JP2009254945A - 磁性物除去具 - Google Patents
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Abstract
【課題】様々な加工槽における磁性物除去具の設置スペースに対応することができ、磁石体を容易に分離可能な磁性物除去具を提供する。
【解決手段】
(A) 平板状の磁石体12と、
(B) 前記磁石体12が挿脱可能にて嵌挿される鞘13と、
(C) 磁石体12または鞘13の少なくともいずれか一方の側辺部分Sに取着され、磁石体12または鞘13の厚み方向に伸びる脚部17と、
(D) 鞘13の表裏両面における磁石体挿入側端縁部分において、少なくとも鞘13の幅全体にわたって外方に突設された立板部37、38とで構成されたことを特徴とする磁性物除去具11である。
【選択図】図1
【解決手段】
(A) 平板状の磁石体12と、
(B) 前記磁石体12が挿脱可能にて嵌挿される鞘13と、
(C) 磁石体12または鞘13の少なくともいずれか一方の側辺部分Sに取着され、磁石体12または鞘13の厚み方向に伸びる脚部17と、
(D) 鞘13の表裏両面における磁石体挿入側端縁部分において、少なくとも鞘13の幅全体にわたって外方に突設された立板部37、38とで構成されたことを特徴とする磁性物除去具11である。
【選択図】図1
Description
本発明は、加工装置の油槽や加工槽内に設置され、該槽内の油や水から磁石に吸着される磁性物を取り除く磁性物除去具に関する。
ワイヤーカット・放電加工機・研磨機・旋盤・MC(マシニングセンター)機械などの加工装置では、鉄系の被加工材料を加工する際に磁性を有し、磁石に吸着される切粉やスラッジ等(以下、これらの総称として「磁性物」という。)が発生する。この磁性物は、研磨機や旋盤などであれば切削油などに混入して油槽に流入し、ワイヤーカットや放電加工機などであれば加工槽内の油や水に混入する。このため、油や水に混入した磁性物が油槽に流入したり、加工槽内で浮遊したりすると、切削油配管の目詰まりが生じ、あるいは被加工材料の加工精度を維持するのが困難となることから、該磁性物を速やかに、かつ、効率よく油や水から除去する必要がある。
そこで、永久磁石などを用いた磁性物除去具を油槽や加工槽等(以下、これらの総称として「加工槽」という)内に設置し、これに磁性物を付着させて取り除く方法が従来から広く用いられており(例えば、特許文献1)、これにより、加工槽内における赤水や錆の発生を防止できるとともに、加工槽内の水や油の濁りや腐敗を防止することもできる(なお、磁性物除去具は、加工槽から定期的に引き上げられ洗浄される)ので、加工装置のメンテナンスのための経費を削減することができ、環境問題にも貢献することができる。
加工槽内に設置される従来の磁性物除去具51は、図9に示すように、筐体下部53と、この筐体下部53に対して図中上方から被せられる合成樹脂製の筐体上部52と、筐体上部52および筐体下部53を互いに固定する金属製の取付具55、56とで構成されている。
筐体下部53は、方形の台座53aと、該台座53aの上面に立設された4枚の湾曲磁性板材53bとで構成されている(湾曲磁性板材53bは、後述するように筐体上部52に覆われている)。また、筐体上部52は、筐体下部53の台座53aの上面を覆う台座61と、台座61の上面に立設された4枚の湾曲磁性板材53bを覆う4枚のカバー62、63、64および65とで一体に構成されている。なお、4枚のカバー62、63、64および65は、中心66で互いに接合されている。また、中心66には、金属製の取手54が取り付けられている。
このような磁性物除去具51を加工槽内に沈めておくと、加工槽内の油や水の中を浮遊している磁性物が筐体下部53の湾曲磁性板材53bの磁力によって筺体上部52の4枚のカバー62、63、64および65の表面に吸着される。
そして、所定の期間、加工槽内に沈めておいた磁性物除去具51を引き上げ、取付具55および56を緩めて筺体上部52と筐体下部53を分離すると、カバー62、63、64および65の表面に付着した磁性物に筐体下部53の湾曲磁性板材53bからの磁力が及ばなくなり、当該磁性物は自重により筐体上部52の表面から剥がれ落ちる。なお、筐体上部52の表面に残った磁性物は、筐体上部52を水洗いしたり、布で拭くことで取り除くことができるし、空気を噴射して吹き飛ばしたり、粘着テープを使用してもよい。
