JP2009276632A - パターン形成方法、凹凸製品の製造方法、発光素子の製造方法および光学素子の製造方法 - Google Patents

パターン形成方法、凹凸製品の製造方法、発光素子の製造方法および光学素子の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】ヒートモード型のフォトレジスト層に凹部または低耐久性部を形成する際に発生する異物を除去しながら凹部または低耐久性部を形成することができるパターン形成方法と、この方法を用いた凹凸製品の製造方法、発光素子の製造方法および光学素子の製造方法を提供する。
【解決手段】ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層12に、集光した光を照射することで複数の凹部15を形成するパターン形成方法であって、フォトレジスト層12に対して不活性な気体である空気を吹き付けて、フォトレジスト層12上で移動させながら光を照射して凹部15を形成する。
【選択図】図4

Description

本発明は、ヒートモード型のフォトレジスト層に凹部または低耐久性部を良好に形成するためのパターン形成方法と、この方法を用いた凹凸製品の製造方法、発光素子の製造方法および光学素子の製造方法に関する。
従来、所定の対象物に所望の凹凸を形成する方法として、例えば、特許文献1に示すようなフォトレジスト材料を用いる方法が知られている。具体的に、この方法では、原盤にフォトレジストを塗付する塗付工程と、レーザ光によりフォトレジストを露光する露光工程と、露光部分を現像液により除去して所定の凹部を形成する現像工程と、反応性イオンエッチング(以下、「RIE」とも呼ぶ)により原盤をエッチングするエッチング工程と、残留するレジストを剥離する剥離工程を行うことで、原盤に凹凸を形成している。
特開平7−161080号公報
ところで、本願発明者は、凹凸を形成する方法として、フォトレジストおよびRIEを利用した従来技術よりも好適な方法を案出している。具体的に、その方法は、集光したレーザ光の照射により、その照射部に穴(ピットまたは開口ともいう)や局所的に耐久性が低下した部分(低耐久性部)が形成されるヒートモード型のフォトレジスト材料を、前述した現像を要するフォトレジスト材料の代わりに用いてエッチングを行う方法である。この方法によれば、レーザ光を照射するだけで、その照射部分に穴または低耐久性部が形成されるため、前記従来技術のような現像工程が不要となり、製造時間の短縮を図ることができる。
しかしながら、ヒートモード型のフォトレジスト材料を用いた方法では、レーザ光を照射した部分が分解・昇華・気化・飛散などの化学または/および物理変化を起こすことによって穴または低耐久性部が形成されるため、その変化時において異物が発生する。そのため、異物がヒートモード型のフォトレジスト材料に形成した穴または低耐久性部の周囲に残っていると、エッチングによって形成される凹凸形状にその影響が現れてしまい、意図した凹凸形状を形成することができないという問題があった。
また、本願発明者は、前述のエッチングを行わずに、レーザ光の照射により凹部を形成したヒートモード型のフォトレジスト材料をそのまま残すことで、凹凸を形成することも考えている。そして、このような場合でも、前述のように異物が凹部の周囲に残ることで、上記と同様に意図した凹凸形状を形成することができないといった問題があった。
そこで、本発明は、ヒートモード型のフォトレジスト層に凹部または低耐久性部を形成する際に発生する異物を除去しながら凹部または低耐久性部を形成することができるパターン形成方法と、この方法を用いた凹凸製品の製造方法、発光素子の製造方法および光学素子の製造方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明のパターン形成方法は、ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層に、集光した光を照射することで複数の凹部または低耐久性部を形成するパターン形成方法であって、前記フォトレジスト層に対して不活性な気体を、前記フォトレジスト層上で移動させながら前記照射をすることを特徴とする。
このようなパターン形成方法によれば、ヒートモード型のフォトレジスト層に凹部または低耐久性部を形成することで異物が発生しても、この異物はフォトレジスト層上を移動する気体によって除去される。このとき、気体がフォトレジスト層に対して不活性なので、フォトレジスト層の凹部または低耐久性部以外の部分は良好に残存し、フォトレジスト層に良好なパターンを形成することができる。また、このようにして形成したパターンを有するフォトレジスト層をマスクとして、エッチングの対象となる部位に良好な凹凸形状を形成することができる。さらに、異物の除去に気体を利用するので、異物を除去しながら、同時に凹部または低耐久性部を形成することができる。
また、本発明のパターン形成方法は、前記気体を吹き付けることにより、前記気体を前記フォトレジスト層上で移動させることができる。
これによれば、フォトレジスト層に凹部または低耐久性部を形成する際に発生する異物を吹き飛ばすことで、異物を効果的に除去することができるので、良好なパターンを形成することができる。
また、本発明のパターン形成方法は、前記気体を吸引することにより、前記気体を前記フォトレジスト層上で移動させることもできる。
これによれば、フォトレジスト層に凹部または低耐久性部を形成する際に発生する異物を、いわば回収することになるので、異物を効果的に除去することができ、良好なパターンを形成することができる。
なお、本発明において、前記気体の吹き付けと吸引は組み合わせて行うことができる。例えば、前記気体の吹き付けと吸引を交互に行ってもよいし、同時に行ってもよい。
また、本発明のパターン形成方法は、前記フォトレジスト層の表面温度を一定に保ちながら光を照射することが好ましく、例えば、吹き付ける前記気体の温度を20〜200℃とすることが好ましい。
ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層では、照射された光が熱に変換され、この熱により材料が分解・昇華などの化学または/および物理変化を起こして凹部または低耐久性部が形成されるので、気体の移動によってフォトレジスト層の表面温度が低下した場合、凹部または低耐久性部の形成に影響を与える可能性がある。そこで、フォトレジスト層の表面温度を一定に保つことで、フォトレジスト層の表面温度の低下を防ぐことができるので、より良好なパターンを形成することができる。
ここで、フォトレジスト層の表面温度を一定に保つとは、表面温度を単一の値に保ち続けることに限定されず、所定の範囲、すなわち、上限値と下限値との間に表面温度を保つことも含む。
なお、前述したような本発明に係るパターン形成方法は、半導体や光ディスクなどの凹凸製品の製造方法や発光素子の製造方法、光学素子の製造方法に利用することができる。
本発明によれば、ヒートモード型のフォトレジスト層に凹部または低耐久性部を形成する際に発生する異物を除去することができるので、意図したパターンを正確に再現した凹凸を所望の対象物に形成することができる。
[第1実施形態]
次に、本発明に係る発光素子の製造方法について、図面を参照しながら説明する。参照する図において、図1(a)はLEDパッケージの図であり、(b)は(a)の拡大図である。
図1(a)に示すように、本実施形態に係る発光素子の一例としてのLEDパッケージ1は、発光体の一例であるLED素子10と、このLED素子10を固定、配線するためのケース20とを備えてなる。
LED素子10は、従来周知の素子であり、詳細は図示しないが、n型クラッド層、p型クラッド層および活性層などを有する。図1(a)においては、上側の面が、光が外部へ放出される発光面18である。
ケース20には、LED素子10が固定されている。ケース20には、LED素子10に電力を供給する配線21,22等が形成されている。
図1(b)に示すように、LED素子10は、発光するための本体部分である発光部11と、発光部11の上(発光面18)に形成されたフォトレジスト層12と、バリア層13とをこの順に備えてなる。
フォトレジスト層12は、強い光の照射により光が熱に変換され、分解・昇華などの化学または/および物理変化を起こして凹部または低耐久性部を形成することが可能な層であり、いわゆるヒートモード型のフォトレジストの層である。このようなフォトレジストとしては、例えば、光記録ディスクなどの記録層に多用されている有機化合物が挙げられる。
本発明におけるフォトレジスト層12は、色素(特に有機色素)を記録物質として含有する色素型とすることが好ましい。
従って、フォトレジスト層12に含有される記録物質としては、色素等の有機化合物が挙げられる。なお、フォトレジスト層12の材料としては、有機材料に限られず、無機材料または無機材料と有機材料の複合材料を使用できる。ただし、有機材料であると、成膜をスピンコートにより容易にでき、転移温度が低い材料を得易いため、有機材料を採用するのが好ましい。また、有機材料の中でも、光吸収量が分子設計で制御可能な色素を採用するのが好ましい。
