JP2009270982A - 液滴数密度測定方法および測定装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】測定可能な最大数密度を大幅に高めることができる液滴数密度測定方法を提供すること。
【解決手段】複数の液滴dが任意の気体中に放出されることで形成された気体と液滴dとが混在する噴霧空間Sにおける液滴dの数密度nを測定する液滴数密度測定方法であって、所定のパルス幅のレーザ光を集光することによりブレークダウン可能強度領域Aを形成し、噴霧空間S内にブレークダウン可能強度領域Aが位置するようにパルスレーザ光を噴霧空間Sに向けて照射することにより、噴霧空間Sにおける液滴dのブレークダウン発生確率Pを求め、このブレークダウン発生確率Pからブレークダウン可能強度領域Aにおける液滴dの平均個数Naを求め、この平均個数Naを、ブレークダウン発生確率Pを求める際に形成されたブレークダウン可能強度領域Aの体積Vで割ることにより噴霧空間Sにおける液滴dの数密度nを求める。
【選択図】 図5
【解決手段】複数の液滴dが任意の気体中に放出されることで形成された気体と液滴dとが混在する噴霧空間Sにおける液滴dの数密度nを測定する液滴数密度測定方法であって、所定のパルス幅のレーザ光を集光することによりブレークダウン可能強度領域Aを形成し、噴霧空間S内にブレークダウン可能強度領域Aが位置するようにパルスレーザ光を噴霧空間Sに向けて照射することにより、噴霧空間Sにおける液滴dのブレークダウン発生確率Pを求め、このブレークダウン発生確率Pからブレークダウン可能強度領域Aにおける液滴dの平均個数Naを求め、この平均個数Naを、ブレークダウン発生確率Pを求める際に形成されたブレークダウン可能強度領域Aの体積Vで割ることにより噴霧空間Sにおける液滴dの数密度nを求める。
【選択図】 図5
Description
本発明は、任意の空間に霧状の液滴を供給する装置から放出された液滴の数密度を高時間・空間分解能に測定する液滴数密度測定方法および液滴数密度測定装置に関し、例えば、エンジン内で噴射されるディーゼル等の燃料の液滴の数密度および塗装に用いられるスプレーノズルから放出された液滴の数密度を測定するのに好適な液滴数密度測定方法および液滴数密度測定装置に関する。
従来、任意の空間に霧状の液滴を供給する液滴供給装置から放出された液滴の数密度(単位体積辺りの対象物の個数)を測定する方法として、次のようなものが考えられる。
先ず、液滴供給装置から放出された液滴の平均粒径と、当該液滴の粒度分布(どれくらいの大きさの粒子がどれくらいの割合で含まれているか)と、液滴供給装置から液滴が放出された空間における任意の位置(以下、測定対象領域とする)での単位時間あたりの降水量とから、測定対象領域における単位時間あたりの液滴の数を求める。ここで、任意の空間に存在する液滴または微粒子の粒度分布および流速等を測定する方法としては、レーザドップラー散乱速度計側法、粒子画像流速測定法、レーザ励起蛍光法等のレーザを利用するものが知られている。
次に、上記したいずれかの方法により測定した液滴の平均速度(流速)から、液滴供給装置から放出された液滴が単位時間あたりに測定対象領域を通過し得る空間領域(体積値)を求める。この体積値と、上記した測定対象領域における単位時間あたりの液滴の数とから、液滴供給装置により液滴が放出された任意の空間における当該液滴の平均数密度を求めることができる。
ところが、このような方法では、液滴としての降水量、液滴の平均粒径および液滴の平均速度を測定する必要があるので、手間や時間がかかるとともに、各測定における測定誤差の影響を受けてしまう。
この他にも、粒子(液滴も含む)の数密度の測定を可能とする粒子画像流速測定法を改良した干渉画像法(例えば、特許文献1参照)や、位相ドップラー式レーザ粒子分析計が知られている。
特許第3211825号公報
しかしながら、上記した粒子画像流速測定法は、時間・空間分解測定が可能な方法ではあるが、測定可能な最大数密度が略4.0×104個数/cm3となってしまう。また、上記した位相ドップラー式レーザ粒子分析計では、測定可能な最大数密度が略1.0×105個数/cm3となってしまう。このような測定可能な数密度の上限値は、上記した各方法であっても同様である。
本発明は、上記の問題に鑑みて為されたもので、測定可能な最大数密度を大幅に高めることができる液滴数密度測定方法および液滴数密度測定装置を提供することを課題とする。
上記課題を解決するために、本発明の液滴数密度測定方法は、複数の液滴が任意の気体が存在する任意の空間へ向けて放出されることで形成された該気体と前記液滴とが混在する噴霧空間における前記液滴の数密度を測定する液滴数密度測定方法であって、所定のパルス幅のレーザ光を集光することにより、前記液滴をブレークダウン可能なエネルギーである液滴ブレークダウンしきい値以上でありかつ前記気体をブレークダウン可能なエネルギーである気体ブレークダウンしきい値未満のエネルギーを前記液滴に供給が可能な強度とされた空間領域であるブレークダウン可能強度領域を形成し、前記噴霧空間内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射することにより、前記噴霧空間における前記液滴のブレークダウン発生確率を求め、該ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン可能強度領域における前記液滴の平均個数を求め、該平均個数を、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン可能強度領域の体積で割ることにより前記噴霧空間における前記液滴の数密度を求めることを特徴とする。
請求項2に記載の液滴数密度測定方法は、請求項1に記載の液滴数密度測定方法であって、前記ブレークダウン発生確率は、一回の前記パルスレーザ光により形成される前記ブレークダウン可能強度領域の体積を固定しつつ前記パルスレーザ光の照射を複数回繰り返し、その間で生じたブレークダウン発光を検出することにより求めたブレークダウン発生の回数を、前記パルスレーザ光の照射の回数で割ることにより求めることを特徴とする。
請求項3に記載の液滴数密度測定方法は、請求項2に記載の液滴数密度測定方法であって、前記平均個数は、前記ブレークダウン発生確率となるために前記ブレークダウン可能強度領域に必要な前記液滴の個数を、前記ブレークダウン発生確率から確率論に基づいて求めることを特徴とする。
請求項4に記載の液滴数密度測定方法は、請求項2または請求項3に記載の液滴数密度測定方法であって、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが等しいことにより前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合、または生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を変更すべく照射する前記パルスレーザ光を調整した後、前記噴霧空間における前記液滴の数密度を求めることを特徴とする。
請求項5に記載の液滴数密度測定方法は、請求項4に記載の液滴数密度測定方法であって、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくすることを特徴とする。
請求項6に記載の液滴数密度測定方法は、請求項4に記載の液滴数密度測定方法であって、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくしつつ照射する前記パルスレーザ光を集光する際の焦点距離を長くすることを特徴とする。
請求項7に記載の液滴数密度測定方法は、請求項4に記載の液滴数密度測定方法であって、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくしつつ照射する前記パルスレーザ光が集光される以前のビーム径を小さくすることを特徴とする。
請求項8に記載の液滴数密度測定方法は、請求項4に記載の液滴数密度測定方法であって、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくすることを特徴とする。
請求項9に記載の液滴数密度測定方法は、請求項4に記載の液滴数密度測定方法であって、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくしつつ照射する前記パルスレーザ光を集光する際の焦点距離を短くすることを特徴とする。
請求項10に記載の液滴数密度測定方法は、請求項4に記載の液滴数密度測定方法であって、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくしつつ照射する前記パルスレーザ光が集光される以前のビーム径を大きくすることを特徴とする。
請求項11に記載の液滴数密度測定方法は、請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の液滴数密度測定方法であって、前記噴霧空間は、複数の前記液滴が前記任意の空間へ向けて間欠的に放出されることにより形成され、前記ブレークダウン発生確率は、前記パルスレーザ光を前記液滴の間欠的な放出に同期させて前記噴霧空間に向けて照射することにより求めることを特徴とする。
請求項12に記載の液滴数密度測定方法は、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の液滴数密度測定方法であって、所定のパルス幅のレーザ光を集光する際に複数のレンズから構成されたレンズアレーを用いることにより、前記噴霧空間に複数の前記ブレークダウン可能強度領域を同時に形成することを特徴とする。
請求項13に記載の液滴数密度測定方法は、請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の液滴数密度測定方法であって、前記噴霧空間内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射する際に、該噴霧空間の外部から該噴霧空間における所定の位置に至る長さ寸法の筒体からなるビームダクトを用い、前記ビームダクトの内方を通過させた前記パルスレーザ光で前記噴霧空間内を照射することを特徴とする。
請求項14に記載の液滴数密度測定方法は、請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の液滴数密度測定方法を実行可能な液滴数密度測定装置であって、所定のパルス幅のレーザ光を出射可能なレーザ発振器と、該レーザ発振器から出射された前記パルスレーザ光を集光しつつ前記ブレークダウン可能強度領域が前記噴霧空間内に位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射する照射光学系と、該照射光学系による照射により前記噴霧空間内で生じたブレークダウン発光を検出する検出器と、該検出器により検出されたブレークダウン発光からブレークダウン発生の回数を求め、該ブレークダウン発生の回数を前記レーザ発振器から出射された前記パルスレーザ光の回数で割ることによりブレークダウン発生確率を求め、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン可能強度領域の体積を求め、前記ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン可能強度領域における前記液滴の平均個数を求め、該平均個数を前記ブレークダウン可能強度領域の体積で割ることにより前記噴霧空間における前記液滴の数密度を求める演算器とを備えることを特徴とする。
請求項15に記載の液滴数密度測定装置は、複数の微粒子が任意の気体が存在する任意の空間へ向けて放出されることで形成された該気体と前記微粒子とが混在する噴霧空間における前記微粒子の数密度を測定する微粒子数密度測定方法であって、所定のパルス幅のレーザ光を集光することにより、前記微粒子をブレークダウン可能なエネルギーである微粒子ブレークダウンしきい値以上でありかつ前記気体をブレークダウン可能なエネルギーである気体ブレークダウンしきい値未満のエネルギーを前記微粒子に供給が可能な強度とされた空間領域であるブレークダウン可能強度領域を形成し、前記噴霧空間内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射することにより、前記噴霧空間における前記微粒子のブレークダウン発生確率を求め、該ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン可能強度領域における前記微粒子の平均個数を求め、該平均個数を、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン可能強度領域の体積で割ることにより前記噴霧空間における前記微粒子の数密度を求めることを特徴とする。
