JP2009260615A - レベル変換回路および画像表示装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】単一導電型のトランジスタを用いたレベル変換回路において、レベル変換する信号数が増加しても、消費電力の増大を抑制することが可能なレベル変換回路を提供する。
【解決手段】レベル変換回路は、互いに相補な入力信号INS1,INS2をそれぞれレベル変換する単位レベル変換回路LS1,LS2から構成される。単位レベル変換回路LS1は、最終出力信号/OUTS1を、当該単位レベル変換回路LS1の入力信号INS1に基づいて活性化させ、単位レベル変換回路LS2からの信号に基づいて非活性化させる。単位レベル変換回路LS2は、最終出力信号/OUTS2を、当該単位レベル変換回路LS2の入力信号INS2に基づいて活性化させ、単位レベル変換回路LS1から供給される信号に基づいて非活性化させる。
【選択図】図1
【解決手段】レベル変換回路は、互いに相補な入力信号INS1,INS2をそれぞれレベル変換する単位レベル変換回路LS1,LS2から構成される。単位レベル変換回路LS1は、最終出力信号/OUTS1を、当該単位レベル変換回路LS1の入力信号INS1に基づいて活性化させ、単位レベル変換回路LS2からの信号に基づいて非活性化させる。単位レベル変換回路LS2は、最終出力信号/OUTS2を、当該単位レベル変換回路LS2の入力信号INS2に基づいて活性化させ、単位レベル変換回路LS1から供給される信号に基づいて非活性化させる。
【選択図】図1
Description
本発明は信号の振幅を変換するためのレベル変換回路に関するものであり、特に、それを構成するトランジスタが全て同一導電型であるレベル変換回路に関する。
信号の電圧レベルおよび振幅を変換するためのレベル変換回路は広く知られている。例えば下記の特許文献1には、それを構成するトランジスタが全て同一の導電型である、即ち単一導電型のトランジスタのみを用いて構成されたレベル変換回路が開示されている。このようにトランジスタの導電型を揃えることにより、製造プロセスの簡略化および低コスト化を図ることができる。
特許文献1の図13に開示されているレベル変換回路は、出力段としてレシオレスブートストラップ型出力駆動段(130)を備えているため、低消費電力で大きな駆動能力を有しており、大きな負荷容量を有する信号線(例えば後述のクロック信号線)の駆動に適している。
単一導電型のトランジスタにより構成されたレベル変換回路の使用例が下記の非特許文献1のFig. 4に示されている。同図のレベル変換回路(Level Shifters)は、表示装置の画素を駆動するゲートドライバを構成している複数のシフトレジスタ(S/R_1,S/R_2,S/R_3,…)を動作させるために用いられる4相のクロック信号それぞれの電圧レベルを変換している。より具体的には、電圧レベルが0〜10Vのクロック信号(Clk1〜Clk4)を、電圧レベルが−8〜10Vのクロック信号(CLK1〜CLK4)に変換している。
また非特許文献2に、表示装置のゲートドライバ(シフトレジスタ)を12相のクロック信号を用いて駆動することにより消費電力を低減する技術が示されている。同文献のfiguer 4は、クロック信号の相数とゲートドライバの消費電力との関係を示すグラフであり、それにはクロック信号の相数を増加させるほどゲートドライバの消費電力を低減できることが示されている。なお、当該文献におけるゲートドライバの例では、それに入力される12相のクロック信号は既にレベル変換されたものである。
上述した特許文献1の図13のレベル変換回路は、非特許文献1,2のゲートドライバを動作させるクロック信号のレベル変換にも用いることができる。しかし特許文献1の図13の回路では、出力段であるレシオレスブートストラップ型出力駆動段(130)を動作させるための入力段(100)およびブートストラップ駆動段(120)がレシオ回路で構成されている。それらレシオ回路では、ローレベル出力時に、ハイ側電源(VR)からロー側電源(−VL)へと直流的な電流が流れるため消費電力が比較的大きい。従って、非特許文献2のようにクロック信号の相数を多くしてゲートドライバの消費電力を低減させても、その相数と同じ数必要になるレベル変換回路での消費電力が増大するという問題が生じる。
本発明は以上のような課題を解決するためになされたものであり、単一導電型のトランジスタを用いたレベル変換回路において、レベル変換する信号数が増加しても、消費電力の増大を抑制することが可能なレベル変換回路を提供することを目的とする。
本発明に係るレベル変換回路は、第1電源および第2電源を有し、前記第1電源と前記第2電源の電圧の差よりも小さな振幅を有する複数の入力信号に基づき、前記第1電源の電圧に対応する電圧レベルと前記第2電源の電圧に対応する電圧レベルとの間で変化する複数の出力信号を生成するレベル変換回路であって、1つの前記入力信号が入力され1つの前記出力信号を出力する単位レベル変換回路を複数個備え、前記単位レベル変換回路のそれぞれは、前記出力信号を、自己の入力信号に基づいて活性化させ、他の単位レベル変換回路から供給される信号に基づいて非活性化させるものである。
本発明によれば、各単位レベル変換回路において、レベル変換後の出力信号を非活性化するための制御信号として、他の単位レベル変換回路で生成される信号が用いられる。従来の回路(特許文献1の図13)では、各単位レベル変換回路のそれぞれが自己の出力信号を非活性化するための制御信号を生成しており、そのために一定の電力が消費されていたが本発明ではその分の消費電力を削減することができる。
以下、本発明の実施の形態を、図面を参照しながら説明する。なお、説明が重複して冗長になるのを避けるため、各図において同一または相当する機能を有する要素には同一符号を付してある。
また、各実施の形態に用いられるトランジスタは、絶縁ゲート型電界効果トランジスタである。絶縁ゲート型電界効果トランジスタは、ゲート絶縁膜中の電界により半導体層内のドレイン領域とソース領域との間の電気伝導度が制御される。ドレイン領域およびソース領域が形成される半導体層の材料としては、ポリシリコン、アモルファスシリコン、ペンタセン等の有機半導体、単結晶シリコンあるいはZnO等の化合物半導体などを用いることができる。
よく知られているように、トランジスタは、それぞれ制御電極(狭義にはゲート(電極))と、一方の電流電極(狭義にはドレイン(電極)またはソース(電極))と、他方の電流電極(狭義にはソース(電極)またはドレイン(電極))とを含む少なくとも三つの電極を有する素子である。トランジスタは、ゲートに所定の電圧を印加することによりドレインとソース間にチャネルが形成されるスイッチング素子として機能する。トランジスタのドレインとソースは、基本的に同一の構造であり、印加される電圧条件によって互いにその呼称が入れ代わる。例えばN型トランジスタであれば、相対的に電位の高い電極をドレイン、低い電極をソースと呼称する(P型トランジスタの場合はその逆となる)。
特に示さない限り、それらのトランジスタは半導体基板上に形成されるものであってもよく、またガラスなどの絶縁性基板上に形成される薄膜トランジスタ(TFT)であってもよい。トランジスタが形成される基板としては、単結晶基板あるいはSOI、ガラス、樹脂などの絶縁性基板であってもよい。
本発明のレベル変換回路は、単一導電型のトランジスタのみを用いて構成される。例えばN型トランジスタは、ゲートがソースに対しハイ(H)レベルになると活性状態(オン状態、導通状態)となり、同じくロー(L)レベルで非活性状態(オフ状態、非導通状態)となる。従って本明細書においては、N型トランジスタを用いた実施の形態では信号のHレベルを「活性レベル」、Lレベルを「非活性レベル」として説明する。つまりN型トランジスタを用いて構成した回路の各ノードは、充電されることによって非活性レベルから活性レベルへの変化が生じ、放電されることによって活性レベルから非活性レベルへの変化が生じる。
逆に、P型トランジスタは、ゲートがソースに対しLレベルになると活性状態となり、同じくHレベルで非活性状態となるので、P型トランジスタを用いた実施の形態では信号のLレベルを「活性レベル」、Hレベルを「非活性レベル」として説明する。つまりP型トランジスタを用いて構成した回路の各ノードは、充電されることによって活性レベルから非活性レベルへの変化が生じ、放電されることによって非活性レベルから活性レベルへの変化が生じる。
また本明細書においては、二つの素子間、二つのノード間あるいは一の素子と一のノードとの間の「接続」とは、その他の要素(素子やスイッチなど)を介しての接続であるが実質的に直接接続されているのと等価な状態をも含むものとして説明する。例えば二つの素子がスイッチを介して接続している場合であっても、それらが直接接続されているときと同一に機能できるような場合には、その二つの素子が「接続している」と表現する。
<実施の形態1>
図1は、本発明の実施の形態1に係るレベル変換回路の構成を示す図である。この図1に示すレベル変換回路は2つの信号のレベル変換を行うものであり、それら2つの信号のそれぞれをレベル変換する2つのレベル変換回路LS1,LS2により構成されている。本明細書では、1つの信号のレベル変換を行う回路を「単位レベル変換回路」と称する。つまり図1のレベル変換回路は、2つの単位レベル変換回路LS1,LS2により構成されている。単位レベル変換回路LS1,LS2は、互いにほぼ同様の構成を有しているため、その両者において互いに対応する要素には同一符号を付してある。
図1は、本発明の実施の形態1に係るレベル変換回路の構成を示す図である。この図1に示すレベル変換回路は2つの信号のレベル変換を行うものであり、それら2つの信号のそれぞれをレベル変換する2つのレベル変換回路LS1,LS2により構成されている。本明細書では、1つの信号のレベル変換を行う回路を「単位レベル変換回路」と称する。つまり図1のレベル変換回路は、2つの単位レベル変換回路LS1,LS2により構成されている。単位レベル変換回路LS1,LS2は、互いにほぼ同様の構成を有しているため、その両者において互いに対応する要素には同一符号を付してある。
単位レベル変換回路LS1,LS2のそれぞれには、ハイ側電源として電圧VH、ロー側電源として電圧VSSが供給されている。ハイ側電源電圧VHは、各信号の電圧の基準レベルとなる基準電圧GNDよりも高い正極性の電圧である。またロー側電源電圧VSSは、基準電圧GNDと同じ電圧レベル(電位)であってもよいし、それよりも低い負極性の電圧であってもよい。通常、基準電圧GNDは接地電位である。以下でも説明の簡単のため、ロー側電源電圧VSSは基準電圧GNDと等しく、その電圧レベルは接地電位(0V)とする。
単位レベル変換回路LS1の入力端子INに入力される入力信号INS1は、Hレベルが上記の電圧VHよりも低い電圧VDDであり、Lレベルが電圧VSSである信号である。単位レベル変換回路LS1は、この入力信号INS1を、Hレベルが電圧VHでありLレベルが電圧VSSである(電圧VHと電圧VSSとの間で変化する)出力信号/OUTS1に変換し、それを出力端子OUTから出力する。但し、出力信号/OUTS1の論理値(ハイ(H)またはロー(L))は、入力信号INS1を反転した値をとる。
単位レベル変換回路LS2の入力端子INに入力される入力信号INS2は、入力信号INS1と同様に、Hレベルが電圧VDD、Lレベルが電圧VSSの信号である。単位レベル変換回路LS2は、この入力信号INS2を、Hレベルが電圧VH、Lレベルが電圧VSSの出力信号/OUTS2に変換し、それを出力端子OUTから出力する。出力信号/OUTS2の論理値(ハイ(H)またはロー(L))も、入力信号INS2を反転した値をとる。
つまりこれら単位レベル変換回路LS1,LS2は、振幅VDDを有する入力信号INS1,INS2を、それよりも大きな振幅VHを有し且つ論理レベルが反転した(逆相の)出力信号/OUTS1,/OUTS2に変換するようにそれぞれ機能する。ここで入力信号INS1,INS2は、互いに逆の論理レベルをとる相補な信号である。従って2つの出力信号/OUTS1,/OUTS2も互いに相補な信号となる。
図1の如く、単位レベル変換回路LS1,LS21は互いにほぼ同様の構成を有しており、それぞれ入力段回路100、プッシュプル回路110および出力段回路130から成っている。
入力段回路100は、ブートストラップ型のインバータであり、入力端子INの信号(入力信号INS1またはINS2)を電圧VHと電圧VSSとの間で変化する逆相の信号に変換する。プッシュプル回路110は、入力端子INの信号(入力信号INS1またはINS2)および入力段回路100の出力信号(第1内部信号)により制御され、電圧VH−Vthn(Vthnは図1のトランジスタQ8のしきい値電圧)と電圧VSSとの間で変化する信号を出力する。プッシュプル回路110からは、入力段回路100の出力信号と同じ論理レベルをとる(同相の)信号が出力される。即ちプッシュプル回路110の出力信号(第2内部信号)も、入力端子INの信号とは逆相になる。
出力段回路130は、単位レベル変換回路(LS1またはLS2)の最終的な出力信号(/OUTS1または/OUTS2)を生成するための回路であり、特許文献1の図13に開示されているレシオレスブートストラップ型出力駆動段(130)と同様の構成を有するものである。
但し、この出力段回路130は、それと同じ単位レベル変換回路(以下「自己回路」と称す)に属する入力段回路100およびプッシュプル回路110の出力信号と、他方の単位レベル変換回路(以下「他方回路」と称す)に属するプッシュプル回路110の出力信号によって駆動される。即ち、単位レベル変換回路LS1の出力段回路130は、単位レベル変換回路LS1の入力段回路100およびプッシュプル回路110と、単位レベル変換回路LS2のプッシュプル回路110とにより駆動される。同様に単位レベル変換回路LS2の出力段回路130は、単位レベル変換回路LS2の入力段回路100およびプッシュプル回路110と、単位レベル変換回路LS1のプッシュプル回路110とにより駆動される。
以下、レベル変換回路の内部信号である入力段回路100およびプッシュプル回路110の出力信号と容易に区別するために、当該レベル変換回路の最終的な出力信号となる出力段回路130の出力信号/OUTS1,/OUTS2を「最終出力信号」と称することとする。
単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれの入力段回路100、プッシュプル回路110および出力段回路130は、単位レベル変換回路LS1,LS2で互いに同じ回路構成を有しているため、以下ではその構成を一度に説明する。上記のように、単位レベル変換回路LS1,LS2は相互に接続しているが、以下では特に述べない場合、原則として、各要素の接続関係および各信号の伝達関係は、同一の単位レベル変換回路(自己回路)内におけるものを指している(他の実施の形態およびその変更例でも同様である)。
単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、入力段回路100は、N型のトランジスタQ1,Q4,Q7と、容量素子C3とから構成されている。上記のとおり入力段回路100はブートストラップ型インバータであり、トランジスタQ1,Q7および容量素子C3から成る回路が当該インバータの負荷回路(ブートストラップ型負荷回路)として機能し、トランジスタQ4が当該インバータのドライブ素子として機能する。
ハイ側電源ノードS2を介して電圧VHが供給されるハイ側電源線102と、ロー側電源ノードS1を介して電圧VSSが供給されるロー側電源線104との間には、トランジスタQ1,Q4が直列に接続される。トランジスタQ1,Q4間の接続ノードN4が、当該入力段回路100の出力ノードとなる。トランジスタQ4は、ロー側電源線104とノードN4との間に接続し、そのゲートは入力端子INに接続されている。
トランジスタQ1は、ハイ側電源線102とノードN4との間に接続し、そのゲートが接続するノードN3とノードN4との間にフィードバック容量(ブートストラップ容量)としての容量素子C3が接続される。
トランジスタQ7は、ノードN3とハイ側電源線102との間に接続し、そのゲートはハイ側電源線102に接続される。つまりトランジスタQ7は、ハイ側電源線102からノードN3への向きのみに電流を流すようにダイオード接続されており、その方向を順方向とする一方向性電流駆動素子として働く。なお本明細書における一方向性電流駆動素子とは、逆方向電流を全く流さない素子のみならず、逆方向電流が順方向電流に対し無視できるほど小さい素子をも含むものとする。
このトランジスタQ7は、ノードN3を電圧VH−Vthnに充電する(このVthnはトランジスタQ7のしきい値電圧である)。ハイ側電源電圧VHは、このVH−Vthnの値がトランジスタQ1のしきい値電圧よりも高くなるように設定されている。つまりノードN3が電圧VH−Vthnのとき、トランジスタQ1はオン状態になる。
プッシュプル回路110は、ハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列接続したトランジスタQ8,Q9から成る。その間の接続ノードN5が、プッシュプル回路110の出力ノードになる。トランジスタQ8はハイ側電源線102とノードN5との間に接続し、ゲートは入力段回路100のノードN4に接続される。トランジスタQ9は、ノードN5とロー側電源線104との間に接続し、ゲートは入力端子INに接続される。
出力段回路130は、N型のトランジスタQ13〜Q20および容量素子C5から成っている。トランジスタQ13,Q14は、ハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列に接続している。トランジスタQ13,Q14間の接続ノードをノードN8とすると、ハイ側電源線102とノードN8との間に接続するトランジスタQ13のゲートは、他方の単位レベル変換回路(他方回路)のノードN4に接続される。具体的には、単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ13のゲートは単位レベル変換回路LS2のノードN4に接続され、単位レベル変換回路LS2のトランジスタQ13のゲートは単位レベル変換回路LS1のノードN4に接続される。即ち、トランジスタQ13は、他方回路の入力段回路100の出力信号に従って、ノードN8をハイ側電源線102からの電流により充電するものである。
またノードN8とロー側電源線104との間に接続するトランジスタQ14のゲートは、それと同じ単位レベル変換回路(自己回路)の出力端子OUTに接続される。つまりトランジスタQ14は、自己回路の最終出力信号(/OUTS1または/OUTS2)に従ってノードN8の電荷をロー側電源線104へと放電するものである。
トランジスタQ17,Q18も、ハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列に接続している。トランジスタQ17,Q18間の接続ノードをノードN10とすると、ハイ側電源線102とノードN10との間に接続するトランジスタQ17のゲートは、自己回路のノードN4に接続される。即ち、トランジスタQ17は、自己回路の入力段回路100の出力信号に従ってノードN10をハイ側電源線102からの電流により充電するものである。
ノードN10とロー側電源線104との間に接続するトランジスタQ18のゲートは、他方回路のノードN5に接続される。即ちトランジスタQ18は、他方回路のプッシュプル回路110の出力信号に従ってノードN10の電荷をロー側電源線104へと放電するものである。
トランジスタQ15,Q16も、ハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列に接続している。トランジスタQ15,Q16間の接続ノードをノードN9とすると、ハイ側電源線102とノードN9との間に接続するトランジスタQ15のゲートはノードN10に接続され、ノードN9とロー側電源線104との間に接続するトランジスタQ16のゲートはノードN8に接続される。また容量素子C5は、ノードN9とノードN10との間に接続される。
即ち、トランジスタQ15は、ノードN10の電圧レベルに従ってノードN9をハイ側電源線102からの電流により充電するものであり、トランジスタQ16は、ノードN8の電圧レベルに従ってノードN9の電荷をロー側電源線104へと放電するものである。
トランジスタQ19,Q20も、ハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列に接続している。トランジスタQ19,Q20間の接続ノードが当該単位レベル変換回路の出力端子OUTとなり、そこから最終出力信号(/OUTS1または/OUTS2)が出力される。ハイ側電源線102と出力端子OUTとの間に接続するトランジスタQ19のゲートはノードN10に接続される。即ち、トランジスタQ19は、ノードN10の電圧レベルに従って出力端子OUTをハイ側電源線102からの電流により充電するものである。
また出力端子OUTとロー側電源線104との間に接続するトランジスタQ20のゲートは、上記のトランジスタQ18のゲートと共に、他方回路のノードN5に接続される。つまりトランジスタQ20は、他方回路のプッシュプル回路110の出力信号に従って出力端子OUTの電荷をロー側電源線104へと放電するものである。
出力段回路130においては、以下に詳細にその動作を説明するように、自己回路および他方回路の各ノードの電圧変化の遅延を利用して、ハイ側電源線102からロー側電源線104への貫通電流経路を遮断しており、それにより消費電流を抑制している。また、この出力段回路130の動作によって、最終出力信号(/OUTS1または/OUTS2)は正確に電圧VHおよびVSSの間で変化するようになる。
図2は、本実施の形態のレベル変換回路(図1)の動作を示す信号波形図である。図2を参照し、当該レベル変換回路の動作を説明する。なお、以下の説明では特に示さない限り、寄生容量およびトランジスタの電流駆動力(またはオン抵抗)に起因する各ノードの電圧レベルへの影響は無視する。またレベル変換回路を構成する各N型トランジスタのしきい値電圧は全て等しく、その値をVthnとする。
まず初期状態として、単位レベル変換回路LS1の入力信号INS1がHレベル(VDD)、単位レベル変換回路LS2の入力信号INS2がLレベル(VSS)であるとする(図2の時刻t0)。
このとき単位レベル変換回路LS1の入力段回路100およびプッシュプル回路110では、トランジスタQ4,Q9がオン状態である。ノードN3はトランジスタQ3により電圧VH−Vthnに充電されているので、トランジスタQ1はオン状態であるが、トランジスタQ4の駆動能力(電流を流す能力)はトランジスタQ1よりも充分大きく設定されているので、ノードN4はLレベルである。よってトランジスタQ8はオフ状態であり、ノードN5もLレベルである。
入力段回路100はレシオ回路であり、その出力信号(ノードN4の電圧レベル)のLレベル電圧(出力オフセット電圧)はトランジスタQ1,Q4のオン抵抗比により決まる。トランジスタQ4のオン抵抗をトランジスタQ1よりも充分小さく設定すれば、出力オフセット電圧をほぼ0に(Lレベル電圧をほぼVSSに)することができる。そうすれば、入力段回路100がプッシュプル回路110のトランジスタQ8をより確実にオフにすることができるようになり、動作の信頼性が向上する。
一方、単位レベル変換回路LS2の入力段回路100およびプッシュプル回路110では、トランジスタQ4,Q9がオフ状態である。ノードN3はHレベルに充電されておりトランジスタQ1はオン状態であるので、ノードN4はHレベルである。よってトランジスタQ8はオン状態であり、ノードN5もHレベルである。詳細は後述するが、このときトランジスタQ1は、容量素子C3を介したブートストラップ作用により非飽和領域で動作しており、ノードN4のHレベルは電圧VHとなっている。
