JP2009265363A - 平版印刷版材料積層体および平版印刷版材料の梱包体 - Google Patents

平版印刷版材料積層体および平版印刷版材料の梱包体 Download PDF

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Abstract

【課題】平版印刷版材料を多数枚運搬するに際し、平版印刷版材料が運搬中に損傷を受けることなく運搬できる平版印刷版材料の積層体およびその梱包体を提供する。
【解決手段】アルミニウム支持体上に画像形成層を有する平版印刷版材料1を該画像形成層を同方向にして複数枚積層した積層体3の支持体側に第一保護部材4を、画像形成層側に第二保護部材5を有する平版印刷版材料積層体6であって、該第一保護部材4および該第二保護部材5が紙からなる保護部材であって、該第一保護部材4の紙密度をD1、該第二保護部材5の紙密度をD2としたとき、D2≦0.6(g/cm)、D2/D1≦0.85、である平版印刷版材料積層体。
【選択図】図1

Description

本発明は平版印刷版材料が積層された積層体およびそれを梱包した梱包体に関し、特にいわゆるコンピューター・トゥ・プレート(computer−to−plate:以下において、「CTP」という。)システムに用いられるポジ型の画像形成層を有する平版印刷版材料を積層した積層体およびそれを梱包した梱包体に関する。
近年、印刷の分野においては平版印刷版材料が広く用いられている。一般的な平版印刷版材料は支持体上に画像形成層を有し、画像露光により画像が形成され、さらに現像され不必要な画像形成層が除去され平版印刷版が作製され、平版印刷に供せられる。平版印刷は、平版印刷機の大きさに応じた大きさを有する平版印刷版を用い、印刷が行われる。
一方、平版印刷版材料は、平版印刷版材料が作製された後、平版印刷版機の大きさに応じた大きさ毎に複数枚積層した状態で運搬などが行われる。
複数枚積層した状態としては、多くの場合合紙と呼ばれる保護部材を各平版印刷版材料の間に配置し積層される。積層された平版印刷版材料は、積層された積層体の上下に、当てボールなどと呼ばれる保護部材が配置された状態で、遮光、防湿などの機能を有する包装紙などの包装部材により包装され、さらに包装された包装体は比較的高い硬度を有する保護部材で梱包され、さらに必要に応じ梱包された梱包体は、梱包箱に入れられ運搬される(特許文献1参照)。
運搬に際しては、平版印刷版材料を光、湿度などの環境変化から保護すると共に、積層体の揺れ動くによる版の傷つき、包装、梱包部材の破れを防止することが必要である。
そして、包装、梱包する方法としては、例えば特開平6−122469号公報に記載の透湿度が低い包装材を使用する方法、例えば特開2000−95271号公報に記載の各辺に対応して外力のエネルギーを吸収する保護部材を用いる方法、特開72007−290777号公報に記載の段ボールの端面を特定構造にして折り畳んで包装する方法などが知られている。
しかしながら、これらの包装、梱包方法においても、運搬中に積層体が揺れ動き、包装部材が破れる、版に傷がつく場合があるなどの問題があった。
特開平8−3898号公報
本発明の目的は、平版印刷版材料を多数枚運搬するに際し、平版印刷版材料が運搬中に損傷を受けることなく運搬できる平版印刷版材料の積層体およびその梱包体を提供することにある。
本発明の上記目的は、下記構成により達成される。
1.アルミニウム支持体上に画像形成層を有する平版印刷版材料を該画像形成層を同方向にして複数枚積層した積層体の支持体側に第一保護部材を、画像形成層側に第二保護部材を有する平版印刷版材料積層体であって、該第一保護部材および該第二保護部材が紙からなる保護部材であって、該第一保護部材の紙密度をD1、該第二保護部材の紙密度をD2としたとき、D2≦0.6(g/cm)、D2/D1≦0.85、であることを特徴とする平版印刷版材料積層体。
2.前記画像形成層が、アルカリ可溶性樹脂および光熱変換剤を含有するポジ型画像形成層であることを特徴とする1に記載の平版印刷版材料積層体。
3.前記複数枚積層した積層体が、各平版印刷版材料の間に合紙を含むことを特徴とする1または2に記載の平版印刷版材料積層体。
4.1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版材料積層体を梱包部材で、梱包したことを特徴とする平版印刷版材料の梱包体。
本発明においては、さらにD2が、0.20〜0.60(g/cm)であり、D1が0.50〜0.95(g/cm)である態様が好ましい態様である。
本発明の上記構成により、平版印刷版材料を多数枚運搬するに際し、平版印刷版材料が運搬中での損傷を受けることなく、運搬できる平版印刷版材料の積層体およびその梱包体が提供できる。
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明は、アルミニウム支持体上に画像形成層を有する平版印刷版材料を該画像形成層を同方向にして複数枚積層した積層体の支持体側に第一保護部材を、画像形成層側に第二保護部材を有する平版印刷版材料積層体であって、該第一保護部材および該第二保護部材が紙からなる保護部材であって、該第二保護部材の紙密度(D2)が0.6以下であり、該第一保護部材の紙密度(D1)と該第二保護部材の紙密度(D2)が、D2/D1≦0.85、であることを特徴とする。
本発明においては、平版印刷版材料の積層体の上部に設けられた保護部材の紙密度を0.6以下として、かつ下部に設けられた保護部材の紙密度の0.85倍以下とすることで圧力による画像形成層の感度変化を防止し、バリの発生を防止することができる。
(アルミニウム支持体)
本発明に係るアルミニウム支持体は、純アルミニウム板またはアルミニウム合金板である。
アルミニウム合金としては、種々のものが使用でき、例えば、珪素、銅、マンガン、マグネシウム、クロム、亜鉛、鉛、ビスマス、ニッケル、チタン、ナトリウム、鉄等の金属とアルミニウムの合金が用いられ、各種圧延方法により製造されたアルミニウム板が使用できる。また、近年普及しつつあるスクラップ材およびリサイクル材などの再生アルミニウム地金を圧延した再生アルミニウム板も使用できる。
