JP2009275000A - 遺伝子導入剤及び核酸複合体 - Google Patents

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Abstract

【課題】従来の遺伝子導入剤を構成する分岐型重合体の疎水化と光架橋の問題を同時に解決し、分岐型重合体の疎水化と光架橋を効率的に行って得られる、遺伝子導入効果の高い遺伝子導入剤を提供する。
【解決手段】カチオン性ポリマーブロックを含む複数の分岐鎖を有する分岐型重合体を含む遺伝子導入剤において、該分岐型重合体は、前記カチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を含む側鎖を有し、複数の該分岐型重合体が架橋した架橋体よりなることを特徴とする遺伝子導入剤。1次分岐型重合体とベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートとの混合物に光照射することにより、1次分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を導入すると共に、架橋反応させることができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、遺伝子導入剤と、この遺伝子導入剤を用いた核酸複合体とに関する。
安全性、品質安定性、製造コストに問題があるウイルスベクターに代わる遺伝子導入技術として、合成高分子ベクター、カチオン性脂質ベクターが研究開発されている。
本出願人らは、合成高分子ベクターとしてベンゼンなど芳香族環を核としてカチオン性ポリマー鎖が放射状に伸延する分岐構造のベクターが、DNAを高密度で凝縮させて小さな核酸複合体微粒子を形成させ、効率良く細胞へ遺伝子導入できることを見出し、このようなカチオン性ポリマー鎖を有する分岐型重合体よりなる遺伝子導入剤について先に特許出願した(下記特許文献1)。
また、この遺伝子導入剤の遺伝子導入効果を更に高めたものとして、分岐型重合体同士を複数個架橋させた架橋体よりなる遺伝子導入剤を先に特許出願した(下記特許文献2)。この遺伝子導入剤では、分岐型重合体の粉末やフィルムに光照射することにより、分岐型重合体を架橋し、複雑な3D構造を有する架橋体とすることにより遺伝子導入活性を高めている。
このような遺伝子導入剤を用いた核酸複合体微粒子が細胞膜を透過するメカニズムとしては、カチオン性ポリマー鎖による陽電荷が細胞膜表面の陰電荷と静電的に結合し、エンドサイトーシスにより細胞内へ取り込まれる作用に大きく依存していると考えられる。この細胞膜透過性の面からは、カチオン性ポリマー鎖に若干の疎水性を有することが望まれる。このため、4−ビニルアニリンのようなアミノ基をカチオン性ポリマー鎖として導入したものにあっては、その一部を無水酢酸によりアセチル化することにより、細胞膜透過性に有利なポリマー鎖の疎水化を行うような修飾が行われている。
WO2004/092388 特願2007−034899
しかしながら、上記従来の遺伝子導入剤では、次のような問題があった。
(1)カチオン性官能基として使用されているアミノ基のような極性基は活性が高く、酸化や縮合などの反応に関与しやすい。このため、経時的に不安定であることから、カチオン性ポリマーからは分解物が放出されやすい。
(2)生体内で使用する場合、カチオン性官能基がアルドースやケトースの攻撃を受け、シッフ塩基を形成して電荷を消失する可能性がある。
(3)生体内で使用する場合、カチオン性官能基が補体C3aの活性化や酵素の連鎖反応などに関与する危険性がある。
(4)特許文献1で提案されているカチオン性官能基のジアルキルアミノ基であれば、上記(1)〜(3)のような問題はないが、ジアルキルアミノ基は、アセチル化ができず、疎水化修飾を行うためには、ハロゲン化アルキルで4級化して修飾する手段しかないが、4級アミンは細胞毒性が強く発現されるので好ましくない。
(5)特許文献2において、光照射により架橋反応を行う場合、粉末又はフィルム状の分岐型重合体に光照射しているが、粉末では攪拌してもブリッヂングしたり、まま粉・ダマを形成してしまい、均質な光照射が困難である。また、フィルムへの光照射の場合、分岐型重合体がホモポリマーであれば、均質なフィルムが形成されるが、ブロックポリマーや疎水性物質などを混合した場合、相分離が起こり、この結果、フィルムは均質ではなくなるため、やはり均質な光照射を行えない。
本発明は、上記従来の遺伝子導入剤を構成する分岐型重合体の疎水化と光架橋の問題を同時に解決し、分岐型重合体の疎水化と光架橋を効率的に行って得られる、遺伝子導入効果の高い遺伝子導入剤と、この遺伝子導入剤を用いた核酸複合体を提供することを目的とする。
本発明(請求項1)の遺伝子導入剤は、カチオン性ポリマーブロックを含む複数の分岐鎖を有する分岐型重合体を含む遺伝子導入剤において、該分岐型重合体は、前記カチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を含む側鎖を有し、複数の該分岐型重合体が架橋した架橋体よりなることを特徴とする。
請求項2の遺伝子導入剤は、請求項1において、前記疎水基はベンジル基であることを特徴とする。