請求項16に記載の微粒子数密度測定方法は、請求項15に記載の微粒子数密度測定方法を実行可能な微粒子数密度測定装置であって、所定のパルス幅のレーザ光を出射可能なレーザ発振器と、該レーザ発振器から出射された前記パルスレーザ光を集光しつつ前記ブレークダウン可能強度領域が前記噴霧空間内に位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射する照射光学系と、該照射光学系による照射により前記噴霧空間内で生じたブレークダウン発光を検出する検出器と、該検出器により検出されたブレークダウン発光からブレークダウン発生の回数を求め、該ブレークダウン発生の回数を前記レーザ発振器から出射された前記パルスレーザ光の回数で割ることによりブレークダウン発生確率を求め、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン可能強度領域の体積を求め、前記ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン可能強度領域における前記微粒子の平均個数を求め、該平均個数を前記ブレークダウン可能強度領域の体積で割ることにより前記噴霧空間における前記微粒子の数密度を求める演算器とを備えることを特徴とする。
本発明の液滴数密度測定方法では、測定可能な数密度が、ブレークダウン可能強度領域の体積に依存するものであることから、このブレークダウン可能強度領域の体積を適宜調整することにより測定可能な数密度の範囲を大きくすることができる。特に、測定可能な数密度の上限は、ブレークダウン可能強度領域の体積の下限に依存するものであることから、このブレークダウン可能強度領域の体積を適宜調整することにより測定可能な最大数密度を大幅に高めることができる。
上記した構成に加えて、前記ブレークダウン発生確率は、一回の前記パルスレーザ光により形成される前記ブレークダウン可能強度領域の体積を固定しつつ前記パルスレーザ光の照射を複数回繰り返し、その間で生じたブレークダウン発光を検出することにより求めたブレークダウン発生の回数を、前記パルスレーザ光の照射の回数で割ることにより求めることとすると、パルスレーザ光の照射回数を調整することにより、測定精度を調整することができる。
上記した構成に加えて、前記平均個数は、前記ブレークダウン発生確率となるために前記ブレークダウン可能強度領域に必要な前記液滴の個数を、前記ブレークダウン発生確率から確率論に基づいて求めることとすると、求めたブレークダウン発生確率から適切な平均個数を求めることができるので、液滴の数密度を正確に測定することができる。
上記した構成に加えて、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが等しいことにより前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合、または生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を変更すべく照射する前記パルスレーザ光を調整した後、前記噴霧空間における前記微粒子の数密度を求めることとすると、パルスレーザ光を調整することより、測定可能な数密度の範囲を調整することができる。
上記した構成に加えて、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくすることとすると、測定可能な最小数密度を高めることができる。
上記した構成に加えて、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくしつつ照射する前記パルスレーザ光を集光する際の焦点距離を長くすることとすると、測定可能な最小数密度を大幅に高めることができる。
上記した構成に加えて、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくしつつ照射する前記パルスレーザ光が集光される以前のビーム径を小さくすることとすると、測定可能な最小数密度を大幅に高めることができる。
上記した構成に加えて、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくすることとすると、測定可能な最大数密度を高めることができる。
上記した構成に加えて、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくしつつ照射する前記パルスレーザ光を集光する際の焦点距離を短くすることとすると、測定可能な最大数密度を大幅に高めることができる。
上記した構成に加えて、生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくしつつ照射する前記パルスレーザ光が集光される以前のビーム径を大きくすることとすると、測定可能な最大数密度を大幅に高めることができる。
上記した構成に加えて、前記噴霧空間は、複数の前記液滴が前記任意の空間へ向けて間欠的に放出されることにより形成され、前記ブレークダウン発生確率は、前記パルスレーザ光を前記液滴の間欠的な放出に同期させて前記噴霧空間に向けて照射することにより求めることとすると、間欠的な放出により噴霧空間内に形成される液滴群の態様に対応して液滴の数密度を測定することができる。
上記した構成に加えて、所定のパルス幅のレーザ光を集光する際に複数のレンズから構成されたレンズアレーを用いることにより、前記噴霧空間に複数の前記ブレークダウン可能強度領域を同時に形成することとすると、同時に複数の箇所の数密度を測定することができる。
上記した構成に加えて、前記噴霧空間内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射する際に、該噴霧空間の外部から該噴霧空間における所定の位置に至る長さ寸法の筒体からなるビームダクトを用い、前記ビームダクトの内方を通過させた前記パルスレーザ光で前記噴霧空間内を照射することとすると、液滴の散乱・吸収等の作用による噴霧空間におけるパルスレーザ光の減衰率(噴霧空間におけるレーザ光の透過率)を考慮することなく、噴霧空間における液滴の数密度を適切に測定することができる。このことは、測定対象となる液滴が、レーザのエネルギーを大幅に吸収する液体内の強い吸収物質を含むインク、スラリーのような物質の場合や、透明の液滴であっても密度が非常に高く極めて強い散乱の作用を生じさせる物質の場合であっても、所望の位置にブレークダウン可能強度領域を形成することができるので、このような液滴を測定対象とする場合に好適である。
また、本発明の液滴数密度測定装置では、測定可能な数密度が、ブレークダウン可能強度領域の体積に依存するものであることから、このブレークダウン可能強度領域の体積を適宜調整することにより測定可能な数密度の範囲を大きくすることができる。特に、測定可能な数密度の上限は、ブレークダウン可能強度領域の体積の下限に依存するものであることから、このブレークダウン可能強度領域の体積を適宜調整することにより測定可能な最大数密度を大幅に高めることができる。
以下、本発明の最良の実施の形態について図面を参照して説明する。
先ず、本発明の基本的な概念について説明する。
本発明では、パルスレーザを所望の領域(レンズによる焦点領域)に集光させることにより、所望の領域に存在する測定対象とする物質(微粒子、分子等)を高温かつ高密度としてプラズマ化させる所謂ブレークダウンを発生させる。このブレークダウンでは、同時に多数の光子を吸収することにより直接電離が生じる多光子電離過程と呼ばれる現象と、レーザ光の強電解中における逆制動放射による電子の加速およびそれに続く衝突による電子倍増機構であるカスケード電離過程と呼ばれる現象とにより、プラズマが生成されるものと考えられている。このように測定対象とする物質では、ブレークダウンされて原子状態やイオン状態となってエネルギーの高い状態に励起された後、元のエネルギー状態に戻るときに、その元素固有の波長の光が放射される(以下、ブレークダウン発光という)。本発明では、ブレークダウンが発生したこと(プラズマが発生したこと)を確認する必要がある。このブレークダウンの発生を確認する方法としては、様々なものが知られているが、ブレークダウンの発生により放射された可視域の光を観測するのが最も容易であることから、この実施の形態では、ブレークダウンの発生に伴って測定対象とする物質(微粒子、特に液滴)から放射される光(ブレークダウン発光)を測定する。このような方法としては、例えば、ブレークダウンの発生により放射された光(ブレークダウン発光)を受光するためにフォトダイオードおよびCCD素子等の受光素子を用い、この受光素子の前に後述する照射用レーザの発振波長(照射用レーザから出射されたレーザ光の波長)を透過しないフィルター等を配置する。これにより、当該受光素子では、測定対象となる物質によるレーザ光の散乱光を受光することなくブレークダウンの発生により放射された光(ブレークダウン発光)を受光することができるので、ブレークダウンの発生(プラズマの発生)を適切に確認することができる。このようにフォトダイオードおよびCCD素子等の受光素子を用いると、ブレークダウンの発生に付随して生じる発光現象に対して、可視域に加えて紫外域や赤外域を測定対象とすることができる。また、本発明では、後述するように、エアロゾル中の液滴または微粒子のブレークダウンの発生を確認することから、エアロゾル中の液滴または微粒子を構成する物質であって、エアロゾル中の気体を構成しない物質である原子からのスペクトル線を分光器等で測定することで、その液滴または微粒子のブレークダウンによる発光を精度良く確認することができる。これは、例えば、空気と水滴とからなるエアロゾルにおいて水滴にブレークダウンが発生したことを確認する場合、Hα線(652.28nm)等を観測すればよいこととなる。なお、本実施例では、ブレークダウンの発生に付随して生じる発光現象(ブレークダウン発光)を測定することでブレークダウンの発生を確認しているが、ブレークダウンの発生を確認することができるものであれば、例えば、ブレークダウンの発生に付随して生じる電磁波を検出するために、マイクロ波を検出可能なダイオードや電波を検出可能なアンテナ等を用いてもよく、本実施例に限定されるものではない。
ここで、ブレークダウンを発生させるためのエネルギーのしきい値(測定対象とする物質をプラズマ化するために当該物質に供給する必要がある最低限のエネルギーであり、以下、ブレークダウンしきい値という)は、測定対象とする物質が気体である場合(気体においてブレークダウンを発生させる場合)に比較して、測定対象とする物質が液体または固体である場合のほうが遥かに(桁数が変わるくらい)低いことが知られている。これは、気体に対して液体および固体では、原子密度が大きく異なることに起因するものと考えられる。
また、液滴を含むエアロゾルに、所望の照射光学系を用いて集光したレーザ光を照射して、当該エアロゾル(測定対象とする物質)でブレークダウンを発生させようとすると、そのためのエネルギーのしきい値が、測定対象とする物質が固体である場合と同様に、測定対象とする物質が気体である場合に比較して遥かに低くなることが報告されている(文献(R.G.Pinnick,et.al.,Appl.Opt.27,No.5,(1988),987.)参照)。
このことから、気体と霧状の液滴(エアロゾル)とが混在する任意の空間(以下、噴霧空間とする)において、液滴に対してブレークダウンを発生させることが可能でありかつ気体に対してはブレークダウンを発生させることのない量のエネルギーを当該液滴に供給することができるレーザ光で噴霧空間を部分的に照射し、ブレークダウンが発生したか否かを判断する(ブレークダウン発光が生じたか否かを検出する)ことで、当該噴霧空間のうちの照射位置に液滴(エアロゾル)が存在するか否かを知ることができる。
本発明では、任意の空間において、上記したブレークダウンの発生の有無の判断に基づいて噴霧空間におけるブレークダウンの発生確率を求め、このブレークダウンの発生確率から噴霧空間における液滴の数密度を評価する。本発明に係る液滴数密度測定方法では、測定対象とする噴霧空間は、後述するように、任意の空間に複数の液滴が放出されることにより形成されているものとする。
次に、このブレークダウンを発生させるべく噴霧空間を照射するレーザ光について説明する。
理想的なガウシアンビームであるレーザ光は、図1に示すように、その強さが径方向で見て中心が最も強く外側へ向かうに連れて弱くなるような正規分布をしているが(図1の左下に模式的に示す立体図参照)、本発明では、光軸方向で見た任意の位置における強度のピーク値に対して1/e2(≒0.135)の強度を持つ幅をビーム径として定義する(図1の右上に模式的に示す立体図参照)。また、以下では、レーザ光が最も絞られた位置におけるビーム径(直径)を集光径(2r0)といい、この集光径2r0が21/2倍に広がるビーム径が存在する位置間の光軸方向で見た距離をレイリー長(2z0)という。
