JP2009266520A - 有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法 - Google Patents

有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】発光色の異なる両面発光を可能とし、高効率な有機EL装置を提供する。
【解決手段】本発明は、透明な陽極10と透明な陰極50との間に挟持されてなる両面発光の有機エレクトロルミネッセンス装置1であって、複数の有機発光層30A,30Bが第1の中間電極40Aを挟持してなる第1の発光部30と、複数の有機発光層30C,30Dが第2の中間電極40Bを挟持してなる第2の発光部31と、第1の発光部30と第2の発光部31間に反射性と導電性を有する反射性中間電極層60と、を具備してなることを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、有機エレクトロルミネッセンス装置及びその製造方法に関するものである。
近年、情報機器の多様化等に伴い、消費電力が少なく軽量化された表示装置のニーズが高まっている。この様な表示装置の一つとして、有機発光層を備えた有機エレクトロルミネッセンス(以下、有機EL)装置が知られている。
有機EL装置では、有機発光層に対し陽極から正孔が、また陰極から電子がそれぞれ送り込まれ、これらが有機発光層中で結合することによって発光する。そのため、同じ有機EL装置を用いて高輝度発光を得るためには、正孔と電子の結合量を増やすこと、換言すれば駆動電流量を増やすことが必要である。しかし、駆動電流量を増やすと配線等における電気抵抗により発生するジュール熱が増大し、有機発光層の温度が上昇するため、有機発光層の寿命が低下するという懸念がある。
そこで、有機発光層を直列に複数積層し輝度を高める、マルチフォトンと呼ばれる方式の有機EL装置が開発されている。マルチフォトン方式の有機EL素子では、複数の有機発光層がそれぞれ中間電極層と呼ばれる層を介して積層している。「中間電極層」は、一成分として電気抵抗の高い金属酸化物を備えており、配線が接続されていなくても電圧印加時に一方の面から電子を受容(正孔を注入)し、他方の面からは電子を供与(電子を注入)し、かつ、層内には略等電位を保つという性質を有している。そのため、電圧印加時には、隣接する有機発光層に対し両面から正孔または電子を注入することができ、この中間電極層の性質を利用することで、積層する有機発光層を効率的に発光させることができる。
このようなマルチフォトン方式の有機EL素子では、単層構造に比べて同じ電流でより高い輝度を示すことが可能となり、高い発光効率を実現することができる。また、同じ輝度を達成しようとする場合に、単層構造に比べて少ない電流で良いことになり、有機発光層の寿命を延ばすことが可能となる。
また、上記のような有機発光層と中間電極層とからなる発光ユニットを複数備え、両面より発光が得られる両面発光有機EL装置が知られている。例えば、第1電極と第2電極に挟持された有機層の中に第三の電極を挿入する方法(特許文献1、2を参照)や、光導波路を不透明電極側に設けることで外部に光を取り出す方法が考案されている。
特開2000−58260号公報 特開2005−267926号公報
しかしながら、電極を挿入する方法では両面で異なる表示が可能であるという利点はあるものの、駆動方法は複雑になる。また光導波路を形成する方法では、不透明電極部の影響により開口が制限され、また両面で単色の発光色しか得ることができない。また、いずれの方法においても、さらに高効率化が期待されている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、発光色の異なる両面発光を可能とし、高効率な両面発光有機EL装置及びその製造方法を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、陽極と陰極との間に発光部が配置されてなる両面発光型の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、前記発光部は、複数の有機発光層が第1の中間電極を挟持してなる前記陽極側に配置された第1の発光部と、複数の有機発光層が第2の中間電極を挟持してなる前記陰極側に配置された第2の発光部と、前記第1の発光部と前記第2の発光部間に配置されて反射性及び導電性の反射性中間電極層とからなることを特徴とする。
この構成によれば、第1発光部及び第2発光部がそれぞれ中間電極を有するマルチフォトン構造となり、高効率な両面発光が可能となる。また、第1,第2発光部間に反射性中間電極層を具備してなることで、第1,第2発光部から発した光を反射性中間電極層によってそれぞれ反射させることができ、陽極と陰極側の両面で発光色の異なる両面発光の有機EL装置を構成することが可能となる。
本発明においては、前記反射性中間電極層が、前記陽極側に配置された仕事関数が4.3eV以下である電子供与性の第1の反射層と、前記陰極側に配置された仕事関数が4.3eVより大きな電子受容性の第2の反射層とを具備してなることが望ましい。
この構成によれば、第1の反射層が第1の発光部に対して電子を注入することが容易となるとともに、第2の反射層が第2の発光部に対して正孔を注入することが容易となり、より発光効率が高まる。また、反射性中間電極層が導電性を有するため、第1の反射層と第2の反射層との間で電子の移動がスムーズに行われ、発光効率がより高まる。
ここで、第1の反射層としては、MgAg合金を例示でき、第2の反射層としては、Agを例示できる。
本発明においては、前記第1の中間電極は、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性の金属と、の混合物を主体として形成されていることが望ましい。