従って、単位レベル変換回路LS1の出力段回路130では、トランジスタQ18,Q20がオン状態、トランジスタQ17がオフ状態であるので、ノードN10および出力端子OUT(最終出力信号/OUTS1)はLレベルである。応じてトランジスタQ14はオフ状態であり、またトランジスタQ13はオン状態であるのでノードN8はHレベル(VH−Vthn)である。よってトランジスタQ15はオフ状態、トランジスタQ16はオン状態であるのでノードN9はLレベル(VSS)である。
逆に単位レベル変換回路LS2の出力段回路130では、トランジスタQ18,20がオフ状態であり、ノードN10はHレベルに充電されておりトランジスタQ19がオンしており出力端子OUT(最終出力信号/OUTS2)はHレベルである。よってトランジスタQ14はオン状態であり、またトランジスタQ13はオフ状態であるのでノードN8はLレベル(VSS)である。よってトランジスタQ15はオン状態、トランジスタQ16はオフ状態であるのでノードN9はHレベル(VH)である。詳細は後述するが、このときトランジスタQ15,Q19は非飽和領域で動作しており、ノードN9および最終出力信号/OUTS2のHレベルは電圧VHとなっている。
この初期状態の説明から分かるように図1のレベル変換回路では、定常状態においてハイ側電源線102からロー側電源線104へ直流電流(貫通電流)が流れる経路は、Hレベルの入力信号が供給されている側の単位レベル変換回路(上記の初期状態では単位レベル変換回路LS1)の入力段回路100のトランジスタQ1,Q4を通した経路のみである。
この初期状態から、時刻t1で、入力信号INS1がLレベル(VSS)、入力信号INS2がHレベル(VDD)にそれぞれ変化する。
このとき単位レベル変換回路LS1の入力段回路100では、トランジスタQ4がオフになり、トランジスタQ1を流れる電流によってノードN4が充電され、その電圧レベルが上昇する。このとき容量素子C3を介する結合により、ノードN3の電圧レベルが上昇しようとする。するとダイオード接続したトランジスタQ7がオフになり、ノードN3は所定の電圧レベルにまで昇圧され、トランジスタQ1のゲート・ソース間電圧が高められる(ブートストラップ作用)。その結果、トランジスタQ1は非飽和領域で動作するようになり、ノードN4は電圧VHのHレベルになる。
よって単位レベル変換回路LS1のプッシュプル回路110では、トランジスタQ9がオフ、トランジスタQ8がオンになり、ノードN5はHレベルになる。このHレベル電圧は、トランジスタQ8のしきい値電圧分の損失を伴うため、VH−Vthnである。また上記入力段回路100の動作から分かるように、ノードN4のレベル変化は、入力信号INS1のレベル変化に追随して生じる。よってノードN5の充電の際には、トランジスタQ9がオフした後でトランジスタQ8がオンする。従ってその際にトランジスタQ8,Q9を流れる貫通電流は殆ど生じない。
一方、単位レベル変換回路LS2の入力段回路100では、トランジスタQ4がオンになり、ノードN4が放電されてその電圧レベルが低下する。応じてノードN3の電圧レベルも下降するがトランジスタQ7を流れる電流により電圧VH−Vthnに保持され、トランジスタQ1はオン状態を維持する。しかしトランジスタQ4はトランジスタQ1よりも充分大きな駆動能力(充分低いオン抵抗)を有しているため、ノードN4はLレベル(≒VSS)になる(入力段回路100の出力オフセット電圧はほぼ0である)。
よって単位レベル変換回路LS2のプッシュプル回路110では、トランジスタQ9がオン、トランジスタQ8がオフになり、ノードN5は放電されてLレベルになる。またノードN4のレベル変化は入力信号INS1のレベル変化に追随して生じるので、このノードN5の放電の際には、トランジスタQ9がオンした後でトランジスタQ8がオフになる。よってトランジスタQ9がオンしてからトランジスタQ8がオフになるまでの間に貫通電流が生じることとなるが、それはごく短い期間であるのでその電流量は僅かである。また、入力段回路100の出力オフセット電圧がほぼ0であるので、トランジスタQ8は確実にオフになっており、定常状態での貫通電流は生じない。
このように時刻t1においては、単位レベル変換回路LS1では、入力段回路100の出力信号(ノードN4の信号)は略電圧VSSのLレベルになり、それに追随してプッシュプル回路110の出力信号(ノードN5の信号)が電圧VSSのLレベルとなる。また、単位レベル変換回路LS2では、入力段回路100の出力信号(ノードN4の信号)は電圧VHのHレベル(VH)になり、それに追随してプッシュプル回路110の出力信号(ノードN5の信号)が電圧VH−VthnのHレベルとなる。
以上を踏まえ、時刻t1における単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれの出力段回路130の動作を説明する。
まずは単位レベル変換回路LS1の出力段回路130の動作から説明する。当該出力段回路130では、まず当該単位レベル変換回路LS1(自己回路)のN4がHレベルになったときにトランジスタQ17がオンし、それとほぼ同時に単位レベル変換回路LS2(他方回路)のノードN4がLレベルになったときにトランジスタQ13がオフになる。そして他方回路のノードN5がLレベルになるとトランジスタQ18,Q20もオフになる。
この時点では最終出力信号/OUTS1はまだLレベル(VSS)であるので、トランジスタQ14はオフ状態にある。よってトランジスタQ13がオフになっても、ノードN8はフローティング状態で電圧VH−VthnのHレベルに維持される。
またトランジスタQ17がオン、トランジスタQ18がオフになったことでノードN10が充電され、その電圧レベルが上昇する。ノードN10は容量素子C5を介してノードN9と容量結合しているが、この時点ではノードN8はHレベルに維持されておりトランジスタQ16はオン状態であるので、ノードN10の電圧レベルが上昇してもノードN9はほぼ電圧VSSでLレベルに維持される。またノードN10の充電が進み、ノードN10,N9間の電圧がトランジスタQ15のしきい値電圧を超えるとトランジスタQ15がオンになるが、トランジスタQ15はトランジスタQ16よりもオン抵抗が充分大きく設定されており、このときもノードN9はほぼ電圧VSSでLレベルに維持される。その結果ノードN10は電圧VH−VthnのHレベルになる。
ノードN10がHレベル(VH−Vthn)になるとトランジスタQ19がオンになり、出力端子OUTは充電され、その電圧レベルが上昇する。上記の動作から分かるようにこの出力端子OUTの充電の際、トランジスタQ19がオンするより先にトランジスタQ20がオフになるので、トランジスタQ19,Q20を経路とする貫通電流の発生は防止されている。
出力端子OUTの充電が進むと、トランジスタQ14がオンになり、ノードN8が放電されてLレベル(VSS)になる。応じて、トランジスタQ16がオフになるので、ノードN9はトランジスタQ15を通して充電され、電圧レベルが上昇する。このノードN9の電圧レベルの上昇は、容量素子C5を介してノードN10に伝達され、ノードN10の電圧レベルも上昇する。ノードN10の電圧レベルが上昇するとトランジスタQ17はオフ状態になり、ノードN10はフローティング状態になるので、ノードN10の電圧レベルは更に上昇し、電圧VHよりも高い電圧VH+ΔVAになる(ΔVAは、ノードN9の電圧変化量および、ノードN10に付随する寄生容量と容量素子C5の容量値との比によって決まる)。
このようにトランジスタQ13〜Q16から成る回路は、トランジスタQ19がオンしして最終出力信号/OUTS1が活性化するときに、ノードN9の電圧レベルを上昇させることで、ノードN10の電圧レベルを上昇させる。これによりトランジスタQ19のゲート・ソース間電圧が高められる。つまりトランジスタQ13〜Q16から成る回路は、最終出力信号/OUTS1に基づいて動作し、最終出力信号/OUTS1の活性化時にトランジスタQ19のゲート・ソース間電圧を高める昇圧回路を構成している。
このように出力段回路130では、トランジスタQ19が出力端子OUTを充電することで当該出力端子OUTの電圧レベルが上昇すると、その電圧上昇がノードN10(トランジスタQ19のゲート)にフィードバックされるブートストラップ効果が得られる。それによりノードN10の電圧レベルが上昇することで、トランジスタQ19は電流駆動力が高くなり、且つ非飽和動作する。従って、出力端子OUTは高速に充電されて電圧VHのHレベルになる。
なお、このときトランジスタQ15も非飽和動作するため、ノードN9の電圧レベルはVHになる。上記のように、トランジスタQ15はノードN10が充電されたときにオンになり、トランジスタQ16はその後にノードN8が放電されることでオフになる。つまりトランジスタQ16がオフするよりも先に、トランジスタQ15がオンになるので、その間はトランジスタQ15,Q16を通して貫通電流が流れる。但し、トランジスタQ15,Q16の電流駆動力を充分に小さくすれば、消費電流の増大は防止できる。
またその貫通電流が生じる期間は、トランジスタQ15と共にトランジスタQ19がオンしてから出力端子OUTが充電されてHレベルになるまでの短い期間に過ぎない。トランジスタQ19の電流駆動力が大きいほどその期間を短くでき、当該貫通電流による消費電流を小さくできる。特に出力端子OUTにかかる負荷容量が大きい場合には、出力端子OUTの充電に時間がかかるのを防止するために、トランジスタQ19の電流駆動力を充分大きく設定しておくことが望ましい。出力段回路130はレシオレス型の回路であり、定常状態では貫通電流が生じないので、トランジスタQ19の電流駆動力を大きく設定しても定常状態における消費電力の増大は伴わない。
次に、時刻t1における単位レベル変換回路LS2の出力段回路130の動作を説明する。当該出力段回路130では、単位レベル変換回路LS2(自己回路)のノードN4がLレベルになったときにトランジスタQ17がオフし、それとほぼ同時に単位レベル変換回路LS1(他方回路)のノードN4がHレベルになったときにトランジスタQ13がオンになる。そして他方回路のノードN5がHレベルになるとトランジスタQ18,Q20がオンになる。
従って、ノードN10および出力端子OUTが放電され、それぞれLレベルになる。ノードN10がLレベルになるとトランジスタQ19,Q15はオフになるので、最終出力信号/OUTS2は電圧VSSのLレベルになる。
出力端子OUTがLレベルになりトランジスタQ14がオフになると、トランジスタQ13が既にオンしているので、ノードN8が充電されて電圧VH−VthnのHレベルになる。応じてトランジスタQ16がオンし、ノードN9は電圧VSSのLレベルになる。
このノードN8の充電の際には、トランジスタQ14がオフより先にトランジスタQ13がオンしているため、トランジスタQ13がオンしてトランジスタQ14がオフするまでの間は、トランジスタQ13,Q14を通して貫通電流が流れる。しかし最終出力信号/OUTS2は高速で放電されてLレベル(VSS)になるため、その期間はごく短期間でありその貫通電流の電流量は僅かである。またノードN9の放電に際しては、トランジスタQ16がオンするより先にトランジスタQ15がオフになるので、トランジスタQ15,Q16を通しての貫通電流は生じない。
以上の動作により、時刻t1後の単位レベル変換回路LS1は、時刻t0における単位レベル変換回路LS2の定常状態(初期状態)と同じ状態になり、単位レベル変換回路LS2は、時刻t0における単位レベル変換回路LS1の定常状態(初期状態)と同じ状態になる(つまり単位レベル変換回路LS1,LS2の状態が時刻t0のときから互いに入れ替わる)。この状態は、次に入力信号INS1,INS2のレベルが変化するまで継続される。先に述べたように当該レベル変換回路では、定常状態での貫通電流の経路は、Hレベルの入力信号が供給されている側の単位レベル変換回路のトランジスタQ1,Q4を通した経路のみであるので、時刻t1後の定常状態では単位レベル変換回路LS2のトランジスタQ1,Q4を通した経路のみで貫通電流が生じる。
そして時刻t2で、入力信号INS1がHレベル(VDD)、入力信号INS2がLレベル(VSS)にそれぞれ変化する。このとき単位レベル変換回路LS1では、時刻t1における単位レベル変換回路LS2と同じ動作が行われ、最終出力信号/OUTS1は電圧VSSのLレベルに変化する。また単位レベル変換回路LS2では、時刻t1における単位レベル変換回路LS1と同じ動作が行われ、最終出力信号/OUTS2は電圧VSSのLレベルに変化する。つまり時刻t1のときと単位レベル変換回路LS1,LS2の動作が入れ替わるだけであるので、その詳細な説明は省略する。
その結果、時刻t2後の単位レベル変換回路LS1,LS2は、それぞれ時刻t0における定常状態(初期状態)に戻る。よって時刻t2後の定常状態では単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ1,Q4を通した経路のみで貫通電流が生じることになる。
その後は、入力信号INS1,INS2のレベルが変化する毎に、上記の時刻t1および時刻t2の動作が繰り返し行われる。
以上のように、本実施の形態に係るレベル変換回路では、単位レベル変換回路LS1,LS2はそれぞれレシオ回路(入力段回路100)を1つずつ備える。そして互いに相補な入力信号INS1,INS2のレベル変換を行うとき、その2つのレシオ回路において、交互に貫通電流が生じるのみである。つまり、互いに相補な2つの入力信号INS1,INS2をレベル変換するために、実質的に1つのレシオ回路を用いるのと同程度の電流が消費されることとなる。
これに対し、特許文献1の図13のレベル変換回路の場合、1つの信号のレベル変換を行う回路に2つのレシオ回路(入力段100およびブートストラップ駆動段120)が用いられている。2つの信号のレベル変換には、当該レベル変換回路が2つ必要であるため、合計4つのレシオ回路が用いられる。互いに相補な2つの信号をレベル変換する場合には、2つのレベル変換回路が相補的に動作するため、実質的に2つのレシオ回路を用いるのと同程度の電流が消費される。
つまり本実施の形態に係るレベル変換回路では、互いに相補な2つの信号のレベル変換を、特許文献1の図13のレベル変換回路の約半分の消費電力により実現することができる。また出力段回路130としてレシオレスブートストラップ型回路が用いられているため、高速且つ高駆動能力の出力信号を得ることができる。従って、高い駆動能力が必要とされる2相のクロック信号のレベル変換に適している。
そのようにクロック信号に駆動能力の高い駆動能力が求められるケースの一例としては、例えば表示装置のゲートドライバを構成するシフトレジスタを動作させるクロック信号が挙げられる。特に、画素のトランジスタと同一の導電型のトランジスタのみを用いて構成したゲートドライバ(例えば特開2004−103226号公報の図7に開示されているシフトレジスタ)は、製造工程の簡略化を図ることができる。本実施の形態のレベル変換回路は単一導電型のトランジスタのみを用いて構成されているため、そのような画素およびゲートドライバとの組み合わせ(即ち、画素、ゲートドライバおよびレベル変換回路を全て同一導電型のトランジスタを用いて構成する)によって、製造工程数の増大を伴うことなく、さらに低消費電力化の効果を得ることができる。
なお、以上の説明では、入力信号INS1,INS2のレベル変化が同時に起こることを前提に説明を行ったが、実際の使用条件においてはその生成回路を構成する素子の特性ばらつきなどにより、入力信号INS1,INS2のレベル変化を正確に同時することは困難である。
例えば図2の時刻t1において、入力信号INS2の立ち上がりが、入力信号INS1の立ち下がりから遅れた場合、と単位レベル変換回路LS1の出力段回路130のトランジスタQ18,Q20がオフになるのが遅れる。そうなるとノードN10の充電が充分に行われず、トランジスタQ19のゲート電圧の低下を招き、最終出力信号/OUTS1の立ち上がり速度の低下や、そのHレベル電圧の低下といった問題が懸念される。
逆に、入力信号INS2の立ち上がりが、入力信号INS1の立ち下がりよりも先立った場合には、単位レベル変換回路LS1において上記の問題は生じない。単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ18,Q20が早くオフになっても、ノードN10および出力端子OUTの充電動作に影響しないためである。
従って実使用時には、入力信号INS1,INS2のレベル変化のタイミングの精度を考慮して、入力信号INS1,INS2の各々の立ち上がりタイミングが他方の立ち下がりタイミングよりも一定時間だけ先行するように、マージンをとって設定することが好ましい。
但し、入力信号INS1,INS2の活性期間(Hレベルになる期間)に、重複期間が生じるため、その重複期間においては単位レベル変換回路LS1,LS2両方の入力段回路100で同時に貫通電流が生じることとなる。従って、その重複期間での消費電流が増大するため、それに応じた電源容量が必要になることに留意しなければならない。
[第1の変更例]
図3は、実施の形態1の第1の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、出力段回路130のトランジスタQ13のゲートを他方回路の出力端子OUTに接続させたものである。
図3は、実施の形態1の第1の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、出力段回路130のトランジスタQ13のゲートを他方回路の出力端子OUTに接続させたものである。
トランジスタQ13のゲートの接続先が、他方回路のノードN4から出力端子OUTに変更されたことになるが、図2からも分かるようにノードN4と出力端子OUTは同じようにレベル変化する。従って本変更例に係るレベル変換回路においても、図1の回路と同様の動作が可能であり、同様の効果が得られる。
さらに、ノードN4の寄生容量が小さくなるので、入力段回路100の出力信号(ノードN4の電圧レベル)の立ち上がりを高速化でき、それにより出力段回路130の最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がりが高速化される。
なお、出力端子OUTの寄生容量がトランジスタQ13のゲート容量分だけ増加することになるが、出力段回路130は駆動能力が高く、またその増加量は出力ノードOUTに接続される負荷容量に比べると無視できるほど小さいので、最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がり速度への影響は無い。
[第2の変更例]
図4は、実施の形態1の第2の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、出力段回路130のトランジスタQ13のゲートを他方回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続させたものである。
図4は、実施の形態1の第2の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、出力段回路130のトランジスタQ13のゲートを他方回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続させたものである。
図2からも分かるようにノードN4とノードN5は同じようにレベル変化する。従って本変更例に係るレベル変換回路においても、図1の回路と同様の動作が可能であり、同様の効果が得られる。
さらに、ノードN4の寄生容量が小さくなるので、入力段回路100の出力信号(ノードN4の電圧レベル)の立ち上がりを高速化でき、それにより出力段回路130の最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がりが高速化される。
なお、ノードN5の寄生容量がトランジスタQ13のゲート容量分だけ増加することになるが、トランジスタQ13は大きな駆動能力を要求されないためノードN5に接続する他のトランジスタQ18,Q20に比べてゲート幅(即ちゲート容量)は小さく設定されており、最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がり速度への影響は無い。またプッシュプル回路110は駆動能力が高いことからも(入力段回路100と異なり貫通電流が生じないので消費電力の増大を伴わずに駆動能力を大きく設定できる)、ノードN5の寄生容量の増加はそれほど問題とはならない。
但し、ノードN5のHレベル電圧はトランジスタQ8のしきい値電圧分の損失を伴うので、ノードN4のHレベル電圧よりもVthnだけ低くなる。よってノードN8を充電したときの電圧レベルもVthだけ低下し、トランジスタQ16のオン抵抗の上昇を伴うことが懸念される。従って本変更例においては、トランジスタQ16のオン抵抗値を低く維持するために、トランジスタQ16のゲート幅を広くすることが望ましい。
[第3の変更例]
図5は、実施の形態1の第3の変更例に係るレベル変換回路である。当該レベル変換回路は、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、N型のトランジスタQ21〜Q24で構成される遅延回路を出力段回路130に設けたものである。本変更例ではこの遅延回路が、最終出力信号(/OUTS1,/OUTS2)の活性化時にトランジスタQ19のゲート・ソース間電圧を高める昇圧回路として機能する。
図5は、実施の形態1の第3の変更例に係るレベル変換回路である。当該レベル変換回路は、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、N型のトランジスタQ21〜Q24で構成される遅延回路を出力段回路130に設けたものである。本変更例ではこの遅延回路が、最終出力信号(/OUTS1,/OUTS2)の活性化時にトランジスタQ19のゲート・ソース間電圧を高める昇圧回路として機能する。
図1の回路では、トランジスタQ19による出力端子OUTの充電(最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上げ)の際、ノードN10(トランジスタQ19のゲート)がHレベル(VH−Vthn)になった後に、遅れてノードN9の電圧レベルが上昇する。このとき容量素子C5を介するノードN9,N10間の結合により、ノードN10のHレベル電圧が昇圧されて充分に高い電圧レベル(図2に示す電圧VH+ΔVA)になり、トランジスタQ19が非飽和領域で動作するようになる。つまりノードN10の電圧レベルの立ち上がりとノードN9の電圧レベルの立ち上がりとの間に、ある程度の遅延時間を確保する必要がある。
図1の回路では、その遅延時間を確保するために、最終出力信号/OUTS1,/OUTS2がノードN10(トランジスタQ19のゲート)の電圧レベルに遅れて立ち上がることを利用している。即ち図1の回路では、ノードN10の電圧レベルがHレベルになった後に立ち上がる最終出力信号/OUTS1,/OUTS2を用いてトランジスタQ14をオンにし、それによりトランジスタQ16をオフにしてノードN9の電圧レベルを立ち上げている。
それに対し図5の回路では、上記遅延時間をトランジスタQ21〜Q24で構成される遅延回路によって作る。トランジスタQ21,Q22はハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列接続されている。その間の接続ノードをノードN11とすると、ハイ側電源線102とノードN11との間のトランジスタQ21のゲートは自己回路のノードN4に接続され、ノードN11とロー側電源線104との間のトランジスタQ22のゲートは他方回路のノードN5に接続される。
同様にトランジスタQ23,Q24もハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列接続されている。その間の接続ノードをノードN12とすると、ハイ側電源線102とノードN11との間のトランジスタQ23のゲートはノードN11に接続され、ノードN11とロー側電源線104との間のトランジスタQ24のゲートは他方回路のノードN5に接続される。そして本変更例では、トランジスタQ14のゲートを当該遅延回路の出力ノードであるノードN12に接続させる。
