JP5532255B2 - エアロゾル中の微粒子数密度測定方法及び測定装置 - Google Patents

エアロゾル中の微粒子数密度測定方法及び測定装置 Download PDF

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Description

本発明は、エアロゾル中に存在する粒子(液滴等の微粒子)の数密度を高時間分解能及び高空間分解能で測定する方法及び測定装置に関する。
近年、エアロゾルを用いる全て産業の分野において、粒子の数密度の空間分布、時間変化を把握することが要望されている。例えば、ディーゼルエンジンでは燃焼1サイクル中、数回に渡って燃料を放出することで燃費効率の改善、エンジン騒音の低減、排気ガスの清浄化などの改良を行っている。このエンジン内の燃料エアロゾル測定手段として高時間空間分解で粒子の数密度分布の測定等が重要である。エアロゾルとは、分散媒が気体の分散系を指し、気体の中に微粒子(液体、固体)が分散しているものをいう。
従来、エアロゾル等が噴霧された空間中の液滴数密度を測定する技術として、次のような方法が報告されている。シート状にしたCWレーザー光を照射し、レーザー散乱による微粒子からの散乱光を2次元的に観測することで、微粒子の時間空間分解測定できることが報告されている(非特許文献1参照)。また、パルスレーザー光を用いて、シュリーレン法やシャドーグラフ法などを利用して、相対的に密度分布を評価する方法が報告されている(非特許文献2参照)。また、パルスレーザーの透過光の強度を3次元的に取得し、内部の散乱による減衰を立体的に評価するコンピュータートモグラフィーの方法などで、平面、立体での密度分布を評価する方法などが報告されている(非特許文献3参照)。しかしながら、これらの測定方法は時間分解能が十分でないこと、高密度のエアロゾルには適応しにくいこと、密度分布を絶対値でなく相対値でしか測定できないという欠点があった。現在の段階でも、エアロゾル中の液滴数密度の絶対値を、高時間空間分解で測定できる製品は存在していない。
本発明者達は、「液滴数密度測定方法及び測定装置」を開発し、液滴数密度の絶対値が高時間分解測定できることを報告している(特許文献1、非特許文献4参照)。
特許文献1には、次のような技術が記載されている。複数の液滴が任意の気体が存在する任意の空間へ向けて放出されることで形成された該気体と前記液滴とが混在するエアロゾルにおける前記液滴の数密度を測定する液滴数密度測定方法であって、所定のパルス幅のレーザー光を集光することにより、前記液滴をブレークダウン可能なエネルギーである液滴ブレークダウン発生閾値以上でありかつ前記気体をブレークダウン可能な照射強度である気体ブレークダウン発生閾値未満の照射強度を前記液滴に供給が可能な強度とされた空間領域であるブレークダウン可能強度領域を形成し、前記エアロゾル内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザー光を前記エアロゾルに向けて照射することにより、前記エアロゾルにおける前記液滴のブレークダウン発生確率を求め、該ブレークダウン発生確率から前記ブレークダウン発生閾値以上のレーザー照射強度領域における前記液滴の平均個数を求め、該平均個数を、前記ブレークダウン発生確率を求める際に形成された前記ブレークダウン発生閾値以上の強度範囲の体積で割ることにより前記エアロゾルにおける前記液滴の数密度を求めることを特徴とする液滴数密度測定方法が記載されている。そして、前記ブレークダウン発生確率は、一回の前記パルスレーザー光により形成される前記ブレークダウン可能強度領域の体積を固定しつつ前記パルスレーザー光の照射を複数回繰り返し、その間で生じたブレークダウン輻射光を検出することにより求めたブレークダウン発生の回数を、前記パルスレーザー光の照射の回数で割ることにより求めることが記載されている。また、前記平均個数は、前記ブレークダウン発生確率となるために前記ブレークダウン可能強度領域に必要な前記液滴の個数を、前記ブレークダウン発生確率から確率論に基づいて求めることができることが記載されている。また、前記エアロゾル内に前記ブレークダウン可能強度領域が位置するように前記パルスレーザー光を前記エアロゾルに向けて照射する際に、該エアロゾルの外部から該エアロゾルにおける所定の位置に至る長さ寸法の筒体からなるビームダクトを用い、前記ビームダクトの内方を通過させた前記パルスレーザー光で前記エアロゾル内を照射することが記載されている。
特開2009−270982号公報
M.Shiratani,H.Kawasaki,T.Fukuzawa,and Y.Watanabe: J.Vac.Sci.Technolo. A 14(1996)603. K.Nishida,N.Murakami,and H.Hiroyasu:JSME Int.J. 30(1987)107. K,Kawamura,A.Saihoh and Y.Tanasawa,Proc.of the 4th Int.Conf.on Liquid atomization and spray systems 311(1988). H.Yashiro,F.Sasaki,M.Kakehata, J.J.of Appl.Phys.49(2010)076602.
