JP2009244459A - 電子ビーム描画方法、微細パターン描画システム、凹凸パターン担持体磁気ディスク媒体の製造方法 - Google Patents

電子ビーム描画方法、微細パターン描画システム、凹凸パターン担持体磁気ディスク媒体の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】レジスト上に所望の微細パターンを電子ビームにより描画する電子ビーム描画方法において、微細パターンを描画する時間を短縮する。
【解決手段】レジスト11が塗布され回転ステージ41に設置された基板10上に、回転ステージ41を回転させつつ電子ビームEBを走査して所望の微細パターンを描画する電子ビーム描画方法において、微細パターンの描画を、回転ステージ41の半径方向位置における線速度が一定となるように、該回転ステージ14の回転速度を、描画位置の半径に反比例して内周トラック描画で速く外周トラック描画で遅くなるように回転制御して行うものとし、この微細パターンを描画する前に、レジスト11に予備露光を施す。
【選択図】図2

Description

本発明は、ディスクリートトラックメディアやビットパターンメディアなどの高密度磁気記録媒体用のインプリントモールドや磁気転写用マスター担体などを作製する際に、所望の凹凸パターンに応じた微細パターンを描画するための電子ビーム描画方法に関するものである。
本発明は、上記電子ビーム描画方法を用いた描画を行う工程を経て製造される、凹凸パターン表面を有するインプリントモールドあるいは磁気転写用マスター担体、光ディスク用スタンパなどを含む凹凸パターン担持体の製造方法、さらには該凹凸パターン担持体であるインプリントモールドを用いたインプリント法による磁気ディスク媒体の製造方法、磁気転写用マスター担体を用いた磁気転写による磁気ディスク媒体の製造方法、光ディスク用スタンパを用いた光ディスク媒体の製造方法に関するものである。
現状の磁気ディスク媒体では、一般にサーボパターンなどの情報パターンが形成されている。また、記録密度のさらなる高密度化の要請から、隣接するデータトラックを溝(グルーブ)からなるグルーブパターン(ガードバンド)で分離し、隣接トラック間の磁気的干渉を低減するようにしたディスクリートトラックメディア(DTM)が注目されている。さらに高密度化を図るために提案されているビットパターンメディア(BPM)は単磁区を構成する磁性体(単磁区微粒子)が物理的に孤立して規則的に配列されてなり、微粒子1個に1ビットを記録するメディアである。
従来、上記サーボパターン等の微細パターンは、磁気ディスク媒体に凹凸パターンまたは磁化パターンなどによって形成され、高密度の磁気ディスク媒体を製造するための磁気転写用マスター担体の原盤などに、所定の微細パターンをパターニングするための電子ビーム描画方法が提案されている。この電子ビーム描画方法は、レジストが塗布された基板を回転させながら、パターン形状に対応した電子ビームの照射によってパターン描画を行うものである(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
上記特許文献1には、例えばサーボパターンを構成するトラックの幅方向に延びる矩形または平行四辺形のエレメントを描画する際に、電子ビームを周方向に高速振動させつつ半径方向に偏向させて、このエレメントを塗りつぶすように走査して描画する電子ビーム描画方法が記載されている。
また、特許文献2には、パターンのトラック幅方向に電子ビームを往復振動させて描画する方法、および振動させず、基板の回転と電子ビーム照射のオン、オフのみでパターンを描画する方法が記載されている。
特許文献3には光ディスク原盤を作製する場合の電子ビーム照射方法が記載されている。光ディスク原盤作製用ディスクを全ピット形成領域で角速度一定となるように回転させながら電子ビームの照射を行うと、同一の角速度の下でピット形成部分を描画すべき領域内では、外側のピット形成部分ほど線速度が速くなってしまい、光ディスク原盤作製用ディスクの半径方向上、外側のピット形成部分ほどドーズ量が少なくなってしまうという問題がある。これに対し、特許文献3では、各ピット形成部分の単位面積あたりのドーズ量が光ディスク原盤作製用ディスクの半径方向の位置によらず一定となるように電子ビームを照射するために、半径方向上、外側になるほど電子ビーム電流値を大きくなるように制御する、あるいは、各ピット形成部分を電流値一定として電子ビームで照射する場合、各ピット形成部の単位面積あたりの合計ドーズ量が光ディスク原盤作製用ディスク10の半径方向の位置によらず一定となるように、予備照射としてピット形成に最適とされるドーズ量に届かない範囲で、かつ、同一の角速度の下でピット形成部分を描画すべき領域内では、光ディスク原盤作製用ディスクの半径方向上、外側になるほどドーズ量が多くなるように、電子ビームレジスト層のピット形成領域全面を予め電子ビームで照射することが提案されている。
特開2004−158287号公報 特開2006−184924号公報 特開2000−11464号公報
さて、高密度化の要請により、トラック幅、ビット長をさらに小さくすることが求められているが、そのためには解像度の高いレジスト(高解像レジスト)を用いる必要がある。しかしながら、従来の高解像レジストは低感度であるために、必要な露光量は大きく、その必要な露光量を稼ぐためには、電子ビーム電流値の設定を大きくする、あるいは電子ビームの照射時間を長くするなどの対応が必要である。
ここで、電子ビーム電流値は大きくしすぎると、ビーム径が大きくなることにより微細なパターンを精度よく描画することが困難となるため、電子ビーム電流値は微細パターンを描画可能な程度に抑制する必要があり、電子ビームの照射時間を長くすることにより露光量を大きくすることが必要となる。
そのために、従来の特許文献1〜3に記載のような電子ビーム描画方法においては、露光時間がかかり1枚のディスクパターンを描画するのに相当の時間を要するという問題がある。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、露光時間を短縮し短時間で全描画パターンを描画することが可能な電子ビーム描画方法を提供することを目的とするものである。
