JP2009245941A - 電子放出素子の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】工程が少なく、製造コストを低減できるとともに、焼成工程における有機残渣の少ない電子放出素子の製造方法を提供する。
【解決手段】電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜の少なくとも一種が形成された基材の塗膜面をカソード電極基板上に貼り合わせ、該基材の該貼り合わせ面と反対の面からレーザー照射し、基材からカソード電極基板上に転写することにより、パターニングされた電子放出源、絶縁層またはゲート電極の少なくとも一種を形成する工程を含むことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
【選択図】図1

Description

本発明は電子放出素子の製造方法に関する。
電界放出型ディスプレイ(FED)、表面伝導型ディスプレイ(SED)、あるいは電界放出を用いた液晶バックライトや照明などの開発が近年盛んに行われている。例えば、液晶バックライトや照明などにおける最も簡単な構造は、カソード電極が形成されたガラス基板上に電子放出源(エミッタ)が形成されている背面基板と、アノード電極が形成されたガラス基板上に蛍光体層が形成された前面基板が、ガラスやセラミックスからなるスペーサーを介して所定の間隔になるように貼り合わせることで真空容器を形成した二極構造である。カソード電極、アノード電極に所定の電圧を印加し、電子放出源より発生した電子が蛍光体に照射されることにより発光を得ることができる。
また、FEDなどにおける一般的な構造は、カソード電極が形成されたガラス基板上にビアホールが形成された絶縁層とゲート電極を有し、ビアホール内に露出したカソード電極上に電子放出源が形成されている背面基板と、アノード電極が形成された前面基板が、ガラスやセラミックスからなるスペーサーを介して所定の間隔になるように貼り合わせることで真空容器を形成した三極構造である。カソード電極、ゲート電極、アノード電極に所定の電圧を印加し、電子放出源より発生した電子が蛍光体に照射されることにより発光を得ることができる。
電子放出材料としてカーボンナノチューブ(CNT)を用いた場合、電子放出源の高精細パターンの形成方法は、感光性CNT含有ペーストを基板上にスクリーン印刷などにより塗膜を形成する塗布工程、フォトリソグラフィ法によってパターン加工する露光・現像工程、ペーストを構成する有機成分を除去する焼成工程、電子放出しやすくするテープ剥離等の活性化工程からなる(例えば特許文献1)。
また、絶縁層としてガラス粉末などの絶縁材料を用いた場合、絶縁層のパターンの形成方法は、感光性ガラスペーストを基板上にスクリーン印刷などにより塗膜を形成する塗布工程、フォトリソグラフィ法によってパターン加工する露光・現像工程、ペーストを構成する有機成分を除去する焼成工程からなる。あるいは、非感光ガラスペーストを基板上にスクリーン印刷などにより塗膜を形成する工程、焼成工程、レジストなどにより塗膜上にパターニングする工程、パターニングされた領域をエッチングやサンドブラストで除去する工程、レジストを剥離する工程からなる。
ゲート電極として、金属などの導電材料を用いた場合、ゲート電極のパターンの形成方法は、感光性ガラスペーストや非感光ガラスペーストのかわりに、感光性導電ペーストや非感光導電ペーストを用いること以外は絶縁層の形成方法と同様である。あるいは、ペーストではなく、蒸着やスパッタで導電膜を作製した場合、ゲート電極のパターンの形成方法は、焼成工程を経た絶縁層上に導電材料を蒸着やスパッタで導電膜形成する工程、レジストなどにより塗膜上にパターニングする工程、パターニングされた領域をエッチングで除去する工程、レジストを剥離する工程からなる。
しかし、前記の感光性CNT含有ペーストによる電子放出源の形成方法、絶縁層の形成方法、ゲート電極の形成方法では工程数が多く、製造コストを増加させる。そのため、例えば電子放出源の形成方法では、ビアホール内に形成した導電性コラムに、CNT含有層を貼り付けたテンプレート(基材)を貼り付ける工程(スタンピング工程)によって、所望のパターン加工を行うことが提案されている(例えば特許文献2)。しかしながら、導電性コラムの形成に新たな工程が加わっていた。
また、感光性CNT含有ペーストによる電子放出源の形成方法では、焼成工程において、CNTの酸化による劣化を抑制するため500℃以下の窒素雰囲気下で行われることが多いが、感光性CNT含有ペーストを構成する有機成分は、窒素雰囲気下で分解・除去されることが難しく、焼成工程後もわずかに有機残渣となることが多い。そのため、この有機残渣からガスが発生し、例えば非特許文献1にあるように電子放出源の劣化をはやめることが懸念されていた。絶縁層やゲート電極についても同様に有機残渣から発生するガスが電子放出源の劣化をはやめることが懸念されていた。
一方、工程数の削減を目的としたパターン形成方法としては、有機EL素子の製造方法や、液晶カラーフィルターの製造方法において、レーザーによるパターン転写法が提案されている(例えば特許文献3、4)。しかし、レーザー転写法の場合、一般に転写層はそのまま最終形態となるため、熱による転写層の変質抑制、基板への接着性、表面平滑性など、転写層を形成する材料に要求されるスペックが高い。
