JP2009263159A - 貼り合わせガラス基板の加工方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】
(a)貼り合わせ前の2枚のガラス基板それぞれの片側面に対し、分割予定位置にレーザスクライブ加工により所望の深さのスクライブラインを形成する工程と、(b)スクライブラインが形成された片側面同士を内側にして2枚のガラス基板を貼り合わせる工程と、(c)貼り合わされた2枚のガラス基板の外側面をエッチングして前記スクライブラインの深さまで各基板を薄板化することにより、スクライブラインを端面にして各基板を分割する工程とを行う。
【選択図】図1
Description
ここで、レーザスクライブ加工とは、レーザビームの照射により基板上に形成されるビームスポットを相対移動させて、基板を軟化温度以下で局所加熱し、その後、冷却(自然冷却または強制冷却)することにより、基板に深さ方向の温度差を発生させ、この温度差に起因する応力勾配を利用してスクライブラインを形成する加工をいう。
例えば、大面積貼り合わせ基板に対し、カッターホイールを圧接しながら移動させて貼り合わせ基板にスクライブラインを刻む工程と、形成されたスクライブラインに沿って曲げモーメントを加えて機械的にブレイクする工程とを、所定の順で行う分割方法が利用されている(特許文献1参照)。
カッターホイールの圧接工程と曲げモーメント付与によるブレイク工程とを組み合わせた分割方法は、分割する基板の板厚が薄い場合であっても厚い場合であっても、カッターホイールの刃先形状や圧接荷重を調整することにより、確実に分割を行うことができる。
この方法によれば、マザーガラス同士を貼り合わせた状態でスクライブラインを形成する必要がないので、2枚のマザーガラスを貼り付けるシール材の影響を受けにくく、スクライブラインの形成を安定かつ正確に行うことができる。
また、この方法によれば、カレットが発生しないレーザスクライブ加工によってスクライブラインの形成が行われるので、貼り合わせ工程より前工程においてスクライブラインを形成しても、貼り合わせ面にはカレット発生に起因する問題が発生しない。
さらにレーザスクライブ加工により形成されたスクライブラインの端面品質、端面強度は他の加工方法に比べて非常に優れており、分割面の端面品質を向上させることができる。
特許文献3によれば、さらに図2(c)に示すように、単板のガラス板27にホイールカッターやレーザ照射によって予めスクライブライン28を形成しておくと、その後のエッチング工程でスクライブライン28の下端がエッチングされ(すなわちスクライブライン内がエッチングされ)、やがて変質領域29まで到達するようになると、エッチング速度が速まる。そして、図2(d)に示すように、スクライブライン28とともに変質領域29がエッチングされて完全分離されるようになることが開示されている。
しかしながら、カッターホイールの圧接により、切り屑が発生し、また、切断端面にひび割れが生じることがあり、レーザスクライブ加工により形成される端面と比較すると、端面強度、端面品質に差が生じる。また、スクライブラインを形成した後のブレイク工程の際に、ブレイクバー等で機械的に力を加える必要があり、このときカレットが発生してしまう場合がある。
厚板の基板GAでは、ビームスポットの通過による加熱によって、図3(a)に示すように加熱部位HRが基板内部に形成され、加熱部位HRが局所的に膨張することにより、圧縮応力(図中破線矢印で示す)が生じる。なお、図では、説明の便宜上、基板GAに生じる変形を誇張して示している。
厚板の基板GAの場合には、基板が厚いため冷却部位CRが形成された時に加熱部位HRが裏面まで到達することはなく、加熱部位HRが基板内部にとどまった状態になる。
よって、基板GAにおけるレーザスクライブ加工では、有限の深さのスクライブラインC(クラック)が形成されることになる。このようにして形成されるスクライブラインC(クラック)は、端面品質が優れており、分断面として理想な状態である。
基板GBでは、ビームスポットの通過による加熱によって、図4(a)に示すように加熱部位HRが基板内部に形成されて圧縮応力(図中破線矢印で示す)が発生するが、板厚が薄いため、加熱部位HRがすぐに裏面まで達する。裏面に達した加熱部位HRは一部が下面から抜けてしまい、発生した圧縮応力が弱まる。
また、本発明は、優れた端面品質、端面強度を維持しつつ、これまでにない薄い板厚の貼り合わせガラス基板を作成することができる加工方法を提供することを目的とする。
