JP2009252259A - 半導体メモリデバイス - Google Patents

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信和 三上
Takuya Nakauchi
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Abstract

【課題】MCUの発生抑制に有効な構成の半導体メモリデバイスを提供する。
【解決手段】ソースがGND電圧の供給線に接続され、ドレインが負荷素子(PMOS)を介して電源電圧Vddの供給線に接続されるN型の駆動トランジスタN1,N2を含むSRAMセル100と、N型の駆動トランジスタN1,N2が形成されるPウェル20PをGND電圧より低い所定のバックバイアス電圧(−VBB)に制御する基板バイアス制御回路8と、を有する。
【選択図】図2

Description

本発明は、負荷素子と駆動トランジスタをメモリセル内に有する、SRAMなどの半導体メモリデバイスに関する。
SRAM(Static Random Access Memory)は、汎用メモリ、ロジック混載のメモリとして広く用いられている。SRAMにおいて、電源電圧の低下やセルの縮小によってソフトエラー耐性が低下しており、ソフトエラーの回避策が重要性を増している。
ソフトエラー回避策としてストレージノードに蓄える電荷量を大きくするため、当該ノード容量値を上げるデバイス構造の工夫が多く行われてきたが、電源電圧の低下とともにストレージノードの電圧も低くなり、その分、記憶電荷量が減るためソフトエラー耐性も低くならざるを得ない。
よって電圧の制御によりソフトエラーを回避することが行われており、代表的なものではワード線の昇圧があるが、昇圧回路の付加が負担となるためコストアップの要因となる。一方、ワード線昇圧の駆動力を高めるために、ワード線駆動回路へ与える電源電圧や基板バイアス電圧を制御する技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
一方、SRAMにソフトエラーが発生しても、その影響を回避するための重要な技術の1つに、ECCを用いたエラー訂正技術がある。
しかし、ECCを用いたエラー訂正技術では、エラー訂正能力を超える複数のエラーが同時に発生した場合、このような複数エラーは訂正できない。
特開平7−230693号公報
一度に複数のエラーが発生するソフトエラーのモードとして、MCU(Multi Cell Upset:マルチセルアップセット)がある。これは、一度の放射線入射によって複数のセルが反転(upset)するものである。最先端の半導体プロセスでは、微細化に伴いセル間の距離が小さくなり、このMCUが発生する確率が飛躍的に上昇している。本願の発明者による調査においては、最小デザインルールが65[nm]のプロセスで製造したSRAMに中性子線照射を行った場合、発生したソフトエラーの約半数がMCUであった。
半導体デバイスの微細化、低電圧化にともなって今後もMCUの発生確率は飛躍的に高まると予想されるが、MCUの発生抑制に対して有効な対策がない。
本発明は、MCUの発生抑制に有効な構成の半導体メモリデバイスを提供するものである。
本発明の一形態(第1形態)に関わる半導体メモリデバイスは、ソースが基準電圧の供給線に接続され、ドレインが負荷素子を介して電源電圧の供給線に接続されるN型の駆動トランジスタを含むSRAMセルと、前記N型の駆動トランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を前記基準電圧より低い所定のバックバイアス電圧に制御する基板バイアス制御回路と、を有する。
本発明の他の形態(第2形態)に関わる半導体メモリデイバスは、上記第1形態において、電源電圧の供給線と基準電圧の供給線との間に直列接続されたP型の負荷トランジスタとN型の駆動トランジスタとからなるインバータが2つ設けられ、一方のインバータ入力と他方のインバータ出力との接続ノードと、他方のインバータ入力と一方のインバータ出力との接続ノードが、それぞれN型の転送トランジスタを介して、ビット線またはビット補線に接続されている前記SRAMセルを有し、前記基板バイアス制御回路は、P型の前記負荷トランジスタが形成されるN型の半導体基板領域を前記電源電圧に制御し、N型の前記駆動トランジスタと前記転送トランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を前記基準電圧より低い所定のバックバイアス電圧に制御する。