本発明者等の開発したレーザー誘起ブレークダウンを用いた数密度測定方法(特許文献1参照)は、液滴を代表とする粒子のブレークダウン閾値が周囲の気体と比べて大幅に低いことを利用するものである。該数密度測定方法の基本原理は、特許文献1にも記載されているように、概略次のとおりである。
パルスレーザー光をレンズにより焦点領域に集光させることにより、該焦点領域に存在する測定対象である微粒子等をプラズマ化させ、ブレークダウン現象を発生させる。該ブレークダウンの発生に伴って測定対象とする物質(微粒子、特に液滴)から放射される光(「ブレークダウン輻射光」と呼ぶ。)を測定する。例えば、ブレークダウンにより放射された光を受光する受光素子を用い、ブレークダウン輻射光を透過かつエアロゾル中で散乱するパルスレーザー光の波長を遮蔽するフィルター等を配置する。
測定域となる液滴のブレークダウン発生閾値以上の体積は、液滴ブレークダウン発生閾値強度、実際に照射するレーザー強度、フォーカス径、レイリー長で求めることができる。この体積内に存在する液滴数は、発生したブレークダウン発生確率からポアソン分布を用いて求めることができる。液滴数密度は、求めた体積と体積内に存在する液滴数から求めることが可能である。液滴数密度は、体積内に存在する液滴数を、体積で割った値である。
集光したレーザー強度分布I(r,x)を、ビーム品質M=1の場合で考える。径方向r、伝搬方向xの円筒座標系で考えると次の(数1)の式で示される。このとき、Iはフォーカス中心でのレーザー照射強度、rは、集光径[FW/e2](以下、指定のない場合は集光径は直径で強度の1/eの強度の幅をいう。)の1/2、xはレイリー長の1/2である。
図1に、レーザー強度分布I(r,x)を示す。図1の濃淡は、レーザー強度を示し、図中1〜10までの数字はブレークダウン発生閾値と実際のレーザー照射強度の比率を模式的に図示している。つまり、レーザー照射強度がブレークダウン発生強度に等しい(図中の数字が1)場合は単なる点で、体積が0である。I(r,x)をブレークダウン閾値とした場合、照射強度Iが増加(図中の数字が増加)するに従いI(r,x)は周辺部に拡大する。このI(r,x)の分布曲線をX軸に沿って回転させた回転体の体積がブレークダウン発生閾値以上の強度の体積である。ブレークダウン発生閾値以上の強度を持つ範囲の体積はレーザーエネルギー増加に伴い拡大することがわかる。この範囲が空間分解能を決定することになり、中心を通過した径方向の距離、伝搬方向の距離の長い方が測定に対する空間分解能となる。
また、集光径の1/2であるrとレイリー長の1/2であるxは、レーザービーム品質M=1の場合、以下のような、rとxの関係式で表される。
=2πr /λ
例えばYAGレーザー(波長1.06μm、ビーム品質M=1)を集光径100μmに集光し、かつブレークダウン発生閾値の3倍の強度で照射した場合(以下、条件Aという)の、液滴のブレークダウン発生閾値以上の範囲は(数1)式から求めると径方向で中心からわずかに37.1μm拡大し、一方、伝搬方向へは2.09cmも拡大する。
空間分解能はブレークダウン発生閾値以上の範囲で決定される。したがって、径方向と比べて伝搬方向では500倍以上空間分解能が落ちることになる。また、装置自体の空間分解能は低い方の伝搬方向の空間分解能となる。このため条件Aでの装置の空間分解能は4cmに下がってしまう。
一方、測定のためのレーザー強度の上限は、周囲の気体のブレークダウン発生閾値で決まる。これはエアロゾルを照射した場合発生するブレークダウンが、液滴で発生するものか気体で発生するものか区別することが出来なくなるためである。大気圧の空気の場合、ブレークダウン発生閾値は水滴の約20倍である。条件Aのうち照射強度を水滴の20倍の強度で照射した場合を条件Bとする。条件Bの場合、液滴のブレークダウン発生閾値の強度分布は中心から径方向には61.2μm、伝搬方向には6.46cmまで拡大し、径方向と伝搬方向の分解能の比は1000倍以上増加する。条件Bでの装置の空間分解能は13cmに下がってしまう。
また、液滴のブレークダウン発生確率は液滴のブレークダウン発生閾値以上の強度の範囲内に存在する液滴数にだけ依存するため、低密度のエアロゾルの場合、液滴のブレークダウン閾値以上の範囲の体積を大きくする必要がある。
原理的にはレーザー照射強度を制御することで、どの様な照射条件でも液滴のブレークダウン発生閾値以上の範囲の体積を変化させ、あらゆる数密度を測定することが可能である(非特許文献4参照)。しかし、レーザー出力には不安定性があり、集光径に依存してブレークダウン発生閾値以上の体積が大きく変化する。特にブレークダウン発生閾値をわずかに超えた強度の場合、レーザー出力の不安定性がブレークダウン発生閾値の体積の不安定性に与える影響は大きく、同じ測定対象のエアロゾル中の液滴密度を測定しても大きな差を生じる場合がある。この様に測定対象の数密度に対して集光径が適切でない場合、照射強度の増加に伴い急激にブレークダウン発生確率が上昇したり、非常に緩慢に上昇したりする。このため、正確なブレークダウン発生閾値以上の体積、及びこれで求められる数密度が影響を受ける場合がある。実際の照射レーザー強度とブレークダウン発生閾値において±5%の出力不安定性がある場合、液滴のブレークダウン発生閾値に対して3倍以下の照射強度ではレーザー出力不安定性に起因する評価する体積の誤差の影響が大きくなる。そのため、照射強度を液滴のブレークダウン発生閾値の3倍の範囲でこの体積自体を大きくする必要がある(非特許文献4参照)。一方、エアロゾルを構成する気体が大気圧の空気の場合、ブレークダウン発生閾値は水滴の場合、約20倍の強度を持つ。このため水滴と大気圧空気からなるエアロゾルの場合、液滴の数密度を測定可能なレーザー強度は3−20倍となる。この上限はエアロゾルを構成する液滴の種類、気体の種類、圧力に依存する。