まず、(a)貼り合わせ前の2枚のガラス基板それぞれの片側面に対し、分割予定位置にレーザスクライブ加工により所望の深さのスクライブラインを形成する工程を行う。ガラス基板上に機能素子等(例えば液晶ディスプレイではTFT膜やカラーフィルタ(CF))が形成されている場合は、レーザスクライブ加工を行う側の片側面を、機能素子等が形成される面にしておく。これにより、後工程で機能素子等がエッチングされないようにする。また、レーザスクライブ加工により形成するスクライブラインの深さは、後工程で薄板化及び分割するときの板厚の値になるので、この深さを所望の値にしておく。続いて、(b)スクライブラインが形成された片側面同士を内側にして2枚のガラス基板を貼り合わせる工程を行う。貼り合わせはシーリング剤を用いて行うことができる。続いて、(c)貼り合わされた2枚のガラス基板の外側面(貼り合わせ面とは反対側の面)をエッチングする。エッチングはウェットエッチングでもドライエッチングでもよい。
(a)工程において、スクライブラインを形成する前の各ガラス基板の板厚を0.4mm〜2mmにしてもよい。既述のようにレーザスクライブ加工によりスクライブラインを形成できるようにするには、一定以上の板厚が必要になるが、この数値範囲の板厚のガラス基板を用いることにより、レーザスクライブ加工が可能になり、しかも適度なエッチング時間で貼り合わせガラス基板を分割することができるようになる。
これによれば、スクライブラインの深さにより、薄板化及び分割されたガラス基板の板厚が決定されるので、スクライブラインの深さをこの範囲に設定することで、従来は分割が困難であった薄さの貼り合わせガラス基板を作成することができる。
これによれば、ガラス基板間の間隙幅が十分に狭いため、この間隙内に入り込んだエッチング液またはエッチングガスは置換されず滞留しやすくなり、貼り合わせ面側での侵食を抑制することができ、一方的に外側面からの侵食を進行させることができる。
これによれば、基板周縁に端材領域が存在することにより、貼り合わせ後のガラス基板の間隙内に侵入したエッチング液等はさらに滞留しやすくなり、ますます内側からのエッチングの進行が抑制され、確実に外側面からのエッチングが行われる。
加工前の基板の板厚が薄すぎると、レーザスクライブ加工ができない。また、基板の板厚が厚すぎると、スクライブラインは形成できるが、後述するエッチング工程で薄板化するときに長時間を要することになるので、0.4mm〜2mm、より好ましくは0.4mm〜1mm程度にする。
貼り合わせるマザー基板1,2間の間隙幅は、液晶の注入に適した値にする。具体的には1μm〜10μm程度、好ましくは3μm〜7μmにする。間隙幅が10μm以下であれば特に問題ないが、間隙幅を狭くするほど、後工程において間隙内へのエッチング液の侵入量が減り、また、間隙内に侵入したエッチング液が置換されにくくなるので、スクライブラインを形成した側の面のエッチングをさらに抑制できる。
基板1,2ともに、外側面1a,2a(貼り合わせ面とは反対側の面)がエッチングされ、内側面1b,2bはエッチングが抑制される。さらにレーザスクライブ加工により形成されたスクライブライン3,4は、スクライブ面が密着して内部にエッチング液が侵入しにくくなっているので、ほとんど侵食されないで残る。
2 TFT用マザーガラス基板
3 スクライブライン
4 スクライブライン
5 端材領域
6 シーリング剤
7 エッチング液
8 単位表示基板
CF カラーフィルタ
TFT 薄膜トランジスタ
Claims (5)
- (a)貼り合わせ前の2枚のガラス基板それぞれの片側面に対し、分割予定位置にレーザスクライブ加工により所望の深さのスクライブラインを形成する工程と、
(b)スクライブラインが形成された片側面同士を内側にして前記2枚のガラス基板を貼り合わせる工程と、
(c)貼り合わされた2枚のガラス基板の外側面をエッチングして前記スクライブラインの深さまで各基板を薄板化することにより、前記スクライブラインを端面にして各基板を分割する工程とからなる貼り合わせガラス基板の加工方法。 - 前記(a)工程において、スクライブラインを形成する前の各ガラス基板の板厚が0.4mm〜2mmである請求項1に記載の貼り合わせガラス基板の加工方法。
- 前記(a)工程において、形成するスクライブラインの深さが0.01mm〜0.2mmである請求項1に記載の貼り合わせガラス基板の加工方法。
- 前記(b)工程において、ガラス基板間の間隙幅が10μm以下である請求項1に記載の貼り合わせガラス基板の加工方法。
- 貼り合わせ前の2枚のガラス基板は、それぞれ基板周縁に端材領域を有し、前記(b)工程で各基板の端材領域との境界にスクライブラインが形成される請求項1に記載の貼り合わせガラス基板の加工方法。
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