ここで、フォトレジスト層12の好適な例としては、メチン色素(シアニン色素、ヘミシアニン色素、スチリル色素、オキソノール色素、メロシアニン色素など)、大環状色素(フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素、ポルフィリン色素など)、アゾ色素(アゾ金属キレート色素を含む)、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、桂皮酸誘導体、キノフタロン系色素などが挙げられる。
中でも、レーザ光により一回限りの情報の記録が可能な、色素型のフォトレジスト層12であることが好ましい。有機物のフォトレジストは、溶剤に溶かしてスピンコートやスプレー塗布により膜を形成することができるので、生産性に優れるからである。かかる色素型のフォトレジスト層12は、記録波長領域に吸収を有する色素を含有していることが好ましい。特に、光の吸収量を示す消衰係数kの上限値は、加工精度向上の観点から、10以下が好ましく、5以下がより好ましく、3以下がさらに好ましく、1以下が最も好ましい。また、消衰係数kの下限値は、加工速度向上の観点から、0.0001以上が好ましく、0.001以上がより好ましく、0.1以上がさらに好ましい。
なお、フォトレジスト層12は、前記したように記録波長において光吸収があることが必要であり、かような観点からレーザ光源の波長に応じて適宜色素を選択したり、構造を改変することができる。
例えば、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、ペンタメチンシアニン色素、ヘプタメチンオキソノール色素、ペンタメチンオキソノール色素、フタロシアニン色素、ナフタロシアニン色素などから選択することが有利である。
また、レーザ光源の発振波長が660nm付近であった場合は、トリメチンシアニン色素、ペンタメチンオキソノール色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ピロメテン錯体色素などから選択することが有利である。
さらに、レーザ光源の発振波長が405nm付近であった場合は、モノメチンシアニン色素、モノメチンオキソノール色素、ゼロメチンメロシアニン色素、フタロシアニン色素、アゾ色素、アゾ金属錯体色素、ポルフィリン色素、アリリデン色素、錯体色素、クマリン色素、アゾール誘導体、トリアジン誘導体、ベンゾトリアゾール誘導体、1−アミノブタジエン誘導体、キノフタロン系色素などから選択することが有利である。
以下、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合、660nm付近であった場合、405nm付近であった場合に対し、フォトレジスト層12(記録層化合物)としてそれぞれ好ましい化合物の例を挙げる。ここで、以下の化学式1,2で示す化合物(I−1〜I−10)は、レーザ光源の発振波長が780nm付近であった場合の化合物である。また、化学式3,4で示す化合物(II−1〜II−8)は、660nm付近であった場合の化合物である。さらに、化学式5,6で示す化合物(III−1〜III−14)は、405nm付近であった場合の化合物である。なお、本発明はこれらを記録層化合物に用いた場合に限定されるものではない。
<レーザ光源の発振波長が780nm付近である場合のフォトレジスト材料例>
Figure 2009276632
<レーザ光源の発振波長が780nm付近である場合のフォトレジスト材料例>
Figure 2009276632
<レーザ光源の発振波長が660nm付近である場合のフォトレジスト材料例>
Figure 2009276632
<レーザ光源の発振波長が660nm付近である場合のフォトレジスト材料例>
Figure 2009276632
<レーザ光源の発振波長が405nm付近である場合のフォトレジスト材料例>
Figure 2009276632
<レーザ光源の発振波長が405nm付近である場合のフォトレジスト材料例>
Figure 2009276632
また、特開平4−74690号公報、特開平8−127174号公報、同11−53758号公報、同11−334204号公報、同11−334205号公報、同11−334206号公報、同11−334207号公報、特開2000−43423号公報、同2000−108513号公報、および同2000−158818号公報等に記載されている色素も好適に用いられる。
このような色素型のフォトレジスト層12は、色素を、結合剤等と共に適当な溶剤に溶解して塗布液を調製し、次いで、この塗布液を、基板上または後述する光反射層上に塗布して塗膜を形成した後、乾燥することにより形成できる。その際、塗布液を塗布する面の温度は、10〜40℃の範囲であることが好ましい。より好ましくは、下限値が、15℃以上であり、20℃以上であることがさらに好ましく、23℃以上であることが特に好ましい。また、上限値としては、35℃以下であることがより好ましく、30℃以下であることがさらに好ましく、27℃以下であることが特に好ましい。このように被塗布面温度が上記範囲にあると、塗布ムラや塗布故障の発生を防止し、塗膜の厚さを均一とすることができる。
なお、上記の上限値および下限値は、それぞれが任意で組み合わせることができる。
ここで、フォトレジスト層12は、単層でも重層でもよく、重層構造の場合、塗布工程を複数回行うことによって形成される。
塗布液中の色素の濃度は、一般に0.01〜15質量%の範囲であり、好ましくは0.1〜10質量%の範囲、より好ましくは0.5〜5質量%の範囲、最も好ましくは0.5〜3質量%の範囲である。
塗布液の溶剤としては、酢酸ブチル、乳酸エチル、セロソルブアセテート等のエステル;メチルエチルケトン、シクロヘキサノン、メチルイソブチルケトン等のケトン;ジクロルメタン、1,2−ジクロルエタン、クロロホルム等の塩素化炭化水素;ジメチルホルムアミド等のアミド;メチルシクロヘキサン等の炭化水素;テトラヒドロフラン、エチルエーテル、ジオキサン等のエーテル;エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノールジアセトンアルコール等のアルコール;2,2,3,3−テトラフルオロプロパノール等のフッ素系溶剤;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のグリコールエーテル類;等を挙げることができる。
上記溶剤は使用する色素の溶解性を考慮して単独で、または二種以上を組み合わせて使用することができる。塗布液中には、更に、酸化防止剤、UV吸収剤、可塑剤、潤滑剤等、各種の添加剤を目的に応じて添加してもよい。
塗布方法としては、スプレー法、スピンコート法、ディップ法、ロールコート法、ブレードコート法、ドクターロール法、ドクターブレード法、スクリーン印刷法等を挙げることができる。なお、生産性に優れ膜厚のコントロールが容易であるという点でスピンコート法を採用するのが好ましい。
フォトレジスト層12(記録層化合物)は、スピンコート法による形成に有利であるという点から、有機溶媒に対して0.3wt%以上30wt%以下で溶解することが好ましく、1wt%以上20wt%以下で溶解することがより好ましい。特にテトラフルオロプロパノールに1wt%以上20wt%以下で溶解することが好ましい。また、記録層化合物は、熱分解温度が150℃以上500℃以下であることが好ましく、200℃以上400℃以下であることがより好ましい。
塗布の際、塗布液の温度は、23〜50℃の範囲であることが好ましく、24〜40℃の範囲であることがより好ましく、中でも、25〜30℃の範囲であることが特に好ましい。
塗布液が結合剤を含有する場合、結合剤の例としては、ゼラチン、セルロース誘導体、デキストラン、ロジン、ゴム等の天然有機高分子物質;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、ポリイソブチレン等の炭化水素系樹脂、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリ塩化ビニル・ポリ酢酸ビニル共重合体等のビニル系樹脂、ポリアクリル酸メチル、ポリメタクリル酸メチル等のアクリル樹脂、ポリビニルアルコール、塩素化ポリエチレン、エポキシ樹脂、ブチラール樹脂、ゴム誘導体、フェノール・ホルムアルデヒド樹脂等の熱硬化性樹脂の初期縮合物等の合成有機高分子;等を挙げることができる。フォトレジスト層12の材料として結合剤を併用する場合に、結合剤の使用量は、一般に色素に対して0.01倍量〜50倍量(質量比)の範囲にあり、好ましくは0.1倍量〜5倍量(質量比)の範囲にある。
また、フォトレジスト層12には、フォトレジスト層12の耐光性を向上させるために、種々の褪色防止剤を含有させることができる。
褪色防止剤としては、一般的に一重項酸素クエンチャーが用いられる。一重項酸素クエンチャーとしては、既に公知の特許明細書等の刊行物に記載のものを利用することができる。
その具体例としては、特開昭58−175693号公報、同59−81194号公報、同60−18387号公報、同60−19586号公報、同60−19587号公報、同60−35054号公報、同60−36190号公報、同60−36191号公報、同60−44554号公報、同60−44555号公報、同60−44389号公報、同60−44390号公報、同60−54892号公報、同60−47069号公報、同63−209995号公報、特開平4−25492号公報、特公平1−38680号公報、および同6−26028号公報等の各公報、ドイツ特許350399号明細書、そして日本化学会誌1992年10月号第1141頁等に記載のものを挙げることができる。前記一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤の使用量は、色素の量に対して、通常0.1〜50質量%の範囲であり、好ましくは、0.5〜45質量%の範囲、さらに好ましくは、3〜40質量%の範囲、特に好ましくは5〜25質量%の範囲である。