このように、レーザー出力のみで調整可能な液滴のブレークダウン発生閾値以上の体積は限界がある。このため、測定対象のエアロゾル中の粒子の数密度に応じて集光径、レイリー長などの集光パラメーターを変え、大幅に液滴のブレークダウン発生閾値以上の体積を調整する必要がある。例えば、低密度のエアロゾルが測定対象の場合、焦点距離の長い集光光学系で集光するか、焦点距離はそのままでレーザービーム径を小さくする必要がある。また、レーザービーム品質を下げること、レーザー発振波長を長波長に設定することで、集光径を拡大することが原理的には可能である。しかし装置上レーザービーム品質を可変とすることは現実的ではない。また、波長可変レーザーを用いた場合、液滴のブレークダウン発生閾値自体が波長依存性を持ち変化する。さらに波長は波長変換などの方法を使ったとしても、4倍程度しか変化できないため、広いダイナミックレンジを必要とする測定に対応することが出来ない。このため、ビーム品質、波長可変の方法は現実的には適さない方法である。
上記に示したようにレーザービーム品質M=1の場合、レーザー波長λの場合、集光径の1/2であるrと、レイリー長の1/2であるxは、以下のような、rとxの関係式で表される。
=2πr /λ
つまり、集光径の増加率の2乗に比例して伝搬方向のレイリー長は増加することになる。これは低密度のものを測定する場合、径方向よりも伝搬方向の拡大率が大きくなり、ブレークダウン発生閾値以上の体積は細長い形状に変化していく。したがって、低密度のエアロゾルを測定する場合、測定対象の形状はレーザー伝搬方向により細長い回転体になるため、径方向と伝搬方向の比率はより大きいものに変化していく。
このため、径方向に比べて伝搬方向の分解能が2桁以上悪い測定方法(集光径100μmの場合)が、より希薄なエアロゾルを測定対象とするほど、伝搬方向の空間分解能が径方向に比べてさらに悪いものへと変化していく。
以上のことから、特許文献1のレーザーブレークダウンを用いた液滴数密度測定方法は、径方向に比べて伝搬方向への空間分解能が著しく落ちる問題点がある。また、測定対象が低密度のエアロゾルになるに従いこの傾向が強くなるという問題点がある。また、実際には、cmを越える範囲にまで観測域が拡大することから、測定対象の分布範囲を超えてしまい、エアロゾル中の液滴の平均数密度さえも正確に測定できない場合も容易に生じる。
本発明は、これらの問題を解決しようとするものであり、レーザーブレークダウンを用いたエアロゾル中の液滴等の微粒子数密度測定において、従来の最適光学系では空間分解能が低下する問題を解決することを目的とする。また、本発明は、レーザーブレークダウンを用いた微粒子の数密度測定において、伝搬方向の空間分解能を高くし、結果として測定装置自体の空間分解能を向上させることを目的とする。また、空間分解能と同様に高時間分解能で数密度測定のできる装置及び方法を提供することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明は、ブレークダウン発生閾値強度以上の範囲の一部分の輻射光だけを検出する手法により実現するものである。レーザー伝搬方向におけるブレークダウン輻射光に関して空間分解能を備えた検出光学系(「測定光学系」とも呼ぶ。)を用い、測定対象の範囲(以下、観測域、測定域、測定範囲とも呼ぶ)から放出されるブレークダウン輻射光だけを観測することで、伝搬方向の空間分解能を高くする。その際、測定対象の体積が元の集光径のままでは大幅に減少し、測定に対して誤差が大きくなる。そのため、測定対象の密度に対して適切な体積とするため、集光径そのものを増加することで、ブレークダウン輻射の観測に対して空間制限が無い場合の最適な測定光学系に対して等価な体積を維持する。同時に集光径を拡大しても、単位面積当たりの集光強度は等価の強度を維持する。この結果、径方向の空間分解能を僅かに下げることになるが、前述のよう径方向の拡大は伝搬方向に対して1/2乗で済むためレーザー伝搬方向の空間分解能を飛躍的に改善することが可能で、結果として装置の空間分解能を大きく上げることとなる。
空間制限がない場合に関して、測定対象の液滴の数密度に対して適切な集光径は求められている(非特許文献4参照)。この集光径で得られる体積と等価の体積になるように、本発明の空間制限を用いた方法では、集光径、伝搬方向の測定域を決定する必要がある。
集光径を増加させると、集光径が大きくなるに連れて照射エネルギーも増加する。測定対象密度、レーザー波長、パルス幅にも依存するが、ブレークダウンを用いた測定は、QスイッチYAGレーザー(波長1.06μm、パルス幅10ns)の場合、ブレークダウン発生閾値は水滴の場合6×10[W/cm]であり、集光径300μmでブレークダウン発生閾値の3倍の場合、130mJ程度のエネルギーである。ブレークダウン発生閾値の20倍の強度が必要であるとしても850mJとなり、QスイッチYAGレーザーの出力で十分可能なエネルギーである。
まず、本発明の原理の有効性、即ち、測定対象の範囲から放出されるブレークダウン輻射光だけを観測することで、伝搬方向の空間分解能を高くすることができることについて、具体例を挙げて以下説明する。
先の「発明が解決しようとする課題」で説明した条件A(YAGレーザー(波長1.06μm、ビーム品質M=1)を集光径100μmに集光し、かつブレークダウン閾値の3倍の強度で照射した場合)と同様に、液滴数密度の測定を空間制限のある測定系で行うことを考える。空間制限の無い状態((数1)式)では測定体積Vは、ブレークダウン発生閾値の3倍のとき集光径の1/2:r、レイリー長の1/2:xとした場合、(数1)式より次のようになる。
V=3.17r [cm
例として集光径100μm、M=1のビーム品質を持つ場合の体積Vは、rとxの関係が上記関係式で与えられているので、
V=1.17×10−4[cm
となる。
一方、ブレークダウン輻射観測の空間制限の例として、レーザー伝搬方向の観測域と径方向のブレークダウン発生閾値の範囲が一致する場合、最高の空間分解能が得られる。レーザー伝搬方向の観測域と、径方向のブレークダウン発生閾値の範囲とを、一致するように、観測域を設定する場合について説明する。
