JP2009264486A - ばね - Google Patents

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Koji Tanida
公二 谷田
Takashi Kobata
高志 木幡
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Abstract

【課題】本発明の課題は、ダンパ装置の緩衝器を廃止できるように、自ら制振機能を有するばねを提供することにある。
【解決手段】本発明のコイルばね1は、ダイラタント素材1aを備え、ダイラタント素材1aによるせん断抵抗により自ら制振することを特徴とする。このコイルばね1は、外力が加わって弾性変形する際にダイラタント素材1aにせん断応力が生じると、ダイラタント素材1aは、硬化してせん断抵抗を発現する。このせん断抵抗は、ダイラタント素材1aに対するせん断速度が速いほど大きくなる。そして、ダイラタント素材1aは、コイルばね1の弾性変形をせん断速度の大きさに応じて抑制することで制振する。
【選択図】図2

Description

本発明は、ばねに関する。
従来、自動車のサスペンション構造としては、例えば、ナックルの上部に取り付けられるアッパアームと、ナックルの下部に取り付けられるロアアームと、ロアアームと車体との間に配置されるダンパ装置とを備えるものが知られている。
このサスペンション構造では、路面からの反力を車輪が受けた際に荷重がナックル及びロアアームを介してダンパ装置に入力されると、ダンパ装置がその緩衝作用によって振動を減衰(制振)する。その結果、このサスペンション構造は、自動車の乗り心地や操縦安定性を向上させる。
従来、ダンパ装置としては、緩衝器(オイルダンパ)とばね(コイルばね)とを備えたものが知られている(例えば、特許文献1参照)。このダンパ装置は、シリンダ内に満たされたオイル(フルード)をピストンによって流動させた際に発現するその粘度抵抗で、コイルばねの弾性変形を抑制(制振)するようになっている。
特開平8−091030号公報
ところで、ダンパ装置は、前記したサスペンション構造でのもののみならず、例えば、建築構造物等での制振装置、産業機器でのマウント等の他の分野においても使用されている。そして、これらの各分野で使用されるダンパ装置は、従来よりその構造の簡素化やコンパクト化が望まれている。
しかしながら、従来のダンパ装置においては、ばね及び緩衝器のいずれもが不可欠の構成要素となっており、特に緩衝器を廃止することはできない。したがって、従来のダンパ装置の構造では十分にその簡素化やコンパクト化を図ることができない。
そこで、本発明の課題は、ダンパ装置の緩衝器を廃止できるように、自ら制振機能を有するばねを提供することにある。
前記課題を解決した本発明のばねは、ダイラタント素材を備え、前記ダイラタント素材によるせん断抵抗により自ら制振することを特徴とする。
また、前記課題を解決した本発明のばねは、一方向に長いばね素材と、前記ばね素材の長手方向に沿うように隣接して配置されるダイラタント素材とを備えることを特徴とする。
本発明のばねによれば、外力が加わって弾性変形する際にダイラタント素材にせん断応力が生じると、ダイラタント素材はせん断抵抗を発現する。このせん断抵抗は、ダイラタント素材に対するせん断速度が速いほど大きくなる。そして、ダイラタント素材は、ばねの弾性変形をせん断速度の大きさに応じて抑制することでばねを制振する。
本発明のばねは、自ら制振機能を発揮するので、ダンパ装置に使用することでダンパ装置においてオイルダンパ等の緩衝器を廃止することができる。したがって、このばねによれば、ダンパ装置の構造の簡素化やコンパクト化を図ることができる。
以下に、本発明の実施形態について図を参照しながら詳細に説明する。
ここでは本実施形態に係るばねについての説明に先立って、このばねを備える車両用(自動車用)のサスペンション構造について説明する。参照する図面において、図1は、本実施形態に係るばねを備えるサスペンション構造の斜視図である。なお、図1は、ダブルウィッシュボーン型のサスペンション構造を示す斜視図であって、車両前方の左右のそれぞれに配置されるサスペンション構造のうち、左前方に配置されるものをその左斜め前方の上から見下ろした様子を示している。また、以下のサスペンション構造の説明において、前後左右上下の方向は車両の前後左右上下の方向に一致させた図1に示す各方向を基準とする。