以上、フォトレジスト層12が色素型記録層である場合の溶剤塗布法について述べたが、フォトレジスト層12は記録物質の物性に合わせ、蒸着、スパッタリング、CVD等の成膜法によって形成することもできる。
なお、色素は、後述する凹部15の加工に用いるレーザ光の波長において、他の波長よりも光の吸収率が高いものが用いられる。特に、LED素子10などの発光素子の発光波長よりも、加工時のレーザ光の波長において光の吸収率が高いことが望ましい。
この色素の吸収ピークの波長は、必ずしも可視光の波長域内であるものに限定されず、紫外域や、赤外域にあるものであっても構わない。
特に発光素子の発光面を構成する材料の屈折率が高い場合には、凹部15を構成するフォトレジスト層12およびバリア層13の屈折率が高いことが好ましい。
色素には、吸収波長のピーク波長の長波側に屈折率の高い波長域が存在するが、この波長域と発光素子の発光波長とを合わせることが好ましい。そのためには、色素吸収波長λaが発光素子の中心波長λcより短い(λa<λc)ことが好ましい。λaとλcの差の下限は、加工し易さの観点から、10nm以上が好ましく、25nm以上がより好ましく、50nm以上がさらに好ましい。また、λaとλcの差の上限は、加工し易さの観点から、500nm以下が好ましく、300nm以下がより好ましく、200nm以下がさらに好ましい。
レーザで凹部15を記録する波長λwは、λa<λwの関係であることが好ましい。このような関係にあれば、色素の光吸収量が適切で記録効率が高まるし、きれいな凹凸形状が形成できるからである。また、λw<λcの関係であることが好ましい。λwは、色素が吸収する波長であるべきなので、このλwの波長よりも長波長側に発光素子の中心波長λcがあることで、発光素子の発する光が色素に吸収されず透過率が向上し、結果として発光効率が向上できるからである。
以上のような観点から、λa<λw<λcの関係にあることが最も好ましいといえる。
なお、凹部15を形成するためのレーザ光の波長λwは、大きなレーザパワーが得られる波長であればよく、例えば、フォトレジスト層12に色素を用いる場合は、193nm、210nm、266nm、365nm、405nm、488nm、532nm、633nm、650nm、680nm、780nm、830nmなど、1000nm以下が好ましい。
また、レーザ光の種類としては、ガスレーザ、固体レーザ、半導体レーザなど、どのようなレーザであってもよい。ただし、光学系を簡単にするために、固体レーザや半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザ光は、連続光でもパルス光でもよいが、自在に発光間隔が変更可能なレーザ光を採用するのが好ましい。例えば、半導体レーザを採用するのが好ましい。レーザを直接オンオフ変調できない場合は、外部変調素子で変調するのが好ましい。
また、レーザパワーは、加工速度を高めるためには高い方が好ましい。ただし、レーザパワーを高めるにつれ、スキャン速度(レーザ光でフォトレジスト層12を走査する速度;例えば、後述する露光装置の回転速度)を上げなければならない。そのため、レーザパワーの上限値は、スキャン速度の上限値を考慮して、100Wが好ましく、10Wがより好ましく、5Wがさらに好ましく、1Wが最も好ましい。また、レーザパワーの下限値は、0.1mWが好ましく、0.5mWがより好ましく、1mWがさらに好ましい。
さらに、レーザ光は、発信波長幅およびコヒーレンシが優れていて、波長並みのスポットサイズに絞ることができるような光であることが好ましい。また、記録ストラテジ(凹部15を適正に形成するための光パルス照射条件)は、光ディスクで使われているようなストラテジを採用するのが好ましい。すなわち、光ディスクで使われているような、記録速度や照射するレーザ光の波高値、パルス幅などの条件を採用するのが好ましい。
フォトレジスト層12の厚さは、後述する凹部15の深さに対応させるのがよい。
この厚みは、例えば、1〜10000nmの範囲で適宜設定することができ、厚さの下限は、凹部15による光学的な効果やフォトレジスト層12をエッチングマスクとして利用する場合においてエッチング効果を得るという観点から、10nm以上が好ましく、30nm以上がより好ましい。また、厚さの上限は、加工精度や加工速度の観点から、1000nm以下が好ましく、500nm以下がより好ましい。
また、フォトレジスト層12の厚さtと、凹部15の直径dとは、以下の関係であることが好ましい。すなわち、フォトレジスト層12の厚さtの上限は、加工精度や加工速度の観点から、t<10dが好ましく、t<5dがより好ましく、t<3dがさらに好ましい。また、フォトレジスト層12の厚さtの下限は、凹部15による光学的な効果やフォトレジスト層12をエッチングマスクとして利用する場合においてエッチング効果を得るという観点から、t>d/100が好ましく、t>d/10がより好ましく、t>d/5がさらに好ましい。
フォトレジスト層12を形成するときは、フォトレジストとなる物質を適当な溶剤に溶解または分散して塗布液を調製した後、この塗布液をスピンコート、ディップコート、エクストルージョンコートなどの塗布法により発光面18の表面に塗布することにより形成することができる。
バリア層13は、フォトレジスト層12を衝撃などから防ぐために形成され、任意的に設けられる。バリア層13は、透明な材質であれば特に限定されないが、好ましくはポリカーボネート、三酢酸セルロース等であり、より好ましくは、23℃、50%RHでの吸湿率が5%以下の材料である。また、SiO2、ZnS、GaOなどの酸化物、硫化物を用いることもできる。
なお、「透明」とは、LED素子10が発する光に対して、当該光を透過する(透過率:90%以上)ほどに透明であることを意味する。
バリア層13は、接着層を構成する光硬化性樹脂を適当な溶剤に溶解して塗布液を調製した後、この塗布液を所定温度でフォトレジスト層12上に塗布して塗布膜を形成し、該塗布膜上に、例えばプラスチックの押出加工で得られた三酢酸セルロースフィルム(TACフィルム)をラミネートし、ラミネートしたTACフィルムの上から光を照射して塗布膜を硬化させて形成される。前記TACフィルムとしては、紫外線吸収剤を含むものが好ましい。バリア層13の厚さは、0.01〜0.2mmの範囲であり、好ましくは0.03〜0.1mmの範囲、より好ましくは0.05〜0.095mmの範囲である。
フォトレジスト層12およびバリア層13には、周期的に複数の凹部15が形成されている。凹部15は、フォトレジスト層12およびバリア層13に集光した光を照射することで、当該照射部分を変形(消失による変形を含む)させて形成されたものである。凹部15は、発光面18の光が放出される範囲に密に形成するのが望ましい。
なお、凹部15が形成される原理は、以下の通りとなっている。
フォトレジスト層12(記録層化合物)に、材料の光吸収がある波長(材料で吸収される波長)のレーザ光を照射すると、フォトレジスト層12によってレーザ光が吸収され、この吸収された光が熱に変換され、光の照射部分の温度が上昇する。これにより、フォトレジスト層12が、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学または/および物理変化を起こす。そして、このような変化を起こした材料が移動または/および消失することで、凹部15が形成される。なお、バリア層13は非常に薄い層であるため、フォトレジスト層12の移動または/および消失に伴って、一緒に移動または/および消失する。そして、このような凹部15の形成時においては、化学または/および物理変化したフォトレジスト層12の一部が、異物となって凹部15の周囲に残る。
なお、凹部15の形成方法としては、例えば、ライトワンス光ディスクや追記型光ディスクなどで公知となっているピットの形成方法を適用することができる。具体的には、例えば、ピットサイズによって変化するレーザの反射光の強度を検出し、この反射光の強度が一定となるようにレーザの出力を補正することで、均一なピットを形成するといった、公知のランニングOPC技術(例えば、特許第3096239号公報)を適用することができる。
また、前記したようなフォトレジスト層12(記録層化合物)の気化、昇華または分解は、その変化の割合が大きく、急峻であることが好ましい。具体的には、記録層化合物の気化、昇華または分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による重量減少率が5%以上であることが好ましく、より好ましくは10%以上、さらに好ましくは20%以上である。また記録層化合物の気化、昇華または分解時の示差熱天秤(TG−DTA)による重量減少の傾き(昇温1℃あたりの重量減少率が0.1%/℃以上であることが好ましく、より好ましくは0.2%/℃以上、さらに好ましくは0.4%/℃以上である。