遅延回路では、自己回路の入力段回路100の出力信号(ノードN4の電圧レベル)が立ち上がると(このときトランジスタQ22,Q24は他方回路のプッシュプル回路110の出力信号によりオフ状態にされている)、トランジスタQ21がオンしてノードN11がHレベルになり、それに応じてトランジスタQ23がオンしてノードN12がHレベルになる。つまり自己回路の入力段回路100の出力信号がHレベルになってからノードN11,N12の充電に要する時間だけ遅れたタイミングで、ノードN12がHレベルになる。ノードN12がHレベルになるとトランジスタQ14がオンになり、それによりトランジスタQ16がオフしてノードN9の電圧レベルが立ち上がる。
このように遅延回路は、自己回路の入力段回路100の出力信号の立ち上がりから一定の時間だけ遅らせてトランジスタQ14をオンにする。その結果、図1の回路と同様に、出力段回路130のノードN10の電圧レベルの立ち上がりとノードN9の電圧レベルの立ち上がりとの間に、ある程度の遅延時間が確保される。従って、図5のレベル変換回路も図1の回路と同様に動作し、同様の効果を得ることができる。
また図1の回路では、出力端子OUTに接続される負荷容量の影響を受けて、最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がり速度が変化する場合があり、それによってノードN10の電圧レベルの立ち上がりとノードN9の電圧レベルの立ち上がりとの間の遅延時間が変動することが考えられる。しかし図5の回路では、その遅延時間は負荷容量の影響を受けることなく、遅延回路により一定に保たれる。従って、負荷容量の状態によって最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がり速度に変動が生じて動作が不安定になることが防止される。つまり安定して高速な動作が可能になる。
[第4の変更例]
図6は、実施の形態1の第4の変更例に係るレベル変換回路である。当該レベル変換回路は、図5(第3の変更例)の回路に対し、トランジスタQ21,Q22を削除し、Q23のゲートを自己回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続させたものである。
図6は、実施の形態1の第4の変更例に係るレベル変換回路である。当該レベル変換回路は、図5(第3の変更例)の回路に対し、トランジスタQ21,Q22を削除し、Q23のゲートを自己回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続させたものである。
図5の回路では、入力段回路100の出力信号の立ち上がりからトランジスタQ14がオンするまでの遅延時間を、ノードN11,N12の充電時間によって確保していたが、図6の回路ではその遅延時間がノードN5,N12の充電に要する時間によって確保される。よって図5の回路と図6の回路とではほぼ同じだけの遅延時間が確保される。
さらに、ノードN4の寄生容量が小さくなるので、入力段回路100の出力信号(ノードN4の電圧レベル)の立ち上がりを高速化でき、それにより出力段回路130の最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がりが高速化される。また図5の回路と比較して使用されるトランジスタの数が減るので、回路の占有面積を小さくすることができる。
なおノードN5の寄生容量がトランジスタQ23のゲート容量分だけ増加することになるが、トランジスタQ23は大きな駆動能力を要求されないためノードN5に接続する他のトランジスタ(他方回路のトランジスタQ18,Q20)に比べてゲート幅(即ちゲート容量)は小さく設定されており、最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がり速度への影響は無い。またプッシュプル回路110は駆動能力が高いことからも、ノードN5の寄生容量の増加はそれほど問題とはならない。
駆動能力の低い入力段回路100の出力ノードN4の替わりに駆動能力の高いプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続することにより、入力段回路100の出力ノードN4の負荷容量が減少し、入力段回路100の出力信号の立ち上がりを高速化でき、出力段回路130の最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がりを高速化できる。また回路の占有面積を小さくすることができる。
[第5の変更例]
図7は、実施の形態1の第5の変更例に係るレベル変換回路である。当該レベル変換回路は、図5の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、出力段回路130のトランジスタQ15のゲートとトランジスタQ19のゲートとを分離したものである。つまりトランジスタQ19のゲート(ノードN10)を充放電するトランジスタQ17,Q18とは別に、トランジスタQ15のゲート(ノードN10D)を充放電するN型のトランジスタQ17D,Q18Dを設けたものである。またノードN9,N10間の容量素子C5とは別に、ノードN9とノードN10Dとの間に容量素子C5Dが接続される。
図7は、実施の形態1の第5の変更例に係るレベル変換回路である。当該レベル変換回路は、図5の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、出力段回路130のトランジスタQ15のゲートとトランジスタQ19のゲートとを分離したものである。つまりトランジスタQ19のゲート(ノードN10)を充放電するトランジスタQ17,Q18とは別に、トランジスタQ15のゲート(ノードN10D)を充放電するN型のトランジスタQ17D,Q18Dを設けたものである。またノードN9,N10間の容量素子C5とは別に、ノードN9とノードN10Dとの間に容量素子C5Dが接続される。
トランジスタQ17D,Q18Dは、ハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列に接続される。トランジスタQ17DのゲートはトランジスタQ17のゲートと共に自己回路のノードN4に接続され、トランジスタQ18DのゲートはトランジスタQ18のゲートと共に他方回路のノードN5に接続される。つまりトランジスタQ17D,Q18Dは、それぞれトランジスタQ17,Q18と同様に動作する。従って図7の回路では、図5の回路とはトランジスタQ15のゲート電圧を制御する回路が異なるものの、基本的にその動作は同じである。
図7の回路では、図5の回路に比較して、トランジスタQ19のゲート容量の分だけトランジスタQ15のゲートノードの寄生容量が小さくなる。そのためノードN9の充電時には、容量素子C5Dを介する結合により、トランジスタQ15のゲート電圧がより高く上昇される。よってそのときのトランジスタQ15のオン抵抗はより小さくなり、ノードN9の電圧レベルの立ち上がりが高速化される。その結果、容量素子C5を介する結合によるノードN10(トランジスタQ19のゲート)の昇圧速度が速くなり、出力信号OUTSの立ち上がり速度が高速化されるという効果が得られる。但し、図5の回路よりも占有面積が増大することに留意すべきである。
[第6の変更例]
図8は、実施の形態1の第6の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれの入力段回路100に、N型のトランジスタQ1D,Q4Dから成るレシオ回路を設けたものである。
図8は、実施の形態1の第6の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれの入力段回路100に、N型のトランジスタQ1D,Q4Dから成るレシオ回路を設けたものである。
トランジスタQ1D,Q4Dは、ハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列に接続している。本変更例においては、当該トランジスタQ1D,Q4D間の接続ノードN4Dが入力段回路100の出力ノードとなる。即ち本変更例では、ノードN4の信号の代わりに、ノードN4Dの信号がプッシュプル回路110および出力段回路130へと入力される。
ノードN4Dとハイ側電源線102との間に接続するトランジスタQ1Dのゲートは、ブートストラップ型負荷回路(トランジスタQ1,Q7および容量素子C3から成る回路)のノードN3に接続される。ノードN4Dとロー側電源線104との間に接続するトランジスタQ4Dのゲートは入力端子INに接続される。つまりトランジスタQ1のゲートはトランジスタQ1Dのゲートに接続し、トランジスタQ1のゲートはトランジスタQ1Dのゲートに接続している。
従って、基本的にトランジスタQ1D,Q4Dは、それぞれトランジスタQ1,Q4と同じ動作を行うことになる。そのためノードN4,N4Dの電圧レベルはほぼ同様に変化するので、図8の回路は、図1の回路と同じ動作を行うことができる。
但し図8の回路では、ノードN4の信号は専ら容量素子C3を介してノードN3を昇圧するブートストラップ動作を行うのみであり、プッシュプル回路110および出力段回路130の駆動はノードN4Dの信号によって行われる。つまり図1の回路の場合よりもノードN4の寄生容量が、プッシュプル回路110および出力段回路130の入力容量分だけ小さくなり、当該ノードN4の電圧レベルの立ち上がり速度が速くなるので、ノードN3の電圧レベルの上昇速度がより高速になる。
その結果、トランジスタQ1DによるノードN4Dの充電速度は、図1の回路におけるトランジスタQ1によるノードN4の充電速度よりも速くなる。つまり本変更例によれば入力段回路100の出力信号の立ち上がり速度を高速化でき、それによって最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち上がり速度の向上に寄与できる。
またノードN4Dの電圧レベルの立ち下げ時においても、ノードN4Dに接続する負荷(プッシュプル回路110および出力段回路130の入力容量)の影響を受けることなく、高速にノードN4の電圧レベルが低下するので、ノードN3を素早くプリチャージ電圧VH−Vthnに引き下げることができる。つまりトランジスタQ1Dの電流駆動力を素早く小さくすることができるので、最終出力信号/OUTSの立ち下がり速度も速くなる。
なお、図8の回路の入力段回路100は、それぞれトランジスタQ1,Q4から成るレシオ回路と、トランジスタQ1D,Q4Dから成るレシオ回路を有しているため、貫通電流の経路が2つ形成される。しかし上記のようにノードN4の寄生容量は小さいのでトランジスタQ1,Q2に必要とされる駆動能力は、トランジスタQ1D,Q4Dの数分の一程度でよい。よって例えば、図8の回路のトランジスタQ1,Q4を流れる電流とトランジスタQ1D,Q4Dを流れる電流との和が、図1の回路におけるトランジスタQ1,Q4を流れる電流と同じ程度になるように、トランジスタQ1,Q4,Q1D,Q4Dの駆動能力(あるいはオン抵抗)を設定することも容易に行える。
そのように設定した場合でも、図8の回路ではノードN3の電圧レベルの上昇速度が速いため、ノードN4の充電速度を図1の場合よりも高速化することができる。つまり図8の回路では、貫通電流の経路の数は増加するものの、トランジスタQ1,Q4,Q1D,Q4Dの駆動能力を適切に設定すれば、図1の回路と同等の消費電力で、それよりも高速な動作が可能なレベル変換回路を実現することができる。
図8においては、図1の回路に対する変更例を示したが、図8の入力段回路100は、図3〜図7の回路の入力段回路100としても適用することが可能である。
[第7の変更例]
図9は、実施の形態1の第7の変更例に係るレベル変換回路である。当該レベル変換回路は、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、入力段回路100のトランジスタQ1とハイ側電源線102との間にダイオード接続したN型のトランジスタQ25を介在させると共に、そのトランジスタQ1,Q25間の接続ノードと自己回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5との間に容量素子C6を接続させたものである。
図9は、実施の形態1の第7の変更例に係るレベル変換回路である。当該レベル変換回路は、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、入力段回路100のトランジスタQ1とハイ側電源線102との間にダイオード接続したN型のトランジスタQ25を介在させると共に、そのトランジスタQ1,Q25間の接続ノードと自己回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5との間に容量素子C6を接続させたものである。
図9の如く、トランジスタQ25は、トランジスタQ1のドレインとハイ側電源線102との間に接続され、そのゲートはハイ側電源線102に接続される。トランジスタQ1,Q25間の接続ノードをノードN11とすると、当該トランジスタQ25は、ハイ側電源線102からノードN11への向きを順方向とする一方向性電流駆動素子として機能する。また容量素子C5は、ノードN11とプッシュプル回路110の出力ノードN5との結合容量として機能する。
例えば単位レベル変換回路LS1において、入力信号INS1がHレベル(VDD)のときは、トランジスタQ4がオンになるので、トランジスタQ25,Q1,Q4を通してハイ側電源線102からロー側電源線104への電流が流れる。トランジスタQ1はトランジスタQ4よりもオン抵抗が充分大きく設定され、トランジスタQ25はトランジスタQ1よりオン抵抗が充分小さく設定される。よってこのときノードN11は略電圧VH−Vthnとなり、ノードN4は図1の場合と同様に略電圧VSSのLレベルとなる。従ってプッシュプル回路110のトランジスタQ8はオフ状態、トランジスタQ9はオン状態であり、ノードN5は電圧VSSのLレベルとなる。
その後入力信号INS1が電圧VSSになると、トランジスタQ4,Q9がオフになる。よって入力段回路100のノードN4の電圧レベルが上昇する。応じてプッシュプル回路110のトランジスタQ8がオンになり、ノードN5のレベルが上昇する。すると容量素子C6を介する結合により、ノードN11の電圧レベルが上昇する。ノードN11のレベルが上昇するとトランジスタQ25はオフになるのでノードN11の電圧はさらに上昇する。応じてノードN11の電荷がトランジスタQ1を通してノードN4に流れ込み、ノードN4の電圧レベルが上昇し、トランジスタQ8のゲート・ソース間電圧が高められる。つまりノードN5の電圧レベルの上昇が、トランジスタQ8のゲート電圧へと正帰還(フィードバック)される。
この正帰還動作により、ノードN4の電圧が充分高い電圧レベルになると、トランジスタQ8は非飽和動作するようになる。その結果、ノードN5の電圧レベルはトランジスタQ8のしきい値電圧分の損失を伴わずに電圧VHにまで上昇する。つまりプッシュプル回路110の出力信号のHレベル電圧を、図1の場合よりもトランジスタQ8のしきい値電圧分だけ高くできるという効果が得られる。
以上は単位レベル変換回路LS1の動作を例に挙げて説明したが、単位レベル変換回路LS2においても同様の効果が得られることは明らかである。
本実施の形態では、プッシュプル回路110のHレベル電圧がトランジスタQ8のしきい値電圧分の損失を伴わないので、図9に示すようにプッシュプル回路110の出力信号を自己回路の出力段回路130のトランジスタQ17のゲートに入力させることができる。つまり出力段回路130は(自己回路および他方回路の)プッシュプル回路110の出力信号のみで駆動させることができる。その結果、出力段回路130へ入力させる信号配線数を少なくでき、回路の占有面積を小さくできる。
また他方回路のプッシュプル回路110の出力信号のHレベル電圧も高くなるため、トランジスタQ20をオンさせるときのゲート電圧も高くなる。よって出力端子OUTの放電の際のトランジスタQ20のオン抵抗を小さくでき、最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の立ち下り速度が向上されるという効果も得られる。
図9においては、図1の回路に対する変更例を示したが、図9の入力段回路100は、図3〜図8の回路の入力段回路100としても適用することが可能である。但し、図8の回路に適用する場合は、図36に示すように、トランジスタQ25をハイ側電源線102とトランジスタQ1,Q1D双方のドレインとの間に接続させると共に、トランジスタQ1,Q1Dのドレインが接続するノードと、ノードN5との間に容量素子C6を接続させればよい。
[第8の変更例]
図10は、実施の形態1の第8の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれの出力段回路130の構成を変えたものである。
図10は、実施の形態1の第8の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれの出力段回路130の構成を変えたものである。
本変更例の出力段回路130は、プッシュプル出力回路210と昇圧プッシュプル回路220とから成っている。図10の如く、プッシュプル出力回路210は、N型のトランジスタQ45〜Q48および容量素子C42により構成され、昇圧プッシュプル回路220はN型のトランジスタQ41,Q42,Q43により構成される。本変更例の出力段回路130を備える単位レベル変換回路LS1,LS2からは、それぞれ入力信号INS1,INS2と同じ論理レベルをとる(同相の)の最終出力信号OUTS1,OUTS2が出力される。
プッシュプル出力回路210において、トランジスタQ45,Q46はハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列に接続しており、その間の接続ノードが出力端子OUTとなる。即ちトランジスタQ45はハイ側電源線102と出力端子OUTとの間に接続し、トランジスタQ46は出力端子OUTとロー側電源線104との間に接続する。またトランジスタQ47,Q48もハイ側電源線102とロー側電源線104との間に直列に接続しており、ハイ側電源線102側のトランジスタQ47のゲートは、トランジスタQ45のゲートに接続され、ロー側電源線104側のトランジスタQ48のゲートは、トランジスタQ46のゲートに接続される。トランジスタQ46,Q48のゲートは、他方回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続される。
ここで、トランジスタQ45,Q47のゲートが接続するノードをノードN41、トランジスタQ47,Q48間の接続ノードをノードN44と定義する。
昇圧プッシュプル回路220はノードN41を出力ノードとしている。当該昇圧プッシュプル回路220において、トランジスタQ42はノードN41とロー側電源線104との間に接続し、そのゲートは他方回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続される。トランジスタQ41は、ノードN41と所定のノードN43との間に接続され、そのゲートは自己回路の入力段回路100の出力ノードN4に接続される。またトランジスタQ44は上記ノードN43と昇圧プッシュプル回路220との間に接続し、そのゲートは昇圧プッシュプル回路220に接続される。つまりトランジスタQ44はハイ側電源線102からノードN43への向きを順方向とする一方向性電流駆動素子として機能するようにダイオード接続されている。
また容量素子C42は、プッシュプル出力回路210のノードN44と昇圧プッシュプル回路220のノードN43との間に接続される。
プッシュプル出力回路210において、トランジスタQ45,Q46とトランジスタQ47,Q48は、それぞれがプッシュプル回路を構成している。しかもトランジスタQ45,Q47のゲートが互いに接続し、トランジスタQ46,Q48のゲートも互いに接続しているので、それら2つのプッシュプル回路は同様に動作制御される。つまりノードN44と出力端子OUTの電圧レベルは同様に変化することになる。
但し、トランジスタQ45,Q46から成るプッシュプル回路は出力端子OUTに接続される負荷の駆動を行うものであり、トランジスタQ47,Q48から成るプッシュプル回路はノードN44の電圧レベルを変化させることで、容量素子C42を介して当該ノードN44と結合したノードN43の電圧レベルを変化させるものである。
昇圧プッシュプル回路220においては、トランジスタQ41,Q42がプッシュプル回路として機能し、ノードN43はそのハイ側電源ノードとなる。つまりダイオード接続されたトランジスタQ44は、ノードN43にトランジスタQ41,Q42がプッシュプル回路のハイ側電源電圧を供給するように機能する。また昇圧プッシュプル回路220の出力ノードは、トランジスタQ41,Q42がプッシュプル回路の出力ノードとなるノードN44である。
単位レベル変換回路LS1,LS2のそれぞれにおいて、プッシュプル出力回路210は昇圧プッシュプル回路220により駆動され、昇圧プッシュプル回路220は入力段回路100により駆動される関係にある。昇圧プッシュプル回路220は、入力段回路100よりも駆動能力が大きく設定される。即ち、トランジスタQ41の駆動能力はトランジスタQ1の駆動能力よりも大きく設定される。
つまりトランジスタQ41,Q42はノードN1の信号の駆動能力を高めるためのバッファ回路として機能する。またトランジスタQ41,Q42は互いに相補的に(交互に)オンになるレシオレス回路を構成しているため、トランジスタQ41,Q42には直流的な電流が流れない。よってトランジスタQ41の駆動能力を大きく設定しても消費電流の増大は殆どない。
なお、プッシュプル出力回路210においては、トランジスタQ45,Q46から成るプッシュプル回路は、出力端子OUTに接続される負荷容量を駆動するため、昇圧プッシュプル回路220よりも駆動能力が大きく設定される。即ち、トランジスタトランジスタQ45の駆動能力はトランジスタQ41の駆動能力より大きく設定される。
以下、本変更例に係るレベル変換回路の動作を説明する。単位レベル変換回路LS1,LS2の動作は、互いに相補的ではあるが基本的に同じであるため、ここでは主に単位レベル変換回路LS1の出力段回路130に関する動作を説明する。なお、単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれの入力段回路100およびプッシュプル回路110の動作は図9の回路の場合と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
例えば入力信号INS1がHレベル(VDD)、入力信号INS2がLレベル(VSS)のとき、単位レベル変換回路LS1では、入力段回路100の出力信号(ノードN4の信号)はのLレベル(略VSS)であり、プッシュプル回路110の出力信号(ノードN5の信号)はLレベル(VSS)である。また単位レベル変換回路LS2では、入力段回路100の出力信号(ノードN4の信号)はHレベルであり(第7の変更例で説明したように、このときノードN4は充分に高い電圧レベルに昇圧されている)、プッシュプル回路110の出力信号(ノードN5の信号)はHレベル(VH)である。
従って単位レベル変換回路LS1の昇圧プッシュプル回路220は、トランジスタQ41がオフ、トランジスタQ42がオンの状態であるので、その出力ノードN41はLレベル(VSS)である。よってプッシュプル出力回路210のトランジスタQ45,Q47はオフ状態であり、また単位レベル変換回路LS2のノードN5がHレベルなのでトランジスタQ46,Q48はオン状態であるため、ノードN44および出力端子OUTはLレベル(VSS)である。
この状態から、入力信号INS1がLレベル(VSS)、入力信号INS2がHレベル(VDD)に変化すると、単位レベル変換回路LS1では、入力段回路100の出力信号(ノードN4の信号)は充分高い電圧のHレベルになり、プッシュプル回路110の出力信号(ノードN5の信号)はHレベル(VH)になる。また単位レベル変換回路LS2では、入力段回路100の出力信号(ノードN4の信号)はLレベル(略VSS)になり、プッシュプル回路110の出力信号(ノードN5の信号)はLレベル(VSS)になる。