ここで、例えば、正規分布の強度分布を持つ集光されたレーザ光の強度Iは、集光径を2r0とし、レイリー長を2z0とすると、径方向で見た位置をr、および進行方向で見た位置をzとし、レーザ光のピーク強度(集光位置(z=0)における強度のピーク値)をI0とし、レーザの発信波長をλとすると次式(1)、(2)、(3)の関係となる(文献(P.Hansch,M.A.Walker,and L.D.Vanwoerkom,Phys.Rev.A Vol.54,No.5,R2559,(1986).)参照)。
I(r、z)=I0(r0/ω(z))2exp(−2(r/ω(z))2)(1)
ω(z)=r0(1+(z/z0)2)1/2 (2)
z0=πr0 2/λ (3)
所定のパルス幅のレーザ光で照射する(照射時間が一定である)場合、ビーム径の内方において、所定の径寸法の液滴をブレークダウンさせる(プラズマ化させる)ことができるエネルギーを当該液滴に供給することが可能な強度とされた空間領域(以下、ブレークダウン可能強度領域Aという(図3参照))の体積は、当該ビームのピーク強度に対する当該液滴をブレークダウン(プラズマ化)させることが可能な液滴ブレークダウンしきい値の比に基づいて求めることができる。
ω(z)=r0(1+(z/z0)2)1/2 (2)
z0=πr0 2/λ (3)
所定のパルス幅のレーザ光で照射する(照射時間が一定である)場合、ビーム径の内方において、所定の径寸法の液滴をブレークダウンさせる(プラズマ化させる)ことができるエネルギーを当該液滴に供給することが可能な強度とされた空間領域(以下、ブレークダウン可能強度領域Aという(図3参照))の体積は、当該ビームのピーク強度に対する当該液滴をブレークダウン(プラズマ化)させることが可能な液滴ブレークダウンしきい値の比に基づいて求めることができる。
上式(1)、(2)、(3)から、ピーク強度I0が増加するにつれてブレークダウン可能な体積が増大することが分かる。
このことから、集光された所定のパルス幅のレーザ光における集光径、レイリー長、強度分布、および理想的なガウシアンビームとの違い(M2ファクターの値)等の集光分布特性を予め測定して当該パルスレーザ光の3次元的な強度分布を把握するとともに、照射対象の液滴のブレークダウンしきい値のエネルギーを当該液滴に供給可能とする当該パルスレーザ光の強度を把握することで、照射するパルスレーザ光のビーム径の内方におけるブレークダウン可能強度領域Aの体積を求めることができる。
このブレークダウン可能強度領域Aは、所定の径寸法の液滴をブレークダウンさせることができるエネルギーを当該液滴に供給することが可能な強度とされた空間領域であることから、このブレークダウン可能強度領域Aに照射対象の液滴が1つでも存在すると確実にブレークダウンが発生することが考えられる。このため、気体と複数の液滴とが混在する噴霧空間における実際のブレークダウン発生の確率は、ブレークダウン可能強度領域Aに存在する照射対象の液滴の個数の平均値(以下、平均個数という)に依存することとなる。これについて、以下で説明する。
噴霧空間では、任意の空間に複数の液滴が放出されることにより形成されているものであるが、その分布は均一なものではない。この噴霧空間において、実際にブレークダウンが発生した場合、ブレークダウン可能強度領域Aに照射対象の液滴が少なくとも1つ以上存在することが考えられる。このことから、実際にブレークダウンが発生した場合、ブレークダウン可能強度領域Aに1つの液滴が存在する場合の他に、2から無限大の数の液滴が存在するそれぞれの場合も考えられることとなる。このため、実際にブレークダウンが発生した場合において、そのブレークダウン可能強度領域Aに存在していた照射対象の液滴の平均個数を求めるには、確率論を用いる必要がある。
実際のブレークダウン発生の確率は、複数回の照射により噴霧空間内にブレークダウン可能強度領域Aを形成し、このときに発生したブレークダウンの回数を測定することにより、照射回数に対するブレークダウンが発生した回数として求めることができる。このブレークダウン可能強度領域Aは、極めて大きな数の液滴が分布された領域に対して極めて小さな体積とすることにより、ブレークダウン可能強度領域Aにおける照射対象の液滴の存在確率を低減させて、ブレークダウン可能強度領域Aに少なくとも1つの液滴が存在したり存在しなかったりさせることができる。ブレークダウン可能強度領域Aでは、照射対象の液滴が1つ存在するとブレークダウンが発生することから、この状態では、噴霧空間へと複数回照射した際に、ブレークダウンが発生したり発生しなかったりする。このため、適切な体積のブレークダウン可能強度領域Aを形成するように、噴霧空間を複数回照射すると、測定値としてのブレークダウン発生の確率を求めることができる。この測定値としてのブレークダウン発生の確率は、所定の体積値とされたブレークダウン可能強度領域Aにおける照射対象の液滴の平均個数に依存することとなるので、測定値としてのブレークダウン発生の確率から平均個数を求めることができる。この平均個数は、ブレークダウン可能強度領域Aに少なくとも1つの液滴が存在したり存在しなかったりする状態におけるものであることから、測定対象の液滴の総数に対して極めて小さな値となるので、ポアソン分布に従うものと考えられる。
ポアソン分布では、k個の液滴がブレークダウン可能強度領域Aに存在することにより生じるブレークダウン発生の確率をp(k)とし、ブレークダウン可能強度領域Aにおける平均個数をNaとすると、次式(4)の関係となる。
p(k)=e−Na×Nak/K! (4)
ここで、測定値としてのブレークダウン発生の確率をPとすると、このPは、上記したようにブレークダウン可能強度領域Aに1つの液滴が存在することによりブレークダウンが発生する場合の確率p(1)から無限大の数の液滴が存在することによりブレークダウンが発生する場合の確率p(∞)の総和となる。このため、測定値としてのブレークダウン発生の確率Pは、全体からゼロ個の液滴がブレークダウン可能強度領域Aに存在する確率p(0)を減算したものとなり、次式(5)となる。
ここで、測定値としてのブレークダウン発生の確率をPとすると、このPは、上記したようにブレークダウン可能強度領域Aに1つの液滴が存在することによりブレークダウンが発生する場合の確率p(1)から無限大の数の液滴が存在することによりブレークダウンが発生する場合の確率p(∞)の総和となる。このため、測定値としてのブレークダウン発生の確率Pは、全体からゼロ個の液滴がブレークダウン可能強度領域Aに存在する確率p(0)を減算したものとなり、次式(5)となる。
P=1−p(0)=1−e−Na (5)
このことから、平均個数Naは、次式(6)で求めることができる。
このことから、平均個数Naは、次式(6)で求めることができる。
Na=ln{1/(1−P)} (6)
この平均個数Naは、噴霧空間における測定対象の液滴の数密度と、ブレークダウン可能強度領域Aの体積との積に等しくなる。以下では、ブレークダウン発生の確率が、噴霧空間における測定対象の液滴の数密度と、ブレークダウン可能強度領域Aの体積との積に等しくなることの検証について述べる。
この平均個数Naは、噴霧空間における測定対象の液滴の数密度と、ブレークダウン可能強度領域Aの体積との積に等しくなる。以下では、ブレークダウン発生の確率が、噴霧空間における測定対象の液滴の数密度と、ブレークダウン可能強度領域Aの体積との積に等しくなることの検証について述べる。
後述するように、レーザ光を照射してプラズマ化させるブレークダウンの発生により数密度を測定することができる液滴は、所望の体積のブレークダウン可能強度領域Aを確実に形成する観点から、照射するレーザ光の集光径およびレイリー長に比べて十分に小さな径寸法であることが望ましい。このことから、上記検証のために用いられる液滴は、細孔から放出された水流を高圧で放出した空気で液滴に分離する二流体ノズル(特開2000−137747号公報および特開2000−254554号公報等参照)を2本用い、互いから放出された液滴同士を衝突させることにより、上記二流体ノズルから放出された液滴よりもさらに小さな粒径として(特開2004−8877号公報等参照)、任意の空間に放出することとする。二流体ノズルにおいて放出する空気の圧力を0.1MPaに設定して上記した方法を行った結果、平均粒径が約14.3μmの液滴を放出することができた。ここでいう液滴の平均粒径とは、液滴の度数分布の累積値が50%となるときの粒径の値のことであり、所謂メジアン径(D50)である。上記検証のために行った実際の実験(以下、単に検証実験という)では、当該方法を実行可能な液滴供給装置としてのノズルシステム10(図2参照)により平均粒径が約14.3μmの径寸法の液滴dを作成して空気で満たされた任意の空間に放出した。この様子を図2に模式的に示す。
ノズルシステム10は、図2に示すように、鉛直方向下方ヘ向けて、平均粒径が約14.3μmの径寸法の複数の液滴dが放出軸10aを中心として拡散するように(本実施例では楕円形状に拡散した)、任意の気体が存在する任意の空間に向けて当該液滴dを放出する。これにより、ノズルシステム10は、任意の気体(本実施の形態では空気)に複数の液滴dが混在する噴霧空間Sを形成する。このノズルシステム10では、上記したように圧力設定が0.1MPaである場合、PIV(Particle Image Velocimetry)粒子画像流速測定法による測定の結果、ノズルシステム10から40cm下方の地点において、鉛直方向下方へ向かう水滴の速度が5.5m/sであった。
この検証実験では、噴霧空間Sを照射するレーザ光Lに、YAGレーザ発振器からなる照射用レーザ11から出射されたパルス幅3nsのパルスレーザ光を用いて、所定の位置に集光した。このときのパルスレーザ光の集光径(図1の符号2r0参照)は146μmであり、このパルスレーザ光のレイリー長(図1の符号2z0参照)は約20mmであった。この集光径(約146μm)およびレイリー長(約20mm)は、上述したようにノズルシステム10により生成された液滴dの径寸法(平均粒径で約14.3μm)に比べて十分大きい値となっている。この場合、平凹レンズと2枚の組み合わせ平凸レンズとが、YAGレーザ発振器から出射されたパルスレーザ光を液滴d(噴霧空間S)へ向けて照射する照射光学系となる。
ここで、噴霧空間Sへ向けて上記した光学系を用いてパルスレーザ光で照射した場合、実際に液滴dに供給されたレーザエネルギーを正確に評価するために、すなわち噴霧空間S内の所望の位置に適切な大きさ寸法のブレークダウン可能強度領域A(図4参照)を形成するために、噴霧空間Sにおいて、そこに存在する液滴dの散乱・吸収等の作用による噴霧空間Sにおけるパルスレーザ光の減衰率(噴霧空間におけるレーザ光の透過率)を実験的に測定した。この実験では、ノズルシステム10から放出する液滴dを形成するための水の供給量(水量)を0ml/minから40ml/minまで変化させ、それぞれについて、ノズルシステム10の放出軸に沿う下方400mmの位置における楕円形状の短軸を往復するようにレーザ光を照射させることにより、それぞれの透過率を評価した。この透過率は、楕円形状の短軸を往復させたレーザ光の出射位置での強度に対する受光位置での強度の比であることから、短軸方向で見た半径寸法の4倍の光路における強度の比となる。このため、実際に噴霧空間Sの放出軸10a上に照射する場合、噴霧空間Sの外方から照射されたレーザ光における噴霧空間Sの放出軸10a上での強度は、上記した透過率を1/4乗した値を入射するレーザ光の強度に乗算することで求めることができる。ここで、ノズルシステム10からの水量の差異に拘らず放出される液滴dの平均粒径が略等しい(本実施例では、約14.3μm)と仮定すると、ノズルシステム10からの水量は、噴霧空間Sにおける複数の液滴dの密度に略比例することとなる。
このように透過率から算出された散乱損失を考慮して、ノズルシステム10の放出軸10aに沿う下方400mmの位置で係寸法が平均値で約14.3μmの液滴dを標的として、波長1.06μmのパルスレーザ光を照射した場合の測定結果を図3のグラフに示す。図3は、横軸に照射のために出射したパルスレーザ光のエネルギーを表し、縦軸にパルスレーザ光の照射によりブレークダウンが発生した確率を表したものである。ここで、パルスレーザ光のエネルギーは、出射されるパルスレーザ光の1つのパルス辺りのエネルギーであり、このパルスレーザ光ではパルス幅が一定であることから、このエネルギーの変化はピーク強度(図1の符号I0参照)の変化に等しくなる。
