JP2009276098A - 車両用舵角検出装置及びこれを使用した電動パワーステアリング装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】システム停止直前に絶対舵角演算手段で演算した絶対舵角を不揮発性メモリ19に記憶する絶対舵角記憶手段41と、システム起動時に不揮発性メモリに記憶された絶対舵角記憶値と相対舵角とにより絶対舵角暫定値を演算する暫定値演算手段35と、絶対舵角暫定値と車両モデルの特性とに基づいてセルフアライニングトルク基準値を演算するセルフアライニングトルク演算手段と、車両の実セルフアライニングトルクを検出する実セルフアライニングトルク検出手段37と、セルフアライニングトルク基準値と実セルフアライニングトルクとの差に基づいて前記絶対舵角暫定値が有効であるか否かを判定する有効性判定手段38とを少なくとも備えている。
【選択図】図3
Description
この種の電動パワーステアリング装置では、車両の操縦安定性と快適性を確保するため、ステアリングホイールの操舵角度を用いた制御機能が多く開発されており、車両が始動してから素早く操舵角度に基づく制御機能を発揮するために、操舵角度をなるべく早く検出することが要求されている。
また、上記特許文献2に記載された従来例にあっては、イグニッションスイッチがOFFにされる瞬間の絶対舵角をメモリに記憶し、次にイグニッションスイッチがONとなったときに、記憶された値を絶対舵角として電動パワーステアリング装置の制御に使用するようにしているので、例えばイグニッションスイッチがOFFとなっている間にステアリングホイールが転舵された場合には、誤った絶対舵角に基づいて制御が開始されてしまうことになり、正確な制御を行うことができないという未解決の課題がある。
なおさらに、請求項5に係る車両用舵角検出装置は、請求項1乃至4の何れか1つに係る発明において、前記絶対舵角記憶手段は、システム起動時からシステム停止時迄の間に前記絶対舵角演算値を演算できないときに、当該システム停止直前に前記絶対舵角暫定値を前記絶対舵角として不揮発性メモリに記憶するように構成されていることを特徴としている。
図1は、本発明の一実施形態を示す全体構成図であって、図中、1は操舵装置であり、この操舵装置1はステアリングホイール2が装着されたステアリングシャフト3と、このステアリングシャフト3のステアリングホイール2とは反対側に連結されたラックピニオン機構4と、このラックピニオン機構4にタイロッド等の連結機構5を介して連結された左右の転舵輪6とを備えている。
この電動モータ8は、電動パワーステアリング装置の操舵補助力を発生する操舵補助力発生用モータとして動作する。そして、電動モータ8は車両に搭載されたバッテリ11から出力されるバッテリ電圧Vbがイグニッションスイッチ12を介して供給されると共に、内蔵するモータ駆動回路に直接供給される制御装置14によって駆動制御される。
制御装置14は、例えばマイクロコンピュータで構成され、その構成は機能ブロック図で表すと図2に示すようになる。すなわち、制御装置14は、モータ電流センサ15で検出したモータ電流検出値Imd、操舵トルクセンサ16で検出した操舵トルクT、車速センサ17で検出した車速Vs及びモータ回転角センサ18で検出したモータ回転角θmが入力されると共に、不揮発性メモリ19に記憶されている前回の操舵補助制御の終了直前の絶対舵角記憶値φamが読込可能とされている。
φn(k)={φr−φn(k−1)}・D+φn(k−1) …………(1)
次いでステップS12に移行して、車速Vs、実セルフアライニングトルクSATr、絶対舵角暫定値φapを読込み、次いでステップS12aに移行して、車両の停止時で且つステアリングホイール2を操舵しない非操舵時である条件を満足するか否かを判定し、上記条件を満足する場合には前記ステップS12に戻り、条件を満足しない場合にはステップS13に移行する。
SATm=Gv(s)*φap …………(3)
車両の運動方程式は、下記(4)式で表される。
そして、前述した(4)式及び(5)式を連立方程式として解き且つ実舵角δfを絶対舵角暫定値φapに置換することにより、前述した(3)式を算出することができる。