この構成によれば、第1の中間電極層は、大気に安定な電子受容性の金属酸化物と、大気に不安定な電子供与性の金属との混合物となっている。第1の中間電極層に含まれる金属酸化物は、同じく第1の中間電極層に含まれる金属を大気から保護する被膜の役割を果たし、金属の大気による変質を防ぐことができる。したがって、機能液の塗布を大気中で良好に行うことができ、容易に高性能な有機EL装置を製造することができる。
本発明においては、前記第2の中間電極は、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性の金属と、の混合物を主体として形成されていることが望ましい。
この構成によれば、第2の中間電極層は、大気に安定な電子受容性の金属酸化物と、大気に不安定な電子供与性の金属との混合物となっている。第2の中間電極層に含まれる金属酸化物は、同じく第2の中間電極層に含まれる金属を大気から保護する被膜の役割を果たし、金属の大気による変質を防ぐことができる。したがって、機能液の塗布を大気中で良好に行うことができ、容易に高性能な有機EL装置を製造することができる。
本発明においては、前記発光部は、互いに異なる発光色を発光することが望ましい。
このように構成することで、両面で異なる発光色の発光表示が可能となり、両面発光の有機EL装置としての利点が高まる。
また、本発明の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法は、陽極と陰極との間に発光部が配置が挟持されてなる両面発光型の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、前記陽極上に、第1の有機発光層、第1の中間電極層及び第2の有機発光層を順次形成する工程と、前記第2の有機発光層の表面全面を覆って、反射性と導電性を有する反射性中間電極層を真空蒸着法により形成する工程と、前記反射性中間電極上に、第3の有機発光層、第2の中間電極層及び第4の有機発光層を順次形成する工程と、を具備してなることを特徴とする。
この方法によれば、各発光部にそれぞれ中間電極を形成することで、各発光部にマルチフォトン構造を適用でき、高効率な両面発光が可能な有機EL装置を製造することができる。また、各発光部間に反射性中間電極層を形成することで、陽極と陰極側の両面で発光色の異なる両面発光が可能な有機EL装置を製造することができる。
以下、図1〜図4を参照しながら、本発明の実施形態に係る有機EL装置について説明する。ここで、図1は有機EL装置1を模式的に示す断面図であり、図2から図4は有機EL装置1の製造方法を示す工程図である。なお、以下の全ての図面においては、図面を見やすくするため、各構成要素の膜厚や寸法の比率などは適宜異ならせてある。
ここで、有機EL装置には、有機EL素子が放つ光を有機EL素子が形成された基板側とは反対側から取り出すトップエミッション方式と、有機EL素子が形成された基板側から基板を介して取り出すボトムエミッション方式の2種類の発光方式がある。本発明はこのどちらの方式に適用しても良好な結果が得られるため、以下の説明においては形成材料などに限定があるものを除き、発光方式に限定をせずに記載する。
「有機EL装置」
図1に示すように、有機EL装置1は、基板本体20Aと、基板本体20A上に形成され配線や駆動素子等を備える素子層20Bとを備える基板20と、基板20上に形成される画素電極(陽極)10と、画素電極10と平面的に重なる開口部を備えた画素隔壁層22と、画素隔壁層22の上に形成された共通隔壁層24とを備えている。また、共通隔壁層24に囲まれた領域には、共通隔壁層24の頂面24aおよび側壁24bを覆って第1の発光部30と、反射性中間電極層60と、第2の発光部31とが形成されており、更にその上には、共通隔壁層24の頂面24aおよび側壁24bを覆って第2の発光部31の上面の全面を覆う共通電極(陰極)50が形成されている。画素電極10と、第1の発光部30と、反射性中間電極層60と、第2の発光部31と、共通電極50とで有機EL素子(発光素子)70を形成している。
(第1の発光部)
第1の発光部30には、画素電極10からの正孔の注入を容易にする第1の正孔注入層32Aと、第1の有機発光層30Aと、第1の中間電極層40Aと、第2の有機発光層30Bを備えており、画素電極10上にこの順に積層されている。第1の中間電極層40Aは、第1の有機発光層30Aと接する面から第1の有機発光層30Aに対して電子を注入し、第2の有機発光層30Bと接する面から第2の有機発光層30Bに対して正孔を注入する性質を備えている。
第1の有機発光層30Aと第1の中間電極層40Aの間に、MgAgなどの金属が挿入されていてもよく、仕事関数が4.3eV以下の金属が第1の中間電極層40A側に共蒸着されていてもよい。このようにすることで、第1の有機発光層30Aに電子を注入することが容易となる。
(反射性中間電極層)
反射性中間電極層60は、一方の面からは正孔を注入し、他方の面からは電子を注入する役割を備えた反射性と導電性を有する層である。反射性中間電極層60には、第1の発光部30に対して電子を注入する第1の反射層60Aと、第2の発光部31に対して正孔を注入する第2の反射層60Bとを備えており、第1の発光部30上にこの順に積層されている。
反射性中間電極層60が反射性を有することで、反射性中間電極60の両面に配置された第1の発光部30と第2の発光部31がそれぞれ発光する光を反射させるため、有機EL装置1の一方の面と他方の面で異なる発光色による両面発光表示が可能となる。