すると単位レベル変換回路LS1の昇圧プッシュプル回路220では、トランジスタQ41がオン、トランジスタQ42がオフの状態になる。このときノードN43はトランジスタQ44により電圧VH−Vthnに充電されているので、ノードN41はHレベルになる。一方、プッシュプル出力回路210では、トランジスタQ46,Q48がオフ状態になっており、またノードN41がHレベルになったことでトランジスタQ45,Q47がオンするため、ノードN44および出力端子OUT(最終出力信号OUTS1)の電圧レベルが上昇する。
このようにノードN44の電圧レベルが上昇するとき、容量素子C42を介した結合により、ノードN43の電圧レベルが上昇される。ノードN43の電圧レベルはトランジスタQ41を通してノードN41に伝達され、ノードN41の電圧レベルも上昇する。つまりノードN44および出力端子OUTの電圧上昇が、容量素子C41を介してノードN43,N41の電圧を上昇させ、その結果トランジスタQ45,Q47のゲート電圧に正帰還される。これによりトランジスタQ45,Q47は非飽和動作し、ノードN44および出力端子OUTは高速に充電されて、電圧VHのHレベルになる。
このように本変更例によれば、出力端子OUTおよびノードN44の電圧レベルの上昇が、トランジスタQ45,Q47のゲート電圧へと正帰還される。その結果トランジスタQ45,Q47のゲート・ソース間電圧が高められ、それらが非飽和動作するので、最終出力信号OUTS1,OUTS2の立ち上がり速度が高速になる。
またプッシュプル出力回路210では、トランジスタQ47,Q48から成るプッシュプル回路は専ら上記の正帰還を行う目的でノードN44を充放電し、トランジスタQ45,Q46から成るプッシュプル回路は専ら出力端子OUTに接続される負荷容量を駆動する。ノードN44と出力端子OUTとは分離されているため、上記の正帰還動作に出力端子OUTの電圧レベルの変化速度は影響しない。従って、出力端子OUTに大きな容量負荷が接続された場合など、最終出力信号OUTS1,OUTS2の立ち上がり速度が低下しても上記の正帰還動作の速度(ノードN41の電圧上昇速度)には影響しない。よって安定して高速な動作が可能になる。
さらに昇圧プッシュプル回路220の駆動能力は入力段回路100よりも大きく設定されているため、プッシュプル出力回路210へは、入力段回路100の出力信号の駆動能力を高めた信号が供給される。このことも最終出力信号OUTS1,OUTS2の立ち上がり速度の向上に寄与している。
なお、プッシュプル出力回路210および昇圧プッシュプル回路220はいずれもレシオレス型の回路であり、定常状態での貫通電流は生じないので、実施の形態1と同様に消費電力は低く抑えられている。
図10においては、図1の回路に対する変更例を示したが、図10の入力段回路100およびプッシュプル回路110は、図3〜図9の回路の入力段回路100およびプッシュプル回路110としても適用することが可能である。
[第9の変更例]
図11は、実施の形態1の第9の変更例に係るレベル変換回路を示す図である。本変更例は、図10の回路の更なる変更例であり、トランジスタQ41,Q42,Q44から成る単位回路を1段のみ備える図10の昇圧プッシュプル回路220を、それと同様のトランジスタQ41a,Q42a,Q44aから成る単位回路を複数段(n段)備えた多段構成としたものである。
図11は、実施の形態1の第9の変更例に係るレベル変換回路を示す図である。本変更例は、図10の回路の更なる変更例であり、トランジスタQ41,Q42,Q44から成る単位回路を1段のみ備える図10の昇圧プッシュプル回路220を、それと同様のトランジスタQ41a,Q42a,Q44aから成る単位回路を複数段(n段)備えた多段構成としたものである。
多段構成の昇圧プッシュプル回路220において、トランジスタQ41a1,Q42a1,Q44a1および容量素子C1a1から成る最前段の単位回路は、図10の昇圧プッシュプル回路120と同様に入力段回路100により駆動される(即ち、トランジスタQ41a1のゲートは入力段回路100のノードN4に接続される)。2段目以降の単位回路は自己の前段の単位回路により駆動される。即ち各段のトランジスタQ41a(Q41a2〜Q41an)のゲートは自己の前段のノードN41a(N41a1〜N41a[n−1])に接続される。
また各段のノードN43(Q41a1〜Q41an)は自己の次段のノードN41a(N41a1〜N41an)に、容量素子C41a(C41a2〜Q41an)を介して接続される。最終段のノードN43anは、プッシュプル出力回路210のノードN44に容量素子C42を介して接続される。
そしてプッシュプル出力回路210は、最後段の単位回路によって駆動される(即ち、トランジスタQ47,Q45のゲートは最後段のノードN4anに接続される)。
多段構成の昇圧プッシュプル回路220では、それを構成する複数の単位回路において、各段のトランジスタQ41a(Q41a1〜Q41an)の駆動能力が、後段のものほど大きく設定されている。
本変更例によれば、トランジスタQ45のゲートを充電する最後段のトランジスタQ41anの駆動能力を極めて大きく設定することができる。そのため、出力端子OUTに接続される負荷容量が極めて大きい場合に対応可能なようにトランジスタQ45の駆動能力(ゲート幅)が大きく設計されていても、そのゲートを高速に充電することができ、最終出力信号OUTS1,OUTS2の立ち上がり速度の低下を防止することができる。
[第10の変更例]
図12は、実施の形態1の第10の変更例に係るレベル変換回路を示す図である。本変更例は、図11の回路の更なる変更例であり、多段構成の昇圧プッシュプル回路220において、その最後段を除く各段のトランジスタQ42a(Q42a1〜Q42a[n−1])のゲートを自己回路の入力端子INに接続させたものである。
図12は、実施の形態1の第10の変更例に係るレベル変換回路を示す図である。本変更例は、図11の回路の更なる変更例であり、多段構成の昇圧プッシュプル回路220において、その最後段を除く各段のトランジスタQ42a(Q42a1〜Q42a[n−1])のゲートを自己回路の入力端子INに接続させたものである。
図11の回路では、他方回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に、全ての単位回路のトランジスタQ42a接続されるため、そのゲート容量の影響により当該ノードN5の寄生容量が増大し、入力段回路100の出力信号の立ち上がり速度の低下が懸念される。本変更例では図11の回路と比較して、ノードN5の寄生容量が小さくなり、入力段回路100の出力信号の立ち上がり速度が速くなる。その結果、プッシュプル出力回路210のトランジスタQ46が高速に出力端子OUTを放電できるようになり、最終出力信号OUTS1,OUTS2の立ち下がり速度を向上できる。
さらに、昇圧プッシュプル回路220の最後段のトランジスタQ42an並びにプッシュプル出力回路210のトランジスタQ46のゲートを入力端子INに接続させても、動作させることは可能ではある。しかしその場合には、トランジスタQ45のゲート(ノードN41n)の電圧の立ち下がり速度が遅くなるので、トランジスタQ45がオフするタイミングが遅れ、トランジスタQ45,Q46を通して大きな貫通電流が流れるため好ましくない。
[第11の変更例]
図1の回路においては単位レベル変換回路LS1,LS2の最終出力信号/OUTS1,/OUTS2のレベルは互いに相補的な関係になる。しかし用途によっては、例えば起動時などの所定期間にそれら2つの最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の両方を一旦非活性レベル(Lレベル)にすることが要求される場合がある。ここでは、そのような場合に対応可能な変更例を示す。
図1の回路においては単位レベル変換回路LS1,LS2の最終出力信号/OUTS1,/OUTS2のレベルは互いに相補的な関係になる。しかし用途によっては、例えば起動時などの所定期間にそれら2つの最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の両方を一旦非活性レベル(Lレベル)にすることが要求される場合がある。ここでは、そのような場合に対応可能な変更例を示す。
図13は、実施の形態1の第11の変更例に係るレベル変換回路であり、図1の回路に対し、単位レベル変換回路LS1,LS2において、所定のリセット信号RSTSによって制御されるN型のトランジスタQ26,Q27,Q28を設けたものである。
トランジスタQ26,Q27,Q28各々のゲートはリセット信号RSTSが供給されるリセット端子RSTに接続している。そしてトランジスタQ26がノードN10とロー側電源線104との間に接続され、トランジスタQ27が出力端子OUTとロー側電源線104との間に接続され、トランジスタQ28はノードN8とハイ側電源線102との間に接続される。
よってリセット信号RSTSがHレベルになると、単位レベル変換回路LS1,LS2の両方において、ノードN10および出力端子OUTがそれぞれトランジスタQ26,Q27により放電されてLレベルにされ、ノードN8はトランジスタQ28により充電されたHレベルにされる。
図14は、図13の回路の動作を示す信号波形図であり、最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の両方を一旦非活性レベル(Lレベル)にするときの動作を示している。この場合、入力信号INS1,INS2は電圧VDDで入力される(時刻t0)。すると単位レベル変換回路LS1,LS2の各々で入力段回路100およびプッシュプル回路110の出力信号がLレベル(VSS)になる。その結果、単位レベル変換回路LS1,LS2の両方において、トランジスタQ17,Q18,Q20が全てオフになるため最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の電圧レベルは共に不定状態となる。
続いてリセット信号RSTSがHレベル(VH)にされる(時刻t1)。すると単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれのトランジスタQ26,Q27,Q28がオンになり、ノードN8がHレベル(VH−Vthn)、ノードN10および出力端子OUTをLレベル(VSS)になる。つまり最終出力信号/OUTS1,/OUTS2の両方が、非活性レベル(Lレベル)になる。
その後リセット信号RSTSのレベルがVSSにされる(時刻t2)。すると単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれのトランジスタQ26,Q27がオフになり、ノードN10および出力端子OUTのレベルが高インピーダンス状態(フローティング状態)になる。このときノードN10および出力端子OUTは、容量素子C5および出力端子OUTに接続された負荷容量によってLレベルに保持される。
そして時刻t3以降は、入力信号INS1,INS2が相補的に変化する通常動作になる。例えば時刻t3で、入力信号INS2はHレベルのまま入力信号INS1がLレベルに変化すると、最終出力信号/OUTS2はLレベルのまま最終出力信号/OUTS1がHレベルに変化する。
さらに時刻t4で、入力信号INS1がHレベル、入力信号INS2がLレベルにそれぞれ変化すると、応じて最終出力信号/OUTS1がLレベル、入力信号INS2がHレベルにそれぞれ変化する。
以降、入力信号INS1,INS2のレベル変化に応じて、時刻t3,t4と同様に、最終出力信号/OUTS1,/OUTS2のレベルが変化する。
以上の説明では、リセット信号RSTSを、Hレベル電圧がVH、Lレベル電圧がVSSの信号として説明した。そのようなリセット信号RSTSは、例えば入力段回路100と同じ構成の信号生成回路(リセット信号生成回路)を用いて生成することが可能である。
トランジスタQ26,Q27,Q28は大きな駆動能力を必要とされるものではなくゲート容量は小さく設定されるため、それらを駆動するリセット信号RSTSの駆動能力は小さくてよい。そのため入力段回路100と同じ構成すなわちレシオ回路のリセット信号生成回路を用いても、その駆動能力は小さくてよく、消費電力の増大を抑えることができる。
なお、ノードN8がフローティング状態になったときに、当該ノードN8がトランジスタQ13のオフリーク電流によって自ずからHレベルに充電される場合には、トランジスタQ28は省略してもよい。
また単位レベル変換回路LS1,LS2のノードN10および出力端子OUTが長期間高インピーダンス状態になることが、出力端子OUTに接続される回路の誤動作を引き起こすなどの問題を生じさせる場合には、リセット信号RSTSを立ち下げるタイミング(図14の時刻t2)を、通常動作が開始される(時刻t3)に近づければよい。
図14においては、図1の回路に対する変更例を示したが、図14のトランジスタQ26,Q27,Q28は、図3〜図9の出力段回路130に対しても適用することが可能である。
<実施の形態2>
実施の形態2では、実施の形態1と同様の機能を有するレベル変換回路を、P型トランジスタを用いて構成する。
実施の形態2では、実施の形態1と同様の機能を有するレベル変換回路を、P型トランジスタを用いて構成する。
図15は、実施の形態2に係るレベル変換回路の構成を示す図である。当該レベル変換回路は、図1の回路と同様に機能する回路を、P型トランジスタにより実現した例である。即ち図15の回路は、図1の回路に対し、N型トランジスタに代えてP型トランジスタを用い、電源電圧の極性を逆にし(図1の電源線102にロー側電源電圧を供給し、電源線104にハイ側電源電圧を供給する)、また各信号の電圧極性を逆に(活性レベルをLレベル、非活性レベルをHレベルにする)したものである。なお図15において、図1のレベル変換回路に示したものに対応する各要素については、それと同一の符号に「B」の添え字を付して示している。
図15は、本発明の実施の形態2に係るレベル変換回路の構成を示す図である。当該レベル変換回路も2つの単位レベル変換回路LS1,LS2により構成されている。
単位レベル変換回路LS1,LS2のそれぞれには、ロー側電源として電圧VLB、ハイ側電源として電圧VHBが供給されている。ロー側電源電圧VLBは、各信号の電圧の基準レベルとなる基準電圧GND(=0V)と同じ電圧でも、それよりも低い負極性の電圧でもよい。
当該単位レベル変換回路LS1,LS2は、それぞれ最終出力信号/OUTSB1,/OUTSB2として、Lレベルがロー側電源電圧VLB、Hレベルがハイ側電源電圧VHBとなる電圧信号を出力することができる。一方、入力信号INSB1,INSB2は、Lレベルが電圧VMB、Hレベルが電圧VHBである電圧信号とする。
電圧VMBは、出力信号/OUTSBのLレベル電圧VLBよりも高い。実使用上では、電圧VLBは、N型トランジスタを用いた場合のロー側電圧レベル(電圧VSS)と同じに設定される。ここでは説明の簡単のため、入力信号INS1,INS2のHレベル電圧と最終出力信号/OUTS1,/OUTS2のHレベル電圧とを同じ電圧レベル(VHB)とする。また電圧VMBと電圧VHBとの差をVDDとすると、この電圧VDDは、トランジスタQ2B,Q6Bのしきい値電圧の絶対値よりもある程度大きい値であればよい。
つまり単位レベル変換回路LS1,LS2は、振幅VDDを有する入力信号INSB1,INSB2を、それよりも大きな振幅VHBを有し且つ論理レベルが反転した(逆相の)出力信号/OUTSB1,/OUTSB2に変換するようにそれぞれ機能する。入力信号INSB1,INSB2は、互いに逆の論理レベルをとる相補な信号である。従って2つの出力信号/OUTSB1,/OUTSB2も互いに相補な信号となる。
図15の如く、単位レベル変換回路LS1,LS21は互いにほぼ同様の構成を有しており、それぞれ入力段回路100B、プッシュプル回路110Bおよび出力段回路130Bから成っている。
入力段回路100Bは、ブートストラップ型のインバータであり、入力端子INBの信号(入力信号INSB1またはINSB2)を電圧VLBと電圧VHBとの間で変化する逆相の信号に変換する。プッシュプル回路110Bは、入力端子INBの信号(入力信号INSB1またはINSB2)および入力段回路100Bの出力信号(第1内部信号)により制御され、同じく電圧VLBと電圧VHBとの間で変化する信号を出力する。入力段回路100Bからは、入力段回路100Bの出力信号と同じ論理レベルをとる(同相の)信号が出力される。即ちプッシュプル回路110Bの出力信号(第2内部信号)も、入力端子INBの信号とは逆相になる。
出力段回路130Bは、単位レベル変換回路(LS1またはLS2)の最終出力信号(/OUTSB1または/OUTSB2)を生成するための回路であり、特許文献1の図13に開示されているレシオレスブートストラップ型出力駆動段(130)をP型トランジスタを用いて構成したものである。
出力段回路130Bは、自己回路に属する入力段回路100Bおよびプッシュプル回路110Bの出力信号と、他方回路に属するプッシュプル回路110Bの出力信号によって駆動される。即ち、単位レベル変換回路LS1の出力段回路130Bは、単位レベル変換回路LS1の入力段回路100Bおよびプッシュプル回路110Bと、単位レベル変換回路LS2のプッシュプル回路110Bとにより駆動される。同様に単位レベル変換回路LS2の出力段回路130Bは、単位レベル変換回路LS2の入力段回路100Bおよびプッシュプル回路110Bと、単位レベル変換回路LS1のプッシュプル回路110Bとにより駆動される。
単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれにおいて、入力段回路100Bは、P型のトランジスタQ1B,Q4B,Q7Bと、容量素子C3Bとから構成されている。上記のとおり入力段回路100Bはブートストラップ型インバータであり、トランジスタQ1B,Q7Bおよび容量素子C3Bから成る回路が当該インバータの負荷回路(ブートストラップ型負荷回路)として機能し、トランジスタQ4Bが当該インバータのドライブ素子として機能する。
ロー側電源ノードS2Bを介して電圧VLBが供給されるロー側電源線102Bと、ハイ側電源ノードS1Bを介して電圧VHBが供給されるハイ側電源線104Bとの間には、トランジスタQ1B,Q4Bが直列に接続される。トランジスタQ1B,Q4B間の接続ノードN4Bが、当該入力段回路100Bの出力ノードとなる。トランジスタQ4Bは、ハイ側電源線104BとノードN4Bとの間に接続し、そのゲートは入力端子INBに接続されている。
トランジスタQ1Bは、ロー側電源線102BとノードN4Bとの間に接続し、そのゲートが接続するノードN3BとノードN4Bとの間にフィードバック容量(ブートストラップ容量)としての容量素子C3Bが接続される。
トランジスタQ7Bは、ノードN3Bとロー側電源線102Bとの間に接続し、そのゲートはロー側電源線102Bに接続される。つまりトランジスタQ7Bは、ノードN3Bからロー側電源線102Bへの向きのみに電流を流すようにダイオード接続されており、その方向を順方向とする一方向性電流駆動素子として働く。
このトランジスタQ7Bは、ノードN3Bを放電して電圧VLB+Vthpにする(このVthpはトランジスタQ7Bのしきい値電圧の絶対値である)。ロー側電源電圧VLBは、このVLB+Vthpの値がトランジスタQ1Bのしきい値電圧の絶対値よりも大きくなるように設定されている。つまりノードN3Bが電圧VLB+Vthpのとき、トランジスタQ1Bはオン状態になる。
プッシュプル回路110Bは、ロー側電源線102Bとハイ側電源線104Bとの間に直列接続したトランジスタQ8B,Q9Bから成る。その間の接続ノードN5Bが、プッシュプル回路110Bの出力ノードになる。トランジスタQ8Bはロー側電源線102BとノードN5Bとの間に接続し、ゲートは入力段回路100BのノードN4Bに接続される。トランジスタQ9Bは、ノードN5Bとハイ側電源線104Bとの間に接続し、ゲートは入力端子INBに接続される。
出力段回路130Bは、P型のトランジスタQ13B〜Q20Bおよび容量素子C5Bから成っている。トランジスタQ13B,Q14Bは、ロー側電源線102Bとハイ側電源線104Bとの間に直列に接続している。トランジスタQ13B,Q14B間の接続ノードをノードN8Bとすると、ロー側電源線102BとノードN8Bとの間に接続するトランジスタQ13Bのゲートは、他方回路のノードN4Bに接続される。具体的には、単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ13Bのゲートは単位レベル変換回路LS2のノードN4Bに接続され、単位レベル変換回路LS2のトランジスタQ13Bのゲートは単位レベル変換回路LS1のノードN4Bに接続される。即ち、トランジスタQ13Bは、他方回路の入力段回路100Bの出力信号に従って、ノードN8Bの電荷をロー側電源線102Bへと放電するものである。
またノードN8Bとハイ側電源線104Bとの間に接続するトランジスタQ14Bのゲートは、自己回路の出力端子OUTBに接続される。つまりトランジスタQ14Bは、自己回路の最終出力信号(/OUTSB1または/OUTSB2)に従ってノードN8Bをハイ側電源線104Bからの電流で充電するものである。
トランジスタQ17B,Q18Bも、ロー側電源線102Bとハイ側電源線104Bとの間に直列に接続している。トランジスタQ17B,Q18B間の接続ノードをノードN10Bとすると、ロー側電源線102BとノードN10Bとの間に接続するトランジスタQ17Bのゲートは、自己回路のノードN4Bに接続される。即ち、トランジスタQ17Bは、自己回路の入力段回路100Bの出力信号に従ってノードN10Bの電荷をロー側電源線102Bへと放電するものである。
ノードN10Bとハイ側電源線104Bとの間に接続するトランジスタQ18Bのゲートは、他方回路のノードN5Bに接続される。即ちトランジスタQ18Bは、他方回路のプッシュプル回路110Bの出力信号に従ってノードN10Bをハイ側電源線104Bからの電流で充電するものである。
トランジスタQ15B,Q16Bも、ロー側電源線102Bとハイ側電源線104Bとの間に直列に接続している。トランジスタQ15B,Q16B間の接続ノードをノードN9Bとすると、ロー側電源線102BとノードN9Bとの間に接続するトランジスタQ15BのゲートはノードN10Bに接続され、ノードN9Bとハイ側電源線104Bとの間に接続するトランジスタQ16BのゲートはノードN8Bに接続される。また容量素子C5Bは、ノードN9BとノードN10Bとの間に接続される。
即ち、トランジスタQ15Bは、ノードN10Bの電圧レベルに従ってノードN9Bの電荷をロー側電源線102Bへと放電するものであり、トランジスタQ16Bは、ノードN8Bの電圧レベルに従ってノードN9Bをハイ側電源線104Bからの電流で充電するものである。
トランジスタQ19B,Q20Bも、ロー側電源線102Bとハイ側電源線104Bとの間に直列に接続している。トランジスタQ19B,Q20B間の接続ノードが当該単位レベル変換回路の出力端子OUTBとなり、そこから最終出力信号(/OUTSB1または/OUTSB2)が出力される。ロー側電源線102Bと出力端子OUTBとの間に接続するトランジスタQ19BのゲートはノードN10Bに接続される。即ち、トランジスタQ19Bは、ノードN10Bの電圧レベルに従って出力端子OUTBの電荷をロー側電源線102Bへと放電するものである。
また出力端子OUTBとハイ側電源線104Bとの間に接続するトランジスタQ20Bのゲートは、上記のトランジスタQ18Bのゲート共に、他方回路のノードN5Bに接続される。つまりトランジスタQ20Bは、他方回路のプッシュプル回路110Bの出力信号に従って出力端子OUTBをハイ側電源線104Bからの電流で充電するものである。
