JP2009264214A - 蒸気タービンの振動防止方法及び装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】蒸気タービンの車室から蒸気を大量に抽気する場合に発生するロータ周方向の蒸気圧力の不均一に起因して増加する抽気口下流側段翼の励振力を簡単な構成で抑制する。
【解決手段】蒸気タービン車室1の抽気口下流側の蒸気流aの不均一分布に起因して起こる振動を防止する蒸気タービンの振動防止方法において、抽気口下流側の段翼13に対面してロータ周方向bで高圧蒸気流が付加される翼部分の上流側又は下流側に設けられたバッフル板20で高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ、該段翼13に付加される蒸気圧力をロータ軸2の周方向で均一化することにより、蒸気流により該段翼に生じる励振力を抑制するようにした。
【選択図】図1
【解決手段】蒸気タービン車室1の抽気口下流側の蒸気流aの不均一分布に起因して起こる振動を防止する蒸気タービンの振動防止方法において、抽気口下流側の段翼13に対面してロータ周方向bで高圧蒸気流が付加される翼部分の上流側又は下流側に設けられたバッフル板20で高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ、該段翼13に付加される蒸気圧力をロータ軸2の周方向で均一化することにより、蒸気流により該段翼に生じる励振力を抑制するようにした。
【選択図】図1
Description
本発明は、蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を簡素な構成で抑制できる振動防止方法及び装置に関する。
蒸気タービン中間段より一部の蒸気を抽気し、その保有熱を利用することにより、水等の低温媒体を加熱する場合がある。例えば、抽気した蒸気で水を加熱し、地域の暖房用熱源として使用したり、工場の熱源として使用している。通常、全蒸気流量に対して5〜10%の抽気が行なわれているが、抽気流量が多い場合、即ち、例えば抽気量が全蒸気量の50%程度になる場合、下流側の蒸気流にロータ周方向の乱れが生じる。
即ち、抽気によって抽気口付近の蒸気流は低圧となり、一方、抽気口のロータ周方向反対側では高圧蒸気流のままであるので、この圧力不均一によりロータ軸の周囲にロータ周方向に蒸気流の乱れが生じる。この乱れに起因して抽気口下流側段翼に作用する励振力が増加する。このため、該段翼の振動発生を防止するため、該段翼の剛性や強度を増大させる構造(例えば幅広翼等)を採用せざるを得なくなる。
特許文献1(特開平4−224206号公報)には、三次元的に曲折して配設された蒸気タービンの蒸気配管を蒸気が流れる際に旋回流が生じ、旋回流となった蒸気が蒸気加減弁を流れる際に生じる騒音や振動の発生を防止する手段が開示されている。この手段は、蒸気加減弁の蒸気入口に整流板としての多孔板を配設して、蒸気加減弁を流れる蒸気流を整流するようにしたものである。
特許文献2(特許第3492101号公報)には、蒸気タービンのロータ軸と車室との間に設けられたラビリンスシールにロータ周方向の速度成分を有する蒸気流が流入する場合に、ラビリンスシールに発生する励振力を抑制する手段が開示されている。
この手段は、蒸気流が流入するラビリンスシールの入口側に、蒸気流のロータ周方向の速度成分を減少させるためのバッフル板と案内羽根とからなるスワール防止装置を設けたものである。
この手段は、蒸気流が流入するラビリンスシールの入口側に、蒸気流のロータ周方向の速度成分を減少させるためのバッフル板と案内羽根とからなるスワール防止装置を設けたものである。
特許文献3(特開2007−154735号公報)には、特許文献2と同様に、蒸気タービンのラビリンスシールの励振力を増加させるスワールを抑制するための構成が開示されている。この構成は、ラビリンスシールに蒸気が流入する側の入口に環状体を設け、この環状体にロータ軸の軸方向に貫通する複数の孔を穿設すると共に、該孔の出口における蒸気流れ方向をスワールと反対方向に指向させることにより、該スワールを打ち消すようにしたものである。
特許文献1〜3に開示されたいずれの手段も、蒸気タービン車室の抽気口下流側段翼の励振力を抑制するものではなく、特許文献1〜3のいずれにも、抽気口下流側段翼の励振力を抑制する手段は開示されていない。
