JP2009268956A - クラゲ類の処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】クラゲ類の減量化を短時間かつ簡便に行うことのできる新規な方法について提案する。
【解決手段】多孔質粒子を浮遊流動させた流動層に、クラゲ類を装入し、該多孔質粒子を介してクラゲ類の水分を除去し、クラゲ類を減量化する。
【選択図】図3

Description

本発明は、例えば、発電所等の取水口から侵入して捕獲そして陸揚げされたクラゲ類の減量化をはかる、クラゲ類の処理方法に関する。なお、ここでは、クラゲの他に、サルパを典型例とする大型プランクトンなどの海棲物を含めて、クラゲ類と総称する。
火力発電所及び原子力発電所、或いは石油プラント、化学工場及びその他の臨海プラントでは、冷却水等に使用するための多量の海水や淡水を、施設内に取り入れている。このような取水は、各施設の例えば海を臨む区域に設けられた、取水口を介して行われる。この取水口のある水中にはクラゲ類や大型プランクトンなどの浮遊性生物が多数生息し、特にクラゲ類は夏季に大量発生し、これが取水口に殺到して取水口を閉塞することが問題となっている。
クラゲ類の取水口への侵入を防ぐために、取水口には、その入側に、捕獲網や、いわゆるロータリースクリーンと称される除塵機が設置され、クラゲ類の取水口への侵入を未然に防いでいる。これらに捕らえられた大量のクラゲ類は陸上に引き上げられ、そのまま放置して天日乾燥し減量化してから、あるいはそのまま産業廃棄物として廃棄処分にしている。
ここで、クラゲ類はその95%以上が水分であって容積及び重量が嵩むため、そのまま産業廃棄物として大量に処分するのは難しい。そこで、天日乾燥して減量化をはかってから廃棄処分にしている。しかしながら、クラゲ類は腐敗し易く、天日乾燥中にも腐敗が進み悪臭が発生するなど、処理作業面において様々な問題が発生している。
天日乾燥によらないクラゲ類の減量化に関して、特許文献1には、クラゲ類を塩類または海水濃縮液などの高浸透圧雰囲気に置くことによって減量化をはかることが開示されている。
特開2001−149910号公報
上記した湿式の処理方法は、まず、減量化に長時間を要する上に、大量のクラゲ類を処理するには大きな設備を必要とするために、上述のように大量発生するクラゲ類の処理に適用することは難しい。また、固体と液体との分離、固体分離後の処理及び液体中に存在している様々な懸濁物質を凝集沈殿させ、さらには液体を浄化させる等、数々のプロセスが必要になり、当該処理に要するエネルギーや処理剤に代表される、処理コストが高くなること、最終的には廃水処理を行わなくてはならないため、大きな処理設備が必要になること、も問題となる。
そこで、本発明は、クラゲ類の減量化を短時間かつ簡便に行うことのできる新規な方法について提案することを目的とする。
さて、発明者らは、クラゲ類の脱水に関する基礎実験を行い、上記目的に適うクラゲ類の減量化手法を鋭意究明した。次に、水クラゲを対象とした実験結果について、詳しく述べる。
すなわち、水クラゲ等の生体組織に含まれている水を除去する方法として、(i)浸透圧と熱乾燥の併用、(ii)凍結乾燥、(iii)電気浸透法等の方法が考えられる。ここで、水クラゲの体成分は、分析結果によると、水分95質量%、灰分2.1質量%、脂質0.012質量%、蛋白質1.71質量%及び糖質0.91質量%である。
通常、クラゲ類の生体組織は乾燥に伴って表層が収縮することから、生体組織内部の水を完全に除去するためには、表層組織の収縮を抑えることが重要である。特に、水クラゲの含水量は95質量%と極めて高いことを考えると、上記(i)の方法が経済性をも考慮した際、最良であると考えられる。そこで、上記(i)の方法について、その脱水機構を把握するために、以下の基礎実験を行った。