特開2002−245928号公報(請求項1) 特開2003−115262号公報(請求項1) 特開2005−166661号公報(請求項1) 特開平7−104113号公報(請求項1)
Y. Saito et al., Mol. Cryst. Liq. Cryst. Vol.387, pp79-86, (2002)
本発明は上記課題に着目し、工程が少なく、製造コストを低減できるとともに、焼成工程における有機残渣の少ない電子放出素子の製造方法を提供することを目的とする。
すなわち本発明は、電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜の少なくとも一種が形成された基材の塗膜面をカソード電極基板上に貼り合わせ、該基材の該貼り合わせ面と反対の面からレーザー照射し、基材からカソード電極基板上に前記塗膜を転写することにより、パターニングされた電子放出源、絶縁層またはゲート電極の少なくとも一種を形成する工程を含むことを特徴とする電子放出素子の製造方法である。
本発明によれば、工程が少なく、製造コストを低減できるとともに、焼成工程における有機残渣の少ない電子放出素子の製造方法を提供することができる。
本発明の製造方法を示した模式図 本発明の製造方法を示した模式図 本発明の製造方法により作製した電子放出源パターンの顕微鏡写真
発明者らは、工程が少なく、製造コストを低減できるとともに、焼成工程における有機残渣の少ない電子放出素子の製造方法を鋭意検討した結果、電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜の少なくとも一種が形成された基材の塗膜面をカソード電極基板上に貼り合わせ、該貼り合わせ面と反対の面からレーザー照射し、基材からカソード電極基板上にこれらの塗膜を転写することにより、パターニングされた電子放出源、絶縁層またはゲート電極が形成された電子放出素子を製造することが重要であることを見出した。例えば、感光性ペースト法では、ペースト塗布後、露光・現像などにより電子放出源や絶縁層などの所望のパターンを作製するが、本発明の製造方法は、レーザー転写の1工程のみにより所望のパターンを作製することができる。そのため、工程数の削減に加え、露光用フォトマスク、現像液、水洗用水のような比例費も抑制することができる。また、感光性有機成分を使用する必要がないため、焼成工程における有機残渣を抑制することができ、信頼性の高い電子放出素子を製造することができる。なお、電子放出材料含有塗膜が電子放出源を、絶縁材料含有塗膜が絶縁層を、導電材料含有塗膜がゲート電極を形成する。
以下に本発明の電子放出素子の製造方法について詳細に説明する。はじめに、基材に転写させるための電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜を形成する。基材は、レーザー光の照射を妨げることのないものが好ましく、ポリエステルフィルム、ポリプロピレンフィルム、ポリビニルアルコールフィルム、エチレン酢酸ビニル共重合体ケン化物フィルム、ポリ塩化ビリニデンフィルムなどが挙げられる。特に耐熱性、寸法安定性、平滑性、透明性、機械強度等の観点から、ポリエチレンテレフタラート(PET)フィルムが好ましい。なお、これらはいずれの塗膜についても好適に用いられる。
電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜は、電子放出材料含有ペースト、絶縁材料含有ペーストまたは導電材料含有ペーストを作製し、これを基材上に塗布することで形成される。塗布方法としては、スクリーン印刷、スリットダイコーター、スピンナー、スプレーなどの公知の方法が挙げられる。スクリーン印刷、スリットダイコーターが塗布面積を制御しやすいためより好ましい。
以下に、電子放出材料含有ペースト、絶縁材料含有ペースト、導電材料含有ペーストの順に、好ましいペーストの態様について説明する。
電子放出材料含有ペーストは、電子放出材料および溶剤を必須成分として、バインダー樹脂、ガラス粉末、導電性フィラー、分散剤、光熱変換剤、発泡剤、熱可塑性樹脂などを含むことができる。
電子放出材料は炭素系材料が好ましく、カーボンナノチューブ、カーボンナノホーン、カーボンナノコイルなどが挙げられる。中でもカーボンナノチューブ(CNT)はカーボンナノホーン、カーボンナノコイルに比べ電子放出能が高いため、使用に最も適している。炭素材料は、レーザー光を吸収して熱に変換できる。その熱で電子放出材料含有塗膜のカソード電極基板への転写を促進できるため好ましい。
ガラス粉末は焼成工程において軟化し、CNTと基板を接着することができるため、電子放出材料含有ペーストに含まれることが好ましい。CNTは焼成時の劣化を防ぐ目的から500℃以下の温度で焼成されることが多いため、焼結してマトリックスを形成するには500℃以下に軟化点を持つ低軟化点ガラスを用いることが好ましい。しかし、代表的な低軟化点ガラスである鉛系ガラスは、環境負荷の観点から好ましくない。従って、環境負荷の少ないビスマス系ガラスを用いることが好ましい。また、同様の理由でアルカリ系ガラスを用いることも好ましい。ここでいうガラスの軟化点は示差熱分析(DTA)法を用いてガラス試料100mgを20℃/分で空気中で加熱し、横軸に温度、縦軸に熱量をプロットして得られるDTA曲線より得られる。ビスマス系ガラスとしては、例えば、45〜86重量%の酸化ビスマス、0.5〜8重量%の酸化ケイ素、3〜25重量%の酸化ホウ素、0〜25重量%の酸化亜鉛を有するガラス粉末がガラスの安定性と軟化点の制御のしやすさという点で好ましい。アルカリ系ガラスとしては、3〜15重量%の酸化リチウム、酸化ナトリウムまたは酸化カリウム、2〜15重量%の酸化マグネシウムまたは酸化カルシウム、20〜45重量%の酸化ホウ素、10〜25重量%の酸化アルミニウム、5〜30重量%の酸化ケイ素、2〜15重量%の酸化バリウムまたは酸化ストロンチウム、0〜5重量%の酸化亜鉛を有するガラス粉末がガラスの安定性と軟化点の制御のしやすさという点で好ましい。
