JP2009266971A - パワーモジュール - Google Patents
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Abstract
【課題】回路ユニットに生じる熱を冷却器へ効果的に放熱でき、冷却器等からの応力を効果的に緩和して回路ユニットに作用させ難くでき、実装部材間の接続強度の高いパワーモジュールを提供する。
【解決手段】パワーモジュール10は、金属配線板3と、該金属配線板3上に搭載された半導体素子1と、からなる回路ユニットと、回路ユニットが搭載される応力緩和材4と、応力緩和材4が搭載される絶縁樹脂材5と、該絶縁樹脂材5が搭載される冷却器6と、からなり、応力緩和材4と絶縁樹脂材5、および、絶縁樹脂材5と冷却器6がともに熱圧着にて固定されている。
【選択図】図1
【解決手段】パワーモジュール10は、金属配線板3と、該金属配線板3上に搭載された半導体素子1と、からなる回路ユニットと、回路ユニットが搭載される応力緩和材4と、応力緩和材4が搭載される絶縁樹脂材5と、該絶縁樹脂材5が搭載される冷却器6と、からなり、応力緩和材4と絶縁樹脂材5、および、絶縁樹脂材5と冷却器6がともに熱圧着にて固定されている。
【選択図】図1
Description
本発明は、熱応力緩和性能と放熱性能に優れたパワーモジュールに関するものである。
IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)等の半導体素子を搭載したパワーモジュールにおいては、該素子からの発熱を効率よく放熱し、発熱時においても基準温度以下となるような調整が図られている。
ここで、従来のパワーモジュールの実装構造を図3に基づいて説明すると、窒化アルミニウム(AlN)板や純アルミニウム板の積層体からなる絶縁基板b(DBA(Direct Brazed Aluminum)ともいう)の一側面に半導体素子aがはんだ層e1を介して固定され、絶縁基板bの他側面には半導体素子aからの熱を絶縁基板bを介して放熱するための冷却器がはんだ付けもしくは接着剤にて接合されている。より具体的には、絶縁基板bははんだ層e2を介して銅−モリブデン製等の放熱板cに固定され、この放熱板cははんだ層e3を介して冷却器に接合されている。この冷却器は、アルミダイキャスト製の板状のヒートシンクd1と、これに接続される冷水等の冷媒を還流させる機能を備えた冷却装置d2から構成されている。
上記のごとく、従来のパワーモジュールは各種構成部材の多層積層構造となっているが、たとえば半導体素子の熱膨張率が3ppm/K程度、絶縁基板の熱膨張率が4〜5ppm/K程度、ヒートシンクアルミ板の熱膨張率が25ppm/K程度と構成部材ごとに熱膨張率が非常に異なっている。
ところで、上記するパワーモジュールがハイブリッド自動車や電気自動車に搭載される場合には、長期に亘り、しかも寒暖差が極めて激しい冷熱サイクルに対してその耐久性の確保が要求される。しかし、上記のごとく構成部材ごとに熱膨張率が大きく異なっていることから、それぞれの部材を直付けした場合には、温度変化に起因する熱膨張差によって熱応力が構成部材間の接合部に生じ、たとえばはんだ層等の界面でクラックが生じ、これがパワーモジュールの耐久性を低下させる大きな要因となり得る。このクラックの発生を抑止するために、ヒートシンクと絶縁基板の間に熱膨張差を緩和するための放熱板(7〜8ppm/K)を介在させているが、これが多層積層構造の原因の一つになっている。多層積層構造のパワーモジュールでは、部品点数が多く、製造工程が多くなることによって製造コスト増が必至となり、その改善は急務の課題の一つである。
また、上記のごとく多層積層構造のパワーモジュールでは、全体の熱抵抗が高くならざるを得ない。特に、図3の従来構造では、ヒートシンクd1の表面凹凸をシリコングリス等で埋めることもあり、この場合には、グリス材の熱伝導率が低いことからパワーモジュールの放熱性能を低下させる大きな要因となっている。
上記する部品点数の増大、製造工程の増大を解消し、さらには、放熱性に優れた従来技術として本発明者等による特許文献1に開示のパワーモジュールを挙げることができる。