[実験方法]
東京湾にて採取した水クラゲを試料とし、このクラゲを1cm3程度のサイズに裁断した。裁断したクラゲ試料片は透明で弾力性のある生体組織である。このクラゲ試料片を用いて、(A)室温下及び(B)50℃の乾燥器内の条件下で乾燥実験を行った。
さらに、上記(A)及び(B)の条件下において浸透圧の効果を調べるために、塩を添加することを試みた。それぞれの条件をまとめて、下記に示す。

(A)室温下(室温:23.3℃〜25℃,相対湿度:71〜73%)
(A)−1:クラゲ(3.75g:クラゲ類細片2個)をシャーレに入れて乾燥する。
(A)−2:クラゲ(2.66g:クラゲ類細片2個)と塩(2.72g)をシャーレに入れて、クラゲの表面に塩を添加した状態で乾燥する。
(A)−3:クラゲ細片2個に含まれている水相当量の蒸留水(2.72g)を塩(2.85g)に添加し、これをクラゲ細片2個とともにシャーレに入れてクラゲ類を乾燥する。
(B)50℃の乾燥器内
(B)−1:クラゲ(4.46g:クラゲ細片2個)をシャーレに入れて乾燥する。
(B)−2:クラゲ(4.04g:クラゲ細片2個)と塩(5.58g)をシャーレに入れて、クラゲの表面に塩を添加した状態で乾燥する。
(B)−3:クラゲ細片2個に含まれている水相当量の蒸留水(3.76g)を塩(4.68g)に添加し、これをクラゲ細片2個とともにシャーレに入れてクラゲを乾燥する。
[実験結果]
室温下で乾燥を行った際の脱水率の経時変化を、図1に示す。
ここで、脱水率は、試料(A)−1、(A)−2、(B)−1及び(B)−2において、
(時間毎の脱水量/クラゲ細片試料の全重量)×100
一方、試料(A)−3及び(B)−3においては、
(時間毎の脱水量/塩に添加した蒸留水量)×100
と定義する。
同図に示すように、いずれの乾燥条件においても脱水は時間に対して直線的に進行している。このことは、脱水乾燥が恒率乾燥であることを示している。即ち、クラゲの生体内に含まれている水はクラゲ細片試料の表面に移動して蒸発している。そして、クラゲ表面組織は時間の経過に対して収縮していないことを示している。
ここで、乾操速度の順序を見ると、試料(A)−1>試料(A)−2≒試料(A)−3である。このことから、室温下での脱水乾燥においては塩添加の効果は無く、むしろ、塩をクラゲの表面に添加すると、クラゲ表面からの水の蒸発が妨げられていることがわかる。また、室温条件(A)における脱水乾燥速度は、50℃の乾燥器内で行う条件(B)と比較(図2と比較)すると、非常に遅いと言える。
次に、50℃の乾燥器内で乾燥を行った際の脱水率の経時変化を、図2に示す。この条件下における脱水速度は、(B)−3>(B)−2>(B)−1となった。即ち、クラゲ試料のみ((B)−1)の乾燥では、初期乾操速度は比較的速いが、時間の経過と共に遅くなっている。このことは、乾操と共にクラゲの表面組織が収縮した結果、クラゲ試料内部の水が表面に移動する際の大きな抵抗となっていることを示している。塩に水を添加した試料(B)−3では、塩粒子の表面に付着した水が蒸発するために脱水は直線的に進行(恒率乾燥)している。クラゲ類に塩を添加した試料(B)−2では、乾燥初期に多少の遅れがみられるものの、その後脱水速度は急激に上昇し、試料(B)−3と同程度の脱水速度で乾燥が進行し、脱水率が94%程度で乾燥は終了した。この脱水率94%は、水クラゲの含水率95%にほぼ等しいものである。
以上の結果をまとめると、塩をクラゲに添加することによって、クラゲの組織内の水が浸透圧によって塩側に移動することは明らかである。さらに、条件(B)によれば、塩に移動した水は熱の供給によって蒸発し、さらに効率の良い脱水が実現する。この脱水速度は、図2に(B)−3にて示すように、極めて迅速である。このことから、クラゲの組織から水を迅速に除去するためには、クラゲ表面の組織を収縮させずに水を移動させることが重要であることがわかる。