図1に示すように、このサスペンション構造10は、ナックル15と、アッパアーム12と、ロアアーム14と、ダンパ装置11とで主に構成されている。
ナックル15は、上下に長い部材であって、このナックル15には、ハブHを介して車輪Wが取り付けられている。また、このナックル15には、図示しないタイロッドエンドや次に説明するアッパアーム12及びロアアーム14のそれぞれにおける一方の端部が取り付けられている。
アッパアーム12は、平面視で略U字状の部材で形成され、二股側の両端部が車体側にブッシュ(図示省略)を介して固定されており、その反対側がナックル15の上部にブッシュ(図示省略)を介して取り付けられている。
ロアアーム14は、一方向に長い部材で形成されており、その一方の端部が図示しない車体側に固定されており、その反対側(自由端側)が前記したようにナックル15の下部に取り付けられている。
ダンパ装置11は、上下に延びるロッド13aと、このロッド13aの上部において図示しない一対のスプリングシート間に配置されるコイルばね1とを備えている。このコイルばね1は、特許請求の範囲にいう「ばね」に相当する。
ダンパ装置11は、その上端部が図示しないタイヤハウスアッパに固定され、ロッド13aの下端がダンパフォーク13bを介してロアアーム14の自由端寄りに固定されている。そして、このダンパ装置11では、路面からの反力を車輪Wが受けてロアアーム14の自由端側(ナックル15側)が揺動すると、ロッド13aの上下動に応じて前記したスプリングシート間でコイルばね1が伸縮するようになっている。
次に本実施形態に係るばねについて説明する。ここで参照する図2は、本実施形態に係るばねであるコイルばねの斜視図である。
(コイルばね)
図2に示すように、前記したコイルばね1は、ダイラタント素材1aとばね素材1bとで構成されている。
ばね素材1bは、中空で一方向に長い部材がコイル状に巻回されたものであって、その両端部は封止されている。このばね素材1bとしては、例えば、金属、樹脂等を使用することができる。
ダイラタント素材1aは、前記したばね素材1bの中空部に充填されている。つまり、ダイラタント素材1aは、ばね素材1bの長手方向に沿うように隣接して配置されることとなる。このダイラタント素材1aとしては、せん断応力(ずり応力)が発生した際に、急激に粘度が高くなるもの、あるいは柔軟性を示すものから急激に剛性が高まるもの等のように、いわゆるダイラタンシ(dilatancy)性を示すものを使用することができる。このダイラタント素材1aとしては、せん断応力が発生する前の状態で流動体及び固体のいずれであってもよい。流動体としては、例えば、ベンゼンと炭酸カルシウムとの混合物、水とでんぷんとの混合物等の公知のダイラタントが挙げられ、固体としては、例えば、d3o(ディースリーオー、d3o Lab社製)からなるダイラタントが挙げられる。
次に、図1に示すサスペンション構造10の動作を説明しつつ、本実施形態に係るばねであるコイルばね1の作用効果について説明する。
図1に示すサスペンション構造10では、車輪Wが路面からの反力を受けてナックル15が上下動した際に、ナックル15に一端側が取り付けられたロアアーム14及びアッパアーム12は、その一端側が上下動する。
そして、前記したように、ロアアーム14のその一端側(自由端側)寄りに取り付けられたダンパ装置11のロッド13aがロアアーム14の動きに応じて上下動すると、ダンパ装置11のコイルばね1が伸縮する。
その一方で、伸縮したコイルばね1(図2参照)内では、ばね素材1bがその内部に充填されたダイラタント素材1aにせん断応力を生じさせる。その結果、ダイラタント素材1aは硬化し(剛性が高まって)、ばね素材1bにせん断抵抗を与える。このせん断抵抗は、ダイラタント素材1aに対するせん断速度が速いほど大きくなる。そして、ダイラタント素材1aは、コイルばね1の弾性変形をせん断速度の大きさに応じて抑制することでコイルばね1を制振する。
以上のように、このサスペンション構造10(図1参照)では、コイルばね1(図2参照)が自ら制振機能を発揮するので、従来のサスペンション構造(例えば、特許文献1参照)と異なって、ダンパ装置11にオイルダンパ等の緩衝器を必要としない。つまり、本実施形態に係るコイルばね1によれば、ダンパ装置11においてオイルダンパ等の緩衝器を廃止することができる。したがって、このコイルばね1によれば、ダンパ装置11の簡素化やコンパクト化を図ることができる。
また、本実施形態に係るコイルばね1によれば、オイルダンパ等の緩衝器を廃止することができるので、ダンパ装置11の製造コストや製造工数を削減することができる。