導電性フィラーは、導電性のあるものであれば特に限定されないが、導電性酸化物を含む粒子、あるいは酸化物表面の一部または全部に導電性材料がコーティングされた粒子であることが好ましい。金属は触媒活性が高く、焼成や電子放出により高温になったときにCNTを劣化させることがあるためである。導電性酸化物としては、酸化インジウム・スズ(ITO)、酸化スズ、酸化亜鉛などが好ましい。また、酸化チタン、酸化ケイ素などの酸化物表面の一部または全部にITO、酸化スズ、酸化亜鉛、金、白金、銀、銅、パラジウム、ニッケル、鉄、コバルトなどがコーティングされたものも好ましい。この場合も、導電性材料のコーティング材料としては、ITO、酸化スズ、酸化亜鉛などの導電性酸化物が好ましい。
導電性フィラーの平均粒径が0.1〜1μmのものを用いることが好ましい。0.1〜1μmとすることで、導電性粒子の接点に生じやすい高抵抗物質、例えばバインダーなどの有機成分の焼成残分などのアモルファスカーボンなどによる接触抵抗の増加を抑えることができるとともに、表面の凹凸を抑制することができる。より好ましくは、導電性粒子の平均粒径が0.1〜0.6μmである。0.6μm以下では、さらに表面凹凸を小さくすることができる。
CNTとカソード電極との接触抵抗は、走査型拡がり顕微鏡を用いて測定することができる。Co−Crコートシリコンカンチレバーをエミッタ表面に接触させ、カソード電極にDCバイアスを印加することによって抵抗値を測定する。測定には市販の走査型拡がり抵抗顕微鏡(例えばVeeco社Digital Instruments製NanoScopeIIIaAFM Dimension3100ステージシステムなど)が用いられる。
また、吸着ガスにNを、キャリアガスにN/He=30/70を用いる流動法BET一点法比表面積測定装置(ユアサアイオニクス(株)製、MONOSORB)で導電性粒子の平均粒径を測定することができる。導電性粒子の平均粒径とは、流動法BET一点法により得られる比表面積(m/g)と密度(g/cm)を用いて次式から得られる値をさす。
平均粒径=6/(密度×比表面積) 。
バインダー樹脂は、500℃以下の窒素雰囲気下でも熱分解性が良好であることが好ましい。具体的には、窒素雰囲気下における熱重量分析(TGA)において、500℃における有機残分が初期重量の1%以下であることが好ましい。より好ましくは、450℃において1%以下、さらに好ましくは430℃において1%以下である。
熱分解温度は、TG測定装置(TGA−50、(株)島津製作所(株)製)にて約5mgの試料をセットし、空気または窒素雰囲気で流量20ml/min、昇温速度20〜0.6℃/minで700℃まで昇温する。その結果、温度(縦軸)と重量変化(横軸)の関係がプロットされたチャートを印刷し、分解前(横軸に平行な部分)の部分と分解中の部分の接線を引き、その交点の温度を熱分解温度とする、等の方法で測定できる。
バインダー樹脂は、500℃以下の窒素雰囲気下で熱分解するものであれば限定されないが、スクリーン印刷やスリットダイコーターによる塗膜作製のしやすさからアクリル樹脂やセルロース樹脂が好ましい。例えばポリビニルアルコール、ポリビニルブチラール、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル−メタクリル酸エステル共重合体、ブチルメタクリレート樹脂等を用いることができる。本発明では、バインダー樹脂を用いる場合でもこのように熱分解性のよいものを用いることができるため、有機残渣を少なくしやすい。
溶剤は、バインダー樹脂等有機成分を溶解するものであれば公知のものを用いることができる。例えば、エチレングリコールやグリセリンに代表されるジオールやトリオールなどの多価アルコール、アルコールをエーテル化および/またはエステル化した化合物が挙げられる。特に、テルピネオールが電子放出材料であるCNTの分散性が良好であるため特に好ましい。
分散剤は、公知のものを用いることができるが、バインダー樹脂と同様、500℃以下の窒素雰囲気下でも熱分解性が良好であることが好ましい。具体的には、窒素雰囲気下における熱重量分析(TGA)において、500℃における有機残分が初期重量の1%以下であることが好ましい。より好ましくは、450℃において1%以下、さらに好ましくは430℃において1%以下である。
また、光熱変換剤、発泡剤、熱可塑性樹脂などが含まれていることにより、レーザー照射によるカソード電極基板への転写を行いやすくすることができる。光熱変換剤がレーザー光を吸収し、熱エネルギーに変換する。その熱で発泡剤が分解・発泡し、発生したガスの圧力が電子放出材料含有塗膜のカソード電極基板への転写を促進する。熱可塑性樹脂は、基材からの剥離を行いやすくする。
