JP2009268905A - 経静脈浸漬カテーテル - Google Patents

Abstract

【課題】標的の臓器内の特定の位置にある細胞外液内に調整可能な濃度で物質（たとえば流体の薬剤など）を選択的に送達することができる、経静脈浸漬カテーテル（ｔｒａｎｓｖｅｎｏｕｓ ｓｏａｋｅｒ ｃａｔｈｅｔｅｒ）及びその使用方法を提供することである。
【解決手段】流体の薬剤を注入するためのシステム及び方法は、その遠位端に取り付けられた注入部材を有する留置カテーテルを必要とする。流体の薬剤の供給源が、カテーテルの近位端と流体連通して連結される。使用の際には、カテーテルは、注入部材が組織の体積に埋め込まれ且つ安定な状態にされて、患者の静脈系内に配置される。次いでポンプは、所定の流体流量で所定の時間、供給源から組織の体積内の細胞外液に流体の薬剤を注入するために作動される。
【選択図】図２

Description

本発明は一般に、留置注入カテーテル（ｉｎｄｗｅｌｌｉｎｇ ｉｎｆｕｓｉｏｎ ｃａｔｈｅｔｅｒ）に関する。より詳細には、本発明は、カテーテルの遠位端にある注入部材を組織の標的体積内に埋め込むことができる、静脈系内の予め選択された部位へ操縦可能なカテーテルに関する。本発明は、排他的ではないが、特に、所定の流体流量で特定の時間にわたり流体の薬剤を組織の体積内の細胞外液に注入する、留置カテーテルとして有用である。

これまで、身体内部の臓器が治療処置を求められた場合に、経口的に、又は静脈内に薬剤を投与することが一般的であった。一般に、これらの薬剤（すなわち薬物）は、身体の血流によって標的の臓器へ、又はそこから移動する。しかし多くの場合には、これによって身体全体が不必要に効能に曝される。また、身体の１つの領域において有効な濃度の流体の薬剤が、他の領域において有毒であるおそれがあることにより、それが非常に問題になる可能性がある。

臓器の組織の一部分しか治療処置を必要としないことが珍しくない。さらに、この臓器組織の部分を長時間の間、比較的高い濃度の流体の薬剤で処置することが望ましい可能性があり、実際に必要である。これを行うための効果的な方法は、流体の薬剤を標的組織内の細胞外液に直接的に注入することによるものである。都合のよいことに、そのような注入では、薬剤が組織内の適用する部位からより距離のある部位へ、濃度勾配をもって拡散すると、効能がいくぶん局所化されて維持できる。さらに、効能は特定の臓器のみに限定することもでき、したがって血流から効果的に分離できる。それでも、そのような条件の下で、流体の薬剤の投与が適切に制御できることが必要である。

様々なタイプのカテーテル・システムが、患者の血管系内で使用するために市販されている。一般に、それぞれのカテーテル・システムは、特定の用途に関して個別の１つ又は複数の機能を行うように、特に設計されている。本発明に関して特に興味深いのは、患者の血管系の静脈系内で長時間本来の位置に保持できる留置カテーテルである。

上記に照らして、本発明の１つの目的は、標的の臓器内の特定の位置にある細胞外液内に調整可能な濃度で物質（たとえば流体の薬剤など）を選択的に送達することができる、経静脈浸漬カテーテル（ｔｒａｎｓｖｅｎｏｕｓ ｓｏａｋｅｒ ｃａｔｈｅｔｅｒ）及びその使用方法を提供することである。本発明の別の目的は、投与された流体の薬剤の標的の臓器組織への露出を効果的に限定する経静脈浸漬カテーテルを提供することである。本発明の別の目的は、所定の領域内ではるかに高い濃度の薬物（たとえば流体の薬剤）の局所投与を可能にしながら、システムの毒性を最小限に抑える、経静脈浸漬カテーテル及びその使用方法を提供することである。本発明の別の目的は、使用が容易で、製造が比較的簡単で、費用対効果が比較的大きい経静脈浸漬カテーテル及びその使用方法を提供することである。

本発明によれば、流体の薬剤を組織の体積に注入するシステムは、近位端及び遠位端を有するカテーテルを含む。流体の薬剤の供給源がカテーテルの近位端と流体連通して取り付けられ、供給源からカテーテルへの流体の薬剤の流れに関する所定の流体流量を確立するために制御装置が設けられる。また、制御装置は、供給源からカテーテルへの流体の薬剤の流れの時間制御を可能にするタイマーを含む。