本発明に係るアルミニウム支持体はその表面が粗面化されていることが好ましい。粗面化(砂目立て処理)するに先立って表面の圧延油を除去するために脱脂処理を施すことが好ましい。脱脂処理としては、トリクレン、シンナー等の溶剤を用いる脱脂処理、ケシロン、トリエタノール等のエマルジョンを用いたエマルジョン脱脂処理等が用いられる。又、脱脂処理には、苛性ソーダ等のアルカリの水溶液を用いることもできる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、上記脱脂処理のみでは除去できない汚れや酸化皮膜も除去することができる。脱脂処理に苛性ソーダ等のアルカリ水溶液を用いた場合、支持体の表面にはスマットが生成するので、この場合には、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸、或いはそれらの混酸に浸漬しデスマット処理を施すことが好ましい。
次いで粗面化処理が施される。粗面化の方法としては、例えば、機械的方法、電解によりエッチングする方法が挙げられる。本発明では、塩酸を主体とする電解液中での交流電解粗面化処理が好ましいが、それに先立ち、機械的粗面化処理および硝酸を主体とする電解粗面化処理を施しても良い。
機械的粗面化法で粗面化した後は、支持体の表面に食い込んだ研磨剤、形成されたアルミニウム屑等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でも、水酸化ナトリウム等のアルカリ水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/mが好ましい。アルカリ水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
硝酸を主体とする電解粗面化処理は、一般には、1〜50ボルトの範囲の電圧を印加することによって行うことができるが、10〜30ボルトの範囲から選ぶのが好ましい。電流密度は、10〜200A/dmの範囲を用いることができるが、20〜100A/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気量は、100〜5000C/dmの範囲を用いることができるが、100〜2000C/dmの範囲から選ぶのが好ましい。電気化学的粗面化法を行う温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液における硝酸濃度は0.1〜5質量%が好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸、アルミニウムイオン等を加えることができる。
上記の硝酸を主体とする電解粗面化処理後は、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜5g/mが好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
塩酸を主体とする電解液中での交流電解粗面化処理は、塩酸濃度は5〜20g/lであり、好ましくは6〜15g/lである。電流密度は15〜120A/dmであり、好ましくは20〜90A/dmである。電気量は400〜2000C/dmであり、好ましくは500〜1200C/dmである。周波数は40〜150Hzの範囲で行うことが好ましい。電解液の温度は、10〜50℃の範囲を用いることができるが、15〜45℃の範囲から選ぶのが好ましい。電解液には、必要に応じて、硝酸塩、塩化物、アミン類、アルデヒド類、燐酸、クロム酸、ホウ酸、酢酸、しゅう酸、アルミニウムイオン等を加えることができる。
上記の塩酸を主体とする電解液中で電解粗面化処理を施した後は、表面のアルミニウム屑等を取り除くため、酸またはアルカリの水溶液に浸漬することが好ましい。酸としては、例えば、硫酸、過硫酸、弗酸、燐酸、硝酸、塩酸等が用いられ、塩基としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等が用いられる。これらの中でもアルカリの水溶液を用いるのが好ましい。表面のアルミニウムの溶解量としては、0.5〜2g/mが好ましい。又、アルカリの水溶液で浸漬処理を行った後、燐酸、硝酸、硫酸、クロム酸等の酸或いはそれらの混酸に浸漬し中和処理を施すことが好ましい。
粗面化処理の次には、陽極酸化処理を行い、陽極酸化皮膜を形成する。陽極酸化処理の方法は、電解液として硫酸または硫酸を主体とする電解液を用いて行うのが好ましい。硫酸の濃度は、5〜50質量%が好ましく、10〜35質量%が特に好ましい。温度は10〜50℃が好ましい。処理電圧は18V以上であることが好ましく、20V以上であることがさらに好ましい。電流密度は1〜30A/dmが好ましい。電気量は200〜600C/dmが好ましい。
形成される陽極酸化被覆量は、2〜6g/mが好ましく、好ましくは3〜5g/mである。陽極酸化被覆量は、例えばアルミニウム板を燐酸クロム酸溶液(燐酸85%液:35ml、酸化クロム(IV):20gを1Lの水に溶解して作製)に浸漬し、酸化被膜を溶解し、板の被覆溶解前後の質量変化測定等から求められる。陽極酸化皮膜にはマイクロポアが生成されるが、マイクロポアの密度は、400〜700個/μmが好ましく、400〜600個/μmがさらに好ましい。
陽極酸化処理された支持体は、必要に応じ封孔処理を施してもよい。これら封孔処理は、熱水処理、沸騰水処理、水蒸気処理、珪酸ソーダ処理、重クロム酸塩水溶液処理、亜硝酸塩処理、酢酸アンモニウム処理等公知の方法を用いて行うことができる。
<親水化処理>
アルミニウム支持体は、上記の処理が行われた後に、親水化処理が施されることが好ましい。
親水化処理は特に限定されないが、水溶性の樹脂、例えばポリビニルホスホン酸、ポリビニルアルコールおよびその誘導体、カルボキシメチルセルロース、デキストリン、アラビアガム、2−アミノエチルホスホン酸などのアミノ基を有するホスホン酸類、スルホン酸基を側鎖に有する重合体および共重合体、ポリアクリル酸、水溶性金属塩(例えばホウ酸亜鉛)もしくは、黄色染料、アミン塩、ポリビニルホスホン酸等を下塗りしたものが使用できる。