図3のグラフに示すように、空気(ノズルシステム10から液滴dを放出していない場合)中では、極めて高いエネルギーを供給しないとブレークダウンが発生しないのに対し、ノズルシステム10から液滴dが放出された任意の空間(噴霧空間S)では、水(液滴d)の密度の違い(水量が10、20、40ml/minの場合)に拘らず約4.0mJのエネルギーを液滴dに供給することでブレークダウンが発生した。このことから、当該液滴dにブレークダウンを発生させるためには、約4.0mJ以上のエネルギーの供給が必要であることとなり、この4.0mJを液滴ブレークダウンしきい値とする。ここで、実際には、出射されたエネルギーの総和が4.0mJとなるパルスレーザ光を、検証実験に用いた集光光学系により集光することにより形成されたピーク強度I0(図4に示すI0(4.0)参照)に照射時間を乗算した値が液滴ブレークダウンしきい値となるが、ここでは説明の便宜上4.0mJを液滴ブレークダウンしきい値とする。
この測定では、照射するパルスレーザ光のビーム径の寸法を固定するとともに同一の光学系を用いていることから、照射するパルスレーザ光は、供給されるエネルギーの差異に拘らず集光位置(z=0、r=0)をピーク値とする互いに略等しい強度分布となる。このとき、照射するパルスレーザ光では、供給されるエネルギーの差異により、集光位置(z=0、r=0)におけるピーク強度I0が変化される(図4参照)。この図4は、図1に示すレーザ光において、その光軸方向をx軸とし、ビーム径方向をy軸とし、パルスレーザ光の強度(ビーム強度I)をz軸として、x軸とy軸方向における当該強度分布を模式的に示す説明図である。図4では、供給するエネルギーが4.0mJの場合の強度分布I(4.0)を二点鎖線で示し、供給するエネルギーがEsmJの場合の強度分布I(Es)を一点鎖線で示している。また、強度分布I(4.0)におけるピーク強度をI0(4.0)とし、強度分布I(Es)におけるピーク強度をI0(Es)としている。なお、図4では、強度分布I(Es)として、供給するエネルギーがEsmJ>4.0mJの場合が示されている。
上述したように、検証実験では、4.0mJのエネルギーを供給した場合に、ブレークダウンが発生していることから、z軸方向で見て強度分布I(4.0)から上方であって、強度分布I(Es)よりも下方となる立体的な領域がブレークダウン可能強度領域Aに相当する箇所となる。このことから、この測定では、供給されるエネルギーEsが変化されることにより、形成されるブレークダウン可能強度領域の体積が変化することとなる。すなわち、供給されるエネルギーEsが4.0mJ以下の場合は、ブレークダウン可能強度領域は形成されず、供給されるエネルギーEsが4.0mJ以上となるとブレークダウン可能強度領域が形成され、供給されるエネルギーEsが大きくなるに連れて形成されるブレークダウン可能強度領域の体積が大きくなる。
また、密度(水量)が同じ場合で見ると、図3に示すように、出射するパルスレーザ光のエネルギーを増加すると、ブレークダウン発生の確率も上昇し、やがてブレークダウン発生の確率が100%に近づく。これは、上述したように、出射するパルスレーザ光のエネルギーを増加すると、形成されるブレークダウン可能強度領域A(の体積)が増加する(図4参照)ことから、この増加に起因してブレークダウン可能強度領域A内に液滴dが存在する確率が上昇することに起因するものと考えられる。
さらに、出射するパルスレーザ光のエネルギーが一定の場合、密度が高い(水量が多い)程ブレークダウン発生の確率が高くなっている。これは、出射するパルスレーザ光のエネルギーを一定とする場合、ブレークダウン可能強度領域A(図4参照)の体積は変化していないこととなるが、噴霧空間Sにおける液滴dの密度が高くなる(水量が多くなる)に連れて、同一の体積であるブレークダウン可能強度領域Aに当該液滴dが存在する確率が高くなっていることに起因するものと考えられる。
ここで、ブレークダウン発生の確率が、噴霧空間Sにおける測定対象の液滴dの数密度とブレークダウン可能強度領域Aの体積との積に等しくなることの検証のために、ノズルシステム10から放出した水量、液滴dの平均粒径(径寸法)、この液滴dの速度から、噴霧空間Sにおける液滴dの数密度を評価する。先ず、ノズルシステム10(その放出端)の下方40cmの位置に内径1cmの試験管を設置して、そこに溜まった水の量を測定する。放出した水量が20ml/minの場合、上記試験管には、30分で水が約0.9cm3溜まった。このことから、1秒間に単位面積(1cm2)を通過する水の量Hは、
H=0.9/{(0.52×π)×30×60}=6.37×10−4cm3
となる。
H=0.9/{(0.52×π)×30×60}=6.37×10−4cm3
となる。
ここで、上記したように液滴dの平均粒径が14.3μmであることから、1秒間に単位面積(1cm2)を通過する液滴dの個数dAは、
dA=H/[(4/3)×π×{(14.3×10−4)/2}3]=4.16×105個
となる。
dA=H/[(4/3)×π×{(14.3×10−4)/2}3]=4.16×105個
となる。
また、上述したように、ノズルシステム10の下方40cmの地点での液滴dの速度は、粒子画像流速計測法による測定から550cm/sであった。このことから、ノズルシステム10の下方40cmの地点において放出軸10aに直交する面を通過する液滴dの平均数密度Ndは
Nd=dA/550=756個/cm3
となる。
Nd=dA/550=756個/cm3
となる。
ここで、粒度分布を考慮すると、個数は、2〜5倍程度増加することとなるので、平均数密度Ndは、1510〜3780個/cm3となる。
また、測定結果から、水量が20ml/minの場合、測定対象の液滴dの液滴ブレークダウンしきい値(4.0mJ)の約2倍のエネルギー8.0mJを供給したときのブレークダウン発生確率が51%となる(図3の一点鎖線参照)。ここで、出射するパルスレーザ光のエネルギーが8.0mJの場合には、測定対象の液滴dの液滴ブレークダウンしきい値4.0mJの約2倍のエネルギーであるため、液滴dへ向けて8.0mJのエネルギーを供給するパルスレーザ光の集光分布においてピーク強度(図1の符号I0参照)の1/2以上の強度とされた空間領域内でブレークダウン発生が生じると考えることができる。この1/2以上の強度とされた空間領域は、集光中心(光軸方向で見た集光径の位置)を中心として、その光軸方向と径方向とに拡がりをもつように形成されることとなる(図4参照)。上述したように、照射されるパルスレーザ光は、集光径(図1の符号2r0参照)が146μmであり、レイリー長(図1の符号2z0参照)が20mmである。
液滴ブレークダウンしきい値(4.0mJ)の2倍となるエネルギー(8.0mJ)を供給可能なパルスレーザ光で考えると、ピーク強度(図1の符号I0参照)の1/2以上の強度とされた空間領域(上記したブレークダウン可能強度領域Aに相当する)の体積Avは、上記した式(1)〜(3)を用いて求めることができる。詳細な計算は省略するが、
Av=0.508×π×(2z0/2)×(2r0/2)2=8.5×10−5cm3
となる。
Av=0.508×π×(2z0/2)×(2r0/2)2=8.5×10−5cm3
となる。
この空間領域(ブレークダウン可能強度領域A)中に存在する液滴dの数は、上記で求めた平均数密度Ndと空間領域(ブレークダウン可能強度領域A)の体積Avとの積であり、(1510個/cm3〜3780個/cm3)×8.5×10−5cm3により、0.13〜0.32と求められる。
ここで、測定結果(図3参照)からは、ブレークダウン発生確率は約0.51であり、この値(P)を式(6)に当てはめることにより、測定結果から求まるブレークダウン可能強度領域Aにおける平均個数をNaが0.71となる。測定精度を考慮した場合、平均数密度Ndと空間領域(ブレークダウン可能強度領域A)の体積Avとの積から求めた液滴dの数(0.13〜0.32)と測定結果から求まる平均個数Na(0.71)とは、実験の測定精度および水量変化による粒度分布の依存性を考慮すると、良い一致が得られている。
また、測定結果(図3参照)では、水量が10、40ml/minの場合を考えると、液滴dの平均粒径は20ml/minの場合と略等しく(上記した例では14.3μm)なり、粒度分布も20ml/minの場合と同様に考えることができるので、水量の差異は密度の比として考えることができる。ここで、水量が20ml/minの場合にブレークダウン発生確率が約0.51であったことから、求まる平均個数は上述したように0.71である。
ここで、測定結果から、40ml/minの場合の平均粒径は15.4μmであり、10ml/minの場合の平均粒径は13.7μmであった。このため、40ml/minの場合の平均個数Naは、水量と平均粒径から求まる液滴の体積との差異から、20ml/minの場合の約1.60倍となって1.14となる。この平均個数Na(=1.14)を式(5)に当てはめることにより、ブレークダウン発生確率Pは0.68となる。同様に、10ml/minの場合の平均個数Naは、20ml/minの場合の0.57倍となって0.40となり、ブレークダウン発生確率Pは0.33となる。ここで、測定結果(図3参照)から得たブレークダウン発生確率は、40ml/minの場合が0.85であり、10ml/minの場合は0.24であることから、実験の測定精度および水量変化による粒度分布の依存性を考慮すると、上記考察と良い一致となっていることがわかる。
このことから、噴霧空間Sにおける測定対象の液滴dの数密度をnとし、噴霧空間Sでのブレークダウン発生確率をpとし、ブレークダウン可能強度領域A(上記した空間領域)の体積をVとすると、次式(7)の関係が成り立つこととなる。
Na=nV (7)
ここで、平均個数Naは、上述したように、式(6)から測定値としてのブレークダウン発生確率Pから求めることができる。このブレークダウン発生確率Pは、パルスレーザ光を一定のもの(パルス幅と強度とを一定すなわち出射エネルギーを一定とする)として噴霧空間Sの任意の位置にN回照射し、その間に生じたブレークダウン発光の回数をmとすると、m/Nとなる。また、照射するパルスレーザ光が、出射エネルギーが一定のものとされていることから、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vは、パルスレーザ光の空間強度分布を測定することで求めることができる。
ここで、平均個数Naは、上述したように、式(6)から測定値としてのブレークダウン発生確率Pから求めることができる。このブレークダウン発生確率Pは、パルスレーザ光を一定のもの(パルス幅と強度とを一定すなわち出射エネルギーを一定とする)として噴霧空間Sの任意の位置にN回照射し、その間に生じたブレークダウン発光の回数をmとすると、m/Nとなる。また、照射するパルスレーザ光が、出射エネルギーが一定のものとされていることから、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vは、パルスレーザ光の空間強度分布を測定することで求めることができる。
このため、本発明に係る液滴数密度測定方法では、先ず、パルスレーザ光を一定のもの(パルス幅と強度とを一定とする)として噴霧空間Sの任意の位置にN回照射し、その間に生じたブレークダウン発光の回数mを測定することにより、ブレークダウン発生確率P=m/Nを求める。
次に、ブレークダウン発生確率Pを求めた際に照射したパルスレーザ光の空間強度分布を測定することにより、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vを求める。
これにより、噴霧空間Sにおける測定対象の液滴dの数密度をnは、次式(8)で求めることができる。
n=Na/V=[ln{1/(1−P)}]/V
=[ln{1/(1−m/N)}]/V (8)
本発明に係る液滴数密度測定方法を実施するために用いる照射用レーザ11(図2参照)としては、パルスレーザを出射できるものであればよく、特に限定されるものではない。照射用レーザの具体例としては、Nd:YAGレーザの基本波(波長1.064μm)、2倍高調波(532nm)、3倍高調波(波長355nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)などがある。ここで、赤外域の波長では、液体に対して透過しにくいものがある。例えば、2μm以上の波長では、水(H2O)による吸収が極めて強くなることから、波長10.6μmの炭酸ガスレーザは、測定対象となる液滴が水(H2O)である場合、用いることができない。このように、用いる照射用レーザは、後述するビームダクトを用いる場合のように吸収作用を考慮する必要がない状況を除くと、測定対象となる液滴(液体)の吸収率が大きくない波長での発振波長を持つパルスレーザを選択する必要がある。
=[ln{1/(1−m/N)}]/V (8)