注入部材がカテーテルの遠位端に取り付けられる。好ましくは、注入部材はカテーテルの遠位端から遠位の方向に延びる細長い針様の構造である。注入部材の１つの実施例では、それは少なくとも１つのレーザ・ピンホール（ｌａｓｅｒ ｐｉｎ ｈｏｌｅ）が形成されている。別の実施例では、少なくとも１つの生分解性繊維が注入部材から延出する。いずれの実施例でも、流体の薬剤がカテーテルを通って圧送された後に、流体の薬剤が１つ又は複数のピンホール又は生分解性繊維を通って注入部材から出る。

本発明に関して想定されるように、注入部材はカテーテルの遠位端にある安定化要素と関連付けることができる。たとえば、注入部材を囲むように螺旋状のワイヤ（すなわちコルク抜き形状のワイヤ）をカテーテルの遠位端に取り付けることができる。別の例として、注入部材それ自体を螺旋形状にすることができる。

本発明の動作において、静脈内浸漬カテーテル（ｉｎｔｒａｖｅｎｏｕｓ ｓｏａｋｅｒ ｃａｔｈｅｔｅｒ）は注入部材が意図される標的部位に配置されるまで静脈系を通って操縦される。次いで注入部材は、標的部位で組織に埋め込まれ、安定な状態にされる。多くの場合には、注入部材の長さは標的部位でそれを安定させるのに十分な長さである。一方で、上記に示したように、カテーテルに装着された螺旋状の安定化ワイヤを標的部位の組織にねじ込むことによっても安定が得られる。注入部材それ自体が螺旋形状であることもでき、したがってそれは安定させるために標的部位の組織に同様にねじ込むことができる。

カテーテルが適切に配置され、注入部材が適切に安定な状態にされたならば、制御装置が始動される。具体的には、制御装置からの指令によって、流体ポンプは、流体供給源から流体の標的体積内の細胞外液に流体の薬剤を注入するように動作できる。これは、所定の時間、所定の流体流量で行うことができる。本発明に関して想定されるように、流体の薬剤の注入は、長時間にわたって（たとえば５分より長く）連続的に又は周期的に行うことができる。

本発明の新しい特徴、並びに発明それ自体は、構造及び動作の両方に関して、同様の参照符号が同様の部品を指す付随する説明と共に読めば、添付の図面から最もよく理解されるであろう。

本発明による留置式の経静脈浸漬カテーテルに関するシステムの概略図である。 本発明の浸漬カテーテルが組織に動作可能に埋め込まれた、静脈系内の血管に隣接した組織の断面図である。 本発明による浸漬カテーテル用の注入部材の別の実施例の図である。 静脈系内で注入部材を安定させるための螺旋ねじを備える注入部材の図である。 螺旋ねじとして形成された注入部材を示す、別の実施例である。

最初に図１を参照すると、本発明による経静脈浸漬カテーテルに関するシステムが示され、全体的に１０で示される。図示されるように、システム１０は、近位端１４及び遠位端１６を有する留置カテーテル１２を含む。システム１０は、流体の薬剤（たとえば薬物）の供給源１８、及び供給源１８から流体ライン２２を通して流体の薬剤を圧送するために使用できるポンプ２０も含む。流体の薬剤の流れを制御するために、システム１０はさらに、ポンプ２０に電子的に接続された制御装置２４を含む。この組合せで、所定のスケジュールにしたがってポンプ２０を動作するように制御装置２４は予めプログラムされる。具体的には、このスケジュールは、ポンプ２０によって圧送されている流体の薬剤の流量、並びに流れの時間を含むことができる。

図１をさらに参照すると、流体ライン２２が、カテーテル１２の近位端１４と流体連通して連結されていることが分かる。したがって、供給源１８からの流体の薬剤が、制御装置２４からの予めプログラムされた指令に従ってカテーテル１２に直接的に圧送される。図１は、システム１０がカテーテル１２の遠位端１６に取り付けられた注入部材２６を含むことも示す。本発明の目的のために、注入部材２６は、好ましくは複数の穴３０が形成された細長い中空の針２８である。図示されるように、穴３０は好ましくは、中空の針２８の軸線に沿って整列される。それをシステム１０内で使用するため、中空の針２８はステンレス鋼で作成され、穴３０はよく知られたレーザ技術を使用して形成される。

