JP2009264778A - 光スポット変位検出装置及び計測装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】光スポットの変位を検出することを原理とする光学式センサにおいて、アナログ型のものは測定範囲が狭い、ダイナミックレンジが狭いなどの難点があり、ディジタル型のものは処理が面倒で、応答が遅いという難点があった。
【解決手段】光スポットの光強度を単独のフォトダイオードで検出することを基本として、受光素子前に光スポットよりピッチの短い格子を置くことでディジタル信号を得ると共に、広範囲の光スポット変位に対応できるアナログ型の検出器を併用する。
【選択図】図1

Description

本発明は,精密測定技術に関し、特に、光スポット変位検出装置及びその応用による測定装置に関する。
精密測定の分野において、光源から被測定面に投射した光スポットを検出することにより、被測定面の角度や変位を求めることが知られている。かかる技術を用いた光電式角度センサや変位センサの受光部に不可欠のものとして、受光面上での光スポット強度の重心位置を検出できる分布型フォトダイオード(以下、PSD受光素子という)、分割型フォトダイオード等がある(特許文献1参照)。また、アレー型のフォトダイオード、CCDアレーなども用いられることもある。
特開2007−086095号公報
ところで、光スポットの移動はPSD受光素子、2分割フォトダイオードなどのアナログ型のものと、フォトダイオードアレー、CCDアレーなどディジタル型のものが使われ、アナログ型のものは測定範囲が狭い、ダイナミックレンジが狭いなどの難点があり、一方、アレー型は処理が面倒で、応答が遅いという難点があった。
そこで本発明の目的は、かかる従来技術の問題点に鑑み、アナログ型のフォトダイオードにおける応答性の速さを活かしたまま、ディジタル型のフォトダイオードと同様の広い測定範囲を実現する技術を提供することを目的とする。
更に、本発明は、光スポットの光強度を単独のフォトダイオードで検出することを基本として、前記単独のフォトダイオーに到達する光量変化が光スポットの移動に関するディジタル的な信号となるスポット光量の集光技術を提供する。また、ディジタル信号の読み取りに不可欠の方向弁別や原点信号もアナログ的な手段から応答速度を落とさずに取り出す技術を提供する。また、その集光技術を応用した光スポット変位検出装置を組み込んで既存の光電式角度センサや光電式変位センサの読みをディジタル化する方法を提供する。
本発明の光スポット変位検出装置は、光源から出射された光束が所定の大きさの光スポットになる面に、前記光スポットの大きさと同程度以下の間隔で光の透過と遮蔽を繰り返す半ピッチの幅の線(以下格子線と呼ぶ)のパターン(以下読取格子と呼ぶ)を配置し、前記読取格子を通過した光線を光電変換素子に集めて前記読取格子通過時の光強度を検出することにより、前記光強度の強弱から光スポットの格子線に直交する方向への前記スポットと前記読取格子との相対的な移動量を正弦波的繰り返し信号として知ることができるものである。
本発明の光スポット変位検出装置では、受光部の所定の面に、その面上での光スポット径と同程度の幅で光が遮蔽される部分のある周期構造の読取格子をフォトダイオードの前に配置して、格子のピッチに相当する光スポットの変位がフォトダイオード出力に1周期の正弦波状の繰返し信号(以下、この正弦波信号またはそれを矩形波に変換した信号をディジタル信号と呼ぶ)となる方法をとる。これによって、ディジタル信号を単独のフォトダイオードの出力から得ることができ、さらに、前記読取格子のパターンの続く長さまでスポット変位検出範囲を広げることができる。
また本発明では、前記ディジタル信号とは別に、同じ光スポット移動に応じて全測定範囲で一様に変化するアナログ信号を得て、その微分値から光スポット移動方向の弁別をし、差動的に拡大検出できるアナログ信号のゼロ点からディジタル信号の原点を検出し、さらに前記ディジタル信号と前記アナログ出力を対比してディジタル信号の原点からの距離を決め、ディジタル信号のいわゆるアブソリュート読取を実現する。