反射性中間電極層60は、第1の反射層60A,第2の反射層60Bのいずれか1層のみでもよいが、このように2層構造とすることで、第1の反射層60Aは第2の有機発光層30Bと接する面から第2の有機発光層30Bに対して電子を注入しやすい材料を選択でき、第2の反射層60Bは第2の正孔注入層32Bと接する面から第2の正孔注入層32Bに対して正孔を注入しやすい材料を選択できるため、反射性中間電極層60の一方の面から正孔を注入し、他方の面から電子を注入することが容易となり、発光効率が高まる。
例えば、反射性中間電極層60として、陽極10側に配置されて仕事関数が4.3eV以下である電子供与性の第1の反射層60Aと、陰極50側に配置されて仕事関数が4.3eVより大きな電子受容性の第2の反射層とを具備してなるものが望ましい。第1の反射層としては、MgAg合金を例示でき、第2の反射層としては、Agを例示できる。MgAg合金、Ag等は金属光沢を有する金属であり、それ自体が導電性及び反射性を持つので、反射性中間電極層60の構成材料として特に好ましい。
(第2の発光部)
第2の発光部31には、反射性中間電極層60からの正孔の注入を容易にする第2の正孔注入層32Bと、第3の有機発光層30Cと、第2の中間電極層40Bと、第4の有機発光層30Dを備えており、反射性中間電極層60上にこの順に積層されている。第2の中間電極層40Bは、第3の有機発光層30Cと接する面から第3の有機発光層30Cに対して電子を注入し、第4の有機発光層30Dと接する面から第4の有機発光層30Dに対して正孔を注入する性質を備えている。
第3の有機発光層30Cと第2の中間電極層40Bの間に、MgAgなどの金属が挿入されていてもよく、仕事関数が4.3eV以下の金属が第2の中間電極層40B側に共蒸着されていてもよい。このようにすることで、第3の有機発光層30Cに電子を注入することが容易となる。
(共通電極)
また、共通電極50は、共通隔壁層24の頂面24a、側壁24b、を覆って第2の有機発光層30Bの上面の全面を覆う電子注入陰極層50Aと、電子注入陰極層50Aの表面全面を覆う陰極50Bと、陰極50Bの表面全面を覆う上層50Cを備えている。以下の説明においては、基板20の配置している側を下側、共通電極50が配置している側を上側として、各構成の上下関係、積層関係を示すこととする。以下、各構成要素について順に説明する。
(基板本体)
基板本体20Aは、透明基板を用いる。透明基板としては、例えばガラス、石英ガラス、窒化ケイ素等の無機物や、アクリル樹脂、ポリカーボネート樹脂等の有機高分子(樹脂)を用いることができる。また、光透過性を備えるならば、前記材料を積層または混合して形成された複合材料を用いることもできる。本実施形態では、基板本体20の材料としてガラスを用いる。
(素子層)
素子層20Bは、有機EL装置1を駆動させるための各種配線や駆動素子、及び無機物または有機物の絶縁膜などを備えている。各種配線や駆動素子はフォトリソグラフィによりパターニングした後エッチングすることにより、また、絶縁膜は蒸着法やスパッタ法など通常知られた方法により適宜形成することができる。
(画素電極)
素子層20Bの上には、画素電極10が形成されている。画素電極10の形成材料には、仕事関数が5eV以上の材料を用いることができる。このような材料は、正孔注入効果が高いため画素電極10の形成材料として好ましい。このような材料としては、例えばITO(Indium Thin Oxide:インジウム錫酸化物)等の金属酸化物を挙げることができる。
本実施形態ではITOを用いる。
(画素隔壁層)
また、素子層20Bの上には、画素電極10の端部に一部が乗り上げるように、画素隔壁層22が形成されている。画素隔壁層22は画素電極10に対応する開口部を備えており、該開口部内に画素電極10が露出している。画素隔壁層22は、酸化シリコン(SiO)、窒化シリコン(SiN)、酸窒化シリコン(SiON)等の無機絶縁材料で形成されており、開口部の位置に対応するマスクを介したエッチング等の公知の方法で形成することができる。本実施形態では、SiOを用いて形成する。
(共通隔壁層)
画素隔壁層22上には、画素電極10の周囲を囲むように共通隔壁層24が形成されている。共通隔壁層24は、断面形状が順テーパ状に形成されている。そのため、共通隔壁層24で囲まれた空間は、下部よりも上部が広く開口している。共通隔壁層24の頂面24aは、後述する有機発光層の形成材料を含む機能液に対して親液性を示すように形成されている。共通隔壁層24は、例えば光硬化性のアクリル樹脂やポリイミド樹脂で形成することができる。本実施形態では、アクリル樹脂で共通隔壁層24を形成した後に、Oプラズマ処理による親液処理を施すこととしている。
(第1の正孔注入層)
画素電極10、画素隔壁層22、共通隔壁層24の上には、これらの表面を覆って全面に、画素電極10からの電子の受容(正孔の注入)を容易にする電荷移動層として第1の正孔注入層32Aが形成されている。第1の正孔注入層32Aは、正孔注入層の形成材料の溶液(機能液)を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第1の正孔注入層32Aの形成材料は、ポリマー前駆体がポリテトラヒドロチオフェニルフェニレンであるポリフェニレンビニレン、1,1−ビス−(4−N,N−ジトリルアミノフェニル)シクロヘキサン、トリス(8−ヒドロキシキノリノール)アルミニウム、ポリスチレンスルフォン酸、ポリエチレンジオキシチオフェンとポリスチレンスルフォン酸との混合物(PEDOT/PSS)等の公知の材料を例示することができる。また、塗布時にこれらを溶かしておく溶媒としては、水、イソプロピルアルコール、N−メチルピロリドン、1,3−ジメチル−イミダゾリノン等の極性溶媒を例示することができる。本実施形態ではPEDOT/PSSを用いる。