また、本発明は、インプリントモールド、磁気転写用マスター担体および光ディスク用スタンパなどの凹凸パターン担持体の製造方法および、その凹凸パターン担持体を用いて凹凸パターンもしくは磁気パターンを転写して製造する磁気ディスク媒体や光ディスク媒体の製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明の電子ビーム描画方法は、レジストが塗布され回転ステージに設置された基板上に、前記回転ステージを回転させつつ電子ビームを走査して所望の微細パターンを描画する電子ビーム描画方法において、
前記微細パターンの描画は、前記回転ステージの半径方向位置における線速度が一定となるように、該回転ステージの回転速度を、描画位置の半径に反比例して内周トラック描画で速く外周トラック描画で遅くなるように回転制御して行うものであり、
前記微細パターンの描画を行う前に、前記レジストに予備露光を施すことを特徴とするものである。
前記予備露光は、前記レジスト上において該予備露光を行なった箇所における露光量が一様となるように行うことが好ましい。
ここで、「一様に」とは、予備露光を行ったレジストの位置(特に半径方向位置)によらず同じ露光量(ドーズ量)となるようにすることを意味する。なお、本明細書において「露光量」とは、単位面積あたりの露光量をいうものとする。
前記レジストを被う非開口部と、少なくとも、前記所望の微細パターンに対応する領域を開口した開口部とからなるマスクを用い、前記予備露光は、前記レジストの該開口部に対応する領域に対して行うようにしてもよい。また、前記予備露光は、前記所望の微細パターンが描画されるレジストの全面に行ってもよい。
なお、予備露光は、レジスト全面に対して同時露光を行ってもよいし、露光光源および/または基板を相対的に移動させて露光を行ってもよい。
前記予備露光は、電子ビームを照射して行ってもよいし、電子ビームではない荷電粒子線あるいは電磁波光を照射して行ってもよい。予備露光光としては、電子ビーム用レジストを感光できるものであれば如何なるものを用いてもよく、様々な荷電粒子線および電磁波を使用することができる。荷電粒子線としては電子ビーム以外に、α線、β線、プロトン線等が使用でき、一方電磁波としては可視光から近紫外、遠紫外、極端紫外領域以下までの様々な波長の光線を用いることができ、予備露光光源としては、例えばハロゲンランプ、g線、h線、i線等の超高圧水銀灯、XeCl、KrF、ArF、F、Ar等のエキシマレーザー、UV光源、EUV光源、およびX線源等を用いることができる。
本発明の凹凸パターン担持体の製造方法は、レジストが塗布された基板に、本発明の電子ビーム描画方法により所望の微細パターンを描画露光し、該所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを形成する工程を経て、表面に凹凸パターンを有する凹凸パターン担持体を製造することを特徴とするものである。
凹凸パターン担持体とは、表面に所望の凹凸パターン形状を有する担体であり、その凹凸パターンの形状を被転写媒体に転写するためのインプリントモールド、凹凸パターンの形状に応じた磁化パターンを被転写媒体に転写するための磁気転写用マスター担体、凹凸パターンの形状を転写するための光ディスク用スタンパなどである。
本発明の磁気ディスク媒体の製造方法は、所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを有する磁気ディスク媒体をインプリント法により製造する製造方法であって、
前記インプリント法に用いるインプリントモールドとして、レジストが塗布された基板に、本発明の電子ビーム描画方法により前記所望の微細パターンを描画露光し、該所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを形成する工程を経て製造されたインプリントモールドを用いることを特徴とするものである。
本発明の他の磁気ディスク媒体の製造方法は、レジストが塗布された基板に、本発明の電子ビーム描画方法により所望の微細パターンを描画露光し、該所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを形成する工程を経て作製された磁気転写用マスター担体を用い、磁気転写により該マスター担体の表面に設けられた前記凹凸パターンに応じた磁化パターンを形成することを特徴とするものである。
本発明の光ディスク媒体の製造方法は、レジストが塗布された基板に、本発明の電子ビーム描画方法により所望の微細パターンを描画露光し、該所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを形成する工程を経て作製されたスタンパを用いて製造することを特徴とするものである。
本発明の電子ビーム描画方法によれば、レジストに対して予備露光を施した上で、電子ビームを走査させて微細パターンの描画を行うので、見かけ上、レジストの感度を高くすることができ、予備露光しない場合の微細パターン描画時に必要な露光量よりも小さい露光量で所望のパターン描画を行うことができるため、相対的に描画時間を短くすることができる。
本発明の凹凸パターン担持体、磁気ディスク媒体および光ディスク媒体の製造方法においては、本発明の電子ビーム描画方法を採用していることから、予備露光をすることなくパターン描画を行う電子ビーム描画方法を用いていた場合と比較して、製造時間を短縮することができ、効率よく製造ができる。
本発明は、レジストが塗布され回転ステージに設置された基板上に、回転ステージを回転させつつ電子ビームを走査して所望の微細パターンを描画する電子ビーム描画方法において、回転ステージの半径方向位置における線速度が一定となるように、該回転ステージの回転速度を、描画位置の半径に反比例して内周トラック描画で速く外周トラック描画で遅くなるように回転制御して、微細パターンを描画するものであり、微細パターン描画を行う前に、レジストに対して予備露光を施すことを特徴とするものである。