以上、本実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されず、種々の形態で実施することができる。
前記実施形態では、ダイラタント素材1aが充填されるばね素材1bの中空部の形状が断面視で円形となるものを想定しているが、本発明はこの中空部の形状が円形以外の形状であってもよい。ここで参照する図3(a)及び(b)は、変形例に係るコイルばねの断面図である。
図3(a)に示すコイルばね1は、ばね素材1bの中空部の形状が断面視で長方形になっており、その中空部にダイラタント素材1aが充填されている。
図3(b)に示すコイルばね1は、ばね素材1bの中空部の形状が断面視で、円形の周囲に複数の突出部Pを有するように形成されており、その中空部にダイラタント素材1aが充填されている。
つまり、図3(a)及び(b)に示すコイルばね1は、ばね素材1b内に充填されたダイラタント素材1aの形状が断面視で多角形となっていることから、伸縮してその断面の面内で捩れるようにダイラタント素材1aにせん断応力が生じた際に、ダイラタント素材1aはばね素材1bに対して引っかかりが良くなって、せん断抵抗を効率良くばね素材1bに伝達することができる。したがって、コイルばね1の制振性能はより優れたものとなる。
また、前記実施形態では、ばね素材1bの中空部にダイラタント素材1aが充填されているが、本発明はばね素材1bの表面にダイラタント素材1aがコーティングされたものであってもよい。ここで参照する図4(a)は、ばね素材の表面にダイラタント素材がコーティングされたコイルばねの斜視図、図4(b)は、図4(a)のIV−IV部分断面図、図4(c)は、図4(a)のコイルばねの変形例を示す図であって、図4(a)のIV−IV部分断面に対応する図である。
図4(a)に示すコイルばね1は、コイル状に巻回された中実のばね素材1bと、このばね素材1bの表面にコーティングされたダイラタント素材1aとを備えている。このコイルばね1は、図4(b)に示すように、巻回して隣り合うばね素材1b同士の間がダイラタント素材1aで満たされることによって、筒状になっている。
ダイラタント素材1aをばね素材1bの表面にコーティングする方法としては、前記した固体のダイラタントを溶媒に溶解した溶液(以下、「ダイラタント溶液」ということがある)に、例えば、ばね素材1bをどぶ漬けした後にこれを引き上げて、ばね素材1bに付着したダイラタント溶液を乾燥する方法が挙げられる。
また、コイルばね1は、図4(c)に示すように、巻回するばね素材1bの所定の周回ごとに、ダイラタント素材1aの種類を変更してもよい。なお、図4(c)に示すコイルばね1は、ばね素材1bが1周するごとにダイラタント素材1aとダイラタント素材1cとを交互に配置している。
この変形例に係るコイルばね1は、ばね素材1bが1周するごとに、ダイラタント素材1aを形成する前記したダイラタント溶液と、ダイラタント素材1cを形成するダイラタント溶液とを交互にばね素材1bに塗布し、これを乾燥することで製造することができる。なお、この変形例において、ダイラタント素材1cを形成するダイラタント溶液は、前記した固体のダイラタント及び溶媒以外に、更に合成ゴム、樹脂、相溶剤等を加えることでダイラタントの濃度を変更している。ちなみに、このような変形例においては、ダイラタント素材1a,1cを交互に配置するばね素材1bの周回単位は、複数周ごとであってもよいし、配置するダイラタント素材の種類は3種以上であってもよい。
また、本発明は、板ばねを巻回したコイルばねであってもよい。ここで参照する図5(a)から(c)は、本実施形態に係るコイルばねの変形例であって、板ばねを巻回したコイルばねの斜視図である。
図5(a)に示すコイルばね1は、ダイラタント素材1aを一対のばね素材1bで挟持した板ばね(リーフばね)をコイル状に巻回して形成している。更に詳しくは、コイルばね1においては、ダイラタント素材1aとばね素材1bの積層方向が、コイルばね1の伸縮方向と略一致するように巻回されている。この図5(a)に示すコイルばね1は、その巻き径が一定となっている。
この図5(a)に示すコイルばね1では、伸縮によってダイラタント素材1aとばね素材1bとの界面に沿う方向に、ダイラタント素材1aに対するせん断応力が生じる。その結果、ダイラタント素材1aは、ダイラタンシ性を発現してばね素材1bにせん断抵抗を与える。つまり、ダイラタント素材1aは、コイルばね1の弾性変形を抑制することによってコイルばね1を制振する。