上記した実験から、水を移動させる役目は塩が担っていることがわかる。ここで、この条件(B)と室温条件(A)との比較から、塩に移動した水を、ある速度で除去することによって、塩の浸透圧効果がより発現することも判明した。即ち、浸透圧に伴うクラゲ類から塩への水の移動と塩からの水の蒸発とを効率良く組み合わせることによって、クラゲからの迅速な脱水が実現するのである。
以上の実験結果を踏まえ、効率の良い脱水が実現する処理方法を検討したところ、流動層を利用することが極めて有効であるとの新規知見を得た。すなわち、流動層は、流動化粒子として塩を、例えば底部に分散板を有する円筒形の容器に充填して、容器底部から空気を流入させることによって、塩を容器内に浮遊させて形成する。この流動層にクラゲ類細片を投入し、流動化のための空気の量を操作することによって、流動化粒子(塩粒子)とクラゲ類細片との接触状態及び塩からの水の蒸発量を適正に制御できることが明らかになった。
さらに、流動化粒子として、クラゲ類からの吸水及びその後の蒸発を高効率で行うのに適した性質について検討したところ、塩による浸透圧利用よりも多孔質体による毛細管現象の利用が極めて重要な要素になることも見出し、本発明を完成するに到った。
すなわち、本発明の要旨は、次のとおりである。
(1)多孔質粒子を浮遊流動させた流動層に、クラゲ類を装入し、該多孔質粒子を介してクラゲ類の水分を除去し、クラゲ類を減量化することを特徴とするクラゲ類の処理方法。
(2)前記流動層において多孔質粒子の乾燥を行う前記(1)に記載のクラゲ類の処理方法。
(3)前記多孔質粒子は、径が1μm〜5mm及びBET比表面積が300〜800m/gである前記(1)または(2)に記載のクラゲ類の処理方法。
(4)前記多孔質粒子が、シリカゲル、活性炭、アルミナ及びゼオライトのいずれか少なくとも1種である前記(1)ないし(3)のいずれかに記載のクラゲ類の処理方法。
(5)前記多孔質粒子に塩を添加する前記(1)ないし(4)のいずれかに記載のクラゲ類の処理方法。
(6)前記塩の添加量が5質量%以上である前記(1)ないし(5)のいずれかに記載のクラゲ類の処理方法。
本発明の方法は、多孔質粒子による流動層を用いてクラゲ類の処理を行うため、クラゲ類の脱水・乾操は全て乾式で実現できる。その結果、クラゲ類に含まれている水分は、直接クラゲ類から除去でき、また毛細管現象によってクラゲ類の水分は多孔質粒子に移動して除去され、簡便かつ確実にクラゲ類の脱水を行うことができる。従って、かように減量化したクラゲ類を扱うことも容易となり、例えばクラゲ類の中に含まれている“ムチン”等に代表される有用物質を抽出操作で分離することも可能になる。このムチンは、薬品等の付加価値の高い物質として利用できる等の利点がある。
また、本発明の乾式の手法では、湿式の手法に比べて簡便であり、かつ設備投資およびランニングコストの経費を余り必要としない、という利点もある。特に、流動層自体が小さな設備で済む上、付帯設備も必要としないため、設置場所を選ばず、車や船などの輸送手段への設置も可能である。
さらに、多孔質粒子に塩を添加すれば、塩が存在するために腐敗菌の細胞は浸透圧によって破壊され、クラゲ類の腐敗を防止することができる。そして、クラゲ類の組織はそのまま塩づけ・乾燥状態で保存されて、食品への有効利用も可能となる。
さらにまた、流動層の雰囲気を加熱調整した場合、乾操を促進する熱は、多孔質粒子を介してクラゲ類に効率良く伝達されるため、脱水時間の短縮が可能になる。
以下、本発明のクラゲ類の処理方法について、図面を参照して詳しく説明する。