処理としては、塗布式、スプレー式、ディップ式等限定されないが、設備を安価にするにはディップ式が好適である。ディップ式の場合には、ポリビニルホスホン酸を0.05〜3%の水溶液で処理することが好ましい。処理温度は20〜90℃、処理時間は10〜180秒が好ましい。処理後、過剰に積層したポリビニルホスホン酸を除去するため、スキージ処理または水洗処理を行うことが好ましい。さらに乾燥処理を行うことが好ましい。
親水性処理層の膜厚は、接着性、断熱性、感度の面から0.002〜0.1μが好ましく、さらに好ましくは0.005〜0.05μである。
(画像形成層)
本発明に係る画像形成層としては、ネガ型、ポジ型いずれの画像形成層でもよいが、本発明は特にアルカリ可溶性樹脂および光熱変換剤を含有し、画像露光によりポジ型の画像を形成し得る層である場合に好適に適用できる。
本発明に係る画像形成層は、さらに酸発生剤および酸分解性化合物を含む態様が好ましい態様である。
(アルカリ可溶性樹脂)
アルカリ可溶性樹脂とは、25℃において、pH13を有する水酸化カリウム水溶液に0.1g/l以上溶解する樹脂である。
アルカリ可溶性樹脂としては、インク着肉性、アルカリ溶解性等の点から、ノボラック樹脂、アクリル樹脂、アセタール樹脂が好ましく用いられる。
アルカリ可溶性樹脂は、単一構成でもよいが、2種類以上組み合わせても良い。
(ノボラック樹脂)
ノボラック樹脂は、種々のフェノール類をアルデヒド類で縮合して合成される。
フェノール類としては、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、m−/p−混合クレゾール、フェノールとクレゾール(m−、p−、またはm−/p−混合のいずれでもよい)、2,3−キシレノール、2,4−キシレノール、2,5−キシレノール、2,6−キシレノール、3,4−キシレノール、3,5−キシレノール、ピロガロール、フェノール基を有するアクリルアミド、メタクリルアミド、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、またはヒドロキシスチレン等が挙げられる。また置換フェノール類であるイソプロピルフェノール、t−ブチルフェノール、t−アミルフェノール、ヘキシルフェノール、シクロヘキシルフェノール、3−メチル−4−クロロ−6−t−ブチルフェノール、イソプロピルクレゾール、t−ブチルクレゾール、t−アミルクレゾールが挙げられる。好ましくは、t−ブチルフェノール、t−ブチルクレゾールも使用できる。一方、アルデヒド類の例としては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、アクロレイン、クロトンアルデヒド等の脂肪族および芳香族アルデヒドが挙げられる。好ましくは、ホルムアルデヒドまたはアセトアルデヒドであり、特にホルムアルデヒドであることが最も好ましい。
上記組み合わせの中で好ましくは、フェノール−ホルムアルデヒド、m−クレゾール−ホルムアルデヒド、p−クレゾール−ホルムアルデヒド、m−/p−混合クレゾール−ホルムアルデヒド、フェノール/クレゾール(m−、p−、o−、m−/p−混合、m−/o−混合およびo−/p−混合のいずれでもよい。)混合−ホルムアルデヒド、クレゾール・キシレノール・ホルムアルデヒドである。クレゾール(m−、p−混合)・ホルムアルデヒド、クレゾール・キシレノール・ホルムアルデヒドであることが特に好ましい。
これらのノボラック樹脂としては、重量平均分子量は1,000以上、数平均分子量が200以上のものが好ましい。さらに好ましくは、重量平均分子量が1,500〜300,000で、数平均分子量が300〜250,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜20のものである。特に好ましくは、重量平均分子量が2,000〜50,000で、数平均分子量が500〜35,000であり、分散度(重量平均分子量/数平均分子量)が1.1〜10のものである。上記範囲にすることで、ノボラック樹脂の膜強度、アルカリ溶解性、薬品に対する溶解性、光熱変換物質との相互作用性等を適度に調節でき、本発明の効果が得られやすくなる。
なお、重量平均分子量は、ノボラック樹脂の単分散ポリスチレンを標準とするゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)法により求めたポリスチレン換算の値を採用している。
ノボラック樹脂の製造方法としては、例えば、「新実験化学講座[19]高分子化学[I]」(1993年、丸善出版)、第300項に記載の如く、フェノールおよび置換フェノール類(例えば、キシレノール、クレゾール類など)を溶媒中、酸を触媒として、ホルムアルデヒド水溶液と共に反応させて、フェノールと、置換フェノール成分におけるo−位またはp−位と、ホルムアルデヒドとを、脱水縮合する。こうして得たノボラック樹脂を有機極性溶媒に溶解させたのち、無極性溶媒を適量加え、数時間放置すると、ノボラック樹脂溶液は2層に分離する。分離した溶液の下層のみを濃縮することにより分子量が集約したノボラック樹脂が製造できる。
ノボラック樹脂は単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。2種以上組み合わせることにより、膜強度、アルカリ溶解性、薬品に対する溶解性、光熱変換物質との相互作用性等の異なる特性を有効利用することができるので、好ましい。画像記録層中に2種以上のノボラック樹脂を併用する場合、重量平均分子量、m/p比等可能な限り差があるものを組み合わせた方が好ましい。例えば、重量平均分子量では1000以上差があることが好ましく、さらに好ましくは2000以上である。m/p比では0.2以上差があることが好ましく、さらに好ましくは0.3以上である。
ノボラック樹脂の添加量は、画像形成層に対して、耐薬品性や耐刷性等の観点から30〜99質量%であることが好ましく、45〜95質量%であることがさらに好ましく、60〜90質量%の範囲であることが特に好ましい。