また、スポット変位検出の分解能は、正弦波状の信号を電気的に内挿するか、又は位相変調法で内挿して高める。
本発明の原理について説明する。図1は、不図示の光源からの光束OA1をビームスプリッタBSで2分して、そのうち一方を、受光部PR1の読取格子RG1上で格子のピッチの約半分の径のスポットOS1に収束させて、読取格子RG1を通過した光を集光レンズCL1を介してフォトダイオードPD1で受光する模式図を示す。光スポットOS1が、光束OA1の読取格子RG1に対する相対的な平行移動あるいは傾斜によって、読取格子RG1上をピッチ方向に移動すると、フォトダイオードPD1に到達する光強度が変化し、不図示である光電変換回路を介して正弦波状の繰り返し信号(以下ディジタル信号と呼ぶ)に変換される。なお、図では光スポットはほぼ円になっているが、格子線の線方向に縦長のスポットを形成するのもゼロクロス点(正弦波状の信号振幅の中央を通過する点)を精度よく検出する上で好ましい。
更に、図2に読取格子RG1を通過した光量の変化を読取格子に対する光スポット位置の関係で示す。正弦波状の繰り返し信号の周期は読取格子RG1のピッチと等しい。
図1において、ビームスプリッタで2分割された光束OA1の他方の成分は反射されて、アナログ信号発生用受光部(反射率変化型の光軸角度検出部)PR2へ向かう。受光部PR2で受けた光線は、屈折率が周囲の空気(ここでは周囲を空気として説明するが、周囲が真空でも液体でもよいことは言うまでも無い)と異なる透明物体ASの第1境界面AS1で反射光と透過光に分かれ、第1境界面AS1での透過光が第2境界面AS2での反射光と透過光に分かれ、図1のようにフォトダイオードPD2、PD3、PD4に到達する。なお、図には示さないが、それぞれのフォトダイオードの前に集光用のレンズや鏡を必要に応じて追加することは好ましい。
光束OA1の平均的な光線方向(これを光束の光軸と呼ぶ)が変わると、それぞれの境界面での反射率が変わり、フォトダイオードPD2、PD3、およびPD4の到達する光量が変化する。それぞれのフォトダイオードに到達する光量に比例する電圧をPV2、PV3、PV4とすると、第1境界面AS1での反射率変化RR1が次式で与えられる。
RR1=(PV2−PV3−PV4)/(PV2+PV3+PV4) (1)
光線が空気からガラスなどの透明物体ASに向かう際、第1境界面AS1での反射率の特性の例を図3に示す。厳密には透明物体ASの屈折率nで変化の様子が変わるが、入射角の変化に対して比較的緩やかに反射率が変化する。これを用いることで、10度程度の入射角変化を検知することができる。
透明物体ASの第2境界面AS2での反射率変化RR2が次式で与えられる。
RR2=(PV3−PV4)/(PV3+PV4) (2)
更に、光線がガラスなどの透明物体ASから空気に向かう際、第2境界面AS2での反射率変化の例を図4(a)に示す。又、式(2)で与えられる反射率変化RR2が0となる近傍を拡大して図4(b)に示す。この場合は、入射角変化に対して反射率が急激に変化する。これを用いることで、狭い角度範囲を高感度で検出できる。
反射率変化RR1、RR2が、光束OA1の光軸方向変化を示すアナログ信号に対応することとなるが、反射率変化RR1は光軸方向変化に対応する変化は緩やかで、広い範囲の光軸方向変化に対応できるのに対し、反射率変化RR2は光軸方向変化に対応する変化は急峻であるが、狭い範囲の光軸方向変化にしか対応できない。そこで、光軸方向の原点を精密に決める必要があるときは反射率変化RR2を用い、広い範囲の角度変化を測定するときには反射率変化RR1を用いる。反射率変化RR1だけを用いるときは、第2の境界面AS2は全反射面にしてフォトダイオードPD4を省略することができる。
また、光スポットOS1の変位が、光束OA1の光軸の並進変位によるものであれば、受光部PR2の受光する光の光軸も並進移動しかしないので、この場合は、後述する図7と同様に、光軸方向角度検出用透明物体の前に、光軸の平行移動を角度変化に変換するレンズなどの光学素子の追加が必要になる。