光熱変換剤は、レーザー光を吸収するものであれば特に限定されるものではなく、カーボンブラック等の黒色顔料、金属、金属錯体、金属酸化物などの粉末を挙げることができる。また、赤外線または近赤外線を吸収する染料も好ましく用いられる。これらの染料としては、400nm〜1200nmの範囲に極大吸収波長を有する全ての染料を使用できる。特に、最大吸収波長が700nm〜900nmの範囲にあるシアニン系染料、アズレニウム系染料、スクアリリウム系染料、クロコニウム系染料、アゾ系分散染料、フタロシアニン系染料、ナフタロシアニン金属錯体系染料、ポリメチン系染料、ジチオールニッケル錯体系染料、インドアニリン金属錯体染料、分子間型CT染料、ベンゾチオピラン系スピロピラン、ニグロシン染料等が好ましく使用される。これらの光熱変換剤は単独で、あるいは2種以上を併用して用いることが好ましい。
発泡剤は、ニトロセルロースをはじめとするニトロ基含有化合物やヒドラジン誘導体、アゾ化合物、アジド化合物、炭酸エステル化合物などの易熱分解性物質を挙げることができる。熱可塑性樹脂は、アクリル樹脂などの一般的な樹脂を挙げることができる。
次に絶縁材料含有ペーストの好ましい態様について説明する。絶縁材料含有ペーストは、絶縁材料および溶剤を必須成分として、フィラー、さらに電子放出材料含有ペーストと同様にバインダー樹脂、分散剤、光熱変換剤、発泡剤、熱可塑性樹脂などを含むことができる。
絶縁材料は、ガラス粉末が好ましい。焼成工程によりガラス粉末を軟化させ、緻密な焼結体にすることによって電子放出素子における絶縁層を形成することができる。従って、絶縁層を形成する基板が耐えられる温度よりも低い軟化点のガラス粉末であれば公知のものを用いることができる。ガラス粉末としては、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リンおよびアルカリ金属酸化物の群から選ばれた少なくとも1種を含有するものであり、ガラス成分中に酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化リンおよびアルカリ金属酸化物のうち、少なくとも1種を10〜90重量%含有するものであることが、軟化点、熱膨張係数のコントロールが容易な点から好ましい。これらの成分の含有量が90重量%を越えるとガラスの耐熱温度が低くなり、ガラス基板への焼き付けの点で好ましくなく、また、これらの含有量が10重量%未満では、焼き付け温度や軟化点を制御するのに効果が少なくなる。
フィラーは、セラミックス粉末や高融点ガラス粉末からなり、焼成工程で軟化しない無機粉末である。フィラーを含有することは、焼成工程で形状保持しやすくなるため好ましい。フィラーとしては、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛、コーディエライト、セルシアン、アノーサイト、ステアタイト、スポジューメン、フォルステライト、および高融点ガラス粉末からなる群より選ばれた1種以上を含むことが好ましい。
溶剤、バインダー樹脂、分散剤、光熱変換剤、発泡剤、熱可塑性樹脂は、電子放出材料含有ペーストにおける成分と同様のものを用いることができる。
最後に導電材料含有ペーストの好ましい態様について説明する。導電材料含有ペーストは、導電材料、溶剤を必須成分として、ガラス粉末、さらに電子放出材料含有ペーストと同様にバインダー樹脂、分散剤、光熱変換剤、発泡剤、熱可塑性樹脂を含むことができる。
導電材料は、導電性を有する粉末であればよく、好ましくは、Ag、Au、Pd、Ni、Cu、Al、CrおよびPtの群から選ばれる少なくとも1種の金属を含むもので、基板上に600℃以下の温度で焼き付けできる低抵抗の導電性粉末が好ましい。これらは、単独、合金、混合粉末のいずれの状態であっても用いることができる。特に、銀が酸化しにくいという点で好ましい。また、ITO、SnO、AZO等の導電性酸化物でもよい。導電性が高いという点から、金属が特に好ましい。
ガラス粉末は、焼成工程により軟化させ、導電材料を下地に固着することができる。従って、基板が耐えられる温度よりも低い軟化点のガラス粉末であれば公知のものを用いることができる。例えば、絶縁材料含有ペーストと同様のものを用いることができる。
溶剤、バインダー樹脂、分散剤、光熱変換剤、発泡剤、熱可塑性樹脂は、電子放出材料含有ペーストにおける成分と同様のものを用いることができる。
電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜と基材の間に剥離層を導入してもよい。剥離層は、光熱変換剤、発泡剤および熱可塑性樹脂などを含む。剥離層の効果は、前述の通り、レーザー照射によるカソード電極基板への転写を行いやすくすることができる。すなわち、光熱変換剤がレーザー光を吸収し、熱エネルギーに変換する。その熱で発泡剤が分解・発泡し、発生したガスの圧力が電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜のカソード電極基板への転写を促進する。熱可塑性樹脂は、基材からの剥離を行いやすくする。
また、電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜の表面に、保護層を設けてもよい。保護層はレーザー照射されない領域が、脱落などによりカソード電極基板に残ることを防ぐものである。保護層は熱可塑性樹脂であると、レーザー照射された領域のみが軟らかくなり、カソード電極基板への転写を精度良く行うことができるので好ましい。
