JP2009251253A - 定着装置および画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】ウォームアップ時間の短縮が可能でかつ摺動性の優れた定着装置および画像形成装置を提供する。
【解決手段】定着ベルト60は、厚さが30〜80μmの円筒状に成型された金属層(SUS、Niなど)からなる基体層66の外周面に、弾性層68として厚さが200〜500μmのシリコーンゴム層を設け、更に外側に厚さが30μmのPTFEなどのフッ素系樹脂からなる離型層70を被覆したものである。定着ベルト60の厚さを薄くすることにより、定着ベルト60の熱容量を最小限に抑えている。さらに、定着ベルト60の内周面(基体層66の内周面)には、カーボン、ダイヤモンドライクカーボン、二硫化モリブデンのうち少なくとも一種類からなる表層72(厚さが1〜30μm)が形成されている。
【選択図】図3
【解決手段】定着ベルト60は、厚さが30〜80μmの円筒状に成型された金属層(SUS、Niなど)からなる基体層66の外周面に、弾性層68として厚さが200〜500μmのシリコーンゴム層を設け、更に外側に厚さが30μmのPTFEなどのフッ素系樹脂からなる離型層70を被覆したものである。定着ベルト60の厚さを薄くすることにより、定着ベルト60の熱容量を最小限に抑えている。さらに、定着ベルト60の内周面(基体層66の内周面)には、カーボン、ダイヤモンドライクカーボン、二硫化モリブデンのうち少なくとも一種類からなる表層72(厚さが1〜30μm)が形成されている。
【選択図】図3
Description
本発明は、複写機、ファクシミリ、プリンタなどの定着装置および画像形成装置に関する。
近年、プリンタや複写機などの画像形成装置には省エネルギーの観点から、さらなるウォームアップ時間の短縮化が求められている。それを達成するため、特許文献1に記載のように、定着装置の加熱部材に薄肉の定着ベルトを用いて熱容量を下げる構成が主流となっている。
しかしながら、特許文献1に記載の構成をとる場合、薄肉の定着ベルトだけでは強度がないため、ニップを形成するためのベルトガイドにて定着ベルトの内周面を支持する必要がある。このため、定着ベルトの内周面とベルトガイドの摺接面との摺動が問題になる。さらに、定着ベルトの内周面がベルトガイドと摺動するため、定着ベルトの内周面に従来用いられていた輻射熱吸収部材を塗布することができず、金属基材の定着ベルトで加熱源がランプの場合、定着ベルト内周面がランプからの輻射熱を吸収しにくいという問題もあった。
それゆえに、本発明の主たる目的は、ウォームアップ時間の短縮が可能でかつ摺動性の優れた定着装置および画像形成装置を提供することである。
請求項1に係る発明は、ベルト状の加熱部材と、加熱部材と対向する加圧部材とを備え、加熱部材と加圧部材の圧接で形成される定着ニップ部でトナー画像を担持した用紙を挟持搬送させて加熱する定着装置であって、加熱部材が、定着ベルトと、定着ベルトの内周面に摺接して定着ニップ部を形成するためのベルトガイドと、加熱源のランプとを有し、ベルトガイドと摺接する定着ベルトの内周面に、二硫化モリブデン、カーボン、ダイヤモンドライクカーボンのうち少なくとも一種類からなる表層が設けられていることを特徴とする、定着装置である。
請求項1の発明では、定着ベルトの内周面に設けた二硫化モリブデン、カーボン、またはダイヤモンドライクカーボンからなる表層の輻射熱吸収率が高いため、ランプからの輻射熱が効率良く定着ベルトに吸収される。また、これらの材料は摺動性に優れているため、定着ベルトとベルトガイドの摺接が円滑に行われる。
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明に従属する発明であって、定着ベルトと摺接するベルトガイドの摺接面に、二硫化モリブデン、カーボン、ダイヤモンドライクカーボンのうち少なくとも一種類からなる表層が設けられていることを特徴とする、定着装置である。
請求項2の発明では、ベルトガイドの摺接面に二硫化モリブデン、カーボン、またはダイヤモンドライクカーボンからなる表層が設けられているため、定着ベルトとベルトガイドの摺接がより一層円滑なものとなる。
また、請求項3に係る発明は、請求項1または請求項2に係る発明に従属する発明であって、定着ベルトの内周面もしくはベルトガイドの摺接面に設けられている二硫化モリブデン、カーボン、ダイヤモンドライクカーボンのうち少なくとも一種類からなる表層が、潤滑性フィラーを含有していることを特徴とする、定着装置である。
請求項3の発明では、定着ベルトの内周面もしくはベルトガイドの摺接面に設けられている表層が、潤滑性フィラーを含有している。これにより、定着ベルトとベルトガイドの摺動性を損なうことなく、定着ベルトの基材やベルトガイドの基材と表層との密着性を向上させることができる。
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜請求項3のいずれかに係る発明に従属する発明であって、潤滑性フィラーが、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうち少なくとも一種類を含有していることを特徴とする、定着装置である。
請求項4の発明では、潤滑性フィラーが、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうち少なくとも一種類を含有しているため、耐熱性に優れた表層となる。