本発明に係る液滴数密度測定方法を実施するために用いる照射用レーザ11(図2参照)としては、パルスレーザを出射できるものであればよく、特に限定されるものではない。照射用レーザの具体例としては、Nd:YAGレーザの基本波(波長1.064μm)、2倍高調波(532nm)、3倍高調波(波長355nm)、KrFエキシマレーザ(波長248nm)などがある。ここで、赤外域の波長では、液体に対して透過しにくいものがある。例えば、2μm以上の波長では、水(H2O)による吸収が極めて強くなることから、波長10.6μmの炭酸ガスレーザは、測定対象となる液滴が水(H2O)である場合、用いることができない。このように、用いる照射用レーザは、後述するビームダクトを用いる場合のように吸収作用を考慮する必要がない状況を除くと、測定対象となる液滴(液体)の吸収率が大きくない波長での発振波長を持つパルスレーザを選択する必要がある。
この本発明に係る液滴数密度測定方法では、式(8)に示すように、一定のパルスレーザ光を噴霧空間Sの任意の位置に照射する回数Nを増やすにつれて、ブレークダウン発生確率P(=m/N)をより正確な値とすることができる。ここで、ブレークダウン発光を検出した回数mと照射回数Nとが等しいことによりブレークダウン発生確率Pが100%となる場合には、噴霧空間Sの任意の位置を照射する一定のパルスレーザ光が形成しているブレークダウン可能強度領域A(上記した空間領域)が当該噴霧空間Sにおける測定対象の液滴dの数密度nを測定するには大き過ぎる体積Vとされていることが考えられる。換言すると、当該噴霧空間Sにおいては、N回照射された一定のパルスレーザ光のそれぞれのブレークダウン可能強度領域A内に必ず1個以上の液滴dが存在しているため、照射する度に必ずブレークダウン発光が検出されているので、正確なブレークダウン発生確率P(=m/N)を求めることができていない(測定結果には100%からそれ以上の値が包括されている)こととなる。この状態では、式(6)から明らかなように平均個数Naを求めることができず、式(8)から明らかなように数密度nを正確に測定できない。この場合、上述したように、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vを小さくするように照射するパルスレーザ光の強度を調整する、すなわち照射するパルスレーザ光の強度を小さくすることにより、N回形成されるブレークダウン可能強度領域A内に液滴dが存在する確率を減らすことができる。すると、照射回数Nに対するブレークダウン発光の検出回数mが減ることとなり、ブレークダウン発生確率Pを100%未満とすることができる。このため、より正確なブレークダウン発生確率P(=m/N)を求めることができ、平均個数Naを求めることができる。ここで、照射するパルスレーザ光の強度(ピーク強度I0(図1参照))の調整は、ビーム径およびパルス幅を一定とすると、照射するパルスレーザ光のエネルギーを調整することにより行うことができる。
また、噴霧空間Sに液滴dが存在しているにも拘らず、ブレークダウン発光を検出した回数mが0であるすなわちブレークダウン発光を検出できないことによりブレークダウン発生確率Pが0%となる場合には、噴霧空間Sの任意の位置を照射する一定のパルスレーザ光が形成しているブレークダウン可能強度領域A(上記した空間領域)が当該噴霧空間Sにおける測定対象の液滴dの数密度nを測定するには小さ過ぎる体積Vとされていることが考えられる。換言すると、当該噴霧空間Sにおいては、N回の照射においてそれらの一定のパルスレーザ光のそれぞれのブレークダウン可能強度領域A内に1度も液滴dが存在していなかったため、N回の照射ではブレークダウン発光を検出することができないので、正確なブレークダウン発生確率P(=m/N)を求めることができていない(噴霧空間Sに液滴dが存在しているにも拘らず測定結果が0%である)こととなる。この状態では、式(6)から平均個数Naが0となり、式(8)から数密度nが0となるので、数密度nを正確に測定できないこととなる。この場合、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vを大きくするように照射するパルスレーザ光の強度を調整する、すなわち照射するパルスレーザ光の強度を大きくすることにより、N回形成されるブレークダウン可能強度領域A内に液滴dが存在する確率を増やすことができるので、照射回数Nに対するブレークダウン発光の検出回数mが増えることとなり、ブレークダウン発生確率Pを0%よりも大きくすることができる。このため、より正確なブレークダウン発生確率P(=m/N)を求めることができ、平均個数Naを求めることができる。
ここで、上述したように、照射するパルスレーザ光の強度(ピーク強度I0(図1参照))を制御する場合、照射用レーザにおける励起強度の強さでその出力(出射するパルスレーザ光の強度)を制御することにより照射するパルスレーザ光の強度を調整することも可能である。ところが、この方法では、強度を変更することに伴ってパルスレーザ光における集光分布も変化してしまうことが予想されるとともに、強度を変更することに伴って照射用レーザから出射されるパルスレーザ光の発散角も変化し集光径に変化が生じることが予想される。本発明に係る液滴数密度測定方法では、照射するパルスレーザ光の強度分布が変化すると、照射するパルスレーザ光の強度の変化の態様とブレークダウン可能強度領域Aの体積Vの変化の態様との相関関係が一定なものではなくなってしまうので、ブレークダウン発生確率Pを0%よりも大きくかつ100%未満とすべくパルスレーザ光の強度を調整するためには、その強度分布の変化が生じないように照射するパルスレーザ光の強度を変化させることが望ましい。このような方法として、照射用レーザにおける出力(出射するパルスレーザ光の強度)を一定に設定するとともに、出射されたパルスレーザ光の光路上に例えば1/2波長板と偏光板とを設け、光軸方向に直交する面で見て偏光板に対する1/2波長板の回転姿勢を適宜調整することにより、パルスレーザ光の強度分布を変えることなく当該パルスレーザ光の強度を変化させることができる。ここで、パルスレーザ光の強度分布は、上述したように、測定の精度に極めて大きな影響を与えるものであることから、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vの正確な値を求めることができるように、予め測定する必要がある。
本発明に係る液滴数密度測定方法では、噴霧空間Sにおける測定対象の液滴の数密度において、ブレークダウンの発生確率と液滴に供給するエネルギーとの関係性(測定結果(図3参照)参照)からも明らかなように、測定時に照射しているパルスレーザ光の強度に適合する数密度に対して数倍の数密度の範囲では、照射するパルスレーザ光の強度を調整することにより当該数密度を明確に評価することが可能であるが、測定時に照射しているパルスレーザ光の強度に適合する数密度に対して大きく異なる桁数の範囲では、照射するパルスレーザ光の強度を調整するだけでは当該数密度を精度良く評価することが困難である場合があることが考えられる。これは、上述したように、ブレークダウン発生確率Pが100%である場合に照射するパルスレーザ光の強度を小さくしても、ブレークダウン発生確率Pが100%のままである(ブレークダウン発光検出回数mと照射回数Nとが等しいままである)ことや、ブレークダウン発生確率Pが0%である場合に照射するパルスレーザ光の強度を大きくしても、ブレークダウン発生確率Pが0%のままである(ブレークダウン発光を検出することができずブレークダウン発光検出回数mが0である)場合である。この場合、照射用レーザから出射されるパルスレーザ光のビーム径を固定するとともに、当該パルスレーザ光を集光する集光光学機器(照射光学系)の焦点距離を調整(変え)し、この調整に応じて出射されるパルスレーザ光のエネルギーを調整することで、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vを大幅に調整することができるので、当該数密度を精度良く評価することを可能とすることができる。これについて、以下で説明する。
集光光学機器の焦点距離を長くすると、その焦点距離の増倍率に比例して集光径が大きくなるとともに、焦点距離の増倍率の二乗に比例してレイリー長が長くなる。ここで、焦点距離を長くする前と後とで、出射されるパルスレーザ光のエネルギーを一定とすると、パルスレーザ光のピーク強度I0(図1参照)が低減することとなり、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vが小さくなってしまう。このため、焦点距離を長くする前提条件として、出射されるパルスレーザ光のエネルギーを、焦点距離の増倍率の二乗に比例して増加させることにより、パルスレーザ光のピーク強度I0(図1参照)を一定とする。すると、集光径が焦点距離の増倍率に比例して大きくなり、かつレイリー長が焦点距離の増倍率の二乗に比例して長くなることに伴って、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vが増倍率の略四乗に比例して大きくなる。ここで、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vは、大略、集光径が形成される集光位置(z=0)における断面積に比例しかつ光軸方向で見た距離に比例するので、集光径の二乗に比例するとともにレイリー長(増倍率の二乗)に比例することとなる。このため、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vは、大略、焦点距離の増倍率の四乗に比例することとなる。これは、例えば、集光光学機器の焦点距離を2倍とすると、出射されるパルスレーザ光のエネルギーを4倍とする必要はあるが、集光径が2倍となり、レイリー長が4倍となり、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vは大略16倍となる。このように、パルスレーザ光を集光する集光光学機器の焦点距離を長くすると、集光光学機器の焦点距離の変化の態様と照射するパルスレーザ光の強度の変化の態様とブレークダウン可能強度領域Aの体積Vの変化の態様との相関関係を一定なものとしつつブレークダウン可能強度領域A(の体積V)を大きくすることができることから、低密度まで容易に測定することが可能となる。これとは逆に、焦点距離を短くすると、ブレークダウン可能強度領域A(の体積V)を小さくすることができるので、高密度まで容易に測定することが可能となる。このように、パルスレーザ光を集光する集光光学機器の焦点距離を変える(集光位置を制御する)ことにより、照射するパルスレーザ光の強度を、測定対象の液滴dが気体と混在する噴霧空間Sにおいて正確にブレークダウン発生確率Pを求めることができる適切な強度にすることができるので、様々な桁数の数密度であってもそれぞれを高い精度で測定することができる。
また、照射用レーザから出射されるパルスレーザ光のビーム径を固定するとともに、当該パルスレーザ光を集光する集光光学機器(照射光学系)の焦点距離を変えることに代えて、集光する前のパルスレーザ光のビーム径(集光光学機器(照射光学系)に入射する前のパルスレーザ光のビーム径)を調整することで、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vを大幅に調整することができる。これについて、以下で説明する。
このように集光する前のパルスレーザ光のビーム径を調整する場合、照射用レーザと集光光学機器(照射光学系)と間において、エキスパンダー等の光学機器を用いて、照射用レーザから出射されたパルスレーザ光のビーム径を拡大または縮小する。集光する前のパルスレーザ光のビーム径(集光光学機器(照射光学系)に入射する前のパルスレーザ光のビーム径)を小さくすると、ビーム径の減倍率の逆数に比例して集光径が大きくなるとともに、ビーム径の減倍率の逆数の二乗に比例してレイリー長が長くなる。ここで、ビーム径を大きくする前と後とで、出射されるパルスレーザ光のエネルギーを一定とすると、パルスレーザ光のピーク強度I0(図1参照)が低減することとなり、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vが小さくなってしまう。このため、ビーム径を大きくする前提条件として、出射されるパルスレーザ光のエネルギーを、ビーム径の減倍率の逆数の二乗に比例して増加させることにより、パルスレーザ光のピーク強度I0(図1参照)を一定とする。すると、集光径がビーム径の減倍率の逆数に比例して大きくなり、かつレイリー長がビーム径の減倍率の逆数の二乗に比例して長くなることに伴って、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vがビーム径の減倍率の逆数の略四乗に比例して大きくなる。これは、例えば、集光する前のパルスレーザ光のビーム径を1/2倍とすると、出射されるパルスレーザ光のエネルギーを4倍とする必要はあるが、集光径が2倍となり、レイリー長が4倍となり、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vは大略16倍となる。このように、集光する前のパルスレーザ光のビーム径を小さくすると、パルスレーザ光のビーム径の変化の態様と照射するパルスレーザ光の強度の変化の態様とブレークダウン可能強度領域Aの体積Vの変化の態様との相関関係を一定なものとしつつブレークダウン可能強度領域A(の体積V)を大きくすることができることから、低密度まで容易に測定することが可能となる。これとは逆に、パルスレーザ光のビーム径を大きくすると、ブレークダウン可能強度領域A(の体積V)を小さくすることができるので、高密度まで容易に測定することが可能となる。このように、集光する前のパルスレーザ光のビーム径を調整することにより、照射するパルスレーザ光の強度を、測定対象の液滴dが気体と混在する噴霧空間Sにおいて正確にブレークダウン発生確率Pを求めることができる適切な強度にすることができるので、様々な桁数の数密度であってもそれぞれを高い精度で測定することができる。