本発明の他の形態(第3形態)に関わる半導体メモリデバイスは、上記第2形態において、前記SRAMセルを駆動する駆動回路を含む周辺回路を有し、前記SRAMセル内の前記駆動トランジスタと前記転送トランジスタの各閾値電圧が、前記周辺回路内で閾値電圧が最も小さいN型のトランジスタの閾値電圧より小さく設定されている。
本発明の他の形態(第4形態)に関わる半導体メモリデバイスは、上記第3形態において、前記基板バイアス制御回路は、前記駆動回路が前記SRAMセルの動作を行う動作時と、動作を行わない待機時の両方で、前記所定のバックバイアス電圧を前記P型の半導体基板領域に印加する。
本発明の他の形態(第5形態)に関わる半導体メモリデバイスは、上記第1形態において、前記SRAMセルを駆動する駆動回路を含む周辺回路を有し、前記SRAMセル内の前記駆動トランジスタの閾値電圧が、前記周辺回路内で閾値電圧が最も小さいN型のトランジスタの閾値電圧より小さく設定されている。
本発明の他の形態(第6形態)に関わる半導体メモリデバイスは、上記第5形態において、前記基板バイアス制御回路は、前記駆動回路が前記SRAMセルの動作を行う動作時と、動作を行わない待機時の両方で、前記所定のバックバイアス電圧を前記P型の半導体基板領域に印加する。
本発明の他の形態(第7形態)に関わる半導体メモリデバイスは、電源電圧の供給線と基準電圧の供給線との間に直列接続されたP型の負荷トランジスタとN型の駆動トランジスタとからなるインバータが2つ設けられ、一方のインバータ入力と他方のインバータ出力との接続ノードと、他方のインバータ入力と一方のインバータ出力との接続ノードが、それぞれN型の転送トランジスタを介して、ビット線またはビット補線に接続されているSRAMセルと、N型の前記駆動トランジスタと前記転送トランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を前記基準電圧に固定し、P型の前記負荷トランジスタが形成されるN型の半導体基板領域を前記電源電圧より高い所定のバックバイアス電圧に制御する基板バイアス制御回路と、を有する。
上述した構成の第1〜第6形態では、SRAMセルのP型の半導体基板領域、例えばPウェルに放射線が入射すると、電子と正孔のペアが発生する。発生した電子は、駆動トランジスタのN型のソースやドレインに吸収されるが、正孔はP型の半導体基板領域に蓄積されて、その電位を上昇させる。この電位上昇を抑制するために、本発明では、基板バイアス制御回路が、P型の半導体基板領域を基準電圧より低い所定のバックバイアス電圧に制御する。
一般に、P型半導体基板領域は、このような電位変動を抑制するため、基準電圧(例えばGND電圧)に固定されているが、SRAMセルの微細化や低電圧化の進展を理由として、放射線入射による電位上昇が瞬時に起こり、時間が経つと電位が固定電圧(基準電圧)付近に収束する。よって、基板バイアス制御回路による、上記バックバイアス電圧への制御が行われていないときは、当該P型の半導体基板領域をベース、ソースやドレインを、それぞれエミッタとコレクタとするNPN型の寄生バイポーラトランジスタが瞬間的にオンして、駆動トランジスタと負荷素子との接続ノードの記憶電位を引き落とし、結果として、ビット反転エラー(アップセット)が発生することがある。
本発明では、基板バイアス制御回路が、P型の半導体基板領域を基準電圧より低い所定のバックバイアス電圧に制御することから、このようなアップセットの発生確率が低下している。
特に第2形態のP型の負荷トランジスタにより負荷素子が形成されている場合、負荷トランジスタが形成されているN型の半導体基板領域は電源電圧による固定状態としたまま、P型の半導体基板領域のみ基準電圧より下げて負電圧に制御する。
第3および第5形態では、SRAMセル内のN型トランジスタの閾値電圧を、周辺回路内で閾値電圧が最も小さいN型トランジスタの閾値電圧より小さくしている。これにより待機時のみならず動作時でもバックバイアス電圧制御が可能となり(第4および第6形態)、よりアップセットの発生確率は低下する。
放射線入射による記憶データのアップセットは、P型のトランジスタが形成されるN型の半導体基板領域に起因しても起こり得る。どちらが支配的かによってアップセットの発生確率が決まる。よって、デバイスによってはN型の半導体基板領域に起因したアップセット抑制を行う必要もでてくる。