図1は電子ビーム用レジストの溶解度曲線の一例を示すものである。図1に示すように、レジストには、それぞれ種類により、完全に溶解するために必要な最適露光量D100があり、最適露光量D100より少ない露光量の露光では現像後にレジストが基板上に残留してしまう。従って、パターン描画を行う場合には、最適露光量D100以上の露光量で露光する必要がある。すなわち、パターン描画時には、レジストの最適露光量D100以上の露光量となるように電子ビームの照射時間を設定する必要がある。
ここで、予備露光をしない場合微細パターンの描画時にD100の露光量となるように電子ビームを照射する必要があったところを、予備露光として図中Daで示す量の露光量で予めレジストを露光しておくことにより、D100−Daの露光量が得られるように電子ビームを照射すればよいことから、予備露光しない場合と比較して電子ビームの照射時間を短縮することができる。予備露光により、見かけ上、溶解度曲線が図1中一点鎖線で示すようにDaからD100の範囲に圧縮されることとなり、レジスト感度が向上したのと同様の効果を得ることができる。
予備露光の露光量は、使用するレジストの感度・現像コントラスト、描画するパターンの大きさ(線幅)、描画速度、描画パターンの疎密状態による近接効果の影響度合い等の様々な因子を考慮して定める必要がある。露光量を最適露光量D100より小さい範囲で行うことは当然であるが、概ね最適露光量D100の30%〜80%程度が好ましい。予備露光量がD100の30%より小さいとパターン描画時の電子ビーム照射時間の短縮効果が小さく、予備露光量がD100の80%より大きいと、コントラストが不足し鮮明なパターンが描画できなくなる恐れがあるためである。なお、予備露光の露光量が多いほど、パターン描画の高速化の効果は大きくなる一方、描画マージンが小さくなってくるため、描画されるパターンが小さく密な高精細なパターンの描画が困難となる。
予備露光は、露光したレジストの単位面積あたりの露光量がほぼ一定となるように露光する。レジスト全面を一度に露光してもよいし、走査露光をしてもよい。
なお、[背景技術]の項で挙げた特許文献3に記載の描画方法では、角速度一定で電子ビーム描画を行うため、線速度の大きい外側での露光量が不足することから、予め外側で露光量が大きくなるように予備照射(露光)しておき、本露光(パターン描画)後の内外周で露光量を一定とするものである。従って、特許文献3に記載の描画方法においては、予備露光の露光量に外周側から内周側へ徐々に低くなっていくような勾配を設ける必要があり、単純な一括露光による予備露光はできない。一方、本発明においては、線速度一定(すなわち外側に行くほど回転速度を下げる)でパターン描画をするものであるため、特許文献3のような予備露光の露光量に勾配を設ける必要がなく、単純な一括露光などの単純な方法での予備露光が可能である。
予備露光方法の具体的な実施形態を図2および図3に示す。
図2に示すように、基板10上に設けられたレジスト11に対して、微細パターンの描画前に予備露光を行う。レジスト11は電子ビーム用レジストであるが、ハロゲンランプなど、レジスト11を感光できる予備露光光源5を用意して、この予備露光光源5を用いてレジスト11全面に対して同時にかつ一様に予備露光光6を照射することにより予備露光を行う。なお、照射する光の強度、照射時間と、露光量との関係については予め求めておき、露光量が最適露光量の30〜80%程度の所定量となるように露光することが好ましい。
ここでは、電子ビームを用いないで、予備露光光源5からの光6を用いて予備露光することとしたが、当然ながら、電子ビームシャワーを予備露光に用いてもよい。また、図2では、光源5からレジスト11全面に同時に予備露光光6を照射するものとしているが、ライン状の光を照射して、光源と基板とを相対的に移動させることによりレジスト全面を露光するようにしてもよい。予備露光光としては、様々な荷電粒子線、および電磁波を採用することができる。荷電粒子線としては電子ビームのほかにα線、β線、プロトン線等が使用でき、一方電磁波としては可視光から近紫外、遠紫外、極端紫外領域以下までの様々な波長の光線を用いることができ、予備露光光源としては、例えばハロゲンランプ、g線、h線、i線等の超高圧水銀灯、XeCl、KrF、ArF、F、Ar等のエキシマレーザー、UV光源、EUV光源、およびX線源等を用いることができる。
また、予備露光は、レジスト全面に対し行うのではなく、レジストを被う非開口部と、少なくとも、所望の微細パターンに対応する領域を開口した開口部とからなるマスクを用い、レジストの該開口部に対応する領域に対して行うようにしてもよい。
例えば、磁気ディスク媒体用の所望の微細パターンを描画する場合、図3に示すような、微細パターンであるサーボパターンが設けられる領域に対応する部分を開口する開口部7aと、その他のレジスト領域を被う非開口部7bを有するマスク7を用い、このマスク7をレジスト11上に配置した状態で、予備露光光を照射する。図3中ではマスク7を基板10の上方に示しているが、予備露光を行う際にはマスク7はレジスト11上に重ねた状態とする。これにより、レジスト11の開口部7aに対応する領域のみ予備露光を行うことができる。
以下、本発明に係る実施形態の電子ビーム描画方法を用いてディスクリートトラックメディア用のパターンを描画する方法について説明する。
図4Aは、基板に描画する磁気ディスク媒体(ここではディスクリートトラックメディア)の描画パターンを示す全体平面図、図4Bはこの描画パターンの一部の拡大図、図5は基板の描画位置の半径と回転速度の関係を示すグラフ、図6は描画パターンを構成するエレメントの基本的描画方式を示す拡大模式図(A)およびその描画方式における偏向信号等の各種信号(B)〜(E)を示す図である。図7は電子ビーム描画方法を実施する一実施形態の微細パターン描画システムの要部側面図(A)および部分平面図(B)である。
図4Aおよび図4Bに示すように、ディスクリートトラックメディア用の描画パターンは、サーボ領域に形成されるサーボパターン12と、データ領域に形成されるグルーブパターン15とで構成され、円盤状の基板10に、外周部10aおよび内周部10bを除く円環状領域に形成される。