請求項3の遺伝子導入剤は、請求項1又は2において、N,N−ジ置換−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともカチオン性モノマーを光照射リビング重合させ得られた分岐型重合体(以下「1次分岐型重合体」と称す。)のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を導入すると共に、架橋反応させてなることを特徴とする。
請求項4の遺伝子導入剤は、請求項3において、前記イニファターが、ベンゼン環を核とし、この核に3個以上のN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基が結合したものであることを特徴とする。
請求項5の遺伝子導入剤は、請求項3又は4において、前記カチオン性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする。
請求項6の遺伝子導入剤は、請求項5において、前記アクリル系モノマーが3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及び/又は2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートであることを特徴とする。
請求項7の遺伝子導入剤は、請求項2ないし6のいずれか1項において、前記1次分岐型重合体とベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートとの混合物に光照射することにより、該1次分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を導入すると共に、架橋反応させてなることを特徴とする。
請求項8の遺伝子導入剤は、請求項7において、前記混合物がペースト状であることを特徴とする。
請求項9の遺伝子導入剤は、請求項7又は8において、ベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートがベンジル(N,N−ジアルキル)ジチオカルバメートであることを特徴とする。
請求項10の遺伝子導入剤は、請求項1ないし9のいずれか1項において、前記分岐型重合体の分子量が2,000〜600,000であり、前記架橋体の分子量が5,000〜1,500,000であることを特徴とする。
請求項11の遺伝子導入剤は、請求項1ないし10のいずれか1項において、前記分岐型重合体の1分子当りの疎水基の数が5〜5,000個であることを特徴とする。
本発明(請求項12)の核酸複合体は、請求項1ないし11のいずれか1項の遺伝子導入剤と核酸との複合体よりなることを特徴とする。
本発明の遺伝子導入剤は、分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を有し、かつ分岐型重合体が架橋された架橋体によりなるため、その構造上の利点により、DNAなどの核酸を高密度に凝縮することができる。即ち、この遺伝子導入剤は、分岐型重合体が複数個架橋したものであるため、1個の分岐型重合体よりなる遺伝子導入剤に比べてDNAなどの核酸をより広いネットワークで包蔵することができ、優れた遺伝子導入活性を示すようになる。しかも、分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基が導入されていることによる良好な細胞透過性を有し、エンドソーム膜を効率よく、脂質融合するように透過して核へ外来遺伝子を運搬する。
本発明において、カチオン性ポリマーブロック部分に導入される疎水基としてはベンジル基が好ましい(請求項2)。
また、本発明の遺伝子導入剤は、N,N−ジ置換−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともカチオン性モノマーを光照射リビング重合させ得られた分岐型重合体(以下「1次分岐型重合体」と称す。)のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を導入すると共に、架橋反応させてなるものであることが好ましく(請求項3)、このイニファターとしては、ベンゼン環を核とし、この核に3個以上のN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基が結合したものが好ましい(請求項4)。また、カチオン性モノマーとしては、アクリル系モノマー、特に、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及び/又は2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートが好ましい(請求項5,6)。
本発明の遺伝子導入剤は、1次分岐型重合体と、ベンジル(N,N−ジアルキル)ジチオカルバメート等のベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートとの混合物、好ましくはペースト状混合物に光照射することにより、該1次分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を導入すると共に、架橋反応させることにより、容易に製造される(請求項7〜9)。