(第1の有機発光層)
第1の正孔注入層32Aの上には、第1の正孔注入層32Aの表面全面を覆って第1の有機発光層30Aが形成されている。第1の有機発光層30Aも、有機発光層の形成材料の溶液(機能液)を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第1の有機発光層30Aの形成材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の高分子発光材料を好適に用いることができる。このような材料としては、ポリフルオレン(PF)、ポリパラフェニレンビニレン(PPV)、ポリフェニレン(PP)、ポリパラフェニレン(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン、ポリジアルキルフルオレン(PDAF)、ポリフルオレンベンゾチアジアゾール(PFBT)、ポリアルキルチオフェン(PAT)や、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)等のポリシランなどの各誘導体を例示することができる。また、これらの発光材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
該溶媒には、水、メタノール、エタノール等の水と相溶性のあるアルコール、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N−メチルピロリドン(NMP)、ジメチルイミダゾリン(DMI)、ジメチルスルホキシド(DMSO)、2,3−ジヒドロベンゾフラン、等が挙げられ、これらの溶媒を2種以上適宜混合したものであっても良い。また、これらの溶媒にシクロヘキシルベンゼン等を適宜加えて粘度を調整しても構わない。
(第1の中間電極層)
第1の有機発光層30Aの上には、第1の有機発光層30Aの表面全面を覆って第1の中間電極層40Aが形成されている。第1の中間電極層40Aは、一方の面からは正孔を注入し、他方の面からは電子を注入する役割を備えた電気的絶縁層である。マルチフォトン方式の有機EL装置では、中間電極層が複数の有機発光層に挟持されて形成されており、透光性を備える程度に薄く形成されている。
第1の中間電極層40Aは、特に限定されるものではないが、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性(正孔注入性)の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性(電子注入性)の金属と、の混合物を主体として1層で構成されていることが好ましい。このようにすることで、中間電極層内には複数の異なる材料が積層する際に生じる界面が存在しないため、中間電極層の内部で反射・散乱による光の損失がなく、各有機発光層から射出される光を効率的に取り出すことができる構成となっている。
この場合、第1の中間電極層40Aが含む金属酸化物は、電子を放出しにくく(仕事関数が大きく)、第2の有機発光層30Bから電子を受容する(正孔を注入する)性質を備えた材料である。このような材料としては、例えば、MoO(仕事関数:5.5eV),V(同5.6eV),RuO(同5.0eV)をあげることができる(仕事関数出典:宮田清蔵,『有機EL素子とその工業化最前線』(エヌティーエス出版)(4−90−083029−1))。本実施形態ではMoOを用いる。
また、第1の中間電極層40Aが含む金属は、電子を放出しやすく(仕事関数が小さく)、第1の有機発光層30Aに電子を供与する(電子を注入する)性質を備えた材料である。このような材料としては、例えば、Li(仕事関数:2.9eV),Cs(同1.95eV)など周期律表で1族に属するアルカリ金属、Mg(同3.6eV),Ca(同2.9eV),Ba(同2.5eV),Sr(同2.6eV)など周期律表で2族に属するアルカリ土類金属が挙げられる(仕事関数出典:『化学便覧』改訂4版,基礎編II,II−489頁)。酸化物には、SrOx,CaOなどが挙げられる。本実施形態ではCaを用いる。
さらに、第1の中間電極層40Aに含まれる金属酸化物と金属との体積比は、1:1から20:1の範囲に含まれる比となっている。例えば、金属酸化物と金属との体積比を0.5:1とし金属酸化物を少なくすると、第1の中間電極層40Aに含まれる金属が大気中で酸化されやすくなり、大気安定性が低下する。また、金属が多くなると中間電極層の透明性も低下するため好ましくない。一方で、金属酸化物と金属との体積比を30:1とし金属酸化物を多くすると、第1の有機発光層30Aへの電子注入性が低く、発光効率が低下する。本実施形態では、金属酸化物と金属との体積比は10:1である。
第1の中間電極層40Aは、1nm以上であり100nm以下となるように形成している。1nmより薄くなると成膜が困難となる。また、100nmより厚くなると第1の中間電極層40Aの透光性が不足する。
第1の中間電極層40Aの厚みは、より好ましくは5nm以上であり20nm以下である。電子受容性の層と電子供与性の層を別々に設けて積層して第1の中間電極層40Aを形成する場合には、通常は2層合わせて50nm以上の膜厚とすることが多い。マルチフォトン方式の有機EL装置では、有機EL素子で発光する光が中間電極層を介して射出されるため、中間電極層の透光性は高いほうが良い。第1の中間電極層40Aを薄くすると透光性が向上するため、高性能な有機EL装置を実現できることが分かっているが、各層の確実な成形や性質の異なる層同士の確実な密着を考慮すると、この程度の膜厚が必要となる。しかし本発明の構成では、1層で第1の中間電極層40Aを形成することができ、複数層の密着を考慮する必要がないため、複数層で構成される第1の中間電極層40Aでは困難な20nm以下の膜厚とすることができる。また、5nm以上の膜厚であると確実な成膜が行いやすく、また、後述する方法にて第2の有機発光層30Bを形成する際に、第2の有機発光層30Bを形成する機能液から第1の有機発光層30Aを確実に遮蔽することができる。本実施形態では10nmである。