出力段回路130Bにおいては、以下に詳細にその動作を説明するように、自己回路および他方回路の各ノードの電圧変化の遅延を利用して、ロー側電源線102Bからハイ側電源線104Bへの貫通電流経路を遮断しており、それにより消費電流を抑制している。また、この出力段回路130Bの動作によって、最終出力信号(/OUTSB1または/OUTSB2)は正確に電圧VLBおよびVHBの間で変化するようになる。
図16は、本実施の形態のレベル変換回路(図15)の動作を示す信号波形図である。図16を参照し、当該レベル変換回路の動作を説明する。なおレベル変換回路を構成する各P型トランジスタのしきい値電圧は全て等しく、その絶対値をVthpとする。
まず初期状態として、単位レベル変換回路LS1の入力信号INSB1がLレベル(VMB)、単位レベル変換回路LS2の入力信号INSB2がHレベル(VHB)であるとする(図16の時刻t10)。
このとき単位レベル変換回路LS1の入力段回路100Bおよびプッシュプル回路110Bでは、トランジスタQ4B,Q9Bがオン状態である。ノードN3BはトランジスタQ3Bにより電圧VLB+Vthpに放電されているので、トランジスタQ1Bはオン状態であるが、トランジスタQ4Bの駆動能力(電流を流す能力)はトランジスタQ1Bよりも充分小さく設定されているので、ノードN4BはHレベルである。よってトランジスタQ8Bはオフ状態であり、ノードN5BもHレベルである。
入力段回路100Bはレシオ回路であり、その出力信号(ノードN4Bの電圧レベル)のHレベル電圧はトランジスタQ1B,Q4Bのオン抵抗比により決まる。トランジスタQ4Bのオン抵抗をトランジスタQ1Bよりも充分小さく設定すれば、出力オフセット電圧をほぼ0に(Hレベル電圧をほぼVHBに)することができる。そうすれば、入力段回路100Bがプッシュプル回路110BのトランジスタQ8Bをより確実にオフにすることができるようになり、動作の信頼性が向上する。
一方、単位レベル変換回路LS2の入力段回路100Bおよびプッシュプル回路110Bでは、トランジスタQ4B,Q9Bがオフ状態である。ノードN3BはLレベルに放電されておりトランジスタQ1Bはオン状態であるので、ノードN4BはLレベルである。よってトランジスタQ8Bはオン状態であり、ノードN5BもLレベルである。詳細は後述するが、このときトランジスタQ1Bは、容量素子C3Bを介したブートストラップ作用により非飽和領域で動作しており、ノードN4BのLレベルは電圧VLBとなっている。
従って、単位レベル変換回路LS1の出力段回路130Bでは、トランジスタQ18B,Q20Bがオン状態、トランジスタQ17Bがオフ状態であるので、ノードN10Bおよび出力端子OUTB(最終出力信号/OUTSB1)はHレベルである。応じてトランジスタQ14Bはオフ状態であり、またトランジスタQ13Bはオン状態であるのでノードN8BはLレベル(VLB+Vthp)である。よってトランジスタQ15Bはオフ状態、トランジスタQ16Bはオン状態であるのでノードN9BはHレベル(VHB)である。
逆に単位レベル変換回路LS2の出力段回路130Bでは、トランジスタQ18B,20がオフ状態であり、ノードN10BはLレベルに放電されておりトランジスタQ19Bがオンしており出力端子OUTB(最終出力信号/OUTSB2)はLレベルである。よってトランジスタQ14Bはオン状態であり、またトランジスタQ13Bはオフ状態であるのでノードN8BはHレベル(VHB)である。よってトランジスタQ15Bはオン状態、トランジスタQ16Bはオフ状態であるのでノードN9BはLレベル(VLB)である。詳細は後述するが、このときトランジスタQ15B,Q19Bは非飽和領域で動作しており、ノードN9Bおよび最終出力信号/OUTSB2のLレベルは電圧VLBとなっている。
この初期状態の説明から分かるように図15のレベル変換回路では、定常状態においてロー側電源線102Bからハイ側電源線104Bへ直流電流(貫通電流)が流れる経路は、Lレベルの入力信号が供給されている側の単位レベル変換回路(上記の初期状態では単位レベル変換回路LS1)の入力段回路100BのトランジスタQ1B,Q4Bを通した経路のみである。
この初期状態から、時刻t11で、入力信号INSB1がHレベル(VHB)、入力信号INSB2がLレベル(VMB)にそれぞれ変化する。
このとき単位レベル変換回路LS1の入力段回路100Bでは、トランジスタQ4Bがオフになり、トランジスタQ1Bを流れる電流によってノードN4Bが放電され、その電圧レベルが低下する。このとき容量素子C3Bを介する結合により、ノードN3Bの電圧レベルが低下しようとする。するとダイオード接続したトランジスタQ7Bがオフになり、ノードN3Bは所定の電圧レベルにまで引き下げられ、トランジスタQ1Bのゲート・ソース間電圧が高められる(ブートストラップ作用)。その結果、トランジスタQ1Bは非飽和領域で動作するようになり、ノードN4Bは電圧VLBのLレベルになる。
よって単位レベル変換回路LS1のプッシュプル回路110Bでは、トランジスタQ9Bがオフ、トランジスタQ8Bがオンになり、ノードN5BはLレベルになる。このLレベル電圧は、トランジスタQ8Bのしきい値電圧分の損失を伴うため、VLB+Vthpである。また上記入力段回路100Bの動作から分かるように、ノードN4Bのレベル変化は、入力信号INSB1のレベル変化に追随して生じる。よってノードN5Bの放電の際には、トランジスタQ9Bがオフした後でトランジスタQ8Bがオンする。従ってその際にトランジスタQ8B,Q9Bを流れる貫通電流は殆ど生じない。
一方、単位レベル変換回路LS2の入力段回路100Bでは、トランジスタQ4Bがオンになり、ノードN4Bが充電されてその電圧レベルが上昇する。応じてノードN3Bの電圧レベルも上昇するがトランジスタQ7Bによる放電により電圧VLB+Vthpに保持され、トランジスタQ1Bはオン状態を維持する。しかしトランジスタQ4BはトランジスタQ1Bよりも充分大きな駆動能力(充分低いオン抵抗)を有しているため、ノードN4BはHレベル(≒VHB)になる(入力段回路100Bの出力オフセット電圧はほぼ0である)。
よって単位レベル変換回路LS2のプッシュプル回路110Bでは、トランジスタQ9Bがオン、トランジスタQ8Bがオフになり、ノードN5Bは充電されてHレベルになる。またノードN4Bのレベル変化は入力信号INSB1のレベル変化に追随して生じるので、このノードN5Bの充電の際には、トランジスタQ9Bがオンした後でトランジスタQ8Bがオフになる。よってトランジスタQ9BがオンしてからトランジスタQ8Bがオフになるまでの間に貫通電流が生じることとなるが、それはごく短い期間であるのでその電流量は僅かである。また、入力段回路100Bの出力オフセット電圧がほぼ0であるので、トランジスタQ8Bは確実にオフになっており、定常状態での貫通電流は生じない。
このように時刻t11においては、単位レベル変換回路LS1では、入力段回路100Bの出力信号(ノードN4Bの信号)は略電圧VHBのHレベルになり、それに追随してプッシュプル回路110Bの出力信号(ノードN5Bの信号)が電圧VHBのHレベルとなる。また、単位レベル変換回路LS2では、入力段回路100Bの出力信号(ノードN4Bの信号)は電圧VLBのLレベル(VLB)になり、それに追随してプッシュプル回路110Bの出力信号(ノードN5Bの信号)が電圧VLB+VthpのLレベルとなる。
以上を踏まえ、時刻t11における単位レベル変換回路LS1,LS2それぞれの出力段回路130Bの動作を説明する。
まずは単位レベル変換回路LS1の出力段回路130Bの動作から説明する。当該出力段回路130Bでは、まず当該単位レベル変換回路LS1(自己回路)のN4BがLレベルになったときにトランジスタQ17Bがオンし、それとほぼ同時に単位レベル変換回路LS2(他方回路)のノードN4BがHレベルになったときにトランジスタQ13Bがオフになる。そして他方回路のノードN5BがHレベルになるとトランジスタQ18B,Q20Bもオフになる。
この時点では最終出力信号/OUTSB1はまだHレベル(VHB)であるので、トランジスタQ14Bはオフ状態にある。よってトランジスタQ13Bがオフになっても、ノードN8Bはフローティング状態で電圧VLB+VthpのLレベルに維持される。
またトランジスタQ17Bがオン、トランジスタQ18BがオフになったことでノードN10Bが放電され、その電圧レベルが低下する。ノードN10Bは容量素子C5Bを介してノードN9Bと容量結合しているが、この時点ではノードN8BはLレベルに維持されておりトランジスタQ16Bはオン状態であるので、ノードN10Bの電圧レベルが低下してもノードN9Bはほぼ電圧VHBでHレベルに維持される。またノードN10Bの放電が進み、ノードN10B,N9B間の電圧がトランジスタQ15Bのしきい値電圧を超えるとトランジスタQ15Bがオンになるが、トランジスタQ15BはトランジスタQ16Bよりもオン抵抗が充分大きく設定されており、このときもノードN9Bはほぼ電圧VHBでHレベルに維持される。その結果ノードN10Bは電圧VLB+VthpのLレベルになる。
ノードN10BがLレベル(VLB+Vthp)になるとトランジスタQ19Bがオンになり、出力端子OUTBは放電され、その電圧レベルが低下する。上記の動作から分かるようにこの出力端子OUTBの放電の際、トランジスタQ19Bがオンするより先にトランジスタQ20Bがオフになるので、トランジスタQ19B,Q20Bを経路とする貫通電流の発生は防止されている。
出力端子OUTBの放電が進むと、トランジスタQ14Bがオンになり、ノードN8Bが充電されてHレベル(VHB)になる。応じて、トランジスタQ16Bがオフになるので、ノードN9BはトランジスタQ15Bを通して放電され、電圧レベルが低下する。このノードN9Bの電圧レベルの低下は、容量素子C5Bを介してノードN10Bに伝達され、ノードN10Bの電圧レベルも低下する。ノードN10Bの電圧レベルが低下するとトランジスタQ17Bはオフ状態になり、ノードN10Bはフローティング状態になるので、ノードN10Bの電圧レベルは更に低下し、電圧VLBよりも高い電圧VLB+ΔVAになる(ΔVAは、ノードN9Bの電圧変化量および、ノードN10Bに付随する寄生容量と容量素子C5Bの容量値との比によって決まる)。
このようにトランジスタQ13B〜Q16Bから成る回路は、トランジスタQ19Bがオンしして最終出力信号/OUTSB1が活性化するときに、ノードN9Bの電圧レベルを低下させることで、ノードN10Bの電圧レベルを低下させる。これによりトランジスタQ19Bのゲート・ソース間電圧が高められる。つまりトランジスタQ13B〜Q16Bから成る回路は、最終出力信号/OUTSB1に基づいて動作し、最終出力信号/OUTSB1の活性化時にトランジスタQ19Bのゲート・ソース間電圧を高める昇圧回路を構成している。
このように出力段回路130Bでは、トランジスタQ19Bが出力端子OUTBを放電することで当該出力端子OUTBの電圧レベルが低下すると、その電圧低下がノードN10B(トランジスタQ19Bのゲート)にフィードバックされるブートストラップ効果が得られる。それによりノードN10Bの電圧レベルが低下することで、トランジスタQ19Bは電流駆動力が高くなり、且つ非飽和動作する。従って、出力端子OUTBは高速に放電されて電圧VLBのLレベルになる。
なお、このときトランジスタQ15Bも非飽和動作するため、ノードN9Bの電圧レベルはVLBになる。上記のように、トランジスタQ15BはノードN10Bが放電されたときにオンになり、トランジスタQ16Bはその後にノードN8Bが充電されることでオフになる。つまりトランジスタQ16Bがオフするよりも先に、トランジスタQ15Bがオンになるので、その間はトランジスタQ15B,Q16Bを通して貫通電流が流れる。但し、トランジスタQ15B,Q16Bの電流駆動力を充分に小さくすれば、消費電流の増大は防止できる。
またその貫通電流が生じる期間は、トランジスタQ15Bと共にトランジスタQ19Bがオンしてから出力端子OUTBが放電されてLレベルになるまでの短い期間に過ぎない。トランジスタQ19Bの電流駆動力が大きいほどその期間を短くでき、当該貫通電流による消費電流を小さくできる。特に出力端子OUTBにかかる負荷容量が大きい場合には、出力端子OUTBの放電に時間がかかるのを防止するために、トランジスタQ19Bの電流駆動力を充分大きく設定しておくことが望ましい。出力段回路130Bはレシオレス型の回路であり、定常状態では貫通電流が生じないので、トランジスタQ19Bの電流駆動力を大きく設定しても定常状態における消費電力の増大は伴わない。
次に、時刻t11における単位レベル変換回路LS2の出力段回路130Bの動作を説明する。当該出力段回路130Bでは、単位レベル変換回路LS2(自己回路)のノードN4BがHレベルになったときにトランジスタQ17Bがオフし、それとほぼ同時に単位レベル変換回路LS1(他方回路)のノードN4BがLレベルになったときにトランジスタQ13Bがオンになる。そして他方回路のノードN5BがLレベルになるとトランジスタQ18B,Q20Bがオンになる。
従って、ノードN10Bおよび出力端子OUTBが充電され、それぞれHレベルになる。ノードN10BがHレベルになるとトランジスタQ19B,Q15Bはオフになるので、最終出力信号/OUTSB2は電圧VHBのHレベルになる。
出力端子OUTBがHレベルになりトランジスタQ14Bがオフになると、トランジスタQ13Bが既にオンしているので、ノードN8Bが放電されて電圧VLB+VthpのLレベルになる。応じてトランジスタQ16Bがオンし、ノードN9Bは電圧VHBのHレベルになる。
このノードN8Bの放電の際には、トランジスタQ14Bがオフより先にトランジスタQ13Bがオンしているため、トランジスタQ13BがオンしてトランジスタQ14Bがオフするまでの間は、トランジスタQ13B,Q14Bを通して貫通電流が流れる。しかし最終出力信号/OUTSB2は高速で充電されてHレベル(VHB)になるため、その期間はごく短期間でありその貫通電流の電流量は僅かである。またノードN9Bの充電に際しては、トランジスタQ16Bがオンするより先にトランジスタQ15Bがオフになるので、トランジスタQ15B,Q16Bを通しての貫通電流は生じない。
以上の動作により、時刻t11後の単位レベル変換回路LS1は、時刻t10における単位レベル変換回路LS2の定常状態(初期状態)と同じ状態になり、単位レベル変換回路LS2は、時刻t10における単位レベル変換回路LS1の定常状態(初期状態)と同じ状態になる(つまり単位レベル変換回路LS1,LS2の状態が時刻t10のときから互いに入れ替わる)。この状態は、次に入力信号INSB1,INSB2のレベルが変化するまで継続される。先に述べたように当該レベル変換回路では、定常状態での貫通電流の経路は、Lレベルの入力信号が供給されている側の単位レベル変換回路のトランジスタQ1B,Q4Bを通した経路のみであるので、時刻t11後の定常状態では単位レベル変換回路LS2のトランジスタQ1B,Q4Bを通した経路のみで貫通電流が生じる。
そして時刻t12で、入力信号INSB1がLレベル(VMB)、入力信号INSB2がHレベル(VHB)にそれぞれ変化する。このとき単位レベル変換回路LS1では、時刻t11における単位レベル変換回路LS2と同じ動作が行われ、最終出力信号/OUTSB1は電圧VHBのHレベルに変化する。また単位レベル変換回路LS2では、時刻t11における単位レベル変換回路LS1と同じ動作が行われ、最終出力信号/OUTSB2は電圧VHBのHレベルに変化する。つまり時刻t11のときと単位レベル変換回路LS1,LS2の動作が入れ替わるだけであるので、その詳細な説明は省略する。
その結果、時刻t12後の単位レベル変換回路LS1,LS2は、それぞれ時刻t10における定常状態(初期状態)に戻る。よって時刻t12後の定常状態では単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ1B,Q4Bを通した経路のみで貫通電流が生じることになる。
その後は、入力信号INSB1,INSB2のレベルが変化する毎に、上記の時刻t11および時刻t12の動作が繰り返し行われる。
以上のように、本実施の形態に係るレベル変換回路では、単位レベル変換回路LS1,LS2はそれぞれレシオ回路(プッシュプル回路110B)を1つずつ備える。そして互いに相補な入力信号INSB1,INSB2のレベル変換を行うとき、その2つのレシオ回路において、交互に貫通電流が生じるのみである。つまり、互いに相補な2つの入力信号INSB1,INSB2をレベル変換するために、実質的に1つのレシオ回路を用いるのと同程度の電流が消費されることとなる。
つまり本実施の形態に係るレベル変換回路では、互いに相補な2つの信号のレベル変換を、特許文献1の3のレベル変換回路の約半分の消費電力により実現することができる。また出力段回路130Bとしてレシオレスブートストラップ型回路が用いられているため、高速且つ高駆動能力の出力信号を得ることができる。従って、高い駆動能力が必要とされる2相のクロック信号(例えば表示装置のゲートドライバを構成するシフトレジスタを動作させるクロック信号)のレベル変換に適している。
なお、以上の説明では、入力信号INSB1,INSB2のレベル変化が同時に起こることを前提に説明を行ったが、実際の使用条件においてはその生成回路を構成する素子の特性ばらつきなどにより、入力信号INSB1,INSB2のレベル変化を正確に同時することは困難である。
例えば図16の時刻t11において、入力信号INSB2の立ち下がりが、入力信号INSB1の立ち上がりから遅れた場合、と単位レベル変換回路LS1の出力段回路130BのトランジスタQ18B,Q20Bがオフになるのが遅れる。そうなるとノードN10Bの放電が充分に行われず、トランジスタQ19Bのゲート電圧の上昇を招き、最終出力信号/OUTSB1の立ち下がり速度の低下や、そのLレベル電圧の上昇といった問題が懸念される。
逆に、入力信号INSB2の立ち下がりが、入力信号INSB1の立ち上がりよりも先立った場合には、単位レベル変換回路LS1において上記の問題は生じない。単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ18B,Q20Bが早くオフになっても、ノードN10Bおよび出力端子OUTBの放電動作に影響しないためである。
従って実使用時には、入力信号INSB1,INSB2のレベル変化のタイミングの精度を考慮して、入力信号INSB1,INSB2の各々の立ち下がりタイミングが他方の立ち上がりタイミングよりも一定時間だけ先行するように、マージンをとって設定することが好ましい。
但し、入力信号INSB1,INSB2の活性期間(Lレベルになる期間)に、重複期間が生じるため、その重複期間においては単位レベル変換回路LS1,LS2両方の入力段回路100Bで同時に貫通電流が生じることとなる。従って、その重複期間での消費電流が増大するため、それに応じた電源容量が必要になることに留意しなければならない。
[変更例]
以上では、図1の回路と同様の機能を有するレベル変換回路をP型トランジスタを用いて構成した例を示したが、本実施の形態は、実施の形態1の各変更例の回路(図3〜図14)の回路にも適用することができる。
以上では、図1の回路と同様の機能を有するレベル変換回路をP型トランジスタを用いて構成した例を示したが、本実施の形態は、実施の形態1の各変更例の回路(図3〜図14)の回路にも適用することができる。
即ち、図3〜図14の回路に対し、N型トランジスタに代えてP型トランジスタを用い、電源電圧の極性を逆にし(各図の電源線102にロー側電源電圧VLBを供給し、電源線104にハイ側電源電圧VHBを供給する)、また各信号の電圧極性を逆に(活性レベルをLレベル、非活性レベルをHレベルにする)すれば、それらの回路と同様の機能を有するレベル変換回路をP型トランジスタを用いて構成することができる(図示は省略する)。
<実施の形態3>
図17は、本発明の実施の形態3に係るレベル変換回路の構成を示す図である。当該レベル変換回路は、互いに位相の異なる3相の入力信号INS1〜INS3をレベル変換するものである。
図17は、本発明の実施の形態3に係るレベル変換回路の構成を示す図である。当該レベル変換回路は、互いに位相の異なる3相の入力信号INS1〜INS3をレベル変換するものである。
図17の如く、本実施の形態のレベル変換回路は、3つの単位レベル変換回路LS1〜LS3より構成されている。単位レベル変換回路LS1〜LS3の入力端子INには、それぞれ入力信号INS1〜INS3が入力される。そして単位レベル変換回路LS1〜LS3の出力端子OUTには、それら入力信号INS1〜INS3をレベル変換した最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3が出力される。なお、最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3の論理レベル(Hレベル、Lレベル)は、それぞれ入力信号INS1〜INS3の論理レベルを反転したものとなる。
図17においては、単位レベル変換回路LS1〜LS3として、図1の単位レベル変換回路をベースとして用いた例を示すが、もちろん上記の図3〜図13に示したものを用いてもよい。
ここで3相の入力信号INS1〜INS3は、INS1,INS2,INS3,INS1,INS2,…の順に繰り返して非活性レベル(Lレベル)になる信号である(図18参照)。つまり、単位レベル変換回路LS1〜LS3における入力段回路100およびプッシュプル回路110の出力信号は、LS1,LS2,LS3,LS1,LS2,…の順に繰り返して活性レベル(Hレベル)になる。
以下では、3相以上の入力信号が入力される本発明のレベル変換回路において、ある単位レベル変換回路から見て、自身(自己回路)の入力信号が非活性レベルになった後でk番目に非活性レベルになる他の入力信号が入力される単位レベル変換回路を「k相遅れ回路」と称する。また自己回路の入力信号が非活性レベルになる直前に非活性レベルになる他の入力信号が入力される単位レベル変換回路を「前相回路」とも称することとする。入力信号がn相の信号である場合、「n−1相遅れ回路」と「前相回路」とは共に同じ単位レベル変換回路を指すこととなる。
本実施の形態では、3相の入力信号INS1〜INS3が、INS1,INS2,INS3,INS1,…の順に非活性レベル(Lレベル)になるので、例えば変換回路LS1を「自己回路」とすると、その「1相遅れ回路」は単位レベル変換回路LS2であり、「2相遅れ回路」は単位レベル変換回路LS3である。また単位レベル変換回路LS3は、単位レベル変換回路LS1の「前相回路」でもある。
図17の如く、単位レベル変換回路LS1〜LS3のそれぞれにおいては、出力段回路130のトランジスタQ17は自己回路の入力段回路100の出力信号により駆動され、トランジスタQ13は1相遅れ回路の入力段回路100の出力信号により駆動され、トランジスタQ18,Q20は1相遅れ回路のプッシュプル回路110の出力信号により駆動される。
本実施の形態ではさらに、単位レベル変換回路LS1〜LS3それぞれの出力段回路130に、出力端子OUTとロー側電源線104との間に接続し、2相遅れ回路(前相回路)により駆動されるトランジスタQ29が設けられる。このトランジスタQ29は、トランジスタQ19,Q20の両方がオフ状態になるときに、出力端子OUTを低インピーダンスでLレベルに維持するために設けられている。
図18は、図17のレベル変換回路の動作を示す信号波形図である。以下、図18を参照して当該レベル変換回路の動作を説明するが、単位レベル変換回路LS1〜LS3の動作は基本的に同じであるため(但し、動作タイミングが異なる)、ここでは代表的に単位レベル変換回路LS1の動作を説明する。
図18の如く時刻t21で入力信号INS1がHレベル(VDD)からLレベル(VSS)に変化すると、単位レベル変換回路LS1において入力段回路100の出力ノードN4がHレベル(VH)になると共に、プッシュプル回路110の出力ノードN5もHレベル(VH−Vth)になる。このとき入力信号INS2,INS3はHレベル(VDD)であるので、単位レベル変換回路LS2,LS3においては、入力段回路100の出力ノードN4およびプッシュプル回路110の出力ノードN5はいずれもLレベルになっている。