(アクリル樹脂)
アクリル樹脂としては、下記の構成単位を含む共重合体であることが好ましい。好適に用いられる他の構成単位としては、例えば、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、ビニルエステル類、スチレン類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル、無水マレイン酸、マレイン酸イミド、ラクトン類、等の公知のモノマーより導入される構成単位が挙げられる。
用いることのできるアクリル酸エステル類の具体例としては、メチルアクリレート、エチルアクリレート、(n−またはi−)プロピルアクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルアクリレート、アミルアクリレート、2−エチルヘキシルアクリレート、ドデシルアクリレート、クロロエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、5−ヒドロキシペンチルアクリレート、シクロヘキシルアクリレート、アリルアクリレート、トリメチロールプロパンモノアクリレート、ペンタエリスリトールモノアクリレート、グリシジルアクリレート、ベンジルアクリレート、メトキシベンジルアクリレート、クロロベンジルアクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルアクリレート、フルフリルアクリレート、テトラヒドロフルフリルアクリレート、フェニルアクリレート、クロロフェニルアクリレート、スルファモイルフェニルアクリレート、が挙げられる。
メタクリル酸エステル類の具体例としては、メチルメタクリレート、エチルメタクリレート、(n−またはi−)プロピルメタクリレート、(n−、i−、sec−またはt−)ブチルメタクリレート、アミルメタクリレート、2−エチルヘキシルメタクリレート、ドデシルメタクリレート、クロロエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、5−ヒドロキシペンチルメタクリレート、シクロヘキシルメタクリレート、アリルメタクリレート、トリメチロールプロパンモノメタクリレート、ペンタエリスリトールモノメタクリレート、グリシジルメタクリレート、メトキシベンジルメタクリレート、クロロベンジルメタクリレート、2−(p−ヒドロキシフェニル)エチルメタクリレート、フルフリルメタクリレート、テトラヒドロフルフリルメタクリレート、フェニルメタクリレート、クロロフェニルメタクリレート、スルファモイルフェニルメタクリレート等が挙げられる。
アクリルアミド類の具体例としては、アクリルアミド、N−メチルアクリルアミド、N−エチルアクリルアミド、N−プロピルアクリルアミド、N−ブチルアクリルアミド、N−ベンジルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチルアクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−トリルアクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)アクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)アクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)アクリルアミド、N−(トリルスルホニル)アクリルアミド、N,N−ジメチルアクリルアミド、N−メチル−N−フェニルアクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルアクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)アクリルアミド等が挙げられる。
メタクリルアミド類の具体例としては、メタクリルアミド、N−メチルメタクリルアミド、N−エチルメタクリルアミド、N−プロピルメタクリルアミド、N−ブチルメタクリルアミド、N−ベンジルメタクリルアミド、N−ヒドロキシエチルメタクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド、N−トリルメタクリルアミド、N−(p−ヒドロキシフェニル)メタクリルアミド、N−(スルファモイルフェニル)メタクリルアミド、N−(フェニルスルホニル)メタクリルアミド、N−(トリルスルホニル)メタクリルアミド、N,N−ジメチルメタクリルアミド、N−メチル−N−フェニルメタクリルアミド、N−(p−トルエンスルホニル)メタクリルアミド、N−ヒドロキシエチル−N−メチルメタクリルアミド等が挙げられる。
ラクトン類の具体例としては、パントイルラクトン(メタ)アクリレート、α−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトン、β−(メタ)アクリロイル−γ−ブチロラクトンが挙げられる。
マレイン酸イミド類の具体例としては、マレイミド、N−アクリロイルアクリルアミド、N−アセチルメタクリルアミド、N−プロピオニルメタクリルアミド、N−(p−クロロベンゾイル)メタクリルアミド等が挙げられる。
ビニルエステル類の具体例としては、ビニルアセテート、ビニルブチレート、ビニルベンゾエート等が挙げられる。
スチレン類の具体例としては、スチレン、メチルスチレン、ジメチルスチレン、トリメチルスチレン、エチルスチレン、プロピルスチレン、シクロヘキシルスチレン、クロロメチルスチレン、トリフルオロメチルスチレン、エトキシメチルスチレン、アセトキシメチルスチレン、メトキシスチレン、ジメトキシスチレン、クロロスチレン、ジクロロスチレン、ブロモスチレン、ヨードスチレン、フルオロスチレン、カルボキシスチレン等が挙げられる。
アクリルニトリル類の具体例としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等が挙げられる。