実開平2−133438号公報
しかし、上述した従来の磁性物除去具51には、以下のような問題があった。
(1)加工槽内において、磁性物除去具51を設置しようとするスペースの大きさは加工装置によって様々であるが、加工機本体や被加工材料の取り付けスペースが当然に優先されることから、一般的に、加工槽内における磁性物除去具51の設置スペースは極めて狭く、磁性物除去具51の設置スペースとして「細長い隙間」しか確保できないことがある。
従来の磁性物除去具51は、縦向き(台座61を加工槽の底面に対して立てた状態)に設置することができないので、加工槽内の「細長い隙間」に磁性物除去具51を設置しようとすると、磁性物除去具51の形状を該隙間に入るように小さくしなければならなかった。しかし、磁性物除去具51を小さくすると切粉やスラッジの吸着面積が小さくなることから磁性物除去具51の吸着能力が低下するため、数多くの磁性物除去具51を加工槽内に設置するか、あるいは磁性物除去具51の清掃を頻繁に実施する必要があった。また、加工槽内の様々な設置スペースに対応させるため、様々な大きさの磁性物除去具51を予め用意しておかなければならなかった。
(2)磁性物除去具51では、筐体上部52および筐体下部53の形状が複雑であり、筐体上部52に付着した磁性物を取り除くのが困難であった。例えば空気を噴射して切粉やスラッジを除去しようとしても、磁性物除去具51に対する空気の流れが錯綜することによって磁性物除去具51が不所望に動いたり、作業者に対して思わぬ方向から磁性物を伴う空気の跳ね返りがあったりすることから、作業の効率が良くなかった。
加えて、その形状の複雑さから、筐体上部52は合成樹脂で成形しなければならず、部材強度に問題が生じたり、その表面に付着した切粉やスラッジを拭き取る際に表面に傷がついたりするおそれがあった。
さらに、筐体下部53の湾曲磁性板材53bも形状が複雑であることから、筺体上部52と筐体下部53とを分離する際、誤って切粉やスラッジが湾曲磁性板材53bに付着すると、それを取り除くのが困難であった。また、仮に、湾曲磁性板材53bに切粉やスラッジが付着したままで磁性物除去具51を組み立てようとすると樹脂製の筐体上部52の湾曲磁性板材収納部分の開口が固定的で開かないので筐体下部53の湾曲磁性板材53bが筐体上部52の湾曲磁性板材収納部分に挿入できないという問題や、無理やり挿入しようとすると、筺体上部52が破損するおそれがあった。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みて開発されたものである。それゆえに本発明の主たる課題は、様々な加工槽における磁性物除去具の設置スペース(特に「細長い隙間」)に対応することができるとともに、挿脱が容易であってその形状も単純で磁性物を容易に分離可能な磁性物除去具を提供することにある。
請求項1に記載した発明は、
(A) 平板状の磁石体12と、
(B) 前記磁石体12が挿脱可能にて嵌挿される鞘13と、
(C) 磁石体12または鞘13の少なくともいずれか一方の側辺部分に取着され、磁石体12または鞘13の厚み方向に伸びる脚部17と、
(D) 鞘13の表裏両面における磁石体挿入側端縁部分において、少なくとも鞘13の幅全体にわたって外方に突設された立板部37、38とで構成されたことを特徴とする磁性物除去具11である。
(A) 平板状の磁石体12と、
(B) 前記磁石体12が挿脱可能にて嵌挿される鞘13と、
(C) 磁石体12または鞘13の少なくともいずれか一方の側辺部分に取着され、磁石体12または鞘13の厚み方向に伸びる脚部17と、
(D) 鞘13の表裏両面における磁石体挿入側端縁部分において、少なくとも鞘13の幅全体にわたって外方に突設された立板部37、38とで構成されたことを特徴とする磁性物除去具11である。
本発明の磁性物除去具11は、板状に形成されているので、加工槽内の「細長い隙間」にも設置することができる。なお、磁石体12自身を磁石で構成してもよいし、磁石体12の一部を構成する中空の板状ケーシング21aの内部に磁石20を配設することによって構成してもよい。勿論、磁石体12の一部を構成する板材の表面に凹所を形成し、該凹所に磁石20を嵌め込むことによって構成してもよい。