本発明の遺伝子導入剤を構成する分岐型重合体の分子量は2,000〜600,000で、これを架橋してなる架橋体の分子量は5,000〜1,500,000であることが好ましい(請求項10)。また、分岐型重合体の1分子当りの疎水基の数は5〜5,000個であることが好ましい(請求項11)。
以下に本発明の実施の形態を詳細に説明する。
本発明の遺伝子導入剤は、疎水基を含む側鎖を有するカチオン性ポリマーブロックを含む複数の分岐鎖を有する分岐型重合体の複数個が架橋してなる架橋体よりなることを特徴とする。
このような本発明の遺伝子導入剤は、N,N−ジ置換−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともカチオン性モノマーを光照射リビング重合させて得られた分岐型重合体(以下「1次分岐型重合体」と称す。)のカチオン性ポリマーブロックに疎水基を導入すると共に、架橋反応させることにより製造することができる。
なお、本明細書において、イニファターとは、光照射によりラジカルを発生させる重合開始剤、連鎖移動剤としての機能と共に、成長末端と結合して成長を停止する機能、さらに光照射が停止すると重合を停止させる重合開始・重合停止剤として機能する分子のことである。
イニファターとなるN、N−ジ置換−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物としては、ベンゼン環に該N,N−ジ置換−ジチオカルバミルメチル基、好ましくはN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基が3個以上分岐鎖として結合しているものが好適であり、具体的には次が例示される。即ち、3分岐鎖化合物としては、1,3,5−トリ(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,3,5−トリ(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、4分岐鎖化合物としては、1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られる1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンであり、6分岐鎖化合物としては、ヘキサキス(ブロモメチル)ベンゼンとN,N−ジアルキルジチオカルバミン酸ナトリウム(ナトリウムN,N−ジアルキルジチオカルバメート)とをエタノール中で付加反応させて得られるヘキサキス(N,N−ジアルキルジチオカルバミルメチル)ベンゼンが挙げられる。なお、ここで、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基に含まれるジアルキル部分のアルキル基としては、エチル基等の炭素数2〜18個のアルキル基が好ましいが、アルキル基に限らず、フェニル基など芳香族系の炭化水素基であっても構わない。即ち、N,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基に限らず、N,N−ジアリールジチオカルバミルメチル基等を含む、脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基で置換されたN,N−ジ置換ジチオカルバミルメチル基であれば目的を達成することができる。
上記のイニファターは、アルコール等の極性溶媒に対しては殆ど不溶であるが、非極性溶媒には易溶である。この非極性溶媒としては炭化水素、ハロゲン化炭化水素が好適であり、特に、ベンゼン、トルエン、クロロホルム又は塩化メチレン、中でも特にトルエンが好適である。
このイニファターに重合させるカチオン性モノマーとしては、アクリル酸誘導体、スチレン誘導体等のビニル系モノマーが好適であり、具体的には3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドCH=CHCONHCN(CH、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、4−アミノスチレン、4−N,N-ジメチルアミノスチレン等が挙げられるが、耐加水分解性に優れることから、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドCH=CHCONHCN(CH、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートといったアクリル系モノマーが好ましい。カチオン性モノマーは1種を単独で用いてもよく、2種以上を混合して用いてもよい。
イニファターと上記カチオン性モノマーとを反応させるには、イニファター及びカチオン性モノマーを含んでなる原料溶液を調製し、これに光照射することによって、イニファターに対しカチオン性モノマーが結合した反応生成物を生成させる。この溶液の溶媒としては、アルカン、アルケン、アロマチック、ハロゲン化炭化水素が好適であり、具体的にはベンゼン、トルエン、クロロホルム、四塩化炭素又は塩化メチレンが挙げられ、中でもトルエン又はクロロホルムが好適である。
この原料溶液中のカチオン性モノマー濃度は0.5M以上、例えば0.5〜2.5Mが好適である。イニファターの濃度は0.1〜100mM程度が好適である。
照射する光の波長は300〜400nmが好適である。光の照射時間は照射強度にも依存するが、1〜60分程度が好適であり、1μW/cm〜10mW/cm程度の低い照射強度で1分〜30分程度が特に好適である。