従って、単位レベル変換回路LS1の出力段回路130では、トランジスタQ17がオン、トランジスタQ13,Q18,Q20,Q29がオフの状態になる。その結果、単位レベル変換回路LS1の最終出力信号/OUTS1はHレベル(VH)になる。このときの単位レベル変換回路LS1の動作は、実施の形態1で説明した図2の時刻t1での単位レベル変換回路LS1の動作と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
そして時刻t22で、入力信号INS1がHレベル(VDD)に戻ると、単位レベル変換回路LS1のノードN4,N5はいずれもLレベルになる。またこのとき入力信号INS2がLレベル(VSS)に変化するので、今度は単位レベル変換回路LS2のノードN4,N5がHレベルに変化する。
従って、単位レベル変換回路LS1の出力段回路130では、トランジスタQ13,Q18,Q20がオン、トランジスタQ17,Q29はオフの状態になる。その結果、単位レベル変換回路LS1の最終出力信号/OUTS1はLレベル(VSS)になる。このときの単位レベル変換回路LS1の動作は、実施の形態1で説明した図2の時刻t1での単位レベル変換回路LS2の動作と同様であるので、ここでの詳細な説明は省略する。
なお時刻t22では、単位レベル変換回路LS2において、時刻t21での単位レベル変換回路LS1と同様の動作が行われるため、単位レベル変換回路LS2の最終出力信号/OUTS2がHレベルになる。
続いて時刻t23で、入力信号INS2がHレベル(VDD)に戻ると、単位レベル変換回路LS2のノードN4,N5がいずれもLレベルになる。またこのとき入力信号INS3がLレベル(VSS)に変化するので、今度は単位レベル変換回路LS3のノードN4,N5がHレベルに変化する。
このとき単位レベル変換回路LS1の出力段回路130では、トランジスタQ13,Q18,Q20がオン、トランジスタQ17はオフの状態に変化は無いが、トランジスタQ29がオンに変化する。それにより最終出力信号/OUTS1は低インピーダンスでLレベルに維持される。
なお時刻t23では、単位レベル変換回路LS2において、時刻t22での単位レベル変換回路LS1と同様の動作が行われるため、最終出力信号/OUTS2がLレベルになる。また単位レベル変換回路LS3において、時刻t21での単位レベル変換回路LS1と同様の動作が行われるため、最終出力信号/OUTS3がHレベルになる。
以降、入力信号INS1〜INS3のレベル変化に応じて、上記の時刻t21〜t23の動作が繰り返し行われる。
このように単位レベル変換回路LS1〜LS3それぞれの出力段回路130は、基本的に自己回路の入力段回路100およびプッシュプル回路110、並びに1相遅れ回路の入力段回路100およびプッシュプル回路110によって駆動される。但しトランジスタQ29は、2相遅れ回路(前相回路)のプッシュプル回路110によって駆動される。
つまり最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3のそれぞれは、自己回路の入力信号がLレベルのときはトランジスタQ19がオンすることでHレベルになり、1相遅れ回路の入力信号がLレベルのときはトランジスタQ20がオンすることでLレベルにされ、それ以外の期間はトランジスタQ29がオンすることでLレベルに維持される。その結果、3相の入力信号INS1〜INS3のレベル変換が行われることになる。
なお単位レベル変換回路LS1〜LS3の出力段回路130においては、トランジスタQ20,Q29が並列に接続されるが、そのうちトランジスタQ20は出力端子OUTを所定時間内に放電する必要があるため、比較的駆動能力の高い(ゲート幅の広い)トランジスタが用いられる。またトランジスタQ29は、トランジスタQ20により既に放電済みの出力端子OUTの電圧を維持するだけでよいので、比較的駆動能力の低い(ゲート幅の狭い)トランジスタでよい。
[第1の変更例]
図19は、実施の形態3の第1の変更例に係るレベル変換回路であり、図17の回路に対し、実施の形態1の第11の変更例を適用したものである。つまりリセット信号RSTSを用いて、最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3の全てを非活性レベル(Lレベルに)にすることを可能にしたものである。
図19は、実施の形態3の第1の変更例に係るレベル変換回路であり、図17の回路に対し、実施の形態1の第11の変更例を適用したものである。つまりリセット信号RSTSを用いて、最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3の全てを非活性レベル(Lレベルに)にすることを可能にしたものである。
この場合、単位レベル変換回路LS1〜LS3それぞれの出力段回路130に対し、図17の回路と同じように、リセット信号RSTSによって制御されるトランジスタQ26,Q27,Q28を設ければよい。
[第2の変更例]
上では、順番に非活性レベルになる3相の入力信号のレベル変換を行うレベル変換回路の例を示したが、本発明は4相以上の入力信号のレベル変換を行うレベル変換回路に対しても適用可能である。
上では、順番に非活性レベルになる3相の入力信号のレベル変換を行うレベル変換回路の例を示したが、本発明は4相以上の入力信号のレベル変換を行うレベル変換回路に対しても適用可能である。
例えばn相の入力信号INS1〜INSnのレベル変換を行うレベル変換回路に適用する場合、入力段回路100、プッシュプル回路110および出力段回路130から成るn個の単位レベル変換回路LS1〜LSnを用いればよい。この場合も図17の例と同様に、単位レベル変換回路LS1〜LSnそれぞれの出力段回路130を、自己回路の入力段回路100およびプッシュプル回路110、並びに1相遅れ回路の入力段回路100およびプッシュプル回路110によって駆動させる。そして出力端子OUTとロー側電源線104との間に、2相遅れ回路からn−1相遅れ回路(前相回路)までの各プッシュプル回路110によって駆動される複数のトランジスタ(それぞれトランジスタQ29に相当)が設けられる。
それにより、最終出力信号/OUTS1〜/OUTSnのそれぞれは、自己回路の入力信号がLレベルのときはトランジスタQ19がオンすることでHレベルになり、1相遅れ回路の入力信号がLレベルのときはトランジスタQ20がオンすることでLレベルにされ、それ以外の期間はトランジスタQ29に相当する複数のトランジスタが順次オンすることでLレベルに維持される。その結果、n相の入力信号INS1〜INSnのレベル変換が行われることになる。
但し、入力信号の数を増やす場合、以下のことを考慮する必要がある。特許文献1の図13のレベル変換回路(従来の単位レベル変換回路)においては、レシオ回路である入力段(100)とブートストラップ段(120)には、電源電流(ハイ側電源からロー側電源への貫通電流)が流れる。両者の電源電流はほぼ等しくその電流をIbとすると、それらは互いに相補的に動作するため電源電流も交互に流れるので、入力信号の1周期に1つのレベル変換回路(単位レベル変換回路に相当)に流れる全電源電流はIbとなる。n相の信号のレベル変換には、単位レベル変換回路がn個必要であるから、その場合の全電源電流Ihは次の(1)式で表される。
Ih=n・Ib …(1)
一方、本発明の実施の形態1のレベル変換回路(図1)を用いて2相の信号をレベル変換する場合の全電源電流Ihを、図20(a)を参照して考える。単位レベル変換回路LS1,LS2の電源電流をそれぞれI1,I2とすると、入力信号INS1,INS2の1周期における全電源電流はIh=I1+I2である。但し、単位レベル変換回路LS1の電源電流I1は、入力信号INS1がHレベルの期間にだけ流れ、それがLレベルの期間には流れない。同様に単位レベル変換回路LS2の電源電流I2は、入力信号INS2がHレベルの期間にだけ流れ、それがLレベルの期間には流れない。つまり図20(a)の如く、電源電流は、常に2つの単位レベル変換回路LS1,LS2のうちの1つだけに流れる。従って図1の回路における全電源電流はIh=I1+I2=Ibとなる。
Ih=n・Ib …(1)
一方、本発明の実施の形態1のレベル変換回路(図1)を用いて2相の信号をレベル変換する場合の全電源電流Ihを、図20(a)を参照して考える。単位レベル変換回路LS1,LS2の電源電流をそれぞれI1,I2とすると、入力信号INS1,INS2の1周期における全電源電流はIh=I1+I2である。但し、単位レベル変換回路LS1の電源電流I1は、入力信号INS1がHレベルの期間にだけ流れ、それがLレベルの期間には流れない。同様に単位レベル変換回路LS2の電源電流I2は、入力信号INS2がHレベルの期間にだけ流れ、それがLレベルの期間には流れない。つまり図20(a)の如く、電源電流は、常に2つの単位レベル変換回路LS1,LS2のうちの1つだけに流れる。従って図1の回路における全電源電流はIh=I1+I2=Ibとなる。
他方、従来の単位レベル変換回路で2相の信号のレベル変換を行うと、(1)式よりIh=2・Ibとなる。つまり図1の回路における全電源電流は、従来のレベル変換回路の1/2(即ち50%)になる。
次に、図17の回路を用いて3相の信号をレベル変換する場合の全電源電流Ihを、図20(b)を参照して考える。単位レベル変換回路LS1〜LS3の電源電流をそれぞれI1〜I3とすると、この場合の電源電流は図20(b)の如く、常に3つの単位レベル変換回路LS1〜LS3のうちの2つに流れる。従って図17の回路における全電源電流はIh=I1+I2+I3=2・Ibとなる。また従来の単位レベル変換回路で3相の信号のレベル変換を行うと、(1)式よりIh=3・Ibとなる。つまり図17の回路における全電源電流は、従来のレベル変換回路の2/3(即ち67%)になる。
同様に、本実施の形態のレベル変換回路を用いて4相の信号をレベル変換する場合には、常に4つの単位レベル変換回路のうちの3つに電源電流が流れる。従ってこの場合の全電源電流はIh=3・Ibとなる。また従来の単位レベル変換回路で4相の信号のレベル変換を行うと、(1)式よりIh=4・Ibとなる。つまり図17の回路における全電源電流は、従来のレベル変換回路の3/4(即ち75%)になる。
このように実施の形態1〜3のレベル変換回路においては、レベル変換する信号の数が少ないほど従来のレベル変換回路と比較しての電源電流低減の効果が大きいが、入力信号数が増えるにつれその効果は小さくなる。
[第3の変更例]
図17の回路のように、本実施の形態において3相の入力信号入力信号INS1〜INS3のレベルシフトを行う場合には、単位レベル変換回路LS1〜LS3のそれぞれに、出力ノードOUTを低インピーダンスで非活性レベル(Lレベル)に維持するためにトランジスタQ29がトランジスタQ20に並列に設けられてる。入力信号が3相の場合は、トランジスタQ20と並列に接続するトランジスタは1個でよいが、本実施の形態の第2の変更例でも述べたように、入力信号の相数が多くなった場合には、それに相当する数だけトランジスタQ29に相当するトランジスタを設ける必要がある。しかしそれら数多くのトランジスタを制御するための信号配線も相当数必要になり、回路の占有面積の増大を招く。ここではこの問題を解決するための変更例を示す。
図17の回路のように、本実施の形態において3相の入力信号入力信号INS1〜INS3のレベルシフトを行う場合には、単位レベル変換回路LS1〜LS3のそれぞれに、出力ノードOUTを低インピーダンスで非活性レベル(Lレベル)に維持するためにトランジスタQ29がトランジスタQ20に並列に設けられてる。入力信号が3相の場合は、トランジスタQ20と並列に接続するトランジスタは1個でよいが、本実施の形態の第2の変更例でも述べたように、入力信号の相数が多くなった場合には、それに相当する数だけトランジスタQ29に相当するトランジスタを設ける必要がある。しかしそれら数多くのトランジスタを制御するための信号配線も相当数必要になり、回路の占有面積の増大を招く。ここではこの問題を解決するための変更例を示す。
図30は、実施の形態3に係るレベル変換回路の第3の変更例を示す図であり、図17の回路に対し、単位レベル変換回路LS1〜LS3のそれぞれにおいて、トランジスタQ29のゲートをトランジスタQ32,Q33から成る保持回路に接続させたものである。
トランジスタQ29のゲートが接続するノードをノードN13とすると、トランジスタQ32はノードN13とハイ側電源線102との間に接続し、そのゲートは2相遅れ回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続される。トランジスタQ33はノードN13とロー側電源線104との間に接続し、そのゲートは自己回路の出力端子OUTに接続される。
よってノードN13は、2相遅れ回路の入力信号がLレベルになったときにトランジスタQ32によってHレベルに充電され、その後に自己回路の入力信号がLレベルになってその出力端子OUTがHレベルになったときにトランジスタQ33により放電されてLレベルになる。なお、ノードN13がトランジスタQ32によって充電されてから、トランジスタQ33によって放電されるまでの期間は、トランジスタQ32,Q33は共にオフになるので、ノードN13は高インピーダンスでHレベルに維持される。
従って、トランジスタQ29は、2相遅れ回路の入力信号がLレベルになったときから、自己回路の入力信号がLレベルになる(出力端子OUTがHレベルになる)までの間オンに維持され、出力端子OUTを低インピーダンスでLレベルに維持させる。
なお、トランジスタQ29は、トランジスタQ19がオンしたときに出力端子OUTがHレベルに変化できるようにトランジスタQ19よりもオン抵抗が充分大きく設定される必要がある。
本変更例によれば、トランジスタQ32,Q33から成る保持回路の働きにより、自己回路の出力端子OUTがLレベルの期間トランジスタQ29がオンに保持されるので、入力信号の相数を増やす場合でも出力端子OUTを非活性レベルに維持するためのトランジスタの数を増やす必要がない。従って特に入力信号の相数が多い場合に、回路の占有面積を小さくすることができるという効果が得られる。
図30においては、図7の回路に対する変更例を示したが、図8のトランジスタQ29,Q32,Q33から成る回路は、3相以上の入力信号のレベル変換行う場合の本発明に係るレベル変換回路のいずれにも適用可能である。
<実施の形態4>
上記のように、実施の形態1〜3のレベル変換回路では、レベル変換する信号の数が多くなると従来のレベル変換回路と比較しての電源電流低減の効果が小さくなる。実施の形態4ではその点を改善し、レベル変換する信号の数が多くなるほど従来のレベル変換回路と比較したときの電源電流低減の効果が大きくなるレベル変換回路を提案する。
上記のように、実施の形態1〜3のレベル変換回路では、レベル変換する信号の数が多くなると従来のレベル変換回路と比較しての電源電流低減の効果が小さくなる。実施の形態4ではその点を改善し、レベル変換する信号の数が多くなるほど従来のレベル変換回路と比較したときの電源電流低減の効果が大きくなるレベル変換回路を提案する。
図21は実施の形態4に係るレベル変換回路の回路図である。ここでは図17と同様に3相の入力信号INS1〜INS3のレベル変換を行う例を示す。本実施の形態のレベル変換回路は、3つの単位レベル変換回路LS1〜LS3より構成される。なお図21においては、単位レベル変換回路LS1〜LS3として、図1の単位レベル変換回路をベースとして用いた例を示すが、もちろん上記の図3〜図13に示したものを用いてもよい。
図21のレベル変換回路は、以下の点を除いて基本的に図17と同じであるので、ここでは図17とは異なる部分のみの説明を行う。
図21の回路では、単位レベル変換回路LS1〜LS3それぞれの入力段回路100において、ノードN3とロー側電源線104との間に接続するトランジスタQ30が設けられる。当該トランジスタQ30のゲートは、1相遅れ回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続される。またトランジスタQ7のゲートの接続先が、前相回路(2相遅れ回路)の入力段回路100の出力ノードN4に変更されている。よってトランジスタQ7は、前相回路の入力信号がLレベルの期間にオンになってノードN3を充電し、トランジスタQ30は1相遅れ回路の入力信号がLレベルの期間にオンになってノードN3を放電する。
図21のレベル変換回路の動作は基本的に図17の回路と同様であるため、ここでのレベル変換回路の全体的な動作の説明は省略し、各単位レベル変換回路の入力段回路100に生じる電源電流について説明する。単位レベル変換回路LS1〜LS3の動作は基本的に同じである(但し、動作タイミングが異なる)ので、ここでは代表的に単位レベル変換回路LS1の入力段回路100の動作を説明する。またここでも図18の信号波形図を参照する。
まず図18の時刻t21の直前においては、入力信号INS3がLレベルであり、入力信号INS1,INS2はHレベルである。この状態では単位レベル変換回路LS3のノードN4,N5はHレベルであり、単位レベル変換回路LS1,LS2のノードN4,N5はLレベルである。このとき単位レベル変換回路LS1では、トランジスタQ7がオン、トランジスタQ30がオフであるのでノードN3はHレベル(VH−Vth)に充電されている。よって単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ1はオン状態であり、またトランジスタQ4もオンしているので電源電流が流れる。
時刻t21で入力信号INS3がHレベルになり、入力信号INS1がLレベルに変化すると、単位レベル変換回路LS3のノードN4,N5はLレベルに変化し、単位レベル変換回路LS1のノードN4,N5はHレベルに変化する。このとき単位レベル変換回路LS1では、トランジスタQ7がオフになるがトランジスタQ30もオフであるので、ノードN3はフローティング状態になり容量素子C3によるフィードバック作用により昇圧される。よって単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ1は非飽和状態でオンしているが、トランジスタQ4はオフしているので電源電流は流れない。
そして時刻t22で、入力信号INS1がHレベルなり、入力信号INS2がLレベルに変化すると、単位レベル変換回路LS1のノードN4,N5はLレベルに変化し、単位レベル変換回路LS2のノードN4,N5はHレベルに変化する。このとき単位レベル変換回路LS1では、トランジスタQ30がオンになるので、ノードN3は放電されてLレベル(VSS)になる。よって単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ1はオフになり、このときトランジスタQ4がオンになっても電源電流は流れない。
続いて時刻t23で、入力信号INS2がHレベルになり、入力信号INS3がLレベルに変化すると、単位レベル変換回路LS2のノードN4,N5はLレベルに変化し、単位レベル変換回路LS3のノードN4,N5はHレベルに変化する。つまり時刻t21の直前の状態に戻る。よって単位レベル変換回路LS1では、トランジスタQ7によってノードN3はHレベル(VH−Vth)に充電され、トランジスタQ1,Q4を通して電源電流が流れる。
以降、入力信号INS1〜INS3のレベル変化に応じて、上記の時刻t21〜t23の動作が繰り返し行われる。またレベル変換回路LS2,LS3でも同様の動作が行われる。
このように図21の回路においては、単位レベル変換回路LS1〜LS3のそれぞれの入力段回路100において、電源電流が流れる期間はノードN3がHレベルであり且つ自己回路の入力信号がHレベルである期間、即ち前相回路の入力信号がHレベルである期間のみである。よって単位レベル変換回路LS1〜LS3のそれぞれにおいて、電源電流が流れるのは入力信号の周期の1/3の期間のみとなる。
単位レベル変換回路LS1〜LS3の電源電流をそれぞれI1〜I3とすると、この場合の電源電流は図22(a)の如く、常に3つの単位レベル変換回路LS1〜LS3のうちの1つにしか流れない。従って図20の回路における全電源電流はIh=I1+I2+I3=Ibとなる。つまり全電源電流は、従来の単位レベル変換回路で3相の信号のレベル変換を行う場合の1/3(即ち33%)になる。
同様に、本実施の形態の単位レベル変換回路を用いて4相の信号をレベル変換する場合には、図22(b)の如く、常に4つの単位レベル変換回路のうちの1つにしか電源電流が流れない。よって4つの単位レベル変換回路を流れる電源電流をそれぞれI1〜I4とすると、この場合の全電源電流もIh=I1+I2+I3+I4=Ibとなる。つまり全電源電流は、従来の単位レベル変換回路で4相の信号のレベル変換を行う場合の1/4(即ち25%)になる。
このように本実施の形態によれば、入力信号の相数とは無関係にレベル変換回路の全電源電流はIbで一定となる。従って、入力信号の相数を増加するほど、電源電流の低減効果が増大することになる。
なお入力信号の相数が2相の場合には、実施の形態1〜3のレベル変換回路でも全電源電流はIbとなるので、本実施の形態は特に3相以上の入力信号のレベル変換を行う場合に有効である。
[第1の変更例]
図23(a),(b)は実施の形態4に係るレベル変換回路の第1の変更例を説明するための図である。図21においては、トランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続され、トランジスタQ30のソースはロー側電源線104(ロー側電源ノードS1)に接続させていたが、それらの接続は図23(a),(b)のように変更してもよい。
図23(a),(b)は実施の形態4に係るレベル変換回路の第1の変更例を説明するための図である。図21においては、トランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続され、トランジスタQ30のソースはロー側電源線104(ロー側電源ノードS1)に接続させていたが、それらの接続は図23(a),(b)のように変更してもよい。
図23(a)は、トランジスタQ7のドレインをゲート共に前相回路のノードN4に接続させたものである(トランジスタQ7は前相回路のノードN4から自己回路のノードN3への向きが順方向となるようにダイオード接続される)。トランジスタQ7がハイ側電源線102に接続しなくなるため、ハイ側電源線102のレイアウト設計が容易になる。
また図23(b)は、図23(a)の構成からさらに、トランジスタQ30のソースも前相回路のノードN4に接続させたものである。トランジスタQ30がロー側電源線104に接続しなくなるため、ロー側電源線104のレイアウト設計も容易になる。
なお本変更例は、図21のように単位レベル変換回路LS1〜LS3として図1の単位レベル変換回路をベースとして用いた場合のみならず、図3〜図13に示したものを用いた場合にも適用可能である。
[第2の変更例]
図24は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第2の変更例を示す図であり、図21の回路に対し、図9(実施の形態1の第7の変更例)に示した入力段回路100およびプッシュプル回路110を適用した例である。
図24は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第2の変更例を示す図であり、図21の回路に対し、図9(実施の形態1の第7の変更例)に示した入力段回路100およびプッシュプル回路110を適用した例である。
即ち本変更例では、図22において図9の入力段回路100およびプッシュプル回路110を適用し、そのノードN3とロー側電源線104との間にトランジスタQ30を設けている。当該トランジスタQ30のゲートは1相遅れ回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続される。またトランジスタQ7のゲートを前相回路(2相遅れ回路)のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続している。