加えて、磁性物除去具11には、磁石体12または鞘13の少なくともいずれか一方の側辺部分Sに取着され、磁石体12または鞘13の厚み方向に伸びる脚部17が設けられているので、加工槽内の「細長い隙間」に磁性物除去具11を設置する際、脚部17を下にし、安定して縦向き(磁石体12、鞘13を立てた状態)にて不所望に倒れたりせずに設置することができる。脚部17が磁石体12、鞘13の両側辺の合計4箇所(符号23、24、35、36で示す。)にそれぞれ設置されている場合には、4箇所の脚部23、24、35、36を利用して磁石体12を水平状態に配置することもできる。なお、脚部17が1本の場合、鞘13に設ける場合は鞘13の側辺部分Sのどの部分に設けることもできるが、磁石体12の場合には、鞘13の挿入端の反対側である基部39に設けられる。図の場合は磁石体12の基部39の両端、鞘13の先端部40の角部分の合計4箇所に四つの脚部23、24、35、36が設けられているが、2本の場合は磁石体12及び鞘13の同じ側の2隅でもよい。このように脚部17を設けて磁性物除去具11を縦向き(或いは水平=磁石体12、鞘13を寝かせた状態)にすることにより、磁性物71の磁着面積(つまり、鞘13の表裏の表面積)はそのままで、加工槽内の「細長く幅の狭い隙間」に磁性物除去具11を設置できることが挙げられる。これにより、磁性物除去具11の磁能力を低下させることなく加工槽内の「細長く幅の狭い隙間」に設置することができるので、様々な大きさの磁性物除去具11を用意する必要もなくなる。
前述のように磁性物除去具11を横向きに設置した場合を更に詳しく説明すると、図2に示すように、4つの脚部23、24、35および36が協働して加工槽の底面から浮かせて磁石体12が挿入されている鞘13を支持することになる。これにより、磁性物除去具11を横向きに設置した場合でも、両方の薄板部31、32の両表面を磁性物71の磁着面として機能させることができるので、磁性物除去具11の吸着能力が低下するおそれがない。なお、4つの脚部23、24、35および36の磁石体12あるいは鞘13の表面からの突出代を互いに等しく設定しておくことが好適である。これにより、磁性物除去具11を横向きに設置したとき、磁石体12、鞘13を加工槽の底面に対して水平に保持できるからである。
磁石体12が鞘13に収められた状態の磁性物除去具11を、磁性物71を含む油や水が貯留された加工槽内に沈めておくと(もちろん、縦向きでも横向きでも構わない)、加工槽内の油や水の中を漂う磁性物71が磁石体12の磁力によって鞘13の表面に磁着される。
一定期間が経過して薄板部31、32の表面に磁性物71が十分に磁着された後、磁性物除去具11を加工槽から取り出す。そして、以下に説明するように、磁石体12と鞘13とをそれぞれ反対方向に引っ張って磁石体12を鞘13から引き抜くだけで、付着した磁性物71を磁性物除去具11から分離することができる。
すなわち、磁性物除去具11を縦向きにして磁石体12と鞘13とをそれぞれ反対方向に引っ張ると、磁性物71は磁石体12とともに鞘13の表面上を移動する。ところが、鞘13の開口33bを構成する磁石体挿入端縁部分31c、32cには鞘13の少なくとも全幅に渡って立板部37、38が突設されているので、鞘13の表面上を移動してきた磁性物71は、すべて当該立板部37、38によって堰き止められ、それ以上磁石体12と共に移動することができず、立板部37、38の前方で蝟集する。そして、磁石体12の鞘13からの引き抜きに連れて磁石体12の磁力が及ばない部分が生じると当該部分の磁性物71は順次重力によって薄板部31、32の表面から剥がれ落ち、磁石体12が鞘13から完全に引き抜かれて、もはや磁石体12の磁力が磁性物71に及ばない位置まで鞘13から離れたとき、立板部37、38によって堰き止められていた磁性物71は、ほぼ全て重力によって薄板部31、32の表面から剥がれ落ちる。
請求項2に記載した発明は、請求項1または2に記載の磁性物除去具11に関し、「その磁石体挿入用の開口33bが磁石体12の厚みt1より狭い間隔t2にてばね付勢され且つ互いに離間可能にて対向し、その対向面間にて前記磁石体12が挿入される空間を形成する一対の薄板部31、32と、一方の薄板部31の側辺31a、31aから他方32の側辺32aに向かって伸び且つその先端部分33aが他方の薄板部32の背面側に回り込んで他方の薄板部32の背面に係止される係止片部33とで構成されている」ことを特徴とする。