また、軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学または/および物理変化の転移温度は、その上限値が、加工速度向上の観点から、2000℃以下が好ましく、1000℃以下がより好ましく、500℃以下がさらに好ましい。温度が高すぎると、レーザパワーが不足して加工できなくなる可能性がある。また、転移温度の下限値は、加工精度の観点から、50℃以上が好ましく、100℃以上がより好ましく、150℃以上がさらに好ましい。
図2(a)は発光面を平面的に見た一例の図であり、(b)は他の例の図であり、図3(a)は凹部の直径とピッチとの関係を説明する図であり、(b)はレーザ光の発光時間と周期との関係を説明する図である。
図2(a)に示すように、凹部15は、ドット状に形成され、このドットが格子状に配列されたものを採用することができる。また、図2(b)に示すように、凹部15は、細長い溝状に形成され、これが断続的につながったものでもよい。さらに、図示は省略するが、連続した溝形状として形成することもできる。
隣接する凹部15同士のピッチPは、発光体であるLED素子10が発光する光の中心波長λcの0.01〜100倍である。
凹部15のピッチPは、好ましくは、中心波長λcの0.05〜20倍であり、より好ましくは0.1〜5倍であり、最も好ましくは0.2〜2倍である。具体的には、ピッチPの下限値は、中心波長λcの0.01倍以上が好ましく、0.05倍以上がより好ましく、0.1倍以上がさらに好ましく、0.2倍以上が最も好ましい。また、ピッチPの上限値は、中心波長λcの100倍以下が好ましく、20倍以下がより好ましく、5倍以下がさらに好ましく、2倍以下が最も好ましい。
凹部15の直径または溝の幅は、中心波長λcの0.005〜25倍であり、好ましくは0.025〜10倍、より好ましくは0.05〜2.5倍、最も好ましくは0.25〜2倍である。
なお、ここでいう直径または溝の幅は、凹部15の半分の深さにおける大きさ、いわゆる半値幅である。
凹部15の直径または溝の幅は、上記の範囲で適宜設定することができるが、発光面18から離れるにつれ、巨視的に徐々に屈折率が小さくなるように、ピッチPの大きさに応じて調整するのが望ましい。すなわち、ピッチPが大きい場合には、凹部15の直径または溝の幅も大きくし、ピッチPが小さい場合には、凹部15の直径または溝の幅も小さくするのが好ましい。この観点から、直径または溝の幅は、ピッチPに対して2分の1程度の大きさであるのが好ましく、例えば、ピッチPの20〜80%であり、より好ましくは30〜70%、さらに好ましくは40〜60%である。
凹部15の深さは、好ましくは中心波長λcの0.01〜20倍であり、より好ましくは0.05〜10倍、さらに好ましくは0.1〜5倍であり、最も好ましくは0.2〜2倍である。
以上のような構成のLEDパッケージ1の製造方法について説明する。図4(a)〜(c)はLEDパッケージの製造工程を示す図であり、図5は本実施形態に係る露光装置の構成図である。
図4(a)に示すように、まず、従来公知の方法で製造されたLED素子10の本体である発光部11(基板100)を用意する。ここで、基板100は、LED素子10が複数形成された半導体発光素子基板を、円盤状または矩形状に形成したものである。
そして、図4(b)に示すように、発光部11上にフォトレジスト層12とバリア層13をこの順に形成する。
次に、凹部15を形成するが、凹部15を形成する装置は、図5に示すように、従来の光ディスクドライブと同様の構成からなる露光装置DDを用いることができる。具体的に、この露光装置DDは、基板100を支持するステージ30と、ステージ30を回転させることで基板100(LED素子10の本体)を回転させるモータ40と、フォトレジスト層12およびバリア層13に集光した光を照射する光学系50と、フォトレジスト層12およびバリア層13に気体を吹き付ける気体送出装置60と、気体送出装置60を制御する制御装置70とを主に備えている。
ステージ30、モータ40および光学系50は、公知の光ディスクドライブや光学加工装置、例えば、パルステック工業株式会社製のNEO500やNEO1000などと同様の構成であるので説明を省略する。
気体送出装置60は、気体供給源61と、フィルタ62と、気体供給管63と、送出ノズル64とを主に備えている。
気体供給源61は、高圧の空気(フォトレジスト層12に対して不活性な気体の一例)を供給する装置であり、例えば、エアポンプからなる。
フィルタ62は、空気中に含まれる塵埃などを除去して、空気の清浄度(凹部15の形成に適した清浄度)を保つためのものである。このフィルタ62で除去可能な塵埃などの粒径の上限は、塵埃の除去能力の観点から、100μm以下が好ましく、10μm以下がより好ましく、1μm以下がさらに好ましい。また、フィルタ62で除去可能な塵埃などの粒径の下限は、気体の流量を確保するという観点から、0.001μm以上が好ましく、0.01μm以上がより好ましく、0.05μm以上がさらに好ましい。
なお、気体供給源61やフィルタ62は、露光装置DDの筐体内に設けられていてもよいし、露光装置DDの外部、すなわち、露光装置DDとは別に設けられていてもよい。
送出ノズル64は、フィルタ62および気体供給管63を介して、気体供給源61から供給された空気を開口部64Aより基板100(フォトレジスト層12およびバリア層13)に対して吹き付けるものである。この送出ノズル64が配置される位置は、以下の条件を満たしていることが好ましい。
光学系50の光軸から開口部64Aの中心までの距離Lの上限は、異物除去作用を得るという観点から、開口部64Aの直径Dの1000倍以下が好ましく、直径Dの500倍以下がより好ましく、直径Dの100倍以下がさらに好ましい。また、距離Lの下限は、設計上の観点から、直径Dの0.1倍以上が好ましく、直径Dの0.3倍以上がより好ましく、直径Dの1倍以上がさらに好ましい。
直径Dの上限は、気体供給源61(エアポンプなど)の能力や気体を安定して送出するという観点から、100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましい。また、直径Dの下限は、気体の流量を確保するという観点から、0.1mm以上が好ましく、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がさらに好ましい。なお、開口部64Aの形状は円形に限定されず、例えば、矩形などであってもよい。したがって、開口部64Aの直径Dとは、開口部64Aの形状と同一面積を有する円に換算したときの直径寸法をいう。
筒状の送出ノズル64の中心線(図5の鎖線参照)と基板100の表面とがなす角度θの上限は、異物除去作用を得るという観点から、80度以下が好ましく、45度以下がより好ましく、30度以下がさらに好ましい。また、角度θの下限は、設計上の観点から、5度以上が好ましく、10度以上がより好ましく、20度以上がさらに好ましい。
また、送出ノズル64は、基板100に対して空気を吹き付ける方向が、空気を吹き付けないで基板100を回転させたときの空気の流れと同じ方向となるように配置されることが好ましい。具体的には、基板100の半径方向において、光学系50よりも中心側で開口部64Aを半径方向外側に向けて配置されることが好ましい。なお、一般に、空気を吹き付けないで基板100を回転させた場合、空気は基板100の中心から半径方向外側に向かって、回転方向に応じた曲線を描くように放射状に流れる。ここで、本発明において、同じ方向とは、空気を吹き付けないで基板100を回転させたときの空気の流れる方向に対して、±90度以内の幅を持った方向をいうものとする。
ここで、基板100を回転させたときの空気の流れは、加工速度、送出ノズル64や光学系50の形状・配置状態、基板100の表面形状、基板100の厚み変動、基板100表面の温度や湿度などにも依存するため、送出ノズル64の位置を適宜移動させて最適化することが好ましい。したがって、送出ノズル64は、上記した加工時の条件、加工特性、異物除去特性、操作性、安全性などを勘案した上で最適な位置に配置可能なように、機械または手動で移動可能に構成されていることが好ましい。なお、送出ノズル64は、固定される構成であってもよいし、光学系50とともに基板100の半径方向(図5の左右方向)に移動可能な構成であってもよい。
制御装置70は、図示しないCPU、ROM、RAM、通信機器などの公知のハードウェアを備えており、本実施形態においては特に、送出ノズル64から吹き付けられる空気の流速(空気の圧力)と空気を吹き付ける時間(以下、送出時間という)の制御を行っている。空気の圧力および送出時間は、例えば、制御装置70が公知の方法によって、気体供給管63の途中に設けられた図示しない圧力調整弁の開閉を調整したり、気体供給源61の出力を調整したりすることで制御することができる。
なお、空気の吹き付けの開始は、光学系50でレーザ光を照射する前(凹部15を形成する前)が好ましい。これによれば、フォトレジスト層12上の空気の流れが安定してから凹部15を形成することができるので、加工(パターン形成)の精度を向上させることができる。また、空気の吹き付けの停止は、凹部15を形成した後、例えば、凹部15の形成終了後、所定時間経過した後が好ましい。これによれば、凹部15の形成直後にフォトレジスト層12や凹部15などに残る異物を除去できるので、良好な凹凸形状を維持することができ、その後エッチングなどを行った場合でも良好な凹凸形状の形成が可能となる。