観測域の径方向は、(数1)で示した式の強度比から測定範囲の広がりを求めることができる。例えばブレークダウン発生閾値の3倍で照射した場合の径方向の広がりは、先の「発明が解決しようとする課題」で説明したように中心から径方向の両端へは集光径の0.742倍となる。そして、伝搬方向であるx軸の特定の測定範囲を観測域とする。図1の濃淡で示される3倍(図1は模式的であるので、図中2、4が図示され、3は図示されていない)の範囲(I(r,x)の分布曲線で、ブレークダウン発生閾値の3倍となるレーザー照射強度Iの範囲)を、伝搬方向であるx軸を中心に回転させてできる回転体を測定範囲(x軸方向の距離L)の両端で切断したものが、観測域である。観測域の体積は、図1のI(r,x)の分布曲線の回転体のx軸方向の積分で得られる。また、伝搬方向の集光径程度の距離を前後に変化させた場合、ブレークダウン発生閾値の分布曲線(図1)において径方向の範囲の変化量が非常に小であるので、観測域の体積は、円柱として近似することが可能である。円柱に近似すると、空間制限のない100μmの集光径と等価になるためには集光径の1/2:rは、次のように求めることができる。
1.17×10−4[cm]=(0.742r)π×2×0.742r
r=357μm
ブレークダウン発生閾値以上の範囲は集光径の0.742倍であるから、空間分解能は
357μm×2×0.742=530μmとなる。
同様に、ブレークダウン発生閾値の20倍で照射した場合についてrを求めることができる。なお、ブレークダウン発生閾値の20倍で照射した場合の径方向の広がりは、先の「発明が解決しようとする課題」で説明したように中心から径方向の両端へは集光径の1.22倍となる。よって、空間制限のない100μmの集光径の場合と等価の体積になるためには集光径の1/2:rは、次のように求めることができる。
V=60.6r [cm
=2.24×10−3[cm
2.24×10−3[cm]=(1.22r)π×2×1.22r
r=581μm
即ち、集光径の1/2:rは581μmとして求めることができる。20倍で照射した場合、空間分解能は集光径の1.22倍であるから、581μm×2×1.22=1.42mmとなる。
従来の空間制限のない場合の伝搬方向の広がりは、「発明が解決しようとする課題」に記載したように、伝搬方向には、3倍で照射した場合4.18cm、20倍で照射した場合12.9cmであるのに比較して、本発明のように空間制限すると、各々空間分解能は、79倍、91倍向上したことになる。本発明では、径方向の空間分解能を僅かに下げることになるが、径方向の拡大は伝搬方向に対して1/2乗で済むので、レーザー伝搬方向の空間分解能を飛躍的に改善することが可能である。
以上の具体的数字のように、測定対象の範囲から放出されるブレークダウン輻射光だけを観測することで、伝搬方向の空間分解能を高くすることができることがわかる。
以上のように、空間制限のない場合100μmの集光径をブレークダウン閾値の3、20倍の照射強度で照射する場合のブレークダウン閾値以上の体積と等価な体積は、空間制限のある場合、集光径を各々7.14−11.6倍広げ単位面積当たりの照射強度を維持することで達成できる。この際、径方向の空間分解能は空間制限のないものに比べて7.14−11.6倍減少するが、伝搬方向の空間分解能を各々79、91倍以上改善することが可能となる。測定装置としての空間分解能を向上することが可能となる。
測定範囲は必ずしも焦点付近で無く、単位面積当たりのレーザー照射強度[W/cm]を維持したまま焦点の両端のビーム径が大きな状態で測定することも可能である。つまり集光点付近で上述のように径方向の強度分布の広がりと同等の距離の伝搬方向の観測範囲で円柱を構成する方法に換えて、伝搬方向における焦点以外の場所に観測域を設定し、径方向の強度分布の広がりと同等の距離の伝搬方向の範囲を設定することで円錐台を設定し、実質的に広い集光径で同様の測定をする方法でもよい。具体的には、焦点の上流側の集光前の大きな径を持つ位置で測定する場合が該当する。焦点の下流側でこの方式を用いる場合、焦点付近で気体のブレークダウンを生じない強度に上限が制限されるため、焦点の上流側で用いる方が好ましい。
一方、単位面積当たりの照射強度を保ちながら集光径及びレイリー長が長い集光光学系を用いて測定を行うことは、液滴のブレークダウン発生閾値以上の体積が実質的に非常に大きく広がり、測定対象の範囲に対してレーザー伝搬方向の上流側でブレークダウンを必ず生じることになる。この上流で発生したブレークダウンによりレーザーエネルギーは吸収され、観測域に到達するレーザーエネルギーを著しく減少させる。ブレークダウン発生閾値よりわずかに高い強度でブレークダウンを発生させた場合、透過光のエネルギーはブレークダウンを生じない場合の1/2程度まで減衰してしまう。このため測定域に照射されるレーザーエネルギーが大幅に変化する。同時にこの上流で発生するブレークダウンはある確率を中心にランダムに生じるため、実際の測定域に到達するレーザー強度も影響を受け正確な測定は不可能になる。これを防止するため、集光するレーザーをビームダクトで囲いビームダクトから出た直後の空間を測定範囲とすることで測定域上流でのブレークダウンによるレーザーエネルギーの吸収を避けることが可能である。
本発明におけるビームダクトの特有な配置及びその作用について以下説明する。図2に、(A)従来の特許文献1におけるビームダクトの作用と、(B)本発明におけるビームダクトの作用を説明する図を示す。ところで、特許文献1においても実施例の一つとしてビームダクトが用いられている。図2(A)に示すように、集光するレーザー光を覆いながら焦点付近まで導く構造をしている。特許文献1の場合、レーザーブレークダウン発生閾値以上の範囲がビームダクトの外に設定される構造である。該構造は、伝搬方向において上流側でエアロゾル中でのレーザー光の散乱による減衰を無くす一つの方法としての効果が期待されるものであり、レーザー強度が十分である場合や、散乱による損失が大きくない場合は、必ずしも必須の手段ではない。また、特許文献1では、ビームダクトが、ブレークダウン発生閾値以上の範囲に覆いかぶさった場合、正確なブレークダウン発生閾値以上の体積を把握することができず数密度測定は不可能である。一方、本発明では、レーザー照射強度を維持したままでレーザー集光径の拡大を行うため大幅なブレークダウン発生閾値以上の範囲の拡大を生じる。そのためビームダクトは測定範囲の上流側でエアロゾルの混入によりブレークダウンの発生を引き起こさない手段として用いられる。特許文献1に記載されたビームダクトと、本発明のビームダクトとは、ビームダクトとブレークダウン発生閾値以上の範囲の配置関係が異なる。図2(B)に図示するように、本発明では、ビームダクトが、ブレークダウン発生閾値以上の範囲に覆い被さる配置となっている。