まず、図3に、本発明で使用する、流動層反応装置1を示す。この流動層反応装置1は、円筒型の容器2の底部に多孔板(ガス分散板)3を設置して成る、極めて単純な反応容器である。この多孔板3の上部に、シリカゲルを典型例とする多孔質粒子(流動化粒子)40を投入し、ブロアー(送風機)5により多孔板3の底部から空気6を送入することによって、流動層4が形成される。また、図示の流動層反応装置1は攪拌式であり、多孔板3上に配置した羽7をモータ8で駆動し、攪拌をはかることができる。
ここで、流動層4を形成する際の条件について、流動層反応装置1に付帯させた、差圧計9による圧力損失△pr及びオリフィス計10による送入空気量Gの測定結果を示す、図4を例に説明する。すなわち、図4において、流動層に送入する空気量Gを円筒型容器2の断面積Sで割った値U(≡G/S)を横軸に取り、縦軸に△Prを取ると、流動層内の多孔質粒子は次の様な挙動を示す。
U<Umf(流動化最小速度):送入空気は多孔質粒子の間隙を通過し、多孔質粒子は固定化された状態である。この空気流速の範囲では△PrαU(比例関係)となり、この状態を固定層と呼ぶ。
mf≦U<Usp:この空気流速の範囲ではUを変えても△Prは一定値(△Prfを示す。多孔質粒子は浮遊した状態を呈し、あたかも多孔質粒子は液体のような挙動を示し、導入した空気の一部は気泡を形成して上昇する。
U≧Usp:この空気流速の範囲では、流動層内は噴流状態を呈し、多孔質粒子は空気と共に円筒型の容器外に飛び出してしまう。いわゆる多孔質粒子の空気輸送の状態に類似している。
従って、流動層を形成するには、上記のUmf≦U<Uspの範囲で運転を行うことが必要である。
なお、多孔質粒子の流動化状況が悪い場合(多孔質粒子間の粘着あるいは摩擦等が原因)には、図3に示すように、多孔板3上に羽根7を設置し、この羽根7を攪拌モータ8によりゆっくりと回転させることによって、流動化状態を改善することが可能である。このように、攪拌用の羽根を設置した流動層反応装置を攪拌流動層反応装置と呼んでいる。
いずれにしても、流動層反応装置は含水性の湿潤物体(クラゲ類が典型例)を効率良く乾燥することができる装置であり、その特長は下記(i)〜(v)に示す通りである

(i)多孔質粒子は浮遊した状態であるために、含水性の物体との接触頻度が高い。その結果、吸湿性の流動化多孔質粒子を用いると含水性物体の脱水・乾燥を効率良く行うことができる。
(ii)流動化粒子は浮遊し、流動状態にあることから、乾燥用空気との接触も極めて良好かつ流動層内の状態は熱的にも均一である。
(iii)多孔質粒子に高い吸湿性、高い熱伝導性、殺菌性を付与することにより、比較的低温レベルの廃熱(例えば、30〜45℃)を利用して効率良くクラゲ類の脱水乾燥を行うことができる。さらに、殺菌効果により処理中におけるクラゲ類の腐敗防止、悪臭防止が可能である。
(iv)含水率が95%のクラゲ類は、脱水・乾燥により、その重量が激減する。その結果、流動化空気の量によって、乾燥クラゲ類片は流動層から飛び出し、例えばサイクロンの設置によって分離・回収することが可能である。
(v)回収された乾燥クラゲ類は、含有成分(ムチン)の再資源化あるいは食品としての利用も可能である。
上記に従って適切な流動層4を形成した後は、図3に示すように、該流動層4に好ましくは細片としたクラゲ類11を装入し、流動層4を形成する多孔質粒子40を介してクラゲ類11の水分を除去する。すなわち、流動層4において多孔質粒子40をクラゲ類11と接触させることによって、クラゲ類11から多孔質粒子40への水の移動と多孔質粒子40からの水の蒸発とを効率良く行うことによって、クラゲ類11からの迅速な脱水が可能である。
ここで、クラゲ類11からの脱水を迅速に行うには、流動層の雰囲気温度を、流動層容器を設置した場所の外気温や室温などの環境温度より高くすることが好ましい。なぜなら、流動層に空気とともに送り込むエネルギーが高いほど乾燥効率を上げることができるためである。一方、流動層の雰囲気温度が高くなりすぎると、クラゲに含まれるムチンなどを含む有効な蛋白質が変性し、乾燥後の有効利用が難しくなることから、蛋白質の変性温度未満とすることが好ましい。