また、ステップS16の判定結果が、Cnt1>Cs1であるときには、ステップS18に移行して、選択フラグFsを“1”にセットして絶対舵角選択部39に出力してから処理を終了する。
このステップS20では、第2のカウント値Cnt2が予め設定した設定値Cs2を超えたか否かを判定し、Cnt2≦Cs2であるときには前記ステップS12に戻る。
この図7の処理において、ステップS13の処理がセルフアライニングトルク演算手段に対応している。
また、ステップS33の判定結果が、前回の絶対舵角暫定選択値φasが絶対舵角暫定値φapであるときにはステップS36に移行する。
このステップS37では、現在の絶対舵角暫定値φapが絶対舵角演算値φaoより大きいか否かを判定し、φap>φaoであるときにはステップS38に移行して、現在の絶対舵角暫定値φapから所定値Δφs1を減算した値を現在の絶対舵角暫定値φap(=φap−Δφs1)として算出し、次いでステップS39に移行して、算出した絶対舵角暫定値φapが絶対舵角演算値φao以下であるか否かを判定し、φap>φaoであるときにはステップS40に移行して、絶対舵角暫定値φapを絶対舵角φaとして出力してから前記ステップS31に戻る。
さらに、前記ステップS37の判定結果が、φap<φaoであるときには、ステップS42に移行して、現在の絶対舵角暫定値φapに所定値Δφs1を加算した値を現在の絶対舵角暫定値φap(=φap+Δφs1)として算出し、次いでステップS43に移行して、算出した絶対舵角暫定値φapが絶対舵角演算値φao以上であるか否かを判定し、φap<φaoであるときには前記ステップS40に移行して、絶対舵角暫定値φapを絶対舵角φaとして出力する。また、前記ステップS43の判定結果が、φap≧φaoであるときには前記ステップS34に移行する。
さらに、ステアリング戻し制御部25では、図9に示すように、絶対舵角φaに基づいて所定関数でハンドル戻し基本電流値Irを出力するハンドル戻し基本電流回路50と、車速Vsを入力して所定関数により車速Vsに応じたゲインKvを出力するゲイン回路51と、ステアリング戻し基本電流回路50からのステアリング戻し基本電流値Irとゲイン回路51からのゲインKvとを乗算する乗算器52と、乗算器52からの出力Ir・Kvを接点a又はbに切換えて出力するスイッチ53と、スイッチ53が接点b側に切換えられたときの出力を0とする零出力回路54と、絶対舵角φa及び絶対舵角速度ωaを入力し、両者の符号の一致又は不一致を判定する符号判定回路55とで構成されている。
今、車両が停止していて、イグニッションスイッチ12がオフ状態であるものとする。この状態では、制御装置14を構成するマイクロコンピュータにバッテリ11からのバッテリ電圧Vbが供給されないので、制御装置14を構成するマイクロコンピュータは停止状態にあり、電動モータ8が停止してステアリングシャフト3への操舵補助力の伝達は行われない。
一方、ステアリング戻し制御部25では絶対舵角速度ωaが“0”であることからスイッチ53の接点がb側に切換えられて零出力回路54から出力される“0”のステアリング戻し電流HRが加算器26に供給される。
このとき、舵角切換部40では、図8の舵角切換処理を実行しており、前述したように中立点推定部33から出力される中立点確定フラグFnが“0”にリセットされているので、ステップS31からステップS32に移行して、舵角選択部39で選択された絶対舵角暫定値φapを絶対舵角φaとして微分回路24及びステアリング戻し制御部25に出力する。
この状態で、ステアリングホイール2を据え切りすると、これに応じて操舵トルクセンサ16でステアリングホイール2に与えられた操舵力に応じた操舵トルクTが検出される。このため、電流指令値演算部21で操舵トルクTに応じた操舵補助電流指令値Irefが算出され、これが加算器26を介して電流フィードバック制御部22に供給されるので、この電流フィードバック制御部22で操舵補助電流指令値Irefとモータ電流センサ15で検出されたモータ電流検出値Imdとの偏差ΔIに応じた電圧指令値Vrefが算出される。この電圧指令値Vrefがモータ駆動回路23に供給されることにより、このモータ駆動回路23からモータ駆動電流Imが出力されて、電動モータ8が回転駆動され、て操舵トルクTに応じた操舵補助トルクを発生する。この電動モータ8で発生された操舵補助トルクが減速機構を介してステアリングシャフト3に伝達されて、ステアリングホイール2を軽い操舵力で操舵することができる。