即ち、特許文献1は、蒸気配管内に生じる旋回流(スワール)を整流することを目的とするもので、ロータ軸周方向の圧力不均一を解消しようとするものではない。また,特許文献2又は3は、ロータ軸回りに発生する旋回流をなくすことを目的としており、ロータ軸周方向の圧力不均一を解消しようとするものではない。
即ち、特許文献1は、蒸気配管内に生じる旋回流(スワール)を整流することを目的とするもので、ロータ軸周方向の圧力不均一を解消しようとするものではない。また,特許文献2又は3は、ロータ軸回りに発生する旋回流をなくすことを目的としており、ロータ軸周方向の圧力不均一を解消しようとするものではない。
多量の抽気が行われると、蒸気が抽気側に多量に流れ、車室内の蒸気流が減じる。そのため、抽気口下流側段翼の動翼は、回転ごとに周期的変動力を受けるようになり、振動が発生する。
本発明は、かかる従来技術の課題に鑑み、蒸気タービンの車室から蒸気を大量に抽気する場合にロータ周方向の蒸気圧力に不均一が生じ、これに起因して抽気口下流側段翼に作用する励振力を簡単な構成で抑制することを目的とする。
前記目的を達成するため、本発明の蒸気タービンの振動防止方法は、
蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を防止する蒸気タービンの振動防止方法において、
抽気口下流側段翼に対面してロータ周方向で高圧蒸気流が流入する翼部分の上流側又は下流側に設けられたバッフル板で該高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ、抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一化することにより、該段翼に生じる励振力を抑制するようにしたものである。
蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を防止する蒸気タービンの振動防止方法において、
抽気口下流側段翼に対面してロータ周方向で高圧蒸気流が流入する翼部分の上流側又は下流側に設けられたバッフル板で該高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ、抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一化することにより、該段翼に生じる励振力を抑制するようにしたものである。
抽気口から蒸気が抽気される側と抽気口の反対側とで蒸気圧力の不均一が生じ、このロータ周方向の不均一な圧力分布が、抽気口下流側段翼の励振力を増加させる。そのため、本発明方法では、抽気口側とロータ周方向反対側の高圧蒸気流側にバッフル板を設けて圧力損失を生じさせることにより、抽気口の反対側から抽気口のある側へ、即ち、高圧蒸気側から低圧蒸気側へ蒸気を回りやすくさせるようにしている。これによって、ロータ周方向の蒸気圧力を均一化するようにしたものである。
前記本発明方法を実施するための本発明の蒸気タービンの振動防止装置は、
蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を防止する蒸気タービンの振動防止装置において、
抽気口下流側段翼に対面して抽気口とロータ周方向の反対側の上流側又は下流側にバッフル板を設け、該バッフル板で高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一化するように構成したものである。
蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を防止する蒸気タービンの振動防止装置において、
抽気口下流側段翼に対面して抽気口とロータ周方向の反対側の上流側又は下流側にバッフル板を設け、該バッフル板で高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一化するように構成したものである。
バッフル板(抵抗板)は、ロータ軸回りの蒸気圧力分布を均一化し、抽気口下流側段翼に作用する励振力を緩和させるものである。バッフル板は、ロータ周方向蒸気圧を均一にするものであれば、どのような構成のものでもよい。
本発明装置において、前記バッフル板を抽気口下流側段翼の翼部分に対面する領域に複数の蒸気流通孔が穿設された多孔板で構成するとよい。該多孔板の蒸気流通孔の配置又は大きさ等は、蒸気流の圧力に応じて調整するようにし、高圧蒸気域ほど蒸気流通孔の開口度を少なくするとよい。これによって、抽気口下流側段翼に流入する蒸気流のロータ周方向圧力を均一化できる。多孔板は、静翼の前後に近接して取り付けるようにするとよい。これによって、多孔板の設置スペースを小さくできる。
