法であって、
前記インナーレンズの形状に応じた形状を有する型を、前記インナーレンズの反転形状を有する前記インナーレンズの下側の層となる材料に相対的に押し付けて、前記型の形状を前記材料に転写させる段階と、前記下側の層上に、前記インナーレンズとなる材料を形成する段階とを、備えたことを特徴とする固体撮像素子の製造方法。
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JP2008127769A JP2009277885A (ja) | 2008-05-14 | 2008-05-14 | 固体撮像素子の製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014157579A1 (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-02 | ソニー株式会社 | 撮像素子および撮像装置 |
-
2008
- 2008-05-14 JP JP2008127769A patent/JP2009277885A/ja active Pending
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WO2014157579A1 (ja) * | 2013-03-29 | 2014-10-02 | ソニー株式会社 | 撮像素子および撮像装置 |
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