本変更例では、プッシュプル回路110のHレベル電圧がトランジスタQ8のしきい値電圧分の損失を伴わないので、図24に示すように出力段回路130のトランジスタQ17のゲート並びに入力段回路100のトランジスタQ7ゲートにも、プッシュプル回路110の出力信号を入力させることができる。出力段回路130へ入力させる信号配線数を少なくでき、回路の占有面積を小さくできる。
また、入力段回路100の出力ノードN4の寄生容量が低減され、その充電速度が向上されるのでその分トランジスタQ1の駆動能力を小さくすることが可能になる。つまり入力段回路100の電源電流の低減に寄与できる。
[第3の変更例]
図25(a),(b)は実施の形態4に係るレベル変換回路の第3の変更例を説明するための図である。図24においては、トランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続され、トランジスタQ30のソースはロー側電源線104(ロー側電源ノードS1)に接続させていたが、それらの接続は図25(a),(b)のように変更してもよい。
図25(a),(b)は実施の形態4に係るレベル変換回路の第3の変更例を説明するための図である。図24においては、トランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続され、トランジスタQ30のソースはロー側電源線104(ロー側電源ノードS1)に接続させていたが、それらの接続は図25(a),(b)のように変更してもよい。
図25(a)は、トランジスタQ7のドレインをゲート共に前相回路のノードN5に接続させたものである(トランジスタQ7は前相回路のノードN5から自己回路のノードN3への向きが順方向となるようにダイオード接続される)。トランジスタQ7がハイ側電源線102に接続しなくなるため、ハイ側電源線102のレイアウト設計が容易になる。
また図25(b)は、図25(a)の構成からさらに、トランジスタQ30のソースも前相回路のノードN5に接続させたものである。トランジスタQ30がロー側電源線104に接続しなくなるため、ロー側電源線104のレイアウト設計も容易になる。
[第4の変更例]
図26は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第4の変更例を示す図であり、図24の回路に対し、図10(実施の形態1の第8の変更例)に示した出力段回路130を適用した例である。
図26は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第4の変更例を示す図であり、図24の回路に対し、図10(実施の形態1の第8の変更例)に示した出力段回路130を適用した例である。
この場合、図26に示すが如く、各単位レベル変換回路の出力段回路130において、トランジスタQ41のゲートは自己回路の入力段回路100の出力ノードN4に接続され、トランジスタQ42,Q48,Q46は1相遅れ回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続される。
そして図17の例と同様に、出力端子OUTとロー側電源線104との間に接続し、前相回路により駆動されるトランジスタQ29が設けられる。このトランジスタQ29は、トランジスタQ45,Q46の両方がオフ状態になるときに、出力端子OUTを低インピーダンスでLレベルに維持するために設けられている。
[第5の変更例]
図27は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第5の変更例を示す図であり、トランジスタQ7,Q30を最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3を用いて制御する例を示している。即ち、各単位レベル変換回路において、トランジスタQ7のゲートは前相回路の出力端子OUTに接続され、トランジスタQ30のゲートは1相遅れ回路の出力端子OUTに接続される。
図27は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第5の変更例を示す図であり、トランジスタQ7,Q30を最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3を用いて制御する例を示している。即ち、各単位レベル変換回路において、トランジスタQ7のゲートは前相回路の出力端子OUTに接続され、トランジスタQ30のゲートは1相遅れ回路の出力端子OUTに接続される。
最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3は出力端子OUTに接続される負荷容量を駆動するため駆動能力が大きく設定されているので、トランジスタQ7,Q30のゲート容量による最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3の立ち上がり速度への影響(信号遅延の増大)は殆どない。
但し、本変更例では起動時におけるノードN3のレベルが不定状態となる。よって必要に応じて、出力段回路130に実施の形態1の第11の変更例(図13)を適用し、図27のように最終出力信号/OUTS1〜/OUTS3を特定のレベルに設定するためのトランジスタQ26〜Q28(場合によってはトランジスタQ28は省略可能)を設けることが好ましい。
[第6の変更例]
図28(a),(b)は実施の形態4に係るレベル変換回路の第6の変更例を説明するための図である。図27においては、トランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続され、トランジスタQ30のソースはロー側電源線104(ロー側電源ノードS1)に接続させていたが、それらの接続は図28(a),(b)のように変更してもよい。
図28(a),(b)は実施の形態4に係るレベル変換回路の第6の変更例を説明するための図である。図27においては、トランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続され、トランジスタQ30のソースはロー側電源線104(ロー側電源ノードS1)に接続させていたが、それらの接続は図28(a),(b)のように変更してもよい。
図28(a)は、トランジスタQ7のドレインをゲート共に前相回路の出力端子OUTに接続させたものである(トランジスタQ7は前相回路の出力端子OUTから自己回路のノードN3への向きが順方向となるようにダイオード接続される)。トランジスタQ7がハイ側電源線102に接続しなくなるため、ハイ側電源線102のレイアウト設計が容易になる。
また図28(b)は、図28(a)の構成からさらに、トランジスタQ30のソースも前相回路の出力端子OUTに接続させたものである。トランジスタQ30がロー側電源線104に接続しなくなるため、ロー側電源線104のレイアウト設計も容易になる。
[第7の変更例]
図27の回路においては、レベル変換回路の動作開始前に各単位レベル変換回路のノードN3がトランジスタQ7のオフリーク電流により、予めHレベルに充電されていることを想定している。しかしその充電が不充分である場合、トランジスタQ1がオンにならないため入力信号がLレベルになってもノードN4がHレベルにならないという誤動作が生じる。
図27の回路においては、レベル変換回路の動作開始前に各単位レベル変換回路のノードN3がトランジスタQ7のオフリーク電流により、予めHレベルに充電されていることを想定している。しかしその充電が不充分である場合、トランジスタQ1がオンにならないため入力信号がLレベルになってもノードN4がHレベルにならないという誤動作が生じる。
ここでは単位レベル変換回路LS1〜LS3のうち単位レベル変換回路LS1が最初に動作する(入力信号INS1〜INS3のうち入力信号INS1が最初にLレベルに変化する)場合を想定する。
図29は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第7の変更例を示す図であり、図27の回路の単位レベル変換回路LS1に対し、リセット信号RSTSにより制御されノードN3を充電するトランジスタQ31を設けたものである。当該トランジスタQ31は、単位レベル変換回路LS1のノードN3とロー側電源線104との間に接続され、ゲートはリセット信号RSTSが入力されるリセット端子RSTに接続されている。
トランジスタQ31は、動作開始前にリセット信号RSTSにより一定期間オンにされ、ノードN3を所定電圧レベルに充電する。その結果、単位レベル変換回路LS1のトランジスタQ1がオンになり、当該単位レベル変換回路LS1が正常に動作できるようになる。
なお、ここでは単位レベル変換回路LS1〜LS3のうち単位レベル変換回路LS1から動作が開始することを想定しているが、仮にレベル変換回路LS2から動作を開始する場合は、トランジスタQ31はレベル変換回路LS2に設けられる。同様にレベル変換回路LS3から動作を開始する場合、トランジスタQ31は単位レベル変換回路LS3に設けられる。
またここでは図27に対する変更例を示したが、ノードN3とハイ側電源線102との間に接続し、リセット信号RSTSにより制御されるトランジスタQ31は、本実施の形態およびその各変更例の入力段回路100の何れにも適用可能である。
[第8の変更例]
図37は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第8の変更例を示す図であり、図21の回路に対し、ノードN3を放電して非活性レベルにするトランジスタQ30のゲートおよびソース(ノードN3に接続しない側の主電極)の各接続先を変更したものである。即ち図37に示すように、トランジスタQ30のソースを前相回路の入力段回路100の出力ノードN4に接続させると共に、ゲートを自己回路の入力端子INに接続させている。
図37は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第8の変更例を示す図であり、図21の回路に対し、ノードN3を放電して非活性レベルにするトランジスタQ30のゲートおよびソース(ノードN3に接続しない側の主電極)の各接続先を変更したものである。即ち図37に示すように、トランジスタQ30のソースを前相回路の入力段回路100の出力ノードN4に接続させると共に、ゲートを自己回路の入力端子INに接続させている。
この構成では、トランジスタQ7が前相回路の入力段回路100の出力信号に応じてノードN3の充電を行うとき、トランジスタQ30のゲートに供給される入力信号はHレベルである。しかしトランジスタQ30のソースにも前相回路の入力段回路100の出力信号が供給されているので、そのときトランジスタQ30のソースもHレベルになっており、トランジスタQ30を通してノードN3が放電されることはない。よって図37の回路でもノードN3の充放電は図21の場合と同様に行われる。従って図37の回路は図21の回路と同様に動作することができる。
本変更例では、トランジスタQ30のゲートを1相遅れ回路に接続させる必要がないので、図21の構成よりも配線のレイアウト設計が容易になる。なお、トランジスタQ30のソースに前相回路の入力段回路100の出力信号(ノードN4の信号)を供給する必要が生じるが、その信号は本来的にトランジスタQ7のゲートに供給されている信号であるため、それを同じ単位レベル変換回路に属するトランジスタQ30のソースにも供給させるように配線のレイアウトを変更することは容易である。
ここでは図21の回路に対する変更例を示したが、本変更例はノードN3を放電するトランジスタQ30を備える他の実施の形態および変更例に対しても適用可能である。例えば図24の回路のように、トランジスタQ7のゲートに前相回路のプッシュプル回路110の出力信号(ノードN5の信号)が供給される構成に対しては、トランジスタQ30のソースにも同じく前相回路のプッシュプル回路110の出力信号を供給させるとよい。そのようにトランジスタQ30のソースにトランジスタQ7のゲートと同じ信号を供給するように配線のレイアウトを変更することは容易である。
なお、本変形例を図27の回路に応用した例は、後述の第10の変更例にて示される。
[第9の変更例]
図38は実施の形態4に係るレベル変換回路の第9の変更例を説明するための図である。図37においてはトランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続させていたが、図38の如く、トランジスタQ7のドレインをゲート共に前相回路のノードN4に接続させてもよい(トランジスタQ7は前相回路のノードN4から自己回路のノードN3への向きが順方向となるようにダイオード接続される)。トランジスタQ7がハイ側電源線102に接続しなくなるため、ハイ側電源線102のレイアウト設計が容易になる。
図38は実施の形態4に係るレベル変換回路の第9の変更例を説明するための図である。図37においてはトランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続させていたが、図38の如く、トランジスタQ7のドレインをゲート共に前相回路のノードN4に接続させてもよい(トランジスタQ7は前相回路のノードN4から自己回路のノードN3への向きが順方向となるようにダイオード接続される)。トランジスタQ7がハイ側電源線102に接続しなくなるため、ハイ側電源線102のレイアウト設計が容易になる。
図示は省略するが、例えば図24の回路のように、トランジスタQ7のゲートに前相回路のプッシュプル回路110の出力信号(ノードN5の信号)が供給される構成に対しては、トランジスタQ7のゲートおよびドレイン、並びにトランジスタQ30のソースは、前相回路のノードN5が接続される。
[第10の変更例]
図39は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第10の変更例を示す図であり、図27の回路に対し、ノードN3を放電して非活性レベルにするトランジスタQ30のゲートおよびソース(ノードN3に接続しない側の主電極)の各接続先を変更したものである。即ち図39に示すように、トランジスタQ30のソースを前相回路の出力端子OUTに接続させると共に、ゲートを自己回路の入力端子INに接続させている。
図39は、実施の形態4に係るレベル変換回路の第10の変更例を示す図であり、図27の回路に対し、ノードN3を放電して非活性レベルにするトランジスタQ30のゲートおよびソース(ノードN3に接続しない側の主電極)の各接続先を変更したものである。即ち図39に示すように、トランジスタQ30のソースを前相回路の出力端子OUTに接続させると共に、ゲートを自己回路の入力端子INに接続させている。
この構成では、トランジスタQ7が前相回路の最終出力信号に応じてノードN3の充電を行うとき、トランジスタQ30のゲートに供給される入力信号はHレベルである。しかしトランジスタQ30のソースにも前相回路の最終出力信号が供給されているので、そのときトランジスタQ30のソースもHレベルになっており、トランジスタQ30を通してノードN3が放電されることはない。よって、図39の回路でもノードN3の充放電は図27の回路と同様に行われる。従って図39の回路も図27の回路と同様に動作することができる。
上記の第8の変更例と同様に、トランジスタQ30のゲートを1相遅れ回路に接続させる必要がないので、図27の構成よりも配線のレイアウト設計が容易になる。またトランジスタQ30のソースに前相回路の最終出力信号を供給する必要が生じるが、その信号は図27の回路でもトランジスタQ7のゲートに供給されているため、それを同一の単位レベル変換回路に属するトランジスタQ30のソースにも供給させるように配線のレイアウトを変更することは容易である。
ここでは図27の回路に対する変更例を示したが、本変更例はノードN3を放電するトランジスタQ30を備える他の実施の形態および変更例に対しても適用可能である。但し、例えば図21の回路のようにトランジスタQ7のゲートに前相回路の入力段回路100の出力信号が供給される構成に対しては、トランジスタQ30のソースに前相回路の最終出力信号を供給させるのに配線の大幅なレイアウト変更を伴うことも考えられる。その点で、そのような構成の回路に対しては上記の第8の変更例を適用する方が効果的である。
[第11の変更例]
図40は実施の形態4に係るレベル変換回路の第11の変更例を説明するための図である。図39においてはトランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続させていたが、図40の如く、トランジスタQ7のドレインをゲート共に前相回路の出力端子OUTに接続させてもよい(トランジスタQ7は前相回路の出力端子OUTから自己回路のノードN3への向きが順方向となるようにダイオード接続される)。トランジスタQ7がハイ側電源線102に接続しなくなるため、ハイ側電源線102のレイアウト設計が容易になる。
図40は実施の形態4に係るレベル変換回路の第11の変更例を説明するための図である。図39においてはトランジスタQ7のドレインはハイ側電源線102に接続させていたが、図40の如く、トランジスタQ7のドレインをゲート共に前相回路の出力端子OUTに接続させてもよい(トランジスタQ7は前相回路の出力端子OUTから自己回路のノードN3への向きが順方向となるようにダイオード接続される)。トランジスタQ7がハイ側電源線102に接続しなくなるため、ハイ側電源線102のレイアウト設計が容易になる。
<実施の形態5>
以上の各実施の形態では、入力信号のLレベル電圧と、レベル変換回路のロー側電源電圧VSSとが互いに等しいものと仮定して説明したが、本実施の形態では両者が互いに異なる場合にも対応可能な形態を示す。実使用においても、液晶素子や有機EL(エレクトロルミネセンス)等の表示素子を用いた表示装置においては、ゲート線駆動回路のロー側電源電圧は制御信号の生成回路のロー側電源電圧と異なることが多く、例えばクロック信号のレベル変換回路には、そのようなものが必要とされる。
以上の各実施の形態では、入力信号のLレベル電圧と、レベル変換回路のロー側電源電圧VSSとが互いに等しいものと仮定して説明したが、本実施の形態では両者が互いに異なる場合にも対応可能な形態を示す。実使用においても、液晶素子や有機EL(エレクトロルミネセンス)等の表示素子を用いた表示装置においては、ゲート線駆動回路のロー側電源電圧は制御信号の生成回路のロー側電源電圧と異なることが多く、例えばクロック信号のレベル変換回路には、そのようなものが必要とされる。
図31は、本発明の実施の形態5に係るレベル変換回路の構成を示す図である。ここでは2相の入力信号INS1,INS2のレベル変換を行う例を示す。当該レベル変換回路は、図1の回路に対し、入力段回路100の構成を変更している。また当該レベル変換回路のロー側電源ノードS1(ハイ側電源線102)には、入力信号INS1,INS2のLレベル電位VSS(基準電圧GND)よりも低い負電圧−VLが供給されている。
図31の如く、単位レベル変換回路LS1,LS2の入力段回路100において、トランジスタQ4のゲートは、容量素子C1を介して入力端子INに接続している。従って、入力信号が容量素子C1による容量結合を介してトランジスタQ4のゲートに伝達されるので、トランジスタQ4のゲート電圧は入力信号の電圧レベルを問わず、その振幅に依存して変化する。よって入力信号のLレベル電圧とレベル変換回路のロー側電源電圧とが互いに異なる場合にも適用可能である。
トランジスタQ4のゲートが接続するノードN1の電圧レベルは、例えば電圧源投入の直後などに不定状態になる。例えば各電圧源が供給されている状態から停電等により電圧源が切断されたケースでは、切断時の動作状態によってはノードN1にHレベルの電圧が残る場合があるためである。その場合、電圧源の投入時点でトランジスタQ4はオンになり、入力段回路100の出力信号(ノードN4の電圧レベル)はLレベルになる。
例えば単位レベル変換回路LS1がそのような状態になり、入力信号INS1がLレベルからHレベルに変化すると、容量素子C1を介する結合によりノードN1の電圧レベルも上昇するが、それがHレベルであることに変わりはなく、トランジスタQ4はオンに維持されるのでノードN4はLレベルから変化しない。続いて入力信号INS1がHレベルからLレベルに変化すると、容量素子C1を介する結合によりノードN1の電圧レベルは低下するが、やはりHレベルのままでありノードN4はLレベルに維持される。つまり入力段回路100の出力信号(ノードN4の電圧レベル)が入力信号INS1に応じたレベルにならないという誤動作が生じる。
その誤動作を防止するために、図31の単位レベル変換回路LS1,LS2の入力段回路100には、容量素子C2、N型のトランジスタQ6および電流駆動素子I2から成るリセット回路が設けられている。当該リセット回路は、所定のリセット信号RSTSに応じて、ノードN1の初期値をLレベル(VSS)に設定するものである。ノードN1がLレベルに初期化されるトランジスタQ4がオフになるので、入力段回路100の出力信号(ノードN4の信号)はHレベル(VH)に設定される。電圧源投入の直後の誤動作を防止するのであれば、リセット信号RSTSとして、例えば各電圧源の投入直後の一定期間活性化される(Hレベルになる)パワーオンリセット信号を用いればよい。
トランジスタQ6は、ノードN1とロー側電源線104の間に接続され、ゲートは容量素子C2を介してリセット信号RSTSが供給されるリセット端子RSTに接続される。電流駆動素子I2は、トランジスタQ6のゲートが接続するノードN2とロー側電源線104との間に接続される。
また入力段回路100は、ノードN1とロー側電源線104との間に接続し、ゲートが自己回路のプッシュプル回路110の出力ノードN5に接続されたN型のトランジスタQ5を備えている。当該トランジスタQ5は、ノードN1がLレベルにされてノードN5がHレベルになったときに、ノードN1を低インピーダンスでLレベルに維持することで入力段回路100の動作を安定させるものである。
図31の回路のレベル変換動作は基本的に図1の回路と同じであるので説明は省略し、単位レベル変換回路LS1,LS2の入力段回路100(特にリセット回路)の動作を説明する。ここでは代表的に単位レベル変換回路LS1の入力段回路100の動作を説明する。
電圧源が投入された直後における単位レベル変換回路LS1を想定する。このとき入力信号INS1およびリセット信号RSTSは、共にLレベル(GND)であり、ノードN1は不定状態であるとする。またリセット信号RSTSはパワーオンリセット信号であるとする。なお、ノードN2は電流駆動素子I2を流れる電流によりLレベル(−VL)になるので、トランジスタQ6はオフしている。
電圧源が投入された後に、リセット信号RSTS(パワーオンリセット信号)がHレベル(VDD)に変化すると、この電圧変化が容量素子C2を介してトランジスタQ6のゲート(ノードN2)に伝達される。ノードN2には、トランジスタQ6のゲート容量や配線容量等を含む寄生容量が存在しており、当該寄生容量はこのときのノードN2の電圧変化を抑制するように働く。しかし容量素子C2の容量値は、その寄生容量に対して充分大きく設定されており、このときのノードN2の電圧変化は、リセット信号RSTSの電圧変化とほぼ同じ(VDD)である。つまりノードN2の電圧レベルは、−VLからVDDだけ上昇してVDD−VLとなる。
ノードN2の電圧が上昇すると、トランジスタQ6のゲート・ソース間電圧がVDDとなる。するとトランジスタQ6がオンし(トランジスタQ6のしきい値電圧は電圧VDDよりも充分低く設定されている)、ノードN1がLレベルに初期化される。応じてトランジスタQ4がオフになり、ノードN4はHレベル(VH)になる。ノードN4がHレベルになると、プッシュプル回路110はトランジスタQ8がオン、トランジスタQ9がオフの状態となるのでノードN5はHレベル(VH−Vth)になる。応じてトランジスタQ5がオンになり、トランジスタQ6と共にノードN1を低インピーダンスのLレベルにする。