サーボパターン12は、基板10の同心円状トラックに等間隔で、各セクターに中心部からほぼ放射方向に延びる細幅の領域に形成されてなる。なお、この例のサーボパターン12の場合には、半径方向に連続した湾曲放射状に形成されている。その一部を拡大した図4Bに例示するように、同心円状のトラックT1〜T4には、例えば、プリアンブル、アドレス、バースト信号に対応する矩形状の微細なサーボエレメント13が配置される。1つのサーボエレメント13は、1トラック幅で電子ビームの照射径より大きいトラック方向長さを有し、バースト信号の一部のサーボエレメント13は隣接するトラックに跨るように半トラックずれて配置される。ここでは、このサーボパターン12のように多数の微細なエレメントで構成されるパターンを微細パターンと称する。
一方、グルーブパターン15の各グルーブ16は、データトラック間のガードバンド部分に、隣接する各トラックT1〜T4を溝状に分離するようトラック方向に延びる同心円状に形成されている。
最終的なディスクリートトラックメディアでは、サーボエレメント13およびグルーブ16の部分が凹部に、その他の部分が磁性層による平坦部(ランド)となる。
上記サーボパターン12およびグルーブパターン15の各サーボエレメント13およびグルーブ16の描画は、表面にレジスト11が塗布された基板10を後述の回転ステージ41(図7参照)に設置して回転させつつ、例えば、内周側のトラックより外周側トラックへ順に、またはその反対方向へ、1トラックずつ電子ビームEBでエレメント13、グルーブ16を順に走査しレジスト11を照射露光するものである。
まず、この電子ビームEBによる露光の前に、基板10上に塗布されたレジスト11に対して、図3に示すようなマスクを用い、図2に示すような予備露光光源5を用いて予備露光を行う。図3に示すようなマスク7の開口部7aはサーボパターン12が形成される領域に対応して設けられており、予備露光により、レジスト11上のサーボパターン12が形成される領域が所定量の露光量で露光される。
この予備露光が施されたレジスト11に対して、所望の微細パターンを含む描画パターンを描画する。以下、描画方法の一例を図5および6を参照して説明する。ここでは、1トラック分のサーボパターン12のサーボエレメント13a,13bに続いて、グルーブ16を、基板10(回転ステージ41)の1回転(1周)で一度に描画するものである。
図5は、基板10のパターン描画における内周トラックと外周トラックの描画での基板回転速度(回転数)の関係を示し、鎖線で示す基本的特性は、最内周トラック(半径R1)の回転速度(回転数V1)に対し、最外周トラック(半径R2)の回転速度(回転数V2)が半径に反比例して遅くなるように回転制御される。実際には、各トラックごとに回転速度が変更調整されるのではなく、実線で示すように、電子ビームEBの半径方向の偏向可能範囲等に対応して複数トラック(例えば8トラック)の描画後に、回転ステージ41を半径方向に機械的に移動する際に、これと連係して該回転ステージ41の回転速度を段階的に変更する制御を行うものである。
このように基板10の描画領域における、描画部位の半径方向位置の移動つまりトラック移動に対し、基板10の外周側部位でも内周側部位でも全描画域で同一の線速度となるように、回転ステージ41の回転速度を外周トラック描画時には遅く、内周トラック描画時には速くなるように調整する。これにより、電子ビームEBの描画における均等な照射線量を得る点、および描画位置精度を確保する点で有利となる。
また、このようにパターン描画時に、レジストの外周側および内周側での単位面積あたりの照射線量を均一なものとすることができるので、予備露光の際には、外周側および内周側の予備露光量に勾配をつける必要がなく、一様露光ができる。
基板10(回転ステージ41)を一方向Aに回転させつつ、基板10の半径方向Yに対して直交する周方向Xに、微視的に見れば直線状に延びる同心円状のトラックT(トラック幅:W)の所定位相位置に、前記サーボエレメント13a,13bを連続して一度にその形状を塗りつぶすように微小径の電子ビームEBで走査して、1回転で1トラック内のサーボエレメント13を描画する。なお、隣接するトラックにまたがる半トラックずれたサーボエレメント13は、半分に分割することなく、描画基準を半トラックずらせて一度に描画する。
上記走査は、サーボエレメント13a,13bの最小トラック方向長さより小さいビーム径の電子ビームEBを、後述のブランキング手段24(アパーチャ25,ブランキング26)の描画部位に応じたオン・オフ動作により照射しつつ、半径方向Yおよび半径方向と直交する方向X(以下周方向X)電子ビームEBをX−Y偏向させて、基板10の回転速度に応じてトラック幅Wの送りを行うとともに、図6(A)のように、半径方向Yと直交する周方向Xへ一定の振幅で高速に往復振動させて振らせることで、露光描画する。
上記サーボエレメント13a,13bの描画に続いて、グルーブ16の描画を行う。グルーブの描画時には、高速振動およびX−Y偏向を行う必要はなく、基板11の回転に伴いトラックに沿って描画する。
電子ビームEBのビーム強度は、予備露光を行ったレジスト11に対して、上記サーボエレメント13の高速振動描画でレジスト11の最適露光量以上となる程度に設定されている。予め予備露光を行っているため、微細パターン描画時の照射線量を、予備露光を行っていなかった従来よりも小さく設定することができ、偏向速度および基板の回転速度を従来と比較して速くすることができるため、描画時間を短縮することができる。
さて、本実施形態においては、微細パターンであるサーボパターン12を描画する領域に予備露光が施されており、グルーブパターン15の領域には予備露光が施されていないために、さらなる効果を得ることができる。従来は、予備露光を行っていないレジストに対してサーボパターンの各エレメント描画のために必要な照射量を確保できる回転速度で基板を回転させるよう制御されていた。サーボパターン描画に適した回転速度および電子ビーム強度のまま基板の回転に伴いグルーブ16を描画すると、グルーブ16描画としては露光量過多となってしまう。そのため、グルーブ16の描画をサーボパターンの描画とは別途に行う、あるいは、グルーブ16を所定角度で分割した複数のグルーブエレメントとし、電子ビームの偏光、オン、オフを組み合わせて、露光量を調整するなどの処理が必要であった。