該多孔板は、抽気口下流側段翼の上流側又は下流側に配置できる。また、該蒸気流通孔の向きを抽気口下流側段翼に流入する蒸気流のうち低圧蒸気流領域に向けて穿設するようにすれば、蒸気流のロータ周方向圧力の均一化を一層促進できる。
また、本発明装置において、バッフル板が抽気口下流側段翼の上流側に設けられ、該段翼の翼部分に対面する領域に蒸気流通孔を穿設されると共に、該蒸気流通孔を通過する蒸気を低圧蒸気流側に向ける案内羽根を備えたものとすればよい。この場合、蒸気流通孔を通過する蒸気を案内羽根により低圧蒸気流側に向けることができ、そのため、抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力のロータ周方向の均一化をさらに促進できる。
従って、バッフル板と抽気口下流側段翼との間には、低圧蒸気流側に向く蒸気流を形成するための間隔を開けることが望ましい。
従って、バッフル板と抽気口下流側段翼との間には、低圧蒸気流側に向く蒸気流を形成するための間隔を開けることが望ましい。
この案内羽根は、ロータ軸を中心として外側に放射状に配置された複数の案内羽根としてもよく、あるいは水平方向に並列配置された複数の案内羽根としてもよい。
前者の場合、案内羽根が向く方向は、ロータ軸を中心として、左右対称とすることにより、抽気口の反対側を中心に置き、時計回り及び反時計回りの蒸気流を形成して、抽気口方向への蒸気流を形成できるため、ロータ周方向に均一な蒸気圧を形成しやすくなる。
前者の場合、案内羽根が向く方向は、ロータ軸を中心として、左右対称とすることにより、抽気口の反対側を中心に置き、時計回り及び反時計回りの蒸気流を形成して、抽気口方向への蒸気流を形成できるため、ロータ周方向に均一な蒸気圧を形成しやすくなる。
また、後者の場合、全ての案内羽根の軸線方向を上方又は下方に向けることができるので、蒸気流の曲げ効果を向上できる。従って、ロータ周方向に均一な蒸気圧を形成しやすくなる。
なお、案内羽根の軸線の角度によって抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の流入角が異なるようになる。そのため、案内羽根の角度によって蒸気流の均一化効果も異なってくる。一方、抽気口から抽気される抽気量は、蒸気タービンの運転中で、抽気の用途によっては可変となる場合がある。また、蒸気タービンの運転負荷によっても抽気口下流側段翼に発生する励振力は異なる。そのため、抽気量又は蒸気タービンの運転負荷に応じて、案内羽根の角度を変更可能に構成すれば、抽気量又は運転負荷が変わっても、抽気口下流側段翼に作用する励振力を常に抑制することができる。
本発明方法によれば、蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を防止する蒸気タービンの振動防止方法において、抽気口下流側段翼に対面してロータ周方向で高圧蒸気流が流入する翼部分の上流側又は下流側に設けられたバッフル板で該高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ、抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一化することにより、該段翼に生じる励振力を抑制するようにしたことにより、抽気口下流側段翼に作用する励振力の発生を抑制できるので、抽気口下流側段翼の剛性又は強度を増大させる必要がなく、そのため、該段翼の設計が容易になると共に、該段翼の製作費を低減することができる。
また、本発明装置によれば、蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を防止する蒸気タービンの振動防止装置において、抽気口下流側段翼に対面して抽気口とロータ周方向の反対側の上流側又は下流側にバッフル板を設け、該バッフル板で高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一化するように構成したことにより、前記本発明方法の同等の作用効果を得ることができると共に、抽気口下流側段翼の振動防止対策を低コストで達成できる。
以下、本発明を図に示した実施形態を用いて詳細に説明する。但し、この実施形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは特に特定的な記載がない限り、この発明をそれのみに限定する趣旨ではない。
(実施形態1)