(第2の有機発光層)
第1の中間電極層40Aの上には、第1の中間電極層40Aの表面全面を覆って第2の有機発光層30Bが形成されている。第2の有機発光層30Bも、有機発光層の形成材料を含む機能液を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第2の有機発光層30Bは、設計に応じて形成材料を選択することができ、第1の有機発光層30Aと同じ材料で形成しても良く、異なっても良い。本実施形態では、第1の有機発光層30Aと同じ材料で形成する。
(第1の反射層)
第2の有機発光層30Bの上には、第2の有機発光層30Bの表面全面を覆って第1の反射層60Aが形成されている。第1の反射層60Aは、第2の有機発光層30Bと接する面から第2の有機発光層30Bに対して電子を注入する役割を備えた反射性と導電性を有する層である。
第1の反射層60Aは、特に限定されるものではないが、仕事関数が4.3eV以下の金属であることが好ましく、具体的にはMgAg合金などの金属で形成されていることが好ましい。このようにすることで、第1の反射層60Aは電子を放出しやすくなり、第2の有機発光層30Bと接する面から第2の有機発光層30Bに対して電子を注入することが容易となる。
第1の反射層60Aの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば100nm程度でよい。
(第2の反射層)
第1の反射層60Aの上には、第1の反射層60Aの表面全面を覆って第2の反射層60Bが形成されている。第2の反射層60Bは、第2の正孔注入層32Bと接する面から第2の正孔注入層32Bに対して正孔を注入する役割を備えた反射性と導電性を有する層である。
第2の反射層60Bは、特に限定されるものではないが、仕事関数が4.3eVより大きい金属であることが好ましく、具体的にはAgなどの金属で形成されていることが好ましい。このようにすることで、第2の反射層60Bは電子を放出しにくくなり、第2の正孔注入層32Bと接する面から第2の正孔注入層32Bに対して正孔を注入することが容易となる。
第2の反射層60Bの厚みは、特に限定されるものではないが、例えば100nm程度がよい。
(第2の正孔注入層)
第2の反射層60Bの上には、第2の反射層60Bの表面全面を覆って第2の正孔注入層32Bが形成されている。第2の正孔注入層32Bも、有機発光層の形成材料を含む機能液を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第2の正孔注入層32Bは、設計に応じて形成材料を選択することができ、第1の正孔注入層32Aと同じ材料で形成しても良く、異なっても良い。本実施形態では、第1の正孔注入層32Aと同じ材料で形成する。
(第3の有機発光層)
第2の正孔注入層32Bの上には、第2の正孔注入層32Bの表面全面を覆って第3の有機発光層30Cが形成されている。第3の有機発光層30Cも、有機発光層の形成材料を含む機能液を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第3の有機発光層30Cは、設計に応じて形成材料を選択することができ、第1の有機発光層30Aと同じ材料で形成しても良く、異なっても良い。本実施形態では、第1の有機発光層30Aと異なる発光色の材料で形成する。
(第2の中間電極層)
第3の有機発光層30Cの上には、第3の有機発光層30Cの表面全面を覆って第2の中間電極層40Bが形成されている。第2の中間電極層40Bも、中間電極層の形成材料を含む機能液を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第2の中間電極層40Bは、設計に応じて形成材料を選択することができ、第1の中間電極層40Aと同じ材料で形成しても良く、異なっても良い。本実施形態では、第1の中間電極層40Aと同じ材料で形成する。
(第4の有機発光層)
第2の中間電極層40Bの上には、第2の中間電極層40Bの表面全面を覆って第4の有機発光層30Dが形成されている。第4の有機発光層30Dも、有機発光層の形成材料を含む機能液を塗布し、溶媒を蒸発させて形成する。第4の有機発光層30Dは、設計に応じて形成材料を選択することができ、第3の有機発光層30Cと同じ材料で形成しても良く、異なっても良い。本実施形態では、第3の有機発光層30Cと同じ材料で形成する。
(電子注入陰極層)
第4の有機発光層30Dの上には、第4の有機発光層30Dの表面全面を覆って電子注入陰極層50Aが形成されている。電子注入陰極層50Aは、上述した第1の中間電極層40Aに含まれる金属を用いて形成することができる。本実施形態ではCaを材料として形成する。電子注入陰極層50Aの厚みは5nmである。
(陰極中間層)
電子注入陰極層50Aの上には、電子注入陰極層50Aの表面全面を覆って陰極中間層50Bが形成されている。陰極中間層50Bは、上述した反射性中間電極層60に含まれる金属を用いて形成することができる。本実施形態ではAgを材料として形成する。陰極中間層50Bの厚みは10nmである。
(陰極上層)
陰極中間層50Bの上には、陰極中間層50Bの表面全面を覆って陰極上層50Cが形成されている。陰極上層50Cは、大気に安定な電子受容性の金属酸化物を用いて形成することが好ましい。本実施形態ではMoOを材料として形成する。陰極上層50Cの厚みは、50nmである。陰極上層50Cは不図示の陰極取り出し端子へとつながる陰極コンタクト部へ接続されている。