本実施形態のように、サーボパターン12の領域のみ予備露光を施すこととし、グルーブ16の描画に適する電子ビーム強度および回転速度でサーボパターン12を描画したときに、サーボパターン12においても最適露光量を得ることができる露光量で予備露光をしておけば、サーボパターン12とそれに引き続くグルーブパターン15を効率よく、しかも複雑な信号処理を行うことなく描画露光することができる。なお、マスク7を用いずサーボパターンおよびグルーブパターンが設けられる領域に対し一様露光を施した場合であっても、予備露光による微細パターン描画における描画時間の短縮効果は十分に得ることができる。
図6に基づき順に説明する。図6(A)は電子ビームEBの半径方向Y(外周方向)および周方向X(回転方向)の電子ビームEBの描画動作を示し、図6(B)に半径方向Yの偏向信号Def(Y)を、(C)に周方向Xの偏向信号Def(X)を、(D)に周方向Xの振動信号Mod(X)を、(E)にブランキング信号BLKのオン・オフ動作を、(F)にエンコーダパルスによる同期特性をそれぞれ示している。なお、横軸は時間(回転角度)を示している。
まず、a点で(E)のブランキング信号BLKのオンにより電子ビームEBを照射し、サーボエレメント13aの描画を開始するものであり、基準位置にある電子ビームEBを(D)の振動信号Mod(X)により周方向Xに、往復振動させつつ、(B)の偏向信号Def(Y)により半径方向(−Y)に偏向させて送るとともに、A方向への基板10の回転に伴う電子ビームEBの照射位置のずれを補償するために、(C)の偏向信号Def(X)によりA方向と同方向の周方向Xに偏向させて送ることにより、矩形状のサーボエレメント13aを塗りつぶすように走査し、b点でのブランキング信号BLKのオフにより電子ビームEBの照射を停止し、サーボエレメント13aの描画を終了する。b点後に、半径方向Yおよび周方向Xの偏向を基準位置に戻す。
次に、基板10が回転してc点になると、同様にして次のサーボエレメント13bの描画を開始し、同様の偏向信号に基づいて同様に描画し、d点でサーボエレメント13bの描画を終了する。
続いて、e点でブランキング信号BLKのオンにより電子ビームEBを照射し、グルーブ16の描画を開始する。この場合には、(B)の偏向信号Def(Y)、(C)の偏向信号Def(X)は基準位置のままであり、(D)の振動信号Mod(X)の振動停止により周方向Xの往復振動は停止しており、基板11の回転に伴って描画を行う。
さらに、グルーブ16を描画する場合に、その描画開始点、つまり、図6のe点、は、(F)のエンコーダパルス信号に基づいて正確な位置決めがなされ、データ領域の終点におけるグルーブ16の描画終了位置の精度を高めている。具体的には、図6(F)で、e点はその直前のパルス信号S1に基づき、信号S1から規定時間(設計時間)t1経過したe点で描画を開始するように、エンコーダパルスとの同期をとるように構成されている。
1つのトラックを1周描画した後、次のトラックに移動し同様に描画して、基板10の全領域に所望のサーボパターン12およびグルーブパターン15を描画する。描画位置のトラック移動(径方向への移動)は、電子ビームEBを半径方向Yに偏向させて行うか、あるいは後述の回転ステージ41を半径方向Yに直線移動させて行う。偏向手段により径方向へ電子ビーム照射位置を移動させる方が回転ステージ41を移動させるより効率的であることから、偏向手段による径方向への移動が可能な範囲では偏向させることによりトラック移動を行って複数トラック描画した後に、ビームの偏向手段21による径方向への偏向を一旦解除すると共に、直線移動手段49を用いて回転ステージを複数トラック分程度半径方向に移動させるのが好ましい。
既述の通り、このトラック移動を機械的に行うタイミングに連係して回転ステージ14の回転速度を段階的に変更する制御を行う。電子ビームの偏向によるトラック移動する複数トラックの間、電子ビームEBに対するレジスト11の相対移動速度は、半径位置で異なり、外周で若干速くなり、単位面積の照射線量が変化する。しかし、偏向可能な範囲程度の複数トラック間における照射線量の変動はレジストの感度、信号精度等で補償され、実際の記録情報としては問題なく使用できるものであり、1トラック移動ごとに回転速度を変更する必要はなく、前述のように例えば8トラック描画毎に変更調整すればよい。
サーボパターン12およびグルーブパターン15を描画するためには、前述のように電子ビームEBを走査させるものであるが、その電子ビームEBの走査制御を行うための描画データ信号を後述の信号送出装置60(図7参照)より電子ビーム描画装置40のフォーマッタ50に送出する。この送出信号はフォーマッタ50において、回転ステージ41の回転に応じて発生する前述のエンコーダパルスおよび基準クロック信号に基づいてタイミングおよび位相が制御される。
上記のような描画を行うために、図7に示すような微細パターン描画システム20を使用する。微細パターン描画システム20は、電子ビーム描画装置40および信号送出装置60備えている。電子ビーム描画装置40は被描画体が設置されて電子ビーム照射によるパターン描画を行う電子ビーム描画装置40、該電子ビーム描画装置の各種手段を制御する各種制御部51,52,56および58、各種制御部に対して制御信号を入力するフォーマッタ50、および描画すべき描画パターン情報および描画方法などに基づいて設計データをフォーマッタ50に送出する信号送出装置60を備えている。
電子ビーム描画装置40は、筐体内に電子ビーム用レジスト11が塗布された基板10が載置される回転ステージ41および該ステージ41の中心軸42と一致するように設けられたモータ軸を有するスピンドルモータ43および、回転ステージ41の回転量を検出するためエンコーダスリットの読み取りによって所定回転位相で等間隔にエンコーダパルスを発生するロータリエンコーダ44を備えた回転ステージユニット45と、該回転ステージユニット45の一部を貫通し、回転ステージ41の一半径方向(図中矢印Y方向)に延びる一本のシャフト46および該回転ステージユニット45をシャフト46に沿って移動させるための駆動手段47からなる回転ステージ直線移動手段48とを筐体49内に備えている。シャフト46には、精密なネジきりが施され、パルスモータ等の駆動手段47によって正逆回転されるようになっている。