ここで、上述したように、気体に測定対象となる液滴dが混在する噴霧空間Sにレーザ光を照射することでブレークダウンを発生させるには、ブレークダウン可能強度領域Aに少なくとも1つ以上の液滴dが存在すればよいこととなり、本発明に係る液滴数密度測定方法では、このことを利用することで噴霧空間Sにおける液滴dの数密度の正確な測定が可能となる。このことから、正確な測定のためには、測定対象となる液滴dは、生じたブレークダウン発光の測定が可能である必要がある。
ところが、測定対象となる液滴dの径寸法が増大するにつれて、噴霧空間Sに照射されたパルスレーザ光が当該液滴dにより散乱および屈折される作用が増大することから、集光位置におけるパルスレーザ光の強度が低下してしまう。例えば、集光位置から見てレイリー長の1/2を僅かに超える上流(照射用レーザ側)の位置(以下、上流位置という)に集光径に略等しい直径寸法の液滴が存在したとする。この液滴におけるパルスレーザ光の光軸に直交する面で見た断面積が、上流位置(ビーム径が集光径の略21/2倍)におけるパルスレーザ光の集光面積の1/2の面積(すなわち集光径の位置でのパルスレーザ光の断面積)を超える場合、パルスレーザ光のうち当該液滴に入射した部分(パルスレーザ光の1/2程度の部分)は、当該液滴の散乱、屈折作用により集光位置に集光されることはない。そのため、パルスレーザ光の集光位置を中心とする所定の大きさ寸法(体積)のブレークダウン可能強度領域Aを形成することができなくなってしまうことから、当該ブレークダウン可能強度領域Aが形成されているはずの位置に液滴が存在していた場合であってもブレークダウン発光が測定されないこととなるので、噴霧空間Sにおける液滴の数密度を求める際の誤差要因となってしまう。このことを考慮すると、測定対象となる液滴dの径寸法が、レーザの集光径に比較して小さい方がより高い精度で噴霧空間Sにおける液滴の数密度を求めることができることとなる。
以上のことから、本発明に係る液滴数密度測定方法では、生じたブレークダウン発光の強度が測定可能であること、液滴検出に影響を与えないことを考慮して、測定の対象となる液滴の径寸法の範囲を決めることが望ましい。例えば、上述した測定条件においては、測定の対象となる液滴の径寸法の範囲は146μm以下となる。なお、この測定対象となる液滴は、スプレーノズルから放出されたものでよく、作成方法に関しては特に限定しない。
よって、本発明に係る液滴数密度測定方法では、先ず、レーザ発振器11(図2参照)からのパルスレーザ光Lで噴霧空間SをN回照射し、それにより発生したブレークダウン発光の回数mを検出することにより求めることができるブレークダウンの発生確率P(=m/N)を、0%よりも大きく100%未満のいずれかの値となるように、噴霧空間Sを照射するパルスレーザ光の強度を調整し、所望のブレークダウンの発生確率P(0%よりも大きく100%未満のいずれかの値)を測定結果として得る。ここで、必要であれば、集光光学機器の焦点距離を変更したり、集光する前のパルスレーザ光のビーム径を調整したりして、ブレークダウンの発生確率Pを0%よりも大きく100%未満のいずれかの値とする。
次に、測定結果としてのブレークダウン発生確率P(=m/N)から、平均個数Naを求める。
また、所望のブレークダウンの発生確率Pを測定結果として得たときに照射していたパルスレーザ光が形成していたブレークダウン可能強度領域Aの体積Vを、当該パルスレーザ光の3次元的な空間強度分布と測定対象の液滴dのブレークダウンしきい値とに基づいて求める。
この平均個数Naを、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vで割ることにより、噴霧空間Sにおける液滴dの数密度nを求めることができる(式(8)参照)。
この本発明に係る液滴数密度測定方法は、液滴に対してブレークダウンを発生させることが可能でありかつ気体に対してはブレークダウンを発生させることのないエネルギーを当該液滴に供給することができるレーザ光で噴霧空間を部分的に照射し、ブレークダウンが発生したか否かを判断する(ブレークダウン発光が生じたか否かを検出する)ことで、当該噴霧空間のうちの照射位置に液滴が存在するか否かを知ることができることを利用し、このブレークダウンの発生の有無の判断に基づいて噴霧空間におけるブレークダウンの発生確率を求め、このブレークダウンの発生確率から噴霧空間における液滴の数密度を評価するものである。このため、本発明の液滴数密度測定方法では、ブレークダウンの発生確率が適切な値となるように、照射するパルスレーザ光の強度の調整とともに集光光学機器の焦点距離の変更、または集光する前のパルスレーザ光のビーム径の調整を行ったり、照射するパルスレーザ光の強度だけの調整をしたりすることにより、噴霧空間Sにおける液滴dの数密度を高い精度で求めることができるとともに、測定可能な数密度の範囲を大幅に広げることができる。
また、本発明に係る液滴数密度測定方法では、照射するパルスレーザ光の強度の調整とともに集光光学機器の焦点距離の変更、または集光する前のパルスレーザ光のビーム径の調整を行うことで、ブレークダウン可能強度領域Aの体積Vを大きな変化の中で調整(粗い調整(粗調整))することができ、かつ照射するパルスレーザ光の強度だけを調整することによりブレークダウン可能強度領域Aの体積Vを小さな変化の中で調整(細かい調整(微調整))することができる。このため、測定対象となる噴霧空間Sに応じて、ブレークダウンの発生確率Pを0%よりも大きく100%未満のいずれかの値とすることが容易であるので、数密度の大小に拘らず測定対象となる噴霧空間Sの液滴の数密度を容易にかつ適切に求めることができる。
さらに、本発明に係る液滴数密度測定方法では、測定対象となる噴霧空間Sの液滴において生じたブレークダウン発光が測定が可能な強度となるものであればよいことから、10μm以下の径寸法の微粒子(液滴も含む)を測定することができる。
なお、上述したように、液滴は気体(空気)に比べて原子密度が桁違いに高いことでブレークダウン発生に必要なエネルギーのしきい値(ブレークダウンしきい値)をさげるものであることから、本発明に係る液滴数密度測定方法において測定対象となる液滴は、液体であればその材質は特に限定しない。しかしながら、測定対象となる液滴がアルコール、ガゾリン等のように引火性の高いものでは、ブレークダウンの発生自体が点火となることから、爆発に対して対応可能な容器内で数密度の測定を行う必要がある。この他にも、測定対象となる液滴が、可燃性を有する物質であって当該物質(液滴)の爆発を避ける必要がある場合、空気で満たされた空間に当該液滴を放出することに代えて、窒素ガス、アルゴン等の気体で満たされた空間に当該液滴を放出することで、当該物質(液滴)の爆発を防ぐことが可能となる。ここで、空気に代えて用いる気体のブレークダウンしきい値が下がると測定対象である液滴のブレークダウンしきい値と近くなり、両しきい値の差を利用することができなくなることから、空気と比較して、同等かそれ以上のブレークダウンしきい値を有する気体であることが望ましく、例えば、窒素ガス、アルゴン、ネオン、ヘリウム等の気体が適当である。
また、本発明に係る液滴数密度測定方法において、測定対象となる液滴が、液体内に強い吸収物質を含むインク、スラリーのような物質の場合、照射するパルスレーザ光が当該液滴に大幅に吸収されてしまうので、パルスレーザ光の集光位置において所望の強度を得られなくなってしまう、換言すると所望の位置にブレークダウン可能強度領域Aを形成することができなくなってしまう。これとは反対に、測定対象となる液滴が、透明の液滴であっても密度が非常に高く極めて強い散乱の作用を生じさせる物質の場合、この散乱によりパルスレーザ光の集光位置において所望の強度を得られなくなってしまう(換言すると所望の位置にブレークダウン可能強度領域Aを形成することができなくなってしまう)。このような場合、液滴等の流れに対して影響を与えることなく照射するパルスレーザ光の通過が可能なビームダクトを噴霧空間Sに挿入し、照射するパルスレーザ光を当該ビームダクトの内方を通過させ、当該ビームダクトの先端よりも僅かな外方位置(噴霧空間S内の所望の位置)で当該パルスレーザ光を集光させることにより、当該パルスレーザ光が液滴の吸収、散乱の作用の影響を受けることを防止しつつ噴霧空間S内の所望の位置でブレークダウンを生じさせることができ、適切に数密度を測定することができる。
さらに、本発明に係る液滴数密度測定方法では、噴霧空間において一箇所のみ(例えばノズルシステム10(図2参照)の放出軸10a上の任意の位置)にブレークダウン可能強度領域Aを形成して測定箇所とし、当該測定箇所に所望の回数分のパルスレーザ光を照射することによりブレークダウンの発生確率を測定するものであってもよく、複数の凸レンズを有するレンズアレーを用いて照射するパルスレーザ光の焦光位置(ブレークダウン可能強度領域Aを)を液滴の放出位置から所望の距離位置における複数箇所に形成して測定箇所とすることにより、一度に多数の測定箇所でブレークダウンの発生確率を測定するものであってもよい。後者のように一度に多数の箇所を測定するものでは、ブレークダウン発光を検出する受光素子としてCCDカメラ等を用いることで、各測定箇所におけるブレークダウン発光を検出することにより各測定箇所でのブレークダウン発生の確率を評価して数密度を測定することができる。このように複数の箇所の数密度を測定すると、噴霧空間Sにおける数密度分布図を作成することができる。
本発明に係る液滴数密度測定方法では、噴霧空間に放出される測定対象が、気体のブレークダウンしきい値と大きく異なるブレークダウンしきい値を有するものであればよいことから、液滴の代わりに粉体を測定対象とすることができる。ただし、粉末のような固体物質を測定対象とする場合、スラリーと同様に吸収作用が強い物質が多いことから、当該物質において吸収作用が強い波長域のレーザ光を用いる際には上記したビームダクトを用いた方がよい。また、粉末のような固体物質を測定対象とする場合、粉体自体が燃料のように粉塵爆発を引き起こす虞があることから、空気で満たされた空間に当該粉末を放出することに代えて、窒素ガス、アルゴン等の気体で満たされた空間に当該粉末を放出することで、当該物質(液滴)の爆発を防ぐ等の対策が必要となる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
図5は、本発明に係る液滴数密度測定方法を実施するための一実施例としての液滴数密度測定装置20を模式的に示す説明図である。
液滴数密度測定装置20は、複数の液滴が存在する任意の空間における当該液滴の数密度を測定するものであり、実施例1では、測定対象としての液滴dを放出するノズルシステム10により形成された噴霧空間Sにおける当該液滴dの数密度を測定するために用いられる。
ノズルシステム10は、任意の径寸法の複数の液滴dを任意の空間(実施例1では空気で満たされている。)に向けて放出可能なものであり、この液滴dが任意の空間で霧状に拡散されることにより複数の当該液滴dが空気に混在する噴霧空間Sが形成される。
液滴数密度測定装置20は、レーザ発振器21と、ビームエクスパンダー22と、集光レンズ23と、ビームスプリッター24と、ブレークダウン発光検出器25と、出射光検出器26と、オシロスコープ27と、カメラ28と、コンピュータ29とを備える。