本発明の第1実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る蒸気タービンの車室の一部を示す縦断立面図、図2は、図1中のA−A矢視方向から視た多孔板の正面図である。図1において、蒸気タービンの車室1の内部に、長手軸方向にロータ軸2が配置されている。ロータ軸2には、複数の円板状のディスク3が間隔を置いて多段に突設されている。ディスク3の外周には動翼7が固設されている。
本発明の第1実施形態を図1及び図2に基づいて説明する。図1は、本実施形態に係る蒸気タービンの車室の一部を示す縦断立面図、図2は、図1中のA−A矢視方向から視た多孔板の正面図である。図1において、蒸気タービンの車室1の内部に、長手軸方向にロータ軸2が配置されている。ロータ軸2には、複数の円板状のディスク3が間隔を置いて多段に突設されている。ディスク3の外周には動翼7が固設されている。
また、カバー5によって車室1内が密閉構造になっている。半円状の保持部材4又はカバー5とロータ軸2との間には、ラビリンスシール6a又は6bが設けられ、シール性能を確保している。ディスク3の外周には動翼7が固設されている。蒸気流aは矢印方向(ロータ軸方向)に流れるが、ディスク3の上流側に、ディスク3に対面して仕切板8が配置されており、仕切板8は車室1に取り付けられている。仕切板8は2分割されて、夫々半円形状になっており、上方の仕切板8は上側の車室内面に取り付けられ、下方の仕切板8は、下方の車室内面に取り付けられている。
仕切板8とロータ軸2との間には、ラビリンスシール6cが設けられ、蒸気流が仕切板8とロータ軸2間の隙間から漏れないように構成されている。仕切板8の一部に静翼9が形成されており、蒸気流は静翼9間の隙間を通ることによって、流速を増すと共に、流れ方向を動翼4に回転力を与えるのに好適な流れ角に変えられる。
車室1には、抽気口11が設けられ、抽気口11から蒸気の一部a1が抽気され、地域暖房用又は工場熱源用等、あるいはその他の用途に使用される。残りの蒸気a2は、ロータ軸2を回転させる仕事を終えて、最終段の吐出口12から排出され、図示しない復水器に送られる。
本実施形態では、抽気口下流側段翼13の上流側にロータ周方向bに向けて多孔板20が取り付けられている。多孔板20のロータ周方向の取付位置は、抽気口11の位置とロータ周方向に180度異なる反対側となる。スペース、多孔板20は、抽気口11とロータ軸回りで反対方向の高圧蒸気流となる領域に配置される。
多孔板20の取付方法は、仕切板8にボルト結合等の手段で取り付けられる。多孔板20を図2に示す。図2に示すように、多孔板20は、半円形状でリング状をした板で構成されている。そして、静翼9に対面する領域に、ロータ周方向bに沿って半円形状の分布をなして、多数の蒸気流通孔21が穿設されている。
通常の抽気量は車室1内を矢印a方向に流れる蒸気量のうちの5〜10%であるが、抽気口11から大量に抽気される場合、例えば蒸気流量の50%に及ぶ場合には、ロータ周方向で蒸気圧の不均一が生じる。この不均一流に起因して抽気口下流側段翼13に励振力が作用する。即ち、抽気口11から抽気することによって、抽気口周辺の蒸気圧が低下する。そして、抽気口11とロータ周方向に180度異なる反対側の領域が最も高圧となる。
本実施形態では、この位置に多孔板20を設け、抽気口11と反対側の高圧蒸気流に圧力損失を生じさせることにより低圧とする。これによって、抽気口下流側段翼13に流入する蒸気の圧力をロータ周方向で均一とし、抽気口下流側段翼13に作用する励振力を抑制することができる。
なお、図2に示す多孔板20で、中央付近に最も高圧の蒸気圧が負荷されるため、中央付近で蒸気流通孔21の開口面積を小さくし、両側へいくほど開口面積を大きくすれば、蒸気圧力の均一化精度をさらに高めることができる。
なお、図2に示す多孔板20で、中央付近に最も高圧の蒸気圧が負荷されるため、中央付近で蒸気流通孔21の開口面積を小さくし、両側へいくほど開口面積を大きくすれば、蒸気圧力の均一化精度をさらに高めることができる。
また、蒸気流通孔21の形状は、必ずしも円形でなくてもよく、スリット状等の長尺形状でもよい。長孔の向きも、適宜選定可能であり、例えば、ロータ軸2から外側に放射状に広がるように配置してもよく、あるいは水平方向に並列に配置してもよい。
本実施形態によれば、抽気口下流側段翼13に多孔板20を取り付けるという簡単な構成で、抽気口下流側段翼13に流入する蒸気流の圧力をロータ軸回りに均一にすることができ、これによって、抽気口下流側段翼13に作用する励振力を抑制できる。従って、抽気口下流側段翼13を低剛性化又は低強度化でき、製作コストを低減できる。