電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜の厚みは0.1〜20μmの範囲が好ましい。0.1〜20μmとすることで、レーザー照射による電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜のカソード電極基板への転写が行いやすい。より好ましくは、0.5〜10μmである。電子放出材料含有塗膜および導電材料含有塗膜についてはさらに好ましくは1〜5μmである。基材上の電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜は、レーザー照射された領域についてはほぼその全量が転写されるため、これらの膜厚は転写後の膜厚とほぼ同一である。したがって、転写後に必要とされる厚さの塗膜を用意すればよい。
カソード電極基板は、ソーダライムガラスなどのガラス基板上にカソード電極を形成することによって作製する。カソード電極は、スパッタ法、導電性ペースト法などの公知の方法が用いられる。電極材料は、ITO、ZnO、AZO、Cr、Au、Ag、Cu、Alなどの導電性材料が好ましく用いられる。特に、CNTの劣化が少ないという点でITO、ZnO、AZOなどの導電性酸化物が好ましい。このような二極構造でなく、さらにカソード電極上に電子放出源が形成される領域としてビアホールやストライプ状の溝などを有する絶縁層、ゲート電極を形成し、三極構造にしてもよい。
次に、上記のように作製した基材上に形成された電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜とカソード電極基板を貼り合わせる。このとき、ローラーや真空圧着などを用いて気泡ができるだけはいらないように密着させることが好ましい。
三極構造の電子放出素子を製造するときは、図1に例示するように、カソード電極基板に電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜、導電材料含有塗膜の順に転写させることが好ましい。電子放出源の厚さは絶縁層の厚さよりも薄いことが多いため、先に電子放出材料含有塗膜を転写させた方が、次の塗膜を転写させる際のカソード電極基板の表面凹凸を小さくすることができるからである。絶縁材料含有塗膜の転写が、すでにパターニングされた電子放出材料含有塗膜が形成されたカソード電極基板に対して行われる場合、少なくとも転写される領域の絶縁材料含有塗膜はカソード電極基板に密着していることが好ましい。同様に、導電材料含有塗膜の転写が、すでにパターニングされた絶縁材料含有塗膜が形成されたカソード電極基板に対して行われる場合、少なくとも転写される領域の導電材料含有塗膜はパターニングされた絶縁材料含有塗膜に密着していることが好ましい。
また、図2に例示するように、導電材料含有塗膜と絶縁材料含有塗膜をこの順に基材上に2層構造となるように形成してもよい。このものの塗膜面をカソード電極基板に貼り合わせて基材の裏面から所定の領域へレーザー照射することにより、基材からカソード電極基板上に絶縁材料含有塗膜と導電材料含有塗膜をともに転写することができる。
本発明の方法により得られる電子放出素子は、電子放出源、絶縁層およびゲート電極のすべてがレーザー照射による転写法で形成されている必要はない。これらの少なくとも1種を本発明の方法で形成すれば、他を感光性ペースト法、サンドブラスト法、エッチング法など公知の方法により形成してもよい。
そして、基材の裏面からパターン転写したい領域へレーザー照射することにより基材からカソード電極基板上に電子放出材料含有塗膜を転写する。図3に本発明の製造方法により作製した電子放出源パターンの一例の顕微鏡写真を示す。
レーザー光源としては、発光波長領域が300nm〜1500nmの範囲にあるものが用いられるが、これらの中でも近赤外領域付近に発光波長領域が存在する半導体レーザーやYAGレーザーが好ましく用いられる。具体的には、明室での取扱い性等の観点から、780nm、830nm、1064nmの波長のレーザー光が好ましく用いられる。レーザービーム径は形成しようとするパターンに応じて適宜選択することができる。例えば、ファインパターン形成が要求される電子放出材料含有塗膜に対しては、レーザービーム径は直径50μm以下が好ましい。より好ましくは10μm以下である。ビーム形状は、球形でも矩形でも構わない。
レーザーのエネルギー密度は300mJ/cm以上、より好ましくは500mJ/cm以上、さらに好ましくは700mJ/cmであると、転写に必要な十分なエネルギーを得ることができる。電子放出材料としてカーボンナノチューブやカーボンナノコイルのような繊維状のものを用いた場合、塗膜が転写されにくい場合があるため、900mJ/cm以上がより好ましい。