このような有機EL装置1に電流を印加すると、第1の中間電極層40Aは第1の有機発光層30Aに電子を注入し、第2の有機発光層30Bに正孔を注入するとともに、第2の中間電極層40Bは第3の有機発光層30Cに電子を注入し、第4の有機発光層30Dに正孔を注入する。そのため、各発光部30,31は、第1の有機発光層30Aと第2の有機発光層30B、第3の有機発光層30Cと第4の有機発光層30Dが、それぞれに発光するマルチフォトン方式の有機EL発光部となる。
これに加えて、画素電極10からは第1の有機発光層30Aに正孔を注入し、電子注入陰極層50Aからは第4の有機発光層30Dに電子を注入し、反射性中間電極層60が各発光部30,31に導電しながらも各発光部30,31が発光する光を反射させるため、発光色の異なる両面発光を可能とし、高効率な両面発光有機EL装置となる。
以上のような構成の有機EL装置1によれば、各発光部30,31はそれぞれ中間電極40A,40Bを有するマルチフォトン構造となり、高効率な両面発光が可能となる。また、各発光部間30,31に反射性中間電極層60を具備してなることで、陽極(画素電極10)と陰極(共通電極50)側の両面で発光色の異なる両面発光の有機EL装置1が可能となる。
「有機EL装置の製造方法」
次いで、図2〜図4を用い、有機EL装置1の製造方法を説明する。
まず図2(a)に示すように、基板本体20A上に素子層20Bを形成した基板20に、画素電極10を形成する。更に、画素電極10の上に画素隔壁22を形成した後、順テーパ状の断面形状を備えた共通隔壁層24を形成する。これらはいずれも従来公知の方法を用いて形成することができる。共通隔壁22を形成した後に、基板20をOガス下でプラズマによる表面処理を行い、連続してCF雰囲気下でプラズマによる表面処理を行なう。これらのプラズマ処理により、基板20及び基板20上に形成された各構成要素の表面は、表面の不純物が除去され親液化され、画素電極10であるITOと画素隔壁層22であるSiOは親水性に、共通隔壁層24であるアクリル樹脂は撥水性に表面改善され、インクジェット法による成膜が可能になる。
次いで、共通隔壁層24で囲まれた領域(開口部26)に、インクジェット法を用いて不図示の機能液(PEDOT/PSS分散液)を塗布し、乾燥および焼成することにより第1の正孔注入層32Aを形成する。開口部26の底部は親液処理されているため、機能液は良好に濡れ広がり、開口部26の底部では均一な膜の第1の正孔注入層32Aを形成することができる。また、インクジェット法を用いて機能液を塗布するため、共通隔壁層24の頂面24aおよび側壁24bにも第1の正孔注入層32Aの膜が形成される。
次いで、第1の正孔注入層32Aの上に第1の有機発光層30Aを形成する。第1の有機発光層30Aは、インクジェット法を用いて不図示の機能液(有機発光層の形成材料を含む機能液)を塗布し、乾燥およびアニール処理して形成する。インクジェット法を用いて機能液を塗布するため、第1の有機発光層30Aは第1の正孔注入層32Aの表面全面を覆って形成される。
次いで、第1の有機発光層30Aの上に第1の中間電極層40Aを形成する。第1の中間電極層40Aは、先述した群から選ばれる金属酸化物と、同じく先述した群から選ばれる金属とを真空蒸着法を用いて同時に蒸着(共蒸着)することで形成する。この共蒸着を行う際に、金属酸化物と金属とをそれぞれ独立に温度を制御して加熱し、蒸着量を制御することで、成膜される第1の中間電極層40Aの金属酸化物と金属との混合比(体積比)を制御することが可能である。第1の中間電極層40Aは、金属酸化物にMoOを、金属にCaを用い、これらの体積比が10:1の混合層となっている。大気に安定な金属酸化物であるMoOが大気に不安定なCaよりも多く(ここでは10倍)含まれているため、形成される第1の中間電極層40Aは、全体として大気に安定な層となっている。このようにして形成する第1の中間電極層40Aは、第1の有機発光層30A上に積層され、第1の有機発光層30Aの表面を覆って全面に形成される。
次いで、第1の中間電極層40Aの上に第2の有機発光層30Bを形成する。第2の有機発光層30Bは、インクジェット法を用いて機能液を塗布し、乾燥およびアニール処理することで形成する。ここで、第1の中間電極層40Aが第1の有機発光層30Aの表面を覆って形成されているため、第2の有機発光層30Bを形成するための機能液は、第1の有機発光層30Aに接触しない。そのため、機能液が第1の有機発光層30Aを溶解することなく、良好な機能液の塗布および第2の有機発光層30Bの形成が可能となる。
次いで、第2の有機発光層30Bの上に第1の反射層60Aを形成し、その上に第2の反射層60Bを形成することで、反射性中間電極層60を形成する。
第1の反射層60Aは、真空蒸着法によりMgAg合金からなる層を例えば100nm程度形成する。連続して、第2の反射層60Bを真空蒸着法によりAgからなる層を100nm程度形成する。このように、反射性中間電極層60を積層構造とすることにより電子注入、ホール注入を容易にする。
次に図2(b)に示すように、第2の反射層60Bの上に、インクジェット法を用いて不図示の機能液(PEDOT/PSS分散液)を塗布し、乾燥および焼成することにより第2の正孔注入層32Bを形成する。インクジェット法を用いて機能液を塗布するため、第2の正孔注入層32Bは、第2の反射層60Bの表面全面を覆って形成される。
次いで図2(c)に示すように、第2の正孔注入層32Bの上に第3の有機発光層30Cを形成する。第3の有機発光層30Cは、インクジェット法を用いて不図示の機能液(有機発光層の形成材料を含む機能液)を塗布し、乾燥およびアニール処理して形成する。インクジェット法を用いて機能液を塗布するため、第3の有機発光層30Cは第2の正孔注入層32Bの表面全面を覆って形成される。