電子ビーム描画装置40は、さらに、筐体49上に備えられた鏡筒28内に電子ビームを出射する電子銃23、電子ビームEBをY方向(基板径方向)およびY方向に直交するX方向(円周方向)へ偏光させる偏光手段21、22、電子ビームEBの照射をオン・オフするためのブランキング手段24としてアパーチャ25およびブランキング26(偏向器)を備えている。なお、筐体28内には、図示されていない電磁レンズからなる集光レンズ、対物レンズなどが適宜備えられており、電子銃23から出射された電子ビームEBは偏向手段21、22および集光レンズ、対物レンズ等を経て、レジスト11上に照射される。
ブランキング手段24における上記アパーチャ25は、中心部に電子ビームEBが通過する透孔を備え、ブランキング26はオン・オフ信号の入力に伴って、オン信号時には電子ビームEBを偏向させることなくアパーチャ25の透孔を通過させて照射し、一方、オフ信号時には電子ビームEBを偏向させてアパーチャ25の透孔を通過させることなくアパーチャ25で遮断して、電子ビームEBの照射を行わないように作動する。そして、前述の各エレメント13を描画している際にはオン信号が入力されて電子ビームEBを照射し、エレメント13の間の移動時にはオフ信号が入力されて電子ビームEBを遮断し、露光を行わないように制御される。
ブランキング手段24は、ブランキング制御部(BLK制御部)51からの制御信号に基づいてオン・オフされる。偏向手段21、22は偏向制御部52からの信号に基づいて電子ビームEBを高速振動および/または偏向させるものである。スピンドルモータ43は回転制御部56からの信号に基づいて回転が制御されるものであり、直線移動手段48の駆動手段47は、ステージ移動制御部58からの信号に基づいて回転ステージ41を半径方向に移動する。
信号送出装置60は、前述のサーボパターンなどの描画データ(描画パターンや描画タイミングを示すデータ)を記憶し、フォーマッタ50に描画データ信号を送出するものである。
フォーマッタ50は、信号送出装置60から入力された描画データ信号を、ブランキングのオン・オフ制御、電子ビームEBのX−Y偏向制御、回転ステージ41の回転速度制御、および回転ステージ41の直線移動の制御等の制御信号として、BLK制御部51、偏向制御部52、回転制御部56およびステージ移動制御部58に振り分けるものであり、それぞれの制御信号はエンコーダ44から入力されたエンコーダパルス信号と同期させて所定のタイミングで送出される。そして、BLK制御部51、偏向制御部52、回転制御部56およびステージ移動制御部58は、フォーマッタ50からの信号に基づいて、それぞれ、ブランキング手段24、偏向手段21,22、スピンドルモータ43、直線移動手段48を駆動制御し、電子ビーム描画装置40により被描画体の全面に所望の描画パターンを描画するものである。
前記回転ステージ41に設置する基板10は、例えばシリコン、ガラスあるいは石英からなり、その表面には予めポジ型あるいはネガ型の電子ビーム描画用レジスト11が塗設されている。なお、上記電子ビーム描画用レジスト11の感度と各エレメント13の形状とを考慮しながら、電子ビームEBの出力およびビーム径を調整することが望ましい。
なお、上記実施形態においては、トラック内のパターン描画方法として、各微細エレメントの描画は電子ビームを周方向に高速振動させると共に、半径方向に偏向させることによりエレメント形状を塗りつぶすようにする方法について説明したが、レジストが塗布された基板を回転させながら、パターンのトラック幅方向に電子ビームを往復振動させて描画する方法を採用してもよい。また、電子ビームを振動させることなく、電子ビームのオン、オフによりパターン描画行う描画方法を採用してもよい。
次に、本発明の凹凸パターン担持体の製造方法およびその凹凸パターン担持体であるインプリントモールドを用いた磁気ディスク媒体の製造方法を説明する。ここでは、微細パターン描画システム20を用い、前述の実施形態の電子ビーム描画方法によってサーボパターンとグルーブパターンからなるディスクリートトラックメディア用の微細パターンを描画する。図8は、インプリントモールドを用いて微細凹凸パターンを転写形成している一過程を示す概略断面図である。
まず、インプリントモールド(凹凸パターン担持体)70の製造方法を説明する。透光性材料による基板71の表面に、図8では不図示の前述のレジスト11を塗布し、予備露光後、サーボパターンおよびグルーブパターンを描画する。その後、現像処理して、レジストによる凹凸パターンを基板71に形成する。このパターン状のレジストをマスクとして基板71をエッチングし、その後レジストを除去し、表面に形成された微細凹凸パターン72を備えるインプリントモールド70を得る。
次に、このインプリントモールド70を用いて、インプリント法によって磁気ディスク媒体80の製造方法を説明する。具体的には、磁気ディスク媒体80は、基板81上に磁性層82を備え、その上にマスク層を形成するためのレジスト樹脂層83が被覆されている。そして、このレジスト樹脂層83に、インプリントモールド70の微細凹凸パターン72が押し当てられて、紫外線照射によって上記レジスト樹脂層83を硬化させ、微細パターン72の凹凸形状を転写形成してなる。その後、レジスト樹脂層83の凹凸形状に基づき磁性層82をエッチングし、磁性層82による微細凹凸パターンが形成されたディスクリートトラックメディア用の磁気ディスク媒体80を製造する。
なお、上記ではディスクリートトラックメディアの製造について説明したが、ビットパターンメディアも同様の工程で製造することができる。ビットパターンメディアの場合、微細パターンは媒体全面に亘って形成されるものであるため、予備露光としては全面一様露光が適する。