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする、画像形成装置である。
請求項5の発明では、定着ベルトの内周面に設けた二硫化モリブデン、カーボン、またはダイヤモンドライクカーボンからなる表層が、高い輻射熱吸収率を有しかつ摺動性に優れているため、ウォームアップ時間が短くかつ摺動性の優れた画像形成装置が得られる。
本発明によれば、ベルトガイドと摺接する定着ベルトの内周面に、二硫化モリブデン、カーボン、またはダイヤモンドライクカーボンからなる表層を設けたので、ウォームアップ時間の短縮が可能でかつ摺動性の優れた定着装置や画像形成装置が得られる。
本発明の上述の目的、その他の目的、特徴および利点は、図面を参照して行う以下の発明を実施するための最良の形態の説明から一層明らかとなろう。
図1は本発明に係る定着装置を備えた画像形成装置1を示す概略構成図である。
感光体ドラム24は駆動手段によって図示矢印の時計回り方向に所定速度で駆動される。感光体ドラム24の外周近傍には、帯電器32、現像器22、転写ローラ23、摺擦部材30が設けられている。感光体ドラム24は帯電器32にて表面が帯電される。感光体ドラム24の回転方向における帯電器32の下流側には、レーザースキャニングユニット26が配置されている。レーザースキャニングユニット26から放射されたレーザ光Lは、反射ミラー28を介して感光体ドラム24上に照射され、静電潜像が形成される。
レーザースキャニングユニット26の上流側には、現像器22が配置されている。現像器22は、ブラックのトナーを感光体ドラム24に付与するためのものである。現像器22に対して、トナーカートリッジ20が配設されている。
現像器22の下流側には、転写ローラ23が配置されている。さらに、転写ローラ23の下流側には、感光体ドラム24に残ったトナーを除去するための摺擦部材30が配置されている。
一方、ピックアップローラ42はブラックトナー像と同期して給紙カセット2から被記録材としての用紙Pを引き出し、分離ローラ18と給紙ローラ44とを介して給紙する。用紙Pには感光体ドラム24上に形成されたトナー像が転写され、定着装置46に搬入される。トナー画像を転写された用紙Pは、定着装置46で定着され、印刷物として機外に排出されて排紙トレイ50上に積載される。
次に、定着装置46について、図2および図3を参照して説明する。図2は定着装置46の横断面概略構成図である。定着装置46は加熱部材58と加圧部材(加圧ローラ)59を備え、両者の圧接により定着ニップ部N(特に、図2参照)を形成させる。そして、加熱部材58と加圧ローラ59の圧接で形成される定着ニップ部Nで、トナー画像を転写された用紙Pを挟持搬送させて加熱する。
加熱部材58は、加熱源61a,61b、横断面円弧状樋型のベルトガイド63、ベルトガイド63にルーズに外嵌させた、被加熱体としての円筒状の定着ベルト60、ベルトガイド63を支持するバックアップ部材62等の組み立て体である。
図3に示すように、定着ベルト60は、厚さが30〜80μmの円筒状に成型された金属層(SUS、Niなど)からなる基体層66の外周面に、弾性層68として厚さが200〜500μmのシリコーンゴム層を設け、更に外側に厚さが30μmのPTFEなどのフッ素系樹脂からなる離型層70を被覆したものである。定着ベルト60の厚さを薄くすることにより、定着ベルト60の熱容量を最小限に抑えている。
さらに、定着ベルト60の内周面(基体層66の内周面)には、カーボン、ダイヤモンドライクカーボン、二硫化モリブデンのうち少なくとも一種類からなる表層72(厚さが1〜30μm)が形成されている。表層72は、スプレー塗布法や、二硫化モリブデンなどをイオン化した後バイアスを印加して噴き付ける方法などで形成されている。
加熱源61a,61bとしては、ハロゲンやカーボンなどのランプが用いられる。
バックアップ部材62にはSUSなどの金属が用いられている。バックアップ部材62の表面には、加熱源61a,61bのランプの光を反射するようにアルミなどの皮膜が形成されている。
ベルトガイド63にはSUSやNiなどの金属が基材として用いられ、定着ベルト60の走行をガイドする。定着ベルト60と摺接するベルトガイド63の摺接面の表面には、定着ベルト60との摺動を高めるために、カーボン(硬度50HSD以上)、二硫化モリブデン、またはダイヤモンドライクカーボンのうち少なくとも一種類からなるコーティング層が形成されたり、潤滑剤としてフッ素グリスなどが塗布されたりしている。さらに、定着ベルト62から熱を奪わないように、ベルトガイド63の厚さを0.1〜0.3mmにして熱容量を抑えている。
また、定着ベルト60の内周面に設けられている表層72、もしくはベルトガイド63の摺接面に設けられている二硫化モリブデン、カーボン、ダイヤモンドライクカーボンのうち少なくとも一種類からなる表層は、潤滑性フィラーを含有している。これにより、定着ベルト60とベルトガイド63の摺動性を損なうことなく、定着ベルト60の基体層66と表層72との密着性やベルトガイド63の基材と表層との密着性を向上させることができる。