この光照射により、反応液中に目的とする分岐型重合体(1次分岐型重合体)が生成するので、必要に応じ精製して分岐型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーを得る。
この1次分岐型重合体の分子量は、分岐鎖の鎖数にもよるが、2,000〜500,000、特に2,000〜150,000、とりわけ2,000〜100,000であることが好ましい。
なお、本明細書において、分子量とはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリエチレングリコール換算の数平均分子量をさす。
本発明では、1次分岐型重合体のこの分岐鎖は、上記ホモポリマーであってもよく、さらに異なるモノマーとのブロック共重合体又はランダム共重合体であってもよい。例えば、上記ホモポリマーに対し、これを構成するモノマーとは異なるN,N−ジメチルアクリルアミド、2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレートなどのモノマーを導入してもよい。また、N−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体をブロック共重合させて温度感応性ポリマーブロックを導入してもよい。なお、先にN,N−ジメチルアクリルアミド又はN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマーよりなる分岐鎖を有した分岐型重合体を形成し、その後、各分岐鎖の先端側にカチオン性ポリマーブロックを導入するようにしてもよい。
このN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体のポリマー鎖は、低温度では親水性、高温では疎水性となる温度依存性を有する。なお、これにより遺伝子導入剤が上記温度応答性を具備するようになる。
カチオン性ポリマーブロックにN,N−ジメチルアクリルアミドあるいはN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体をブロック共重合させるには、上記のようにして合成したスター形分岐型重合体を好ましくはアルコール例えばメタノール等の溶媒に溶解させ、これにN,N−ジメチルアクリルアミド又はN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体を混合し、光を照射して重合させればよい。この重合反応を開始する際の溶液中における分岐型ポリマーの濃度は0.01〜10重量%程度が好適であり、N,N−ジメチルアクリルアミド又はN−イソプロピルアクリルアミド又はその誘導体の濃度は0.3〜30重量%程度が好適である。光の照射条件は、光波長250〜400nm、照射時間1〜150分、照射強度100〜10,000μW/cm程度が好適である。
このようにして得られるカチオン性コポリマーよりなる1次分岐型重合体分子量は、分子数の鎖数にもよるが、3,000〜600,000、特に3,000〜150,000であることが好ましい。
本発明の遺伝子導入剤は、このようにして得られた1次分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を有する側鎖を導入すると共に架橋反応させて架橋体としたものであるが、本発明においては、この疎水基の導入と、架橋反応を、以下の方法に従って、同時に行うことが好ましい。
即ち、疎水基導入のために1次分岐型重合体に反応させる化合物としてベンジル(N,N−ジアルキル)ジチオカルバメート等のベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートを用い、これと1次分岐型重合体との混合物、好ましくはペースト状混合物に光照射することにより、1次分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロックの側鎖に疎水基を導入すると共に、1次分岐型重合体を架橋反応させる。
即ち、この方法であれば、光照射により、ベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートのベンジルラジカルが生成し、これが1次分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロックの側鎖、例えば、カチオン性ポリマーブロックを構成するカチオン性モノマーである3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドのプロピル鎖部分に付加反応して、この3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミドで構成される側鎖にベンジル基の疎水基が導入される。同時に、1次分岐型重合体は光照射により、分岐鎖のN,N−ジ置換−ジチオカルバミル基のチオ基が開いて分岐鎖同士が架橋することにより架橋体が生成する。
前述の特許文献2においては、この光架橋反応を粉末又はフィルム状に成形した1次分岐型重合体に対して光照射することにより行っていたが、この方法では、前述の如く、均質な光照射を行えず、この結果、効率的な架橋反応が行えないという問題があった。