第7形態は、P型トランジスタを負荷素子とするSRAMでバックバイアス制御を行う場合を示す、第2形態に対応するものである。
ここでは、基板バイアス制御回路は、N型のトランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を基準電圧に固定し、P型の負荷トランジスタが形成されるN型の半導体基板領域を電源電圧より高い所定のバックバイアス電圧に制御する。これにより、PNP型の寄生バイポーラトランジスタがオンしにくくなる。
本発明によれば、MCUの発生抑制に有効な構成の半導体メモリデバイスを提供できる。
以下、本発明の実施形態を、図面を参照して説明する。
<全体構成>
図1に、半導体メモリデバイスの概略構成を示す。
図1に図解する半導体メモリデバイスは、マトリックス状に配置されているSRAMセルアレイ(SRAM_CA)1と、SRAMセルアレイ1の動作を制御する周辺回路とからなる。
周辺回路は、カラムバッファ2a、ロウバッファ2b、プリロウデコーダ(PR.DEC)3、メインロウデコーダ(MR.DEC)4、カラムデコーダ(C.DEC)5、入出力回路(I/O)6、カラム選択ゲートアレイ(C.SEL)7、および、基板バイアス制御回路(BBC)8を有する。
周辺回路は、電源電圧Vddおよび基準電圧Vssが供給されている。とくに、基板バイアス制御回路8は、電源電圧Vddおよび基準電圧Vssの一方を制御して、所定のバックバイアス電圧VBBを発生し、これをSRAMセルアレイ1に供給する回路である。電源回路、および、これらの各部を制御する制御回路は図示を省略している。
本実施形態において、このような周辺回路からSRAMセルアレイ1に供給される電源電圧が単一電源の電圧である。
周辺回路のトランジスタは、この電源電圧に適合した閾値電圧を有している。
なお、周辺回路の各部の動作は通常のメモリデバイスと同じであることから、ここでの説明を省略する。
<SRAMセル構造>
図2に、Pチャネル型MOSトランジスタ(以下、PMOSという)を負荷とする6トランジスタ構成のSRAMセルの回路図を示す。
SRAMセル100は、PMOSからなる2つの負荷トランジスタP1,P2と、Nチャネル型MOSトランジスタ(NMOS)からなる2つの駆動トランジスタN1,N2と、NMOSからなる2つの転送トランジスタN3,N4とを有する。
電源電圧Vddの供給線(VDD1線)と基準電圧(例えば接地電圧)の供給線(VSS線)との間に、負荷トランジスタP1と駆動トランジスタN1とが縦続接続されている。同様に、電源電圧Vddの供給線(VDD2線)とVSS線との間に、負荷トランジスタP2と駆動トランジスタN2とが縦続接続されている。
負荷トランジスタP2と駆動トランジスタN2はゲート同士が共に、負荷トランジスタP1と駆動トランジスタN1との接続点に接続され、これによりストレージノードND1を形成している。同様に、負荷トランジスタP1と駆動トランジスタN1はゲート同士が共に、負荷トランジスタP2と駆動トランジスタN2との接続点に接続され、これによりストレージノードND2を形成している。
転送トランジスタN3のソースとドレインの一方が、上記ストレージノードND1に接続され、他方がビット線BLに接続され、ゲートがワード線WLに接続されている。同様に、転送トランジスタN4のソースとドレインの一方が、上記ストレージノードND2に接続され、他方がビット補線BL_に接続され、ゲートがワード線WLに接続されている。
図3に、図2に示すSRAMセル100の平面図を示す。
半導体基板(不図示)にP型のウェル(Pウェル20P(R),20P(L))ならびにN型のウェル(Nウェル20N)が形成されている。Pウェル20P(R),20P(L)は、それぞれ行(図の横)方向に隣接する他のSRAMセルと共有されるため、実質的には、Pウェル1つ分と、Nウェル1つ分に、1つのSRAMセル100が形成されている。以下、Pウェル20P(R),20P(L)を、Pウェル20Pと表現することがある。
Pウェル20PとNウェル20Nのそれぞれは、列方向(図の縦方向)のSRAMセルで共有されている。ウェル共有のSRAMセル数は数百〜数千にもなる。