このような露光装置DDは、その全体または一部を、例えば、筐体や部屋などの内部に収容して使用することができる。このような筐体や部屋は、通常の設計で十分であるが、フィルタにより清浄にした空気を温度、湿度、流量などを一定に制御できる設備を備えていることが好ましい。
以上、説明した露光装置DDに基板100を装填する。そして、フォトレジスト層12の材質に応じ、これを変形させるのに適当な出力でレーザ光をフォトレジスト層12に照射する。さらに、この照射のパターンが、図2(a)や(b)に例示したドットまたは溝などの形成すべき凹部15のパターンに合うように、レーザ光源にパルス信号または連続信号を入力する。
なお、図3(b)に示すように、所定の周期Tで発光されるレーザ光のデューティ比(発光時間τ/周期T)は、実際に形成する凹部15のデューティ比(レーザ光の走査方向における凹部15の長さd/ピッチP;図3(a)参照)より低くするのが好ましい。ここで、図3(a)に円状に示すレーザ光は、発光時間τの間において所定の速度で移動することで、楕円状の凹部15の形成に寄与している。
レーザ光のデューティ比としては、例えば、凹部15のピッチPを100としたときの凹部15の長さdが50である場合には、50%よりも低いデューティ比でレーザ光を照射すればよい。また、この場合、レーザ光のデューティ比の上限値は、50%未満が好ましく、40%未満がより好ましく、35%未満がさらに好ましい。さらに、下限値は、1%以上が好ましく、5%以上がより好ましく、10%以上がさらに好ましい。以上のように、デューティ比を設定することで、規定のピッチの凹部15を正確に形成することができる。
また、公知の光ディスクドライブと同様のフォーカシング技術、例えば、非点収差法などを用いることにより、発光部11にうねりや反りがあったとしても、発光面18の表面に容易に集光することが可能である。
このようにして、図4(c)に示すように、発光面18側から露光装置DDの光学系50でレーザ光を集光して照射する。そして、光記録ディスクに情報を記録する場合と同様に、発光部11(基板100)を回転させながら、光学系50を半径方向に移動させることで、発光面18の全体に凹部15を形成する。このとき、気体送出装置60の送出ノズル64から、フォトレジスト層12およびバリア層13のレーザ光が照射されている部分に空気を吹き付ける。
なお、凹部15の形成時には、フォトレジスト層12(少なくとも凹部15が形成されている部分)の表面温度を一定に保つことが好ましい。すなわち、フォトレジスト層12の表面温度は、空気の吹き付けによって低下する可能性があるが、ヒートモード型の材料の場合、照射されたレーザ光が熱に変換され、この熱により凹部15が形成されるので、表面温度が低下した場合、良好な凹部15を形成できないおそれがあるからである。
具体的には、例えば、露光装置DDの加工室(ステージ30、光学系50、送出ノズル64などが配置された部屋)の内部に温度を一定に保つヒータなどの装置を設けたり、気体送出装置60に空気を加熱する構成を設けたりすることが好ましい。ここで、フォトレジスト層の表面温度や加熱空気の温度は、加工精度や色素の分解温度の観点から、20〜200度であることが好ましい。
ここで、フォトレジスト層12の表面温度を一定に保つ構成としては、例えば、加工室内に設けた公知の温度センサによって表面温度を測定し、制御装置70が温度センサの出力に基づいてヒータなどの出力や吹き付ける空気の温度を制御することで実現することができる。
このようにフォトレジスト層12の表面温度を一定に保つことで、フォトレジスト層12の表面温度の低下を防ぐことができるので、より良好な凹凸形状を形成することができる。
また、凹部15の形成時には、フォトレジスト層12の軟化、液化、気化、昇華、分解などの化学または/および物理変化の特性を一定に保つため、加工室内の湿度を一定に保つことが好ましい。そこで、露光装置DDには、湿度を一定に保つための公知の構成を備えることができる。
なお、送出ノズル64より送出される空気の湿度により、加工室内の湿度が変動するので、気体送出装置60にも湿度を一定に保つための構成を備えることが好ましい。この場合、気体送出装置60での湿度制御と加工室内の湿度制御とを同期させてもよい。加工室内の湿度と送出される空気の湿度との差は、±20RH%以内が好ましく、±10RH%以内がより好ましく、±5RH%以内がさらに好ましい。
ここで、凹部15を形成する時の加工条件は以下の通りである。
光学系50の開口数NAの下限は、加工精度の観点から、0.4以上が好ましく、0.5以上がより好ましく、0.6以上がさらに好ましい。また、開口数NAの上限は、角度変動に対する許容度の観点から、2以下が好ましく、1以下がより好ましく、0.9以下がさらに好ましい。
光学系50の波長は、例えば405±30nm、532±30nm、650±30nm、780±30nmである。これらは、大きな出力が得やすい波長だからである。なお、波長は短い程、細かい加工ができるので好ましい。
光学系50の出力の下限は、加工時間の観点から、0.1mW以上であり、好ましくは1mW以上、より好ましくは5mW以上、さらに好ましくは20mW以上である。また、光学系50の出力の上限は、部材の耐久性の観点から、1000mW以下であり、好ましくは500mW以下、より好ましくは200mW以下である。
光学系50をフォトレジスト層12に対し相対的に移動させる線速は、下限が、加工時間や加工精度の観点から、0.1m/s以上であり、好ましくは1m/s以上、より好ましくは5m/s以上、さらに好ましくは20m/s以上である。また、線速の上限は、加工精度の観点から、500m/s以下であり、好ましくは200m/s以下、より好ましくは100m/s以下、さらに好ましくは50m/s以下である。
気体送出装置60の送出ノズル64から吹き付けられる空気の圧力は、下限が、異物除去作用を得るという観点から、0.001MPa以上であり、好ましくは0.01MPa以上、より好ましくは0.05MPa以上である。また、空気の圧力の上限は、フォトレジスト層12を保護するという観点から、2MPa以下であり、好ましくは1MPa以下、より好ましくは0.7MPa以下である。なお、吹き付けられる空気の量は任意である。
以上のようにして露光装置DDにより凹部15を形成した後は、図示しないが、基板100を切断することで個々のLED素子10を製造でき、このLED素子10をケース20に固定して、必要な配線をすることで図1に示したLEDパッケージ1が製造できる。
以上によれば、本実施形態において以下のような効果を得ることができる。
フォトレジスト層12に対して空気を、フォトレジスト層12上で移動させながら、具体的にはフォトレジスト層12上に吹き付けながら凹部15を形成するので、図4(c)に示すように、発生した異物Sをフォトレジスト層12上から吹き飛ばして、除去することができる。空気はフォトレジスト層12に対して不活性なので、フォトレジスト層12の凹部15以外の部分は良好に残存し、フォトレジスト層12に良好な凹凸形状を形成することができる。また、空気(気体)により異物Sを除去するので、異物Sを除去しながら、同時に凹部15を形成することができる。
また、前述のようにして形成されたLEDパッケージ1は、発光面18に形成された微細な凹凸形状により、発光面18の近傍において巨視的に屈折率が徐々に変化し、発光面18から放出された光が発光面18の内面で反射することが抑制される。これにより、LEDパッケージ1の発光効率が向上する。
さらに、ヒートモード形状変化が可能なフォトレジスト層12を用いることで集光したレーザ光を照射するだけで凹部15を形成することができるとともに、フォトレジスト層12の形成は塗布などにより大量に一斉に行うことができるので、凹部15の形成を、従来公知の光ディスクドライブなどとほぼ同様の構成で、早く、安価に行うことができる。また、公知のフォーカシング技術を利用することで、素材にうねりがあっても凹部15を簡単に製造することができる。
このような工程は、従来のように、例えば、現像工程を必要とするフォトレジスト材料を用いた方法や、材料を塗布してベーキング、露光、ベーキング、エッチングといった複雑な工程を利用する方法などと比較すると極めて簡単である。したがって、簡易に発光素子の発光面に微細な凹凸形状を形成して発光効率を向上することが可能である。
[第2実施形態]
次に、本発明の第2実施形態に係る露光装置の構成について説明する。参照する図面において、図6は第2実施形態に係る露光装置の構成図である。なお、本実施形態は、第1実施形態に係る露光装置の構成を変更したものであるため、第1実施形態と同様の構成要素については、同一符号を付して、その説明を省略することとする。
図6に示すように、本実施形態に係る露光装置DD’は、ステージ30、モータ40、光学系50および気体送出装置60を備える他、さらに、気体吸引装置80と、気体送出装置60および気体吸引装置80を制御する制御装置70Aとを備えている。
気体吸引装置80は、吸引ポンプ81と、気体吸引管83と、吸引ノズル84とを主に備えている。
吸引ポンプ81は、空気(気体)を吸引する公知のポンプである。なお、吸引ポンプ81は、露光装置DD’の筐体内に設けられていてもよいし、露光装置DD’の外部、すなわち、露光装置DD’とは別に設けられていてもよい。