このとき、車両は停止したままであるが、ステアリングホイール2が操舵されるので、有効性判定処理では図7に示すように、ステップS12aからステップS13に移行して、車両モデルGv(s)を使用してセルフアライニングトルク基準値SATmを演算する。この車両停止時には静止用の車両モデルGv(s)′を使用してセルフアライニングトルク基準値SATmを算出するので、正確なセルフアライニングトルク基準値SATmが算出されるため、セルフアライニングトルク基準値SATmと実セルフアライニングトルクSATrとの差が小さい状態となり、絶対舵角暫定値φapが有効と判断されて選択フラグFsが“1”にセットされる。このため、絶対舵角選択部39で絶対舵角暫定値φapが選択されて舵角切換部40で選択された絶対舵角暫定値φapが絶対舵角φaとして微分回路24及びステアリング戻り制御部25に出力される。
このため、ステアリング戻し制御部25で、絶対舵角φa及び絶対舵角速度ωaに応じたステアリング戻し電流HRが算出される。このステアリング戻し電流HRは車速Vsが低車速であるときには車速感応ゲインKvが大きいことにより、大きなステアリング戻し電流HRが算出されて、ステアリングホイール2が中立点に戻る際の操舵補助トルク不足を補うことができる。
なお、有効性判定部38での判定結果が、実セルフアライニングトルクSATrとセルフアライニングトルク基準値SATmとの偏差が大きく絶対舵角暫定値φapが無効と判断されたて選択フラグFsが“0”にリセットされた場合には、絶対舵角選択部39で絶対舵角代替値φaaが選択され、これが絶対舵角φaとして設定されるが、この状態で、中立点確率フラグFnが“1”にセットされたときには、絶対舵角代替値φaaが実際の絶対舵角に対応しているものとはいえないので、図8の有効性判定処理でステップS35からステップS34に移行して直に絶対舵角演算値φaoに切り換える。
このように、上記第1の実施形態によれば、システムの起動時に不揮発性メモリ19に記憶されている絶対舵角記憶値φamと相対舵角φrとを加算して絶対舵角暫定値φapを算出すると共に、走行性判定部38で実セルフアライニングトルクSATrとセルフアライニングトルク基準値SATmとの差を算出し、両者の差が小さいときには、絶対舵角暫定値φapが有効であると判定して、この絶対舵角暫定値φapを絶対舵角φaとして設定する。しかしながら、実セルフアライニングトルクSATrとセルフアライニングトルク基準値SATmとの差が大きいときには、絶対舵角暫定値φapが無効である判定して、予め設定した絶対舵角代替値φaaを絶対舵角φaとして設定する。このため、絶対舵角暫定値φapが有効であるときにのみ、この絶対舵角暫定値φapを絶対舵角φaとして使用するので、絶対舵角φaの誤り率を低下させて良好な操舵補助制御機能を発揮することができる。
この第2の実施形態では、実セルフアライニングトルクSATrとセルフアライニングトルク基準値SATmとの差に基づいて絶対舵角暫定値φapの有効性を判定する場合に代えて、実セルフアライニングトルクSATrに基づいて絶対舵角推定値φaxを算出し、絶対舵角推定値φaxと絶対舵角暫定値φapとの偏差に基づいて絶対舵角暫定値φapの有効性を判定するようにしたものである。
なお、上記第1及び第2の実施形態においては、実セルフアライニングトルク検出部37で操舵トルクT、アシストトルクTm、モータ回転角加速度αm、モータ回転角速度ωmに基づいて前記(2)式の演算を行って実セルフアライニングトルクSATrを算出する場合について説明したが、これに限定されるもではなく、任意の実セルフアライニングトルク推定方法を適用することができる。また、実セルフアライニングトルクは例えば転舵輪に取付けた歪みゲージや磁歪トルクセンサや圧力センサ等で構成された6分力計のようなセンサを用いて実セルフアライニングトルクSATrを直接検出するようにしてもよい。