これに対して、本発明では、疎水基導入のための化合物として液体のベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートを用いることにより、このベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートと1次分岐型重合体とでペースト状の混合物とすることが可能となり、この混合ペーストに対して、均質な光照射を行って、効率的なベンジル基の付加反応と架橋反応を行うことができる。
本発明で用いるベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートとしては、特に、エチル基等の炭素数2〜18個のアルキル基で置換されたベンジル(N,N−ジアルキル)ジチオカルバメートが好ましいが、この置換基はアルキル基に限らず、フェニル基など芳香族系の炭化水素基であっても構わない。即ち、ベンジル(N,N−ジアルキル)ジチオカルバメートに限らず、ベンジル(N,N−ジアリール)ジチオカルバメートの脂肪族炭化水素基及び/又は芳香族炭化水素基で置換されたベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートであれば目的を達成することができる。
なお、ベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートのベンジル基のベンゼン環は、その疎水性や反応性に影響しないメチル基等の置換基で置換されていても良い。
このようなベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートと1次分岐型重合体とを混合してペースト化する際の混合割合は、光照射効率と取り扱い性に優れたペースト状混合物が得られれば良く、特に制限はないが、通常、1次分岐型重合体に対して5〜50倍モル量のベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートを混合することが好ましい。
このような混合ペーストへの光の照射条件は、光波長180〜700nm、照射時間1分〜30,000時間、照射強度0.001〜10,000μW/cm程度が好適である。
本発明において、このようにして得られる架橋体の分子量は5,000〜1,500,000、特に20,000〜300,000であることが好ましい。
また、架橋体に導入されるベンジル基等の疎水基の数は、架橋前の1次分岐型重合体の1分子当たり5〜5,000個程度であることが好ましい。
本発明の遺伝子導入剤を構成する1次分岐型重合体や架橋体の分子量が小さ過ぎると核酸イオン凝集力が不足してポリプレックス微粒子の粒子径が大きく不安定なものとなり、結果、遺伝子導入活性も低くなり、大き過ぎると代謝、排泄など生体内使用での要求特性が低くなり、また、細胞毒性が高くなってしまう。
また、疎水基の導入量が少な過ぎると疎水基を導入したことによる細胞透過性の向上効果を十分に得ることができず、多過ぎると、分岐型重合体の疎水性が強くなり過ぎて、核酸の凝縮作用が劣る傾向にある。
本発明の遺伝子導入剤(ベクター)と核酸とを複合させるには、このベクターの濃度1〜1000μg/mL程度の分散液に対し、常温にて核酸を添加し、混合すればよい。核酸に対してベクターを過剰量添加し、ベクターを核酸に対し飽和状態に核酸複合体として複合化させるのが好ましい。
核酸の好ましい例としては、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(HSV1−TK遺伝子),p53癌抑制遺伝子及びBRCA1癌抑制遺伝子やサイトカイン遺伝子としてTNF−α遺伝子,IL−2遺伝子,IL−4遺伝子,HLA−B7/IL−2遺伝子,HLA−B7/B2M遺伝子,IL−7遺伝子,GM−CSF遺伝子,IFN−γ遺伝子及びIL−12遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにgp−100,MART−1及びMAGE−1などの癌抗原ペプチド遺伝子が癌治療に利用できる。
また、VEGF遺伝子,HGF遺伝子及びFGF遺伝子などのサイトカイン遺伝子並びにc−mycアンチセンス,c−mybアンチセンス,cdc2キナーゼアンチセンス,PCNAアンチセンス,E2Fデコイやp21(sdi−1)遺伝子が血管治療に利用できる。また、上記のようなDNAの導入、遺伝子発現のみならず、細胞内のmRNAを破壊するRNA干渉をsiRNAの導入で行うことも可能である。かかる一連の遺伝子は当業者には良く知られたものである。
核酸複合体の粒径は50〜400nm程度が好適である。これよりも小さいと、核酸複合体内部の核酸にまで酵素の作用が及ぶおそれ、あるいは腎臓にて濾過排出されるおそれがある。また、これよりも大きいと、細胞に導入されにくくなるおそれがある。
核酸は、細胞に導入されることによりその細胞内で機能を発現することができるような形態で用いる。例えばDNAの場合、導入された細胞内で当該DNAが転写され、それにコードされるポリペプチドの産生を経て機能発現されるように当該DNAが配置されたプラスミドとして用いる。好ましくは、プロモーター領域、開始コドン、所望の機能を有する蛋白質をコードするDNA、終止コドンおよびターミネーター領域が連続的に配列されている。