これらのモノマーのうち特に好適に使用されるのは、炭素数20以下のアクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル類、アクリルアミド類、メタクリルアミド類、アクリル酸、メタクリル酸、アクリロニトリル類、マレイン酸イミド類である。
これらを用いた共重合体の分子量は好ましくは重量平均分子量(Mw)で2000以上であり、さらに好ましくは0.5万〜10万の範囲であり、特に好ましくは1万〜5万である。
アクリル樹脂の重合形態は、ランダムポリマー、ブロックポリマー、グラフトポリマー等いずれでもよいが、現像液の溶解性等を制御できる点で、親水性基と疎水性基を相分離可能なブロックポリマーであることが好ましい。
アクリル樹脂は、単独で用いてもあるいは2種類以上を混合して用いてもよい。
(アセタール樹脂)
ポリビニルアセタール樹脂は、ポリビニルアルコールをアルデヒドによりアセタール化し、さらにその残存ヒドロキシ基と酸無水物とを反応させる方法で合成することができる。
ここで用いられるアルデヒドとしては、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンチルアルデヒド、ヘキシルアルデヒド、グリオキシル酸、N,N−ジメチルホルムアミドジ−n−ブチルアセタール、ブロモアセトアルデヒド、クロルアセトアルデヒド、3−ヒドロキシ−n−ブチルアルデヒド、3−メトキシ−n−ブチルアルデヒド、3−(ジメチルアミノ)−2,2−ジメチルプロピオンアルデヒド、シアノアセトアルデヒド等が挙げられるがこれに限定されない。
アセタール樹脂としては、下記一般式(PVAC)で表されるポリビニルアセタール樹脂が好ましく用いられる。
Figure 2009265363
一般式(PVAC)において、n1は5〜85モル%を表し、n2は0〜60モル%を表し、n1は0〜60モル%を表す。
構成単位(i)は、ポリビニルアセタールから誘導される基であり、構成単位(ii)は、ポリビニルアルコールから誘導される基であり、構成単位(iii)はビニルエステルから誘導される基である。
上記構成単位(i)中、Rは置換基を有していてもよいアルキル基、水素原子、カルボキシル基、またはジメチルアミノ基を表す。
置換基としては、カルボキシル基、ヒドロキシル基、クロル基、ブロム基、ウレタン基、ウレイド基、3級アミノ基、アルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、アミド基、エステル基などが挙げられる。Rの具体例としては、水素原子、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、カルボキシ基、ハロゲン原子(−Br、−Clなど)またはシアノ基で置換されたメチル基、3−ヒドロキシブチル基、3−メトキシブチル基、フェニル基等が挙げられ、中でも水素原子、プロピル基、フェニル基が特に好ましい。
上記構成単位(iii)中、Rは置換基を有さないアルキル基、カルボキシル基を有する脂肪族炭化水素基、脂環式炭化水素基、または、芳香族炭化水素基を表し、これらの炭化水素基は、炭素数1〜20を表す。中でも、炭素数1〜10のアルキル基が好ましく、特にメチル基、エチル基が現像性の観点から好ましい。n3は、耐刷性の面から0〜20モル%の範囲であり、特に1〜10モル%の範囲であることがより好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂の酸含有量は、感度、現像ラチチュードの面から0.5〜5.0meq/g(即ち、KOHのmg数で84〜280)の範囲であることが好ましく、1.0〜3.0meq/gであることがより好ましい。
ポリビニルアセタール樹脂の分子量としては、ゲルパーミエーションクロマトグラフィーにより測定した重量平均分子量で、約5000〜40万程度であることが好ましく、約2万〜30万程度であることがより好ましい。上記範囲にすることで膜強度、アルカリ溶解性、薬品に対する溶解性等を調整でき、本発明の効果を得やすくなる。
なお、これらのポリビニルアセタール樹脂は、単独で用いても、2種以上を混合して用いてもよい。
ポリビニルアルコールのアセタール化は、公知の方法に従って行うことができ、例えば、米国特許第4665124号;米国特許第4940646号;米国特許第5169898号;米国特許第5700619号;米国特許第5792823号;日本特許第09328519号等に記載されている。
(光熱変換剤)
本発明に係る光熱変換剤は、700nm以上、好ましくは750〜1200nmの赤外域に光吸収域があり、この波長の範囲の光において、光/熱変換能を発現するものを指し、具体的には、この波長域の光を吸収し熱を発生する種々の顔料もしくは染料を用いる事ができる。
(顔料)
顔料としては、市販の顔料およびカラーインデックス(C.I.)便覧、「最新顔料便覧」(日本顔料技術協会編、1977年刊)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年刊)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984年刊)に記載されている顔料が利用できる。
顔料の種類としては、黒色顔料、黄色顔料、オレンジ色顔料、褐色顔料、赤色顔料、紫色顔料、青色顔料、緑色顔料、蛍光顔料、金属粉顔料、その他、ポリマー結合色素が挙げられる。具体的には、不溶性アゾ顔料、アゾレーキ顔料、縮合アゾ顔料、キレートアゾ顔料、フタロシアニン系顔料、アントラキノン系顔料、ペリレンおよびペリノン系顔料、チオインジゴ系顔料、キナクリドン系顔料、ジオキサジン系顔料、イソインドリノン系顔料、キノフタロン系顔料、染付けレーキ顔料、アジン顔料、ニトロソ顔料、ニトロ顔料、天然顔料、蛍光顔料、無機顔料、カーボンブラック等が使用できる。
顔料は、感度、感光層の均一性および耐久性の観点から、感光層を構成する全固形分に対し0.01〜10質量%、好ましくは0.1〜5質量%の割合で添加することができる。
(染料)