ここでは、互いに離間可能にて対向し、その対向面間にて前記磁石体12が挿入される空間を形成している一対の薄板部31、32の磁石体挿入用の開口33bが磁石体12の厚みt1より狭い間隔t2にてばね付勢されているので、磁石体12の表面に磁性体71が付着したとしても挿入時に磁石体12の表面を薄板部31、32が摺動して磁性体71を離脱させて磁石体12の表面と薄板部31、32との間に入り込まないようにして磁石体12の鞘13への挿入を円滑に行えるようにしている。しかも仮に磁石体12の表面に付着した磁性体71が挿入時に磁石体12の表面と薄板部31、32との間に入り込んだとしても薄板部31、32の間隔が開いて磁性体71の鞘13への挿入が妨げられない。
請求項3に記載した発明は、請求項1または2に記載の磁性物除去具11に関し、「前記各立板部37、38の端縁に係止される一対の鉤44、45をその両端部に有しており、前記鞘13の被挿入端側に跨設されるストッパ14を備えている」ことを特徴とする。
本発明によれば、磁石体12を鞘13に収めた状態で、一対の鉤44、45を一対の立板部37、38にそれぞれ係止させてストッパ14を鞘13の被挿入端側に跨設することにより、磁性物除去具11を加工槽内に設置したり、加工槽内から取り出したりする際に、不所望に鞘13から磁石体12が抜け出すのを防止することができる。もちろん、磁性物除去具11の使用中に、加工機から伝達されてきた振動などによって鞘13から磁石体12が抜け出すのを防止することもできる。
請求項4に記載した発明は、請求項1から3のいずれかに記載の磁性物除去具11に関し、「前記磁石体12の挿入側端部12dとは反対側の基部39には、第1の取手22が取り付けられており、前記鞘13の被挿入側である開口33bとは反対側の先端部40には、第2の取手34が取り付けられている」ことを特徴とする。
本発明によれば、第1の取手22および第2の取手34を把持して鞘13に対する磁石体12の抜き差し作業を行うことができるので、当該作業を容易に行うことができる。
本発明によれば、様々な加工槽における磁性物除去具の設置スペース(とりわけ「細長い隙間」)に対応することができるとともに、磁石体を容易に分離可能な磁性物除去具を提供することができる。
以下、図面を参照して、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。図1は、磁石体12が鞘13から少し引き出されている状態を示している。また、図2は、磁性物除去具11において、磁石体12が鞘13に収められている状態を示しており、図3および図4は、それぞれ、図2の状態の磁性物除去具11を示す概略側面図と概略上面図である。なお、簡略化のため、図3および図4においては、ストッパ14と鎖15とが省略されている。
本実施例に係る磁性物除去具11は、大略、磁石体12、鞘13、脚部17、第1の取手22、第2の取手34および必要に応じて取り付けられるストッパ14、鎖15から構成されている。脚部17は図の実施例の場合、一対の磁石体用脚部23、24、一対の鞘用脚部35、36で構成されているが、磁石体12または鞘13のいずれかで、磁石体12または鞘13の一方の側辺部分Sまたは両方の側辺部分S、Sに形成するようにしてもよい。ここでは脚部17が4箇所に設けられているものを代表例にとって説明する。
磁石体12は、永久磁石20と、永久磁石20が装着された板状の厚板部21とで構成されている。勿論、前述したように、厚板部21自身を磁石で構成してもよいし、中空の板状ケーシング21a内に磁石20が埋設された矩形樹脂厚板21bを配設することによって構成してもよい。勿論、図示していないが板状の厚板部21の表面に凹所を形成し、該凹所に磁石20を嵌め込むことによって構成してもよい。
厚板部21は、表裏一対で磁性を有しないステンレス鋼(SUS304)の板材を使用して作られた中空矩形状の部材で、耳部12a、12bが両端部に延出され(図8参照)、永久磁石収納状態の矩形樹脂厚板21bが内部に納められた状態で溶接されている。内部の磁石20は四角いタイル状(もちろん、他の形状であってもよい)で縦横2枚ずつ4枚配設されている。