アナログ信号の活用法であるが、光束OA1の光軸の原点として、例えば反射率変化RR2の値がゼロになる点を選べば、差動出力としての反射率変化RR2の出力をSNR(信号とノイズの比)が許す範囲で増幅して高い精度で原点を定めることが出来る。そのとき、ディジタル信号のゼロ(座標原点)は、アナログ信号のゼロに一番近い、ディジタル信号の立ち上がり点などを選ぶ。また、反射率変化RR1の微分信号を用いれば、方向弁別がスポット変位の広い範囲で実現できる。
図5に、アナログ信号とディジタル信号のスポット位置関係の例を示す。アナログ信号のゼロ点A0に一番近いディジタル信号の立ち上がり点をディジタル信号のゼロD0とすると、プラス方向、マイナス方向の光スポットの移動量は、ディジタル信号のパルスの数で読み取ることができる。そのときのディジタル信号の方向弁別はアナログ信号の微分値の正負で移動方向を弁別して信号パルスの加算、減算に用いる。
予めの校正で、ディジタル信号のパルス位置とアナログ信号の関係を調べておけば、アナログ信号を参照して、ディジタル信号のゼロ位置D0(座標原点)から何番目の周期にあるかを知ることができる。
すなわち、アナログ信号の信号と雑音の比(SNR)およびドリフトの許容する範囲で、ディジタル信号のアブソリュート化が実現できる。ディジタル信号のアブソリュート化のためには、アナログ信号の変化率が最小の位置で、読取格子1ピッチ分の光スポット変位に対するアナログ出力変化の最小幅が信号のノイズレベルやドリフトに埋もれない値であればよい。一般には、前記座標原点付近はアナログ信号の変化率が大きくまた直線的であり、ディジタル信号のアブソリュート化には問題は少ないが、測定範囲の両端に近づくと、アナログ信号の変化率が小さくなり、ディジタル信号との対応付けの精度が悪くなる。
なお、図1では広い範囲の光スポット変位に対してアナログ信号を得るために、反射率型角度センサを用いる形態を示したが、必要な範囲のアナログ信号を得るために、分解能が低く測定範囲が広くなるように調整した、分割型フォトダイオードやPSD素子を受光部とする光電式オートコリメータを用いることができることは言うまでも無い。
図6は、読取格子G1とフォトダイオードPD1A〜PD1Cの間に透明物体ASを置いた例を示す図であり、読取格子G1の通過後の光束を集める光学系に、反射率検出型の光軸角度検出部を介した受光部PR1を用いている。このように透明物体ASを置くことで、空気と透明物体ASの境界面AS1,AS2での反射光量と透過光量の比率から光スポットを構成する光束の光軸方向角度をアナログ的に検出して、方向弁別に用い、光スポット位置の原点を決め、また前記ディジタル信号の読みと合わせて、絶対位置を検出できる方法を提供する。受光部が一つでよい点が有利になる。
図7は、光スポットOS1の変位が、光束OA1の光軸の並進変位による場合に有効な受光系を示す図で、読取格子RG1の後方に光軸の平行移動を角度変化に変換するレンズCLを配置して、透明物体ASによるアナログ信号を得るための構造を示している。また、図7で分離されている読取格子G1と集光レンズCLが一体化されて、レンズ面に読取格子G1が添付され、あるいは描き込まれていることも好ましい。
また、読取格子に入射する光線が方向変化をする図6のような場合にも、光スポットの通過した格子位置を明確にするには図7と同様のレンズを追加することも好ましい。
なお、図7では広い範囲のスポット変位に対してアナログ信号を得るために、反射率型角度センサを用いる形態を示したが、必要な範囲のアナログ信号を得るために、分解能が低く測定範囲が広くなるように調整した、分割型フォトダイオードやPSD受光素子を受光部とする光電式オートコリメータを用いることができることは言うまでも無い。
また本発明では、受光した光スポットの重心位置を検出できる光電膜と抵抗が分布したPSD受光素子の特性を生かして、読取格子の設置だけでディジタル信号とその方向弁別、原点信号を取り出すことが出来る技術を提供する。図8にPSD受光素子を用いた受光系を示す。PSD受光素子の電極P1とP2からの電圧出力PV1、PV2(光スポット重心位置信号)を用いて、光スポットOS1のPSD中央からの位置PSxは次式で与えられる。