ウェルが形成された半導体基板面に素子分離絶縁層(不図示)が形成されている。素子分離の開口部(ウェル開口)が、トランジスタのアクティブ領域となる。これによりPウェル20P(L)にP型アクティブ領域21Lが形成され、Pウェル20P(R)にP型アクティブ領域21Rが形成されている。また、Nウェル20Nに、N型アクティブ領域22Aと22Bが形成されている。
P型アクティブ領域21LとN型アクティブ領域22Aに交差して、例えばポリシリコン等のゲートメタル(GM)からなるゲート配線23が形成されている。また、P型アクティブ領域21Lに交差して、ゲートメタル(GM)からなるゲート配線24が形成されている。
これらと対照に、P型アクティブ領域21RとN型アクティブ領域22Bに交差して、ゲートメタル(GM)からなるゲート配線25が形成され、また、P型アクティブ領域21Rに交差して、ゲートメタル(GM)からなるゲート配線26が形成されている。
これにより形成された各ゲート配線とアクティブ領域との交差部分、即ち、図3に符号を付して示す位置の交差部分が、図2の6つのトランジスタ(N1〜N4、P1とP2)のチャネルのオンとオフが制御されるトランジスタの中心部分に対応する。
ゲート配線23は、図2との対応では駆動トランジスタN1と負荷トランジスタP1のゲートを連結する配線であり、ストレージノードND1となる。
同様に、ゲート配線25は、図2との対応では駆動トランジスタN2と負荷トランジスタP2を連結する配線であり、ストレージノードND2となる。
ゲート配線23は、第1配線層(1M)により形成されたノード配線27によって、駆動トランジスタN2と転送トランジスタN4の間のP型アクティブ領域21Rに接続されている。
同様に、ゲート配線25は、第1配線層(1M)により形成されたノード配線28によって、駆動トランジスタN1と転送トランジスタN3の間のP型アクティブ領域21Lに接続されている。
ビット線BLは、第2配線層(2M)から形成されており、列方向に配線されている。ビット線BLは、その下層の第1配線層(1M)からなる接続パッド31を介して、さらに下層の転送トランジスタN3のドレイン領域に接続されている。
同様に、ビット補線BL_は、第2配線層(2M)から形成されており、列方向に配線されるとともに、その下層の第1配線層(1M)からなる接続パッド32を介して、さらに下層の転送トランジスタN4のドレイン領域に接続されている。
なお、本明細書でソース領域、ドレイン領域というときは、動作によっては逆の機能となる場合もあるため、便宜的な仮の名称であり、動作機能上の名称ではない。
電源電圧Vddの供給線(VDD1線とVDD2線)は、Nウェル20Nの上方を、列方向に平行に配線された第2配線層(2M)から形成されている。
VDD1線は、その下層の第1配線層(1M)から形成されている接続パッド33を介して、さらに下層の負荷トランジスタP1のソース領域に接続されている。
同様に、VDD2線は、その下層の第1配線層(1M)から形成されている接続パッド34を介して、さらに下層の負荷トランジスタP2のソース領域に接続されている。
最上層の第3配線層(3M)により、ワード線WL、GND1線およびGND2線が行方向に長く互いに平行に配線されている。
ワード線WLは、その下層の第2配線層(2M)からなる接続線41により転送トランジスタN3のゲート電極となるゲート配線24に接続されている。また、ワード線WLは、第2配線層(2M)からなる接続線42により転送トランジスタN4のゲート電極となるゲート配線26に接続されている。
GND1線は、その下層の第2配線層(2M)からなる接続線51と、さらに、その下層の第1配線層(1M)からなる接続線52とを介して、駆動トランジスタN1のソース領域に接続されている。
同様に、GND2線は、その下層の第2配線層(2M)からなる接続線53と、さらに、その下層の第1配線層(1M)からなる接続線54とを介して、駆動トランジスタN2のソース領域に接続されている。
なお、階層が異なる配線と配線間はコンタクトを介して接続されるが、図3では、コンタクトは全て省略している。
<基板バイアス制御>
本実施形態では、以上のように構成されたSRAMセル100のPウェル20Pに対して、図1の基板バイアス制御回路8が所定のバックバイアス電圧VBBを印加する制御を実行する。このバックバイアス電圧VBBの印加は、MCU(マルチセルアップセット)の抑制を目的とする。
図4は、MCUの発生を説明するためのトランジスタ断面であり、ここでは、一例として駆動トランジスタN1の断面を示している。