上述のように測定範囲の上流側にビームダクトを設置することで測定域外でのブレークダウンにより照射域へのレーザー照射強度の不安定性がないように解決できる。このビームダクトの直後を測定域とし目的の空間からのブレークダウン輻射光を観測するようにするには、伝搬方向に沿って観測される像を光学系を用いてスリットの刃の間に転送することで達成できる。この時ビームダクトの終端はスリットの刃の端に一致するように設定することができ、またその場合、スリットは、スリット状の両刃でなく転送されない方の片刃のみの構造でも構わない。また、測定域の後方にビームダクトを設けてスリット等を用いない方法も可能である。スリットを用いることにより、観測域は、レーザー伝搬方向に細長いブレークダウン閾値以上の範囲の回転体に対して中心部を断面で切断したような構造となる。この際に回転体の径方向の範囲と伝搬方向の観測域が一致するようにすると最も高い空間分解能を得ることが可能となる。また、測定域後方にもビームダクトを設置しブレークダウン自体が観測域でしか発生しない様な設定にすることでスリットを除外することも可能である。さらに転送光学系にはファイバーなどを用いることも可能である。
本発明の、レーザー誘起ブレークダウンの輻射の空間制限を用いた測定では、制限の無い測定方法と同様に、2つの測定誤差が常に含まれることになる。照射用レーザーの出力の不安定性に依存する液滴のブレークダウン発生閾値以上の体積の測定誤差、及びブレークダウン発生確率より算出される内部に存在する液滴数におけるレーザー照射回数の標本誤差である。
実際にはレーザー出力の不安定性は避けることが出来ない。測定範囲は(数1)式より解くことができ、測定範囲は図1で示される図形の伝搬方向であるx軸に関して回転した図形の中央部を伝搬方向の測定域の幅で切断したものとなる。(数1)式を回転体として積分することで正確な体積を求めることが可能であるが、測定域である伝搬方向の距離が集光径に対して同程度で従来技術に比べて短くでき径方向のブレークダウン閾値以上の範囲の変化量が少ないため、円柱とし測定域の範囲を近似できる。伝搬方向の観測範囲を集光径の2rと固定した場合の測定域の体積をしめす。図3に、ブレークダウン発生閾値以上の強度の体積のレーザー強度依存性を示す。この場合、伝搬方向の範囲は一定であるため、照射強度が増加しても、対象となる範囲は径方向だけ拡大することになる。図3は、測定域の回転体の体積を縦軸に、実際のレーザー照射強度とブレークダウン発生閾値の強度比を横軸にとった計算結果である。レーザー強度とブレークダウン閾値との比(横軸)に対する、体積の増加率(Y1軸(左縦軸))を実線で示す。比が1すなわち液滴のブレークダウン閾値強度のとき、ブレークダウン発生閾値以上の範囲は点になり、体積は0である。この倍率が高くなるにつれて増加率は緩やかになる。ブレークダウン発生閾値とレーザー出力の比において10%の不安定性がある場合、真の値と測定した値との体積比をY2(右縦軸)に示す。上側の点線は、+10%の誤差の場合を、下側の点線は、−10%の誤差の場合を示す。図3に図示されるように、強度比が3倍以上では誤差10%以下になる。このため、10%以下の誤差の少ない測定のためにはブレークダウン発生閾値の3倍以上で測定する必要がある。伝搬方向で測定範囲内がブレークダウン発生閾値を越えないレーザー強度は、(数1)式を解くとブレークダウン発生閾値の1.03倍以下で実際に測定に用いることが可能な比率3倍より十分に低いので無視できる。
図3における横軸(レーザー強度/ブレークダウン閾値強度)の上限の値は、液滴周辺に存在する気体のブレークダウン発生閾値である。例えば大気圧空気でレーザー(1.06μm、3−10ns)を用いた場合、約20倍となる。したがって、空気と水滴からなるエアロゾルの場合、レーザー出力不安定性の影響を少なく出来るレーザーの照射エネルギー範囲は、液滴ブレークダウン発生閾値の3−20倍となる。このレーザー照射エネルギーの範囲は、エアロゾルを構成する粒子と周囲に存在する気体の種類、圧力、レーザーの照射条件(パルス幅、発振波長)等に依存する。
また、ブレークダウン閾値強度以上の体積内に存在する液滴数は、ブレークダウン発生確率から求めることが出来る。この体積内に存在する平均個数がλの場合、液滴がk個存在する確率は(数2)の式に示すとおりである。
この場合、液滴が1個でも入ればブレークダウンは生じるため、ブレークダウン発生確率は、次の(数3)の式で示すように、全ての確率1から、(数2)の式で求めた0個存在する確率Pb0を引くことで求めることが可能である。なお、実際に求めた確率から平均液滴数λを求めることで測定体積内に存在する液滴数を求めることが可能である。
一方、この実験で得られたブレークダウン発生確率は必ず標本誤差を含む。標本誤差eは次の(数4)の式で示される。
σは統計的信頼度で95%の結果に対して信頼度を置く場合σ=2となる。
図4に、サンプル数(レーザーショット回数)1000回の場合の、ブレークダウン発生確率P(横軸%表示)に対するブレークダウン発生閾値以上の範囲に存在する液滴数(左縦軸)を示す。図4の右縦軸は、統計誤差を含んだ値と真の値との比を示す。図4に示すように、確率0付近もしくは1に近づくにつれ誤差が急激に上昇することがわかる。この場合、密度評価に用いるブレークダウン発生確率45−87%内で測定することで10%以下の標本誤差の測定が可能である。
使用するレーザーは、パルスレーザーであってブレークダウンを生じるものであればどの波長のレーザー光でもよい。具体的には、高調波を含めたYAGレーザー、KrFエキシマレーザー、COレーザーなどを用いることができる。液滴は、多光子吸収、逆制動輻射過程による初期のプラズマ生成から逆制動輻射の過程でレーザー光の吸収を膨張しながらプラズマ生成を行い最終的にブレークダウンを生じる。このため液滴径が小さすぎる場合、もしくはパルス幅が長すぎる場合など、ブレークダウン発生閾値の液滴径の依存性が生じてしまう懸念がある。このため、実際に用いるパルス幅としては20ns以下が適切と考えられる。