PSx=(PV1−PV2)/(PV1+PV2) (3)
一方、(PV1+PV2)は光スポットの移動と共に正弦波状に変化するディジタル信号となる。
なお、光スポットOS1の直径と格子線幅が等しいときは、PSD受光素子に到達する光量がゼロになる点が生じるので、式(3)の分母の電圧での除算は成立せず、光量ゼロの近傍での除算の精度も悪くなる。そこで、読取格子RG1を通過した全光量に相当する電圧での除算を必要とする場合には、光スポットOS1の径を格子線幅より大きめに設定することが好ましい。
一様な強度分布で全光量一定のままで光スポット径を読取格子ピッチの半分から大きくしてゆくと、正弦波状の繰り返し信号の振幅は徐々に小さくなり、光スポット径と読取格子のピッチが等しくなると振幅ゼロになる(図20(b)参照)。このとき、正弦波状の繰り返し信号の振れの中心は変わらない。従って、スポット径が格子ピッチに近づくと、式(3)から得られるアナログ信号の信号対ノイズの比(SNR)は良くなるが、図2におけるディジタル信号DSを整形するための正弦波状信号VPDのSNRが悪くなる。受光素子にPSD素子を使うときには、式(3)で得られるアナログ信号のSNRとディジタル信号を得るためのVPDのSNRを考慮してスポット径を調節する必要がある。
光スポット内に読取格子と等しいピッチで変化する強度分布のパターン(少なくとも1.5ピッチ分)を載せるとこの問題は解決する(図20(c)参照)。分解能の観点からは、光スポット内の強度分布変化の1ピッチ分が一様分布の光スポット径と等価になる。
図8において、光スポットOS1に対して読取格子RG1を相対移動させるアクチュエータACTを付加しているが、これによって読取格子RG1を1ピッチ分移動すると正弦波のゼロクロス点を探知することができ、ディジタル信号のピッチ間内挿を精度よく実現できる。この位相変調によるピッチ間内挿の手法は、図1、図6、図7に示した光スポット変位検出装置にも適用できるのは言うまでも無い。
なお、リニヤエンコーダやロータリエンコーダあるいは干渉測長機においてディジタル信号の方向弁別に、同一の目盛の移動を目盛の1/4ピッチ分位相の異なる2つの信号を取得して、両者の組み合わせで方向弁別を行う方法が知られている。本発明の光スポットの移動の方向弁別にも同様のデータ処理法を応用することも出来る。図9はそのときの光学系の模式図を示す。2分割された光束が互いに1/4ピッチだけずれた読取格子位置にスポットを形成すると、1/4ピッチだけずれた2つのディジタル信号がスポット変位に応じて得られる。この信号は、エンコーダや、干渉測長機で方向弁別に用いる信号とまったく同じ形になる。
なお、光スポット移動が一次元に限られている場合は、図10のように格子を分割して1/4ピッチだけずらせて再構成した読取格子RG3を、円筒レンズSL1を通過して細長くした光スポットOS1が両格子にまたがるように配置することも好ましい。
以下、図を参照しながら、既存の光学式角度センサ、変位センサのディジタル化における本発明の活用形態について説明する。図11は、本発明の受光部と対で使われる光源部の構造を模式的に示したもので、半導体レーザや光ファイバーから出射される点光源OP、あるいはピンホールPHを2次光源とする光源部OSPからの光束は、読取格子(結像面)上では単純な光スポットになる。
上述の例では、読取格子上の光スポット径を読取格子ピッチの約半分にする場合を説明したが、光スポット変位の分解能を高めるために、読取格子と同じピッチで変化する光強度パターンを有する光スポットの移動を検出することも好ましい。
図12は、光源OPから照射した光束を、受光部の読取格子面上での光スポット内で読取格子のピッチに等しい強度分布を持たせるように、指標格子PGを通過させた後、対物レンズL1に入射させた例を示している。
図20に光スポットの形状や光スポット内の強度分布パターンと読取格子を通過する光量変化の関係を示す。図20(a)の一様な強度分布を持つ単独の光スポットの場合を標準として考えると、図20(b)のように光スポット径が読取格子のピッチに近づくとき、光スポットの移動に伴う読取格子通過光量の変化が小さくなる。なお、光スポット形状が格子線RGLに沿う方向に細長くなると、読取格子通過光量変化の様子が、四角形の光スポットで生じる光量変化の様子である三角波に近づく。