吸引ノズル84は、気体吸引管83を介して吸引ポンプ81に接続され、基板100上(露光装置DD’の加工室内)の空気を開口部84Aから吸引するものである。この吸引ノズル84は、加工室内が不要に負圧にならない程度で吸引できることが好ましい。吸引ノズル81は、基板100のハンドリングや回転、凹部15の形成時の光学系50の移動などを合理的に保証しうる位置に配置されることが好ましく、具体的には、以下の条件を満たしていることが好ましい。
光学系50の光軸から開口部84Aの中心までの距離L2の上限は、吸引力を確保するという観点から、開口部84Aの直径D2の1000倍以下が好ましく、直径D2の500倍以下がより好ましく、直径Dの100倍以下がさらに好ましい。また、距離L2の下限は、設計上の観点から、直径D2の0.1倍以上が好ましく、直径D2の0.3倍以上がより好ましく、直径D2の1倍以上がさらに好ましい。
直径D2の上限は、吸引ポンプ81の能力の観点から100mm以下が好ましく、50mm以下がより好ましく、30mm以下がさらに好ましい。また、直径D2の下限は、吸引力を確保するという観点から、0.1mm以上が好ましく、0.5mm以上が好ましく、1mm以上がさらに好ましい。なお、開口部84Aの形状も円形に限定されず、例えば、矩形などであってもよい。したがって、開口部84Aの直径D2とは、開口部84Aの形状と同一面積を有する円に換算したときの直径寸法をいう。
筒状の吸引ノズル84の中心線(図6の鎖線参照)と基板100の表面とがなす角度θ2は、異物除去作用(異物吸引作用)を得るという観点から、60度以内が好ましく、40以内度がより好ましく、30度以内がさらに好ましい。
また、吸引ノズル84は、空気の吸引方向が、空気を吸引しないで基板100を回転させたときの空気の流れと同じ方向となるように配置されることが好ましい。具体的には、基板100の半径方向において、光学系50よりも外側で開口部84Aを半径方向内側(光学系50側)に向けて配置されることが好ましい。ここで、本発明において、同じ方向とは、空気を吸引しないで基板100を回転させたときの空気の流れる方向に対して、±90度以内の幅を持った方向をいうものとする。
なお、基板100上の空気の流れは、空気を送出する送出ノズル64が配置される位置に影響されるため、吸引ノズル84が配置される位置と送出ノズル64が配置される位置を最適化する必要がある。前記したように、空気は基板100の中心から外側に向かって、回転方向に応じた曲線を描くように放射状に流れるので、吸引ノズル81が配置される位置は、基板100を上方から見て、基板100上の凹部15が形成される部分を挟んで送出ノズル64と対向する位置から、基板100の回転方向にずれた位置が好ましい。詳細には、基板100を上方から見て、送出ノズル64の中心線と吸引ノズル84の中心線とがなす角度が、45度以内が好ましく、30度以内がより好ましく、20度以内がさらに好ましい。
吸引ノズル84は、加工室内に固定されていてもよいし、光学系50とともに基板100の半径方向(図6の左右方向)に移動可能であってもよいし、光学系50とは別に機械または手動により移動可能であってもよい。
前記したような条件を満たす場合、図示はしないが、吸引ノズル84は複数配置することができる。この場合、基板100を上方から見て、基板100上の凹部15が形成される部分を挟んで送出ノズル64と対向する位置に第1の吸引ノズルを配置し、その上下や左右に複数の吸引ノズルを配置することができる。このとき、基板100上の凹部15が形成される部分(光学系50の基板100上の焦点位置)を通る第1の吸引ノズルの中心線と、他の吸引ノズルの中心線とがなす角度は、±30度以内が好ましく、±20度以内画より好ましく、±15度以内がさらに好ましい。
制御装置70Aは、図示しないCPU、ROM、RAM、通信機器などの公知のハードウェアを備えている。この制御装置70Aは、送出ノズル64から吹き付けられる空気の圧力と送出時間の制御の他、本実施形態においては、さらに、吸引ノズル84から吸引される空気の流速と空気を吸引する時間(以下、吸引時間という)の制御を行っている。空気の流速および吸引時間は、例えば、制御装置70Aが公知の方法によって、気体吸引管83の途中に設けられた図示しない圧力調整弁の開閉を調整したり、吸引ポンプ81の出力を調整したりすることで制御することができる。
なお、加工室内が不要に負圧にならないように、制御装置70Aは、公知の方法によって、送出ノズル64から吹き付けられる空気の量と吸引ノズル84から吸引される空気の量とが略等しくなるように制御する機能を有することが好ましい。
また、空気の吸引の開始は、フォトレジスト層12に対して光学系50からレーザ光を照射する前(凹部15を形成する前)が好ましい。これによれば、フォトレジスト層12上の空気の流れが安定してから凹部15を形成することができるので、加工(パターン形成)の精度を向上させることができる。また、空気の吸引の停止は、凹部15を形成した後、例えば、凹部15の形成終了後、所定時間経過した後が好ましい。これによれば、凹部15の形成直後にフォトレジスト層12や凹部15などに残る異物を除去できるので、良好な凹凸形状を維持することができ、その後エッチングなどを行った場合でも良好な凹凸形状の形成が可能となる。
このような露光装置DD’は、その全体または一部を、例えば、筐体や部屋などの内部に収容して使用することができる。このような筐体や部屋は、通常の設計で十分であるが、フィルタにより清浄にした空気を温度、湿度、流量などを一定に制御できる設備を備えていることが好ましい。
以上、説明した露光装置DD’で凹部15の形成を行う場合、まず、露光装置DD’に基板100を装填し、光学系50でレーザ光を集光して照射する。そして、基板100を回転させながら、光学系50を半径方向に移動させることで、基板100(フォトレジスト層12)に凹部15を形成する。このとき、気体送出装置60の送出ノズル64から、フォトレジスト層12およびバリア層13のレーザ光が照射されている部分に空気を吹き付けるとともに、気体吸引装置80の吸引ノズル84から、フォトレジスト層12および凹部15上の空気を吸引する。
以上によれば、前記第1実施形態に係ると同等の効果を得ることができるとともに、さらに、以下のような効果を得ることができる。
すなわち、フォトレジスト層12上の空気を吸引しながら凹部15を形成するので、図示はしないが発生した異物を除去することができる。このとき、気体吸引装置80に微細な固形物を回収する公知の構成を設けることで、凹部15の形成に伴って増加する異物を回収することができる。これにより、常に異物が少ない状態で凹部15を形成することができるので、より良好な凹凸形状を形成することができる。
なお、凹部15の形成時には、フォトレジスト層12(少なくとも凹部15が形成されている部分)の表面温度を一定に保つことが好ましい。フォトレジスト層12の表面温度が、空気の吸引によって低下する可能性があるからである。具体的には、例えば、露光装置DD’の加工室内に設けた公知の温度センサによって表面温度を測定し、制御装置70Aが温度センサの出力に基づいて、ヒータなどの加工室内の温度を一定に保つ装置の出力を制御することで実現することができる。これにより、より良好な凹凸形状を形成することができる。
[第3実施形態]
次に、本発明の第3実施形態に係る光学素子の製造方法について説明する。参照する図において、図7は第3実施形態に係る光学素子の図である。
光学素子10Aは、光の透過性が高い部材で、発光素子の発光面に密着または接着されて用いられる。例えば、第1実施形態に例示したLEDパッケージ1の発光面18の表面や、蛍光管の表面などに貼り付けて用いられる。
図7に示すように、光学素子10Aは、透明な支持体11Aの上に、第1実施形態と同様のフォトレジスト層12およびバリア層13が形成され、さらに凹部15が形成される。
支持体11Aは、発光素子が発する光に対して十分な透過性(例えば透過率80%程度以上)を有していればよく、例えば、ポリカーボネートなどの樹脂や、ガラス材料が用いられる。
凹部15を形成する場合には、支持体11Aを移動させつつ、第1または第2実施形態と同様にしてレーザ光を集光してパルス状に照射することにより形成できる。この際、図7に示すようにレーザ光を支持体11A側(フォトレジスト層12とは反対側)から照射しても構わない。このように、レーザ光をフォトレジスト層12とは反対側から照射した場合には、凹部15を形成する際に発生する異物が光学系50Aに付着して汚れることがないといった効果を奏する。
このようにして構成された光学素子10Aは、LEDパッケージ1の発光面18の表面や、蛍光管の表面などに貼り付けることで、これらの発光素子の発光効率を向上することができる。
[第4実施形態]
次に、本発明の第4実施形態に係る発光素子の製造方法について説明する。参照する図において、図8(a)〜(c)は第4実施形態に係るLED素子の製造工程を示す図である。
第4実施形態に係るLED素子10の製造方法では、まず、第1実施形態と同様の工程(図4参照)を経ることで、図8(a)に示すように、フォトレジスト層12およびバリア層13に凹部15を形成する。その後は、凹部15が形成されたフォトレジスト層12およびバリア層13をマスクとして、エッチングを行うことで、図8(b)に示すように、発光面18に凹部15に対応した穴部16を形成する。そして、図8(c)に示すように、所定の剥離液などによってフォトレジスト層12およびバリア層13を除去することで、凹凸形状に形成された発光面18が露出することとなる。