次いで図3(a)に示すように、第3の有機発光層30Cの上に第2の中間電極層40Bを形成する。第2の中間電極層40Bは、先述した群から選ばれる金属酸化物と、同じく先述した群から選ばれる金属とを真空蒸着法を用いて同時に蒸着(共蒸着)することで形成する。この共蒸着を行う際に、金属酸化物と金属とをそれぞれ独立に温度を制御して加熱し、蒸着量を制御することで、成膜される第2の中間電極層40Bの金属酸化物と金属との混合比(体積比)を制御することが可能である。第2の中間電極層40Bは、金属酸化物にMoOを、金属にCaを用い、これらの体積比が10:1の混合層となっている。大気に安定な金属酸化物であるMoOが大気に不安定なCaよりも多く(ここでは10倍)含まれているため、形成される第2の中間電極層40Bは、全体として大気に安定な層となっている。このようにして形成する第2の中間電極層40Bは、第3の有機発光層30C上に積層され、第3の有機発光層30Cの表面を覆って全面に形成される。
次いで図3(b)に示すように、第2の中間電極層40Bの上に第4の有機発光層30Dを形成する。第4の有機発光層30Dは、インクジェット法を用いて機能液を塗布し、乾燥およびアニール処理することで形成する。ここで、第2の中間電極層40Bが第3の有機発光層30Cの表面を覆って形成されているため、第4の有機発光層30Dを形成するための機能液は、第3の有機発光層30Cに接触しない。そのため、機能液が第3の有機発光層30Cを溶解することなく、良好な機能液の塗布および第4の有機発光層30Dの形成が可能となる。
次いで図3(c)に示すように、真空蒸着法にて基板20の上面全面に電子注入陰極層50Aと陰極50Bと上層50Cとをこの順に形成する。電子注入陰極層50Aとして例えばCaを5nm、陰極50Bとして例えばAgを10nm、上層として例えばMoOを50nm形成する。以上のようにして製造を行って有機EL素子70を形成し、有機EL装置1が完成する。
本実施形態では、各中間電極層40A,40Bは、大気に安定な電子受容性の金属酸化物であるMoOと、大気に不安定な電子供与性の金属であるCaとの混合物となっている。これらの混合比は体積比で10:1となっており、金属酸化物よりも金属の方が少なくなっている。そのため、これらの中間電極層40A,40Bを大気中に曝しても、より多く含まれる金属酸化物が大気から各中間電極層40A,40Bを保護する被膜の役割を果たし、各中間電極層40A,40Bが備える金属の変質を防ぐことができる。このような、良好な大気安定性と良好な電子注入性を両立した各中間電極層40A,40Bを備えることで、湿式塗布法による機能液の塗布を大気中で良好に行うことができ、容易に高性能な有機EL装置1を製造することが可能となる。
また、本実施形態では、各中間電極層40A,40Bに含まれる電子供与性(正孔注入性)の金属酸化物としてMoOを用いている。MoOは、人体に対する危険性が少なく取り扱いが簡単であるため、大気中で行う湿式塗布法では取り扱いや操作が簡便になり、容易に有機EL装置を製造することができる。
また、本実施形態では、各中間電極層40A,40Bに含まれる電子供与性(電子注入性)の金属としてCaを用いている。そのため、隣接する第2の有機発光層30B、第4の有機発光層30Dに良好に電子を注入することができ、高性能な有機EL装置を製造することができる。
また、本実施形態では、各中間電極層40A,40Bが10nmとなっている。そのため、第2の有機発光層30Bを形成する際に塗布する機能液から第1の有機発光層30Aを保護し、第1の有機発光層30Aが機能液に溶解することを防ぐことができ、また、第4の有機発光層30Dを形成する際に塗布する機能液から第3の有機発光層30Cを保護し、第3の有機発光層30Cが機能液に溶解することを防ぐことができる。それゆえ、同時に、透光性を損なわない良好な発光を実現することができる。
また、以上のような構成の有機EL装置1によれば、各中間電極層40A,40Bが、電子受容性の金属酸化物と、電子供与性の金属との混合物で形成されており、1層で両方の性質を兼ね備えた層となっている。そのため、電子受容性の層と電子供与性の層を別々に設けて積層し各中間電極層40A,40Bを形成する場合と比べて、性能を保ったまま信頼性の高い有機EL装置1を実現することができる。
なお、本実施形態においては、各正孔注入層32A,32BはPEDOT/PSSで形成することとしたが、仕事関数が4.2eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物を用いて形成することとしても構わない。
その場合は、各中間電極層40A,40Bが備える金属酸化物と同じ金属酸化物を用いることが望ましい。この方法によれば、共通する材料で正孔注入層を形成することができるため、必要な材料・設備を減らすことができ、製造工程が簡便になる。
また、本実施形態においては、電子注入性の金属としてアルカリ金属、アルカリ土類金属を用いることとし、それらの中からCaを選択したが、電子注入性の金属としてアルミニウムを使用することもできる。アルミニウムの仕事関数は4.2eVである。
また、本実施形態においては、各中間電極層40A,40Bは1種の金属酸化物(MoO)と1種の金属(Ca)の混合物としたが、各々複数種の金属酸化物および/または金属を用いることとしても構わない。
また、本実施形態においては、第1の有機発光層30Aと第2の有機発光層30Bとを同じ材料で形成し、第3の有機発光層30Cと第4の有機発光層30Dとを同じ材料で形成することとしたが、異なる材料で形成することとしても構わない。その様な場合には、例えば青色と黄色に発色する2層を形成することで全体として白色光を射出する有機EL装置とすることができる。