さらに、上記第1及び第2の実施形態においては、車両用舵角検出装置20に実セルフアライニングトルク演算部37を設けた場合について説明したが、これに限定されるものではなく、外部の実セルフアライニングトルク演算部を制御装置14の外部に設けて、この実セルフアライニングトルク演算部から制御装置14に実セルフアライニングトルクSATrを入力するようにしてもよい。
Claims (6)
- 車両の転舵輪を転舵するステアリング機構の相対舵角を検出する相対舵角検出手段と、該相対舵角検出手段で検出した相対舵角に基づいて前記ステアリング機構の絶対舵角を演算する絶対舵角演算手段とを備えた車両用舵角検出装置であって、
システム停止直前に前記絶対舵角演算手段で演算した絶対舵角を不揮発性メモリに記憶する絶対舵角記憶手段と、システム起動時に前記不揮発性メモリに記憶された絶対舵角記憶値と前記相対舵角とに基づいて絶対舵角暫定値を演算する絶対舵角暫定値演算手段と、システム起動時に前記不揮発性メモリに記憶された絶対舵角記憶値と車両モデルの特性とに基づいてセルフアライニングトルク基準値を演算するセルフアライニングトルク演算手段と、前記車両の実セルフアライニングトルクを検出する実セルフアライニングトルク検出手段と、前記セルフアライニングトルク基準値と前記実セルフアライニングトルクとの差が所定値以下であるときに前記絶対舵角暫定値が有効であると判定し、前記セルフアライニングトルク基準値と前記実セルフアライニングトルクとの差が所定値を超えているときに前記絶対舵角暫定値が無効であると判定する有効性判定手段とを少なくとも備えたことを特徴とする車両用舵角検出装置。 - 車両の転舵輪を転舵するステアリング機構の相対舵角を検出する相対舵角検出手段と、該相対舵角検出手段で検出した相対舵角に基づいて前記ステアリング機構の絶対舵角を演算する絶対舵角演算手段とを備えた車両用舵角検出装置であって、
システム停止直前に前記絶対舵角演算手段で演算した絶対舵角を不揮発性メモリに記憶する絶対舵角記憶手段と、システム起動時に前記不揮発性メモリに記憶された絶対舵角記憶値と前記相対舵角とに基づいて絶対舵角暫定値を演算する絶対舵角暫定値演算手段と、車両の実セルフアライニングトルクを検出するセルフアライニングトルク検出手段と、前記実セルフアライニングトルクと車両の逆モデル特性とに基づいて絶対舵角推定値を推定する絶対舵角推定手段と、前記絶対舵角暫定値と前記絶対舵角推定値との差が所定値以下であるときに前記絶対舵角暫定値が有効であると判定し、前記絶対舵角暫定値と前記絶対舵角推定値との差が所定値を超えているときに前記絶対舵角暫定値が無効であると判定する有効性判定手段とを少なくとも備えていることを特徴とする車両用舵角検出装置。 - 前記絶対舵角演算手段は、操舵角の中立点を検出する中立点検出手段と、システム起動後に前記中立点検出手段で操舵角中立点を検出し、且つ検出した舵角中立点と前記相対舵角検出手段で検出した相対舵角とに基づいて絶対舵角演算値を使用可能となったときに、当該絶対舵角演算値を前記絶対舵角暫定値に代えて前記絶対舵角として選択する舵角選択手段とを備えていることを特徴とする請求項1又は2に記載の車両用舵角検出装置。
- 前記舵角選択手段は、前記絶対舵角暫定値に代えて絶対舵角演算値を選択する場合に、当該絶対舵角暫定値から前記絶対舵角演算値への変更を徐々に行う徐変手段を有することを特徴とする請求項3に記載の車両用舵角検出装置。
- 前記絶対舵角記憶手段は、システム起動時からシステム停止時迄の間に前記絶対舵角演算値を演算できないときに、当該システム停止直前に前記絶対舵角暫定値を前記絶対舵角として不揮発性メモリに記憶するように構成されていることを特徴とする請求項1乃至4の何れか1項に記載の車両用舵角検出装置。
- 請求項1乃至5の何れか1項に記載の車両用舵角検出装置を備え、当該車両用舵角検出装置で検出した絶対舵角に基づいて操舵補助制御を行うことを特徴とする電動パワーステアリング装置。
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