図5(b)に示すコイルばね1は、両端の巻き径が中程の巻き径よりも小さくなった、いわゆる樽型のものであって、巻回数が6周となっている。このようなコイルばね1において、巻き径が小さい両端側の2周ずつ(合計4周)は、ダイラタント素材1aを一対のばね素材1bで挟持した板ばね(リーフばね)で形成され、巻き径が大きい中程の2周は、ダイラタント素材1cを一対のばね素材1bで挟持した板ばね(リーフばね)で形成されている。
そして、ダイラタント素材1aは、ダイラタント素材1cと比較して、遅いせん断速度で硬化するダイラタンシ性を有している。
このようなコイルばね1においては、巻き径が小さく伸縮代(伸縮速度)が大きくなる両端部(ばねレートが大きい部分)に遅いせん断速度で硬化するダイラタント素材1aを配置すると共に、巻き径が大きく伸縮代が小さくなる中程(ばねレートが小さい部分)に速いせん断速度で硬化するダイラタント素材1cを配置することによって、異なるばねレートに応じてそのダンピング効果(制振性能)を調節している。したがって、このコイルばね1によれば、非線形のばねレートが要求されるサスペンション構造で使用されるコイルばねにおいても、ダンピング効果(制振性能)の繊細なチューニングが可能となる。
図5(c)に示すコイルばね1は、両端の巻き径が中程の巻き径よりも大きくなった、いわゆる鼓型のものであって、巻回数が6周となっている。このようなコイルばね1において、巻き径が大きい両端側の2周ずつ(合計4周)は、速いせん断速度で粘度が増すダイラタント素材1cを一対のばね素材1bで挟持した板ばね(リーフばね)で形成され、巻き径が小さい中程の2周は、遅いせん断速度で粘度が増すダイラタント素材1aを一対のばね素材1bで挟持した板ばね(リーフばね)で形成されている。
また、前記実施形態では、自ら制振機能を有するコイルばね1を備えたサスペンション構造10(図1参照)について説明したが、本発明はリーフばねを備えたサスペンション構造であってもよい。ここで参照する図6は、自ら制振機能を有するリーフばねで形成されたアッパアームを備えるサスペンション構造の斜視図である。図7(a)は、図6のVII−VII断面図であって、アッパアームを形成するリーフばねの断面図である。図7(b)は、図7(a)のリーフばねの変形例を示す断面図であって、図6のアッパアームにおけるVII−VII断面に対応する図である。なお、図6に示すサスペンション構造において、図1に示すサスペンション構造と同様の構成要素は図1と同様の符号を付してその詳細な説明は省略する。
図6に示すように、このサスペンション構造10は、アッパアーム12aが平面視で略U字状の部材で形成され、二股側の両端部が車体側に固定されており、その反対側(自由端側)がナックル15の上部に取り付けられている。このアッパアーム12aは次に説明するリーフばね2(図7(a)参照)で形成されている。なお、図6中、符号14はロアアームであり、符号Hはハブであり、符号Wは車輪である。
(リーフばね)
アッパアーム12aは、図7(a)に示すように、中空の板状のばね素材2bと、この中空部に充填されたダイラタント素材2aとからなるリーフばね2で形成されている。ばね素材2bの中空部は、図6に示すアッパアーム12aにおいて、ナックル15に対する取付部近傍及び車体に対する取付部近傍(二股の両端部近傍)を除いてアッパアーム12aのU字を呈する略全体にわたって形成されている。
このようなアッパアーム12aの中空部に充填されたダイラタント素材2aは、前記した流動体であっても良いし、固体であっても良い。
また、アッパアーム12aは、図7(b)に示すように、板状のダイラタント素材2aの両面を一対の板状のばね素材2bで挟持したリーフばね2で形成されたものであってもよい。この図7(b)に示すリーフばね2においては、ダイラタント素材2aは前記した固体のダイラタントが使用される。この図7(b)に示すリーフばね2は、ダイラタント素材2aとばね素材2bとを接着剤で相互に接着して形成することができる。この接着剤としては、例えば、エポキシ系接着剤、シアノアクリレート系接着剤、ゴム系接着剤、エポキシ変性シリコーン系接着剤等が挙げられる。
なお、この接着剤は、硬化後の接着剤自体が弾性変形し難いものが望ましく、ばね素材2bとして鉄系の材料を使用する場合には、エポキシ系接着剤が望ましい。つまり、弾性変形し難い接着剤は、後記するように、リーフばね2が外力を受けて撓み、次いで復元する際に、ばね素材2bがダイラタント素材2aに対してせん断力を効果的に伝達し、そしてダイラタント素材2aがばね素材2bに対してせん断抵抗を効果的に伝達する。