(実施形態2)
次に、本発明の第2実施形態を図3に基づいて説明する。図3は、図2のB方向から視た場合に相当する仕切板の説明図である。図3において、本実施形態の多孔板30は、図1に示す多孔板20のように、蒸気流通孔31が周方向に複数段に亘って穿設されているが、図3では、便宜上、蒸気流通孔31の配置を模式的に図示している。多孔板30に穿設された多数の蒸気流通孔31は、中央部では、多孔板30の表面30aに対して、その軸線cが90度方向になるように穿設されている。そして、中心から左右両側へいくに従って、軸線cが下流側に向けて徐々に下方に傾斜して穿設され、両側端では、表面30aに対して45度の角度をなして下方に傾斜している。
次に、本発明の第2実施形態を図3に基づいて説明する。図3は、図2のB方向から視た場合に相当する仕切板の説明図である。図3において、本実施形態の多孔板30は、図1に示す多孔板20のように、蒸気流通孔31が周方向に複数段に亘って穿設されているが、図3では、便宜上、蒸気流通孔31の配置を模式的に図示している。多孔板30に穿設された多数の蒸気流通孔31は、中央部では、多孔板30の表面30aに対して、その軸線cが90度方向になるように穿設されている。そして、中心から左右両側へいくに従って、軸線cが下流側に向けて徐々に下方に傾斜して穿設され、両側端では、表面30aに対して45度の角度をなして下方に傾斜している。
これによって、矢印方向から蒸気流通孔31を通過する蒸気流aは、多孔板30の中央付近では静翼9に直角に向かって直角に流入するが、中央から両側へ離れるに従って下方に曲げられ、両端では下方に45度の角度で曲げられ静翼9に流入する。中央部で蒸気流通孔21を下向きにすると、仕切板下流側で逆に中央部の蒸気圧が低くなりすぎて、ロータ周方向で蒸気圧が均等とならない。そのため、中央部では蒸気流通孔21を表面30aに対して直角方向に向けている。
このように、本実施形態では、多孔板30の中央部では蒸気流通孔21を表面30aに対して直角方向に穿設し、左右両側へいくに従って蒸気流通孔31を下方に傾斜させることにより、多孔板30を出た蒸気流を高圧域から低圧域に向けることができる。これによって、静翼9に流入する蒸気流をロータ周方向で均一の蒸気圧とすることができる。
なお、前記第1実施形態又は第2実施形態において、多孔板20又は30を抽気口下流側段翼13の下流側、即ち、動翼7の下流側に配置しても同様の作用効果を得ることがでいる。
(実施形態3)
次に、本発明の第3実施形態を図4〜図6に基づいて説明する。図4は、図1の上半分に相当する図であり、図5は図4中のC−C矢視図、図6はバッフル板及び静翼の平面視展開図である。図4において、図1に示す前記第1実施形態と同一の部材又は機器は同一符号を付しており、これらの説明を省略する。本実施形態は、静翼9の上流側に案内羽根を備えたバッフル板40を設けたものである。
なお、前記第1実施形態又は第2実施形態において、多孔板20又は30を抽気口下流側段翼13の下流側、即ち、動翼7の下流側に配置しても同様の作用効果を得ることがでいる。
(実施形態3)
次に、本発明の第3実施形態を図4〜図6に基づいて説明する。図4は、図1の上半分に相当する図であり、図5は図4中のC−C矢視図、図6はバッフル板及び静翼の平面視展開図である。図4において、図1に示す前記第1実施形態と同一の部材又は機器は同一符号を付しており、これらの説明を省略する。本実施形態は、静翼9の上流側に案内羽根を備えたバッフル板40を設けたものである。
図5に示すように、バッフル板40は、半円形のリング形状をなし、仕切板8の上流側で、車室1の内壁にロータ周方向bに向けて取り付けられている。静翼9に対面するバッフル板40の領域には、半円形に蒸気流通孔41が穿設され、該蒸気流通孔41の内部に放射状に複数の案内羽根42が取り付けられている。
図6に示すように、案内羽根42は断面が翼形状をなし、中央に配置された案内羽根42は、バッフル板40の表面40aに対して横断面の軸線cの方向が90度になるように配置され、左右両側にいくに従って、外側に軸線cが傾斜するように配置されている。そして、両端の案内羽根42の横断面軸線cは、バッフル板40の表面40aに対して45度の角度をなすように配置されている。
従って、矢印方向からバッフル板40に流入した蒸気流aは、中央ではバッフル板表面40aに対して90度の方向に流出し、真直ぐ静翼9に向かって進むが、両端にいくほど下側に曲げられる。図6では、両端側の案内羽根42を通る蒸気流aは、外側に向けられるように見えるが、図6は展開図であるので、実際は、蒸気流aは下側に曲げられる。バッフル板40と静翼9との間には、下方に曲げられる蒸気流を形成しやすくするために、隙間sが確保されている。