レーザ発振器21は、所定の時間幅のパルスレーザ光を出射可能な照射用レーザ(図2の符号11参照)であり、測定対象である液滴dを照射すべく噴霧空間Sヘ向けて所定のパルス幅のレーザ光を出射する。このレーザ発振器21から出射されたパルスレーザ光は、ビームエクスパンダー22によりビーム径が拡大される。このビーム径が拡大されたパルスレーザ光は、凸レンズからなる集光レンズ23により集光され、ビームスプリッター24を経て、噴霧空間S内で集光位置(ブレークダウン可能強度領域A(図4参照)が形成される位置)が形成される。この集光位置が、ノズルシステム10の放出端から放出軸に沿って任意の間隔位置で当該放出軸10aに直交する面(図2参照)上の任意の位置に形成されるように、レーザ発振器21からビームエクスパンダー22および集光レンズ23を経る照射光学系とノズルシステム10との相対的な位置関係を調整する。ここで、任意の集光位置においてパルスレーザ光を所望の強度とするために、各液滴dの散乱・吸収等の作用による噴霧空間Sにおけるパルスレーザ光の減衰率(噴霧空間Sにおけるレーザ光の透過率)をカロリーメータ等で測定し、この減衰率に基づいてレーザ発振器21から出射するパルスレーザ光の強度を調整する必要がある。
このパルスレーザ光の照射により発生したブレークダウンを検出すべく当該ブレークダウンによるブレークダウン発光を測定するために、ブレークダウン発光検出器25が用いられる。このブレークダウン発光検出器25は、レーザの散乱光を除去する機構を有するフォトダイオード等の受光素子、または受光素子を含んだ分光器で構成されている。ブレークダウン発光検出器25は、受光した光に応じた検出信号を出力すべくオシロスコープ27に接続されている。このオシロスコープ27には、出射光検出器26も接続されている。出射光検出器26は、フォトダイオード等の受光素子であり、受光した光に応じた検出信号を出力する。この出射光検出器26は、レーザ発振器21から出射されるパルスレーザ光の時刻を検出すべくビームエクスパンダー22の入射面により散乱されたパルスレーザ光を受光する。ここで、等しい条件化においては、パルスレーザ光が出射されてからパルスレーザ光によるブレークダウン発光をブレークダウン発光検出器25が受光するまでの時間は一定である。このため、出射光検出器26からの検出信号は、オシロスコープ27において、ブレークダウン発光検出器25が受光した光のうちのいずれの時刻の光が、照射したパルスレーザ光によるブレークダウン発光であるのかを特定するために用いられる。これは、例えば、ブレークダウン発光の強度が小さい場合、S/N比が減少することから、オシロスコープ27において時間分解されて表示される波形からでは、ブレークダウン発光であるか否かの判断が困難となるが、ブレークダウン発光が検出される時刻が判っていれば表示される波形からブレークダウン発光の有無を判断できる場合が大幅に増えるので、特に、有効である。このオシロスコープ27でブレークダウン発光を検出することにより、ブレークダウンの発生確率を求めることができる。すなわち、ブレークダウン発光を検出した回数mを、その検出のためにパルスレーザ光を照射した回数Nで割ることにより、ブレークダウンの発生確率Pを求めることができる。ここで、このブレークダウンの発生確率Pの算出は、オシロスコープ27に演算器30を接続し、この演算器30が行う構成とすることができる。
上述したように、噴霧空間Sにおける液滴dの数密度を求めるためには、ブレークダウンの発生確率Pの他に、ブレークダウン可能強度領域A(図4参照)の体積Vが必要となるが、この体積の算出のためにカメラ28とコンピュータ29とが設けられている。
カメラ28は、ビームスプリッター24を経るパルスレーザ光のうち、ビームスプリッター24の端面により反射されたパルスレーザ光を撮像し、コンピュータ29との協働により当該パルスレーザ光の3次元的な空間強度分布を測定するものであり、コンピュータ29と協働してビームプロファイラーを構成している。ここで測定されたパルスレーザ光の3次元的な空間強度分布と、予め測定した測定対象の液滴dのブレークダウンしきい値とに基づいて、レーザ発振器21から出射されたパルスレーザ光が噴霧空間Sに形成しているブレークダウン可能強度領域A(図4参照)の体積Vを正確に算出することができる。ここで、このブレークダウン可能強度領域A(図4参照)の体積Vの算出は、コンピュータ29に演算器30を接続し、この演算器30が行う構成とすることができる。
液滴数密度測定装置20では、レーザ発振器21からのパルスレーザ光で噴霧空間Sを所定の回数N(所定の時間幅のパルスのレーザ光を所定の回数N)だけ照射し、それにより発生したブレークダウン発光の回数mを検出することにより、ブレークダウンの発生確率P(=m/N)を求めることができるので、このブレークダウンの発生確率Pが0%から100%未満のいずれかの値となるようにレーザ発振器21から出射するパルスレーザ光の強度を調整する(所謂微調整)。液滴数密度測定装置20では、上述したように、カメラ28とコンピュータ29とによるビームプロファイラーにより測定されたパルスレーザ光の3次元的な空間強度分布に基づいて、レーザ発振器21から出射されたパルスレーザ光が噴霧空間Sに形成しているブレークダウン可能強度領域A(図4参照)の体積Vを正確に算出することができる。このことから、測定したブレークダウンの発生確率P(=m/N)から平均個数Naを求め、この平均個数Naを、そのときのパルスレーザ光の3次元的な空間強度分布と測定対象の液滴dのブレークダウンしきい値とに基づいて算出されたブレークダウン可能強度領域A(図4参照)の体積で割ることにより、噴霧空間Sにおける液滴dの数密度nを求めることができる。すなわち、ブレークダウンの発生確率P(=m/N)とブレークダウン可能強度領域A(図4参照)の体積とを、式(8)に当てはめることにより、噴霧空間Sにおける液滴dの数密度nを求めることができる。ここで、この数密度nの算出は、演算器30が行う構成とすることができる。
ここで、レーザ発振器21から出射するパルスレーザ光の強度を調整しただけでは、ブレークダウンの発生確率を0%から100%未満のいずれかとすることができない場合には、レーザ発振器21から出射するパルスレーザ光の強度を調整しつつ、照射光学系(実施例1ではビームエクスパンダー22および集光レンズ23)の焦点距離またはレーザ発振器21から出射するパルスレーザ光のビーム径を変更することで、ブレークダウンの発生確率Pを0%から100%未満のいずれかとすることができ、噴霧空間Sにおける液滴dの数密度を求めることができる。このように照射光学系の焦点距離および集光径を変更する方法としては、ビームエクスパンダー22の特性(倍率)を変更するもしくは特性(倍率)の異なるビームエクスパンダーを用いることにより集光径を変更するものがある。また、集光レンズ23を焦点距離の異なるレンズに変更しても同様の効果を得ることができる。さらに、レーザ発振器21から出射するパルスレーザ光のビーム径を変更する方法としては、レーザ発振器21とビームエクスパンダー22との間に、レンズの組み合わせ等で構成されたエキスパンダー等の光学機器を配置してレーザ発振器21から出射されたパルスレーザ光のビーム径を拡大または縮小するものがある。このように、レーザ発振器21から出射するパルスレーザ光の強度を調整しただけでは、ブレークダウンの発生確率を0%から100%未満のいずれかとすることができない場合としては、噴霧空間Sにおける液滴dの数密度が、当初の照射光学系(ビームエクスパンダー22および集光レンズ23)の焦点距離またはレーザ発振器21から出射するパルスレーザ光のビーム径で測定可能な数密度とは桁数が異なるものであることが考えられる。
よって、液滴数密度測定装置20では、ノズルシステム10から放出される液滴dが微小な径寸法(例えば、1μmから100μm)であっても、その放出により形成される噴霧空間Sにおける液滴dの数密度を適切に測定することができる。
また、液滴数密度測定装置20では、照射光学系の(レーザ発振器21、ビームエクスパンダー22および集光レンズ23)焦点距離および集光径を適宜調整することで、様々な桁数の数密度であっても適切に対応して、数密度を測定することができる。
さらに、液滴数密度測定装置20では、ブレークダウン発光検出器25とそこに接続されたオシロスコープ27とを用いてブレークダウン発光の検出を行っていることから、受光した光のスペクトルから、ブレークダウン発光が発生した否かを高い精度で検出することができる。すなわち、ブレークダウン発光として受光した放射スペクトルのうち、測定対象としての液滴dの固有の波長域において、噴霧空間Sに存在する物質(実施例1では空気)からの光が有することのない波長域を検出することにより、当該液滴dによるブレークダウン発光を高い精度で検出することができる。
[変形例1]
次に、実施例1の液滴数密度測定装置20の変形例1について説明する。変形例1の液滴数密度測定装置は、基本的な構成は液滴数密度測定装置20(図5参照)と同様であることから、等しい構成の詳細な説明は省略する。
[変形例1]
次に、実施例1の液滴数密度測定装置20の変形例1について説明する。変形例1の液滴数密度測定装置は、基本的な構成は液滴数密度測定装置20(図5参照)と同様であることから、等しい構成の詳細な説明は省略する。
変形例1の液滴数密度測定装置では、図示は略すが、集光レンズ23(図5参照)に代えて複数の凸レンズが組み合わされて構成されたマイクロレンズアレーが設けられている。このマイクロレンズアレーの各凸レンズは、ノズルシステム10(図5参照)の放出端から放出軸10aに沿って任意の間隔位置で当該放出軸10aに直交する面(図2参照)上の任意の位置であって互いに異なる位置に集光位置(ブレークダウン可能強度領域A(図4参照)が形成される位置)を形成するように設定される。
また、変形例1の液滴数密度測定装置では、図示は略すが、ブレークダウン発光検出器25(図5参照)がマイクロレンズアレーの各凸レンズが形成する各集光位置で発生し得るブレークダウン発光を個別に検出することができる構成とされている。この例としては、カメラを用いることにより撮像したブレークダウン発光がいずれの集光位置で発生したものか判別することでブレークダウン発光を個別に検出することや、各集光位置に対応させて複数の発光検出器を用いることによりブレークダウン発光を個別に検出することが考えられる。
変形例1の液滴数密度測定装置では、同時に複数の位置の数密度を測定することができる。
次に、実施例2の液滴数密度測定装置20´(図6参照)について説明する。液滴数密度測定装置20´は、図6に示すように、基本的な構成は実施例1の液滴数密度測定装置20(図5参照)と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
液滴数密度測定装置20´では、レーザ発振器21から出射されたパルスレーザ光が通過する光路上であって、ビームスプリッター24の下流(噴霧空間S側)にビームダクト31が設けられている。
ビームダクト31は、レーザ発振器21から出射されたパルスレーザ光を通過させるべく筒状を呈し、噴霧空間Sにおける液滴d等の流れに対して影響を与えないものとされている。このビームダクト31は、噴霧空間Sの外部からパルスレーザ光の集光位置の近傍に至る長さ寸法とされている。このため、液滴数密度測定装置20´では、液滴dの散乱・吸収等の作用による噴霧空間Sにおけるレーザ発振器21から出射されたレーザ光の減衰率(噴霧空間Sにおけるレーザ光の透過率)を考慮することなく、噴霧空間Sにおける当該液滴dの数密度を適切に測定することができる。このため、液滴数密度測定装置20´では、測定対象となる液滴が、レーザのエネルギーを大幅に吸収する液体内の強い吸収物質を含むインク、スラリーのような物質の場合や、透明の液滴であっても密度が非常に高く極めて強い散乱の作用を生じさせる物質の場合であっても、所望の位置にブレークダウン可能強度領域Aを形成することができるので、このような液滴を測定対象とする場合に好適である。
次に、実施例2の液滴数密度測定装置20´´(図7参照)について説明する。液滴数密度測定装置20´´は、図7に示すように、基本的な構成は実施例1の液滴数密度測定装置20(図5参照)と同様であることから、等しい構成の個所には同じ符号を付し、その詳細な説明は省略する。
液滴数密度測定装置20´´では、ノズル駆動装置32と、制御装置33とが設けられ、ノズルシステム10´が実施例1のノズルシステム10とは異なる構成とされている。
ノズルシステム10´は、ノズル駆動装置32による制御下で間欠的に複数の液滴dの放出を行う。このため、ノズルシステム10´は、複数の噴霧空間Sを断続的に形成することとなる(図7の符号S1、S2、S3参照)。この複数の噴霧空間S(S1、S2、S3・・・)に対応するために制御装置33が設けられている。
制御装置33は、ノズル駆動装置32に接続され、ノズル駆動装置32によるノズルシステム10´の駆動のタイミングを検知可能とされている。また、制御装置33は、レーザ発振器21に接続され、レーザ発振器21からのパルスレーザ光の出射のタイミングを制御可能とされている。さらに、制御装置33は、オシロスコープ27に接続され、オシロスコープ27におけるブレークダウン発光検出器25からの測定データの取得のタイミングを制御可能とされている。