また対象となるエアロゾルは、ノズルの特徴や液剤の粘性により、液滴の径分布が大きく左右される。最も身近な水で細かい液滴に粉砕される二流体ノズルでもサブミクロン以上の径を持つ。この液滴を10nsのパルス幅のYAGレーザー(波長1.06μm)で照射した場合、粒度分布を、圧力や流量で変化させても大きな依存性は出ていない。このため、上記のパルス幅以下のパルスレーザーを用いる場合、径依存性は得られていない。このときの液滴の最小径は0.1μm以上であり、この径の場合上記のパルス幅以下のパルスレーザーではブレークダウン発生閾値の径依存性は問題にならない。
以上、液滴の数密度測定について説明したが、液滴に限らず、微粒子(固体、液体)を噴霧したエアロゾルにおいて、同様にレーザー誘起によりブレークダウン輻射光を生じることができる場合において、有用な数密度測定方法及び装置である。
本発明は、前記目的を達成するために、以下の特徴を有するものである。
本発明の装置は、微粒子と気体とが混在するエアロゾルにおける微粒子の数密度の測定装置であって、パルスレーザー光源と測定光学系と検出装置を備え、前記パルスレーザー光源からパルスレーザーを前記エアロゾルに照射してブレークダウンを発生させ、前記微粒子のブレークダウン発生閾値以上でかつ前記気体のブレークダウン発生閾値以下のレーザー強度分布を有するブレークダウン可能領域を形成し、測定光学系は、前記ブレークダウン可能領域より限定された空間制限領域からのブレークダウン輻射光のみを前記検出装置が測定するように設定することを特徴とする。そして、前記空間制限領域からのブレークダウン輻射光の測定に基づき、微粒子のブレークダウン発生確率を求め、該ブレークダウン発生確率から微粒子の平均個数を求め、該平均個数を前記空間制限領域の体積で割ることにより、前記微粒子の前記数密度を演算する処理装置を備えることを特徴とする。前記測定光学系として、測定範囲の像転送が行えるようなレンズ系とスリット又は光ファイバーを用いる。前記エアロゾルの空間の外部から該空間における所定の位置に至るビームダクトを備え、パルスレーザーを該ビームダクトの内方を通過させて、ビームダクトを出た直後からの領域を測定することが望ましい。測定範囲である空間制限領域の上流側でエアロゾルによるブレークダウンが生じないように、測定範囲直前までビームダクトを設けてエアロゾルが光路に侵入しない構造であることが好ましい。前記ビームダクトは、前記ブレークダウン可能領域の一部を覆うように配置されることが好ましい。前記空間制限領域は、少なくともビームダクトを用いて限定された領域とすることができる。また、前記限定された測定領域であるレーザー伝搬方向の長さをブレークダウン発生閾値強度の径方向の広がりと一致させると、最も空間分解能を高くすることができる。レーザー強度は水滴と大気のエアロゾルの場合、ブレークダウン発生閾値の3−20倍で上述のように、ブレークダウン発生閾値以上の強度の径方向の広がり(中心から径方向両端)は集光径の0.742−1.22倍となる。したがって、空間制限領域は、そのレーザー伝搬方向の長さはおよそ集光径を目標として設定することが望ましい。よって、本発明の実施にあたっては、エアロゾルの種類や気体の圧力やレーザーの照射条件(パルス幅、発振波長)等の諸条件によりブレークダウン発生閾値等が異なるので、空間制限領域は、そのレーザー伝搬方向の長さが集光径の0.5〜2倍の範囲になるよう設定することが好ましい。より好適には0.5〜1.5倍の範囲である。また、上記の測定条件のうちブレークダウン発生確率が45−87%、ブレークダウン発生閾値の3倍以上で得られるような集光条件を設定することが好ましい。また、前記微粒子は、固体でも液体でもよく、代表的には液滴である。
本発明の方法は、微粒子と気体とが混在するエアロゾルにおける微粒子の数密度の測定方法であって、パルスレーザーを前記エアロゾルに照射してブレークダウンを発生させ、前記微粒子のブレークダウン発生閾値以上でかつ前記気体のブレークダウン閾値以下のレーザー強度分布を有するブレークダウン可能領域を形成し、測定光学系を、前記ブレークダウン可能領域より限定された空間制限領域からのブレークダウン輻射光のみを測定するように設定することを特徴とする。前記微粒子の前記数密度は、前記空間制限領域からのブレークダウン輻射光の測定に基づき、微粒子のブレークダウン発生確率を求め、該ブレークダウン発生確率から微粒子の平均個数を求め、該平均個数を前記空間制限領域の体積で割ることにより求めることを特徴とする。
集光したレーザー光の強度分布は短焦点の集光光学系を使った場合でも径方向に比べて伝搬方向には桁違いに拡大してしまう。このため測定光学系の空間制限を設置していない従来のレーザー誘起ブレークダウンによる数密度の測定法では、ブレークダウン発生閾値以上の範囲は伝搬方向に著しく拡大し空間的な情報がレーザー伝搬方法に関して得られにくい欠点があった。本発明のように、ブレークダウン発生閾値以上の強度を持つ領域のうち限定した範囲である空間制限領域のブレークダウンからの輻射だけを測定することにより、レーザー集光形状に依存して伝搬方向に著しく落ちた空間分解能を飛躍的に向上する。この測定範囲を設置された集光光学系、観測光学系、ビームダクトの位置を相対的に変えることなく、エアロゾル中の観測位置を移動させることで、レーザー伝搬方向の数密度の空間分布情報が得られることになる。したがって、従来のレーザー誘起ブレークダウンを用いた測定方法では伝搬方向に長い範囲で積分して測定した液滴数密度が、本発明では空間分解して測定できることで、極小的な伝搬方向の密度変化の測定が可能になる。また、従来の方法では伝搬方向に測定域内で均一性が必須の条件となるが、本発明の測定装置による空間分解を行う方法では、極小的に変化する密度分布が2次、3次元的に得ることが可能となる。また、このレーザー誘起ブレークダウンを用いた測定方法はレーザーパルス幅程度の非常に高い時間分解能を持つため時間を含めた4次元的な数密度分布が正確に評価できるようになる。