このパワーモジュールは、セラミックスからなる絶縁基板を廃し、これを熱可塑性ポリイミド樹脂等の樹脂系絶縁材料で代替させることにより、部品点数を大幅に低減でき、従来構造のパワーモジュールに比して製造コストを格段に低減することができる。その具体的な構成を図4に基づいて説明すると、半導体素子Aがはんだ層Eを介して金属配線板Bに取り付けられ、金属配線板Bは樹脂系絶縁層Cに取り付けられ、樹脂系絶縁層CはNiめっき層G1を介して金属放熱板Fに取り付けられ、金属放熱板FはNiめっき層G2を介してヒートシンク板D1および還流器D2からなる冷却器に取り付けられたものである。
上記する特許文献1に開示のパワーモジュールによれば、図3で示す従来構造のパワーモジュールに比して、部品点数の大幅な削減を図ることができる。しかし、たとえば図4で示すごとく、金属配線板Bの直下に樹脂系絶縁層Cを設け、その直下に金属放熱板Fを設け、その直下にヒートシンクD1を設けた実装構造では、放熱性と応力緩和性の双方が十分に得られ難いという知見に本発明者等は至っている。
放熱性に関し、金属配線板Bの直下に比較的熱伝導率の低い樹脂系絶縁層Cが位置することにより、回路ユニットで生じた熱がヒートシンクに十分に伝熱されず、したがって、望ましい放熱性能が期待できない、というものである。
また、応力緩和性に関し、比較的剛性が高く、可撓性の乏しい樹脂系絶縁層Cが金属配線板Bの直下に位置していることで、冷熱サイクル時におけるヒートシンクD1の反り等に起因する応力を樹脂系絶縁層Cは十分に吸収しきれず、結果として、その直上に位置する金属配線板B(回路ユニット)には比較的大きな応力が作用してしまい、たとえばはんだ層E等の界面でクラックを生じさせることになる、というものである。
本発明は、上記する問題に鑑みてなされたものであり、製造コストも安価であり、放熱性に優れ、しかも、冷熱サイクル下における耐久性に優れたパワーモジュールを提供することを目的とする。
前記目的を達成すべく、本発明によるパワーモジュールは、金属配線板と、該金属配線板上に搭載された半導体素子と、からなる回路ユニットと、前記回路ユニットが搭載される応力緩和材と、前記応力緩和材が搭載される絶縁樹脂材と、前記絶縁樹脂材が搭載される冷却器と、からなり、応力緩和材と絶縁樹脂材、および、絶縁樹脂材と冷却器がともに熱圧着にて固定されているものである。
このパワーモジュールは、発熱源である回路ユニットを変形性能(可撓性)に優れ、しかも放熱性に優れた応力緩和材の直上に載置し、この応力緩和材を絶縁樹脂材の直上に載置し、これらの積層体を冷却器上に載置したものである。
ここで、応力緩和材は、その降伏点強度が低く、降伏点以降の塑性領域が長い(変形性能が良い)素材(のヤング率)と断面剛性の組合せからなるものが好ましい。さらには、熱伝導性に優れた素材から形成されるのが好ましい。
上記する性能、すなわち、熱伝導性に優れ、しかもヤング率の低い素材として、アルミニウム(アルミニウムのヤング率は70GPa程度)やその合金(アルミニウム−銅合金など)を挙げることができる。
また、応力緩和材の変形性能を向上させる方策として、たとえばアルミニウムからなる多孔体から応力緩和材を形成することができる。
応力緩和材が多孔体であることにより、部材自体の剛性は低下し、その変形性能、すなわち、塑性領域における伸び性が良好となる。
変形性能に優れた応力緩和材が回路ユニットの直下に位置することにより、冷却器の反り等に起因する応力を回路ユニット直下で効果的に吸収もしくは低減することができ、その直上の回路ユニットに応力が作用し難い構造が形成される。
さらに、回路ユニットの直下にたとえばアルミニウム製の応力緩和材が位置することにより、回路ユニットから伝熱された熱はこの応力緩和材にて拡散され(アルミニウムの熱伝導率はおよそ240W/mK)、該応力緩和材からその下方部材へ伝熱される単位面積当たりの熱量が低減される。単位面積当たりの熱量が低減されることにより、応力緩和材の下方に位置する熱伝導性に乏しい絶縁樹脂材を介して、最下層の冷却器に低減された熱を放熱することが可能となる。