図6に示すサスペンション構造10では、車輪Wが路面からの反力を受けてナックル15が上下動した際に、その動きに応じてアッパアーム12の自由端が上下動すると、図7(a)に示すリーフばね2で形成されるアッパアーム12は、撓みと復元とを繰り返すように弾性変形する。その一方で、このように弾性変形するリーフばね2では、ばね素材2bがその内部に充填されたダイラタント素材2aにせん断応力を生じさせる。その結果、ダイラタント素材2aは、ダイラタンシ性を発現してばね素材2bにせん断抵抗を与える。つまり、ダイラタント素材2aは、リーフばね2の弾性変形を抑制することによってリーフばね2を制振する。
また、図7(b)に示す変形例に係るリーフばね2においても、図7(a)に示すリーフばね2と同様に、ダイラタント素材2aを備えているので自ら制振機能を発揮する。
以上のように、このサスペンション構造10(図6参照)では、リーフばね2(アッパアーム12a)が自ら制振機能を発揮するので、従来のサスペンション構造(例えば、特許文献1参照)と異なって、オイルダンパ等の緩衝器を必要としない。つまり、このリーフばね2によれば、オイルダンパ等の緩衝器を廃止することができるので、サスペンション構造10の簡素化やコンパクト化を図ることができる。
また、本実施形態に係るリーフばね2によれば、オイルダンパ等の緩衝器を廃止することができるので、サスペンション構造10の製造コストや製造工数を削減することができる。
なお、図6に示すサスペンション構造10は、図1のサスペンション構造10を構成するダンパ装置11を廃止しているが、図6に示すサスペンション構造10は更にダンパ装置11を備えるものであってもよい。
また、図6に示すサスペンション構造10は、1種類のリーフばね2のみを使用しているが、本発明は複数種のリーフばねを使用したサスペンション構造であってもよい。ここで参照する図8(a)は、複数種のリーフばねを備えるサスペンション構造の模式図、図8(b)は、複数種のリーフばねの各ダイラタント素材における硬化度合い(mm/sec)とせん断速度(1/sec)との関係を示すグラフである。なお、図8(a)は、マルチリンク型のサスペンション構造を示すものであるが、便宜上、アームの数は3本にし、各アームの配置は全て水平で相互に平行となるように配置している。
図8(a)に示すサスペンション構造20は、車輪Wと車体側とを繋ぐリーフばね21,22,23からなる複数のアームを備えている。
そして、リーフばね21は、板状のばね素材2bと、このばね素材2bの片面に接合された板状のダイラタント素材Aとを備え、リーフばね22は、板状のばね素材2cと、このばね素材2cの片面に接合された板状のダイラタント素材Bとを備え、リーフばね23は、板状のばね素材2dと、このばね素材2dの片面に接合された板状のダイラタント素材Cとを備えている。
このサスペンション構造20においては、ばね素材2d、ばね素材2c及びばね素材2bの順番で各ばねレートが大きくなっている。また、ばねレートの大きいものほど、より遅いせん断速度で硬化するダイラタント素材が組み合わされている。つまり、図8(b)に示すように、ダイラタント素材A、ダイラタント素材B及びダイラタント素材Cの順番で、より遅いせん断速度のときにその硬化度合い(単位時間当たりの押し込み量)が急激に高まって変形しづらくなるようになっている。
なお、ここでの硬化度合い(mm/sec)は、ゴムの硬さ測定試験に準じて行ったダイラント素材A,B,Cのそれぞれに対する単位時間(sec)当りの押し込み量(mm)を表している。
このようなサスペンション構造20では、ばね素材2d、ばね素材2c及びばね素材2bの順番で、言い換えれば伸縮速度が小さい順番(伸縮代が小さい順番)で、より速いせん断速度で硬化するダイラタント素材A,B,Cが組み合わせられている。
その結果、このサスペンション構造20では、前記した図5(a)及び(b)に示すコイルばね1と同様に、異なる伸縮速度を有する板ばねに応じて硬化するせん断速度の異なるダイラタント素材を組み合わせることで、ダンピング効果(制振性能)を調節することができる。
また、図6に示すサスペンション構造10では、アッパアーム12aを形成するリーフばね2(図7(a)及び(b)参照)がその内側にダイラタント素材2aを備えるように構成されているが、本発明はばね素材2bの外側にダイラタント素材2aを備えるものであってもよい。