カソード電極上に転写された絶縁材料含有塗膜は絶縁材料であるガラス粉末を軟化させるために焼成が必須である。また、電子放出材料含有塗膜および導電材料含有塗膜についても、焼成することが好ましい。これらの塗膜に有機成分が含まれる場合は、焼成工程により除去される。このように有機成分は焼成により除去することができるため、有機成分からの脱ガスによる電子放出源の寿命劣化を防ぐことができる。また、レーザー転写時の熱により有機成分の一部が変質したとしても、最終的に除去されるため問題ないので、用いられるバインダー樹脂も幅広い。また、これらの塗膜中にガラス粉末が含まれる場合、焼成工程によってガラス粉末が軟化し、電子放出材料とカソード電極基板の接着力が向上する。そのため、レーザー転写時に強固な接着性を有していなくてもよい。焼成工程を含む場合、焼成温度は大気中または窒素雰囲気中で400〜500℃が好ましい。
最後に、テープ剥離法やレーザー照射法など、電子放出源表面の活性化処理工程を経て電子放出源を製造することができる。電子放出源からの均一な発光を得るためには、電子放出源の表面は高水準に平滑化され、かつ、電子放出材料が起毛していることが好ましい。本発明の方法で得られる電子放出源の表面は、最終的に機械的、化学的、電気的または熱的な活性化処理を行うことにより表面の平滑化と起毛を行うことができるため、レーザー転写時には電子放出源表面に凹凸があってもよい。
このようにして得られた電子放出素子は背面基板として用いられ、前面基板と貼り合わせることにより電子放出素子を製造することができる。前面基板は、ソーダライムガラスなどのガラス基板上にITOを成膜してアノード電極を形成し、アノード電極上に白色蛍光体を印刷法により積層することにより作製される。そして、背面基板と前面基板を厚み1〜10mmのスペーサーをはさんで貼り合わせ、容器に接続した排気管により真空排気することにより電子放出素子を作製することができる。電子放出状態を確認するために、アノード電極に1〜20kVの電圧を供給することで、CNTから電子が放出され蛍光体発光を得ることができる。
以下に、本発明を実施例を用いて具体的に説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。各組成物に用いた材料は次のとおりである。
基材:ポリエステルフィルム(ルミラー、膜厚75μm、東レ(株)製)
電子放出材料:CNT(S−DWNT、ShinzhenNanotechPortCo.,Ltd.製)
ガラス粉末:ビスマス系ガラス(酸化ビスマス:85wt%、酸化ホウ素:4wt%、酸化ケイ素:1.5wt%、酸化亜鉛:9.5wt%)、ガラス軟化点415℃、平均粒径0.5μm、密度6g/cm
導電性フィラー:石原産業(株)製、ET−500W
銀粉末:三井金属鉱業(株)製銀粉末、3050HD
バインダー:ポリイソブチルメタクリレート
溶剤:α−テルピネオール(和光純薬工業(株)製)
レーザー照射装置
半導体レーザー(OPC−A001−MMM−FC、波長780〜865nm、オプトパワーコーポレション製)を半導体レーザードライバ(ALP−7402PA、(株)旭データシステムズ製)に接続し、直径100μmのレーザースポットを集光レンズ(MP16−00A、(株)目白プレシジョン製)にて直径20μmにした。パルス幅をかえることにより照射時間を変更し、所定のエネルギー密度(mJ/cm)をえた。
転写パターンの評価
実施例1〜8については、100カ所にレーザー照射を行い、転写された電子放出材料含有塗膜の円状パターン面積の50%以上転写されていない、あるいは脱落しているものの数をパターン形成不良数として計測した。不良数が10個以下である場合を合格とした。実施例9〜12については、ストライプ状にレーザー照射を行い、各々独立に転写された絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜の100本のストライプ状パターンについて、それぞれ、断線しているものの数をパターン不良数として計測した。不良数が10本以下である場合を合格とした。実施例13〜16については、ストライプ状にレーザー照射を行い、一括して転写された絶縁材料含有塗膜および導電材料含有塗膜の100本のストライプ状パターンについて、断線しているものの数をパターン不良数として計測した。不良数が10本以下である場合を合格とした。
窒素雰囲気下450℃における有機残分の測定
熱分解温度は、TG測定装置(TGA−50、(株)島津製作所(株)製)にて電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜中の有機成分5mgをセットし、窒素雰囲気で流量20ml/min、昇温速度10℃/minで700℃まで昇温した。450℃における有機残分の初期重量に対する百分率を有機残分(%)とした。
実施例1〜8
CNT2g、ビスマス系ガラス6g、導電性フィラー5g、バインダー9g、溶剤78gを秤量後、3本ローラーで混練し、CNT含有ペーストを作製した。次に、ポリエステルフィルム上にそのCNT含有ペーストをスクリーン印刷し、熱風オーブンにて100℃で10分間乾燥させ、表1に示す膜厚の電子放出材料含有塗膜を作製した。そして、ITOをスパッタにより成膜しカソード電極を作製した厚み1.8mmのソーダガラス基板(カソード電極基板)上に、ポリエステルフィルム上に形成した電子放出材料含有塗膜を密着させ、レーザー照射装置を用いて、直径20μmのレーザースポットをポリエステルフィルムの裏面から表1に示すエネルギー密度となるように照射した。
電子放出材料含有塗膜が転写されたカソード電極基板を窒素雰囲気で450℃、15分間焼成(昇温速度5℃/分)した。次に、剥離接着強さ6.7N/cmのテープ(住友スリーエム(株)、8421S)を電子放出源に貼り付け、45°の角度を保持しながら1cm/秒の速さでテープを剥離した。