ここで、絶縁樹脂材の素材としては、エポキシ樹脂やポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドのうちのいずれか一種を使用でき、さらには、熱伝導性をより高めるべく、これらの樹脂素材にシリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウムなどのフィラーが含有された材料を使用することができる。
本発明のパワーモジュールはさらに、上記する応力緩和材と絶縁樹脂材、および、絶縁樹脂材と冷却器がともに熱圧着にて固定されている。
各部材をボルト締結する場合には、ボルト締結ための部材スペースを要し、ボルト孔を開設する必要が生じる。一方、接着剤等による場合には、冷却器の反りに起因する応力やパワーモジュール駆動時の振動等によって界面剥離の可能性が十分に考えられ、したがって接着界面がパワーモジュール自体の耐久性を決定する一要因となる。
それらの接合形態に対し、積層部材同士を熱圧着することにより、そのためのスペースを部材に別途設ける必要はなく、また、接着剤による接着強度に比して圧着強度は極めて高いことから、パワーモジュールの耐久性を低下させる要因とはなり難い。さらには、一方の部材の接合部位を加熱溶融して他方の部材に押圧するだけであることから、接続効率も極めて良好な接続方法である。
本発明のパワーモジュールは、上記のごとく、回路ユニットからの放熱性能に優れ、回路ユニットに作用し得る応力緩和性能に優れ、しかも、各積層部材同士の接合強度も高く、接合効率も良好なものである。よって、このパワーモジュールは、高放熱性で高耐久性が要求される、近時のハイブリッド車や電気自動車に車載されるインバータ等に好適である。
以上の説明から理解できるように、本発明のパワーモジュールによれば、回路ユニットに生じる熱を冷却器へ効果的に放熱でき、冷却器等からの応力を効果的に緩和して回路ユニットに作用させ難いものであり、さらには、積層される部材間の接続強度の高いパワーモジュールを提供することができる。
以下、図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1は、本発明のパワーモジュールの実装構造を示した模式図である。このパワーモジュール10の実装構造は、半導体素子1(IGBTチップ)がはんだ層2を介して金属配線板3上に取付けられ、金属配線板3が応力緩和材4上に取り付けられ、応力緩和材4が絶縁樹脂材5上に取り付けられ、絶縁樹脂材5がヒートシンク板61および還流器62からなる冷却器6上に取り付けられて構成されている。
応力緩和材4と絶縁樹脂材5、および、絶縁樹脂材5とヒートシンク板61は、ともに熱圧着にて相互に接続されている。
また、還流器62には、冷水もしくは冷風、冷油などの冷媒が流れる流路がその内部に形成されており、ヒートシンク61と還流器62は、アルミダイキャストの一体成形品となっている。
金属配線板3は、アルミニウムやその合金、銅やその合金などの熱伝導性に優れた素材(たとえば、その熱伝導率範囲が100〜400W/mK)から形成され、その板厚を0.1〜1mm程度に設定することができる。
応力緩和材4は、低線膨張で熱伝導率の高い素材、具体的には、アルミニウムもしくはその合金から形成され、さらにその多孔体構造を呈しているのが好ましい。
応力緩和材4をアルミニウム等の素材から形成し、さらには多孔体構造とすることにより、その剛性(ヤング率)が低くなり、塑性変形能に優れた部材が形成できる。たとえば図2で説明する応力(力)−ひずみ(変形)曲線において、可及的に低い降伏点:fCにて応力緩和材4が塑性域に移行し、ヒートシンク61等が反った際に過度な反力が作用した場合でも、該反力を応力緩和材4が変形吸収することで、金属配線板3に応力を作用させないようにできるからである。
ただし、気孔率が高くなり過ぎると放熱性能が低下することより、応力緩和材4の低剛性、高変形性、および高放熱性能のすべてを勘案してその気孔率が設定されるのがよい。
また、熱伝導性に優れた応力緩和材4により、金属配線板3から伝熱された熱を応力緩和材4にて拡散され、単位面積当たりの熱量が低減される。単位面積当たりの熱量が低減されることにより、応力緩和材4の下方に位置する絶縁樹脂材5が熱伝導性の乏しいものであっても、これを介して下方の冷却器6に低減された熱を放熱することが可能となる。