上記の雰囲気温度の下、クラゲ類の脱水に要する処理時間は、特に限定する必要はなく、処理量や運転条件の設定にて適宜の変更が可能である。
流動層の雰囲気温度を上記の範囲に調節するには、ガス分散板3から容器内に導入する空気を、例えば図5に示すヒーター12によって当該温度域まで加熱することが好ましい。このヒーター12の加熱源としては、発電所や工場からの廃熱を利用することが好ましい。すなわち、発電所や工場などにおいて、例えば蒸気配管、ボイラーまたはタービン建屋からの排気のように、そのまま排出されて利用されないことが多く、これらの廃熱を利用することは省エネルギーの観点からも推奨される。
また、前記多孔質粒子には、径が1μm〜5mm及びBET比表面積が300〜800m/gのものを用いることが好ましい。すなわち、粒子径が5mmより大きい場合は、上述した流動層における最小流動化速度(Umf)が大きくなり、空気投入量を多くする必要があり、経済的に不利である。さらに、多孔質粒子とクラゲ類との接触効率が悪くなり、乾燥に必要なエネルギーにおける損失分が大きくなる。一方、粒子径が1μmより小さいと、上述した流動層における最小流動化速度(Umf)(流速)が小さくなり、乾燥させるためのエネルギーの送り込み効率が小さくなり、結果とエネルギー効率が低下してしまう。
かような多孔質粒子には、シリカゲル、炭及びアルミナなどを挙げることができる。
さらに、前記多孔質粒子40に塩を添加することが好ましい。すなわち、脱水・乾燥速度が、多孔質粒子(例えばシリカゲル)と塩との相乗効果によって飛躍的に向上すること、塩(食塩)はクラゲ類の腐敗を抑制できること、が判明した。
以上の知見を得るに到った実験結果について、次に詳しく述べる。
流動層を用いたクラゲ類の乾燥では、熱エネルギーの供給のみならず、流動化粒子の性質が乾燥速度に影響する。今回の実験では、流動化粒子として、(i)食塩粒子(市販品)、(ii)シリカゲル粒子[粒径355〜180μm(94.9%)、180μm未満(5.1%)及び表面積671m2/g]、そして(iii)上記(ii)の粒子に20質量%濃度のNaCl溶液を含侵後乾燥したシリカゲル/NaCl複合粒子、の3種を用いた。
また、流動層反応装置は、内径78mm、高さ545mmおよび分散板の孔径1mm×31個の仕様の下、流動化ガスとして乾燥空気(空気ボンベ))を使用し、流動層の高さが底から11cmになるように流動化ガスを調整した。
上記の条件の下、各流動化粒子を用いて、クラゲからの脱水・乾燥速度を評価した。この評価は、クラゲの脱水・乾燥速度に係る乾燥速度係数kを以下のように定義し、この係数kをもって評価した。
まず、クラゲの質量を、
クラゲの最初の質量:W(g)
1分間乾燥後質量:W(g)
2分間乾燥後質量:W(g)
3分間乾燥後質量:W(g)
4分間乾燥後質量:W(g)
分間乾燥後質量:W(g)
とする。
次いで、t分乾燥した後の質量(クラゲの含水量95%として算出)を乾燥重量とみなすと、それぞれの時間におけるクラゲに含まれる水の質量は
ω0=W−W
ω1=W−W
ω2=W−W
ω3=W−W
ω4=W−W
となる。
かくして求めた各時間の含水量ωn(n:1、2、3、4)と、乾燥させた水の質量ω0との比ωn/ω0を片対数紙上の縦軸に、脱水・乾燥時間を横軸にとってプロットすると、図6(a)〜(c)に示すように、いずれの結果もほぼ直線となる。かくして得られたグラフ上の直線の傾きから、次のようにして上記係数kを求めることができる。
すなわち、まず、ω/ω=0.1となる時間t(min)を求めて、下記式に代入することによって、係数k(h−1)を算出できる。