駆動トランジスタN1のゲート電極(ゲート配線23)がゲート絶縁膜23Aを介して、Pウェル20P(開口部、即ちP型アクティブ領域21L)上に積層されている。このゲート積層体をマスクとしたイオン注入により、P型アクティブ領域21Lの表面側部分に、N型の不純物領域としてドレイン領域(DR)とソース領域(SR)が互いに離れて形成されている。
その間のアクティブ領域部分は、ゲート配線23により電界支配により反転層(チャネル)が形成される。ただし、意図的にSRAMセル100のデータを書き換える場合のみトランジスタN1がオンしてチャネルが形成される。データを保持している記憶状態では、リークによる僅かな電流がソースとドレイン間に流れることはあっても、データを書き換えるような導通状態はあってはならず、仮に、そのような導通状態となるとデータ破壊が生じる。
SRAMセル100に対し、放射線が入射されると、例えば空乏層の付近で、その放射線の強さに応じた量の電子−正孔ペアが発生する。そのうち電子は例えば正電圧が印加されたドレインに引き寄せられ吸収される。
しかし、正孔は、比較的長い距離、しかも、比較的抵抗値が高いPウェル20Pを通して外部に排出されるため、強い放射線が入射すると、溜まった正孔の電荷量に応じてPウェル20Pの電位が上昇する。この上昇は急激で多量の電子−正孔ペアの発生に応答した瞬間的であり、時間と共に電位は低下する。しかし、瞬間的でもウェル電位が上昇すると、図示のようなNPN型の寄生バイポーラトランジスタがオンし、これにより高いドレイン電位として保持されているデータを、低い電位に対応するデータに書き換えてしまうアップセットが生じる。
このアップセットは、図3に示す列方向に長いPウェル20Pを共有する数百〜数千のSRAMセルに同時に起こる可能性がある(MCU)。非常に放射線が強い場合はMCUが高い確率で発生し、放射線強度が下がると、それに伴ってMCUの発生率も低下する。通常の使用状態では、そのような強い放射線に晒されることはないが、セルが縮小され低電圧化されると、次第にMCUの発生率が上昇する。
そこで、本実施形態では、基板バイアス制御回路8によって、P型の半導体基板領域(Pウェル20P)を基準電圧Vss(例えばGND電圧)より低い所定のバックバイアス電圧VBBに制御する。
図5に比較例とともに、本実施形態におけるバイアス印加の手法を示す。MCUの抑制を目的としないが、バックバイアスの印加が行われることがあり、図5(A)は、閾値電圧制御におけるバックバイアス印加を示している。
この閾値電圧制御では、バックバイアス印加によって、N型トランジスタのしきい値電圧を上げることを目的としている。しきい値電圧を最初から小さく作るとリーク電流が大きいが、逆に大きく作ると動作速度が低下するため、そのトレードオフを解消または緩和する等の目的で、製造時に閾値電圧を比較的小さくしておき、非動作時に閾値電圧をバックバイアスで上げる。
このような制御は、通常、CMOSロジックトランジスタ回路などの動作速度の要求が厳しい用途で実行されている。
Pウェルの電位は基準電圧(例えばGND電圧)で固定とし、Nウェルの電位は電源電圧Vddで固定とすることが普通である。その状態を初期状態とすると、閾値電圧制御の場合、Pウェルの電位を引き下げた分だけNウェルの電位を引き上げる。よって、この場合の制御は、例えば図5(A)に示すように、ある電圧値VBBを基準電圧(GND)から下げるような負電源をPウェルに接続し、同じ電圧値VBBを電源電圧Vddから上げる正電源をNウェルに接続した制御と等価となる。
このような比較例に対し、本実施形態では、ある電圧VBB(値は任意)だけ、Pウェルの電位を基準電圧(例えばGND電圧)から下げることのみ行い、Nウェルの電位は電源電圧Vddによって固定する。これによりMCUの発生確率を低減できることは、新たな知見であり、本発明はこの知見に基づくものである。
図6は、バックバイアス電圧VBBの値を種々変えたときのMCU発生確率(MCUレイト)を示すグラフである。ここでは、本実施形態のようにPウェルのみにバックバイアスを行う場合と、上記PウェルとNウェルに逆極性のバックバイアスを行う場合(N&P)と、本実施形態とは逆にNウェルのみにバックバイアスを行う場合の3通りで、発生確率の電圧依存性を調べた。
ここで図6の横軸は、基準電圧または電源電圧の値で、バックバイアス電圧の値を正規化したものであり、例えば、「1」が基準電圧または電源電圧と同じ値のバックバイアス電圧を印加した場合、「2」が基準電圧または電源電圧の2倍のバックバイアス電圧を印加した場合を示している。