所望により2種以上の核酸をひとつのプラスミドに含めることも可能である。
本発明において、核酸を導入する対象として望ましい「細胞」としては、当該核酸の機能発現が求められるものであり、このような細胞としては、例えば使用する核酸(すなわちその機能)に応じて種々選択され、例えば心筋細胞、平滑筋細胞、繊維芽細胞、骨格筋細胞、血管内皮細胞、骨髄細胞、骨細胞、血球幹細胞、血球細胞等が挙げられる。また、単球、樹状細胞、マクロファージ、組織球、クッパー細胞、破骨細胞、滑膜A細胞、小膠細胞、ランゲルハンス細胞、類上皮細胞、多核巨細胞等、消化管上皮細胞・尿細管上皮細胞などである。
本発明の遺伝子導入剤を用いた核酸複合体は任意の方法で生体に投与することができる。
当該投与方法としては静脈内又は動脈内への注入が特に好ましいが、筋肉内、脂肪組織内、皮下、皮内、リンパ管内、リンパ節内、体腔(心膜腔、胸腔、腹腔、脳脊髄腔等)内、骨髄内への投与の他に病変組織内に直接投与することも可能である。
この核酸複合体を有効成分とする医薬は、更に必要に応じて製剤上許容し得る担体(浸透圧調整剤,安定化剤、保存剤、可溶化剤、pH調整剤、増粘剤等)と混合することが可能である。これら担体は公知のものが使用できる。
また、この核酸複合体を有効成分とする医薬は、含まれる核酸の種類が異なる2種以上の核酸複合体を含めたものも包含される。このような複数の治療目的を併せ持つ医薬は、多様化する遺伝子治療の分野で特に有用である。
投与量としては、動物、特にヒトに投与される用量は目的の核酸、投与方法および治療される特定部位等、種々の要因によって変化する。しかしながら、その投与量は治療的応答をもたらすに十分であるべきである。
この核酸複合体は、好ましくは遺伝子治療に適用される。適用可能な疾患としては、当該複合体に含められる核酸の種類によって異なるが、末梢動脈疾患、冠動脈疾患、動脈拡張術後再狭窄等の病変を生じる循環器領域での疾患に加え、癌(悪性黒色腫、脳腫瘍、転移性悪性腫瘍、乳癌等)、感染症(HIV等)、単一遺伝病(嚢胞性線維症、慢性肉芽腫、α1−アンチトリプシン欠損症、Gaucher病等)等が挙げられる。
また、この核酸を複合した遺伝子導入剤の水溶液を基材に塗布などにより付着させ、必要に応じ乾燥させることにより、核酸を担持したポリマーのコーティング等が形成される。
上記の核酸複合遺伝子導入剤を基材に付着させる場合、基材としてはシート状のものが好適である。このシート状基材の厚さは0.05〜10mm程度であることが好ましく、シート面の大きさは、方形の場合、一辺が1〜20mmであり他辺が1〜20mmであり、円形又は楕円形の場合、径は1〜20mm程度が好ましい。基材の材料としては、ポリオレフィン、ポリスチレン、ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、シリコン樹脂、フッ素樹脂などの合成樹脂が好適である。この基材は多孔質であってもよい。
この基材に対する核酸複合遺伝子導入剤の付着量は、基材表面1cm当り0.001〜10mg程度が好ましい。
核酸複合遺伝子導入剤を担持させた基材よりなる遺伝子導入材料は、皮下組織、心筋組織、病変組織、病変血管を包囲するようにシート状基材を配置したり、カバードステントのフィルムへ塗布することによって生体内に配置したり、生体外面に粘着テープを用いて貼り付けたりするようにして用いられる。
以下に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明する。
[遺伝子導入剤の合成]
<実施例1>
i) イニファターの合成
下記反応式に従って、1,2,4,5−テトラキス(N−Nジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンを次のようにして合成した。
1,2,4,5−テトラキス(ブロモメチルベンゼン)5.0gとN,N−ジエチルジチオカルバミル酸ナトリウム34.0gをエタノール100mL中へ加え、遮光下で室温で4日間攪拌した。沈殿物を濾過し、3リットルのメタノールへ投入して30分間攪拌して濾過した。この操作を繰り返して合計4回行った。沈殿物をトルエン200mLへ溶解した後、100mLのメタノールを加えて50℃に加温し、冷蔵庫中で15時間保管して再結晶させ、結晶を濾別後に大量のメタノールで洗浄した。結晶を室温で減圧乾燥して、白色の1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼンの針状結晶を得た(収率90%)。高速液体クロマトグラフィーにより、原料ピークが消失し、精製物が単一物質であることを確認した。
H NMR(in CDCl)の測定結果は、δ1.26−1.31ppm(t,24H,CHCH),δ3.69−3.77ppm(q,8H,N(CHCH),δ3.99−4.07ppm(q,8H,N(CHCH),δ4.57ppm(s,8H,Ar−CH),δ7.49ppm(s,2H,Ar−H)となった。
Figure 2009275000
ii) 光重合によるスター形4分岐型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーの合成