さらに、潤滑性フィラーは、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン(PTFE)樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうち少なくとも一種類を含有している。これにより、耐熱性に優れた表層72となる。なお、PTFE樹脂とポリイミド樹脂の耐熱温度は約275℃、ポリアミドイミド樹脂の耐熱温度は約230℃、ポリベンゾイミダゾール樹脂の耐熱温度は約430℃である。
加圧ローラ59は、金属製軸82の上に、シリコーンゴム弾性層80を設け、更にその上に薄い離型層を設けたものである。加圧ローラ59はモータ76の回転駆動力が伝達されることで、回転駆動される。
この加圧ローラ59の上側に加熱部材58を配設している。加熱部材58は加圧ローラ59と接し、モータ76の回転駆動力が伝達されることで、加圧ローラ59と定着ベルト60の外周面との定着ニップ部Nにおける圧接摩擦力で従動回転する。その結果、定着ベルト60が、その内面がガイド部材63に摺動しながら、ガイド部材63の外回りを従動回転する。
以上の構成からなる定着装置46は、定着ベルト60の内周面に設けた二硫化モリブデン、カーボン、またはダイヤモンドライクカーボンからなる表層72は黒色をしており、輻射熱吸収率が高いため、加熱源61a,61bからの輻射熱が効率良く定着ベルト60に吸収される。また、これら二硫化モリブデンなどの材料は摺動性に優れているため、定着ベルト60とベルトガイド63の摺接が円滑に行われる。また、これら二硫化モリブデンなどの材料は耐熱性にも優れている。この結果、ウォームアップ時間が短くかつ摺動性の優れた画像形成装置1が得られる。
さらに、ベルトガイド63の摺接面に二硫化モリブデン、カーボン、またはダイヤモンドライクカーボンからなる表層が設けられているため、定着ベルト60とベルトガイド63の摺接がより一層円滑なものとなる。
この画像形成装置1を用いて摺動性および耐久性の評価を行った。定着ベルト60の表層72には二硫化モリブデン、カーボン、またはダイヤモンドライクカーボンを用い、ベルトガイド63の摺接面には二硫化モリブデン、カーボン、またはダイヤモンドライクカーボンを用い、これらを表1に示すように種々組み合わせた(実施例1〜実施例9)。なお、表1には比較のため、従来の定着装置を備えた画像形成装置の評価も併せて記載している(比較例1または比較例2)。
実施例1〜実施例9と比較例1,2を比較することにより、定着ベルトの表面温度が25℃から160℃に到達するのにかかる時間(ウォームアップ時間)が、従来の約16秒から12秒台へ短縮できたことが認められる。さらに、実施例1と実施例4を比較することにより、潤滑性フィラーの有無によるウォームアップ時間の変化は極めて小さいことが認められる。膜厚が同じであれば、熱容量はほぼ等しくなり、ウォームアップ時間に対する寄与は少ないからである。
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨の範囲内で種々に変形される。
1 画像形成装置
46 定着装置
58 加熱部材
59 加圧ローラ
60 定着ベルト
72 表層
N 定着ニップ部
46 定着装置
58 加熱部材
59 加圧ローラ
60 定着ベルト
72 表層
N 定着ニップ部
Claims (5)
- ベルト状の加熱部材と、前記加熱部材と対向する加圧部材とを備え、前記加熱部材と前記加圧部材の圧接で形成される定着ニップ部でトナー画像を担持した記録材を挟持搬送させて加熱する定着装置であって、
前記加熱部材が、定着ベルトと、前記定着ベルトの内周面に摺接して前記定着ニップ部を形成するためのベルトガイドと、加熱源のランプとを有し、前記ベルトガイドと摺接する前記定着ベルトの内周面に、二硫化モリブデン、カーボン、ダイヤモンドライクカーボンのうち少なくとも一種類からなる表層が設けられていることを特徴とする、定着装置。 - 前記定着ベルトと摺接する前記ベルトガイドの摺接面に、二硫化モリブデン、カーボン、ダイヤモンドライクカーボンのうち少なくとも一種類からなる表層が設けられていることを特徴とする、請求項1に記載の定着装置。
- 前記定着ベルトの内周面もしくは前記ベルトガイドの摺接面に設けられている二硫化モリブデン、カーボン、ダイヤモンドライクカーボンのうち少なくとも一種類からなる表層が、潤滑性フィラーを含有していることを特徴とする、請求項1または請求項2に記載の定着装置。
- 前記潤滑性フィラーが、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリテトラフルオロエチレン樹脂、ポリベンゾイミダゾール樹脂のうち少なくとも一種類を含有していることを特徴とする、請求項1〜請求項3のいずれかに記載の定着装置。
- 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の定着装置を備えたことを特徴とする、画像形成装置。
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JP2008098842A JP2009251253A (ja) | 2008-04-07 | 2008-04-07 | 定着装置および画像形成装置 |
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2008
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