このように、本実施形態では、バッフル板40を通る蒸気流aは、中央の案内羽根42に沿う蒸気流は真直ぐ静翼9に向かって進むが、左右両側に行くほど下側に向けられる。即ち、バッフル板40の左右両側では、バッフル板40から流出した蒸気流aは、低圧蒸気流側に向けられる。このような構成により、静翼9に流入する蒸気流のロータ周方向圧力分布を均一化することができる。しかも蒸気流aはバッフル板40の中央部を中心として左右対称に曲げられるので、静翼9に流入する蒸気流をロータ周方向に均一にすることが容易になる。
なお、運転中に蒸気タービンの負荷が変わり、また、抽気口から抽気される蒸気量を変わる場合があるので、これらの変動に応じて、蒸気流のロータ周方向圧力分布も変動する。従って、この圧力分布の変動に応じて、案内羽根42の軸線方向を可変とすれば、運転負荷や抽気量が変動しても、静翼9に流入する蒸気流のロータ周方向圧力分布を常に一定することができる。
(実施形態4)
次に、本発明の第実施形態を図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態のバッフル板50の正面図である。図7において、バッフル板50は、前記第1〜3実施形態と同様に、半円のリング形状をなす。そして、バッフル板50に、半円のリング形状の蒸気流通孔51が穿設されている。そして、該蒸気流通孔51の内部に、複数の案内羽根52を水平方向に取り付けたものである。
次に、本発明の第実施形態を図7に基づいて説明する。図7は、本実施形態のバッフル板50の正面図である。図7において、バッフル板50は、前記第1〜3実施形態と同様に、半円のリング形状をなす。そして、バッフル板50に、半円のリング形状の蒸気流通孔51が穿設されている。そして、該蒸気流通孔51の内部に、複数の案内羽根52を水平方向に取り付けたものである。
案内羽根52は、蒸気流通孔51の内部で固定されており、かつバッフル板50の中央ではその横断面の軸線方向は水平であるが、下方の案内羽根52は、その横断面軸線方向が蒸気流出口側で下方に向けられ、その傾斜角度は下方にいくほど大きくなっている。そして、最下端の案内羽根52の軸線方向角度は45度に向けられている。
このような構成を有するので、バッフル板50の蒸気流通孔51を通る蒸気流は、下方の低圧蒸気流側に曲げられるので、静翼9に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一にすることができる。しかも、案内羽根52の横断面軸線方向を適宜調整して取り付けることにより、蒸気流の流出方向を所望の方向に設定できるので、蒸気圧の均一化精度を向上することができる。
本実施形態では、案内羽根52を水平方向に取り付けているので、すべての案内羽根52を下方向に向けることができる。そのため、蒸気流の曲げ能力を前記第3実施形態のバッフル板40より向上できる。
本実施形態では、案内羽根52を水平方向に取り付けているので、すべての案内羽根52を下方向に向けることができる。そのため、蒸気流の曲げ能力を前記第3実施形態のバッフル板40より向上できる。
なお、本実施形態においても、案内羽根52の横断面軸線方向を可変とする構造とすれば、蒸気タービンの運転負荷や抽気量の変動があっても、静翼9に流入する蒸気流圧を常に均一化することができる。
また、本発明では、多孔板方式と案内羽根方式とを組み合わせたバッフル板を用いてもよい。例えば、中央部を多孔板とし、左右両側に放射状に又は水平方向に案内羽根を設けるようにしてもよい。
本発明によれば、蒸気タービンの抽気口を有する車室で、抽気口下流側段翼にロータ周方向で不均一圧力が生じても、該段翼の振動の発生を簡易な構成で防止できるため、該段翼の剛性や強度を増加させる必要がなく、製作費を低減できる。
1 車室
2 ロータ軸
3 ディスク
7 動翼
9 静翼
11 抽気口
13 抽気口下流側段翼
20,30 多孔板(バッフル板)
40,50 バッフル板
42,52 案内羽根
a 蒸気流
a1 抽気流
b ロータ周方向
c 軸線
2 ロータ軸
3 ディスク
7 動翼
9 静翼
11 抽気口
13 抽気口下流側段翼
20,30 多孔板(バッフル板)
40,50 バッフル板
42,52 案内羽根
a 蒸気流
a1 抽気流
b ロータ周方向
c 軸線
Claims (7)