下記反応式に従い、次のようにして、1,2,4,5−テトラキス[(N,N−ジエチルジチオカルバミル)ポリ(3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド)−メチル]ベンゼン(以下、pDMAPAAmと記載することがある。)よりなるカチオン性ホモポリマーの合成を行った。
上記i)により合成した1,2,4,5−テトラキス(N,N−ジエチルジチオカルバミルメチル)ベンゼン45.6mgを20mLのトルエンへ溶解し、3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド7.9gを加えて混合し、全量をトルエンで50mLに調整した。3mm厚軟質ガラスセル中で激しく攪拌しながら高純度窒素ガスで5分間パージした後に、300Wショートアークキセノンランプ(朝日分光社製、MAX−301)で250nm−400nmの混合紫外線を40分間照射した。照射強度はウシオ電機社のUIT−150へUVD−C405(検出波長範囲320nm〜470nm)を装着して2.5mW/cmに調整した。重合溶液をエバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルで重合物を再沈殿させ、クロロホルム/ジエチルエーテル系で3回再沈殿を繰り返して精製し、エーテルを蒸散させた後に少量の水へ溶解し、0.2μmフィルターで濾過してから凍結乾燥させて4分岐型スター型ホモポリマーよりなるカチオン性ホモポリマーを得た(重合率32%)。
分子量はGPCにより、51,700(Mw/Mn=1.34)と測定された。
H NMR(in DO)の測定結果は、δ1.5−1.8ppm(br,2H,−CHCHCH−),δ2.1−2.2ppm(br,6H,N−CH),δ2.2−2.4ppm(br,2H,CH−N),δ3.0−3.4ppm(br,2H,NH−CH),δ7.4−7.8ppm(br,1H,−NH−)となった。
Figure 2009275000
iii) ベンジル(N,N−ジエチル)ジチオカルバメートの合成
クロロメチルベンゼン14.4gを30mLのエタノールへ溶解した。N,N−ジエチルジチオカルバミル酸ナトリウム31.0gをエタノール150mLへ溶解した。両溶液を遮光下で混合し、室温で24時間攪拌した。沈殿物を濾過し、エボポレーターで濃縮し白濁したペーストを得た。該ペーストと1:1の体積比でメタノールを混合した後に静置することで2層に液分離させた。メタノール層を除去し、回収したオイル層に再度1:1体積比でメタノールを混合して分離/回収の操作を3回繰り返した。メタノールで洗浄されたオイルをクロロホルムへ溶解し、水で6回洗浄した。硫酸マグネシウムで48時間乾燥させた後に溶媒を留去して、窒素ガスでバブリングして痕跡のクロロホルムを蒸散させて無色オイルのベンジル(N,N−ジエチル)ジチオカルバメートを得た(収率95%)。
H NMR(in CDCl)の測定結果は、δ1.25−1.31ppm(t,6H,CHCH),δ3.69−3.77ppm(q,2H,N−CH),δ4.01−4.09ppm(q,2H,N−CH),δ4.54ppm(s,2H,Ar−CH),δ7.27−7.41ppm(m,5H,Ar−H)となった。
iv) カチオン性ホモポリマーの光架橋およびベンジル基導入修飾
上記ii)で合成した分子量51,700の4分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマー0.22gおよび上記iii)で合成したベンジル(N,N−ジエチル)ジチオカルバメート3.2gを100mL滅菌瓶へ入れ、混合ペーストをマグネットスターラーで激しく攪拌しながら高純度窒素ガス(2L/分)で10分間パージした。窒素パージ及び激しい攪拌を続けながら上記ii)と同じ光照射装置で光照射重合を行った。照射強度は1.0mW/cm、光照射時間は10分で行った。照射終了後、ペーストをクロロホルムで希釈し、#2の濾紙で濾過した後、ジエチルエーテルへ滴下してポリマー成分を沈殿させた。その後、クロロホルム/ジエチルエーテル系で3回再沈殿処理を行って精製した。分子量はGPCにより70,900(Mw/Mn=2.73)と測定され、分子量の増大と分散のブロード化が確認された。
NMRより、ベンゼン環のピークが確認され、ポリマー鎖へベンジル基が付加的に結合したことが分かった。導入量は4分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマー1分子当たりに約10個と計算された。
<比較例1>
v) 粉末状カチオン性ホモポリマーの光架橋
上記実施例1のii)で合成した分子量51,700の4分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマー0.22gを100mL滅菌瓶へ入れ、土星型回転子で激しく攪拌しながら高純度窒素ガス(2L/分)で30分間パージして均質な粉末状態へ粉砕した。ここへ窒素パージ及び激しい攪拌を続けながらii)と同じ光照射装置で光照射重合を行った。照射強度は1.0mW/cm、光照射時間は240分で行った。照射終了後、得られた粉末は淡い黄褐色を帯びていた。50mLのメタノールを投入すると少量の不溶性のゲル状成分が生成していた。溶液を#2の濾紙で濾過した後、エバポレーターで濃縮し、ジエチルエーテルへ滴下してポリマー成分を沈殿させた。その後、クロロホルム/ジエチルエーテル系で3回再沈殿処理を行って精製した。