このようにノードN2の電圧レベルが−VLから上昇すると、ノードN2は電流駆動素子I2を通して放電されることとなるが、電流駆動素子I2は抵抗値が高く設定されており、ノードN2の電圧レベルはVDD−VLから僅かずつ低下するだけである。つまり電流駆動素子I2は、ノードN2からロー側電源線104へ流れる電流を制限する電流制限素子として機能している。
その後、リセット信号RSTSがLレベル(GND)に戻ると、この電圧変化が容量素子C2を介してノードN2に伝達され、ノードN2の電圧レベルはVDDだけ低下して略−VLに戻る。これによりトランジスタQ6がオフになるが、トランジスタQ5はオンしているので、ノードN1は低インピーダンスのLレベル(−VL)に維持される。以上でリセット回路による初期化動作は完了する。
そして入力信号INS1が、Lレベル(GND)からHレベル(VDD)に変化すると、この電圧変化が、容量素子C1を介してノードN1に伝達される。ノードN1には、トランジスタQ4のゲート容量や配線容量等の寄生容量が存在し、それがノードN1の電圧変化を抑制するように働く。しかし容量素子C1の容量値は当該寄生容量に対して充分大きく設定されており、ノードN1の電圧変化は入力信号INS1の電圧変化とほぼ同じくVDDだけ上昇してVDD−VLとなる。
ノードN1の電圧がVDD−VLに上昇すると、トランジスタQ4のゲート・ソース間電圧はVDDとなる。するとトランジスタQ4がオンし(トランジスタQ4のしきい値電圧は電圧VDDよりも充分低く設定されている)、ノードN4の電圧レベルはLレベル(−VL)になる。
その結果プッシュプル回路110は、トランジスタQ8がオフ、トランジスタQ9がオンの状態となり、ノードN5はLレベル(−VL)になる。応じてトランジスタQ5はオフになるのでノードN1は高インピーダンスでHレベルに保持される。
その後、さらに入力信号INS1がLレベル(GND)に変化すると、この電圧変化が、容量素子C1を介してノードN1に伝達され、ノードN1の電圧レベルはVDDだけ低下してLレベルになる。これによりトランジスタQ4がオフとなり、ノードN4がHレベル(VH)になる。応じてプッシュプル回路110のノードN5はHレベルになる。よってこのときトランジスタQ5はオンになり、ノードN1を低インピーダンスでLレベルに維持する。
以降は、図1の回路と同様に、入力信号INS1のレベルが変化する毎に、入力段回路100およびプッシュプル回路110の出力信号のレベルが変化する。
このように本変更例によれば、単位レベル変換回路LS1,LS2において、トランジスタQ4のゲート(ノードN1)に、容量素子C1による容量結合を介して入力信号が供給されるので、入力信号の電圧レベルを問わずレベルシフト動作を行うことができる。
またリセット回路が、リセット信号RSTSに応じてノードN1をLレベルに初期化することができるので、ノードN1が不定状態になることに起因する誤動作の問題は解決される。しかも当該リセット回路は、容量素子C2、電流駆動素子I2およびトランジスタQ6から成るシンプルな構成であるので小占有面積で実現可能である。
先に述べたようにノードN2とロー側電源線104との間に接続する電流駆動素子I2は、電流駆動能力が制限されることにより、ノードN2からロー側電源線104へ流れる電流を抑制する電流制限素子として機能する。図32(a)〜(d)にその構成の具体例を示す。
例えば図32(a)の如く、電流駆動素子I2は、高い抵抗値を有する抵抗素子R2により構成できる。また図32(b)の如く、定電流源CS2を用いてもよい。電流駆動素子I2として定電流源CS2を用いた場合、定電流源CS2の駆動電流を調整することによりノードN1の放電速度を正確に設定することができる。
また電流駆動素子I2もN型のトランジスタを用いて構成できる。例えば図32(c)の如く、ゲートとソースがノードN2に接続し、ドレインがロー側電源線104に接続したトランジスタQ2を用いる。即ち当該トランジスタQ2はダイオード接続され、そのオン抵抗が抵抗素子として機能する抵抗モードで動作することになる。また図32(c)の如く、ソースがノードN2に接続し、ドレインがロー側電源線104に接続したトランジスタQ2を用い、そのゲートを基準電圧GNDが供給される基準電源ノードS1に接続させてもよい。この場合もトランジスタQ2は、抵抗モードで動作するのに変わりはないが、非飽和領域で動作することになる。なお図32(c)の例においては、トランジスタQ2のゲートには当該トランジスタQ2がオンになる電圧が供給されていればよいので、基準電圧GNDに代えて、例えば電圧VDDあるいは電圧VHを供給してもよい。
このように電流駆動素子I2を、駆動能力を制限したトランジスタにより構成することにより、小占有面積の電流駆動素子I2を実現することができる。また電流駆動素子I2が、レベル変換回路を構成する他のトランジスタと同じN型トランジスタで構成されるため、それらを同一プロセスで形成することができ、製造工程数の削減を図ることができる。
<実施の形態6>
図21(実施の形態4)の回路では、ノードN3にトランジスタQ9が接続されるため、図1の回路に比べてノードN3の寄生容量は大きくなる。よって容量素子C3を介したブートストラップ作用によりノードN3が上昇するときその上昇速度は遅くなり、応じてノードN4の充電速度(入力段回路100の出力信号の立ち上がり速度)が低下するという問題がある。
図21(実施の形態4)の回路では、ノードN3にトランジスタQ9が接続されるため、図1の回路に比べてノードN3の寄生容量は大きくなる。よって容量素子C3を介したブートストラップ作用によりノードN3が上昇するときその上昇速度は遅くなり、応じてノードN4の充電速度(入力段回路100の出力信号の立ち上がり速度)が低下するという問題がある。
また図21の回路では、容量素子C3を介したブートストラップ作用によりノードN3が昇圧されたとき、トランジスタQ7,Q30のゲートはLレベル(VSS)に設定されるので、トランジスタQ7,Q30のドレイン(ノードN3)とゲートとの間に2・VH−Vthnもの高い電圧が掛かるという問題もある。
実施の形態6では以上の2つの問題を解決することが可能なレベル変換回路を提案する。図34は、実施の形態6に係るレベル変換回路の構成を示す図である。当該レベル変換回路は、図21の回路に対し、単位レベル変換回路LS1〜LS3それぞれの入力段回路100において、トランジスタQ1のゲートとトランジスタQ7,Q30間の接続ノード(ノードN3)との間を、ゲートをハイ側電源線102に接続させたトランジスタQ34を介して接続させたものである。なお、容量素子C3は、トランジスタQ1のゲート(トランジスタQ1のゲートとトランジスタQ34と間の接続ノード(ノードN8))とノードN4との間に接続させる。
本実施の形態の入力段回路100では、ノードN4の充電時に容量素子C3を介する結合によってトランジスタQ1のゲート(ノードN8)が昇圧されたとき(ブートストラップ作用)、トランジスタQ34がオフになる。その結果ノードN3がトランジスタQ1のゲートから電気的に分離され、トランジスタQ1のゲートに係る寄生容量が低減される。従って、トランジスタQ1のゲートの電圧レベルの上昇速度が速くなり、応じてトランジスタQ1によるノードN4の充電速度(入力段回路100の出力信号の立ち上がり速度)が高速化される。
また図34の回路では、ブートストラップ作用によりトランジスタQ1のゲート(ノードN8)が昇圧されたときでも、トランジスタQ7,Q30のドレイン(ノードN3)の電圧レベルはVH−Vthnから上昇しない。つまり、図21の回路よりも、トランジスタQ7,Q30のドレイン・ゲート間電圧が緩和される。
ここでは図21の入力段回路100に対してトランジスタQ34を設けた例のみを示したが、当該トランジスタQ34は、実施の形態4のあらゆる変更例における入力段回路100に対しても適用することができる。
<実施の形態7>
実施の形態3〜6に係るレベル変換回路も、上記の実施の形態2を適用して、P型トランジスタのみを用いて構成することができる。即ち、実施の形態3〜5の回路に対し、N型トランジスタに代えてP型トランジスタを用い、電源電圧の極性を逆にし、また各信号の電圧極性を逆に(活性レベルをLレベル、非活性レベルをHレベルにする)すればよい。
実施の形態3〜6に係るレベル変換回路も、上記の実施の形態2を適用して、P型トランジスタのみを用いて構成することができる。即ち、実施の形態3〜5の回路に対し、N型トランジスタに代えてP型トランジスタを用い、電源電圧の極性を逆にし、また各信号の電圧極性を逆に(活性レベルをLレベル、非活性レベルをHレベルにする)すればよい。
例えば実施の形態5(図31)に対応するレベル変換回路をP型トランジスタを用いて構成すると図33のレベル変換回路になる。図33において、図31のレベル変換回路に示したものに対応する各要素については、それと同一の符号に「B」の添え字を付して示している。この場合の電流駆動素子I2Bも、図32(a)〜(d)の回路に対して上記と同じ変更を適用することにより、抵抗素子、定電流源あるいはP型トランジスタを用いて構成することができる。但し、電流駆動素子I2Bを、定電流源あるいはP型トランジスタを用いた1方向性素子とする場合には、図33におけるハイ側電源線104BからノードN2Bへの方向を順方向する点に留意する必要がある。
また例えば実施の形態6(図34)に対応するレベル変換回路をP型トランジスタを用いて構成すると図35のレベル変換回路になる。
100 入力段回路、102 ハイ側電源線、104 ロー側電源線、110 プッシュプル回路、210 プッシュプル出力回路、130 出力段回路、220 昇圧プッシュプル回路、LS1〜LS3 単位レベル変換回路、RST リセット端子、I2 電流駆動素子、IN 入力端子、OUT 出力端子。
Claims (24)
- 第1電源および第2電源を有し、
前記第1電源と前記第2電源の電圧の差よりも小さな振幅を有する複数の入力信号に基づき、前記第1電源の電圧に対応する電圧レベルと前記第2電源の電圧に対応する電圧レベルとの間で変化する複数の出力信号を生成するレベル変換回路であって、
1つの前記入力信号が入力され1つの前記出力信号を出力する単位レベル変換回路を複数個備え、
前記単位レベル変換回路のそれぞれは、
前記出力信号を、自己の前記入力信号に基づいて活性化させ、他の単位レベル変換回路から供給される信号に基づいて非活性化させる
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項1記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路のそれぞれは、
前記入力信号のレベル変化に応じてレベル変化する第1内部信号を生成する入力段回路と、
前記第1内部信号のレベル変化に応じてレベル変化する第2内部信号を生成するプッシュプル回路と、
前記出力信号を、前記第1または第2内部信号の活性化に応じて活性化させ、前記他の単位レベル変換回路の前記第2内部信号の活性化に応じて非活性化させる出力段回路とを備える
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項2記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路の各々の前記入力段回路は、
前記第1内部信号の出力ノードである第1ノードと前記第1電源との間に接続され、前記入力信号を受けるゲートを有する所定導電型の第1トランジスタと、
前記第2電源と前記第1ノードとの間に接続される前記所定導電型の第2トランジスタと、
前記第2電源と前記第2トランジスタのゲートが接続する第2ノードとの間に接続され、前記第2電源に接続したゲートを有する前記所定導電型の第3トランジスタと、
前記第1ノードと前記第2ノードのゲートとの間に接続される第1容量素子とを備える
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項1から請求項3のいずれか記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路は2つであり、
当該2つの単位レベル変換回路のそれぞれに入力される前記入力信号は、互いに相補な信号である
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項1から請求項3のいずれか記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路を3つ以上備え、
複数の前記入力信号は特定の順序でレベル変化するものであり、
単位レベル変換回路の各々において、
前記他の単位レベル変換回路は、当該単位レベル変換回路の後に前記出力信号が活性化されるものである
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項2記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路を3つ以上備え、
前記単位レベル変換回路の各々の前記入力段回路は、
前記第1内部信号の出力ノードである第1ノードと前記第1電源との間に接続され、前記入力信号を受けるゲートを有する所定導電型の第1トランジスタと、
前記第2電源と前記第1ノードとの間に接続される前記所定導電型の第2トランジスタと、
前記第1内部信号を活性化させる前に前記第2トランジスタのゲートが接続する第2ノードを活性レベルにする活性化手段と、
前記第1内部信号を非活性化させたときに前記第2ノードを非活性レベルにする非活性化手段と、
前記第1ノードと前記第2ノードのゲートとの間に接続される第1容量素子とを備える
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項6記載のレベル変換回路であって、
単位レベル変換回路の各々において、
前記活性化手段は、
前記第2ノードと前記第2電源との間に接続し、第1の他の単位レベル変換回路の前記第1内部信号、前記第2内部信号および前記出力信号のいずれかによって制御される第3トランジスタであり、
前記非活性化手段は、
前記第2ノードと前記第1電源との間に接続し、第2の他の単位レベル変換回路の前記第1内部信号、前記第2内部信号および前記出力信号のいずれかによって制御される第4トランジスタである
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項7記載のレベル変換回路であって、
複数の前記入力信号は特定の順序でレベル変化するものであり、
単位レベル変換回路の各々において、
前記第1の他の単位レベル変換回路は、当該単位レベル変換回路の前に前記出力信号が活性化されるものであり、
前記第2の他の単位レベル変換回路は、当該単位レベル変換回路の後に前記出力信号が活性化されるものである
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項6記載のレベル変換回路であって、
単位レベル変換回路の各々において、
前記活性化手段は、
前記第2ノードと前記第2電源との間に接続し、当該単位レベル変換回路の直前に前記出力信号が活性化される他の単位レベル変換回路の前記第1内部信号、前記第2内部信号および前記出力信号のいずれかによって制御される第3トランジスタであり、
前記非活性化手段は、
当該単位レベル変換回路の直前に前記出力信号が活性化される前記他の単位レベル変換回路の前記第1内部信号、前記第2内部信号および前記出力信号のいずれかが供給されるノードと前記第2ノードとの間に接続し、前記入力信号によって制御される第4トランジスタである
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項6から請求項9のいずれか記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路の少なくとも1つにおいて、
前記入力段回路が、
前記第2ノードと前記第2電源との間に接続し、所定のリセット信号により制御される前記所定の導電型の第5トランジスタをさらに備える
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項6から請求項9のいずれか記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路の各々の前記入力段回路において、
前記第1容量素子と前記第2トランジスタのゲートとの接続ノードと前記第2ノードとの間に、ゲートが前記第2電源に接続した第6トランジスタが介在している
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項2から請求項11のいずれか記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路の各々の前記プッシュプル回路は、
前記第2内部信号の出力ノードである第3ノードと前記第1電源との間に接続され、前記入力信号を受けるゲートを有する前記所定導電型の第7トランジスタと、
前記第2電源と前記第3ノードとの間に接続され、前記第1内部信号を受けるゲートを有する前記所定導電型の第8トランジスタと
を備えることを特徴とする
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項12記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路の各々において、
前記第2トランジスタと前記第2電源との間には、ゲートが前記第2電源に接続した前記所定導電型の第9トランジスタが介在しており、
前記第2トランジスタと前記第9トランジスタとの間の接続ノードである第4ノードと前記第3ノードとの間には、第2容量素子が接続されている
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項2から請求項13のいずれか記載のレベル変換回路であって、
前記出力段回路は、
前記出力信号が出力される出力端子と前記第1電源との間に接続された第10トランジスタと、
前記出力端子と前記第2電源との間に接続され、前記第1または第2内部信号により制御された第11トランジスタとを備え、
前記第11トランジスタがオンした後に、当該第11トランジスタのゲート・ソース間電圧がより大きくなる方向に前記第11トランジスタのゲートが接続する第5ノードの電圧が変化するように構成されており、
前記第10トランジスタは、
前記他の単位レベル変換回路の前記第2内部信号により制御されている
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項14記載のレベル変換回路であって、
前記出力段回路は、
前記第1電源と前記第5ノードとの間に接続する第12トランジスタと、
前記第2電源と前記第5ノードとの間に接続し、前記第1または第2内部信号を受けるゲートを有する第13トランジスタと、
前記第5ノードと所定の第6ノードとの間に接続した第3容量素子と、
前記第11トランジスタがオンした後に、前記第6ノードの電圧レベルを変化させることにより前記第5ノードの電圧レベルを変化させて前記第11トランジスタのゲート・ソース間電圧をより大きくする昇圧回路とを備え、
第12トランジスタは、
前記他の単位レベル変換回路の前記第2内部信号により制御されている
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項15記載のレベル変換回路であって、
前記昇圧回路は、前記出力信号に応じて動作する
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項15記載のレベル変換回路であって、
前記昇圧回路は、
前記第1または第2内部信号を遅延させる遅延回路を含み、当該遅延回路によって遅延させた前記第1または第2内部信号に応じて動作する
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項14記載のレベル変換回路であって、
前記出力段回路は、
前記第1電源と所定の第7ノードとの間に接続された前記所定導電型の第14トランジスタと、
前記第2電源と前記第7ノードとの間に接続され、前記第5ノードに接続したゲートを有する前記所定導電型の第15トランジスタと、
前記第1電源と前記第5ノードとの間に接続された前記所定導電型の第16トランジスタと、
前記第5ノードと所定の第8ノードとの間に接続され、前記第1または第2内部信号により制御される前記所定導電型の第17トランジスタと、
前記第8ノードと前記第2電源との間に接続され、前記第2電源に接続したゲートを有する第18トランジスタと、
前記第7ノードと前記第8ノードとの間に接続された第4容量素子とをさらに備え、
前記第14トランジスタおよび前記第16トランジスタは、
前記他の単位レベル変換回路の前記第2内部信号に制御されている
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項1から請求項18のいずれか記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路の各々の前記出力段回路が、
前記出力信号が出力される出力端子と前記第1電源との間に接続する前記所定の導電型の第19トランジスタと、
前記出力信号が非活性の期間に前記第19トランジスタをオンに維持させる保持回路とを備える
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 請求項19記載のレベル変換回路であって、
前記単位レベル変換回路の各々において、
前記保持回路は、
前記前記第19トランジスタのゲートと第1電源との間に接続し、当該単位レベルシフト回路の前記出力信号の活性化に応じてオンになる前記所定の導電型の第20トランジスタと、
前記前記第19トランジスタのゲートと第2電源との間に接続し、他の単位レベル変換回路の前記出力信号の活性化に応じてオンになる前記所定の導電型の第21トランジスタとを備える
ことを特徴とするレベル変換回路。 - 前記第1電源は、前記第2電源よりも低い電圧レベルを供給し、
前記入力信号のローレベルの電圧レベルは、前記第1電源の電圧レベルよりも高く、
前記所定導電型はN型である
請求項1から請求項20のいずれか記載のレベル変換回路。 - 前記入力信号のローレベルは接地電圧レベルである
請求項21記載のレベル変換回路。 - 前記第1電源は、前記第2電源よりも高い電圧レベルを供給し、
前記入力信号のハイレベルの電圧レベルは、前記第1電源の電圧レベルよりも低く、
前記所定導電型はP型である
請求項1から請求項20のいずれか記載のレベル変換回路。 - ゲート線に接続した画素を駆動するゲート線駆動回路と、
所定のクロック信号をレベル変換して前記ゲート線駆動回路に供給するレベル変換回路とを備える画像表示装置であって、
前記レベル変換回路は、請求項1から請求項23のいずれか記載のものであり、
前記画素およびゲート線駆動回路を構成するトランジスタは、全て前記所定導電型のものである
ことを特徴とする画像表示装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008106759A JP2009260615A (ja) | 2008-04-16 | 2008-04-16 | レベル変換回路および画像表示装置 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2014045478A (ja) * | 2012-07-30 | 2014-03-13 | Semiconductor Energy Lab Co Ltd | 順序回路、半導体装置 |
JP2014514687A (ja) * | 2011-03-15 | 2014-06-19 | ゼネラル・エレクトリック・カンパニイ | Emiフィルタ用のピーク電流制限器を持つ照明用電源回路 |
-
2008
- 2008-04-16 JP JP2008106759A patent/JP2009260615A/ja active Pending
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