図20(c)のように、光スポット内に読取格子と同じピッチの強度分布の変化パターンがあるときは、同図(a)と同様の格子通過光量変化となる。光スポット移動検出分解能の観点からは、光スポット内の強度分布のピッチの半分の径を持つ一様強度の光スポットと同等になる。すなわち、光スポット内の強度変化のピッチに応じた読取格子を用いることで、光スポットの変位の分解能を高くすることができる。
なお、2次元の光スポット変位を検出するためには、図12の指標格子を2次元の指標格子DPGとして、図13(a)に例を示す2次元パターンを用いるのも好ましい。図13(b)に示すように、この指標格子DPGを通過した光束を球面レンズL1と円筒レンズSL2、SL3の組み合わせによる非点収差光学系で結像させると、直交する2方向の格子像を結ばせることができる。球面レンズL1と円筒レンズSL2、SL3の焦点距離を選べば、それぞれの読取格子面(不図示)上で指標格子DPGの一方向の点列の間隔が、読取格子の格子線幅内に縮小し、他方の点列の間隔が読取格子のピッチと等しくなるように調整できる。
図14に2次元格子に適合した読取部の例を示す。図14ではアナログ信号を取り出すために1次元のPSD素子で格子通過後の光強度を受光する場合を示している。
図15は既存の光電式オートコリメータの構造を用いて、受光部だけを本発明のディジタル化した光スポット変位信号が得られるスポット変位検出装置に置き換えたものである。受光部PRとしては読取格子RG1を対物レンズOLの焦点位置においた図1、図6〜図9に示した構造を採用する。なお、図は省略するが、既存の光電式オートコリメータでは対物レンズOLの焦点面上に分割フォトダイオードや、PSD受光素子を直接配置して受光部PRとしている。
分割フォトダイオードを光スポット変位検出用受光素子として使う既存の光電式オートコリメータでは、光スポットがその径の半分移動すれば測定範囲から外れてしまうが、本発明によれば、格子の存在範囲で、スポット径の何倍もの光スポット変位に関するディジタル信号が検出できる。また、アナログ信号として反射率型光線方向検出装置あるいはPSD受光素子を用いるので、光スポット径よりも大きなスポット変位が検出できる。
また、光源部と受光部を分離して、一方を固定し、他方を移動ステージに置いて、光源からの光束を直接受光部で受ければ、ステージの移動に伴うピッチングとヨーイングの測定ができる。
もちろん、反射鏡から受光部までの距離が変わらない時は、受光部の対物レンズを省略することも安価な角度検出のためには好ましい。受光系の対物レンズを省略して、反射面を持つレバーに照射した平行光線がレバーから一定距離にある面上に形成する光スポットの変位でレバーの傾斜を測定するような角度検出装置でも、ディジタル信号を得るためには、本発明の光スポット変位検出装置が有効である。
図16は、既存の光三角法型の変位センサの一つに読取格子RGを適用した例を示す図で、光源部OPから平行光線を被測定対象面MOに垂直方向に投射して、被測定対象面MOの照射スポットを入射光軸に対してαだけ傾けた光軸を持つ受光系の対物レンズOL2で、読取格子RGの位置で像面に結像させて、次式の関係から被測定対象面MOの基準距離からの変位Δzを求めるものである。
Δz=(PSx cotanα)a/b (4)
なお、読取格子RGの有無にかかわらず、PSxのアナログ信号は、PSDの両電極からの電圧出力をVP1、VP2として、次式で与えられる。
PSx=(VP1−VP2)/(VP1+VP2) (5)
これに読取格子RGを追加すると、(VP1+VP2)から正弦波状のディジタル信号が得られる。
図17は、図16に示す光三角法型の変位センサの受光部のアナログ出力を、集光レンズOL3と、上述した反射率型光線方向角度検出器(AS,PD1、PD2、PD3)の組み合わせで得る例を示す図で、ディジタル信号は3つのフォトダイオードPD1、PD2、PD3の出力の和(VP1+VP2+VP3)から得られる。光スポット位置のアナログ信号は(VP1−VP2−VP3)/(VP1+VP2+VP3)から得られる。