このグラフから、Pウェルのバックバイアス電圧を−Vddにした場合でMCUを平均約75%、−2Vddにした場合でMCUを平均約90%以上低減できることが分かる。
一方、両ウェルに逆極性のバックバイアスを行う場合、MCUの低減効果はあるが、その効果は小さく、本実施形態と逆のウェルバイアスではMCU低減にならず逆効果であることがわかる。
本実施形態では、放射線が入射することを起因にバイポーラアクションが共有ウェルで連鎖的に起きるMCUを、Pウェルに対するバックバイアス電圧の制御により有効に抑制できる。
図7に、バックバイアス電圧の時間的な制御例を示す。
上記よりバックバイアス電圧の印加によってMCUを抑制することができるが、動作時に最適化されているトランジスタの閾値電圧を変動させることがある。例えば、メモリと周辺回路やその他の回路(速度が要求される回路)のウェルが共通化されている場合である。
このような場合、例えば図7に示すように、動作時にはバックバイアス(BB)を解除しておき、待機時のみバックバイアス(BB)を行うようにしてよい。このような制御は、図1の不図示の、待機モードと動作モードを管理している制御部が、基板バイアス制御回路8の動作を制御することにより実行される。
以下、変形例を説明する。
<変形例1>
上述した実施形態におけるバックバイアス電圧の制御は、6トランジスタ型(PMOS負荷型)への適用であるが、同じ制御を抵抗負荷型のSRAMにも適用できる。MCUの発生原理からして、駆動トランジスタ等におけるバイポーラアクションが生じる可能性があり、その場合、記憶データ破壊が発生するためである。
よって、この変形例1を含めると、本実施形態の半導体メモリデバイスは、「ソースが基準電圧の供給線に接続され、ドレインが負荷素子を介して電源電圧の供給線に接続されるN型の駆動トランジスタを含むSRAMセルと、N型の駆動トランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を基準電圧より低い所定のバックバイアス電圧に制御する基板バイアス制御回路と、を有する」という特徴がある。
<変形例2>
図7では動作時にバックバイアスを行わないが、行うことがMCU発生確率をさらに抑制するために望ましい。
そのため、変形例2では、周辺回路の最も閾値電圧が低いトランジスタの閾値電圧を例えば0.3[V]とすると、図2に示すN型のトランジスタの閾値電圧を、これより低い、例えば0.2[V]に設定しておき、例えば−0.5[V]のバックバイアス電圧をPウェルに印加する。これにより、待機時のみならず動作時にもバックバイアスを行っても動作特性を損ねないようにすることが可能となる。すなわち、変形例2では「SRAMセルを駆動する駆動回路を含む周辺回路を有し、SRAMセル内の駆動トランジスタと転送トランジスタの各閾値電圧が、周辺回路内で閾値電圧が最も小さいN型のトランジスタの閾値電圧より小さく設定されている」ことが特徴である。
<変形例3>
上述した実施形態ではPウェルのみに基準電圧より低いバックバイアス電圧VBBを印加した。これは、正孔の蓄積によりPウェルの電位が上昇するため、この上昇を抑えるために、より低い電位をウェルに与えるものである。
一方、6トランジスタSRAMセルで、プロセスの条件によっては、先に、PMOS負荷側でバイポーラアクションが発生することもある。その場合、電子がNウェルに蓄積されるため、その電位低下を抑制してPNP型の寄生バイポーラトランジスタがオンしないようにするには、Nウェルを、通常の電源電圧Vddより高い所定のバックバイアス電圧に制御することで、同様にMCU発生確率を抑制できる。
よって、この観点からの本発明は、「電源電圧の供給線と基準電圧の供給線との間に直列接続されたP型の負荷トランジスタとN型の駆動トランジスタとからなるインバータが2つ設けられ、一方のインバータ入力と他方のインバータ出力との接続ノードと、他方のインバータ入力と一方のインバータ出力との接続ノードが、それぞれN型の転送トランジスタを介して、ビット線またはビット補線に接続されているSRAMセルと、N型の駆動トランジスタと転送トランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を基準電圧に固定し、P型の前記負荷トランジスタが形成されるN型の半導体基板領域を電源電圧より高い所定のバックバイアス電圧に制御する基板バイアス制御回路と、を有する」ことが特徴である。