以上説明した、本発明の電子ビーム描画方法を用いた、上述のインプリントモールドおよび該インプリントモールドを用いたディスクリートトラックメディアの製造方法は一例であり、本発明の電子ビーム描画方法を用いて微細パターンの描画を行い、凹凸パターンを形成する工程を経るインプリントモールドの製造方法および磁気ディスク媒体の製造方法であればよく、上述の製造方法に限るものではない。
次に、本発明の凹凸パターン担持体の製造方法およびその凹凸パターン担持体である磁気転写用マスター担体を用いた磁気ディスク媒体の製造方法を説明する。ここでは、微細パターン描画システム20を用い、上記実施形態の描画方法で説明した、半径方向に直交する方向へ高速振動をさせつつエレメントを描画する方法により、サーボパターンからなる磁気転写マスター担体用の微細パターンを描画する。図9は、磁気転写用マスター担体用の原盤を製造する工程を示す模式図であり、図10は、表面に凹凸状の微細パターンを備えた磁気転写用マスター担体90(凹凸パターン担持体)を製造する工程を示す断面模式図、図11は磁気転写用マスター担体を用いて磁気ディスク媒体85に磁化パターンを磁気転写している工程を示す断面模式図である。
磁気転写用マスター担体90の作製工程はインプリントモールド70の作製方法とほぼ同様である。図9(A)に示すように、回転ステージ41に設置する基板100は、例えばシリコン、ガラスあるいは石英からなる円板の表面にポジ型あるいはネガ型電子ビーム描画用レジスト101が塗設され、このレジスト101に対して予備露光を行い、その後、電子ビームEBを走査させて所望のパターン、ここでは、サーボ領域へのサーボ信号パターン103の描画を行う。その後、レジスト101を現像処理して、図9(B)に示すレジストによる微細凹凸パターンを有する基板100を得る。これが磁気転写用マスター担体90の原盤105となる。
次に、図10(A)に示すように、この原盤105の表面の凹凸パターン105a表面に薄い導電層を成膜し、その上に、図10(B)に示すように電鋳を施し、金属の型をとったポジ状凹凸パターンを有する基板91を得る。その後、図10(C)に示すように、原盤から所定厚みとなった基板91を剥離する。基板91の表面の凹凸パターンは、原盤の凹凸形状が反転されたものである。
基板91の裏面を研磨した後、図10(D)に示すように、その凹凸パターン上に磁性層92(軟磁性層)を被覆して磁気転写用マスター担体90を得る。基板91の凹凸パターンの凸部あるいは凹部形状は、原盤のレジストの凹凸パターンに依存した形状となる。
上記のようにして作製された磁気転写用マスター担体90を用いた磁気転写方法を説明する。情報が転写される被転写媒体である磁気ディスク媒体85は、例えば、基板86の両面または片面に磁気記録層87が形成されたハードディスク、フレキシブルディスク等であり、ここでは、磁気記録層87の磁化容易方向が記録面に対して垂直な方向に形成されている垂直磁気記録媒体とする。
図11(A)に示すように、予め磁気ディスク媒体85に初期直流磁界Hinをトラック面に垂直な一方向に印加して磁気記録層87の磁化を初期直流磁化させておく。その後、図11(B)に示すように、この磁気ディスク媒体85の記録層87側の面とマスター担体90の磁性層92の面とを密着させ、磁気ディスク媒体85のトラック面に垂直な方向に初期直流磁界Hinとは逆方向の転写用磁界Hduを印加して磁気転写を行う。その結果、図11(C)に示すように、転写用磁界がマスター担体90の磁性層92に吸い込まれ、凸部に対応する部分の磁気ディスク媒体85の磁性層87の磁化が反転し、その他の部分の磁化は反転しない結果、磁気ディスク媒体85の磁気記録層87にはマスター担体90の凹凸パターンに応じた情報(例えばサーボ信号)が磁気的に転写記録される。なお、磁気ディスク媒体85の上側記録層についても磁気転写を行う場合には、上側記録層に上側用のマスター担体を密着させて下側記録層と同時に磁気転写を行う。
なお、面内磁気記録媒体への磁気転写の場合にも、上記垂直磁気記録媒体用とほぼ同様のマスター担体90が使用される。この面内記録の場合には、磁気ディスク媒体の磁化を、予めトラック方向に沿った一方向に初期直流磁化しておき、マスター担体と密着させてその初期直流磁化方向と略逆向きの転写用磁界を印加して磁気転写を行うものであり、この転写用磁界がマスター担体90の凸部磁性層に吸い込まれ、凸部に対応する部分の磁気ディスク媒体の磁性層の磁化は反転せず、その他の部分の磁化が反転する結果、凹凸パターンに対応した磁化パターンを磁気ディスク媒体に記録し、プレフォーマット済の磁気ディスク媒体を製造することができる。
以上説明した、本発明の電子ビーム描画方法を用いた、磁気転写用マスター担体の上述の製造方法は一例であり、本発明の電子ビーム描画方法を用いて微細パターンの描画を行い、凹凸パターンを形成する工程を経るものであれば上述の製造方法に限るものではない。
次に、本発明の凹凸パターン担持体の製造方法およびその凹凸パターン担持体である光ディスク用スタンパを用いた光ディスクメディアの製造方法を説明する。ピットとウォブルグルーブからなる光ディスク用スタンパ用の微細パターンを描画する際には、半径方向に高速振動させる描画方式が好適である。また、光ディスクメディアの場合、ピットとフォブルグルーブからなる微細パターンを全面に描画することから、予備露光としては全面一様露光を行うのが好適である。図12は、光ディスク用スタンパ原盤を製造する工程を示す模式図であり、図13は、光ディスク用スタンパの斜視図および一部の拡大図を示すものである。
図12(A)に示すように、レジスト112塗布され、予備露光が行われた基板111をA方向に回転させながら、電子ビームEBを走査させることにより所望のパターンを描画する。なお、光ディスク媒体は、磁気ディスク媒体のシリンダ状のパターンとは異なり、螺旋状であり、ここでは、回転ステージ41を回転させるとともに、回転ステージ41をほぼ連続的にY方向に移動させることにより螺旋状のパターン(螺旋状に並んだピット、グルーブ)116を描画する。
次に、図12(B)に示すように、電子ビーム描画用レジスト112を現像処理して、螺旋状に形成された所望のパターン116が電子ビーム描画用レジスト112に転写された基板111を得る。これが光ディスク用スタンパの原盤110となり、これを基に複数の光ディスク用スタンパが形成される。