物体面上の光スポットの対物レンズOL2による結像面は、大きな変位に対しては湾曲することになる。PSD受光素子では受光面を湾曲させるのは難しいが、格子面を対物レンズの結像面に合せて湾曲させることが可能であり、本発明でセンサのダイナミックレンジを一層向上させる有効な対策の一つになる。
図21には、例えば±10度以上の測定範囲を持つオートコリメータ型角度センサのように、方向を知りたい光線OA1が対物レンズOLの光軸に対して大きな角度で入射するような測定系を示す図である。ここで、対物レンズOLの収差によって焦点面(一般には読取格子がおかれる結像面)が湾曲するとき、読取格子RGをそれにあわせて湾曲させる例を示している。さらにこの図のように、集光レンズOTCLの凹面にこの湾曲形状を与えて、読取格子RGを直接貼付(または描画)する形態も好ましい。
図18に、混合センサと呼ばれている被測定物MOの変位と面法線方向の変化を同時に検出する光学系を示す。従来、角度検出光学系では対物レンズALの焦点の位置に、また変位検出光学系では対物レンズDLの結像面にPSD受光素子が配置されて、それぞれの光スポット変位を計測しているが、図18ではPSD受光素子の代わりに、該当する面に読取格子RGを配置する。
なお、正反射光と乱反射光を含む物体面を対象にして、光源からの光線を物体面に垂直に投射させて、図15のオートコリメータ型の角度センサの受光部で正反射光を受け、図16の光三角法型変位センサで乱反射光を受けて混合センサを実現するのも好ましい。
図19は、光源部OPからの光束を被測定面MOに収束させ、その面上の光スポットを2次光源として受光部PRの集光レンズCLの像面に光スポット像を形成するときに、前記像面上での光スポット像の変位から被測定面の面法線方向の変位を知ろうとする変位センサを示す図である。この場合も、前記結像面上に読取格子RGを配置して、光スポットの変位をディジタル信号として取り出すことができる。他の場合と同様に、アナログ信号を取り出す手段は、図1、図6〜8などに示した各種の方法が利用できる。
その他にも、検出した光スポットの変位をもとに、被測定対象の変位、角度、屈折率、厚みなどの種々の量を検出する計測装置に、信号をディジタル化する手段として、本発明の光スポット変位検出装置を組み込むことができる。
光スポットの変位のディジタル信号を得る基本原理の図 ディジタル信号発生原理を説明する図 反射率型光線方向センサに利用する空気からガラス境界面への入射角と反射率の関係を示すグラフ 反射率型光線方向センサに利用するガラスから空気境界面への入射角と反射率の関係を示すグラフ アナログ信号と併用してディジタル目盛のアブソリュート化の実現法を示す図 光線が傾斜変位をするときにディジタル信号とアナログ信号を一つの光束から得る受光部 光線が並進変位をするときにディジタル信号とアナログ信号を一つの光束から得る受光部 PSDを用いた受光系でディジタル信号とアナログ信号を同時に得る受光部 2つの読取格子による方向弁別法 ひとつの光スポット変位を1/4ピッチずれた2つの読取格子で検出する形態 一様な強度分布を持つスポット像を得るための光源部の構造原理図 読取格子と同じピッチの強度分布を持つスポット像を得るときの光源部構造原理図 2次元の光スポット変位検出用の光源側の指標格子の例とその光スポット像 2次元格子による2次元の光スポット変位の検出用受光部の構造 従来の光電式オートコリメータの受光部への適用例 従来のPSDを使った光三角法変位センサ受光部への適用例 斜入射型混合センサの受光部へ発明の光スポット変位検出装置を利用する際の読取格子配置例 従来の光三角法変位センサ受光部への適用例、反射率型光線方向測定部を受光部へ挿入した例。 光源からの光束を物体面に収束させる場合の斜入射方光三角法方変位センサへの光スポット変位検出装置適用例 スポットの強度分布形状と読取格子透過光量変化の関係を示す図 例えば±10度以上の測定範囲を持つオートコリメータ型角度センサのように、方向を知りたい光線OA1が対物レンズOLの光軸に対して大きな角度で入射するような測定系を示す図