染料としては、市販の染料および文献(例えば「染料便覧」有機合成化学協会編集、昭和45年刊)に記載されている公知のものが利用できる。具体的には、アゾ染料、金属錯塩アゾ染料、ピラゾロンアゾ染料、アントラキノン染料、フタロシアニン染料、カルボニウム染料、キノンイミン染料、メチン染料、シアニン染料などの染料が挙げられる。本発明において、これらの顔料、もしくは染料のうち赤外光、もしくは近赤外光を吸収するものが、赤外光もしくは近赤外光を発光するレーザーでの利用に適する点で特に好ましい。
そのような赤外光、もしくは近赤外光を吸収する染料としては例えば特開昭58−125246号、特開昭59−84356号、特開昭59−202829号、特開昭60−78787号等に記載されているシアニン染料、特開昭58−173696号、特開昭58−181690号、特開昭58−194595号等に記載されているメチン染料、特開昭58−112793号、特開昭58−224793号、特開昭59−48187号、特開昭59−73996号、特開昭60−52940号、特開昭60−63744号等に記載されているナフトキノン染料、特開昭58−112792号等に記載されているスクワリリウム色素、英国特許434,875号記載のシアニン染料等を挙げることができる。また、染料として米国特許第5,156,938号記載の近赤外吸収増感剤も好適に用いられ、また、米国特許第3,881,924号記載の置換されたアリールベンゾ(チオ)ピリリウム塩、特開昭57−142645号(米国特許第4,327,169号)記載のトリメチンチアピリリウム塩、特開昭58−181051号、同58−220143号、同59−41363号、同59−84248号、同59−84249号、同59−146063号、同59−146061号に記載されているピリリウム系化合物、特開昭59−216146号記載のシアニン色素、米国特許第4,283,475号に記載のペンタメチンチオピリリウム塩等や特公平5−13514号、同5−19702号公報に開示されているピリリウム化合物、Epolight III−178、Epolight III−130、Epolight III−125等は特に好ましく用いられる。
これらの染料のうち特に好ましいものとしては、シアニン色素、フタロシアニン染料、オキソノール染料、スクアリリウム色素、ピリリウム塩、チオピリリウム染料、ニッケルチオレート錯体が挙げられる。
(酸発生剤)
酸発生剤は、画像露光により酸を発生し得る化合物であり、各種の公知化合物および混合物が挙げられる。
例えばジアゾニウム、ホスホニウム、スルホニウム、およびヨードニウムのBF 、PF 、SbF 、SiF 2−、ClO などの塩、有機ハロゲン化合物、オルトキノン−ジアジドスルホニルクロリド、および有機金属/有機ハロゲン化合物も、本発明における酸発生剤として使用することができる。また特開平4−365048号等に記載のイミノスルフォネート等に代表される光分解してスルホン酸を発生する化合物、特開昭61−166544号等に記載のジスルホン化合物、特開昭50−36209号(米国特許第3969118号)記載のo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハライド、特開昭55−62444号(英国特許第2038801号)記載あるいは特公平1−11935号記載のo−ナフトキノンジアジド化合物を挙げることができる。その他の酸発生剤としては、シクロヘキシルシトレート、p−アセトアミノベンゼンスルホン酸シクロヘキシルエステル、p−ブロモベンゼンスルホン酸シクロヘキシルエステル等のスルホン酸アルキルエステル、アルキルスルホン酸エステル等を用いることができる。
前記のハロゲン化水素酸を形成する化合物の例としては米国特許第3,515,552号、同第3,536,489号および同第3,779,778号および西ドイツ国特許公開公報第2,243,621号に記載されているものが挙げられ、また例えば西ドイツ国特許公開公報第2,610,842号に記載の光分解により酸を発生させる化合物も使用することができる。また、特開昭50−36209号に記載されているo−ナフトキノンジアジド−4−スルホン酸ハロゲニドを用いることができる。
有機ハロゲン化合物としては、ハロゲン置換アルキル基を有するトリアジン類およびハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類が好ましく、ハロゲン置換アルキル基を有するs−トリアジン類が特に好ましい。ハロゲン置換アルキル基を有するオキサジアゾール類の具体例としては、特開昭54−74728号、特開昭55−24113号、特開昭55−77742号、特開昭60−3626号および特開昭60−138539号に記載の2−ハロメチル−1,3,4−オキサジアゾール系化合物が挙げられる。
(酸分解性化合物)
酸分解性化合物は、画像露光により酸発生剤が発生した酸により分解し得る化合物である。
酸分解性化合物として、具体的には、特開昭48−89003号、同51−120714号、同53−133429号、同55−12995号、同55−126236号、同56−17345号の明細書中に記載されているC−O−C結合を有する化合物、特開昭60−37549号、同60−121446号の明細書中に記載されているSi−O−C結合を有する化合物、特開昭60−3625号、同60−10247号の明細書中に記載されているその他の酸分解性化合物が挙げられる。
さらにまた特開昭62−222246号の明細書中に記載されているSi−N結合を有する化合物、特開昭62−251743号の明細書中に記載されている炭酸エステル、特開昭62−209451号の明細書中に記載されているオルト炭酸エステル、特開昭62−280841号の明細書中に記載されているオルトチタン酸エステル、特開昭62−280842号の明細書中に記載されているオルトケイ酸エステル、特開2000−221676号の明細書中に記載されているアセタールおよびケタール、特開昭62−244038号の明細書中に記載されているC−S結合を有する化合物、特開2005−91802号に記載のフェノールフタレイン、クレゾールフタレイン、フェノールスルホフタレインを熱または酸分解基で保護した化合物などが挙げられる。