分子量はGPCにより79,000(Mw/Mn=2.68)と測定され、分子量の増大と分散のブロード化が確認された。本例では、実施例1のiv)と同等の架橋度を得るのに約20倍の光照射時間を要した。
実施例1のiv)の結果とこのv)の結果から、粉末への光照射とペーストへの光照射とでは光照射効率が顕著に相違することが分かった。
[遺伝子導入実験]
細胞にはアフリカミドリサル腎細胞の由来のCOS-1を使用し、DNAにはpGL3コントロールベクターを使用した。COS-1細胞は細胞数を4万個/mLに調整して24Well培養皿へ播種し、培養24時間後に遺伝子導入を行った。
上記実施例1のiv)で合成した4分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーの架橋・疎水修飾体、と比較例1のv)で合成した分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーの架橋体を、それぞれ遺伝子導入剤として使用した。遺伝子導入剤中の単位重量あたりの陽電荷数はカチオン性ポリマーのモノマー単位の分子量156から計算して求めた。DNA中の単位重量あたりの陰電荷数は配列マップによる塩基対数と核酸塩基の平均的分子量660とから計算した。
各遺伝子導入剤をDNAと150μLのOPTI−MEM中で30分間インキュベートした。混合比は電荷数の関係が陽電荷数が陰電荷数の20倍となるように調整し、0.5μgのDNAが各Wellへ投与されるように溶液を調整し、培養細胞へ加えた。トランスフェクションの48時間後にルシフェラーゼアッセにより遺伝子導入活性の評価を行った(プロメガ社、アッセイキット試薬)。補正はタンパク濃度で行い、タンパク定量はBioRad社のBradford試薬で行った。結果を図1に示す。
図1より、実施例1及び比較例1ともに光架橋により遺伝子導入活性が向上している(分子量51,700の4分岐型スター型重合体よりなるカチオン性ホモポリマーを遺伝子導入剤として同様に遺伝子導入活性を評価した結果の図示は省略するが、実施例1及び比較例1の結果の約1/10程度の活性であった。)が、実施例1の方が比較例1よりも遺伝子導入活性が高く、実施例1では、アルキルアミノ基の4級化以外の方法で疎水基を導入した効果で、細胞毒性を発現することなく、細胞膜の透過性を向上できていることが推定された。
実施例1及び比較例1の遺伝子導入活性の評価結果を示すグラフである。

Claims (12)

  1. カチオン性ポリマーブロックを含む複数の分岐鎖を有する分岐型重合体を含む遺伝子導入剤において、
    該分岐型重合体は、前記カチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を含む側鎖を有し、
    複数の該分岐型重合体が架橋した架橋体よりなることを特徴とする遺伝子導入剤。
  2. 請求項1において、前記疎水基はベンジル基であることを特徴とする遺伝子導入剤。
  3. 請求項1又は2において、N,N−ジ置換−ジチオカルバミルメチル基を同一分子内に3個以上有する化合物をイニファターとし、これに少なくともカチオン性モノマーを光照射リビング重合させ得られた分岐型重合体(以下「1次分岐型重合体」と称す。)のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を導入すると共に、架橋反応させてなることを特徴とする遺伝子導入剤。
  4. 請求項3において、前記イニファターが、ベンゼン環を核とし、この核に3個以上のN,N−ジアルキル−ジチオカルバミルメチル基が結合したものであることを特徴とする遺伝子導入剤。
  5. 請求項3又は4において、前記カチオン性モノマーがアクリル系モノマーであることを特徴とする遺伝子導入剤。
  6. 請求項5において、前記アクリル系モノマーが3−N,N−ジメチルアミノプロピルアクリルアミド及び/又は2−N,N−ジメチルアミノエチルメタクリレートであることを特徴とする遺伝子導入剤。
  7. 請求項2ないし6のいずれか1項において、前記1次分岐型重合体とベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートとの混合物に光照射することにより、該1次分岐型重合体のカチオン性ポリマーブロック部分に疎水基を導入すると共に、架橋反応させてなることを特徴とする遺伝子導入剤。
  8. 請求項7において、前記混合物がペースト状であることを特徴とする遺伝子導入剤。
  9. 請求項7又は8において、ベンジル(N,N−ジ置換)ジチオカルバメートがベンジル(N,N−ジアルキル)ジチオカルバメートであることを特徴とする遺伝子導入剤。
  10. 請求項1ないし9のいずれか1項において、前記分岐型重合体の分子量が2,000〜600,000であり、前記架橋体の分子量が5,000〜1,500,000であることを特徴とする遺伝子導入剤。
  11. 請求項1ないし10のいずれか1項において、前記分岐型重合体の1分子当りの疎水基の数が5〜5,000個であることを特徴とする遺伝子導入剤。
  12. 請求項1ないし11のいずれか1項の遺伝子導入剤と核酸との複合体よりなることを特徴とする核酸複合体。
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