また、本実施形態においては、第3の有機発光層30Cと第4の有機発光層30Dは、第1の有機発光層30Aと第2の有機発光層30Bの材料と異なる発光色からなる材料としたが、同じ発光色からなる材料としてもよい。
また、本実施形態においては、各発光部30,31を構成する各有機発光層はそれぞれ2層ずつであったが、更に多数の有機発光層をそれぞれ備えることとしても良い。その場合には、各有機発光層の間には同様に中間電極層を形成することが望ましい。
また、画素電極10と第1の有機発光層30Aとの間、第1の中間電極層40Aと第2の有機発光層30Bとの間、反射性中間電極層60と第3の有機発光層30Cとの間、または第2の中間電極層40Bと第4の有機発光層30Dとの間に、有機発光層での発光効率を向上させる機能を備えたインターレイヤ層を形成することとしても良い。インターレイヤ層の形成材料には、例えばアミン系の導電性高分子を用いることができ、該形成材料を含む機能液を液滴吐出法で塗布して形成することができる。
このようなインターレイヤ層を設けると、画素電極10と第1の有機発光層30Aとの界面、第1の中間電極層40Aと第2の有機発光層30Bとの界面、反射性中間電極層60と第3の有機発光層30Cとの界面、または第2の中間電極層40Bと第4の有機発光層30Dとの界面での有機発光層の失活を防止でき、発光効率を上げ有機EL装置を長寿命化することができる。
また、本実施形態においては、インクジェット法を用いて機能液の塗布を行うこととしたが、他にも液滴吐出法、スクリーン印刷、グラビア印刷、フレキソ印刷、ディスペンサ法など、機能液を配置して機能膜を形成する他の湿式塗布法を用いることもできる。
[電子機器]
次に、本発明の製造方法で製造された有機EL装置を備える電子機器としては、例えば、ディスプレイ、自発光型情報表示素子、照明、その他の光源として好適に用いることができ、係る構成とすることで、発光色の異なる両面発光を可能とし、高効率な有機EL表示部を備えた電子機器を提供することができる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施の形態例について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
図1は、本発明の実施形態である有機EL装置を示す断面図である。 図2は、本発明の実施形態である有機EL装置の製造方法を示す工程図である。 図3は、本発明の実施形態である有機EL装置の製造方法を示す工程図である。
符号の説明
1・・・有機エレクトロルミネッセンス装置、10・・・画素電極(陽極)、20・・・基板、24a・・・頂面、24b・・・側壁、30A,30B,30C,30D・・・有機発光層、32A,32B・・・正孔注入層、40A,40B・・・中間電極層、50・・・共通電極(陰極)、60・・・反射性中間電極層、70・・・有機EL素子。

Claims (6)

  1. 陽極と陰極との間に発光部が配置されてなる両面発光型の有機エレクトロルミネッセンス装置であって、
    前記発光部は、複数の有機発光層が第1の中間電極を挟持してなる前記陽極側に配置された第1の発光部と、複数の有機発光層が第2の中間電極を挟持してなる前記陰極側に配置された第2の発光部と、前記第1の発光部と前記第2の発光部間に配置されて反射性及び導電性の反射性中間電極層とからなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置。
  2. 前記反射性中間電極層は、前記陽極側に配置された仕事関数が4.3eV以下である電子供与性の第1の反射層と、前記陰極側に配置された仕事関数が4.3eVより大きな電子受容性の第2の反射層とを具備してなることを特徴とする請求項1に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  3. 前記第1の中間電極は、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性の金属と、の混合物を主体として形成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  4. 前記第2の中間電極は、仕事関数が4.3eVよりも大きい電子受容性の金属酸化物と、仕事関数が4.3eV以下の電子供与性の金属と、の混合物を主体として形成されていることを特徴とする請求項1〜3の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  5. 前記発光部は、互いに異なる発光色を発光することを特徴とする請求項1〜4の何れか1項に記載の有機エレクトロルミネッセンス装置。
  6. 陽極と陰極との間に発光部が配置が挟持されてなる両面発光型の有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法であって、
    前記陽極上に、第1の有機発光層、第1の中間電極層及び第2の有機発光層を順次形成する工程と、
    前記第2の有機発光層の表面全面を覆って、反射性と導電性を有する反射性中間電極層を真空蒸着法により形成する工程と、
    前記反射性中間電極上に、第3の有機発光層、第2の中間電極層及び第4の有機発光層を順次形成する工程と、を具備してなることを特徴とする有機エレクトロルミネッセンス装置の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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