第1の取手22は、磁性を有しないステンレス鋼(SUS304)の中実の丸棒を「コ」字状に曲げて形成されており、その両端が第1取手取付部22cに取り付けられ、この第1取手取付部22cが基部39側の耳部12b(図1における厚板部21の左側端)に取り付けられている。なお、第1の取手22の構成は、これに限られるものではなく、中空のものでも、角棒でもよく、「T」字状にしてその軸部分を前記基部39に取り付けてもよいし、「L」字状に曲げてどちらか一方端のみを基部39に取り付けるようにしてもよい。
一対の磁石体用脚部23、24は、磁性を有しないステンレス鋼(SUS304)の断面正方形状の棒材であり、その長さL1は、厚板部21の厚さt1よりも長く形成されており、第1の取手22が取り付けられた第1取手取付部22cの上端(図1中の奥側)および下端(図1中の手前側)において、該磁石体12の厚さ方向に延びるようにして同寸の突出代にて配設されている。
鞘13は、2枚のテンレス鋼(SUS304)製の薄板を折曲して形成されたもので、磁着面を構成する薄板部31、32、一方の薄板部31の側辺31aから他方の薄板部32側に延出され、その先端が他方の薄板部32の背方に折曲されている係止片部33、鞘13の開口33bにて薄板部31、32の磁石体挿入端縁部分31c、32cから外方に折曲されて延出している一対の立板部37、38、および鞘13の先端部40を構成する薄板部31、32の先端折曲部40a、40bからなる。
薄板部31、32は、開口33bにおいて厚板部21の厚さt1よりもやや狭い間隔t2をあけて互いに対向するように配設されており、先端折曲部40a、40bにより開口33bが若干閉じる方向にバネ付勢がなされている。
前述の係止片部33は、図1の場合は薄板部31、32の側辺31a、32aの中央部に、図8の場合は側辺31a、32aの上・下両端部分に設けられており、これら係止片部33の先端部分33aにより係止され、磁石体12が嵌挿された時、磁石体挿入端縁部分31c、32cが磁石体12の表面を摺接し、そして、該表面の付着物を掻き落としながら挿入され、鞘13が先端部分33aの係止位置まで拡開される事になる。
一対の立板部37、38は、鞘13の開口33bにおける薄板部31、32の磁性体挿入端縁部分31c、32cにおいて、薄板部31、32を外方に折曲されて形成されたもので、少なくとも各薄板部31、32の全幅、即ち、鞘13の全幅よりも幅広に形成されている。
第2の取手34は、磁性を有しないステンレス鋼(SUS304)の中実の丸棒を「コ」字状に曲げて形成されており、その両端が第2取手取付部34aの耳部12aに取り付けられている。なお、第2の取手34は、これに限られるものではなく、中空のものでも、角棒でもよく、「L」字状に曲げてどちらか一方端のみを鞘13に取り付けるようにしてもよい。
一対の鞘用脚部35、36は、磁性を有しないステンレス鋼(SUS304)の断面正方形状の棒材であり、第2取手取付部34aの上端および下端において、該鞘13の厚さ方向に延びるようにして配設されている。なお、一対の磁石体用脚部23、24および一対の鞘用脚部35、36は、互いに鞘13の表面から同じ突出代にて同じ長さL1に形成されている。従って、4箇所の脚部23、24、35、36は鞘13の表面から同じ突出代で突出されている。
ストッパ14は、略「く」字状に曲げて形成された本体部43と、本体部43の両端をそれぞれ内側に向けて折り曲げて形成された鉤44、45とを有するステンレス鋼(SUS304)製の部材であり、鉤44の懐部14aと鉤45の懐部14aとを結んだ直線距離が、鞘13の立板部37、38の両端縁間距離よりも、やや短く形成されている。
鎖15は、ステンレス鋼(SUS304)で形成されており、その一端が第1の取手22に取り付けられ、他端がストッパ14の本体部43の略中央部に取り付けられている。