また、前記したリーフばね2(図7(a)及び(b)参照)では、1層のダイラタント素材2aと、2層のばね素材2bとでリーフばね2が構成されているが、本発明は2層以上のダイラタント素材2aと、3層以上のばね素材2bとでリーフばね2が構成されていてもよい。
また、前記変形例でのコイルばね1(図5(b)及び図5(c)参照)、又はリーフばね21,22,23(図8(a)参照)における2種以上のダイラタント素材1a,1c、A,B,Cは、ダイラタントの含有量を変えることによって硬化度合いを調節しているが、本発明は2種以上のダイラタント素材1a,1c、A,B,Cの厚さをそれぞれ変えることによって硬化度合いを調節してもよい。
また、前記したリーフばね2(図7(a)及び(b)参照)では、その長手方向においてダイラタント素材2aの前記したせん断速度に対する硬化度合いが一定となっているものを想定しているが、本発明は長手方向に沿ってその硬化度合いが異なるようにダイラタント素材2aを配置したものであってもよい。具体的には、例えば、リーフばね2は、その長手方向においてばね素材2bのばねレートが変化すると共に、ばねレートがより大きい箇所ほど、より遅いせん断速度で硬化するダイラタント素材2aを配置したものであってもよい。
また、前記実施形態及び前記変形例では、自動車用のサスペンション構造10,20(図1、図6及び図8参照)に配置されたコイルばね1及びリーフばね2,21,22,23(図2、図4、図5、図7及び図8参照)について説明したが、本発明はこれに限定されることなく、二輪車、鉄道等の他の車両のみならず、建築構造物等での制振装置、産業機器でのマウント等の他の分野における制振装置(ダンパ装置)に使用されるばねであってもよい。
また、前記実施形態では、コイルばね1及びリーフばね2,21,22,23について説明したが、本発明はばね素材とダイラタント素材とを備えていれば、線ばね、捻りばね等の他のばねであってもよい。
本実施形態に係るばねを備えるサスペンション構造の斜視図である。 本実施形態に係るばねであるコイルばねの斜視図である。 (a)及び(b)は、変形例に係るコイルばねの断面図である。 (a)は、ばね素材の表面にダイラタント素材がコーティングされたコイルばねの斜視図、(b)は、(a)のIV−IV部分断面図、(c)は、(a)のコイルばねの変形例を示す図である。 (a)から(c)は、本実施形態に係るコイルばねの変形例であって、板ばねを巻回したコイルばねの斜視図である。 自ら制振機能を有するリーフばねで形成されたアッパアームを備えるサスペンション構造の斜視図である。 (a)は、図6のVII−VII断面図であって、アッパアームを形成するリーフばねの断面図である。(b)は、(a)のリーフばねの変形例を示す断面図であって、図6のアッパアームにおけるVII−VII断面に対応する図である。 (a)は、複数種のリーフばねを備えるサスペンション構造の模式図、(b)は、複数種のリーフばねの各ダイラタント素材における硬化度合い(mm/sec)とせん断速度(1/sec)との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 コイルばね
1a ダイラタント素材
1b ばね素材
1c ダイラタント素材
2 リーフばね
2a ダイラタント素材
2b ばね素材
2c ばね素材
2d ばね素材
10 サスペンション構造
11 ダンパ装置
20 サスペンション構造
21 リーフばね
22 リーフばね
23 リーフばね
A ダイラタント素材
B ダイラタント素材
C ダイラタント素材

Claims (4)

  1. ダイラタント素材を備え、前記ダイラタント素材によるせん断抵抗により自ら制振することを特徴とするばね。
  2. 一方向に長いばね素材と、前記ばね素材の長手方向に沿うように隣接して配置されるダイラタント素材とを備えることを特徴とするばね。
  3. コイルばねであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のばね。
  4. リーフばねであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のばね。
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Cited By (4)

* Cited by examiner, † Cited by third party
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