- 蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を防止する蒸気タービンの振動防止方法において、
抽気口下流側段翼に対面してロータ周方向で高圧蒸気流が流入する翼部分の上流側又は下流側に設けられたバッフル板で該高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ、抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一化することにより、該段翼に生じる励振力を抑制するようにしたことを特徴とする蒸気タービンの振動防止方法。 - 蒸気タービン車室の抽気口で発生する蒸気不均一流に起因した抽気口下流側段翼の振動を防止する蒸気タービンの振動防止装置において、
抽気口下流側段翼に対面して抽気口とロータ周方向の反対側の上流側又は下流側にバッフル板を設け、該バッフル板で高圧蒸気流に圧力損失を生じさせ抽気口下流側段翼に流入する蒸気流の圧力をロータ周方向で均一化するように構成したことを特徴とする蒸気タービンの振動防止装置。 - 前記バッフル板が、抽気口下流側段翼の翼部分に対面する領域に複数の蒸気流通孔が穿設された多孔板であることを特徴とする請求項2に記載の蒸気タービンの振動防止装置。
- 前記蒸気流通孔を抽気口下流側段翼に流入する蒸気流のうち低圧蒸気流領域に向けたことを特徴とする請求項3に記載の蒸気タービンの振動防止装置。
- 前記バッフル板が抽気口下流側段翼の上流側に設けられ、該段翼の翼部分に対面する領域に蒸気流通孔を穿設されると共に、該蒸気流通孔を通過する蒸気を低圧蒸気流側に向ける案内羽根を備えたことを特徴とする請求項2に記載の蒸気タービンの振動防止装置。
- 前記振動防止装置は、ロータ軸を中心として外側に放射状に配置された複数の前記案内羽根を備えることを特徴とする請求項5に記載の蒸気タービンの振動防止装置。
- 前記振動防止装置は、水平方向に並列配置された複数の前記案内羽根を備えることを特徴とする請求項5に記載の蒸気タービンの振動防止装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008113768A JP2009264214A (ja) | 2008-04-24 | 2008-04-24 | 蒸気タービンの振動防止方法及び装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2008113768A JP2009264214A (ja) | 2008-04-24 | 2008-04-24 | 蒸気タービンの振動防止方法及び装置 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2009264214A true JP2009264214A (ja) | 2009-11-12 |
Family
ID=41390363
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP2008113768A Withdrawn JP2009264214A (ja) | 2008-04-24 | 2008-04-24 | 蒸気タービンの振動防止方法及び装置 |
Country Status (1)
Country | Link |
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JP (1) | JP2009264214A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113738456A (zh) * | 2021-08-27 | 2021-12-03 | 黄长涛 | 一种双循环地热能发电用防震动汽轮机 |
-
2008
- 2008-04-24 JP JP2008113768A patent/JP2009264214A/ja not_active Withdrawn
Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN113738456A (zh) * | 2021-08-27 | 2021-12-03 | 黄长涛 | 一种双循环地热能发电用防震动汽轮机 |
CN113738456B (zh) * | 2021-08-27 | 2023-10-31 | 哈尔滨市天大电站设备有限公司 | 一种双循环地热能发电用防震动汽轮机 |
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