次に、エミッション特性を確認するため、ITOをスパッタした厚み1.8mmのソーダガラス基板上に蛍光体を印刷し、アノード基板を作製した。そして、先に作製したカソード電極基板とアノード基板とを、スペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、真空チャンバー内にセットした。電極を接続して1×10−3Paになるまで真空排気し、電流値が500μAになるまでアノード電極に電圧を印加し、蛍光体発光を観察した。目視で確認したところ、どれも均一に発光した。また、熱重量分析によると、窒素雰囲気下、焼成温度450℃における有機残分はいずれも0.1%未満であった。
実施例9〜12
実施例1で用いた電子放出材料含有塗膜を2μmの膜厚でポリエステルフィルム上に形成し、実施例1と同様のカソード電極基板上に密着させ、レーザー照射装置を用いて、直径20μmのレーザースポットを幅20μm、長さ1mm、ピッチ50μmのストライプ状になるように走査しながら、ポリエステルフィルムの裏面からエネルギー密度が700mJ/cmとなるように照射した。
次に、ビスマス系ガラス50g、バインダー20g、溶剤30gを秤量後、3本ローラーで混練し、絶縁材料含有ペーストを作製し、ポリエステルフィルム上にその絶縁材料含有ペーストをスクリーン印刷し、熱風オーブンにて100℃で10分間乾燥させ、表2に示す膜厚の絶縁材料含有塗膜を作製した。それを電子放出材料含有塗膜をすでに転写したカソード電極基板上に密着させ、レーザー照射装置を用いて、転写した電子放出材料含有塗膜パターンと重ならないように、直径20μmのレーザースポットを幅20μm、長さ1mm、ピッチ50μmのストライプ状になるように、走査しながら、ポリエステルフィルムの裏面から表2に示すエネルギー密度となるように照射した。
さらに銀粉末78g、ビスマス系ガラス1.5g、バインダー4.5g、溶剤16gを秤量後、3本ローラーで混練し、導電材料含有ペーストを作製した。そして、ポリエステルフィルム上にその導電材料含有ペーストをスクリーン印刷し、熱風オーブンにて100℃で10分間乾燥させ、表2に示す膜厚の導電材料含有塗膜を作製した。それを電子放出材料含有塗膜と絶縁材料含有塗膜をすでに転写したカソード電極基板上に密着させ、レーザー照射装置を用いて、転写した絶縁材料含有塗膜パターンと重なるように、直径20μmのレーザースポットを幅20μm、長さ1mm、ピッチ50μmのストライプ状になるように、走査しながら、ポリエステルフィルムの裏面から表2に示すエネルギー密度となるように照射した。
電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜、導電材料含有塗膜が転写されたカソード電極基板を窒素雰囲気で450℃、15分間焼成(昇温速度5℃/分)し、電子放出源、絶縁層、ゲート電極を作製した。次に、剥離接着強さ6.7N/cmのテープ(住友スリーエム(株)、8421S)を電子放出源に貼り付け、45°の角度を保持しながら1cm/秒の速さでテープを剥離した。
次に、エミッション特性を確認するため、ITOをスパッタした厚み1.8mmのソーダガラス基板上に蛍光体を印刷し、アノード基板を作製した。そして、先に作製したカソード電極基板とアノード基板とを、スペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、真空チャンバー内にセットした。電極を接続して1×10−3Paになるまで真空排気し、電流値が500μAになるまでゲート電極、アノード電極に電圧を印加し、蛍光体発光を観察した。目視で確認したところ、どれも均一に発光した。また、熱重量分析によると、窒素雰囲気下、焼成温度450℃における有機残分はいずれも0.1%未満であった。
実施例13〜16
実施例1で用いた電子放出材料含有塗膜を2μmの膜厚でポリエステルフィルム上に形成し、実施例1と同様のカソード電極基板上に密着させ、レーザー照射装置を用いて、直径20μmのレーザースポットを幅20μm、長さ1mm、ピッチ50μmのストライプ状になるように走査しながら、ポリエステルフィルムの裏面からエネルギー密度が700mJ/cmとなるように照射した。
次に、実施例9で用いた導電材料含有塗膜を表3に示す膜厚でポリエステルフィルム上に形成し、その上にさらに実施例9で用いた絶縁材料含有塗膜を表3に示す膜厚で形成して2層構造とし、電子放出材料含有塗膜をすでに転写したガラス基板上に密着させ、レーザー照射装置を用いて、転写した電子放出材料含有塗膜パターンと重ならないように、直径20μmのレーザースポットを幅20μm、長さ1mm、ピッチ50μmのストライプ状になるように、走査しながら、ポリエステルフィルムの裏面から表3に示すエネルギー密度となるように照射した。
電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜、導電材料含有塗膜が転写されたカソード電極基板を窒素雰囲気で450℃、15分間焼成(昇温速度5℃/分)し、電子放出源、絶縁層、ゲート電極を作製した。次に、剥離接着強さ6.7N/cmのテープ(住友スリーエム(株)、8421S)を電子放出源に貼り付け、45°の角度を保持しながら1cm/秒の速さでテープを剥離した。