k=2.303×{1/(t/60)}
=2.303×(60/t
この関係式を用いて、上記した3種類の流動化粒子について係数kの値を算出して、流動層温度t(℃)に対してプロットした結果を、図7に示す。乾燥速度係数kの値は、食塩粒子に比べてシリカゲル粒子及びシリカゲル/NaCl複合粒子で高いことがわかる。また、いずれの流動化粒子においても、流動層温度tの上昇と共に係数kの値が増大している。この係数kの温度依存性は、食塩粒子に比べてシリカゲル粒子及びシリカゲル/NaCl複合粒子のほうが3倍程度大きいことが分る。さらに、温度依存性の傾向はシリカゲル粒子とシリカゲル/NaCl複合粒子で類似している。ここで、極めて興味深いことは、シリカゲル粒子の細孔に食塩を含浸したシリカゲル/NaCl複合粒子の乾燥速度係数は、流動層温度30〜46℃の範囲でシリカゲル粒子の2.6倍とさらに高くなっていることである。
ここで、多孔質粒子への塩の添加量は、多孔質粒子を浸漬するNaCl溶液の濃度が5%以上であれば、上述した効果が得られる。一方、NaCl溶液の濃度が80%を超えても、それ以上のNaClの含浸は望めないので、NaCl溶液の濃度が80%以下で十分である。なお、NaCl溶液の濃度とは、飽和水溶液を作製するために必要な塩の重量を100%としたときの、添加した塩の重量割合を「%」表示したものである。
上述した条件下で流動層内で乾燥されたクラゲ類細片は、例えば図5に示すように、空気流と共に流動層1から輸送されてサイクロン13に導入し、ここで、クラゲ類細片11は空気と分離されてサイクロン13底部から排出される。
本発明では、付帯設備をほとんど必要としない乾式であること、さらに、塩を用いた場合は、乾燥に伴うクラゲ類の腐敗は抑制できることから、エネルギー有効利用・環境保全型のクラゲ類処理システムとなる。その上、乾燥状態にあるクラゲ類細片は新たな食品材料としての価値、クラゲ類細片から抽出される物質が医薬品としての価値等、クラゲ類処理のみならず有用物質の生産も期待できるクラゲ類処理方法である。
室温下で乾燥を行った際の脱水率の経時変化を示す図である。 50℃の乾燥器内で乾燥を行った際の脱水率の経時変化を示す図である。 本発明の処理方法に用いる流動層反応装置を示す図である。 流動層を形成するための条件を示す図である。 流動層の加熱手段及び乾燥後のクラゲ類の回収手段を示す図である。 比ωn/ω0と脱水・乾燥時間との関係を示すグラフである。 流動化粒子についての乾燥速度係数kと流動層温度tとの関係を示すグラフである。
符号の説明
1 流動層反応装置
2 容器
3 多孔板
4 流動層
40 多孔質粒子
5 ブロアー
6 空気
7 羽
8 モータ
9 差圧計
10 オリフィス計
11 クラゲ類
12 ヒーター
13 サイクロン

Claims (6)

  1. 多孔質粒子を浮遊流動させた流動層に、クラゲ類を装入し、該多孔質粒子を介してクラゲ類の水分を除去し、クラゲ類を減量化することを特徴とするクラゲ類の処理方法。
  2. 前記流動層において多孔質粒子の乾燥を行う請求項1に記載のクラゲ類の処理方法。
  3. 前記多孔質粒子は、径が1μm〜5mm及びBET比表面積が300〜800m/gである請求項1または2に記載のクラゲ類の処理方法。
  4. 前記多孔質粒子が、シリカゲル、活性炭、アルミナ及びゼオライトのいずれか少なくとも1種である請求項1ないし4のいずれかに記載のクラゲ類の処理方法。
  5. 前記多孔質粒子に塩を添加する請求項1ないし4のいずれかに記載のクラゲ類の処理方法。
  6. 前記塩の添加量が5質量%以上である請求項1ないし5のいずれかに記載のクラゲ類の処理方法。
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