図13に示すように、光ディスク用スタンパ120は、ピット121、グルーブ122に対応する凸部を表面に有し、この凸部の形状は、原盤110に設けられたレジスト凹部に対応する。
なお、上記のようにして作製された光ディスク用スタンパ120を用いて複数の光ディスクが複写成形される。
インプリントモールド、磁気転写用マスター担体、光ディスク用スタンパ原盤などの凹凸パターン担持体の製造において、本発明の電子ビーム描画方法を採用し、レジストに対し予備露光を施した上で、微細パターンの描画を行うことにより、予備露光をすることなく微細パターンの描画を行っていた場合と比較して、電子ビーム照射時間を短縮することができることから、全面への微細パターン描画に要する時間が短縮でき、その結果凹凸パターン担持体の製造に要する時間も短縮できる。
レジスト溶解度曲線の一例を示す図 予備露光方法の実施形態を示す模式図 予備露光方法の他の実施形態を示す模式図 本発明の電子ビーム描画方法により基板に描画する微細パターン例を示す平面図 微細パターンの一部の拡大図 描画半径位置と基板回転速度との関係を示す特性図 第1の実施形態の微細パターンを構成するエレメントの基本的描画方式を示す拡大模式図(A)およびその描画方式における偏向信号等の各種信号(B)〜(F)を示す図 本発明の電子ビーム描画方法を実施する一実施形態の微細パターン描画システムの要部側面図(A)および部分平面図(B) 電子ビーム描画方法を用いて製造されたインプリントモールドを用いて微細パターンを転写形成している過程を示す断面模式図 磁気転写用マスター担体用原盤を製造する工程を示す模式図 磁気転写用マスター担体を製造する工程を示す断面模式図 磁気転写工程を示す断面模式図 光ディスク用スタンパ原盤を製造する工程を示す模式図 光ディスク用スタンパ原盤を示す斜視図
符号の説明
5 予備露光光源
6 予備露光光
7 マスク
7a 開口部
7b 非開口部
10 基板
11 レジスト
12 サーボパターン
13 サーボエレメント
15 グルーブパターン
16 グルーブ
EB 電子ビーム
X 周方向(半径方向に直交する方向)
Y 半径方向
20 微細パターン描画システム
21、22 偏向手段
23 電子銃
24 ブランキング手段
25 アパーチャ
26 ブランキング
40 電子ビーム描画装置
41 回転ステージ
43 エンコーダ
44 スピンドルモータ
45 回転ステージユニット
49 直線移動手段
50 フォーマッタ
60 信号送出装置
70 インプリントモールド
71 基板
72 微細凹凸パターン
80 磁気ディスク媒体
81 基板
82 磁性層
83 レジスト樹脂層
85 磁気ディスク媒体
90 磁気転写用マスター担体
10 磁気転写用マスター担体原盤
110 光ディスク用スタンパ原盤
120 光ディスク用スタンパ

Claims (8)

  1. レジストが塗布され回転ステージに設置された基板上に、前記回転ステージを回転させつつ電子ビームを走査して所望の微細パターンを描画する電子ビーム描画方法において、
    前記微細パターンの描画を、前記回転ステージの半径方向位置における線速度が一定となるように、該回転ステージの回転速度を、描画位置の半径に反比例して内周トラック描画で速く外周トラック描画で遅くなるように回転制御して行うものであり、
    前記微細パターンの描画を行う前に、前記レジストに予備露光を施すことを特徴とする電子ビーム描画方法。
  2. 前記予備露光を、前記レジスト上における、該予備露光による露光量が一様となるように行うことを特徴とする請求項1記載の電子ビーム描画方法。
  3. 前記レジストを被う非開口部と、少なくとも、前記所望の微細パターンに対応する領域を開口した開口部とからなるマスクを用い、前記予備露光を、前記レジストの該開口部に対応する領域に対して行うことを特徴とする請求項1または2記載の電子ビーム描画方法。
  4. 前記予備露光を、前記所望の微細パターンが描画されるレジストの全面に行うことを特徴とする請求項1または2記載の電子ビーム描画方法。
  5. レジストが塗布された基板に、請求項1から4いずれか1項記載の電子ビーム描画方法により所望の微細パターンを描画露光し、該所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを形成する工程を経て、表面に凹凸パターンを有する凹凸パターン担持体を製造することを特徴とする凹凸パターン担持体の製造方法。
  6. 所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを有する磁気ディスク媒体をインプリント法により製造する製造方法であって、
    前記インプリント法に用いるインプリントモールドとして、レジストが塗布された基板に、請求項1から4いずれか1項記載の電子ビーム描画方法により前記所望の微細パターンを描画露光し、該所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを形成する工程を経て製造されたインプリントモールドを用いることを特徴とする磁気ディスク媒体の製造方法。
  7. レジストが塗布された基板に、請求項1から5いずれか1項記載の電子ビーム描画方法により所望の微細パターンを描画露光し、該所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを形成する工程を経て作製された磁気転写用マスター担体を用い、磁気転写により該マスター担体の表面に設けられた前記凹凸パターンに応じた磁化パターンを形成することを特徴とする磁気ディスク媒体の製造方法。
  8. レジストが塗布された基板に、請求項1から4いずれか1項記載の電子ビーム描画方法により所望の微細パターンを描画露光し、該所望の微細パターンに応じた凹凸パターンを形成する工程を経て作製されたスタンパを用いて製造することを特徴とする光ディスク媒体の製造方法。
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