画像形成層は、さらに、可視化剤、現像促進剤、現像抑制剤、感度向上剤などを含んでもよい。
画像形成層は、アルミニウム支持体上に、画像形成層用塗布液を塗布、乾燥することで得られる。
即ち、画像形成層は、画像形成層に含有される上記各成分を含有する画像形成層用塗布液(以下単に塗布液ともいう)を、アルミニウム支持体上に塗布、乾燥することにより形成され、平版印刷版材料が作製される。
(平版印刷版材料積層体)
(保護部材)
本発明に係る平版印刷版材料積層体は、上記した平版印刷版材料を、画像形成層を同方向にして複数枚積層したものである。積層するに際しては、上記の合紙を各平版印刷版材料の間に配置することが好ましい。合紙の各平版印刷版材料の間への配置は、長尺の平版印刷版材料上に長尺の合紙を重ね、合紙が重ねられた状態の長尺の平版印刷版材料を、所定のサイズに切断し、これら切断された、合紙が重ねられた平版印刷版材料を、積み重ねることにより行うことができる。
平版印刷版材料積層体は、平版印刷版材料が画像形成層を同方向にして複数枚積層された積層体の、支持体側に第一保護部材を、画像形成層側に第二保護部材を有する。
第一保護部材または第二保護部材は、紙からなる保護部材であり、保護部材として例えば段ボール、クラフト紙、アイボリー紙などが挙げられる。
特に第一保護部材は、アイボリー紙であることが好ましい。
本発明においては、該第二保護部材の紙密度(D2)が0.6以下であり、該第一保護部材の紙密度(D1)と該第二保護部材の紙密度(D2)が、D2/D1≦0.85、であることが必要である。
紙密度とは、紙の単位体積当たりの質量をいい、JIS P−8118記載の方法により測定した値(g/cm)をいう。
第二保護部材の紙密度(D2)は、0.60(g/cm)以下であるが、0.20〜0.60(g/cm)であることが好ましい。
第一保護部材の紙密度(D2)は、0.50〜0.95(g/cm)であることが好ましく、特に0.60〜0.85(g/cm)0であることが好ましい。
本発明においては、運搬中の平版印刷版材料の揺らぎ抑制の面から、第一保護部材の紙密度(D1)と第二保護部材の紙密度(D2)が、D2/D1≦0.85、である関係を満たすことが必要であるあるが、さらに0.30≦D2/D1≦0.85であることが好ましく、特に0.40≦D2/D1≦0.80であることが好ましい。
また、第一保護部材の厚さおよび第二保護部材の厚さは、30〜1000μmであることが好ましく、特に50〜800μmであることが好ましい。
本発明に係る第一及び第二保護部材に用いられる紙の材料として、木材パルプ、麻等の天然繊維、ポリオレフィン等の線状高分子から得られる合成パルプ、再生セルロース等を単独又は混合したものが挙げられる。これらの中でも木材パルプや天然繊維繊等、低コストの材料を使用したものが好ましく用いられる。
本発明において、D2/D1の特定の範囲において本願の効果を奏することの理由は、明確では内が、保護部材で上下を挟まれ梱包された梱包体の振動がD2/D1の特定の範囲において抑制されて、結果として感光層の表面が傷つきにくくなるものと推測される。
(合紙)
本発明に係る平版印刷版材料積層体としては、平版印刷版材料の間に合紙を含むものが好ましく用いられる。
本発明に用いることができる合紙の材質としては、種類には特に制限はなく、例えば、紙、不織布、プラスチックシートまたはフィルム、並びに紙の片面若しくは両面に、樹脂層、マイクロ樹脂層を設けたラミネートシートまたはフィルムなどが挙げられる。
また、紙としても、グランドパルプなど機械処理で作られた機械パルプを原料とするもの、化学処理で作られた化学パルプを原料とするもの、両処理を併用して作られたセミケミカルパルプやケミグランドパルプを原料とするものが挙げられる。
また、パルプは、精製工程で漂白されたさらしパルプ、漂白されていない未さらしパルプのどちらであってもよい。さらに、レーヨン、ナイロン、ビニロン、ポリエステル、ポリアクリロニトリル、ポリスチレンなどの化学繊維からなる化学繊維紙も使用できる。さらにこれらの紙に有機物を含浸させたものなどが例示でき、特に制限はない。
本発明においては、一般的に上質紙、中質紙と呼ばれる紙、あるいはこれらの上にプラスチックコーティングされた紙を好ましく用いることができる。
合紙としては、平版印刷版材料の画像形成層側表面に接する面の平滑度が25秒以下であり、画像形成層側表面に接する面と反対の面の平滑度が20〜300秒であるものが好ましく用いられる。さらに透気抵抗度が60秒以上である合紙を好ましく用いることができる。
平滑度はベック平滑度のことをいい、ベック平滑度の値は、JIS−8119(1998年)に基づき測定した値をいう。
合紙の平滑度を調整する方法としては原材料であるパルプの種類、叩解条件のほか使用する薬品の種類、使用量、および抄紙時のカレンダー処理などの製造方法によっても調整することができる。本発明においてはいずれの方法で調製された合紙でも用いることができる。
透気抵抗度の値は、JIS P 8117に基づき測定した値をいう。透気抵抗度は紙の空気通過に対する抵抗性を示す値で、100mlの空気が面積645mmの紙を通過するのにかかる時間で表される。
合紙の透気抵抗度を調整する方法としては、原材料である繊維材料の種類、叩解条件の他、紙の坪量、またサイズ剤等、使用する薬品の種類、使用量によっても調整することが出来る。本発明においてはいずれの方法で透気抵抗度を調整した合紙でも用いることができる。
図1により本発明の平版印刷版材料積層体および梱包体を説明する。
図1は、本発明の平版印刷版材料の梱包体の概略側断面図である。
平版印刷版材料積層体6は、平版印刷版材料1と合紙2とが積層された積層体3に、第一保護部材4および第二保護部材5が配置されている。
平版印刷版材料の梱包体8は、平版印刷版材料積層体6を梱包部材7により梱包されている。梱包部材としては、遮光、防湿などの機能を有する包装紙が好ましく用いられる。
梱包体8は、必要に応じさらに、梱包箱などに入れられ運搬に供せられる。
以下、実施例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明の態様はこれに限定されない。なお、実施例における「部」は、特に断りない限り「質量部」を表す。