ここで、エッチングとしては、ウェットエッチングやドライエッチングなど、種々のエッチング方法を採用できるが、エッチングガスの直進性が高く細かなパターニングが可能なRIEを採用するのが好ましい。また、フォトレジスト層12およびバリア層13の除去方法としては、乾式の方法や湿式の方法など種々の方法を採用できる。
なお、エッチング方法や除去方法の具体例としては、例えば、発光部11の発光面18を含む層の材料が、ガラスであり、フォトレジスト層12の材料が色素であり、バリア層13の材料が無機材料層である場合には、エッチングガスとしてSF6を用いたRIEを採用するとともに、剥離液としてエタノールを用いた湿式の除去方法を採用することができる。ここで、発光面を含む層というのは、LED素子10の製造終了後において、空気のような気体、水のような液体等の外部環境との間で界面を形成する層であれば、どのような層でも構わない。
以上、第4実施形態に係る製造方法によれば、LED素子10の表面(発光面18)自体に凹凸が形成されるので、LED素子10とフォトレジスト層12との屈折率差を気にすることなく、簡単に凹凸形状を設計することができる。なお、本実施形態では、予めLED素子10の表面に形成したフォトレジスト層12に、フォーカシング技術等により複数の凹部15を形成することで、LED素子10の表面上に密着して正確にマスクがセットされたこととなる。そのため、本実施形態では、従来のようにLED素子10の表面が反ることによりマスクを密着できないといった問題は生じず、簡単に凹凸形状を形成することができる。
以上に本発明の実施形態について説明したが、本発明は、前記実施形態に限定されることなく適宜変更して実施することが可能である。
前記第1および第2実施形態では、送出ノズル64を光学系50に近接させて配置し、フォトレジスト層12のレーザ光が照射されている部分に空気を吹き付ける構成を示したが、本発明は、これに限定されるものではない。例えば、フォトレジスト層上の全面の空気を移動させるように、空気を吹き付ける装置や空気を吸引する装置などが設けられていてもよい。なお、この場合、空気を吹き付ける装置や空気を吸引する装置などは、フォトレジスト層の直上を除く部分に配置することが好ましい。直上に配置した場合、これらの装置自体から発生する塵埃がフォトレジスト層や形成された凹部または低耐久性部に落下して、付着するおそれがあるからである。
前記実施形態では、気体送出装置60を備えた露光装置DDや、気体送出装置60と気体吸引装置80の両方を備えた露光装置DD’を例示したが、本発明は、これに限定されるものではない。すなわち、本発明のパターン形成方法で使用される露光装置は、空気を移動させる手段として、気体吸引装置80のみを備えた構成(図示せず)であってもよい。
前記実施形態では、フォトレジスト層12に対して不活性な気体の一例として空気を採用した例を示したが、本発明の気体は、フォトレジスト層に対して不活性な気体であれば特に限定されず、例えば、窒素などを採用してもよい。なお、気体として入手容易な空気を利用することで、高圧ガスボンベやレギュレータなどを備える必要がないので、これらを備える構成と比較して、簡易な構成で、かつ安価に凹部または低耐久性部の形成を行うことができる。
また、フォトレジスト層12に対して不活性な気体は、空気だけ、窒素だけのように、単独で用いる場合に限定されず、複数種を混合して用いてもよい。例えば、それぞれの気体を加圧ポンプで加圧した後、気体ミキシングバルブで所望の比率に混合して用いることができる。
また、気体を吹き付ける場合は、当該気体を従来公知の方法によってイオン風としてもよい。これによれば、フォトレジスト層や形成された凹部または低耐久性部と、異物とが同一電荷に帯電することになるので、静電的反発力によって異物がフォトレジスト層や形成された凹部または低耐久性部に付着・残留することを抑制できるため、より良好な凹凸形状を形成することができる。
前記実施形態では、発光素子の例としてLED素子10を示したが、発光素子は、LED素子に限定されず、例えば、プラズマディスプレイ素子、レーザ、SED素子、蛍光間、EL素子など、発光する器具であれば特に限定されない。
前記実施形態では、発光素子や光学素子の製造方法に本発明に係るパターン形成方法を適用したが、本発明はこれに限定されず、凹凸製品の製造方法に本発明を適用してもよい。すなわち、図9(a)および(b)に示すように、無機物からなる基板(基体)210上に穴部16を情報として形成し、この基板210の穴部16側に保護層220を設けることで、凹凸製品の一例としての光学読取用の情報記録媒体(光ディスク200)を製造する方法にも本発明を適用することができる。
具体的には、図4に示す方法と同じ方法で、基板210上にフォトレジスト層12およびバリア層13を形成し、このフォトレジスト層12等に集光した光を照射して凹部15を形成する。その後、図8に示す方法と同じ方法で、フォトレジスト層12等をマスクとして基板210に凹部15に対応した穴部16を形成する。以上によれば、基板210に穴部16を良好に形成することができる。
なお、基板210の材料としては、Si、Alを有する材料が好ましく、例えば、SiやSiO2、Al23などが好ましい。また、保護層220の材料としては、SiO2などの無機酸化物、Si34などの無機窒素化物のような無機系のものや、UV硬化樹脂などのような有機系のものを、単独あるいは組み合わせて使用できる。ただし、光ディスク200の長寿命化の観点から、保護層220も無機系の材料で形成するのが好ましい。
また、凹凸製品としては、光ディスク200に限らず、例えば、半導体、EL(エレクトロルミネセンス)、液晶、SED(表面電界ディスプレイ)などであってもよい。
前記実施形態では、発光素子または光学素子の発光面や光ディスク200を構成する基板210の表面に直接フォトレジスト層12を設けたが、発光面または表面との間に他の材料を介してフォトレジスト層12を設けてもよい。また、半導体からなるLED素子の表面に、保護層やレンズが設けられている場合には、それらの保護層やレンズの表面(空気との界面)が発光面になるので、それらの表面にフォトレジスト層12および凹部15を設ければよい。
前記実施形態では、凹部15を形成するのにレーザ光を用いたが、必要な大きさに集光できれば、レーザ光のような単色光でなくても構わない。
なお、最小加工形状を得るために微小時間のレーザ光の照射で形成される凹形状の直径は、レーザ光の波長よりも短くするのが望ましい。すなわち、前記した関係となるように、レーザ光のスポット径を小さく絞るのが好ましい。
また、凹部15が最小加工形状(以下、「レーザスポット」という)よりも大きい場合には、レーザスポットを繋げることによって、凹部15を形成すればよい。ここで、ヒートモード型のフォトレジスト層12にレーザ光を照射すると、照射された部分のうち温度が転移温度になった部分のみが変化する。すなわち、レーザ光は中心付近で光強度が最も強く、外側に向かうにつれて徐々に弱くなっているため、レーザ光のスポット径よりも小さな径の微細な穴(レーザスポット)をフォトレジスト層12に形成することが可能となっている。そして、このような微細な穴を連続させて凹部15を形成する場合には、凹部15の形状精度を高めることができる。ちなみに、現像を要する材料であると、レーザ光が照射された部分全てで反応が起こるため、1回のレーザ光で形成される穴(レーザスポット)が大きく、その形状精度はヒートモード型の材料に比べ悪くなる。したがって、本発明のようにヒートモード型の材料を使うのが好ましい。
前記実施形態では、フォトレジスト層12の上にバリア層13を形成したが、本発明はこれに限定されず、バリア層13はなくてもよい。特に、第4実施形態や図9に示した形態のようにフォトレジスト層12をエッチングマスクとして利用する場合には、バリア層13はない方が好ましい。
前記第4実施形態では、LED素子10の表面に穴部16を形成したが、本発明はこれに限定されず、第3実施形態のような光学素子10Aの表面(支持体11Aの表面)に、フォトレジスト層12等をエッチングマスクとして穴部を形成してもよい。
前記第4実施形態や図9に示した形態では、穴部16を形成する面(発光面18または基板210の表面)上に直接フォトレジスト層12等をエッチングマスクとして形成したが、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、エッチングガスによってフォトレジスト層12等が容易に削られてしまう場合には、図10(a)に示すように、フォトレジスト層12等に影響をほとんど与えないエッチングガスによってエッチング可能なマスク層17を、発光面18とフォトレジスト層12との間に設けてもよい。なお、図10では、発光面18に穴部16を形成する形態を示すが、基板210の表面に穴部16を形成する場合も同様にマスク層17を設けることができる。
これによれば、まず、第1実施形態と同様に、レーザ光でフォトレジスト層12およびバリア層13に凹部15を形成する。次に、図10(b)に示すように、第1のエッチングガスによって、マスク層17をエッチングすることで、マスク層17に凹部15に対応した貫通孔17aを形成する。ここで、第1のエッチングガスとして、フォトレジスト層12およびバリア層13を削らないような種類のガスが選択されているので、フォトレジスト層12およびバリア層13がマスクとなってマスク層17がエッチングされる。