本実施例に係る磁性物除去具11の使用方法について説明する。まず、鞘13の開口33bに磁石体12の挿入側端部12dを挿入することになるが、鞘13の開口33bは磁石体12の厚みより若干幅狭に形成されているので、既に述べたように磁石体12の挿入と共に鞘13のバネ性により磁石体挿入端縁部分31c、32cが磁石体12の表面に摺接し、該表面に付着物を削ぎ落され、磁石体12に取り付けられた磁石体用脚部23、24が鞘13の立板部37、38に当接するまで磁石体12が鞘13に嵌挿される。換言すれば磁石体12が鞘13の中(つまり、一対の薄板部31、32と係止片部33と先端部40とで構成された空間の中)に完全に嵌挿された状態となる。この状態で、図2に示すように、立板部37、38の両端縁にストッパ14の鉤44、45をそれぞれ係止することにより、ストッパ14が立板部37、38間に跨設された状態となって磁石体12が不所望に鞘13から抜け出すのを防止することができる。なお、上述したように、ストッパ14は、鎖15によって第1の取手22に繋げられているので、ストッパ14を誤って紛失するのを防止することができる。
このように構成された磁性物除去具11を加工装置の加工槽内に設置する。磁性物除去具11は、加工槽内の設置スペースの形状に応じて、横向き(磁石体12、鞘13が立てになるような向き)あるいは縦向き(磁石体12、鞘13が横になるような向き)で加工槽内の油あるいは水に沈めた状態で設置する。なお、加工槽内に設置する磁性物除去具11の数は1つでもよいし、加工槽の形状や水・油の循環経路に応じて複数の磁性物除去具11を設置してもよい。
加工槽に設置され、所定期間使用された磁性物除去具11の状態を図5および図6に示す。図5は、磁性物除去具11を横向きに設置して使用した状態を示し、図6は、磁性物除去具11を縦向きに設置して使用した状態を示している。
図5および図6に示されるいずれの場合も、加工槽内を浮遊する磁石体71が、磁石体12の厚板部21内に配設された永久磁石20の磁力によって引き寄せられ、主として鞘13における薄板部31および32の表面に付着する(もちろん、係止片部33などにも磁石体71の一部が付着することもある)。
このように磁石体71が大量に付着した磁性物除去具11を加工槽内から取り出した後、磁石体12を鞘13から引き抜くだけで、磁石体71を磁性物除去具11から分離することができる。すなわち、ストッパ14の一端に設けられた鉤44の先端を鞘13から離間する方向に持ち上げ、ストッパ14を立板部37、38から取り外す。そして、磁性物除去具11を縦向きにした状態で第1の取手22および第2の取手34を左右それぞれの手で把持し、図7に示すように、磁石体12を鞘13から引き抜く。
磁石体12を鞘13から引き抜くとき、薄板部31、32の表面に付着した磁石体71は、磁石体12における厚板部21内に配設された永久磁石20の磁力により、磁石体12と共に薄板部31、32の表面上を移動する。ところが、薄板部31、32の被挿入側端部には、立板部37、38が形成されているので、薄板部31、32の表面上を移動してきた磁石体71は、該立板部37、38によって堰き止められ、それ以上磁石体12と共に移動することができなくなり、立板部37、38の前方で蝟集し、続いて磁石体12の鞘13からの引き抜きと共に磁力が届かなくなった部位から磁石体71が剥落する。そして、磁石体12が鞘13から完全に引き抜かれて、もはや永久磁石20の磁力が磁石体71に及ばない位置まで鞘13から磁石体12が離れたとき、全ての磁石体71は重力によって鞘13における薄板部31、32の表面から剥がれ落ちる。なお、図7には、こうして剥がれ落ちた磁石体72も示されている。
このようにして、薄板部31、32の表面から磁石体71を容易に分離することができる(もちろん、係止片部33などに付着していた磁石体71も同様に取り除くことができる)が、少量の磁石体71が薄板部31、32の表面に残ったり、厚板部21の表面に付着することがある。しかし、こういった少量の磁石体71は、洗い流したり、拭き取ったりすることで、比較的容易に取り除くことができる。このようにして磁石体71が取り除かれた磁性物除去具11は、図2の状態に再度組み立てられた上で加工槽内に戻される。
また、鞘13内部や磁石体12との間に入り込んだ少量の磁石体71は、磁性物除去具11を加工槽から引き出した時に、切削油などと共に鞘13の側辺部分Sの開口部分から排出される。
本発明の実施例による磁性物除去具11は、以上の通り構成されるが、磁性物除去具11が設置される加工槽の形状や、使用の条件等によって、種々の変形が可能である。例えば、磁性物除去具を構成する材料としてSUS304を用いたが、SUS316等、それ以外の磁石に引き付けられないステンレス鋼を用いてもよいし、ステンレス鋼以外の磁石に引き付けられない材料を用いても良い。