本発明のように、スリット、イメージ転送を行う測定光学系を用いて、測定範囲である空間制限領域を限定するので、レーザー伝搬方向の空間分解能を向上でき、スリット幅、集光径を調整することにより、レーザー不安定性による測定誤差、測定サンプル数に依存した統計誤差の少ない条件でエアロゾル中の液滴等の微粒子数密度測定ができる。本発明のように、光ファイバーを用いて、光ファイバーの補足角度によって、測定範囲である空間制限領域を限定するので、イメージ転送を行う光学系などが無い簡単な構造で高精度の測定ができる。
液滴数密度測定におけるレーザー強度を説明する図 ビームダクトを用いた構造を示す図で、(A)は従来例、(B)は本発明を示す図 ブレークダウン閾値以上の体積及び測定誤差のレーザー強度依存性を示す図 ブレークダウン発生確率に対する、液滴数及び統計誤差による値と真の値との比を示す図 第1の実施の形態を示す図 第2の実施の形態を示す図 第3の実施の形態を示す図
本発明の装置及び方法について、実施の形態により以下詳細に説明する。本発明は、微粒子数密度測定において、レーザー伝搬方向に対し垂直もしくは垂直に近い角度から集光光学系で発光を捕捉し、スリット等で発光位置を限定することで所定の測定範囲の輻射光のみを測定することを、基本的構成とするものである。また、本発明の測定に際して、レーザー伝搬方向において制限される空間の体積の減少に対して十分に測定可能になるように集光径を設定するものである。また、レーザー伝搬方向の上流側でブレークダウンが生じレーザーエネルギーが測定域に到達する前にランダムに減少してしまうことを防ぐために、測定域上流側にビームダクトを設置しエアロゾルのブレークダウンが生じないようにすることが好ましい。
本発明では、微粒子数密度は、測定光学系により限定された空間制限領域からのブレークダウン輻射光のみを観測してブレークダウン発生確率を求め、該ブレークダウン発生確率から微粒子の平均個数を求め、該平均個数を前記空間制限領域の体積で割ることにより、前記微粒子の前記数密度を求めることができる。
観測域である、ブレークダウン発生閾値以上の体積のうちの一部の範囲である空間制限領域の体積は、(数1)の式のブレークダウン発生閾値強度をX軸に回転させて得られる図形から求める。レーザー伝搬方向の範囲は測定範囲のみである。
(第1の実施の形態)
本実施の形態について、図5を参照して以下説明する。図5は、本発明の第1の実施の形態について模式的に説明する図である。図5の液滴数密度測定装置は、照射用パルスレーザー1のレーザー光源と、集光用レンズ2と、ビームダクト5と、測定用イメージ転送光学系6と、空間制限のためのスリット8と、フォトダイオード等の輻射検出装置9とを備える。エアロゾルの空間に向けて、パルスレーザー1を出射し、集光用レンズ2により、集光させる。3は、集光されたレーザーの軌跡を示す。4は、集光位置での、集光されたレーザーの強度分布を示す。図中、レーザー強度分布を、濃淡で表した。詳細には、図1のようになる。エアロゾル空間内にブレークダウン可能強度領域が位置するようにパルスレーザー光をエアロゾル空間に向けて照射する際に、エアロゾル空間の外部から該空間における所定の位置に至る長さ寸法の筒体からなるビームダクト5を設け、パルスレーザー光をビームダクトの内方を通過させて、エアロゾル空間を照射する。ビームダクト5は、円筒もしくはビームの集光の立体角の円錐が望ましい。同時にエアロゾルの流体を乱さないよう出来るだけ小さな外径をもつダクトであることが望ましい。また同じ理由からビームダクトは流れを乱しにくいエアロゾル吹き出し方向に対して流線型のような断面を持つことが理想的である。ビームダクトは、ブレークダウン発生閾値以上の範囲に覆い被さるように配置されている。
パルスレーザー光照射により発生したブレークダウンを、フォトダイオード等の輻射検出装置9により検出する。本実施の形態では、ブレークダウンによる輻射光を、測定用イメージ転送光学系6と、空間制限のためのスリット8とを介して、検出装置9により検出する。7は、像転送されたブレークダウンの輻射の軌跡を表す。
図5に示すように、レーザー伝搬方向に対し垂直もしくは垂直に近い角度から集光光学系で発光を捕捉し、スリットで発光位置を限定することで中心付近の発光のみを測定する。このときレーザー伝搬方向で制限される空間の減少に対しても十分に測定可能な体積を確保可能な集光径を設定する必要がある。また、発光を捕捉する集光光学系は、レーザーブレークダウンの輻射光がスリット上にイメージ転送されるように設定する必要がある。このとき、ブレークダウンの輻射光は、ビームダクトから出た直後に光りはじめるため、両方に刃があるスリットではなくビームダクトの端が投影されない方のスリットの刃のみをナイフエッジとして用い伝搬方向の空間を制限する構造でも構わない。または、観測域の下流側にもビームダクトを設置し上流と下流のビームダクト間を観測域として、スリットやナイフエッジを設けない構造も可能である。輻射光の検出器に関してはさらにエアロゾル中で散乱したパルスレーザー光が検出器に検知されないよう、レーザー波長に対して減衰率の高く、輻射光に対しては透過率が高いフィルターを設置する必要がある。またブレークダウンの輻射を観測する手段は、フォトダイオード等の輻射検出装置9に換えてCCDカメラのようなものでもよい。
本実施の形態において、ブレークダウン発生閾値以上の範囲の一部である観測域である空間制限領域の体積は、正確には(数1)の式の強度分布Iをx軸を中心に回転させることで求めることができる。
(第2の実施の形態)
本実施の形態について、図6を参照して以下説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態で用いた測定用イメージ転送光学系6とスリット8とに換えて、光ファイバー等による輻射測定光学系10を用いた例であり、他の条件は同じである。点線で示す11は、光ファイバーの捕捉角度を表す。図6に示すように、検出範囲からの発光を光ファイバーで一定の角度のみ捕集し、第1の実施の形態の光学系の像転送と同様の効果をもたらす設定である。ファイバーでブレークダウンを捕捉可能な角度を把握し、レーザー伝搬方向に対して垂直に距離を置くことにより、測定域を設定することができる。