次に、エミッション特性を確認するため、ITOをスパッタした厚み1.8mmのソーダガラス基板上に蛍光体を印刷し、アノード基板を作製した。そして、先に作製したカソード電極基板とアノード基板とを、スペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、真空チャンバー内にセットした。電極を接続して1×10−3Paになるまで真空排気し、電流値が500μAになるまでゲート電極、アノード電極に電圧を印加し、蛍光体発光を観察した。目視で確認したところ、どれも均一に発光した。また、熱重量分析によると、窒素雰囲気下、焼成温度450℃における有機残分はいずれも0.1%未満であった。
比較例1
感光性CNT含有ペーストを次の要領で作製した。CNT2g、ビスマス系ガラス6g、導電性フィラー5g、感光性ポリマー溶液(メタクリル酸/メタクリル酸メチル/スチレン=40/40/30からなる共重合体のカルボキシル基に対して0.4当量のグリシジルメタクリレートを付加反応させたもの(重量平均分子量43000、酸価100)をテルピネオールに40重量%溶解させたもの)25g、感光性モノマー(テトラプロピレングリコールジメタクリレート)1g、光重合開始剤IC369(2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)ブタノン−1)(チバスペシャリティケミカルズ社製)1g、溶剤60gを添加して3本ローラーにて混練し、感光性CNT含有ペーストとした。次のようにして、電子放出素子を作製した。ガラス基板上にITOをスパッタにより成膜しカソード電極を形成した。得られたカソード電極上に感光性CNT含有ペーストをスクリーン印刷により50mm角のパターンで印刷した。次いで、ネガ型クロムマスク(20μmφ、40μmピッチ)を用いて上面から50mW/cm出力の超高圧水銀灯で紫外線露光した。そして炭酸ナトリウム1重量%水溶液をシャワーで150秒間かけることにより現像し、シャワースプレーを用いて水洗浄して光硬化していない部分を除去した。パターン形成されたカソード電極基板を窒素雰囲気で450℃、15分間焼成(昇温速度5℃/分)した。次に、剥離接着強さ6.7N/cmのテープ(住友スリーエム(株)、8421S)を電子放出源に貼り付け、45°の角度を保持しながら1cm/秒の速さでテープを剥離した。
次に、エミッション特性を確認するため、ITOをスパッタした厚み1.8mmのソーダガラス基板上に蛍光体を印刷し、アノード基板を作製した。そして、先に作製したカソード電極基板とアノード基板とを、スペーサーガラスをはさんで貼り合わせ、真空チャンバー内にセットした。電極を接続して1×10−3Paになるまで真空排気し、電流値が500μAになるまでアノード電極に電圧を印加し、蛍光体発光を観察した。目視で確認したところ、どれも均一に発光した。上述のように、各実施例ではパターン加工する工程が、レーザー転写の1工程であるのに対し、露光・現像・水洗の3工程であった。また、熱重量分析によると、窒素雰囲気下、焼成温度450℃における有機残分は5%であった。
1 カソード電極基板
2 レーザー
3 基材
4 電子放出材料含有塗膜
5 電子放出材料含有塗膜の転写パターン
6 絶縁材料含有塗膜
7 絶縁材料含有塗膜の転写パターン
8 導電材料含有塗膜
9 導電材料含有塗膜の転写パターン
10 電子放出源パターン
11 カソード電極基板

Claims (7)

  1. 電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜の少なくとも一種が形成された基材の塗膜面をカソード電極基板上に貼り合わせ、該基材の該貼り合わせ面と反対の面からレーザー照射し、基材からカソード電極基板上に転写することにより、パターニングされた電子放出源、絶縁層またはゲート電極の少なくとも一種を形成する工程を含むことを特徴とする電子放出素子の製造方法。
  2. 絶縁材料含有塗膜の転写が、パターニングされた電子放出源が形成されたカソード電極基板上に対して行われることを特徴とする請求項1記載の電子放出素子の製造方法。
  3. 導電材料含有塗膜の転写が、パターニングされた絶縁層が形成されたカソード電極基板上に対して行われることを特徴とする請求項1または2記載の電子放出素子の製造方法。
  4. 導電材料含有塗膜および絶縁材料含有塗膜がこの順に形成された基材の塗膜面をカソード電極基板上に貼り合わせ、該基材の該貼り合わせ面と反対の面からレーザー照射し、基材からカソード電極基板上に導電材料含有塗膜および絶縁材料含有塗膜を転写することを特徴とする請求項1または2記載の電子放出素子の製造方法。
  5. 転写された電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜を焼成する工程を含む請求項1〜4のいずれか記載の電子放出素子の製造方法。
  6. 電子放出材料含有塗膜に含まれる電子放出材料が炭素材料である請求項1〜5のいずれか記載の電子放出素子の製造方法。
  7. 電子放出材料含有塗膜、絶縁材料含有塗膜または導電材料含有塗膜がガラス粉末を含むことを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の電子放出素子の製造方法。
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