また、厚板部21や薄板部31、32の形状についても、角に丸みがあったり、各辺に凸部や凹部があったりしてもよく、大きさや縦横の長さの比なども適宜変更することができる。磁石体12に取り付けられた一対の磁石体用脚部23、24や、鞘13に取り付けられた一対の鞘用脚部35、36の形状も適宜選択することができる。例えば、角柱ではなく円柱や三角柱であっても良い。
さらに、厚板部21の内部に収容される永久磁石20の数や大きさについても、適宜選択することができる。
また、ワイヤーカット・放電加工機・研磨機・旋盤・MC機械などの加工装置における加工槽内に磁性物除去具11を設置する場合について説明してきたが、磁性物除去具11は、製造業のあらゆる分野において適用が可能である。つまり、磁石体が取り除かれる材料または媒体も、粉粒体、液体など、流動するものである限り、その種類は、食品、樹脂、化学薬品、金属などいかなるものであってもよい。また、取り除かれるべき磁石体も、材料を加工する工程中に発生するものに限定されず、製品の材料に元から混在している磁石体であってもよい。
11…磁性物除去具
12…磁石体
13…鞘
14…ストッパ
15…鎖
20…永久磁石
21…厚板部
22…第1の取手
23、24、35、36…脚
33…側部
34…第2の取手
37、38…立板部
44、45…鉤
12…磁石体
13…鞘
14…ストッパ
15…鎖
20…永久磁石
21…厚板部
22…第1の取手
23、24、35、36…脚
33…側部
34…第2の取手
37、38…立板部
44、45…鉤
Claims (4)
- (A) 平板状の磁石体と、
(B) 前記磁石体が挿脱可能にて嵌挿される鞘と、
(C) 磁石体または鞘の少なくともいずれか一方の側辺部分に取着され、磁石体または鞘の厚み方向に伸びる脚部と、
(D) 鞘の表裏両面における磁石体挿入側端縁部分において、少なくとも鞘の幅全体にわたって外方に突設された立板部とで構成されたことを特徴とする磁性物除去具。 - 前記鞘は、その磁石体挿入用の開口が磁石体の厚みより狭い間隔にてばね付勢され且つ互いに離間可能にて対向し、その対向面間にて前記磁石体が挿入される空間を形成する一対の薄板部と、一方の薄板部の側辺から他方の側辺に向かって伸び且つその先端部分が他方の薄板部の背面側に回り込んで他方の薄板部の背面に係止される係止片部とで構成されていることを特徴とする請求項1に記載の磁性物除去具。
- 前記各立板部の端縁に係止される一対の鉤をその両端部に有しており、前記鞘の被挿入端側に跨設されるストッパを更に備えていることを特徴とする請求項1または2に記載の磁性物除去具。
- 前記磁石体の挿入側端部とは反対側の基部には、第1の取手が取り付けられており、
前記鞘の磁石体挿入用の開口とは反対側の端部には、第2の取手が取り付けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の磁性物除去具。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2008105136A JP2009254945A (ja) | 2008-04-14 | 2008-04-14 | 磁性物除去具 |
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JP2008105136A JP2009254945A (ja) | 2008-04-14 | 2008-04-14 | 磁性物除去具 |
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2011136300A (ja) * | 2009-12-28 | 2011-07-14 | Mitsubishi Heavy Ind Ltd | 油中異物除去装置 |
KR101885020B1 (ko) * | 2017-02-16 | 2018-08-02 | 오기종 | 금형 가공장치 |
-
2008
- 2008-04-14 JP JP2008105136A patent/JP2009254945A/ja active Pending
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