符号の説明
OA1、OA2 光スポットを形成する光束光軸
BS ビームスプリッタ
RG、RG1、RG2 読取格子
RGL 格子線
CL、CL1 集光レンズ
L1、L2 レンズ
SL1、SL2、SL3 円筒レンズ
OL、OL1、OL2 対物レンズ
OTCL 集光用凹凸レンズ
AL、DL 混合法センサにおける角度検出用対物レンズと変位検出用対物レンズ
PD1、PD2、PD3、PD4 フォトダイオード
AS 光軸角度検出用透明物体
OS、OS1、OS2 光スポット
PR、PR1、PR2 受光部
PSD、PSD1、PSD2 光スポット重心位置検出素子
P1、P2 PSDの電極
VP1、VP2、VP3 出力電圧
IP 結像面
OP 光源
OSP 光源部
PG 指標格子
PH ピンホール
DPG 2次元指標格子
A1、A2 アクチュエータ
f、F 焦点距離と焦点
M 鏡
MO 被測定物
X、PSx 原点からの光スポット重心位置
ΔZ、θ 被測定物の変位と傾斜角
α 光源部と受光部の光軸のなす角
a、 b 対物レンズの物体面までの距離と像面までの距離

Claims (7)

  1. 光源から出射された光束が所定の大きさの光スポットになる面に、前記光スポットの大きさと同程度以下の間隔で光の透過と遮蔽を繰り返す半ピッチの幅の線(以下格子線と呼ぶ)のパターン(以下読取格子と呼ぶ)を配置し、前記読取格子を通過した光線を光電変換素子に集めて前記読取格子通過時の光強度を検出することにより、前記光強度の強弱から光スポットの格子線に直交する方向への前記スポットと前記読取格子との相対的な移動量を正弦波的繰り返し信号として知ることのできる光スポット変位検出装置。
  2. 光スポットを構成する前記光束の光量の一部を分岐して反射率検出型の光軸角度検出部を介して光強度を取り出して光束の平均的光軸方向変化を知り、前記読取格子を介して得られる正弦波的繰返し信号の原点検出と、原点からの前記読取格子単位での絶対変位量ならびに光スポット変位の方向弁別とに用いると共に、光源強度や反射強度の変動を測定しての前記正弦波的繰り返し信号の振幅補正に用いることのできる請求項1に記載の光スポット変位検出装置。
  3. 前記読取格子通過後の光束を集める光学系に、反射率検出型の光軸角度検出部を介した受光部を用いることで、前記読取格子通過後の光強度と、通過光束の平均的光軸方向変化を知り、前記読取格子を介して得られる正弦波的繰返し信号の原点検出と原点からの格子単位での絶対変位量ならびに光スポット変位方向の弁別とに用いることのできる請求項1に記載の光スポット変位検出装置。
  4. 受光した光スポットの重心位置を検出できる光電膜と抵抗が分布したPSD受光素子を前記読取格子の直後に配置して、その受光強度変化から正弦波的繰り返し信号を得て、またPSD受光素子の光スポット重心位置信号から前記読取格子ピッチ単位での光スポット位置の絶対信号を得ることのできる請求項1〜3のいずれかに記載の光スポット変位検出装置。
  5. 前記読取格子上の光スポットが一定ピッチの強度変化を前記光スポット面内に含むときに、前記光スポット内の強度変化のピッチに応じた前記読取格子を用いて前記光スポットの変位の分解能を高くすることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の光スポット変位検出装置。
  6. 前記光束を2つに分岐して2つの光スポットを形成し、前記格子線方向が互いに直交する関係にある一対の読取格子を用いて、光スポットの2次元方向の変位検出ができることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の光スポット変位検出装置。
  7. 検出した光スポットの変位をもとに、被測定対象の変位、傾斜角度、屈折率、透明物体の厚みなどの種々の量を検出する計測装置の受光部として、請求項1〜6のいずれかに記載の光スポット変位検出装置を用いることを特徴とする計測装置。
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