(第3の実施の形態)
本実施の形態について、図7を参照して以下説明する。本実施の形態は、第1の実施の形態で示した基本的構成を複数備えた例である。図5の構成のレーザー光をビームスプリッターで分離し、図7のようにブレークダウンを一列で生じるような構成とし、その垂直方向に観測装置を設置し、エアロゾル空間を同時に観測可能な範囲に対して空間制限をかける。本実施の形態では、ブレークダウン輻射光を検出する測定器にはレンズに1対1対応するようにスリットと検出器で観測しても構わないし、全体をCCDカメラ等で2次元撮影することで、発光場所を限定しても構わない。
また、図7で示した測定用イメージ転送光学系6と空間制限のためのスリット8とに換えて、同時観測する方法を、第2の実施の形態で示したファイバーを用いた方法で行ってもよい。
測定の標本誤差を小さくさせてブレークダウン発生確率を測定するために多数のレーザー照射回数なる標本数が必要であるが、本実施の形態のように多点で同時観測することにより、同時に複数の場所で測定することが可能となるので、空間的な2、3次元の測定、時間軸を含めた4次元の分布測定を行う際に、レーザー照射回数を少なくすることが可能となり、短い時間での分布測定が可能となる。
なお、上記実施の形態等で示した例は、発明を理解しやすくするために記載したものであり、この形態に限定されるものではない。
本発明によれば、エアロゾルを用いる産業の分野において、液滴の数密度の空間分布、時間変化の把握を目的としたものに利用可能である。本発明では、特に高時間分解能が得られることから、過渡的もしくは間欠的に放出されるエアロゾルの液滴数密度分布の評価装置として用いることが可能である。具体的な応用例としてエンジン内部の液滴数密度分布の時間空間変化の測定などに利用可能である。
1 照射用パルスレーザー
2 集光用レンズ
3 集光されたレーザーの軌跡
4 集光されたレーザーの強度分布
5 ビームダクト
6 測定用イメージ転送光学系
7 像転送されたブレークダウンの輻射の軌跡
8 空間制限のためのスリット
9 フォトダイオード等の輻射検出装置
10 光ファイバー等による輻射測定光学系
11 光ファイバーの捕捉角度

Claims (12)

  1. 微粒子と気体とが混在するエアロゾルにおける微粒子の数密度の測定装置であって、
    パルスレーザー光源と測定光学系と検出装置とビームダクトを備え、
    前記パルスレーザー光源からパルスレーザーを、前記ビームダクトの内方を通過させて、前記エアロゾルに照射してブレークダウンを発生させ、前記微粒子のブレークダウン発生閾値以上でかつ前記気体のブレークダウン発生閾値以下のレーザー強度分布を有するブレークダウン可能領域を形成し、
    前記測定光学系は、前記ブレークダウン可能領域より限定された空間制限領域からのブレークダウン輻射光のみを前記検出装置が測定するように設定され
    前記空間制限領域は、少なくとも前記ビームダクトを用いて限定された領域であり、前記ビームダクトが前記ブレークダウン可能領域の一部を覆うように配置されていることを特徴とする微粒子数密度測定装置。
  2. 前記空間制限領域からのブレークダウン輻射光の測定に基づき、微粒子のブレークダウン発生確率を求め、該ブレークダウン発生確率から微粒子の平均個数を求め、該平均個数を前記空間制限領域の体積で割ることにより、前記微粒子の前記数密度を演算する処理装置を備えることを特徴とする請求項1記載の微粒子数密度測定装置。
  3. 前記測定光学系は測定範囲の像転送を行うレンズ系とスリットを備え、前記レンズ系と前記スリットを介してブレークダウン輻射光を前記検出装置により検出することを特徴とする請求項1又は2記載の微粒子数密度測定装置。
  4. 前記測定光学系は光ファイバーを備え、前記光ファイバーを介してブレークダウン輻射光を前記検出装置により検出することを特徴とする請求項1又は2記載の微粒子数密度測定装置。
  5. 前記空間制限領域は、レーザー伝搬方向の長さが集光径の0.5〜2倍であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の微粒子数密度測定装置。
  6. 前記微粒子は、液滴であることを特徴とする請求項1乃至のいずれか1項に記載の微粒子数密度測定装置。
  7. 微粒子と気体とが混在するエアロゾルにおける微粒子の数密度の測定方法であって、
    パルスレーザーを、ビームダクトの内方を通過させて、前記エアロゾルに照射してブレークダウンを発生させ、前記微粒子のブレークダウン発生閾値以上でかつ前記気体のブレークダウン発生閾値以下のレーザー強度分布を有するブレークダウン可能領域を形成し、
    測定光学系を、前記ブレークダウン可能領域より限定された空間制限領域からのブレークダウン輻射光のみを測定するように設定
    前記空間制限領域は、少なくとも前記ビームダクトを用いて限定された領域であり、前記ビームダクトが前記ブレークダウン可能領域の一部を覆うように配置することを特徴とする微粒子数密度測定方法。
  8. 前記微粒子の前記数密度は、前記空間制限領域からのブレークダウン輻射光の測定に基づき、微粒子のブレークダウン発生確率を求め、該ブレークダウン発生確率から微粒子の平均個数を求め、該平均個数を前記空間制限領域の体積で割ることにより求めることを特徴とする請求項記載の微粒子数密度測定方法。
  9. 前記測定光学系はスリットを備え、前記スリットを介してブレークダウン輻射光を測定することを特徴とする請求項又は記載の微粒子数密度測定方法。
  10. 前記測定光学系は光ファイバーを備え、前記光ファイバーを介してブレークダウン輻射光を測定することを特徴とする請求項又は記載の微粒子数密度測定方法。
  11. 前記空間制限領域は、レーザー伝搬方向の長さが集光径の0.5〜2倍であることを特徴とする請求項乃至10のいずれか1項に記載の微粒子数密度測定方法。
  12. 前記微粒子は、液滴であることを特徴とする請求項乃至11のいずれか1項に記載の微粒子数密度測定方法。
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