その後、図10(c)に示すように、第2のエッチングガスによって、発光面18を含む層をエッチングすることで、発光面18上に凹部15に対応した穴部16が形成される。このとき、第2のエッチングガスによってフォトレジスト層12およびバリア層13はエッチングされて直ぐに消滅するが、マスク層17がマスクとなって発光面18が良好にエッチングされる。そして、その後は、図10(d)に示すように、所定の剥離液などによってマスク層17を除去することで、凹凸形状に形成された発光面18が露出することとなる。
ここで、図10に示す形態の具体例としては、例えば、発光部11の発光面18を含む層の材料が、サファイアであり、フォトレジスト層12の材料が色素であり、バリア層13の材料が無機層である場合には、マスク層17として東京応化工業株式会社製のSi含有Bi−Layerフォトレジストを採用し、第1のエッチングガスとしてSF6を採用し、第2のエッチングガスとしてCl2を採用すればよい。
次に、本発明の効果を確認した一実施例について説明する。
円盤状の基板に100nm厚の色素層(フォトレジスト層)を形成し、この基板の半径25mm〜40mmの範囲にレーザ光により凹部を径方向に300nmピッチ、周方向に300nmピッチで形成した。基板、色素層および露光装置の詳細は以下の通りである。
・基板
材質 シリコン
厚さ 0.5mm
外径 101.6mm(4インチ)
内径 15mm
・色素層(フォトレジスト層)
下記化学式の色素材料2gをTFP(テトラフルオロプロパノール)溶剤100mlに
溶解し、スピンコートした。スピンコートの際には、塗布開始回転数500rpm、塗布
終了回転数1000rpmとして塗布液を基板の内周部にディスペンスし、徐々に220
0rpmまで回転を上げた。なお、色素材料の屈折率nは1.986であり、消衰係数k
は0.0418である。
Figure 2009276632
・露光装置
パルステック工業株式会社製NEO1000(波長405nm、NA0.85)をベースに、第1実施形態で示した気体送出装置を設け、光学系の内周側、かつ表1に示す光学系からの距離Lの位置に送出ノズル(直径5mm)を配置したものを使用した。気体送出装置のフィルタは、空気中に含まれる2μm以上の塵埃などを除去可能である。なお、比較例1は、送出ノズルを設けずに実験を行った。
前記基板の色素層側の面に対して、以下に示す条件で、露光装置を使用して微細な凹部を形成した。
凹部の形成条件は下記の通りである。
レーザ出力 2mW
線速 5m/s
記録信号 5MHzの矩形波
実施例1では、送出ノズルと光学系との距離Lを20mm(直径Dの4倍)とし、凹部形成中に基板の色素層側の面に対して圧力0.1MPaで空気を吹き付けた。
実施例2では、実施例1と同じ位置に送出ノズルを配置し、凹部形成中に基板の色素層側の面に対して圧力0.5MPaで空気を吹き付けた。
比較例として、送出ノズルを設けない露光装置(パルステック工業株式会社製NEO1000)で凹部の形成を行った(比較例1)。また、送出ノズルと光学系との距離Lを0.2mm(直径Dの0.04倍。前記した距離Lの下限未満)として凹部の形成を行った(比較例2)。
以上のように凹部を形成した基板の表面をSEM(走査型電子顕微鏡)によって観察した。この結果を表1に示す。
Figure 2009276632
表1に示すように、実施例1,2においては、基板の表面に固形物(異物)は確認されなかった。一方、比較例1においては、基板の表面に異物の付着(残留)が確認された。また、比較例2においては、凹部形成時の露光装置のステージの振動により、送出ノズルと光学系が接触してしまった。
以上より、基板に空気を吹き付けて、色素層(フォトレジスト層)上の空気を移動させながら凹部または低耐久性部を形成することで、異物が除去されて、意図したパターンを正確に再現した凹凸を所望の対象物(基板)に形成することができることが確認された。また、送出ノズルと光学系の距離が近すぎると、送出ノズルと光学系が接触することも確認された。
以上、本発明について、主に光の照射によりフォトレジスト層に凹部を形成する場合について説明したが、本発明は光の照射によって凹形状が形成される必要はなく、照射部に低耐久性部が形成される態様であってもよい。すなわち、フォトレジスト層は、光が照射された部分が局所的に化学または/物理変化を起こしてピット(開口)が形成されるに至らなくとも、局所的に耐久性が低下した部分(低耐久性部)が形成されるものと考えることができる。このような低耐久性部はエッチングにより容易に食刻されるため、光を照射して低耐久性部を形成した色素層(フォトレジスト層)もエッチング用のマスクとして機能し得るからである。
(a)はLEDパッケージの図であり、(b)は(a)の拡大図である。 (a)は発光面を平面的に見た一例の図であり、(b)は他の例の図である。 (a)は凹部の直径とピッチとの関係を説明する図であり、(b)はレーザ光の発光時間と周期との関係を説明する図である。 (a)〜(c)はLEDパッケージの製造工程を示す図である。 第1実施形態に係る露光装置の構成図である。 第2実施形態に係る露光装置の構成図である。 第3実施形態に係る光学素子の図である。 (a)〜(c)は第4実施形態に係るLED素子の製造工程を示す図である。 本発明のパターン形成方法を含む製造方法により製造された光ディスクを示す斜視図(a)と、断面図(b)である。 (a)〜(d)は第4実施形態に係るLED素子の製造工程を一部変更した形態を示す図である。
符号の説明
1 LEDパッケージ
10 LED素子
10A 光学素子
11 発光部
11A 支持体
12 フォトレジスト層
15 凹部
16 穴部
18 発光面
200 光ディスク
210 基板
S 異物

Claims (8)

  1. ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層に、集光した光を照射することで複数の凹部または低耐久性部を形成するパターン形成方法であって、
    前記フォトレジスト層に対して不活性な気体を、前記フォトレジスト層上で移動させながら前記照射をすることを特徴とするパターン形成方法。
  2. 前記気体を吹き付けることにより、前記気体を前記フォトレジスト層上で移動させることを特徴とする請求項1に記載のパターン形成方法。
  3. 前記気体を吸引することにより、前記気体を前記フォトレジスト層上で移動させることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のパターン形成方法。
  4. 前記フォトレジスト層の表面温度を一定に保ちながら前記照射をすることを特徴とする請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のパターン形成方法。
  5. 吹き付ける前記気体の温度を20〜200℃とすることを特徴とする請求項2に記載のパターン形成方法。
  6. 基体の表面上に凹凸を有する凹凸製品の製造方法であって、
    前記基体の表面上にヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層を形成する工程と、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のパターン形成方法により、前記フォトレジスト層に複数の凹部または低耐久性部を形成する工程と、
    複数の凹部または低耐久性部が形成されたフォトレジスト層をマスクとして、エッチングを行うことで、前記基体の表面上に前記凹部または前記低耐久性部に対応した凹部を形成する工程と、を備えたことを特徴とする凹凸製品の製造方法。
  7. 発光体を有する発光素子の製造方法であって、
    前記発光体の発光面にヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層を形成する工程と、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のパターン形成方法により、前記フォトレジスト層に複数の凹部または低耐久性部を形成する工程と、
    複数の凹部または低耐久性部が形成されたフォトレジスト層をマスクとして、エッチングを行うことで、前記発光面に前記凹部または前記低耐久性部に対応した凹部を形成する工程と、を備えたことを特徴とする発光素子の製造方法。
  8. 発光素子の発光面に取り付けられることで、前記発光素子の発光効率を向上させる光学素子の製造方法であって、
    前記発光素子が発する光を透過可能な支持体の表面に、ヒートモードの形状変化が可能なフォトレジスト層を形成する工程と、
    請求項1から請求項5のいずれか1項に記載のパターン形成方法により、前記フォトレジスト層に複数の凹部または低耐久性部を形成する工程と、
    複数の凹部または低耐久性部が形成されたフォトレジスト層をマスクとして、エッチングを行うことで、前記支持体の表面に前記凹部または前記低耐久性部に対応した凹部を形成する工程と、を備えたことを特徴とする光学素子の製造方法。
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