次に、図２に注目すると、注入部材２６がその意図される動作環境において示されている。具体的には、図２は、血管３４の内腔３２内に配置されたカテーテル１２を示す。この例では、システム１０の注入部材２６は、人体内の臓器（図示されない）の組織３６に埋め込まれている。さらに、図２における組織３６は、細胞外液４０によって取り囲まれた複数の細胞３８を解剖学上含むように示されている。当分野の技術者によって理解されるように、ここでの議論は組織３６が臓器組織であるとみなすが、その他のタイプの組織（たとえば筋組織）が、システム１０による治療的介入のために意図される標的組織３６であることもできることが理解されよう。

注入部材２６（図１及び図２に示される）の代替として、図３に示されるような注入部材４２がある。注入部材２６と同様に、注入部材４２は細長い中空の針２８を有する。しかし、穴３０の代わりに、注入部材４２は、針２８の長手方向に沿って配置された生分解性繊維４４を含む。システム１０内で使用するために、生分解性繊維４４は使用される流体の薬剤に対して浸透性がある必要があり、したがってそれらは供給源１８と流体連通している。

システム１０と共に使用する構成要素のさらなる別の実施例が図４及び図５に示されている。具体的には、図４は、カテーテル１２の遠位端１６に取り付けられた螺旋形状のワイヤ４６を示す。システム１０のために意図されたものとして、この螺旋形状のワイヤ４６は、システム１０の動作の間に注入部材２６にさらに安定を与えるために標的組織３６にねじ込まれる。別の代替が図５に示される。そこには、注入部材２６’が、実質的に螺旋形状に構成されて示される。この構成では、注入部材２６’は、それ自体でさらに安定するために標的組織３６にねじ込まれる。

本発明のシステム１０の動作において、流体の薬剤は、流体供給源１８として使用するために選択され、提供される。次いで制御装置２４は、ポンプ２０の動作を制御するためにプログラムされる。具体的には、規定の流体流量及び（周期的又は連続的な）予定された動作上の時間によって、ポンプ２０に関する流体の流れ態様が確立される。次いで、遠位端１６に取り付けられた注入部材２６によって、注入部材２６が選択された部位で標的組織３６に隣接して配置されるまで、カテーテル１２を患者の静脈系を通って前進させる。次いで、注入部材２６は、関連分野においてよく知られた方法によって、標的組織３６に埋め込まれる（図２を参照されたい）。最後に、制御装置２４が作動される。

図２に示されるように、システム１０の動作によって、注入された薬剤４８が標的組織３６内の細胞外液４０と混合する。重要なことには、供給源１８内の流体の薬剤の濃度、並びにポンプ２０によって供給された流体の流れの流量及び時間は制御可能である。したがって、標的組織３６内の注入薬剤４８の濃度勾配も制御可能である。

本明細書において詳細に示し、開示するような特定の経静脈浸漬カテーテルは、目的を達成し、本明細書に前述した利点を提供することが十分に可能であるが、それは本発明の現時点で好ましい実施例を例示したものに過ぎず、添付の特許請求の範囲に説明するもの以外に本明細書に示される構造又は設計の詳細に対して限定する意図が全くないことを理解されたい。

Claims (3)

1. 組織の体積に流体の薬剤を注入するシステムであって、
   近位端及び遠位端を有するカテーテルと、
   前記カテーテルの前記近位端と流体連通して連結された流体の薬剤の供給源と、
   前記カテーテルの前記遠位端に取り付けられた注入部材と、
   組織の前記体積内に前記注入部材を安定させるために、組織の前記体積に前記注入部材を埋め込む手段と、
   流体の薬剤を組織の前記体積内で細胞外液に注入するために、所定の流体流量且つ所定の時間、前記供給源から前記カテーテル及び前記注入部材を通って前記流体の薬剤を移送する圧送手段とを備えるシステム。
2. 前記システムから組織の前記体積内の前記細胞外液に流体の薬剤を送り込む前記注入部材に取り付けられた複数の生分解性繊維をさらに有する、請求項１に記載のシステム。
3. 前記注入部材には、流体の薬剤を前記システムから組織の前記体積内の前記細胞外液に送り込む少なくとも１つの開口が形成されている、請求項１に記載のシステム。

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