なお、応力緩和材4の熱伝導率範囲も100〜400W/mK程度に設定でき、熱膨張率範囲を3〜12ppm/K程度に設定でき、その板厚を0.5〜5mm程度に設定することができる。
絶縁樹脂材5は、エポキシ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドのうちのいずれか一種、もしくは、該いずれか一種の樹脂にシリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化ケイ素、炭化ケイ素、酸化マグネシウムなどのフィラーが含有された材料から形成される。
なお、絶縁樹脂材5の熱伝導率範囲は0.1〜20W/mK程度に設定でき、その板厚を0.01〜0.5mm程度に設定することができる。
また、パワーモジュール10においては、応力緩和材4と絶縁樹脂材5、および、絶縁樹脂材5と冷却器6がともに熱圧着Nにて固定されている。
これらの部材同士を熱圧着することにより、ボルト締結の場合の課題、すなわち、そのためのスペースを部材に別途設けるという課題は生じ得ず、また、接着剤による接着強度に比して圧着強度は極めて高いことから、この圧着部位がパワーモジュールの耐久性を決定する要因とはなり難い。
図示するように、本発明のパワーモジュール10では、金属配線板3の直下に、放熱性と可撓性の双方に優れた応力緩和材4が配設されることにより、半導体素子1にて生じた熱を応力緩和材4にて効果的に拡散させてその下方の絶縁樹脂材5に伝熱することができる。さらには、金属配線板3の直下に位置する応力緩和材4により、ヒートシンク61等からの応力(反力)が効果的に変形吸収されるため、該応力が金属配線板3やはんだ層2、半導体素子1に作用され難くなる。
このように高品質で高性能、高耐久なパワーモジュールは、搭載機器に高放熱性、高耐久性を要求する近時のハイブリッド車や電気自動車等に車載されるインバータ等への適用に最適である。
以上、本発明の実施の形態を図面を用いて詳述してきたが、具体的な構成はこの実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における設計変更等があっても、それらは本発明に含まれるものである。
1…半導体素子、2…はんだ層、3…金属配線板、4…応力緩和材、5…絶縁樹脂材、6…冷却器、61…ヒートシンク板、62…還流器、10…パワーモジュール、N…熱圧着部
Claims (3)
- 金属配線板と、該金属配線板上に搭載された半導体素子と、からなる回路ユニットと、
前記回路ユニットが搭載される応力緩和材と、
前記応力緩和材が搭載される絶縁樹脂材と、
前記絶縁樹脂材が搭載される冷却器と、からなり、
応力緩和材と絶縁樹脂材、および、絶縁樹脂材と冷却器がともに熱圧着にて固定されている、パワーモジュール。 - 前記応力緩和材は、アルミニウムもしくはその合金からなる多孔体である、請求項1に記載のパワーモジュール。
- 前記絶縁樹脂材は、エポキシ樹脂、ポリプロピレン、ポリエチレンナフタレート、ポリフェニレンサルファイド、ポリイミドのうちのいずれか一種、もしくは、該いずれか一種の樹脂にフィラーが含有された材料から形成されている、請求項1または2に記載のパワーモジュール。
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JP2008113108A JP2009266971A (ja) | 2008-04-23 | 2008-04-23 | パワーモジュール |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2021061341A (ja) * | 2019-10-08 | 2021-04-15 | 昭和電工株式会社 | 半導体冷却装置 |
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2008
- 2008-04-23 JP JP2008113108A patent/JP2009266971A/ja not_active Withdrawn
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