なお、変形例の重複適用は可能であり、その他、本実施形態は本発明の要旨に沿って種々の変形が可能である。
本発明の実施形態に関わる半導体メモリデバイスの概略構成図である。 本発明の実施形態に関わるSRAMセルの回路図である。 図2のSRAMセルの平面図である。 MCUの発生を説明するための図である。 本発明の実施形態に関わるバックバイアス手法を、比較例とともに示す図である。 本発明の実施形態に関わるバックバイアス手法の効果を示すグラフである。 バックバイアスの時間制御例を示すグラフである。
符号の説明
1…SRAMセルアレイ、8…基板バイアス制御回路、100…SRAMセル、N1,N2…駆動トランジスタ、N3,N4…転送トランジスタ、P1,P2…負荷トランジスタ、BL…ビット線、BL_…ビット補線、WL…ワード線、Vdd…電源電圧、Vss…基準電圧、VBB…バックバイアス電圧

Claims (7)

  1. ソースが基準電圧の供給線に接続され、ドレインが負荷素子を介して電源電圧の供給線に接続されるN型の駆動トランジスタを含むSRAMセルと、
    前記N型の駆動トランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を前記基準電圧より低い所定のバックバイアス電圧に制御する基板バイアス制御回路と、
    を有する半導体メモリデバイス。
  2. 電源電圧の供給線と基準電圧の供給線との間に直列接続されたP型の負荷トランジスタとN型の駆動トランジスタとからなるインバータが2つ設けられ、一方のインバータ入力と他方のインバータ出力との接続ノードと、他方のインバータ入力と一方のインバータ出力との接続ノードが、それぞれN型の転送トランジスタを介して、ビット線またはビット補線に接続されている前記SRAMセルを有し、
    前記基板バイアス制御回路は、P型の前記負荷トランジスタが形成されるN型の半導体基板領域を前記電源電圧に制御し、N型の前記駆動トランジスタと前記転送トランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を前記基準電圧より低い所定のバックバイアス電圧に制御する
    請求項1に記載の半導体メモリデバイス。
  3. 前記SRAMセルを駆動する駆動回路を含む周辺回路を有し、
    前記SRAMセル内の前記駆動トランジスタと前記転送トランジスタの各閾値電圧が、前記周辺回路内で閾値電圧が最も小さいN型のトランジスタの閾値電圧より小さく設定されている
    請求項2に記載の半導体メモリデバイス。
  4. 前記基板バイアス制御回路は、前記駆動回路が前記SRAMセルの動作を行う動作時と、動作を行わない待機時の両方で、前記所定のバックバイアス電圧を前記P型の半導体基板領域に印加する
    請求項3に記載の半導体メモリデバイス。
  5. 前記SRAMセルを駆動する駆動回路を含む周辺回路を有し、
    前記SRAMセル内の前記駆動トランジスタの閾値電圧が、前記周辺回路内で閾値電圧が最も小さいN型のトランジスタの閾値電圧より小さく設定されている
    請求項1に記載の半導体メモリデバイス。
  6. 前記基板バイアス制御回路は、前記駆動回路が前記SRAMセルの動作を行う動作時と、動作を行わない待機時の両方で、前記所定のバックバイアス電圧を前記P型の半導体基板領域に印加する
    請求項5に記載の半導体メモリデバイス。
  7. 電源電圧の供給線と基準電圧の供給線との間に直列接続されたP型の負荷トランジスタとN型の駆動トランジスタとからなるインバータが2つ設けられ、一方のインバータ入力と他方のインバータ出力との接続ノードと、他方のインバータ入力と一方のインバータ出力との接続ノードが、それぞれN型の転送トランジスタを介して、ビット線またはビット補線に接続されているSRAMセルと、
    N型の前記駆動トランジスタと前記転送トランジスタが形成されるP型の半導体基板領域を前記基準電圧に固定し、P型の前記負荷トランジスタが形成されるN型の半導体基板領域を前記電源電圧より高い所定のバックバイアス電圧に制御する基板バイアス制御回路と、
    を有する半導体メモリデバイス。
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