〈支持体の作製〉
厚さ0.3mmのアルミニウム板(材質1050、調質H16)を65℃に保たれた5%水酸化ナトリウム水溶液に浸漬し、1分間の脱脂処理を行った後、水洗した。この脱脂アルミニウム板を、25℃に保たれた10%硫酸水溶液中に1分間浸漬して中和した後、水洗した。
次いで、このアルミニウム板を、塩酸濃度11g/L、25℃、周波数50Hz、50A/dmの交流電流において20秒間電解粗面化処理を行った。電解粗面化を行った後、水洗し、50℃に保たれた1%水酸化ナトリウム水溶液中で10秒間のデスマット処理を行い、水洗し、50℃に保たれた30%硫酸中で30秒間中和処理を行い、水洗した。
次いで、30%硫酸溶液中で、25℃、電流密度30A/dm、電圧25Vの条件下に30秒間陽極酸化処理を行い、脱イオン水で水洗した。さらに、0.44%のポリビニルホスホン酸水溶液に、75℃、30秒間ディップ処理を行い、次いで脱イオン水で水洗し、25℃の冷風で乾燥し、親水性化処理された支持体を得た。この支持体の表面の中心線平均粗さ(Ra)は0.50μmであった。
上記支持体上に、下記組成からなる画像形成層用塗布液1を押し出しコーターを用いて、乾燥膜厚1.3g/mになるように塗布した。塗布溶剤は、110℃の温風で60秒乾燥させ平版印刷版材料を得た。
乾燥後の平版印刷版材料を、23℃/50%RHの雰囲気下で、坪量40g/m、Bekk平滑度10秒、の上質紙を合紙として感光性層と密着するように重ね合わせ、1,030mm×800mmのサイズに断裁して、予めパレット上に置いた断熱ボード上に1,000枚積み重ねた。
積み重ねた印刷版試料の上に、別の断熱ボードを置き、全体をずれないように固定した状態で、55℃/72時間加熱処理を行った。
<画像形成層用塗布液1>
ノボラック樹脂1(o−クレゾール/p−クレゾール=70/30(重量平均分子量10,000) 53.5部
ノボラック樹脂2(m−クレゾール/p−クレゾール=60/40(重量平均分子量4,000) 22部
アクリル樹脂1(N−(4−ヒドロキシフェニル)マレイミド/アクリロニトリル/メタクリル酸メチル=25/55/20モル%重量平均分子量30,000)
8部
アクリル樹脂2(P−ヒドロキシフェニルメタクリレート/t−ブトキシカルボニル化−p−ヒドロキシフェニルメタクリレート=60/40重量平均分子量30,000)
1部
ポリエチレングリコール(重量平均分子量4,000 2.5部
ソルビタンラウレート 1部
無水フタル酸 5部
酸分解性化合物(下記化合物A) 2部
赤外線吸収色素(下記化合物B) 2部
酸発生剤(2,4−トリクロロメチル(4−メトキシナフチル)−6−トリアジン)
0.5部
可視画染料1(オイルブルー613(オリエント化学工業社製) 1.2部
可視画染料2(下記化合物1) 1.2部
フッ素系化合物(OMNOVA社PolyFox6520) 0.1部
γ−ブチロラクトン 100部
シクロヘキサノン 130部
プロピレングリコールモノメチルエーテル 470部
メチルエチルケトン 30部
Figure 2009265363
Figure 2009265363
[保護部材の作製]
原料古紙を叩解し、4%の濃度に希釈した紙料にサイズ剤を厚紙重量の0.1%、紙力剤を厚紙重量の0.2%になるように加え、さらに硫酸アルミニウムをpHが5.0になるまで加えた紙料を用いて抄紙して得られた密度0.60g/cm、坪量640g/mの保護部材B1を作製した。抄紙時の条件(カレンダリング加工時のニップ圧)を変えることで、表1に示す紙密度を有する保護部材B2〜B30、A1〜A30を作製した。
(搬送ずれ試験)
加熱処理した上記合紙が重ねられた平版印刷版材料の積層体から、50枚を抜き出し、支持体側に上記保護部材B1を、画像形成層側にA1を密着させ、包装紙で、図1に示すように包装し梱包体1を作製した。
梱包体1を、直径20cmのゴムローラが30cm間隔で配置されたロールコンベア上を、50m/分の速度で、30m搬送し、搬送後の積層体を観察した。搬送後の平版印刷版材料同士のズレが認められないものを○、3mm未満のズレが認められるものを△、3mm以上のずれが認められるものを×のランクとして、搬送ズレを評価し、平版印刷版材料の損傷の受けにくさの指標の一つとした。
(画像形成層表面キズ)
目視により、搬送後の平版印刷版材料の画像形成層について、直径0.1mm以上のキズの個数(個/m)を観測し、平版印刷版材料の損傷の受けにくさの指標の一つとした。結果を表1に示す。
Figure 2009265363
表1から、本発明の平版印刷版材料積層体は、搬送ズレが少なく、画像形成層表面のキズが少なく、運搬中に損傷を受けにくいことが分かる。
本発明の平版印刷版材料の梱包体の概略断面図である。
符号の説明
1 平版印刷版材料
2 合紙
3 積層体
4 第一保護部材
5 第二保護部材
6 平版印刷版材料積層体
7 梱包部材
8 梱包体

Claims (4)

  1. アルミニウム支持体上に画像形成層を有する平版印刷版材料を該画像形成層を同方向にして複数枚積層した積層体の支持体側に第一保護部材を、画像形成層側に第二保護部材を有する平版印刷版材料積層体であって、該第一保護部材および該第二保護部材が紙からなる保護部材であって、該第一保護部材の紙密度をD1、該第二保護部材の紙密度をD2としたとき、D2≦0.6(g/cm)、D2/D1≦0.85、であることを特徴とする平版印刷版材料積層体。
  2. 前記画像形成層が、アルカリ可溶性樹脂および光熱変換剤を含有するポジ型画像形成層であることを特徴とする請求項1に記載の平版印刷版材料積層体。
  3. 前記複数枚積層した積層体が、各平版印刷版材料の間に合紙を含むことを特徴とする請求項1または2に記載の平版印刷版材料積層体。
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載の平版印刷版材料積層体を梱包部材で、梱包したことを特徴とする平版印刷版材料の梱包体。
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