液滴数密度測定装置20´´では、制御装置33がノズル駆動装置32によりノズルシステム10´が液滴dを放出した時刻を検知し、この検知した時刻から一定の時間が経過したときにレーザ発振器21からパルスレーザ光を出射させる。すなわち、液滴数密度測定装置20´´では、制御装置33により、ノズルシステム10´による液滴dの間欠的な放出に同期させてレーザ発振器21から出射したパルスレーザ光で、各噴霧空間S(S1、S2、S3・・・)を照射していることとなる。また、制御装置33は、レーザ発振器21からの出射のタイミングに対応させてオシロスコープ27にブレークダウン発光検出器25からの測定データを取得させる。
このため、液滴数密度測定装置20´´では、同一の測定箇所Bで、レーザ発振器21からの1回目のパルスレーザ光による照射は、噴霧空間S1に対して為され、2回目のパルスレーザ光による照射は、噴霧空間S2に対して為され、3回目のパルスレーザ光による照射は、噴霧空間S3に対して為されることとなる。このときの各照射時での照射位置(ブレークダウン可能強度領域Aが形成される位置)は、各噴霧空間S間で見て互いに等しい。
これにより、液滴数密度測定装置20´´では、各噴霧空間S(S1、S2、S3・・・)に対して互いに等しい条件で、ブレークダウンが発生するか否かの検出を行うことができるので、各噴霧空間S(S1、S2、S3・・・)における液滴dの数密度n、すなわち間欠的に複数の液滴dの放出するノズルシステム10´の特性を調べることができる。
これら、上記した本発明に係る液滴数密度測定方法、またはその実施のための液滴数密度測定装置20(20´、20´´)は、上述したように、複数の液滴dが任意の空間に混在された噴霧空間Sにおける当該液滴dの数密度を測定することができるものであるが、その適用例としては、スプレーやエンジンのキャブレターのような噴霧装置の特性を調べることに用いることができる。噴霧装置の特性とは、噴霧装置により形成される噴霧空間における液滴の数密度のみならず、液滴を放出する際の指向性、噴霧空間を形成する領域、当該領域における液滴の分布特性等をいう。また、その他の適用例として、空気中の塵埃を検出することで、空気の汚れ具合を調べることができる。
なお、上記した実施例では、測定したブレークダウン発生確率Pから平均個数Naを求める際に確率論としてポアソン分布を用いたが、ブレークダウン可能強度領域Aに少なくとも1つの液滴が存在したり存在しなかったりする状態におけるものにおいて、適合する確率論を用いて平均個数Naを求めることとすればよく、上記した実施例に限定されるものではない。
20、20´、20´´ 液滴数密度測定装置
21 レーザ発振器
22 (照射光学系としての)ビームエクスパンダー
23 (照射光学系としての)集光レンズ
25 ブレークダウン発光検出器
d 液滴
S 噴霧空間
A ブレークダウン可能強度領域
21 レーザ発振器
22 (照射光学系としての)ビームエクスパンダー
23 (照射光学系としての)集光レンズ
25 ブレークダウン発光検出器
d 液滴
S 噴霧空間
A ブレークダウン可能強度領域
Claims (16)
- 複数の液滴が任意の気体が存在する任意の空間へ向けて放出されることで形成された該気体と前記液滴とが混在する噴霧空間における前記液滴の数密度を測定する液滴数密度測定方法であって、
所定のパルス幅のレーザ光を集光することにより、前記液滴をブレークダウン可能なエネルギーである液滴ブレークダウンしきい値以上でありかつ前記気体をブレークダウン可能なエネルギーである気体ブレークダウンしきい値未満のエネルギーを前記液滴に供給が可能な強度とされた空間領域であるブレークダウン可能強度領域を形成し、
前記噴霧空間内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射することにより、前記噴霧空間における前記液滴のブレークダウン発生確率を求め、
該ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン可能強度領域における前記液滴の平均個数を求め、
該平均個数を、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン可能強度領域の体積で割ることにより前記噴霧空間における前記液滴の数密度を求めることを特徴とする液滴数密度測定方法。 - 前記ブレークダウン発生確率は、一回の前記パルスレーザ光により形成される前記ブレークダウン可能強度領域の体積を固定しつつ前記パルスレーザ光の照射を複数回繰り返し、その間で生じたブレークダウン発光を検出することにより求めたブレークダウン発生の回数を、前記パルスレーザ光の照射の回数で割ることにより求めることを特徴とする請求項1に記載の液滴数密度測定方法。
- 前記平均個数は、前記ブレークダウン発生確率となるために前記ブレークダウン可能強度領域に必要な前記液滴の個数を、前記ブレークダウン発生確率から確率論に基づいて求めることを特徴とする請求項2に記載の液滴数密度測定方法。
- 生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが等しいことにより前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合、または生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を変更すべく照射する前記パルスレーザ光を調整した後、前記噴霧空間における前記液滴の数密度を求めることを特徴とする請求項2または請求項3に記載の液滴数密度測定方法。
- 生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくすることを特徴とする請求項4に記載の液滴数密度測定方法。
- 生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくしつつ照射する前記パルスレーザ光を集光する際の焦点距離を長くすることを特徴とする請求項4に記載の液滴数密度測定方法。
- 生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数が零であることにより、前記ブレークダウン発生確率が0%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を大きくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を大きくしつつ照射する前記パルスレーザ光が集光される以前のビーム径を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の液滴数密度測定方法。
- 生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくすることを特徴とする請求項4に記載の液滴数密度測定方法。
- 生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくしつつ照射する前記パルスレーザ光を集光する際の焦点距離を短くすることを特徴とする請求項4に記載の液滴数密度測定方法。
- 生じたブレークダウン発光の検出により求めたブレークダウン発生の回数と前記パルスレーザ光の照射の回数とが略等しいことにより、前記ブレークダウン発生確率が100%となる場合には、前記ブレークダウン可能強度領域の体積を小さくすべく照射する前記パルスレーザ光の強度を小さくしつつ照射する前記パルスレーザ光が集光される以前のビーム径を大きくすることを特徴とする請求項4に記載の液滴数密度測定方法。
- 前記噴霧空間は、複数の前記液滴が前記任意の空間へ向けて間欠的に放出されることにより形成され、
前記ブレークダウン発生確率は、前記パルスレーザ光を前記液滴の間欠的な放出に同期させて前記噴霧空間に向けて照射することにより求めることを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか1項に記載の液滴数密度測定方法。 - 所定のパルス幅のレーザ光を集光する際に複数のレンズから構成されたレンズアレーを用いることにより、前記噴霧空間に複数の前記ブレークダウン可能強度領域を同時に形成することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の液滴数密度測定方法。
- 前記噴霧空間内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射する際に、該噴霧空間の外部から該噴霧空間における所定の位置に至る長さ寸法の筒体からなるビームダクトを用い、前記ビームダクトの内方を通過させた前記パルスレーザ光で前記噴霧空間内を照射することを特徴とする請求項1ないし請求項11のいずれか1項に記載の液滴数密度測定方法。
- 請求項1ないし請求項13のいずれか1項に記載の液滴数密度測定方法を実行可能な液滴数密度測定装置であって、
所定のパルス幅のレーザ光を出射可能なレーザ発振器と、
該レーザ発振器から出射された前記パルスレーザ光を集光しつつ前記ブレークダウン可能強度領域が前記噴霧空間内に位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射する照射光学系と、
該照射光学系による照射により前記噴霧空間内で生じたブレークダウン発光を検出する検出器と、
該検出器により検出されたブレークダウン発光からブレークダウン発生の回数を求め、該ブレークダウン発生の回数を前記レーザ発振器から出射された前記パルスレーザ光の回数で割ることによりブレークダウン発生確率を求め、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン可能強度領域の体積を求め、前記ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン可能強度領域における前記液滴の平均個数を求め、該平均個数を前記ブレークダウン可能強度領域の体積で割ることにより前記噴霧空間における前記液滴の数密度を求める演算器とを備えることを特徴とする液滴数密度測定装置。 - 複数の微粒子が任意の気体が存在する任意の空間へ向けて放出されることで形成された該気体と前記微粒子とが混在する噴霧空間における前記微粒子の数密度を測定する微粒子数密度測定方法であって、
所定のパルス幅のレーザ光を集光することにより、前記微粒子をブレークダウン可能なエネルギーである微粒子ブレークダウンしきい値以上でありかつ前記気体をブレークダウン可能なエネルギーである気体ブレークダウンしきい値未満のエネルギーを前記微粒子に供給が可能な強度とされた空間領域であるブレークダウン可能強度領域を形成し、
前記噴霧空間内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射することにより、前記噴霧空間における前記微粒子のブレークダウン発生確率を求め、
該ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン可能強度領域における前記微粒子の平均個数を求め、
該平均個数を、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン可能強度領域の体積で割ることにより前記噴霧空間における前記微粒子の数密度を求めることを特徴とする微粒子数密度測定方法。 - 請求項15に記載の微粒子数密度測定方法を実行可能な微粒子数密度測定装置であって、
所定のパルス幅のレーザ光を出射可能なレーザ発振器と、
該レーザ発振器から出射された前記パルスレーザ光を集光しつつ前記ブレークダウン可能強度領域が前記噴霧空間内に位置するように前記パルスレーザ光を前記噴霧空間に向けて照射する照射光学系と、
該照射光学系による照射により前記噴霧空間内で生じたブレークダウン発光を検出する検出器と、
該検出器により検出されたブレークダウン発光からブレークダウン発生の回数を求め、該ブレークダウン発生の回数を前記レーザ発振器から出射された前記パルスレーザ光の回数で割ることによりブレークダウン発生確率を求め、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン可能強度領域の体積を求め、前記ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン可能強度領域における前記微粒子の平均個数を求め、該平均個数を前記ブレークダウン可能強度領域の体積で割ることにより前記噴霧空間における前記微粒子の数密度を求める演算器とを備えることを特徴とする微粒子数密度測定装置。
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